JP4201851B2 - 特に車両のスライド式屋根を調節するための駆動装置 - Google Patents

Description

背景技術
本発明は、請求項１の上位概念部に記載された、特に車両のスライド式屋根を調節するための駆動装置から出発する。窓昇降装置を駆動するために働く駆動装置が公知である（ヨーロッパ特許第０４７４９０４号明細書）。この駆動装置は、伝動装置ケーシングと電子装置ケーシングとが組み合わされて一体的に射出成形されたベースケーシングを有している。ベースケーシングには、可動子を有する電動モータが取り付けられている。可動子はポット状の極ケーシング内に収容されており、極ケーシングはその開いた側でベースケーシングにねじ止めされる。さらに可動子は、極ケーシングの外部でベースケーシング内に位置している整流子を有している。この場合、整流子に接続している可動子の端部領域は、伝動装置に対する伝動装置駆動軸の形式で形成されており、たとえばウォーム軸の形式を有している。さらに、ベースケーシング内にはプリント配線板が収容されており、これは当該プリント配線板の側方に突き出ている狭いウェブを有している。ウェブにはブラシを支持するブラシ保持具が取り付けられている。さらにプリント配線板は、プラグ受容部として形成された接続部材を有している。駆動装置の組付けは、最初にプリント配線板が伝動装置ケーシングもしくはベースケーシング内に装入され、そこで固定されるように行われる。次いで、極ケーシング内に収容された可動子の組付けが行われるが、このためには可動子をその整流子と一緒にブラシの間でブラシ保持具に通し入れることが必要である。ブラシ保持具の位置の最終的な固定は、極ケーシングを固定した後に、かつブラシ保持具を正確に調整した後に初めて行われる。この目的のためにブラシ保持具はねじによってプリント配線板に固くねじ止めされる。ブラシ保持具もしくは整流子に当接しているブラシを正確に位置決めすることが必要である。なぜならば、さもないと駆動装置の不都合のない運転が保証され得ないからである。上述の組付け方法は幾分技巧を要するだけでなく、駆動装置の機械的な組付けにとっても障害となる。さらに、ブラシ保持具はプリント配線板の狭いウェブに取り付けられているだけでなく、機械的安定性が少なく、プリント配線板の製造形式は複雑であり、ひいては高いコストを引き起こす。
発明の利点
これに対して、請求項１の特徴部に記載の特徴を有する本発明による装置は、組付けが簡単であり、また駆動装置内でプリント配線板を特にスペースが最適化されて形成および配置できるという利点を有している。この場合、ブラシ保持具の調整を不要にできることが特に有利である。さらに、ブラシ保持具をブラシと一緒に簡単に取り外すことも可能である。
請求項２以下に記載の手段により、請求項１に記載の駆動装置の有利な改良が可能になる。
さらに、量産時にプラグ受容部の位置および形状に対する極めて多様な要求をフレキシブルに満たすことができるように、ブラシ保持具と設けられているプラグ受容部とは共通構成部材として１つの部分でも、また２つの部分でも形成できることが有利である。さらに、可動子の最終組付けの間はブラシが後方位置に留まっていて、たとえば伝動装置カバーの最終組付け後に初めて計画的に係合解除することによって組付けが簡単にされていることが有利である。さらに特に有利なのは、可動子に取り付けられた磁石リングと組み合わせて駆動装置の回転数を把握できるいわゆるホールセンサが、非常に有利にはプリント配線板上に配置できることである。また、必要な妨害電波防止部材を直接ブラシ保持具に組み込めむことができ、それによってブラシとの空間的な近さに基づき妨害電波防止手段の効率が高まることが有利である。ブラシ保持具に組み込まれた妨害電波防止コイルにより、同時にプリント配線板上に設けられている電気的構成部材とブラシとの電気的接触を形成できることが特に有利である。さらに、プリント配線板の方形の形状により、プリント配線板の作製時に必要な切り屑を減らすことができ、それによってプリント配線板の製造コストが低減される。
図面
以下に、本発明の実施例を概略的な図面に基づき詳しく説明する。第１図は、本発明の第１の実施例の部分的に断面した平面図を示しており、第２図は、第１図に示す駆動装置の部分的に断面した側面図を示しており、第３図は、本発明の第２の実施例に従うブラシ保持具を有するプリント配線板を示しており、第４図は、第３図に示すブラシ保持具の正面から見た斜視図を示しており、第５図は、第４図に示すブラシ保持具の斜視図の下側を示している。
実施例の説明
第１図には、車両、特に自動車のスライド式屋根の調節に特に適している駆動装置１が部分的な断面図で示されている、駆動装置１は、電動モータ３を有しており、この電動モータ３は、たとえばウォーム軸５およびウォーム軸５とかみ合うウォーム歯車６とから成る減速装置を有している。ウォーム歯車６は、第１図に破線で示されている、軸８に取り付けられた駆動ピニオン９と相対回動不能に結合している。駆動ピニオン９自体は所定の機構（詳しく図示しない）を介して車両のスライド式屋根（詳しく図示しない）を開閉できる。たとえば工具で相応に操作できる連行ピン（詳しく図示しない）から成る連結解除機構を介して、ウォーム歯車６と駆動ピニオン９との相対回動不能な結合を中断することが可能である。減速装置５、６は、たとえば金属ダイカスト部材として形成された伝動装置ケーシング１０内に収容されている。伝動装置ケーシング１０は、電動モータ３のポット状に形成された極ケーシング１１にフランジ止めされている。極ケーシング１１内には可動子１４が回転可能に収容されている。可動子１４は公知のようにコイル１５を有しており、コイル１５は極ケーシング１１の内部で内側壁１２に取り付けられている永久磁石１６と協働して、コイル１５が通電された状態で可動子１４の回転を引き起こす。可動子１４はコイル１５に通電するために、極ケーシング１１の外部で伝動装置ケーシング１０内に位置している部分に公知の構造の整流子１８を有している。整流子１８は、たとえば２つのブラシ２６、特にカーボンブラシと協働する。整流子１８にはウォーム歯車６に向かって磁石リング１９が接続している。さらに磁石リング１９にはウォーム歯車６に向かう方向で可動子１４のための支承部２０が接続しており、この支承部２０以降では可動子１４の端部領域が伝動装置駆動軸の形式で、たとえばウォーム軸５として形成されている。
伝動装置ケーシング１０内に、整流子１８と磁石リング１９とによりほぼ中心で区分されて、たとえば方形断面を有する凹部２３が設けられている。凹部２３は軸方向で可動子１４の可動子軸１７に沿って、ほぼ整流子１８と磁石リング１９の領域で延びている。凹部２３には、整流子１８に少なくとも２つのブラシ２６を保持しているブラシ保持具２５が係合する。ブラシ保持具２５はほぼ直方体の形状を有し、軸方向に少なくとも整流子１８の全長にわたって延びている。第１の実施例に従い、ブラシ保持具２５は可動子軸１７に対して直交方向に伝動装置ケーシング１０のほぼ全幅を占め、たとえばプラグ受容部２８の形式で形成された接触区分に一体的に移行している。プラグ受容部２８を有する構成部材として形成されたブラシ保持具２５は、全体としてＬ字形を有している。伝動装置ケーシング１０から少し外に見えているプラグ受容部２８は、駆動装置１に通電するためにプラグ受容部２８と接触する電気的プラグ（詳しく図示しない）を接続するために働く。ブラシ保持具２５は第１図に破線で示されているプリント配線板３０上に取り付けられている。プリント配線板３０はブラシ保持具２５のように方形の輪郭を有している。プリント配線板３０は、可動子１４の可動子軸１７に対してほぼ直交方向ではその最大延在長さでブラシ保持具２５とほぼ同じ幅で延びており、軸方向ではブラシ保持具２５よりも幅が広いので、少なくとも整流子１８、およびたとえば磁石リング１９も覆われる。
第２図、すなわち第１図に示す駆動装置１の部分的に断面した側面図に詳しく示されているように、ブラシ保持具２５はその両ブラシ２６で整流子１８をトング状に周囲から把持している。この場合、ブラシ保持具２５は、整流子１８に対して半径方向間隔をおいて延びているプリント配線板３０を保持するためにも働く。伝動装置ケーシング１０は、たとえば極ケーシング１１まで延びている伝動装置ケーシングカバー３２によって閉鎖可能である。ブラシ保持具２５およびプラグ受容部２８は、たとえばプラスチック射出成形技術で作製できる、たとえば一体的な構成部材の形式で形成できる。もちろんブラシ保持具２５とプラグ受容部２８は、プリント配線板３０上に個々の構成部材として別個に配置することもできる。これは第３図、すなわち本発明の第２の実施例の簡単にした概略図におけるプリント配線板３０の平面図に示されている。
プリント配線板３０はさらに別の構成部材、たとえばバリスタを有している。バリスタは電圧を安定化させるために設けられており、その目的ために電圧が上昇するのに伴いコンダクタンスが高くなる電気抵抗を有している。さらに、たとえばバリスタと一緒にいわゆる組合わせ部材３５としてプリント配線板３０上に取り付けられたコンデンサが設けられている。さらに別の部材、たとえば２つの妨害電波防止絞り３６が設けられている。これらの妨害電波防止絞り３６は、好ましくはブラシ保持具２５内のスリーブ状の受容部２７内でブラシ保持具２５のプラスチックの中に収容されている。妨害電波防止絞り３６をプリント配線板３０上に別個に固定することも考えられる。別の妨害電波防止部材を、いわゆるＳＭＤ部品（ｓｕｒｆａｃｅ ｍｏｕｎｔｅｄ ｄｅｖｉｃｅｓ）としてプリント配線板３０上に収容することもでき、そうするとブラシ保持具２５に妨害電波防止絞り３６を人手で装着する必要がない。さらに、少なくとも１つのホールセンサ３７が設けられている。ホールセンサ３７は、たとえばプリント配線板３０上の妨害電波防止絞り３６の間でブラシ保持具２５の方形の切欠部２９の内部に収容されている。好ましくはプリント配線板３０を最終的に組み付けた後で磁石リング１９のすぐ近傍に位置している２つのホールセンサ３７が設けられている。磁石リング１９はその外周面に配分されて少なくとも１つの永久磁化された領域を有していて、少なくとも１つのホールセンサ３７により可動子１４の現在の位置もしくはその回転数を把握できる。さらにプリント配線板３０は、たとえば駆動装置１を制御したり、ホールセンサ３７から出された電気信号を評価したりするために働く別の電気的または電子的な構成部材３８を有することができる。
第４図、すなわち第３図に示したブラシ保持具２５の正面から見た斜視図に詳しく示されているように、向き合う両ブラシ２６は設けられているブラシケース３９内に収容されている。ブラシケース３９内でばね部材４０によりブラシ２６に整流子１８に向かって相応の予荷重が加えられる。ブラシケース３９の裏側ではブラシ２６から、妨害電波防止絞り３６との電気接続を形成する電気導線４２が出ている。妨害電波防止絞り３６は、ブラシ保持具２５から突き出している電気接続部４４を有している。これらの電気接続部４４はプリント配線板３０の相応の開口部に導入でき、次いでプリント配線板３０上の接触軌道（詳しく図示しない）を介してプリント配線板３０上の構成部材３５、３８およびプラグ受容部２８との接触が可能になる。両ブラシ２６はブラシケース３９の開いた側でラッチ４５によって、ブラシ保持具２５が組み付けられていない状態で保持される。これは第４図で右側に示されているブラシ２６および第５図に示されている両ブラシ２６に該当する。第５図、すなわち第４図に示すブラシ保持具２５の斜視図の裏側が詳しく示しているように、ラッチ４５はブラシケース３９の相応のロッカ４６に取り付けられているので、ロッカ４６を、たとえば第５図に記載されている矢印４８の方向に操作すると、ラッチ４５は相応にブラシ２６から離れる方向に運動し、それによってブラシ２６の係合解除が行われ、次いでブラシ２６はばね部材４０のばね力によってブラシケース３９から外に出される。
駆動装置１の組付けは、ブラシ保持具２５およびその他のすべての構成部材２８、３５、３６、３７、３８を有する完成装着されたプリント配線板３０を介して行われる。第１図に示されているように、プリント配線板３０は、プリント配線板３０と伝動装置ケーシングカバー３２を除きそれ以外は最終的に組み付けられた駆動装置１に、ブラシ保持具２５を先頭にして伝動装置ケーシング１０の凹部２３内に挿入される。凹部２３におけるブラシ保持具２５の保持は、たとえばブラシ保持具２５を凹部２３内に軽く圧入し、もしくは弾性的に固定することによって行われる。溝、案内面、センタリング用ピンなど（図示せず）を伝動装置ケーシング１０の凹部２３に設けることも考えられる。これらはブラシ保持具２５で相応に対応するように形成された固定部材および／または案内部材と組み合わせて、凹部２３におけるブラシ保持具２５の保持、さらにたとえば掛止を生ぜしめる。ブラシ保持具２５をブラシケース３９内に存在するブラシ２６もしくはプリント配線板３０と組み付けた後、次いでたとえばラッチ４５を操作することによりブラシ２６の係合解除が行われる。その後でブラシ２６は可動子１４の整流子１８に当接し、ブラシ保持具２５の再調整は必要ないであろう。
ブラシ２６の掛止解除または係合解除は、たとえば第３図に示すプリント配線板３０の、ブラシ保持具２５と向き合う側の開口部５２内にピン（詳しく図示しない）を導入することによって行うことができ、これにより第５図に示すロッカ４６が矢印方向４８で相応に操作できる。もちろん伝動装置ケーシングカバー３２を介してブラシ２６の係合解除を行うことも可能であり、この目的のために伝動装置ケーシングカバー３２は、たとえば第２図に示す、プリント配線板３０の開口部５２と係合できる２つのウェブ５４を有している。第２図に破線で示されているように、ピン５５などを凹部２３内に設けることも可能である。ピン５５は第４図に示されているブラシケース３９の開口部５０と係合できる。これらの開口部５０はブラシ保持具２５の整流子１８に向けられた側に設けられていて、ブラシ保持具２５を凹部２３内に完全に導入した後でブラシ２６の自動係合解除が行われる。上述のブラシ２６の係合もしくは係合解除の代わりに、第４図の左側に示されているブラシ２６が示すように、整流子１８に向かって、丸みを付けた、もしくは面取りした面５８をブラシ２６に設けることも可能であり、ブラシ保持具２５をで整流子１８に押し被せると、ブラシケース３９から突き出しているブラシ２６を傾くことなく押し戻すことができる。

Claims (11)

1. 特に車両のスライド式屋根を調節するための駆動装置であって、電動モータを有しており、該電動モータが整流子を備えた可動子を有しており、該可動子が極ケーシング内に収容されていて、その極ケーシングの外部に位置している部分が伝動装置のための伝動装置駆動軸を形成しており、該伝動装置が極ケーシングに接続している、ケーシングカバーによって閉じられる伝動装置ケーシング内に収容されており、伝動装置ケーシングがプリント配線板を収容し、該プリント配線板がブラシ保持具を支持しており、そのブラシが可動子の整流子と係合し、プリント配線板（３０）がその最大延在長さで可動子（１４）の可動子軸（１７）に対してほぼ直交方向に延びていて、伝動装置駆動軸（５）で伝動装置ケーシング（１０）内に突入している可動子（１４）の整流子（１８）を少なくとも部分的に覆っており、ブラシ保持具（２５）が、整流子（１８）の領域に設けられている伝動装置ケーシング（１０）内の凹部（２３）と係合して、組み付けのために、伝動装置ケーシング（１０）内に組み付けられている可動子（１４）の整流子（１８）に半径方向に被せ嵌め可能であって、伝動装置ケーシング（１０）の凹部（２３）には、溝、案内面、センタリング用ピンなどが配置されており、これらは、ブラシ保持具（２５）に相応に対応するように形成された固定部材及び／又は案内部材と結合した状態で、凹部（２３）にブラシ保持具（２５）を保持することを特徴とする、特に車両のスライド式屋根を調節するための駆動装置。
2. プリント配線板（３０）が方形である、請求項１記載の駆動装置。
3. プリント配線板（３０）が可動子軸（１７）に対して直交方向でほぼ伝動装置ケーシング（１０）の幅を占める、請求項１または２記載の駆動装置。
4. ブラシ保持具（２５）が、ブラシ保持具（２５）の一部でありプラグ受容部（２８）として形成された接触区分を有している、請求項１または２記載の駆動装置。
5. ブラシ保持具（２５）が、ブラシ保持具（２５）に組み込まれている妨害電波防止絞り（３６）を有している、請求項１記載の駆動装置。
6. ブラシ保持具（２５）がプラスチックから成り、妨害電波防止絞り（３６）がスリーブ状の収容部（２７）内でプラスチックに埋め込まれている、請求項５記載の駆動装置。
7. ブラシ保持具（２５）が、設けられているブラシケース（３９）内部の組付け位置でブラシ保持具（２５）を組み付けるためにブラシ（２６）を保持する部材（４５、４６）を有している、請求項１記載の駆動装置。
8. 駆動装置（１）の凹部（２３）内または伝動装置ケーシングカバー（３２）に、設けられているブラシケース（３９）内部の組付け位置に存在するブラシ保持具（２５）内のブラシ（２６）を係合解除させる部材（５４、５５）が設けられている、請求項１記載の駆動装置。
9. ブラシ（２６）の、整流子（１８）に向けられた面（５８）が丸くされるか、または面取りされて形成されている、請求項１記載の駆動装置。
10. プリント配線板（３０）が少なくとも１つのホールセンサ（３７）を有しており、該ホールセンサ（３７）は、凹部（２３）内にブラシ保持具（２５）を導入した後で、可動子（１４）に設けられている磁石リング（１９）のすぐ近傍に位置している、請求項１記載の駆動装置。
11. 請求項１から１０までのいずれか１項記載の駆動装置を製造するための方法であって、前記駆動装置が、電動モータを有しており、該電動モータが可動子を有しており、該可動子が極ケーシング内に収容されていて、その極ケーシングの外部に位置している部分が伝動装置のための伝動装置駆動軸を形成しており、該伝動装置が極ケーシングに接続している、ケーシングカバーによって閉じられる伝動装置ケーシング内に収容されている形式のものにおいて、
    −まず、可動子（１４）を極ケーシング（１１）と伝動装置ケーシング（１０）とに、伝動装置ケーシングカバー（３２）なしに完全に組み付け、
    −次いで、プリント配線板（３０）を、その上に配置されたブラシ保持具（２５）と共に、このブラシ保持具を先頭にして、伝動装置ケーシング（１０）の凹部（２３）に挿入し、
    −この際に、ブラシ保持具（２５）を、伝動装置駆動軸（５）上に配置された整流子（１８）に半径方向で被せ嵌め、
    −次いで、伝動装置ケーシングカバー（３２）を組み付けることを特徴とする、請求項１から１０までのいずれか１項記載の駆動装置を製造するための方法。

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