JP4197399B2 - 炭化珪素半導体装置の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、炭化珪素を用いた半導体装置の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
炭化珪素を用いたパワー用の半導体装置は珪素を用いた半導体装置に比べて優れた特性を持つ。このため炭化珪素を用いたパワー用半導体装置の製造方法に関する研究が盛んに行われている。
【0003】
炭化珪素半導体装置の製造方法で重要な工程の一つであるイオン注入は、例えば Materials Science Forum 264-268(1998), p675-680 にあるようにイオン注入後の活性化アニール処理に1500℃以上の高温が必要であるという特徴を持っている。このため、選択イオン注入を行うために使用する注入用のマスクは活性化アニール処理を行う前に除去する必要があり、セルフアライン工程を行うことが困難である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上述のように従来のイオン注入で用いる注入用マスクは、活性化アニール処理前に除去する必要があるために、活性化アニール処理後の工程において必要なマスクを再度形成しなければならない。マスクは、フォトリソグラフィー工程により作製される。フォトリソグラフィー工程では、前工程のマスクパターンと次工程のマスクパターンを合わせるという作業があり、パターンを合わせる精度が製造された半導体装置の特性のバラツキや歩留まりに大きく影響を与える。このため、可能な限りフォトリソグラフィー工程の回数を減らすことが望ましい。
【0005】
この発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、フォトリソグラフィー工程の回数を減らしたセルフアライン工程による炭化珪素半導体装置の製造方法であり、このセルフアライン工程により、製造された炭化珪素半導体装置の特性のバラツキを抑え、歩留まりを向上することができる炭化珪素半導体装置の製造方法を得ることを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
この発明に係る炭化珪素半導体装置の製造方法は、炭化珪素半導体基板に対して所定の部分に設けたマスクを介してエッチングを行い凸部を作製する凸部形成工程と、凸部形成工程で使用するマスクを用いてイオン注入を行うイオン注入工程と、イオン注入工程後に活性化アニールを行う活性化アニール工程と、凸部が形成された炭化珪素半導体基板上に炭化珪素をエピタキシャル成長させ炭化珪素半導体層を形成する炭化珪素半導体層形成工程と、炭化珪素半導体層をマスクを使わずにエッチングし、炭化珪素半導体基板の凸部周辺にのみ炭化珪素半導体領域を残す炭化珪素半導体領域残存工程とを有する。
【0007】
また、イオン注入工程後に凸部形成行程を行う。
【0008】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
図1はこの発明の炭化珪素半導体装置の製造方法の実施の形態1を説明する説明図である。図1において、1は炭化珪素半導体基板、2はレジストまたは熱酸化膜または金属膜などからなるマスク、3は炭化珪素半導体基板1上にエピタキシャル成長した炭化珪素半導体層あるいは炭化珪素半導体領域である。
【0009】
まず、炭化珪素半導体基板1上にマスク2を形成し(図中(a))、RIEなどの異方性エッチングを行い炭化珪素半導体基板1に凸部を形成する(図中(b):凸部形成工程)。
【0010】
次に、凸部が形成された炭化珪素半導体基板1上の全面に炭化珪素半導体基板1と同一または異なる導電型の炭化珪素をエピタキシャル成長させ炭化珪素半導体層3を形成する(図中(c):炭化珪素半導体層形成工程)。形成された炭化珪素半導体層3の厚さは、炭化珪素半導体基板1の上下方向に関して凸部の上面、底面では薄く、一方、側面は厚くなっている。
【0011】
さらに、炭化珪素半導体基板1上の全面に形成された炭化珪素半導体層3に対して、マスクを使わずにRIEなどの異方性エッチングを行えば、炭化珪素半導体基板1の凸部周辺にのみ炭化珪素半導体領域3を残すことができる(図中(d):炭化珪素半導体領域残存工程)。
【0012】
このような工程を有する炭化珪素半導体装置においては、フォトリソグラフィー工程の回数が少ないセルフアライン工程により、製造する炭化珪素半導体装置の特性のバラツキを抑え、歩留まりを向上することができる。
【0013】
本実施の形態では、炭化珪素半導体基板1の凸部周辺にのみ炭化珪素半導体領域3を残したが、炭化珪素半導体基板1の凸部の上部、底部に炭化珪素半導体領域3を薄く残してもよく、上述と同様に製造する炭化珪素半導体装置の特性のバラツキを抑え、歩留まりを向上することができる。
【0014】
また、本実施の形態では、炭化珪素半導体基板1の構造について特に説明していないが、炭化珪素半導体基板1は単一の炭化珪素半導体層または複数の炭化珪素半導体層であっても上述と同様の効果を得ることができる。
【0015】
さらに、炭化珪素半導体基板1が複数の炭化珪素半導体層を持つ場合、各炭化珪素半導体層が同一の導電型または異なる導電型を含むものであっても上述と同様の効果を得ることができる。
【0016】
さらにまた、炭化珪素半導体基板1の一部にイオン注入または拡散などにより炭化珪素半導体基板1と同一または異なる導電型の炭化珪素半導体領域を形成したものであっても上述と同様の効果を得ることができる。
【0017】
また、炭化珪素半導体基板1の表面は平坦なものまたは凹凸のあるものであっても上述と同様の効果を得ることができる。
【0018】
このように、本実施の形態の炭化珪素半導体装置の製造方法は、一つのマスク2を用いて炭化珪素半導体基板1上に凸部を形成し、凸部が形成された炭化珪素半導体基板1上に炭化珪素をエピタキシャル成長させて炭化珪素半導体層3を形成する。この炭化珪素半導体層3は、上下方向に関して凸部の上面、底面では薄く、側面は厚くなっているため異方性エッチングを行えば凸部の上面、底面は炭化珪素半導体層3が除去され、側面にのみ炭化珪素半導体領域3が残る。すなわち、炭化珪素のエピタキシャル成長と異方性エッチングを行うことでマスクを用いることなく、つまりフォトリソグラフィー工程を行わずにセルフアライン工程で炭化珪素半導体基板1の凸部周辺に炭化珪素半導体領域3を形成することができる。
【0019】
実施の形態2.
図2はこの発明の炭化珪素半導体装置の製造方法の実施の形態2を説明する説明図である。図2において、1は炭化珪素半導体基板、2はレジストまたは熱酸化膜または金属膜などからなるマスク、3は炭化珪素半導体基板1上にエピタキシャル成長した炭化珪素半導体層あるいは炭化珪素半導体領域、4はイオン注入により形成した炭化珪素半導体層である。
【0020】
まず、炭化珪素半導体基板1上にマスク2を形成し(図中(a))、マスク2を用いてイオン注入を行い炭化珪素半導体層4を形成し(図中(b))、RIEなどの異方性エッチングを行い炭化珪素半導体基板1に凸部を形成する(図中(c):凸部形成工程)。
【0021】
次に、凸部が形成された炭化珪素半導体基板1上の全面に、炭化珪素半導体基板1と同一または異なる導電型の炭化珪素をエピタキシャル成長させ炭化珪素半導体層3を形成する(図中(d):炭化珪素半導体層形成工程)。
【0022】
さらに、上述の実施の形態1と同様にマスクを使わずにRIEなどの異方性エッチングを行えば炭化珪素半導体基板1の凸部周辺にのみ炭化珪素半導体領域3を残すことができる(図中(e):炭化珪素半導体領域残存工程)。
【0023】
このような工程を有する炭化珪素半導体装置においては、フォトリソグラフィー工程の回数が少ないセルフアライン工程により、炭化珪素半導体装置の特性のバラツキを抑え、歩留まりを向上することができる。
【0024】
本実施の形態では、炭化珪素半導体基板1の凸部周辺にのみ炭化珪素半導体領域3を残したが、炭化珪素半導体基板1の凸部の上部、底部に炭化珪素半導体領域3を薄く残してもよく、上記と同様に製造する炭化珪素半導体装置の特性のバラツキを抑え、歩留まりを向上することができる。
【0025】
また、本実施の形態では、炭化珪素半導体基板1の構造について特に説明していないが、炭化珪素半導体基板1は単一の炭化珪素半導体層または複数の炭化珪素半導体層であっても上述と同様の効果を得ることができる。
【0026】
さらに、炭化珪素半導体基板1が複数の炭化珪素半導体層を持つ場合、各炭化珪素半導体層が同一の導電型または異なる導電型を含むものであっても上述と同様の効果を得ることができる。
【0027】
さらにまた、炭化珪素半導体基板1の一部にイオン注入または拡散などにより炭化珪素半導体基板1と同一または異なる導電型の炭化珪素半導体領域を形成したものであっても上述と同様の効果を得ることができる。
【0028】
また、炭化珪素半導体基板1の表面は平坦なものまたは凹凸のあるものであっても上述と同様の効果を得ることができる。
【0029】
実施の形態3.
図3はこの発明の炭化珪素半導体装置の製造方法の実施の形態3を説明する説明図である。図3において、1は炭化珪素半導体基板、2はレジストまたは熱酸化膜または金属膜などからなるマスク、3は炭化珪素半導体基板1上にエピタキシャル成長した炭化珪素半導体層あるいは炭化珪素半導体領域、4はイオン注入により形成した炭化珪素半導体層、5はマスク2を形成するためのマスクである。
【0030】
まず、炭化珪素半導体基板1上にマスク2を形成するために、マスク5を用いてRIEなどの異方性エッチングなどによりマスク2を形成する際、同時に炭化珪素半導体基板1までエッチングを行い、炭化珪素半導体基板1に凸部を形成する(図中(b):凸部形成工程)。
【0031】
次に、マスク2を用いてイオン注入を行うことにより炭化珪素半導体層4を形成し(図中(c))、凸部が形成された炭化珪素半導体基板1上の全面に炭化珪素半導体基板1と同一または異なる導電型の炭化珪素をエピタキシャル成長させ炭化珪素半導体層3を形成する(図中(d):炭化珪素半導体層形成工程)。
【0032】
さらに、上述の実施の形態1と同様にマスクを使わずにRIEなどの異方性エッチングを行えば炭化珪素半導体基板1の凸部周辺にのみ炭化珪素半導体領域3を残すことができる(図中(e):炭化珪素半導体領域残存工程)。
【0033】
このような工程を有する炭化珪素半導体装置においては、フォトリソグラフィー工程の回数が少ないセルフアライン工程により、炭化珪素半導体装置の特性のバラツキを抑え、歩留まりを向上することができる。
【0034】
本実施の形態では、炭化珪素半導体基板1の凸部周辺にのみ炭化珪素半導体領域3を残したが、炭化珪素半導体基板1の凸部の上部、底部に炭化珪素半導体領域3を薄く残してもよく、上記と同様に製造する炭化珪素半導体装置の特性のバラツキを抑え、歩留まりを向上することができる。
【0035】
また、本実施の形態では、炭化珪素半導体基板1の構造について特に説明していないが、炭化珪素半導体基板1は単一の炭化珪素半導体層または複数の炭化珪素半導体層であっても上述と同様の効果を得ることができる。
【0036】
さらに、炭化珪素半導体基板1が複数の炭化珪素半導体層を持つ場合、各炭化珪素半導体層が同一の導電型または異なる導電型を含むものであっても上述と同様の効果を得ることができる。
【0037】
さらにまた、炭化珪素半導体基板1の一部にイオン注入または拡散などにより炭化珪素半導体基板1と同一または異なる導電型の炭化珪素半導体領域を形成したものであっても上述と同様の効果を得ることができる。
【0038】
また、炭化珪素半導体基板1の表面は平坦なものまたは凹凸のあるものであっても上述と同様の効果を得ることができる。
【0039】
実施の形態4.
図4はこの発明の炭化珪素半導体装置の製造方法の実施の形態4を説明するMOS型電界効果トランジスタの製造方法の説明図である。図4において、1は炭化珪素半導体基板、2はレジストまたは熱酸化膜または金属膜などからなるマスク、5はマスク2を形成するためのマスク、6はn+型炭化珪素半導体層、7はn-型炭化珪素半導体層、8はp型炭化珪素半導体領域、9は炭化珪素半導体チャネル領域、10はn型炭化珪素半導体ソース領域、11はゲート酸化膜、12はゲート電極、13はソース電極、14はドレイン電極である。
【0040】
まず、上述の実施の形態3と同様の方法によりマスク5を使ってマスク2及び炭化珪素基板1に凸部を形成し(図中(a)〜(c))、マスク2を使ってイオン注入を行うことによりp型炭化珪素半導体領域8を形成し(図中(d))、上述の実施の形態1と同様の方法により炭化珪素半導体基板1の凸部周辺に炭化珪素半導体基板1と同一の導電型または異なる導電型の炭化珪素半導体チャネル領域9を形成し(図中(e))、さらにその周辺にn型炭化珪素半導体ソース領域10を形成し(図中(f))、ゲート酸化膜11、ゲート電極12、ソース電極13、ドレイン電極14を形成することによりMOS型電界効果トランジスタを作製することができる(図中(g))。
【0041】
このような工程を有する炭化珪素半導体装置においては、マスク5のみ、つまり1回のフォトリソグラフィー工程でp型炭化珪素半導体領域8、炭化珪素半導体チャネル領域9、n型炭化珪素半導体ソース領域10を形成することができ、作製したMOS型電界効果トランジスタの特性のバラツキを抑え、歩留まりを向上することができる。
【0042】
また、本実施の形態では、炭化珪素半導体基板1の導電型をn型とし、nチャネル型のMOS型電界効果トランジスタについて説明したが、炭化珪素半導体基板1がp型の場合、8をn型の炭化珪素半導体領域、10をp型炭化珪素半導体ソース領域とすればpチャネル型のMOS型電界効果トランジスタを作製することができ、本実施の形態とを得ることができる。
【0043】
【発明の効果】
この発明に係る炭化珪素半導体装置の製造方法は、炭化珪素半導体基板に対して所定の部分に設けたマスクを介してエッチングを行い凸部を作製する凸部形成工程と、凸部形成工程で使用するマスクを用いてイオン注入を行うイオン注入工程と、イオン注入工程後に活性化アニールを行う活性化アニール工程と、凸部が形成された炭化珪素半導体基板上に炭化珪素をエピタキシャル成長させ炭化珪素半導体層を形成する炭化珪素半導体層形成工程と、炭化珪素半導体層をマスクを使わずにエッチングし、炭化珪素半導体基板の凸部周辺にのみ炭化珪素半導体領域を残す炭化珪素半導体領域残存工程とを有する。そのため、炭化珪素半導体装置を製造するのに必要なマスクの数を少なくでき、つまりフォトリソグラフィー工程の回数を少なくでき、製造した炭化珪素半導体装置の特性のバラツキを抑え、歩留まりを向上できる。
【0044】
また、イオン注入工程後に凸部形成工程を行うので凸部形成工程にて設けるマスクは、イオン注入工程で使用したマスクをそのまま使用できる。そのため、さらにフォトリソグラフィー工程を少なくして、セルフアライン工程で炭化珪素半導体基板の凸部周辺に炭化珪素半導体領域を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の炭化珪素半導体装置の製造方法の実施の形態1を説明する説明図である。
【図2】 この発明の炭化珪素半導体装置の製造方法の実施の形態2を説明する説明図である。
【図3】 この発明の炭化珪素半導体装置の製造方法の実施の形態3を説明する説明図である。
【図4】 この発明の炭化珪素半導体装置の製造方法の実施の形態4を説明するMOS型電界効果トランジスタの製造方法の説明図である。
【符号の説明】
1 炭化珪素半導体基板、2 マスク、3 エピタキシャル成長した炭化珪素半導体領域、4 イオン注入または熱拡散などにより形成した炭化珪素半導体領域、5 マスク2を形成するためのマスク、6 n+型炭化珪素半導体層、7 n-型炭化珪素半導体層、8 p型炭化珪素半導体領域、9 炭化珪素半導体チャネル領域、10 炭化珪素半導体ソース領域、11 ゲート酸化膜、12 ゲート電極、13 ソース電極、14 ドレイン電極。
Claims (2)
- 炭化珪素半導体基板に対して所定の部分に設けたマスクを介してエッチングを行い凸部を作製する凸部形成工程と、
上記凸部形成工程で使用するマスクを用いてイオン注入を行うイオン注入工程と、
上記イオン注入工程後に活性化アニールを行う活性化アニール工程と、
上記凸部が形成された上記炭化珪素半導体基板上に炭化珪素をエピタキシャル成長させ炭化珪素半導体層を形成する炭化珪素半導体層形成工程と、
上記炭化珪素半導体層をマスクを使わずにエッチングし、上記炭化珪素半導体基板の上記凸部周辺にのみ炭化珪素半導体領域を残す炭化珪素半導体領域残存工程と
を有することを特徴とする炭化珪素半導体装置の製造方法。 - イオン注入工程後に凸部形成行程を行う
ことを特徴とする請求項1に記載の炭化珪素半導体装置の製造方法。
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