JP4193927B2 - リフト装置等における車体フレーム構造 - Google Patents
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Description
【発明が属する技術分野】
本発明は、高齢者あるいは障害者等をベッド等から別の場所あるいは車椅子等への移動を目的とした床走行型リフト装置における車体フレーム構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
在宅または、病院・施設等で長い間寝たきりの高齢者あるいは、患者・療養者において、例えば高齢者が車椅子や、ベッド傍らに備え付けられている便器等に身体を移動させるときは、介護者の介助が必要となることが多い。このとき、介護者は、高齢者等をベッドサイドまで移動させ、高齢者の身体を支えながら車椅子等に乗り移らせたりしなければならなかった。その際、高齢者の状態によっては、高齢者を抱き抱えなければらず、多大な労力を強いられるとともに、介護者の腰を痛める恐れがあった。
【0003】
そこで、このようにベッド等からの離床が困難な方を持ち上げるためのリフト装置が種々提案されている。そのようなリフト装置として、例えば、固定型、移動型のものを挙げることができる。前者は、室内の壁面あるいは床面、さらには天井に固定設置するものであり、強度の面では問題ないが、一度設置してしまうとベッド等の設置場所も一義的に決まってしまい、設置の自由度がほとんど無くなってしまうものである。後者は、ベッドをどの位置に配置しても使用することができ、自由に移動して、車椅子等に移乗させることができるので、機動性の点で優れており、一般的に在宅介護等でも使用されている。
【0004】
しかしながら、後者のリフト装置において車輪を具備する車体フレームは通常走行状態においては可能な限り幅を狭く構成し、車椅子等への移乗時にはこの車体フレームの前後方向に向かう脚部の開放側端部がさらに開くように開脚させ、車椅子等を車体フレーム内に移動して使用するものが一般的である。この操作においては、通常レバーが用いられるがこのレバー操作自体が介助者にとっては煩わしい操作となっている。さらに、フレームの開閉時に吊り下げられた被介護者に揺れによる不安感を与えないために、レバー操作によって片手がふさがった状態で被介護者の保持しなければならず、操作上好ましいものとは言いがたいものであった。
【0005】
また、リフト装置を用いて移動させる被介護者の体重が後輪寄りにかかるために、この操作にかかる操作力が比較的重くなってしまい、女性あるいは高齢者が介護を行う際の問題点となっている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記問題点に鑑みなされたものであり、レバー操作をすることなく車体フレームの開閉が可能な車体フレーム構造を提供することを課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1のフレーム構造は、前輪及び後輪を具備し、平面視において後方側が開放された略コ字状に構成される床走行型のリフト装置における車体フレームにおいて、前記前輪が具備される基部フレームに、前記後輪が具備される左右一対のフレームパイプの前端部を枢着することにより、該フレームパイプが夫々水平回動自在となるよう構成し、さらに、一方のフレームパイプの水平回動に連動して他方のフレームパイプは反対方向に水平回動するよう構成するとともに、前記基部フレームとフレームパイプ間に弾性体を介在させ、左右のフレームパイプ後端部に配される後輪間隔を介在させ、左右のフレームパイプ後端部に配される後輪間隔を開いた状態、あるいは閉じた状態の何れか一方側に付勢させたことを特徴としている。
【0008】
請求項1の発明によれば、前輪が具備される基部フレームに左右のフレームパイプの前端部を枢着することにより、該フレームパイプが夫々水平回動自在に枢着されるとともに、一方のフレームパイプに連動して他方のフレームパイプは反対方向に水平回動するよう構成されている。さらに、弾性体によって後輪側が開いた状態、あるいは閉じた状態何れか一方側に付勢されるよう構成されている。そのため、このフレームパイプ後端部側、すなわち後輪側が開いた状態で走行しているとき、壁面等に接触することによって、自動的に両フレームパイプ間隔が狭くなり、廊下等での走行が可能となる。また、車椅子等から移乗を行う際には、片方のフレームパイプを車椅子の車体に接触させながら移動させることによって自動的にフレームが開く。このように、フレームパイプ間隔を適宜レバー操作することなく、開閉できるよう構成されている。さらに、弾性体によって付勢されているので、走行中に車輪の旋回動作にともなって、フレームパイプの開閉が起きないよう構成されている。したがって、一方側の操作時のみ壁面、車椅子等に接触させれば所望の後輪間隔を得ることができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
つぎに本発明に係る床走行型のリフト装置1における車体フレーム2の構造について説明する。
この車体フレーム2は、主として後述する支柱部3が立設される基部フレーム4と、この基部フレーム4に回動自在に枢着され左右対称状に形成されるフレームパイプ5,5及び前記基部フレーム4に取り付けられる前輪6,6と、夫々のフレームパイプ5,5に取り付けられる後輪7,7とからなる。
【0010】
まず、前記基部フレーム4は下面が開放した側面視において略コ字状に形成されたの基部プレート8の上面中央部に角パイプ9が立設するように固着され、その左右に補強プレート10,10が固着されている。さらに、該基部プレート8下面の左右両側端部近傍には前後向きで軸受プレート11,11が固着されており、該軸受プレート11には前後に夫々軸受孔11a,11bが穿たれ、後側の軸受孔11aの上部に位置する基部プレート8上面にも同様に軸受孔8aが穿たれている。また、該軸受プレート11,11と基部プレート8間には、前側軸受孔11b,11bと夫々同心となるよう中空の軸受ボス12,12が固着されている。なお、この軸受ボス12上部または基部プレート8には空孔部13aを備えたプレート13が固着されている。また、この基部プレート8前側左右端部には前輪取付部材14,14が固着されており、旋回自在な前輪6,6が軸着されている。
【0011】
次に、略左右対称状に構成されるフレームパイプ5,5について説明する。このフレームパイプ5は左右平面視において略L字状に形成されており、後端部には後輪取付部材15が固着され、前端部には回動軸受16が固着されるとともに、該回動軸受16にはクランク状に曲折した連動プレート17が固着されている。なお、前記後輪取付部材15には旋回自在な後輪7が軸着されている。
上記のように構成された対称状のフレームパイプ5,5は、上記基部フレーム4の基部プレート8及び軸受プレート11に穿たれた軸受孔8a,11a間に回動軸受16を挿通し、ピン18により回動自在に枢着されている。なお、上記左右の連動プレート17,17の一方側にはピン17aが固着されており、他方側には該ピン17aが摺動可能なスライド溝17bが設けられ、このピン17aがスライド溝17b内に挿通され、一方のフレームパイプ5の回動に連動して他方のフレームパイプ5も回動するよう構成されている。
【0012】
第3図は上記フレームパイプ5,5の連動機構の別の実施形態を示すものである。これは、回動軸受16に連動プレート17を夫々固着し、これら連動プレート17,17を連結プレート17cで連結したリンク構成によるものである。
なお、この連動機構は、上述した実施形態に限らず、歯車の噛合によるものであっても何ら問題はない。
【0013】
さらに、別の実施形態として、次のように構成することも可能である。上述のように基部フレーム4に左右のフレームパイプ5,5を回動自在に枢着するとともに、基部フレーム4とフレームパイプ5,5間にスプリング19,19を張設しており、通常フレームパイプ後端部が閉じた状態側、あるいは開いた状態側何れか一方側に付勢したものである。詳述すると、フレームパイプ5,5に固着の回動軸受16,16に掛止片20,20を固着し、該掛止片20,20と基部プレート8に夫々スプリング19,19端部を掛け止めしたものである。
このように構成した車体フレーム2は、スプリング19の弾性力によってフレームパイプ5,5後端部が開いた状態、あるいは閉じた状態何れか一方側に付勢されているので、走行中にフレームパイプ5,5後端部の意図しない開閉が防止できる。
【0014】
なお、21はブレーキ装置であって、以下のように構成されている。上記前輪6,6の上部には、該前輪6,6の車輪6a,6aに夫々接当可能なリング部材22a,22aをロット22bで連結してなる制動部材22が配される。詳述すると、この制動部材22には上記軸受プレート11,11下方に位置するようプレート22c,22cが固着され、該プレート22c,22cには夫々上記軸受ボス12,12に摺動可能な上下方向の規制ピン22d,22dが固着されており、さらにプレート13の空孔部13aと該制動部材22のプレート22cに穿たれた空孔部22e間にスプリング23を張設している。なお、このスプリングは通常使用においては前輪6,6が旋回及び転動自在な状態となるようにリング部材22a,22aが車輪6a,6aに接当しないよう上方へ付勢するものである。
そして、基部プレート8の前面中央部には取付孔8b,8bが穿たれており、この取付孔8b,8bにはネジ24,24を挿通し、取付プレート25を固定している。この取付プレート25は、側面視において下方が開放したコ字状に形成されたもので、前面には前記ネジ24,24が螺合可能な雌ねじ部25a,25aが設けられ、背面には空孔部25bが穿たれている。そして、この取付プレート25の空孔部25bにはペタル部26a,26aを両端部に備えたブレーキペタル26の略中間部に固着され、上記制動部材22を迂回するよう鉤型状に曲折された作動杆27が挿通され、該作動杆27には上記ロット22bに接当するブレーキカム28が止着される。
上述のように構成されたブレーキ装置21は、前記ブレーキペタル26の一方側のペタル部26a(第6図において右側)を踏み込むことによって、ブレーキカム28が第6図において時計回りに回動し、ロット22bをスプリング23,23に抗して下方に押し下げ、リング部材22a,22aが前輪6,6の車輪6a,6aに接当し、車輪6a,6aの回転及び旋回を拘束する構成である。さらに、ブレーキペタル26の他方側ペタル部26aを踏み込むことによって、ブレーキカム28が第6図において反時計回りに回動され、スプリング23の弾性力により、リング部材22a,22aが車輪6a,6aに接当しない上方へ移動する構成である。
【0015】
上記のように構成された車体フレーム2を使用したリフト装置1の一実施形態として、第7図乃至第11図に示すものが挙げられる。このリフト装置1は、前記車体フレーム2の角パイプ9に昇降機構(図示しない)を備えた支柱部3を立設している。該昇降機構は、内側マスト29上端部に止着された螺合体に螺軸を螺合させ、該螺軸上部を前記内側マスト29に摺動可能に外嵌された外側マスト30にブラケット31を介して取り付け、さらに螺軸上端部に操作ハンドル32が取り付けられてなる。すなわち、操作ハンドル32の正逆転により螺軸が螺合体に対して上方あるいは下方へ移動し、外側マスト30を上下に摺動させるものである。そして、該外側マスト30には取付金具33を介して、被介護者Mの膝部を迂回するクランク状のアーム34,34が回動自在に枢着され、さらに該アーム34,34後端部には被介護者Mの大腿部を保持する座部35,35が夫々軸承されている。また、上記取付金具33上方には背受シート36が係止されるフック37,37を備えたテスリ38が止着されている。
【0016】
このように構成されたリフト装置1においては、第7図及び第10図に示すようにアーム34,34を夫々上方に回動させることによって、平面視において後方側が開放した凹部空間S1が形成されるので、ベッドB上で端座位の姿勢をとった被介護者Mが該凹部空間S1内に入るようリフト装置1を後退させる。然る後、アーム34,34を内側下方へ回動させ、被介護者Mの大腿部下方へ座部35,35を挿し込み、背受シート36を挿着する。そして、昇降機構により被介護者Mを上昇させ、ベッドB上から所望の場所へ移動させるものである。
【0017】
このようなリフト装置1において、上述した車体フレーム2を備えることによって、室内走行あるいはベッドBのように下方に十分な空間がある場合には車体フレーム2を閉じた状態(後輪間隔が狭い状態)で使用し、車椅子のように一定間隔を有するものから移乗させる場合には前記車体フレーム2を開いた状態(後輪間隔が広い状態)で使用すればよい。前述の2つの状態の切替えは、片方のフレームパイプ5を足または車椅子に押し当てるようにしてリフト装置1自体をひねったり、介助者の足で開閉させるだけでよく、レバーによる操作を行わなくても良い。また、上述した別の実施形態にかかる車体フレーム2を具備したリフト装置1であれば、通常フレームパイプ5,5後端部が閉じた状態、あるいは開いた状態何れかに付勢されているので、走行中に車体フレーム2の幅が不意に開いたり、あるいは閉じたりすることがない。
【0018】
また、第12図は前記車体フレーム2を使用した別の形態のリフト装置1を示すものである。このリフト装置1は、上記車体フレーム2と、該車体フレーム2に立設した支柱部3と、この支柱部3に起伏可能に連結した被介護者M吊り上げ用の吊り上げ腕39と、この吊り上げ腕39先端に吊り上げ手段40と、吊り上げ手段40に掛けるようにしたシート部材(図示しない)とを有し、前記支柱部3と吊り上げ腕39間に伸縮駆動する電動アクチュエータ41を配して吊り上げ腕39を起伏駆動させる構成としたものである。
【0019】
前記支柱部3は車体フレーム2の前部に立設され、前記吊り上げ腕39と支柱部3とは、電動アクチュエータ41によって連結され、電動アクチュエータ41の起動により吊り上げ腕39全体が支柱部3の先端を中心として回動し、起伏する構成である。
【0020】
前記吊り上げ腕39先端には、中間部を回動可能に取り付けたハンガー形状の吊り上げ手段40が設けられている。この吊り上げ手段40には、ハンガー形状の両腕先端にフック部材40a,40aが設けられ、被介護者Mを吊り上げるためのシート部材を掛けるようにしている。このシート部材は、例えば合成繊維等の布製のもので、フック部材40a,40aにシート部材端部を掛けて被介護者Mを吊り上げる構成である。
【0021】
なお、前記電動アクチュエータ41は、周知の構成のもので、図示しないがモータによってねじ軸を回転させ、ねじ軸上において、伸縮軸を進退作動させることにより、前記吊り上げ腕39を起伏させ、吊り上げ手段40により被介護者MをベッドB等から持ち上げたり、降ろしたりする機能を有するものである。
【0022】
上記のリフト装置1においても、前述のリフト装置1と同様の効果があることは明確である。さらに、この種のリフト装置1では吊り下げられている為に、移動時などに被介護者Mが揺れないようサポートする必要がある。しかしながら、本発明にかかる車体フレーム2の構成によれば、車体フレーム2後端部を開閉する際にレバー操作が必要ないので、介助者はしっかりと被介護者Mを保持することが可能であり、被介護者Mに不安感を与えることがない。
【0023】
【発明の効果】
上記のような車体フレームを備えたリフト装置にあっては、自在に所望の場所に移動させることができ、車椅子、トイレ等にも移乗させることができる。さらに、従来のようなレバー操作をしなくても、フレームパイプ後端側が開閉可能であるので被介護者を十分保持しながらの操作が行え、非常に安全であり、至便である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る車体フレームを示す斜視図
【図2】その部分断平面図
【図3】別の実施形態を示す部分断平面図
【図4】別の実施形態を示す部分断平面図
【図5】車体フレームの要部断背面図
【図6】ブレーキ装置を示す要部断正面図
【図7】本発明に係る車体フレームを具備したリフト装置を示す側面図
【図8】その正面図
【図9】その平面図
【図10】そのアームを上方回動させたときの状態を示す平面図
【図11】移乗状態を示す状態説明図
【図12】別の実施形態を示すリフト装置の側面図
【符号の説明】
1 リフト装置
2 車体フレーム
3 支柱部
4 基部フレーム
5 フレームパイプ
6 前輪
7 後輪
16 回動軸受
17 連動プレート
19 スプリング
20 掛止片
21 ブレーキ装置
Claims (1)
- 前輪及び後輪を具備し、平面視において後方側が開放された略コ字状に構成される床走行型のリフト装置における車体フレームにおいて、前記前輪が具備される基部フレームに、前記後輪が具備される左右一対のフレームパイプの前端部を枢着することにより、該フレームパイプが夫々水平回動自在となるよう構成し、さらに、一方のフレームパイプの水平回動に連動して他方のフレームパイプは反対方向に水平回動するよう構成するとともに、前記基部フレームとフレームパイプ間に弾性体を介在させ、左右のフレームパイプ後端部に配される後輪間隔を開いた状態、あるいは閉じた状態の何れか一方側に付勢させたことを特徴とするリフト装置における車体フレーム構造。
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