JP4186457B2 - 磁場発生用磁心、およびこれを用いた電子写真装置 - Google Patents

磁場発生用磁心、およびこれを用いた電子写真装置 Download PDF

Info

Publication number
JP4186457B2
JP4186457B2 JP2001366402A JP2001366402A JP4186457B2 JP 4186457 B2 JP4186457 B2 JP 4186457B2 JP 2001366402 A JP2001366402 A JP 2001366402A JP 2001366402 A JP2001366402 A JP 2001366402A JP 4186457 B2 JP4186457 B2 JP 4186457B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
magnetic field
magnetic
rotator
heating
container
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2001366402A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2003115410A (ja
Inventor
康博 上原
貫示 岡
茂彦 長谷波
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Fujifilm Business Innovation Corp
Original Assignee
Fuji Xerox Co Ltd
Fujifilm Business Innovation Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Fuji Xerox Co Ltd, Fujifilm Business Innovation Corp filed Critical Fuji Xerox Co Ltd
Priority to JP2001366402A priority Critical patent/JP4186457B2/ja
Priority to TW091103568A priority patent/TWI285799B/zh
Priority to US10/083,549 priority patent/US6668151B2/en
Priority to CNB021065772A priority patent/CN1264071C/zh
Priority to KR10-2002-0010962A priority patent/KR100536814B1/ko
Publication of JP2003115410A publication Critical patent/JP2003115410A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4186457B2 publication Critical patent/JP4186457B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01FMAGNETS; INDUCTANCES; TRANSFORMERS; SELECTION OF MATERIALS FOR THEIR MAGNETIC PROPERTIES
    • H01F27/00Details of transformers or inductances, in general
    • H01F27/24Magnetic cores
    • H01F27/255Magnetic cores made from particles
    • GPHYSICS
    • G03PHOTOGRAPHY; CINEMATOGRAPHY; ANALOGOUS TECHNIQUES USING WAVES OTHER THAN OPTICAL WAVES; ELECTROGRAPHY; HOLOGRAPHY
    • G03GELECTROGRAPHY; ELECTROPHOTOGRAPHY; MAGNETOGRAPHY
    • G03G15/00Apparatus for electrographic processes using a charge pattern
    • G03G15/20Apparatus for electrographic processes using a charge pattern for fixing, e.g. by using heat
    • G03G15/2003Apparatus for electrographic processes using a charge pattern for fixing, e.g. by using heat using heat
    • G03G15/2014Apparatus for electrographic processes using a charge pattern for fixing, e.g. by using heat using heat using contact heat
    • G03G15/2053Structural details of heat elements, e.g. structure of roller or belt, eddy current, induction heating
    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01FMAGNETS; INDUCTANCES; TRANSFORMERS; SELECTION OF MATERIALS FOR THEIR MAGNETIC PROPERTIES
    • H01F27/00Details of transformers or inductances, in general
    • H01F27/34Special means for preventing or reducing unwanted electric or magnetic effects, e.g. no-load losses, reactive currents, harmonics, oscillations, leakage fields
    • H01F27/36Electric or magnetic shields or screens
    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01FMAGNETS; INDUCTANCES; TRANSFORMERS; SELECTION OF MATERIALS FOR THEIR MAGNETIC PROPERTIES
    • H01F27/00Details of transformers or inductances, in general
    • H01F27/34Special means for preventing or reducing unwanted electric or magnetic effects, e.g. no-load losses, reactive currents, harmonics, oscillations, leakage fields
    • H01F27/36Electric or magnetic shields or screens
    • H01F27/366Electric or magnetic shields or screens made of ferromagnetic material
    • HELECTRICITY
    • H05ELECTRIC TECHNIQUES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • H05BELECTRIC HEATING; ELECTRIC LIGHT SOURCES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR; CIRCUIT ARRANGEMENTS FOR ELECTRIC LIGHT SOURCES, IN GENERAL
    • H05B6/00Heating by electric, magnetic or electromagnetic fields
    • H05B6/02Induction heating
    • H05B6/10Induction heating apparatus, other than furnaces, for specific applications
    • H05B6/14Tools, e.g. nozzles, rollers, calenders
    • H05B6/145Heated rollers

Landscapes

  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Power Engineering (AREA)
  • Physics & Mathematics (AREA)
  • General Physics & Mathematics (AREA)
  • Electromagnetism (AREA)
  • Fixing For Electrophotography (AREA)
  • General Induction Heating (AREA)
  • Soft Magnetic Materials (AREA)
  • Regulation Of General Use Transformers (AREA)
  • Combination Of More Than One Step In Electrophotography (AREA)
  • Electrostatic Charge, Transfer And Separation In Electrography (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、磁場発生用磁心、およびこれを用いた電子写真装置に関し、特に、磁性体を設置して電磁気特性を生じせしめるコイル又はトランスなどのインダクタンス素子に用いて好適な磁場発生用磁心、およびこれを用いた電子写真装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
インダクタンス素子であるコイルやトランスは、インダクタンスを有する部品として、電子機器や電化製品の重要な部品の一つである。近年、携帯電話やPHS、携帯用のコンピュータ等の電子機器は高性能化・小型化・低コスト化される傾向にあり、それらに用いられる部品であるコイルやトランスにおいても、高性能化、小型化、そして低コスト化が要求されている。
【0003】
コイルやトランスの大きさや性能・コストの多くは、これらに用いられている磁心(コア)により決定される。磁心材料として、実効透磁率が大きいものを用いると、コイルやトランスの自己インダクタンスや相互インダクタンスを大きくすることができ、部品の小型化を実現することができる。また、コイルやトランスにおいて、インダクタンスのQ値で表されるような損失量は、コイルやトランスのエネルギー効率に直接関与するパラメータであり、Q値が大きいもの、すなわち、損失量が小さいものが良好な性能のものとされている。
【0004】
コイルやトランスの磁心材料としては、従来より、けい素鋼板やフェライト焼結体が用いられている。一般に、けい素鋼板のような金属材料は、導電性が大きいため変化する磁束中に定位させると、渦電流が生じて発熱する、所謂渦電流損失が生じる。このため、金属材料を磁心として用いるためには、金属材料を薄く形成したけい素鋼板を何枚も重ねた構造に磁心を形成することで渦電流損失を防いでいた。
【0005】
このような、けい素鋼板は、高周波数帯域において損失が増大する。このため、高周波数帯域では、けい素鋼板に代えて金属酸化物材料であるフェライト焼結体が用いられていた。
【0006】
しかしながら、フェライト焼結体は、所望の形状に加工することが容易ではなく、柔軟性にも乏しく高価であるといった欠点があった。そこで、フェライト粒子を樹脂中に分散させた複合材料を用いることが提案された。この複合材料は、柔軟性があり、損失も比較的小さい材料として提供できるが、透磁率が小さいために、磁心の材料としては満足のいくものではなかった。
【0007】
また、コイルやトランスの磁心は、複数の部分、例えば、E型コアとI型コアとを繋ぎ合わせて1つの磁心を形成している場合がある。この場合、ほんの僅かなギャップが存在しても、磁気回路は大きく切断されていることに匹敵する。これは、ギャップが存在することで、磁心の磁気特性を悪化させると共に、磁界の漏れが生じることで、不要電磁界漏洩の原因となっていた。コイル又はトランスが設備されている電気製品は多種多様であるが、最近では多種多様な電気製品を設計するときに、このような電気製品から漏洩する磁束による人体に対する影響を考慮する必要性が生じている。
【0008】
ところで、画像形成技術として、印刷速度が速く、印刷版をその都度用意する必要が無いことから簡便であり、種々の画像情報から直接画像を得ることができ、装置も比較的小型であり、フルカラー化も容易であること等、数多くのメリットを有することから、電子写真方式が広く普及している。
【0009】
電子写真方式を採用した画像形成装置(電子写真装置)は、一般的に、潜像担持体表面に静電潜像を形成し、帯電されたトナーを前記潜像担持体表面に接触させることで選択的にトナーを付着させてトナー画像を形成し、これを中間転写体を介してあるいは介さずに被記録媒体に転写して、次いで熱および/または圧力等により前記トナーを被記録媒体表面に定着せしめることで、画像を得るものである。
【0010】
かかる電子写真装置において、通常定着には、加熱ロールと加圧ロールとが当接してなる定着装置が用いられ、両者が当接して形成されるニップ部に未定着トナー画像が形成された被記録媒体を挿通することで、熱および圧力によりトナーを溶融し被記録媒体に永久画像として定着せしめている。加熱ロールおよび/または加圧ロールに代えて、エンドレスベルト状の加熱部材、加圧部材を用いることもある。加熱ロールは、内部にハロゲンランプ等の熱源を有する金属性のコアに、弾性層や離型層を設けてなるものであり、前記熱源により内部から加熱ロール表面を加熱するものである。
【0011】
定着装置においては、省エネルギーの観点や、画像形成装置の使用時にユーザーを待たせないようにする等の観点から、加熱ロール等の加熱部材を瞬時に加熱することができ、待ち時間(ウォームアップタイム)をできる限り少なくすることが望まれている。しかし、ハロゲンランプ等の熱源を内部に有する加熱ロールを採用した定着装置では、ハロゲンランプ自身の加熱にある程度時間を有すること、加熱ロールの内部から加熱することになるため表面に熱が伝わるまで時間がかかること、加熱ロールのコアとして、どうしてもある程度熱容量の大きなものを選択せざるを得ないため、全体を加熱するのに時間がかかること、等の理由からウォームアップタイムを短縮するのには、限界がある。また、熱源にハロゲンランプを使用すると、当該ハロゲンランプのON・OFF時に、通電電流が過渡的に流れる、いわゆるフリッカー現象が生ずるという問題点も有している。
【0012】
そこで、近年、定着装置において使用される加熱手段として、ハロゲンランプ等の熱源に代わり、電磁誘導加熱方式を利用したものが検討されている(特開2000−242108号公報等)。当該方式は、導電性層を有する加熱部材に、磁場発生手段によって発生させた磁界を作用させることで、電磁誘導作用により加熱部材の加熱を行う方式であり、前記フリッカーの問題が無く、加熱対象のみを瞬時に加熱することができるので、ウォームアップタイムの短縮を図ることができる。
【0013】
かかる電磁誘導加熱方式は、加熱部材として、加熱ロールや加圧ロール等ロール状のものでも、これらの何れかあるいは双方をエンドレスベルト状に代えたものの何れの部材にも適用することができる。ロール状のものの場合、定着に寄与する表面近傍のみ加熱すればよく、コアを加熱する必要がないため、省エネルギーを達成することができる。一方、エンドレスベルト状のものの場合、厚みが薄いため熱容量も小さく、より一層高い次元での省エネルギー化を達成することができる。
【0014】
電子写真装置においては、以上説明したような、潜像担持体や中間転写体から未定着トナー画像が転写された被記録媒体を、別途定着装置により定着せしめる方式(以下、単に「転写定着独立方式」という場合がある。)の他、中間転写体に形成された未定着トナー画像を加熱させつつ被記録媒体に当接させ、圧力を加えることで、転写と定着とを同時に行う転写定着同時方式がある(特開昭49−78559号公報等)。当該方式においても、転写定着独立方式と同様の理由から、転写定着に際し、電磁誘導加熱方式を採用することが提案されている(特開平8−76620号公報、特開2000−188177号公報、特開2000−268952号公報等)。
【0015】
以上のように、電子写真装置において、電磁誘導加熱方式の採用が検討されているが、当該方式においては、加熱のための主要構成として磁場発生手段が含まれる。したがって、かかる電子写真装置における磁場発生手段においても勿論、渦電流損失を抑制することにより、低コストでより一層の省エネルギー化を達成することが望まれている。また、近年、電子写真装置の小型化が進んでおり、定着あるいは転写定着に電磁誘導加熱方式を採用した電子写真装置においては、磁心の形状の自由度を高め、装置の設計に当たっての自由度を拡張すること、さらには、一層の小型化を図ることが望まれている。
【0016】
さらに、電子写真装置は、オフィス等に設置されるものであるため、近接されて設置される各種機器に影響を与えないようにするため、また、人体への磁場の影響も近年叫ばれていることから、磁場発生手段からの磁場の漏洩を防ぐことが望まれていた。そのため、磁場発生手段の周辺に設ける磁場遮蔽部材として、磁場発生手段からの磁場をより一層効果的に遮蔽し得るものを採用することが望まれる。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記事実を考慮して、コイルやトランスに設置することにより、低コストでかつ容易に、インダクタンスを設定することができる磁場発生用磁心を提供することを目的とする。
【0018】
また、本発明の他の目的は、定着あるいは転写定着に電磁誘導加熱方式を採用した電子写真装置において、磁場発生手段に渦電流損失が抑制され、かつ、形状の自由度が高い磁心を用いることで、低コストでより一層の省エネルギー化を達成し得ると共に、装置の設計に当たっての自由度を拡張し得る、さらには、一層の小型化を図り得る電子写真装置を提供することを目的とする。
さらに、本発明の他の目的は、定着あるいは転写定着に電磁誘導加熱方式を採用した電子写真装置において、磁場発生手段からの磁場の漏洩を効果的に遮蔽し得る電子写真装置を提供することを目的とする。
【0019】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本発明は、コイル又はトランスなどのインダクタンス素子を構成する磁心やインダクタンス素子に作用する磁性材料の一部に、磁性体の粒子(磁性粒子)の集合体を用いて、コイル又はトランスの電磁気特性の改善および電磁界漏洩の抑制を実現するものである。
【0020】
詳細には、本発明の磁場発生用磁心(以下、「磁心」と称する場合がある)は、電子写真装置で用いられる磁心であって、発生磁場の電磁気特性に作用する磁気材料として、磁性粒子の集合体からなり、かつ、該磁性粒子の粒子状態が維持されたまま、導電材料が周囲に螺旋状に巻きかけうる容器に充填されて構成され、導電材料により構成されうる螺旋体の軸方向に、前記容器内部の空間の断面積が変化を有することにより、前記磁性粒子の量の分布が調整されることを特徴とする。
【0021】
磁心を構成する磁性材料として、磁性粒子の集合体からなり、かつ、該磁性粒子の粒子状態が維持されたまま容器に充填されて構成されることによって、容器の形状を適宜選択することのみで、磁心の形状を自由に設定でき、容易に所望する形状の磁心を製造することができる。
【0022】
また、本発明の磁心は、磁心材料に磁性粒子を採用し、かつ磁性材料が粒子状態のまま維持されているので、磁心に渦電流が生じることを解消することができる。このため、渦電流により発熱する損失を解消することができる。
【0023】
磁性粒子の粒子状態を維持するにあたっては、用いる磁性粒子の集合体全体としての形状を維持することが好ましい。このため、容器を用いてその容器に磁性粒子を充填することで、粒子状態を維持しつつ用いる磁性粒子の集合体全体としての形状を維持することができる。また本発明の磁心は、磁性粒子の量の分布が、容器内部の形状により調整されることが好ましい。
【0024】
前記磁場発生手段は、コイルまたはトランスなどのインダクタンス素子を採用することができる。磁場を発生せしめる素子には、コイルまたはトランスなどのインダクタンス素子が多く、磁心を自由な形状に設定することにより、このインダクタンス素子の形状を自由に設計することが可能となる。
【0025】
前記磁性粒子は、鉄粉、フェライト粉末、およびマグネタイト粉末の少なくとも1つの粉末で構成することができる。
磁性粒子は、粒子状態を維持できればよく、その種類に限定されない。鉄粉、フェライト粉末、およびマグネタイト粉末の少なくとも1つの粉末、すなわち、単一の磁性粒子や複数の磁性粒子の組み合わせによる磁性粒子を採用すれば、磁性粒子としての特性を自在に設定することができる。
【0026】
また、前記容器は、前記磁性粒子に作用する電磁気によって生じる温度特性に応じた形状を採用することができる。また容器は、形状が円筒状であり、かつ、前期容器の内径が軸方向に勾配を有することが好ましい。
【0027】
磁性材料は、その磁性材料を通過する電磁気によって生じる熱を利用する場合がある。例えば、画像形成装置における定着装置などの熱エネルギー源に利用される場合がある。この場合、生じる熱の特性すなわち温度特性を有する場合には、その温度特性に見合った特性の磁心を形成することが好ましい。そこで、磁性粒子の形状を、生じる温度特性に応じた形状とすることで、発生する温度を考慮した磁心を形成することが可能となる。
【0028】
前記容器としては、非磁性材料からなるものとすることができる。非磁性材料からなる容器を採用することで、当該容器は電磁気特性に影響を与えず、充填される磁性粒子の集合体や必要に応じて収納される調整素子の特性を最適化することで所望の磁心を得ることができる。
【0029】
前記容器には、前記磁性粒子の出し入れが可能で、かつ、密封可能な蓋が設けられていることが好ましい。
前記容器に、前記磁性粒子の出し入れが可能で、かつ、密封可能な蓋が設けられることで、前記磁性粒子あるいは前記容器が使用により劣化した場合に、これらを別々に交換することができ、リサイクル性に優れたものとなる。
【0030】
前記容器には、前記磁性粒子とともに、該磁性粒子の充填量を調整するための調整素子を収納することができる。
磁性粒子は、粒子状態であるため、形状変更が容易である。容器に収容するために用いる量によっては、余剰空間が生じる場合がある。この余剰空間に見合う容量の調整素子を収納すれば、一定した容量の容器を用いて、収容する磁性粒子の量を調整することができる。また、調整素子の形状を変更することで、容器内における磁性粒子の分布を適宜制御することが可能となる。さらに調整素子は、形状が回転対称形状であり、かつ、調整素子の直径が軸方向で変化してなることが好ましい。
【0031】
このとき、前記調整素子は、固形状態の磁性体でも構成することができる。また、固形状態で、かつ非磁性材料からなるものであっても構成することができる。
【0032】
磁心として、磁性粒子のみを用いて構成することも可能であるが、予め定められた特性の固形状態の磁性体が存在するとき、その磁性体に対して調整するために本発明における磁性粒子を用いることも可能である。
【0037】
一方、本発明の磁心は、定着あるいは転写定着に電磁誘導加熱方式を採用した電子写真装置に、好適に使用することができる。採用に好適な電子写真装置の具体的な構成は、以下に示す(1)および(2)の態様である。
【0038】
▲1▼ 被記録媒体表面に、電子写真方式により未定着トナー画像を形成する画像形成手段と、定着用回転体、および、該定着用回転体に当接してニップ部を形成する加圧用回転体からなり、未定着トナー画像が形成された面が定着用回転体に接するように前記被記録媒体を前記ニップ部に挿通することで、該被記録媒体表面にトナー画像を定着する定着手段と、を含む電子写真装置であって、
前記定着用回転体および/または加圧用回転体における周面近傍に、導電性層が形成されており、該導電性層が形成された前記定着用回転体および/または加圧用回転体に近接して磁場発生手段が配されてなる電子写真装置。
【0039】
この場合には、前記磁場発生手段において、本発明の磁心を好適に使用することができる。また、前記磁場発生手段から発生する磁場のうち、前記導電性層に影響を与えない漏洩磁場の少なくとも一部を遮蔽するために、磁場遮蔽部材を、前記磁場発生手段の周辺に設けることも好ましい
前記定着用回転体および加圧用回転体としては、ロール状、エンドレスベルト状から任意に選ばれる何れの組合せであってもよい。
【0040】
▲2▼ 像担持回転体と、該像担持回転体の周面に、電子写真方式により未定着トナー画像を形成する画像形成手段と、該加熱部材に前記像担持回転体を介して対向配置され、前記像担持回転体との間にニップ部を形成する加圧部材と、からなり、さらに必要に応じて、前記像担持回転体に周内で当接し、該像担持回転体を加熱する加熱部材を有し、前記ニップ部に被記録媒体を挿通させて、熱および圧力により前記被記録媒体表面にトナー画像を転写定着する電子写真装置であって、前記像担持回転体における周面近傍に、および/または、前記加熱部材における前記中間転写回転体との当接部近傍に、導電性層が形成されており、
前記像担持回転体に導電性層が形成されている場合には、該像担持回転体の前記ニップ部乃至その上流であって、該像担持回転体に近接して、前記加熱部材に導電性層が形成されている場合には、該加熱部材に近接して、磁場発生手段が配されてなる電子写真装置。
【0041】
この場合にも、前記磁場発生手段において、本発明の磁心を好適に使用することができる。また、前記磁場発生手段から発生する磁場のうち、前記導電性層に影響を与えない漏洩磁場の少なくとも一部を遮蔽するために、磁場遮蔽部材を、前記磁場発生手段の周辺に設けることも好ましい
前記像担持回転体としては、ロール状およびエンドレスベルト状の何れであってもよい。
【0042】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施形態の一例を詳細に説明する。
【0043】
〔第1の実施形態〕
まず、容易かつ低コストでインダクタンス素子に利用可能で透磁率を調整することが可能な本発明の磁心に関する第1の実施形態について説明する。
【0044】
図1に示すように、参考例の磁心10は、円筒状の容器12と、磁性粒子14の集合体とから構成される。磁性粒子14の集合体は、粒子状態を維持したまま、容器12内に充填される。容器12は、プラスチックなどの非磁性材料で構成され、その周囲にコイルなどの導電材料を巻き掛けることにより、インダクタンス素子を構成可能である。容器12と磁性粒子14の集合体とから構成される磁心10は、容器12の外部へ磁性粒子14が流出しないように、磁性粒子14の出し入れが可能で、かつ、密封可能な蓋18で密封されている。容器12に、磁性粒子14の出し入れが可能で、かつ、密封可能な蓋18が設けられることで、磁性粒子14あるいは容器12が使用により劣化した場合に、これらを別々に交換することができ、さらに、これが用いられる装置自体を廃棄する際に、磁性粒子14および容器14を別々に取り出すこともでき、リサイクル性に優れたものとなる。蓋18の密封手段は、特に限定されず、単なる嵌合、ねじ込みから、特別な結合手段まであらゆる方式を採用することができる。また、蓋は、容器における端部以外の箇所に設けられてもよく、容器の形状に応じて適宜選択すればよい。
なお、蓋18による密封は、容器12の少なくとも一方で可能である。容器12の一方のみに蓋を設ける場合には、他方側を貫通しないように容器12を形成する。
【0045】
また、容器12の内部へ磁性粒子14を収容する場合、容器12の容積に満たない場合がある。この場合、容器12内部の磁性粒子14の均一性を確保するために、容器12内部に生じた空間16に非磁性材料を調整素子として収容することができる。この空間16に収容する非磁性材料は、磁性粒子14が容器12内部でその流動を阻止するためのものであり、微細構造を要求するものではない。
【0046】
このように、インダクタンス素子の磁心として必要とする透磁率に見合った量だけ、磁性粒子14を容器12内部へ収容することで、必要とする透磁率のインダクタンス素子を形成し得る磁心を製造することができる。すなわち必要とする透磁率を得るための磁心として磁性粒子を用いるので、さまざまな形状に容易に成型することができ、また、容易に製造できる。
【0047】
また、インダクタンス素子として製品に付加する場合、容器だけを用意しておいて、その容器のみを設置して組み立て、最終的に磁性粒子を充填するようにしてもよい。このようにすることで、インダクタンス素子の形成を製品の製造時に行うことができ、設計値の調整などを容易に実施することができる。
【0048】
さらに、磁心材料として、けい素鋼板やフェライト焼結体などの金属材料を用いた場合、導電性が大きいために渦電流が生じて発熱する損失(所謂渦電流損失)が生じる。このため、金属材料を薄く形成して何枚も重層構造に成型するなどの回避策が必要であったが、磁心材料に磁性粒子を採用し、かつ磁性材料が粒子状態のまま維持されているので、磁心に渦電流が生じることを解消することができる。このため、渦電流により発熱する損失を解消することができる。このように、磁性粒子を用いた磁心材料を利用することで、高周波数帯域における損失を減少させることができる。
【0049】
ここで、本発明において特徴的な要素である磁性粒子について説明する。
磁性粒子には、微細な粉末のほか、ある程度の粒径を有する粒状物が含まれる。すなわち、その粒径としては、ごく微細なものから、一般に粒子としては大きな径に含まれる鉄くずの如きものまで、広く選択することができる。具体的には、0.1μm〜1mm程度の広い範囲の粒径の粒子の中から、任意に選択することができる。ただし、入手容易性、流動性、取り扱い性等の観点から、粒径の下限としては、1μm以上が好ましく、5μm以上がより好ましい。同様に粒径の上限としては、500μm以下が好ましく、200μm以下がより好ましい。
【0050】
粒子の形状としては、特に制限されずあらゆる形状のものを選択することができ、たとえば球形、針状、塊状、偏平状、ポーラス状、不定形等、あるいはこれらの形状が混在したものを挙げることができる。なかでも、球形のものが、入手性、流動性の観点から好ましい。
前記磁性粒子としては、具体的には、鉄粉、フェライト粉末、およびマグネタイト粉末を好適なものとして挙げることができ、これらは1種単独で用いてもよいが、複数混合して用いてもよい。
【0051】
例えば、磁性粒子としては、産業用として利用されているものを使用することができる。具体的には、例えば、パウダーテック社から製品化されている電子写真用の鉄粉キャリアやフェライトキャリアが好適である。鉄粉キャリアとしては、還元鉄粉、アトマイズ鉄粉、切削くず等あるいはそれを粉砕して粒度調整した鉄粉、もしくはその表面が極く薄い鉄の酸化被膜で被覆された酸化被膜鉄粉を用いたものが挙げられる。電気抵抗を調節するため、これら鉄粉の表面に各種樹脂をコーティングした樹脂被覆鉄粉も知られている。フェライトキャリアとしては、MOa・M’Ob(Fe23)x(ここでM、M’は金属元素、a,b,xは整数を示す)で代表されるソフトフェライト、例えばNi−Znフェライト、Mn−ZnフェライトあるいはCu−Znフェライト等の粉状フェライト等が挙げられる。
【0052】
他の磁性粒子としては、粉末冶金用鉄粉、ショット用鉄粉、脱酸素剤用鉄粉、カイロ用鉄粉、化学還元用鉄粉、溶接棒用鉄粉、粉末切断用鉄粉、脱酸素剤、その他ゴムやプラスチックスに充填する鉄粉などが挙げられる。
【0053】
本発明において、磁性粒子は、集合体の状態で、かつその粒子状態が維持されたまま容器に充填されて構成される。該磁性粒子の集合体としてのかさ密度は、およそ1.0〜6.0g/cm3であり、1.5〜5.0g/cm3程度であることが好ましい。
【0054】
ここで、「粒子状態が維持」とは、磁性粒子個々が粒子として物理的に独立した状態であることを意味し、加熱等により融合して個々の粒子状態が消失してしまったような状態は、含まない。ただし、容器に圧縮して充填された場合や、圧縮によりあるいは経時により粒子同士が結合して塊を成している場合等、粒子としての流動性が単に失われた状態であっても、粒子個々の物理的な性質は維持されており、このような状態は「粒子状態が維持」の概念に含まれる。
【0055】
本発明における磁性粒子は、磁心の材料とするために、以下の磁気的性質および電気的性質のものを選択することが望ましい。
<磁気的性質>
・飽和磁化は10〜500emu/g
・残留磁化は15emu/g以下
・保磁力は500e以下
・比透磁率は2〜100
<電気的性質>
・電気抵抗は108Ωcm以上(250ボルト印加時)
【0056】
これらの仕様の磁性粒子を用いて磁心を構成することで、例えば、インダクタンス素子として、コイル又はトランスを構成する磁心の一部に設置して、その磁気的、電気的特性を狙いの範囲に調整することが可能である。
【0057】
本実施形態において、容器12の形状としては、円筒形状であるが、本発明においてはこれに限定されるものではなく、目的に応じて各種形状を選択することができる。例えば、楕円筒形、直方体形、三角柱形や六角柱形等の多角形柱形、円錐形、載頭円錐形、角錐形、載頭角錐形、その他任意の形状を、使用条件、設置場所、求める磁気特性等に応じて、適宜選択することができる。後述のように、前記磁性粒子に作用する電磁気によって生じる温度特性に応じた形状を採用することもできる。
【0058】
ここで、図2を参照して、上記磁性粒子14を磁心に用いる場合に、容器12の形状などにより磁性粒子14の収容量を調整する態様を説明する。なお、図2のうち、図2(C)が本実施形態の磁心である。
【0059】
図2(A)には、図1に示した円筒状の容器12内に、磁性粒子14を収容した一例を示した。図2(B)には、図1に示した円筒状の容器12の径を調整することにより、磁性粒子14の収容量を調整可能にした一例を示した。図2(B)の例では、容器20は、磁心10を用いる設置部分のスペースなどから容器12の外径raが設定される。この外径raに対して小さい内径rbを変更することで、磁心10に収容する磁性粒子14の量を調整することができる。
【0060】
図2(C)には、磁心10に収容する磁性粒子14の量を、磁心10の軸方向に勾配を有させる場合の一例を示した。この図では、内径が同一の容器12と異なり、一方の内径rcに対して他方の内径rdを異なる直径(rc<rd)の容器22を用いている。このようにすることで、磁心10の軸方向に沿って、図面状左から右に徐々に磁性粒子14が増量する構成となる。この容器12の内径の勾配は、線形的であってもよいし、非線形的であってもよい。例えば、構造的に磁性粒子14を一定量必要とする箇所で内径を維持したり、階段状に形成したり、容器12の両側をほぼ同一の内径にして、容器12内部で変化させたりすることができる。
【0061】
図2(D)には、容器12内部に、固形状態の磁性体、または、固形状態で、かつ非磁性材料からなる調整素子24を設置し、調整素子24の大きさによって磁性粒子14の収容量を調整可能にしたものである。図2(D)の例では、円筒形状をしており、容器12の内径reに比して小さい外形rfの調整素子24を用いている。この例では、容器12を同一形状のものを使用し、調整素子24の直径rfを変更することで、磁心10として外形を同一にしつつ異なる収容量の磁性材料を収容することができる。
【0062】
ここで「固形状態」とは、固体状態で一定の形状を保持し、一定の体積を占める塊の状態をいい、液状や粒子状のように流動性を有し、全体として形状保持性を有しないものは含まない。
なお、調整素子24の材料として、非磁性材料を用いることにより、磁性粒子14の収容量を調整できるという物理的作用を生ぜしめることができる。また、一定形状のフェライトコアやソフトフェライトなどの固形状態の磁性材料を用いることにより、固形状態の磁性材料の電磁気的性質の作用を、本発明における磁性粒子の充填量調整によって調節することが可能となる。
【0063】
また、本発明においては、この磁性粒子14の量の分布を、容器の形状により調整すること、例えば、容器の形状として、既述の如く容器の肉厚を変更することにより適切に調整することで、前記磁性粒子に作用する電磁気によって生じる温度特性に応じた形状とすることもできる。容器自体の形状を前記磁性粒子に作用する電磁気によって生じる温度特性に応じて変更することによっても、発生する温度を考慮した磁心を形成することが可能となる。
【0064】
次に、上記磁性粒子充填量による電磁気的性質の作用を説明する。ここでは、図1に示す磁心10を用い、磁性粒子14として球形で体積平均粒径75μm(分布として40〜105μm)のものを用いた場合を例に挙げて説明する。なお、容器12には、材質がポリフェニレンサルファイドで内径14mm、外径17mm、全長350mmの円筒状のものを用いた。
【0065】
図3および図4は、磁性粒子14の充填量を変更した場合の電磁気的性質の特性値の変化を示す実験結果である。ここでは、図1に示す磁心10をコイルコアとして、このコイルコアにコイルを巻き掛け(導線の材質:銅、太さ:2.5mm、巻回数:125回)、インダクタンス素子を構成する。そして、コイルに所定周波数(本実施形態では、25,30,35kHzの3種類の周波数)で、信号を印加したときの各特性値を得た。なお、磁性粒子14の集合体の全質量としては、48.4g,77.8g,166.3gの3種類について計測した。磁性粒子14は、容器12の内部に充填した際空間16が生じる場合には、該容器12における軸方向に均した状態で配置して各特性を測定した。
【0066】
図3(A)は磁性粒子14の充填量に対するインダクタンス(μH)変動を示し、図3(B)は磁性粒子14の充填量に対するインピーダンスZ(Ω)を示している。図4(A)はコイル抵抗成分R(Ω)を示し、図4(B)は回路の位相角θ(cosθは力率)を示している。
【0067】
図3(A)に示すように、インダクタンス素子のインダクタンス(μH)変動は、ここで印加した信号周波数間ではほぼ周波数の影響はなく(図3(A)において、各印加周波数ごとの直線およびプロットは重なっている)、磁性粒子14の収容量の増加に伴ってインダクタンスも増加する傾向にある。なお、印加する信号周波数とインダクタンスとの関係の詳細については後述する。
【0068】
図3(B)に示すように、磁性粒子14の充填量に対するインピーダンスZ(Ω)は、磁性粒子14の充填量の増加に伴って増加する傾向にある。また、このインピーダンス特性は、印加した信号周波数に依存している。すなわち、インピーダンスZ(Ω)は、印加した信号周波数が増加するに伴って増加傾向にあり、25kHzの周波数印加で特性Za、30kHzの周波数印加で特性Zb、35kHzの周波数印加で特性Zcとなっている。
【0069】
図4(A)に示すように、磁性粒子14の充填量に対するコイル抵抗成分R(Ω)は、ここで印加した信号周波数間ではほぼ平坦な特性傾向または微少増加傾向にある。このことから、コイル抵抗成分は磁性粒子14の充填量に対する依存性が低いことが理解される。
【0070】
図4(B)に示すように、磁性粒子14の充填量に対する回路の位相角θ(cosθは力率)は、ここで印加した信号周波数間ではほぼ周波数の影響はなく、磁性粒子14の充填量の増加に伴って位相角θが微量増加の傾向にある。
【0071】
次に、磁性粒子14の充填量による電磁気的性質の特性値の変化を顕在化させるため、上記インダクタンス素子として、コイルコア(磁心)を有する場合と有さない場合との双方について、印加する信号周波数とインダクタンスとの関係を求めた。図5に、その実験結果を示した。図5においては、コイルに所定周波数(本実施形態では、1,15,25,50,100kHzの6種類の周波数)の信号を印加したときのインダクタンスを求め、最小自乗法などで補完した特性が示されている。また、図5では、コイルコア(磁心)を有する場合の特性Lbと、コイルコア(磁心)を有しない場合の特性Laとを示した。
【0072】
図5から理解されるように、特性La、Lb共に、印加する信号周波数の増加に伴ってインダクタンスは減少する傾向にある。コイルコアを有しないときの特性Laはインダクタンスが微減傾向にあるが、コイルコアを有するときの特性Lbは特性Laに比べてインダクタンスの変動傾向が顕著に現れる。
【0073】
上記説明した磁心を有するインダクタンス素子の一例であるコイルやトランスを適用できる機器には、電磁コイルを使用している機器、高周波回路又はインバーター回路を利用した機器、モータ機器などの電気機器がある。
【0074】
例えば、電磁コイルを使用している機器の一例には、テレビ、ビデオデッキ、電動シェーバー、電動歯ブラシ、洗浄便座、冷蔵庫、ファクシミリ、ハンドミキサー、換気扇、電動ミシン、電動鉛筆削り器、CDプレイヤー、洗濯機、乾燥機、扇風機、ジューサーミキサー、ルームエアコン、空気洗浄機、電子写真複写機、ファックス機、自動販売機、電磁バルブ等がある。
【0075】
また、高周波回路又はインバーター回路を利用した機器の一例には、電磁調理器、電子レンジ、PHS、ポケットベル、携帯電話、コードレス電話、デスクトップ型パーソナルコンピュータ、ノートブック型パーソナルコンピュータ、ワードプロセッサー、ゲーム機、加湿器、蛍光灯、アンプやチューナー等のオーディオ機器等がある。
【0076】
また、モータには、サーボモーター、パルスモーターやステッピングモーターがあり、これらのモータを有する機器の一例には、腕時計、置き時計、掛け時計、ストップウォッチ等のクオーツ発振式時計、ペースメーカー、カメラ、ビデオデッキ、ビデオカメラ、MD、CD、CD−R、CD−RW、FD、PDおよびMO等の回転型記憶媒体を扱う機器、定量ポンプ等がある。
【0077】
さらに、その他の電気機器の一例としては、電子機器用ACアダプター、レーザー型、熱転写型およびドットインパクト型プリンター、ブラウン管型、液晶型およびプラズマ型ディスプレイ、GPSナビゲーション機器、磁気検出センサー、補聴器、充電装置等がある。
【0078】
本実施形態において、磁性粒子の集合体は、磁性粒子が粒子状であるため、体積や形状を自由に変えることが可能であり、必要とされる大きさ、形状に容易に形成することができる。従って、磁性粒子を、コイル又はトランスを構成する磁心の一部に用いることで、インダクタンス素子を用いた回路設計の自由度が増加する。
【0079】
このように、本実施形態では、磁性粒子を用いることにより、さまざまな形状に容易に成型することができ、コイルやトランスの磁心の一部に設置するだけで、コイルやトランスのインダクタンスを広範囲にわたって自由に設計することができ、さらに、磁性粒子自体が適度な電気抵抗を有しているので、高周波帯域においても、所謂誘導加熱による自己発熱の問題も極めて少なく、よって高周波数帯域においても損失が少なく、実効透磁率を高めることができる。
【0080】
参考例1
次に、容易かつ低コストで電磁界漏洩を抑制する機能を発現し得る磁場遮蔽部材に関する参考例について説明する。
【0081】
上記第1の実施形態では、コイル又はトランスなどのインダクタンス素子を構成する磁心の一部に磁性粒子の集合体を用いて設置して、コイル又はトランスの電磁気特性を改善する例を説明したが、磁性粒子の集合体を、電磁界漏洩を抑制する機能を発現するものとして利用することも可能である。例えば、磁心を有するコイルやトランスにのみならず、巻線のみによる空心のコイル又はトランス、さらには永久磁石等の磁場発生手段の周囲に、電磁界漏洩を遮蔽する磁場遮蔽部材として、同様に磁性粒子の集合体を利用することが可能である。
【0082】
インダクタンス素子等の磁場発生手段は、電磁界漏洩を伴うことがある。しかし、インダクタンス素子を設置する部位には、余剰空間が少ない場合や形状的に自由度が少ない場合がある。そこで、この電磁界漏洩を遮蔽する磁場遮蔽部材として、磁性粒子の集合体を用いることで、体積や形状を適宜調節することが可能な自由度の高い磁場遮蔽部材とすることができる。
【0083】
例えば、磁心と巻線で構成されたコイル又はトランスを組み立てたときに、電磁界漏洩を遮蔽するために、予め電磁界漏洩を遮蔽する部分に磁性粒子を保持できる空間(容器)を用意しておき、そこに必要量の磁性粒子を充填することにより磁場遮蔽部材を形成して、電磁界漏洩を遮蔽することが可能になる。
【0084】
図6は、本参考例に係る磁場遮蔽部材を磁場発生手段の周辺に設けた状態を示す模式断面図である。図6において、100は磁場遮蔽部材であり、磁場発生手段92より発生する漏洩磁場96を遮蔽する機能を有するものである。ここで磁場発生手段92としては、コイルやトランス等のインダクタンス素子の他、永久磁石等が挙げられ、さらにこれらを内蔵する各種電気・電子機器が全て包含される。磁場発生手段92においては、それ自身の機能を発現する為に、磁場の形成が勿論必要なのであるが、装置設計上、その機能の発現に影響を与えない箇所にも磁場が漏洩しやすい。そのような漏洩磁場96を遮蔽する機能を発現するものが、本参考例の磁場遮蔽部材100である。
【0085】
磁場遮蔽部材100は、薄板曲面状で内部に磁性粒子を収容し得る容器90と、該容器90に充填された磁性粒子14の集合体とから構成される。磁場遮蔽部材100の磁場発生手段92と対向する面は、磁場発生手段92を取り囲むような曲面状を成しており、磁場発生手段92から生ずる漏洩磁場96を有効に遮蔽することができるようになっている。勿論本参考例においては、磁場遮蔽部材100の形状、すなわち容器90の形状は、このように曲面状のものには限定されず、平板状、箱型、舟形、コの字型、山形、ドーム状、屋根型等、さらに、これらを組み合わせた形状等、あらゆる形状のものを、漏洩磁場の漏洩の仕方、装置の余剰空間、磁場発生手段の形状等を考慮して適宜選択することができる。
【0086】
第1の実施形態と同様、容器90には、磁性粒子14の出し入れが可能で、かつ、密封可能な蓋(不図示)が設けられることが好ましい。かかる蓋を設けることで、磁性粒子14あるいは容器90が使用により劣化した場合に、これらを別々に交換することができ、さらに、これが用いられる装置自体を廃棄する際に、磁性粒子14および容器90を別々に取り出すこともでき、リサイクル性に優れたものとなる。蓋の密封手段は、特に限定されず、単なる嵌合、ねじ込みから、特別な結合手段まであらゆる方式を採用することができる。蓋の設けられる箇所は、容器の形状に応じて適宜選択すればよい。
【0087】
本参考例において使用できる磁性粒子の種類、性状(形状、かさ密度、磁気的性質、電気的性質)については、第1の実施形態において説明したものと同様である。充填されて成形される磁性粒子の集合体の厚みは、漏洩磁場の強度により適宜調整すればよい。
【0088】
本参考例によれば、電磁界漏洩を効果的に抑制ないし遮蔽することができ、装置全体としての小型化を損なうことなく、容易かつ安価に性能向上を図ることができる。更に、本参考例の磁場遮蔽部材を用いた磁束漏洩の抑制の方法は、各種の電気機器に適用することにより、容易かつ安価に、漏洩磁束密度を減少させることができる。
【0089】
〔第の実施形態〕
次に、本発明の磁心を用いたインダクタンス素子を、電気機器として電子写真装置に適用した場合を説明する。本実施形態では、特に、電子写真装置における定着装置に本発明の磁心を適用した場合について説明する。なお、本実施形態は、上記実施形態とほぼ同様の構成のため、同一部分には同一符号を付して詳細な説明を省略する。
【0090】
一般的に電子写真装置は、被記録媒体表面に、電子写真方式により未定着トナー画像を形成する画像形成手段と、未定着トナー画像が形成された前記被記録媒体表面にトナー画像を定着する定着手段と、を含む。
従来から、複写機、プリンタ等における加熱定着型の記録装置には、トナーに代表される被定着材を被記録材料に加熱定着させるための定着手段に定着装置が用いられている。定着装置の加熱方式として、ハロゲンランプ等のランプで加熱するランプ方式と、交番磁界を磁性導体に鎖交させて渦電流を発生させることで加熱する電磁誘導加熱方式とがある。
【0091】
電磁誘導加熱方式の定着装置は、渦電流により発生するジュール熱を利用することにより熱ロール等の被加熱材を直接加熱することができるため、ランプ方式に比べて高効率の加熱を実現できる利点がある。
【0092】
本実施形態においては、この電磁誘導加熱方式の定着装置を定着手段に用いた例を示す。また、本実施形態においては、定着装置として、定着用回転体および加圧用回転体の双方にロール状の部材を用いた、いわゆるロール−ロールニップ型の定着装置を適用した例を挙げている。なお、定着装置以外の構成は、本発明において特に限定されないため、本例においては、電磁誘導加熱方式の定着装置30についてのみ、図7を参照して説明する。
【0093】
図7には、本実施形態に係る定着装置30の概略構成図を示した。定着装置30は、磁性金属(例えば、鉄)で形成された加熱ロール(定着用回転体)32の内部に、この加熱ロール32に対して熱エネルギーを供給する誘導加熱コイル(磁場発生手段)34が配置されている。
【0094】
なお、本実施形態においては、電磁誘導により渦電流を生じさせて発熱する導電性層は、磁性金属で形成された加熱ロール32自身となっている。本発明においては、定着用回転体の周面近傍に、導電性層が形成されていることが必須となる。定着用回転体としての基材の周面に別途導電性層が形成されていてもよいが、本実施形態のように、基材自身が導電性層を構成しても構わない。勿論、何れの場合においても、これら導電性層の表面に、さらに別途弾性層や離型層等他の層が形成されていても構わない。導電性層が別途形成される場合の導電性層やその他の層については、後述の実施形態の中で説明するものと同様である。
また、その場合の基材としては、発熱に寄与しないので特に制限されず、各種プラスチック材料、金属、セラミック材料、ガラス材料等を問題無く使用することができる。
【0095】
ここで、本発明で規定する「周面近傍」とは、電磁誘導により導電性層が発熱した際に、周面に他の層が形成されている場合であっても当該周面にその熱が伝わり、周面の温度が、定着(または転写定着)に十分な程度になり得る程度の近傍であることを意味する。したがって、「周面近傍」を規定する周面からの深さについては、各種条件により大きく変動し、一律に具体的な数値を示し得るものではない。また、基材自身が導電性層を構成し、周面に他の層が形成された状態においては、周内に当該導電性層が露出した状態となるが、この場合も周面からの状態のみに着目して「周面近傍」であるか否かが判断される。
【0096】
誘導加熱コイル34は、絶縁性のボビン36によって保持されており、この絶縁性のボビン36の内側に誘導加熱効率を向上および安定させるための磁性粒子14が充填されている。本実施形態では、この磁性粒子14はパウダーテック社の鉄粉キャリアTSV−35を用いた。加熱ロール32と誘導加熱コイル34との間隙は小さく(本実施形態においては1.0mm)なるように構成されている。一方、ボビン36の肉厚を厚くすることで(本実施形態においては1.5mm)、ボビン36の外表面と内部に充填された磁性粒子14との間隙は大きくなるように構成されている。
【0097】
また、誘導加熱コイル34は、ボビン36の一端から線材を螺旋状に捲回して、ボビン36の他端に達して捲回が終わると、線材を加熱ロール32と誘導加熱コイル34との間隙を通して捲き始め端側に導出されるように形成されている。このように、誘導加熱コイル34を構成する線材の捲き始め端である導入端34aと、捲き終わり端である導出端34bとは、加熱ロール32に対して同じ側に配置されている。
【0098】
加圧ロール38は、加熱ロール32に圧接しており、両者間に形成されたニップ部に、未定着トナーが形成された記録紙(被記録媒体)40を、当該未定着トナーが形成された面が加熱ロール32に接するように挿通させることにより、トナー画像を定着させる。高周波電源42には、誘導加熱コイル34の導入端34aと導出端34bとが接続され、誘導加熱コイル34に高周波電流を供給する。すなわち、高周波電源42は、誘導加熱コイル34に高周波電流を供給するためのものである。
【0099】
なお、図示は省略したが、本実施形態の電子写真装置は、定着装置30の他、記録紙を定着装置に搬送する搬送ロール、感光体ドラム、該感光体ドラムに電子写真方式により未定着トナー画像を形成する現像装置、前記感光体ドラムに形成された未定着トナー画像を記録紙40に転写する転写装置等からなる画像形成装置(画像形成手段)を備えている。
【0100】
次に、本発明の実施形態に係る定着装置30の動作を説明する。図示しないスイッチを操作すると、高周波電源42が誘導加熱コイル34に高周波電流を供給する。誘導加熱コイル34は、供給された高周波電流に応じて高周波磁界を発生する。これにより、磁性金属で形成された加熱ロール32は、生成消滅を繰り返す交番磁束内に置かれるため、加熱ロール32中に磁界の変化を妨げる磁界を生じるように渦電流が発生する。この渦電流と、加熱ロール32が有する電気抵抗によってジュール熱が発生し、加熱ロール32が加熱される。
【0101】
このように、本実施形態の定着装置30では、ボビン36の外表面と磁性粒子14との間隙は大きくなるように形成し、このボビン36に誘導加熱コイル34を捲回しているため、加熱ロール32と誘導加熱コイル34との間隙が小さくなり、誘導加熱コイルへの電磁誘導発熱効率を向上させることができる。
【0102】
ここで、本実施形態では、定着装置30において、定着のための熱(ジュール熱)を、誘導加熱コイル34に高周波電流を供給することで発生させているが、定着装置30は、その固定箇所により、流出熱量が異なる。すなわち、定着装置30は、記録紙40へ画像を定着させるため、加熱ロール32における記録紙40が接触する部位に、定着装置30を外部へ固定する機構部分が位置することはない。従って、ボビン36の両端部付近にその機構部分が位置することになるが、その機構部分への熱流出が生じることになる。このため、発生するジュール熱は、加熱ロール32上で不均一になり易い。このジュール熱は、均一に発生されることが好ましい。
【0103】
そこで、本実施形態では、ボビン36内に収容する磁性粒子14の量に分布を持たせることで、ジュール熱をほぼ均一に発生させることができる構造を提供する。
【0104】
図8には、定着装置30のボビン36における熱流出量と磁性粒子14の分布との関係を示した。図8(A)は、ボビン36の軸方向における位置(すなわち、当該グラフにおける左右端部は、ボビン36の左右の端部に相当する)と熱流出量との関係を示している。図から理解されるように、ボビン36の両端部に向かうに従って、熱流出量が増加する特性Caになる。
【0105】
図8(B)には、ボビン36の軸方向においてジュール熱をほぼ均一に発生させることができる構造の一例を示した。図8(B)では、ボビン36の内部に磁性粒子14を不均一に分布させるための調整素子80が設けられている。この調整素子80は、回転対称形状をしており、その断面外形形状曲線Cbは、上記特性Caに相当する形状(より正確には、特性Caの曲線の曲率と、調整素子80により狭められたボビン36内部の空間の断面積をグラフ化したときに得られる曲線の曲率と、が略同形状)に構成する。このように構成することで、磁性粒子14の量の分布は、特性Caに沿う分布となり、ボビン36の軸方向においてジュール熱をほぼ均一に発生させることができる。
【0106】
なお、調整素子80は、非磁性材料および磁性材料の何れでもよい。これは、ボビン36の総体として得られるジュール熱が均一となる磁束を生じるように材質を選択すればよいためである。また、図8(B)では、一例として回転対称形状を採用した場合を説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。すなわち、ボビン36の両端部付近で磁性粒子14が増加すように調整素子80を形成すればよく、例えば、少なくとも1平面や複数の曲面を有する構成にしてもよい。
【0107】
図8(C)には、ボビン36の軸方向においてジュール熱をほぼ均一に発生させることができる構造の他の例を示した。図8(B)では、調整素子80の製造が困難な場合もある。そこで、図8(C)では簡便に製造可能とするため、円筒形状の両端部付近を面取りした調整素子82を採用している。この調整素子82は、上記特性Caが最も顕著に現れる部分に相当する部位(ボビン36の両端部から長さLの領域)について、磁性粒子14の量の分布が変化(増加)するようにしている。これによって、特性Caに対応して最も影響が高い部位について磁性粒子14の量の分布を調整している。
【0108】
図8(D)には、ジュール熱をほぼ均一に発生させることができる構造のその他の例を示した。図8(C)では、調整素子82として、その端部付近を加工しなければならないので、自由度が少ない。図8(D)の例では、長さの異なる調整素子84,86を用いて、調整素子84の周囲に円筒状の調整素子86が位置するように構成する。このようにすることで、調整素子84,86の長さを変更するのみで、自由に磁性粒子14の収容量を変更することが可能な態様の調整素子を容易に形成することができる。
【0109】
図9には、磁性粒子14の収容量の変動に対する昇温スピードの関係を示した。このときの試験条件としては以下の通りである。
<試験条件>
前記ボビン36を軸方向の長さに3等分し、それぞれに磁性粒子を15g、27g、42g充填した場合の、各3等分した所におけるロールの温度上昇率を測定した。詳細な条件は以下の通りである。
・磁性粒子・・・パウダーテック社の鉄粉キャリアTSV−35
・ボビン・・・ポリフェニレンサルファイドで内径14mm、外径17mm、全長350mmの円筒状のもの
・コイル・・・導線の材質:銅、太さ:2.5mm、巻回数:125回
・電力・・・1000W出力(25kHz)
・加熱ロール・・・26mmφ(外径)、スチール(STKM13)、長さ400mm
【0110】
図9から理解されるように、磁性粒子14の収容量が増加するに従って昇温スピードも増加する。これによって、熱流出量が多い部位に、より多くの熱量が生じるように、すなわち昇温スピードが速くなるだけの磁性粒子14の量を収容するように形状を構成すればよいことが理解される。
【0111】
このように、本実施形態では、定着装置において発生させる熱に寄与する磁性材料として磁性粒子を用いているので、磁心を、ひいては磁場発生手段をさまざまな形状に容易に成型したり製造したりすることができる。従って、定着装置の設計にあたっての自由度を拡張することができる。
【0112】
また、本実施形態では、定着装置において発生させる熱に寄与する磁性材料として磁性粒子を用い、かつ、磁性材料が粒子状態のまま維持されているので、磁心に渦電流が生じることを解消することができ、渦電流により発熱する損失を解消することができる。すなわち、エネルギー効率の高い電子写真装置を得ることができる。
【0113】
参考例2
次に、電気機器からの電磁界漏洩を抑制する機能を発現し得る参考例1の磁場遮蔽部材を、定着装置の電磁遮蔽に適用した電子写真装置に関する参考例2について説明する。なお、本参考例は、上記実施形態及び参考例とほぼ同様の構成のため、同一部分には同一符号を付して詳細な説明を省略する。
【0114】
既述の如く、一般的に電子写真装置は、被記録媒体表面に、電子写真方式により未定着トナー画像を形成する画像形成手段と、未定着トナー画像が形成された前記被記録媒体表面にトナー画像を定着する定着手段と、を含み、本参考例においても、第の実施形態と構成は異なるが、電磁誘導加熱方式の定着装置を定着手段に用いた例を示す。
【0115】
参考例においては、定着装置として、定着用回転体および加圧用回転体の双方にロール状の部材を用いた、いわゆるロール−ロールニップ型の定着装置を適用した例を挙げている。なお、定着装置以外の構成は、本発明において特に限定されないため、本例においては、電磁誘導加熱方式の定着装置50についてのみ、図10を参照して説明する。
【0116】
図10は本参考例にかかる定着装置50の全体構成を示す概略断面図である。定着装置50は、加熱ロール(定着用回転体)52(40mmφ)と加圧ロール(加圧用回転体)54(40mmφ)とを備えた構成となっている。加圧ロール54は、加圧機構(図示せず)によって加熱ロール52に対して圧接されて、一定のニップ幅を有するようにニップ部が形成されており、加熱ロール52は駆動モータ(図示せず)により所定方向(図10の矢印W方向)に駆動され、加圧ロール54は従動で所定方向(図10の矢印U方向)に回転するようになっている。加熱ロール52の材質は鉄を用いており、肉厚1mmとしている。加熱ロール52表面には、フッ素樹脂等の離型層が被覆されている。本参考例では、ロール材質として鉄を用いているが、そのほか、ステンレス、アルミニウム、ステンレスとアルミニウムとの複合材等でもよい。
【0117】
加圧ロール54は、芯金の周囲にシリコーンゴムあるいはフッ素ゴム等が被覆されて構成されている。これら加熱ロール52と加圧ロール54との圧接部(ニップ部)である定着ポイントを、未定着トナー画像が形成された用紙(被記録媒体)Pが通過する(ニップ部に挿通される)ことで、この用紙P上のトナーを融着圧着して定着するようになっている。このとき、勿論、未定着トナーが形成された面が加熱ロール52に接するようにニップ部に挿通される。
【0118】
加熱ロール52の周りには、加熱ロール52と加圧ロール54との接触位置(ニップ部)よりも回転方向下流側に順に、用紙Pを加熱ロール52から剥離させる剥離爪56、加熱ロール52表面にオフセットされたトナーや紙屑等のごみを除去するクリーニング部材58、磁場発生手段としての誘導加熱装置64、オフセット防止用離型剤を塗布する離型剤塗布装置60、および加熱ロール52の温度検出をするサーミスタ62が設けられている。
【0119】
当該装置において、加熱原理は誘導加熱装置64による電磁誘導加熱方式を用いている。誘導加熱装置64は、励磁コイル66から構成されており、加熱ロール52の外周面に配置されている。励磁コイル66は、線径0.5mmの銅線材を用いており、お互いに絶縁された線材を複数本束ねたリッツ線として構成されている。リッツ線にすることで浸透深さよりも線径を小さくすることができ、交流電流を有効に流すことが可能となる。本参考例では、0.5mmφの線材を16本束ねている。コイルの被覆は、耐熱性のポリアミドイミドを用いている。励磁コイル66は、加熱ロール52表面に対向する状態で近接配置され、磁場発生手段として機能する。
また、励磁コイル66における加熱ロール52側の反対側には、磁場遮蔽部材68が近接配置されている。磁場遮蔽部材68の詳細動作は後述する。
【0120】
参考例においても、加熱ロール52は磁性金属で形成されており、当該加熱ロール52自身が、電磁誘導により渦電流を生じさせて発熱する導電性層となる。勿論、第の実施形態と同様、本参考例において、別途導電性層が形成されていても構わないし、これら導電性層の表面に、さらに別途弾性層や離型層等他の層が形成されていても構わない。
【0121】
励磁コイル66は励磁回路(インバータ回路)72に接続されており、励磁回路72から励磁コイル66に印加される高周波電流で発生する磁束によって、磁界の変化を妨げるように、磁性金属で形成された加熱ロール52に、磁束と渦電流を発生させる。この渦電流と加熱ロール52の抵抗とによってジュール熱が発生し、加熱ロール52が加熱される。本参考例では、励磁コイル66に周波数20kHz、出力900Wの高周波電流を印加した。加熱ロール52の表面温度は、180℃に設定し、制御される。表面温度をサーミスタ62によって検知し、フィードバック制御によって加熱ロール52の加熱を行っている。このとき、ロール全体の温度分布を均一にするため、加熱ロール52および加圧ロール54は回転している。各ロールを回転させることでロール全面に一定の熱量を与えている。
【0122】
この加熱ロール52の表面温度が180℃に達すると画像形成動作(所謂コピー動作)が開始し、加熱ロール52と加圧ロール54との圧接部(ニップ部)である定着ポイントを、未定着トナー画像が形成された用紙Pが通過することで、この用紙P上のトナーを融着圧着して定着する。また、励磁回路72への電流は、加熱ロール52表面に圧接された温度ヒューズであるサーモスタット70を介して供給される。このサーモスタット70は、加熱ロール52の許容可能な表面温度が予め設定されており、許容温度を超えた異常温度に達すると励磁回路72に供給する電流を遮断するものである。
【0123】
図11に、本参考例における加熱ロール52と誘導加熱装置64とを簡略的に示した斜視図を示す。図11に示すように、励磁コイル66(図11では点線で示す)が、加熱ロール52の外周面に対向する状態で配置されている。加熱ロール52と励磁コイル66との距離(間隙)は、1mmに設定されている。この励磁コイル66は空芯コイルとして構成され、この励磁コイル66における加熱ロール52側の反対側には、磁場遮蔽部材68が近接配置されている。磁場遮蔽部材68は、励磁コイル66を覆う状態で近接配置されたカバー状の容器の内部に、磁性粒子としてのフェライト粉末が充填されて構成される。
【0124】
参考例では、励磁コイル66と磁場遮蔽部材68との距離(間隙)は5mmに設定している。磁場遮蔽部材68を配置することによって加熱ロール52の外周に近接して空芯コイル(すなわち励磁コイル66)を配置しても、外部に漏れる磁場(導電性層として機能する加熱ロール52に影響を与えない漏洩磁場の少なくとも一部)が遮蔽される。このため、電磁漏洩により生じるノイズ等の問題を解消することができる。また、磁場遮蔽部材68を配置することによって、励磁コイル66自身が加熱ロール52側以外に磁場を発生させても問題にならないので、励磁コイル66として、成形が容易なコイルを用いることができる。
【0125】
一方、磁場遮蔽部材68がなく、加熱ロール52の外周に近接して誘導加熱装置64を配置する場合は、定着装置50の外側に磁場がもれないような形状の芯材(励磁コイル66)を用いなければならず、励磁コイル66の形状が制限されたり、芯材を複雑な形状にしなければならない。本参考例では、磁場遮蔽部材68は、誘導加熱装置64と全く別に配置すればよく、誘導加熱装置64に依存しない。また、励磁コイル66を複雑な形状にする必要がないので、コスト上昇を招くこともない。なお、本参考例では、磁場遮蔽部材68の形状として円周面に対応する曲面形状の場合を説明したが、このような曲面形状に限定されるものではなく、平板やその他の形状であっても遮蔽効果を得ることができる。
【0126】
このように磁場遮蔽部材68を配置することによって、励磁コイル66を加熱ロール52の外周に近接して配置しても、励磁コイル66における加熱ロール52の反対側である外部に磁場が漏れ出すことがない。これにより、誘導加熱装置64を加熱ロール52の内側に入れる必要がなく、加熱ロール52内の輻射熱によって励磁コイル66が発熱して劣化したり、磁心が発熱して特性が劣化して熱効率が低下することがない。
【0127】
参考例では、磁場遮蔽部材68における磁性粒子としてフェライト粉末を用いた場合を説明したが、その他の磁性粒子を用いても同様の効果を得ることができる。また、本参考例では、磁場遮蔽部材と励磁コイル66の距離を、5mmに設定した場合を説明したが、励磁コイル66に磁場遮蔽部材を接触させた構成でも効果を得られることは言うまでもない。
【0128】
このように、本参考例では磁場遮蔽部材として磁性粒子の集合体を用いているので、さまざまな形状に容易に成型することができ、磁場遮蔽部材を容易に製造できる。従って、これら部品の小型化を損なうことなく、容易かつ安価に定着装置、さらには電子写真装置の性能向上を図ることができる。また、磁束漏洩の抑制は、各種の電気機器においても求められており、これらに参考例1の磁場遮蔽部材を適用することにより、容易かつ安価に、漏洩磁束密度を減少させることができる。
【0129】
〔第の実施形態〕
次に、本発明の磁心を用いたインダクタンス素子を適用すると共に、電磁界漏洩を抑制する機能を発現し得る磁場遮蔽部材を、定着装置の電磁遮蔽に適用した電子写真装置に関する第の実施形態について説明する。
【0130】
既述の如く、一般的に電子写真装置は、被記録媒体表面に、電子写真方式により未定着トナー画像を形成する画像形成手段と、未定着トナー画像が形成された前記被記録媒体表面にトナー画像を定着する定着手段と、を含み、本実施形態においても、第2の実施形態および参考例2と構成は異なるが、電磁誘導加熱方式の定着装置を定着手段に用いた例を示す。
【0131】
本実施形態においては、定着装置として、定着用回転体にエンドレスベルト状の部材を用い、加圧用回転体にロール状の部材を用いた、いわゆるベルト−ロールニップ型の定着装置を適用した例を挙げている。なお、定着装置以外の構成は、本発明において特に限定されないため、本例においては、電磁誘導加熱方式の定着装置についてのみ、図12を参照して説明する。
【0132】
本実施形態における定着装置は、ウオームアップタイムの短縮化、および被記録媒体の剥離性能の確保を目的とし、定着用回転体としては、熱容量の小さい柔軟(フレキシブル)なエンドレスベルト状の部材を使用し、このエンドレスベルト状の部材の内部には、熱を奪う部材を極力少なくする(極力部材を配設しない)ように構成されている。すなわち、上記ベルト状の部材(加熱ベルト)の内部には、加圧部材に対向して、定着ニップ部を形成する弾性層を有するパッド部材(押圧部材)のみしか、基本的には設けない構成を採用している。また、加熱対象となるエンドレスベルト状の部材を直接加熱できるように、当該部材に導電性層を持たせ、磁場発生手段が発生する磁界によって誘導加熱させる方式を用いている。
【0133】
図12は、本実施形態における定着装置を示す概略構成図である。
図12において、101は定着用回転体としての加熱ベルトを示すものであり、この加熱ベルト101は、導電性層を有する無端状のベルトから構成されている。このように、本発明において「定着用回転体」には、既述のロール状のものの他、エンドレスベルト状のものが含まれる。なお、「加圧用回転体」においても、ロール状、エンドレスベルト状の双方が含まれる。
【0134】
上記加熱ベルト101は、図13に示すように、その内側から、耐熱性の高いシート状部材からなる基材層102と、当該基材層102の上に積層された導電性層103と、最も上層となる表面離型層104の少なくとも3層を基本に備えている。本実施形態では、加熱ベルト101として、シート状の基材層102と、導電性層103と、表面離型層104の3層からなる直径30mmφの無端状のベルトが使用されている。
【0135】
上記加熱ベルト101の基材層102は、例えば、厚さ10〜100μm、更に好ましくは厚さ50〜100μm(例えば、75μm)の耐熱性の高いシートであることが好ましく、例えばポリエステル、ポリエチレンテレフタレート、ポリエーテルサルフォン、ポリエーテルケトン、ポリサルフォン、ポリイミド、ポリイミドアミド、ポリアミド等の耐熱性の高い合成樹脂からなるものが挙げられる。
【0136】
また、本実施形態では、図14に示すように、無端状のベルトからなる加熱ベルト101の両端部を、エッジガイド105に突き当てることによって、当該加熱ベルト101の蛇行を規制して使用するように構成されている。ここで、図14は、筒状となっている加熱ベルト101の一方の端部開口をエッジガイド105に突き当てることで規制している状態を説明するための、拡大説明図である。図示は省略されているが、加熱ベルト101の他方の端部開口にも、同様のエッジガイド(以下、単に「不図示のエッジガイド」という場合がある。)が突き当てられている。
【0137】
このエッジガイド105は、加熱ベルト101の内径よりも若干小さな外径を有する円筒状部106と、当該円筒状部106の端部に設けられたフランジ部107と、当該フランジ部107の外側に突設された円筒状あるいは円柱状の保持部108とから構成されている。上記エッジガイド105および不図示のエッジガイドは、フランジ部107の内壁面と、加熱ベルト101の他方の端部開口に突き当てられている不図示のエッジガイドにおけるフランジ部の内壁面と、の間の距離が、加熱ベルト101の軸方向に沿った長さよりも若干長くなるように、当該加熱ベルト101の両端部が摺動可能で、かつ装置に固定された状態で配設されている。そのため、加熱ベルト101における基材層102としては、加熱ベルト101の(図12における矢印A方向への)回転中に、ニップ部以外の部分では、直径30mmφの円形状を保ち、当該加熱ベルト101の端部がエッジガイド105に突き当たった場合でも、この加熱ベルト101に座屈等が生じない程度の剛性を有する必要があり、例えば、厚さ50μmのポリイミド製のシートが使用されている。
【0138】
導電性層103は、後述の磁場発生手段によって生じる磁界の電磁誘導作用により、誘導発熱する層であり、鉄、コバルト、ニッケル、銅、クロム等の金属層を1〜50μm程度の厚みで形成したものが用いられる。ただし、本実施形態では、後述するパッドと加圧ロールとで形成されるニップ部の内部で、加熱ベルト101が当該ニップ部の形状に倣う必要があるため、フレキシブルなベルトである必要があり、導電性層103は、可能な限り薄層にすることが好ましい。
【0139】
本実施形態では、導電性層103として、導電率の高い銅を、発熱効率が高くなるように5μm程度の極薄い厚さで、上述のポリイミドからなる基材層102上に蒸着させたものが用いられている。
【0140】
表面離型層104は、被記録媒体である用紙109上に転写された未定着トナー画像110と直接接する層であるため、離型性の良い材料を使用することが望まれる。この表面離型層104を構成する材料としては、例えば、テトラフルオロエチレンパーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、シリコーン樹脂、またはこれらの複合層等が挙げられる。表面離型層104は、これらの材料のうちから適宜選択されたものを、1〜50μmの厚さで加熱ベルト101の最上層として設けたものである。この表面離型層104の厚さは、薄すぎると、耐磨耗性の面で耐久性が悪く、加熱ベルト101の寿命が短くなってしまい、逆に厚すぎると、加熱ベルト101全体としての熱容量が大きくなり、ウオームアップタイムが長くなってしまうため、それぞれ望ましくない。
【0141】
本実施形態では、耐磨耗性と、加熱ベルト101全体としての熱容量とのパランスを考慮して、加熱ベルト101の表面離型層104として、厚さ10μmのテトラフルオロエチレンパーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)が使用されている。
【0142】
上記の如く構成される加熱ベルト101の内部には、例えば、シリコーンゴム等の弾性層111を有する押圧部材としてのパッド部材112が設けられている。本実施形態では、パッド部材112として、ゴム硬度がJIS―Aで35°のシリコーンゴムからなる弾性層111を、ステンレス・鉄等の金属や、耐熱性の高い合成樹脂等からなる剛性を有する支持部材113に積層したものが用いられている。上記シリコーンゴムからなる弾性層111は、例えば、均一な厚さのものが使用される。また、上記パッド部材112の支持部材113は、図示しない定着装置のフレームに固定された状態で配置されているが、弾性層111が所定の押圧力で後述する加圧ロール114の表面に圧接するように、図示しないスプリング等の付勢手段によって、加圧ロール114の表面に向けて押圧されていてもよい。
【0143】
そして、上記定着装置は、パッド部材112と加熱ベルト101を介して対向する部分に、加圧用回転体としての加圧ロール114が設けられている。この加圧ロール114は、当該加圧ロール114とパッド部材112とで加熱ベルト101を挟持した状態に保持してニップ部115を形成し、当該ニップ部115を未定着トナー画像110が転写された用紙109を通過させることにより、熱および圧力で未定着トナー画像110を用紙109上に定着して、定着画像を形成するようになっている。
【0144】
上記加圧ロール114として、本実施形態では、直径26mmφの中実の鉄製ロール116の表面に、離型層117として、厚さ30μmのテトラフルオロエチレンパーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)を被覆した加圧ロールが使用されている。
【0145】
また、加圧ロール114には、図12に示されるように、熱伝導性の良いアルミニウムやステンレス等の金属からなる金属ロール118が、離接可能に設けられている。この金属ロール118は、定着装置に通電が開始された朝一番など、加熱ベルト101や加圧ロール114の温度が冷えているときには、加圧ロール114から離れた位置に停止している。そして、上記定着装置において、例えば、小サイズ用紙を連続して定着処理した場合など、当該定着装置が使用されるに連れて、加熱ベルト101や加圧ロール114において軸方向に沿った温度差が生じたときには、金属ロール118を加圧ロール114と当接させるように構成されている。なお、上記金属ロール118は、加圧ロール114に当接した際に、当該加圧ロール114と従動するようになっている。本実施形態では、金属ロール118として、直径10mmφのアルミニウム製の中実ロールが使用されている。
【0146】
本実施形態では、上記加圧ロール114は、図示しない加圧手段により、加熱ベルト101を介してパッド部材112に押圧された状態で、図示しない駆動手段によって回転駆動されている。
【0147】
定着用回転体である加熱ベルト101は、加圧ロール114の回転に従動して、循環移動するものである。そこで、本実施形態では、加熱ベルト101とパッド部材112との間に、摺動性を良好なものにするため、耐摩擦性が強く、摺動性の良いシート材、例えばフッ素樹脂を含浸させたガラス繊維シート(中興化成工業:FGF400−4等)を介在させ、さらに潤滑剤として、シリコーンオイルなどの離型剤を、加熱ベルト101の内面に塗布することで、摺動性を向上させるように構成されている。このようにすることで、実際の加熱時において、加圧ロール114の空回転時の駆動トルクを、約6kg・cmから約3kg・cmにまで低減することができる。従って、加熱ベルト101は、加圧ロール114と滑ること無く従動し、加圧ロール114の矢印B方向への回転速度と等しい速度で循環移動することが可能となっている。
【0148】
上記加熱ベルト101は、上述したように、その軸方向の両端部において、図14に示すように、エッジガイド105により軸方向の動きが規制されており、当該加熱ベルト101の蛇行などの発生が防止されている。
【0149】
本実施形態では、導電性層を有する薄肉の加熱ベルトを、磁場発生手段が発生する磁界によって誘導加熱するように構成されている。
磁場発生手段120は、加熱ベルト101の回転方向と直交する方向を長手方向とする横長に、かつ曲線状に形成された部材であり、加熱ベルト101と0.5mm〜2mm程度のギャップを保持して、加熱ベルト101の外側に設置されている。この磁場発生手段20は、本実施形態では、励磁コイル121と、該励磁コイル121を保持するコイル支持部材122と、励磁コイル121の中心部に設けられる磁心123とで形成されている。また、励磁コイル121に対して加熱ベルト101の反対側には、磁場遮蔽部材124が設けられている
【0150】
励磁コイル121としては、例えば、相互に絶縁された直径0.5mmφの銅線材を16本束ねたリンツ線を直線状に、所定の本数だけ並列的に配置したものが用いられる。
【0151】
この励磁コイル121には、図15に示すように、励磁回路125によって、所定の周波数の交流電流を印加することにより、当該励磁コイル121の周囲には変動磁界Hが発生し、この変動磁界Hが、加熱ベルト101の導電性層103を横切るときに、電磁誘導作用によって、その磁界Hの変化を妨げる磁界を生じるように、加熱ベルト101の導電性層103に渦電流Bが生じる。励磁コイル121に印加する交流電流の周波数は、例えば、10〜50kHzに設定されるが、本実施形態では、交流電流の周波数が30kHzに設定されている。すると、この渦電流Bが加熱ベルト101の導電性層103を流れることにより、当該導電性層103の抵抗に比例した電力(W=IR2)でジュール熱が発生し、定着用回転体である加熱ベルト101を加熱する。
【0152】
コイル支持部材122としては、耐熱性のある非磁性材料を用いるのが望ましく、例えば、耐熱ガラスや、ポリカーボネート等の耐熱性樹脂が用いられる。
【0153】
励磁コイル121の中心部には、本発明の磁心である磁心123が設けられている。磁心123は、直方体形の容器に磁性粒子が充填されて構成される。当該容器は、形状が異なることを除いては、第1の実施形態において説明したものと同様のものが適用される。磁性粒子が当該容器に充填されることで、全体として直方体形状を有する磁性粒子の集合体からなり、かつ、該磁性粒子の粒子状態が維持された磁心となる。なお、磁性粒子の詳細についても、第1の実施形態において説明したものと同様のものが適用される。
【0154】
本実施形態において、磁性粒子の集合体は、磁性粒子が粒子状であるため、体積や形状を自由に変えることが可能であり、必要とされる大きさ、形状に容易に形成することができる。従って、磁性粒子を、磁心123の材料として用いることで、磁場発生手段120の設計の自由度が増加する。
【0155】
また、磁性粒子を用いることにより、磁性粒子自体が適度な電気抵抗を有しているので、高周波帯域においても、所謂誘導加熱による自己発熱の問題も極めて少なく、よって高周波数帯域においても損失が少なく、実効透磁率を高めることができる。
【0156】
本実施形態においては、磁心123を設けることで、励磁コイル121で発生する磁束を効率よく集めることが出来、加熱効率を上昇させることができる。そのため、励磁コイル121に交流電流を印加する高周波電源の周波数を下げたり、励磁コイル121の巻き数を減少させたりすることが可能となり、電源の小型化、励磁コイル121の小型化、コストダウンを実現することができる。
【0157】
一方、本実施形態において、磁場遮蔽部材124は、参考例の磁場遮蔽部材が用いられる。磁場遮蔽部材124は、励磁コイル121で発生した磁束を集めて、磁路を形成するものであり、効率の良い加熱を可能とすると同時に、磁束が定着装置外に漏れて、周辺部材が不本位に加熱されるのを防止するためのものである。
【0158】
当該磁場遮蔽部材124は、励磁コイル121を覆う状態で近接配置されたカバー状の容器の内部に、磁性粒子が充填されて構成される。磁場遮蔽部材124の具体的な構成は、参考例2と同様である。
【0159】
このように、本実施形態では磁場遮蔽部材として磁性粒子の集合体を用いているので、さまざまな形状に容易に成型することができ、磁場遮蔽部材を容易に製造できる。従って、これら部品の小型化を損なうことなく、容易かつ安価に定着装置、さらには電子写真装置の性能向上を図ることができる。
【0160】
以上の構成において、本実施形態における定着装置では、次のように、ウォームアップタイムを殆どゼロにすることができるとともに、良好な定着性を得ることができ、しかも剥離不良が生じるのを確実に防止することが可能となっている。
【0161】
すなわち、本実施形態に係る定着装置では、図12に示すように、加圧ロール114が100mm/sのプロセススピードで、図示しない駆動源により矢印B方向に回転駆動される。また、加熱ベルト101は、加圧ロール114に圧接しており、当該加圧ロール114の移動速度と等しい100mm/sの速度で循環移動するようになっている。
【0162】
そして、上記定着装置では、図12に示すように、図示しない転写装置により、未定着トナー画像110が形成された用紙109が、当該未定着トナーが形成された面が加熱ベルト101に接するように、加熱ベルト101と加圧ロール114との間に形成されたニップ部115を通過し、当該ニップ部115内を用紙109が通過する間に、加熱ベルト101と加圧ロール114とによって加熱および加圧されることにより、未定着トナー画像110がトナー画像として用紙109上に定着されるようになっている。
【0163】
その際、上記定着装置では、加熱ベルト101の温度が、励磁コイル121に流す高周波電流の周波数などにより、定着動作時は、ニップ部115の入口において、180℃〜200℃程度に制御される。
【0164】
本実施形態における定着装置では、画像形成信号が入力されると同時に、加圧ロール114が回転を開始すると共に、励磁コイル121に高周波電流が通電される。励磁コイル121には、例えば、有効電力として700Wの電力が投入されると、加熱ベルト101の温度は、誘導加熱作用によって、室温から約2秒で定着可能温度に達する。すなわち、用紙109が給紙トレイから、定着装置まで移動するのに要する時間内にウォームアップが完了してしまうことになる。よって、上記定着装置においては、ユーザーを待たせること無く、定着処理が可能となる
【0165】
いま、上記定着装置のニップ部115に、60gsm程度の薄紙に、カラーのベタ画像などトナーが多量に転写された用紙109が進入した場合には、トナーと加熱ベルト101表面の表面離型層104との間で、引き付け合う力が強くなり、加熱ベルト101の表面から用紙109を剥離するのが難しくなるのが通常である。しかし、本実施形態の構成では、加熱ベルト101の形状がニップ部115の外では凸形状であるのに対して、ニップ部115の内部では凹形状となっている。すなわち、ニップ部115の内部では用紙109の方向は、加圧ロール114側に巻き付く方向であり、かつニップ部115の出口部では、加熱ベルト101の方向が凹形状から凸形状に急激に変化するため、用紙109は、当該用紙109自体のこし(剛性)により、加熱ベルト101の形状の急激な変化についていくことができず、加熱ベルト101から自然に剥離される。そのため、本実施形態における定着装置では、用紙109の剥離不良の問題が生じるのを確実に防止することができる。
【0166】
また、小サイズの用紙109を連続して定着した場合には、非通紙領域の加熱ベルト101、パッド部材112および加圧ロール114などの温度が上昇してしまうが、加圧ロール114側に設けた金属ロール118を、加圧ロール114の表面に当接させることにより、加圧ロール114の高温部の熱を金属ロール118によって吸収することができ、その熱を低温部に移動させるので、軸方向での温度分布は小さくなる方向に移動し、加圧ロール114の温度および加熱ベルト101の温度は、ある温度以上の高温になるのを防止することができる。
【0167】
さらに、当該定着装置は、ニップ部115における加熱ベルト101側に、厚さ65μmの加熱ベルト101を挟んで、弾性層111を有するため、定着時にトナーを包み込んで定着する効果が得られ、良好なカラー画質が得られる。
また、より良好なカラー画質を得るために、加熱ベルト101の導電性層103と表面離型層104との間に数10μmのシリコーンゴムなどの弾性層を設けてもよい。
【0168】
以上、第2〜第3の実施形態においては、電子写真装置における定着装置に本発明の磁心を用いた各例を挙げたが、本発明の電子写真装置は、上記各例の構成に限定されるものではなく、本発明の構成を具備する限り、公知の知見により、各種構成の変更、追加を行うことができる。
【0169】
例えば、第の実施形態あるいは参考例2における加圧用回転体としての加圧ロールを、エンドレスベルト状の加圧部材(加圧ベルト)として、ロール−ベルトニップ型の定着装置としたり、第の実施形態における加圧用回転体としての加圧ロールを、エンドレスベルト状の加圧部材(加圧ベルト)として、ベルト−ベルトニップ型の定着装置としたり、等の変更を加えることができる。
【0170】
また、各実施形態及び参考例に挙げられた個々の構成を任意に組み合わせて適用することもできる。例えば、第の実施形態における加圧ロールに配された金属ロールを、第の実施形態あるいは参考例2における加圧ロールに対して配することもできる。
【0171】
さらに、第〜第の実施形態及び参考例2においては、全て定着用回転体のみを加熱する構成のものを例に挙げたが、加圧用回転体について予備的に加熱する構成としても構わない。このときの加熱方式は、一般的なハロゲンランプ等の熱源による加熱でも構わないし、電磁誘導加熱方式であっても構わない。電磁誘導加熱方式の場合には、勿論、本発明の磁心を適用することができ、この場合であって、定着用回転体側には本発明の磁心を適用しなくても、本発明の電子写真装置と位置付けられる。
【0173】
〔第の実施形態〕
最後に、本発明の磁心を用いたインダクタンス素子を適用すると共に、電磁界漏洩を抑制する機能を発現し得る参考例の磁場遮蔽部材を、転写定着装置の電磁遮蔽に適用した、いわゆる転写定着同時方式の電子写真装置に関する第の実施形態について説明する。
【0174】
図16は、第の実施形態である電子写真装置を示す概略構成図である。
この電子写真装置は、主として、像担持回転体と、画像形成手段と、加熱部材および加圧部材からなる転写定着部とから構成される。
像担持回転体は、本実施形態では、画像形成手段により周面に未定着トナー画像が形成される中間転写ベルト205であり、一次転写ロール206、テンションロール209および駆動ロール210によって、張架されている。なお、本実施形態においては、像担持回転体として、エンドレスベルト状のものを用いたが、本発明においてはロール状のものを用いても構わない。
【0175】
画像形成手段は、表面に静電電位の差による潜像が形成される感光ドラム201を備えており、この感光ドラム201の周囲に、感光ドラム201表面をほぼ一様に帯電する帯電装置202と、感光ドラム201に各色信号に応じたレーザー光を照射して潜像を形成するレーザースキャナ203およびミラー213等からなる露光部と、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの4色のトナーをそれぞれ収容し、感光ドラム201表面の潜像を各色トナーにより可視化して未定着トナー画像を形成する回転式の現像装置204と、中間転写ベルト205を挟んで感光ドラム201と対向するように配置され、感光ドラム201表面の未定着トナー画像を中間転写ベルト205に転写する一次転写ロール206と、転写後の感光ドラム表面を清掃するクリーニング装置207と、感光ドラム201の表面を除電する除電ランプ208と、から構成される。
【0176】
転写定着部は、一次転写ロール206および駆動ロール210とともに中間転写ベルト205を張架するように配置されたテンションロール209と、中間転写ベルト205を挟むようにテンションロール209と対向して配置された、加圧部材である加圧ロール211と、から構成され、中間転写ベルト205と加圧部材との間にニップ部が形成される。
【0177】
さらに装置内には、給紙ユニット215内に収容された用紙(被記録媒体)を1枚ずつ搬送する給紙ロール216およびレジストロール217と、テンションロール209に巻き回された中間転写ベルト205および加圧ロール211の間に用紙を供給するための搬送ガイド218と、が配されている。
【0178】
本実施形態の電子写真装置には、本発明に特徴的な構成として、中間転写ベルト205の周内であって、その周回方向における加圧ロール211との対向位置(ニップ部)の上流側には、中間転写ベルト205の背面側からトナー画像を加熱する磁場発生手段212、および該磁場発生手段212を取り囲む形状の磁場遮蔽部材230が備えられる。
【0179】
感光ドラム201は、円筒状の導電性基材の表面にOPC(有機感光層)またはa−Si等からなる感光体層を備えるものであり、導電性基材は電気的に接地されている。現像装置204は、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックのトナーをそれぞれ収容する4台の現像器204C,204M,204Y,204Kを備えており、各現像器が感光ドラム201と対向し得るように回転可能に支持されている。各現像器内には、表面にトナー層を形成して感光ドラム201との対向位置に搬送する現像ロールが設けられている。この現像ロールには、交互電圧値VP-Pが2kV、周波数fが2kHzの矩形波交互電圧に400Vの直流電圧を重畳した電圧が印加され、電界の作用によりトナーが感光ドラム201表面の潜像に転移されるようになっている。また各現像器204C、204M、204Y、204K内には、トナーホッパー214からそれぞれトナーが補給される。
【0180】
中間転写ベルト205は、基材層表面に、少なくとも導電性層および表面離型層が順次積層された構成であり、その詳細は第の実施形態における加熱ベルト101と同様である。そのため、詳細な説明は省略する。
【0181】
中間転写ベルト205は、駆動ロール210により駆動されて周回移動するので、中間転写ベルト205と加圧ロール211との圧接部分、すなわちニップ部では、駆動ロール210の回転にともない、挿通される被記録媒体と同じ速度で移動する。このとき、被記録媒体がニップ部に存在している時間(ニップ時間)が10ms〜50msとなるように、ニップ幅および被記録媒体の移動速度が設定されている。このニップ時間、つまり溶融したトナーが被記録媒体に押し付けられた時から、被記録媒体が中間転写ベルト205から剥離されるまでの時間が、上記のように50ms以上となっていることによって、トナーが記録材に付着するのに充分な温度まで加熱されていても、ニップの出口では、オフセットが生じない程度までトナーの温度が低下されるものである。
【0182】
本実施形態における磁場発生手段212は、全体として直線状に形成されているのに対し、第の実施形態における磁場発生手段120は、近接配置される加熱ベルト101の形状に沿って曲線状に形成されている。ただし、形状以外の構成は、両者同一である。すなわち、磁心として本発明の磁心が用いられている。なお、その詳細な説明は、第の実施形態と同一であるため、省略する。
また、磁場発生手段212および中間転写ベルト205による加熱原理も、第の実施形態における磁場発生手段120および加熱ベルト101による加熱原理と同様である。
【0183】
本実施形態において、磁性粒子の集合体は、磁性粒子が粒子状であるため、体積や形状を自由に変えることが可能であり、必要とされる大きさ、形状に容易に形成することができる。従って、磁性粒子を、磁心の材料として用いることで、磁場発生手段212の設計の自由度が増加する。
【0184】
また、磁性粒子を用いることにより、磁性粒子自体が適度な電気抵抗を有しているので、高周波帯域においても、所謂誘導加熱による自己発熱の問題も極めて少なく、よって高周波数帯域においても損失が少なく、実効透磁率を高めることができる。
【0185】
本実施形態における磁場遮蔽部材230は、磁場発生手段212を覆う状態で近接配置されたカバー状の容器の内部に、磁性粒子が充填されて構成される。本実施形態において、磁場遮蔽部材230の断面形状は、磁場発生手段212を取り囲むような舟形をしている。磁場遮蔽部材230の他の具体的な構成は、参考例2と同様である。
【0186】
このように、本実施形態では磁場遮蔽部材として磁性粒子の集合体を用いているので、さまざまな形状に容易に成型することができ、磁場遮蔽部材を容易に製造できる。従って、これら部品の小型化を損なうことなく、容易かつ安価に電子写真装置の性能向上を図ることができる。
【0187】
次に、上記のような構成の電子写真装置の動作について説明する。感光ドラム201は、図16中に示す矢印C方向に回転し、帯電装置202によってほぼ一様に帯電された後、レーザースキャナ203から原稿のイエロー画像信号に従ってパルス幅変調されたレーザー光が照射され、感光ドラム201上にイエロー画像に相当する静電潜像が形成される。このイエロー画像用の静電潜像は、現像装置204により予め現像位置に定置されたイエロー用現像器204Yによって現像され、感光ドラム201上にイエロー色の未定着トナー画像が形成される。
【0188】
このイエロー色の未定着トナー画像は、感光ドラム201と中間転写ベルト205との当接部である一次転写部Xにおいて、矢印C方向への感光ドラム201の回転速度と同一の線速度(プロセススピード)で周回移動する中間転写ベルト205の周面に、一次転写ロール206の作用により静電的に転写される。イエロー色の未定着トナー画像が形成された中間転写ベルト205は、表面にイエロー色の未定着トナー画像を保持したまま一旦矢印C方向と逆方向に周回移動し、次の色のマゼンタ像が、イエロー色の未定着トナー画像の上に積層されて転写される位置に備えられる。
【0189】
一方、感光ドラム201は、クリーニング装置207によって表面が清掃された後、再び帯電装置202によりほぼ一様に帯電され、次のマゼンタの画像信号に従ってレーザースキャナ203からレーザー光が照射される。
【0190】
現像装置204は、感光ドラム201上にマゼンタ用の静電潜像が形成される間に矢印D方向に回転し、マゼンタ用現像器204Mを現像位置に定置してマゼンタトナーによる現像を行う。このようにして形成されたマゼンタ色の未定着トナー画像は、一次転写部Xで中間転写ベルト205の周面に静電的に転写され、イエロー色の未定着トナー画像の上に積層される。
【0191】
引き続いて、上述のプロセスがそれぞれシアンおよびブラックに対して行われ、中間転写ベルト205表面へ4色分の転写・積層が終了したとき、もしくは最終色のブラックの転写途中において、給紙ユニット15内に収容される用紙(被記録媒体)が給紙ロール216により給紙され、レジストロール217および搬送ガイド218を経由して中間転写ベルト205の二次転写部Yに搬送される。
【0192】
一方、中間転写ベルト205の周面に形成された4色分の未定着トナー画像は、二次転写部Yの上流側で、磁場発生手段212と対向する加熱領域Zを通過する。加熱領域Zでは、磁場発生手段212による磁場の作用で、中間転写ベルト205の導電層が電磁誘導加熱により発熱する。これにより導電層は急激に加熱され、この熱は時間経過とともに表面離型層に伝達され、二次転写部Yに到達するときには中間転写ベルト205周面の未定着トナー画像が溶融した状態となる。
【0193】
中間転写ベルト205の周面で溶融した未定着トナー画像のトナーは、二次転写部Yで用紙の搬送に合わせて圧接される加圧ロール211の圧力により、用紙と密着される。加熱領域Zでは、中間転写ベルト205は局所的に表面近傍だけが加熱されており、溶融したトナーは室温と同温度の用紙と接触して急激に冷却される。つまり、溶融したトナーは二次転写部Yのニップ部を通過するときに、トナーが持っている熱エネルギーと圧接力とで瞬時に用紙に浸透して転写定着され、用紙はトナーおよび表面近傍だけ加熱された中間転写ベルト205の熱を奪いながらニップ部の出口に向かって搬送される。このとき、ニップ幅および記録材の移動速度が適切に設定されていることにより、ニップ部の出口でのトナーの温度は軟化点温度よりも低くなる。このため、トナーの凝集力が大きくなり、トナー画像はオフセットを生じることなく、そのままほぼ完全に用紙表面に転写定着される。その後、トナー画像が転写定着された用紙は、排出ロール219を通って排出用トレイ220上に排紙され、フルカラーの画像形成が終了する。
【0194】
このように本実施形態の電子写真装置では、磁場発生手段212と対向する加熱領域Zにおいて、電磁波を吸収する中間転写ベルト205の導電層の近傍だけが加熱され、二次転写部Yにおいては、加熱領域Zで加熱溶融したトナーが室温と同温度の用紙と加圧接触することによって転写と同時に定着される。中間転写ベルト205はごく表面が加熱されているだけなので、中間転写ベルト205の温度は転写定着直後に急激に低下する。このため、装置内での熱の蓄積は極めて少なくなる。
【0195】
一方、転写定着同時方式による従来の電子写真装置では、装置を連続して使用した場合に熱の蓄積が起こり、それに伴う装置の温度上昇が顕著になり、感光ドラムの電位特性が不安定になる。特に、帯電電位の低下が顕著になり、トナー画像形成方法として例えば反転現像を用いた場合には、バックグランド部に地かぶりが発生するようになり、画質の劣化が顕著になる。また、装置の温度上昇により現像装置付近でトナーが溶融し、クリーニングブレードなどに固着するといった現象も見られる。これに対し、本実施形態の電子写真装置では、連続使用時の装置内の温度上昇は従来方式に比べてはるかに少なく、感光ドラムやトナー等の特性が変化することがない。このため、長時間の使用によっても画質劣化はほとんど見られず、高画質の画像が安定して得られる。特にこの効果はカラー画像を形成する際に顕著である。
【0196】
以上のことから、本実施形態の電子写真装置では、具体的に次に示すような利点がある。磁場発生手段により中間転写ベルトの表面近傍を直接加熱するので、中間転写ベルトの基材の熱伝導率、熱容量に左右されずに、急速に加熱することができる。また、転写効率が中間転写ベルトの厚さに依存しないので、高速化のために中間転写ベルトの剛性を上げる必要がある場合、中間転写ベルトの基層(基材)を厚くしてもトナーを迅速に定着温度にまで加熱できる。
【0197】
中間転写ベルトの基層は、一般に低熱伝導性の樹脂のため断熱性がよく、連続プリントを行っても熱のロスが少ない。また、画像の存在しない領域、例えば連続して送られる用紙の間の非画像部が加熱領域Zを通過する場合などは、励磁回路を制御することにより、無駄な加熱を停止することも可能であり、これらのことと相まってエネルギー効率が非常に高くなる。そして、熱効率が向上した分、装置内の昇温も抑えられて、感光ドラムの特性変化やクリーニング部材へのトナーの固着等も防止できる。
【0198】
なお、上記実施形態では、4色の未定着トナー画像がすべて中間転写ベルトの周面に転写された後に、磁場発生手段により電磁誘導加熱し、トナーを加熱溶融させた例を示したが、各トナー画像が一色ずつ一次転写された後に加熱溶融させ、中間転写ベルトの周面にトナーの仮定着を行ってもよい。このような方式により、一次転写後に、4色の重ね合わされたトナー画像が乱れるのを防止できるとともに、画像のレジストや倍率を精度良く合わせることができるといった利点がある。
【0199】
上記実施形態では、一次転写部Xにおける転写方法として、絶縁性の誘電層を有するバイアス印加ロールを用い、未定着トナー画像を静電的に中間転写ベルト上に転写する静電転写方法を採用したが、弾性を有する耐熱性の中間転写ベルトを用い、該中間転写ベルトの内側から一次転写ロールを感光ドラムに押圧し、未定着トナー画像を中間転写ベルトの周面に転写する粘着転写等を採用してもよい。その際、転写後の感光ドラム表面に若干トナーが残留するので、除電装置およびクリーニング装置により残留トナーを除電、クリーニングすることが望まれる。
【0200】
以上、第の実施形態においては、電子写真装置における定着装置に本発明の磁心を用いた例を挙げたが、本発明の電子写真装置は、本実施形態の構成に限定されるものではなく、本発明の構成を具備する限り、公知の知見により、各種構成の変更、追加を行うことができる。
【0201】
例えば、像担持回転体として、エンドレスベルト状の中間転写ベルトを用いた例を挙げたが、ロール状の中間転写ロールや、感光体(ロール状およびエンドレスベルト状の双方を含む)を像担持回転体とした構成であってもよい。感光体を像担持回転体とする場合には、既述の現像器が本発明に言う画像形成装置に相当する。ただし、電磁誘導加熱により感光体自体が加熱されるので、耐熱性のある感光体並びに画像形成システムであることが要求される。
【0202】
本実施形態においては、中間転写ベルト205の加熱は、加熱領域Zにおける電磁誘導加熱のみとしたが、テンションロール209を加熱部材として、補助的にあるいは主として、転写定着用の加熱源としてもよい。この場合、テンションロール209の加熱が、転写定着用の加熱源として十分な熱量を有するならば、加熱領域Zにおける電磁誘導加熱を省略してもよい。テンションロール209の加熱方法としては、定着ロールとして従来公知の、ハロゲンランプ等の熱源を内部に配したり、第の実施形態や参考例2における加熱ロールのように、電磁誘導加熱方式を採用してもよく、この場合勿論、本発明の磁心を用いることができる。
【0203】
また、第〜第の実施形態及び参考例2に挙げられた個々の構成を第の実施形態に適宜取り込むこともできる
【0204】
以上説明したように、上記第1〜第の実施形態及び参考例1〜2では、電磁気が作用する部位の部材として磁性粒子を用いて体積や形状を自由に変更することが可能であるので、必要とされる大きさに容易に形成することができる。
なお、上記第1〜第の実施形態及び参考例1〜2は、あくまでも例示であり、装置構成において特定される、寸法、形状、配置、各種特性、組成、条件等(これらの具体的な数値を含む)は、何ら本発明を制限するものではなく、当業者は、様々な条件に応じて適宜最適なものを選択することができる。
【0205】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、磁心として磁性粒子の集合体を用いることにより、さまざまな形状に容易に成型することができ、容易に製造でき、コイルやトランスなどのインダクタンス素子の一部に設置するだけで、インダクタンスを広範囲にわたって自由に設計することができ、さらに高周波数帯域においても損失が少なく、実効透磁率を高めることができる、という効果がある。
また、本発明によれば、磁心材料に磁性粒子を採用し、かつ磁性材料が粒子状態のまま維持されているので、磁心に渦電流が生じることを解消することができる。このため、渦電流により発熱する損失を解消することができる。
【0206】
さらに、磁場を発生する磁場発生手段の周囲に、磁性粒子の集合体からなる参考例の磁場遮蔽部材を設置することにより、電磁界漏洩を抑制することができ、粒子状であることから形状を自由に加工することができ、部品設計の自由度を向上させることができる。
【0207】
一方、本発明の電子写真装置によれば、定着あるいは転写定着に電磁誘導加熱方式を採用した電子写真装置において、磁場発生手段に渦電流損失が抑制され、かつ、形状の自由度が高い磁心を用いることで、低コストでより一層の省エネルギー化を達成し得ると共に、装置の設計に当たっての自由度を拡張し得る、さらには、一層の小型化を図り得る電子写真装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の参考例にかかる磁心を示す斜視図である。
【図2】 磁性粒子調整の態様を説明するための説明図であり、(A)は容器内に磁性粒子を収容した一例、(B)は容器の径による磁性粒子収容量調整の一例、(C)は磁性粒子量を変化させる場合の一例(第1の実施形態)、(D)は調整素子により磁性粒子を調整する場合の一例を示した。
【図3】 磁性粒子の収容量を変更した場合の電磁気的性質の特性値の変化を示し、(A)はインダクタンス(μH)変動、(B)はインピーダンスZ(Ω)変動を示している。
【図4】 磁性粒子の収容量を変更した場合の電磁気的性質の特性値の変化を示し、(A)はコイル抵抗成分R(Ω)、(B)は回路の位相角θ(cosθは力率)を示している。
【図5】 コイルコア(磁心)を有する場合と有さない場合との双方について、印加する信号周波数とインダクタンスとの関係を示す特性図である。
【図6】 参考例1に係る磁場遮蔽部材を示す概略構成図である。
【図7】 本発明の第2の実施形態に係る電子写真装置のうち、定着装置の部分のみを示す概略構成図である。
【図8】 定着装置における熱流出量と磁性粒子の分布の関係を示す特性図および構造図であり、(A)は位置と熱流出量との関係、(B)は構造の一例、(C)は構造の他例、(D)は構造のその他の例を示す。
【図9】 磁性粒子の収容量の変動に対する昇温スピードの関係を示した特性図である。
【図10】 参考例2に係る電子写真装置のうち、定着装置の部分のみを示す概略構成図である。
【図11】 参考例2における加熱ロールと磁場発生装置の位置関係を示した斜視図である。
【図12】 本発明の第3の実施形態に係る電子写真装置のうち、定着装置の部分のみを示す概略構成図である。
【図13】 第3の実施形態における定着装置で使用する加熱ベルトの一部を示す拡大断面図である。
【図14】 第3の実施形態における定着装置で使用する加熱ベルトの支持構造を示す構成図である。
【図15】 第3の実施形態における定着装置で使用する加熱ベルトの加熱原理を示す説明図である。
【図16】 本発明の第4の実施形態に係る電子写真装置を示す概略構成図である。
【符号の説明】
10、123 磁心
12、20、22、90 容器
14 磁性粒子
15 給紙ユニット
16 空間
18 蓋
20、92、120、212 磁場発生手段
24、80、82、84、86 調整素子
30、50 定着装置
32、52 加熱ロール(定着用回転体)
34 誘導加熱コイル
36 ボビン
38、54、211 加圧ロール(加圧用回転体)
40 記録紙(被記録媒体)
42 高周波電源
56 剥離爪
58 クリーニング部材
60 離型剤塗布装置
62 サーミスタ
64 誘導加熱装置(磁場発生手段)
66、121 励磁コイル
68、100、124 磁場遮蔽部材
70 サーモスタット
72、125 励磁回路
96 漏洩磁場
101 加熱ベルト(加熱部材)
102 基材層
103 導電性層
104 表面離型層
105 エッジガイド
106 円筒状部
107 フランジ部
108 保持部
109 用紙
110 未定着トナー画像
111 弾性層
112 パッド部材
113 支持部材
114 加圧ロール(加圧用回転体)
115 ニップ部
116 鉄製ロール
117 離型層
118 金属ロール
122 コイル支持部材
201 感光ドラム
202 帯電装置
203 レーザースキャナ
204 現像装置
205 中間転写ベルト(像担持回転体)
206 一次転写ロール
207 クリーニング装置
208 除電ランプ
209 テンションロール(加熱部材)
210 駆動ロール
213 ミラー
214 トナーホッパー
215 給紙ユニット
216 給紙ロール
217 レジストロール
218 搬送ガイド
219 排出ロール
220 排出用トレイ
230 磁場遮蔽部材

Claims (24)

  1. 電子写真装置において磁場発生手段に用いられる磁場発生用磁心であって、
    磁性粒子の集合体からなり、かつ、該磁性粒子の粒子状態が維持されたまま、導電材料が周囲に螺旋状に巻き掛けられうる容器に充填されて構成され、
    前記導電材料により構成されうる螺旋体の軸方向に、前記容器内部の空間の断面積が変化を有することにより、前記磁性粒子の量の分布が調整されることを特徴とする磁場発生用磁心。
  2. 前記磁性粒子の量の分布が、前記容器内部の形状により調整されることを特徴とする請求項1に記載の磁場発生用磁心。
  3. 前記容器の形状が円筒状であり、かつ、前記容器の内径が前記軸方向に勾配を有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の磁場発生用磁心。
  4. 前記磁場発生手段が、コイルまたはトランスであることを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載の磁場発生用磁心。
  5. 前記磁性粒子が、鉄粉、フェライト粉末、およびマグネタイト粉末の少なくとも1種の粉末であることを特徴とする請求項1乃至請求項の何れか1項に記載の磁場発生用磁心。
  6. 前記容器が、非磁性材料からなることを特徴とする請求項1乃至請求項の何れか1項に記載の磁場発生用磁心。
  7. 前記容器に、前記磁性粒子の出し入れが可能で、かつ、密封可能な蓋が設けられていることを特徴とする請求項1乃至請求項の何れか1項に記載の磁場発生用磁心。
  8. 前記容器に、前記磁性粒子とともに、該磁性粒子の充填量を調整するための調整素子が収納されてなることを特徴とする請求項乃至請求項の何れか1項に記載の磁場発生用磁心。
  9. 前記調整素子が回転対称形状であり、かつ、前記調整素子の直径が前記軸方向で変化してなることを特徴とする請求項に記載の磁場発生用磁心。
  10. 前記調整素子が、固形状態の磁性体であることを特徴とする請求項又は請求項に記載の磁場発生用磁心。
  11. 前記調整素子が、固形状態で、かつ非磁性材料からなることを特徴とする請求項又は請求項に記載の磁場発生用磁心。
  12. 被記録媒体表面に、電子写真方式により未定着トナー画像を形成する画像形成手段と、定着用回転体、および、該定着用回転体に当接してニップ部を形成する加圧用回転体からなり、未定着トナー画像が形成された面が定着用回転体に接するように前記被記録媒体を前記ニップ部に挿通することで、該被記録媒体表面にトナー画像を定着する定着手段と、を含む電子写真装置であって、
    前記定着用回転体および/または加圧用回転体における周面近傍に、導電性層が形成されており、該導電性層が形成された前記定着用回転体および/または加圧用回転体に近接して磁場発生手段が配され、
    該磁場発生手段が、請求項1乃至請求項11の何れか1項に記載の磁心を含むことを特徴とする電子写真装置。
  13. 前記磁心は、熱流出量が多い部位に、それ以外の部位より多くの前記磁性粒子を収容することを特徴とする請求項12に記載の電子写真装置。
  14. 前記磁心は、前記軸方向の両端部に、それ以外の部位より多くの前記磁性粒子を収容することを特徴とする請求項12又は請求項13に記載の電子写真装置。
  15. 前記定着用回転体および加圧用回転体が、それぞれロール状またはエンドレスベルト状であることを特徴とする請求項12乃至請求項14の何れか1項に記載の電子写真装置。
  16. 前記磁場発生手段から発生する磁場のうち、前記導電性層に影響を与えない漏洩磁場の少なくとも一部を遮蔽するための漏洩磁場遮蔽部材が、前記磁場発生手段の周辺に設けられ、かつ、
    前記漏洩磁場遮蔽部材が、前記磁場発生手段の周辺に設けられ、かつ該磁場発生手段より発生する磁場を遮蔽する磁場遮蔽部材であって、磁性粒子の集合体からなり、かつ、該磁性粒子の粒子状態が維持されたまま容器に充填されて構成されることを特徴とする請求項12乃至請求項15の何れか1項に記載の電子写真装置。
  17. 前記漏洩磁場遮蔽部材の前記磁性粒子が、鉄粉、フェライト粉末、およびマグネタイト粉末の少なくとも1種の粉末であることを特徴とする請求項16に記載の電子写真装置。
  18. 前記漏洩磁場遮蔽部材の前記容器に、前記漏洩磁場遮蔽部材の前記磁性粒子の出し入れが可能で、かつ、密封可能な蓋が設けられていることを特徴とする請求項16または請求項17に記載の電子写真装置。
  19. 像担持回転体と、該像担持回転体の周面に、電子写真方式により未定着トナー画像を形成する画像形成手段と、前記像担持回転体に対向配置され、前記像担持回転体との間にニップ部を形成する加圧部材と、からなり、前記ニップ部に被記録媒体を挿通させて、熱および圧力により前記被記録媒体表面にトナー画像を転写定着する電子写真装置であって、
    前記像担持回転体における周面近傍に導電性層が形成されており、
    該像担持回転体の前記ニップ部乃至その上流であって、該像担持回転体に近接して、磁場発生手段が配され、
    該磁場発生手段が、請求項1乃至請求項11の何れか1項に記載の磁心を含むことを特徴とする電子写真装置。
  20. 像担持回転体と、該像担持回転体の周面に、電子写真方式により未定着トナー画像を形成する画像形成手段と、前記像担持回転体に周内で当接し、該像担持回転体を加熱する加熱部材と、該加熱部材に前記像担持回転体を介して対向配置され、前記像担持回転体との間にニップ部を形成する加圧部材と、からなり、前記ニップ部に被記録媒体を挿通させて、熱および圧力により前記被記録媒体表面にトナー画像を転写定着する電子写真装置であって、
    前記像担持回転体における周面近傍に、および/または、前記加熱部材における前記中間転写回転体との当接部近傍に、導電性層が形成されており、
    前記像担持回転体に導電性層が形成されている場合には、該像担持回転体の前記ニップ部乃至その上流であって、該像担持回転体に近接して、前記加熱部材に導電性層が形成されている場合には、該加熱部材に近接して、磁場発生手段が配され、
    該磁場発生手段が、請求項1乃至請求項11の何れか1項に記載の磁心を含むことを特徴とする電子写真装置。
  21. 前記像担持回転体が、ロール状またはエンドレスベルト状であることを特徴とする請求項19または請求項20に記載の電子写真装置。
  22. 前記磁場発生手段から発生する磁場のうち、前記導電性層に影響を与えない漏洩磁場の少なくとも一部を遮蔽するための漏洩磁場遮蔽部材が、前記磁場発生手段の周辺に設けられ、かつ、
    前記漏洩磁場遮蔽部材が、前記磁場発生手段の周辺に設けられ、かつ該磁場発生手段より発生する磁場を遮蔽する磁場遮蔽部材であって、磁性粒子の集合体からなり、かつ、該磁性粒子の粒子状態が維持されたまま容器に充填されて構成されることを特徴とする請求項19乃至請求項21の何れか1項に記載の電子写真装置。
  23. 前記漏洩磁場遮蔽部材の前記磁性粒子が、鉄粉、フェライト粉末、およびマグネタイト粉末の少なくとも1種の粉末であることを特徴とする請求項22に記載の電子写真装置。
  24. 前記漏洩磁場遮蔽部材の前記容器に、前記漏洩磁場遮蔽部材の前記磁性粒子の出し入れが可能で、かつ、密封可能な蓋が設けられていることを特徴とする請求項22または請求項23に記載の電子写真装置。
JP2001366402A 2001-07-30 2001-11-30 磁場発生用磁心、およびこれを用いた電子写真装置 Expired - Fee Related JP4186457B2 (ja)

Priority Applications (5)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001366402A JP4186457B2 (ja) 2001-07-30 2001-11-30 磁場発生用磁心、およびこれを用いた電子写真装置
TW091103568A TWI285799B (en) 2001-07-30 2002-02-27 Magnetic core, magnetic field shield member, and electrophotographic apparatus using them
US10/083,549 US6668151B2 (en) 2001-07-30 2002-02-27 Magnetic core, magnetic field shield member, and electrophotographic apparatus using them
CNB021065772A CN1264071C (zh) 2001-07-30 2002-02-28 磁芯、磁场屏蔽部件和使用它们的电子照相装置
KR10-2002-0010962A KR100536814B1 (ko) 2001-07-30 2002-02-28 자기 코어, 자계 차폐 부재 및 이들을 사용하는 전자 사진장치

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001230149 2001-07-30
JP2001-230149 2001-07-30
JP2001366402A JP4186457B2 (ja) 2001-07-30 2001-11-30 磁場発生用磁心、およびこれを用いた電子写真装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2003115410A JP2003115410A (ja) 2003-04-18
JP4186457B2 true JP4186457B2 (ja) 2008-11-26

Family

ID=26619571

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001366402A Expired - Fee Related JP4186457B2 (ja) 2001-07-30 2001-11-30 磁場発生用磁心、およびこれを用いた電子写真装置

Country Status (5)

Country Link
US (1) US6668151B2 (ja)
JP (1) JP4186457B2 (ja)
KR (1) KR100536814B1 (ja)
CN (1) CN1264071C (ja)
TW (1) TWI285799B (ja)

Families Citing this family (20)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP1058278B1 (fr) * 1999-06-04 2012-02-29 Liaisons Electroniques-Mecaniques Lem S.A. Circuit magnétique bobine
JPWO2003039198A1 (ja) * 2001-11-01 2005-02-24 松下電器産業株式会社 加熱ローラ、像加熱装置および画像形成装置
US20040169036A1 (en) * 2001-11-01 2004-09-02 Noboru Katakabe Electromagnetic induced heating roller, heating apparatus, and image forming apparatus
US7194234B2 (en) * 2001-11-01 2007-03-20 Matsushita Electric Industrial Co., Ltd. Electromagnetic induction heat generating roller, heating device, and image forming apparatus
US7006781B2 (en) * 2001-11-14 2006-02-28 Matsushita Electric Industrial Co., Ltd. Heating roller, heating belt, image heating device, and image forming device
EP1483629B1 (en) * 2002-03-11 2008-09-24 Matsushita Electric Industrial Co., Ltd. Heating device using electromagnetic induction and fuser
JP2004079824A (ja) * 2002-08-20 2004-03-11 Fuji Xerox Co Ltd 磁心および磁場遮蔽部材、並びにこれらを用いた励磁コイル、トランス、電気機器、および電子写真装置
JP4353419B2 (ja) * 2004-02-12 2009-10-28 株式会社リコー 定着装置及び画像形成装置
EP3415999A1 (en) * 2004-10-22 2018-12-19 Canon Kabushiki Kaisha Image forming apparatus
JP4850518B2 (ja) * 2006-01-18 2012-01-11 株式会社日立製作所 電源回路及びそれを用いた映像表示装置
DE202007001541U1 (de) * 2007-02-02 2008-06-19 Neosid Pemetzrieder Gmbh & Co. Kg Induktives Bauelement, insbesondere Antenne
US20100064901A1 (en) * 2008-09-15 2010-03-18 Thermal Solutions, Inc. Rotating induction food warming device
TWI424795B (zh) * 2009-12-21 2014-01-21 Ind Tech Res Inst 電漿激發裝置
US8476562B2 (en) 2010-06-04 2013-07-02 Watlow Electric Manufacturing Company Inductive heater humidifier
CH703475B1 (fr) * 2010-07-30 2015-06-30 Swatch Group Res & Dev Ltd Procédé de réalisation d'une transmission sans contact dans un mouvement d'horlogerie.
WO2013080468A1 (ja) * 2011-12-01 2013-06-06 パナソニック 株式会社 非接触式電力伝送装置
TWM446403U (zh) * 2012-07-25 2013-02-01 Phihong Technology Co Ltd 非接觸式變壓器
CN102982958A (zh) * 2012-11-30 2013-03-20 苏州福瑞互感器有限公司 一种零温漂自补偿罗氏线圈
US11031172B2 (en) * 2015-06-18 2021-06-08 Biosense Webster (Israel) Ltd. Tracking sensor
CN111584223B (zh) * 2020-04-02 2022-02-11 湖南纳金新材料技术有限公司 一种高电阻片状软磁粉体的制备方法

Family Cites Families (16)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
GB1445143A (en) 1972-11-02 1976-08-04 Itek Corp Electrophotographic toner transfer and fusing apparatus and method
JPS50112916U (ja) * 1974-02-26 1975-09-13
JPS5495365A (en) * 1978-01-13 1979-07-27 Nippon Kinzoku Co Ltd Reactor
JPH01134385A (ja) * 1987-11-20 1989-05-26 Canon Inc 定着方法
JPH06333671A (ja) * 1993-05-19 1994-12-02 Mitsubishi Materials Corp 磁気シールドされた電磁誘導加熱器
JPH0816007A (ja) * 1994-06-28 1996-01-19 Canon Inc 加熱装置および画像形成装置
JPH0876620A (ja) 1994-09-06 1996-03-22 Canon Inc 加熱装置および画像形成装置
JPH09114265A (ja) * 1995-10-16 1997-05-02 Fuji Xerox Co Ltd 画像形成装置
JPH09197838A (ja) * 1996-01-16 1997-07-31 Minolta Co Ltd 画像形成装置
JPH09325629A (ja) * 1996-05-31 1997-12-16 Canon Inc 加熱装置および画像形成装置
JPH10122997A (ja) * 1996-10-18 1998-05-15 Nippon Seiki Co Ltd 圧力検出器
JP2000188177A (ja) 1998-12-21 2000-07-04 Fuji Xerox Co Ltd 電磁誘導加熱装置及びこれを用いた画像記録装置
JP3631024B2 (ja) * 1998-12-22 2005-03-23 キヤノン株式会社 定着装置
JP2000242108A (ja) 1999-02-19 2000-09-08 Fuji Xerox Co Ltd 加熱ベルト及びこれを用いた画像記録装置
JP3915305B2 (ja) 1999-03-16 2007-05-16 富士ゼロックス株式会社 加熱装置及び画像形成装置
JP3918567B2 (ja) * 2001-08-21 2007-05-23 富士ゼロックス株式会社 導電部材及び該導電部材を備える画像形成装置

Also Published As

Publication number Publication date
CN1264071C (zh) 2006-07-12
KR20030012800A (ko) 2003-02-12
US20030020586A1 (en) 2003-01-30
JP2003115410A (ja) 2003-04-18
US6668151B2 (en) 2003-12-23
KR100536814B1 (ko) 2005-12-14
TWI285799B (en) 2007-08-21
CN1400509A (zh) 2003-03-05

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4186457B2 (ja) 磁場発生用磁心、およびこれを用いた電子写真装置
US5568240A (en) Image heating apparatus
JP3491973B2 (ja) 加熱装置
US6937837B2 (en) Image heating apparatus having a limiting member
JP3913069B2 (ja) 加熱装置
JP2006337693A (ja) 加熱装置、定着装置、及び、画像形成装置
JP2001188430A (ja) 像加熱装置及びこれに用いる画像形成装置
US20040037597A1 (en) Magnetic core and magnetic field shield member,and excitation coil, transformer, electric equipment, and electrophotographic apparatuses using the magnetic core and the magnetic field shield member
US8811850B2 (en) Fixing device and image forming apparatus including the same
JP3452920B2 (ja) 像加熱装置及びこれを用いる画像形成装置
JP2004157513A (ja) 定着装置
US8811877B2 (en) Induction heating type fusing device and image forming apparatus employing the same
JPH0816006A (ja) 加熱装置および画像形成装置
JP3426229B1 (ja) 像加熱装置及びこれに用いる画像形成装置
JPH09305043A (ja) 加熱装置及び画像形成装置
JP3519401B1 (ja) 像加熱装置
JP2002296936A (ja) 電磁加熱を有する定着システム
JP6586741B2 (ja) 定着装置及び画像形成装置
JP5325444B2 (ja) 定着装置及びそれを備えた画像形成装置
JP4423986B2 (ja) 定着装置
EP2728418B1 (en) Fixing device preventable unevenness of heat generation of paper passing region
JP2009116040A (ja) 転写同時定着装置、及び画像形成装置
JP2007147811A (ja) 定着装置及び画像形成装置
JP2015111188A (ja) 加熱装置、定着装置及び画像形成装置
JP4250562B2 (ja) 定着装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20040915

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20071001

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20071009

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20071210

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20080422

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20080623

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20080819

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20080901

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110919

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120919

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120919

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130919

Year of fee payment: 5

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees