JP2004079824A - 磁心および磁場遮蔽部材、並びにこれらを用いた励磁コイル、トランス、電気機器、および電子写真装置 - Google Patents

磁心および磁場遮蔽部材、並びにこれらを用いた励磁コイル、トランス、電気機器、および電子写真装置 Download PDF

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長谷波 茂彦
Yasuhiro Uehara
上原 康博
Kazuyoshi Ito
伊藤 和善
Yasutaka Naito
内藤 康隆
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岡 貫示
Motofumi Baba
馬場 基文
Hideaki Ohara
大原 秀明
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Abstract

【課題】低コストで容易に、インダクタンスを設定できる磁心、および電磁界漏洩を効率的に抑制することができる磁場遮蔽部材、並びにこれらを用いた励磁コイル、トランス、電気機器を提供すること。定着あるいは転写定着に電磁誘導加熱方式を採用した電子写真装置において、装置の設計に当たっての自由度を拡張し、かつ、磁場発生手段からの磁場の漏洩を効果的に遮蔽し得る電子写真装置を提供すること。
【解決手段】▲1▼磁場発生手段の少なくとも一部に関係するために設けられ、発生磁場の電磁気特性に作用する磁気材料として、基材中に磁性粒子が分散状態で配置されて構成される磁心、▲2▼磁場を発生する磁場発生手段の周辺に設けられ、かつ該磁場発生手段より発生する磁場を遮蔽する磁場遮蔽部材であって、基材中に磁性粒子が分散状態で配置されて構成される磁場遮蔽部材、および、▲3▼これらを用いた励磁コイル、トランス、電気機器および電子写真装置である。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、磁心および磁場遮蔽部材、並びにこれらを用いた励磁コイル、トランス、電気機器、および電子写真装置に関し、特に、磁性体を設置して電磁気特性を生じせしめるコイルまたはトランスなどのインダクタンス素子に用いて好適な磁心および磁場遮蔽部材、並びにこれらを用いた励磁コイル、トランス、電気機器、および電子写真装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
インダクタンス素子である励磁コイルやトランスは、インダクタンスを有する部品として電子機器や電化製品の重要な部品の一つである。励磁コイルは、磁心にコイルが巻回されてなるものであり、一般的に電磁石とも称される。一方、トランスは、1つの磁心の異なる位置に、2つ以上のコイルが巻回されてなるものである。近年、携帯電話やPHS、携帯用のコンピュータ等の電子機器は高性能化・小型化・低コスト化される傾向にあり、それらに用いられる部品である励磁コイルやトランスにおいても、高性能化、小型化、そして低コスト化が要求されている。
【0003】
励磁コイルやトランスの大きさや性能・コストの多くは、これらに用いられている磁心(コア)により決定される。磁心材料として、実効透磁率が大きいものを用いると、励磁コイルやトランスの自己インダクタンスや相互インダクタンスを大きくすることができ、部品の小型化を実現することができる。また、励磁コイルやトランスにおいて、インダクタンスのQ値で表されるような損失量は、励磁コイルやトランスのエネルギー効率に直接関与するパラメータであり、Q値が大きいもの、すなわち損失量が小さいものが良好な性能のものとされている。
【0004】
励磁コイルやトランスの磁心材料としては、従来より、ケイ素鋼板やフェライト焼結体が用いられている。一般に、ケイ素鋼板のような金属材料は、導電性が大きいため変化する磁束中に定位されると、渦電流が生じて発熱する、所謂渦電流損失が生じる。このため、金属材料を磁心として用いるためには、金属材料を薄く形成したケイ素板を何枚も重ねた構造に磁心を形成することで渦電流損失を防いでいた。
【0005】
このようなケイ素鋼板は、高周波帯域において損失が増大する。このため、高周波帯域では、ケイ素鋼板に代えて金属酸化物材料であるフェライト焼結体が用いられていた。
【0006】
しかしながら、フェライト焼結体は、所望の形状に加工することが容易でなく、柔軟性にも乏しく高価であるといった欠点があった。そこで、フェライト粒子を樹脂中に分散させた複合材料を用いることが提案された。この複合材料は、柔軟性があり、損失も比較的小さい材料として提供できるが、透磁率が小さいために、磁心の材料としては満足のいくものではなかった。
【0007】
また、励磁コイルやトランスの磁心は、複数の部分、例えば、E型コアとI型コアとを繋ぎ合わせて1つの磁心を形成している場合がある。この場合、ほんの僅かなギャップが存在しても、磁気回路は大きく切断されていることに匹敵する。これは、ギャップが存在することで、磁心の磁気特性を悪化させるとともに、磁界の漏れが生じることで、不要電磁界漏洩の原因となっていた。励磁コイルまたはトランスが設備されている電気製品は多種多様であるが、最近では多種多様な電気製品を設計するときに、このような電気製品から漏洩する磁束による人体に対する影響を考慮する必要性が生じている。
【0008】
ところで、画像形成技術として、印刷速度が速く、印刷版をその都度用意する必要が無いことから簡単であり、種々の画像情報から直接画像を得ることができ、装置も比較的小型であり、フルカラー化も容易であること等、数多くのメリットを有することから、電子写真方式が広く普及している。
【0009】
電子写真方式を採用した画像形成装置(電子写真装置)は、一般的に、潜像坦持体表面に静電潜像を形成し、帯電されたトナーを前記潜像坦持体表面に接触させることで選択的にトナーを付着させてトナー画像を形成し、これを、中間転写体を介して、あるいは介さずに、被記録媒体に転写して、次いで熱および/または圧力等により前記トナーを被記録媒体表面に定着することで、画像を得るものである。
【0010】
かかる電子写真装置において、通常定着には、加熱ロールと加圧ロールとが当接してなる定着装置が用いられ、両者が当接して形成されるニップ部に未定着トナー画像が形成された被記録媒体を挿通することで、熱および圧力によりトナーを溶融し被記録媒体に永久画像として定着せしめている。加熱ロールおよび/または加圧ロールに代えて、エンドレスベルト状の加熱部材、加圧部材を用いることもある。加熱ロールは、内部にハロゲンランプ等の熱源を有する金属製のコアに、弾性層や離型層を設けてなるものであり、前記熱源により内部から加熱ロール表面を加熱するものである。
【0011】
定着装置においては、省エネルギーの観点や、画像形成装置の使用時にユーザーを待たせないようにする等の観点から、加熱ロール等の加熱部材を瞬時に加熱することができ、待ち時間(ウォームアップタイム)をできる限り少なくすることが望まれている。しかし、ハロゲンランプ等の熱源を内部に有する加熱ロールを採用した定着装置では、ハロゲンランプ自身の加熱にある程度時間を有すること、加熱ロールの内部から加熱することになるため表面に熱が伝わるまで時間がかかること、加熱ロールのコアとして、どうしてもある程度熱容量の大きなものを選択せざるを得ないため、全体を加熱するのに時間がかかること、等の理由からウォームアップタイムを短縮するには限界がある。また、熱源にハロゲンランプを使用すると、当該ハロゲンランプのON・OFF時に、通電電流が過渡的に流れる、いわゆるフリッカー現象が生ずるという問題点も有している。
【0012】
そこで、近年、定着装置において使用される加熱手段として、ハロゲンランプ等の熱源に代わり、電磁誘導加熱方式を利用したものが検討されている(特開2000−242108号公報等)。この方式は、導電性層を有する加熱部材に、磁場発生手段によって発生させた磁界を作用させることで、電磁誘導作用により加熱部材の加熱を行う方法であり、前記フリッカーの問題が無く、加熱対象のみを瞬時に加熱することができるので、ウォームアップタイムの短縮を図ることができる。
【0013】
かかる電磁誘導加熱方式は、加熱部材として、加熱ロールや加圧ロール等ロール状のものでも、これらのいずれかあるいは双方をエンドレスベルト状に代えたもののいずれの部材にも適用することができる。ロール状のものの場合、定着に寄与する表面近傍のみ加熱すればよく、コアを加熱する必要がないため、省エネルギーを達成することができる。一方、エンドレスベルト状のものの場合、厚みが薄いため熱容量も小さく、より一層高い次元での省エネルギー化を達成することができる。
【0014】
電子写真装置においては、以上説明したような、潜像担持体や中間転写体から未定着トナー画像が転写された被記録媒体を、別途定着装置により定着せしめる方式(以下、単に「転写定着独立方式」という場合がある。)の他、中間転写体に形成された未定着トナー画像を加熱させつつ被記録媒体に当接させ、圧力を加えることで、転写と定着とを同時に行う転写定着同時方式がある(特開昭49−78559号公報等)。当該方式においても、転写定着独立方式と同様の理由から、転写定着に際し、電磁誘導加熱方式を採用することが提案されている(特開平8−76620号公報、特開2000−188177号公報、特開2000−268952号公報等)。
【0015】
以上のように、電子写真装置において、電磁誘導加熱方式の採用が検討されているが、当該方式においては、加熱のための主要構成として磁場発生手段が含まれる。したがって、かかる電子写真装置における磁場発生手段においても勿論、渦電流損失を抑制することにより、低コストでより一層の省エネルギー化を達成することが望まれている。また、近年、電子写真装置の小型化が進んでおり、定着あるいは転写定着に電磁誘導加熱方式を採用した電子写真装置においては、磁心の形状の自由度を高め、装置の設計に当たっての自由度を拡張すること、さらには、一層の小型化を図ることが望まれている。
【0016】
電磁誘導加熱方式の磁場発生手段(コイル)に使用される、磁心の機能を有する保持部材(ボビン)として、特開2001−312164号公報には、フェライト焼結体により構成したものが開示されている。フェライト焼結体は耐熱性には優れるが、高価であり、所望の形状に加工することが容易でなく、成形性に乏しいといった欠点があった。
【0017】
さらに、電子写真装置は、オフィス等に設置されるものであるため、近接されて設置される各種機器に影響を与えないようにするため、また、人体への磁場の影響も近年叫ばれていることから、磁場発生手段からの磁場の漏洩を防ぐことが望まれていた。そのため、磁場発生手段の周辺に設ける磁場遮蔽部材として、磁場発生手段からの磁場をより一層効果的に遮蔽し得るものを採用することが望まれる。
【0018】
既述の電磁誘導加熱方式の磁場発生手段により発生する磁場を遮蔽する磁場遮蔽部材としては、特開平9−325629号公報に示されるように、非磁性で良導電の金属材料、具体的には、アルムニウム、銅、銀および金のいずれかの単一金属、またはアルムニウム、銅、銀および金の少なくとも1つを含有する合金から構成される磁場遮蔽部材が提案されている。しかしながら、金属材料を磁性部材として用いた場合、導電性が大きいため変化する磁束中に定位されると、渦電流が生じて発熱し、渦電流損失が生じてしまう。
【0019】
その他、特開2000−215974号公報に示されるように、金属酸化物材料であるフェライト焼結体を磁場遮蔽部材として用いた構成が提案されている。しかし、磁心の説明においても述べたが、フェライト焼結体は、高価であり、所望の形状に加工することが容易でなく、成形性に乏しいといった欠点があった。
【0020】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記事実を考慮して、励磁コイルやトランスに設置することにより、低コストでかつ容易に、インダクタンスを設定することができる磁心、および電磁界漏洩を効率的に抑制することができる、磁場遮蔽部材、並びにこれらを用いた励磁コイル、トランス、および電気機器を提供することを目的とする。
【0021】
また、本発明の他の目的は、定着あるいは転写定着に電磁誘導加熱方式を採用した電子写真装置において、磁場発生手段に渦電流損失が抑制され、かつ、形状の自由度が高い磁心を用いることで、低コストでより一層の省エネルギー化を達成し得るとともに、装置の設計に当たっての自由度を拡張し得る、さらには、一層の小型化を図り得る電子写真装置を提供することを目的とする。
【0022】
さらに、本発明の他の目的は、定着あるいは転写定着に電磁誘導加熱方式を採用した電子写真装置において、磁場発生手段からの磁場の漏洩を効果的に遮断し得る電子写真装置を提供することを目的とする。
【0023】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本発明は、励磁コイルまたはトランスなどのインダクタンス素子を構成する磁心やインダクタンス素子に作用する磁性材料として、何らかの基材に磁性粒子を添加して分散状態で固化したものを用いて、励磁コイルまたはトランスの電磁気特性の改善および電磁界漏洩の抑制を実現するものである。
【0024】
詳細には、本発明の磁心は、磁場発生手段の少なくとも一部に関係するために設けられ、発生磁場の電磁気特性に作用する磁気材料として、基材中に磁性粒子が分散状態で配置されて構成されることを特徴とする。
【0025】
磁心を構成する磁性材料として、基材中に磁性粒子が分散状態で配置されて構成される本発明の態様によれば、製造時、前記基材を構成する組成物に、磁性粒子の粒子状態が維持されたまま添加し、これを型に注入して成形することができるので、型の形状を適宜選定することのみで、磁心の形状を自由に設定でき、容易に所望する形状の磁心を製造することができる。
【0026】
また、本発明の磁心は、磁心材料に磁性粒子を採用し、磁性材料が粒子状態のまま維持されて配置されるので、磁心に渦電流が生じることを解消することができる。このため、渦電流により発熱する損失を解消することができる。
【0027】
前記磁性粒子は、鉄粉、フェライト粉末、およびマグネタイト粉末の少なくとも1つの粉末で構成することができる。
磁性粒子は、粒子状態を維持できればよく、その種類に限定されない。鉄粉、フェライト粉末、およびマグネタイト粉末の少なくとも1つの粉末、すなわち、単一の磁性粒子や複数の磁性粒子の組み合わせによる磁性粒子を採用すれば、磁性粒子としての特性を自在に設定することができる。
【0028】
前記基材としては、一般にマトリックス状になるものであれば、特に制限はないが、水硬性組成物を固化したものは、一般に耐熱性が極めて高く、したがって得られる磁心の耐熱性も極めて高くなる点で好ましい。その上、水硬性組成物は、増量剤として加えられる骨材に代表されるように、一般に他の成分を大量に添加することができるため、本発明においても磁性粒子の混合割合を高くすることができ、磁心に要求される透磁率を満足させることができる点でも好ましい。すなわち、基材に樹脂を用いる構成では、磁性粒子の混合割合をある一定以上高くすることが困難で、透磁率をより一層高くして高性能な磁心を得るには、水硬性組成物を固化したものを用いることが好ましい。
【0029】
ここで、本発明に用いられる「水硬性組成物」とは、水と練った時に硬化性を示す無機材料、すなわち無機質接合剤をいい、各種セメントや石膏などが挙げられる。本発明において、水硬性組成物としては、特に制限はないが、ポルトランドセメントまたは高密度水熱合成セラミックス前駆体であることが好ましい。前者は入手容易性、高強度、低コスト等の点で有利であり、後者は極めて強度が高く、軽量で、しかも寸法精度が高い点で有利であり、ともに高い耐熱性を有する。
【0030】
他の本発明の磁場遮蔽部材は、磁場を発生する磁場発生手段の周辺に設けられ、かつ該磁場発生手段より発生する磁場を遮蔽する磁場遮蔽部材であって、基材中に磁性粒子が分散状態で配置されて構成されることを特徴とする。
【0031】
励磁コイルやトランスなどのインダクタンス素子は、外部へ磁場を漏洩する場合がある。この外部へ漏洩する磁場は、インダクタンス素子の形状や設置場所によって変化する。このため、磁場遮蔽部材を基材中に磁性粒子が分散状態で配置されてなるように構成することで、効率的に磁場発生手段より発生する磁場を遮蔽することができる。
【0032】
本発明の磁場遮蔽部材における磁性粒子としては、鉄粉、フェライト粉末、およびマグネタイト粉末の少なくとも1種の粉末であることが好ましい。
前記基材としては、上記本発明の基材と同様、一般にマトリックス状になるものであれば、特に制限はないが、水硬性組成物を固化したものは、耐熱性が高い点、磁性粒子の混合割合を高くすることができ、磁場遮蔽部材に要求される透磁率を満足させることができる点で好ましい。かかる水硬性組成物としては、ポルトランドセメントまたは高密度水熱合成セラミックス前駆体であることが好ましい。
【0033】
本発明の励磁コイルは、上記本発明の磁心が、前記磁場発生手段としてのコイルの周内に設けられてなるか、および/または、上記本発明の磁場遮蔽部材が、前記磁場発生手段としてのコイルの周辺に設けられてなるものである。また、本発明のトランスは、1つの磁心の異なる位置に、2つ以上のコイルが巻回されてなるトランスであって、前記磁心が、上記本発明の磁心であるか、および/または、前記コイルのうち少なくとも1つのコイルの周辺に、上記本発明の磁場遮蔽部材が設けられてなるものである。
【0034】
磁場を発生せしめる素子には、励磁コイルまたはトランスなどのインダクタンス素子が多く、磁心を自由な形状に設定することにより、このインダクタンス素子の形状を自由に設計することが可能となる。また、励磁コイルやトランスの形状に合わせて磁場遮蔽部材の形状を自由に設計することが可能となり、これらを用いた装置全体の設計の自由度が向上する。勿論、本発明の磁心および/または磁場遮蔽部材に特有の効果も遺憾なく発揮される。
【0035】
さらに、本発明の電気機器は、少なくとも磁場発生手段を含み、上記本発明の磁心が前記磁場発生手段の少なくとも一部に関係するために設けられてなるか、および/または、上記本発明の磁場遮蔽部材が、前記磁場発生手段の周辺に設けられてなるものである。磁心や磁場遮蔽部材の設計の自由度が高いことから、電気機器全体としての設計の自由度も高いものとなる。勿論、本発明の磁心および/または磁場遮蔽部材に特有の効果も遺憾なく発揮され、電気機器としての性能を高めることも可能となる。
【0036】
一方、本発明の磁心および/または磁場遮蔽部材は、定着あるいは転写定着に電磁誘導加熱方式を採用した電子写真装置に、好適に使用することができる。採用に好適な電子写真装置の具体的な構成は、以下に示す▲1▼および▲2▼の態様である。
【0037】
▲1▼ 被記録媒体表面に、電子写真方式により未定着トナー画像を形成する画像形成手段と、定着用回転体、および、該定着用回転体に当接してニップ部を形成する加圧用回転体からなり、未定着トナー画像が形成された面が定着用回転体に接するように前記被記録媒体を前記ニップ部に挿通することで、該被記録媒体表面にトナー画像を定着する定着手段と、を含む電子写真装置であって、
前記定着用回転体および/または加圧用回転体における周面近傍に、導電性層が形成されており、該導電性層が形成された前記定着用回転体および/または加圧用回転体に近接して磁場発生手段が配されてなる電子写真装置。
【0038】
この場合には、前記磁場発生手段において、本発明の磁心を好適に使用することができる。また、前記磁場発生手段から発生する磁場のうち、前記導電性層に影響を与えない漏洩磁場の少なくとも一部を遮蔽するために、本発明の磁場遮蔽部材を、前記磁場発生手段の周辺に設けることも好ましい。勿論、前記磁場発生手段において本発明の磁心を使用し、さらに本発明の磁場遮蔽部材を、前記磁場発生手段の周辺に設けることも好ましい態様である。
前記定着用回転体および加圧用回転体としては、ロール状、エンドレスベルト状から任意に選ばれるいずれの組み合わせであってもよい。
【0039】
▲2▼ 像担持回転体と、該像担持回転体の周面に、電子写真方式により未定着トナー画像を形成する画像形成手段と、該加熱部材に前記像担持回転体を介して対向配置され、前記像担持回転体との間にニップ部を形成する加圧部材と、からなり、さらに必要に応じて、前記像担持回転体に周内で当接し、該像担持回転体を加熱する加熱部材を有し、前記ニップ部に被記録媒体を挿通させて、熱および圧力により前記被記録媒体表面にトナー画像を転写定着する電子写真装置であって、前記像担持回転体における周面近傍に、および/または、前記加熱部材における前記像担持回転体との当接部近傍に、導電性層が形成されており、
前記像担持回転体に導電性層が形成されている場合には、該像担持回転体の前記ニップ部乃至その上流であって、該像担持回転体に近接して、前記加熱部材に導電性層が形成されている場合には、該加熱部材に近接して、磁場発生手段が配されてなる電子写真装置。
【0040】
この場合にも、前記磁場発生手段において、本発明の磁心を好適に使用することができる。また、前記磁場発生手段から発生する磁場のうち、前記導電性層に影響を与えない漏洩磁場の少なくとも一部を遮蔽するために、本発明の磁場遮蔽部材を、前記磁場発生手段の周辺に設けることも好ましい。勿論、前記磁場発生手段において本発明の磁心を使用し、さらに本発明の磁場遮蔽部材を、前記磁場発生手段の周辺に設けることも好ましい態様である。
前記像担持回転体としては、ロール状およびエンドレスベルト状のいずれであってもよい。
【0041】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施形態の一例を詳細に説明する。
〔第1の実施形態〕
まず、容易かつ低コストでインダクタンス素子に利用可能で高い透磁率を実現することが可能な本発明の磁心に関する第1の実施形態について説明する。
【0042】
図1は、本発明の磁心を用いた励磁コイル(本発明の励磁コイル)の正面図である。この励磁コイル100は、一般にボビンと称される保持部材102にコイル104が巻回されて構成される。この保持部材102に本発明の磁心が用いられている。
すなわち、保持部材102は、基材中に磁性粒子が分散状態で配置されて構成されている。ここで本発明に特徴的な磁性粒子および基材について詳細に説明する。
【0043】
(磁性粒子)
磁性粒子には、微細な粉末のほか、ある程度の粒径を有する粒状物が含まれる。すなわち、その粒径としては、ごく微細なものから、一般に粒子としては大きな径に含まれる鉄くずの如きものまで、広く選択することができる。具体的には、0.1μm〜1mm程度の広い範囲の粒径の粒子の中から、任意に選択することができる。ただし、入手容易性、流動性、取り扱い性等の観点から、粒径の下限としては、1μm以上が好ましく、5μm以上がより好ましい。同様に粒径の上限としては、500μm以下が好ましく、200μm以下がより好ましい。
【0044】
粒子の形状としては、特に制限されずあらゆる形状のものを選択することができ、例えば球形、針状、塊状、偏平状、ポーラス状、不定形等、あるいはこれらの形状が混在したものを挙げることができる。なかでも、球形のものが、入手性、流動性の観点から好ましい。
【0045】
前記磁性粒子としては、具体的には、鉄粉、フェライト粉末、およびマグネタイト粉末を好適なものとして挙げることができ、これらは1種単独で用いてもよいが、複数混合して用いてもよい。単一の磁性粒子や、複数の磁性粒子の組み合わせによる磁性粒子を採用すれば、磁性粒子としての特性を自在に設定することができる。
【0046】
例えば、磁性粒子としては、産業用として利用されているものを使用することができる。具体的には、例えば、パウダーテック社から製品化されている電子写真用の鉄粉キャリアやフェライトキャリアが好適である。鉄粉キャリアとしては、還元鉄粉、アトマイズ鉄粉、切削くず等あるいはそれを粉砕して粒度調整した鉄粉、もしくはその表面がごく薄い鉄の酸化被膜で被覆された酸化被膜鉄粉を用いたものが挙げられる。電気抵抗を調節するため、これら鉄粉の表面に各種樹脂をコーティングした樹脂被覆鉄粉も知られている。フェライトキャリアとしては、MO・M’O(Fe(ここでM、M’は金属元素、a,b,xは整数を示す)で代表されるソフトフェライト、例えばNi−Znフェライト、Mn−ZnフェライトあるいはCu−Znフェライト等の粉状フェライト等が挙げられる。
【0047】
他の磁性粒子としては、粉末冶金用鉄粉、ショット用鉄粉、脱酸素剤用鉄粉、カイロ用鉄粉、化学還元用鉄粉、溶接棒用鉄粉、粉末切断用鉄粉、脱酸素剤、その他ゴムやプラスチックスに充填する鉄粉などが挙げられる。
【0048】
本発明において、磁性粒子は、粒子状態が維持されたまま水硬性組成物中に添加し、これを型等に入れて水硬性組成物を固化させて成形する。ここで、「粒子状態が維持」とは、磁性粒子個々が粒子として物理的に独立した状態であることを意味し、加熱等により融合して個々の粒子状態が消失してしまったような状態は、含まない。
【0049】
本発明における磁性粒子は、磁心の材料とするために、以下の磁気的性質および電気的性質のものを選択することが望ましい。
<磁気的性質>
・飽和磁化は10〜500emu/g
・残留磁化は15emu/g以下
・保磁力は500e以下
・比透磁率は2〜100
<電気的性質>
・電気抵抗は10Ωcm以上(250ボルト印加時)
【0050】
これらの仕様の磁性粒子を用いて磁心を構成することで、例えば、インダクタンス素子として、コイルまたはトランスを構成する磁心の一部に設置して、その磁気的、電気的特性を狙いの範囲に調整することが可能である。また、磁性粒子を採用し、磁性材料が粒子状態のまま維持されているので、磁心に渦電流が生じることが解消される。
【0051】
本発明の磁心において、磁性粒子の混合割合は、特に限定されず、90%以下(0<x≦90 上限は90%以下で、下限値はインダクタンス値により、決定されるため、0%より多ければ良い。)の範囲内から、磁心として求められる特性に応じて決定すればよい。本発明の磁心において、基材に後述の固化した水硬性組成物を用いた場合、磁性粒子の混合割合を高くすることが可能であり、その場合には、磁性粒子の混合割合として、体積比で、60〜90%の範囲とすることが好ましく、65〜75%の範囲とすることがより好ましい。
【0052】
本実施形態においては、パウダーテック社の鉄粉キャリアTSV―35を用いた。鉄粉キャリアTSV−35の特性を以下に示す。
・粒度 : 45〜75(μm)
・電流値 : 20〜75(μamp)
・飽和磁化 : 170〜195(emu/g)
・樹脂コート : なし
【0053】
(基材)
本発明に用いられる基材としては、一般にマトリックス状になるものであれば、特に制限はなく、流動状態で前記磁性粒子の粒子状態が維持されたまま添加され、これを型に注入して成形することができるような材料から、適宜選択される。例えば、各種分野において「結着樹脂」として用いられる樹脂材料は勿論のこと、有機材料、無機材料の別は問わず、上記機能を有するあらゆる材料を前記基材の材料として採用することができる。中でも、水硬性組成物は、成形容易性、低コスト、高耐熱性等の優れた利点を有し、基材の材料として特に好適なものである。本実施形態においては、基材の材料として、この水硬性組成物を用いている。
【0054】
かかる水硬性組成物としては、いわゆる無機質接合剤であれば、如何なる材料を用いても構わず、広義の意味で水硬性セメントと称されるものが全て包含される。具体的には、例えば、ポルトランドセメント、アルミナセメント、シリカセメント、ポゾランセメント、フライアッシュセメント、ローマンセメント、高炉セメント、水硬性石灰、石膏等が挙げられる。本発明において、水硬性組成物としては、特に制限はないが、ポルトランドセメントまたは高密度水熱合成セラミックス前駆体であることが好ましい。ポルトランドセメントは入手が容易であり、高強度のものが容易に成形でき、かつ、低コストであるといったメリットを有する。一方、高密度水熱合成セラミックス前駆体により成形される高密度水熱合成セラミックスは、極めて強度が高く、乾燥収縮も起き難いので寸法精度が高いといったメリットを有する。水硬性組成物が固化することにより得られる成形物は、一般的に高い耐熱性を有し、これら好ましい2つの物についても勿論高い耐熱性を有する。
【0055】
水硬性組成物として使用されるポルトランドセメントは、一般的な普通ポルトランドセメントの他、早強ポルトランドセメント、超早強ポルトランドセメント、中庸熱ポルトランドセメント、高酸化鉄型ポルトランドセメント、耐硫酸塩ポルトランドセメント等の各種ポルトランドセメントがあるが、本発明において、いずれも好適に用いられる。また、公知の各種添加剤が添加されたものであっても構わない。
【0056】
水硬性組成物としてポルトランドセメントを使用した場合に添加することが可能な添加剤や、成形方法については、以下に説明する高密度水熱合成セラミックス前駆体と同様である。ただし、高密度水熱合成セラミックス前駆体を固化させたものは研削加工も容易であるが、ポルトランドセメントを固化させたセメント成形体は、一般的には研削加工に適さない。水セメント比等の各種条件も、公知の使用方法の範疇で、目的に応じて適宜選択すればよい。
【0057】
水硬性組成物として使用される高密度水熱合成セラミックス前駆体は、水硬性粉体、非水硬性粉体および加工性改良剤ならびに必要に応じて添加する種々の添加物からなるものである。当該高密度水熱合成セラミックス前駆体は、加圧成形した後水熱合成し、必要に応じて機械加工および表面処理して形成することで高密度水熱合成セラミックスとなる。必要に応じて添加される種々の添加物としては、補強、増量、成形性改良、撥水等の目的で添加し混合する添加物を指し、例えば、補強や増量の目的で添加し混合する骨材などを、必要に応じて添加してもよい。
【0058】
前記水硬性粉体とは、水により硬化する粉体を指し、例えば珪酸カルシウム化合物粉体、カルシウムアルミネート化合物粉体、カルシウムフルオロアルミネート化合物粉体、カルシウムサルフォアルミネート化合物、カルシウムアルミノフェライト化合物粉体、リン酸カルシウム化合物粉体、半水または無水石膏粉体、自硬性を有する生石灰粉体、これら粉体の2種類以上の混合物粉体等を例示することができる。その代表例として、例えば既述のポルトランドセメントのような粉体を挙げることができる。
【0059】
当該水硬性粉体の粒度分布については、成形体の強度に関する水硬性能の確保上、ブレーン比表面積が2500cm/g以上であることが好ましい。また、高密度水熱合成セラミックス前駆体において、かかる水硬性粉体の配合量は、水硬性粉体および非水硬性粉体の総量100質量%に対し50〜90質量%とするが、65〜75質量%とすることが好ましい。配合量が50質量%未満の場合には、強度および充填率が低くなり、また90質量%を越える場合には、成形体を得る場合の充填率が低くなり、いずれの場合においても成形、硬化後の諸性質、例えば機械加工時における欠けを生じさせたり、寸法安定性に悪影響を及ぼす可能性があるため好ましくない。
【0060】
前記非水硬性粉体とは、単体では水と接触しても硬化することのない粉体を指すが、アルカリ性もしくは酸性状態、あるいは高圧蒸気雰囲気において、その成分が溶出し、他の既溶出成分と反応して生成物を形成する粉体も含む。このような非水硬性粉体を添加することによって、成形体の成形時の充填率を高め、得られる成形体の空隙率を減少することが可能となり、成形体の寸法安定性を向上することができる。
【0061】
当該非水硬性粉体の代表例としては、例えば、水酸化カルシウム粉末、二水石膏粉末、炭酸カルシウム粉末、スラグ粉末、フライアッシュ粉末、珪石粉末、粘土粉末、シリカフューム粉末等を挙げることができる。これらの非水硬性粉体の平均粒径は、水硬性粉体の平均粒径の1/10以下とすることが好ましく、より好ましくは1/100以下にする。一方、細かさの下限については、最終的に得られる成形品の効果を害することがなければ、特に設ける必要はない。
【0062】
高密度水熱合成セラミックス前駆体において、かかる非水硬性粉体の配合量は、水硬性粉体および非水硬性粉体の総量100質量%に対し10〜50質量%とするが、25〜35質量%とすることが好ましい。上下限を外れた場合の影響は、水硬性粉体の配合量のところで述べた通りである。したがって、機械加工性等を考慮すると、充填率が低くなり過ぎないように非水硬性粉体の配合量を調節することが望ましい。
【0063】
前記加工性改良剤とは、水硬性組成物から得られる成形体の成形性、脱型性、切削・研削性、研削精度の向上、特に切削・研削性、研削精度の向上に寄与する性質を有する材料を指す。即ち、加工性改良剤を添加することによって、水硬性組成物からなる混合物は、加圧成形時において加工性改良剤が成形助剤としての役割を果たし成形性が向上する。また、加工性改良剤によりセメント系硬化体の脆さが改良され、得られる成形体が脱型時に何ら損傷を受けることなく脱型され、ひいては作業性の向上につながる。さらに、概して脆性材料である水硬性組成物から得られる成形体は、切削の際に「亀裂型」メカニズムの切削状態を呈するが、加工性改良剤を添加することによって、切削の際にも材料の割れあるいは欠け(微視的な現象も含む)が防止できるようになり、水硬性組成物から得られた成形体の加工性を金属材料レベルまで改良することができ、旋盤等による切削加工、円筒研削機等による研削加工が金属材料と同等に行えるようになる。これらの加工が行えることにより所望の寸法に対してμmオーダーの精密な加工が行えるようになる。
【0064】
かかる加工性改良剤としては、酢酸ビニル樹脂、酢酸ビニル−アクリル共重合樹脂、酢酸ビニル−ベオバ共重合樹脂、酢酸ビニル−マレート共重合樹脂、酢酸ビニル−エチレン共重合樹脂、酢酸ビニル−エチレン−塩化ビニル共重合樹脂、アクリル−スチレン共重合樹脂、アクリル−シリコーン共重合樹脂、およびエポキシ樹脂から選ばれた少なくとも1種類以上の樹脂からなる粉末もしくはエマルジョンを例示することができる。
【0065】
高密度水熱合成セラミックス前駆体において、かかる加工性改良剤の配合量は、水硬性粉体と非水硬性粉体との混合粉体100質量部に対し、乾ベースで2〜18質量部とし、好ましくは5〜15質量部である。配合量が2質量部未満の場合には切削加工性が悪くなり、18質量部を超える場合には研削精度の低下と研削後の寸法安定性が低下するので、それぞれ好ましくない。
【0066】
当該加工性改良剤の粒度としては、分散した単一粒子径で1μm以下のものが一般的である。高密度水熱合成セラミックスを製造するには、ポルトランドセメント等の水硬性粉体と、シリカフューム等の非水硬性粉体と、アクリル樹脂等の加工性改良剤と、その他の添加物とからなる混合粉体(高密度水熱合成セラミックス前駆体)に、既述の磁性粒子、および、水硬性粉体および非水硬性粉体の混合粉体の100質量部に対して30質量部以下または理論水和量未満の水を混合して成形用混合物を調製する。混合には成形用混合物に強力な剪断力を加えることができる混合方法若しくは混合機械を用いることが好ましい。また、混合後に、成形する形状に適した大きさに造粒するのも好ましい。この場合の造粒方法としては、転動造粒法、圧縮造粒法、攪拌造粒法、スプレードライ法等の周知の方法を用いることができる。
【0067】
このようにして得られた成形用混合物を加圧成形して成形するが、所望の形状の型を用意し、静水圧プレス、多軸プレス、1軸プレス等による加圧によって成形する。この場合の加圧条件としては、計算される理論密度にできる限り近づけるようにプレス圧が高いほど好ましいが、その下限値については混合物の易成形性、水の含有割合あるいは必要とされる寸法精度の違い等によって、大きく異なる。加圧成形後、蒸気養生あるいはオートクレーブ中で蒸気養生する。なお、硬化体を形成するための水量が欠如または不足している場合には、オートクレーブ中で蒸気養生することが好ましい。
【0068】
本発明に用いられる高密度水熱合成セラミックス前駆体により得られる高密度水熱合成セラミックスは、磁性粒子が含まれない状態では、例えば、住友大阪セメント株式会社から製品化されている、ジーマ(商品名)等が挙げられ、これに磁性粒子を分散・固定化したものが、好適なものとして例示できる。
【0069】
本実施形態において用いた成形用混合物の組成は、以下の通りである。
・ポルトランドセメント : 32質量%
・シリカヒューム : 14質量%
・アクリル樹脂 : 4質量%
・水 : 11質量%
・骨材(8号) : 11質量%
・磁性粒子 : 28質量%(鉄粉キャリアTSV−35)
【0070】
上記成形用混合物を用いて加圧成形し、保持部材102を作製した。保持部材102の形状は、直径17mmφ、長さ360mmの円筒形状のものとした。得られた保持部材102における磁性粒子の混合割合は、体積比で、75%であった。保持部材102は、磁性粒子の粒子状態が維持されたまま水硬性組成物内に添加され、分散状態で配置されて構成されたものである。
【0071】
なお、保持部材102の形状としては、本実施形態においては円筒形状であるが、本発明においてはこれに限定されるものではなく、目的に応じて各種形状を選択することができる。例えば、楕円筒形、直方体形、三角柱形あるいは六角柱形、その他任意の形状を、使用条件、設置場所、求める磁気特性に応じて、適宜選定することができる。
【0072】
また、例えば図2に示す形状の保持部材(磁心)102’のように、コイル104’が巻回される領域の末端部分で拡径する段差を設けて、コイル104’を巻回しやすく、かつ、コイル104’の保持が確実となるようにするのも好ましい態様である。本発明の磁心は、このように複雑な形状であっても、所望の形状の型を用いることで、容易にその形状とすることができる。特に、本実施形態のように、基材の材料として水硬性組成物、とりわけ高密度水熱合成セラミックス前駆体を用いれば、研削により、より精密な形状とすることができる。ここで、図2は、本実施形態の変形例である、本発明の磁心を用いた励磁コイル(本発明の励磁コイル)の他の一例を示す正面図である。この励磁コイル100’は、保持部材102’にコイル104’が巻回されて構成される。この保持部材102’に本発明の磁心が用いられている。
本実施形態において、励磁コイル100に巻回されたコイル104の巻き線としては、線径が0.3mmで60本撚りのリッツ線を用い、巻回数は125回とした。以上のようにして、本発明の磁心を用いた励磁コイルが得られる。
【0073】
このように、本実施形態によれば、製造時、水硬性組成物に、磁性粒子の粒子状態が維持されたまま添加し、これを型に注入して成形することができるので、型の形状を適宜選定することのみで、磁心の形状を自由に設定でき、容易に所望する形状の磁心を製造することができる。
【0074】
また、磁心材料として、ケイ素鋼板やフェライト焼結体などの金属材料を用いた場合、導電性が大きいために渦電流が生じて発熱する損失(所謂渦電流損失)が生じる。このため、金属材料を薄く形成して何枚も重層構造に成形するなどの回避策が必要であったが、本実施形態の磁心は、磁心材料に磁性粒子を採用し、磁性材料が粒子状態のまま維持されて配置されるので、磁心に渦電流が生じることを解消することができ、その結果、渦電流により発熱する損失を解消することができる。このように、磁性粒子を用いた磁心材料を利用することで、高周波数帯域における損失を減少させることができる。
【0075】
さらに、水硬性組成物を固化したものは、一般に耐熱性が極めて高く、したがって本発明の磁心の耐熱性も極めて高い。その上、水硬性組成物は、増量剤として加えられる骨材に代表されるように、一般に他の成分を大量に添加することができるため、本発明においても磁性粒子の混合割合を高くすることができ、磁心に要求される透磁率を満足させることができる。
【0076】
次に、上記磁性粒子充填量による電磁気的性質の作用を説明する。ここでは、図1に示す磁心100を用い、磁性粒子として球状で体積平均粒径75μm(分布として40〜105μm)のものを用いた場合を例に挙げて説明する。
【0077】
励磁コイルとして、コイルコア(磁心)を有する場合(本実施形態の場合)と有さない場合との双方について、印加する信号周波数とインダクタンスとの関係を求めた。図3に、その実験結果を示した。なお、「コイルコアを有さない場合」は、保持部材102の代わりに、同形状の樹脂製の棒状体を用いた励磁コイルを用いて試験を行った。
【0078】
図3においては、コイルに所定周波数(本実施形態では、1,15,25,50,100kHzの6種類の周波数)の信号を印加したときのインダクタンスを求め、最小自乗法などで補完した特性が示されている。また、図3において、グラフLbはコイルコア(磁心)を有する場合の特性であり、グラフLaはコイルコア(磁心)を有しない場合の特性である。
【0079】
図3から理解されるように、特性La、Lb共に、印加する信号周波数の増加に伴ってインダクタンスは減少する傾向にある。コイルコアを有しないときの特性Laはインダクタンスが微減傾向にあるが、コイルコアを有するときの特性Lbは特性Laに比べてインダクタンスの変動傾向が顕著に現れる。
【0080】
上記説明した磁心を有するインダクタンス素子の一例である励磁コイルやトランス(トランスについての実施形態は後述するが、ここではトランスについても併せて説明する。)を適用できる電気機器には、電磁コイルを使用している電気機器、高周波回路またはインバーター回路を利用した電気機器、モータ機器などの電気機器(以上、本発明の電気機器)が挙げられる。
【0081】
例えば、電磁コイルを使用している機器の一例には、テレビ、ビデオデッキ、電動シェーバー、電動歯ブラシ、洗浄便座、冷蔵庫、ファクシミリ、ハンドミキサー、換気扇、電動ミシン、電動鉛筆削り器、CDプレイヤー、洗濯機、乾燥機、扇風機、ジューサーミキサー、ルームエアコン、空気洗浄機、電子写真複写機、ファックス機、自動販売機、電磁バルブ等がある。
【0082】
また、高周波回路またはインバーター回路を利用した機器の一例には、電磁調理器、電子レンジ、PHS、ポケットベル、携帯電話、コードレス電話、デスクトップ型パーソナルコンピュータ、ノートブック型パーソナルコンピュータ、ワードプロセッサー、ゲーム機、加湿器、蛍光灯、アンプやチューナー等のオーディオ機器等がある。
【0083】
また、モータには、サーボモーター、パルスモーターやステッピングモーターがあり、これらのモータを有する機器の一例には、腕時計、置き時計、掛け時計、ストップウォッチ等のクオーツ発振式時計、ペースメーカー、カメラ、ビデオデッキ、ビデオカメラ、MD、CD、CD−R、CD−RW、FD、PDおよびMO等の回転型記憶媒体を扱う機器、定量ポンプ等がある。
【0084】
さらに、その他の電気機器の一例としては、電子機器用ACアダプター、レーザー型、熱転写型およびドットインパクト型プリンター、ブラウン管型、液晶型およびプラズマ型ディスプレイ、GPSナビゲーション機器、磁気検出センサー、補聴器、充電装置等がある。
【0085】
本実施形態において、磁心としての保持部材102は、既述の如く、磁性粒子の混合割合や全体の形状を自由に変えることが可能であり、必要とされる大きさ、形状に容易に形成することができる。したがって、磁性粒子を、励磁コイルまたはトランスを構成する磁心の一部に用いることで、インダクタンス素子を用いた回路設計の自由度が増加する。また、製造時水硬性組成物中に均一に分散することができるので、磁心の中央部や両端等で透磁率にバラツキを生じることがなく、均質な磁心を、さらには均質な励磁コイルまたはトランスを得ることができる。
【0086】
このように、本実施形態では、さまざまな形状に容易に成形することができ、励磁コイルやトランスの磁心の一部に設置するだけで、励磁コイルやトランスのインダクタンスを広範囲にわたって自由に設計することができ、さらに、磁性粒子自体が適度な電気抵抗を有しているので、高周波帯域においても、いわゆる誘導加熱による自己発熱の問題も極めて少なく、よって高周波数帯域においても損失が少なく、実効透磁率を高めることができる。
【0087】
〔第2の実施形態〕
次に、容易かつ低コストで電磁界漏洩を抑制する機能を発現し得る本発明の磁場遮蔽部材に関する第2の実施形態について説明する。
【0088】
上記第1の実施形態では、励磁コイルまたはトランスなどのインダクタンス素子を構成する磁心の一部に、基材中に磁性粒子が分散状態で配置されたものを用いてこれを設置して、励磁コイルまたはトランスの電磁気特性を改善する例を説明したが、基材中に磁性粒子が分散状態で配置されたものを、電磁界漏洩を抑制する機能を発現するものとして利用することも可能である。例えば、磁心を有するコイルやトランスにのみならず、巻線のみによる空心のコイルまたはトランス、さらには永久磁石等の磁場発生手段の周囲に、電磁界漏洩を遮蔽する磁場遮蔽部材として、同様に基材中に磁性粒子が分散状態で配置されたもの(すなわち本発明の磁場遮蔽部材)を利用することが可能である。
【0089】
インダクタンス素子等の磁場発生手段は、電磁界漏洩を伴うことがある。しかし、インダクタンス素子を設置する部位には、余剰空間が少ない場合や形状的に自由度が少ない場合がある。そこで、この電磁界漏洩を遮蔽する磁場遮蔽部材として、本発明の磁場遮蔽部材を用いることで、磁性粒子の混合割合や形状を適宜調節することが可能な自由度の高い磁場遮蔽部材とすることができる。
【0090】
例えば、磁心と巻線で構成されたコイルまたはトランスを組み立てたときに、電磁界漏洩を遮蔽するために、ホルダー(保持部材)の形状を、予め電磁界漏洩を遮蔽する部位を設けておき、ホルダー(磁心)と磁場遮蔽部材とを兼ねる構造とすることもできる。
【0091】
図4は、本実施形態に係る磁場遮蔽部材を磁場発生手段の周辺に設けた状態を示す模式断面図である。図4において、200は磁場遮蔽部材であり、磁場発生手段202より発生する漏洩磁場204を遮蔽する機能を有するものである。ここで磁場発生手段202としては、励磁コイルやトランス等のインダクタンス素子の他、永久磁石等が挙げられ、さらにこれらを内蔵する各種電気・電子機器が全て包含される。磁場発生手段202においては、それ自身の機能を発現する為に、磁場の形成が勿論必要なのであるが、装置設計上、その機能の発現に影響を与えない箇所にも磁場が漏洩しやすい。そのような漏洩磁場204を遮蔽する機能を発現するものが、本実施形態の磁場遮蔽部材200である。
【0092】
磁場遮蔽部材200は、基材中に磁性粒子が分散状態で配置されて構成され、薄板曲面状の形状に成形されている。本実施形態においては、第1の実施形態と同様、基材として、固化した水硬性組成物を用いている。磁場遮蔽部材200の磁場発生手段202と対向する面は、磁場発生手段202を取り囲むような曲面状を成しており、磁場発生手段202から生ずる漏洩磁場204を有効に遮蔽することができるようになっている。勿論本発明においては、磁場遮蔽部材200の形状は、このように曲面状のものには限定されず、平板状、箱型、舟形、コの字型、山形、ドーム状、屋根型等、さらに、これらを組み合わせた形状等、あらゆる形状のものを、漏洩磁場の漏洩の仕方、装置の余剰空間、磁場発生手段の形状等を考慮して適宜選択することができる。
【0093】
本実施形態において使用できる磁性粒子の種類、性状(形状、磁気的性質、電気的性質)、混合割合、並びに、基材や水硬性組成物の種類、性状、組成等については、第1の実施形態において説明したものと同様である。磁場遮蔽部材200の厚みは、漏洩磁場の強度により適宜調整すればよい。
【0094】
本実施形態によれば、電磁界漏洩を効果的に抑制ないし遮蔽することができ、装置全体としての小型化を損なうことなく、容易かつ安価に性能向上を図ることができる。さらに、本実施形態の磁場遮蔽部材を用いた磁束漏洩の抑制の方法は、各種の電気機器に適用することにより、容易かつ安価に、漏洩磁束密度を減少させることができる。
【0095】
上記説明した磁場遮蔽部材を用いたインダクタンス素子の一例である励磁コイルやトランス(後述)を適用できる電気機器は、第1の実施形態の項で説明した各種電気機器(本発明の電気機器)と同様である。
【0096】
〔第3の実施形態〕
次に、容易かつ低コストで高い透磁率を実現することが可能な本発明の磁心、並びに、容易かつ低コストで電磁界漏洩を抑制する機能を発現し得る本発明の磁場遮蔽部材を用いた、インダクタンス素子に関する第3の実施形態について説明する。本実施形態は、インダクタンス素子としてのトランスを例示する。
【0097】
図5は、本発明の磁心を用いたトランス(本発明のトランス)の模式断面図である。本実施形態のトランスは、トランス本体600が容器610に収容されてなるものである。トランス本体600は、コの字型の保持部材602対向する2辺に、1次コイル604aおよび2次コイル604bの2つのコイルが巻回されて構成される。また、容器610は、1面が開口した直方体形の函体606と、これに嵌合して開口面を閉止する蓋体608とから構成される。本実施形態では、この保持部材602に本発明の磁心が、また、容器610に本発明の磁場遮蔽部材が、それぞれ用いられている。
【0098】
すなわち、保持部材602、函体606および蓋体608は、基材中に磁性粒子が分散状態で配置されて構成されている。このとき用いた(さらには用いるに好適な)基材や磁性粒子は、第1および第2の実施形態と同様であるため、その詳細な説明は省略することとする。
【0099】
本実施形態のトランスでは、1次コイル604aの両端に所定の電圧を印加することで、2次コイル604bの両端から変圧された電圧を取り出すことができるように構成される。図5においては、この各コイルの端子は省略されているが、各コイルの両端が容器610の外部から導通できるように構成されている。
【0100】
本実施形態では、既述の如く保持部材602として本発明の磁心を用いているため、コの字型のように複雑な形状であっても容易に成形することができ、トランスとしての設計の自由度を高めることができる。また、磁心に渦電流が生じることを解消することができ、それによる発熱損失を解消することができる。
【0101】
保持部材602の断面形状としては、特に制限されるものではなく、円形、楕円形、矩形、その他多角形、不定形等いずれでもよいが、一般的には矩形または円形のものが用いられる。全体形状としては、本実施形態ではコの字型としているが、これもその形状に限定されるものではなく、U字形、円弧形、棒状体等いずれの形状でも構わない。さらに、本実施形態では2つのコイルが巻回された状態の例を挙げているが、入力側および/または出力側の電圧や、電圧の分配割合を選択できるように、巻回数の同じあるいは異なる3以上のコイルが巻回されていてもよい。
【0102】
トランス本体600では、インピーダンス素子として機能するに際して、磁心である保持部材602の両端部から磁界が生じ、磁場が漏洩する。本実施形態では、この磁場を実質的に完全に遮断すべく、トランス本体600を容器610に収容することで、トランス本体600を取り囲む状態で磁場遮蔽部材が設けられ状態となっている。
【0103】
本実施形態では、既述の如く容器610として本発明の磁場遮蔽部材を用いているため、電磁界漏洩を効果的に抑制ないし遮蔽することができ、装置全体としての小型化を損なうことなく、容易かつ安価に性能向上ことができる。なお、本実施形態では、説明のため簡素な形状の容器610を例示したが、装置全体としての小型化の要求に応えるべく、複雑な形状が望まれる場合にも、本発明の磁気遮蔽部材を採用している本実施形態の構成によれば、形状の自由度が高いため容易に所望の形状に成形することができる。
【0104】
〔第4の実施形態〕
次に、本発明の磁心を用いたインダクタンス素子を、電気機器として電子写真装置に適用した場合を説明する。本実施形態では、特に、電子写真装置における定着装置に本発明の磁心を適用した場合について説明する。なお、本実施形態は、上記実施形態とほぼ同様の構成のため、同一部分には同一符号を付して詳細な説明を省略する。
【0105】
一般的に電子写真装置は、被記録媒体表面に、電子写真方式により未定着トナー画像を形成する画像形成手段と、未定着トナー画像が形成された前記被記録媒体表面にトナー画像を定着する定着手段と、を含む。
従来から、複写機、プリンター等における加熱定着型の記録装置には、トナーに代表される被定着材を被記録材料に加熱定着させるための定着手段に定着装置が用いられている。定着装置の加熱方式として、ハロゲンランプ等のランプで加熱するランプ方式と、交番磁界を磁性導体に鎖交させて渦電流を発生させることで加熱する電磁誘導加熱方式とがある。
【0106】
電磁誘導加熱方式の定着装置は、渦電流により発生するジュール熱を利用することにより熱ロール等の被加熱材を直接加熱することができるため、ランプ方式に比べて高効率の加熱を実現できる利点がある。
【0107】
本実施形態においては、この電磁誘導加熱方式の定着装置を定着手段に用いた例を示す。また、本実施形態においては、定着装置として、定着用回転体および加圧用回転体の双方にロール状の部材を用いた、いわゆるロール−ロールニップ型の定着装置を適用した例を挙げている。
【0108】
図6は、本実施形態の電子写真装置を示す概略構成図である。この電子写真装置は、一様帯電後に像光を照射することにより表面に潜像が形成される円筒状の感光体ドラム301を備えており、この感光体ドラム301の周囲に、感光体ドラム301の表面を一様に帯電させる帯電装置302と、感光体ドラム301に像光を照射して表面に潜像を形成する露光装置303と、感光体ドラム301表面の潜像にトナーを選択的に転移させてトナー像を形成する現像装置304と、感光体ドラム301表面に形成されたトナー像を記録材305に転写し未定着像を形成する転写装置306と(以上、画像形成手段)、該未定着像を加熱定着する定着装置307と、感光体ドラム301表面に残留したトナーを回収するクリーニング装置308を備える。定着装置307は、磁性金属(例えば、鉄)で形成された芯金に離型性樹脂からなる離型層が形成されている加熱ロール307aと、これに圧接配置され未定着トナーを加圧定着する加圧ロール307bとから構成されている。
【0109】
図7には、定着装置307の概略構成図を示した。定着装置307は、磁性金属(例えば、鉄)で形成された加熱ロール(定着用回転体)307aの内部に、この加熱ロール307aに対して熱エネルギーを供給する誘導加熱コイル(磁場発生手段)としての励磁コイル100が配置されている。この励磁コイル100は、第1の実施形態で示した励磁コイルと同一のものである。したがって、第1の実施形態と同一の符号を付して、その詳細な説明は、省略することとする。
【0110】
なお、本実施形態においては、電磁誘導により渦電流を生じさせて発熱する導電性層は、磁性金属で形成された加熱ロール307a自身となっている。本発明においては、定着用回転体の周面近傍に、導電性層が形成されていることが必須となる。定着用回転体としての基体の周面に別途導電性層が形成されていてもよいが、本実施形態のように、基体自身が導電性層を構成しても構わない。勿論、いずれの場合においても、これら導電性層の表面に、さらに別途、本実施形態のように離型層や、弾性層等他の層が形成されていても構わない。導電性層が別途形成される場合の導電性層やその他の層については、後述の実施形態の中で説明するものと同様である。
また、その場合の基体としては、発熱に寄与しないので特に制限されず、各種プラスチック材料、金属、セラミック材料、ガラス材料等を問題無く使用することができる。
【0111】
ここで、本発明で規定する「周面近傍」とは、電磁誘導により導電性層が発熱した際に、周面に他の層が形成されている場合であっても当該周面にその熱が伝わり、周面の温度が、定着(または転写定着)に十分な程度になり得る程度の近傍であることを意味する。したがって、「周面近傍」を規定する周面からの深さについては、各種条件により大きく変動し、一律に具体的な数値を示し得るものではない。また、基体自身が導電性層を構成し、周面に他の層が形成された状態においては、周内に当該導電性層が露出した状態となるが、この場合も周面からの状態のみに着目して「周面近傍」であるか否かが判断される。
【0112】
加圧ロール307bは、加熱ロール307aに圧接しており、両者間に形成されたニップ部に、未定着トナーが形成された記録紙(被記録媒体)305を、当該未定着トナーが形成された面が加熱ロール307aに接するように挿通させることにより、トナー画像を定着させる。高周波電源310には、コイル104の導入端309aと導出端309bとが接続され、励磁コイル100に高周波電流を供給する。すなわち、高周波電源310は、励磁コイル100に高周波電流を供給するためのものである。
加熱ロール307aと励磁コイル100との間隙は、小さくなるように構成されている(本実施形態においては1.0mm)。その励磁コイル100に高周波電流を流し、加熱ロール307aを直接加熱するものである。
【0113】
次に、本実施形態の定着装置307の動作を説明する。図示しないスイッチを操作すると、高周波電源310が励磁コイル100に高周波電流を供給する。励磁コイル100は、供給された高周波電流に応じて高周波磁界を発生する。これにより、磁性金属で形成された加熱ロール307aは、生成消滅を繰り返す交番磁束内に置かれるため、加熱ロール307a中に磁界の変化を妨げる磁界を生じるように渦電流が発生する。この渦電流と、加熱ロール307aが有する電気抵抗によってジュール熱が発生し、加熱ロール307aが加熱される。
【0114】
このように、本実施形態の定着装置307では、加熱ロール307aと励磁コイル100との間隙は小さくなるように形成されているため、励磁コイル100への電磁誘導発熱効率を向上させることができる。
【0115】
このように、本実施形態では、定着装置において発生させる熱に寄与する磁性材料として、基材中に磁性粒子が分散状態で配置されて構成されるものを用いているので、磁心を、ひいては磁場発生手段をさまざまな形状に容易に成形したり製造したりすることができる。したがって、定着装置の設計にあたっての自由度を拡張することができる。さらに本定着装置では、磁心が熱の発生に寄与しており、磁心自体が高温に晒されるが、磁心を構成する基材として固化した水硬性組成物を用いているため、発生する熱に対して十分な耐熱性を磁心に持たせることができる。
【0116】
また、本実施形態では、定着装置において発生させる熱に寄与する磁性材料として磁性粒子を用い、かつ、磁性材料が粒子状態のまま維持されて固定されているので、磁心に渦電流が生じることを解消することができ、渦電流により発熱する損失を解消することができる。すなわち、エネルギー効率の高い電子写真装置を得ることができる。
【0117】
〔第5の実施形態〕
次に、電気機器からの電磁界漏洩を抑制する機能を発現し得る本発明の磁場遮蔽部材を、定着装置の電磁遮蔽に適用した電子写真装置に関する第5の実施形態について説明する。なお、本実施形態は、上記実施形態とほぼ同様の構成のため、同一部分には同一符号を付して詳細な説明を省略する。
【0118】
既述の如く、一般的に電子写真装置は、被記録媒体表面に、電子写真方式により未定着トナー画像を形成する画像形成手段と、未定着トナー画像が形成された前記被記録媒体表面にトナー画像を定着する定着手段と、を含む。本実施形態においても、第4の実施形態と構成は異なるが、電磁誘導加熱方式の定着装置を定着手段に用いた例を示す。
【0119】
本実施形態においては、定着装置として、定着用回転体および加圧用回転体の双方にロール状の部材を用いた、いわゆるロール−ロールニップ型の定着装置を適用した例を挙げている。なお、定着装置以外の構成は、本発明において特に限定されないため、本例においては、電磁誘導加熱方式の定着装置50についてのみ、図8を参照して説明する。
【0120】
図8は本実施形態にかかる定着装置50の全体構成を示す概略断面図である。定着装置50は、加熱ロール(定着用回転体)52(40mmφ)と加圧ロール(加圧用回転体)54(40mmφ)とを備えた構成となっている。加圧ロール54は、加圧機構(図示せず)によって加熱ロール52に対して圧接されて、一定のニップ幅を有するようにニップ部が形成されており、加熱ロール52は駆動モータ(図示せず)により所定方向(図8の矢印W方向)に駆動され、加圧ロール54は従動で所定方向(図8の矢印U方向)に回転するようになっている。加熱ロール52の材質は鉄を用いており、肉厚0.5mmとしている。加熱ロール52表面には、フッ素樹脂等の離型層が被覆されている。本実施形態では、ロール材質として鉄を用いているが、そのほか、ステンレス、アルミニウム、ステンレスとアルミニウムとの複合材等でもよい。
【0121】
加圧ロール54は、芯金の周囲にシリコーンゴムあるいはフッ素ゴム等が被覆されて構成されている。これら加熱ロール52と加圧ロール54との圧接部(ニップ部)である定着ポイントを、未定着トナー画像が形成された用紙(被記録媒体)Pが通過する(ニップ部に挿通される)ことで、この用紙P上のトナーを融着圧着して定着するようになっている。このとき、勿論、未定着トナーが形成された面が加熱ロール52に接するようにニップ部に挿通される。
【0122】
加熱ロール52の周りには、加熱ロール52と加圧ロール54との接触位置(ニップ部)よりも回転方向下流側に順に、用紙Pを加熱ロール52から剥離させる剥離爪56、加熱ロール52表面にオフセットされたトナーや紙屑等のごみを除去するクリーニング部材58、磁場発生手段としての誘導加熱装置64、オフセット防止用離型剤を塗布する離型剤塗布装置60、および加熱ロール52の温度検出をするサーミスタ62が設けられている。
【0123】
当該装置において、加熱原理は誘導加熱装置64による電磁誘導加熱方式を用いている。誘導加熱装置64は、コイル66から構成されており、加熱ロール52の外周面に配置されている。コイル66は、線径0.3mmの銅線材を用いており、お互いに絶縁された線材を複数本束ねたリッツ線として構成されている。リッツ線にすることで浸透深さよりも線径を小さくすることができ、交流電流を有効に流すことが可能となる。本実施形態では、0.5mmφの線材を16本束ねている。リッツ線の被覆は、耐熱性のポリアミドイミドを用いている。コイル66は、加熱ロール52表面に対向する状態で近接配置され、磁場発生手段として機能する。
また、コイル66における加熱ロール52側の反対側には、磁場遮蔽部材68が近接配置されている。磁場遮蔽部材68の詳細動作は後述する。
【0124】
本実施形態においても、加熱ロール52は磁性金属で形成されており、当該加熱ロール52自身が、電磁誘導により渦電流を生じさせて発熱する導電性層となる。勿論、本発明においては、第4の実施形態と同様、別途導電性層が形成されていても構わないし、これら導電性層の表面に、さらに別途弾性層や離型層等他の層が形成されていても構わない。
【0125】
コイル66は励磁回路(インバーター回路)72に接続されており、励磁回路72からコイル66に印加される高周波電流で発生する磁束によって、磁界の変化を妨げるように、磁性金属で形成された加熱ロール52に、磁束と渦電流を発生させる。この渦電流と加熱ロール52の抵抗とによってジュール熱が発生し、加熱ロール52が加熱される。本実施形態では、コイル66に周波数20kHz、出力900Wの高周波電流を印加した。加熱ロール52の表面温度は、180℃に設定し、制御される。表面温度をサーミスタ62によって検知し、フィードバック制御によって加熱ロール52の加熱を行っている。このとき、ロール全体の温度分布を均一にするため、加熱ロール52および加圧ロール54は回転している。各ロールを回転させることでロール全面に一定の熱量を与えている。
【0126】
この加熱ロール52の表面温度が180℃に達すると画像形成動作(いわゆるコピー動作)が開始し、加熱ロール52と加圧ロール54との圧接部(ニップ部)である定着ポイントを、未定着トナー画像が形成された用紙Pが通過することで、この用紙P上のトナーを融着圧着して定着する。また、励磁回路72への電流は、加熱ロール52表面に圧接された温度ヒューズであるサーモスタット70を介して供給される。このサーモスタット70は、加熱ロール52の許容可能な表面温度が予め設定されており、許容温度を超えた異常温度に達すると励磁回路72に供給する電流を遮断するものである。
【0127】
図9に、本実施形態における加熱ロール52と誘導加熱装置64とを簡略的に示した斜視図を示す。図9に示すように、コイル66(図9では点線で示す)が、加熱ロール52の外周面に対向する状態で配置されている。加熱ロール52とコイル66との距離(間隙)は、1mmに設定されている。このコイル66は空芯コイルとして構成され、このコイル66における加熱ロール52側の反対側には、磁場遮蔽部材68が近接配置されている。磁場遮蔽部材68は、コイル66を覆う状態で近接配置されており、固化した水硬性組成物中に磁性粒子が分散状態で配置されたもの(すなわち本発明の磁場遮蔽部材)を利用している。本実施形態において用いた磁場遮蔽部材の具体的な組成は、第1の実施形態における磁心100と同様のものとした。
【0128】
本実施形態では、コイル66と磁場遮蔽部材68との距離(間隙)は5mmに設定している。磁場遮蔽部材68を配置することによって加熱ロール52の外周に近接して空芯コイル(すなわちコイル66)を配置しても、外部に漏れる磁場(導電性層として機能する加熱ロール52に影響を与えない漏洩磁場の少なくとも一部)が遮蔽される。このため、電磁漏洩により生じるノイズ等の問題を解消することができる。また、磁場遮蔽部材68を配置することによって、コイル66自身が加熱ロール52側以外に磁場を発生させても問題にならないので、コイル66として、成形が容易なコイルを用いることができる。
【0129】
一方、磁場遮蔽部材68がなく、加熱ロール52の外周に近接して誘導加熱装置64を配置する場合は、定着装置50の外側に磁場が漏れないような形状の芯材をコイル66の内部に配置しなければならず、コイル66の形状が制限されたり、芯材を複雑な形状にしなければならない。本実施形態では、磁場遮蔽部材68は、誘導加熱装置64と全く別に配置すればよく、誘導加熱装置64に依存しない。また、コイル66を複雑な形状にする必要がないので、コスト上昇を招くこともない。なお、本実施形態では、磁場遮蔽部材68の形状として円周面に対応する曲面形状の場合を説明したが、このような曲面形状に限定されるものではなく、平板やその他の形状であっても遮蔽効果を得ることができる。
【0130】
このように磁場遮蔽部材68を配置することによって、コイル66を加熱ロール52の外周に近接して配置しても、コイル66における加熱ロール52の反対側である外部に磁場が漏れ出すことがない。これにより、誘導加熱装置64を加熱ロール52の内側に入れる必要がなく、加熱ロール52内の輻射熱によってコイル66が発熱して劣化したり、磁心が発熱して特性が劣化して熱効率が低下することがない。
【0131】
本実施形態では、磁場遮蔽部材とコイル66の距離を、5mmに設定した場合を説明したが、コイル66に磁場遮蔽部材を接触させた構成でも効果を得られることは言うまでもない。
【0132】
このように、本実施形態では磁場遮蔽部材として、基材中に磁性粒子が分散状態で配置されたものを用いているので、さまざまな形状に容易に成形することができ、磁場遮蔽部材を容易に製造できる。したがって、これら部品の小型化を損なうことなく、容易かつ安価に定着装置、さらには電子写真装置の性能向上を図ることができる。また、本定着装置では、磁場遮蔽部材が近接するコイルや加熱ロールが熱の発生に寄与しており、磁場遮蔽部材が高温に晒されるが、磁場遮蔽部材を構成する基材として固化した水硬性組成物を用いているため、発生する熱に対して十分な耐熱性を磁場遮蔽部材に持たせることができる。
なお、磁束漏洩の抑制は、各種の電気機器においても求められており、これらに本発明の磁場遮蔽部材を適用することにより、容易かつ安価に、漏洩磁束密度を減少させることができる。
【0133】
〔第6の実施形態〕
次に、本発明の磁心を用いたインダクタンス素子を適用するとともに、電磁界漏洩を抑制する機能を発現し得る本発明の磁場遮蔽部材を、定着装置の電磁遮蔽に適用した電子写真装置に関する第6の実施形態について説明する。
【0134】
既述の如く、一般的に電子写真装置は、被記録媒体表面に、電子写真方式により未定着トナー画像を形成する画像形成手段と、未定着トナー画像が形成された前記被記録媒体表面にトナー画像を定着する定着手段と、を含む。本実施形態においても、第4および第5の実施形態と構成は異なるが、電磁誘導加熱方式の定着装置を定着手段に用いた例を示す。
【0135】
本実施形態においては、定着装置として、定着用回転体にエンドレスベルト状の部材を用い、加圧用回転体にロール状の部材を用いた、いわゆるベルト−ロールニップ型の定着装置を適用した例を挙げている。なお、定着装置以外の構成は、本発明において特に限定されないため、本例においては、電磁誘導加熱方式の定着装置についてのみ、図10を参照して説明する。
【0136】
本実施形態における定着装置は、ウォームアップタイムの短縮化、および被記録媒体の剥離性能の確保を目的とし、定着用回転体としては、熱容量の小さい柔軟(フレキシブル)なエンドレスベルト状の部材を使用し、このエンドレスベルト状の部材の内部には、熱を奪う部材を極力少なくする(極力部材を配設しない)ように構成されている。すなわち、上記ベルト状の部材(加熱ベルト)の内部には、加圧部材に対向して、定着ニップ部を形成する弾性層を有するパッド部材(押圧部材)のみしか、基本的には設けない構成を採用している。また、加熱対象となるエンドレスベルト状の部材を直接加熱できるように、当該部材に導電性層を持たせ、磁場発生手段が発生する磁界によって誘導加熱させる方式を用いている。
【0137】
図10は、本実施形態における定着装置を示す概略構成図である。
図10において、401は定着用回転体としての加熱ベルトを示すものであり、この加熱ベルト401は、導電性層を有する無端状のベルトから構成されている。このように、本発明において「定着用回転体」には、既述のロール状のものの他、エンドレスベルト状のものが含まれる。なお、「加圧用回転体」においても、ロール状、エンドレスベルト状の双方が含まれる。
【0138】
上記加熱ベルト401は、図11に示すように、その内側から、耐熱性の高いシート状部材からなる基体層402と、当該基体層402の上に積層された導電性層403と、最も上層となる表面離型層404の少なくとも3層を基本に備えている。本実施形態では、加熱ベルト401として、シート状の基体層402と、導電性層403と、表面離型層404の3層からなる直径30mmφの無端状のベルトが使用されている。
【0139】
上記加熱ベルト401の基体層402は、例えば、厚さ10〜100μm、さらに好ましくは厚さ50〜100μm(例えば、75μm)の耐熱性の高いシートであることが好ましく、例えばポリエステル、ポリエチレンテレフタレート、ポリエーテルサルフォン、ポリエーテルケトン、ポリサルフォン、ポリイミド、ポリイミドアミド、ポリアミド等の耐熱性の高い合成樹脂からなるものが挙げられる。
【0140】
また、本実施形態では、図12に示すように、無端状のベルトからなる加熱ベルト401の両端部を、エッジガイド405に突き当てることによって、当該加熱ベルト401の蛇行を規制して使用するように構成されている。ここで、図12は、筒状となっている加熱ベルト401の一方の端部開口をエッジガイド405に突き当てることで規制している状態を説明するための、拡大説明図である。図示は省略されているが、加熱ベルト401の他方の端部開口にも、同様のエッジガイド(以下、単に「不図示のエッジガイド」という場合がある。)が突き当てられている。
【0141】
このエッジガイド405は、加熱ベルト401の内径よりも若干小さな外径を有する円筒状部406と、該円筒状部406の端部に設けられたフランジ部407と、該フランジ部407の外側に突設された円筒状あるいは円柱状の保持部408と、から構成されている。上記エッジガイド405および不図示のエッジガイドは、フランジ部407の内壁面と、加熱ベルト401の他方の端部開口に突き当てられている不図示のエッジガイドにおけるフランジ部の内壁面と、の間の距離が、加熱ベルト401の軸方向に沿った長さよりも若干長くなるように、当該加熱ベルト401の両端部が摺動可能で、かつ装置に固定された状態で配設されている。そのため、加熱ベルト401における基体層402としては、加熱ベルト401の(図10における矢印A方向への)回転中に、ニップ部以外の部分では、直径30mmφの円形状を保ち、加熱ベルト401の端部がエッジガイド405に突き当たった場合でも、この加熱ベルト401に座屈等が生じない程度の剛性を有する必要があり、例えば、厚さ50μmのポリイミド製のシートが使用されている。
【0142】
導電性層403は、後述の磁場発生手段によって生じる磁界の電磁誘導作用により、誘導発熱する層であり、鉄、コバルト、ニッケル、銅、クロム等の金属層を1〜50μm程度の厚みで形成したものが用いられる。ただし、本実施形態では、後述するパッドと加圧ロールとで形成されるニップ部の内部で、加熱ベルト401が当該ニップ部の形状に倣う必要があるため、フレキシブルなベルトである必要があり、導電性層403は、可能な限り薄層にすることが好ましい。
【0143】
本実施形態では、導電性層403として、導電率の高い銅を、発熱効率が高くなるように5μm程度のごく薄い厚さで、上述のポリイミドからなる基体層402の表面に蒸着させたものが用いられている。
【0144】
表面離型層404は、被記録媒体である用紙409表面に転写された未定着トナー画像410と直接接する層であるため、離型性の良い材料を使用することが望まれる。この表面離型層404を構成する材料としては、例えば、テトラフルオロエチレンパーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、シリコーン樹脂、またはこれらの複合層等が挙げられる。表面離型層404は、これらの材料のうちから適宜選択されたものを、1〜50μmの厚さで加熱ベルト401の最上層として設けたものである。この表面離型層404の厚さは、薄すぎると、耐磨耗性の面で耐久性が悪く、加熱ベルト401の寿命が短くなってしまい、逆に厚すぎると、加熱ベルト401全体としての熱容量が大きくなり、ウォームアップタイムが長くなってしまうため、それぞれ望ましくない。
【0145】
本実施形態では、耐磨耗性と、加熱ベルト401全体としての熱容量とのパランスを考慮して、加熱ベルト401の表面離型層404として、厚さ10μmのテトラフルオロエチレンパーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)が使用されている。
【0146】
上記の如く構成される加熱ベルト401の内部には、例えば、シリコーンゴム等の弾性層411を有する押圧部材としてのパッド部材412が設けられている。本実施形態では、パッド部材412として、ゴム硬度がJIS―K6253のA型で35°のシリコーンゴムからなる弾性層411を、ステンレス・鉄等の金属や、耐熱性の高い合成樹脂等からなる剛性を有する支持部材413に積層したものが用いられている。上記シリコーンゴムからなる弾性層411は、例えば、均一な厚さのものが使用される。また、上記パッド部材412の支持部材413は、図示しない定着装置のフレームに固定された状態で配置されているが、弾性層411が所定の押圧力で後述する加圧ロール414の表面に圧接するように、図示しないスプリング等の付勢手段によって、加圧ロール414の表面に向けて押圧されていてもよい。
【0147】
そして、上記定着装置は、パッド部材412と加熱ベルト401を介して対向する部分に、加圧用回転体としての加圧ロール414が設けられている。この加圧ロール414は、当該加圧ロール414とパッド部材412とで加熱ベルト401を挟持した状態に保持してニップ部415を形成し、当該ニップ部415を未定着トナー画像410が転写された用紙409を通過させることにより、熱および圧力で未定着トナー画像410を用紙409上に定着して、定着画像を形成するようになっている。
【0148】
上記加圧ロール414として、本実施形態では、直径26mmφの中実の鉄製ロール416の表面に、表面離型層417として、厚さ30μmのテトラフルオロエチレンパーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)を被覆した加圧ロールが使用されている。
【0149】
また、加圧ロール414には、図10に示されるように、熱伝導性の良いアルミニウムやステンレス等の金属からなる金属ロール418が、離接可能に設けられている。この金属ロール418は、定着装置に通電が開始された朝一番など、加熱ベルト401や加圧ロール414の温度が冷えているときには、加圧ロール414から離れた位置に停止している。そして、上記定着装置において、例えば、小サイズ用紙を連続して定着処理した場合など、当該定着装置が使用されるに連れて、加熱ベルト401や加圧ロール414において軸方向に沿った温度差が生じたときには、金属ロール418を加圧ロール414と当接させるように構成されている。なお、上記金属ロール418は、加圧ロール414に当接した際に、当該加圧ロール414と従動するようになっている。本実施形態では、金属ロール418として、直径10mmφのアルミニウム製の中実ロールが使用されている。
【0150】
本実施形態では、上記加圧ロール414は、図示しない加圧手段により、加熱ベルト401を介してパッド部材412に押圧された状態で、図示しない駆動手段によって回転駆動されている。
【0151】
定着用回転体である加熱ベルト401は、加圧ロール414の回転に従動して、循環移動するものである。そこで、本実施形態では、加熱ベルト401とパッド部材412との間に、摺動性を良好なものにするため、耐摩擦性が強く、摺動性の良いシート材、例えばフッ素樹脂を含浸させたガラス繊維シート(中興化成工業:FGF400−4等)を介在させ、さらに潤滑剤として、シリコーンオイルなどの離型剤を、加熱ベルト401の内面に塗布することで、摺動性を向上させるように構成されている。このようにすることで、実際の加熱時において、加圧ロール414の空回転時の駆動トルクを、約6kg・cmから約3kg・cmにまで低減することができる。したがって、加熱ベルト401は、加圧ロール414と滑ること無く従動し、加圧ロール414の矢印B方向への回転速度と等しい速度で循環移動することが可能となっている。
【0152】
上記加熱ベルト401は、上述したように、その軸方向の両端部において、図12に示すように、エッジガイド405により軸方向の動きが規制されており、当該加熱ベルト401の蛇行などの発生が防止されている。
【0153】
本実施形態では、導電性層を有する薄肉の加熱ベルトを、磁場発生手段が発生する磁界によって誘導加熱するように構成されている。
磁場発生手段420は、加熱ベルト401の回転方向と直交する方向を長手方向とする横長に、かつ曲線状に形成された部材であり、加熱ベルト401と0.5mm〜2mm程度のギャップを保持して、加熱ベルト401の外側に設置されている。この磁場発生手段420は、本実施形態では、コイル421と、該コイル421の中心部に設けられる磁心423とで構成される励磁コイル430、および、該励磁コイル430を保持するコイル支持部材422から形成されている。また、励磁コイル430に対して加熱ベルト401の反対側には、磁場遮蔽部材424が設けられている
【0154】
コイル421としては、例えば、相互に絶縁された直径0.5mmφの銅線材を16本束ねたリッツ線を直線状に、所定の本数だけ並列的に配置したものが用いられる。
【0155】
このコイル421には、図13に示すように、励磁回路425によって、所定の周波数の交流電流が印加され、これにより、当該励磁コイル430の周囲には変動磁界Hが発生し、この変動磁界Hが、加熱ベルト401の導電性層403を横切るときに、電磁誘導作用によって、その磁界Hの変化を妨げる磁界を生じるように、加熱ベルト401の導電性層403に渦電流Bが生じる。コイル421に印加する交流電流の周波数は、例えば、10〜50kHzに設定されるが、本実施形態では、交流電流の周波数が30kHzに設定されている。すると、この渦電流Bが加熱ベルト401の導電性層403を流れることにより、当該導電性層403の抵抗に比例した電力(W=IR)でジュール熱が発生し、定着用回転体である加熱ベルト401を加熱する。
【0156】
コイル支持部材422としては、耐熱性のある非磁性材料を用いるのが望ましく、例えば、耐熱ガラスや、ポリカーボネート等の耐熱性樹脂が用いられる。
【0157】
コイル421の中心部には、本発明の磁心である磁心423が設けられている。磁心423は、固化した水硬性組成物中に磁性粒子が分散状態で配置されたものである。当該磁心423は、形状が異なることを除いては、第1の実施形態において説明したものと同様のものが適用される。本実施形態の磁心423は、直方体形状であり、磁性粒子が均一に分散・配置され、かつ、該磁性粒子の粒子状態が維持された磁心となる。しかも形状を自由に変えることが可能であり、必要とされる大きさ、形状に容易に形成することができる。したがって、本実施形態によれば、磁場発生手段420の設計の自由度が増加する。なお、磁性粒子の詳細についても、第1の実施形態において説明したものと同様のものが適用される。
【0158】
また、磁性粒子を用いることにより、磁性粒子自体が適度な電気抵抗を有しているので、高周波帯域においても、いわゆる誘導加熱による自己発熱の問題も極めて少なく、よって高周波数帯域においても損失が少なく、実効透磁率を高めることができる。
【0159】
本実施形態においては、磁心423を設けることで、励磁コイル421で発生する磁束を効率よく集めることが出来、加熱効率を上昇させることができる。そのため、コイル421に交流電流を印加する高周波電源の周波数を下げたり、コイル421の巻き数を減少させたりすることが可能となり、電源の小型化、励磁コイル430の小型化、コストダウンを実現することができる。
【0160】
一方、本実施形態において、磁場遮蔽部材424は、本発明の磁場遮蔽部材が用いられる。磁場遮蔽部材424は、励磁コイル430で発生した磁束を集めて、磁路を形成するものであり、効率の良い加熱を可能とすると同時に、磁束が定着装置外に漏れて、周辺部材が不本位に加熱されるのを防止するためのものである。
【0161】
当該磁場遮蔽部材424は、励磁コイル430を覆う状態で近接配置されたカバー状の容器の内部に、磁性粒子が充填されて構成される。磁場遮蔽部材424の具体的な構成は、第5の実施形態と同様である。
【0162】
このように、本実施形態では、磁場遮蔽部材として固化した水硬性組成物中に磁性粒子が分散状態で配置されたものを用いているので、さまざまな形状に容易に成形することができ、磁場遮蔽部材を容易に製造できる。したがって、これら部品の小型化を損なうことなく、容易かつ安価に定着装置、さらには電子写真装置の性能向上を図ることができる。
【0163】
なお、コイル支持部材422と磁心423とを一体化して、これを基材中に磁性粒子が分散状態で配置されたもので形成することもできる。この場合、コイル支持部材422が磁場遮蔽部材の機能を有するため、磁場遮蔽部材324は不要となる。すなわち、磁心と磁場遮蔽部材とが一体化して、励磁コイルを保持するコイル支持部材の機能をも併せ持たせることができる。本発明で用いる材料(基材中に磁性粒子が分散状態で配置されたもの)は、自由な形状のものを容易に作製することができ、しかも形状保持性も有することから、このように複雑な形状の部品(磁心と磁場遮蔽部材とが一体化した部品)でも容易かつ低コストで作製することができる。
【0164】
以上の構成において、本実施形態における定着装置では、次のように、ウォームアップタイムを殆どゼロにすることができるとともに、良好な定着性を得ることができ、しかも剥離不良が生じるのを確実に防止することが可能となっている。
【0165】
すなわち、本実施形態に係る定着装置では、図10に示すように、加圧ロール414が100mm/sのプロセススピードで、図示しない駆動源により矢印B方向に回転駆動される。また、加熱ベルト401は、加圧ロール414に圧接しており、当該加圧ロール414の移動速度と等しい100mm/sの速度で循環移動するようになっている。
【0166】
そして、上記定着装置では、図10に示すように、図示しない転写装置により、未定着トナー画像410が形成された用紙409が、当該未定着トナーが形成された面が加熱ベルト401に接するように、加熱ベルト401と加圧ロール414との間に形成されたニップ部415を通過し、当該ニップ部415内を用紙409が通過する間に、加熱ベルト401と加圧ロール414とによって加熱および加圧されることにより、未定着トナー画像410がトナー画像として用紙409表面に定着されるようになっている。
【0167】
その際、上記定着装置では、加熱ベルト401の温度が、励磁コイル421に流す高周波電流の周波数などにより、定着動作時は、ニップ部415の入口において、180℃〜200℃程度に制御される。
【0168】
本実施形態における定着装置では、画像形成信号が入力されると同時に、加圧ロール414が回転を開始するとともに、励磁コイル421に高周波電流が通電される。励磁コイル421には、例えば、有効電力として700Wの電力が投入されると、加熱ベルト401の温度は、誘導加熱作用によって、室温から約2秒で定着可能温度に達する。すなわち、用紙409が給紙トレイから定着装置まで移動するのに要する時間内に、ウォームアップが完了してしまうことになる。よって、上記定着装置においては、ユーザーを待たせること無く、定着処理が可能となる
【0169】
いま、上記定着装置のニップ部415に、60g/m程度の薄紙に、カラーのベタ画像などトナーが多量に転写された用紙409が進入した場合には、トナーと加熱ベルト401表面の表面離型層404との間で、引き付け合う力が強くなり、加熱ベルト401の表面から用紙409を剥離するのが難しくなるのが通常である。しかし、本実施形態の構成では、加熱ベルト401の形状がニップ部415の外では凸形状であるのに対して、ニップ部415の内部では凹形状となっている。すなわち、ニップ部415の内部では、用紙409は、加圧ロール414側に巻き付く方向であり、かつニップ部415の出口部では、加熱ベルト401の方向が凹形状から凸形状に急激に変化するため、用紙409は、当該用紙409自体のこし(剛性)により、加熱ベルト401の形状の急激な変化についていくことができず、加熱ベルト401から自然に剥離される。そのため、本実施形態における定着装置では、用紙409の剥離不良の問題が生じるのを確実に防止することができる。
【0170】
また、小サイズの用紙409を連続して定着した場合には、非通紙領域の加熱ベルト401、パッド部材412および加圧ロール414などの温度が上昇してしまうが、加圧ロール414側に設けた金属ロール418を、加圧ロール414の表面に当接させることにより、加圧ロール414の高温部の熱を金属ロール418によって吸収することができ、その熱を低温部に移動させるので、軸方向での温度分布は小さくなる方向に移動し、加圧ロール414の温度および加熱ベルト401の温度は、ある温度以上の高温になるのを防止することができる。
【0171】
さらに、当該定着装置は、ニップ部415における加熱ベルト401側に、厚さ65μmの加熱ベルト401を挟んで、弾性層411を有するため、定着時にトナーを包み込んで定着する効果が得られ、良好なカラー画質が得られる。
また、より良好なカラー画質を得るために、加熱ベルト401の導電性層403と表面離型層404との間に数10μmのシリコーンゴムなどの弾性層を設けてもよい。
【0172】
以上、第4〜第6の実施形態においては、電子写真装置における定着装置に本発明の磁心および/または磁場遮蔽部材を用いた各例を挙げたが、本発明の電子写真装置は、上記各例の構成に限定されるものではなく、本発明の構成を具備する限り、公知の知見により、各種構成の変更、追加を行うことができる。
【0173】
例えば、第4あるいは第5の実施形態における加圧用回転体としての加圧ロールを、エンドレスベルト状の加圧部材(加圧ベルト)として、ロール−ベルトニップ型の定着装置としたり、第6の実施形態における加圧用回転体としての加圧ロールを、エンドレスベルト状の加圧部材(加圧ベルト)として、ベルト−ベルトニップ型の定着装置としたり、等の変更を加えることができる。
【0174】
また、各実施形態に挙げられた個々の構成を任意に組み合わせて適用することもできる。例えば、第6の実施形態における加圧ロールに配された金属ロールを、第4あるいは第5の実施形態における加圧ロールに対して配することもできる。
【0175】
さらに、第4〜第6の実施形態においては、全て定着用回転体のみを加熱する構成のものを例に挙げたが、加圧用回転体について予備的に加熱する構成としても構わない。このときの加熱方式は、一般的なハロゲンランプ等の熱源による加熱でも構わないし、電磁誘導加熱方式であっても構わない。電磁誘導加熱方式の場合には、勿論、本発明の磁心や磁場遮蔽部材を適用することができ、この場合であって、定着用回転体側には本発明の磁心や磁場遮蔽部材を適用しなくても、本発明の電子写真装置と位置付けられる。
【0176】
なお、本実施形態においては、本発明の磁心および磁場遮蔽部材のいずれか一方もしくは双方が配されてなる例を3つ挙げたが、これらの例において、本発明の電子写真装置においては、本発明の磁心および磁場遮蔽部材のいずれか一方のみ配されてなるものであれば足り、双方とも配されることが要求されるものではない。
【0177】
〔第7の実施形態〕
最後に、本発明の磁心を用いたインダクタンス素子を適用するとともに、電磁界漏洩を抑制する機能を発現し得る本発明の磁場遮蔽部材を、転写定着装置の電磁遮蔽に適用した、いわゆる転写定着同時方式の電子写真装置に関する第7の実施形態について説明する。
【0178】
図14は、第7の実施形態である電子写真装置を示す概略構成図である。
この電子写真装置は、主として、像担持回転体と、画像形成手段と、加熱部材および加圧部材からなる転写定着部とから構成される。
像担持回転体は、本実施形態では、画像形成手段により周面に未定着トナー画像が形成される中間転写ベルト505であり、一次転写ロール506、テンションロール509および駆動ロール510によって、張架されている。なお、本実施形態においては、像担持回転体として、エンドレスベルト状のものを用いたが、本発明においてはロール状のものを用いても構わない。
【0179】
画像形成手段は、表面に静電電位の差による潜像が形成される感光体ドラム501を備えており、この感光体ドラム501の周囲に、感光体ドラム501表面をほぼ一様に帯電する帯電装置502と、感光体ドラム501に各色信号に応じたレーザー光を照射して潜像を形成する露光装置(レーザースキャナ)503およびミラー513等からなる露光部と、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの4色のトナーをそれぞれ収容し、感光体ドラム501表面の潜像を各色トナーにより可視化して未定着トナー画像を形成する回転式の現像装置504と、中間転写ベルト505を挟んで感光体ドラム501と対向するように配置され、感光体ドラム501表面の未定着トナー画像を中間転写ベルト505に転写する一次転写ロール506と、転写後の感光体ドラム表面を清掃するクリーニング装置507と、感光体ドラム501の表面を除電する除電ランプ508と、から構成される。
【0180】
転写定着部は、一次転写ロール506および駆動ロール510とともに中間転写ベルト505を張架するように配置されたテンションロール509と、中間転写ベルト505を挟むようにテンションロール509と対向して配置された、加圧部材である加圧ロール511と、から構成され、中間転写ベルト505と加圧部材との間にニップ部が形成される。
【0181】
さらに装置内には、給紙ユニット515内に収容された用紙(被記録媒体)を1枚ずつ搬送する給紙ロール516およびレジストロール517と、テンションロール509に巻き回された中間転写ベルト505および加圧ロール511の間に用紙を供給するための搬送ガイド518と、が配されている。
【0182】
本実施形態の電子写真装置には、本発明に特徴的な構成として、中間転写ベルト505の周内であって、その周回方向における加圧ロール511との対向位置(ニップ部)の上流側には、中間転写ベルト505の背面側からトナー画像を加熱する磁場発生手段512、および該磁場発生手段512を取り囲む形状の磁場遮蔽部材530が備えられる。
【0183】
感光体ドラム501は、円筒状の導電性基材の表面にOPC(有機感光層)またはa−Si等からなる感光体層を備えるものであり、導電性基材は電気的に接地されている。現像装置504は、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックのトナーをそれぞれ収容する4台の現像器504C,504M,504Y,504Kを備えており、各現像器が感光体ドラム501と対向し得るように回転可能に支持されている。各現像器内には、表面にトナー層を形成して感光体ドラム501との対向位置に搬送する現像ロールが設けられている。この現像ロールには、交互電圧値VP−Pが2kV、周波数fが2kHzの矩形波交互電圧に400Vの直流電圧を重畳した電圧が印加され、電界の作用によりトナーが感光体ドラム501表面の潜像に転移されるようになっている。また各現像器504C、504M、504Y、504K内には、トナーホッパー514からそれぞれトナーが補給される。
【0184】
中間転写ベルト505は、基体層表面に、少なくとも導電性層および表面離型層が順次積層された構成であり、その詳細は第6の実施形態における加熱ベルト401と同様である。そのため、詳細な説明は省略する。
【0185】
中間転写ベルト505は、駆動ロール510により駆動されて周回移動するので、中間転写ベルト505と加圧ロール511との圧接部分、すなわちニップ部では、駆動ロール510の回転に伴い、挿通される被記録媒体と同じ速度で移動する。このとき、被記録媒体がニップ部に存在している時間(ニップ時間)が10ms〜50msとなるように、ニップ幅および被記録媒体の移動速度が設定されている。このニップ時間、つまり溶融したトナーが被記録媒体に押し付けられた時から、被記録媒体が中間転写ベルト505から剥離されるまでの時間が、上記のように50ms以上となっていることによって、トナーが記録材に付着するのに充分な温度まで加熱されていても、ニップの出口では、オフセットが生じない程度までトナーの温度が低下されるものである。
【0186】
本実施形態における磁場発生手段512は、全体として直線状に形成されているのに対し、第6の実施形態における磁場発生手段150は、近接配置される加熱ベルト401の形状に倣って曲線状に形成されている。ただし、形状以外の構成は、両者同一である。すなわち、磁心として本発明の磁心が用いられている。なお、その詳細な説明は、第6の実施形態と同一であるため、省略する。
また、磁場発生手段512および中間転写ベルト505による加熱原理も、第6の実施形態における磁場発生手段420および加熱ベルト401による加熱原理と同様である。
【0187】
本実施形態において、磁場発生手段512における磁心は、基材中に磁性粒子が分散状態で配置されたものであるため、形状を自由に変えることが可能であり、必要とされる大きさ、形状に容易に形成することができる。したがって、これを磁心の材料として用いることで、磁場発生手段512の設計の自由度が増加する。また、本定着装置では、磁心が熱の発生に寄与しており、磁心自体が高温に晒されるが、磁心を構成する基材として固化した水硬性組成物を用いているため、発生する熱に対して十分な耐熱性を磁心に持たせることができる。
【0188】
さらに、磁性粒子を用いることにより、磁性粒子自体が適度な電気抵抗を有しているので、高周波帯域においても、いわゆる誘導加熱による自己発熱の問題も極めて少なく、よって高周波数帯域においても損失が少なく、実効透磁率を高めることができる。
【0189】
一方、本実施形態における磁場遮蔽部材530は、磁場発生手段512を覆う状態で近接配置されたカバー状の部材であり、基材中に磁性粒子が分散状態で配置されて構成される。本実施形態において、磁場遮蔽部材530の断面形状は、磁場発生手段512を取り囲むような舟形をしている。磁場遮蔽部材530の他の具体的な構成は、第5の実施形態と同様である。
【0190】
このように、本実施形態では磁場遮蔽部材として、基材中に磁性粒子が分散状態で配置されたものを用いているので、さまざまな形状に容易に成形することができ、磁場遮蔽部材を容易に製造できる。したがって、これら部品の小型化を損なうことなく、容易かつ安価に電子写真装置の性能向上を図ることができる。また、本定着装置では、磁場遮蔽部材が近接する磁場発生手段が熱の発生に寄与しており、磁場遮蔽部材自体が高温に晒されるが、磁場遮蔽部材を構成する基材として固化した水硬性組成物を用いているため、発生する熱に対して十分な耐熱性を磁場遮蔽部材に持たせることができる。
【0191】
次に、上記のような構成の電子写真装置の動作について説明する。感光体ドラム501は、図14中に示す矢印C方向に回転し、帯電装置502によってほぼ一様に帯電された後、レーザースキャナ503から原稿のイエロー画像信号に従ってパルス幅変調されたレーザー光が照射され、感光体ドラム501上にイエロー画像に相当する静電潜像が形成される。このイエロー画像用の静電潜像は、現像装置504により予め現像位置に定置されたイエロー用現像器504Yによって現像され、感光体ドラム501上にイエロー色の未定着トナー画像が形成される。
【0192】
このイエロー色の未定着トナー画像は、感光体ドラム501と中間転写ベルト505との当接部である一次転写部Xにおいて、矢印C方向への感光体ドラム501の回転速度と同一の線速度(プロセススピード)で周回移動する中間転写ベルト505の周面に、一次転写ロール506の作用により静電的に転写される。イエロー色の未定着トナー画像が形成された中間転写ベルト505は、表面にイエロー色の未定着トナー画像を保持したまま一旦矢印C方向と逆方向に周回移動し、次の色のマゼンタ像が、イエロー色の未定着トナー画像の上に積層されて転写される位置に備えられる。
【0193】
一方、感光体ドラム501は、クリーニング装置507によって表面が清掃された後、再び帯電装置502によりほぼ一様に帯電され、次のマゼンタの画像信号に従ってレーザースキャナ503からレーザー光が照射される。
【0194】
現像装置504は、感光体ドラム501表面にマゼンタ用の静電潜像が形成される間に矢印D方向に回転し、マゼンタ用現像器504Mを現像位置に定置してマゼンタトナーによる現像を行う。このようにして形成されたマゼンタ色の未定着トナー画像は、一次転写部Xで中間転写ベルト505の周面に静電的に転写され、イエロー色の未定着トナー画像の上に積層される。
【0195】
引き続いて、上述のプロセスがそれぞれシアンおよびブラックに対して行われ、中間転写ベルト505表面へ4色分の転写・積層が終了したとき、もしくは最終色のブラックの転写途中において、給紙ユニット515内に収容される用紙(被記録媒体)が給紙ロール516により給紙され、レジストロール517および搬送ガイド518を経由して中間転写ベルト505の二次転写部Yに搬送される。
【0196】
一方、中間転写ベルト505の周面に形成された4色分の未定着トナー画像は、二次転写部Yの上流側で、磁場発生手段512と対向する加熱領域Zを通過する。加熱領域Zでは、磁場発生手段512による磁場の作用で、中間転写ベルト505の導電層が電磁誘導加熱により発熱する。これにより導電層は急激に加熱され、この熱は時間経過とともに表面離型層に伝達され、二次転写部Yに到達するときには中間転写ベルト505周面の未定着トナー画像が溶融した状態となる。
【0197】
中間転写ベルト505の周面で溶融した未定着トナー画像のトナーは、二次転写部Yで用紙の搬送に合わせて圧接される加圧ロール511の圧力により、用紙と密着される。加熱領域Zでは、中間転写ベルト505は局所的に表面近傍だけが加熱されており、溶融したトナーは室温と同温度の用紙と接触して急激に冷却される。つまり、溶融したトナーは二次転写部Yのニップ部を通過するときに、トナーが持っている熱エネルギーと圧接力とで瞬時に用紙に浸透して転写定着され、用紙はトナーおよび表面近傍だけ加熱された中間転写ベルト505の熱を奪いながらニップ部の出口に向かって搬送される。このとき、ニップ幅および記録材の移動速度が適切に設定されていることにより、ニップ部の出口でのトナーの温度は軟化点温度よりも低くなる。このため、トナーの凝集力が大きくなり、トナー画像はオフセットを生じることなく、そのままほぼ完全に用紙表面に転写定着される。その後、トナー画像が転写定着された用紙は、排出ロール519を通って排出用トレイ520上に排紙され、フルカラーの画像形成が終了する。
【0198】
このように本実施形態の電子写真装置では、磁場発生手段512と対向する加熱領域Zにおいて、電磁波を吸収する中間転写ベルト505の導電層の近傍だけが加熱され、二次転写部Yにおいては、加熱領域Zで加熱溶融したトナーが室温と同温度の用紙と加圧接触することによって転写と同時に定着される。中間転写ベルト505はごく表面が加熱されているだけなので、中間転写ベルト505の温度は転写定着直後に急激に低下する。このため、装置内での熱の蓄積は極めて少なくなる。
【0199】
一方、転写定着同時方式による従来の電子写真装置では、装置を連続して使用した場合に熱の蓄積が起こり、それに伴う装置の温度上昇が顕著になり、感光体ドラムの電位特性が不安定になる。特に、帯電電位の低下が顕著になり、トナー画像形成方法として例えば反転現像を用いた場合には、バックグランド部に地かぶりが発生するようになり、画質の劣化が顕著になる。また、装置の温度上昇により現像装置付近でトナーが溶融し、クリーニングブレードなどに固着するといった現象も見られる。これに対し、本実施形態の電子写真装置では、連続使用時の装置内の温度上昇は従来方式に比べてはるかに少なく、感光体ドラムやトナー等の特性が変化することがない。このため、長時間の使用によっても画質劣化はほとんど見られず、高画質の画像が安定して得られる。特にこの効果はカラー画像を形成する際に顕著である。
【0200】
以上のことから、本実施形態の電子写真装置では、具体的に次に示すような利点がある。磁場発生手段により中間転写ベルトの表面近傍を直接加熱するので、中間転写ベルトの基材の熱伝導率、熱容量に左右されずに、急速に加熱することができる。また、転写効率が中間転写ベルトの厚さに依存しないので、高速化のために中間転写ベルトの剛性を上げる必要がある場合、中間転写ベルトの基層(基材)を厚くしてもトナーを迅速に定着温度にまで加熱できる。
【0201】
中間転写ベルトの基層は、一般に低熱伝導性の樹脂のため断熱性がよく、連続プリントを行っても熱のロスが少ない。また、画像の存在しない領域、例えば連続して送られる用紙の間の非画像部が加熱領域Zを通過する場合などは、励磁回路を制御することにより、無駄な加熱を停止することも可能であり、これらのことと相まってエネルギー効率が非常に高くなる。そして、熱効率が向上した分、装置内の昇温も抑えられて、感光体ドラムの特性変化やクリーニング部材へのトナーの固着等も防止できる。
【0202】
なお、上記実施形態では、4色の未定着トナー画像がすべて中間転写ベルトの周面に転写された後に、磁場発生手段により電磁誘導加熱し、トナーを加熱溶融させた例を示したが、各トナー画像が一色ずつ一次転写された後に加熱溶融させ、中間転写ベルトの周面にトナーの仮定着を行ってもよい。このような方式により、一次転写後に、4色の重ね合わされたトナー画像が乱れるのを防止できるとともに、画像のレジストや倍率を精度良く合わせることができるといった利点がある。
【0203】
上記実施形態では、一次転写部Xにおける転写方法として、絶縁性の誘電層を有するバイアス印加ロールを用い、未定着トナー画像を静電的に中間転写ベルト表面に転写する静電転写方法を採用したが、弾性を有する耐熱性の中間転写ベルトを用い、該中間転写ベルトの内側から一次転写ロールを感光体ドラムに押圧し、未定着トナー画像を中間転写ベルトの周面に転写する粘着転写等を採用してもよい。その際、転写後の感光体ドラム表面に若干トナーが残留するので、除電装置およびクリーニング装置により残留トナーを除電、クリーニングすることが望まれる。
【0204】
以上、第7の実施形態においては、電子写真装置における定着装置に本発明の磁心および磁場遮蔽部材を用いた例を挙げたが、本発明の電子写真装置は、本実施形態の構成に限定されるものではなく、本発明の構成を具備する限り、公知の知見により、各種構成の変更、追加を行うことができる。
【0205】
例えば、像担持回転体として、エンドレスベルト状の中間転写ベルトを用いた例を挙げたが、ロール状の中間転写ロールや、感光体(ロール状およびエンドレスベルト状の双方を含む)を像担持回転体とした構成であってもよい。感光体を像担持回転体とする場合には、既述の現像器が本発明に言う画像形成装置に相当する。ただし、電磁誘導加熱により感光体自体が加熱されるので、耐熱性のある感光体並びに画像形成システムであることが要求される。
【0206】
本実施形態においては、中間転写ベルト505の加熱は、加熱領域Zにおける電磁誘導加熱のみとしたが、テンションロール509を加熱部材として、補助的にあるいは主として、転写定着用の加熱源としてもよい。この場合、テンションロール509の加熱が、転写定着用の加熱源として十分な熱量を有するならば、加熱領域Zにおける電磁誘導加熱を省略してもよい。テンションロール509の加熱方法としては、定着ロールとして従来公知の、ハロゲンランプ等の熱源を内部に配したり、第4の実施形態や第5の実施形態における加熱ロールのように、電磁誘導加熱方式を採用してもよく、この場合勿論、本発明の磁心および/または磁場遮蔽部材を用いることができる。
【0207】
また、第4〜第6の実施形態に挙げられた個々の構成を第7の実施形態に適宜取り込むこともできる。さらに、磁心および磁場遮蔽部材における基材として、固化した水硬性組成物を例に挙げて説明したが、これに限定されるものではなく、公知の樹脂材料等を用いても構わない。勿論、耐熱性、低コスト、並びに成形性等の観点から、基材として固化した水硬性組成物を用いることが好ましい。
【0208】
なお、本実施形態においては、本発明の磁心および磁場遮蔽部材の双方が配されてなる例を挙げたが、本発明の電子写真装置においては、本発明の磁心および磁場遮蔽部材のいずれか一方のみ配されてなるものであれば足り、双方とも配されることが要求されるものではない。
【0209】
以上説明したように、上記第1〜第7の実施形態では、電磁気が作用する部位の部材として、基材中に磁性粒子が分散状態で配置されたものを用いて形状を自由に変更することが可能であるので、必要とされる大きさに容易に形成することができる。また、基材中に磁性粒子が均一に分散しているため、場所による磁気特性のバラツキのない、均質な磁心あるいは磁場遮蔽部材を得ることができる。さらに、基材として、固化した水硬性組成物を用いた場合、磁性粒子を含め材料の耐熱性が極めて高いので、特に電磁誘導加熱装置における励磁コイルの磁心やその磁場遮蔽部材に本発明を適用すると、安定した特性が得られるとともに、熱による影響を考慮する必要がなくなるので、形状や配置に関する設計の自由度が増す。
【0210】
なお、上記第1〜第7の実施形態は、あくまでも例示であり、装置構成において特定される、寸法、形状、配置、各種特性、組成、条件等(これらの具体的な数値を含む)は、何ら本発明を制限するものではなく、当業者は、様々な条件に応じて適宜最適なものを選択することができる。
【0211】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、磁心として、固化した水硬性組成物中に磁性粒子が分散状態で配置されたものを用いることにより、さまざまな形状に容易に成形することができ、容易に製造でき、励磁コイルやトランスなどのインダクタンス素子の一部に設置するだけで、インダクタンスを広範囲にわたって自由に設計することができ、さらに高周波数帯域においても損失が少なく、実効透磁率を高めることができる、という効果がある。
【0212】
また、本発明によれば、主たる磁心材料である磁性粒子が、基材中に磁性粒子が分散状態で配置され、粒子状態のまま維持されているので、磁心に渦電流が生じることを解消することができる。このため、渦電流により発熱する損失を解消することができる。
【0213】
さらに、磁場を発生する磁場発生手段の周囲に、基材中に磁性粒子が分散状態で配置されたものからなる本発明の磁場遮蔽部材を設置することにより、電磁界漏洩を抑制することができ、既述の如く、形状を自由に加工することができ、部品設計の自由度を向上させることができる。特に、基材として水硬性組成物を固化したものを用いれば、得られる磁心や磁場遮蔽部材の高い耐熱性を確保することができ、また、磁性粒子の混合割合を高めることができるため、これらの透磁率をより一層高めることができる。
【0214】
これら優れた効果を有する本発明の磁心および/または磁場遮蔽部材を用いた、本発明の励磁コイル、トランス、および電気機器によれば、採用した本発明の磁心および/または磁場遮蔽部材に応じた効果をこれらに付与できることは勿論のこと、励磁コイル、トランス、および電気機器自体の設計の自由度を大幅に向上させることができる。
【0215】
一方、本発明の電子写真装置によれば、定着あるいは転写定着に電磁誘導加熱方式を採用した電子写真装置において、磁場発生手段に渦電流損失が抑制され、かつ、形状の自由度が高い磁心を用いることで、低コストでより一層の省エネルギー化を達成し得るとともに、装置の設計に当たっての自由度を拡張し得る、さらには、一層の小型化を図り得る電子写真装置を提供することができる。
【0216】
また、本発明の電子写真装置によれば、定着あるいは転写定着に電磁誘導加熱方式を採用した電子写真装置において、磁場発生手段からの磁場の漏洩を効果的に遮蔽し得る電子写真装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態にかかる磁心を用いた励磁コイル(本発明の一例である励磁コイル)の正面図である。
【図2】図1の変形例の磁心を用いた励磁コイル(本発明の一例である励磁コイル)の正面図である。
【図3】コイルコア(磁心)を有する場合と有さない場合との双方について、印加する信号周波数とインダクタンスとの関係を示す特性図である。
【図4】本発明の第2の実施形態に係る磁場遮蔽部材を示す概略構成図である。
【図5】本発明の第3の実施形態に係るトランスを示す模式断面図である。
【図6】本発明の第4の実施形態に係る電子写真装置を示す概略構成図である。
【図7】図6に示す電子写真装置のうち、定着装置の部分のみを示す概略構成図である。
【図8】本発明の第5の実施形態に係る電子写真装置のうち、定着装置の部分のみを示す概略構成図である。
【図9】第5の実施形態における加熱ロールと磁場発生装置の位置関係を示した斜視図である。
【図10】本発明の第6の実施形態に係る電子写真装置のうち、定着装置の部分のみを示す概略構成図である。
【図11】第6の実施形態における定着装置で使用する加熱ベルトの一部を示す拡大断面図である。
【図12】第6の実施形態における定着装置で使用する加熱ベルトの支持構造を示す構成図である。
【図13】第6の実施形態における定着装置で使用する加熱ベルトの加熱原理を示す説明図である。
【図14】本発明の第7の実施形態に係る電子写真装置を示す概略構成図である。
【符号の説明】
50,307:定着装置(定着手段)、 52:加熱ロール(定着用回転体、加熱部材)、 54,414:加圧ロール(加圧用回転体、加圧部材)、 56:剥離爪、 58:クリーニング部材、 60:離型剤塗布装置、 62:サーミスタ、 64:誘導加熱装置、 100,324,430:励磁コイル、 68,200,424,530:磁場遮蔽部材、 70:サーモスタット、 72,425:励磁回路、 100,423:磁心、 102、602:保持部材(磁心)、 66,104,104’,421:コイル、 150,202,420,512:磁場発生手段、 204:漏洩磁場、 301,501:感光体ドラム、 302,502:帯電装置、 303,503:露光装置、 304,504:現像装置、 305:記録材(被記録媒体)、 306:転写装置、 308,507:クリーニング装置、 310:高周波電源、 401:加熱ベルト(定着用回転体)、 402:基体層、 403:導電性層、 404,417:表面離型層、 405:エッジガイド、 406:円筒状部、 407:フランジ部、 408:保持部、 409:用紙(被記録媒体)、 410:未定着トナー画像、 411:弾性層、 412:パッド部材、 413:支持部材、 415:ニップ部、 416:鉄製ロール、 418:金属ロール、 422:コイル支持部材、 505:中間転写ベルト(像担持回転体)、 506:一次転写ロール、 508:除電ランプ、 509:テンションロール、 510:駆動ロール、 511:加圧ロール、 513:ミラー、 514:トナーホッパー、 515:給紙ユニット、 516:給紙ロール、 517:レジストロール、 518:搬送ガイド、 519:排出ロール、 520:排出用トレイ、600:トランス本体、 604a:1次コイル、 604b:2次コイル、 606:函体、 608:蓋体(磁気遮蔽部材)、 610:容器(磁気遮蔽部材)

Claims (29)

  1. 磁場発生手段の少なくとも一部に関係するために設けられ、発生磁場の電磁気特性に作用する磁気材料として、基材中に磁性粒子が分散状態で配置されて構成されることを特徴とする磁心。
  2. 前記磁性粒子が、鉄粉、フェライト粉末、およびマグネタイト粉末の少なくとも1種の粉末であることを特徴とする請求項1に記載の磁心。
  3. 前記基材が、固化した水硬性組成物であることを特徴とする請求項1または2に記載の磁心。
  4. 前記水硬性組成物が、ポルトランドセメントまたは高密度水熱合成セラミックス前駆体であることを特徴とする請求項3に記載の磁心。
  5. 磁場を発生する磁場発生手段の周辺に設けられ、かつ該磁場発生手段より発生する磁場を遮蔽する磁場遮蔽部材であって、基材中に磁性粒子が分散状態で配置されて構成されることを特徴とする磁場遮蔽部材。
  6. 前記磁性粒子が、鉄粉、フェライト粉末、およびマグネタイト粉末の少なくとも1種の粉末であることを特徴とする請求項5に記載の磁場遮蔽部材。
  7. 前記基材が、固化した水硬性組成物であることを特徴とする請求項5または6に記載の磁心。
  8. 前記水硬性組成物が、ポルトランドセメントまたは高密度水熱合成セラミックス前駆体であることを特徴とする請求項7に記載の磁場遮蔽部材。
  9. 請求項1〜4のいずれか1に記載の磁心が、前記磁場発生手段としてのコイルの周内に設けられてなることを特徴とする励磁コイル。
  10. 請求項5〜8のいずれか1に記載の磁場遮蔽部材が、前記磁場発生手段としてのコイルの周辺に設けられてなることを特徴とする励磁コイル。
  11. 前記コイルの周内に、請求項1〜4のいずれか1に記載の磁心が設けられてなることを特徴とする請求項10に記載の励磁コイル。
  12. 1つの磁心の異なる位置に、2つ以上のコイルが巻回されてなるトランスであって、
    前記磁心が、請求項1〜4のいずれか1に記載の磁心であることを特徴とするトランス。
  13. 1つの磁心の異なる位置に、2つ以上のコイルが巻回されてなるトランスであって、
    前記コイルのうち少なくとも1つのコイルの周辺に、請求項5〜8のいずれか1に記載の磁場遮蔽部材が設けられてなることを特徴とするトランス。
  14. 前記磁心が、請求項1〜4のいずれか1に記載の磁心であることを特徴とする請求項13に記載のトランス。
  15. 少なくとも磁場発生手段を含む電気機器であって、請求項1〜4のいずれか1に記載の磁心が、前記磁場発生手段の少なくとも一部に関係するために設けられてなることを特徴とする電気機器。
  16. 少なくとも磁場発生手段を含む電気機器であって、請求項5〜8のいずれか1に記載の磁場遮蔽部材が、前記磁場発生手段の周辺に設けられてなることを特徴とする電気機器。
  17. さらに、請求項1〜4のいずれか1に記載の磁心が、前記磁場発生手段の少なくとも一部に関係するために設けられてなることを特徴とする請求項16に記載の電気機器。
  18. 被記録媒体表面に、電子写真方式により未定着トナー画像を形成する画像形成手段と、定着用回転体、および、該定着用回転体に当接してニップ部を形成する加圧用回転体からなり、未定着トナー画像が形成された面が定着用回転体に接するように前記被記録媒体を前記ニップ部に挿通することで、該被記録媒体表面にトナー画像を定着する定着手段と、を含む電子写真装置であって、
    前記定着用回転体および/または加圧用回転体における周面近傍に、導電性層が形成されており、該導電性層が形成された前記定着用回転体および/または加圧用回転体に近接して磁場発生手段が配され、
    該磁場発生手段が、請求項1〜4のいずれか1に記載の磁心を含むことを特徴とする電子写真装置。
  19. 前記定着用回転体および加圧用回転体が、それぞれロール状またはエンドレスベルト状であることを特徴とする請求項18に記載の電子写真装置。
  20. 前記磁場発生手段から発生する磁場のうち、前記導電性層に影響を与えない漏洩磁場の少なくとも一部を遮蔽するための漏洩磁場遮蔽部材が、前記磁場発生手段の周辺に設けられ、かつ、該漏洩磁場遮蔽部材が、請求項5〜8のいずれか1に記載の磁場遮蔽部材であることを特徴とする請求項18または請求項19に記載の電子写真装置。
  21. 像担持回転体と、該像担持回転体の周面に、電子写真方式により未定着トナー画像を形成する画像形成手段と、前記像担持回転体に対向配置され、前記像担持回転体との間にニップ部を形成する加圧部材と、からなり、前記ニップ部に被記録媒体を挿通させて、熱および圧力により前記被記録媒体表面にトナー画像を転写定着する電子写真装置であって、
    前記像担持回転体における周面近傍に導電性層が形成されており、
    該像担持回転体の前記ニップ部乃至その上流であって、該像担持回転体に近接して、磁場発生手段が配され、
    該磁場発生手段が、請求項1〜4のいずれか1に記載の磁心を含むことを特徴とする電子写真装置。
  22. 像担持回転体と、該像担持回転体の周面に、電子写真方式により未定着トナー画像を形成する画像形成手段と、前記像担持回転体に周内で当接し、該像担持回転体を加熱する加熱部材と、該加熱部材に前記像担持回転体を介して対向配置され、前記像担持回転体との間にニップ部を形成する加圧部材と、からなり、前記ニップ部に被記録媒体を挿通させて、熱および圧力により前記被記録媒体表面にトナー画像を転写定着する電子写真装置であって、
    前記像担持回転体における周面近傍に、および/または、前記加熱部材における前記像担持回転体との当接部近傍に、導電性層が形成されており、
    前記像担持回転体に導電性層が形成されている場合には、該像担持回転体の前記ニップ部乃至その上流であって、該像担持回転体に近接して、前記加熱部材に導電性層が形成されている場合には、該加熱部材に近接して、磁場発生手段が配され、
    該磁場発生手段が、請求項1〜4のいずれか1に記載の磁心を含むことを特徴とする電子写真装置。
  23. 前記像担持回転体が、ロール状またはエンドレスベルト状であることを特徴とする請求項21または22に記載の電子写真装置。
  24. 前記磁場発生手段から発生する磁場のうち、前記導電性層に影響を与えない漏洩磁場の少なくとも一部を遮蔽するための漏洩磁場遮蔽部材が、前記磁場発生手段の周辺に設けられ、かつ、該漏洩磁場遮蔽部材が、請求項5〜8のいずれか1に記載の磁場遮蔽部材であることを特徴とする請求項19〜23のいずれか1に記載の電子写真装置。
  25. 被記録媒体表面に、電子写真方式により未定着トナー画像を形成する画像形成手段と、定着用回転体、および、該定着用回転体に当接してニップ部を形成する加圧用回転体からなり、未定着トナー画像が形成された面が定着用回転体に接するように前記被記録媒体を前記ニップ部に挿通することで、該被記録媒体表面にトナー画像を定着する定着手段と、を含む電子写真装置であって、
    前記定着用回転体および/または加圧用回転体における周面近傍に、導電性層が形成されており、該導電性層が形成された前記定着用回転体および/または加圧用回転体に近接して磁場発生手段が配され、
    該磁場発生手段から発生する磁場のうち、前記導電性層に影響を与えない漏洩磁場の少なくとも一部を遮蔽するための漏洩磁場遮蔽部材が、前記磁場発生手段の周辺に設けられ、かつ、該漏洩磁場遮蔽部材が、請求項5〜8のいずれか1に記載の磁場遮蔽部材であることを特徴とする電子写真装置。
  26. 前記定着用回転体および加圧用回転体が、それぞれロール状またはエンドレスベルト状であることを特徴とする請求項25に記載の電子写真装置。
  27. 像担持回転体と、該像担持回転体の周面に、電子写真方式により未定着トナー画像を形成する画像形成手段と、前記像担持回転体に対向配置され、前記像担持回転体との間にニップ部を形成する加圧部材と、からなり、前記ニップ部に被記録媒体を挿通させて、熱および圧力により前記被記録媒体表面にトナー画像を転写定着する電子写真装置であって、
    前記像担持回転体における周面近傍に導電性層が形成されており、
    該像担持回転体の前記ニップ部乃至その上流であって、該像担持回転体に近接して、磁場発生手段が配され、
    該磁場発生手段から発生する磁場のうち、前記導電性層に影響を与えない漏洩磁場の少なくとも一部を遮蔽するための漏洩磁場遮蔽部材が、前記磁場発生手段の周辺に設けられ、かつ、該漏洩磁場遮蔽部材が、請求項5〜8のいずれか1に記載の磁場遮蔽部材であることを特徴とする電子写真装置。
  28. 像担持回転体と、該像担持回転体の周面に、電子写真方式により未定着トナー画像を形成する画像形成手段と、前記像担持回転体に周内で当接し、該像担持回転体を加熱する加熱部材と、該加熱部材に前記像担持回転体を介して対向配置され、前記像担持回転体との間にニップ部を形成する加圧部材と、からなり、前記ニップ部に被記録媒体を挿通させて、熱および圧力により前記被記録媒体表面にトナー画像を転写定着する電子写真装置であって、
    前記像担持回転体における周面近傍に、および/または、前記加熱部材における前記像担持回転体との当接部近傍に、導電性層が形成されており、
    前記像担持回転体に導電性層が形成されている場合には、該像担持回転体の前記ニップ部乃至その上流であって、該像担持回転体に近接して、前記加熱部材に導電性層が形成されている場合には、該加熱部材に近接して、磁場発生手段が配され、
    該磁場発生手段から発生する磁場のうち、前記導電性層に影響を与えない漏洩磁場の少なくとも一部を遮蔽するための漏洩磁場遮蔽部材が、前記磁場発生手段の周辺に設けられ、かつ、該漏洩磁場遮蔽部材が、請求項5〜8のいずれか1に記載の磁場遮蔽部材であることを特徴とする電子写真装置。
  29. 前記像担持回転体が、ロール状またはエンドレスベルト状であることを特徴とする請求項27または28に記載の電子写真装置。
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