JP2004288437A - 励磁コイル、磁心および画像形成装置 - Google Patents

励磁コイル、磁心および画像形成装置 Download PDF

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Abstract

【課題】電子写真方式や静電記録方式により形成された画像を定着する際、電磁誘導加熱をするための磁場発生手段として有用な励磁コイルであって、小サイズの被記録媒体が挿通された際にも局部的な過加熱を生じることなく、自立的にかつ効率的に、加熱の不均一を抑制し得る励磁コイル、およびこれに用いるに適した磁心、並びにこれらを用いた画像形成装置を提供すること。
【解決手段】円柱状または角柱状の磁心30と、磁心30の軸の周囲にスパイラル状に巻回されたコイル24とからなり、磁心30が、その軸方向の所定の領域ごとに、キュリー温度の異なる磁性体30a〜30cからなることを特徴とする励磁コイル、およびこれに用いるに適した磁心、並びにこれらを用いた画像形成装置である。
【選択図】 図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、励磁コイル、およびこれに用いるに適した磁心、並びにこれらを用いた画像形成装置に関し、特に、電子写真方式や静電記録方式により形成された画像を定着する際、電磁誘導加熱をするための磁場発生手段として有用な励磁コイル、およびこれに用いるに適した磁心、並びにこれらを用いた画像形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
【特許文献1】
特開平11−190950号公報
【特許文献2】
特開2002−23533号公報
【0003】
電子写真方式や静電記録方式の画像形成装置においては、一般に、用紙(被記録媒体)表面に、熱溶融性のトナーからなる未定着トナー画像を形成した後、熱および圧力を加えることで定着して永久画像を形成している。また、中間転写体表面に一旦未定着トナー画像を形成し、これを用紙表面に転写すると同時に定着する装置においても、転写・定着時に熱および圧力を加えている。転写同時定着を含むこれら定着の際、相互に当接してニップ部を形成する一対の回転体(例えば加熱ロールと加圧ロール)からなる定着装置における、前記ニップ部に用紙を挿通することで、当該用紙に熱および圧力が加えられる。このとき熱源として、従来より、ハロゲンランプが多く用いられている。
【0004】
これに対して、近年、加熱ロール等の回転体を直接加熱でき、インスタントスタート性(装置の電源を入れてから、定着部材が定着に必要な温度に加熱されるまでの、いわゆる待ち時間が短い)に優れ、熱効率が良好であるという特徴を生かして、電磁誘導加熱方式の装置が盛んに検討されている(例えば、特開平11−190950号公報参照)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、画像形成装置においては、使用者の目的に応じて、一般的には日本工業規格(JIS、以下省略)A3版からB5版まで各種大きさの用紙が被記録媒体として用いられる。また、はがきサイズや名刺サイズ等の小さな面積(小サイズ)の用紙や、設計図等のようにA1版等、極めて大面積の用紙が用いられる場合もある。画像形成装置では、これら大小さまざまな用紙に対応できるように、用途に応じて、想定される最大サイズに合わせた幅(一般的には、A3版またはB4版の短い辺の長さ)の定着装置が、用いられている。
【0006】
定着装置では、用紙等の被記録媒体が挿通されると、前記ニップ部を構成する回転体の表面温度が低下するが、それを補うように熱源により熱が供給される。小サイズの用紙が挿通された場合には、用紙が当接する前記回転体表面は、幅方向の一部となり、用紙が当接した部分のみ熱が奪われ、他の部分(一般的には、幅方向の両端)では熱が奪われない。この状態が続く、すなわち小サイズの用紙が連続して挿通されると、前記回転体の軸方向の位置により温度分布が生じてしまう。前記回転体表面における用紙が当接する領域について、定着に必要な温度に保つように制御すると、他の部分は過加熱が生じてしまう可能性がある。過加熱は、エネルギーの浪費であるばかりか、各種部品ないし装置全体の寿命に影響を及ぼす。また、過加熱のみならず、前記回転体の軸方向の位置による温度分布があること自体、その後大サイズの用紙を定着しようとすると、画質のムラや定着不良、ホットオフセットといった各種不具合の原因になり兼ねない。
【0007】
ハロゲンランプを熱源に用いる場合には、これを前記回転体の軸方向に複数個配置し、前記回転体の表面温度に応じて、それぞれのハロゲンランプのON−OFFを制御することで、前記回転体の軸方向の温度バラツキをある程度解消することができる。
【0008】
これに対して、電磁誘導加熱方式の熱源を用いる場合には、前記回転体の周面全体に導電性層が設けられ、これに磁場発生手段からの磁場が作用して発熱させているため、部分的な制御が比較的難しい。これを自立的に為し得る装置として、特許文献2には、励磁コイルのコアとして用いている磁性体が、記録紙通紙方向と直交する方向で複数個に分割されており、キュリー温度の異なる材質で構成されている誘導加熱方式の定着装置が開示されている。
【0009】
図10は、かかる定着装置の加熱ロール部分のみを模式的に抜き出したものであり、図10(A)は加熱ロールの長手方向略中央における断面図を示し、図10(B)は図10(A)のP−P断面図を示す。なお、図10(A)は図10(B)のQ−Q断面図となっている。図10において、102(a〜c)はコアを、104(aおよびb)はコイルを、106は導電性層をそれぞれ表し、コア102aおよびコア102cとして用いている磁性体は、コア102bとして用いている磁性体よりもキュリー温度が高い。
【0010】
磁性体はキュリー温度に達すると非磁性となる特徴がある。図10に示される定着装置によれば、キュリー温度の異なる材質により、記録紙通紙方向と直交する方向で複数個(3個)に分割されているため、長手方向の温度分布を均一化することができる。小サイズの用紙を通紙する場合に、用紙が通紙される領域の外側は、必要以上に供給される熱によって異常に温度が上昇してしまうが、その部分のコア(図10においてコア102aおよびコア102c)のキュリー温度が、中央部分のコア(図10においてコア102b)よりも低くなるようにコアの材質を選択することによって、異常な温度上昇が抑えられる。
【0011】
しかし、コイル104(aおよびb)はコア102a〜102c全体を取り巻くように巻かれたトラック状のコイルであるため、キュリー温度による磁性の変化により非磁性となったコア102aおよびコア102cをも内包するように取り巻かれており、磁性変化によるメリットを十分に享受し得ない。すなわち、キュリー温度を超えたコア102aおよびコア102cは、励磁作用に寄与することが無いにもかかわらず、コイル104(aおよびb)の巻かれた内側に存在し、コイル104(aおよびb)は、その段階で磁場を形成するに供すべきコア102bから大きく離れた状態で取り巻かれているため、コア102aおよびコア102cがキュリー温度を超えた状態においては、コイル104(aおよびb)により生ずる磁界がコア102bに作用する効率が低くなり、極めて不経済である。
【0012】
したがって、本発明は、電子写真方式や静電記録方式により形成された画像を定着する際、電磁誘導加熱をするための磁場発生手段として有用な励磁コイルであって、小サイズの被記録媒体が挿通された際にも局部的な過加熱を生じることなく、自立的にかつ効率的に、加熱の不均一を抑制し得る励磁コイル、およびこれに用いるに適した磁心、並びにこれらを用いた画像形成装置を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記目的は、以下の本発明により達成される。すなわち本発明の励磁コイルは、円柱状または角柱状の磁心と、該磁心の軸の周囲にスパイラル状に巻回されたコイルとからなり、前記磁心が、その軸方向の所定の領域ごとに、キュリー温度の異なる磁性体からなることを特徴とする。
【0014】
本発明の励磁コイルでは、磁心が、軸方向の所定の領域ごとに、キュリー温度の異なる磁性体からなり、磁界を発生させるコイルが、前記磁心の軸の周囲にスパイラル状に巻回された状態となっているため、磁心の軸方向でキュリー温度を超える温度となる領域が発生した場合に、その場所のみ磁力が失われ、キュリー温度を超えない領域については、コイルが磁心と近接したままの状態となる。すなわち、コイルと、それから発生する磁界が作用すべき磁心との距離が、キュリー温度を超えて磁性を失った領域の有無に関わらず一定であるため、キュリー温度を超えない領域の磁心に効率的に磁界が作用する。
【0015】
そのため、本発明の励磁コイルによれば、電子写真方式や静電記録方式により形成された画像を定着する際、電磁誘導加熱をするための磁場発生手段として用いた場合に、小サイズの被記録媒体が挿通された際にも局部的な過加熱を生じることなく、自立的にかつ効率的に、加熱の不均一を抑制することができる。
【0016】
本発明の励磁コイルにおいては、前記磁心の一方もしくは両方の端部から一定の領域が、その他の領域に比して低いキュリー温度の磁性体からなることが好ましい。
本発明の励磁コイルは、画像を定着する際、電磁誘導加熱をするための磁場発生手段として用いる場合に、前記磁心の長手方向が被記録媒体の進行方向と直交する状態で使用される。被記録媒体の進行方向と直交する方向(幅方向)の前記磁心の長さは、想定される被記録媒体の最大サイズに合わせており、それよりも小サイズの被記録媒体においては、前記磁心の幅方向における中央付近または一方に寄った状態で挿通される。そのため、前記磁心の一方もしくは両方の端部から一定の領域については、被記録媒体による放熱がなく温度上昇して行くが、かかる領域の磁性体を、その他の領域に比して低いキュリー温度のものとしておけば、かかる領域が高温になると磁性を失い発熱が止まるので、過加熱されることなく自立的に、加熱の不均一が抑制される。
【0017】
前記磁心の磁性体には、磁性粒子が分散状態で配置されて構成されるものとすることが、磁心の形状を自由に設定でき、容易に所望する形状の磁心を製造することができる点で好ましい。この場合、その軸方向の所定の領域ごとに、キュリー温度の異なる磁性粒子が分散状態で配置されることになるが、領域ごとの分散配置が、配置すべき磁性粒子の種類および量(割合)を制御するのみで可能であるため、本発明の励磁コイルを簡単に製造することができる。
【0018】
また、かかる構成の励磁コイルにおける磁心は、磁心材料に磁性粒子を採用し、かつ磁性材料が粒子状態のまま維持されているので、磁心に渦電流が生じることを解消することができる。このため、渦電流により発熱する損失を解消することができる。
【0019】
画像定着時、電磁誘導加熱をするための磁場発生手段として当該構成の励磁コイルを用いる場合には、前記磁心の一方もしくは両方の端部から一定の領域が、その他の領域に比して低いキュリー温度の磁性粒子が分散状態で配置されて構成されることが好ましい。
【0020】
前記磁性粒子は、鉄粉、フェライト粉末、およびマグネタイト粉末の少なくとも1つの粉末で構成することができる。
前記磁性粒子は、粒子状態を維持できればよく、その種類に限定されない。鉄粉、フェライト粉末、およびマグネタイト粉末の少なくとも1つの粉末、すなわち、単一の磁性粒子や複数の磁性粒子の組み合わせによる磁性粒子を採用すれば、磁性粒子としての特性を自在に設定することができる。
【0021】
前記磁性粒子としては、例えば容器に充填されて磁心を構成してもよいが、基材中に分散状態で配置されて磁心を構成する態様によれば、製造時、前記基材を構成する組成物に、磁性粒子の粒子状態が維持されたまま添加し、これを型に注入して成形することができるので、型の形状を適宜選定することのみで、磁心の形状を自由に設定でき、容易に所望する形状の磁心を製造することができる。
【0022】
前記基材としては、一般にマトリックス状になるものであれば、特に制限はなく、例えば、一般的に結着材料として多用される樹脂は、加工容易、成型容易、入手容易、低コスト等種々のメリットがあり、本発明においても問題なく使用可能である。しかし、水硬性組成物を固化したものは、一般に耐熱性が極めて高く、したがって得られる磁心の耐熱性も極めて高くなる点でより好ましい。その上、水硬性組成物は、増量剤として加えられる骨材に代表されるように、一般に他の成分を大量に添加することができるため、本発明においても磁性粒子の混合割合を高くすることができ、磁心に要求される透磁率を満足させることができる点でも好ましい。
すなわち、基材に樹脂を用いる構成では、磁性粒子の混合割合をある一定以上高くすることが困難で、透磁率をより一層高くして高性能な磁心を得るには、水硬性組成物を固化したものを用いることが、より好ましい。
【0023】
ここで、本発明に好適に用いられる「水硬性組成物」とは、水と練った時に硬化性を示す無機材料、すなわち無機質接合剤をいい、各種セメントや石膏などが挙げられる。本発明において、水硬性組成物としては、特に制限はないが、ポルトランドセメントまたは高密度水熱合成セラミックス前駆体であることが好ましい。前者は入手容易性、高強度、低コスト等の点で有利であり、後者は極めて強度が高く、軽量で、しかも寸法精度が高い点で有利であり、ともに高い耐熱性を有する。
【0024】
一方、本発明の励磁コイルにおいて、磁心として好適に用いられる本発明の磁心は、円柱状または角柱状であって、その軸方向の所定の領域ごとに、キュリー温度の異なる磁性粒子が分散状態で配置されて構成されることを特徴とする。
本発明の磁心においては、その一方もしくは両方の端部から一定の領域が、その他の領域に比して低いキュリー温度の磁性粒子が分散状態で配置されて構成されることが好ましい。
【0025】
本発明の励磁コイルにおける磁心としては、前記磁性粒子が、鉄粉、フェライト粉末、およびマグネタイト粉末の少なくとも1種の粉末であることが好ましく、前記磁性粒子が、容器に充填されて磁心を構成してもよいが、基材中に分散状態で配置されて構成されることがより好ましい。この場合、前記基材としては、樹脂であってもよいが、固化した水硬性組成物であることが好ましく、該水硬性組成物としては、ポルトランドセメントまたは高密度水熱合成セラミックス前駆体であることが好ましい。
【0026】
さらに、本発明の励磁コイルは、定着あるいは転写定着に電磁誘導加熱方式を採用した画像形成装置に、好適に使用することができる。採用に好適な画像形成装置の具体的な構成は、以下に示す▲1▼および▲2▼の態様である。
【0027】
▲1▼ 被記録媒体表面に、未定着トナー画像を形成する画像形成手段と、定着用回転体、および、該定着用回転体に当接してニップ部を形成する加圧用回転体からなり、未定着トナー画像が形成された面が定着用回転体に接するように前記被記録媒体を前記ニップ部に挿通することで、該被記録媒体表面にトナー画像を定着する定着手段と、を含む画像形成装置であって、
前記定着用回転体および/または加圧用回転体における周面近傍に、導電性層が形成されており、
前記定着用回転体および/または加圧用回転体の周内であって、その回転軸と同軸上または略平行に軸が位置するように、本発明の励磁コイルが配されてなる態様。
当該態様において、前記定着用回転体および加圧用回転体としては、ロール状、エンドレスベルト状から任意に選ばれる何れの組合せであってもよい。
【0028】
▲2▼ 像担持回転体と、該像担持回転体の周面に、未定着トナー画像を形成する画像形成手段と、前記像担持回転体を挟み込むニップ部を形成するように対向する、前記像担持回転体の周内側の転写定着ロールおよび周外側の加圧ロールと、からなり、前記ニップ部における前記像担持回転体と加圧ロールとの間に被記録媒体を挿通させて、熱および圧力により前記被記録媒体表面にトナー画像を転写定着する画像形成装置であって、
前記転写定着ロールおよび/または加圧ロールにおける周面近傍に、導電性層が形成されており、
前記転写定着ロールおよび/または加圧ロールの周内であって、その回転軸と同軸上または略平行に軸が位置するように、請求項1に記載の励磁コイルが配されてなる態様。
当該態様において、前記像担持回転体としては、ロール状、エンドレスベルト状から任意に選ばれる何れの組合せであってもよい。
【0029】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を、実施形態を挙げて図面を参照しつつ詳細に説明する。
〔第1の実施形態〕
まず、本発明の励磁コイルに関する第1の実施形態について説明する。
【0030】
図1は、本発明の一例である第1の実施形態の励磁コイルの正面図である。この励磁コイル20は、一般にボビンと称される円柱状の保持部材30にスパイラル状にコイル24が巻回されて構成される。この保持部材30は、磁性材料で構成されており磁心として機能する。励磁コイル20は、コイル24の両端部の導入端26aおよび26bが不図示の電源装置に接続されて、励磁コイルとして機能する。
【0031】
なお、図1には、電磁誘導加熱方式の定着装置において、本実施形態の励磁コイル20を磁場発生手段として用いた場合の、定着装置における定着用回転体との位置関係を示すために、加熱ロール(定着用回転体)14を点線で示してある。当該定着装置全体の構成については、図3を用いて後に詳述する。
【0032】
図2に、図1のC−C断面図を示す。なお、図2は、加熱ロール14を含めた断面図となっている。保持部材30は、その軸方向に3つの領域10a,10b,10cに分かれており、これらにキュリー温度の異なる磁性体が用いられている。本実施形態においては、実際には、領域10aおよび領域10cが同一のキュリー温度で、領域10bにはこれらよりも高いキュリー温度の磁性体が用いられている。
【0033】
保持部材30としての磁性体は、一般に磁心として利用されるものが問題なく利用可能である。具体的には例えば、ケイ素鋼板やフェライト焼結体などの金属材料等が挙げられる。本発明においては、保持部材30としての磁性体に、磁性粒子が分散状態で配置されて構成されるものとすることが、磁心の形状を自由に設定でき、容易に所望する形状の磁心を製造することができる点で好ましい。
【0034】
また、磁心材料として、ケイ素鋼板やフェライト焼結体などの金属材料を用いた場合、導電性が大きいために渦電流が生じて発熱する損失(所謂渦電流損失)が生じる。このため、金属材料を薄く形成して何枚も重層構造に成形するなどの回避策が必要であるが、磁心材料に磁性粒子を採用し、磁性材料が粒子状態のまま維持されて配置された磁心では、この渦電流が生じることを解消することができ、その結果、渦電流により発熱する損失を解消することができる。このように、磁性粒子を用いた磁心材料を利用することで、高周波数帯域における損失を減少させることができる。
本実施形態においても、当該構成の磁心が採用されている。
【0035】
本発明における磁性粒子には、微細な粉末のほか、ある程度の粒径を有する粒状物が含まれる。すなわち、その粒径としては、ごく微細なものから、一般に粒子としては大きな径に含まれる鉄くずの如きものまで、広く選択することができる。具体的には、0.1μm〜1mm程度の広い範囲の粒径の粒子の中から、任意に選択することができる。ただし、入手容易性、流動性、取り扱い性等の観点から、粒径の下限としては、1μm以上が好ましく、5μm以上がより好ましい。同様に粒径の上限としては、500μm以下が好ましく、200μm以下がより好ましい。
【0036】
粒子の形状としては、特に制限されずあらゆる形状のものを選択することができ、例えば球形、針状、塊状、偏平状、ポーラス状、不定形等、あるいはこれらの形状が混在したものを挙げることができる。なかでも、球形のものが、入手性、流動性の観点から好ましい。
【0037】
前記磁性粒子としては、具体的には、鉄粉、フェライト粉末、およびマグネタイト粉末を好適なものとして挙げることができ、これらは1種単独で用いてもよいが、複数混合して用いてもよい。単一の磁性粒子や、複数の磁性粒子の組み合わせによる磁性粒子を採用すれば、磁性粒子としての特性を自在に設定することができる。
【0038】
例えば、磁性粒子としては、産業用として利用されているものを使用することができる。具体的には、例えば、パウダーテック社から製品化されている電子写真用の鉄粉キャリアやフェライトキャリアが好適である。鉄粉キャリアとしては、還元鉄粉、アトマイズ鉄粉、切削くず等あるいはそれを粉砕して粒度調整した鉄粉、もしくはその表面がごく薄い鉄の酸化被膜で被覆された酸化被膜鉄粉を用いたものが挙げられる。電気抵抗を調節するため、これら鉄粉の表面に各種樹脂をコーティングした樹脂被覆鉄粉も知られている。フェライトキャリアとしては、MO・M’O(Fe(ここでM、M’は金属元素、a,b,xは整数を示す)で代表されるソフトフェライト、例えばNi−Znフェライト、Mn−ZnフェライトあるいはCu−Znフェライト等の粉状フェライト等が挙げられる。
【0039】
他の磁性粒子としては、粉末冶金用鉄粉、ショット用鉄粉、脱酸素剤用鉄粉、カイロ用鉄粉、化学還元用鉄粉、溶接棒用鉄粉、粉末切断用鉄粉、脱酸素剤、その他ゴムやプラスチックスに充填する鉄粉などが挙げられる。
【0040】
本発明における磁性粒子は、磁心の材料とするために、以下の磁気的性質および電気的性質のものを選択することが望ましい。
<磁気的性質>
・飽和磁化は10〜500emu/g
・残留磁化は15emu/g以下
・保磁力は500e以下
・比透磁率は2〜100
<電気的性質>
・電気抵抗は10Ωcm以上(250ボルト印加時)
【0041】
これらの仕様の磁性粒子を用いて磁心を構成することで、その磁気的、電気的特性を狙いの範囲に調整することが可能である。また、磁性粒子を採用し、磁性材料が粒子状態のまま維持されているので、磁心に渦電流の生じることが解消される。
【0042】
以上に例示した磁性粒子の中から、キュリー温度を考慮し、目的に応じて適宜選択し、本発明における磁性体として用いる。また、それぞれの磁性粒子においても、その組成や製法等によりキュリー温度が変わってくるので、選択する磁性粒子は、同一種類のものからキュリー温度を考慮して選択してもよい。
【0043】
前記磁性粒子としては、粒子状態のまま維持された状態(分散状態)で配置される。本実施形態においては、前記磁性粒子を基材としての水硬性組成物中に分散状態で配置する構成としている。すなわち本実施形態においては、磁性粒子を、その粒子状態が維持されたまま水硬性組成物中に添加して成形用混合物を調製し、これを型等に入れて水硬性組成物を固化させて成形し、保持部材30としている。このとき、図2に示される如く、領域10aと領域10cとは同一の磁性粒子が、領域10bにはこれらよりも高いキュリー温度の磁性粒子がそれぞれ位置するように、2種類の磁性粒子をそれぞれ別個に水硬性組成物中に添加し、位置を考慮して成形する。
ここで、「粒子状態が維持」とは、磁性粒子個々が粒子として物理的に独立した状態であることを意味し、加熱等により融合して個々の粒子状態が消失してしまったような状態は、含まない。
【0044】
前記磁性粒子を基材に分散状態で配置する構成による磁心において、磁性粒子の混合割合は、特に限定されず、90%以下(0<x≦90。上限は90%以下で、下限値はインダクタンス値により、決定されるため、0%より多ければよい。)の範囲内から、磁心として求められる特性に応じて決定すればよい。基材に後述の固化した水硬性組成物を用いた場合、磁性粒子の混合割合を高くすることが可能であり、その場合には、磁性粒子の混合割合として、体積比で、60〜90%の範囲とすることが好ましく、65〜75%の範囲とすることがより好ましい。
【0045】
本実施形態においては、基材の材料として、既述の如く水硬性組成物を用いている。しかし、本発明に用いられる基材としては、一般にマトリックス状になるものであれば、特に制限はなく、流動状態で前記磁性粒子の粒子状態が維持されたまま添加され、これを型に注入して成形することができるような材料から、適宜選択される。例えば、各種分野において「結着樹脂」として用いられる樹脂材料は勿論のこと、有機材料、無機材料の別は問わず、上記機能を有するあらゆる材料を前記基材の材料として採用することができる。これらの中でも、本実施形態で用いている水硬性組成物は、成形容易性、低コスト、高耐熱性等の優れた利点を有し、基材の材料として特に好適なものである。
【0046】
さらに、水硬性組成物を固化したものは、一般に耐熱性が極めて高く、したがって本実施形態に用いている磁心の耐熱性も極めて高い。その上、水硬性組成物は、増量剤として加えられる骨材に代表されるように、一般に他の成分を大量に添加することができるため、磁性粒子の混合割合を高くすることができ、磁心に要求される透磁率を満足させることができる。
【0047】
かかる水硬性組成物としては、いわゆる無機質接合剤であれば、如何なる材料を用いても構わず、広義の意味で水硬性セメントと称されるものが全て包含される。具体的には、例えば、ポルトランドセメント、アルミナセメント、シリカセメント、ポゾランセメント、フライアッシュセメント、ローマンセメント、高炉セメント、水硬性石灰、石膏等が挙げられる。本発明において、水硬性組成物としては、特に制限はないが、ポルトランドセメントまたは高密度水熱合成セラミックス前駆体であることが好ましい。ポルトランドセメントは入手が容易であり、高強度のものが容易に成形でき、かつ、低コストであるといったメリットを有する。一方、高密度水熱合成セラミックス前駆体により成形される高密度水熱合成セラミックスは、極めて強度が高く、乾燥収縮も起き難いので寸法精度が高いといったメリットを有する。水硬性組成物が固化することにより得られる成形物は、一般的に高い耐熱性を有し、これら好ましい2つの物についても勿論高い耐熱性を有する。
【0048】
水硬性組成物として使用されるポルトランドセメントは、一般的な普通ポルトランドセメントの他、早強ポルトランドセメント、超早強ポルトランドセメント、中庸熱ポルトランドセメント、高酸化鉄型ポルトランドセメント、耐硫酸塩ポルトランドセメント等の各種ポルトランドセメントがあるが、本発明において、いずれも好適に用いられる。また、公知の各種添加剤が添加されたものであっても構わない。
【0049】
水硬性組成物としてポルトランドセメントを使用した場合に添加することが可能な添加剤や、成形方法については、以下に説明する高密度水熱合成セラミックス前駆体と同様である。ただし、高密度水熱合成セラミックス前駆体を固化させたものは研削加工も容易であるが、ポルトランドセメントを固化させたセメント成形体は、一般的には研削加工に適さない。水セメント比等の各種条件も、公知の使用方法の範疇で、目的に応じて適宜選択すればよい。
【0050】
水硬性組成物として使用される高密度水熱合成セラミックス前駆体は、水硬性粉体、非水硬性粉体および加工性改良剤ならびに必要に応じて添加する種々の添加物からなるものである。当該高密度水熱合成セラミックス前駆体は、加圧成形した後水熱合成し、必要に応じて機械加工および表面処理して形成することで高密度水熱合成セラミックスとなる。必要に応じて添加される種々の添加物としては、補強、増量、成形性改良、撥水等の目的で添加し混合する添加物を指し、例えば、補強や増量の目的で添加し混合する骨材などを、必要に応じて添加してもよい。
【0051】
前記水硬性粉体とは、水により硬化する粉体を指し、例えば珪酸カルシウム化合物粉体、カルシウムアルミネート化合物粉体、カルシウムフルオロアルミネート化合物粉体、カルシウムサルフォアルミネート化合物、カルシウムアルミノフェライト化合物粉体、リン酸カルシウム化合物粉体、半水または無水石膏粉体、自硬性を有する生石灰粉体、これら粉体の2種類以上の混合物粉体等を例示することができる。その代表例として、例えば既述のポルトランドセメントのような粉体を挙げることができる。
【0052】
当該水硬性粉体の粒度分布については、成形体の強度に関する水硬性能の確保上、ブレーン比表面積が2500cm/g以上であることが好ましい。また、高密度水熱合成セラミックス前駆体において、かかる水硬性粉体の配合量は、水硬性粉体および非水硬性粉体の総量100質量%に対し50〜90質量%とするが、65〜75質量%とすることが好ましい。配合量が50質量%未満の場合には、強度および充填率が低くなり、また90質量%を越える場合には、成形体を得る場合の充填率が低くなり、いずれの場合においても成形、硬化後の諸性質、例えば機械加工時における欠けを生じさせたり、寸法安定性に悪影響を及ぼす可能性があるため好ましくない。
【0053】
前記非水硬性粉体とは、単体では水と接触しても硬化することのない粉体を指すが、アルカリ性もしくは酸性状態、あるいは高圧蒸気雰囲気において、その成分が溶出し、他の既溶出成分と反応して生成物を形成する粉体も含む。このような非水硬性粉体を添加することによって、成形体の成形時の充填率を高め、得られる成形体の空隙率を減少することが可能となり、成形体の寸法安定性を向上することができる。
【0054】
当該非水硬性粉体の代表例としては、例えば、水酸化カルシウム粉末、二水石膏粉末、炭酸カルシウム粉末、スラグ粉末、フライアッシュ粉末、珪石粉末、粘土粉末、シリカフューム粉末等を挙げることができる。これらの非水硬性粉体の平均粒径は、水硬性粉体の平均粒径の1/10以下とすることが好ましく、より好ましくは1/100以下にする。一方、細かさの下限については、最終的に得られる成形品の効果を害することがなければ、特に設ける必要はない。
【0055】
高密度水熱合成セラミックス前駆体において、かかる非水硬性粉体の配合量は、水硬性粉体および非水硬性粉体の総量100質量%に対し10〜50質量%とするが、25〜35質量%とすることが好ましい。上下限を外れた場合の影響は、水硬性粉体の配合量のところで述べた通りである。したがって、機械加工性等を考慮すると、充填率が低くなり過ぎないように非水硬性粉体の配合量を調節することが望ましい。
【0056】
前記加工性改良剤とは、水硬性組成物から得られる成形体の成形性、脱型性、切削・研削性、研削精度の向上、特に切削・研削性、研削精度の向上に寄与する性質を有する材料を指す。即ち、加工性改良剤を添加することによって、水硬性組成物からなる混合物は、加圧成形時において加工性改良剤が成形助剤としての役割を果たし成形性が向上する。また、加工性改良剤によりセメント系硬化体の脆さが改良され、得られる成形体が脱型時に何ら損傷を受けることなく脱型され、ひいては作業性の向上につながる。さらに、概して脆性材料である水硬性組成物から得られる成形体は、切削の際に「亀裂型」メカニズムの切削状態を呈するが、加工性改良剤を添加することによって、切削の際にも材料の割れあるいは欠け(微視的な現象も含む)が防止できるようになり、水硬性組成物から得られた成形体の加工性を金属材料レベルまで改良することができ、旋盤等による切削加工、円筒研削機等による研削加工が金属材料と同等に行えるようになる。これらの加工が行えることにより所望の寸法に対してμmオーダーの精密な加工が行えるようになる。
【0057】
かかる加工性改良剤としては、酢酸ビニル樹脂、酢酸ビニル−アクリル共重合樹脂、酢酸ビニル−ベオバ共重合樹脂、酢酸ビニル−マレート共重合樹脂、酢酸ビニル−エチレン共重合樹脂、酢酸ビニル−エチレン−塩化ビニル共重合樹脂、アクリル−スチレン共重合樹脂、アクリル−シリコーン共重合樹脂、およびエポキシ樹脂から選ばれた少なくとも1種類以上の樹脂からなる粉末もしくはエマルジョンを例示することができる。
【0058】
高密度水熱合成セラミックス前駆体において、かかる加工性改良剤の配合量は、水硬性粉体と非水硬性粉体との混合粉体100質量部に対し、乾ベースで2〜18質量部とし、好ましくは5〜15質量部である。配合量が2質量部未満の場合には切削加工性が悪くなり、18質量部を超える場合には研削精度の低下と研削後の寸法安定性が低下するので、それぞれ好ましくない。
【0059】
当該加工性改良剤の粒度としては、分散した単一粒子径で1μm以下のものが一般的である。高密度水熱合成セラミックスを製造するには、ポルトランドセメント等の水硬性粉体と、シリカフューム等の非水硬性粉体と、アクリル樹脂等の加工性改良剤と、その他の添加物とからなる混合粉体(高密度水熱合成セラミックス前駆体)に、既述の磁性粒子、および、水硬性粉体および非水硬性粉体の混合粉体の100質量部に対して30質量部以下または理論水和量未満の水を混合して成形用混合物を調製する。混合には成形用混合物に強力な剪断力を加えることができる混合方法若しくは混合機械を用いることが好ましい。また、混合後に、成形する形状に適した大きさに造粒するのも好ましい。この場合の造粒方法としては、転動造粒法、圧縮造粒法、攪拌造粒法、スプレードライ法等の周知の方法を用いることができる。
【0060】
このようにして得られた成形用混合物を加圧成形して成形するが、所望の形状の型を用意し、静水圧プレス、多軸プレス、1軸プレス等による加圧によって成形する。この場合の加圧条件としては、計算される理論密度にできる限り近づけるようにプレス圧が高いほど好ましいが、その下限値については混合物の易成形性、水の含有割合あるいは必要とされる寸法精度の違い等によって、大きく異なる。加圧成形後、蒸気養生あるいはオートクレーブ中で蒸気養生する。なお、硬化体を形成するための水量が欠如または不足している場合には、オートクレーブ中で蒸気養生することが好ましい。
【0061】
本発明に用いられる高密度水熱合成セラミックス前駆体により得られる高密度水熱合成セラミックスは、磁性粒子が含まれない状態では、例えば、住友大阪セメント株式会社から製品化されている、ジーマ(商品名)等が挙げられ、これに磁性粒子を分散・固定化したものが、好適なものとして例示できる。
【0062】
以上のようにして調製された、添加された磁性粒子が異なる2種類の成形用混合物を用いて加圧成形し、保持部材30を作製した。保持部材30の形状は、円柱状のものとし、軸方向の両端から一定の領域をそれぞれ領域aおよび領域cとなるようにした。具体的には、前記2種類の成形用混合物を各領域ごとに、同時に型等に入れて成形してもよいし、先に領域10bを成形してから保持部材30全体の型の略中央にこれを配置し、型の両側の空間に領域10aおよび領域10c用の成形用混合物を入れて成形してもよい。この場合、勿論、領域10bと、領域10aおよび領域10cの成形順序を逆にしてもよい。得られる保持部材30は、磁性粒子の粒子状態が維持されたまま水硬性組成物内に添加され、分散状態で配置されて構成されたものとなる。
【0063】
以上、前記磁性粒子を粒子状態のまま維持された状態(分散状態)で配置する方法として、基材中に分散状態で配置する方法を例に挙げて説明したが、本発明においてはこれに限定されない。具体的には例えば、前記磁性粒子を容器に充填させる構成が挙げられる。容器を用いてその容器に磁性粒子を充填することで、粒子状態を維持しつつ用いる磁性粒子の集合体全体としての形状を維持することができる。当該態様によれば、容器の形状を適宜選択することのみで、磁心の形状を自由に設定でき、容易に所望する形状の磁心を製造することができる。
【0064】
当該態様の場合、キュリー温度の異なる磁性粒子の領域を作るには、単に容器に入れる順番を調整するのみでもよいし、容器内に仕切りを設けておいてもよい。前者の場合には、境界で混ざり合ってしまうことがあるので、容器内にできるだけ密実に磁性粒子を収容する、境界に仕切りを設ける、あるいは境界の磁性粒子を接着剤等で固定する、等の対策を採ることが好ましい。
【0065】
これに対して、本実施形態のように前記磁性粒子を基材中に分散状態で配置させる態様によれば、製造時、前記基材を構成する組成物に、磁性粒子の粒子状態が維持されたまま添加し、これを型に注入して成形することができるので、型の形状を適宜選定することのみで、磁心の形状を自由に設定でき、容易に所望する形状の磁心を製造することができる。また、前記基材により磁性粒子が固定されるため、領域ごとにキュリー温度の異なる磁性粒子を配するのが容易であり、領域の境界で混合してしまう懸念も無い。
【0066】
保持部材30の形状としては、本実施形態においては円柱状であるが、本発明においてはこれに限定されるものではなく、目的に応じて各種形状を選択することができる。例えば、楕円柱状、四角柱状、三角柱状あるいは六角柱状、その他任意の角数の角柱状のものを、使用条件、設置場所、求める磁気特性に応じて、適宜選定することができる。なお、本発明において「円柱状」との語の概念には、楕円柱状も含めるものとする。さらに、円柱状と角柱状とが融合した形状(例えば軸を中心として、片側180゜が楕円柱状で、残りの片側180゜が四角柱状となった形状)についても、「円柱状または角柱状」の概念に含めるものとする。
以上のようにして、本発明の一例である本実施形態の励磁コイルが得られた。
【0067】
図3に、本実施形態の励磁コイル20を磁場発生手段として用いた電磁誘導加熱方式の定着装置の斜視図を示す。定着装置10は、磁性金属(例えば、鉄)で形成された加熱ロール(定着用回転体)14の内部に、この加熱ロール14に対して熱エネルギーを供給する誘導加熱コイル(磁場発生手段)としての励磁コイル20が配置されている。
【0068】
なお、電磁誘導により渦電流を生じさせて発熱する導電性層は、磁性金属で形成された加熱ロール14自身となっている。本発明の画像形成装置においては、定着用回転体の周面近傍に、導電性層が形成されていることが必須となる。定着用回転体としての基体の周面に別途導電性層が形成されていてもよいが、本実施形態のように、基体自身が導電性層を構成しても構わない。勿論、いずれの場合においても、これら導電性層の表面に、さらに別途、離型層や弾性層等他の層が形成されていても構わない。導電性層が別途形成される場合の導電性層やその他の層については、後述の実施形態の中で説明するものと同様である。
また、その場合の基体としては、発熱に寄与しないので特に制限されず、各種プラスチック材料、金属、セラミック材料、ガラス材料等を問題無く使用することができる。
【0069】
ここで、本発明の画像形成装置で規定する「周面近傍」とは、電磁誘導により導電性層が発熱した際に、周面に他の層が形成されている場合であっても当該周面にその熱が伝わり、周面の温度が、定着(または転写定着)に十分な程度になり得る程度の近傍であることを意味する。したがって、「周面近傍」を規定する周面からの深さについては、各種条件により大きく変動し、一律に具体的な数値を示し得るものではない。また、基体自身が導電性層を構成し、周面に他の層が形成された状態においては、周内に当該導電性層が露出した状態となるが、この場合も周面からの状態のみに着目して「周面近傍」であるか否かが判断される。
【0070】
加圧ロール(加圧用回転体)16は、加熱ロール14に圧接しており、両者間に形成されたニップ部に、未定着トナーが形成された記録紙(被記録媒体)18を、当該未定着トナーが形成された面が加熱ロール14に接するように挿通させることにより、トナー画像を定着させる。なお、図3には、記録紙18として、JIS規格でB5版の用紙を用い、これが横方向(進行方向と用紙の長手方向が一致する向き)で挿通されている状態が示されている。
【0071】
高周波電源28には、コイル24の導入端26aおよび26bが接続され、励磁コイル20に高周波電流を供給する。すなわち、高周波電源28は、励磁コイル20に高周波電流を供給するためのものである。
加熱ロール14と励磁コイル20との間隙は、小さくなるように(例えば1.0mm程度)構成されている。その励磁コイル20に高周波電流を流し、加熱ロール14を直接加熱するものである。
【0072】
次に、例示した定着装置10の動作を説明する。図示しないスイッチを操作すると、高周波電源28が励磁コイル20に高周波電流を供給する。励磁コイル20は、供給された高周波電流に応じて高周波磁界を発生する。これにより、磁性金属で形成された加熱ロール14は、生成消滅を繰り返す交番磁束内に置かれるため、加熱ロール14中に磁界の変化を妨げる磁界を生じるように渦電流が発生する。この渦電流と、加熱ロール14が有する電気抵抗によってジュール熱が発生し、加熱ロール14が加熱される。
【0073】
図2には、用紙のサイズがB5版で横方向に挿通される場合に用紙が通る領域をR−B5と、同様にA4版で縦方向(進行方向と用紙の長手方向が直交する向き)の場合の領域をR−A4との符号で示している。励磁コイル20の保持部材(磁心)30並び加熱ロール14は、幅の広いA4版(縦方向)が最大で挿通可能な長さ(両端に若干の余裕を含む)となっている。そのため、幅の狭いB5版が挿通される際には、加熱ロール14の両端の表面は、用紙に当接しない。加熱ロール14の表面における用紙に当接する領域R−B5では、用紙に熱を奪われ、それを補うべく励磁コイル20からの電磁誘導加熱が為され、定着に必要な温度が維持されるのに対して、領域R−B5以外の表面では、そのまま電磁誘導加熱が為されると、熱を奪われることが無く温度上昇を来たす。そのため、B5版サイズの用紙が連続的に挿通されると、加熱ロール14の両端の表面および保持部材30の両端が、過加熱状態となる懸念が生じる。
【0074】
これに対して、本実施形態の励磁コイル20を用いた図3に記載の定着装置では、保持部材30の両端(領域R−B5以外の領域)に相当する領域10aおよび領域10cが、領域10bよりも、低いキュリー温度の磁性体となっている。したがって、保持部材30における領域10aおよび領域10cの温度が、そのキュリー温度に達した時点で、領域10aおよび領域10cについては磁性を失い、励磁コイル20からの電磁誘導加熱がストップする。そのため励磁コイル20並びに加熱ロール14の両端(領域R−B5以外の領域)の過加熱が抑制される。
【0075】
このように、本実施形態の励磁コイル20を用いれば、保持部材30に用いる磁性体(磁性粒子)のキュリー温度を適切に設定しておくことにより、励磁コイル20並びに加熱ロール14の過加熱が防止され、自立的に加熱の不均一が抑制される。また、その時点で磁性を有する領域10bについて、コイル24との距離は変わらないので、コイル24からの磁界を効率的に熱に変換することができる。
【0076】
過加熱を防止するために有効な、保持部材30に用いる磁性体(磁性粒子)のキュリー温度としては、各部材の材質、装置構成、設定定着温度、ニップ幅、挿通が予測される用紙の種類・厚さ、プロセススピード等により異なり、一概には言えないが、領域10bに用いる磁性粒子のキュリー温度に対して、領域10aと領域10cに用いる磁性粒子のキュリー温度が、30〜100℃低いことが好ましく、40〜60℃低いことがより好ましい。
【0077】
また、設定定着温度を基準に考えると、領域10aと領域10cに用いる磁性粒子のキュリー温度は、設定定着温度プラス40℃以下であることが好ましく、設定定着温度プラス30℃以下であることがより好ましい。勿論、幅の広いA4版(縦方向)が挿通された際にも、十分な定着温度を確保する必要があることから、領域10aと領域10cに用いる磁性粒子のキュリー温度は、設定定着温度以上であることが好ましく、設定定着温度の20℃以上であることがより好ましい。
【0078】
ところで、B5版よりも小さい用紙が連続的に挿通されると、励磁コイル20並びに加熱ロール14の領域R−B5においても温度上昇を生ずる領域が生まれる。その場合に保持部材30における領域10bがキュリー温度に達してしまい、磁性を失うと、電源装置である高周波電源28と励磁コイル20との共振条件にズレが生じ、高周波電源28の装置上のトラブルが起こる可能性がある。したがって、高周波電源28の励磁コイル20とのマッチング特性を考慮して、その許容範囲内となるように、保持部材30における領域10bに用いる磁性粒子のキュリー温度は、ある程度高くしておくことが望ましい。前記許容範囲により条件が変わるため一概には言えないが、領域10bに用いる磁性粒子のキュリー温度としては、大略、設定定着温度の60℃以上であることが好ましく、設定定着温度の80℃以上であることがより好ましい。
【0079】
実際の定着装置において、一般に設定定着温度は130〜210℃であることから、通常においては、領域10aと領域10cに用いる磁性粒子のキュリー温度が150〜230℃、領域10bに用いる磁性粒子のキュリー温度が230℃以上の各範囲内から選択することが好ましい。
【0080】
以上、本実施形態においては、励磁コイルの構成について特定の条件を定めて説明したが、本発明の励磁コイルは、本発明の要件を満たす限り、本実施形態の構成に限定されるものではなく、種々の変更を加えることができる。
例えば、本実施形態では、挿通される被記録媒体(用紙)の最大サイズがA4版(縦方向)、最小サイズがB5版(横方向)で、これらが励磁コイル20並びに加熱ロール14の長手方向の略中央を中心として挿通されることを基準として、これに対応するように、キュリー温度の異なる磁性体からなる磁心の軸方向の各領域(本発明に言う「所定の領域」)を定めているが、これに限定されるものではない。具体的には例えば、被記録媒体の進行方向に対して左右いずれかに偏った状態で常に挿通される場合に、偏った側から最小サイズの被記録媒体が挿通される領域と残りの領域に分けてキュリー温度を調整すればよい。また、挿通される被記録媒体のサイズを3種以上想定して、領域を多数に分けて、それぞれキュリー温度を調整してもよい。
【0081】
勿論、挿通される被記録媒体の最大サイズおよび最小サイズを、A4版(縦方向)およびB5版(横方向)以外を想定して、本発明に言う所定の領域を設定しても構わない。ただし、最大サイズと最小サイズとの幅の差があまりに大きくなると、既述した電源装置と励磁コイルとの共振条件のズレによる装置上のトラブルが起こる可能性があるため、あまり極端に差を設けない方が好ましい。すなわち、挿通される被記録媒体の最小サイズが極端に小さくても、電源装置の励磁コイルとのマッチング特性を考慮して、その許容範囲内となるように、キュリー温度が高い領域の方の幅をある程度確保しておくことが望ましい。前記許容範囲により条件が変わるため一概には言えないが、キュリー温度が高い領域が、磁心の全長に対して70%以上であることが好ましく、80%以上であることがより好ましい。
【0082】
〔第2の実施形態〕
次に、本発明の励磁コイルを用いた本発明の電子写真方式の画像形成装置に関する第2の実施形態について説明する。本実施形態は、ロール−ロールニップ定着方式の定着装置に電磁誘導加熱を採用した構成のものである。なお、本実施形態は、上記実施形態とほぼ同様の構成の部分を有するため、同一部分には同一符号を付して詳細な説明を省略する。
【0083】
一般的に電子写真方式の画像形成装置は、被記録媒体表面に、電子写真方式により未定着トナー画像を形成する画像形成手段と、未定着トナー画像が形成された前記被記録媒体表面にトナー画像を定着する定着手段と、を含む。
従来から、複写機、プリンター等における加熱定着型の記録装置には、トナーに代表される被定着材を被記録材料に加熱定着させるための定着手段に定着装置が用いられている。定着装置の加熱方式として、ハロゲンランプ等のランプで加熱するランプ方式と、交番磁界を磁性導体に鎖交させて渦電流を発生させることで加熱する電磁誘導加熱方式とがある。
【0084】
電磁誘導加熱方式の定着装置は、渦電流により発生するジュール熱を利用することにより熱ロール等の被加熱材を直接加熱することができるため、ランプ方式に比べて高効率の加熱を実現できる利点がある。
【0085】
本実施形態においては、この電磁誘導加熱方式の定着装置を定着手段に用いた例を示す。また、本実施形態においては、定着装置として、定着用回転体および加圧用回転体の双方にロール状の部材を用いた、いわゆるロール−ロールニップ型の定着装置を適用した例を挙げている。
【0086】
図4は、本実施形態の画像形成装置を示す概略構成図である。この画像形成装置は、一様帯電後に像光を照射することにより表面に潜像が形成される円筒状の感光体ドラム2を備えており、この感光体ドラム2の周囲に、感光体ドラム2の表面を一様に帯電させる帯電装置4と、感光体ドラム2に像光を照射して表面に潜像を形成する露光装置6と、感光体ドラム2表面の潜像にトナーを選択的に転移させてトナー画像を形成する現像装置8と、感光体ドラム2表面に形成されたトナー画像を記録紙18に転写し未定着像を形成する転写装置12と(以上、画像形成手段)、該未定着像を加熱定着する定着装置10と、感光体ドラム2表面に残留したトナーを回収するクリーニング装置22を備える。本発明においては、クリーニング装置22を含む画像形成手段の構成は、従来公知の構成をそのまま適用できるため、本実施形態においてもその詳細な説明は省略する。
【0087】
定着装置10は、第1の実施形態で説明した定着装置10がそのまま用いられている。したがって、定着装置10については第1の実施形態で説明した通りであるので、重複した記載は割愛する。
【0088】
本実施形態では、ロール−ロールニップ定着方式の定着装置において発生させる熱に寄与する磁気発生手段として、円柱状の磁心(保持部材30)と、該磁心の軸の周囲にスパイラル状に巻回されたコイル(コイル24)とからなり、前記磁心が、その軸方向の所定の領域ごとに、キュリー温度の異なる磁性体30a,30b,30cからなる励磁コイル20を用いているので、小サイズの被記録媒体(記録紙18)が挿通された際にも、定着装置での局部的な過加熱を生じることなく、自立的にかつ効率的に、加熱の不均一を抑制することができる。そのため、省エネルギーに繋がるとともに、各種部品ないし装置全体の短命化を抑制することができる。また、画質のムラや定着不良、ホットオフセットといった各種不具合を抑制することができる。
【0089】
その他、磁性粒子が分散状態で配置されて構成されたものを用いるメリット、さらにそれが基材中に構成されることによるメリット等は、第1の実施形態で述べた通りである。
【0090】
〔第3の実施形態〕
次に、本発明の励磁コイルを用いた本発明の電子写真方式の画像形成装置に関する第3の実施形態について説明する。本実施形態は、ロール−ベルトニップ定着方式の定着装置に電磁誘導加熱を採用した構成のものである。
【0091】
図5は、本実施形態の画像形成装置を示す概略構成図である。この画像形成装置は、定着装置の構成が異なることを除き、第2の実施形態の画像形成装置と同様である。したがって、第2の実施形態の画像形成装置と同一の機能を示す部分には、同一符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0092】
図6に、本実施形態における定着装置40のみを拡大した概略構成図を示す。定着装置40において、第1および第2の実施形態で説明した、加熱用回転体である加熱ロール14およびその内部に配される励磁コイル20の構成がそのまま採用される。
【0093】
加熱ロール14には、張架ロール34a、ステアリングロール34bおよび圧力ロール34cにより張架された、ポリイミド樹脂シート等よりなる耐熱性の加圧ベルト36が所定角度巻き付き、加圧ベルト36の内側には、加圧ベルト36を加熱ロール14に押しつける加圧パッド38が配され、圧力ロール34cとともにニップ部を形成している。加圧パッド38は、例えば、シリコーンゴムベース上にシリコーンスポンジを載せ、さらにその上にフッ素樹脂製のシートを被せたもの等が用いられる。
【0094】
加熱ロール14は矢印E方向に回転し、それにつれて加圧ベルト36も矢印F方向に従動回転する。未定着トナー画像が形成された記録紙18は矢印D方向に進行し、上記定着装置のニップ部に挿通され、加熱溶融および加圧されトナー画像が定着される。
【0095】
本実施形態では、ロール−ベルトニップ定着方式の定着装置において発生させる熱に寄与する磁気発生手段として、円柱状の磁心(保持部材30)と、該磁心の軸の周囲にスパイラル状に巻回されたコイル(コイル24)とからなり、前記磁心が、その軸方向の所定の領域ごとに、キュリー温度の異なる磁性体30a,30b,30cからなる励磁コイル20を用いているので、小サイズの被記録媒体(記録紙18)が挿通された際にも、定着装置での局部的な過加熱を生じることなく、自立的にかつ効率的に、加熱の不均一を抑制することができる。そのため、省エネルギーに繋がるとともに、各種部品ないし装置全体の短命化を抑制することができる。また、画質のムラや定着不良、ホットオフセットといった各種不具合を抑制することができる。
【0096】
その他、磁性粒子が分散状態で配置されて構成されたものを用いるメリット、さらにそれが基材中に構成されることによるメリット等は、第1の実施形態で述べた通りである。
【0097】
〔第4の実施形態〕
次に、本発明の励磁コイルを用いた本発明の電子写真方式の画像形成装置に関する第4の実施形態について説明する。本実施形態は、ベルト−ロールニップ定着方式の定着装置に電磁誘導加熱を採用した構成のものである。
【0098】
図7は、本実施形態の画像形成装置を示す概略構成図である。この画像形成装置は、定着装置の構成が異なることを除き、第2の実施形態の画像形成装置と同様である。したがって、第2の実施形態の画像形成装置と同一の機能を示す部分には、同一符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0099】
図8に、本実施形態における定着装置50のみを拡大した概略構成図を示す。定着装置50において、第1および第2の実施形態で説明した加圧ロール16の構成と近似した加圧ロール46が、加圧用回転体として採用されている。定着装置50においては、定着用回転体として、加圧ロール46に対向・接触して周動回転する定着ベルト44が用いられている。
【0100】
定着ベルト44の周内には、定着ベルト44を加圧ロール16に付勢して定着ベルト44と加圧ロール16との間にニップ部を形成する押圧部材46と、定着ベルト44の矢印G方向への周動回転をスムーズに行わせるためのベルトガイド42と、が配されている。
【0101】
定着ベルト44は、例えば、耐熱性樹脂層をベースとして、その表面に順次、渦電流により発熱する導電性層であるアルミ溶射層、蓄熱および弾性を与えるためのゴム弾性層、さらに未定着トナー画像と直接接するトナー離型層が成膜されたもの等が挙げられる。勿論、当該構成に限定されるものではない。例えば、アルミ溶射層とゴム弾性層との間に耐熱性樹脂層を設けたり、各層間に接着性を高めるためにプライマー層を介してもよい。
【0102】
加圧ロール46は、例えば、芯金外周にシリコーンゴムやフッ素ゴムといった耐熱性に優れた弾性層を被覆したものを用いるのが一般的である。また、それらの弾性層上にフッ素樹脂やシリコーン樹脂等の離型性に優れた樹脂をコーティングしてもよい。
【0103】
加圧ロール46は、矢印H方向に回転駆動し、それにつれて定着ベルト44も矢印G方向に従動回転する。未定着トナー画像が形成された記録紙18が、上記定着装置のニップ部に挿通されると、未定着トナー画像が加熱溶融および加圧されトナー画像が定着される。
【0104】
定着ベルト44の加熱は、本実施形態においても電磁誘導加熱方式である。かかる電磁誘導加熱に関与する磁気発生手段として、本実施形態においては、第1の実施形態の励磁コイル20が用いられている。励磁コイル20から生ずる磁界により、定着ベルト44における導電性層であるアルミ溶射層に渦電流が発生し、その電気抵抗によってジュール熱が発生し、定着ベルト44が加熱される。
【0105】
本実施形態では、ベルト−ロールニップ定着方式の定着装置において発生させる熱に寄与する磁気発生手段として、円柱状の磁心(保持部材30)と、該磁心の軸の周囲にスパイラル状に巻回されたコイル(コイル24)とからなり、前記磁心が、その軸方向の所定の領域ごとに、キュリー温度の異なる磁性体30a,30b,30cからなる励磁コイル20を用いているので、小サイズの被記録媒体(記録紙18)が挿通された際にも、定着装置での局部的な過加熱を生じることなく、自立的にかつ効率的に、加熱の不均一を抑制することができる。そのため、省エネルギーに繋がるとともに、各種部品ないし装置全体の短命化を抑制することができる。また、画質のムラや定着不良、ホットオフセットといった各種不具合を抑制することができる。
【0106】
その他、磁性粒子が分散状態で配置されて構成されたものを用いるメリット、さらにそれが基材中に構成されることによるメリット等は、第1の実施形態で述べた通りである。
【0107】
以上、第2〜第4の実施形態においては、画像形成装置における定着装置に本発明の励磁コイルを用いた各例を挙げたが、本発明の画像形成装置は、上記各例の構成に限定されるものではなく、本発明の構成を具備する限り、公知の知見により、各種構成の変更、追加を行うことができる。
【0108】
例えば、第3の実施形態における加圧用回転体としての加圧ロールを、エンドレスベルト状の加圧部材(加圧ベルト)として、あるいは、第4の実施形態における加圧用回転体としての加圧ロールを、エンドレスベルト状の加圧部材(加圧ベルト)として、ベルト−ベルトニップ型の定着装置とする等の変更を加えることができる。
【0109】
また、第2〜第4の実施形態においては、全て画像形成手段として、未定着トナー画像を形成するユニットが1つのみで、単色の未定着トナー画像を形成する構成を例に挙げて説明したが、本発明においては、2色以上の未定着トナー画像を形成するべく、画像形成のユニットが2つ以上備えて、未定着トナー画像を積層した後に定着する構成であっても勿論構わない。例えばマゼンタ(M)、シアン(C),イエロー(Y)およびブラック(K)の4色の未定着トナー画像を積層し、これを定着する構成とすればフルカラー画像を得ることができ、本発明の構成は、このようなフルカラー画像を形成するための画像形成装置においても好適に適用される。
【0110】
さらに、第2〜第4の実施形態においては、全て定着用回転体のみを加熱する構成のものを例に挙げたが、加圧用回転体について予備的に加熱する構成としても構わない。このときの加熱方式は、一般的なハロゲンランプ等の熱源による加熱でも構わないし、電磁誘導加熱方式であっても構わない。電磁誘導加熱方式の場合には、勿論、本発明の励磁コイルを適用することができ、この場合であって、定着用回転体側には本発明の励磁コイルを適用しなくても、本発明の電子写真装置と位置付けられる。
【0111】
〔第5の実施形態〕
最後に、本発明の励磁コイルを、転写定着同時方式の画像形成装置であって、転写定着装置の電磁誘導加熱に適用した第5の実施形態について説明する。本実施形態の画像形成装置は、電子写真方式のいわゆるタンデム型のフルカラー画像形成装置である。
【0112】
図9は、第5の実施形態である画像形成装置を示す概略構成図である。
このカラー画像形成装置は、電子写真方式により画像情報に基づくイエロー(ー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色成分の未定着トナー画像をそれぞれ形成する4つの作像ユニット48Y,48M,48C,48Kと、この各作像ユニット48(48Y,48M,48C,48K)で形成される各未定着トナー画像が積層転写される中間転写ベルト(像担持回転体)90と、この中間転写ベルト90の周面に積層転写された未定着トナー画像を記録紙(被記録媒体)68に転写するとともに定着させる転写定着装置60と、から基本的に構成されている。図中の矢付1点鎖線は、記録紙68の搬送経路を示す。記録紙68は、給紙部(図示省略)から1枚ずつ供給されるようになっている。トナーとしては、ワックス含有タイプのトナーを使用している。
【0113】
作像ユニット48Y、48M、48C、48Kは、水平方向にそって一定の間隔をあけた並列状態で配設されており、そのいずれも同様の構成からなるものである。これら各作像ユニット48は、より具体的には、第2の実施形態で説明した画像形成装置における画像形成手段、すなわち図4における感光体ドラム2、帯電装置4と、露光装置6と、現像装置8と、転写装置12とからなる構成と、基本的には同一であり、それぞれの露光装置では画像情報に基づくイエロー(ー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色成分の潜像が形成され、これに応じてそれぞれの色のトナーが収容された現像装置により未定着トナー画像が各感光体ドラムに形成され、中間転写ベルト90の周面に積層転写される構成となっている。これら各作像ユニット48は、第2の実施形態、ひいては従来技術と同様であるため、その詳細についての説明は省略する。
【0114】
上記中間転写ベルト90は、図示しない回転駆動源により回転駆動する駆動ロール54と、従動回転して中間転写ベルト90を支持する支持ロール52と、転写定着装置60における加熱ロール(転写定着ロール)64と、に張架されるとともに、その駆動ロール54と支持ロール52との間で、前記各作像ユニット48における感光体ドラムの転写位置を通過する状態で配設されている。中間転写ベルト90は駆動ロール54によって矢印I方向に周動回転する。
【0115】
中間転写ベルト90としては、例えば、ベルト基材表面に表面層を積層形成した2層構造のものが使用される。ベルト基材は、耐熱性を有する材料にて構成されるものであり、例えばカーボンブラックを含有させて体積抵抗率を適宜調整してなる厚さ50〜80μm程度のポリイミドフィルムを使用する。前記表面層は、転写定着時において(未定着)トナー画像を介在させた状態での中間転写ベルト90と記録紙68との良好な密着性を確保する観点から、弾性を有する材料にて構成されるものであり、例えば、主鎖にパーフルオロポリエーテルを含む特定のフッ素ゴム(信越化学工業製:SIFEL610−10等)を塗布形成してなる厚さ50〜150μm程度の層である。
なお、本実施形態においては、像担持回転体として、エンドレスベルト状のものを用いたが、本発明においてはロール状のものを用いても構わない。
【0116】
転写定着装置60は、中間転写ベルト90を挟むような状態で対向配設される加熱ロール(転写定着ロール)64と、加圧ロール66とでその主要部が構成されている。より具体的な構成は、第1の実施形態において図3を用いて説明した、定着装置10と同様の構成であり、第1の実施形態における加熱ロール14が本実施形態における加熱ロール64に、第1の実施形態における加圧ロール16が本実施形態における加圧ロール66に、それぞれ相当する。また、図9においては不図示であるが、第1の実施形態における定着装置10と同様、加熱ロール64の内部には、この加熱ロール64に対して熱エネルギーを供給する誘導加熱コイル(磁場発生手段)としての励磁コイル(第1の実施形態の構成のもの)が配置され、さらに当該励磁コイルに高周波電流を供給する高周波電源が接続されている。
その他、詳細な構成は、第1の実施形態において述べたものと基本的に同様であるため、その詳細な説明は省略することとする。
【0117】
なお、本実施形態では採用されていないが、中間転写ベルト90の周動領域における駆動ロール54と加熱ロール64との間に、中間転写ベルト90(厳密には表面層)上に担持された未定着トナー画像のトナーを補助的に加熱させるための補助的加熱手段を配置しても構わない。当該補助的加熱手段としては、一般的な電熱ヒータとしても構わないし、中間転写ベルト90に導電性層を設けておけば、電磁誘導加熱方式の加熱手段としても構わない。
【0118】
この他、この画像形成装置においては、中間転写ベルト90の表面に付着するトナー等を除去するためのクリーニングロール56を、中間転写ベルト90を介して支持ロール52と対向した状態で配置している。
【0119】
このクリーニングロール56は、中空の金属ロールに樹脂層を形成するとともにそのロール内部に熱源を設置した構造のものであり、中間転写ベルト90表面に残留するトナーを溶融させる程度に加熱して清掃作業を行うようになっている。また、このクリーニングロール56は、中間転写ベルト90の回転起動直後に加わる負荷を低減するため、その回転開始後に中間転写ベルト90に圧接し、その回転停止直前に中間転写ベルト90から離間するように接離可能に配置されている。なお、このクリーニングロール56と対向する支持ロール52にも、中間転写ベルト90上に残留するトナーを溶融させる程度に加熱する加熱源が設置されていてもよい。
【0120】
このような基本構成からなる本実施形態の画像形成装置では、次のようにしてカラー画像の形成が行われる。
まず、各作像ユニット48において、各感光体ドラムに形成される4色の未定着トナー画像が、一次転写部である転写装置(第2の実施形態における転写装置12に相当)の静電的な転写作用により中間転写ベルト90の表面に重ね合わせられるようにして順次一次転写される。
【0121】
中間転写ベルト90に転写されて担持された未定着トナー画像は、そのベルトの回転に伴って転写定着装置60を通過するように搬送されることにより記録紙68に転写定着される。すなわち、中間転写ベルト90表面の未定着トナー画像は、加熱ロール64と加圧ロール66との間のニップ部に中間転写ベルト90とともに挿通される記録紙68に接した状態で、加熱および加圧される。このときの熱源は、電磁誘導加熱された加熱ロール64表面から中間転写ベルト90を介して伝わる熱であり、励磁コイル(第2の実施形態における励磁コイル20に相当)からの磁界に起因するものである。これにより、トナー画像が記録紙68に二次転写されるとともに定着される。
【0122】
トナー画像が転写定着された記録紙68は、転写定着装置60から排出されると、排紙ガイド58および排紙ロール62により、系外に排出される。この結果、記録紙68の片面に対してフルカラー画像が形成される。
【0123】
本実施形態では、転写定着同時方式の画像形成装置の転写定着装置において発生させる熱に寄与する磁気発生手段として、円柱状の磁心(保持部材30)と、該磁心の軸の周囲にスパイラル状に巻回されたコイル(コイル24)とからなり、前記磁心が、その軸方向の所定の領域ごとに、キュリー温度の異なる磁性体30a,30b,30cからなる励磁コイル20を用いているので、小サイズの被記録媒体(記録紙68)が挿通された際にも、転写定着装置での局部的な過加熱を生じることなく、自立的にかつ効率的に、加熱の不均一を抑制することができる。そのため、省エネルギーに繋がるとともに、各種部品ないし装置全体の短命化を抑制することができる。また、画質のムラや定着不良、ホットオフセットといった各種不具合を抑制することができる。
【0124】
その他、磁性粒子が分散状態で配置されて構成されたものを用いるメリット、さらにそれが基材中に構成されることによるメリット等は、第1の実施形態で述べた通りである。
【0125】
なお、上記実施形態では、4色の未定着トナー画像がすべて中間転写ベルトの周面に転写された後に、磁場発生手段により電磁誘導加熱し、トナーを加熱溶融させた例を示したが、各トナー画像が一色ずつ一次転写された後に加熱溶融させ、中間転写ベルトの周面にトナーの仮定着を行ってもよい。このような方式により、一次転写後に、4色の重ね合わされたトナー画像が乱れるのを防止できるとともに、画像のレジストや倍率を精度良く合わせることができるといった利点がある。
【0126】
以上、第5の実施形態においては、画像形成装置における転写定着装置に本発明の励磁コイルを用いた例を挙げたが、本発明の画像形成装置は、本実施形態の構成に限定されるものではなく、本発明の構成を具備する限り、公知の知見により、各種構成の変更、追加を行うことができる。
【0127】
例えば、像担持回転体として、エンドレスベルト状の中間転写ベルトを用いた例を挙げたが、ロール状の中間転写ロールや、感光体(ロール状およびエンドレスベルト状の双方を含む)を像担持回転体とした構成であってもよい。感光体を像担持回転体とする場合には、既述の作像ユニットが本発明に言う画像形成手段に相当する。ただし、電磁誘導加熱により感光体ドラム自体が加熱されるので、耐熱性のある感光体ドラム並びに画像形成システムであることが要求される。
【0128】
以上説明した第1〜第5の実施形態は、本発明のあくまで例示であり、本発明の構成を具備する限り、当業者は従来公知の知見をもとに、種々の変更を加えることができる。また、これら実施形態では、励磁コイルの磁心における基材として、固化した水硬性組成物を例に挙げて説明したが、これに限定されるものではなく、公知の樹脂材料等を用いても構わないし、磁性体として、磁性粒子を用いず、従来から磁心の材料として公知の物を用いて、構成しても構わない。勿論、耐熱性、低コスト、並びに成形性等の観点から、磁性粒子が基材中に分散状態で配置されて磁心を構成し、かつ、基材として固化した水硬性組成物を用いることが好ましいことは言うまでも無い。
【0129】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、電子写真方式や静電記録方式により形成された画像を定着する際、電磁誘導加熱をするための磁場発生手段として有用な励磁コイルであって、小サイズの被記録媒体が挿通された際にも局部的な過加熱を生じることなく、自立的にかつ効率的に、加熱の不均一を抑制し得る励磁コイル、およびこれに用いるに適した磁心、並びにこれらを用いた画像形成装置を提供することができる。そのため、省エネルギーに繋がるとともに、各種部品ないし装置全体の短命化を抑制することができる。また、画質のムラや定着不良、ホットオフセットといった各種不具合を抑制することができる。
【0130】
また、磁心が、その軸方向の所定の領域ごとに、キュリー温度の異なる磁性粒子が分散状態で配置されて構成されるものであれば、主たる磁心材料である磁性粒子が、磁性粒子が粒子状態のまま維持されているので、磁心に渦電流が生じることを解消することができる。このため、渦電流により発熱する損失を解消することができる。
【0131】
さらに、基材として水硬性組成物を固化したものを用いれば、さまざまな形状に容易に成形することができ、容易に励磁コイルを製造することができるとともに、得られる励磁コイルの高い耐熱性を確保することができ、また、磁性粒子の混合割合を高めることができるため、これらの透磁率をより一層高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態にかかる励磁コイルの正面図である。
【図2】図1のC−C断面図である。
【図3】図1の励磁コイルを磁場発生手段として用いた電磁誘導加熱方式の定着装置の斜視図である。
【図4】本発明の第2の実施形態に係る画像形成装置を示す概略構成図である。
【図5】本発明の第3の実施形態に係る画像形成装置を示す模式構成図である。
【図6】図5に示す画像形成装置のうち、定着装置の部分のみを示す概略構成図である。
【図7】本発明の第4の実施形態に係る画像形成装置を示す概略構成図である。
【図8】図5に示す画像形成装置のうち、定着装置の部分のみを示す概略構成図である。
【図9】本発明の第5の実施形態に係る画像形成装置を示す概略構成図である。
【図10】従来例である、磁性体が、記録紙通紙方向と直交する方向で複数個に分割されており、キュリー温度の異なる材質で構成されている誘導加熱方式の定着装置の加熱ロール部分のみを模式的に抜き出したものであり、(A)は加熱ロールの長手方向略中央における断面図、(B)は(A)のP−P断面図である。
【符号の説明】
2:感光体ドラム、 4:帯電装置、 6:露光装置、 8:現像装置、 10、40、50:定着装置(定着手段)、 12:転写装置、 14:加熱ロール(定着用回転体)、 16:加圧ロール(加圧用回転体)、 18、68:記録紙(被記録媒体)、 20:励磁コイル、 22:クリーニング装置、 24、104:コイル、 26a,26b:導入端、 28:高周波電源、 30:保持部材(磁心)、 34 ロール、 36:加圧ベルト(加圧用回転体)、 38:加圧パッド、 42:ベルトガイド、 44:定着ベルト(定着用回転体)、 46:加圧ロール(加圧用回転体)、 46:押圧部材、 48Y,48M,48C,48K:作像ユニット、 52:支持ロール、 54:駆動ロール、 56:クリーニングロール、 58:排紙ガイド、 60:転写定着装置、62:排紙ロール、 64:加熱ロール(転写定着ロール)、 66:加圧ロール、 90:中間転写ベルト(像担持回転体)、 102a〜102c:コア(磁心)

Claims (20)

  1. 円柱状または角柱状の磁心と、該磁心の軸の周囲にスパイラル状に巻回されたコイルとからなり、前記磁心が、その軸方向の所定の領域ごとに、キュリー温度の異なる磁性体からなることを特徴とする励磁コイル。
  2. 前記磁心の一方もしくは両方の端部から一定の領域が、その他の領域に比して低いキュリー温度の磁性体からなることを特徴とする請求項1に記載の励磁コイル。
  3. 前記磁心が、その軸方向の所定の領域ごとに、キュリー温度の異なる磁性粒子が分散状態で配置されて構成されることを特徴とする請求項1に記載の励磁コイル。
  4. 前記磁心の一方もしくは両方の端部から一定の領域が、その他の領域に比して低いキュリー温度の磁性粒子が分散状態で配置されて構成されることを特徴とする請求項3に記載の励磁コイル。
  5. 前記磁性粒子が、鉄粉、フェライト粉末、およびマグネタイト粉末の少なくとも1種の粉末であることを特徴とする請求項3に記載の励磁コイル。
  6. 前記磁性粒子が基材中に分散状態で配置されて磁心を構成することを特徴とする請求項3に記載の励磁コイル。
  7. 前記基材が、樹脂であることを特徴とする請求項6に記載の励磁コイル。
  8. 前記基材が、固化した水硬性組成物であることを特徴とする請求項6に記載の励磁コイル。
  9. 前記水硬性組成物が、ポルトランドセメントまたは高密度水熱合成セラミックス前駆体であることを特徴とする請求項8に記載の励磁コイル。
  10. 円柱状または角柱状であって、その軸方向の所定の領域ごとに、キュリー温度の異なる磁性粒子が分散状態で配置されて構成されることを特徴とする磁心。
  11. その一方もしくは両方の端部から一定の領域が、その他の領域に比して低いキュリー温度の磁性粒子が分散状態で配置されて構成されることを特徴とする請求項10に記載の磁心。
  12. 前記磁性粒子が、鉄粉、フェライト粉末、およびマグネタイト粉末の少なくとも1種の粉末であることを特徴とする請求項10に記載の磁心。
  13. 前記磁性粒子が、基材中に分散状態で配置されて構成されることを特徴とする請求項10に記載の磁心。
  14. 前記基材が、樹脂であることを特徴とする請求項13に記載の磁心。
  15. 前記基材が、固化した水硬性組成物であることを特徴とする請求項13に記載の磁心。
  16. 前記水硬性組成物が、ポルトランドセメントまたは高密度水熱合成セラミックス前駆体であることを特徴とする請求項15に記載の磁心。
  17. 被記録媒体表面に、未定着トナー画像を形成する画像形成手段と、定着用回転体、および、該定着用回転体に当接してニップ部を形成する加圧用回転体からなり、未定着トナー画像が形成された面が定着用回転体に接するように前記被記録媒体を前記ニップ部に挿通することで、該被記録媒体表面にトナー画像を定着する定着手段と、を含む画像形成装置であって、
    前記定着用回転体および/または加圧用回転体における周面近傍に、導電性層が形成されており、
    前記定着用回転体および/または加圧用回転体の周内であって、その回転軸と同軸上または略平行に軸が位置するように、請求項1に記載の励磁コイルが配されてなることを特徴とする画像形成装置。
  18. 前記定着用回転体および加圧用回転体が、それぞれロール状またはエンドレスベルト状であることを特徴とする請求項17に記載の画像形成装置。
  19. 像担持回転体と、該像担持回転体の周面に、未定着トナー画像を形成する画像形成手段と、前記像担持回転体を挟み込むニップ部を形成するように対向する、前記像担持回転体の周内側の転写定着ロールおよび周外側の加圧ロールと、からなり、前記ニップ部における前記像担持回転体と加圧ロールとの間に被記録媒体を挿通させて、熱および圧力により前記被記録媒体表面にトナー画像を転写定着する画像形成装置であって、
    前記転写定着ロールおよび/または加圧ロールにおける周面近傍に、導電性層が形成されており、
    前記転写定着ロールおよび/または加圧ロールの周内であって、その回転軸と同軸上または略平行に軸が位置するように、請求項1に記載の励磁コイルが配されてなることを特徴とする画像形成装置。
  20. 前記像担持回転体が、ロール状またはエンドレスベルト状であることを特徴とする請求項19に記載の画像形成装置。
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