JP3918567B2 - 導電部材及び該導電部材を備える画像形成装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、複写機、プリンター、ファクシミリ等の電子写真プロセスを利用した電子写真装置に利用し得る導電部材及び該導電部材を備える画像形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
電子写真プロセスとしては、特公昭42−23910号公報等に記載されているように多数の方法が知られている。一般的には、光導電性物質を利用した感光体(潜像保持体)表面に、種々の手段により電気的に潜像を形成し、形成された潜像を、トナーを用いて現像しトナー画像を形成した後、感光体表面のトナー画像を、中間転写体を介して若しくは介さずに、用紙等の転写材表面に転写し、この転写画像を加熱、加圧若しくは加熱加圧あるいは溶剤蒸気等により定着する、という複数の工程を経て、定着画像が形成される。感光体表面に残ったトナーは、必要に応じて種々の方法によりクリーニングされ、再び上記の複数の工程に供される。
【0003】
上記電子写真プロセスにより画像を形成する画像形成装置には、典型的に、オゾンの発生が非常に少ない接触帯電方式及び接触転写方式が採用されている。かかる接触帯電方式及び接触転写方式においては、耐磨耗性や転写部における転写材の搬送性に優れたローラ状の部材が好適に使用されている。
上記のローラ状の部材としては、一般的に、ステンレス(SUS)や鉄等の芯金上に、カーボン、イオン導電性剤等により、その抵抗を1×105〜1×1012Ωの範囲で調節した半導電性の弾性層を設けた半導電性ローラが用いられる。かかる半導電性ローラは、弾性層を有し、その弾性層を像担持体である感光体や中間転写体に押し当てることで、確実にニップを形成することができる。
【0004】
上記半導電性ローラにおいて、弾性層を形成するゴム内には、ベースポリマーを合成する際に投入する反応開始剤の残留物やその際に生成する副生成物、ベースポリマーの低分子成分、ゴムローラ成型時に添加する加硫剤や軟化剤、可塑剤等の成分が含まれる。これらの成分は、長時間、半導電性ローラと、感光体又は中間転写体と、を圧接した状態で放置すると、上記の成分が弾性層表面に滲出する現象、所謂、ブリードが発生し易くなる。滲出した成分は、感光体や中間転写体と反応しやすいものが多く、感光体や中間転写体の表面に付着し、反応して表面物性を改質してしまうという問題がある。
また、半導電性ローラの弾性層は、ゴム材料にカーボンや金属酸化物、あるいはイオン導電剤を機械的に混合分散して表面の抵抗を調整するが、イオン導電剤を用いる場合においては、高温高湿環境下で、弾性層自体の物性が変化すると共に、イオン導電剤が表面に析出し、弾性層表面の電気抵抗が局所的に変化してしまう問題を有していた。更に、その半導電性ローラと、感光体又は中間転写体と、を圧接した状態にすると、析出したイオン導電剤が感光体や中間転写体を汚染してしまうという問題が生じる場合もあった。
この問題を解決するために、半導電性ローラの弾性層の表面に、弾性層に含有している成分が滲出又は析出するのを防止するためにバリア層となり得る物質をコーティングすることが考えられるが、これにより半導電性ローラは複数層構造となるため、材料費が増加することや製造工程が複雑になるためにコストが高くなるという問題を有していた。
【0005】
一方、近年、電子写真プロセスを用いた画像形成装置においては、静粛性が求められるようになってきている。特に、半導電性ローラの1種である帯電ローラは、直流バイアスに高周波の交流バイアスを重畳印加した場合に、該帯電ローラから生じる、所謂、帯電音は不快な耳触りの音であり、かかる帯電音の低減が大きな技術課題となっている。
この帯電音を低減させるための一つの方法として、帯電ローラと接触する感光体の内部に重りをいれ、帯電ローラからの高周波の振動伝達を防止する方法が提案されているが、重りとなる部材と、それを感光体の内部に固定する、例えば、接着工程が新たに必要となり、コストアップは免れない。また、帯電音を低減するための他の方法として、帯電ローラに発泡層を設け、振動を吸収する手法も採用されているが、発泡層を形成する材料はゴム材料であるため、上述したように、接触する感光体に悪影響を及ぼす問題から逃れることはできなかった。
【0006】
更に、電子写真プロセスを用いた画像形成装置においては、プリントやコピーなどの印刷物の単価の低減(所謂、ランニングコスト低減)のために、感光体の長寿命化も求められている。しかし、感光体に接触する帯電ローラは、直流バイアスに高周波の交流バイアスを重畳印加する場合に、感光体と帯電ローラ間の微少ギャップで生じる放電により、感光体表面が削られる、所謂、エッチング現象が発生し易いため、感光体の長寿命化が図れないという問題を有していた。
【0007】
帯電音及び感光体のエッチング現象を低減する方法として、帯電ローラに直流バイアスのみを印加する、所謂、DC帯電が提案されている。かかるDC帯電によって帯電ローラを均一に帯電させるには、今まで以上に帯電ローラの抵抗均一性や表面平滑性が求められる。しかし、帯電ローラは、上述のように弾性層に含有する成分がブリードし易く、更には、その導電性により、表面にトナーや紙粉などの汚れが付着し易いため、表面の抵抗均一性や表面平滑性が保てなくなるという問題を有し、根本的な問題の解決にはならなかった。
【0008】
帯電音及び感光体のエッチング現象を低減する他の方法として、注入帯電なる、新たな像担持体表面の帯電技術が提案され、一部の商品に採用されている。かかる技術は、印加した直流バイアス値をそのまま感光体表面の電位とすることが可能であるため、交流バイアスの印加は理論的には必要ない。
しかしながら、前記注入帯電技術は、金属スリーブ内部の磁石により金属スリーブ外周に磁性体粉末を保持する、所謂、磁気ブラシ帯電部材と、電荷注入層を備えた感光体と、の組み合わせを必要とする技術であって、磁気ブラシ及び電荷注入層を備えた感光体は何れも高価であるという短所を有していた。
また、前記注入帯電技術では、磁気ブラシを、電荷注入層を備えた感光体よりも高速で回転させ、電荷注入の機会を増加させる必要がある。このため、磁気ブラシと感光体の両者の間には、ギヤやベルト等の駆動伝達機構が新たに必要とされている。更には、磁性体としての金属粉末で、感光体表面を摺擦し続けるため、感光体表面を機械的に削ってしまうことは勿論であるが、時には、電荷注入層を貫通するほどの傷をつけてしまう可能性も潜んでいる。
更に、金属スリーブ外周の磁性体粉末にトナーや紙粉などの汚れがが付着し、電気抵抗が変化することに伴い、電荷注入能力が低下する問題や、金属スリーブ外周の磁性体粉末が脱落し電荷注入密度が低下したり、脱落した磁性体が画像上(用紙上)にまで到達し、画像不良を起こす問題も発生する場合がある。
【0009】
一方、上記半導電性ローラを転写手段、又は中間転写方式における2次転写手段に用いる場合には、薄紙から厚紙、更にはOHP等の多様な転写材に対応すると共に、感光体又は中間転写体に対して確実にニップを形成し、転写材の搬送不良に起因する画像不良や紙シワの発生を防止することが望まれる。この要求には、半導電性ローラの硬度をできる限り低く抑え、感光体又は中間転写体に対し深く食い込ませることで対応するが、弾性層には、上述の軟化剤、可塑剤等の添加量を増大せざるを得ないので、ブリードの発生がより容易になり、感光体又は中間転写体を汚染したり、変質させ易い状況を生み出してしまうという問題を有していた。
また、転写材は湿度及び温度に左右され易く、その電気抵抗は大きく変化してしまうものである。加えて、上述のように上記半導電性ローラは多くの場合、低硬度を得るたため、ゴム材料を用いているので、やはり湿度及び温度に左右され易く、その電気抵抗は変化し易いと言う欠点を有していた。従って、物性の変化の大きい転写材と上記半導電性ローラとの組み合わせでは、各種環境下で一定の画質を保つには、それぞれの抵抗に応じた転写条件を選定する必要があり、従来の電子写真方式の画像形成装置では、温度及び湿度センサーを設け、検出した雰囲気データや抵抗データをフィードバックし、転写バイアスを決定すると言った複雑な制御が必要とされていた。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明は、前記従来における諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明の目的は、簡易かつ低コストで、確実に所望するニップを形成すると共に、感光体又は中間転写体の汚染又は変質を防止することの可能である導電部材及び該導電部材を備える画像形成装置を提供することである。また、本発明の他の目的は、帯電音及び像担持体のエッチング現象を低減することが可能である導電部材及び該導電部材を備える画像形成装置を提供することである。更に、本発明の他の目的は、抵抗均一性及び表面平滑性が良好である導電部材及び該導電部材を備える画像形成装置を提供することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上述した導電部材の抱える問題を根本から解決することの可能な導電部材の構造を見出し、本発明に至った。
上記目的は、以下の本発明により達成される。すなわち本発明は、
【0012】
<1> 筒形基体と、該筒形基体の内部に、その内部容積を満たさない程度に封入される導電性粉体と、を有してなり、
帯電手段、転写手段、中間転写方式における1次転写手段及び2次転写手段、及び除電手段から選択される1種として用いられることを特徴とする電子写真装置用の導電部材。
【0013】
<2> 筒形基体と、該筒形基体の内部に、20〜95%の充填率で封入される導電性粉体と、を有してなり、
帯電手段、転写手段、中間転写方式における1次転写手段及び2次転写手段、及び除電手段から選択される1種として用いられることを特徴とする電子写真装置用の導電部材。
【0015】
<3> 前記導電性粉体の充填率が、20〜95%であることを特徴とする<1>に記載の電子写真装置用の導電部材。
【0016】
<4> 前記導電性粉体の充填率が50〜95%であることを特徴とする<1>乃至<3>のいずれか1に記載の電子写真装置用の導電部材。
【0017】
<5> 前記導電性粉体の充填率が70〜90%であることを特徴とする<1>乃至<3>のいずれか1に記載の電子写真装置用の導電部材。
【0018】
<6> 前記導電性粉体全体の抵抗が、10−8〜108Ωの範囲にあることを特徴とする<1>乃至<5>のいずれか1に記載の電子写真装置用の導電部材。
【0019】
<7> 前記導電性粉体が複数の種類の粉体からなる混合物であり、各種類毎の粉体の抵抗が10−8〜1017Ωの範囲にあることを特徴とする<1>乃至<6>のいずれか1に記載の電子写真装置用の導電部材。
【0020】
<8> 前記導電性粉体の数平均粒子径が、10−5μm〜1mmの範囲にあることを特徴とする<1>乃至<7>のいずれか1に記載の電子写真装置用の導電部材。
【0021】
<9> 前記筒形基体が、磁性を有することを特徴とする<1>乃至<8>のいずれか1に記載の電子写真装置用の導電部材。
【0022】
<10> 前記筒形基体が、層状構造をなすことを特徴とする<1>乃至<9>のいずれか1に記載の電子写真装置用の導電部材。
【0023】
<11> 前記筒形基体の外周面が、前記導電性粉体の自重及び/又は移動に応じて変形可能であることを特徴とする<1>乃至<10>のいずれか1に記載の電子写真装置用の導電部材。
【0024】
<12> ローラ形状であることを特徴とする<1>乃至<11>のいずれか1に記載の電子写真装置用の導電部材。
【0025】
<13> 更に、前記筒形基体を軸方向に貫き、回転軸となるシャフトを備えてなることを特徴とする<1>乃至<12>のいずれか1に記載の電子写真装置用の導電部材。
【0026】
<14> 前記シャフトが、前記筒形基体の両端に設けられているフランジ部材により固定されることを特徴とする<13>に記載の電子写真装置用の導電部材。
【0027】
<15> 前記フランジ部材が、弾性体からなることを特徴とする<14>に記載の電子写真装置用の導電部材。
【0028】
<16> 前記導電性粉体が、磁性粉を含有することを特徴とする<1>乃至<15>のいずれか1に記載の電子写真装置用の導電部材。
【0029】
<17> 前記<1>〜<16>のいずれか1に記載の電子写真装置用の導電部材を、帯電手段、転写手段、中間転写方式における1次転写手段及び2次転写手段、及び除電手段から選択される1種として備えてなることを特徴とする画像形成装置。
【0030】
<18> 像担持体と、該像担持体に接触しその表面を帯電する帯電手段と、を備える画像形成装置であって、前記帯電手段が、筒形基体と、該筒形基体の内部に、その内部容積を満たさない程度に封入される導電性粉体と、を有してなる導電部材からなることを特徴とする画像形成装置。
【0032】
<19> 像担持体と、該像担持体に接触しその表面を帯電する帯電手段と、を備える画像形成装置であって、前記帯電手段が、筒形基体と、該筒形基体の内部に、20〜95%の充填率で封入される導電性粉体と、を有してなる導電部材からなることを特徴とする画像形成装置。
【0033】
<20> 前記帯電手段は、直流電圧に交流電圧を重畳してなるバイアス、又は、直流電圧によるバイアスを印加する手段であることを特徴とする<18>又は<19>に記載の画像形成装置。
【0034】
<21> 前記像担持体及び前記導電部材は互いに回転し、その間に周速差があることを特徴とする<18>乃至<20>のいずれか1に記載の画像形成装置。
【0035】
<22> 像担持体と、該像担持体に接触しその表面のトナー像を転写材に転写する転写手段と、を備える画像形成装置であって、
前記転写手段が、筒形基体と、該筒形基体の内部に、その内部容積を満たさない程度に封入される導電性粉体と、を有してなる導電部材からなることを特徴とする画像形成装置。
【0037】
<23> 像担持体と、該像担持体に接触しその表面のトナー像を転写材に転写する転写手段と、を備える画像形成装置であって、前記転写手段が、筒形基体と、該筒形基体の内部に、20〜95%の充填率で封入される導電性粉体と、を有してなる導電部材からなることを特徴とする画像形成装置。
【0038】
<24> 前記像担持体及び前記導電部材は互いに回転し、その間に周速差があることを特徴とする<22>又は<23>に記載の画像形成装置。
【0039】
<25> 像担持体と、該像担持体に接触しその表面を帯電する帯電手段と、該像担持体に接触しその表面のトナー像を中間転写体に転写する1次転写手段と、前記中間転写体に接触しその表面のトナー像を転写材に転写する2次転写手段と、を備える画像形成装置であって、前記帯電手段、前記1次転写手段、及び前記2次転写手段の少なくとも1つが、筒形基体と、該筒形基体の内部に、その内部容積を満たさない程度に封入される導電性粉体と、を有してなる導電部材からなることを特徴とする画像形成装置。
【0041】
<26> 像担持体と、該像担持体に接触しその表面を帯電する帯電手段と、該像担持体に接触しその表面のトナー像を中間転写体に転写する1次転写手段と、前記中間転写体に接触しその表面のトナー像を転写材に転写する2次転写手段と、を備える画像形成装置であって、前記帯電手段、前記1次転写手段、及び前記2次転写手段の少なくとも1つが、筒形基体と、該筒形基体の内部に、20〜95%の充填率で封入される導電性粉体と、を有してなる導電部材からなることを特徴とする画像形成装置。
【0042】
<27> 像担持体と、該像担持体に接触しその表面を帯電する帯電手段と、該像担持体に接触しその表面のトナー像を中間転写体に転写する1次転写手段と、前記中間転写体に接触しその表面のトナー像を転写材に転写する2次転写手段と、を備える画像形成装置であって、前記帯電手段、前記1次転写手段、及び前記2次転写手段の少なくとも1つが、筒形基体と、該筒形基体の内部に、その内部容積を満たさない程度に封入される導電性粉体と、を有してなる導電部材からなり、かつ、前記導電性粉体が磁性粉を含有し、更に、前記導電性粉体が前記像担持体又は前記中間転写体に引き寄せられる磁界を形成する磁界形成手段を備えることを特徴とする画像形成装置。
【0044】
<28> 像担持体と、該像担持体に接触しその表面を帯電する帯電手段と、該像担持体に接触しその表面のトナー像を中間転写体に転写する1次転写手段と、前記中間転写体に接触しその表面のトナー像を転写材に転写する2次転写手段と、を備える画像形成装置であって、前記帯電手段、前記1次転写手段、及び前記2次転写手段の少なくとも1つが、筒形基体と、該筒形基体の内部に、20〜95%の充填率で封入される導電性粉体と、を有してなる導電部材からなり、かつ、前記導電性粉体が磁性粉を含有し、更に、前記導電性粉体が前記像担持体又は前記中間転写体に引き寄せられる磁界を形成する磁界形成手段を備えることを特徴とする画像形成装置。
【0045】
<29> 前記磁界形成手段が、前記像担持体又は前記中間転写体の内周面に設けられる磁性を有するフィルムであることを特徴とする<27>又は<28>に記載の画像形成装置。
【0046】
<30> 前記磁界形成手段が、前記像担持体又は前記中間転写体の内周部であって、前記導電部材と対向する位置に設けられる磁力発生部材であることを特徴とする<27>又は<28>に記載の画像形成装置。
【0047】
<31> 前記像担持体又は前記中間転写体が磁性体からなる基体を含んで構成され、前記磁界形成手段が前記基体であることを特徴とする<27>又は<28>に記載の画像形成装置。
【0048】
<32> 像担持体と、該像担持体に接触しその表面のトナー像を無端ベルト状の中間転写体に転写する1次転写手段と、前記中間転写体に接触しその表面のトナー像を転写材に転写する2次転写手段と、を備える画像形成装置であって、前記2次転写手段が、筒形基体と、該筒形基体の内部に、その内部容積を満たさない程度に封入される導電性粉体と、を有してなる導電部材からなり、かつ、前記導電性粉体が磁性粉を含有し、更に、前記導電性粉体が前記中間転写体の内周部の前記2次転写手段と対向する位置に設けられた支持部材に引き寄せられる磁界を形成する磁界形成手段を備えることを特徴とする画像形成装置。
【0050】
<33> 像担持体と、該像担持体に接触しその表面のトナー像を無端ベルト状の中間転写体に転写する1次転写手段と、前記中間転写体に接触しその表面のトナー像を転写材に転写する2次転写手段と、を備える画像形成装置であって、前記2次転写手段が、筒形基体と、該筒形基体の内部に、20〜95%の充填率で封入される導電性粉体と、を有してなる導電部材からなり、かつ、前記導電性粉体が磁性粉を含有し、更に、前記導電性粉体が前記中間転写体の内周部の前記2次転写手段と対向する位置に設けられた支持部材に引き寄せられる磁界を形成する磁界形成手段を備えることを特徴とする画像形成装置。
【0051】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照し、本発明の導電部材及び該導電部材を備える画像形成装置について説明する。
ここで、本発明における導電部材とは、例えば、帯電手段、転写手段、中間転写方式における1次転写手段及び2次転写手段、除電手段等として用いられる導電性乃至半導電性の部材(以下、導電部材と称する。)であり、その形状はローラ状であってもよいし、ベルト状であってもよい。かかる導電部材は、像担持体としての感光体、中間転写体、又は対向配置される支持部材に接触し、所望のニップを形成することができる。ここで、感光体、中間転写体、又は支持部材は、それぞれ、ドラム形状であっても、ベルト形状であってもよい。
【0052】
本発明の第1の態様としての導電部材は、筒形基体と、該筒形基体の内部に、その内部容積を満たさない程度に封入される導電性粉体と、を有してなることを特徴とする。
本発明の第2の態様としての導電部材は、筒形基体と、該筒形基体の内部に、20〜95%の充填率で封入される導電性粉体と、を有してなることを特徴とする。
【0053】
このように、本発明の導電部材は、筒形基体と、導電性粉体と、を有することを要する。
以下に本発明の導電部材について例示的態様を示し、詳細に説明する。
【0054】
<導電部材>
図1〜3を参照して、以下、本発明の例示的一態様としての導電部材について詳細に説明する。ここで、図1は、本発明の例示的一態様としての導電部材の構造を説明するための側面断面図である。図2は図1に示す本発明の例示的一態様としての導電部材のA−A断面図であり、(a)は導電性粉体の充填率が50%の場合の図であり、(b)は導電性粉体の充填率が80%の場合の図である。また、図3は導電性粉体による筒形基体の変形の様子を示す断面図である。
【0055】
図1に示すように、本発明の例示的一態様としての導電部材100は、金属製シャフト110と、筒形基体120と、導電性粉体130と、フランジ部140と、を備えるが、本発明の導電部材100はかかる構造に限定されるものではない。また、図2(a)に示すように、本発明の導電部材100は金属製シャフト110を介して外部電源150と接続している。
【0056】
金属製シャフト110は、例えば、SUS、SUM等からなり、筒形基体120と軸方向を貫くように配され、導電部材100の回転軸として機能する。また、金属製シャフト110には、図2(a)に示されるように外部電源150が接続され、所望のバイアスが印加されるため、外部電源150と共に導電部材100への電圧印加手段としても機能する。
【0057】
筒形基体120は、ローラ形状であっても、ベルト形状であってもよく、具体的には、例えば、シームレスチューブやエンドレスベルトなどからなる。また、封入される導電性粉体130の自重や移動に応じて、自由に変形可能なものであることが好ましい。
【0058】
筒形基体120を構成するバインダー材料としては、例えば、SBR(スチレンブタジエンゴム)、BR(ポリブタジエンゴム)、ハイスチレンゴム(Hi Styrene resin masterbatch)、IR(イソプレンゴム)、IIR(ブチルゴム)、ハロゲン化ブチルゴム(Halogenatedbutylrubber)、NBR(ニトリルブタジエンゴム)、水添化NBR(H−NBR)、EPDM,EPM(エチレンプロピレンゴム)、NBR/EPDMブレンド、CR(クロロプレンゴム)、ACM(アクリルゴム)、CO(ヒドリンゴム)、ECO(エピクロルヒドリンゴム)、塩素化ポリエチレン(Chlorinated−PE)、VAMAC(エチレン−アクリルゴム)、VMQ(シリコーンゴム)、U(ウレタンゴム)、FKM(フッ素ゴム)、NR(天然ゴム)、CSM(クロロスルフォン化ポリエチレンゴム)等のゴム材料;
ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアミド、ポリイミド、ナイロン、エチレン酢酸ビニル、エチレンエチルアクリレート、エチレンアクリル酸メチル、スチレンブタジエン、ポリアリレート、ポリカーボネート、テフロン(R)、シリコン、ポリメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルブチラール、ポリアクリル酸樹脂、ロジン、変性ロジン、テルペン樹脂、フェノール樹脂等の樹脂材料;
スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレンビニルナフタリン共重合体、スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−アクリル酸オクチル共重合体、スチレン−アクリル酸ジメチルアミノエチル共重合体、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタクリル酸ブチル共重合体、スチレン−メタクリル酸ジメチルアミノエチル共重合体、スチレン−ビニルメチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルエチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸エステル共重合体等のスチレン系共重合体;
更に、脂肪族又は脂環族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂、パラフィンワックス、カルナバワックス等やそれらの混合物及び共重合体及び変性体が用いられるが、特にこれらに限定されない。
【0059】
上記バインダー材料は、単体で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよく、更に、共重合体又は変性体を用いてもよい。
上記バインダー材料としては、像担持体及び中間転写体に対して汚染等の悪影響を与えないためにも、低分子量成分や可塑剤等が表面に析出、所謂ブリードするような成分を含まないもの、又は、ブリード防止の処理を施されたもの、から選択されることが好ましい。
【0060】
また、筒形基体120は、上記各種バインダー材料に、導電性材料を混入することで抵抗(電気抵抗)が、所定の範囲、例えば、104〜1010Ωに調整される。本発明において、筒形基体120の抵抗は、以下のようにして求められる。筒形基体120の内部に、かかる筒形基体120の内径と同じ外径を有する金属シャフトを挿入する。また、筒形基体120の外周面に金属平板を接触させる。そして、金属シャフトに所定の直流電圧を印加し、かかる金属シャフトと、金属板との間に流れる電流を測定する。かかる測定において印加した電圧、流れた電流により筒形基体120の抵抗を算出することができる。
【0061】
用いられる導電性材料としては、例えば、カーボンブラック、グラファイト等の炭素粉;磁性粉、すず、鉄、銅等の金属粉体や樹脂との混合物;金属繊維;酸化亜鉛、酸化すず、酸化チタン等の金属酸化物;硫化銅、硫化亜鉛等の金属硫化物;ストロンチウム、バリウム、希土類等の所謂ハードフェライト;マグネタイト、銅、亜鉛、ニッケル及びマンガン等のフェライト、またはこれらの表面を必要に応じ導電処理したもの;銅、鉄、マンガン、ニッケル、亜鉛、コバルト、バリウム、アルミニウム、錫、リチウム、マグネシウム、シリコン等の中の異なる金属元素を含んだ酸化物、水酸化物、炭酸塩又は金属化合物等;高温中で焼成して得られる金属酸化物の固溶体、所謂複合金属酸化物;等が挙げられるが、特にこれらに限定されない。加えて、4級アンモニウム塩、4級アンモニウム塩の金属置換体等のイオン導電剤を用いてもよい。これらの導電性材料は、単体で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0062】
筒形基体120は、層状構造を有してもよく、各層が同じ材料で形成されていてもよいし、それぞれ異なった材料で形成されていてもよい。筒形基体120が、それぞれ異なった材料の積層構造である場合にも、それぞれの層の抵抗が上記所定の範囲となるように調整されることが好ましい。
【0063】
また、筒形基体120の表面平滑度は、十点平均粗さ(Rz)において、15μm以下であることが好ましく、10μm以下であることがより好ましく、8μm以下であることが特に好ましい。十点平均粗さ(Rz)が、15μmより大きい場合、表面に存在する凸部に放電が集中し、斑点状の画像不良を起こす場合がある。
ここで、十点平均粗さ(Rz)とは、粗さ曲線からその平均線の方向に基準長さだけ抜き取り、この抜取り部分の平均線から縦倍率の方向に測定した、最も高い山頂から5番目までの谷底の標高(Yp)の絶対値の平均値と、最も低い谷底から5番目までの谷底の標高(Yv)の絶対値の平均値との和を求め、この値をマイクロメートル(μm)で表したものをいう。
【0064】
筒形基体120の硬度は、内部に封入される導電性粉体130の質量や充填率にも影響を受けると共に、その設置方法や用途によって、適宜、調整されるものであため、特に制限されるものではないが、例えば、Asker−C硬度においては、10〜90°であることが好ましく、20〜70°であることがより好ましい。
硬度が高く、剛性も高い筒形基体120を用いる場合には、画像形成装置に備える際、筒形基体120(導電部材100)と、感光体又は中間転写体と、の間に一定の間隙を設けて非接触状態で配置することも可能である。
筒形基体120の厚みは、上記バインダー材料と導電性材料により所定の抵抗に調整された層の硬度と、耐圧性(ピンホールリークに耐え得る厚み)により任意に設定される。
【0065】
また、筒形基体120は、上記各種バインダー材料に、磁性体を混入することで磁性を有するように形成されてもよい。
用いられる磁性体としては、例えば、ストロンチウム、バリウム、希土類等の所謂ハードフェライト;マグネタイト、銅、亜鉛、ニッケル及びマンガン等のフェライト、又はこれらの表面を必要に応じ導電処理したもの;等が好ましく、上記各種の磁性体を単体で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0066】
筒形基体120は、必要に応じて、外周面に離型性及び耐ブリード性に優れた表面層を設けることも可能である。その場合の表面層としては、筒形基体120の変形に追従できる柔軟性や、ある程度の離型性に優れた材料を、適宜、選択することが好ましい。また、スプレーコートやディッピング等の膜厚の均一性に優れた塗膜方法を用いることが望ましい。
【0067】
筒形基体120は、上記バインダー材料を用い、押し出し成形法や共押し出し成形法、射出成形法や、プレス形成法、インジェクションブロー、真空成形法等によって作製される。また、市販のシームレスチューブを用いてもよい。
【0068】
導電性粉体130は、筒形基体の内部に、図2(a)及び(b)に示すように、(1)その内部容積を満たさない程度に封入される、又は、(2)20〜95%の充填率で封入される、の態様をとる。
即ち、本発明の導電部材100は、筒形基体120の内部が、空隙と、導電性粉体130と、により占められる形態を有する。
【0069】
本発明の導電部材100は、このような形態を有するため、導電性粉体130は筒形基体120の回転と共に移動し、筒形基体120の内壁に衝突し、筒形基体120を振動させることから、該筒形基体120の表面に付着したトナーや紙粉などの汚れを振るい落とすことができ、良好な抵抗均一性及び表面平滑性を維持することが可能となる。また、封入された導電性粉体130が移動することにより、常に、一定の荷重により像担持体(又は、中間転写体等)に接触することから、均一のニップを長期間に渡り保持することができる。なお、導電性粉体130の充填率や導電部材100の押し当て量等の条件を変化させることによって、所望のニップ幅、ニップ圧を調整することができる。
更に、本発明の導電部材100は、このような形態を有するため、上述のように、筒形基体120の材質に関らず均一のニップを形成することができる。従って、従来のように、環境変化による物性の変化が起こりやすいゴム材料の使用を低減させることができるため、筒形基体120の内部に含有している成分が、その表面に滲出又は析出し、像担持体(又は、中間転写体等)の汚染又は変質を低減することができる。
【0070】
本発明の導電部材100を帯電手段(帯電ローラ)として画像形成装置に用いれば、直流バイアスに高周波の交流バイアスを重畳したバイアスが印加されても、内部に封入された導電性粉体130のその粉体としての特性により振動の伝達を防止することから、帯電音を小さくすることができる。
また、上述のように、本発明の導電部材100は、表面平滑性が高く、更に、抵抗均一性が優れているため、帯電手段(帯電ローラ)として画像形成装置に用いれば、直流バイアスのみを印加するDC帯電を可能とし、像担持体(又は、中間転写体等)表面に発生するエッチング現象を大幅に低減することができる。
【0071】
導電性粉体130の充填率としては、20〜95%の範囲であることが好ましく、50〜95%の範囲であることがより好ましく、70〜90%の範囲であることが特に好ましい。
充填率が20%より少ない場合、導電性粉体130が導電部材100の回転により筒形基体120内部を移動する際、導電性粉体130の全体量が少ないために、筒形基体120の外周面に付着した汚れを落とす効果が得られにくいという問題や、環境変化に伴って収縮及び膨張を起こす空隙(空気層)が多いために筒形基体120の形状に影響を及ぼしてしまう場合があるという問題を有している。一方、充填率が95%より多い場合、導電性粉体130の流動性が低下するために、ニップ形成の自由度が低下するいう問題を有している。
また、本発明の例示的1態様としての導電部材100は、筒形基体120の中心軸として電圧印加機能を有する金属製シャフト110が設けられているため、充填率が50%より少ないと、導電性粉体130が金属製シャフト110に接触しないためにバイアスが導電性粉体へと流れ込むことができない場合がある。このような場合、例えば、金属製シャフト110の設置位置を回転軸から偏らせること、又は、金属製シャフト110の外周に導電性の羽根(攪拌翼)を設け、その羽根を介すこと、により金属製シャフト110と導電性粉体130とを導通させることが可能となる。
【0072】
ここで、本発明における充填率とは、予め、用いる筒形基体120の全容積から金属製シャフト110の容積分を除いた容積に対する充填率100%の導電性粉体130の質量を測定し、その質量を基に算出する。充填率100%の場合の導電性粉体130の質量は、実際に使用される金属製シャフト110の容積分を除いた円筒形基体120と同じ容積である容器に、導電性粉体130を入れ、例えば、1分間微振動を加えることで細密充填して、その質量の増加量を測定することで求められる。従って、例えば、充填率100%の場合の導電性粉体130の質量が10gである場合、円筒形基体120に封入された導電性粉体130が8gであれば、充填率は80%となる。
【0073】
導電性粉体130は、筒形基体120が変形可能である場合(硬度が低い場合)、図3に示すように、少なくともその自重によって筒形基体120の形状を変形させることができる。図3に示すように、導電性粉体130はその自重によって筒形基体120の下方に集まることから、筒形基体120は変形する。従って、かかる変形を利用することで、導電部材100を、例えば、像担持体に接触させると、該像担持体の形状に沿って筒形基体120が変形し、ニップを形成することができる。この際、従来のように、導電部材100を像担持体に過剰に押し付ける必要がないため、筒形基体120の内部に含有している成分が、その表面に滲出又は析出することを容易に低減することができる。従って、像担持体の変質又は汚染を防止することも可能である。
【0074】
導電性粉体130全体としての抵抗(電気抵抗)は、10-8〜108Ωの範囲であることが好ましく、10-5〜106Ωの範囲であることがより好ましく、更に、10-3〜104Ωの範囲であることが特に好ましい。抵抗が前記下限値よりも小さい場合、導電部材100としての抵抗が得られない場合がある。一方、抵抗が前記上限値よりも大きい場合は、金属製シャフト110と円筒形基体120とを十分に導通させることが困難となる。
【0075】
導電性粉体130は、1種の粉体から構成されていてもよいし、2種以上の粉体から構成される混合物であってもよい。導電性粉体130が混合物である場合に、その混合物を構成する粉体の各種類毎の抵抗は1×10-8〜1×1017Ωの範囲のものを使用することができる。その際、上述のように、導電性粉体130全体としての抵抗が上記範囲に調整されていることがより好ましい。
【0076】
導電性粉体130としては、例えば、磁性粉、すず、鉄、銅、アルミニウム等の金属粉体や樹脂との混合物;金属繊維;酸化亜鉛、酸化すず、酸化チタン等の金属酸化物;硫化銅、硫化亜鉛等の金属硫化物;カーボンブラック、グラファイト等の炭素粉;ストロンチウム、バリウム、希土類等の所謂ハードフェライト;マグネタイト、銅、亜鉛、ニッケル及びマンガン等のフェライト、又はこれらの表面を必要に応じ導電処理したもの;銅、鉄、マンガン、ニッケル、亜鉛、コバルト、バリウム、アルミニウム、錫、リチウム、マグネシウム、シリコン等の中の異なる金属元素を含んだ酸化物、水酸化物、炭酸塩又は金属化合物;高温中で焼成して得られる金属酸化物の固溶体、所謂、複合金属酸化物;等の導電性粉体が挙げられる。また、セラミック粒子、ガラスビーズ、ラテックス粒子、天然石、粉砕石、砂等の絶縁性粉体を用いてもよい。これらの粉体は、好ましくは、上述のように導電性粉体130全体としての抵抗の条件を満たすように、単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いても構わない。
【0077】
本発明において、導電性粉体130を構成する粉体の抵抗は、以下のようにして求められる。
天面と底面が金属製で、胴部が絶縁体により構成される円筒形状ホルダー(天面及び底面が共に10mmφ、高さ10mm)に、測定試料としての粉体を充填し、98kPa(10kg/cm2)の圧力で圧縮しつつ、100Vの電圧を印加し、その際に流れる電流値を測定し、抵抗を算出した。
また、導電性粉体130が1種類の粉体から構成されているならば、導電性粉体130全体としての抵抗は、その1種の粉体単独の抵抗がそのまま導電性粉体130全体としての抵抗となる。一方、導電性粉体130が複数の種類の粉体から構成されているならば、導電性粉体130全体としての抵抗は、それら粉体の混合物を十分に攪拌した後に、上記と同様の測定法で求められたものが、導電性粉体130全体としての抵抗となる。
【0078】
また、導電性粉体130の数平均粒子径は10-5μm〜1mmの範囲であることが好ましく、5〜700μmの範囲であることがより好ましく、更に、40〜300μmの範囲であることが特に好ましい。数平均粒子径が前記下限値よりも小さい場合、粉体の流動性が悪くなり場合があり、数平均粒子径が前記上限値よりも大きい場合は、粒子間の接点が少なくなり、導通回路が不足するため、導電部材100表面の導電性に斑が発生してしまう場合がある。
【0079】
更に、導電性粉体130には、磁性粉が含有されていてもよい。磁性粉が含有されている場合、粉体の磁性を利用することで導電部材100の配置を様々に設定することができる。例えば、図4に示すように、磁性を利用して、導電部材100を像担持体160に対して下から接触させてニップを形成してもよい。ここで、図4は像担持体160と導電部材100との位置関係の例示的一態様を示す概略断面図である。
【0080】
図4に示すように、像担持体160の内周部に、球状マグネット等の磁力発生部材(磁界形成手段)170aを配し、導電性粉体を引き寄せる磁界を形成し、かつ、導電性粉体130に磁性粉が含有されていれば、導電性粉体130は磁界発生部材170aに引き寄せられて、重力方向とは逆方向に移動し、筒形基体120を変形させて、像担持体160との間にニップを形成することができる。この際、上述のように、筒形基体120自身も磁性を有していれば、その表面の磁性は一定に保たれ、導電部材100の回転に伴う導電性粉体130の移動もより均一になり、その結果、本発明の導電部材100と像担持体160との間に形成されるニップが長期間、均一に保持される。
【0081】
磁界形成手段は、図4のように、像担持体160の内周部の導電部材100に対向する位置に配された球状のマグネット等の磁力発生部材170aから構成されてもよいし、図5(a)に示すように像担持体160の内周面全体に張り巡らされた磁性を有するフィルム170bから構成されてもよい。また、図5(b)に示すように像担持体160の基体170cそのものが、鉄又は鉄を含有する合金などの磁性を有する材料で形成されて、磁界形成手段として機能してもよい。ここで、図5は本発明の導電部材100に好適に用いられる像担持体160の構造を示す断面図である。
なお、図4に示される像担持体160は、中間転写方式におけるドラム形状を有する中間転写体であってもよい。この場合も同様に、中間転写体の内部に磁力形成手段を備えていれば、本発明の導電部材100からなる2次転写ローラとの間にニップを形成することができる。
【0082】
フランジ部140は、筒形基体120の両端に設けられ、封入された導電性粉体130が外部に漏れないように封止する部材である。フランジ部140を形成する材料としては、特に限定はされないが、筒形基体120の変形に応じて変形するような弾性体であることが好ましい。前記弾性体としては、スポンジ、ゴム、熱可塑性エラストマー等を用いることができるが、この中でもスキン層を有するスポンジが好適に用いられる。
フランジ部140としてスキン層を有するスポンジを使用する場合には、スキン層を導電性粉体130と接触するように筒形基体120の内部に向けて設置することで、導電性粉体130の漏洩を完全に防止することができる。
【0083】
以上、本発明の例示的1態様としての導電部材100を説明したが、この構造に限定されるものではない。例えば、導電部材100を回転させる機能を、筒形基体の120の両端を回転可能に保持する部材を用いることで付与してもよい。また、導電部材100の内部に複数のテンションロールを設置し、その形状を調整させると共に、そのテンションロールの一部に電圧印加機能を持たせ、てもよい。更に、上述したように、金属製シャフト110の外周面に羽根(攪拌翼)を設けてもよい。
【0084】
本発明の導電部材100は、導電性粉体130が導電部材100表面への通電量を支配し、その環境変動を起こすことがないため、定電流制御や環境制御を必要とせず、画像形成装置を製造する際のコスト低減に大きく貢献することができる。
また、本発明の導電部材100は、ニップを形成するために感光体に対して印加される圧力を低減することができるため、従来の導電部材に求められてきた形状安定性やたわみを防ぐための剛性を必要としない。従って、シャフトの小径化及びそれに伴う導電部材100自体の小型化を達成することができる。
更に、本発明の導電部材100は、導電性粉体の移動により筒形基体を振動させ、該筒形基体の表面に付着したトナーや紙粉などの汚れを振るい落とすことができるため、ブレードやブラシ等のクリーニング部材の設置を省略することもできる。
【0085】
以上説明してきた本発明の導電部材は、それぞれ求められる電気特性や表面特性等の諸条件を、適宜、調整することで、帯電手段、転写手段(後述する1次、2次の双方の転写手段も含む)、更には、除電手段等にも好適に用いることができる。
【0086】
上述したように、本発明の導電部材は、構造が複雑ではないため、従来の導電部材(例えば、半導電性ローラ)などよりも、より簡便に製造することができる。従って、本発明の導電部材は、大きなコスト低減を可能とし、該導電部材を有する画像形成装置のコスト低減をも達成することができる。
【0087】
<画像形成装置>
以下、本発明の導電部材を備える画像形成装置(本発明の画像形成装置)の一例を示すが、本発明はこれに限定されるわけではない。なお、図に示す主要部のみを説明し、その他はその説明を省略する。
【0088】
図6は、本発明の画像形成装置の一例を示す概略構成図である。図6に示す画像形成装置は、矢印B方向に回転する感光体(像担持体)51と、その周囲に配される、感光体51表面を所定の電位に帯電させる帯電ローラ(帯電手段)52、帯電された感光体51表面を画像信号に基づくレーザ光線53よって露光して静電潜像を形成する露光装置(露光手段)56、帯電されたトナー(現像剤)を供給して前記静電潜像を現像する現像装置(現像手段)54、現像されたトナー像を記録紙(転写材)P上に転写する転写ローラ(転写手段)55、及び、転写後の感光体51表面に残留するトナーを除去するクリーニングユニット57が順に配設されている。ここで、図6に示す画像形成装置には、帯電ローラ52として、上述の本発明の導電部材が用いられており、該導電部材の各構成要素は、図2(a)と同一の符号が付されている。
【0089】
まず、感光体51はその表面を帯電ローラ52によって−600V〜−800V程度の電位に帯電される。感光体51は、導電性の基体上に感光層を積層して形成されている。この感光層は、通常は高抵抗であるが、露光装置56からレーザ光線53が照射されると、レーザ光線53が照射された部分の比抵抗が変化する性質を持っている。そこで、帯電した感光体51の表面に、図示しない制御部から送られてくる画像データに従って、露光装置56を介してレーザ光線53を出力する。レーザ光線53は、感光体51の表面の感光層に照射され、それにより、印字パターンの静電潜像が感光体51の表面に形成される。
【0090】
このようにして感光体51表面に形成された静電潜像は、感光体51の矢印B方向への回転により所定の現像位置まで回転される。そして、この現像位置で、感光体51上の静電潜像が、現像装置54によって可視像(トナー像)化される。
【0091】
感光体51の表面が現像装置54を通過することにより、感光体51表面の除電された潜像部にのみトナーが静電的に付着し、潜像がトナーによって現像される。感光体51は、引続き矢印B方向に回転し、感光体51表面に現像されたトナー像が所定の転写位置へ搬送される。
【0092】
感光体51表面のトナー像が転写位置へ搬送されると、転写ローラ55に所定の転写バイアスが印加され、感光体51から転写ローラ55に向う静電気力がトナー像に作用し、感光体51表面のトナー像が記録紙P上へ転写される。また、感光体51表面の残留トナーは、クリーニングユニット57により除去される。
【0093】
図6に示す画像形成装置によれば、帯電ローラ52として本発明の導電部材を用いているため、直流バイアスに高周波の交流バイアスを重畳したバイアスが印加されても、内部に封入された導電性粉体130がその粉体としての特性により振動の伝達を防止することから、帯電音を小さくすることができる。
【0094】
また、上述のように、本発明の導電部材は、筒形基体120の表面に付着したトナーや紙粉などの汚れを振るい落とすことができるため、表面平滑性が高く、更に、抵抗均一性が優れている。そのため、帯電ローラ52として本発明の導電部材を用いることにより、直流バイアスのみを印加するDC帯電を可能とし、感光体表面に発生するエッチング現象を大幅に低減することができる。その結果、ランニングコストの低減をも図ることができる。
【0095】
図6に示す画像形成装置においては、帯電ローラ52として本発明の導電部材を用いているが、転写ローラ55としても本発明の導電部材を好適に用いることもできる。
本発明の導電部材を帯電ローラ52及び/又は転写ローラ55として用いる場合、それらのローラ52又は55が回転する際には、感光体51との周速度は同一であってもよいし、お互いに異なってもよい。しかし、感光体51よりも高速でローラ52又は55を回転させることにより、仮にそれらのローラ52又は55の外周面の抵抗にバラツキがあったとしても、そのバラツキが分散し、実用上の大きな問題になることを予防することができる。
【0096】
次に、本発明の画像形成装置の他の一例を示す。
図7は、4連タンデム方式のフルカラー画像形成装置(本発明の画像形成装置)を示す概略構成図である。図7に示す画像形成装置は、色分解された画像データに基づくイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色の画像を出力する電子写真方式の第1〜第4の画像形成ステーション10Y、10M、10C、10K(画像形成手段)を備えている。これらの画像形成ステーション(以下、単にステーションと称する)10Y、10M、10C、10Kは、略水平方向に互いに所定距離離間して並設されている。
【0097】
各ステーション10Y、10M、10C、10Kの上方には、各ステーションを通して中間転写体としての中間転写ベルト20が延設されている。用いられる中間転写ベルト20は、例えば、ポリイミド、ポリカーボネイト、フッ素系樹脂などの樹脂材料に、カーボンやイオン導電物質などの導電性付与のための物質を分散させ、表面抵抗率を1010〜1012Ω/□程度(測定電圧:100V)に調整して形成されている。中間転写ベルト20は、横方向に互いに離間して配置された駆動ローラ22及び支持ローラ(支持部材)24に巻回されて張架され、第1ステーション10Yから第4ステーション10Kに向う方向に無端走行されるようになっている。なお、支持ローラ24は、図示しないいバネ等により駆動ローラ22から離れる方向に付勢されており、両者の間に張架された中間転写ベルト20に所定のテンションが与えられている。また、中間転写ベルト20の像担持側面には、駆動ローラ22と対向して中間転写体クリーニング装置30が備えられている。
【0098】
上述した第1〜第4ステーション10Y、10M、10C、10Kは、略同一の構成を有しているため、ここでは中間転写ベルト20の走行方向上流側に配設されたイエロー画像を形成する第1ステーション10Yについて代表して説明する。なお、第1ステーション10Yと同一の機能を有する部材に、イエロー(Y)の代わりに、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)を付した同一参照符号を付すことにより、第2〜第4ステーション10M、10C、10Kの説明を省略する。
【0099】
第1ステーション10Yは、像担持体として作用する感光体1Yを有している。感光体1Yの周囲には、感光体1Yの回転方向に順に、感光体1Yの表面を所定の電位に帯電させる帯電ローラ(帯電手段)2Y、帯電された表面を色分解された画像信号に基づくレーザ光線3Yよって露光して静電潜像を形成する露光装置3、帯電したトナー(現像剤)を供給して前記静電潜像を現像する現像装置4Y、現像したトナー像を中間転写ベルト20上に転写する1次転写ローラ(1次転写手段)5Y、及び、1次転写後に感光体1Yの表面に残存するトナーを除去する感光体クリーニング装置6Yが配設されている。なお、1次転写ローラ5Yは、中間転写ベルト20の内側に配置され、感光体1Yに対向した位置に設けられている。更に、各1次転写ローラ5Y、5M、5C、5Kには、1次転写バイアスを印加するバイアス電源(図示せず)がそれぞれ接続されている。各バイアス電源は、図示しない制御部(制御手段)による制御によって、各1次転写ローラに印加する転写バイアスを可変する。
【0100】
以下、第1ステーション10Yにおいてイエロー画像を形成する動作について説明する。まず、動作に先立って、帯電ローラ2Yによって感光体1Yの表面が−600V〜−800V程度の電位に帯電される。
感光体1Yは、導電性の基体上に感光層を積層して形成されている。この感光層は、通常は高抵抗であるが、レーザ光線3Yが照射されると、レーザ光線が照射された部分の比抵抗が変化する性質を持っている。そこで、帯電した感光体1Yの表面に、図示しない制御部から送られてくるイエロー用の画像データに従って、露光装置3によりレーザ光線3Yが出力される。レーザ光線3Yは、感光体1Yの表面の感光層に照射され、それにより、イエロー印字パターンの静電潜像が感光体1Yの表面に形成される。
【0101】
静電潜像とは、帯電によって感光体1Yの表面に形成される像であり、レーザ光線3Yによって、感光層の被照射部分の比抵抗が低下し、感光体1Yの表面の帯電した電荷が流れ、一方、レーザ光線3Yが照射されなかった部分の電荷が残留することによって形成される、いわゆるネガ潜像である。
【0102】
このようにして感光体1Y上に形成された静電潜像は、感光体1Yの回転により所定の現像位置まで回転される。そして、この現像位置で、感光体1Y上の静電潜像が、現像装置4Yによって可視像(トナー像)化される。
【0103】
現像装置4Y内には、例えば、少なくともイエロー着色剤とワックスと結着樹脂と脂肪族炭化水素−炭素数9以上の芳香族炭化水素共重合石油樹脂にて形成された体積平均粒子径が7μmのイエロートナーが収容されている。イエロートナーは、現像装置4Yの内部で攪拌されることで摩擦帯電し、感光体1Y表面の帯電荷と同極性(−)の電荷を有している。感光体1Yの表面が現像装置4Yを通過していくことにより、感光体1Y表面の除電された潜像部にのみイエロートナーが静電的に付着し、潜像がイエロートナーによって現像される。感光体1Yは、引続き回転し、感光体1Y表面に現像されたトナー像が所定の1次転写位置へ搬送される。
【0104】
感光体1Y表面のイエロートナー像が1次転写位置へ搬送されると、1次転写ローラ5Yに所定の1次転写バイアスが印加され、感光体1Yから1次転写ローラ5Yに向う静電気力がトナー像に作用し、感光体1Y表面のトナー像が中間転写ベルト20表面に転写される。このとき印加される転写バイアスは、トナーの極性(−)と逆極性の(+)極性であり、例えば第1ステーション10Yでは制御部(図示せず)によって+10μA程度に定電流制御されている。
【0105】
また、第2ステーション10M以降の1次転写ローラ5M、5C、5Kに印加される1次転写バイアスも同様に制御されている。
こうして、第1ステーション10Yにてイエロートナー像の転写された中間転写ベルト20は、第2〜第4ステーション10M、10C、10Kを通して順次搬送され、各色のトナー像が同様に重ねられて多重転写される。
【0106】
第1〜第4ステーションを通して全ての色のトナー像が多重転写された中間転写ベルト20は、矢印C方向に周動搬送され、中間転写ベルト20内面に接する支持ローラ24と中間転写ベルト20の像担持面側に配置される2次転写ローラ(2次転写手段)26とから構成された2次転写部へと至る。
一方、記録紙(転写材)Pが、供給機構を介して2次転写ローラ26と中間転写ベルト20との間に所定のタイミングで給紙され、所定の2次転写バイアスが支持ローラ24に印加される。このとき印加される転写バイアスは、トナーの極性(−)と同極性(−)であり、中間転写ベルト20から記録紙Pに向う静電気力がトナー像に作用し、中間転写ベルト20表面のトナー像が記録紙P表面に転写される。なお、この際の2次転写バイアスは2次転写部の抵抗を検出する抵抗検出手段(図示せず)により検出された抵抗に応じて決定されるものであり、定電圧で制御されている。
【0107】
その後、記録紙Pは定着装置28へと送り込まれトナー像が加熱・加圧され、色重ねされたトナー像が溶融されて、記録紙P表面へ永久定着される。カラー画像の定着が完了した記録紙Pは、排出部へ向けて矢印D方向に搬出され、一連のカラー画像形成動作が終了される。
【0108】
図7に示す画像形成装置において、図6に示す画像形成装置と同様に、帯電ローラ2Y、2M、2C、2Kとして、上述した本発明の導電部材を好適に用いることもできるが、一次転写ローラ5Y、5M、5C、5K、及び/又は、2次転写ローラ26としても本発明の導電部材を用いることができる。
なお、本発明の導電部材を転写ローラ26として使用する場合には、その構造上、導電性粉体130の自重によるニップの形成が困難であるため、図8に示すように、磁性を利用して、2次転写ローラ26を支持ローラ(支持部材)24に対して斜め下方から接触させてニップを形成することが好ましい。ここで、図8は、図7に示す4連タンデム方式のフルカラー画像形成装置の2次転写部の拡大構成図である。また、磁性を利用してニップを形成するメカニズムは、図4の説明と同様であるため、ここでは、省略する。
【0109】
図8に示すように、2次転写部では、内部に封入されている導電性粉体130に磁性粉を含有させた2次転写ローラ26と、磁界形成手段を備えることで磁性を付与された支持ローラ24と、によって磁性の特性を用いて、確実にニップを形成させることができる。このようにして形成されたニップは、本発明の導電部材の構造に起因する柔軟性(筒形基体110の変形による)と、長期間、均一に保持される機能を有するため、薄紙から厚紙、更にはOHP等の多様な転写材に対して柔軟に対応することが可能であり、かつ、転写材搬送不良を起こすことのない優れた特性を有する。
【0110】
上述する2次転写部において用いられる支持ローラ24は、2次転写ローラ26と同様に導電性と磁性を有する材料から構成されるが、その硬度は大きく異なる。つまり、支持ローラ24は、図7及び図8のように、中間転写体がベルト形状の場合、ベルトを張架するテンションロールの役目も担っているため、ある程度の硬さが要求される。実用的な硬さとしては、例えば、Asker−C硬度において、70°以上であることが好ましい。また、支持ローラ24は、中間転写ベルト20を張架する場合、ベルトのウォークを防止するため、例えば、外径、振れ、真直度等の項目に於いては数十μm以内の高い寸法精度が要求される。
これらの各条件を満足する支持ローラ24を得るには、金属表面に皮膜を形成し着磁処理する方法や樹脂にフェライトやマグネタイトといった磁性体(磁界形成手段)を練りこみ高圧下で金型成形し着磁処理することが望ましい。
特に、本発明においては、支持ローラ24として、樹脂にフェライトやマグネタイトと言った磁性体(磁界形成手段)を練りこみ、高圧下で金型成形し着磁処理する多極磁性体を用いることが、コスト及び長寿命化に対し有利であると考えられる。ここで、多極磁性体とは、ナイロン樹脂やポリエステル樹脂に、フェライト磁石、ゴムマグネット等の磁性材料を混練し、高圧下で金型を用い円筒状の所謂マグネットローラーの如く成形されるものである。
【0111】
このようにして得られた支持ローラ24の磁力線密度は、使用される際のプロセススピード、印加電圧と2次転写ローラ26との電位差による電界、2次転写ローラ26の誘電率、表面性等多くの要因により異なり、これらの条件に応じて、適宜、選択されるが、前記多極磁性体の表面から1mmの距離において測定される磁極位置における磁力線密度は、50mT(500ガウス)以上であること好ましく、より好ましくは100mT(1000ガウス)以上である。
更に、支持ローラ24の体積抵抗率は、103〜1012Ω・cmであることが好ましく、105〜1010Ω・cmであることがより好ましい。
【0112】
また、支持ローラ24が、電磁石からなる場合、支持ローラ24と、2次転写ローラ26との間を通過する転写材の厚さ、含水率、電気抵抗、表面平滑度等の物性に応じて、磁力を調整することが可能である。
【0113】
以上、本発明の好ましい実施の形態を説明したが、本発明はその要旨の範囲内で様々な変形や変更が可能である。例えば、本発明の導電部材は、静電記録プロセスや磁気記録プロセス等を有する画像形成装置に用いることもできる。
【0114】
【実施例】
以下、実施例により本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0115】
[実施例1]
(帯電ローラとしての導電部材R−1の作製)
筒形基体として、エピクロルヒドリンゴム100質量部に、イオン導電剤2質量部を添加し、十分混練した後、このゴム材料を押し出し機を用いて、外径10mmφ、肉厚500μm、長さ320mmのシームレスチューブを作製した。
得られたシームレスチューブに外径9mmφのステンレスシャフトを挿入し、かかるシャフトに500Vの電圧を印加し、シャフトと金属平板と間の抵抗を測定した。その結果、かかるシームレスチューブの抵抗は、6×105Ωであった。
また、得られたシームレスチューブの一部を切り裂き、厚み方向の硬度を高分子計器社製マイクロゴム硬度計(MD−1)を用いて測定した結果、マイクロゴム硬度は55°であった。
更に、得られたシームレスチューブの表面20箇所について表面平滑度を測定したところ、10点平均粗さ(Rz)において平均値は3μmであった。
【0116】
次いで、得られたシームレスチューブを、シームレスチューブの一端に中心に、孔径5mmφの穴の空いたフランジ部材を接着剤を用いて固定し、その中心の穴に外径5mmφ、長さ340mmの金属シャフトを通し接着剤を用いて固定した。
そして、シームレスチューブの固定されていない方向から、導電性粒子としてステンレス球(抵抗:10-8Ω、数平均粒子径:150μm)と、磁性粉と樹脂との球状複合体粒子(MRC、戸田工業社製)と、を容積比7:3の割合で混合した後、シームレスチューブの容積の4/5に相当する量(充填率80%)だけ充填し、先ほどとは逆のシームレスチューブの開口している端部を、前記と同様に中心に穴の空いたフランジ部材を接着剤を用いて固定し、帯電ローラR−1を作製した。
なお、上記MRCとは、Magnetic Particle & Resin Composite Carrierの略称であり、その抵抗は1×105Ωであり、数平均粒子径は60μmのものをここでは用いている。また、本実施例において用いた導電性粒子全体の抵抗は、2×104Ωであった。
【0117】
(評価)
(1)帯電音の評価
得られた帯電ローラR−1をカラーレーザープリンタ(富士ゼロックス社製Docu Print C620)の帯電部材として取り付け、筒状の像担持体表面にセットし無響室(35db以下)で帯電音の測定を行った。ここでの印加バイアスは直流電圧−700Vに交流電圧2000vppを重畳印加し、交流電圧の周波数を500〜2000Hzまで変化させた。なお、かかる実験では、カラーレーザープリンタの帯電部材のみを稼動させて行った。
その結果、いずれの周波数の場合でも帯電音は50dB以下であった。通常、画像形成装置の稼動音は52〜55dBであるため、本発明の導電部材から発生する帯電音は実用上の問題にはならなかった。
【0118】
(2)表面汚れ性及び像担持体のエッチング現象の評価
得られた帯電ローラR−1を、カラーレーザープリンタ(富士ゼロックス社製Docu Print C620)の帯電部材として取り付け、下記に示す各環境下で50000枚の画出しテストに供した。なお、ここでの印加バイアスは直流電圧−1300Vを用いた。
その結果、高温/高湿環境(温度28℃、湿度85%RH)、低温/低湿環境(温度10℃、湿度15%RH)、標準環境(温度22℃、湿度55%RH)の何れの環境下においても、初期と50000枚目の画像には全く問題が無く、帯電部材の表面に傷やピンホール等の異常は全く観察されなかった。また、導電部材R−1の外周面への汚れ(トナー、紙粉等)の付着も殆ど認められなかった。更に、画出し初期と、50000枚後と、の帯電ローラR−1の外周面の抵抗に差は見られなかった。
本テストにおいて、感光体表面にトナーのフィルミング等の異常も観察されず、感光体の電荷輸送層の削れ量は、低温/低湿環境(温度10℃、湿度15%RH)の下で最大3μmであった。
【0119】
[実施例2]
(帯電ローラとしての導電部材R−2の作製)
筒形基体として、スチレン・エチレンブチレン・オレフィン結晶ブッロクコポリマー(SEBC:DYNARON 4600P、日本合成ゴム社製)50質量部、及び、水素添加スチレン・ブチレン共重合体(HSBR:DYNARON 2324P、日本合成ゴム社製)50質量部に、導電性カーボン(ケッチェンブラックEC、ケッチェンブラックInc製)10質量部と、導電性酸化チタン(ET−500W、石原産業社製)15質量部と、イオン導電剤PEL−100(日本カーリット社製)3質量部と、充填剤2質量部と、分散助剤1質量部と、表面改質剤0.5質量部と、を添加し、ドライブレンドした後、加圧ニーダーを用いて200℃で10分間、十分に混練した。
加圧ニーダーより取り出した混練物を粉砕したのち、2軸押し出し機を用いてペレット化した。得られたペレットを、クロスヘッドを備えた単軸押し出し機を用い外径10mmφ、肉厚500μm、長さ320mmのシームレスチューブを作製した。
【0120】
得られたシームレスチューブに外径9mmφのステンレスシャフトを挿入し、かかるシャフトに500Vの電圧を印加し、シャフトと金属平板と間の抵抗を測定した。その結果、かかるシームレスチューブの抵抗は、8×105Ωであった。
また、得られたシームレスチューブの一部を切り裂き、厚み方向の硬度を高分子計器社製マイクロゴム硬度計(MD−1)を用いて測定した結果、マイクロゴム硬度は60°であった。
更に、得られたシームレスチューブの表面20箇所について表面平滑度を測定したところ、10点平均粗さ(Rz)において平均値は2μmであった。
【0121】
実施例1と同様にして、得られたシームレスチューブに、導電性粒子として、ガラスビーズ(抵抗:1017Ω、数平均粒子径:900μm)と、カーボンマイクロビーズ(抵抗:10-2Ω、数平均粒子径:50μm)と、を容積比2:8の割合で混合した後、シームレスチューブの容積の3/5に相当する量(充填率60%)だけ充填し、帯電ローラR−2を作製した。なお、本実施例において用いた導電性粒子全体の抵抗は、5×105Ωであった。
【0122】
(評価)
(1)帯電音の評価
得られた帯電ローラR−2について実施例1と同様の方法及び条件で帯電音の測定を行った。
その結果、いずれの周波数の場合でも帯電音は50dB以下であり、帯電音としては実用上の問題にはならない程度であった。
【0123】
(2)表面汚れ性及び像担持体のエッチング現象の評価
得られた帯電ローラR−2について実施例1と同様の方法及び条件で画出しテストを行った。
その結果、高温/高湿環境(温度28℃、湿度85%RH)、低温/低湿環境(温度10℃、湿度15%RH)、標準環境(温度22℃、湿度55%RH)のいずれの環境下においても初期と50000枚目の画像には全く問題が無く、帯電部材の表面に傷やピンホール等の異常は全く観察されなかった。また、導電部材R−2の外周面への汚れ(トナー、紙粉等)の付着も殆ど認められなかった。更に、画出し初期と、50000枚後と、の帯電ローラR−2の外周面の抵抗に差は見られなかった。
本テストにおいて、感光体表面にトナーのフィルミング等の異常も観察されず、感光体の感光層の削れ量は、低温/低湿環境(温度10℃、湿度15%RH)の下で最大3μmであった。
【0124】
[実施例3]
(帯電ローラとしての導電部材R−3の作製)
実施例2において、導電性粒子の充填率を60%から40%に変更した、即ち、ガラスビーズ(抵抗:1017Ω、数平均粒子径:900μm)と、カーボンマイクロビーズ(抵抗:10-2Ω、数平均粒子径:50μm)と、を容積比2:8の割合で混合した後、シームレスチューブの容積の2/5に相当する量(充填率40%)だけ充填するようにした他は、実施例2と同様にして、実施例3の帯電ローラR−3を作製した。
その後、実施例2と同様にして評価を行った結果、帯電音は、いずれの周波数の場合でも50dB以下であり、帯電音としては実用上の問題にはならない程度であった。しかし、低温/低湿環境(温度10℃、湿度15%RH)の画出しテストにおいて、多少ではあるが画像に周期的な乱れが生じていた。
これは、内部に封入された導電性粉体が、比較的、少量であったため、シームレスチューブと感光体との間に形成されたニップに、周期的に微少の隙間ができてしまったためと考えられる。
【0125】
[比較例1]
(帯電ローラとしての導電部材R−4の作製)
実施例1において、導電性粒子をシームレスチューブの内部に細密充填して、実施例1と同様にして、比較例1の導電部材R−4を作製した。
その後、実施例1と同様にして評価を行った結果、帯電音は60dBを超えており、高温/高湿環境(温度28℃、湿度85%Rh)の画出しテストでは、感光体表面にトナーのフィルミングが観察された。
これはシームレスチューブの内部に導電性粉体を細密充填したために、ローラの硬度が高くなりすぎ、所望のニップが形成できなかったためと考えられる。
【0126】
[実施例4]
(2次転写ローラとしての導電部材R−5の作製)
筒形基体として、HSBR(水添スチレンブタジエンラバー:DYNARON2324P、日本合成ゴム社製)30質量部、及び、SEBC(スチレン・エチレンブチレン・オレフィン結晶ブロックコポリマー:DYNARON4600P、日本合成ゴム社製)70質量部(合計100質量部)に、導電性カーボン(ケッチェンブラックEC、ケッチェンブラックInc製)14質量部と、導電性酸化チタン(ET−500W、石原産業社製)20質量部と、充填剤2質量部と、分散助剤1質量部と、表面改質剤0.5質量部と、を添加し、ドライブレンドした後、加圧ニーダーを用いて200℃で10分間、十分に混練した。
加圧ニーダーより取り出した混練物を粉砕したのち、2軸押し出し機を用いてペレット化した。得られたペレットを、クロスヘッドを備えた単軸押し出し機を用い外径28mmφ、肉厚1.5mm、長さ330mmのシームレスチューブを作製した。
得られたシームレスチューブに外径25mmφのステンレスシャフトを挿入し、かかるシャフトに500Vの電圧を印加し、シャフトと金属平板と間の抵抗を測定した。その結果、かかるシームレスチューブの抵抗は、2×109Ωであった。
また、得られたシームレスチューブの一部を切り裂き、厚み方向の硬度を高分子計器社製マイクロゴム硬度計(MD−1)を用いて測定した結果、マイクロゴム硬度は50°であった。
更に、得られたシームレスチューブの表面20箇所について表面平滑度を測定したところ、10点平均粗さ(Rz)において平均値は1.5μmであった。
【0127】
次いで、得られたシームレスチューブを、シームレスチューブの一端に中心に、孔径8mmφの穴の空いたフランジ部材を接着剤を用いて固定し、その中心の穴に外径8mmφ、長さ370mmの金属シャフトを通し接着剤を用いて固定した。
そして、シームレスチューブの固定されていない方向から、導電性粒子として、磁性粉と樹脂との球状複合体粒子(MRC、戸田工業社製)を着磁した後、シームレスチューブの容積の2/3に相当する量(充填率67%)だけ充填し、先ほどとは逆のシームレスチューブの開口している端部を、前記と同様に中心に穴の空いたフランジ部材を接着剤を用いて固定し2次転写ローラR−5を作製した。
なお、上記MRCとは、Magnetic Particle & Resin Composite Carrierの略称であり、その抵抗は1×105Ωであり、数平均粒子径は60μmのものをここでは用いている。
【0128】
(支持ローラの作製)
支持ローラとして、外径16mmφの金属シャフト外周上に、ナイロン6樹脂15質量部に、フェライト85質量部を加えたコンパウンドを、射出成形機用いて、肉厚6mmの樹脂層を備えた外径28mmφのプラスチックマグネットローラーを作製した。かかるプラスチックマグネットローラーに、着磁装置内で磁場を加え、120mT(1200ガウス)の磁力を備えたプラスチックマグネットローラーを完成させた。
【0129】
(評価)
(1)2次転写評価
得られた2次転写ローラR−5と、支持ローラと、をカラーレーザープリンタ(富士ゼロックス社製Docu Print C2220)の2次転写手段として取り付け、表1に示す各環境下で、各種転写材を用い、画出しテストに供した。ここで、印加バイアス(2次転写バイアス)は、直流電圧を0.5〜4.0kVまで変化させて、良好な画像を得られる2次転写バイアスの範囲を求めた。結果は、表1に併記する。
【0130】
【表1】
【0131】
表1に明らかなように、いずれの環境下であっても、各転写材に対して、かなり広い範囲の2次転写バイアスにおいて、良好な画像が得られた。
【0132】
また、高温/高湿環境(温度28℃、湿度85%Rh)において、24時間放置し、十分に吸湿した状態なった転写材を用いた他は、上記と同様にして、良好な画像を得られる2次転写バイアスの範囲を求めた。結果は、表1に併記する。表1に明らかなように、十分に吸湿した状態の転写材に対しても、かなり広い範囲の2次転写バイアスにおいて良好な画像が得られた。
【0133】
(2)剥離性の評価
得られた2次転写ローラR−5と、支持ローラと、をカラーレーザープリンタ(富士ゼロックス社製Docu Print C2220)の2次転写手段として取り付け、低温/低湿環境(温度10℃、湿度15%Rh)において、24時間放置し、含水率3%以下に調整された転写材を用い、画出しテストに供した。ここで、印加バイアス(2次転写バイアス)は、直流電圧を0.5〜3.0kVまで変化させて、良好な画像を得られる2次転写バイアスの範囲を求めた。また、転写材の剥離性を目視で観察した。結果は、表1に併記する。
表1に明らかなように、かなり広い範囲の2次転写バイアスにおいて良好な画像が得られた。また、転写材が中間転写ベルトから離れず貼り付くような剥離不良は全く発生しなかった。
【0134】
[実施例5]
(2次転写ローラとしての導電部材R−6の作製)
筒形基体として、エピクロルヒドリンゴム100質量部に、導電性カーボン(ケッチェンブラックEC、ケッチェンブラックInc製)5質量部と、充填剤2質量部と、分散助剤0.5質量部と、を配合し加圧ニーダーを用いて80℃で10分間、十分に混練した。
加圧ニーダーより取り出した混練物に、加硫剤3質量部と、促進剤1質量部と、を加え、2本ロールを用いて十分混練した。得られたゴムコンパウンドを、単軸押し出し機を用いシームレスチューブを作成し、加硫缶を用いて1次加硫、更には、2次加硫を行った。加硫缶から取り出したシームレスチューブを、研磨機を用いて外径28mmφ、肉厚1.5mm、長さ330mmのサイズに仕上げた。
得られたシームレスチューブに外径25mmφのステンレスシャフトを挿入し、かかるシャフトに500Vの電圧を印加し、シャフトと金属平板と間の抵抗を測定した。その結果、かかるシームレスチューブの抵抗は、5×109Ωであった。
また、得られたシームレスチューブの一部を切り裂き、厚み方向の硬度を高分子計器社製マイクロゴム硬度計(MD−1)を用いて測定した結果、マイクロゴム硬度は48°であった。
更に、得られたシームレスチューブの表面20箇所について表面平滑度を測定したところ、10点平均粗さ(Rz)において平均値は2.5μmであった。
【0135】
次いで、得られたシームレスチューブの一端に中心に、孔径8mmφの穴の空いたフランジ部材を接着剤を用いて固定し、その中心の穴に外径8mmφ、長さ370mmの金属シャフトを通し接着剤を用いて固定した。
そして、シームレスチューブの固定されていない方向から、導電性粒子として、磁性粉と樹脂との球状複合体粒子(MRC、戸田工業社製)を着磁した後、シームレスチューブの容積の2/3に相当する量(充填率67%)だけ充填し、先ほどとは逆のシームレスチューブの開口している端部を、前記と同様に中心に穴の空いたフランジ部材を接着剤を用いて固定し2次転写ローラR−6を作製した。
なお、上記MRCとは、Magnetic Particle & Resin Composite Carrierの略称であり、その抵抗は1×105Ωであり、数平均粒子径は60μmのものをここでは用いている。
【0136】
(支持ローラの作製)
支持ローラとして、外径20mmφ、長さ350mmの金属シャフト外周上に、外径0.5mmφの導線をらせん状に巻き付け、その外周上を、表面抵抗率を4×109Ω/□に調整したナイロン12で被覆し、外径28mmφとした電磁石を作製した。得られたローラの磁力は、800mT(8000ガウス)であった。
【0137】
(評価)
(1)2次転写評価
得られた2次転写ローラR−6と、支持ローラと、をカラーレーザープリンタ(富士ゼロックス社製Docu Print C2220)の2次転写手段として取り付け、表1に示す各環境下で、各種転写材を用い、画出しテストに供した。ここで、印加バイアス(2次転写バイアス)は、直流電圧を0.5〜4.0kVまで変化させて、良好な画像を得られる2次転写バイアスの範囲を求めた。結果は、表1に併記する。
表1に明らかなように、いずれの環境下であっても、各転写材に対して、かなり広い範囲の2次転写バイアスにおいて、良好な画像が得られた。
【0138】
また、高温/高湿環境(温度28℃、湿度85%Rh)において、24時間放置し、十分に吸湿した状態なった転写材を用いた他は、上記と同様にして、良好な画像を得られる2次転写バイアスの範囲を求めた。結果は、表1に併記する。表1に明らかなように、十分に吸湿した状態の転写材に対しても、かなり広い範囲の2次転写バイアスにおいて良好な画像が得られた。
【0139】
(2)剥離性の評価
得られた2次転写ローラR−6と、支持ローラと、をカラーレーザープリンタ(富士ゼロックス社製Docu Print C2220)の2次転写手段として取り付け、低温/低湿環境(温度10℃、湿度15%Rh)において、24時間放置し、含水率3%以下に調整された転写材を用い、画出しテストに供した。ここで、印加バイアス(2次転写バイアス)は、直流電圧を0.5〜4.0kVまで変化させて、良好な画像を得られる2次転写バイアスの範囲を求めた。また、転写材の剥離性を目視で観察した。結果は、表1に併記する。
表1に明らかなように、かなり広い範囲の2次転写バイアスにおいて良好な画像が得られた。また、転写材がベルトから離れず貼り付く様な剥離不良は全く発生しなかった。
【0140】
[比較例2]
(2次転写ローラとしての導電部材R−7の作製)
2次転写ローラとして、外径12mmφ、長さ370mmの芯金外周上に、両端20mmを除いた範囲に、導電性ウレタン発泡体を形成し、その外周上に、厚さ1mmの半導電性ウレタンからなるソリッド層を被覆し、更に、その外周上に、厚さ0.02mmのウレタン変性フッ素樹脂からなるコート層を備えた、3層構成の2次転写ローラR−7を作製した。
得られた2次転写ローラR−7の外径は、28mmφであり、抵抗は2×109Ωであった。また、Asker−C硬度は35°であった。
更に、得られたシームレスチューブの表面20箇所について表面平滑度を測定したところ、10点平均粗さ(Rz)において平均値は5μmであった。
【0141】
(支持ローラの作製)
支持ローラとして、外径16mmφ、長さ350mmの金属シャフト外周上に、両端10mmを除いた範囲に、厚さ6mmの導電性カーボンを分散したEPDMからなるゴム層を備えた単層ローラを作製した。得られたローラの外径は28mmφであり、抵抗は3×109Ωであった。また、Asker−C硬度は72°であった。
【0142】
(評価)
(1)2次転写評価
得られた2次転写ローラR−7と、支持ローラと、をカラーレーザープリンタ(富士ゼロックス社製Docu Print C2220)の2次転写手段として取り付け、表1に示す各環境下で、各種転写材を用い、画出しテストに供した。ここで、印加バイアス(2次転写バイアス)は、直流電圧を0.5〜4.0kVまで変化させて、良好な画像を得られる2次転写バイアスの範囲を求めた。結果は、表1に併記する。
表1に明らかなように、いずれの環境下であっても、各転写材に対して、実施例4及び5と同等の広い範囲の2次転写バイアスにおいて、良好な画像が得られることはなかった。
【0143】
また、高温/高湿環境(温度28℃、湿度85%Rh)において、24時間放置し、十分に吸湿した状態なった転写材を用いた他は、上記と同様にして、良好な画像を得られる2次転写バイアスの範囲を求めた。結果は、表1に併記する。表1に明らかなように、十分に吸湿した状態の転写材に対しては、広い範囲の2次転写バイアスにおいて、良好な画像が得られることはなく、極めて狭い範囲の2次転写バイアスにおいてのみ、良好な画像が得られた。
【0144】
(2)剥離性の評価
得られた2次転写ローラR−7と、支持ローラと、をカラーレーザープリンタ(富士ゼロックス社製Docu Print C2220)の2次転写手段として取り付け、低温/低湿環境(温度10℃、湿度15%Rh)において、24時間放置し、含水率3%以下に調整された転写材を用い、画出しテストに供した。ここで、印加バイアス(2次転写バイアス)は、直流電圧を0.5〜4.0kVまで変化させて、良好な画像を得られる2次転写バイアスの範囲を求めた。また、転写材の剥離性を目視で観察した。結果は、表1に併記する。
表1に明らかなように、広い範囲の2次転写バイアスにおいて、良好な画像が得られることはなく、極めて狭い範囲の2次転写バイアスにおいてのみ、良好な画像が得られた。また、転写材がベルトから離れず貼り付く様な剥離不良は発生した。
【0145】
これは、比較例2で用いた2次転写ローラの導電性ウレタン発泡体の外周上に、半導電性ウレタンからなるソリッド層を被覆する際に、ウレタン発泡体のセルの中にソリッド層が局部的に入り込み、ソリッド層の厚みが局部的に大きくなり、結果として、2次転写ローラの硬度にバラツキを生じ、均一なニップを形成することができず、硬度の高い部分に対応した位置の転写材が中間転写ベルトと密着不良を起こしやすくなるため、剥離不良が発生すると考えられる。
対して、実施例4及び5の2次転写ローラR−5及びR−6は、筒形基体の内部が、空隙と、磁性粉を含有する導電性粉体と、により占められる形態を有し、支持ローラと、の間に、常に均一なニップが形成されるため、転写材の物性変化に大きな影響を受けず、良好な画像が得られる2次転写バイアスの範囲も広く、転写材の剥離性も良好であるという優れた効果が発揮される。
【0146】
【発明の効果】
本発明によれば、簡易かつ低コストで、確実に所望するニップを形成すると共に、感光体又は中間転写体の汚染又は変質を防止することの可能である導電部材及び該導電部材を備える画像形成装置を提供することができる。また、帯電音及び像担持体のエッチング現象を低減することが可能である導電部材及び該導電部材を備える画像形成装置を提供することもできる。更に、抵抗均一性及び表面平滑性が良好である導電部材及び該導電部材を備える画像形成装置を提供することもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の例示的一態様としての導電部材の構造を説明するための側面断面図である。
【図2】 図1に示す本発明の例示的一態様としての導電部材のA−A断面図であり、(a)は導電性粉体の充填率が50%の場合の図であり、(b)は導電性粉体の充填率が80%の場合の図である。
【図3】 導電性粉体による筒形基体の変形の様子を示す断面図である。
【図4】 像担持体と導電部材との位置関係の例示的一態様を示す概略断面図である。
【図5】 本発明の導電部材に好適に用いられる像担持体の構造を示す断面図である。
【図6】 本発明の画像形成装置の一例を示す概略構成図である。
【図7】 4連タンデム方式のフルカラー画像形成装置(本発明の画像形成装置)を示す概略構成図である。
【図8】 図7に示す4連タンデム方式のフルカラー画像形成装置の2次転写部の拡大構成図である。
【符号の説明】
1Y、1M、1C、1K、51 感光体(像担持体)
2Y、2M、2C、2K、52 帯電ローラ(帯電手段)
3Y、3M、3C、3K、53 レーザ光線
3、56 露光装置
4Y、4M、4C、4K、54 現像装置
5Y、5M、5C、5K 1次転写ローラ(1次転写手段)
6Y、6M、6C、6K、57 感光体クリーニング装置
10Y、10M、10C、10K ステーション
20 中間転写ベルト(中間転写体)
22 駆動ローラ
24 支持ローラ(支持部材)
26 2次転写ローラ(2次転写手段)
28 定着装置
30 中間転写体クリーニング装置
55 転写ローラ(転写手段)
110 金属製シャフト
120 筒形基体
130 導電性粉体
140 フランジ部
150 外部電源
160 像担持体
170a、170b、170c 磁力発生部材(磁界形成手段)
P 記録紙(転写材)
Claims (33)
- 筒形基体と、
該筒形基体の内部に、その内部容積を満たさない程度に封入される導電性粉体と、
を有してなり、
帯電手段、転写手段、中間転写方式における1次転写手段及び2次転写手段、及び除電手段から選択される1種として用いられることを特徴とする電子写真装置用の導電部材。 - 筒形基体と、
該筒形基体の内部に、20〜95%の充填率で封入される導電性粉体と、
を有してなり、
帯電手段、転写手段、中間転写方式における1次転写手段及び2次転写手段、及び除電手段から選択される1種として用いられることを特徴とする電子写真装置用の導電部材。 - 前記導電性粉体の充填率が20〜95%であることを特徴とする請求項1に記載の電子写真装置用の導電部材。
- 前記導電性粉体の充填率が50〜95%であることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の電子写真装置用の導電部材。
- 前記導電性粉体の充填率が70〜90%であることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の電子写真装置用の導電部材。
- 前記導電性粉体全体の抵抗が、10−8〜108Ωの範囲にあることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の電子写真装置用の導電部材。
- 前記導電性粉体が複数の種類の粉体からなる混合物であり、各種類毎の粉体の抵抗が10−8〜1017Ωの範囲にあることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の電子写真装置用の導電部材。
- 前記導電性粉体の数平均粒子径が、10−5μm〜1mmの範囲にあることを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載の電子写真装置用の導電部材。
- 前記筒形基体が、磁性を有することを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載の電子写真装置用の導電部材。
- 前記筒形基体が、層状構造をなすことを特徴とする請求項1乃至請求項9のいずれか1項に記載の電子写真装置用の導電部材。
- 前記筒形基体の外周面が、前記導電性粉体の自重及び/又は移動に応じて変形可能であることを特徴とする請求項1乃至請求項10のいずれか1項に記載の電子写真装置用の導電部材。
- ローラ形状であることを特徴とする請求項1乃至請求項11のいずれか1項に記載の電子写真装置用の導電部材。
- 更に、前記筒形基体を軸方向に貫き、回転軸となるシャフトを備えてなることを特徴とする請求項1乃至請求項12のいずれか1項に記載の電子写真装置用の導電部材。
- 前記シャフトが、前記筒形基体の両端に設けられているフランジ部材により固定されることを特徴とする請求項13に記載の電子写真装置用の導電部材。
- 前記フランジ部材が、弾性体からなることを特徴とする請求項14に記載の電子写真装置用の導電部材。
- 前記導電性粉体が、磁性粉を含有することを特徴とする請求項1乃至請求項15のいずれか1項に記載の電子写真装置用の導電部材。
- 前記請求項1乃至請求項16のいずれか1項に記載の電子写真装置用の導電部材を、帯電手段、転写手段、中間転写方式における1次転写手段及び2次転写手段、及び除電手段から選択される1種として備えてなることを特徴とする画像形成装置。
- 像担持体と、該像担持体に接触しその表面を帯電する帯電手段と、を備える画像形成装置であって、
前記帯電手段が、筒形基体と、該筒形基体の内部に、その内部容積を満たさない程度に封入される導電性粉体と、を有してなる導電部材からなることを特徴とする画像形成装置。 - 像担持体と、該像担持体に接触しその表面を帯電する帯電手段と、を備える画像形成装置であって、
前記帯電手段が、筒形基体と、該筒形基体の内部に、20〜95%の充填率で封入される導電性粉体と、を有してなる導電部材からなることを特徴とする画像形成装置。 - 前記帯電手段は、直流電圧に交流電圧を重畳してなるバイアス、又は、直流電圧によるバイアスを印加する手段であることを特徴とする請求項18又は請求項19に記載の画像形成装置。
- 前記像担持体及び前記導電部材は互いに回転し、その間に周速差があることを特徴とする請求項18乃至20のいずれか1項に記載の画像形成装置。
- 像担持体と、該像担持体に接触しその表面のトナー像を転写材に転写する転写手段と、を備える画像形成装置であって、
前記転写手段が、筒形基体と、該筒形基体の内部に、その内部容積を満たさない程度に封入される導電性粉体と、を有してなる導電部材からなることを特徴とする画像形成装置。 - 像担持体と、該像担持体に接触しその表面のトナー像を転写材に転写する転写手段と、を備える画像形成装置であって、
前記転写手段が、筒形基体と、該筒形基体の内部に、20〜95%の充填率で封入される導電性粉体と、を有してなる導電部材からなることを特徴とする画像形成装置。 - 前記像担持体及び前記導電部材は互いに回転し、その間に周速差があることを特徴とする請求項22又は請求項23記載の画像形成装置。
- 像担持体と、該像担持体に接触しその表面を帯電する帯電手段と、該像担持体に接触しその表面のトナー像を中間転写体に転写する1次転写手段と、前記中間転写体に接触しその表面のトナー像を転写材に転写する2次転写手段と、を備える画像形成装置であって、
前記帯電手段、前記1次転写手段、及び前記2次転写手段の少なくとも1つが、筒形基体と、該筒形基体の内部に、その内部容積を満たさない程度に封入される導電性粉体と、を有してなる導電部材からなることを特徴とする画像形成装置。 - 像担持体と、該像担持体に接触しその表面を帯電する帯電手段と、該像担持体に接触しその表面のトナー像を中間転写体に転写する1次転写手段と、前記中間転写体に接触しその表面のトナー像を転写材に転写する2次転写手段と、を備える画像形成装置であって、
前記帯電手段、前記1次転写手段、及び前記2次転写手段の少なくとも1つが、筒形基体と、該筒形基体の内部に、20〜95%の充填率で封入される導電性粉体と、を有してなる導電部材からなることを特徴とする画像形成装置。 - 像担持体と、該像担持体に接触しその表面を帯電する帯電手段と、該像担持体に接触しその表面のトナー像を中間転写体に転写する1次転写手段と、前記中間転写体に接触しその表面のトナー像を転写材に転写する2次転写手段と、を備える画像形成装置であって、
前記帯電手段、前記1次転写手段、及び前記2次転写手段の少なくとも1つが、筒形基体と、該筒形基体の内部に、その内部容積を満たさない程度に封入される導電性粉体と、を有してなる導電部材からなり、かつ、前記導電性粉体が磁性粉を含有し、
更に、前記導電性粉体が前記像担持体又は前記中間転写体に引き寄せられる磁界を形成する磁界形成手段を備えることを特徴とする画像形成装置。 - 像担持体と、該像担持体に接触しその表面を帯電する帯電手段と、該像担持体に接触しその表面のトナー像を中間転写体に転写する1次転写手段と、前記中間転写体に接触しその表面のトナー像を転写材に転写する2次転写手段と、を備える画像形成装置であって、
前記帯電手段、前記1次転写手段、及び前記2次転写手段の少なくとも1つが、筒形基体と、該筒形基体の内部に、20〜95%の充填率で封入される導電性粉体と、を有してなる導電部材からなり、かつ、前記導電性粉体が磁性粉を含有し、
更に、前記導電性粉体が前記像担持体又は前記中間転写体に引き寄せられる磁界を形成する磁界形成手段を備えることを特徴とする画像形成装置。 - 前記磁界形成手段が、前記像担持体又は前記中間転写体の内周面に設けられる磁性を有するフィルムであることを特徴とする請求項27又は請求項28に記載の画像形成装置。
- 前記磁界形成手段が、前記像担持体又は前記中間転写体の内周部であって、前記導電部材と対向する位置に設けられる磁力発生部材であることを特徴とする請求項27又は請求項28に記載の画像形成装置。
- 前記像担持体又は前記中間転写体が磁性体からなる基体を含んで構成され、前記磁界形成手段が前記基体であることを特徴とする請求項27又は請求項28に記載の画像形成装置。
- 像担持体と、該像担持体に接触しその表面のトナー像を無端ベルト状の中間転写体に転写する1次転写手段と、前記中間転写体に接触しその表面のトナー像を転写材に転写する2次転写手段と、を備える画像形成装置であって、
前記2次転写手段が、筒形基体と、該筒形基体の内部に、その内部容積を満たさない程度に封入される導電性粉体と、を有してなる導電部材からなり、かつ、前記導電性粉体が磁性粉を含有し、
更に、前記導電性粉体が前記中間転写体の内周部の前記2次転写手段と対向する位置に設けられた支持部材に引き寄せられる磁界を形成する磁界形成手段を備えることを特徴とする画像形成装置。 - 像担持体と、該像担持体に接触しその表面のトナー像を無端ベルト状の中間転写体に転写する1次転写手段と、前記中間転写体に接触しその表面のトナー像を転写材に転写する2次転写手段と、を備える画像形成装置であって、
前記2次転写手段が、筒形基体と、該筒形基体の内部に、20〜95%の充填率で封入される導電性粉体と、を有してなる導電部材からなり、かつ、前記導電性粉体が磁性粉を含有し、
更に、前記導電性粉体が前記中間転写体の内周部の前記2次転写手段と対向する位置に設けられた支持部材に引き寄せられる磁界を形成する磁界形成手段を備えることを特徴とする画像形成装置。
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