JP4356430B2 - 現像装置及びこれを用いた画像形成装置 - Google Patents
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Description
ここで、絶縁性トナーを帯電させる方法としては、トナー中のバインダ樹脂や添加剤を適宜組合わせることにより、トナーの摩擦帯電特性を予め制御しておき、現像装置内でトナーが撹拌されたり搬送される際に、搬送経路の途中におけるトナーの撹拌動作や搬送動作によりトナー同士を摩擦させることで、摩擦帯電を生じやすい物質とトナーとの摩擦によってトナーを帯電させる方法が多く採用されている。
このうち、低帯電トナーは、現像装置内の現像ロール等のトナー担持体から離れて画像形成装置内を漂う所謂トナークラウドとなりやすく、このトナークラウドは、画像形成装置の種々の不良発生の原因となるという不具合を有している。
また、逆極性トナーは、像担持体上の静電潜像のうち、本来トナーが付着しない背景部に静電的に引きつけられ、背景部の一様な汚れである所謂かぶりを発生させるという不具合を有している。
更に、この種の摩擦帯電方法にあっては、温度や湿度等の環境変化や、現像装置の使用に伴う経時変化の影響を受けやすく、トナーや撹拌部材等の摩擦帯電機構の表面状態の変化に伴って、結果的に、トナーの帯電状態が不安定になり易いという不具合を有している。
この導電性トナーを用いる方法は、摩擦帯電を利用しないため、種々の利点がある。
特に、導電性トナーは電荷が移動し易く、均一な電荷をトナーに与えることができるため、かぶりやトナークラウドを防止でき、環境変化や経時劣化の影響を受けにくいことは最大の特長である。また、摩擦帯電機構が不要なため、現像装置の構造が簡単で、小型化、低価格化が可能であることも、大きな魅力である。
また、カラー画像を形成する場合、色材の異なるカラートナーを重ねて種々の色を再現する必要があるが、導電性トナーではトナーを重ねることができず、カラー化に対応できないためである。この原因は、トナーが導電性であるが故に、吸湿して低抵抗になった記録紙やトナー相互間でトナー電荷の移動が起こり、トナーへの静電吸着力が失われてしまうことによる。
更に、別の技術的課題として、導電性トナーは容易に電荷注入が可能なため、静電潜像の電位が不安定になると、現像バイアスと静電潜像の背景部との間の小さな電位差(クリーニング電位と呼ぶ)でも、トナーへ逆極性の電荷が電荷注入されてしまい、かぶりの原因になり易い。
例えば、トナーとして、正負両極性のうち一方の極性に帯電し易く、かつ、当該極性に帯電した後は他方の極性に帯電し難い特性を具備させた提案、言い換えれば、電荷を注入しやすいが、リークしにくいトナー材料に関する提案がなされている(例えば特許文献1参照)。
また、基体の少なくとも一方の面に絶縁性媒質を所定量塗工し、所望の体積固有抵抗を備えた記録紙(転写媒体)を用いることで、記録紙の電荷保持を安定にすると共に電荷保持量を均一とする提案がなされている(例えば特許文献2参照)。
更に、現像後かつ転写に先立ち、静電潜像の画像部電位を現像時画像部電位の所定のレベルまで低減させ、トナーの飛び散りを抑制する提案がなされている(例えば特許文献3参照)。
更にまた、導電性トナーと絶縁性トナーとの混合により、転写時に、記録紙からの導電性トナーへの電荷注入を絶縁性トナー(絶縁体)にて防ぎ、導電性トナーと記録紙との接触確率を低減することで、導電性トナーの電荷保持力を改善するようにした提案がなされている(例えば特許文献4参照)。
また、像担持体上の導電性トナーを加熱することでトナーを軟化・溶融させ、この軟化・溶融されたトナーの機械的な粘着力を利用することにより、像担持体から記録紙への転写性を良好に保つようにした非静電転写技術に関する提案がなされている(例えば特許文献5参照)。
そのため、いずれの先行技術にあっても、汎用性を大きく損なう懸念があり、現段階において実用化には至っていないのが実情である。
本発明は、以上の技術的課題を解決するためになされたものであり、従前の導電性トナーを使用する際の不具合である静電転写性の改善、カラー適性の改善を行い、かぶりやトナークラウドを有効に防止できる導電性トナーを用いることで、環境変化や経時劣化の影響を受けにくく、簡単で且つ汎用性のある現像装置及びこの現像装置を用いた画像形成装置を提供するものである。
また、トナー担持体4としては、導電性トナー3を担持搬送できるものであれば、ロール状、ベルト状等任意の形状でよく、磁極のレイアウト等も任意に設定して差し支えない。
更に、現像電界形成手段5は、像担持体2とトナー担持体4との間に現像電界を形成するものを広く含み、ここでいう現像電界としては直流電界のみ、あるいは、交番電界を重畳した直流電界など適宜選定してよい。
本態様によれば、現像電界と電荷注入電界との中間電界にて、抵抗可変部7は高抵抗から低抵抗へスイッチングするようになっている。
そのため、導電性トナー3への電荷注入時は、電荷注入電界で抵抗可変部7の抵抗が低くなることで容易に電荷注入される。一方、現像時には、電荷注入電界より小さい現像電界で抵抗可変部7の抵抗が高く保たれ、トナー相互間での電荷移動が抑制される結果、導電性トナー3の電荷保持性が向上する。このため、導電性トナー3は、現像電界作用領域で均一に帯電した状態を保つこととなり、かぶりやトナークラウド等を抑制することが可能となる。
尚、本願での電荷注入電界や現像電界等は、電界強度の大きさを意味する。
本態様によれば、クリーニング電界と電荷注入電界との中間電界で抵抗可変部7は高抵抗から低抵抗へスイッチングするため、クリーニング電界の作用領域において、抵抗可変部7は高抵抗に保たれることになり、トナー担持体4上の先端の導電性トナー3に逆極性の電荷が誘導されることはない。
このため、トナー担持体4上の導電性トナー3に逆極性電荷が誘導され、静電潜像1の背景部に付着するという所謂かぶり現象は有効に抑制される。
本態様によれば、転写電界と電荷注入電荷との中間電界にて抵抗可変部7は高抵抗から低抵抗へとスイッチングするため、転写電界の作用領域では、抵抗可変部7は高抵抗に保たれることになり、転写時において、導電性トナー3と記録紙との間で電荷の移動が発生することはなく、例えば高含水紙などに対しても導電性トナー3の電荷が保持され、良好な転写性能が得られるようになる。
そして、抵抗可変部7は、絶縁性トナー基体6の外表面近傍に導電性微粒子8を埋設させることで形成される。
このとき、現像電界形成手段5は、現像電界を発生させるものであり、例えば、直流電界のみ、あるいは、交流電界を重畳した直流電界など適宜選定してよい。
また、装置を簡略化する観点からは、電荷注入部材9が、トナー担持体4に導電性トナー3を供給担持するトナー供給部材を兼用する態様が好ましい。
特に、画像形成装置において、現像性能及び転写性能を両立させるには、抵抗可変部7が、転写時に形成される転写電界よりも大きく且つ電荷注入電界よりも小さい電界で高抵抗から低抵抗へ抵抗変化する現像装置と、像担持体2上のトナー像を電荷注入電界よりも小さい転写電界にて記録媒体に転写する転写装置とを備えたものが好ましい。
本発明において、導電性トナー3は、図2(b)に示すように、例えば、トナー担持体4と電荷注入部材9との間に、現像電界よりも高電界である電荷注入電界を加えることで、この電荷注入作用領域(電荷注入領域)において導電性トナー3が電荷注入される(電荷注入工程)。
このとき、図2(a)に示すように、電荷注入電界においては、抵抗可変部7が低抵抗に変化することから導電性トナー3の最外層が低抵抗層として働くことになり、導電性トナー3には容易に電荷が注入される。
このとき、図2(a)に示すように、現像電界においては、抵抗可変部7が高抵抗に変化することから高絶縁性皮膜として働くことになり、導電性トナー3には電荷が注入され難くなり、その分、導電性トナー3は、電荷を保持した状態を保ち、導電性トナー3相互間等で電荷の移動は行われないようになる。
よって、高含水紙などへのトナー像の転写も可能となり、しかも、カラートナーの重ねによるカラー画像を形成することも可能になる。
特に、本発明に係る現像装置で用いられる導電性トナーによれば、通常の絶縁性トナーの外表面近傍に導電性微粒子を埋設することで、簡単に抵抗可変部を構築できる。また、導電性微粒子も少なくて済むため、カラー適正を損なわない導電性トナーが可能となる。
そして、このような導電性トナーの製造方法によれば、導電性トナーの特性も安定し且つ安価な導電性トナーが実現可能となる。
更に、従来トナーを利用できるため新規導電性トナー開発に際して、開発工数を低減できるという利点がある。
◎実施の形態1
図3は本発明が適用された現像装置を含む画像形成装置の実施の形態1を示す。
同図において、本実施の形態に係る画像形成装置は、所定方向に回転する像担持体としての感光体ドラム20を有し、この感光体ドラム20の周囲には、感光体ドラム20を帯電する帯電装置21と、この感光体ドラム20上に静電潜像Zを形成する潜像書込装置としての例えば露光装置22と、感光体ドラム20上に形成された静電潜像Zを可視像化する現像装置30と、感光体ドラム20上で可視像化されたトナー像を記録媒体である記録紙28に転写する転写装置24と、感光体ドラム20上の残留トナーを清掃するクリーニング装置25とを順次配設したものである。
そして、現像ロール33には現像バイアス電源37からの現像バイアスが印加される一方、電荷注入ロール34には電荷注入バイアス電源38からの電荷注入バイアスが印加されるようになっている。それにより、感光体ドラム20の静電潜像Zと現像ロール33との間には現像電界が、現像ロール33と電荷注入ロール34との間には電荷注入電界が作用するようになっている。
更に、層形成部材35は例えば厚さ0.03〜0.3mm程度のステンレスの板ばねにシリコーンゴムやEPDMを接着剤等により接着したものである。この層形成部材35の一端は、電荷注入ロール34の表面に軽く接触し、他端は現像ハウジング31の一部に支持されている。
尚、図4(b)は、図4(a)の要部を示す模式図である。
そして、このような構成の導電性トナー40には、本件の特徴点である抵抗可変部が導電層202及び絶縁性被覆層203で構成されているため、高電界を印加すると急激に低抵抗化する傾向を示す。尚、低抵抗化する電界の大きさについては、導電性トナー40の主として絶縁性被覆層203の厚さや導電層202の導電性微粒子の分布状態等に依存する。
尚、撹拌混合機403としては、撹拌混合する機能を有するものであればよく、ミルのような粉砕機等を利用することもできる。
そして、作製された導電性トナー40は、導電性微粒子402が絶縁性トナー401内に潜り込み、最終的に導電性トナー40表面には絶縁性被覆層203、その内層に導電性微粒子による導電層202が形成されるようになる(図5参照)。
このとき、図7(a)(b)(c)に示すように、導電層202(具体的には導電性微粒子の形状で示す)は、絶縁性被覆層203で必ずしも覆われる必要はなく、絶縁性被覆層203の表面より突出する位置になければよい。
今、作像プロセスが開始されると、先ず、感光体ドラム20表面が帯電装置21により帯電され、露光装置22が帯電された感光体ドラム20上に静電潜像Zを書き込み、現像装置30が前記静電潜像Zを可視像化する。
しかる後、感光体ドラム20上のトナー像は転写部位へと搬送され、転写装置24が記録媒体である記録紙28に感光体ドラム20上のトナー像を静電的に転写する。
尚、感光体ドラム20上の残留トナーはクリーニング装置25にて清掃される。
同図において、本実施の形態における現像装置30は、アジテータ36により撹拌された導電性トナー40が、電荷注入ロール34表面に供給され、この電荷注入ロール34と層形成部材35との間を通過することにより、電荷注入ロール34の表面に均一なトナー層を形成する。更に、この形成されたトナー層は、電荷注入ロール34の回転により、現像ロール33と電荷注入ロール34との対向位置に搬送される。
このとき、現像ロール33に接続している現像バイアス電源37の現像バイアスと、電荷注入ロール34に接続している電荷注入バイアス電源38による電荷注入バイアスとの差により形成された電荷注入電界によって、導電性トナー40に所定の電荷が注入される。
現像ロール33と感光体ドラム20との対向部位に進む。ここで、感光体ドラム20上の静電潜像Zと、現像ロール33に接続している現像バイアス電源37の現像バイアスとの差により形成された現像電界が、導電性トナー40に加わることとなる。
また、感光体ドラム20上に露光装置22(図3参照)によって書き込まれた静電潜像部分は、表面帯電が除電されていることから、現像電界によって、この部分のみ導電性トナー40が感光体ドラム20に移動し、静電潜像Zを可視像化する。
本実施の形態において、この現像電界は電荷注入電界より低電界となっているため、電荷注入電界にて導電性トナー40に注入された電荷が、現像電界で逃げることもなく、良好な現像が実施できる。
本実施の形態においては、この転写工程においても、感光体ドラム20と転写装置24とで形成される転写電界が、前述の電荷注入電界より低電界で行われるため、良好な転写ができる。
図8(a)は、本発明に係る実施の形態2の現像装置を示し、図8(b)は、図8(a)の要部を示す模式図である。
同図において、本実施の形態における現像装置30は、実施の形態1における現像装置と略同様に構成されているが、電荷注入ロール34の他に、導電性トナー40を現像ロール33上に供給担持するトナー供給ロール101を備えている点が実施の形態1と異なる。
尚、実施の形態1と同様な構成要素には同様の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
そして、現像ロール33には現像バイアス電源37からの現像バイアスが印加される一方、この現像バイアス電源37がトナー供給ロール101にも接続され、トナー供給ロール101と現像ロール33とが同電位になるようになっている。
また、本実施の形態におけるトナー供給ロール101は、表面をサンドブラスト法や化学エッチング法等により小さく均一な凹凸面が形成されたアルミニウム製のロールから構成され、現像ロール33とトナー供給ロール101とは軽く接触又は微小間隙をもって支持されている。
現像装置30は、現像ハウジング31内において導電性トナー40がアジテータ36により撹拌され、撹拌された導電性トナー40は、トナー供給ロール101と層形成部材35との間を通過することにより、トナー供給ロール101の表面に均一なトナー層を形成する。
更に、トナー層は、トナー供給ロール101の回転により、現像ロール33とトナー供給ロール101との対向位置に搬送され、現像ロール33上に供給担持される。
そして、現像ロール33上に担持された導電性トナー40は、現像ロール33と電荷注入ロール34との対向部位で、この間に形成される電荷注入電界により電荷が注入される。
現像ロール33上で電荷が注入された導電性トナー40は、そのまま現像ロール33上を搬送され、現像ロール33と感光体ドラム20との対向部位に進む。ここで、感光体ドラム20上の静電潜像Zと、現像ロール33に接続している現像バイアス電源37の現像バイアスとの差により形成された現像電界が、導電性トナー40に加わることとなる。
このため、感光体ドラム20上の静電潜像Zに導電性トナー40が移動し、静電潜像Zを可視像化する。本実施の形態において、この現像電界は電荷注入電界より低電界となっているため、電荷注入電界にて導電性トナー40に注入された電荷が、現像電界で逃げることもなく、良好な現像が実施できる。
本実施の形態における現像装置30は、実施の形態1と同様の作動を行うことから、画像形成装置の現像装置としては、いずれの現像装置30をも利用することができる。
図9は、本発明に係る現像装置が適用された実施の形態3の画像形成装置を示す。
同図において、本実施の形態に係る画像形成装置は、所謂タンデム型と称されるものであり、装置本体60の上方に原稿を読み取る画像読取ユニット61を配設する一方、装置本体60内に四つの色成分(本実施の形態ではY:イエロ、M:マゼンタ、C:シアン、K:ブラック)の作像エンジン62(具体的には62a〜62d)を横方向に配列し、その下方には各作像エンジン62の配列方向に沿って循環搬送される中間転写ベルト63を配設すると共に、この中間転写ベルト63には当該中間転写ベルト63上の画像を記録媒体としての例えば記録紙64に転写させる二次転写装置65を配設し、更に、装置本体60の下方には前記記録紙64が収容される供給カセット66を配設し、この供給カセット66からの記録紙64を二次転写装置65を経て定着装置67へと導くようにしたものである。
一方、中間転写ベルト63は、複数(本例では四つ)の張架ロール81〜84に掛け渡されており、張架ロール81は駆動ロール、その他の張架ロール82〜84は従動ロールとして機能するようになっている。
更に、本実施の形態に係る現像装置74は、実施の形態1の現像装置を使用しており、その詳細な説明は省略する。
夫々の現像装置74(具体的には74a〜74d)によって、感光体ドラム71上の静電潜像は現像され、可視像化(トナー像)される。
そして、感光体ドラム71と中間転写ベルト63とが接する位置にある一次転写装置75には、感光体ドラム71上のトナー像と逆極性の電圧が印加されているため、感光体ドラム71上に形成されたトナー像は、中間転写ベルト63上に一次転写される。
更に、中間転写ベルト63上に一次転写されたトナー像は、中間転写ベルト63の回動に伴って、二次転写装置65へ搬送されると共に、給紙カセット66から搬送された記録紙64が、中間転写ベルト63と二次転写装置65との接触領域へ搬送され、二次転写装置65にトナーの帯電極性と逆極性の電圧を印加することで、中間転写ベルト63上のトナー像は、記録紙64に静電吸引される。この後、トナー像が転写された記録紙64は定着装置67により定着され、記録紙64へのトナー像の定着が行われる。
また、クリーニング電界においてかぶりの原因となる電荷の移動が発生することもなく、更に、記録紙64やトナー相互間で電荷の移動が発生しないことから、静電転写方式において、吸湿した記録紙64へのトナー像の転写が可能になり、また、カラートナーを重ねて、カラー画像を形成することが可能になる。
更に、導電性トナーが多量の導電性フィラー(例えばカーボンブラック等)を含んでいないため、トナーが低温で溶融し、定着による良好な画質が実現可能となる。
また、本実施の形態では、カラー機で説明したが、モノクロ専用機でも同様に適用できることは勿論である。
更に、本実施の形態における現像装置74として、実施の形態1の現像装置を配設したが、実施の形態2の現像装置を用いても同様の効果を得られることは明らかである。
図10は、静電転写方式を用いない画像形成装置に本発明を適用した実施の形態4を示す。
本実施の形態に係る画像形成装置においては、感光体ドラム90の周囲に、感光体ドラム90を帯電する帯電装置91と、帯電された感光体ドラム90上に各色成分(本例ではイエロ、マゼンタ、シアン、ブラック)の静電潜像を書き込む露光装置92と、感光体ドラム90上に形成された各色成分潜像を各色成分トナーにて可視像化する現像装置93と、感光体ドラム90上のトナー像を転写させるための粘着中間転写ロール94と、感光体ドラム90上の残留トナーを清掃するクリーニング装置95とが配設されている。
また、粘着中間転写ロール94の下方には、加熱源を有する二次転写ロール96が配設されている。
尚、符号98は記録紙97を送出する記録紙供給装置、99は定着済みの記録紙97を搬送する搬送ベルトである。
また、本実施の形態における現像装置93及び導電性トナーは、実施の形態1又は実施の形態2で用いたものと同様なものを使用することが可能であり、その他の装置についても、適宜選定して差し支えない。
本実施の形態において、感光体ドラム90上に担持された静電潜像は、現像装置93によって感光体ドラム90の一回転ごとに異なる色成分のトナー像を重ねられる。この重ねられたトナー像は、粘着中間転写ロール94上に押圧されることにより、粘着中間転写ロール94の粘着力によって一括して粘着中間転写ロール94上に転写される。
その後、粘着中間転写ロール94上に転写されたトナー像は、二次転写ロール96によって加熱されるとともに、粘着中間転写ロール94の離型性は向上し、また、トナー像も加熱されることにより粘性化する。これにより、トナー像は、粘着中間転写ロール94と二次転写ロール96との間にある記録紙97に再転写され、同時に定着も完了する。
また、導電性トナーが、多量の導電性フィラー(例えばカーボンブラック等)を含んでいないため、低温でのトナー溶融が可能になり、一様な溶融転写ができる。
これにより、かぶりやトナークラウドを防止でき、環境変化や経時劣化の影響を受けにくく、構造が簡単で、小型化、低価格化が可能な静電転写方式を用いない画像形成装置を実現することができる。
また、静電転写方式を使用しない画像形成装置であって、カラー画像を形成する必要がないモノクロ専用機であれば、概ね単層のトナー像を形成すればよいので、背景部へのトナー付着のみを防止すればよい。
このとき、現像バイアスと背景部の電位差とによって形成される電界(クリーニング電界)によって、現像ロール上の先端のトナーに逆極性の電荷が誘導され、背景部に付着しかぶりになることを防止するため、導電性トナーの特性として、クリーニング電界より大きく且つ電荷注入電界より小さい電界で電気抵抗を高抵抗から低抵抗へスイッチングできるようにすればよい。
本実施例は、実施の形態1の作像プロセスにおいて、現像装置及び転写装置に要求される動作条件について詳細に検討したものである。
先ず、図4に示す現像装置30をモデル化すると、例えば図11のように表わされる。
図4及び図11において、符号41は電荷注入ロール34の一要素である電荷注入プレートであり、例えばアルミニウムプレートにて構成される。
そして、前記電荷注入プレート41には電荷注入バイアス電源45が接続されており、電荷注入バイアスV1が印加されている。
また、符号42は現像装置30の現像ロール33に相当するトナー担持ロールであり、例えば表面がアルマイト処理されたアルミニウムパイプにて構成されている。
そして、このトナー担持ロール42には現像バイアス電源46が接続されており、現像バイアスV2が印加されている。
更に、符号43は感光体ドラム20に相当する像担持プレートであり、例えば表面に50μm厚のPETフィルムを貼り付けたアルミニウムプレートにて構成され、トナー担持ロール42に対して所定の間隙を介して対向配置され、略水平方向に移動する。
そして、像担持プレート43には像担持バイアス電源47が接続されており、所定の像担持バイアスV3が印加されている。
このとき、電荷注入プレート41に印加された電荷注入バイアスV1とトナー担持ロール42に印加された現像バイアスV2とにより、電荷注入プレート41とトナー担持ロール42との間には電荷注入電界A(図中矢印方向)が形成されており、この電荷注入電界Aにより、電荷注入プレート41上の導電性トナー40に電荷が注入されると共に、導電性トナー40は静電吸引力によりトナー担持ロール42へ移動する。
次いで、トナー担持ロール42へ移動した導電性トナー40は、トナー担持ロール42の回転により現像領域まで搬送されると、像担持プレート43に印加された像担持バイアスV3とトナー担持ロール42に印加された現像バイアスV2とにより現像電界B(図中矢印方向)が形成され、この現像電界Bにより、導電性トナー40が像担持プレート43へ移動する。
また、多層のトナー像を移動させる必要がない単色の作像プロセスであれば、感光体ドラム20の背景部へのトナー付着のみを防止するようにすればよい。
このとき、現像ロール33と背景部の電位差によって形成される電界(クリーニング電界)の影響で、現像ロール33上の先端のトナーに逆極性の電荷が誘導され、背景部に付着し、かぶりの原因になる可能性がある。
そこで、この場合には、導電性トナー40の特性として、クリーニング電界より大きく且つ電荷注入電界Aより小さい電界で、電気抵抗を高抵抗から低抵抗へスイッチングさせ、所望の範囲の電気抵抗を満たすようにすればよい。
通常、クリーニング電界は現像電界Bよりも小さいので、上述した導電性トナー40(電荷注入電界Aと現像電界Bとの中間電界以上の高電界にて抵抗が高抵抗から低抵抗へとスイッチングする特性を具備)はそのまま使用することができる。
図4及び図12において、符号51は電荷注入ロール34の一要素である電荷注入プレートであり、例えばアルミニウムプレートにて構成される。
そして、前記電荷注入プレート51には電荷注入バイアス電源55が接続されており、電荷注入バイアスV4が印加されている。
また、符号52は感光体ドラム20に相当する像担持ロールであり、例えば表面に50μm厚のPETフィルムを貼り付けたアルミニウムパイプにて構成されている。
そして、この像担持ロール52には像担持バイアス電源56が接続されており、像担持バイアスV5が印加されている。
更に、符号53は転写装置の転写ロール等の電極部材に相当する記録媒体プレートであり、表面に記録媒体54(例えば図3中の記録紙28に相当)を貼り付けたアルミニウムプレートにて構成される。
そして、この記録媒体プレート53には転写バイアス電源57が接続され、転写バイアスV6が印加されている。
このとき、電荷注入プレート51に印加された電荷注入バイアスV4と像担持ロール52に印加された像担持バイアスV5(静電潜像の代替として印加)とにより、電荷注入プレート51と像担持ロール52との間には電荷注入電界A(図中矢印方向)が形成されており、この電荷注入電界Aにより、電荷注入プレート51上の導電性トナー40に電荷が注入されると共に、導電性トナー40は静電吸引力により像担持ロール52へ移動する。
次いで、像担持ロール52へ移動した導電性トナー40は、像担持ロール52の回転により転写領域まで搬送されると、記録媒体プレート53に印加された転写バイアスV6と像担持ロール52に印加された像担持バイアスV5とにより転写電界C(図中矢印方向)が形成され、この転写電界Cにより、導電性トナー40が記録媒体プレート53へ移動する。
図13は、実施例1の現像装置モデル(図11参照)において、導電性トナーに電界を印加したとき、この導電性トナーの体積抵抗率変化を測定した結果である。
同図によれば、導電性トナーは、高電界が印加されると、高抵抗から低抵抗へと急激に低抵抗化することが理解される。
一般的に、導電性トナーに印加される電界Eは、以下のように表現される。
E=(V−VS)/εt(Dp+Dt+Dm+Dg)
但し、V:対向電極の電位、VS:移動前トナー層上の電位、Dp〜Dg:ニップを形成する各層の誘電厚さ(Dp:像担持体誘電厚さ、Dt:トナー層誘電厚さ、Dm:トナー担持体誘電厚さ、Dg:空隙層誘電厚さ)、εt:トナーの比誘電率である。
以上から予測すると、上記条件では、電荷注入時に導電性トナーへ印加される電界は5×104V/cm、現像時に導電性トナーに印加される電界は8×103V/cmであった。
このとき、図13に示すように、8×103V/cmと5×104V/cmとの間で、導電性トナーの体積抵抗率は、1012Ω・cmから109Ω・cmへ変化している。
更に、帯電した電荷を保持するためには、現像電界Bが印加されている時間内で、電荷移動等が起こらないことが必要なので、時定数で0.1秒以上であることが好ましく、また、導電性トナーの体積抵抗率は1011Ω・cm以上であればよい。
尚、導電性トナーの体積抵抗率は、φ30mmのセル中にトナーを充填し、トナー層厚、及び、上下面に電圧を印加したときに流れる電流を測定することにより算出した。
図14は、実施例1の現像装置モデル(図11参照)において、像担持プレート電圧(像担持バイアスV3)の変化に対する現像トナー量(層数に換算)を、本願に係る導電性トナーを用いた時と、比較例に係る導電性トナー(抵抗可変部を持たない導電性トナー)を用いた時とで比較測定した結果である。
本実施例は、現像バイアスV2を0V、電荷注入バイアスV1を−600Vに固定設定し、一連の作像プロセスを4回繰り返して、像担持プレート上に多重現像させた。
これにより、カラー画像を形成する場合、本実施例に係る導電性トナーは、色材の異なるカラートナーを重ねて種々の色を再現できるが、比較例に係る導電性トナーでは、カラー化に対応できないことが理解される。
図15は、実施の形態1に係る転写装置モデル(図12参照)において、記録媒体プレート電圧(転写バイアスV6)と転写率との関係を測定した結果である。
本実施例において、記録媒体プレートの表面に貼り付けた記録媒体としては、絶縁紙、半導電紙(5×108Ω・cm、高含水紙状態)を使用した。
そして、像担持バイアスV5を0V、電荷注入バイアスV4を−600Vに固定設定し、また、半導電紙(高含水紙に相当)に対し比較例に係る導電性トナー(抵抗可変部を持たない導電性トナー)についても測定した。
本実施例の測定結果により、本実施例に係る導電性トナーは、絶縁紙及び半導電紙(高含水紙相当)において、80%以上の転写率が可能であるが、比較例に係る導電性トナーは、半導電紙(高含水紙相当)において30%前後の転写率しか得られず、転写不良を発生してしまう。
このように、本実施例に係る導電性トナー(転写時に形成される転写電界Cよりも大きく、電荷注入電界Aよりも小さい中間電界以上で、高抵抗から低抵抗へとスイッチングする抵抗可変部を具備)を用いれば、高含水転写、多重転写が可能になる。
本実施例は、一般的なカラー絶縁性トナー粒子(平均粒径6.5μm)に、例えば、住友金属鉱山製ITO粒子を15wt%加え、サンプルミル(協立理工製:SK−M 10型)により撹拌混合を行い、混合時間(撹拌混合時間)を変えた時の粒子の体積抵抗率と印加電界との関係を測定した。尚、体積抵抗率は、実施例2と同様のφ30mmのセルを使用し測定した。
図16は、その結果であり、ここから次のような事項が確認された。
(1)混合時間30秒では、体積抵抗率は印加電界に左右されず、常に低抵抗で推移している。これは、混合時間30秒では、ITO粒子が絶縁性トナー表面に露出したままとなっており、このために混合された粒子が半導電性を示しているものと推定される。
(2)混合時間5分では、印加電界を大きくすると急激な体積抵抗率の低下が確認され、本件における導電性トナーとしての所望の特性が得られる。すなわち、混合時間5分程度では、ITO粒子が絶縁性トナーの表面に露出しない程度に潜り込み、粒子表面には薄い絶縁層が形成された状態になり、低電界においてはこの絶縁層による高抵抗特性を示し、高電界においてはトンネル効果や絶縁破壊効果等により低抵抗を呈するものと推定される。
(3)混合時間30分では、体積抵抗率が印加電界に左右されず、常に高抵抗で推移している。これは、ITO粒子が絶縁性トナー表面から内部へ深く潜り込み、粒子表面には絶縁性トナーによる絶縁層が1層形成された状態になり、体積抵抗率が高抵抗で推移したものと推定される。
以上のように、本実施例によれば、例えばITO粒子等の導電性微粒子を絶縁性トナーと混合し、その混合時間を調整するだけで本件の導電性トナーとしての所望の特性を得ることが可能である。
Claims (5)
- 静電潜像を担持した像担持体に対向配置されて帯電された導電性トナーを担持搬送するトナー担持体と、
このトナー担持体と像担持体との間に現像電界が形成され、この現像電界領域にて像担持体上の静電潜像をトナー現像する現像電界形成手段と、
前記現像電界領域よりトナー担持体のトナー搬送方向上流側にて当該トナー担持体に対向配置される電荷注入部材とを備えた現像装置であって、
前記導電性トナーは、絶縁性トナー基体と、絶縁性トナー基体の表面部に設けられ且つ現像電界より大きな電荷注入電界において現像電界における抵抗に比して低抵抗に変化する抵抗可変部とを備え、この抵抗可変部が絶縁性トナー基体の外表面近傍に当該外表面から埋設させた導電性微粒子を有するものであり、
トナー担持体と電荷注入部材との間に現像電界より大きな電荷注入電界を作用させることにより、導電性トナーに電荷を注入するようにしたことを特徴とする現像装置。 - 請求項1記載の現像装置において、
導電性トナーの導電性微粒子は透明性を備えていることを特徴とする現像装置。 - 請求項1記載の現像装置において、
電荷注入部材に対し、トナー担持体のトナー搬送方向上流側にトナー供給部材を配設し、
このトナー供給部材はトナー担持体に導電性トナーを供給することを特徴とする現像装置。 - 請求項1記載の現像装置において、
電荷注入部材は、トナー担持体に導電性トナーが供給担持せしめられるトナー供給部材を兼用することを特徴とする現像装置。 - 請求項1乃至4のいずれかに記載の現像装置を用いたことを特徴とする画像形成装置。
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