以下、図面に沿って、本発明の実施の形態について説明する。
<実施の形態1>
図1に、本発明を適用することができる画像形成装置を示す。同図に示す画像形成装置は、4個の画像形成部を有する4色フルカラーの電子写真方式の画像形成装置であり、同図はその概略構成を模式的に示す縦断面図である。
同図に示す画像形成装置は、中間転写体としての中間転写ベルト7の回転方向(矢印R7方向)に沿って上流側から下流側にかけて4個の画像形成部(画像形成ステーション)Sa,Sb,Sc,Sdが配設されている。
各画像形成部Sa,Sb,Sc,Sdは、この順に、イエロー,マゼンタ,シアン,ブラックの各色のトナー像を形成する画像形成部であり、それぞれ像担持体としてドラム形の電子写真感光体(以下「感光ドラム」という。)1a,1b,1c,1dを備えている。
感光ドラム1a,1b,1c,1dは、それぞれ矢印R1方向(図1中の反時計回り)に回転駆動されるようになっている。各感光ドラム1a,1b,1c,1dの周囲には、その回転方向に沿ってほぼ順に、帯電器(帯電手段)2a,2b,2c,2d、露光装置(潜像形成手段)3a,3b,3c,3d、現像器(現像手段)4a,4b,4c,4d、一次転写ローラ(一次転写手段)5a,5b,5c,5d、ドラムクリーナ(クリーニング装置)6a,6b,6c,6dが配設されている。上述の一次転写ローラ5a,5b,5c,5d及び二次転写対向ローラ8には、中間転写体としての無端状の中間転写ベルト7が掛け渡されている。中間転写ベルト7は、その裏面側から一次転写ローラ5a,5b,5c,5dによって押圧されていて、その表面を感光ドラム1a,1b,1c,1dに当接させている。これにより、感光ドラム1a,1b,1c,1dと、中間転写ベルト7との間には、一次転写ニップ(一次転写部)T1a,T1b,T1c,T1dが形成されている。中間転写ベルト7は、駆動ローラも兼ねる二次転写対向ローラ8の矢印方向の回転に伴って、矢印R7方向に回転するようになっている。この中間転写ベルト7の回転速度は、上述の各感光ドラム1a,1b,1c,1dの回転速度(プロセススピード)とほぼ同じに設定されている。
中間転写ベルト7表面における、二次転写対向ローラ8に対応する位置には、二次転写ローラ(二次転写手段)9が配設されている。二次転写ローラ9は、二次転写対向ローラ8との間に中間転写ベルト7を挟持しており、二次転写ローラ9と中間転写ベルト7との間には、二次転写ニップ(二次転写部)T2が形成されている。この二次転写ローラ9には、ローラクリーナ(二次転写部材クリーナ)11が当接されている。また、中間転写ベルト7表面における、一次転写ローラ5aに対応する位置には、ベルトクリーナ(中間転写体クリーナ)12が当接されている。
画像形成に供される転写材Pは、給紙カセット10に積載された状態で収納されている。この転写材Pは、給紙ローラ、搬送ローラ、レジストローラ等を有する給搬送装置(いずれも不図示)によって、上述の二次転写ニップ部T2に供給されるようになっている。転写材Pの搬送方向に沿っての二次転写ニップ部T2の下流側には、定着ローラ14とこれに加圧された加圧ローラ15とを有する定着装置13が配設されており、さらに定着装置13の下流側には、排紙トレイ16が配設されている。
上述構成の画像形成装置においては、以下のようにして、転写材P上に4色フルカラーのトナー像が形成される。
まず、感光ドラム1a,1b,1c,1dは、感光ドラム駆動モータ(不図示)によって矢印方向に所定のプロセススピードで回転駆動され、帯電器2a,2b,2c,2dによって所定の極性・電位に一様に帯電される。帯電後の感光ドラム1a,1b,1c,1dは、露光装置3a〜3dによって画像情報に基づく露光が行われ、露光部分の電荷が除去されて各色毎の静電潜像が形成される。
これら感光ドラム1a,1b,1c,1d上の静電潜像は、現像器4a,4b,4c,4dによってイエロー,マゼンタ,シアン,ブラックの各色のトナー像として現像される。これら4色のトナー像は、一次転写ニップT1a,T1b,T1c,T1dにおいて、一次転写ローラ5a,5b,5c,5dにより、中間転写ベルト7上に順次に一次転写される。こうして、4色のトナー像が中間転写ベルト7上で重ね合わされる。一次転写時に、中間転写ベルト7に転写されないで感光ドラム1a,1b,1c,1c上に残ったトナー(残留トナー)は、ドラムクリーナ6a,6b,6c,6dによって除去される。残留トナーが除去された感光ドラム1a,1b,1c,1dは、次の画像形成に供される。
上述のようにして中間転写ベルト7上で重ね合わされた4色のトナー像は、転写材Pに二次転写される。給紙カセット10から給搬送装置によって搬送された転写材Pは、レジストローラによって中間転写ベルト7上のトナー像にタイミングを合わせるようにして二次転写ニップT2に供給される。供給された転写材Pには、二次転写ニップT2において、二次転写ローラ9により、中間転写ベルト7上の4色のトナー像が一括で二次転写される。二次転写時に、転写材Pに転写されないで中間転写ベルト7上に残ったトナー(残留トナー)は、ベルトクリーナ12によって除去される。
一方、4色のトナー像が二次転写された転写材Pは、定着装置13に搬送され、ここで加熱・加圧されて表面にトナー像が定着される。トナー像定着後の転写材Pは、排紙トレイ16上に排出される。以上で、1枚の転写材Pの片面(表面)に対する4色フルカラーの画像形成が終了する。
ここで、本発明に関係する部分を詳しく述べる。なお、以下の説明では、感光ドラム1a,1b,1c,1d、帯電器2a,2b,2c,2d、露光装置3a,3b,3c,3d、現像器4a,4b,4c,4d、一次転写ローラ5a,5b,5c,5d、ドラムクリーナ6a,6b,6c,6dについて、特に色を区別する必要がない場合には、単に、感光ドラム1、帯電器2、露光装置3、現像器4、一次転写ローラ5、ドラムクリーナ6のように表記するものとする。
なお、本発明においては、現像器4として現像スリーブを2つ備えた現像装置を用いている。複数の現像スリーブを備えた現像器を用いた場合、帯状トナー像は、各色毎に帯状トナー像が複数形成されることとなり、二次転写ローラや中間転写ベルトのクリーナの負荷が増大し、特に問題が起きやすい。
図2に、感光ドラム1近傍の拡大図を示す。
画像形成に際し、感光ドラム1は、感光ドラム駆動モータによって矢印R1方向に所定のプロセススピードで回転駆動され、帯電器2によって所定の極性・電位に一様に帯電される。本実施の形態では、感光ドラム1は、表面電位(暗部電位)Vd=−700[V]に帯電される。帯電後の感光ドラム1表面は、露光装置3によって画像情報に基づく露光Lを受け、露光部分の電荷が除去されて静電潜像が形成される。以下、露光によって静電潜像が形成される部分を「画像部(明部)」といい、露光を受けない部分を「非画像部(暗部)」という。この画像部は非画像部に比べて高電位(例えば明部電位Vl=−200[V])である。
現像器4は、帯電器2よりも感光ドラム1の回転方向(矢印R1方向)に沿っての下流側に配設されている。現像器4は、現像剤を収納する現像容器20と、現像剤担持体である2本の現像スリーブ21a,21bとを備え、さらにこれら現像スリーブ21a,21bを駆動伝達手段(不図示)であるギヤを介して回転駆動するモータ22と、現像スリーブ21a,21bに現像バイアス電圧を印加する現像バイアス印加電源23とを有している。なお、2本の現像スリーブ21a,21bのうち、感光ドラム1の回転方向に沿っての上流側に現像スリーブ21aが配設され、下流側に現像スリーブ21bが配設されている。現像スリーブ21a,21b表面には、負に帯電したトナーが担持される。また、本実施の形態においては現像スリーブ21a,21bには、一つの現像バイアス印加電源23を分岐することによって現像バイアス電圧が印加される。現像バイアス印加電源23は、直流バイアス電源23aと交流バイアス電源23bとによって構成されている。この現像バイアス印加電源23の現像バイアス電圧の印加により、感光ドラム1上の画像部が現像スリーブ21a,21b近傍を通過する際、現像スリーブ21a,21b表面に担持されていたトナーが感光ドラム1上の画像部に付着してトナー像が形成される。
従来、電子写真方式によってフルカラー画像やマルチカラー画像を形成するカラーの画像形成装置では、発色性や混色性といった観点からほとんどの現像器4がトナーとキャリヤとを混合させた二成分現像剤を使用している。二成分現像プロセスにおいては、現像スリーブ21はの表面に負に帯電しているトナーと正に帯電しているキャリヤからなる現像剤を保持している。このトナーを感光ドラム1の表面の画像部に飛び移らせるために、画像部より低電位だが非画像部よりも高電位の現像バイアス電圧を現像スリーブ21に印加している。
特に、最近は現像能力を向上させるために、現像スリーブ21の現像バイアス電圧として、DC成分(例えば、Vdc=−550[V])にAC成分(例えば、2.0k[V])を重畳させる(DC+AC)バイアス方式を採用するようになってきている。
非画像部の暗部電位Vdと現像バイアスのDC成分Vdcとの差は、かぶり取り電位Vback(=|Vd−Vdc|)と呼ばれ、通常100〜200[V]程度になるように設定されている。この値より小さくすれば非画像部がかぶりやすくなる。一方で、大きくすればキャリヤの付着量が増加する傾向にある。また、画像部の明部電位Vlと現像バイアスのDC成分Vdcの差はコントラスト電位Vcont(=|Vl−Vdc|)電位と呼ばれ、このコントラスト電位Vcontを大きくするほど感光ドラム上のトナーの載り量が増える。通常はこのコントラスト電位を調整することで、感光ドラム上のトナー像の濃度が所望の濃度になるように調整を行うことができる。
現像器4及び現像剤についてさらに詳述する。
本実施の形態では、現像器4は、二成分磁気ブラシ方式を採用している。図2に示す現像器4の現像容器20内には、磁性キャリヤ粒子(適宜「キャリヤ」という。)とトナー粒子(適宜「トナー」という。)とを主成分とする二成分現像剤が収納されている。現像スリーブ21a,21bの内側には、それぞれマグネットローラ24a,24bが配設されている。このマグネットローラ24a,24bは固定され、それぞれ外側の現像スリーブ21a,21bがモータ22によって矢印R21a,21b方向に回転するようになっている。現像スリーブ21a,21bの表面には、マグネットローラ24a,24bの磁力によって二成分現像剤の磁気ブラシが構成される。感光ドラム1表面と現像スリーブ21a,21bとの表面との間には、微小間隙が設けられている。
トナーの現像工程は以下のように行われる。まず、感光ドラム1の回転方向(矢印R1方向)上流に位置する上流側の現像スリーブ21aは、モータ22によって矢印R21a方向に回転されることにより、表面の磁気ブラシを感光ドラム1表面に摺擦又は近接させる。さらに、上流側の現像スリーブ21aには、現像バイアス印加電源23によって現像バイアス電圧が印加される。これにより、上流側の現像スリーブ21a表面の磁気ブラシ内のトナーが、感光ドラム1の画像部に付着され、これをトナー像として現像する。上流側の現像スリーブ21aの回転により搬送された上流側の現像スリーブ21a上の二成分現像剤は、感光ドラム1の回転方向(矢印R1方向)下流に位置する下流側の現像スリーブ21bに受け渡され、下流側の現像スリーブ21bが、モータ22によって矢印R21b方向に回転されることにより、表面の磁気ブラシを感光ドラム1表面に摺擦又は近接させる。現像スリーブ21bにも、現像バイアス印加電源23によって現像バイアス電圧が印加され、これにより、現像スリーブ21b表面の磁気ブラシ内のトナーが、感光ドラム1の回転により搬送されてきた感光ドラム1上の画像部に再度付着され、これをトナー像として再度現像する。
本実施の形態においては、感光ドラム1は直径が80mm、現像スリーブ21a,21bは直径が20mmであり、感光ドラム1表面と現像スリーブ21a,21b表面との最近接領域(上流側の現像ニップ領域Na、下流側の現像ニップ領域Nb)の距離を約400μmとした。これにより、現像スリーブ21a,21bの矢印R21a,21b方向の回転によって現像ニップ領域Na,Nbに搬送された現像剤を感光ドラム1に接触させた状態で現像が行えるようにしている。
このとき、本実施の形態においては、現像スリーブ21に対し、現像バイアス印加電源の直流バイアス電源23aと交流バイアス電源23bとにより、直流成分(DC成分)に交流成分(AC成分)を重畳させた現像バイアス電圧を印加している。このような現像バイアス電圧を印加することによって、感光ドラム1と現像スリーブ21との間には振動電界が形成される。この振動電界によってトナーをキャリヤから分離飛翔させる。なお、本実施の形態においては交流成分として周波数f=12kHz、ピーク・トゥー・ピーク電圧Vpp=1.85kVの交流バイアスを使用している。
本実施の形態にて用いられる、トナーとキャリヤを含む二成分現像剤について説明する。
トナーは、結着樹脂と、着色剤と、そして必要に応じてその他の添加剤を含む着色樹脂粒子と、コロイダルシリカ微粉末のような外添剤が外添されている着色粒子とを有している。トナーは、負帯電性のポリエステル系樹脂であり、体積平均粒径は4μm以上、10μm以下が好ましい。より好ましくは8μm以下であることが好ましい。
また、キャリヤは、例えば表面酸化又は未酸化の鉄、ニッケル、コバルト、マンガン、クロム、希土類などの金属、これらの合金、酸化物フェライトなどが好適に使用可能である。これらの磁性粒子の製造法は特に制限されない。キャリヤは、重量平均粒径が20〜60μm、好ましくは30〜50μmであり、抵抗率が107Ω・cm以上、好ましくは108Ω・cm以上である。本実施の形態では108Ω・cmのものを用いた。
なお、本実施の形態において用いられるトナーについて、体積平均粒径は以下に示す装置及び方法にて測定した。測定装置としては、コールターカウンターTA−II型(コールター社製)、個数平均分布、体積平均分布を出力するためのインターフェース(日科機製)及びCX−Iパーソナルコンピュータ(キヤノン製)を使用し、電解水溶液として、一級塩化ナトリウムを用いて調製した1%NaCl水溶液を使用した。
測定方法は以下に示す通りである。すなわち、上述の電解水溶液100〜150ml中に分散剤として界面活性剤、好ましくはアルキルベンゼンスルホン酸塩を0.1ml加え、測定試料を0.5〜50mg加える。試料を懸濁した電解水溶液は超音波分散器で約1〜3分間分散処理を行い、上述のコールターカウンターTA−II型により、アパーチャーとして100μmアパーチャーを用いて2〜40μmの粒子の粒度分布を測定して体積平均分布を求める。こうして求めた体積平均分布より、体積平均粒径を得る。
また、本実施の形態において用いられるキャリヤの抵抗率は、測定電極面積4cm2、電極間間隔0.4cmのサンドイッチタイプのセルを用いて、片方の電極に1kgの重量の加圧下で、両電極間の印加電圧E(V/cm)を印加して、回路に流れた電流から、キャリヤの抵抗率を得る方法によって測定した。
本実施の形態で用いられる感光ドラム1は、通常使用されるドラム状の有機感光体である感光ドラム、すなわち、アルミニウム製の円筒状のドラム基体の表面に、感光層として負の帯電特性を有するOPC(有機光半導体)を設けたものを使用している。感光ドラムは、これに限られるものではなく、例えば、セレンやシリコン、カーボンなどを主材料として用いた無機感光体でもよい。
ここで、図2,図3を参照して、記録動作(画像形成動作)開始時と記録動作(画像形成動作)停止時における、現像バイアス電圧の制御、感光ドラム1の駆動制御、及び現像スリーブ21の駆動制御の内容について詳細に説明する。
なお、図3には1枚の転写材Pに対するコピー(画像形成)の場合の記録動作開始から記録動作停止までの、感光ドラム駆動、帯電、現像、露光などのタイミングチャートを示した。なお、図3のタイミングチャートは現像ニップ領域Na,Nb基準でタイミングチャートを書いている。具体的には、記録動作開始時に関しては、帯電部や画像部の先端が上流側の現像ニップ領域Naに到達した時刻を帯電オンや露光オンのタイミングとし、一方、記録動作停止時に関しては、それぞれの後端が下流側の現像ニップ領域Nbを通過した瞬間を帯電オフや露光オフのタイミングとしている。このため、実際の時間軸と異なる点に注意を要する。
まず、時刻t0において、画像形成装置本体の操作パネルのスタートキー(いずれも不図示)が押され、その後、時刻t1感光ドラム駆動モータの駆動を開始する。
感光ドラム駆動モータの回転駆動力が伝達された感光ドラム1が安定回転になる時刻になると、帯電器2を制御して感光ドラム1に対して帯電電圧(Vd=−700[V])の印加を開始する。これにより、帯電器2と感光ドラム1との対向部を通過する感光ドラム表面は−700[V]に帯電される。この帯電部は感光ドラム1の回転により現像ニップ領域Nに到達する。
本実施の形態では、帯電部のうち感光ドラム回転方向の先端が上流側の現像ニップ領域Naに到達する直前の時刻t2において、上流側の現像スリーブ21aに現像バイアス電圧のDC成分(Vdc=−550[V])が印加されるように制御を行う。
時刻t2において現像ニップ領域Naにある感光ドラム表面の電位は未帯電部のため0[V]となっている。一方、現像スリーブ21aの電位は−550[V]のDCバイアスが印加されており、トナーは現像ニップ領域Naにある感光ドラム表面にVcont=550[V]のコントラスト電位で付着することになる。その直後に−750[V]に帯電した感光ドラム表面の帯電部が現像ニップ領域Naに入るので、現像ニップ領域Naでは現像電位が−550[V]から+200V(=−550−(−750))に上昇する。このため、それ以降は感光ドラム表面へのトナーの付着が止まる。この結果、現像ニップ領域Naにある感光ドラム表面には帯状にトナーが付着する。このとき、2本の現像スリーブ21a,21bには同一電源23から現像バイアス電圧を印加しているため、下流側の現像スリーブ21bにも同時に現像バイアス電圧のDC成分が印加される。この結果、現像ニップ領域Nbにある感光ドラム表面にも帯状にトナーが付着する。
帯電部が現像ニップ領域Nを通過した後に現像バイアス電圧を印加すれば、トナーの付着は抑えられるが、そのかわりキャリヤが感光ドラム表面に付着することとなるのは従来の技術のところで述べた通りである。本実施の形態においても、キャリヤ付着による弊害が大きいとの観点から、キャリヤ付着防止を優先させているため、帯状のトナー像の付着を許容している。
このときの感光ドラム表面へのトナー付着量は、現像ニップ領域Nにおける感光ドラム表面と現像スリーブ表面との相対電位によって左右される。現像スリーブ21のバイアス電圧をDC成分だけにすることにより、DC成分だけの印加よりも大幅に現像能力が高いDC成分にAC成分を重畳させた(DC+AC)のバイアス電圧を印加する場合に比べ、トナー付着量を大幅に削減できる。
そこで、本実施の形態においては、帯電部が現像ニップ領域Nに到着するまでは現像バイアスとしてDC成分だけを印加している。これによって帯状トナーの付着量を軽減することができる。また、このことによってキャリヤ付着量が増えることもない(むしろキャリヤも付着しにくくなる)。
さらに、本実施の形態では、図3に示すように、時刻t1で感光ドラム1の回転駆動を開始したとき、この感光ドラム1とは別の駆動系M1(図2参照)で回転駆動する現像スリーブ21a,21bは未だ回転駆動していない。現像スリーブ21a,21bは、帯電部の先端が下流側の現像ニップ領域Nbを通過した後であって画像部の先端が上流側の現像ニップ領域Naに到達するまでの期間に属する時刻t4において、回転駆動開始されるように制御する。ただし、このような制御をするためには、感光ドラム1上における帯電部の先端から画像部の先端までの距離が上流側の現像スリーブ21aの現像ニップ領域Naの先端から下流側の現像スリーブ21bのニップNbの後端までの距離より長くしておく必要がある。これは、2本の現像スリーブ21a,21bを同時に駆動していることに由来するが、現像剤を2本の現像スリーブ間で受け渡す構成において、現像スリーブ21a,21bの駆動を同時に行わないと、現像剤の受渡し部で現像剤の滞留が生じやすく問題が生じやすいため、本実施の形態においてはこのような構成をとっている。
このように帯電部先端が現像ニップNを通過後に現像スリーブ21の駆動を開始する制御にしておけば、以下の利点がある。すなわち、感光ドラム1の帯電が行われていない部分が現像ニップ領域Nを通過中は、前述のように高いコントラスト電位によりトナーの現像が行われるが、このときに現像スリーブ21を駆動させるとこの間、現像部にトナーが供給され続け、帯状トナー像の幅が広くなる可能性がある。特にプロセススピードの速い画像形成装置においては顕著である。一方、この間、現像スリーブ21の駆動を止めておけば、現像スリーブ21から感光ドラム1側へ飛び移るトナーは、感光ドラム1と対向する位置に付着しているトナーがほとんどである。現像スリーブ21にDC成分のバイアス電圧を印加した直後には、感光ドラム1と対向する位置に付着しているトナーが感光ドラム1側へ飛び移り、現像ニップ幅の帯が形成された時点で、それ以上はトナーが付くことはないため、トナーの帯の付着幅を現像ニップ幅程度に抑えることができる。
現像スリーブ21にバイアス電圧のDC成分を印加してから所定時間経過すると、感光ドラム1の回転により感光ドラム表面上における転写材Pの先端位置に相当する部分が露光位置に到達し、さらに転写材先端から記録開始位置に相当する所定時間が経過して時刻t5になると、画像サイズの先頭位置(画像部の先端と同じ。)に相当する部分が露光位置に到達する。
露光装置3は、時刻t5までに露光による静電潜像形成の準備を完了し、画像が現れる画像サイズの先端から静電潜像の形成を開始する。感光ドラム表面の露光部分は、トナーは付着するがキャリヤは付着しない程度の電位に帯電することになる。
一方、感光ドラム表面における記録開始位置が上流側の現像ニップ領域Naに到達する時刻直前のt5になると、現像スリーブ21のバイアス電圧をそれまでのDC成分だけから、さらにAC成分を重畳させる。すなわち、感光ドラム表面上の潜像開始点が、感光ドラム1の回転により現像ニップ領域Nに到達する前に、バイアス電圧のAC成分をDC成分に重畳させる。
これにより、記録開始位置が現像ニップ領域Nを通過する際には、バイアス電圧のDC成分だけに比べて高い現像能力となるDC成分にAC成分が重畳されたバイアス電圧により現像が行われることになる。
なお、上述の説明の記録開始位置は作像可能領域の先頭を指し、実際に作像可能領域の先端に画像が無くても作像可能領域が現像ニップ領域Nに到達したときに現像スリーブ21に対するバイアス電圧にAC成分を重畳させるようにしている。しかし、作像可能領域の先頭から潜像形成しない場合には潜像開始点の直前まで待ってからバイアス電圧にAC成分を重畳させるようにしてもよい。これにより、トナー及びキャリヤの不要な付着をより軽減させることができる。
また、本実施の形態においては現像スリーブ21の駆動開始の後に現像スリーブ21へのACバイアス重畳を開始した。これは逆でもよいが、本実施の形態の構成とすることで現像スリーブ駆動開始時の衝撃で不用意にトナーやキャリヤが感光ドラム1に付着することを抑制できる。
以上、記録動作開始時のバイアス電圧制御をまとめると、コピー開始ボタン後、感光ドラム1の駆動が開始し、感光ドラム1の駆動が安定したところで帯電が開始される。その後、感光ドラム1の帯電部先端が上流現像ニップ領域Naに到達する前に現像バイアス電源のDC成分が印加され、その後、帯電部先端が下流現像ニップ領域Nbの後端を通過後、画像サイズ先端が上流現像ニップ部Nbに到達するまでの間に現像スリーブ21の駆動を開始し、さらに現像バイアスのDC成分にAC成分を重畳し、その後。現像工程を行う。
次に記録動作停止時のバイアス電圧制御について説明する。基本的には開始時の制御を逆にたどれば同様な効果が得られるため、ここでは先の説明の繰り返しとなる詳細な説明は省き、図3のタイミングチャートに従ってタイミングのみを簡単に説明する。
図3に示すタイミングチャートの時刻t7において、感光ドラム1に対する露光によって潜像形成が終了する。潜像形成が終了した後、感光ドラム1の回転により作像可能領域(画像部)の後端が現像ニップ領域Nbの後端を通過するが、本実施の形態では画像部後端が下流側の現像ニップ領域Nbを通過後の時刻t8においてバイアス電圧のAC成分だけを先行してオフする。さらに、帯電部の後端が上流側の現像ニップ領域Naに到達する前の時刻t9に現像スリーブ21a,21bの回転駆動を停止させる。その後、時刻t10において帯電器2の帯電電圧をオフする。このような制御をするためには、感光ドラム1上における画像部の後端から帯電部の後端までの距離が上流側の現像スリーブ21aの現像ニップ領域Naの先端から下流側の現像スリーブ21bの現像ニップ領域Nbの後端までの距離より長くしておく必要がある。
帯電電圧をオフした以降に帯電器2による帯電部の後端が感光ドラム1の回転により下流側の現像ニップ領域Nbを通過した直後の時刻t11に、現像バイアス電圧のDC成分をオフさせる。その後、時刻t12に感光ドラム1の回転駆動を停止する。
なお、現像バイアスのAC成分の印加タイミング及び停止タイミングや現像スリーブ21の駆動タイミングに関しては上述の構成に限定されない。現像バイアスのAC成分に関してはDC成分と同一タイミングで重畳して印加してもよく、それ以降から画像部の先端が現像ニップ領域Nに到達するまでのタイミングで印加すればよい。停止タイミングに関してもDC成分と同一タイミングでもよく、画像部が現像ニップ領域Nを通過後から現像バイアスのDC成分をオフするまでのどこかのタイミングでオフすればよい。このような構成でも本発明の効果はまったく軽減されない。ただし、本実施の形態で述べたタイミングにしておけば、あらかじめ帯状トナーの付着量を抑えることができ、問題が起こりにくくすることができる。
現像スリーブ21の駆動のタイミングに関しても本実施の形態の構成に限定されず、こちらは画像部の通過中に駆動されていれば特に限定はないが、やはり本実施の形態で述べたタイミングにしておけば、あらかじめ帯状トナーの付着量を抑えることができ、問題が起こりにくくすることができる。また、できる限り駆動時間を短くしたほうが、現像剤が劣化しにくいという利点もある。
以上述べたように、本実施の形態の構成においては、感光ドラム1へのキャリヤ付着防止を優先したために、感光ドラム1の画像部の前後に帯状トナー像が付着している。この帯状トナー像はベタ画像相当以上のトナーが付着している。その幅は現像ニップ幅程度であるが、本実施の形態のように2本の現像スリーブ21a,21bを備えた現像器4を用いた場合は、前後に2本のニップ幅程度の帯状トナー像が付着する。
ところで、図1で説明したような、4色フルカラーの電子写真方式の画像形成装置において、上述の印加、停止のタイミング構成をとると、画像部の前後に帯状トナー像が各色毎にできることになる。これらの帯状トナー像は、各色のトナー像が一次転写ローラ5a,5b,5c,5dにより中間転写ベルト7に転写される際、一緒に一次転写ローラ5a,5b,5c,5dの電気的な作用及び押圧力によって中間転写ベルト7上に順次に一次転写される。これにより、各色のトナー像は、中間転写ベルト7上で重畳される。これと同様に、各色の帯状トナー像も、タイミングをうまく考慮しなければ、中間転写ベルト7上で重畳されることとなる。この結果、これらの帯状トナー像は、本実施の形態のような4色フルカラーの画像形成装置の場合は、4色分重なって中間転写ベルト7の回転に伴って二次転写ニップT2まで搬送される。
このように、中間転写ベルト7の回転に伴い4色のトナー像と、その前後の帯状トナー像は、二次転写ニップT2まで搬送される。このうち4色のトナー像は、転写材Pに転写されるが、画像部前後に形成される帯状トナー像は転写材Pに接触しないため、二次転写ローラ9に直接接触し、電気的な作用及び押圧力によって二次転写ローラ9に転写されてしまう。この結果、二次転写ローラ9が汚れることになる。
発明が解決すべき課題のところでも述べたように、ベタ以上のトナーの載り量の4色分の帯状トナーが重畳されたトナー像は、1回のクリーニングでは除去されないものもあり、転写材Pの裏面汚れ又は二次転写ローラ9のクリーニング終了を待つことによる効率の低下が起こりやすかった。
ここで、二次転写ローラ9及びこのローラのクリーニングについて述べる。
二次転写ローラ9は、少なくとも弾性ゴム層とコーティング層(表層)とを有する2層以上の層構成となっている。弾性ゴム層は、セル径0.05〜1.0mmのカーボンブラックを分散させた発泡層からなる。コーティング層は、イオン導電性ポリマーを分散させてなる厚み0.1〜1.0mmのフッ素樹脂系材料からなり、転写材Pの搬送性も考慮して、表面粗さRzが、Rz>1.5μmとなるようにしている。
本発明は、二次転写ローラ9の表層の形態によらず効果が得られるが、従来から、二次転写ローラは、転写材Pの搬送性の観点から表層を荒らしたものを使用することが多い。
本実施の形態においても、表層を荒らした二次転写ローラ9を使用している。表層の表面粗さはRz=2.5μmである。しかし、この程度の表面粗さの二次転写ローラ9を使用し、かつ二次転写ローラ9を清掃するためのローラクリーナとして、クリーニングブレードを使用したブレード方式の場合、現像器4によって非画像部に付着される現像かぶりトナーなどの低濃度トナーは除去することができる。これに対し、4色のトナーが重畳されたベタ画像のような高濃度画像を十分にクリーニングするためには、クリーニングブレードの当接圧力を増加させたり、当接角度を大きくしたりして、クリーニングブレードのニップ部での線圧を大きくしなければならない。しかしながら、二次転写ローラとクリーニングブレードとは、いずれも弾性体で形成されているため、両者間の摩擦力が大きく、ニップ部での線圧を大きくした場合には、付着クリーニングブレードの捲れが生じやすくなるという問題がある。
一方、表層が荒れている二次転写ローラ9をクリーニングするために、ブレード方式の代わりに、静電ファーブラシを使用した静電クリーニング方式を採用することも可能である。静電ファーブラシ方式とは、導電性ファーブラシにトナーの極性と逆極性のバイアスを印加することで、二次転写ローラ9上のトナーをファーブラシに転写することでクリーニングを行う方式である。この方式によると、表層が荒れた二次転写ローラ9に対しても、ファーブラシの先端が表層の荒れた部分まで入り込むために、良好にクリーニングできる、という利点がある。
しかしながら、静電ファーブラシは、クリーニング対象となる二次転写ローラ9の表面形状についての制約が少ないものの、静電的にクリーニングを行うために、ブレード方式に比べて、クリーニング能力が劣り、高濃度トナーを十分に除去することが困難である。このため、4色のトナーが重畳されたベタ画像のような高濃度画像のクリーニング後は、二次転写ローラ9の表層がトナーで汚れて、転写材Pに転写してしまい、裏汚れや両面コピー時の画像欠陥を引き起こしてしまうことがあった。
以上のように、ローラクリーナ11としてブレード方式を用いた場合も、静電クリーニング方式を用いた場合も、特に4色のトナーが重畳したような高濃度画像の場合は、裏汚れなどの問題を起こすおそれがあった。
そこで、本実施の形態においては以下のような構成を採用している。
要約すれば、現像バイアス電圧のオン・オフタイミングを各色毎に調整し異ならせることで、画像部の前後にできる帯状トナーの付着が中間転写ベルト7上で重ならないようにしている。以下に詳述する。
4色のフルカラー画像を形成する際に、各色毎に画像部の前後にでる帯状トナーの付着が中間転写ベルト7上で重なる原因は、現像バイアスのDC印加タイミングから感光ドラム上の画像部先端が現像ニップ領域Nに到達するまでの時間、及び感光ドラム上の画像部後端が現像ニップ領域Nを通過してから現像バイアスのDC印加をオフするタイミングを各色毎に変更せず、ほぼ同一タイミングとしていることにある。
そこで、本実施の形態においては記録動作開始時においては、画像部先端が上流側の現像ニップ領域Naに到達する時刻に対し、あらかじめ印加しておく現像バイアスのDC成分の印加タイミングを各色毎に異ならせている。また、記録動作終了時においては、画像部後端が下流側の現像ニップ領域Nbを通過後、現像バイアスのDC成分の印加をオフするタイミングを各色毎に異ならせている。
なお、ここでいう画像部先端は画像サイズの先端位置のことであり、転写材サイズの先端から一定の間隔の位置を指す。通常、この間隔は各画像形成装置毎に異なる場合もあるが、色毎にはほぼ同じとしている場合がほとんどである。なぜなら、同じにしなければ最終画像の色ずれを引き起こすからである。したがって、本実施の形態においても転写材サイズの先端から画像サイズの先端までの距離を、各色毎に同じとした。したがって、以下で述べる画像部先端は転写材サイズ先端に置き換えても同様な議論が可能である。当然のことながら、画像サイズ先端と転写材サイズ先端とでは微妙に時刻が異なるが、本発明の考え方はどちらにも適用可能である。さらに述べれば、仮に転写材サイズの先端から画像サイズの先端までの距離を意図的に異ならせている装置があるとすれば、転写材サイズ先端を起点として各色毎で現像バイアスの印加タイミングをずらす方がよい。重要なのは、画像部外に形成される各色の帯トナー像が重ならないことである。これは画像部後端についても同様である。
図4には記録開始時に関係する各色のタイミングチャートを重要な部分のみまとめて示した。イエロー(Y),マゼンタ(M),シアン(C),ブラック(K)の各色の画像部先端が上流現像ニップ領域Naに到着する時刻t6Y,t6M,t6C,t6Kは各色毎に異なるが、中間転写ベルト7上では画像が重なるタイミングである。これらに先立つ時刻t2Y,t2M,t2C,t2Kにおいては現像バイアス電圧のDC成分の印加が開始されているが、本実施の形態においては画像部先端が上流現像ニップ領域Naに到達する時刻(t6)に対する現像バイアス電圧のDC印加時刻(t2)を各色毎にずらしているのが特徴である。
画像部の前の帯状トナー像は、現像バイアスのDC印加タイミングで形成され始める。ここで、現像バイアスのDC印加開始時に現像スリーブ21a、21bと対向する感光ドラム1上の領域を第1領域とする。前述したように、本実施の形態のように帯電部先端が下流側の現像ニップ領域Nbを通過後、現像スリーブ21a,21bを駆動する構成においては、画像部先端に帯状トナー像はほぼ現像ニップ領域Na,Nbと同じ幅で2本形成され、この帯状トナー像の幅は帯電電圧の印加タイミングt3にはよらない。このため、画像部先端が現像ニップ領域Na,Nbを通過する時刻(t6)に対する現像バイアス電圧のDC印加時刻(t2)を各色毎にずらすことで、帯状トナー像が中間転写ベルト7上で重なることを防止できる。即ち、感光ドラム1上の第1領域が中間転写ベルト7上に接触する領域を第2領域としたとき、各画像形成部に対応する第2領域が少なくとも中間転写ベルト7上の同一位置で全て重ならないようにできる。現像バイアス電圧の印加の開始(t2)から画像部先端が現像ニップ領域Na,Nbに到達する(t6)までの時間をTsとした場合、Ts=|t2−t6|であるため、これを式で表せば以下のようになる。
|t2i−t6i|≠|t2j−t6j|……(1)
(ただし、i,jは、Y,M,C,Kのいずれか)
なお、本実施の形態のように2本の現像スリーブ21a,21bを用いて現像を行う場合、各色毎に先端に2本の帯状トナー像が形成されているため、ずらし方によっては、例えばY(イエロー)の下流側のトナー帯とC(シアン)の上流側のトナー帯とが重なる可能性などが残る。このような場合も、|t2−t6|が各色毎に同じで4色分のトナー帯が完全に重なる場合に比べ、下流のクリーナに対する負荷は減っているが、各色の2本の帯が完全に重ならないようにしたほうが、より負荷は減り好ましい。完全に重ならないためには、感光ドラム上で画像サイズ先端(画像部先端)位置から帯状トナー像までの距離が、上流側の現像スリーブ21aで形成される上流ニップ領域Naの先端から下流側の現像スリーブ21bで形成される下流ニップ領域Nbの後端までの幅を現像領域幅Hとして、各色毎にこの現像領域幅H以上ずれていればよい(現像ニップ領域の拡大図である図6にこの現像領域幅Hを示した。なお、図6の距離は現像領域幅Hを含めて感光ドラム上の距離を表す。測定法は後で述べる。)。
即ち、上述の各画像形成部における時間Tsが、現像領域幅Hを感光ドラム1のプロセススピード(周速度)Vdrで割った時間以上ずれていればよいことになる。これを式で表せば以下のようになる。
|Tsi−Tsj|≧H/Vdr
|(t2i−t6i)−(t2j−t6j)|≧H/Vdr……(2)
(ただし、i,jは、Y,M,C,Kのいずれか)
なお、上述の式(1)、式(2)はY、M、C、Kのうちのいずれか一組のみを満たすだけでも効果はあるが、任意のY,M,C,Kに関してすべて満たせば、4色の帯状トナー像はいずれの2色も2本とも重なることがなく、最も効果的であり好ましい。
また、|t2−t6|に関しては、中間転写ベルト7の移動方向に沿っての最上流に配置された画像形成部Saがもっとも短くなるようにしておくのがよい。なぜならば、最上流の画像形成部Sa以外の画像形成部Sb,Sc,Sdの|t2−t6|が多少長くなった場合でも、記録動作開始時の立ち上がり所要時間が長くなることはないが、最上流の画像形成部Saのみは立ち上がり所要時間に直接影響を与えるからである。
そこで、本実施の形態においては、図4に示すように、最上流の、イエロー(Y)の画像形成部Saの|t2−t6|を一番短くしている。
感光ドラム1のプロセススピードVdrに関しては特に制限はないが、本実施の形態においては、Vdr=300mm/secに設定している。
図5に、記録終了時に関係する各色のタイミングチャートを、図4と同様、重要な部分のみまとめて示した。本発明の考えにのっとり、本実施の形態においては画像部先後端が下流現像ニップ領域Nbを通過する時刻(t7)から現像バイアス電圧のDC印加オフ時刻(t11)までの時間Teを各色毎に現状領域幅Hに相当する時間以上ずらしているのが特徴である。ここでいう現像領域幅Hは上流の現像スリーブ21aで形成される上流ニップ領域Naの先端から下流側の現像スリーブ21bで形成される下流ニップ領域Nbの後端までの感光ドラム1上における幅である。
式で表せば以下のようになる。
Te=|t7−t11|
|t7i−t11i|≠|t7j−t11j|……(3)
(ただし、i,jは、Y,M,C,Kのいずれか)
|Tei−Tej|≧H/Vdr
|(t7i−t11i)−(t7j−t11j)|≧H/Vdr……(4)
(ただし、i,jは、Y,M,C,Kのいずれか)
上述の式(3)、(4)に関しても、任意のY,M,C、Kに関して満たすのが最も本発明の効果が高く好ましいが、いずれかのY,M,C,Kの一組に関して満たすだけでも効果はある。
また、立ち下げ動作を長引かせないという観点から、最下流のブラックの画像形成部Sdの|t7―t11|を一番短くした。
図7には、上述の本実施の形態の構成をとった場合の、中間転写ベルト7上に形成される画像を模式的に示した。画像部の前後には各色の帯状トナー像が現像領域幅H以上ずれて形成されているため、重なっていない。
なお、現像スリーブ21の駆動タイミングやACバイアス印加のオン・オフタイミングは各色毎に変える必要はない。むしろ変えないほうが、無用に現像スリーブ21の回転による現像剤の劣化を引き起こすのを防止したり、キャリヤやトナーが付着するのを防止したりすることが可能である。
また、記録停止動作終了時から次の記録動作開始時までの間、現像スリーブ21の駆動を停止しておくことで、記録動作終了時は画像部の後に帯状トナーが形成されるが、一方で記録動作開始時の帯状トナーの載り量を大幅に低減することができる。これは、現像スリーブ21の現像ニップ領域Nのトナーが記録動作終了時に概ね吐き出され、そのまま現像ニップ領域Nの現像剤が入れ替わることなく記録開始動作をはじめるからである。
以上の構成をとることで、二次転写ローラ9に4色ベタ相当の帯状トナー像が重なるようにして転写することはなくなり、ローラクリーナ11の負荷を大幅に軽減することが可能となる。
ここで、本発明でいう現像領域幅Hの測定法について説明する。感光ドラム1と現像器4とをそれぞれ静止させた状態で、通常の画像形成時と同様に対向させ、現像バイアスのDC成分を印加した後、現像器4を離間させる。このとき、感光ドラム1上には帯状トナー像ができるが、この感光ドラム1上のトナー像のうち上流側の現像スリーブ21aによるトナー像の最上流部から下流側の現像スリーブ21bによるトナー像の最下流部までの幅をもって現像領域幅Hとする。本実施の形態においては、現像領域幅Hは30mmであった。本実施の形態では各色の現像器4a,4b,4c,4dとして同一構成のものを用いたため、現像領域幅Hは各色とも30mmであった。各色毎に現像器の構成が異なる場合や、現像器の設定(現像スリーブ上の単位面積当たりの現像剤コート量や、現像スリーブと感光ドラム間の距離など)が異なる場合は、各色毎に異なることとなる。この場合は、中間転写ベルト7上で隣り合う帯状トナー像間で各色の現像領域幅Hに相当した幅分だけ離れることが必要である。
本実施の形態は主に2本の現像スリーブを用いた場合について述べたが、3本以上のスリーブを用いる場合には、上述の説明における上流側の現像スリーブを最上流スリーブとし、下流側の現像スリーブを最下流スリーブとすれば同様の効果が得られる。このとき、現像領域幅Hは、最上流スリーブと最下流スリーブとの間に何本かの現像スリーブが配設されている場合でも、感光ドラム1上のトナー像のうち最上流スリーブによるトナー像の最上流部から最下流スリーブによるトナー像の最下流部までの幅となる。
なお、本実施の形態においては各色の2本の現像スリーブに同一の現像バイアス電源から同一タイミングで現像バイアスが印加されるため、各色の2本の現像スリーブがつくる画像部前後のトナー像が重なることはなかった。一方、2本の現像スリーブに別の電源から現像バイアスを印加した場合は、トナー像が重なる可能性があり、重ならないタイミングにするよう注意を要する。本実施の形態のように、複数の現像スリーブに同一バイアス電源から現像バイアスを印加する構成であればこのような心配はない。
ところで、本実施の形態は4色のカラー画像を形成する画像形成装置について説明したが、カラー画像の色数はこれに限られず、2色以上の複数色の画像を形成する画像形成装置に適用可能である。このことは、以下の実施の形態についてもあてはまる。
<実施の形態2>
本実施の形態は、上述の実施の形態1とほぼ同じ構成である。以下では、実施の形態1と異なる点を主に説明する。
本実施の形態においては、4色分の帯状トナー像が、中間転写ベルト7(図1参照)の回転に伴って二次転写ニップT2に搬送されてきた際に、二次転写ローラ9に通常と逆極性の二次転写バイアス電圧を印加している。
実施の形態1においては、逆極性のバイアスを印加していないため、画像部前後の帯状トナーは二次転写ローラ9に転写されていたが、本実施の形態においては、逆極性の二次転写バイアス電圧を印加しているため、帯状トナーによる二次転写ローラ9の汚れを防止することができる。
しかしながら、この場合は、二次転写ニップT2の下流側において、中間転写ベルト7表面に当接するように配設されているベルトクリーナ12で、同様な課題が生じることになり、転写材Pの裏面汚れや効率の低下が発生する。
ここで、本実施の形態で用いている中間転写ベルト7及びベルトクリーナ12について説明する。
近年、静電プロセスを用いている画像形成装置では、多種多様な転写材Pに対して、高画質な画像を形成することが求められている。このため、中間転写ベルトが広く用いられている。中間転写ベルトとしては、一般的にポリイミド等に代表される合成樹脂製のベルトが高画質品位、高寿命、高安定的な特性から広く用いられている。
しかし、合成樹脂からなる中間転写ベルトでは、トナーの変化に伴って転写の際に生じる、中抜け現象が問題となってきている。中抜け現象とは、トナー像が転写される際、トナー像に大きな圧力が加わることで、トナーが応力変形し、トナー同士の凝集力が増大し、トナー像の一部分が転写されずに感光ドラム上に残留してしまう現象であり、特に文字やライン画像などで顕著に現れる。合成樹脂ベルトの場合、転写時のトナー像への圧力が大きいために特にこの中抜けは問題となっている。
そこで、この中抜けを解消するために、最近では、合成樹脂製の中間転写ベルトに代わって、表層に弾性層を用いた弾性中間転写ベルトが主流となってきている。弾性中間転写ベルトは、表層が弾性のため、柔らかく、転写部でのトナーに作用する圧力が低減できることから、中抜けに効果があることが知られている。また、二次転写ニップT2においては転写材Pとの密着性がよいことから、一般的な転写材Pに対しての転写効率の向上のみならず、厚紙に対する転写性や、凹凸を有する転写材Pへの転写性にも効果があることが知られている。
しかし、弾性中間転写ベルトをクリーニングする場合、従来のブレード方式を用いると、表層が弾性のため、弾性中間転写ベルトに対するクリーニングブレードの接触負荷が大きくなり、クリーニングブレードのエッジ先端が、ベルト表層に喰い込んでしまい、クリーニングブレードのエッジ先端の挙動が不安定になって、クリーニング不良を引き起こしたり、ベルトとクリーニングブレードとの間での摩擦力が増大することに伴う、クリーニングブレードのめくれ、びびり、鳴き等の問題や、弾性ベルト表層での傷、トナーの融着等の発生等さまざまな弊害が起こり、画質を乱してしまうおそれがあった。
そこで、上述の弊害を避けるために、弾性中間転写ベルトとの接触負荷の少ない、静電ファーブラシ方式が弾性中間転写ベルトのクリーニング方式として一般的になってきている。
静電ファーブラシ方式としては、導電性の繊維を芯金に巻き付けた円筒状部材を、バイアスを印加した状態で当接させ、トナーの極性と逆極性のバイアスを印加することによって、弾性中間転写ベルト上のトナーをファーブラシに吸着させて除去する方法である。このファーブラシ方式は、機械的にトナーを除去するブレード方式に比べて、クリーニング可能なトナー量、及びトナー極性に制約があることが知られている。静電ファーブラシ方式は、静電気的にトナーをファーブラシに吸着した後に、フリッカー又はバイアス印加ローラー等でトナーをファーブラシからさらに転移させないと、ファーブラシの本来の性能を維持することができない。このため、ファーブラシのトナー吸着量が増えてくると、クリーニング性能が低下し、一般的にクリーニング可能量としては、ブレード方式よりも劣る。また、ファーブラシ方式は前述のとおり、トナーをファーブラシに吸着させてクリーニングする方式であるため、ファーブラシに印加するバイアスと逆極性のトナーのみがクリーニングされる。
ところが、弾性中間転写ベルト上のトナー像を転写材に転写した後に残留する、転写残トナーは、転写時に加えられたバイアスの値によっては、トナーの極性が反転(プラスからマイナスへ、あるいはマイナスからプラスへ)する場合がある。このように極性が反転した転写残トナーは、ファーブラシの印加バイアスと同極性のために、ファーブラシでは吸着されず、通過してしまう。ファーブラシを通過したトナーは、次の画像と重なってしまうために、画像欠陥を引き起こすおそれがある。このため、特開2002−207403号公報で開示されているように、ファーブラシを2つ用いて、それぞれに極性の異なるバイアスを印加することで、二次転写ニップでのバイアスや、使用環境や、トナー劣化等によって、プラス・マイナスどちらの極性に帯電していても確実にファーブラシにトナーを吸着し、除去することができる。
本実施の形態においても以上の考えに基づいて、中間転写ベルト7として弾性中間転写ベルトを用い、またベルトクリーナ12として2つのファーブラシ12a,12b(図1参照)を用いている。
しかしながら、ファーブラシ方式の場合、上述のとおり、クリーニング能力は、ブレード方式に比べて劣るため、本発明の課題としているような画像部前後の帯状トナー像を1回で回収することは難しい。
このような場合も、本発明は有効であり、実施の形態1と同様に現像バイアスのオン・オフタイミングを各色毎に調整することで、各色の画像部前後の帯状トナー像を中間転写ベルト上で重ならないようにすれば、クリーニング性を大幅に向上させることが可能である。その結果、大量のトナーのクリーニング能力が劣るというファーブラシ方式の欠点を補いつつ、びびりや鳴きが少ないという利点を生かすことが可能となる。
本実施の形態は、弾性中間体ベルトとファーブラシ方式のベルトクリーナとを有する構成について述べたが、弾性中間転写ベルトの代わりに樹脂ベルトを用いた構成やファーブラシ方式の代わりにブレード方式を用いた構成においてもクリーニング性向上の効果が得られる。
<実施の形態3>
本実施の形態は、上述の実施の形態1,2とほぼ同じ構成である。このため、以下では、実施の形態1,2と異なる部分を主に説明する。
実施の形態1,2においては、現像器3a〜3dの各現像スリーブ21に印加する現像バイアス電源は各色毎に独立に備えており、各色毎に独自のタイミングで現像バイアスの印加のオン及びオフをしていた。
本実施の形態においては、現像バイアス電圧のDC電源を4色で共有している。このときのタイミングチャートを図8に示す。現像バイアスのDC電源を4色で共有しているため、現像バイアスのDC電源のオンタイミング(t2)とオフタイミング(t11)が4色で同時となっている。
このような構成でも、図6からわかるように前述の式(1)〜(4)を満たしているため本発明の効果が得られる。さらには、電源を共有しているためコストダウンが可能となる。
なお、このとき、帯電器2の電源も共有可能なため、本実施の形態においては共有している。このような構成により、更なるコストダウンが可能となる。
その他、現像バイアス電圧のAC成分電源や現像器の駆動モータ、感光ドラムの駆動モータなども共有することが可能である。ただし、例えば、現像器駆動モータを共有した場合には、全体的に現像器の空回転時間が延びるという欠点がある。
以上説明した実施の形態1〜3では、中間転写体として、その形状がベルト状の中間転写ベルトを使用した場合を例に説明した。本発明は、これに限定されるものではなく、中間転写ベルトとして、例えば、ドラム状の中間転写ドラムを使用することも可能である。この場合も、中間転写ベルトの場合と同様の効果を奏することができる。
<実施の形態4>
本実施の形態は、上述の実施の形態1〜3とほぼ同じ構成である。このため、以下では、実施の形態1〜3と異なる部分を主に説明する。
前述したように、記録動作開始時は帯電部が現像ニップ部通過前は現像バイアスDC成分のみを印加し、帯電部が現像ニップ部通過後に現像スリーブ駆動と現像バイアスのAC成分印加を行う構成であれば、トナー付着は主に各々の現像スリーブの現像ニップ幅程度に集中して起こる。
そのため、各色の上流側の現像スリーブ21aと下流側の現像スリーブ21bとの現像ニップ領域Na,Nbで各々作られるトナー像(その距離は図6中のHa,Hbに相当する。)の間にはトナー付着の少ない領域が存在する(その距離は図6のIに相当する)。そこで、このトナー像間のトナー付着の少ない領域をうまく利用し、そこに多色のトナー像がくるように調整すれば、クリーニングへの負荷を増やすことなく、画像先端と後端にトナー像が形成されるトナー像の幅を狭くすることが可能である。つまり、実施の形態1で述べたように、上流側の現像スリーブ21aと下流側の現像スリーブ21bの現像ニップ領域Na,Nb間も各色で重ならないようにした場合は、画像の先端と後端に上流側の現像スリーブ21aのニップ最上流位置から下流側の現像スリーブ21bのニップ最下流位置までの距離(図6中のHに相当)の4倍以上の長さにわたって4色分のトナー像が形成されることとなるが、一方、上流側の現像スリーブ21aと下流側の現像スリーブ21bとのトナー像間に他色のトナー像がくるように調整すれば、これよりも縮めることが可能である。
この幅を縮めることができれば、画像の先端、後端のトナー像をクリーニングするための二次転写ローラクリーナ11(図1参照)や中間転写ベルトクリーナ12の駆動及び電圧印加時間を短くすることができ、記録動作開始および終了に要する時間を短縮可能となり、また、二次転写ローラ9や中間転写ベルト7の駆動による摩耗劣化や電圧印加による通電劣化を低減できる。
そこで、本実施の形態においては、図10に示したとおり、Yの現像ニップ部Nで形成された上流側の現像スリーブによるトナー像と下流側の現像スリーブによるトナー像との間に他の3色(M,C,K)の上流側の現像スリーブによるトナー像が形成されるように、現像バイアスの印加、停止タイミングを調整している。
このような構成をとるためには、各色の上流側の現像スリーブ21aと下流側の現像スリーブ21bとのつくるトナー像間の距離(感光ドラム1上の上流側の現像ニップ領域Naの最下流位置と下流側の現像ニップ領域Nbの最上流位置との間の距離。図6中のIに相当)の間に、他の3色分の上流側の現像スリーブ21aがつくるトナー像が入らなければいけない。そのため各色のトナー像間の距離Iが、上流側の現像スリーブ21aの現像領域幅Haの3本分より大きくなければいけない。
式で表せば以下のようになる。
I≧3×Ha……(5)
同様に、下流スリーブ21bの現像領域幅Hbの3本分よりも大きくなければならない。
式で表せば以下のようになる。
I≧3×Hb……(6)
結局、Ha≧Hbの場合は(5)式を、Ha≦Hbの場合は(6)式を満たせばよいともいえる。
なお、本実施の形態は現像器構成が4色同じであるため、現像現像領域幅Ha,Hbも4色で同じであるため、上記式(5),(6)となるが、現像構成が異なる等のために、現像現像領域幅Ha,Hbが色毎に異なる場合は、以下の式となる。
Ii≧Haj+Hak+Hal……(7)
Ii≧Hbj+Hbk+Hbl……(8)
(ただし、i、j、k、lは、Y,M,C,Kのいずれか。HaYはYの現像器の上流側の現像スリーブの現像領域幅Haを指す。HaM、HaC、HaK、HbY、HbM、HbC、HbKに関しても同様。)
上記条件を満たすときに、以下の式を任意のY,M、C、Kの組に関してすべて満たせばトナー像が重なることはない。
|(t2i−t6i)−(t2j−t6j)|≧Hx/Vdr……(9)
(ただし、i,jは、Y,M,C,Kのいずれか)
(Ha≧HbのときHx=Ha、Ha≦HbのときHx=Hb)
このような構成をとれば、画像形成部下流に位置する二次転写ローラクリーナ11や中間転写ベルトクリーナ12への負荷を低減でき、かつ、画像部先端や後端に形成されるトナー像の幅を狭くすることが可能となる。
距離I、Ha、Hbの測定は実施の形態1で述べたHの測定法と同様な方法で、同時に測定できる。
なお、本実施の形態は2本のスリーブを用いた現像器について述べたが、3本以上の現像スリーブを用いる場合には、任意の隣り合う2本の現像スリーブに関して上記式(5)〜(9)を満たせばよい。例えば、3本の現像スリーブからなる現像器の場合は、感光ドラム回転方向最上流側の1本目の現像スリーブとその下流側の2本目の現像スリーブとに関して、式(5)〜(9)を満たし、さらにその2本目の現像スリーブと最下流側の3本目の現像スリーブに関しても式(5)〜(9)を満たせばよい。
また、本実施の形態は4色の画像形成部からなる画像形成装置についてのみ述べたが、カラー画像の色数が2色以上の場合についても適用可能である。例えば、n色の場合、上記式(5)〜(6)は、
I≧(n−1)×Ha
I≧(n−1)×Hb
となる。
なお、上記式(5)〜(8)を満たさない場合でも、図11に示したように、Y,Mの組とC,Kの組のみ重なるようすれば、画像先端後端のトナー帯画像幅を狭めることが可能である。このような組み合わせを含めて様々な組み合わせが可能であるが、装置に求められるスペックなどに応じて、最適な組み合わせを適宜選択していけばよい。重要なのは、トナー像相互が極力重ならないようにすることである。
<実施の形態5>
以上説明した実施の形態1〜4では、中間転写ベルトを用いた構成について述べたが、本発明はこれらに限定されるものではない。本発明は、中間転写ベルトの代わりに転写材Pを担持搬送する転写材搬送ベルト(転写材搬送手段)を用い、感光ドラム1a〜1d上に形成された各色画像を、搬送ベルト上に担持して搬送される転写材P上に重ね合わせて転写する直接転写方式の画像形成装置にも適用可能である。
図12に、本発明を、直接転写方式の画像形成装置に適用した場合の例を示す。同図はこの画像形成装置の概略構成を模式的に示す図である。
同図において、画像形成装置は、装置本体内に例えば、イエロー,マゼンタ,シアン,ブラックの可視画像を形成することができる第1,第2,第3,第4の画像形成部Sa,Sb,Sc,Sdをタンデムに配列しており、各画像形成部Sa〜Sdは、それぞれ感光ドラム1a,1b,1c,1dを備えている。各感光ドラム1a,1b,1c,1dは、その周囲に専用の画像形成手段である一次帯電器2a,2b,2c,2d、露光器3a,3b,3c,3d、現像器4a,4b,4c,4d、転写ローラ5a,5b,5c,5d、感光ドラムクリーナ6a,6b,6c,6d等が配置されている。
上述の転写ローラ5a,5b,5c,5d及び駆動ローラ16、テンションローラ17には、転写材搬送部材としての無端状の転写材搬送ベルト7Aが掛け渡されている。転写材搬送ベルト7Aは、その裏面側から転写ローラ5a,5b,5c,5dによって押圧されていて、その表面を感光ドラム1a,1b,1c,1dに当接させている。これにより、感光ドラム1a,1b,1c,1dと、転写材搬送ベルト7Aとの間には、転写ニップ(転写部)T1a,T1b,T1c,T1dが形成されている。転写材搬送ベルト7Aは、駆動ローラ16の回転に伴って、矢印R7方向に回転するようになっている。この転写材搬送ベルト7の回転速度は、上述の各感光ドラム1a,1b,1c,1dの回転速度(プロセススピード)とほぼ同じに設定されている。
給紙装置(不図示)によって、給紙カセット10から給紙され、レジストローラ(不図示)によって転写材搬送ベルト7A上に搬送された転写材Pは、転写材搬送ベルト7Aの回転に伴い、感光ドラム1a,1b,1c,1d上のトナー像にタイミングを合わせるようにして一次転写ニップT1a,T1b,T1c,T1dに供給される。
各画像形成部Sa〜Sdにて形成された4色のトナー像は、一次転写ニップT1a,T1b,T1c,T1dにおいて、転写ローラ5a,5b,5c,5dにより、転写材搬送ベルト7A上に担持されて搬送されてきた転写材P上に順次転写され重ね合わされ、フルカラー画像を形成する。
この転写時に、転写材Pに転写されないで転写材搬送ベルト7A上に転写されたトナーは、駆動ローラ16に対向して配置されたベルトクリーナ12によって除去される。画像部の前後に形成される帯状のトナー像は転写材Pに転写されず、転写材搬送ベルト7A上に転写された後、ベルトクリーナ12で除去されることとなり、この際、本発明の課題が生じる。
一方、4色のトナー像が二次転写された転写材Pは、定着装置13に搬送され、ここで加熱・加圧されて表面にトナー像が定着される。以上で、1枚の転写材Pの片面(表面)に対する4色フルカラーの画像形成が終了する。
このような直接転写方式の画像形成装置を用いた場合は、実施の形態1〜4の説明のうち中間転写ベルト7を転写材搬送ベルト7Aとし、中間転写ベルト7を清掃するベルトクリーナ12を、転写材搬送ベルト7Aを清掃するベルトクリーナ(転写材搬送手段クリーナ)12と置き換えれば、ほぼ同様な説明となるため、ここでは詳しく述べないが、同様な効果が得られる。