JP2004170731A - 現像装置及びこれを用いた画像形成装置並びに現像方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】帯電された導電性トナー3を担持搬送するトナー担持体4と、現像電界領域にて像担持体2上の静電潜像1をトナー現像する現像電界形成手段5とを備えた現像装置において、導電性トナー3には、現像電界において高抵抗に変化し且つ現像電界より大きな電荷注入電界において低抵抗に変化する抵抗可変部6を具備させる。また、トナー担持体4に対向配置される電荷注入部材8を有し、トナー担持体4と電荷注入部材8との間に現像電界より大きな電荷注入電界を作用させ、導電性トナー3に電荷注入すると共に電荷注入された導電性トナー3をトナー担持体4に担持させる電荷注入手段7を設ける。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、複写機やプリンタ等の画像形成装置で用いられる現像装置に係り、特に、帯電された導電性トナーによって、静電潜像を可視像化する現像装置及びこれを用いた画像形成装置並びに現像方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来における電子写真方式の画像形成装置では、絶縁性トナーを摩擦帯電して電荷を与え、現像に供する方法が広く一般的に用いられている。
ここで、トナーを帯電させる方法としては、トナーのバインダ樹脂や添加剤との組合せによりトナーの摩擦帯電性を予め制御しておき、現像装置内でトナーが攪拌されたり搬送されたりしていることを利用し、搬送経路の途中におけるトナーの攪拌動作や搬送動作によりトナー同士を摩擦させることで、摩擦帯電を生じやすい物質とトナーとの摩擦によってトナーを帯電させる方法が多く採用されている。
【0003】
このようなトナーの帯電方法において、摩擦によって帯電したトナーの帯電量には、ある程度の帯電分布が存在しているため、トナーには、帯電量が少ない低帯電トナーや、トナー全体の帯電極性とは逆の帯電極性を有する逆極性トナーが含まれていることが多い。
このとき、低帯電トナーは、現像装置内のトナー担持体から離れて画像形成装置内を漂う所謂トナークラウドとなりやすく、このトナークラウドは画像形成装置の不良原因となる。
また、逆極性トナーは、像担持体上の静電潜像のうち、本来トナーが付着しない背景部に引きつけられ、背景部の一様な汚れである所謂かぶりを発生させる。更に、この種の摩擦帯電方法にあっては、環境変化や経時変化の影響を受けやすく、トナーや攪拌部材等の摩擦帯電機構の表面状態が変化し、結果的に、トナーの帯電状態が不安定になり易い。
【0004】
そこで、このような不具合を解消するために、導電性トナーを使用する方法、具体的には、導電性トナーへ電荷を注入して帯電し、現像に供する方法が知られている。
この方法は、摩擦帯電を利用しないため、種々の利点がある。
特に、導電性トナーは電荷が移動し易く、均一な電荷をトナーに与えることができるため、かぶりやトナークラウドを防止でき、環境変化や経時劣化の影響を受けにくいことは最大の特長である。また、摩擦帯電機構が不要なため、構造が簡単で、小型化、低価格化が可能であることも、大きな魅力である。
【0005】
【特許文献1】
特開平10−111604号公報(第3−5頁、図1)
【特許文献2】
特公昭58−26026号公報(第1−5頁、図1)
【特許文献3】
特公昭63−10426号公報(第1−2頁、第2図)
【特許文献4】
特開昭63−159870号公報(第1−4頁、第1図)
【特許文献5】
特開平6−95518号公報(第1−6頁、図1)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、導電性トナーが汎用的にならない最大の理由は、コロトロンやバイアスロールといった汎用的な静電転写方式では、吸湿した記録紙へのトナー像の転写が困難なためである。
また、カラー画像を形成する場合、色材の異なるカラートナーを重ねて種々の色を再現するが、導電性トナーではトナーを重ねることができず、カラー化に対応できないためである。
この原因は、トナーが導電性であるが故に、吸湿して低抵抗になった記録紙やトナー相互間でトナー電荷の移動が発生し、トナーへの静電吸着力が失われてしまうことによる。
【0007】
また、別の技術的課題として、導電性トナーは容易に電荷注入するため、潜像電位が不安定になると、現像バイアスと静電潜像の背景部との間の小さな電位差(クリーニング電位とする)でも、トナーへ逆極性の電荷が電荷注入し、かぶりの原因になり易い。
【0008】
このような技術的課題を解決するために、従来にあっては、以下の▲1▼〜▲5▼の先行技術が提案されている。
すなわち、
▲1▼ トナーとして、正負両極性のうち一方の極性に帯電し易く、かつ、該極性に帯電した後は他方の極性に帯電し難い特性を具備させた提案、言い換えれば、電荷を注入しやすいが、リークしにくいトナー材料に関する提案(例えば特許文献1参照)、
▲2▼ 基体の少なくとも一方の面に絶縁性媒質を所定量塗工し、所定レベルの体積固有抵抗値を備えた記録紙(転写媒体)を用いることで、紙の電荷保持量を安定且つ均一とする提案(例えば特許文献2参照)、
▲3▼ 現像後かつ転写に先立ち静電潜像の画像部電位を現像時の画像部電位の所定レベルまで低減させ、トナーの飛び散りを抑制する提案(例えば特許文献3参照)、
▲4▼ 導電性トナーと絶縁性トナーとの混合により、転写時には、紙から導電性トナーへの電荷注入を絶縁性トナー(絶縁体)にて防ぎ、導電性トナーと紙との非接触化を図ることで、導電性トナーの電荷保持性を保つようにした提案(例えば特許文献4参照)、
▲5▼ 像担持体上の導電性トナーを加熱することでトナーを軟化・溶融し、軟化・溶融したトナーの粘着力を利用することにより像担持体から被記録材への転写性を良好に保つようにした非静電転写技術に関する提案(例えば特許文献5参照)、などが試みられてきた。
【0009】
しかしながら、いずれの先行技術も絶縁トナー同等の転写性を得ることができないばかりでなく、例えば先行技術▲1▼,▲4▼にあっては、特殊な材料を使用しなければならないし、また、先行技術▲2▼にあっては、特殊な記録紙を使用しなければならず、更に、先行技術▲3▼,▲5▼にあっては、特殊な作像プロセスが必要不可欠になるため、いずれの先行技術にあっても、汎用性を大きく損なう懸念があり、現段階において実用化には至っていない。
【0010】
本発明は、以上の技術的課題を解決するために為されたものであって、従前の導電性トナーを使用する際の不具合である静電転写性の改善、カラー適性の改善を行い、かぶりやトナークラウドを有効に防止でき、環境変化や経時劣化の影響を受けにくく、簡単で且つ汎用性のある現像装置及びこれを用いた画像形成装置並びに現像方法を提供するものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明は、図1に示すように、静電潜像1を担持した像担持体2に対向配置され、帯電された導電性トナー3を担持搬送するトナー担持体4と、このトナー担持体4と像担持体2との間に現像電界が形成され、この現像電界領域にて像担持体2上の静電潜像1をトナー現像する現像電界形成手段5とを備えた現像装置において、前記導電性トナー3には、現像電界において高抵抗に変化し且つ現像電界より大きな電荷注入電界において低抵抗に変化する抵抗可変部6を具備させたことを特徴とするものである。
【0012】
このような技術的手段において、導電性トナー3を扱う現像方式としては、例えば一成分現像方式や二成分現像方式などのいずれの現像方式であってもよい。また、トナー担持体4としては、導電性トナー3を担持搬送するものであれば、ロール状、ベルト状など任意の形態でよく、磁極のレイアウト等も任意に設定して差し支えない。
更に、現像電界形成手段5は、像担持体2とトナー担持体4との間に現像電界を形成するものを広く含み、ここでいう現像電界としては直流電界のみ、あるいは、交番電界を重畳した直流電界など適宜選定してよい。
【0013】
また、抵抗可変部6としては、現像電界において高抵抗に変化し且つ現像電界より大きな電荷注入電界において低抵抗に変化するものであれば、適宜選定して差し支えない。
この抵抗可変部6は、導電性トナー3側に備えていれば、導電性トナー3の表面、内部など任意に構成して差し支えない。
ここで、抵抗可変部6の代表的態様としては、例えば導電性トナー3本体の周囲を絶縁被覆し且つこの絶縁被覆層の一部に導電性トナー3本体が露出する凹部を形成したものが挙げられる。この態様において、導電性トナー3本体の露出する割合を調整することにより、抵抗可変部6は、電界の大きさに応じて、導電性トナー3の抵抗を調整することができる。
また、抵抗可変部6の別の態様としては、導電性トナー3本体の周囲を絶縁又は半導電被覆層で被覆し、この被覆層の厚さを調整することで抵抗設定するものが挙げられる。この態様によれば、抵抗可変部6の厚さを調整することにより、抵抗可変部6は、電界の大きさに応じて、導電性トナー3の抵抗を調整することができる。
【0014】
更に、抵抗可変部6の抵抗変化の代表的態様としては、静電潜像1の画像部電位と現像バイアス電位とで形成される現像電界より大きく且つ電荷注入電界よりも小さい電界で高抵抗から低抵抗へスイッチング(抵抗変化)する態様が挙げられる。
本態様によれば、現像電界と電荷注入電界との中間電界にて、抵抗可変部6は高抵抗から低抵抗へスイッチングするため、現像電界においては、可変抵抗部6は高抵抗に保たれるから、トナー相互間で電荷の移動が発生することがなく、導電性トナー3は一定の電荷を保持することができる。一方、電荷注入電界においては、抵抗可変部6は低抵抗に変化することにより、導電性トナー3には容易に電荷が注入されることになる。
【0015】
また、抵抗可変部6の抵抗変化の好ましい態様としては、例えば静電潜像1の背景部電位と現像バイアス電位とで形成されるクリーニング電界より大きく且つ電荷注入電界よりも小さい電界で高抵抗から低抵抗へスイッチング(抵抗変化)するものが挙げられる。
本態様によれば、クリーニング電界と電荷注入電界との中間電界にて抵抗可変部6は高抵抗から低抵抗へスイッチングするため、クリーニング電界の作用領域においては、抵抗可変部6は高抵抗に保たれることになり、トナー担持体4上の先端の導電性トナー3に逆極性の電荷が誘導されることはない。
このため、トナー担持体4上の導電性トナー3に逆極性電荷が誘導され、静電潜像の背景部に付着するという所謂かぶり現象は有効に抑制される。
【0016】
更に、抵抗可変部6の抵抗変化の好ましい態様としては、転写時に形成される転写電界よりも大きく且つ電荷注入電界よりも小さい電界で高抵抗から低抵抗へスイッチングする態様が挙げられる。
本態様によれば、転写電界と電荷注入電荷との中間電界にて抵抗可変部6は高抵抗から低抵抗へとスイッチングするため、転写電界の作用領域では、抵抗可変部6は高抵抗に保たれることになり、転写時において、導電性トナー3と記録紙との間で電荷の移動が発生することはなく、例えば高含水紙などに対しても導電性トナー3の電荷が保持され、良好な転写性能が得られる。
【0017】
また、抵抗可変部6の好ましい抵抗条件としては、例えば導電性トナー3の体積抵抗を電荷注入電界にて1010Ω・cm以下にし且つ現像電界にて1011Ω・cm以上にすればよい。
このような範囲の抵抗条件に設定すれば、電荷注入電界の作用領域での電荷注入動作、及び、現像電界の作用領域での電荷保持動作は、極めて良好に行われる。
【0018】
また、本発明においては、導電性トナー3は上述したような抵抗可変部6を備えているが、この種の導電性トナー3に効率的に電荷を注入するには、例えば以下のような電荷注入手段7を設けるようにすればよい。
すなわち、トナー担持体4に対向配置される電荷注入部材8を有し、トナー担持体4と電荷注入部材8との間に現像電界より大きな電荷注入電界を作用させ、導電性トナー3に電荷注入すると共に電荷注入された導電性トナー3をトナー担持体4に担持させる電荷注入手段7を設けるようにすればよい。
また、電荷注入部材8の配置は、トナー担持体4と対向する位置に限定されるものではない。例えば、トナー担持体4と電荷注入部材8間に、中間トナー担持体を設け、中間トナー担持体と電荷注入部材8間に電荷注入電界を作用させ、導電性トナー3に電荷注入するとともに、中間トナー担持体へトナーを担持させた後、トナー担持体4へ移動させても、本目的は達成できる。
【0019】
ここで、電荷注入部材8は、トナー担持体4に対向配置される部材であって、トナー担持体4との間に電荷注入電界を作用させるための電極として働くものであればよく、例えばロール状やプレート状のもの等適宜選定して差し支えない。なお、電荷注入部材8の材質は、アルミニウム等が好ましいがこれに限らず適宜選定して差し支えない。
また、電荷注入手段7としては、トナー担持体4と電荷注入部材8との間に現像電界より大きい電荷注入電界を生成させるための要素として通常電源(図示せず)が用いられる。
この電源としては、例えば直流電界を生成させるものに限られるものではなく、交番電界を重畳した直流電界を生成するものなど適宜選定して差し支えない。
【0020】
また、本発明は、上述した現像装置に限らず、現像方法についても以下のような特徴を備えている。
すなわち、本発明に係る現像方法は、像担持体2上に形成された静電潜像1を現像電界の作用領域下で導電性トナー3にて可視像化する現像方法において、現像電界よりも大きな電荷注入電界の作用領域下で導電性トナー3に電荷注入を行う電荷注入工程と、この電荷注入工程が行われた後に現像電界の作用領域下で、電荷注入された導電性トナー3による静電潜像1の可視像化を行う可視像化工程とを備えたことを特徴とするものである。
要するに、本発明に係る現像方法は、電荷注入機能を現像領域外の高電界(電荷注入電界)作用領域にて行い、現像領域(低電界の現像電界作用領域)にて行われる可視像化機能と分離する、間接電荷注入方式を採用したものである。
ここで、電荷注入工程としては、電荷注入電界において、導電性トナー3に電荷を与える工程であればよく、通常は電界を作用させるための電荷注入部材8を用いる電荷注入手段7にて具現化されるが、これ以外の方式があればこれらを広く包含するものである。
また、可視像化工程とは、現像電界において、像担持体2上に形成された静電潜像1を導電性トナー3によって可視像化する工程を意味するものである。
【0021】
更に、本発明は、上述した現像装置に限られるものではなく、これらの現像装置を組み込んだ画像形成装置をも対象とするものである。
特に、画像形成装置において、現像性能及び転写性能を両立させるには、抵抗可変部6が、転写時に形成される転写電界よりも大きく且つ電荷注入電界よりも小さい電界で高抵抗から低抵抗へ抵抗変化する現像装置と、像担持体上のトナー像を電荷注入電界よりも小さい転写電界にて記録媒体に転写する転写装置とを備えたものが好ましい。
【0022】
次に、本発明に係る現像装置の作用について説明する。
本発明において、導電性トナー3は、図2(b)に示すように、例えば電荷注入部材8を有する電荷注入手段7により、現像電界よりも高電界である電荷注入電界の作用領域において電荷注入され、トナー担持体4側へ移動する(電荷注入工程)。
このとき、図2(a)に示すように、電荷注入電界においては、抵抗可変部6が低抵抗に変化することから導電性皮膜として働くことになり、導電性トナー3には容易に電荷が注入される。
【0023】
この後、トナー担持体4上に担持された導電性トナー3は、図2(b)に示すように、像担持体2とトナー担持体4との間の現像領域へ搬送され、現像電界形成手段5による現像電界の作用領域に入り、像担持体2へと移動して像担持体2上の静電潜像1を可視像化する(可視像化工程)。
このとき、図2(a)に示すように、現像電界においては、抵抗可変部6が高抵抗に変化することから絶縁性皮膜として働くことになり、導電性トナー3には電荷が注入され難くなり、その分、導電性トナー3は、電荷を保持した状態を保ち、導電性トナー3相互間等で電荷の移動は行われない。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面に示す実施の形態に基づいてこの発明を詳細に説明する。
◎実施の形態1
図3は本発明が適用された現像装置を含む画像形成装置の実施の形態1を示す。
同図において、本実施の形態に係る画像形成装置は、所定方向に回転する像担持体としての感光体ドラム10を有し、この感光体ドラム10の周囲には、感光体ドラム10を帯電する帯電装置11と、この感光体ドラム10上に静電潜像Zを形成する潜像書込装置としての例えば露光装置12と、感光体ドラム10上に形成された静電潜像Zを可視像化する現像装置13と、感光体ドラム10上で可視像化されたトナー画像を記録媒体である記録紙18に転写する転写装置14と、感光体ドラム10上の残留トナーを清掃するクリーニング装置15とを順次配設したものである。
【0025】
本実施の形態において、現像装置13は、図3に示すように、導電性トナーを含む現像剤が収容される現像ハウジング131を有し、この現像ハウジング131には感光体ドラム10に対向して現像用開口を開設すると共に、この現像用開口に面して現像ロール132を配設し、この現像ロール132に所定の現像バイアスを印加することで、感光体ドラム10と現像ロール132との間の現像領域に現像電界を作用させ、更に、現像ハウジング131内には前記現像ロール132と対向して電荷注入装置133を設けたものである。
【0026】
ここで、本実施の形態において、導電性トナー20としては、図4(a)に示すように、導電性を有する材料からなる導電性コア201を有し、この導電性コア201の周囲を絶縁性被覆層(例えば絶縁性樹脂層)202で被覆すると共に、導電性コア201の一部が露出するように前記絶縁性被覆層202に適宜数の凹部203を設けたものが用いられる。
本実施の形態において、導電性トナー20は、重合法や各種公知のカプセル化技術で作成することができる。
このような態様の導電性トナー20は、高電界を印加すると急激に低抵抗化する傾向を示す。そして、低抵抗化する電界の大きさについては、導電性トナー20の主として凹部203の占有割合、あるいは、絶縁性被覆層202の厚さなどに依存する。
このメカニズムについては、導電性コア201が絶縁性被覆層202にて被覆されているため、導電性コア201は、直接的にトナー相互や電極部材等に接触することがなく、絶縁性被覆層202を介して一定の微小間隙を保つことになり、この結果、例えば高電界が印加された時、トンネル効果等により導通することになる、と推測される。
この時、導電性コア201は、ポリエステルやスチレンアクリル系樹脂に導電性カーボンブラック、磁性粉、ITO/TiO2/SnO2等の透明導電粉等の導電剤を分散させたり、ポリエステルやスチレンアクリル系樹脂からなる粒子表面を前記導電剤により被覆することによって、作製する。
【0027】
また、本実施の形態では、導電性トナー20は、例えば図4(a)に示すように、導電性コア201を絶縁性被覆層202にて絶縁被覆し且つ絶縁性被覆層202の一部に凹部203を通じて導電性コア201を露出させる態様であるが、これに限られるものではなく、例えば図4(b)に示すように、導電性コア201を絶縁性若しくは半導電性の被覆層204にて被覆し、被覆層204の厚さを適宜調整することにより、導電性トナー20の抵抗を調整可能とした態様等適宜選定して差し支えない。
このとき、半導電性の被覆層204については、それ自体半導電性の材料を用いるようにしてもよいし、例えば絶縁性樹脂に、SiO2やTiO2等の金属酸化物や導電性カーボンを微量含有させた半導電性樹脂を用いるようにしてもよい。
【0028】
また、電荷注入装置133(図3参照)は、前記導電性トナー20に対し現像領域外で現像電界より大きな電荷注入電界を作用させることにより、導電性トナー20を低抵抗化させた状態で、電荷注入を行うものである。
尚、電荷注入装置133の実現例については後述する現像装置モデルにて詳述する。
【0029】
更に、本実施の形態において、図3に示すように、転写装置14は、例えば感光体ドラム10に対向して転写ロール(図示せず)を配設し、この転写ロールに転写バイアスを印加することで感光体ドラム10と転写ロールとの間に転写電界を作用させ、記録媒体である記録紙18に感光体ドラム10上のトナー画像を静電的に転写させるものである。
【0030】
次に、本実施の形態に係る画像形成装置の作動について説明する。
今、作像プロセスが開始されると、先ず、感光体ドラム10表面が帯電装置11により帯電され、しかる後、露光装置12が帯電された感光体ドラム10上に静電潜像Zを書き込み、現像装置13が前記静電潜像Zを可視像化する。
しかる後、感光体ドラム10上のトナー画像は転写部位へと搬送され、転写装置14が記録媒体である記録紙18に感光体ドラム10上のトナー画像を静電的に転写する。
尚、感光体ドラム10上の残留トナーはクリーニング装置15にて清掃される。
【0031】
このような作像プロセスにおいて、現像装置13及び転写装置14に要求される動作条件について検討する。
先ず、図3に示す現像装置13をモデル化すると、例えば図5に示すように表される。
図3及び図5において、符号21は電荷注入装置133の一要素である電荷注入プレート(トナー供給プレート)であり、例えばアルミニウムプレートにて構成される。
そして、前記電荷注入プレート21には電荷注入電源25が接続されており、電荷注入バイアスV1が印加されている。
また、符号22は現像装置13の現像ロール132に相当するトナー担持ロールであり、例えば表面がアルマイト処理されたアルミニウムパイプにて構成されている。
そして、このトナー担持ロール22には現像バイアス電源26が接続されており、現像バイアスV2が印加されている。
更に、符号23は感光体ドラム10に相当する像担持プレートであり、例えば表面に55μm厚のPETフィルムを貼り付けたアルミニウムプレートにて構成され、トナー担持ロール22に対して所定の間隙を介して対向配置され、略水平方向に移動する。
そして、像担持プレート23には像担持バイアス電源27が接続されており、所定の像担持バイアスV3が印加されている。
【0032】
このような現像装置モデルにおいて、電荷注入プレート21上に、導電性トナー20(例えば図4(a)による態様)を約一層散布し、図5中の右方向へスライドさせる。
このとき、電荷注入プレート21に印加された電荷注入バイアスV1とトナー担持ロール22に印加された現像バイアスV2とにより、電荷注入プレート21とトナー担持ロール22との間には電荷注入電界Aが形成されており、この電荷注入電界Aにより、電荷注入プレート21上の導電性トナー20に電荷が注入されると共に、導電性トナー20は静電吸引力によりトナー担持ロール22へ移動する。
次いで、トナー担持ロール22へ移動した導電性トナー20は、トナー担持ロール22の回転により現像領域まで搬送されると、像担持プレート23に印加された像担持バイアスV3とトナー担持ロール22に印加された現像バイアスV2とにより現像電界Bが形成され、この現像電界Bにより、導電性トナー20が像担持プレート23へ移動する。
【0033】
このような現像動作過程において、現像装置13の現像性能を良好に保つには、電荷注入電界Aが現像電界Bよりも高電界であり、電荷注入電界Aと現像電界Bとの中間電界以上の高電界にて導電性トナー20の抵抗が高抵抗から低抵抗へとスイッチングすることが必要であることが確認された。
このことは、後述する実施例にて裏付けられる。
また、多層のトナー像を移動させる必要がない単色の作像プロセスであれば、感光体ドラム10の背景部へのトナー付着のみを防止するようにすればよい。
このとき、現像ロール132と背景部の電位差によって形成される電界(クリーニング電界)の影響で、現像ロール132上の先端のトナーに逆極性の電荷が誘導され、背景部に付着しかぶりの原因になる可能性がある。
そこで、この場合には、導電性トナー20の特性として、クリーニング電界より大きく、電荷注入電界A以下で電気抵抗を高抵抗から低抵抗へスイッチングさせ、所定範囲の電気抵抗を満たすようにすればよい。
一般に、クリーニング電界は現像電界Bよりも小さいので、上述した導電性トナー(電荷注入電界Aと現像電界Bとの中間電界以上の高電界にて抵抗が高抵抗から低抵抗へとスイッチング特性を具備)20はそのまま使用することができる。
【0034】
更に、転写装置14をモデル化すると、図6に示すように表される。
図3及び図6において、符号31は電荷注入装置133の一要素である電荷注入プレート(トナー供給プレート)であり、例えばアルミニウムプレートにて構成される。
そして、前記電荷注入プレート31には電荷注入電源35が接続されており、電荷注入バイアスV4が印加されている。
また、符号32は感光体ドラム10に相当する像担持ロールであり、例えば表面に55μm厚のPETフィルムを貼り付けたアルミニウムパイプにて構成されている。
そして、この像担持ロール32には像担持バイアス電源36が接続されており、像担持バイアスV5が印加されている。
更に、符号33は転写装置14の転写ロール等の電極部材に相当する記録媒体プレートであり、表面に記録媒体34(例えば図3中の記録紙18に相当)を貼り付けたアルミニウムプレートにて構成される。
そして、この記録媒体プレート33には転写バイアス電源37が接続され、転写バイアスV6が印加されている。
【0035】
このような転写装置モデルにおいて、電荷注入プレート31上に、導電性トナー20(例えば図4(a)による態様)を約一層散布し、図6中の右方向へスライドさせる。
このとき、電荷注入プレート31に印加された電荷注入バイアスV4と像担持ロール32に印加された像担持バイアスV5とにより、電荷注入プレート31と像担持ロール32との間には電荷注入電界Aが形成されており、この電荷注入電界Aにより、電荷注入プレート31上の導電性トナー20に電荷が注入されると共に、導電性トナー20は静電吸引力により像担持ロール32へ移動する。
次いで、像担持ロール32へ移動した導電性トナー20は、像担持ロール32の回転により転写領域まで搬送されると、記録媒体プレート33に印加された転写バイアスV6と像担持ロール32に印加された像担持バイアスV5とにより転写電界Cが形成され、この転写電界Cにより、導電性トナー20が記録媒体プレート33へ移動する。
【0036】
このような転写動作過程において、転写装置14の転写性能を良好に保つには、電荷注入電界Aが転写電界Cよりも高電界であり、電荷注入電界Aと転写電界Cとの中間電界以上の高電界にて導電性トナー20の抵抗が高抵抗から低抵抗へとスイッチングすることが必要であることが確認された。
このことは、後述する実施例にて裏付けられる。
【0037】
◎実施の形態2
図7は、本発明に係る現像装置が適用されたカラー画像形成装置の構成を示した図である。
同図において、カラー画像形成装置は、所謂タンデム型と称されるものであり、装置本体40の上方に原稿を読み取る画像読取りユニット41を配設する一方、装置本体40内に四つの色成分(本実施の形態ではY:イエロ、M:マゼンタ、C:シアン、K:ブラック)の作像エンジン42(具体的には42a〜42d)を横方向に配列し、その下方には各作像エンジン42の配列方向に沿って循環搬送される中間転写ベルト43を配設すると共に、この中間転写ベルト43には当該中間転写ベルト43上の画像を記録媒体としての例えば記録紙44に転写させる二次転写装置45を配設し、更に、装置本体40の下方には前記記録紙44が収容される供給カセット46を配設し、この供給カセット46からの記録紙44を二次転写装置45を経て定着装置47へと導くようにしたものである。
【0038】
本実施の形態において、作像エンジン42は、例えば感光体ドラム51を有し、この感光体ドラム51の周囲に、感光体ドラム51を帯電する帯電器52、帯電された感光体ドラム51上に静電潜像を書き込むレーザ装置等の潜像書込装置53、感光体ドラム51上の静電潜像を各色成分トナーにて可視像化する現像装置54(具体的には54a〜54d)、感光体ドラム51上のトナー画像を中間転写ベルト43に一次転写させる一次転写装置55及び感光体ドラム51上の残留トナーを除去するドラムクリーナ56を順次配設したものである。
一方、中間転写ベルト43は、複数(本例では四つ)の張架ロール71〜74に掛け渡されており、張架ロール71は駆動ロール、その他の張架ロール72〜74は従動ロールとして機能するようになっている。
【0039】
次に、本実施の形態において使用される現像装置54について説明する。
本実施の形態に係る現像装置54は、図8に示すように、感光体ドラム51に対向して開口し且つ内部に実施の形態1と同様な導電性トナー20を含む現像剤Gが収容される現像ハウジング65と、この現像ハウジング65の開口に面して感光体ドラム51に対向配設される現像ロール61と、この現像ロール61に導電性トナー20を供給するトナー供給ロール62と、このトナー供給ロール62の表面に導電性トナー20の薄層を形成する層形成部材63と、現像ハウジング65内のトナー供給ロール62の奥側に設けられて導電性トナー20を攪拌する攪拌部材であるアジテータ64とを備えている。
そして、本実施の形態において、現像ロール61には現像バイアス電源66からの現像バイアスが印加される一方、トナー供給ロール62には電荷注入電源67からの電荷注入バイアスが印加されている。
これにより、感光体ドラム51と現像ロール61との間には現像電界が、現像ロール61とトナー供給ロール62との間には電荷注入電界が作用するようになっている。
【0040】
また、本実施の形態において、例えば現像ロール61は、表面をアルマイト処理したアルミニウム製のロールで構成され、トナー供給ロール62は、表面をサンドブラスト法や化学エッチング法等により研磨して、小さな均一な研磨面を形成したアルミニウム製のロールから構成され、現像ロール61とトナー供給ロール62とは軽く接触又は微小間隙をもって支持されている。
更に、層形成部材63は例えば厚さ0.03〜0.3mm程度のステンレスの板バネにSiゴムやEPDMゴムを加硫接着したものである。この層形成部材63の一端は、トナー供給ロール62の表面に軽く接触し、他端は現像ハウジング65の一部に支持されている。
【0041】
次に、本実施の形態に係る画像形成装置、主として現像装置54の作動について説明する。
夫々の現像装置54においては、現像ハウジング65内において導電性トナー20がアジテータ64により攪拌され、攪拌された導電性トナー20は、トナー供給ロール62と層形成部材63との間を通過することにより、トナー供給ロール62の表面に均一なトナー層を形成する。
更に、トナー層は、トナー供給ロール62の回転により、現像ロール61とトナー供給ロール62との対向位置に搬送され、この間に形成される電荷注入電界により電荷が注入されるとともに、電荷が注入された導電性トナー20は、静電吸引力により現像ロール61上へ移動する。
現像ロール61上へ移動した導電性トナー20は、現像ロール61と感光体ドラム51との間に形成される現像電界により、感光体ドラム51上の静電潜像へ移動し、静電潜像を可視像化する。
【0042】
次に、感光体ドラム51と中間転写ベルト43とが接する位置にある一次転写装置55には、トナーと逆極性の電圧が印加されているため、感光体ドラム51上に形成された未定着トナー像は、中間転写ベルト43に対して転写される(図7参照)。
更に、中間転写ベルト43に対して一次転写されたトナー像は、中間転写ベルト43の回動に伴って、二次転写装置45へ搬送されるとともに、供給カセット46から搬送された記録紙44は、中間転写ベルト43と二次転写装置45との接触領域へ搬送される。
このとき、二次転写装置45にトナーの帯電極性と逆極性の電圧を印加することで、中間転写ベルト43上のトナー像は、記録紙44に静電吸引され、この後、トナー像が転写された記録紙44は定着装置47により定着される。
【0043】
特に、本実施の形態においては、導電性トナー20は、実施の形態1と同様の特性を備えている。
すなわち、導電性トナー20は、電荷注入領域では電荷注入電界(高電界)を印加することにより低抵抗へ変化するため、導電性トナー20への電荷注入が容易に行われる。一方、導電性トナー20は、現像領域及び転写領域では、現像電界及び転写電界(低電界)を印加することにより高抵抗へ変化する。
したがって、クリーニング電界においてかぶりの原因となる電荷の移動が発生することなく、また、記録紙44やトナー相互間で電荷の移動が発生しないため、静電転写方式において、吸湿した記録紙44へのトナー画像の転写が可能になり、また、カラートナーを重ねて、カラー画像を形成することが可能になる。
【0044】
尚、本実施の形態では、複数の感光体ドラムを有するタンデム型の画像形成装置構成を例に挙げて説明したが、これに限られるものではなく、例えば1個の感光体ドラムに対し複数個の現像装置若しくはロータリ型現像装置を設け、1サイクル毎に1色のトナー像を形成すると共に中間転写体へ順次転写し、複数サイクルで各色成分トナー像を多重転写することで、カラー画像を形成する態様についても同様に適用できる。また、記録紙搬送体上に用紙を保持、搬送し転写を行う用紙搬送転写方式でも同様に適用できる。
また、本実施の形態では、カラー機で説明したが、白黒機でも同様に適用できることは勿論である。
【0045】
◎実施の形態3
図9は、静電転写方式を用いない画像形成装置に本発明を適用した実施の形態3を示す。
本実施の形態に係る画像形成装置においては、感光体ドラム80の周囲に、感光体ドラム80を帯電する帯電装置81と、帯電された感光体ドラム80上に各色成分(本例ではイエロ、マゼンタ、シアン、ブラック)の静電潜像を書き込む露光装置82と、感光体ドラム80上に形成された各色成分潜像を各色成分トナーにて可視像化する現像装置83と、感光体ドラム80上のトナー像を転写させるための粘着中間転写ロール84と、感光体ドラム80上の残留トナーを清掃するクリーニング装置85とが配設されている。
また、粘着中間転写ロール84の下方には、加熱源を有する二次転写ロール86が配設されている。
尚、符号88は記録紙87を送出する記録紙供給装置、89は定着済みの記録紙87を搬送する搬送ベルトである。
【0046】
本実施の形態において、粘着中間転写ロール84は、例えば、シリコーンゴム等の弾性材で構成されているため、感光体ドラム80と粘着中間転写ロール84との間、及び、二次転写ロール86と粘着中間転写ロール84との間は、所定のニップ域をもって弾接した状態となっている。
また、本実施の形態における現像装置83及び導電性トナーは、実施の形態1で用いたものと同様なものを使用し、その他の装置については、適宜選定して差し支えない。
【0047】
次に、本実施の形態に係る画像形成装置の作動について説明する。
本実施の形態において、感光体ドラム80上に担持された静電潜像は、現像装置83によって感光体ドラム80の一回転ごとに異なる色成分のトナー像を重ねられる。この重ねられたトナー像は、粘着中間転写ロール84上に押圧されることにより、粘着中間転写ロール84の粘着力によって一括して粘着中間転写ロール84上に転写される。
その後、粘着中間転写ロール84上に転写されたトナー像は、二次転写ロール86によって加熱されるとともに、粘着中間転写ロール84の離型性は向上し、また、トナー像も加熱されることにより粘性化する。これにより、トナー像は、粘着中間転写ロール84と二次転写ロール86との間にある記録紙87に再転写され、同時に定着も完了する。
【0048】
このような作像過程において、本実施の形態で用いられる導電性トナーの特性は、静電潜像の画像部と現像バイアスとにより形成される現像電界より大きく、電荷注入電界以下で電気抵抗を高抵抗から低抵抗へスイッチングできるようになっているため、電荷注入された導電性トナーは現像電界作用領域では高抵抗化した状態で感光体ドラム80の静電潜像を可視像化し、感光体ドラム80上でトナー像を重ねることが可能になる。
これにより、かぶりやトナークラウドを防止でき、環境変化や経時劣化の影響を受けにくく、構造が簡単で、小型化、低価格化が可能な静電転写方式を用いない画像形成装置を実現することができる。
また、静電転写方式を使用しない画像形成装置であって、カラー画像を形成する必要がないモノクロ専用機であれば、概ね単層のトナー像を形成すればよいので、背景部へのトナー付着のみを防止すればよい。
このとき、現像バイアスと背景部の電位差とによって形成される電界(クリーニング電界)によって、現像ロール上の先端のトナーに逆極性の電荷が誘導され、背景部に付着しかぶりになることを防止するため、導電性トナーの特性として、クリーニング電界より大きく且つ電荷注入電界以下で電気抵抗を高抵抗から低抵抗へスイッチングできるようにすればよい。
【0049】
【実施例】
◎実施例1
図10は、実施の形態1に係る現像装置モデル(図5参照)において、実施の形態1で用いられた導電性トナー20(図4(a)参照)に電界を印加したとき、この導電性トナー20の体積抵抗率変化を測定した結果である。
同図によれば、導電性トナー20は、高電界が印加されると、高抵抗から低抵抗へと急激に低抵抗化することが理解される。
【0050】
ここで、電荷注入電界A及び現像電界Bと、導電性トナー20の電気抵抗との関係について説明する。
一般的に、導電性トナー20に印加される電界Eは、以下のように表現される。
E=(V−VS)/εt(Dp+Dt+Dm+Dg)
但し、V:対向電極の電位、VS:移動前トナー層上の電位、Dp〜Dg:ニップを形成する各層の誘電厚さ(Dp:像担持体誘電厚さ、Dt:トナー層誘電厚さ、Dm:トナー担持体誘電厚さ、Dg:空隙層誘電厚さ)、εt:トナーの比誘電率である。
以上から予測すると、上記条件では、電荷注入時に導電性トナー20へ印加される電界は5×104V/cm、現像時に導電性トナー20に印加される電界は8×103V/cmであった。
このとき、図10に示すように、8×103V/cmと5×104V/cmとの間で、導電性トナー20の体積抵抗率は、1012Ω・cmから109Ω・cmへ変化している。
【0051】
このとき、電荷注入電界A領域及び現像電界B領域の通過時間は0.01秒程度であるので、電荷を容易に注入するためには、時定数0.01秒以下であることが好ましく、導電性トナー20の体積抵抗率は、1010Ω・cm以下であればよい。
また、帯電した電荷を保持するためには、現像電界Bが印加されている時間内で、電荷移動等が起こらないことが必要なので、時定数で0.1秒以上であることが好ましく、導電性トナー20の体積抵抗率は、1011Ω・cm以上であればよい。
なお、導電性トナー20の体積抵抗率は、φ30mmのセル中にトナーを充填し、上下面に電圧を印加し、流れる電流を測定することにより計算した。
【0052】
◎実施例2
図11は、実施の形態1に係る現像装置モデル(図5参照)において、像担持バイアス電源27の像担持バイアス変化に対する現像トナー量(層数に換算)を、実施の形態1に係る導電性トナー20を用いた時と、比較例に係る絶縁性被覆層202(図4参照)を有していない導電性トナー20を用いた時とで比較測定した結果である。
本実施例は、現像バイアスV2を0V、電荷注入バイアスV1を−600Vに固定設定し、一連の作像プロセスを4回繰り返して、像担持プレート23上に多重現像させた。
【0053】
本実施例において、像担持プレート23電圧(像担持バイアスV3)を50〜150Vに変化させたとき、導電性トナー20を用いた現像トナー量(層数)は増加する一方、比較例に係る導電性トナー(絶縁性被覆層202を有していない導電性トナー)を用いた現像トナー量はほとんど増加していない。
これにより、カラー画像を形成する場合、導電性トナー20は、色材の異なるカラートナーを重ねて種々の色を再現できるが、比較例に係る導電性トナーでは、カラー化に対応できないことが理解される。
【0054】
◎実施例3
図12は、実施の形態1に係る転写装置モデル(図6参照)において、記録媒体プレート33電圧(転写バイアスV6)と転写率(%)との関係を測定した結果である。
本実施例において、記録媒体プレート33の表面に貼り付けた記録媒体34としては、絶縁紙、半導電紙(5×108Ω・cm、高含水紙状態)を使用した。そして、像担持ロール32電圧(像担持バイアスV5)を0V、電荷注入プレート31電圧(電荷注入バイアスV4)を−600Vに固定設定し、また、半導電紙に対し絶縁性被覆層202(図4参照)で絶縁コートされていない導電性トナーを使用した比較例についても測定した。
本実施例の測定結果により、本実施例に係る導電性トナー20は、絶縁紙及び半導電紙(高含水紙)において、80%以上の転写率が可能である一方、比較例に係る導電性トナーは、半導電紙(高含水紙)において30%前後の転写率しか得られず、転写不良を発生してしまう。
このように、本実施例に係る導電性トナー20(転写時に形成される転写電界Cよりも大きく、電荷注入電界Aよりも小さい中間電界以上で、高抵抗から低抵抗へと抵抗変化するスイッチングする抵抗可変部を具備)を用いれば、高含水転写、多重転写が可能になる。
【0055】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係る現像装置によれば、導電性トナーに対し作用電界により抵抗変化する抵抗可変部を具備させ、現像電界より大きい電荷注入電界にて可変抵抗部を低抵抗化させる一方、現像電界にて可変抵抗部を高抵抗化させるようにしたので、導電性トナーに電荷を注入する場合に、抵抗可変部の抵抗を低くすることにより導電性トナーに対し容易に電荷を注入させることができ、しかも、現像をする場合、抵抗可変部の抵抗を高くすることにより、導電性トナーの電荷保持性を向上させることができる。
したがって、導電性トナーに対する電荷注入性と、注入された電荷保持性とを両立させることが可能になり、導電性トナーに対する電荷注入性を良好に保ちながら、現像電界作用領域において不要に電荷注入される事態を有効に回避することができる。このため、現像電界作用領域において、低電荷トナーや逆極性トナーが生成されることは少なく、かぶりやトナークラウドを有効に防止でき、導電性トナーに対する現像性能を良好に保つことができる。
【0056】
また、本発明によれば、導電性トナーに対し作用電界により抵抗変化する抵抗可変部を具備させるようにしているため、例えば転写電界作用領域において抵抗可変部の抵抗を高くすることにより、転写時における導電性トナーの電荷保持性を良好に保つことができる。
このため、導電性トナーに保持している電荷が吸湿した記録紙やトナー相互間で移動することを有効に防止することができ、トナーへの静電吸着力を維持することができる。
よって、高含水紙などへのトナー画像の転写も可能となり、しかも、カラートナーの重ねによるカラー画像を形成することも可能になるから、導電性トナーに対する良好な転写性能を簡単に実現することができる。
このように、本発明に係る現像装置によれば、従前の導電性トナーを使用する際の不具合である、静電転写性の改善、カラー適性の改善を行い、かぶりやトナークラウドを有効に防止でき、環境変化や経時劣化の影響を受けにくく、簡単で且つ汎用性のある現像装置を提供することができる。
【0057】
更に、このような現像装置を用いた画像形成装置によれば、導電性トナーに対する現像性能を良好に保つことができ、しかも、導電性トナーに対する良好な転写性能を簡単に実現することができるため、導電性トナーを用いた良好な作像性能を簡単且つ確実に実現することができる。
【0058】
また、本発明に係る現像装置によれば、本発明に係る現像方法(導電性トナーへの電荷注入工程と導電性トナーによる可視像化工程とを別工程にて行う間接電荷注入方式)を簡単に具現化することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る現像装置の概要を示す説明図である。
【図2】(a)は、本発明に係る導電性トナーをモデル化した説明図、(b)は、本発明に係る現像装置及び導電性トナーの説明図である。
【図3】実施の形態1に係る画像形成装置の概要を示す説明図である。
【図4】(a)(b)は、実施の形態1で用いられる導電性トナーの具体的構成例を示す説明図である。
【図5】実施の形態1に係る現像装置をモデル化した説明図である。
【図6】実施の形態1に係る転写装置をモデル化した説明図である。
【図7】実施の形態2に係る画像形成装置の説明図である。
【図8】実施の形態2で用いられる現像装置の説明図である。
【図9】実施の形態3に係る画像形成装置の説明図である。
【図10】実施例1における印加電界に対する導電性トナーの体積抵抗率変化を示す説明図である。
【図11】実施例2における像担持プレート電圧変化に対する現像トナー量を示す説明図である。
【図12】実施例3における記録媒体プレート電圧変化に対する転写率を示す説明図である。
【符号の説明】
1…静電潜像,2…像担持体,3…導電性トナー,4…トナー担持体,5…現像電界形成手段,6…抵抗可変部,7…電荷注入手段,8…電荷注入部材
Claims (11)
- 静電潜像を担持した像担持体に対向配置され、帯電された導電性トナーを担持搬送するトナー担持体と、このトナー担持体と像担持体との間に現像電界が形成され、この現像電界領域にて像担持体上の静電潜像をトナー現像する現像電界形成手段とを備えた現像装置において、
前記導電性トナーには、現像電界において高抵抗に変化し且つ現像電界より大きな電荷注入電界において低抵抗に変化する抵抗可変部を具備させたことを特徴とする現像装置。 - 請求項1記載の現像装置において、
トナー担持体に対向配置される電荷注入部材を有し、トナー担持体と電荷注入部材との間に現像電界より大きな電荷注入電界を作用させ、導電性トナーに電荷注入すると共に電荷注入された導電性トナーをトナー担持体に担持させる電荷注入手段が設けられていることを特徴とする現像装置。 - 請求項1又は2記載の現像装置において、
抵抗可変部は、導電性トナー本体の周囲を絶縁被覆し且つこの絶縁被覆層の一部に導電性トナー本体が露出する凹部を形成したものであることを特徴とする現像装置。 - 請求項1又は2記載の現像装置において、
抵抗可変部は、導電性トナー本体の周囲を絶縁又は半導電被覆層で被覆し、この被覆層の厚さを調整することで抵抗設定するものであることを特徴とする現像装置。 - 請求項1又は2記載の現像装置において、
抵抗可変部は、静電潜像の背景部電位と現像バイアス電位とで形成されるクリーニング電界より大きく且つ電荷注入電界よりも小さい電界で高抵抗から低抵抗へ抵抗変化することを特徴とする現像装置。 - 請求項1又は2記載の現像装置において、
抵抗可変部は、静電潜像の画像部電位と現像バイアス電位とで形成される現像電界より大きく且つ電荷注入電界よりも小さい電界で高抵抗から低抵抗へ抵抗変化することを特徴とする現像装置。 - 請求項1又は2記載の現像装置において、
抵抗可変部は、転写時に形成される転写電界よりも大きく且つ電荷注入電界よりも小さい電界で高抵抗から低抵抗へ抵抗変化することを特徴とする現像装置。 - 請求項1又は2記載の現像装置において、
抵抗可変部は、導電性トナーの体積抵抗を電荷注入電界にて1010Ω・cm以下にし且つ現像電界にて1011Ω・cm以上にすることを特徴とする現像装置。 - 請求項1乃至8いずれかに記載の現像装置を備えたことを特徴とする画像形成装置。
- 請求項9記載の画像形成装置において、
抵抗可変部が、転写時に形成される転写電界よりも大きく且つ電荷注入電界よりも小さい電界で高抵抗から低抵抗へ抵抗変化する現像装置と、
像担持体上のトナー像を電荷注入電界よりも小さい転写電界にて記録媒体に転写する転写装置とを備えたことを特徴とする画像形成装置。 - 像担持体上に形成された静電潜像を現像電界の作用領域下で導電性トナーにて可視像化する現像方法において、
現像電界よりも大きな電荷注入電界の作用領域下で導電性トナーに電荷注入を行う電荷注入工程と、
この電荷注入工程が行われた後に現像電界の作用領域下で、電荷注入された導電性トナーによる静電潜像の可視像化を行う可視像化工程とを備えたことを特徴とする現像方法。
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