JP4179658B2 - 感光性記録材料の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、寸法安定性基板ないし基礎シート、必要に応じて接着増進層、少なくとも1層の感光性、ことに光重合性層、非感光性レリース層および除去可能の保護被覆シートから成る、ことにレリーフ印刷版体、例えばフレキソ印刷版体製造用の感光性、ことに光重合性記録材料の製造方法に関する。各種の層が基板ないし保護被覆シート上に重ねられ、適宜の方法、例えば組成分溶液を塗布し、乾燥することにより、溶融体を施し、加圧、場合によりさらに加熱下に積層して、記録材料が形成される。
【0002】
凸版印刷機用版体の製造においては、感光層組成分を適当な溶媒に溶解させ、この溶液をあらかじめ形成された保護被覆シートとレリース層との積層体上に注下するのが一般的である。感光層が乾燥してから、この積層体を接着剤組成分混合物で被覆された基礎シート上に積層する。
【0003】
フレキソ印刷版体の製造においては、一般的に感光層組成分を押出機中において溶融させ、よく混合し、この溶融体をスロットダイから押出し、カレンダーのギャップ中に給送する。保護被覆シートをレリース層と積層して、カレンダーロールの一方に給送し、接着増進組成分混合物でコーティングされている基礎シートを他方のカレンダーロールに給送する。カレンダーギャップにおいて、感光層組成分溶融体が、保護被覆シート/レリース層および接着増進組成分/基礎シートの複合積層体と積層される。
【0004】
【従来の技術】
印刷版体の処理に当たって、保護被覆シートは、その下方に積層を残さないように、積層体から除去されねばならない。ことに、レリース層は完全に感光性層上に残存させねばならない。感光性記録材料製造方法の好ましい実施態様において、レリース層が溶液状態で保護被覆シート上に施され、乾燥され、次いでカレンダー処理により溶融状態の保護被覆シートと合体される場合には、この保護被覆シートのレリース層からの除去について、しばしば接着性の問題が生ずる。場合によって、レリース層が、感光性層よりも、保護被覆シートに強く接着することがあるからである。
【0005】
しかしながら、印刷版体を良好に処理するためには、一方においてレリース層と感光性層との間の、他方においてレリース層と保護被覆シートとの間の接着性に関し、常に再現可能の確実な差違が存在しなければならない。同様のことが、例えば、追加的な層を有する積層体にも該当する。例えば欧州特願公開84851号、同456336号公報に記載されているこのような積層体において、追加層ないし追加フィルムは別個に形成され、カレンダー処理などにより、積層体に合体される。この場合に、感光層間の接着が不充分であると、洗除すなわち現像処理の間において、ことに微細なレリーフパターン部分で画像に欠陥をもたらし、不鮮明な印刷をもたらし、あるいは印刷が不可能な印刷版体をもたらしかねない。
【0006】
【解決されるべき課題】
そこで、この分野における技術的課題ないし本発明の目的とするところは、各層が相互に、かつ基板ないし基礎シートおよび保護被覆シートに対して、確実かつ再現可能に調整され得る接着性を示す多層印刷版体を形成することができ、従って、積層体の任意の層、ことに一般的保護被覆シートを、意図しない多層の分離をもたらすことなく、確実に除去し得る印刷版体、ことにレリーフ印刷版体を形成するための感光性記録材料製造方法を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
しかるに、この課題ないし目的は、感光性層が積層体シートに積層され、または前記感光性層が溶融体または溶液として前記積層体シートに施され、前記積層体シートが保護被覆シートと、該保護被覆シートの上に最上層として積層されたポリアミドからなるレリース層とからなる、レリーフ印刷版体形成用の、感光性記録材料製造方法であって、前記積層体シートの前記レリース層の表面または前記感光性層の表面が、これら表面相互の接着直前にコロナ処理に付されることを特徴とする。
【0008】
感光性層は、保護被覆シート、レリース層および場合によりさらに他の追加層から成る積層体材料に、溶融体ないし溶液の形態で施されるのが好ましい。この場合、積層体材料の最上方面をコロナ処理に附するのが好ましい。
【0009】
レリース層が最上方層として保護被覆シート上に施される場合には、このレリース層をコロナ処理に附するのが好ましい。
【0010】
このコロナ処理により、レリース層と感光性層の間の接着性は、本質的かつ均斉に増大せしめられ、保護被覆シートをレリース層から除去する際に、このレリース層は、まったく影響を受けることなく、その下方層上に完全に接着された状態で残留する。
【0011】
二層以上の感光性層を有する印刷版体、ことにフレキソ印刷版体を形成しようとする場合には、上述の積層体材料は、非感光性レリース層上に、一層の感光性層を担持していてもよい。この感光性層は、当初から感光性である必要はない。すなわち、この層はポリマー結合剤のみを含有しておればよく、重合性化合物および光開始剤を含まなくてよい。印刷版体の貯蔵の間に、この層が他の感光性層と接触すると、その低分子量組成分、例えば重合可能化合物、光開始剤が、上記層の結合剤ポリマー中に拡散滲透して、これを感光性化するからである。
【0012】
このような層を形成する場合には、その形成材料を溶液の形態でレリース層上に施し、乾燥する。この場合、もちろんレリース層の組成分および追加層の溶媒は、レリース層組成分がいささかでも溶融中に溶解しないように選択されねばならない。この追加層は、レリース層が溶解しないように例えば水のような媒体中の分散液の形態で塗布形成することもできる。追加層は一般的に20から200μmの厚さを有するが、特定の最小厚さ、例えば50μm程度の場合には、溶融体として押出またはカレンダー処理により施され得る。追加層を施す前に、ことにカレンダー処理で施される場合、レリース層を同じく本発明方法によりコロナ処理することもできる。
【0013】
積層体を形成する場合、他層と強固に接着されるべき層は、すべて本発明によるコロナ処理に附され得る。ただし、コロナ処理は、積層の直前、すなわち、約1から3000、ことに約60から600秒前に行われねばならない。この処理は、大規模に、ことに連続的に有利に行われ得る。すなわち、コーティング処理圏に入る前に、あるいはカレンダーギャップ中を走過する前に、積層されるべき、フィルムないしシートは、ライン中に組込まれたコロナ処理圏中を走過せしめられる。
【0014】
感光性層の下方、恒久的に残存する基礎シートの上方に薄い接着増進層を形成することができる。
【0015】
単一層もしくは複数層の感光性層は、一般的にネガチブ処理用であって、露光硬化性である。これはあらかじめ形成されている重合体を架橋することにより、あるいは重合可能の低分子量化合物を光重合することにより行われ得る。光重合性層は、現像液で洗除され得るポリマー結合剤、遊離基重合可能のエチレン性不飽和化合物および化学線、ことに長波長紫外線ないし短波長可視光線により活性化され得る重合開始剤を含有する。このような感光性層の組成は公知であって、例えば西独特願公開2456439号、欧州特願公開84851号、同456336号各公報、米国特許4072527号明細書に記載されている。結合剤としては、硬質ポリマーブロック、例えばスチレン/アクリロニトリルもしくはアクリラート単位と、ジエンポリマー、例えばブタジエンないしイソプレンの弾性ブロックとから成るブロック共重合体のようなエラストマーが、ことに有利に使用される。
【0016】
重合可能化合物としては、一般的に、エチレン性不飽和末端基、ことに隣接極性基により活性化される基、例えばカルボニル、カルボキシル、エステル、カルボキシルアミド基を有する化合物が使用される。
【0017】
重合開始剤としては、光重合性混合物に一般的に使用されている化合物、例えば上記特許刊行物に記載されている化合物が使用される。
【0018】
光性層は、さらに慣用の添加剤、例えば熱重合禁止剤、染料、光吸収変色性物質、酸化防止剤、可塑剤などを含有し得る。
【0019】
この層は、一般的に60から95、ことに70から95重量%の結合剤、5から40、ことに5から30重量%の重合可能化合物、および結合剤と光重合可能化合物の合計量に対して、0.01から10、ことに0.1から5重量%の光開始剤とを含有し、一般的に50から7000μm、ことに200から3000μmの厚さを有する。
【0020】
保護被覆シート上に施されるレリース層の作用は印刷版体の粘稠性を低減し、接触印刷の間の版体処理を容易ならしめることである。その厚さは一般的に0.1から10μmである。レリース層材料としては、ポリアミド、エチレン/ビニルアセタート共重合体、部分的に加水分解されたポリビニルアセタート、その他の熱可塑性重合体であって、現像液に溶解し得ものでなければならない。
【0021】
薄い接着性増進層、例えば市販の1成分のまたは2成分系の接着剤は、感光性層の接着性を良好ならしめるために、基礎シート上に施される。
【0022】
この層は0.5から30μm、ことに1から10μmの厚さを有し、ポリウレタンないしポリクロロプレンを基礎とする接着剤から構成される。
【0023】
基礎シートは、例えば金属またはプラスチックから成る加撓性で寸法安定性の良好なフィルムないしシートである。適当なプラスチックは、例えばポリエチレンテレフタラートのようなポリエステルから成り、両方向に配向され、熱硬化処理されるのが好ましく、厚さは50から300、ことに75から200μmである。
【0024】
保護被覆シートも同様の材料から形成され、プリント印刷版体の接触露光、保護被覆シートを介して行う場合には、これは当然のことながら透明でなければならない。その厚さは、一般に基礎シートとほぼ同様であるが、これより薄くすることもできる。
【0025】
光重合性印刷版体を製造するためには、基礎シートないしフィルムにまず接着増進剤施し、次いで感光性層がコーティングされる。コーティングは、一般に材料溶液の形態で行われ、乾燥により固体状層になされる。これはまた押出機により感光性材料混合物を溶融させ、均質化し、次いでスロットダイから押出され、カレンダーギャップに給送することにより形成され得る。接着剤形成化合物を施された基礎シートに軟質ないし粘稠材料がさらに施される。同時に、レリース層が接着されている保護被覆シートが給送され、感光性の対向面と接着される。両の接合前に、レリース層が施されている保護被覆シートが、コロナ処理圏に給送され、これを走過せしめられる。追加的な感光性層が、レリース層に施される場合には、レリース層も事前にコロナ処理に附されるが、いずれの場合にも追加層はカレンダー処理で形成される。この場合、コロナ処理は、両カレンダー処理前に行われる。さらに、基礎シートまたはその上に施された接着増進層は、必要に応じて、感光性層が施される前、またはこれとの接着の前に、コロナ処理に附される。
【0026】
このようにして形成された印刷版体は周知の態様で処理される。すなわち、感光性層は、保護被覆シートを透過して、あるいはこれを除去し、レリース層のみを透過して、接触露光により、画像形成される。露光印刷版体は、現像液洗除により、レリース層および感光性層の非露光帯域が除去され、現像される。感光性層の性質、ことにその結合剤の種類に応じて、適当な現像液は、有機溶媒、水と有機溶媒の混合液あるいは例えばアルカリ水溶液である。
【0027】
本発明方法により得られる感光性記録材料ないし印刷版体の場合には、保護被覆シートは、その下方のレリース層を全く傷害することなく、これから容易に除去され得るので、常に、正確、鮮明な複写がもたらされ得る。
【0028】
本発明による新規なコロナ処理の効果は、コロナ処理された面上に施される次の層に応じて相違する。コロナ処理された面を有する層が長時間貯蔵されてから、次の層が施される場合には、その間の接着性ないし接着力は、僅かに改善されるに止まるか、あるいは全く改善されない。接着の改善は、全く意外にも、次層のコーティングが、溶液または溶融体から形成されるか、あるいは積層によりまたはカレンダー処理により行われるかとは全く無関係である。コロナ処理による接着改善効果は、処理された面が軟化しても、あるいはカレンダー処理により溶融しても阻害されない。
【0029】
【実施例】
以下の実施例により、本発明をさらに具体的に説明する。ここで使用される量、パーセンテイジは、特に明示しない限り重量に関するものである。
【0030】
実施例1
厚さ125μmのポリエチレンテレフタラート保護被覆シート(東レ、Lumirror(登録商標)x43)に、ポリアミドレリース層(Henkel社、Makromelt(登録商標)6900)を厚さ5μmに形成し、ローラ処理した。
【0031】
80部のスチレン/イソプレン/スチレンブロック共重合体(Shell Oil社のKraton(登録商標)D1107)、5部のヘキサンジオールジメタクリラート、5部のヘキサンジオールジアクリラート、7部の液体パラフィン(ホワイトオイルS5000)、1部のパラフィンワックス、1部のベンジルジメチルケタール、1部の2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、0.006部のSudan Black(C.I.26150)から成る感光性混合物を、2軸押出機(ZSK53)により、溶融温度130℃、スループット30kg/hで混練し、スロットダイから排出した。ダイから押出された溶融体を、2ロールカレンダーギャップに給送した。カレンダーロール両者を80℃に加熱し、接着剤化合物混合物をコーティングした、厚さ125μmのポリエチレンテレフタラートフィルム(Mylar(登録商標))を、カレンダー上方ロールに給送し、ポリアミドレリース層を施した保護被覆シートをカレンダー下方ロールに給送した。保護被覆シートがカレンダーロールに接触すると、直ちにポリアミドレリース層が溶融し、その表面は粘稠状態となった。接着剤形成組成分の混合物が施されている基礎シート、感光性材料溶融体、レリース層が施されている保護被覆シートが、カレンダーギャップにおいて相互に接合接着された。この積層シートをサクションベルトで受領し、冷却した。
【0032】
Kalwar社の3kWの、金属電極コロナ処理装置を、保護被覆シート給送手段とカレンダー装置の間に設置した。レリース層を含む、処理されるべき保護被覆シートを、電極から1mmの間隔を置いてゴムロール上を走行させた。シートの幅は50cmで、その走行速度は60cm/分とした。コロナ処理電流は、0mAから100mAを経て200mAまで変化させた。保護被覆シートをそのロール巻回状態から巻き戻し、そのレリース層側の面をコロナ処理に附した。処理後のシートを2回変向させ(1回はレリース層と変向ロールとの接触により)、カレンダーロールに給送した。
【0033】
形成された印刷版体を保護被覆シートのレリース層に対する接着力と、レリース層の感光性層に対する接着力とに関する接着力テストに附した。
【0034】
接着力テストの諸条件、zwick社の引張強さテスター、引張角度90°、引張速度100mm/分、試料の幅2cm。
【0035】
レリース層の感光性層に対する接着力を測定するための試料は以下のようにして、すなわち、保護被覆シートをテスト試料としての積層帯片から除去し、この帯片の一方端部に接着テープを貼着し、次いでこの接着テープをレリース層と共に注意深く引き剥がし、引張強さ試験器に挟持させることにより作成した。
【0036】
接着力測定は、1週間後および4週間後に反覆して行われた。N/2cm幅で示される測定結果数値を下表1に示す。
【0037】
接着力測定と共に、保護被覆シートの剥離除去のテストを行った。保護被覆シートは、30x40cmの印刷版体の4隅角部から引き剥がされた。1隅角部においてレリース層が1cm以上下層から剥がれた場合には、試験結果不合格(層間剥離、有り)として記録された。
【0038】
【表1】
Figure 0004179658
この試験結果は各種の観点から予想外の好結果である。保護被覆シートの接着性数値は、コロナ処理と無関係に、低く0.03から0.07N/2までの範囲で変化している。レリース層の接着性数値は、コロナ処理されていない印刷版体の場合、0.06から0.08N/2の範囲であって、保護被覆シートよりも若干高い。コロナ処理した版体は、版体形成の1日後においては、それほど高いレリース層接着性を示さないが、1週間貯蔵後において、コロナ処理の効果は明白になる。また接着性数値は、コロナ処理電流と共に高くなる。200mAでコロナ処理し、4週間貯蔵した後の版体は、まさに理想的な結果を示した。すなわち、レリース層接着力は極めて高く、下層の感光性層から引き剥がすことはできなかった。他方において、保護被覆シートの接着性は、貯蔵後においても低いレベルのままであり、またこの保護被覆シートをオフラインコロナ処理に附した場合、接着力の増大は全く認められなかった。この接着性テストは、実際的な試験との相関性を示した。すなわち、印刷版体の作製直後、保護被覆シートは、レリース層の隅角部における剥離を伴うことなく、版体から剥離、除去し得た。貯蔵後、コロナ処理しなかった版体、オフライン処理した版体は、著しい層間剥離を示した。またインライン処理に附されたフレキソ印刷版体は、1週間および4週間の貯蔵後においてさえ満足すべき結果を示した。レリース層の層間剥離は全く認められなかった。
【0039】
インラインコロナ処理の効果が遅れて生起すること、コロナ処理の効果がカレンダーロールにおけるポリアミド層の溶融により軽減されないことは、全く予想外のことであった。
【0040】
実施例2
実施例1における厚さ125μmのポリエステルフィルム、同じく実施例1における厚さ5μmのポリアミドレリース層および感光性トップ層を有する積層帯片を以下のようにして作製した。
【0041】
10.1部の、実施例1における3ブロック共重合体、4.7部の46%のメチルメタクリラート、9%のアクリロニトリル、14%のブタジエンおよび31%のスチレンから成る四元共重合体、0.2部のAcid Blue92(C.I.13390)、85部のメチレンクロリドから成る溶液を、レリース層が設けられているポリエステル保護被覆シート上に施し、乾燥して、約50μm厚さのトップ層を感光性層として形成した。
【0042】
実施例1に述べた組成の、ただしSudan Blackを添加しない感光性層を、二軸押出機で処理し、スロットダイから押出し、カレンダーロール(両ロール共に80℃に加熱)間ギャップに給送した。接着剤形成化合物の混合物をコーティングした125μm厚さのポリエステルフィルムを上方カレンダーロールに給送し、保護被覆シート、レリース層およびトップ層から成る積層シートを下方カレンダーロール(両ロール間のカレンダーギャップ3.0mm)に給送した。これにより形成された積層シートを真空吸引ベルトで引き出し、冷却した。
【0043】
コロナ処理装置を積層シートと下方カレンダーロールの間に設置した。シート幅を50cm、走行速度を60cm/分とし、トップ層表面を、0、100、200mAのコロナ処理電流で処理した。次いで積層シートを2回変向(1回はトップ層を変向ロールと接触させて)して、カレンダーロールに給送した。
【0044】
1週間貯蔵した後、この積層シートから、以下のように処理して、印刷版体を作製した。
【0045】
(a)積層シート裏面からの非画像形成、事前UV露光(BASF社、FIII露光装置により35秒間)、
(b)保護被覆シートの除去、
(c)Nyloflex(登録商標)FARIIテストフィルム(BASF社)を、感光性トップ層上に裁置、
(d)フィルムを介して、減圧下主露光(同上露光装置により15分間)、
(e)版体の洗除(BASF社の連続洗除装置VFIII、走行速度150mm/分、現像液BASF社のnylosolv(登録商標)、30℃、レリーフ高さ1000μm)、
(f)65℃で2時間乾燥、
(g)事後露光(同上装置により10分間)、
(h)UV−C灯による後処理(BASF社のFIII後処理装置、10分間)。
【0046】
洗除時間を約50%、100%長くして(過剰洗除テスト、走行速度を100mm/分、75mm/分として)、さらに他の版体を作製した。テストフィルムの画素(200μmの間隔を置いたドット、50μmグリッド、60本/cmの2%スクリーン)が、版体のトップ層に正確に形成されているか否かを評価した。その結果を下表2に示す。
【0047】
【表2】
Figure 0004179658
表2は、すべての版体において、適正な洗除速度、すなわち現像速度でテスト画素が正確に形成されていることを示す。過剰洗除の場合にも、コロナ処理した版体にはテスト画素が正確に再現されている。コロナ処理しなかった版体では、画素が部分的もしくは完全に欠損している。
【0048】
上述した結果を総合して、トップ層のインラインコロナ処理が、トップ層とその下の感光性層との間の接着性を改善し、その結果、版体の過剰洗除に対する耐性を増大させ得ることが明らかになされた。
【0049】
実施例3
レリース層のインラインコロナ処理を、保護被覆シート/レリース層/トップ層から成る積層シートを作製している間、トップ層成形材料溶液の注下前のなるべく早い時期に行う他は、実施例2と同様の処理を反覆した。(シート幅50cm、シート走行速度60cm/分、コロナ処理電流200mA)。
【0050】
次いで、第2のインラインコロナ処理を実施例2と同様にして行った。この場合の電流も200mAとした。
【0051】
1週間の貯蔵後、積層フレキソ印刷版体をテストした。レリース層をトップ層から引き剥すことはできなかった。保護被覆シートを引き剥したが、層間剥離は全く認められなかった。また版体は過剰洗除に対しても安定的であった。すなわち洗除時間を100%延ばしても、トップ層とその下の感光性層との間の層間剥離は認められなかった。

Claims (11)

  1. 感光性層が積層体シートに積層され、または前記感光性層が溶融体または溶液として前記積層体シートに施され、前記積層体シートが保護被覆シートと、該保護被覆シートの上に最上層として積層されたポリアミドからなるレリース層とからなる、レリーフ印刷版体形成用の、感光性記録材料製造方法であって、前記積層体シートの前記レリース層の表面または前記感光性層の表面、これら表面相互の接着直前にコロナ処理に付されることを特徴とする感光性記録材料製造方法。
  2. 前記感光性層、その形成材料の溶融体または溶液として前記積層シートの最上層であるレリース層に施され、このレリース層が前記感光性層の施与前にコロナ処理に付されることを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
  3. 前記コロナ処理が連続的製造方法の一工程を成すことを特徴とする請求項1または2に記載の製造方法。
  4. 前記感光性層が、寸法安定性基礎シート上の固体状感光性層として存在することを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
  5. 前記感光性層が溶融体の押出しによりもたらされ、前記積層シートのレリース層との接着と同時に、このレリース層との接着面とは反対側の面が前記寸法安定性基礎シートとも接着されることを特徴とする請求項に記載の製造方法。
  6. 前記寸法安定性基礎シートが、接着増進層を担持することを特徴とする請求項またはに記載の製造方法。
  7. 前記寸法安定性基礎シートまたは前記接着増進層の表面が前記感光層との接着前に、コロナ処理に付されることを特徴とする請求項に記載の製造方法。
  8. 前記寸法安定性基礎シートがポリエステルフィルムであることを特徴とする請求項4または5に記載の製造方法。
  9. 保護被覆シートがポリエステルから形成されることを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
  10. 前記感光性層が、光重合可能の層であり、ポリマー結合剤、遊離基重合し得るエチレン性不飽和化合物および化学線により活性化され得る重合開始剤を含有することを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
  11. 使用されるポリマー結合剤がエラストマーであることを特徴とする請求項10に記載の製造方法。
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