JP4175946B2 - ロータリ耕耘作業機の耕深調整ハンドル構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ロータリ耕耘作業機の耕深調整ハンドル構造に関し、特に耕深調整ハンドルの使用時及び収納時の状態を変化させる技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、トラクタの後方に、トップリンク1本、ロワリンク2本を持つ3点リンク機構等の連結機構を介して昇降及び左右傾動自在に装着するロータリ耕耘作業機が知られている。そして、トラクタのPTO軸(動力取出し軸)から中央上部に配置されたベベルギヤボックスに動力が入力するようになっている。
ベベルギヤボックスの上方にはマストが設けられ、ベベルギヤボックスから左右両側方に延出されたメインビームの各中途部には支持プレートが固設されて、マストの前端にトップリンクの後端が枢支され、各支持プレートの前端にロワリンクの後端がそれぞれ枢支されている。
マストには耕深調整を行うために耕深調整軸の上部を枢支させてその回転により作業機のゲージ輪の高さを調整するようにしたものがある。
【0003】
この耕深調整軸の上端には耕深調整ハンドルが付設されており、該ハンドルを回転させることで調整を行うが、ロータリ耕耘作業機を前記リンク機構によって昇降させるときに、該ハンドルがトラクタのキャビン後部後方の諸部材、特にガラスなどに干渉する場合がある。
これを回避するため、従来知られている技術としては特許文献1に示されるように、ロータリ装置の耕耘調整ハンドルが、ハンドル軸に直交する操作姿勢とハンドル軸に沿う退避姿勢とに体勢変更自在にハンドル軸上端部に枢支されるハンドルと、そのハンドルを操作姿勢で弾力的に保持する保持体とを備える構成が開示されている。
【0004】
【特許文献1】
特許第2848765号公報
【0005】
本技術によると、三点リンク機構によってロータリ装置を上昇姿勢に姿勢変更したときに、耕深調整ハンドル装置のハンドルがキャビンのリアガラス等に衝突しても、保持体による挟持力以上の荷重が作用すれば、ハンドルは操作姿勢から退避姿勢に姿勢変更されるので、リアガラスなどを割ってしまうことを防止できる、としている。
【0006】
しかしながら、上記従来技術によると、挟持力以上の荷重が作用したときにはじめてハンドルが退避するようになっているので、キャビンなどの所定位置にある部材との干渉時には挟持力を調整することで一定の効力を有するものの、予定されない他の部材や作業者などと干渉すると、設定された挟持力が強すぎる場合には破損などを招く恐れがあり、弱すぎる場合には容易に退避してしまって作業性の低下を招く恐れがある。
【0007】
また、一旦退避した場合には、作業者が操作姿勢に手動で変更させなければならず、特に振動や保持体の調整不良によって容易に退避姿勢になると、その度に復帰操作をしなければならないため、作業効率の低下を招く恐れがある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記に鑑みてなされたもので、作業効率の向上を図りながら、諸部材の破損を防止するロータリ耕耘作業機の耕深調整ハンドル構造を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明の請求項1に係る発明は、ロータリ耕耘作業機の耕深調整操作を耕深調整軸を回転させて行う耕深調整ハンドルの構造であって、該耕深調整ハンドルが略L字状に屈曲した、長辺部および短辺部からなるハンドルアーム部と、該ハンドルアーム部の一端に配設した把持部から成り、該ハンドルアーム部をその他端から該耕深調整軸の少なくとも上端部近傍軸芯に設けた軸芯収納管部に押し入れて収納する収納状態と、ハンドルアーム部を引き出して該耕深調整軸上端に設けた切欠部に該ハンドルアーム部を係合させて回転させる耕深調整状態とを切り換え可能にし、ハンドルアーム部は、短辺部の長さを把持部を把持した時に手が干渉しない範囲で十分に短く構成するとともに、軸芯収納管部及び切欠部に連続した溝を穿設し、ハンドルアーム部にピンを突設させたことを特徴とするロータリ耕耘作業機の耕深調整ハンドル構造を提供する。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。本実施の形態は、サイドドライブ式のロータリ耕耘作業機に適用されている。まず、図1に示すロータリ耕耘作業機の斜視図及び、図2に示す同側面図を用いて、ロータリ耕耘作業機の全体構成から説明する。
【0012】
ロータリ耕耘作業機は、トラクタの後方に、トップリンク1本、ロワリンク2本を持つ3点リンク機構等の連結機構を介して昇降及び左右傾動自在に装着されるもので、中央上部に配置されたベベルギヤボックス1の上方にマスト4が設けられ、ベベルギヤボックス1から左右両側方(図の紙面に垂直方向)に延出されたメインビーム3の各中途部には支持プレート5が固設されて、マスト4の前端に図示省略のトップリンクの後端が枢支され、各支持プレート5の前端に図示省略のロワリンクの後端がそれぞれ枢支されている。
【0013】
トップリンク、各ロワリンクは油圧装置に連係しており、ロータリ耕耘作業機は油圧装置によって昇降作動されるようになっている。各支持プレート5の後端にはデプスフレーム6が枢支されている。また、トラクタのPTO軸(動力取出し軸)が図示省略のユニバーサルジョイント付ドライブ軸を介してベベルギヤボックス1に突設された入力軸2に連結され、PTO軸からの動力が入力軸2に伝動されるようになっている。
【0014】
ベベルギヤボックス1内にはベベルギヤ群が設けられ、ベベルギヤボックス1から一側方に延出したメインビーム3の端部にチェーンケース7が取付けられ、他側方に延出したメインビーム3の端部にはサイドフレーム8が取付けられている。そして、チェーンケース7の下部とサイドフレームの下部との間に、それぞれ軸受を介してロータリ耕耘爪軸9が回動自在に軸架されている。
【0015】
チェーンケース7には、入力スプロケット、チェーン及び出力スプロケット等からなるチェーン伝動機構が内装され、その入力スプロケットはベベルギヤ群のギヤ出力を伝動する伝動軸11に固定され、出力スプロケットはロータリ耕耘爪軸9に連係する出力スプロケット軸に固定されている。
このようにして、ロータリ耕耘爪軸9は、トラクタのPTO軸からの動力により、入力軸2、ベベルギヤ群、伝動軸11及びチェーン伝動機構等を介して回転駆動されるようになっている。そして、このロータリ耕耘爪軸9に、複数の耕耘爪12が放射状に取り付けられて耕耘部13が構成されている。
【0016】
耕耘部13の直上方には、この耕耘部13の上方を覆うロータリカバー14が設けられている。ロータリカバー14は、両側板部14aの部分でチェーンケース7の内側及びサイドフレームに、それぞれボルト締結等により固定されている。ロータリカバー14の前方には、耕耘部13の前方を覆うフロントカバー15が、メインビーム3から延出されたステー16にボルト締結により取付けられている。 また、ロータリカバー14の後方には、耕耘部13の後方を覆うリヤカバー10が、ヒンジ17により上下方向に揺動可能に取付けられている。
【0017】
また、ロータリカバー14の後部上面にはボルト18締結によりブラケット19が斜め後方上方に向けて取付けられ、このブラケット19の上端部、即ち、当該ブラケット19及びロータリカバー14等を介して作業機本体側に設けられた摺動部20とリヤカバー10の後方寄りの上面側との間に、ハンガーロッド21が、リヤカバー10を釣支するように設けられている。ハンガーロッド21の一端はリヤカバー10の後方寄りの上面側に枢支され、他端側は摺動部20に摺動自在に支持されており、リヤカバー10と連動してハンガーロッド21が摺動する。
【0018】
以上のような構成のロータリ耕耘作業機において、本発明の参考例では、マスト4とデプスフレーム6とに耕深調整軸22を架設し、その上端には耕深調整ハンドル30が付設されている。
図3には、耕深調整軸22及び耕深調整ハンドル30の機構を示す側面断面図を示す。
【0019】
耕深調整軸22は内部に回転軸23を備えて上端の軸支部24で回転自在に軸支し、回転軸23上端が耕深調整ハンドル30の接続部31と固定されている。接続部31からはハンドルアームの基部32を突設し、その他端における回動支点32aでハンドルアームのロッド部33とピン35で回動自在に連結されている。さらに、ロッド部33の中途で屈曲し、上端に作業者が把持して操作する把持部34を設けている。
把持部34はロッド部33と回転自在であって、接続部31等が回転しても把持部34は自転することなく操作を行うことができる。
【0020】
本構成において、回動支点32aには、付勢手段としてコイルバネ36を備え、その一端は基部32に、他端はロッド部33にそれぞれ固定されている。また、コイルバネ36の作用方向は、回転軸23の径外方向にロッド部33(屈曲部までの部分)が向くように設定されている。すなわち、基部32及びロッド部33(屈曲部までの部分)が略直線(図3におけるBの位置になる状態)となるように構成している。
【0021】
以上の構成により、ハンドルアームの特に把持部34等が他の諸部材と干渉した場合には、ロッド部33・把持部34がコイルバネ36に抗して回動支点32aで自在に回動し、他の部材を損傷することを効果的に防止することができる。特に、上記従来の技術では、所定の挟持力を設定しておき、それを超えた場合に、はじめてハンドルアームが収納されていたが、本発明の構造を取ることで干渉時の力に応じて変形するため、干渉の態様や対象物に応じて適宜変形することで部材の損傷を防止することができる。
【0022】
そして、干渉状態から解放されると、従来は手作業で復帰動作を行わなければならなかったが、本発明ではコイルバネ36の作用によって自動的に耕深調整状態に復帰するようになる。これにより、作業効率の向上が図られる。
ここで、付勢手段には、上記コイルバネに限らず、ゴムやプラスチックなどの弾性部材、スプリングバネや板バネなど任意のバネ部材を用いることができる。
【0023】
また、上記回動支点32aにおける回動角度の範囲を予め定め、ロッド部33や把持部34が回動によって別の部材と干渉することを防止できる。例えば、概ね上方に90度(図3におけるCの位置)から下方に90度(図3におけるAの位置)の範囲に設定することにより、十分な回動が得られる。
本構成の実施方法は任意であるが、例えば基部32に突起を設けてロッド部33が該突起により規制されるようにすると簡易に実現できる。
上記回動範囲は上方及び下方が非対称であって、例えば下方には60度までしか回動しないように構成してもよい。
【0024】
次に、本発明の実施形態として、図4及び図5に示す耕深調整ハンドル構造を提供する。
本実施形態では、略L字状に屈曲した角棒体のロッド部41とその先端に回転自在に付設された把持部42から成る耕深調整ハンドル43を備える。そして、耕深調整軸22の回転軸40の軸芯を中空にして軸芯収納管部40aを設けると共に、ロッド部41の他端を該軸芯収納管部40aに押し入れて収納できるように構成した。このとき、ロッド部41は長辺部及び短辺部の略L字状で構成する。
回転軸40の上端には該ロッド部の断面に対応する切欠44・45が刻まれている。
【0025】
本構成において、収納時には図4に示すようにロッド部41の長辺部ほぼ全体が軸芯収納管部40aに収納される一方、耕深調整時にはそれを引き出し、ロッド部41を該切欠44・45に嵌入させて耕深調整軸22の回転軸40を回転させる。
このように耕深調整ハンドルを軸芯収納管部に押し入れて収納する収納状態と、ハンドルアームを引き出して切欠に該ハンドルアームを係合させて回転させる耕深調整状態とを切り換え可能にすることによって、通常は回転軸40に収納して耕深調整ハンドル43がキャビン後部などと干渉することがないようにする一方、操作時には簡便に調整が行えるように構成した。
【0026】
ここで、本実施形態におけるハンドルアームは長辺部と短辺部で略L字状を構成し、特に短辺部の長さを把持部42を把持した時に手が干渉しない範囲で十分に短く構成するのが望ましい。すなわち、図4に示されるように収納時において短辺部が回転軸40の径外方向に突出するため、短辺部が回転軸40の外径と略同位置程度で収まるようにすると他部材との干渉が防止でき好適である。
【0027】
また、収納状態と耕深調整状態の切り換え時にロッド部41が抜け落ちないような構成として、図6に示すように軸芯収納管部40a及び切欠45に連続したL字形の溝46を穿設し、ロッド部41にピン47を突設させて該ピン47が溝46内を摺動するように構成することもできる。
【0028】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の請求項1によると、ハンドルアーム部を耕深調整軸の少なくとも上端部近傍軸芯に設けた軸芯収納管部に押し入れて収納する収納状態と、ハンドルアーム部を引き出して該耕深調整軸上端に設けた切欠部に該ハンドルアーム部を係合させて回転させる耕深調整状態とを切り換え可能にするので、収納状態ではハンドルアーム部が他の諸部材に干渉することがなく部材の損傷を防止することができる。
また、耕深調整はハンドルアーム部を引き出すだけですぐに調整が可能であり、好適な作業性を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係るロータリ耕耘作業機の斜視図。
【図2】 同、側面図。
【図3】 本発明の参考例にかかる耕深調整軸及び耕深調整ハンドルの機構を示す側面断面図。
【図4】 本発明の実施形態にかかる耕深調整軸及び耕深調整ハンドルの機構を示す側面断面図(収納状態)。
【図5】 同、(耕深調整状態)。
【図6】 同、別実施例。
【符号の説明】
22 耕深調整軸
23 回転軸
24 軸支部
30 耕深調整ハンドル
31 接続部
32 基部
32a 回動支点
33 ロッド部
34 把持部
35 ピン
36 コイルバネ
Claims (1)
- ロータリ耕耘作業機の耕深調整操作を耕深調整軸を回転させて行う耕深調整ハンドルの構造であって、該耕深調整ハンドルが略L字状に屈曲した、長辺部および短辺部からなるハンドルアーム部と、該ハンドルアーム部の一端に配設した把持部から成り、該ハンドルアーム部をその他端から該耕深調整軸の少なくとも上端部近傍軸芯に設けた軸芯収納管部に押し入れて収納する収納状態と、ハンドルアーム部を引き出して該耕深調整軸上端に設けた切欠部に該ハンドルアーム部を係合させて回転させる耕深調整状態とを切り換え可能にし、前記ハンドルアーム部は、前記短辺部の長さを前記把持部を把持した時に手が干渉しない範囲で十分に短く構成するとともに、前記軸芯収納管部及び前記切欠部に連続した溝を穿設し、前記ハンドルアーム部にピンを突設させたことを特徴とするロータリ耕耘作業機の耕深調整ハンドル構造。
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