JP4175444B2 - タイヤ加硫装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車等に装着使用される空気入りタイヤを整形加硫するタイヤ加硫装置に係り、特に型締力が本体フレームに直接作用しない形式のタイヤ加硫装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
タイヤ加硫中においては、タイヤ内方に導入される加熱加圧媒体の作用により、同タイヤ加硫用の金型を開こうとする力が生じる。タイヤ加硫装置には、その力に抗して同金型を閉状態に保持させる型締機構が設備されており、この型締機構の型締力は、同金型の上型部が取付けられる上ボルスタープレート、同金型の下型部が取付けられる下ボルスタープレート、厚さの異なる同金型を装着可能とする金型厚調整手段、並びに上ボルスタープレート及び下ボルスタープレートを着脱可能に連結する手段を介して同金型に伝えられ、同型締力が本体フレームに直接作用しない形式となっている。このようなタイヤ加硫装置としては、すでに特公昭57−55593号、特公平1−24049号、特開平8−258049号、特公平7−2332号等の公報にその技術が開示されている。
【0003】
上記従来のタイヤ加硫装置においても、加硫工程に先立って実施される整形(シェーピング)工程では、タイヤ内方に導入される整形用圧力媒体(圧力は上記加硫用加熱加圧媒体の約10%弱)の作用により生じる力に抗して同金型を閉じていく必要があり、この整形反力から上記上型部やその他の昇降部材の自重を差し引いた残りの力を昇降手段が出力(引き下げ力)して、同金型が閉じられることとなる。
したがって、上記特公昭57−55593号や特開平8−258049号公報に開示された構成のタイヤ加硫装置では、『上記引き下げ力×金型と昇降シリンダの中心間距離』の曲げモーメントが、上記上ボルスタープレートが取付けられる昇降テーブルに作用するとともに、左右の金型で加硫されるタイヤのサイズが異なる場合、特に片肺運転時には上記昇降テーブル用ガイド部材(スライドブッシュ、通称カムフォロアと呼ばれている軸付ローラ、または通称LMガイドと呼ばれている鋼球入直動ベアリング)を介して本体フレームのガイド支柱部にこの曲げモーメントが作用することから、整形中の上下型部の平行度及び同芯度を低下させることとなり、タイヤ品質の低下や金型損耗の要因となっている。
一方、上記特公平1−24049号公報に開示されている構成では、金型の両側に上記昇降シリンダが配置されているので、上記昇降テーブルに作用する曲げモーメントが上記開示技術に比し半減されるとともに、理論的にはこの曲げモーメントが本体フレームのガイド支柱部に直接作用しないようにできる点で上記開示技術よりも改良されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した従来の技術では、現実問題として、断熱材が使用されてはいるが、昇降テーブルと本体フレームとの間に生じる温度差による熱膨張差は無視できない。そのため、ガイド部にはスライドガイドまたはカムフォロアを使用し、この熱膨張差に見合うクリアランスを設ける必要がある。それに加え、昇降シリンダのパッキン抵抗差等による出力差や金型の取付誤差によって昇降テーブルを傾斜させようとするモーメントが生じる。このモーメントは、上記ガイド部材を介してガイド支柱間の距離を拡大させ、同昇降テーブルの傾斜を増加させる方向に作用することから、整形中の上下型部の平行度及び同芯度を低下させることとなり、タイヤ品質の低下や金型損耗の要因となる。したがって、これら要因を極力軽減させるには、本体フレームを強固なものとせざるを得ない状況にある。
【0005】
本発明はこのような実状に鑑みてなされたものであって、その目的は、タイヤ品質の低下や金型損耗の要因を軽減し、コストダウンを図ることが可能なタイヤ加硫装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記従来技術の有する課題を解決するために、本発明においては、タイヤ加硫用金型の上型部が取付けられる上ボルスタープレートと、前記金型の下型部が取付けられる下ボルスタープレートと、タイヤ加硫中の前記金型に型締力を付与する加圧シリンダの出力を前記上下ボルスタープレートに伝える着脱可能な連結手段とを備えたタイヤ加硫装置において、前記下ボルスタープレートが上方に組付けられた本体フレームのベース部と、前記金型の一側方の片側のみに立設され、下端が前記ベース部に固定されたガイド支柱部と、前記ガイド支柱部にガイド部材を介して昇降可能に組付けられ、下方に前記上ボルスタープレートが組付けられた昇降テーブルと、前記金型の中心に対して対称に配置され、前記ベース部及び前記昇降テーブル間に組付けられた昇降テーブル用昇降駆動手段とを備えている。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図示の実施の形態に基づいて詳細に説明する。ここで、図1は本発明の第1実施形態に係るタイヤ加硫装置の一部を図示省略した正面図、図2は同平面図である。
【0008】
本実施形態のタイヤ加硫装置は、図1及び図2に示す如く、本体フレーム1にタイヤ加硫用金型Mを組付けてタイヤTを加硫するもので、据付架台2の上部に本体フレーム1のベース部1aを有している。また、同金型Mの一側方の片側のみには、下端がベース部1aに固定された本体フレーム1のガイド支柱部1bが立設され、ベース部1aの上面には、短ストロークの加圧シリンダが一体化された下ボルスタープレート3がボルト締めされている。
下ボルスタープレート3の上面側にはリング状溝(凹部)3aが形成され、同リング状溝3aにはドーナツピストン5が挿入配置されている。また、同ドーナツピストン5の内外周円筒面とリング状溝3aとの間には、Uパッキン等の公知のシール部材4が嵌入されており、下ボルスタープレート3とドーナツピストン5で囲まれた圧力室6には図示省略の管路を介して圧力流体が導入できる構成とされている。なお、上記金型Mの下金型Maは、断熱板7及び下熱板8を介してドーナツピストン5に取付けられている。
【0009】
上記本体フレーム1のベース部1aの上方位置には、昇降テーブル14が設けられており、同昇降テーブル14は、金型Mの中心線Z−Zと平行にガイド支柱部1bに固定された二本のLMレール16と、同LMレール16に係合し、各LMレール16の上下に2個ずつ配置されたLMガイド15とからなるガイド部材を介して、ガイド支柱部1bに昇降可能に組付けられている。
また、上記本体フレーム1のベース部1aには、昇降テーブル14用の昇降シリンダ17がボルト締めされており、同昇降シリンダ17は金型中心線Z−Zに対して対称に配置されている。しかも、同昇降シリンダ17のピストンロッド17aの上端は昇降テーブル14にねじ止め固定されており、同昇降シリンダ17の作用により昇降テーブル14が昇降するようになっている。
【0010】
そして、上記昇降テーブル14の四隅には、複数本(本実施形態では4本)のタイロッド19の上端が公知手段で固定され、同タイロッド19は金型中心線Z−Zと平行に上下方向へ沿って配置されている。また、タイロッド19の下端部は、下ボルスタープレート3に穿設した貫通穴3bを通過可能となっており、同部に形成した溝19bにU字キー(タイロッド連結手段)20を駆動手段(図示省略)の作用により挿入すると、同タイロッド19の下端部は下ボルスタープレート3から抜出し不能にロックされ、U字キー20を外すと同部が下ボルスタープレート3から抜出し可能になるように構成されている。
昇降テーブル14の下方には、上ボルスタープレート13が配設されており、同上ボルスタープレート13の下面側には断熱板12及び上熱板11を介して前記金型Mの上型部Mbが取付けられている。また、上ボルスタープレート13は、高さの異なる金型Mを交換取付け可能とするため、ナット18及びタイロッド19の雄ネジ部19aからなる金型厚調整機構を介してタイロッド19に組付けられている。したがって、上記ナット18は上ボルスタープレート13に回転可能に組込まれ、上記雄ネジ部19aは同ナット18の内周に形成された雌ネジと螺合すべくタイロッド19の上部外周に形成されている。そして、各ナット18の上部には、チェーンホィール18aが一体化され、同チェーンホィール18aと図示省略の駆動手段との間にチェーン21が掛け渡されており、同駆動手段の作用により各ナット18を同時に回転させて、取付けた金型Mの高さに応じて上下ボルスタープレート13,3の間隔が調整できるようになっている。
【0011】
なお、本実施形態においては、金型Mとして通称2ピースモールドと呼ばれている上下に二分割された金型が取付けられた図になっているが、通称セクショナルモールドと呼ばれているトレッド型部分が周方向に複数に分割された形式の金型も取付可能である。また、本実施形態のタイヤ加硫装置では、加硫されるタイヤTの内方にブラダを出入し、同ブラダを介してタイヤ内方に加熱加圧媒体などを給排する公知の下部中心機構9と、上記トレッド型の開閉等を行う公知の上部中心機構10を装備しているが、いずれも公知ゆえ詳述は省略する。さらに、金型Mの外周部には、図示省略の円筒状保温板が装備されている。
【0012】
次に、本発明の第1実施形態に係るタイヤ加硫装置の作用について説明する。
まず、U字キー20を外してタイロッド19の下端部と下ボルスタープレート3とのロックを解除する。そして、昇降シリンダ17の作用により、昇降テーブル14、タイロッド19及び上ボルスタープレート13を介して上型部Mbを上昇させてタイヤ加硫用金型Mを開く。しかる後、図示省略の手段により未加硫タイヤTを吊り込み、ブラダ内方に微圧を供給して同タイヤTの内方に同ブラダを膨張挿入させる。
次いで、昇降シリンダ17を逆方向へ作用させることにより、金型Mを中間位置まで閉じ、同タイヤTのビード部が上下型部Ma,Mbに着座したら、ブラダを介してタイヤTの内方に整形用圧力媒体を導入する。すると、この圧力媒体の作用により生じる金型Mを開こうとする力に抗して同金型Mを閉じていく公知の整形工程が行われる。この間、昇降シリンダ17は、整形反力から昇降テーブル14等の昇降可動部の自重を差し引いた残りの力(引き下げ力)fを出力することとなる。
【0013】
金型Mが閉じ終わったら、U字キー20を挿入してタイロッド19の下端部を下ボルスタープレート3にロックし、その後、上記ブラダを介してタイヤTの内方に加熱加圧媒体を導入して公知の加硫工程に入る。この加熱加圧媒体の作用により生じる同金型Mを開こうとする力に抗して同金型Mを閉状態に保持させるために、U字キー20の挿入が終了したら圧力室6内に圧力流体を導入し、型締力Fを発生させてから加熱加圧媒体が導入され、加硫工程が終了して加熱加圧媒体が排出されるまでの間、型締力Fは保持される。この型締力Fは、ドーナツピストン5、断熱板7及び下熱板8を介して下型部Maに伝えられるとともに、その反力は下ボルスタープレート3、U字キー20、タイロッド19、ナット18、上ボルスタープレート13等を介して上型部Mbに伝えられるので、ガイド支柱部1bには同型締力Fが直接的には作用しない。
そして、タイヤTの加硫が終了したら加熱加圧媒体が排出され、圧力室6内の圧力流体が排出されてからU字キー20が外され、上記と逆の手順で金型Mを開く。その後、加硫済みのタイヤが図示省略の手段により取り出され、次に加硫される未加硫タイヤTの吊り込みを待機することになる。
【0014】
上記整形工程中、金型Mの中心と昇降シリンダ17の中心との距離をL1とすると(図2参照)、昇降テーブル14に作用する曲げモーメントは、前記特開平8−25804号公報に開示された実施例(以下、公知機Aという)ではL1×fとなり、特公平1−24049号公報に開示された実施例(以下、公知機Bという)ではL1×f/2となる。
これに対して、本発明の第1実施形態では、昇降シリンダ17の中心とタイロッド19の中心とのX−X線方向距離をL2(図2参照)、タイロッド19の中心と金型Mの中心とのY−Y線方向距離をL3とすると、曲げモーメントは、(L2とL3の大きい方)f/2となり、公知機Bと同等以下となる。また、ガイド部材のLMガイド15及びLMレール16を介してガイド支柱部1bに伝えられる曲げモーメントは、昇降シリンダ17のパッキン抵抗差等による出力差や金型Mの取付誤差により生じるモーメントとなり、公知機AではL1×fであるのに比し、本第1実施形態においては桁違いに小さくなる。
【0015】
本発明の第1実施形態に係るタイヤ加硫装置では、LMガイド15及びLMレール16が金型Mの一側方のみに配設されているので、これらLMガイド15及びLMレール16にクリアランスを設ける必要はなく、ガイド支柱部1bのたわみにより上又は下のガイド部(LMガイド15の取付位置)が開くことによる昇降テーブル14の傾斜増もなくなり、同ガイド支柱部1bに伝えられる曲げモーメントによって生じる前記公知機Bの昇降テーブルの傾斜問題が解消されているとともに、同ガイド支柱部1bの本数も減少されている。
また、本発明の第1実施形態では、後述する第2実施形態と対比すると明らかな如く、加圧シリンダが下ボルスタープレート3に一体化されているので、第2実施形態の強度部材である下ボルスタープレート又はベース梁のどちらか一方を省略でき、コストダウンを図ることができる。
【0016】
図3は本発明の第2実施形態に係るタイヤ加硫装置の一部を図示省略した正面図、図4は同平面図である。
図3及び図4において、上記第1実施形態と同一部位には同一符号を付して説明は省略し、差異の部分についてのみ説明する。
本体フレーム101は、据付架台2の上部に設置されるベース梁101aと、金型Mの一側方に立設され、かつ下端がベース梁101aに固定されたガイド支柱部101bと、金型Mの他側方に立設され、下端がベース梁101aに固定された補助ガイド支柱部101cとをそれぞれ有している。また、本発明の第2実施形態においては、ガイド支柱部101bの上端と補助ガイド支柱部101cの上端とが互いに連結梁101dで連結されているが、他の部分101a,101b,101cの剛性如何によっては連結梁101dを省略してもよい。
【0017】
本体フレーム101のベース梁101aの上方には、下ボルスタープレート102が配設されており、同下ボルスタープレート102の上部には断熱板7及び下熱板8を介して金型Mの下型部Maが取付けられている。また、下ボルスタープレート102の下面には、複数の短ストローク加圧シリンダ103が固定されており、同下ボルスタープレート102は、加圧シリンダ103、同加圧シリンダ103のピストンロッド104の雄ネジ部104a及びナット105からなる金型厚調整機構を介してベース梁101aに取付けられている。
このため、上記雄ネジ部104aはピストンロッド104の外周に形成され、上記ナット105はベース梁101aに回転可能に組込まれ、内周に上記雄ネジ104aと螺合する雌ネジが形成されている。また、各ナット105の上部には、チェーンホィール105aが一体化され、同チェーンホィール105aと図示省略の駆動手段との間にチェーン106が掛け渡されており、同駆動手段の作用により各ナット105を同時に回転させて、取付けた金型Mの高さに応じて下ボルスタープレート102の高さを調整できるように構成されている。
【0018】
下ボルスタープレート102の上方には、上記第1実施形態の昇降テーブルと一体化された構造の上ボルスタープレート107が配設されており、同上ボルスタープレート107の下面側には断熱板12及び上熱板11を介して金型Mの上型部Mbが取付けられている。そして、上ボルスタープレート107は、図4中においてX−X線方向の荷重を支持する主ガイド部材と、図4中においてY−Y線方向の荷重を支持する補助ガイド部材とにより、本体フレーム101に昇降可能に組込まれている。
上記主ガイド部材は、金型Mの中心線Z−Zと平行にガイド支柱部101bに固定された二本のレール108と、同レール108の側面を転動し、軸が上ボルスタープレート107に固定された4対のカムフォロア109とから構成されている。また、上記補助ガイド部材は、金型Mの中心線Z−Zと平行にガイド支柱部101b及び補助ガイド支柱部101cに固定された複数のレール110と、同レール110の側面を転動し、軸が上ボルスタープレート107に固定された4対のカムフォロア111とから構成されている。したがって、昇降テーブルと一体化した上ボルスタープレート107は、金型Mの中心線Z−Zに対して対称に配置されている昇降シリンダ17の作用により、昇降するようになっている。
なお、各カムフォロア109,111とレール108,110とのクリアランスを0にするため、少なくともカムフォロア109,111の半数は公知の偏芯軸形であることが望ましい。
【0019】
そして、上ボルスタープレート107の四隅には、複数本(本実施形態では4本)のタイロッド113の上端部113aが公知手段で固定され、同タイロッド113は金型中心線Z−Zと平行に上下方向へ沿って配置されている。また、タイロッド113の下端部は、ベース梁101aに穿設した貫通穴101eを通過可能となっており、同部に形成した溝113bにU字キー20を駆動手段(図示省略)の作用により挿入すると、タイロッド113の下端部はベース梁101aから抜出し不能にロックされ、U字キー20を外すと同部がベース梁101aから抜出し可能になるように構成されている。
【0020】
次に、本発明の第2実施形態に係るタイヤ加硫装置の作用について説明する。
すなわち、本第2実施形態において、タイヤ加硫中の金型Mを閉状態に保持する加圧シリンダ103の出力Fは、下ボルスタープレート102等を介して下型部Maに伝えられ、その反力Fは金型厚調整機構を構成するピストンロッド104の雄ネジ部104aやナット105、ベース梁101a、U字キー20、タイロッド113、上ボルスタープレート107等を介して上型部Mbに伝えられるが、上記第1実施形態とは加圧シリンダ103や金型厚調整機構の構成は異なり、この型締力Fがベース梁101aに作用する点で差異はあるが、ガイド支柱部101bに型締力Fが直接的には作用しない点で同じである。
また、上記昇降シリンダ17のパッキン抵抗差等による出力差や金型Mの取付誤差によって生じるモーメントのうち、上ボルスタープレート107のY−Y線及びZ−Z線を含む断面を傾ける成分を主ガイド部材のレール108及びカムフォロア109で、同X−X線及びZ−Z線を含む断面を傾ける成分を補助ガイド部材のレール110及びカムフォロア111で分担させる点において、上記第1実施形態と差異がある。
【0021】
以上の説明より明らかな如く、本発明の第2実施形態においても上記第1実施形態と同様の効果が得られる。
但し、補助ガイド支柱部101cを備えている点で上記第1実施形態よりも部材数は増している。ところが、本第2実施形態は、図示省略の付属装置との関係からスペース的制約を受けることにより、レール108の間隔が十分に確保できなかったという不具合を解消するために補助ガイド支柱部101cを装備したものであるから、これらの間隔が十分に確保でき、上ボルスタープレート107のX−X線及びZ−Z線を含む断面を傾ける上記モーメント成分をガイド支柱部101bに伝えられれば、補助ガイド支柱部101cは省略できる。
仮に、昇降テーブルと上ボルスタープレート107とを別体とした場合、上記第1実施形態の説明より明らかな如く、両者は同じ動きをするとともに、型締力Fに対し昇降テーブルの所要引き下げ力fは10%以下であるから、同型締力Fに耐える強度を有する上ボルスタープレート107は引き下げ力fにも十分耐えるはずであり、ガイド部材のカムフォロア109,111を取付けるブラケットなどを昇降テーブルから上ボルスタープレートに移した構成、すなわち本第2実施形態の上ボルスタープレート107とすることにより、上記昇降テーブルの主部を省略できる。
【0022】
図5は本発明の第3実施形態に係るタイヤ加硫装置の一部を図示省略した正面図、図6は同側面図、図7は同平面図である。
図5〜図7において、上記第1実施形態と同一部位には同一符号を付して説明は省略し、以下に差異の部分についてのみ説明する。
本第3実施形態のタイヤ加硫装置においては、図示省略のタイヤ加硫用金型Mが二組取付け可能(金型Mの中心線がZ1−Z1及びZ2−Z2)とされており、本体フレーム201は、据付架台2の上部に設置されるベース梁201aと、2組の金型Mの中間に立設され、かつ下端がベース梁201aに固定されたガイド支柱部201bとをそれぞれ有している。
また、本体フレーム201のベース梁201aの上方には、各金型Mと対応して下ボルスタープレート202がそれぞれ配設されており、同下ボルスタープレート202の上部には断熱板7及び下熱板8を介して各金型Mの下型部Maが取付けられている。各下ボルスタープレート202の下面には、複数の短ストローク加圧シリンダ203が固定されており、同下ボルスタープレート202は、加圧シリンダ203、同加圧シリンダ203のピストンロッド204の雄ネジ部204a及びナット205からなる金型厚調整機構を介してベース梁201aに取付けられている。
このため、上記雄ネジ部204aはピストンロッド104の外周に形成され、上記ナット205はベース梁201aに回転可能に組込まれ、内周に上記雄ネジ204aと螺合する雌ネジが形成されている。また、各ナット205の下部には、図示省略のチェーンホィールが固定され、同チェーンホィールと駆動手段206との間にチェーンが掛け渡されており、同駆動手段206の作用により各下ボルスタープレート202用のナット205が同時に回転され、各下ボルスタープレート202は個別に昇降するように構成されている。
【0023】
各下ボルスタープレート202の上方には、上記第1実施形態の昇降テーブルと一体化された構造の上ボルスタープレート207が配設されており、同上ボルスタープレート207の下面側には断熱板12及び上熱板11を介して各金型Mの上型部Mbが取付けられている。そして、各上ボルスタープレート207は、それぞれ金型中心線Z−Z(Z1−Z1、Z2−Z2)と平行にガイド支柱部201bに固定された二本のレール208と、同レール208の側面を転動し、軸が上ボルスタープレート207に固定された図7中の左右方向であるX−X線方向の荷重を支持する複数対のカムフォロア209と、図7中の前後方向であるY−Y線方向(Y1−Y1、Y2−Y2)の荷重を支持する複数対のカムフォロア210とからなるガイド部材により、ガイド支柱部201bに昇降可能に組付けられている。したがって、各上ボルスタープレート207は、金型Mの各中心線Z−Zに対して対称に配置されている昇降シリンダ17(各上ボルスタープレート207につき二本)の作用により、個別に昇降するようになっている。
なお、各カムフォロア209,210とレール208とのクリアランスを0にするため、少なくともカムフォロア209,210の半数は公知の偏芯軸形であることが望ましい。
【0024】
そして、上ボルスタープレート207の周辺部には、複数本(本実施形態では左右各3本ずつ)のタイロッド213の上端部が間隔を開けて公知手段で固定され、同タイロッド213は各金型中心線Z−Zと平行に上下方向へ沿って配置されている。また、タイロッド213の下端部は、ベース梁201aに穿設した貫通穴(図示省略)を通過可能となっており、同部に形成した溝213aにU字キー20を図示省略の駆動手段の作用により挿入すると、同タイロッド213の下端部はベース梁201aから抜出し不能にロックされ、同U字キー20を外すと同部がベース梁201aから抜出し可能になるように構成されている。
【0025】
なお、本実施形態のタイヤ加硫装置では、金型Mの外周部に配置した公知の円筒状保温板211,212、未加硫タイヤを金型M内に吊り込むためガイド支柱部201bの前面側に取付けた公知のローダ214、加硫済タイヤを金型M内から吊り出すためガイド支柱部201bの後面側に取付けた公知のアンローダ215を装備しているが、いずれも公知ゆえ詳述は省略する。
また、図5及び図6は上ボルスタープレート207が上昇限にある状態を示しており、図5の細線は上ボルスタープレート207が下降限にある状態を示しており、左側の下ボルスタープレート202は背丈の高い金型装着のために下げられた状態を、右側は背丈の低い金型装着のために上げられた状態を示している。
【0026】
次に、本発明の第3実施形態に係るタイヤ加硫装置の作用について説明する。
すなわち、本第3実施形態において、タイヤ加硫中の金型Mを閉状態に保持する加圧シリンダ203の出力Fは、下ボルスタープレート202等を介して下型部Maに伝えられ、その反力Fは金型厚調整機構を構成するピストンロッド204の雄ネジ部204a及びナット205、ベース梁201a、U字キー20、タイロッド213、上ボルスタープレート207等を介して上型部Mbに伝えられるが、上記第1実施形態とはこの型締力Fがベース梁201aに作用する点で差異はあるが、上記第2実施形態とは同じであり、また、ガイド支柱部201bに同型締力Fが直接的に作用しない点では上記第1実施形態及び第2実施形態と同じである。
なお、左右の上ボルスタープレート207を一体化すると、左右の金型Mで加硫されるタイヤの仕様差による左右の型締力の設定誤差やタイロッド213等の加工組立誤差により、一部のタイロッド213等に異常荷重が作用する可能性があるため、本実施形態では一体化を避けている。
また、整形時に必要な上記引き下げ力f(昇降シリンダ2本あたりの出力)×(金型中心線Z−Zと昇降シリンダ17の中心との距離L1)のモーメントがガイド部材のレール208及びカムフォロア209,210を介してガイド支柱部201bに伝えられるのではなく、昇降シリンダ17のパッキン抵抗差等による出力差や金型Mの取付誤差によって生じるモーメントのみがガイド部材のレール208及びカムフォロア209,210を介してガイド支柱部201bに伝えられる点で、上記第1実施形態と同じである。
【0027】
以上の説明より明らかな如く、本発明の第3実施形態においても上記第1実施形態と同様の効果が得られる。
仮に、第1実施形態の如く、昇降テーブルと上ボルスタープレート207とを別体とし、かつ左右の昇降テーブルを一体化とした場合、左右の金型Mで加硫されるタイヤの仕様が同じ(整形のための昇降テーブルにおける下降ストローク及び所要引き下げ力fが同じ)であれば、上記と同じ効果が得られるが、左右の金型Mで加硫されるタイヤの仕様に差がある場合、左右の所要引き下げ力fの差×L1のモーメントが余分にガイド部材のレール208及びカムフォロア209,210を介してガイド支柱部201bに伝えられることとなるので、左右の昇降テーブルは別体とすることが望ましい。左右の昇降テーブルを別体とすると、左右各々の昇降テーブルと上ボルスタープレート207とは同じ動きをすることになるとともに、所要引き下げ力fは型締力Fの10%以下であるから、昇降テーブルと上ボルスタープレートが一体化できる、すなわちガイド部材のカムフォロア209,210を取付けるブラケットなどを昇降テーブルから上ボルスタープレートに移すことにより、上記昇降テーブルの主部を省略した構成とすることができる。
また、本第3実施形態と上記第2実施形態とを対比すれば明らかな如く、第2実施形態を単に2台並べた場合に比し、ガイド支柱部201bが左右の金型Mにおける上型部Mbの昇降用ガイドとして共用されているため、部材数が削減されることになる。
【0028】
以上、本発明の実施の形態につき述べたが、本発明は既述の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変形及び変更を加え得るものである。
【0029】
【発明の効果】
上述の如く、本発明に係るタイヤ加硫装置は、タイヤ加硫用金型の上型部が取付けられる上ボルスタープレートと、前記金型の下型部が取付けられる下ボルスタープレートと、タイヤ加硫中の前記金型に型締力を付与する加圧シリンダの出力を前記上下ボルスタープレートに伝える着脱可能な連結手段とを備えたものであって、前記下ボルスタープレートが上方に組付けられた本体フレームのベース部と、前記金型の一側方の片側のみに立設され、下端が前記ベース部に固定されたガイド支柱部と、前記ガイド支柱部にガイド部材を介して昇降可能に組付けられ、下方に前記上ボルスタープレートが組付けられた昇降テーブルと、前記金型の中心に対して対称に配置され、前記ベース部及び前記昇降テーブル間に組付けられた昇降テーブル用昇降駆動手段とを備えているので、昇降駆動手段を基因とする出力差や金型の取付誤差により生じるモーメント等が小さくなり、ガイド支柱部などの部材数を減少させ、整形中の上下型部の平行度及び同芯度の低下を防ぐことによってタイヤ品質の低下や金型損耗の要因を軽減できるとともに、コストダウンを図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態に係るタイヤ加硫装置の一部を図示省略した正面図である。
【図2】上記第1実施形態に係るタイヤ加硫装置を示した平面図である。
【図3】本発明の第2実施形態に係るタイヤ加硫装置の一部を図示省略した正面図である。
【図4】上記第2実施形態に係るタイヤ加硫装置を示した平面図である。
【図5】本発明の第3実施形態に係るタイヤ加硫装置の一部を図示省略した正面図である。
【図6】上記第3実施形態に係るタイヤ加硫装置を示した側面図である。
【図7】上記第3実施形態に係るタイヤ加硫装置を示した平面図である。
【符号の説明】
1 本体フレーム
1a ベース部
1b ガイド支柱部
2 据付架台
3 下ボルスタープレート
3a リング状溝
3b 貫通穴
4 シール部材
5 ドーナツピストン
6 圧力室
7 断熱板
8 下熱板
9 下部中心機構
10 上部中心機構
11 上熱板
12 断熱板
13 上ボルスタープレート
14 昇降テーブル
15 LMガイド
16 LMレール
17 昇降シリンダ
18 ナット
18a チェーンホィール
19 タイロッド
19a 雄ネジ部
19b 溝
20 U字キー(タイロッド連結手段)
21 チェーン
101,201 本体フレーム
101a,201a ベース梁
101b,201b ガイド支柱部
101c 補助ガイド支柱部
101d 連結梁
101e 貫通穴
102,202 下ボルスタープレート
103,203 短ストローク加圧シリンダ
104,204 ピストンロッド
105,205 ナット
105a チェーンホィール
106 チェーン
107,207 上ボルスタープレート
108,208 レール
109,209 カムフォロア
110 レール
111 カムフォロア
113,213 タイロッド
113a 上端
113b 溝
210 カムフォロア
211,212 円筒状保温板
213a 溝
214 ローダ
215 アンローダ
M タイヤ加硫用金型
T タイヤ
Claims (5)
- タイヤ加硫用金型の上型部が取付けられる上ボルスタープレートと、前記金型の下型部が取付けられる下ボルスタープレートと、タイヤ加硫中の前記金型に型締力を付与する加圧シリンダの出力を前記上下ボルスタープレートに伝える着脱可能な連結手段とを備えたタイヤ加硫装置において、
前記下ボルスタープレートが上方に組付けられた本体フレームのベース部と、前記金型の一側方の片側のみに立設され、下端が前記ベース部に固定されたガイド支柱部と、前記ガイド支柱部にガイド部材を介して昇降可能に組付けられ、下方に前記上ボルスタープレートが組付けられた昇降テーブルと、前記金型の中心に対して対称に配置され、前記ベース部及び前記昇降テーブル間に組付けられた昇降テーブル用昇降駆動手段とを備えていることを特徴とするタイヤ加硫装置。 - 前記加圧シリンダと、前記上ボルスタープレートまたは下ボルスタープレートとが一体化されていることを特徴とする請求項1に記載のタイヤ加硫装置。
- 前記上ボルスタープレートと前記昇降テーブルまたは前記下ボルスタープレートと前記ベース部の少なくとも一方は固定または一体化されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のタイヤ加硫装置。
- 前記金型の前記ガイド支柱部と反対側に立設され、前記昇降テーブル用昇降駆動手段の中心を含む断面の傾斜を防止する補助ガイド支柱部を備えていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のタイヤ加硫装置。
- 前記金型が2組装着可能であって、前記ガイド支柱部が前記両金型の中間に立設されており、前記ガイド支柱部が前記両金型の上型部の昇降用ガイドとして共用されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のタイヤ加硫装置。
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