JP4173910B2 - 多層情報記録媒体及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、再生、または記録/再生を目的とした情報記録媒体とその製造方法に関する。
近年、情報機器および映像音響機器等が必要とする情報量が増加するに伴って、データアクセスの容易さ、大容量データの蓄積、機器の小型化に有利な光ディスクなどの情報記録媒体が注目され、その記録密度はより高くなっている。例えば、光ディスクの高密度化の手段として、レーザ光の波長が約400nmであり、レーザ光を絞り込むための集光レンズが0.85の開口数(NA)を有する、記録再生ヘッドが既に用いられている。そのような記録再生ヘッドを用いると、単層の情報記録媒体(記録層を1層有する媒体)においては25GB程度の容量が達成される。また、2つの記録層を有する光記録媒体においては、50GB程度の容量を達成することが可能である。さらに容量を向上させるために、3以上の記録層を有する多層情報記録媒体も提案されている。
図2は、従来の多層情報記録媒体の一部を示す断面図である。この図は、ディスク形状の記録媒体を直径に沿って切断した断面を示し、図中、基板301の左端が内周に相当し、右端が外周に相当する。この多層情報記録媒体は、片面に凹凸形状からなるピットおよび/もしくは案内溝等が転写により形成された第1基板201(この基板を、「信号基板」と呼ぶこともある)と、第1基板201の信号が形成された面上に配置された第1薄膜層202と、第1薄膜層202の上に形成された樹脂層203と、樹脂層203の上に形成された第2薄膜層204と、第2薄膜層204の上に、透明層205により貼り合わせられた透明基板206とから構成されている。樹脂層203の第1薄膜層202と接着している面とは反対の面(即ち、第2薄膜層204が形成されている面)には、凹凸形状からなるピットおよび/または案内溝が転写により形成されている。本明細書において、同じ機能の層が複数設けられているときには、基板201から見て近い層から順に、「第1」、「第2」、・・・を付与している。
樹脂層203は、第1薄膜層202と第2薄膜層204とを光学的に分離して、一方の薄膜層に情報を記録または再生している間、他方の薄膜層に情報が記録されず、また他方の薄膜層に記録した信号が再生されないことを確保している。また、樹脂層203に形成されたピットおよび/または案内溝は、第2薄膜層204に情報を記録し又は第2薄膜層204から情報を再生する際に記録および/または再生光をガイドする役割をする。よって、樹脂層203は、中間層または第2信号基板とも呼べるものである。
第1基板は、スタンパを用いて、射出圧縮成形等により作製する。第1基板の一方の面には、スタンパ表面の凹凸形状が転写されて、ピットおよび/または案内溝等が形成されている。ピットおよび/または案内溝は、信号の記録再生において基本的な情報を与えるものであり、これらが形成された面は、情報面と呼べる。また、ピットおよび/または案内溝を有する基板は、「信号基板」とも呼ばれる。情報面の上に、記録膜および反射膜を含む、光による記録再生を可能にする特性を有する薄膜層が形成されて、情報記録層が形成されている。第1基板201の厚みは1.1mm程度である。
第1薄膜層202および第2薄膜層204は、前述のとおり、記録膜および反射膜等を含んでおり、スパッタリングや蒸着等の方法により形成されている。第2基板(樹脂層)203は、光硬化性樹脂のスピンコート法またはスクリーン印刷法などによって形成される。ピットおよび/または案内溝は、光硬化性樹脂を硬化させる前に、形成すべきピットおよび/または案内溝に対応した凹凸形状を表面に有する転写基板)を、凹凸形状を有する面を光硬化性樹脂と接するように貼り合わせて形成する。ピットおよび/または案内溝の形成は、光硬化性樹脂を光照射により硬化させた後、転写基板を光硬化性樹脂から剥離することによって完了する。
図示する光記録媒体への情報の記録または光記録媒体からの情報の再生は、透明基板206の側から記録または再生用のレーザ光を入射させて、実施する。したがって、透明基板206は、記録再生光に対して透明な(透過性を有する)材料からなる。また、透明基板206は、開口数の大きい記録再生ヘッドを用いることができるように、厚みが0.1mm程度である。透明層205は、2枚の基板206および207を互いに接着するために設けられており、光硬化性樹脂または感圧接着剤等の接着剤で形成されている。透明基板206と透明層205を合わせてカバー層ともいう。透明基板を貼り付けることなく透明な樹脂層のみでカバー層を形成することもある。
このような多層情報記録媒体においては、前述のように、樹脂層およびカバー層は、紫外線硬化性樹脂などを用いてスピンコート法により、一般に形成される(例えば特許文献1)。
特許文献2には、情報保持層を2以上有し、円環状であって内周縁に環状凸部を有する少なくとも2層の樹脂層を有し、これら各樹脂層が、他の樹脂層の前記環状凸部を被覆しないように階段状に積層されている光情報媒体が開示されている。順にスピンコート法で樹脂層を形成する場合において、階段状に樹脂層を形成すると、環状凸部によって、樹脂の流延が妨げられず、また、ディスク内周付近における樹脂層の厚さが設計値から外れない。
特開2005−259331号公報 特開2002−63736号公報
より高密度な記録媒体を実現するために、情報記録層を積層し、多層情報記録媒体(例えば、多層光ディスク)にすることが提案されている。この媒体を実現するには、情報記録層を分離する樹脂層を複数積層しなければならない。情報記録層の数が多いほど、その間に形成すべき樹脂層の数も多くなる。その結果、樹脂層の形成に伴う、転写基板の剥離工程において、樹脂層が転写基板に付着して、転写基板とともに樹脂層まで剥離する頻度が高くなる。樹脂層が転写基板側に付着すると、情報記録層を適切に分離できないため、その上下に位置する2つの情報記録層それぞれに信号を書き込むことができなくなってしまう。
このように、従来の図2に示すような2層記録媒体の樹脂層の形成プロセスをそのまま多層記録媒体の樹脂層形成プロセスに応用すると、上記のような問題が発生しやすい。特に、多層情報記録媒体の製造では、樹脂層を形成するプロセスが2回以上含まれるため、層の数が多いほど、良品を作製することが困難になり、生産性が低下する。
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、かつ、情報記録層間に形成される樹脂層に、案内溝および/またはピットが全面にわたって均一に形成された、多層情報記録媒体及びその製造方法を提供することを目的とする。
前記従来の課題を解決するために、本発明は、内周と外周とを有する基板上に、3以上の情報記録層と、前記情報記録層と情報記録層との間に配置された樹脂層とを有する多層情報記録媒体であって、
隣り合う2つの樹脂層の組み合わせの少なくとも1つの組み合わせにおいて、樹脂層の内周側端部の位置が互いに異なり、
少なくとも1つの樹脂層の内周側端部が、別の樹脂層によって覆われている
多層情報記録媒体を提供する。
ここで、「内周と外周とを有する基板」とは、中央に開口を有する基板を指し、一般的には環形(またはドーナッツ形)である。「情報記録層」とは、光の照射により情報の記録および再生を可能にする一または複数の層を指し、記録層および必要に応じて設けられる、反射膜、記録層を保護する保護膜、および保護膜と記録層との間に位置する界面層、反射膜と記録層の間に形成される光吸収補正層等を含む。換言すれば、情報記録層とは、2つの樹脂層の間に配置される層全体を指す。「樹脂層」は、先に図2に関連して説明したように、1つの情報記録層を、隣り合う情報記録層から分離して、例えば、1つの情報記録層に情報を記録しているときに、他の情報記録層に情報を記録しないようにする。「樹脂層の内周側端部」は、樹脂層の輪郭のうち、最も内側に位置する部分をいい、樹脂層が環形に形成されるときには、樹脂層の内周を規定する線に相当する。
本発明の多層情報記録媒体(以下、単に「記録媒体」または「媒体」とも呼ぶ)は、樹脂層の内周側端部の位置を、基板の半径方向において、すべて同じにせず、かつ、少なくとも1つの樹脂層の内周側端部が、別の樹脂層によって覆われていることを特徴とする。転写基板の剥離を媒体の内周側から実施する場合において、樹脂層の内周側端部がすべて同じ位置になると、繰り返し樹脂層を形成している間に、転写基板の剥離のときに加わる力が同じ箇所に集中する。本発明の記録媒体は、この力の集中を避けるために、少なくとも1つの樹脂層の内周側端部の位置をずらしている。さらに、本発明の記録媒体においては、少なくとも1つの樹脂層(便宜的にAと呼ぶ)の内周側端部を、その後に形成される他の樹脂層(便宜的にBと呼ぶ)が覆っていて、樹脂層Bに密着させた転写基板を剥離する際に、樹脂層Aが受ける力をより小さくしている。
本発明はまた、内周と外周とを有する基板上に、3以上の情報記録層と、前記情報記録層と情報記録層との間に配置された樹脂層とを有する多層情報記録媒体の製造方法であって、
各樹脂層を形成することが
(i)放射線硬化性樹脂を情報記録層上に塗布して未硬化の樹脂層を形成する工程、
(ii)前記未硬化の樹脂層と、表面に凹凸を有する転写基板とを貼り合せる工程、
(iii)前記未硬化の樹脂層を硬化する工程、および
(iv)前記硬化した樹脂層の表面から転写基板を剥離する工程を
含み、
工程(i)〜(iv)を、(M−1)回(Mは情報記録層の数)繰り返し、
少なくとも1回の工程(i)において、未硬化の樹脂層の内周側端部が、前回形成した樹脂層の内周側端部とは異なるように、放射線硬化性樹脂を塗布する領域を選択し、
少なくとも1回の工程(i)において、未硬化の樹脂層の内周側端部が、前回形成した樹脂層の内周側端部を覆うように、放射線硬化性樹脂を塗布する領域を選択する、
多層情報記録媒体の製造方法を提供する。この製造方法によれば、前記本発明の記録媒体を製造することができる。
本発明の製造方法において使用する放射線硬化性樹脂は、放射線が照射されると、硬化する樹脂であり、放射線は、例えば、紫外線、可視光線、電子線、およびX線である。放射線硬化性樹脂は、紫外線硬化性樹脂であることがコストおよび工程性の点から好ましい。紫外線硬化性樹脂は、具体的には、アクリル系樹脂である。
樹脂層の形成が数回実施される間に、任意の1回もしくは数回、または全ての工程(i)において、放射線硬化性樹脂の塗布は、樹脂が基板に接するように、樹脂の塗布領域を適切に選択して実施してよい。それにより、第k樹脂層が、第k−1層(kは2以上の整数)の樹脂層の内周側端部を覆う構成を得ることができる。
本発明の多層情報記録媒体及びその製造方法によれば、中間層である樹脂層を形成するときに、樹脂層に密着させた転写基板剥離に起因する、不良品の数または割合を低下させることができる。よって、本発明は、良好に大量の情報の記録再生を行うことができる多層情報記録媒体を、安定して製造することを可能にする。
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。以下においては、レーザ光の照射によって記録再生を実施するディスク形状の情報記録媒体の構造例を説明する。尤も、本発明の媒体の形状は、ディスクの形状に限定されない。
[ディスク作製のプロセスおよび樹脂層の基本的な構成]
最初に、多層情報記録媒体およびその作製方法の一例として、4層ディスクを作成するプロセスを説明する。本発明の記録媒体における樹脂層の基本的な構成もまた、ここで説明する。
図3は、本発明の4層情報記録媒体の一例の断面図である。4層情報記媒体は、片面に凹凸で形成されたピットおよび/または案内溝等が形成された基板301と、基板301のピット等が形成された面に配置された第1情報記録層302と、第1情報記録層320上に配置された第1樹脂層303と、第1樹脂層303上に配置された第2情報記録層304と、第2情報記録層304上に配置された第2樹脂層305と、第2樹脂層305上に配置された第3情報記録層306と、第3情報記録層306上に形成された第3樹脂層307と、第3樹脂層307上に配置された第4情報記録層308と、第4情報記録層308上に配置された透明層309とを含んでいる。第1樹脂層303、第2樹脂層305、および第3樹脂層307はそれぞれ、基板301から遠い側の面にピットおよび/または案内溝を構成する凹凸を有し、この凹凸を有する面に、それぞれ、第2情報記録層304、第3情報記録層306、および第4情報記録層307が形成されている。基板301は、記録および/または再生に必要な情報を有するため、「信号基板」とも呼ばれる。また、情報記録層は、通常、複数の薄い膜が積層されて成るから、「薄膜層」とも呼ばれる。
基板301は、情報記録媒体の反りを防止し、良好な剛性を確保し、さらにはCDやDVD、Blu−ray Discなどの光ディスクと厚み互換を有するような、寸法および材料を選択して形成される。具体的には、基板301は、外径φ120mm、厚さが1.0〜1.1mm程度のポリカーボネートやアクリル系樹脂の円板から形成されている。基板301は、常套のスタンパを用いて、射出圧縮成形等の樹脂成形によって作製され、片面に、凹凸で形成されたピットや案内溝等が形成されている。基板の中心部には、プレーヤが信号を記録再生する際に、ディスクを保持して回転させるために用いる直径φ15mmの中心穴が設けられている(図示せず)。この中心穴の直径が、基板の内周を規定することとなる。ここでは、基板301として、ポリカーボネートを用いて作製されたものを使用するプロセスを説明する。
基板301の上には、放射線硬化性樹脂からなる樹脂層303、305、307や透明層309が積層形成される。放射線硬化性樹脂として、この形態においては紫外線硬化性樹脂を使用している。他の形態においても同様である。尤も、他の放射線硬化性樹脂で樹脂層を形成してよいことはいうまでもない。
樹脂材料が積層されると、積層後の情報記録媒体においては、紫外線硬化性樹脂特有の光硬化収縮によって、基板301の情報面側が凹となる、反りが発生する傾向にある。従って、基板301は、予め情報面側が全体として凸となる反りを有するように形成され、それにより樹脂層303、305、307および透明層309の積層後の情報記録媒体の反りが平坦になるようにしている。
第1情報記録層302は、例えば、Al、Ag、Au、Si、SiOなどの金属、半導体または誘電体を、スパッタリングまたは蒸着等の方法を用いて、形成する。第2情報記録層304、第3情報記録層304および第4情報記録層306についても同様である。情報記録層として形成すべき層は、媒体の種類によって異なり、具体的な層の形成方法は既に良く知られているので、ここではその詳細な説明を省略する。
第1樹脂層303は、記録再生光に対して、実質的に透明(透過性を有する)であり、紫外線硬化性樹脂から形成されている。紫外線硬化性樹脂は、硬化光波長を紫外線帯域に設けられた樹脂である。紫外線硬化性樹脂は、紫外線以外の波長の光を照射しても硬化せず、任意に紫外線を照射することにより硬化させることができるので、樹脂層の形状制御において都合よく用いられる。第2樹脂層305および第3樹脂層307も、上記第1樹脂層303と同様の材料で形成されている。具体的には、上記において例示した紫外線硬化性樹脂を使用できる。
透明層309は、記録再生光に対してほぼ透明(透過性を有する)で、例えばアクリルを主成分とした紫外線硬化性樹脂から形成されている。透明層309は、紫外線硬化性樹脂を、液体の形態で、第4情報記録層308の上に塗布した後、紫外線を照射して形成する。透明層309は、各樹脂層や情報記録層を覆い、内周部と外周部において基板と接着するように形成されている。
次に、より具体的な樹脂層の形成方法について説明する。
樹脂層は、おおよそ10μmの厚さを有するように形成される。尤も、樹脂層の厚さはこれに限定されず、5〜30μmであってよい。そのような厚さの樹脂を塗布する方法として、スピンコート法、スクリーン印刷法、オフセット印刷法、およびインクジェット法などが適している。本発明の媒体の製造においては、樹脂が均一に塗布可能であり、樹脂中に気泡などの欠陥が混入しない方法であれば、樹脂の塗布方法は特に限定されない。
本発明の媒体の作製においては、後述するように、樹脂層の内周側端部の位置を制御することが要求される。スピンコート法は、内周側に樹脂を滴下し、遠心力によって、樹脂を塗布する工法である。このスピンコート法を採用する場合、樹脂を滴下する位置を適宜選択することによって、樹脂層の内周側端部の位置を制御することができる。また、オフセット印刷法およびインクジェット法を採用する場合には、樹脂の内周の滴下位置を任意に設計することにより、内周側端部の位置を制御することが可能である。
ここでは、樹脂の塗布方法の好ましい例として、スクリーン印刷法を、図4を用いて詳細に説明する。スクリーン印刷法は次の手順に従って実施される。第1情報記録層402が形成された基板401を、真空吸着などの手段によって、ターンテーブル403に固定する(図4(A)参照)。この上に、スクリーン枠406を固定し、紫外線硬化性樹脂405を、穴が開いていない部分に供給し、スクレッパー407を摺動することにより、スクリーン404部に樹脂を充填する(図4(B)参照)。
次に、スキージ固定治具408により固定されたスキージ409が、スクリーン404の上部に圧力を加えながら、摺動することによって孔板(スクリーン)404の開口部から紫外線硬化性樹脂405を基板401へ押し出す(図4(C)参照)。この動作、いわゆるスクリーン印刷によって、樹脂が塗布された基板を得ることができる(図4(D)参照)。また、基板401を入れ替え、図4(A)〜(D)に示す工程を繰り返すことによって、表面に樹脂が塗布された基板を、複数得ることができる。
図5を参照して、スクリーン504の形状と形成される樹脂層の範囲を説明する。
所定の領域にのみ樹脂層を形成するため、スクリーン504は、樹脂層を形成すべきでない部分を塞いで使用する。スクリーン504の所定部分を塞ぐ方法は次のとおりである。まず、スクリーン枠501に、スクリーン材料となる紗を張り、その表面に感光乳剤をコーティングする。次いで、コーティングされたスクリーン用材料の所定の領域(樹脂層を形成する領域)以外を遮光マスクによりマスクし、スクリーン用材料に露光装置を用いて紫外線を一定時間照射する。次いで、紫外線照射によって露光された感光乳剤を水噴射などによって水洗することにより現像する。
遮光マスクで露光させなかった部分では、感光乳剤が残り、紗の孔を塞いでいる。この部分が図2において、502A、及び502Bの領域に該当する。露光により紗が露出した部分が503に該当する。
スクリーン枠501は、例えば、木材、アルミニウム、ステンレス、またはプラスチックなどの材料を用いて形成することができる。特に、軽量かつ剛性の高いアルミニウムが好ましい。スクリーン材料となる紗は、シルク、ナイロン(登録商標)、テトロン(登録商標)、Vスクリーン(登録商標)、またはステンレスなどから成るものであってよい。外圧に対する復元性の点から、Vスクリーンが好ましい。感光乳剤として、例えば、ジアゾニウム塩または重クロム酸塩を、PVAまたは酢酸ビニルエマルジョンに混合し溶解させたものを用いることができる。スクリーン材料の所定の位置におけるメッシュ数(1インチあたりの線材の本数)は、100〜600であると好ましい。メッシュ数がこの範囲内にあれば、樹脂含有塗料の通過不良および塗布ムラを生じさせることなく、樹脂含有材料を塗布できる。スクリーンの穴は網目に限定されない。
ここでは、スクリーン枠501としてアルミニウムを使用し、基板への負荷が小さくなるようにVスクリーンを使用した、スクリーン504を用いている。もちろん、他の材料から成るスクリーン枠および/または他の材料から成る紗を用いてよいことはいうまでもない。
スクリーン印刷の際、樹脂の粘度が低いと、塗布後の樹脂が流動し、基板の端面で樹脂がはみ出る、または樹脂の盛り上がりが生じるという、不都合がある。樹脂粘度が高いと、スクリーンを通って樹脂が転移し難くなる。工程中の温湿度変化による樹脂粘度の低下影響等を考慮すると、樹脂の粘度は30cpsから10000cps範囲内であることが好ましい。
スクリーン504において、紗が露出した部分の位置および形状503を選択することにより、紫外線硬化性樹脂の基板505上への塗布範囲を制限することが可能である。よって、スクリーン504を用いる場合には、503と502Aの境界位置を変えることで、形成する樹脂層の内周側端部の位置を制御することができる。基板505上に、スクリーン504を用いたスクリーン印刷法により、樹脂の塗布を行った場合は、樹脂の塗布領域は506のようになる。
次に、この樹脂層に案内溝、及びピットを形成するプロセスを、図6を参照して説明する。紫外線硬化性樹脂607の塗布が完了した第1基板608は、次に真空槽601の中に搬送される。このとき同時に転写基板602も真空槽601の中に搬送される。
転写基板602は、紫外線硬化性樹脂607との剥離性が良好な材料であるポリオレフィン樹脂を用いて形成される。転写基板602の厚みは0.6mm程度である。この厚みは、厚みが1.1mmの基板の第1基板608から転写基板602を剥離する際に、基板の厚みが異なることによる剛性の差を利用し、転写基板602を反らせて剥離することを目的として選択されている。
ポリオレフィン樹脂は、第1基板608の成形時と同様に、常套のスタンパを用いて、射出圧縮成形等の樹脂成形によって、片面に、凹凸で形成されたピットおよび/または案内溝を容易に作製できることから、好ましく用いられる。また、ポリオレフィン樹脂は、紫外線を良好に透過する特性も有している。図6(D)に示すように、紫外線は、転写基板602を経由して、紫外線硬化性樹脂に照射されるため、ポリオレフィン樹脂からなる転写基板602は、紫外線硬化性樹脂を効率良く硬化させ得る。また、ポリオレフィン樹脂に代えて、ポリカーボネート材料を用いても、同様の効果を得られる。
転写基板602の中心部には、中心穴が設けられている(図6(A)参照)。この中心穴は、センターボスを介して、転写基板602と第1基板608の中心を一致させるために、設けられる。
真空槽601内は、ロータリーポンプまたはメカニカルブースターポンプなどの真空ポンプ603によって排気され、短時間で真空雰囲気となる。真空槽601内が100Pa以下の真空度に達したときに、転写基板602を第1基板608上に重ね合わせる。それから、転写基板602の上部に設置されている加圧プレート604を用いて、転写基板602に圧力を加える。それにより、紫外線硬化性樹脂607に、転写基板602に形成されている信号が転写される。真空槽601内が真空雰囲気であることから、紫外線硬化性樹脂607と転写基板602は、その間に気泡が混入することなく、貼り合せることができる(図6(B)参照)。
貼り合わされた第1基板608と転写基板602は真空槽601から取り出される。それから、転写基板602の上部に配置されている、紫外線照射装置605を用いて、紫外線を、紫外線硬化性樹脂の全面に照射して、紫外線硬化性樹脂607を硬化する。紫外線は、転写基板602を経由して照射される。次いで、転写基板602を剥離するために、転写基板602と紫外線硬化性樹脂607の間に圧縮エアーを吹き込む。これらの工程を経て、ピットおよび/または案内溝を有する樹脂層606が形成される。
転写基板を剥離する工程としては、a)基板と転写基板の間に、治具を挿入し、圧縮空気を吹き付けることにより、剥離する方法、およびb)あらかじめ、転写基板の中心穴の直径を、基板の中心穴の直径より小さくして、転写基板の内周部を突出させ、突出部を剥離の開始部にして、内周部から転写基板を剥離させる方法などが提案されている。剥離の方法は特に限定されないが、図1を参照して、b)の剥離方法を、より詳細に説明する。
まず、テーブル101に基板102をおき、その上部より、吸着アーム103をとりつける。基板102上には、紫外線硬化性樹脂104、転写基板105が積層されている。ここで、紫外線硬化性樹脂104は、既に硬化している。
テーブル101には、基板102と接する面に吸着穴が開いており(図示せず)、減圧することによって、テーブル101に基板102を固定することができる。また、吸着アーム103にも、転写基板105側に吸着穴があり(図示せず)、減圧することによって、吸着アーム103を転写基板105に固定することができる。基板102の内径は15mm、転写基板105の内径は13mmである。よって、中心穴部分では、転写基板105の穴が1mm突き出している(図1(A))。剥離ピン106がテーブルの中に装備されていて、中心穴を通過できるようになっている。
剥離は、次のプロセスにより実施される。まず、基板102をテーブル101に固定し、吸着アーム103を転写基板105に固定する。その後、剥離ピン106を上部に突き上げる(図1(B))。同時に、吸着アーム103も、上昇させる。転写基板105の厚みは、第1基板102の厚みより、小さく剛性が低いため、図のように、転写基板105が反る。
次に、図1(B)の拡大図に示すように、剥離ピン106に設けられた、エアブロー突出口107から、圧縮空気を図中の矢印の方向に噴出する。この圧縮空気によって、転写基板105を、紫外線硬化性樹脂104から剥離することができる。エアブロー突出口は、剥離ピンの外周線上に2以上設けてよい。
上記の剥離プロセスにおいて、剥離の失敗が発生しやすい箇所が内周側端部108部分である。硬化後の紫外線硬化性樹脂104が、第1基板102上に残存するか、転写基板105に付着するかは、内周側端部108と第1基板102の密着力による。内周側端部108での密着力が弱いと、紫外線性硬化樹脂104が転写基板105に付着してしまうため、その媒体は欠陥品になる。紫外線硬化性樹脂104と転写基板105の密着力は、同一箇所に何度も剥離力がかかると、弱くなる。このことが、多層情報記録媒体の製造を難しくしている
即ち、多層情報記録媒体を作製する際には、樹脂層を複数積層するため、積層するたびに、信号転写基板の剥離プロセスが必要になる。つまり、積層する層の数が多いほど、剥離時に内周側端部108により大きい剥離力がかかることになり、剥離プロセスの繰り返しは、剥離時の欠陥を生み出す要因となっている。そこで、本実施の形態では、紫外線硬化性樹脂からなる樹脂層を積層する場合に、それぞれの樹脂層の内周側端部の位置を変えて、局部的な密着力の低下を防止した。
図1(C)には、第2情報記録層(図示せず)の形成、2回目の紫外線硬化性樹脂109の塗布、2層目の紫外線硬化性樹脂109への転写基板111の貼り合せ、および紫外線照射の工程が終了した基板112を剥離テーブルに設置し、剥離ピン106で突き上げた様子を表す。紫外線硬化性樹脂109の内周側端部110は、1層目の樹脂層104の内周側端部108よりも、基板112の内周により近くなっている。即ち、紫外線硬化性樹脂109により形成される樹脂層の内周の直径は、樹脂層104の内周の直径よりも小さい。樹脂層の内周側端部の位置は、スクリーンに塗布する乳剤のパターンを変更することにより、容易に制御することができる。
2層目の紫外線硬化性樹脂に密着させた転写基板111を剥離させるとき、剥離ピン106で突き上げた瞬間に、剥離力が最も大きくかかる箇所は2層目の紫外線硬化性樹脂109の内周側端部110になる。よって、第1樹脂層104の内周側端部108にかかる剥離力を、小さくすることができる。この効果により、剥離工程において転写基板111に紫外線硬化性樹脂109が付着することが防止され、剥離欠陥の発生確率を、大幅に低減することができる。
図示するように、紫外線硬化性樹脂109は、第1樹脂層104の内周側端部108を覆っている。このように、第1樹脂層の内周側端部を覆うことによって、紫外線硬化性樹脂109に密着させた転写基板111を剥離するときに、樹脂層104の内周側端部108に掛かる負荷をより小さくすることができる。
図3に示すような、4層情報記録媒体を得るには、樹脂層をさらに1層形成する必要がある。3層目の樹脂層は、その内周側端部の位置が、2層目の樹脂層の内周側端部とは異なるように形成してよく、あるいは、2層目の樹脂層の内周側端部の位置と同じとなるように形成してよい。本発明の効果は、隣り合う2つの樹脂層の組み合わせのうち、少なくとも1つの組み合わせ(図1(D)において、第1樹脂層と第2樹脂層の組み合わせ)において、樹脂層の内周側端部の位置が互いに異なり、かつ、少なくとも1つの樹脂層(図1(D)において第1樹脂層)の内周側端部が、別の樹脂層(図1(D)において第2樹脂層)によって覆われていることによって、十分に得られる。よって、第2樹脂層の内周側端部の位置と3層目の樹脂層の内周側端部の位置がそろっていてもよい。図3に示す形態では、第3樹脂層の内周側端部は、第1樹脂層の内周側端部と第2樹脂層の内周側端部との間に位置している。以下に、本発明の記録媒体のより具体的な形態を説明する。
(実施の形態1)
図7(A)に、4層情報記録媒体の一形態を断面図で示す。図では、基板701上に第1情報記録層702、第1樹脂層706、第2情報記録層703、第2樹脂層707、第3情報記録層704、第3樹脂層708、第4情報記録層705、および保護層709を、この順に積層した情報記録媒体の断面図を表している。
本実施の形態では、剥離時の欠陥の発生を防止するために、各層の樹脂層の内周側端部の位置が全て異なり、全ての樹脂層の内側端部が基板701に接している。例えば、基板701の内径(中心穴の直径)が15mmであるときに、第1樹脂層706の内径(内周側端部により規定される円の直径に等しい)は23mm、第2樹脂層707の内径は22mm、第3樹脂層708の内径は21mmとなるように、3つの樹脂層を構成することができる。
尤も、実際には、内周側端部が形成する円の中心位置と基板の中心位置とがずれていることがある。あるいは、内周側端部の形状が真円でなく、ひずんでいる、または楕円形状であることがある。そのため、内周側端部の位置には幅があり、約500μm程度、ずれることもある。そのようなずれは許容される。所期の効果を得るためには、隣り合う樹脂層の組み合わせにおいて、好ましくは、2つの内周側端部同士の距離(基板の半径方向と平行な距離)は100μm以上であることが好ましい。
本実施の形態の多層記録媒体を作製する場合、各樹脂層を形成するときに、転写基板の剥離に伴って、大きな剥離力が加わる。図示した形態のように、樹脂層を形成する場合には、剥離力が加わる場所は、樹脂層ごとに異なる。各層の剥離力が最も大きくかかる箇所を図7(A)の拡大図に示す。第1樹脂層706の形成時に転写基板を剥離する工程では、第1樹脂層706の内周側端部710に、剥離の負荷がかかる。また、第2樹脂層707の形成時に転写基板を剥離する工程では、第2樹脂層707の内周側端部711に負荷がかかる。同様に、第3樹脂層708を形成するときに、転写基板を剥離する工程では、第3樹脂層708の内周側端部712に負荷がかかる。このように、全ての樹脂層の内周側端部の位置がそれぞれ異なる構成によって、剥離時に一箇所に負荷が掛かることを緩和または防止できる。
さらに、この形態においては、第1樹脂層の内周側端部710が、第2樹脂層707で覆われて、これと接着しており、第2樹脂層707の内周側端部711が、第3樹脂層708で覆われて、これと接着している。この構成により、第2樹脂層707および第3樹脂層708を形成するときに、第1樹脂層706の内周側端部に掛かる負荷がより小さくなり、第3樹脂層708を形成するときに、第2樹脂層707の内周側端部に掛かる負荷がより減少する。
図7(A)に示す構成がもたらす効果は、Mの数(情報記録層の数)がより大きいほど、より顕著に達成される。Mの数が大きいほど、樹脂層の数も多くなるため、先に形成された樹脂層(例えば、第1樹脂層)の内周側端部は、繰り返し剥離力に曝される。この構成によれば、第(M−2)樹脂層までの全ての樹脂層の内周側端部が覆われており、かつ全ての内周側端部の位置が、基板の半径方向において、一致していないから、欠陥の発生を有効に防止できる。
また、このような構成によれば、樹脂層の内周側端部の位置をずらすことにより生ずる段差を、小さく又は無くすことができる。例えば、図7(A)に示す媒体において、3つの樹脂層を形成した後で、樹脂層が形成する段差はない。後述する図7(B)に示す媒体において、3つの樹脂層を形成した後で、樹脂層が形成する段差は1つである。これに対し、3つの樹脂層を、第1樹脂層の内径<第2樹脂層の内径<第3樹脂層の内径となるように作製すると、段差が2つ生じることとなる。
樹脂層が形成する段差は、カバー層を形成するときに、カバー層の仕上がりの美観に影響を与える。例えば、カバー層を、シートおよびシートをカバー層に接着する接着剤により形成する場合に、樹脂層の端面に段差が存在すると、気泡が混入しやすくなる。また、カバー層を、保護層709として、例えば、スピンコート法で形成する場合には、中心穴近傍に設置するキャップの安定性が、樹脂層の内周側端部の形状で決定される。そのため、キャップを置きやすく、水平に保ちやすいように、樹脂層は、段差がより少なく、またよりなめらかな形状となるように形成することが好ましい。
さらに、一般的に、光学的情報記録媒体において、隣り合う樹脂層は、基板の内周部および外周部において、情報記録層を介在せずに、直接的に接着されて一体化している。そのため、転写基板を剥離するときに、転写基板が密着している樹脂層だけでなく、それと一体化している下層の樹脂層にも、力が作用して、上の樹脂層と一緒に転写基板の側へ移動する(即ち、剥離する)ことがある。本発明の記録媒体においては、剥離の際に負荷が加わる位置を分散させるように、2以上の樹脂層を構成するので、隣り合う樹脂層が接着一体化していても、樹脂の剥がれが生じにくい。樹脂層は、内周部では、例えば、直径18mm〜34mmまでの範囲内、好ましくは直径18mm〜26mmの範囲内にある位置から情報記録層が開始するまでの位置(直径約42mm)までの環状領域で、互いに接着しており、外周部では直径が119mmから直径120mmまでの環状領域で、互いに接着している。
保護層709の形成には、凹凸および案内溝の転写、ならびに転写基板の剥離というプロセスが含まれないので、その内周側端部の位置を限定する必要が無い。したがって、保護層709の内周側端部の位置は、図示するように、第3樹脂層708の内周側端部よりも、基板の外周により近くしてもよいし、第3樹脂層708の内周側端部よりも、基板の内周により近くして、樹脂層706、707および708全体を覆うようにしてもよい。
本実施の形態の記録媒体は、転写用基板を中心穴から剥離する工程を含む方法によって製造されるものであるから、樹脂層の内周側端部に掛かる負荷を考慮して、樹脂層の内周側端部を上記のように構成した。別の形態において、樹脂層の外周側端部を、同様の構成としてよい。このことは、後で説明する全ての形態についてあてはまる。
樹脂層は、前述のように、スクリーン印刷法により形成される。あるいは、樹脂層はスピンコート法によって形成してよい。但し、スピンコート法を用いる場合には、キャップが樹脂層の内周端面と接触するので、本発明の記録媒体のように、樹脂層の内周側端部の位置がそろっていないときには、キャップの位置安定性が低下することがある。そのため、樹脂層の形成方法として、スクリーン印刷法が好ましく用いられ、あるいはインクジェット法が好ましく用いられる。
(実施の形態2)
図7(B)に、4層情報記録媒体の別の形態を断面図で示す。図では、基板713上に第1情報記録層714、第1樹脂層718、第2情報記録層715、第2樹脂層719、第3情報記録層716、第3樹脂層720、第4情報記録層717、および保護層721を、この順に積層した情報記録媒体の断面図を表している。
本実施の形態においても、剥離時の欠陥発生を防止するために、各層の樹脂層の内周側端部の位置がそれぞれ異なっている。具体的には、第1樹脂層718の内周側端部が基板713の内周に最も近く、第2樹脂層719の内周側端部は、第1樹脂層718の内周側端部よりも基板の外周に近く、第3樹脂層720の内周側端部は第2樹脂層719の内周側端部より基板の内周に近く、第3樹脂層720は、第2樹脂層719の内周側端部を覆っている。第3樹脂層720の内周側端部は、第1樹脂層の内周側端部よりも、基板の外周に近い。例えば、基板701の内径が15mmであるとき、第1樹脂層718の内径(内周側端部により規定される円の直径に等しい)は21mm、第2樹脂層719の内径は22mm、第3樹脂層720の内径は21.5mmとなるように、3つの樹脂層を構成することができる。
本実施の形態の多層記録媒体の作製を作製する場合にも、各樹脂層を形成するときに、転写基板の剥離に伴って、大きな剥離力が加わる。剥離力が加わる場所を図7(B)の拡大図を参照して説明する。第1樹脂層718の形成時に、転写基板を剥離する工程では、内周側端部724に、第2樹脂層719の形成時に転写基板を剥離する工程では、内周側端部723に、第3樹脂層720の形成時に転写基板を剥離する工程では、内周側端部722に剥離時の負荷がかかる。このように、この形態においても、各樹脂層を形成するときに負荷が掛かる位置は、樹脂層ごとに異なっている。それにより、剥離による欠陥を減らすことができる。
図7(B)に示すように、本実施の形態では、第2樹脂層719の内周側端部723が、第1樹脂層718によって覆われていて、これと接着している。それにより、第3樹脂層720の形成の際に、第2樹脂層719の内周側端部723に加わる力をより小さくし得る。
隣り合う樹脂層が基板の内周部において、情報記録層を介さずに、直接的に接着していることは、この形態の記録媒体においても同様である。この形態の記録媒体においても、第1の形態と同様に、隣り合う樹脂層の組み合わせ、即ち、第1樹脂層と第2樹脂層との組み合わせ、および第2樹脂層と第3樹脂層との組み合わせにおいて、内周側端部の位置が互いに異なっており、かつ全ての樹脂層の内周側端部の位置がそれぞれ異なっているから、転写基板を剥離する工程で欠陥が生じにくい。
保護層721の形成には、凹凸および案内溝の転写、及び転写基板の剥離というプロセスが含まれないので、その内周側端部の位置は特に限定されない。図示したように、保護層721の内周側端部は、第3樹脂層720の内周側端部の位置より、基板の外周により近い位置としてよい。
次に、実施の形態1および2の変形例を説明する。樹脂層が3層積層される場合に、各樹脂層の内周側端部がとり得る位置を、図10(A)〜図10(F)を用いて説明する。これらの図は、理解の容易のため、基板の内周付近の構成のみを示し、図においては、基板1000、1010、1020、1030、1040、1050、第1樹脂層1001、1011、1021、1031、1041、1051、第2樹脂層1002、1012、1022、1032、1042、1052、第3樹脂層1003、1013、1023、1033、1043、1053、第1樹脂層の内周側端部1004、1014、1024、1034、1044、1054、第2樹脂層の内周側端部1005、1015、1025、1035、1045、1055、第3樹脂層の内周側端部1006、1016、1026、1036、1046、1056のみを示す。
図10(A)に示す構成は、実施の形態1に相当し、図7(A)に示す構成と同じである。隣り合う樹脂層の組み合わせの各々において、樹脂層の内周側端部の位置が互いに異なり、すべての樹脂層の内周側端部が、基板の半径方向において、それぞれ異なる位置にあり、かつ全ての樹脂層の内周側端部1004、1005および1006が基板1000に接している。第1樹脂層1001の内周側端部1004は第2樹脂層1002に覆われ、第2樹脂層の内周側端部1005は第3樹脂層1003に覆われている。
図10(B)は、隣り合う樹脂層の組み合わせの各々において、樹脂層の内周側端部の位置が互いに異なり、すべての樹脂層の内周側端部が、基板の半径方向において、それぞれ異なる位置にあり、かつ第1樹脂層1011の内周側端部1014および第2樹脂層1012の内周側端部1015が、第3樹脂層1013で覆われている構成を示す。第3樹脂層1013の内周側端部1016が、基板1010の内周に最も近い。この構成においても、3つの樹脂層は段差を形成せず、図9(A)(図7(A))に示すものと同様に、カバー層を形成するときの美観を良好にする。
図10(C)に示す構成は、実施の形態2に相当し、図7(B)に示す構成と同じである。隣り合う樹脂層の組み合わせの各々において、樹脂層の内周側端部の位置が互いに異なり、すべての樹脂層の内周側端部が、基板の半径方向において、それぞれ異なる位置にあり、かつ、第1樹脂層1021の内周側端部1024が基板1020の内周に最も近く、第2樹脂層1022の内周側端部1025が基板1020の外周に最も近い。第3樹脂層1023の内周側端部1026は、第1樹脂層011に接している。第2樹脂層1022の内周側端部1025は、第3樹脂層1023で覆われている。この構成においては、3つの樹脂層により1つの段差が形成される。
図10(D)は、隣り合う樹脂層の組み合わせの各々において、樹脂層の内周側端部の位置が互いに異なり、すべての樹脂層の内周側端部が、基板の半径方向において、それぞれ異なる位置にあり、かつ、第2樹脂層1032の内周側端部1035が基板1030の内周に最も近く、第3樹脂層1033の内周側端部1036が基板1030の外周に最も近い構成を示す。第1樹脂層1031の内周側端部1034は、第2樹脂層1032で覆われている。この構成においては、3つの樹脂層により1つの段差が形成される。
図10(E)は、隣り合う樹脂層の組み合わせの各々において、樹脂層の内周側端部の位置が互いに異なり、すべての樹脂層の内周側端部が、基板の半径方向において、それぞれ異なる位置にあり、かつ、第2樹脂層1042の内周側端部1045が基板1040の内周に最も近く、第1樹脂層1041の内周側端部1044が基板1040の外周に最も近い構成を示す。第1樹脂層1041の内周側端部1044は、第2樹脂層1042で覆われている。この構成においては、3つの樹脂層により1つの段差が形成される。
図10(F)は、隣り合う樹脂層の組み合わせの各々において、樹脂層の内周側端部の位置が互いに異なり、第1樹脂層1051の内周側端部1054と、第3樹脂層1053の内周側端部1056とが、基板の半径方向において、同じ位置にあり、かつ、第2樹脂層1052の内周側端部1055が基板1050の内周に最も近い。第1樹脂層1051の内周側端部1054は、第2樹脂層1052で覆われている。この構成においては、3つの樹脂層により1つの段差が形成される。また、第1樹脂層の内周側端部1054と第3樹脂層の内周側端部1056が同じ位置にあるため、第3樹脂層を形成するときに、第1樹脂層に負荷がかかりやすい。この構成は、3つの樹脂層の内周側端部の位置がそろっている構成よりも、樹脂層の剥離が生じにくいという点で好ましい。
図面においては、理解の容易のため、本発明の記録媒体を模式的に示している。樹脂層は、実際には角張ったものではなく、図11に示すように、曲線で規定される輪郭を有していてよい。多くの場合、樹脂層は、曲線で規定される輪郭を有する。図11は、図10(A)に相当する。
実施の形態1および2として、3つの樹脂層を有する、4層記録媒体を説明した。樹脂層(情報記録層)の数は限定されず、樹脂層の数が4以上であっても、同じ原理を適用できる。例えば、樹脂層の数が4であるときには、図10(B)に示す構成を応用して、第1の樹脂層および第4の樹脂層の内周側端部のみが、基板に接するようにしてよい。あるいは、図10(F)に示す構成を応用して、第1樹脂層および第3樹脂層の内周側端部の位置を同じにし、第2樹脂層および第4樹脂層の内周側端部の位置を同じにし、第4樹脂層および第2樹脂層がそれぞれ、第3樹脂層および第1樹脂層の内周側端部を覆うようにしてよい。このように、隣り合う樹脂層の組み合わせのうち、少なくとも1つの組み合わせにおいて、樹脂層の内周側端部の位置が互いに異なる構成によって、転写基板を剥離する工程にて生じる欠陥を低減することができる。
以上説明したように、形成する樹脂層の内周側端部の位置(即ち、樹脂層の内縁)を、少なくとも1つの隣り合う樹脂層の組み合わせにおいて、互いに異なるようにする構成によって、剥離時に発生する欠陥を大幅に低減することができる。また、各樹脂層の内周側端部の位置は、例えば、スクリーン印刷法によって、容易に所望の位置に設定できるので、追加のプロセスおよび設備は、特に必要とされない。よって、本発明の多層情報記録媒体は、従来の設備をそのまま用いて、製造することが可能である。
(実施の形態3)
実施の形態3として、樹脂層を硬化する際に、領域を分けて、領域によって紫外線照射量を変える方法を説明する。多層ディスクにおいては、記録層が形成されている情報記録領域とそうでない領域(「非情報記録領域」と呼ぶ)では、透過率が大きく異なる。このため、樹脂層を形成するたびに、非情報記録領域における樹脂層は、多量の紫外線にさらされることになる。
図8を用いて、非情報記録領域と、紫外線の照射量を変えて情報記録媒体を製造する方法を詳細に説明する。基板801の上には、紫外線硬化性樹脂からなる樹脂層803、805、807、および透明層(または保護層)809が積層形成され、各樹脂層の間には、第1情報記録層802、第2情報記録層804、第3情報記録層806、第4情報記録層808がそれぞれ形成されている。
情報記録層は、金属または誘電体で形成されており、スパッタリング装置を用いて形成される。通常、このスパッタリング装置に基板801を設置する場合、金具により基板801が固定され、情報記録層が形成されない内周非情報記録領域810、情報記録層が形成されない外周非情報記録領域812が設けられる。これらの非情報記録領域は、スパッタリング装置内で、基板801を固定した結果として形成され、マスク領域と称されることもある。これらの非情報記録領域においては、情報記録層が各樹脂層で包み込まれ、情報記録層が大気および水蒸気と接触することが無い。よって、非情報記録領域は、情報記録層の劣化を防ぐという役割も果たしている。非情報記録領域は、半径約21mm〜約59mmまでの環状領域、および半径約59mm〜60mmまでの環状領域である。
多層情報記録媒体を作製するプロセスでは、各樹脂層の領域によって、吸収される紫外線照射量が異なる。例えば、樹脂層803における紫外線による硬化の度合いを考える。樹脂層803を硬化するために用いられる紫外線照射量は、全領域で同じである。その後、第2の情報記録層804を形成し、樹脂層805を硬化するために、紫外線を照射する際には、樹脂層803内に照射される光量は、場所によって変わる。これは、第2の情報記録層804がマスクとなって、樹脂層803の領域811には、ほとんど紫外線が照射されないが、樹脂層803の内周側の領域810及び外周側の領域812領域では、上部に情報記録層が無いため、多くの紫外線が照射されることによる。
同様に、樹脂層807および透明層809を形成する際の紫外線照射量も、それぞれの領域で異なる。また、情報記録層の数が多いほど、情報記録領域811の透過率は低下するため、情報記録領域に照射される紫外線照射量と、非情報記録領域に照射される紫外線照射量との差は、より後の樹脂層形成工程において、より大きくなる。
紫外線硬化性樹脂は、紫外線に曝されると架橋が進み、未硬化の液体状の樹脂が硬化する性質を有する。紫外線硬化性樹脂は、完全に硬化が終わった後で過剰の紫外線が照射されると、硬化後の樹脂がもろくなるという性質をまた有している。特に、内周部から転写基板の剥離を行う場合、領域810の樹脂がもろくなると、転写基板を剥離する際に欠陥を生じやすくなり、樹脂層の内周側端部が基板から剥離する、または転写基板に付着する可能性が高くなる。
そのような不都合を防止するためには、あらかじめ、内周側の領域810に紫外線が過度に照射されないように、紫外線照射量を調整する必要がある。また、外周部から剥離を行う際には、外周側の領域812に紫外線が過度に照射されないように、紫外線照射量を調整すればよい。
紫外線照射量は様々な方法で調整され得る。例えば、転写基板側から紫外線を照射する場合、転写基板の透過率を部分的に小さくすることによって、非情報記録領域への紫外線照射量を減らすことが可能である。
図9は、基板に紫外線を照射する工程を模式的に示す。図9(A)において、901は紫外線照射装置、902は転写基板、903は樹脂層、904は基板を表している。図9(B)は、転写基板902を紫外線照射装置901側から見た俯瞰図である。内周側の領域905と外周側の領域907は、樹脂層903に照射される紫外線照射量を減らすために、金属膜で覆っている。
この金属膜の材料は、特に限定されない。例えば、Ag、Al、NiまたはCuを用いて金属膜を形成できる。金属膜は、樹脂層903をアクリル系樹脂で形成する場合には、波長280〜340nmの光の透過率が、10〜40%の範囲内となるように、構成されることが好ましい。この波長領域は、樹脂層903に混入している硬化開始剤が作用する、紫外線波長に依存する。また、透過率は、樹脂層903に混入している硬化開始剤の量に依存する。上記の樹脂で樹脂層を形成する場合において、上記の波長領域の紫外線が、上記の透過率で、樹脂層903に照射されれば、良好な剥離性を確保することができる。透過率が高すぎる場合は、樹脂層903の硬化が進み、もろくなるため、欠陥が生じる。また、透過率が低すぎる場合は、樹脂層903がゲル状になり、硬化しない。このため、樹脂層903の硬化度合いによって、金属膜の透過率を調整する必要がある。
また、本実施の形態では、転写基板に、紫外線照射量を調整する金属膜を形成した。紫外線照射量を調整する手段は金属膜に限定されない。例えば、紫外線照射装置と転写基板の間に別部品を挿入することで、紫外線照射量を調整することも可能である。また、紫外線照射装置本体に、紫外線が照射される領域を制限する部材を取り付けてよい。
(実施の形態4)
実施の形態4として、前記非情報記録領域において、紫外線を照射する領域を、さらに細かく区分して、紫外線を照射することを含む、本発明の情報記録媒体の製造方法を説明する。図11は、本発明の記録媒体の一形態を示す断面図と、その媒体の非情報記録領域において、紫外線照射量の異なる領域が存在することを示すグラフを示す。
非情報記録領域をさらに区分する必要性を、図11を参照して説明する。図11に示す構成の三層の樹脂層を形成する際は、第1樹脂層2001のどの部分においても、同じ量の紫外線が照射される。次に、第2樹脂層2002となる紫外線硬化性樹脂を塗布し、紫外線を照射すると、第2樹脂層がマスクとなるため、図中の領域Aに照射される紫外線照射量の総量は、図中の領域Bに照射される紫外線照射量の総量よりも多くなる。さらに、第3層樹脂層2003となる紫外線硬化性樹脂を塗布し、紫外線を照射すると、第2樹脂層に加えて、第3樹脂層もマスクとなるため、図中の領域Cに照射される紫外線照射量の総量は、最も少なくなる。図中の領域Aは、樹脂層のマスクがないため、第1樹脂層を形成するときに照射された紫外線照射量の3倍の紫外線にさらされることとなる。
各領域の紫外線照射量を、図11に模式的に示す。図示するように、領域A、BおよびCにおける、紫外線照射量は、第3樹脂層を形成した段階で、相当に異なる。図11に示すグラフは概念的なものであり、各領域の紫外線照射量は、第2樹脂層および第3樹脂層の厚さおよび紫外線透過性によって異なる。
このように、各領域の紫外線照射量が異なると、紫外線照射量の最も多い領域Aの樹脂がもろくなり、剥がれ落ちる可能性がある。これは、記録媒体の欠陥となる。この欠陥の発生を防止するため、領域Aのように紫外線照射量が累積的に多くなる部分は、マスクで覆って、紫外線照射量を小さくすることが好ましい。たとえば、第1樹脂層〜第3樹脂層の形成が終了したときに、すべての領域で紫外線照射量が同じになるように、領域Aの上方には、最も透過率の低いマスクを用い、領域Bの上方には領域Aの上方にあるマスクよりも、透過率の高いマスクを使用することが好ましい。このように、各領域での紫外線照射量を同じレベルにすると、紫外線が過度に照射される領域を無くすことができ、全体として均一な樹脂層の積層体を形成することができる。
マスクは、先に説明したように、転写基板に形成された金属膜であってよい。あるいは、紫外線照射装置と転写基板の間に別部品を挿入することで、紫外線照射量を調整することも可能である。また、紫外線照射装置本体に、紫外線が照射される領域を制限する部材を取り付けてよい。
本発明の多層情報記録媒体及びその製造方法は、欠陥が少ない多層記録媒体を高速で製造することを可能とし、正確に大容量情報を光学的に再生可能な多層型の光ディスク(例えば、デジタル多用途ディスク(DVD)およびブルーレイディスク)およびその製造方法として有用である。また、本発明は、大容量メモリーの製造等の用途にも応用できる。
(A)〜(C)は、本発明の記録媒体の製造過程において転写基板を剥離する工程を示す断面図である。 従来の多層情報記録媒体を示す断面図である。 本発明の多層情報記録媒体を示す断面図である。 (A)〜(D)はスクリーン印刷による樹脂層の形成方法を示す断面図である。 (A)はスクリーンの模式図であり、(B)は樹脂塗布領域を示す平面図である。 (A)〜(D)は、樹脂層と転写基板とを貼り合わせる工程を示す断面図である。 (A)および(B)はそれぞれ、本発明の多層情報記録媒体の一例を示す断面図である。 (A)は情報記録領域と非情報記録領域を示す断面図であり、(B)は、情報記録領域と非情報記録領域を示す平面図である。 (A)は紫外線を照射する工程を示す模式図であり、(B)はマスクを設けた転写基板を示す俯瞰図である。 (A)〜(F)はそれぞれ、本発明の記録媒体の一例を示す断面図である。 本発明の記録媒体の一例を示す断面図と、その媒体の非情報記録領域において、紫外線照射量の異なる領域が存在することを示すグラフを示す。
符号の説明
101 テーブル
102 基板
103 吸着アーム
104 紫外線硬化性樹脂
105 転写基板
106 剥離ピン
107 エアブロー突出口
108 内周側端部
109 紫外線硬化性樹脂
110 内周側端部
111 転写基板
112 基板

Claims (14)

  1. 内周と外周とを有する基板上に、3以上の情報記録層と、前記情報記録層と情報記録層との間に配置された樹脂層とを有する多層情報記録媒体であって、
    隣り合う2つの樹脂層の組み合わせの少なくとも1つの組み合わせにおいて、樹脂層の内周側端部の位置が互いに異なり、
    少なくとも1つの樹脂層の内周側端部が、別の樹脂層によって覆われている
    多層情報記録媒体。
  2. 前記隣り合う2つの樹脂層の組み合わせの各々において、内周側端部の位置が、互いに異なる請求項1に記載の多層情報記録媒体。
  3. 基板に最も近い樹脂層の内周側端部の位置が、それ以外の樹脂層の内周側端部の位置よりも、基板の内周に近い、請求項1に記載の多層情報記録媒体。
  4. 全ての樹脂層の内周側端部が前記基板に接している請求項1に記載の多層情報記録媒体。
  5. 基板上に順に第1樹脂層〜第m樹脂層が形成されており(mは情報記録層の数より1少ない整数)、第1樹脂層の内周側端部と第m樹脂層の内周側端部のみが基板に接している、請求項1に記載の多層情報記録媒体。
  6. 全ての樹脂層の内周側端部の位置がそれぞれ異なる、請求項1に記載の多層情報記録媒体。
  7. 情報記録層の数が4以上であり、少なくとも2つの樹脂層の内周側端部の位置が同じである、請求項1に記載の多層情報記録媒体。
  8. 前記隣り合う2つの樹脂層の組み合わせにおいて、樹脂層の内周部が互いに接している請求項1に記載の多層情報記録媒体。
  9. 内周と外周とを有する基板上に、3以上の情報記録層と、前記情報記録層と情報記録層との間に配置された樹脂層とを有する多層情報記録媒体の製造方法であって、
    各樹脂層を形成することが
    (i)放射線硬化性樹脂を情報記録層上に塗布して未硬化の樹脂層を形成する工程、
    (ii)前記未硬化の樹脂層と、表面に凹凸を有する転写基板とを貼り合せる工程、
    (iii)前記未硬化の樹脂層を硬化する工程、および
    (iv)前記硬化した樹脂層の表面から転写基板を剥離する工程を
    含み、
    工程(i)〜(iv)を、(M−1)回(Mは情報記録層の数)繰り返し、
    少なくとも1回の工程(i)において、未硬化の樹脂層の内周側端部が、前回形成した樹脂層の内周側端部とは異なるように、放射線硬化性樹脂を塗布する領域を選択し、
    少なくとも1回の工程(i)において、未硬化の樹脂層の内周側端部が、前回形成した樹脂層の内周側端部を覆うように、放射線硬化性樹脂を塗布する領域を選択する、
    多層情報記録媒体の製造方法。
  10. 工程(i)を、スクリーン印刷法またはインクジェット法により実施する、請求項9に記載の製造方法。
  11. 各工程(i)において、放射線硬化性樹脂を塗布する領域を、その内周側端部が基板に接するように選択する、請求項9に記載の製造方法。
  12. 前記転写基板の厚みが、前記基板の厚みより小さく、かつ、
    前記転写基板を剥離する工程(iv)において、転写基板を反らせながら樹脂層の表面から剥離する、請求項9に記載の製造方法。
  13. 放射線硬化性樹脂が紫外線硬化性樹脂であり、
    前記未硬化の樹脂層を硬化する工程(iii)において、
    前記未硬化の樹脂層を紫外線を照射することにより硬化し、
    前記情報記録層が形成されている領域(以下、「情報記録領域」と呼ぶ)よりも内周側の領域及び/又は前記情報記録領域よりも外周側の領域に位置する樹脂層への紫外線照射量を、前記情報記録領域に位置する樹脂層への紫外線照射量よりも少なくする、請求項9に記載の製造方法。
  14. 放射線硬化性樹脂が紫外線硬化性樹脂であり、前記未硬化の樹脂層を硬化する工程(iii)が、
    樹脂層の積層数が異なる部分を、それぞれ異なる紫外線照射領域として規定し、
    樹脂層の積層数がより少ない紫外線照射領域に、紫外線照射量をより少なくして、紫外線を照射すること
    を含む、請求項9に記載の製造方法。
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