JP4039132B2 - 多層型光ディスクの製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、厚みが厚いディスク基板の一方の面側に信号層を多層に形成し、且つ、多層化した信号層のうちで積層方向に対してディスク基板から最も離れた最外層の信号層上に厚みが薄い透明カバー層を形成して、透明カバー層からレーザービームを各層の信号層に向けて入射させるように構成した多層型光ディスクの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般的に、光ディスクは、映像情報とか音声情報やコンピュータデータなどの情報信号を円盤状のディスク基板上で螺旋状又は同心円状に形成したトラックに高密度に記録し、且つ、記録済みのトラックを再生する際に所望のトラックを高速にアクセスできることから多用されている。
【0003】
この際、光ディスクは、再生専用タイプと記録再生タイプとに大別できる。ここで、再生専用タイプの光ディスクは、情報信号を凹状のピットと凸状のランドとでディジタル的なピット列に変換して、このピット列が円盤状の透明なディスク基板上に螺旋状又は同心円状に形成されており、更に、ピット列上に金属反射膜,保護膜を順に成膜して、金属反射膜を成膜したピット列による信号層が再生専用に形成されている。
【0004】
一方、記録再生タイプの光ディスクは、凹状のグルーブと凸状のランドとが円盤状の透明なディスク基板上に螺旋状又は同心円状に予め交互に形成されており、更に、これらのグルーブ上及びランド上に記録膜,金属反射膜,保護膜を順に成膜して、記録膜を成膜したグルーブ及びランドによる信号層が記録再生可能に形成されている。
【0005】
そして、再生専用タイプの光ディスクは、光ディスク装置内で光ディスクの径方向に移動自在に設けた光ピックアップから対物レンズを介して出射された再生用のレーザービームをディスク基板のレーザービーム入射面から信号層に向けて照射して、信号層から反射された戻り光を光ピックアップ内のフォトディテクタで検出して再生している。
【0006】
一方、記録再生タイプの光ディスクは、光ディスク装置内で光ディスクの径方向に移動自在に設けた光ピックアップから対物レンズを介して出射された記録用のレーザービームをディスク基板のレーザービーム入射面から信号層に向けて照射して、このレーザービームで信号層を記録し、この後、記録済みの信号層を上記と同じように再生用のレーザービームで再生している。
【0007】
上記した光ディスクのうちで音楽情報を収録したCD(Compact Disc)とか、コンピュータデータを収録したCD−ROM(CD-Read Only Memory) とか、情報信号を1回だけ記録できる記録再生可能なCD−R(CD-Recordable) とか、CDよりも記録容量を6〜8倍高めてディジタル化して圧縮した映像情報や音声情報を収録できるDVD(Digital Versatile Disc)とか、情報信号を1回だけ記録できる記録再生可能なDVD−R(DVD-Recordable)とか、情報信号を複数回記録できる記録再生可能なDVD−RW(DVD-Re recordable) ,DVD−RAM(DVD-Random Access Memory 又はDVD-Writable) などは、既に多用されている。
【0008】
一方、最近になって既存のCDや既存のDVDと外形寸法が略同じで、DVDよりも情報信号を超高密度に記録及び/又は再生でき、15GB〜25GB程度の記録容量を有する超高密度の光ディスクの開発が盛んに行われている。
【0009】
ここで、光ディスクへの記録容量を向上させるには、一般的にレーザービームのスポット径を小さくすることが必要であり、レーザービームのスポット径はレーザー波長と、対物レンズの開口数(NA)とに起因する。この際、対物レンズの開口数(NA)を大きくすると光ディスクの傾きに対して収差が増大しやすくなり、光ディスクの傾き角(Tilt)による影響が大きくなる。この収差はディスク基板上でレーザービームの入射面から信号層までの厚みと(NA)に比例するために、対物レンズのNAを大きくする場合には、レーザービームの入射面から信号層までの厚みを薄くすることによって収差を小さくすることができる。
【0010】
上記に伴って、超高密度の光ディスクの場合には、波長が400nm近辺のレーザービームを用い、且つ、対物レンズには開口数(NA)が0.7〜0.85程度のものを用いることで、ディスク基板上でレーザービームの入射面から信号層までの厚みが略0.1mm〜0.2mm程度になっている。そして、超高密度の光ディスクにおいて、ディスク基板上の信号層は、トラックピッチが0.32μm、最短記録長さは0.14μmから0.17μmで情報信号が記録され、且つ、2T系変調信号が用いられており、符号方式は1,7PPと呼ばれ(1,7)RLL符号化方式を改良した方式が用いられている。
【0011】
ところで、ディスク基板上で信号層を多層化することで、超高密度の光ディスクの記録容量を更に増大させることができる超高密度の多層型光ディスが検討されており、この一例として、超高密度の2層型光ディスクを製造するための新規な製造法方法が、2001年秋台湾で行われたISOM学会(International Symposium on Optical Memory 2001,Oct16-19,Taipei,Taiwan ) の予稿集312ページに下記の図12及び図13に示した如く開示されている。
【0012】
図12は従来例における超高密度の2層型光ディスクを説明するために模式的に示した図である。
【0013】
図12に示した如く、従来例における超高密度の2層型光ディスク100は、波長が405nmの青色のレーザービームを用い、且つ、開口数(NA)が0.85の対物レンズを用いて、厚みが厚いディスク基板101の外形寸法を120mmの円盤状に形成した時に1層当たりの信号層の記録容量が25GB程度であり、この信号層を2層化にすることで記録容量を2倍にしたものである。
【0014】
即ち、厚みが厚く略1.1mm程度に形成されたディスク基板101は、中心孔101aの径が15mm、且つ、外周101bの径が120mmに形成され、このディスク基板101の一方の面上に凹凸状の刻印からなる凹凸情報101cが射出成形により形成されている。また、ディスク基板101の凹凸情報101c上に金属反射膜を有する第2信号層102が成膜されている。
【0015】
また、第2信号層102上に透明な紫外線硬化樹脂を用いた透明接着剤による第1光透過層(透明接着剤層)103Aを介して後述する転写用基板111(図13)側の第2光透過層103Bが接着されることで、第1,第2光透過層103A,103Bを合わせて光透過層103が30μm程度の膜厚で形成されている。
【0016】
また、光透過層103の第2光透過層103B上に後述する転写用基板111{図13(b)}の凹凸情報111cによって凹凸情報103B1が転写された後に、この凹凸情報103B1上に半透過反射膜を有する第1信号層104が成膜されている。
【0017】
更に、第1信号層104上に透明接着剤層105A及び透明樹脂カバーシート105Bからなる透明カバー層105が厚みを薄くして形成されており、透明樹脂カバーシート105Bのレーザービーム入射面(=表面)から第1光透過層(透明接着剤層)103Aと第2光透過層103Bとの間に位置する接着面までの距離が略0.1mm程度に設定されている。
【0018】
そして、透明カバー層105の透明樹脂カバーシート105B側がレーザービームの入射側になっている。
【0019】
上記した構成により、透明カバー層105側から入射したレーザービームが第1信号層104の半透過反射膜を透過し、更に、光透過層103を通過して第2信号層102に到達した場合には、第2信号層102上に情報信号を超高密度に記録したり、あるいは、記録済みの情報信号を超高密度に再生できる。
【0020】
また、透明カバー層105側から入射したレーザービームが第1信号層104の半透過反射膜で反射された場合には、第1信号層104上に情報信号を超高密度に記録したり、あるいは、記録済みの情報信号を超高密度に再生できる。
【0021】
従って、上記した上層の第2信号層102と、上記した下層の第1信号層104とで従来例における超高密度の2層型光ディスク100が得られている。
【0022】
次に、上記した従来例における超高密度の2層型光ディスク100を製造する場合について、図13(a)〜(e)を用いて説明する。
【0023】
図13(a)〜(e)は従来例における超高密度の2層型光ディスクを製造する製造工程を説明するために模式的に示した図である。
【0024】
まず、図13(a)に示した如く、厚みが厚いディスク基板101側を用意する。ディスク基板101は、ポリカーボネート樹脂などを用いて中心孔の径が15mm、外周の径が120mm、基板厚みが略1.1mmに形成されており、且つ、射出成型機内に取り付けた不図示のスタンパによりディスク基板101の一方の面上に凹凸情報101cが凹凸状に刻まれた状態で転写されている。また、ディスク基板101の凹凸情報101c上に金属反射膜を有する第2信号層102が成膜されている。
【0025】
また、図13(b)に示した如く、転写用基板111側を用意する。この転写用基板111は例えば透明なポリカーボネート樹脂などを用いて中心孔の径が15mm、外周の径が120mmに形成されており、射出成型機内に取り付けた不図示のスタンパにより転写用基板111の一方の面上に凹凸情報111cが凹凸状に刻まれた状態で転写されている。また、転写用基板111の凹凸情報111c上に透明な紫外線硬化樹脂を用いて第2光透過層103Bが成膜されている。
【0026】
次に、図13(c)に示した如く、ディスク基板101側と転写用基板111側とを透明な紫外線硬化樹脂を用いた透明接着剤による第1光透過層(透明接着剤層)103Aで接着する。具体的には、ディスク基板101側の第2信号層102上に透明な紫外線硬化樹脂を用いた透明接着剤を滴下して、この透明接着剤による第1光透過層(透明接着剤層)103Aを介して転写用基板111側の第2光透過層103Bを接着することで、第1,第2光透過層103A,103Bを合わせた光透過層103が30μm程度の厚みで形成される。この際、ディスク基板101側と転写用基板111側とを透明接着剤で接着する時に、透明接着剤を硬化させるためにはディスク基板101側の第2信号層102に金属反射膜が必ず成膜されているので紫外線を照射した時に金属反射膜が紫外線を遮ってしまう。一方、透明な転写用基板111側には金属反射膜が成膜されていないために、透明な転写用基板111側から紫外線を照射すると第2光透過層103Bを介して紫外線が第1光透過層(透明接着剤層)103Aに到達するので第1光透過層(透明接着剤層)103Aを硬化させることができる。
【0027】
次に、図13(d)に示した如く、図13(c)に示した状態のディスク基板101側から転写用基板111を剥離する。これにより、転写用基板111の凹凸情報111cが第2光透過層103B上で凹凸情報103B1として転写された状態でこの第2光透過層103Bがディスク基板101側の第2信号層102上に第1光透過層(透明接着剤層)103Aを介して接着されている。
【0028】
次に、図13(e)に示した如く、ディスク基板101側の光透過層103上に第1信号層104と透明樹脂カバー層105とを順に形成する。具体的にはディスク基板101側に接着した第2光透過層103Bの凹凸情報103B1上に半透過反射膜を有する第1信号層104を成膜し、且つ、第1信号層104上に透明な紫外線硬化樹脂を用いた透明接着剤による透明接着剤層105Aを介して厚みが薄い透明樹脂カバーシート105Bを接着し、透明接着剤層105Aと透明樹脂カバーシート105Bとで厚みが略0.1mm程度の透明カバー層105を形成する。そして、ディスク基板101側に透明樹脂カバーシート105Bを接着した時の合計の厚みは略1.2mmとなり、従来例における超高密度の2層型光ディスク100が完成する。
【0029】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記したように従来例における超高密度の2層型光ディスク100を製造するにあたって、ディスク基板101側と転写用基板111側とを接着した後に図13(d)に示したようにディスク基板101側から転写用基板111を外周から内周に向かって徐々に剥離していくに際に、ディスク基板101側と転写用基板111側とを接着した時に両基板101,111の外径寸法が同じであるために第1光透過層(透明接着剤層)103Aとなる透明接着剤が転写用基板111の外周端面に回り込んで付着するので、転写用基板111の外周端面で第2光透過層103Bが付着したままになり、転写用基板111から第2光透過層103Bがうまく剥離できず2層型光ディク100の外周部位で欠陥が生じてしまい、品質及び信頼性の悪い2層型光ディスク100が作製されるなどの問題点も生じている。
【0030】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、第1の発明は、厚みが厚いディスク基板の一方の面側に信号層を多層に形成し、且つ、多層化した前記信号層のうちで積層方向に対して前記ディスク基板から最も離れた最外層の信号層上に厚みが薄い透明カバー層を形成して、前記透明カバー層側からレーザービームを各層の信号層に向けて入射させるように構成した多層型光ディスクの製造方法において、
前記ディスク基板の一方の面の最内周部位にリング状溝を中心孔に沿って同心的に予め形成すると共に、前記リング状溝よりも外周側に凹凸情報を予め形成した上で、前記リング状溝及び前記凹凸情報上に信号層を成膜する第1のステップと、
前記ディスク基板の外周の径より大きな外周の径を有する転写用基板の一方の面の最内周部位にリング状溝を中心孔に沿って同心的に予め形成すると共に、前記リング状溝よりも外周側に凹凸情報を予め形成した上で、前記リング状溝及び前記凹凸情報上に剥離層を成膜する第2のステップと、
前記転写用基板側の前記剥離層上に透明な紫外線硬化樹脂を滴下して、この透明な紫外線硬化樹脂による第2光透過層を成膜して、前記剥離層を介した前記第2光透過層により前記転写用基板側の前記リング状溝及び前記凹凸情報を転写する第3のステップと、
前記ディスク基板側の前記信号層と、前記転写用基板側の前記第2光透過層との間に透明接着剤による第 1 光透過層を介在させて、両基板同士を接着する第4のステップと、
前記転写用基板に前記剥離層を付けたまま該転写用基板を前記ディスク基板側から剥離して、前記ディスク基板側に移行した前記第2光透過層上に前記転写用基板側の前記リング状溝及び前記凹凸情報により相補的に転写されたリング状凸部及び凹凸情報を露出させると共に、この凹凸情報の外周部位を前記ディスク基板の外周の径に合わせてカットする第5のステップと、
前記ディスク基板側に移行した前記第2光透過層の前記リング状凸部及び前記凹凸情報上に信号層を成膜する第6のステップと、
前記転写用基板と同様に一方の面にリング状溝及び凹凸情報を予め形成した他の転写用基板を用いて上記した第2〜第6のステップを繰り返して、前記ディスク基板側に必要に応じて更に信号層を多層化する第7のステップと、
前記ディスク基板側に多層化した前記信号層のうちで前記最外層の信号層上で最内周部位に突出した前記リング状凸部よりも外周側に厚みが薄い前記透明カバー層を形成する第8のステップとからなることを特徴とする多層型光ディスクの製造方法である。
【0031】
また、第2の発明は、厚みが厚いディスク基板の一方の面側に信号層を多層に形成し、且つ、多層化した前記信号層のうちで積層方向に対して前記ディスク基板から最も離れた最外層の信号層上に厚みが薄い透明カバー層を形成して、前記透明カバー層側からレーザービームを各層の信号層に向けて入射させるように構成した多層型光ディスクの製造方法において、
前記ディスク基板の一方の面の最内周部位にリング状溝を中心孔に沿って同心的に予め形成すると共に、前記リング状溝よりも外周側に凹凸情報を予め形成した上で、前記リング状溝及び前記凹凸情報上に信号層を成膜する第1のステップと、
前記ディスク基板側の前記信号層上に透明な紫外線硬化樹脂を滴下して、この透明な紫外線硬化樹脂による第1光透過層を成膜する第2のステップと、
前記ディスク基板の外周の径より大きな外周の径を有する転写用基板の一方の面の最内周部位にリング状溝を中心孔に沿って同心的に予め形成すると共に、前記リング状溝よりも外周側に凹凸情報を予め形成した上で、前記リング状溝及び前記凹凸情報上に剥離層を成膜する第3のステップと、
前記ディスク基板側の前記第1光透過層と、前記転写用基板側の前記剥離層との間に透明接着剤による第2光透過層を介在させて、両基板同士を接着して、前記剥離層を介した前記第2光透過層により前記転写用基板側の前記リング状溝及び前記凹凸情報を転写る第4のステップと、
前記転写用基板に前記剥離層を付けたまま該転写用基板を前記ディスク基板側から剥離して、前記ディスク基板側に移行した前記第2光透過層上に前記転写用基板側の前記リング状溝及び前記凹凸情報により相補的に転写されたリング状凸部及び凹凸情報を露出させると共に、この凹凸情報の外周部位を前記ディスク基板の外周の径に合わせてカットする第5のステップと、
前記ディスク基板側の前記第2光透過層の前記リング状凸部及び前記凹凸情報上に信号層を成膜する第6のステップと、
前記転写用基板と同様に一方の面にリング状溝及び凹凸情報を予め形成した他の転写用基板を用いて上記した第2〜第6のステップを繰り返して、前記ディスク基板側に必要に応じて更に信号層を多層化する第7のステップと、
前記ディスク基板側に多層化した前記信号層のうちで前記最外層の信号層上で最内周部位に突出した前記リング状凸部よりも外周側に厚みが薄い前記透明カバー層を形成する第8のステップとからなることを特徴とする多層型光ディスクの製造方法である。
【0032】
【発明の実施の形態】
以下に本発明に係る多層型光ディスクの製造方法の一実施例を図1乃至図11を参照して、<2層型光ディスク>,<多層型光ディスクの製造方法>,<3層型光ディスク>,<4層型光ディスク>,<変形例の多層型光ディスクの製造方法>の順に詳細に説明する。
【0033】
本発明に係る多層型光ディスクの製造方法は、先に図12及び図13を用いて説明した従来例における超高密度の2層型光ディスクの製造方法に対して一部改良を図ったものであり、多層型光ディスクの製造工程は従来と基本的に同じであるものの、とくに、ディスク基板の一方の面に形成した凹凸情報上に信号層を成膜し、且つ、ディスク基板の外周の径より大きな外周の径を有する転写用基板の一方の面に形成した凹凸情報上に剥離層を成膜すると共に、この剥離層上に透明な紫外線硬化樹脂による第2光透過層を成膜して、ディスク基板側の信号層上に滴下した透明接着剤による第1光透過層を介して転写用基板側の第2光透過層を接着した後に、転写用基板に剥離層を付けたまま転写用基板をディスク基板側から剥離する際に、転写用基板の外形寸法をディスク基板の外形寸法より一回り大きく形成して、転写用基板側に成膜した第2光透過層の外周部位の剥離性能を向上させるように改良を図ることにより、転写用基板側に成膜した第2光透過層の凹凸情報をディスク基板側に確実に移行できるようにしたものである。尚、本発明に係る多層型光ディスクの製造方法は、2層型光ディスクは勿論のこと、2層以上の多層型光ディスクにも適用可能である。
【0034】
<2層型光ディスク>
本発明に係る多層型光ディスクの製造方法を説明する前に、この製造方法を適用して作製した2層型光ディスクについて図1を用いて説明する。
【0035】
図1は本発明に係る多層型光ディスクの製造方法を適用して作製した2層型光ディスクを説明するために模式的に示した図である。
【0036】
図1に示した如く、本発明に係る多層型光ディスクの製造方法を適用して作製した2層型光ディスク10は、従来と略同様に、厚みが厚い円盤状のディスク基板11の一方の面側に信号層12,14が2層に形成されており、これら2層の信号層12,14のうちで積層方向に対してディスク基板11から最も離れた最外層の信号層14上に厚みが薄い透明カバー層15を形成して、透明カバー層15側からレーザービームを信号層12,14に向けて入射させるように構成したものである。
【0037】
上記した2層型光ディスク10は、波長が400nm近辺の青色のレーザービームを用い、且つ、開口数(NA)が0.7〜0.85の対物レンズを用いて、厚みが厚いディスク基板11の外形寸法を120mmに形成した時に1層当たりの信号層の記録容量が25GB程度であり、この信号層を2層化にすることで記録容量を2倍にしたものである。
【0038】
即ち、上記した2層型光ディスク10において、厚みが厚く略1.1mm程度に形成されたディスク基板11は、中心孔11aの径が15mm、且つ、外周11bの径が120mmに形成され、このディスク基板11の一方の面上に凹凸状の刻印からなる凹凸情報11cが射出成形により予め形成されていると共に、ディスク基板11の一方の面の最内周側にリング状溝11dが中心孔11aに沿って深さを浅く同心的に予め形成されている。この際、ディスク基板11の一方の面上に刻まれた凹凸情報11cは、再生専用タイプの場合にディスクの非記録再生面側からみて凹状のピットと凸状のランドとによるピット列がディスク基板11上で螺旋状又は同心円状に形成されたものであり、一方、記録再生タイプの場合にディスクの非記録再生面側からみて凹状のグルーブと凸状のランドとがディスク基板11上で螺旋状又は同心円状に予め交互に形成されたものである。
【0039】
また、ディスク基板11の一方の面の最内周側に形成されたリング状溝11dは、後述するように第2信号層12上に透明な紫外線硬化樹脂による透明接着剤を滴下して第1光透過層(透明接着剤層)13Aを成膜する際に透明接着剤が中心孔11a側に延伸しないように防止するためのものである。
【0040】
また、ディスク基板11の凹凸情報11c上に金属反射膜を有する第2信号層12が成膜されている。この際、ディスク基板11の凹凸情報11c上に成膜した第2信号層12は、再生専用タイプの場合にピット列上にアルミニウムなどの金属反射膜のみが成膜されたものであり、一方、記録再生タイプの場合に凹状のグルーブ上及び凸状のランド上に金属反射膜と記録膜とが上記順に成膜されたものである。
【0041】
また、第2信号層12上に透明な紫外線硬化樹脂を用いた透明接着剤による第1光透過層(透明接着剤層)13Aを介して後述する転写用基板21{図2(b)}の剥離層22上に透明な紫外線硬化樹脂により成膜した第2光透過層13Bが接着されることで、第1,第2光透過層13A,13Bからなる光透過層13が20〜30μm程度の膜厚で形成されている。
【0042】
また、光透過層13では、内側の第1光透過層13A上にディスク基板11の凹凸情報11c及びリング状溝11dによって凹凸情報13A1及びリング状凸部13A2が転写され、且つ、外側の第2光透過層13B上に後述する転写用基板21{図2(b)}の凹凸情報21c及びリング状溝21dによって凹凸情報13B1及びリング状凸部13B2が転写されている。
【0043】
また、第2光透過層13B側の凹凸情報13B1上及びリング状凸部13B2上に半透過金属反射膜を有する第1信号層14が成膜されている。
【0044】
更に、第1信号層14上に透明接着剤層15A及び透明樹脂カバーシート15Bからなる透明カバー層15が厚みを薄くして形成されており、この実施例では従来例とは異なって、透明樹脂カバーシート15Bのレーザービーム入射面(=表面)から第2信号層12と第1光透過層13Aとの間に位置する接合面までの距離を略0.1mm程度に設定している。
【0045】
そして、透明カバー層15の透明樹脂カバーシート15B側がレーザービームの入射側になっていると共に、第2信号層12に対して2層目の層番号が予め内周側に付与され、且つ、第1信号層14に対して1層目の層番号が予め内周側に付与されているので、透明樹脂カバーシート15B側から入射したレーザービームを層番号に応じて各信号層12,14をフォーカス制御するようになっている。
【0046】
ここで、透明樹脂カバーシート15Bのレーザービーム入射面から奥側の第2信号層12までの距離を予め設定する理由について説明する。例えば、透明樹脂カバーシート15Bのレーザービーム入射面から奥側の第2信号層12までの距離を例えば100μm(=0.1mm)に予め設定すると、光透過層13の厚みが20μm〜30μm程度であるならば、透明樹脂カバーシート15Bのレーザービーム入射面から手前側の第1信号層14までの距離は当然100μmより短く70μm〜80μm程度となる。
【0047】
図1では信号層を2層化した場合を図示しているが、後述するように信号層を2層だけでなく更に多層化した場合を含めて考慮すると、透明樹脂カバーシート15Bのレーザービーム入射面から積層方向に対して最内層側の信号層までの距離を予め設定し、且つ、手前側の各信号層になるに従いレーザービーム入射面から各信号層までの距離を順次短くしていく手法を取っている。従って、透明樹脂カバーシート15Bのレーザービーム入射面から最内層側の信号層までの距離と等価となるように透明カバー層15の厚みが固定されるため、光ピックアップ内の対物レンズを設計する時には、最内層側の信号層までの距離に合わせて対物レンズの収差が少なくなるように設計できる。一方、対物レンズを手前側の各信号層に焦点を合わせた時に生じる球面収差は増加するものの、この球面収差増加分は、透明樹脂カバーシート15Bのレーザービーム入射面から手前側の各信号層までの距離が短くなるに従ってディスクの反りによるチルトに対するコマ周差分が減少することで補正することができ、信号層を多層化しても各信号層からの信号品質が同じになるという効果を得られるので、透明樹脂カバーシート15Bのレーザービーム入射面から積層方向に対して最内層側の信号層までの距離を予め設定することが有効な方法であることが明らかである。
【0048】
上記した構成により、透明カバー層15側から入射したレーザービームが第1信号層14の半透過金属反射膜を透過し、更に、光透過層13を通過して第2信号層12に到達した場合に着目してみると、第2信号層12上に情報信号を超高密度に記録したり、あるいは、記録済みの情報信号を超高密度に再生できる。
【0049】
また、透明カバー層15側から入射したレーザービームが第1信号層14の半透過金属反射膜で記録時に熱吸収されたり、あるいは再生時に反射された場合に着目してみると、第1信号層14上に情報信号を超高密度に記録したり、あるいは、記録済みの情報信号を超高密度に再生できる。
【0050】
従って、上記した上層の第2信号層12と、上記した下層の第1信号層14とで超高密度の2層型光ディスク10が得られている。
【0051】
<多層型光ディスクの製造方法>
本発明に係る多層型光ディスクの製造方法について、図2〜図9を用いて工程順に説明する。
【0052】
図2(a),(b)は本発明に係る多層型光ディスクの製造方法において、ディスク基板と転写用基板とをそれぞれ製造した際の縦断面図、
図3(a),(b)は本発明に係る多層型光ディスクの製造方法において、ディスク基板側と転写用基板側とにそれぞれ成膜した際の縦断面図、
図4(a),(b)は本発明に係る多層型光ディスクの製造方法において、ディスク基板側と転写用基板側とを接着する際の縦断面図、
図5は本発明に係る多層型光ディスクの製造方法において、ディスク基板側と転写用基板側との接着時に紫外線で透明接着剤による第1光透過層を硬化させる際の縦断面図、
図6は本発明に係る多層型光ディスクの製造方法において、転写用基板に剥離層を付けたまま転写用基板をディスク基板側から剥離させる際の縦断面図、
図7は本発明に係る多層型光ディスクの製造方法において、ディスク基板側に接着した第2光透過層の外周をカッターで切削する際の縦断面図、
図8は本発明に係る多層型光ディスクの製造方法において、ディスク基板側に接着した第2光透過層上に第1信号層を成膜した際の縦断面図、
図9は本発明に係る多層型光ディスクの製造方法において、ディスク基板側の第1信号層上に透明カバー層を形成して2層型光ディスクを完成させた際の縦断面図である。
【0053】
(第1工程)
図2(a),(b)に示した如く、第1工程では、厚みが厚いディスク基板11と、転写用基板21とをそれぞれ作製する。
【0054】
まず、図2(a)に示した厚みが厚いディスク基板11は、ポリカーボネート樹脂などを用いて中心孔11aの径が15mm、外周11bの径D1が120mm、基板厚みT1が略1.1mmに形成されており、且つ、射出成型機内に取り付けた不図示のスタンパによりディスク基板11の一方の面上に凹凸情報11cが凹凸状に刻まれた状態で予め転写されていると共に、最内周部位にリング状溝11dが中心孔11aに沿って同心的に形成されている。
【0055】
この際、ディスク基板11の一方の面上に形成した凹凸情報11cは、例えば直径42mmから直径117mmの範囲に亘ってトラックピッチ0.32μm前後で螺旋状又は同心円状に形成されている。更に、凹凸情報11cを再生専用タイプに形成する場合にはピット深さが0.08μm前後のピット列の形態を取っており、一方、凹凸情報11cを記録再生タイプに形成する場合にはグルーブ深さが0.02μm前後のグルーブとグルーブ間にまたがるランドとの形態を取っている。また、ディスク基板11の一方の面上で最内周部位に形成したリング状溝11dは例えば直径19mmから直径20mmの範囲に亘って深さ0.1mm程度で凹状に形成されている。
【0056】
一方、図2(b)に示した転写用基板21は、紫外線に対して50%以上、望ましくは70%以上の光透過率を有する透明な基板材料を用いており、具体的には例えばポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂,アモルファスポリオレフィン樹脂,スチロール樹脂,石英ガラス,ソーダ石灰ガラス,ホウ珪酸ガラスなどが用いられている。
【0057】
そして、転写用基板21は、中心孔21aの径がディスク基板11の中心孔11aの径15mmより僅かに大きく形成され、且つ、外周21bの径D2がディスク基板11の外周11bの径D1(=120mm)より大きく130mmに形成され、更に、基板厚みT2が略1.2mmに形成されており、且つ、射出成型機内に取り付けた不図示のスタンパにより転写用基板21の一方の面上に凹凸情報21cが凹凸状に刻まれた状態で予め転写されていると共に、最内周部位にリング状溝21dが中心孔21aに沿って同心的に予め形成されている。
【0058】
この際、転写用基板21の外周21bの径D2を、従来と異なってディスク基板11の外周11bの径D1よりも一回り大きく形成することで、後述するように転写用基板21をディスク基板11側から剥離し易くしており、転写用基板21の外周21bの径D2は121mm以上であれば良いが、この実施例では上述したように130mmに設定した。
【0059】
また、転写用基板21の基板厚みT2は、0.6mm以上であれば良いが、この実施例では上述したように略1.2mmに設定した。とくに、転写用基板21の基板厚みT2を1mm〜2mm程度に厚くすることで、転写用基板21の一方の面のうねりが少なくなり、望ましい。しかし、転写用基板21の基板厚みT2を3mm以上に厚くすると、剥離時に転写用基板21を反らす際に大きな力が必要となり、効率が低下するので望ましくない。
【0060】
また、転写用基板21の一方の面上に形成した凹凸情報21cは、ディスク基板11と同様に、例えば直径42mmから直径117mmの範囲に亘ってトラックピッチ0.32μm前後で螺旋状又は同心円状に形成され、且つ、再生専用タイプに形成する場合にはピット列の形態を取り、一方、記録再生タイプに形成する場合にはグルーブとランドとの形態を取っているものの、後述するように上記した凹凸情報21cを第2光透過層13Bを介してディスク基板11側に移行させた時に転写用基板21の凹凸情報21cの回転方向がディスク基板11の凹凸情報11cの回転方向と一致するように予め不図示のスタンパ側で設定されている。
【0061】
また、転写用基板21の一方の面上で最内周部位に形成したリング状溝21dは、ディスク基板11と同様に、例えば直径19mmから直径20mmの範囲に亘って深さ0.1mm程度で凹状に形成されている。
【0062】
(第2工程)
図3(a),(b)に示した如く、第2工程では、ディスク基板11側と、転写用基板21側とにそれぞれ成膜する。
【0063】
まず、図3(a)に示した如く、ディスク基板11の一方の面に形成した凹凸情報11c上に金属反射膜を有する第2信号層12を成膜している。この際、ディスク基板11の凹凸情報11c上に成膜した第2信号層12は、再生専用タイプの場合にピット列上にアルミニウムなどの金属反射膜のみを成膜しており、一方、記録再生タイプの場合に凹状のグルーブ上及び凸状のランド上にアルミニウムなどの金属反射膜と、酸化ケイ素透明膜,テルル系相変化記録膜,酸化ケイ素透明膜を積層した記録膜とを上記順に成膜している。尚、記録再生タイプの場合には、記録膜は相変化記録型であるので、レーザービームを用いて初期化処理を施し、成膜されたテルル系相変化記録膜を結晶化させておくことが望ましい。なぜならば、記録膜を成膜した後に膜面が大気中でのゴミや汚れなどの汚染を受けることが少ない状態で初期化されるので、良好な記録特性を有する記録膜とすることができる。尚、第2信号層12中の記録膜の初期化処理は、後述する第5工程の終了後に施すことも可能である。
【0064】
次に、図3(b)に示した如く、転写用基板21の一方の面に形成した凹凸情報21c上に剥離改善を目的とした、厚さ5nmから50nmほどの剥離層22を成膜している。
【0065】
更に、剥離層22上に紫外線硬化樹脂を滴下して、第2光透過層13Bを略10μm程度の厚みで成膜している。この際、転写用基板21の一方の面と反対側の他方の面を不図示の回転テーブル上に装着して、回転テーブルを回転させながら、剥離層22上に紫外線硬化樹脂を滴下し、回転テーブルを高速回転し、所望の厚さに紫外線硬化樹脂を塗布する。そして、塗布された紫外線硬化樹脂に紫外線を照射して硬化させると第2光透過層13Bになる。この第2光透過層13Bの厚さは5μmから10μmくらいの厚さとすることが好ましく、実施例では略10μmとした。第2光透過層13Bの厚さを5μmより薄く成膜させようとすると、回転テーブルを長時間回転させなければならず、生産効率が悪化する結果となる。一方、第2光透過層13Bの厚さを10μmより厚く成膜させると、回転テーブルによる紫外線硬化樹脂延伸後、紫外線硬化樹脂の膜の厚さがディスク内周部と外周部とで異なってしまうので望ましくない。
【0066】
また、第2光透過層13Bを剥離層22上に成膜した時に、紫外線硬化樹脂によって転写用基板21の凹凸情報21cに対して相補的な凹凸情報13B1が形成されると共に、紫外線硬化樹脂が剥離層22を介して最内周部位に形成した転写用基板21のリング状溝21d内に入り込むのでこのリング状溝21dに対して相補的なリング状凸部13B2が形成されるが、この際、紫外線硬化樹脂が転写用基板21の中心孔21aに進入する前にリング状溝21dで一旦せき止められるために、転写用基板21の中心孔21a内に紫外線硬化樹脂が付着することがなくなり、紫外線硬化樹脂塗布後、硬化までの時間にゆとりが生じ、製造効率が向上する。そして、後述するように転写用基板21の第2光透過層13Bをディスク基板11側に移行させた時に、上記したリング状凸部13B2は、カバー層形成時の位置出し用突起として利用できる効果も生じる。
【0067】
また、上記した剥離層22は転写用基板21に対して密着性が良いものが望ましく、具体的には、金,クロム,ニッケル,珪素,珪素炭化物又は窒化物,酸化物などを薄膜に成膜することで光透過性を有しており、後述する第3工程で紫外線が透過できる厚さに制御されている。この際、剥離層22は1nm,2nmのようにあまり薄いと、均一な膜とならず、所々膜の形成されていないところが生じてしまい、後工程で述べるように第2光透過層13Bを転写用基板21から剥離する時に剥離層22が成膜されているところとそうでないところとで、第2光透過層13Bへの剥離強度が異なり、転写用基板21の凹凸情報21cを第2光透過層13Bによりディスク基板11側に正しく移行するという、当初の目的を果たさなくなるので不都合であり、従って目的を達成するには5nm以上の厚さが望ましい。一方、剥離層22の厚みが100nmのように厚くなると、第2光透過層13Bの成膜後の膜の表面形状は、転写用基板21の凹凸情報21cを正確に現さなくなったり、成膜時の膜内応力により、転写用基板21と剥離層22との間の密着性が悪くなり、後工程で述べる第2光透過層13Bの剥離時に成膜された第2光透過層13Bが剥離層22ごと剥離してしまい、転写用基板21の凹凸情報21cを第2光透過層13Bによりディスク基板11側に正しく移行するという、当初の目的を果たさなくなるので、均一な膜が成膜される範囲で膜厚はできるだけ薄い方が好ましい。この際、適切に選択された剥離層22は適切に選択された厚みのもとで、複数回の転写、剥離工程に対しても効果を維持できるようになるため、転写用基板21を多数用意する必要がなくなり、製造効率が向上する効果も生じる。
【0068】
(第3工程)
図4(a),(b)に示した如く、第3工程では、ディスク基板11側と、転写用基板21側とを紫外線硬化樹脂を用いた透明接着剤により接着する。
【0069】
この第3工程では、図4(a)に示したようにディスク基板11の中心孔11aを回転テーブル31のセンタースピンドル31aに嵌合させて、ディスク基板11の一方の面と反対側の面を回転テーブル31上に載置すると、一方の面側に成膜した第2信号層12が上方を向くので、この状態で回転テーブル31を回転させながら透明な紫外線硬化樹脂を用いた透明接着剤を第2信号層12上に滴下する。そして、透明接着剤が第2信号層12上で均一に延伸した時に回転テーブル31を停止する。この後、転写用基板21の一方の面に成膜した剥離層22及びこの剥離層22上に成膜した第2光透過層13Bを下方に向けた状態で、ディスク基板11の上方から転写用基板21の中心孔21aを回転テーブル31のセンタースピンドル31aに嵌合させて、転写用基板21の第2光透過層13Bをディスク基板11の第2信号層12上に透明接着剤による第1光透過層(透明接着剤層)13Aを介して接着すると、図4(b)に示したように第1光透過層13A,第2光透過層13Bによる光透過層13が一体的に形成される。
【0070】
また、透明接着剤による第1光透過層13Aを第2信号層12上に成膜した時に、紫外線硬化樹脂が最内周部位に形成したディスク基板11のリング状溝11d内に入り込んで、ディスク基板11の中心孔11aに進入する前にリング状溝11dで一旦せき止められるために、ディスク基板11の中心孔11a内に紫外線硬化樹脂が付着することがなくなり、紫外線硬化樹脂塗布後、硬化までの時間にゆとりが生じ、製造効率が向上する。
【0071】
この際、透明接着剤は、ウレタンアクリレート樹脂,エポキシアクリレート樹脂,ウレタンメタクリレート樹脂,エポキシメタクリレート樹脂などが用いられ、これらの各樹脂は紫外線で硬化するように光重合開始剤が添加されている。
【0072】
そして、前述したように第2光透過層13Bが略10μm程度に予め成膜されているために、第1,第2光透過層13A,13Bを含めた光透過層13の厚みは、20μm〜30μm程度となる。
【0073】
この際、前述したように、転写用基板21の外周の径がディスク基板11の外周の径より大きいので転写用基板21の外周部位はディスク基板11の外周部位よりはみ出している。
【0074】
また、回転テーブル31のセンタースピンドル31aは、ディスク基板11の中心孔11aと転写用基板21の中心孔11aとを同心的に一致させるために、2枚の基板11,21の各中心孔11a,21aの径より直径で5μm〜10μmほど小さくしておくことで、2枚の基板11,21はお互いに偏芯が少なくなるように重ね合わすことができ、且つ、センタースピンドル31aの高さは貼り合わせる2枚の基板11,21の厚みより僅かに高く設定されている。
【0075】
このように、回転テーブル31上に2枚の基板11,21順に積層して載置すると、下記する第4工程における接着剤硬化の時に紫外線が転写用基板21を通して照射可能となる。
【0076】
(第4工程)
図5に示した如く、第4工程では、ディスク基板11側と、転写用基板21側とを紫外線硬化樹脂を用いた透明接着剤により接着した時に、紫外線により透明接着剤による第1光透過層(透明接着剤層)13Aを硬化させている。
【0077】
この第4工程では、回転テーブル31上にディスク基板11を載置し、このディスク基板11上に転写用基板21を紫外線硬化樹脂を用いた透明接着剤により接着した時に、回転テーブル31を回転させながら転写用基板21の上方から紫外線ランプ32を照射することで、紫外線ランプ32からの紫外線が透明な転写用基板21と、光透過性を有する剥離層22と、第2光透過層13Bとを順に通過して、第1光透過層(透明接着剤層)13Aに到達するので、透明接着剤による第1光透過層13Aを硬化させることができる。そして、透明接着剤が硬化した後に、回転テーブル31の回転を停止して、貼り合わせた2枚の基板11,21を回転テーブル31上から取り外す。
【0078】
尚、上記した第1光透過層13Aは紫外線硬化樹脂を用いた透明接着剤によるものとして説明したが、これに限定されるものでなく、同様な接着機能を有するものであれば他の材料(=他の接着剤)でも良い。
【0079】
本発明に好適な他の接着剤としては、透明な両面粘着シートを挙げることができる。この透明な両面粘着シートは、粘着シートの両面に剥離シートが設けられているものであり、取扱時に粘着シート同士が接着しあうこともなく、作業工程の効率が上がり好ましい。更に、透明な両面粘着シートは、シート厚さに対する厚さバラツキがなく、例えばシート厚さ20μmに対してバラツキの範囲を±1μm程度とすることが容易であるために、本発明のように光透過層13の膜厚をを正確に制御するのに好ましい。
【0080】
この際、透明な両面粘着シートを用いる場合の手順は、まず、転写用基板21の第2光透過層13B上に片面の剥離シートを剥がした粘着シートを回転ローラなどを用いて貼り付ける。この後、転写用基板21の第2光透過層13B上に貼り付けた粘着シートの反対面の剥離シートを剥がして、真空槽内で粘着シートの反対面をディスク基板11の第2信号層12に貼り合わせる。この時に真空槽内の真空度は100Pa以下とすると、貼り合わせ中に粘着シートに気泡を巻き込むことがなく好ましい。そして、真空中でディスク基板11の第2信号層12と転写用基板21の第2光透過層13Bとを粘着シートを介して貼り合わせた後に、10μm以下で残存する微小気泡を除去するために5気圧(5×10Pa)以下のオートクレーブ(=加圧加熱器)で加圧脱泡する。このようにすると微小気泡が消滅し、厚み誤差が少ない光透過層13が得られる効果が生じる。
【0081】
この透明な粘着シートの材料としては、例えば、エチレン酢酸ビニル共重合体や、塩素化ポリオレフィン、ブタジエンスチレン共重合体などが接着力が強く、貼の合わせた後に、第2信号層12と第2光透過層13Bとの間で剥離することがないので好ましい。
【0082】
(第5工程)
図6に示した如く、第5工程では、ディスク基板11側と転写用基板21側とを紫外線硬化樹脂を用いた透明接着剤により接着した後に、転写用基板21に剥離層22を付けたまま転写用基板21をディスク基板11側から剥離する。このようにすることで、剥離層22は何度も再使用可能となる。
【0083】
ここで、前述したように、転写用基板21の外周の径D2はディスク基板11の外周の径D1より一回り大きく、且つ、転写用基板21の凹凸情報21c上に剥離層22が成膜されているので、転写用基板21の外周部位をそらすことにより、転写用基板21の剥離層22上に成膜した第2光透過層13Bを外周部位から内周部位に向かって確実に剥離させることができる。
【0084】
尚、ディスク基板11側から転写用基板21を剥離する際に、転写用基板21の外周21bの径D2をディスク基板11の外周11bの径D1より大きく形成する場合と、転写用基板21の一方の面上に剥離層22を成膜する場合とをそれぞれ単独で実施しても転写用基板21の剥離性能が向上するものであり、実施例のように両者を併用すれば転写用基板21の剥離性能がより一層向上するものである。
【0085】
そして、転写用基板21に剥離層22を付けたまま転写用基板21がディスク基板11側から剥離されると、転写用基板21側の第2光透過層13Bはディスク基板11側の第2信号層12上に第1光透過層(透明接着剤層)13Aを介して接着されたままの状態となり、第2光透過層13Bの表面に転写用基板21の凹凸情報21cに対して相補関係にある凹凸情報13B1と、転写用基板21のリング状溝21dに対して相補関係にあるリング状凸部13B2とが確実に転写されて露出している。この際、転写用基板21からディスク基板11側に移行した第2光透過層13Bは外周部位がディスク基板11の外周部位より突出している。
【0086】
この状態の時に、第2工程で記録再生用の場合に成膜した第2信号層12中の記録膜(テルル系相変化記録膜)に対して初期化処理が行われていなければ、記録膜(テルル系相変化記録膜)に対してレーザービームを用いて初期化処理を施し、成膜した記録膜を結晶化させておくことが望ましい。この第5工程で初期化処理を行うと、記録膜の上に光透過層13が形成されているので、初期化時の熱で記録膜が変化することを防ぐ効果があり、良好な記録特性を有する記録膜とすることができる。
【0087】
(第6工程)
図7に示した如く、第6工程では、ディスク基板11側に移行した第2光透過層13Bの外周部位をカッター33によりディスク基板11の外周の径に沿って削除する。
【0088】
(第7工程)
図8に示した如く、第7工程では、ディスク基板11側に移行した第2光透過層13B上に半透過金属反射膜を有する第1信号層14を成膜する。
【0089】
この第7工程では、ディスク基板11側に移行した第2光透過層13Bの凹凸情報13B1上及びリング状凸部13B2上に第1信号層14を成膜している。この際、凹凸情報13B1上に成膜した第1信号層14は、再生専用タイプの場合にピット列上に金などの半透過金属反射膜のみを成膜しており、一方、記録再生タイプの場合に凹状のグルーブ上及び凸状のランド上に金などの半透過金属反射膜と、酸化ケイ素透明膜,テルル系相変化記録膜,酸化ケイ素透明膜を積層した記録膜とを上記順に成膜している。この際、第1信号層14の半透過金属反射膜は、入射したレーザービームの30%〜50%を透過する性質を有する。
【0090】
尚、記録再生タイプの場合には、第1信号層14の記録膜は相変化記録型であるので、レーザービームを用いて初期化処理を施し、成膜されたテルル系相変化記録膜を結晶化させておくことが望ましい。望ましい理由は、この第7工程で第1信号層14中の記録膜に対して初期化処理を施すことで、記録膜の成膜後にゴミ及び大気により記録膜表面の汚染が進む前に初期化処理を行うことができるので、記録特性の良好な記録膜を得ることができる効果がある。
【0091】
(第8工程)
図9に示した如く、第8工程では、厚みが厚いディスク基板11側に成膜した第1信号層14上に厚みが薄い透明カバー層15を形成する。
【0092】
この第8工程では、厚み0.09μm程度の薄い透明樹脂カバーシート15Bを予め用意する。上記した透明樹脂カバーシート15Bは、中心孔15B1の径を20mmに設定することで、この中心孔15B1内にディスク基板11側に移行した第2光透過層13Bの最内周部位で直径19mmから直径20mmに亘って突出させたリング状凸部13B2を同心的に嵌合させて位置合わせできると共に、透明樹脂カバーシート15Bの外周の径をディスク基板11の外周の径より一回り小さく119mmに設定している。この際、透明樹脂カバーシート15Bの外周の径がディスク基板11の外周の径より一回り小さいので、ディスク取扱い中に手などが透明樹脂カバーシート15Bの外周部位に触れても、透明樹脂カバーシート15Bが剥がれることを防ぐことができ、信頼性の高い透明カバー層15を得ることができる。
【0093】
そして、厚みが厚いディスク基板11の一方の面と反対側の面を再度不図示の回転テーブル上に載置し、回転テーブルを回転させながらディスク基板11側の第1信号層14上に透明な紫外線硬化樹脂を用いた透明接着剤を滴下する。そして、透明接着剤が第1信号層14上で均一に延伸した時に回転テーブル31を停止する。この後、用意した透明樹脂カバーシート15Bの中心孔15B1内にリング状凸部13B2に嵌合させて、紫外線を照射しながら透明樹脂カバーシート15Bを透明接着剤による透明樹脂カバー層15Aを介して第1信号層14上に接着することで、0.01mm程度に成膜した透明樹脂カバー層15Aと0.09mm程度の薄い透明樹脂カバーシート15Bとにより厚みが0.1mm程度の薄い透明樹脂カバー層15が形成される。そして、ディスク基板11側に透明樹脂カバーシート15Bを接着した時の合計の厚みは略1.2mmとなり、超高密度の2層型光ディスク10が完成する。この際、透明カバー層15の透明樹脂カバーシート15B側がレーザービームの入射側になっている。
【0094】
尚、0.09mm程度の薄い透明樹脂カバーシート15Bを用いることなく、透明接着剤による透明樹脂カバー層15を略0.1mm程度になるように複数回に亘って繰り返し成膜する方法でも良い。この時、液体状の紫外線硬化樹脂のみを用いて、略0.1mmの厚さに成膜し、その後紫外線硬化樹脂を硬化させる方法であれば、上記した最内周部位に形成したリング状凸部13B2の高さが0.1mm程度であるので、リング状凸部13B2によって紫外線硬化樹脂がディスク基板11の中心孔11a内に流入することを防止できる。
【0095】
このようにして作製された超高密度の2層型光ディスク10は、ディスク基板11の外周部位及び第1信号層14の凹凸情報に欠陥が少なく、高品質とすることができた。
【0096】
<3層型光ディスク>
図10は本発明に係る多層型光ディスクの製造方法を適用して作製した3層型光ディスクを説明するために模式的に示した図である。
【0097】
図10に示した3層型光ディスク30は、厚みが略1.1mmと厚いディスク基板31の一方の面側に、金属反射膜を有する第3信号層32と、光透過層33と、半透過金属反射膜を有する第2信号層34と、光透過層35と、半透過金属反射膜を有する第1信号層36とが上記した順に成膜されており、且つ、第3,第2,第1信号層32,34,36のうちで積層方向に対してディスク基板31から最も離れた最外層の第1信号層36上に厚みが略0.1mmと薄い透明カバー層37が形成されて、全体の厚みが略1.2mmとなっていると共に、透明カバー層37側がレーザービーム入射側になっている。
【0098】
この際、ディスク基板31側に成膜した第2信号層34及び第1信号層36は、先に説明した本発明に係る多層型光ディスクの製造方法を適用してそれぞれ別々の転写用基板に形成した各凹凸情報を前記した第2光透過層によりディスク基板31側に移行させた後に成膜したものである。
【0099】
そして、透明カバー層37から入射したレーザービームで第3信号層32,第2信号34,第1信号層36に情報信号を超高密度に記録したり、あるいは、記録済みの情報信号を超高密度に再生している。
【0100】
このように、ディスク基板側に信号層を多層化する際には、凹凸情報が異なる転写用基板を複数用いて前記した第2光透過層をそれぞれ成膜した後に、各第2光透過層をディスク基板側に移行させて各第2光透過層上に信号層を成膜し、更に、多層化した信号層のうちで積層方向に対してディスク基板から最も離れた最外層の信号層上に厚みが薄い透明カバー層を形成すれば、多層化が可能である。
【0101】
<4層型光ディスク>
図11は本発明に係る多層型光ディスクの製造方法を適用して作製した4層型光ディスクを説明するために模式的に示した図である。
【0102】
図11に示した4層型光ディスク30は、厚みが略0.5mmの第1ディスク基板41の一方の面側に、金属反射膜を有する第2信号層42と、光透過層43と、半透過金属反射膜を有する第1信号層44とが上記した順に成膜されており、且つ、第2,第1信号層42,44のうちで積層方向に対して第1ディスク基板41から最も離れた最外層の第1信号層44上に厚みが略0.1mmと薄い透明カバー層45が形成されている。
【0103】
一方、厚みが略0.5mmの第2ディスク基板46の一方の面側に、金属反射膜を有する第4信号層47と、光透過層48と、半透過金属反射膜を有する第3信号層49とが上記した順に成膜されており、且つ、第4,第3信号層47,49のうちで積層方向に対して第2ディスク基板46から最も離れた最外層の第3信号層49上に厚みが略0.1mmと薄い透明カバー層50が形成されている。そして、第1,第2ディスク基板41,46の各一方の面と反対側の各他方の面同士を紫外線硬化樹脂を用いた透明接着剤による透明接着剤層51を介して接着することにより、全体の全体の厚みが略1.2mmとなっていると共に、両面の透明カバー層45,50側がそれぞれレーザービーム入射側になっている。
【0104】
この際、第1ディスク基板41側に成膜した第1信号層44及び第2ディスク基板46側に成膜した第3信号層49は、先に説明した本発明に係る多層型光ディスクの製造方法を適用してそれぞれ別々の転写用基板に形成した各凹凸情報を前記した第2光透過層により第1ディスク基板41側及び第2ディスク基板46側に移行させた後に成膜したものである。
【0105】
そして、透明カバー層45から入射したレーザービームで第1ディスク基板41側の第2信号層42,第1信号44に情報信号を超高密度に記録したり、あるいは、記録済みの情報信号を超高密度に再生していると共に、透明カバー層505から入射したレーザービームで第2ディスク基板46側の第4信号層47,第3信号49に情報信号を超高密度に記録したり、あるいは、記録済みの情報信号を超高密度に再生している。
【0106】
<変形例の多層型光ディスクの製造方法>
上記した多層型光ディスクの製造方法では、ディスク基板の一方の面側に信号層を多層化するにあたって、ディスク基板11の一方の面に形成した凹凸情報11c上に信号層12を成膜し、且つ、ディスク基板11の外周11bの径D1より大きな外周21bの径D2を有する転写用基板21の一方の面に形成した凹凸情報21c上に剥離層22を成膜すると共に、この剥離層22上に透明な紫外線硬化樹脂による第2光透過層13Bを成膜し、更に、ディスク基板11側の信号層12上に滴下した透明接着剤による第1光透過層(透明接着剤層)13Aを介して転写用基板21側の第2光透過層13Bを接着した後に、転写用基板21に剥離層22を付けたまま転写用基板21をディスク基板11側から剥離するように説明したが、上記とは逆に、ディスク基板11の一方の面に形成した凹凸情報11c上に信号層12を成膜すると共に、信号層12上に透明な紫外線硬化樹脂による第1光透過層13Aを成膜し、且つ、ディスク基板11の外周11bの径D1より大きな外周21bの径D2を有する転写用基板21の一方の面に形成した凹凸情報21c上に剥離層22を成膜し、更に、ディスク基板11側の第1光透過層13A上に透明接着剤を滴下して、この透明接着剤による第2光透過層13B上に転写用基板21の一方の面に形成した凹凸情報21cを剥離層22を介して転写させた後に、転写用基板21に剥離層22を付けたまま転写用基板21をディスク基板11側から剥離するように変形させても可能である。
【0107】
即ち、このように多層型光ディスクの製造方法を一部変形させて信号層を多層化する場合の工程は、図示を省略するものの、ディスク基板の一方の面に形成した凹凸情報上に信号層を成膜する第1のステップと、ディスク基板側の信号層上に透明な紫外線硬化樹脂による第1光透過層を成膜する第2のステップと、ディスク基板の外周の径より大きな外周の径を有する転写用基板の一方の面に形成した凹凸情報上に剥離層を成膜する第3のステップと、ディスク基板側の第1光透過層上に透明接着剤を滴下して、この透明接着剤による第2光透過層上に転写用基板の一方の面に形成した凹凸情報を剥離層を介して転写させる第4のステップと、転写用基板に剥離層を付けたまま転写用基板をディスク基板側から剥離して、ディスク基板側の第2光透過層上に転写された凹凸情報を露出させる第5のステップと、ディスク基板側の第2光透過層の凹凸情報上に信号層を成膜する第6のステップと、他の転写用基板を用いて上記した第2〜第6のステップを繰り返して、ディスク基板側に必要に応じて更に信号層を多層化する第7のステップと、ディスク基板側に多層化した信号層のうちで最外層の信号層上に厚みが薄い透明カバー層を形成する第8のステップとすれば良いものである。
【0108】
尚、上記した説明では、ディスク基板11の直径が12cmの多層型光ディスクの製造方法について説明したが、これに限ることなく、ディスク基板11の直径が直径が5cmとか8cmなどにも適用可能であることはいうまでもない。
【0109】
【発明の効果】
以上詳述した本発明に係る多層型光ディスクの製造方法において、請求項1記載によると、ディスク基板の一方の面側に信号層を多層化するにあたって、ディスク基板の一方の面に予め形成された凹凸情報上に信号層を成膜し、且つ、ディスク基板の外周の径より大きな外周の径を有する転写用基板の一方の面に予め形成された凹凸情報上に剥離層を成膜すると共に、この剥離層上に透明な紫外線硬化樹脂による第2光透過層を成膜し、更に、ディスク基板側の信号層上に接着剤による第1光透過層を介して転写用基板側の第2光透過層を接着した後に、転写用基板に剥離層を付けたまま転写用基板をディスク基板側から剥離する際に、とくに、転写用基板の外周の径をディスク基板の外周の径より大きく形成したので、転写用基板上に成膜した第2光透過層を外周部位から内周部位に向かって確実に剥離させることができ、これにより、ディスク基板側に移行した第2光透過層上に転写用基板の凹凸情報に対して相補関係にある凹凸情報を欠陥なく確実に転写できる。
【0110】
また、請求項2記載によると、ディスク基板の一方の面側に信号層を多層化するにあたって、ディスク基板の一方の面に予め形成された凹凸情報上に信号層を成膜すると共に、この信号層上に透明な紫外線硬化樹脂による第1光透過層を成膜し、且つ、ディスク基板の外周の径より大きな外周の径を有する転写用基板の一方の面に予め形成された凹凸情報上に剥離層を成膜し、更に、ディスク基板側の第1光透過層上に透明接着剤を滴下して、この透明接着剤による第2光透過層上に転写用基板の一方の面に形成した凹凸情報を剥離層を介して転写させた後に、転写用基板に剥離層を付けたまま転写用基板をディスク基板側から剥離する際に、とくに、転写用基板の外周の径をディスク基板の外周の径より大きく形成したので、剥離層を付けたまま転写用基板を外周部位から内周部位に向かって確実に剥離させることができ、これにより、ディスク基板側の第2光透過層上に転写用基板の凹凸情報に対して相補関係にある凹凸情報を欠陥なく確実に転写できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る多層型光ディスクの製造方法を適用して作製した2層型光ディスクを説明するために模式的に示した図である。
【図2】(a),(b)は本発明に係る多層型光ディスクの製造方法において、ディスク基板と転写用基板とをそれぞれ製造した際の縦断面図である。
【図3】(a),(b)は本発明に係る多層型光ディスクの製造方法において、ディスク基板側と転写用基板側とにそれぞれ成膜した際の縦断面図である。
【図4】(a),(b)は本発明に係る多層型光ディスクの製造方法において、ディスク基板側と転写用基板側とを接着する際の縦断面図である。
【図5】本発明に係る多層型光ディスクの製造方法において、ディスク基板側と転写用基板側との接着時に紫外線で透明接着剤による第1光透過層を硬化させる際の縦断面図である。
【図6】本発明に係る多層型光ディスクの製造方法において、転写用基板に剥離層を付けたまま転写用基板をディスク基板側から剥離させる際の縦断面図である。
【図7】本発明に係る多層型光ディスクの製造方法において、ディスク基板側に接着した第2光透過層の外周をカッターで切削する際の縦断面図である。
【図8】本発明に係る多層型光ディスクの製造方法において、ディスク基板側に接着した第2光透過層上に第1信号層を成膜した際の縦断面図である。
【図9】本発明に係る多層型光ディスクの製造方法において、ディスク基板側の第1信号層上に透明カバー層を形成して2層型光ディスクを完成させた際の縦断面図である。
【図10】本発明に係る多層型光ディスクの製造方法を適用して作製した3層型光ディスクを説明するために模式的に示した図である。
【図11】本発明に係る多層型光ディスクの製造方法を適用して作製した4層型光ディスクを説明するために模式的に示した図である。
【図12】従来例における超高密度の2層型光ディスクを説明するために模式的に示した図である。
【図13】(a)〜(e)は従来例における超高密度の2層型光ディスクを製造する製造工程を説明するために模式的に示した図である。
【符号の説明】
10…2層型光ディスク、
11…ディスク基板、11a…中心孔、11b…外周、11c…凹凸情報、
11d…リング状溝、
12…第2信号層、
13…光透過層、13A,13B…第1,第2光透過層、
13A1…凹凸情報、13A2…リング状凸部、
13B1…凹凸情報、13B2…リング状凸部、
14…第1信号層、
15…透明カバー層、15A…透明接着剤層、15B…透明樹脂カバーシート、 21…転写用基板、21a…中心孔、21b…外周、21c…凹凸情報、
21d…リング状溝、
30…3層型光ディスク、
31…ディスク基板、32…第3信号層、33…光透過層、
34…第2信号層、35…光透過層、36…第1信号層、37…透明カバー層、
40…4層型光ディスク、
41…ディスク基板、42…第2信号層、43…光透過層、44…第1信号層、 45…透明カバー層、
46…ディスク基板、47…第4信号層、48…光透過層、49…第3信号層、 50…透明カバー層、51…接着剤層。

Claims (2)

  1. 厚みが厚いディスク基板の一方の面側に信号層を多層に形成し、且つ、多層化した前記信号層のうちで積層方向に対して前記ディスク基板から最も離れた最外層の信号層上に厚みが薄い透明カバー層を形成して、前記透明カバー層側からレーザービームを各層の信号層に向けて入射させるように構成した多層型光ディスクの製造方法において、
    前記ディスク基板の一方の面の最内周部位にリング状溝を中心孔に沿って同心的に予め形成すると共に、前記リング状溝よりも外周側に凹凸情報を予め形成した上で、前記リング状溝及び前記凹凸情報上に信号層を成膜する第1のステップと、
    前記ディスク基板の外周の径より大きな外周の径を有する転写用基板の一方の面の最内周部位にリング状溝を中心孔に沿って同心的に予め形成すると共に、前記リング状溝よりも外周側に凹凸情報を予め形成した上で、前記リング状溝及び前記凹凸情報上に剥離層を成膜する第2のステップと、
    前記転写用基板側の前記剥離層上に透明な紫外線硬化樹脂を滴下して、この透明な紫外線硬化樹脂による第2光透過層を成膜して、前記剥離層を介した前記第2光透過層により前記転写用基板側の前記リング状溝及び前記凹凸情報を転写する第3のステップと、
    前記ディスク基板側の前記信号層と、前記転写用基板側の前記第2光透過層との間に透明接着剤による第 1 光透過層を介在させて、両基板同士を接着する第4のステップと、
    前記転写用基板に前記剥離層を付けたまま該転写用基板を前記ディスク基板側から剥離して、前記ディスク基板側に移行した前記第2光透過層上に前記転写用基板側の前記リング状溝及び前記凹凸情報により相補的に転写されたリング状凸部及び凹凸情報を露出させると共に、この凹凸情報の外周部位を前記ディスク基板の外周の径に合わせてカットする第5のステップと、
    前記ディスク基板側に移行した前記第2光透過層の前記リング状凸部及び前記凹凸情報上に信号層を成膜する第6のステップと、
    前記転写用基板と同様に一方の面にリング状溝及び凹凸情報を予め形成した他の転写用基板を用いて上記した第2〜第6のステップを繰り返して、前記ディスク基板側に必要に応じて更に信号層を多層化する第7のステップと、
    前記ディスク基板側に多層化した前記信号層のうちで前記最外層の信号層上で最内周部位に突出した前記リング状凸部よりも外周側に厚みが薄い前記透明カバー層を形成する第8のステップとからなることを特徴とする多層型光ディスクの製造方法。
  2. 厚みが厚いディスク基板の一方の面側に信号層を多層に形成し、且つ、多層化した前記信号層のうちで積層方向に対して前記ディスク基板から最も離れた最外層の信号層上に厚みが薄い透明カバー層を形成して、前記透明カバー層側からレーザービームを各層の信号層に向けて入射させるように構成した多層型光ディスクの製造方法において、
    前記ディスク基板の一方の面の最内周部位にリング状溝を中心孔に沿って同心的に予め形成すると共に、前記リング状溝よりも外周側に凹凸情報を予め形成した上で、前記リング状溝及び前記凹凸情報上に信号層を成膜する第1のステップと、
    前記ディスク基板側の前記信号層上に透明な紫外線硬化樹脂を滴下して、この透明な紫外線硬化樹脂による第1光透過層を成膜する第2のステップと、
    前記ディスク基板の外周の径より大きな外周の径を有する転写用基板の一方の面の最内周部位にリング状溝を中心孔に沿って同心的に予め形成すると共に、前記リング状溝よりも外周側に凹凸情報を予め形成した上で、前記リング状溝及び前記凹凸情報上に剥離層を成膜する第3のステップと、
    前記ディスク基板側の前記第1光透過層と、前記転写用基板側の前記剥離層との間に透明接着剤による第2光透過層を介在させて、両基板同士を接着して、前記剥離層を介した前記第2光透過層により前記転写用基板側の前記リング状溝及び前記凹凸情報を転写る第4のステップと、
    前記転写用基板に前記剥離層を付けたまま該転写用基板を前記ディスク基板側から剥離して、前記ディスク基板側に移行した前記第2光透過層上に前記転写用基板側の前記リング状溝及び前記凹凸情報により相補的に転写されたリング状凸部及び凹凸情報を露出させると共に、この凹凸情報の外周部位を前記ディスク基板の外周の径に合わせてカットする第5のステップと、
    前記ディスク基板側の前記第2光透過層の前記リング状凸部及び前記凹凸情報上に信号層を成膜する第6のステップと、
    前記転写用基板と同様に一方の面にリング状溝及び凹凸情報を予め形成した他の転写用基板を用いて上記した第2〜第6のステップを繰り返して、前記ディスク基板側に必要に応じて更に信号層を多層化する第7のステップと、
    前記ディスク基板側に多層化した前記信号層のうちで前記最外層の信号層上で最内周部位に突出した前記リング状凸部よりも外周側に厚みが薄い前記透明カバー層を形成する第8のステップとからなることを特徴とする多層型光ディスクの製造方法。
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