JP4173223B2 - 船外機 - Google Patents
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- F—MECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
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- F02B—INTERNAL-COMBUSTION PISTON ENGINES; COMBUSTION ENGINES IN GENERAL
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、モーターボート、ヨットや漁船などの小型船舶に取り付けられる船外機に関し、特に、船外機のアッパーケーシングに関する。
【0002】
【従来の技術】
船外機のアッパーケーシングは、断面が略前後方向に長い長円形状をしているとともに、内部に大きな空間が形成されている。このアッパーケーシングの内部空間には、エンジンからの排気ガスや冷却水が流入しており、アッパーケーシングの壁に、排気ガスの圧力変動や、エンジンの振動が加わっている。そのため、アッパーケーシングは、左右方向に膨張・収縮を繰り返している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
そして、アッパーケーシングの剛性が低いと、共振して大きな振動音が発生することがある。そこで、アッパーケーシングの剛性を高めるために、アッパーケーシングの壁の肉厚を厚くすると、アッパーケーシングの重量が増大し、船外機の軽量化が損なわれる。
【0004】
本発明は、以上のような課題を解決するためのもので、軽量で、かつ、左右側壁の変形が極力阻止されているアッパーケーシングを具備している船外機を提供することを目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明の船外機(S)は、ドライブシャフトが挿入されるドライブシャフト用孔(26)が上下方向に細長く延在してアッパーケーシング(3)の前部に形成されているととも に、エンジンの排気ガスをロワーケーシングに導くマフラー(43)がアッパーケーシングの内部に設けられている。そして、アッパーケーシングの内部に、上下方向に連続して延在する一体に成形された1つのリブ(28)が前記ドライブシャフト用孔を形成する部材とマフラーとの間に設けられ、このリブがアッパーケーシングの内部空間の下部を前後に仕切っている。このリブは、左端部がアッパーケーシングの底壁(3c)からリブの上端にわたってアッパーケーシングの左側壁(3a)の内面に固定されているとともに、右端部がアッパーケーシングの底壁からリブの上端にわたってアッパーケーシングの右側壁(3b)の内面に固定されている。
【0006】
また、マフラーの上部は、前記リブの上方をリブに接触せずに覆っている。リブよりも前側の前空間の冷却水と、リブよりも後側の後空間の冷却水とは、リブの上側の空間を通って移動可能である。
【0007】
さらに、リブの前後幅が、上に行くほど狭くなるように形成されている場合がある。
【0008】
そして、アッパーケーシングの左右側壁の間隔が一番大きい箇所付近に、前記リブが配置されている場合がある。
【0009】
【0010】
さらに、リブには、水の流れる流水孔(36)が貫通して形成されている場合ある。
【0011】
そして、アッパーケーシングの底壁には、リブの前方および後方に各々落水孔(32,34)が貫通して形成されている場合がある。
【0012】
【発明の実施の形態】
次に、本発明における船外機の実施の一形態を図1ないし図6を用いて説明する。図1は本発明の船外機が取り付けられている船の側面図である。図2はアッパーケーシングの断面図である。図3はアッパーケーシングの平面図である。図4は図2の IV-IV断面図である。図5は図2の V-V断面図である。図6はオイルパンおよびマフラーが取り付けられている状態でのアッパーケーシングの断面図である。
【0013】
図1において、船外機Sは、上側から順番にアッパーカウリング1、ロワーカウリング2、アッパーケーシング3およびロワーケーシング4からなるハウジングで覆われている。そして、船外機を小型船舶に装着するための取り付けブラケット6は、小型船舶Fのトランサムなどに取り付けられて固定されている。この取り付けブラケット6の後部に、ピボット軸などを介して船外機本体が回動自在に取り付けられている。
【0014】
アッパーカウリング1およびロワーカウリング2からなるカウリング1,2の内部には、L型3気筒の4サイクルエンジン9が配置されている。このエンジン9のクランクシャフト10はその軸が略垂直に設けられており、その下端は、エンジンケース16から突出して延在しており、アッパーケーシング3内に配置されているドライブシャフト18に連結されている。このドライブシャフト18の回転は、傘歯車などを介して、ロワーケーシング4内に回転自在に支持されているプロペラシャフト21に伝達され、このプロペラシャフト21の後端部に固定されているプロペラ22が回転駆動されている。このプロペラ22は、ロワーケーシング4の下部後端部に回転自在に支持されている。この様にして、船外機Sは、外殻として、エンジン9を覆うカウリング1,2と、エンジン9のクランクシャフト10に連結されているドライブシャフト18が内部に配されているとともに、カウリング1,2の下方に配置されているアッパーケーシング3と、ドライブシャフト18により回転駆動されているプロペラシャフト21を回転可能に支持しているとともに、アッパーケーシング3の下側に取り付けられているロワーケーシング4とを具備している。
【0015】
そして、アッパーケーシング3は、平断面が略長円形状をしているとともに、内部に空間が形成され、その上面は開口している。アッパーケーシング3の前端部には、ドライブシャフト18が挿入されるパイプ状のドライブシャフト用孔26が上下方向に細長く延在している。また、アッパーケーシング3の内部空間の略下半分すなわち下部は、隔壁状のリブ28で前後に仕切られている。リブ28は上下方向に延在しているとともに、リブ28の左側(すなわち左舷側)の端部は、アッパーケーシング3の左側壁3aの内面に達して固定され、同様に、右側(すなわち右舷側)の端部は、アッパーケーシング3の右側壁3bの内面に達して固定されている。そして、リブ28の下端部は、アッパーケーシング3の底壁3cに達して固定されている。このリブ28はアッパーケーシング3の壁3a,3b,3cと一体に成形されているとともに、上側に行くほど前後幅が狭くなる様に形成されている。さらに、リブ28は、アッパーケーシング3の前後方向の略中央部すなわち左右幅の一番広い付近に配置されている。このリブ28はアッパーケーシング3と共に、アルミ合金などの金属からなり、鋳造で一体に成形されている。
【0016】
また、アッパーケーシング3の底壁3cには、このリブ28の後方に、比較的大きな排気孔31および、比較的小さな落水孔32が上下方向に貫通して形成され、かつ、リブ28の前方に、比較的小さな落水孔34が上下方向に貫通して形成されている。また、リブ28の下端部には、流水孔36が前後方向に貫通して形成されている。
【0017】
さらに、アッパーケーシング3の上部には、図6に図示するように、オイルパン41および排気管42が配置されている。そして、オイルパン41の下側には排気通路としてのマフラー43が取り付けられ、このマフラー43は、上部が排気管42と連通しているとともに、その下端は、アッパーケーシング3の排気孔31に達して略水密な状態で接続されている。また、マフラー43やオイルパン41などは、アッパーケーシング3のリブ28とは接触しておらず、マフラー43やオイルパン41と、リブ28との間には隙間が形成されている。そのため、リブ28よりも前側の前空間と、リブ28よりも後側の後空間とは、リブ28の上側で連通している。
【0018】
そして、エンジン9を冷却した冷却水は、アッパーケーシング3の上側からアッパーケーシング3内すなわち、オイルパン41およびマフラー43と、アッパーケーシング3との間の空間に流入している。アッパーケーシング3内の冷却水は、底壁3cの落水孔32,34を通って、ロワーケーシング4内に流れ込み、プロペラ22のボスなどから排水されている。一方、エンジン9の排気ガスは、排気管42およびマフラー43を通り、アッパーケーシング3の底壁3cの排気孔31を介して、冷却水と同様に、ロワーケーシング4内に流れ込み、プロペラ22のボスなどから排気されている。また、リブ28よりも前側の前空間の冷却水と、リブ28よりも後側の後空間の冷却水とは、リブ28の流水孔36を通って相互に移動可能であるとともに、リブ28の上側の空間を通っても移動可能である。したがって、船外機Sが傾いた時たとえばチルトアップした際にも、アッパーケーシング3の冷却水を排水することができる。しかも、リブ28を設けたにも係わらず、マフラー43やアッパーケーシング3の内部全体を確実に冷却することができる。
【0019】
ところで、アッパーケーシング3の内部の圧力が排気ガスなどにより変動しても、前述の様に船外機Sのアッパーケーシング3には、左側壁3aと右側壁3bとの間にリブ28が掛け渡されているので、このリブ28によりアッパーケーシング3の左右側壁3a,3bの間隔の拡大収縮や、側壁3a,3bの撓みを極力防止することができる。しかも、このリブ28は、上下方向に延在しているので、アッパーケーシング3の上下方向の比較的広い範囲に渡って、アッパーケーシング3の変形を防止することができる。この様に構成することにより、アッパーケーシング3の壁3a,3bを厚くしないで、アッパーケーシング3の剛性を高くすることができる。その結果、アッパーケーシング3の共振を阻止し、大きな振動音の発生を防止することができる。
【0020】
以上、本発明の実施の形態を詳述したが、本発明は、前記実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内で、種々の変更を行うことが可能である。本発明の変更例を下記に例示する。
(1)実施の形態においては、エンジンはL型3気筒の4サイクルであるが、その気筒数や形式などは適宜変更可能である。
【0021】
(2)実施の形態においては、リブ28には、下端部に一個の流水孔36が設けられているが、流水孔36の配置や個数は、適宜変更可能である。ただし、船外機Sを傾けた際などに、冷却水が、リブ28の前後の前空間および後空間の一方に滞留することが減少する様に、流水孔36の少なくとも一個は、リブ28の下端部に形成されていることが好ましい。同様に、落水孔32,34の配置や個数も、適宜変更可能である。
【0022】
(3)実施の形態においては、リブ28はアッパーケーシング3と一体に成形されているが、アッパーケーシング3とは別体に形成した後に、アッパーケーシング3に取り付けて固定することも可能である。
【0023】
【発明の効果】
本発明によれば、アッパーケーシングの内部にリブが設けられ、このリブがアッパーケーシングの左右側壁に掛け渡されている。したがって、アッパーケーシングの左右側壁間の間隔が膨張収縮することを、このリブで極力防止することができる。しかも、このリブは上下方向に延在しており、アッパーケーシングの上下方向の比較的広範囲にわたって、アッパーケーシングの変形を阻止することができる。その結果、アッパーケーシングの剛性が向上する。そして、この剛性の向上により、共振して大きな振動音が発生することを防止することができる。
【0024】
また、リブの下端部が、アッパーケーシングの底壁に固定されているので、リブは、下端部がアッパーケーシングの底壁で拘束され、リブの変形が防止される。その結果、アッパーケーシングの剛性をより一層向上させることができる。
【0025】
さらに、リブの前後幅が、上に行くほど狭くなるように形成されている場合には、アッパーケーシングおよびリブを一体に鋳造する際に、型抜きが容易となる。しかも、アッパーケーシングの底壁に固定されるリブの下端部の厚みが厚くなり、アッパーケーシングおよびリブの全体の剛性が向上する。
【0026】
そして、アッパーケーシングの左右側壁の間隔が一番大きい箇所付近に、リブが配置されている場合がある。ところで、左右側壁の間隔の一番大きい箇所付近は、一番変形し易いが、この箇所にリブが配置されているので、効率よくアッパーケーシングの変形を防止することができる。
【0027】
【0028】
さらに、リブに、水の流れる流水孔が貫通して形成されている場合には、リブによりアッパーケーシング内の空間が前後に仕切られていても、冷却水は、この流水孔を通って、前側の空間から後側の空間へ、または、後側の空間から前側の空間へ流れることができる。その結果、アッパーケーシングの前部および後部を一方に偏らずに効率よく冷却することができる。
【0029】
そして、アッパーケーシングの底壁に、リブの前方および後方に各々落水孔が貫通して形成されている場合には、リブによりアッパーケーシング内の空間が前後に仕切られていても、前後の両空間の冷却水は滞留することなく、アッパーケーシング内を冷却した後に、前後の落水孔を通って確実に下方に排水されることができる。その結果、アッパーケーシングの前部および後部の両者をより確実に冷却することができる。また、エンジン停止時には、前後の落水孔を通ってアッパーケーシング内の水を略完全抜くことができる。その結果、エンジンなどの腐食を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は本発明の船外機が取り付けられている船の側面図である。
【図2】 図2はアッパーケーシングの断面図である。
【図3】 図3はアッパーケーシングの平面図である。
【図4】 図4は図2の IV-IV断面図である。
【図5】 図5は図2の V-V断面図である。
【図6】 図6はオイルパンおよびマフラーが取り付けられている状態でのアッパーケーシングの断面図である。
【符号の説明】
S 船外機
3 アッパーケーシング
3a アッパーケーシングの左側壁
3b アッパーケーシングの右側壁
3c アッパーケーシングの底壁
28 リブ
32 落水孔
34 落水孔
36 流水孔
43 マフラー(排気通路)
Claims (5)
- ドライブシャフトが挿入されるドライブシャフト用孔が上下方向に細長く延在してアッパーケーシングの前部に形成されているとともに、エンジンの排気ガスをロワーケーシングに導くマフラーがアッパーケーシングの内部に設けられている船外機において、
アッパーケーシングの内部の下部に、上下方向に連続して延在する一体に成形された1つのリブが前記ドライブシャフト用孔を形成する部材とマフラーとの間に設けられ、このリブがアッパーケーシングの内部空間の下部を前後に仕切っており、
前記リブの左端部が、アッパーケーシングの底壁からリブの上端にわたってアッパーケーシングの左側壁の内面に固定され、かつ、リブの右端部が、アッパーケーシングの底壁からリブの上端にわたってアッパーケーシングの右側壁の内面に固定され、
前記マフラーの上部は、前記リブの上方をリブに接触せずに覆っており、
前記リブよりも前側の前空間の冷却水と、リブよりも後側の後空間の冷却水とは、リブの上側の空間を通って移動可能であることを特徴とする船外機。 - 前記リブの前後幅が、上に行くほど狭くなるように形成されていることを特徴とする請求項1記載の船外機。
- アッパーケーシングの左右側壁の間隔が一番大きい箇所付近に、前記リブが配置されていることを特徴とする請求項1または2記載の船外機。
- 前記リブには、水の流れる流水孔が貫通して形成されていることを特徴とする請求項1ないし3の何れか1項記載の船外機。
- 前記アッパーケーシングの底壁には、リブの前方および後方に各々落水孔が貫通して形成されていることを特徴とする請求項1ないし4の何れか1項記載の船外機。
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