JP4161603B2 - 窒化物半導体素子 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、発光ダイオード素子(LED)、レーザダイオード素子(LD)、スーパーフォトルミネセンスダイオード等の発光素子、太陽電池、光センサ等の受光素子、あるいはトランジスタ、パワーデバイス等の電子デバイスに用いられるIII−V族窒化物半導体を用いた窒化物半導体素子に関し、特に発光波長が380nm以下である窒化物半導体発光素子に関する。
【0002】
【従来の技術】
今日、窒化物半導体を用いた半導体レーザは、DVDなど、大容量・高密度の情報記録・再生が可能な光ディスクシステムへの利用に対する要求が高まりを見せている。このため、窒化物半導体を用いた半導体レーザ素子は、研究が盛んになされている。また、窒化物半導体を用いた半導体レーザ素子、発光素子は、紫外域から赤色に至るまで、幅広い波長域での発振が可能と考えられ、その応用範囲は、上記光ディスクシステムの光源にとどまらず、レーザプリンタ、光ネットワークなどの光源など、多岐にわたるものと期待されている。また、本出願人は、405nm、室温、5mWの連続発振の条件で、1万時間を超えるレーザを発表した。
【0003】
また、窒化物半導体を用いたレーザ素子、発光素子、受光素子などには、Inを含む窒化物半導体を用いて活性層とした構造を有しており、活性層におけるより優れた活性領域の形成が、素子特性の向上において重要となる。
【0004】
また、窒化物半導体素子、特にレーザ素子、発光素子においては、380nm以下の波長域での発光、発振がさらに重要となっている。これは、上述した光ディスクシステムにおいては、短波長化により、記録密度向上が図れ、さらに発光素子においては、蛍光体の励起光源として重要なものとなり、またそのほかの応用においても、さらなる短波長化により、多くの用途が実現される。
【0005】
窒化物半導体のレーザ素子、若しくは発光素子において、短波長の発光を得るには、活性層若しくは発光層のInを含む窒化物半導体におけるIn混晶比を、変化させることで、発光波長を変えることができ、特にIn混晶比を低くするすると発光波長を短くすることができる。また、端面発光素子、レーザ素子において、活性層が上部、下部クラッド層に挟まれた構造を有する場合に、両クラッド層の屈折率を小さくし、上部、下部クラッド層に挟まれた導波路内の屈折率を高くすることで、導波路内に効率よく光が閉じこめられ、結果としてレーザ素子においてはしきい値電流密度の低下に寄与する。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、波長が短くなるに従って、発光層として従来用いられてきたInGaN、もしくはInGaN/InGaNの量子井戸構造、を用いることが困難となり、GaNのバンドギャップである波長365nm以下では、InGaNを発光層に用いることが困難となる。また、波長が短くなると、すなわち、導波路内のガイド層で光の吸収による損失が発生し、閾値電流が高くなる。更に、上部クラッド層、下部クラッド層による光の閉じこめにおいても、GaNを用いることが光の吸収による損失、及び導波路内に光を閉じこめるための屈折率差を確保するために、Al組成比の大きな窒化物半導体を用いる必要があり、結晶性の問題が大きなものとなる。
【0007】
また、このような窒化物半導体素子の短波長化への試みとして、AlGaN/AlGaNの量子井戸構造を用いるものがあるが、従来のInGaN系に比して、十分な出力が得られない傾向にある。
【0008】
また、AlGaNなどのAlを含む窒化物半導体を素子に用いる場合において、他のAlを含まない窒化物半導体に比べて、熱膨張係数差、弾性が大きく異なり、Alを含む窒化物半導体を用いると、クラックの発生しやすく、クラックの発生は他の結晶性と異なり、素子破壊となるものであり、クラックの発生を防止しなければ、窒化物半導体素子として動作しないものとなる。このため、上述した380nm以下の発光波長の活性層を用いた発光素子、レーザ素子においては、Alを含む窒化物半導体は窒化物半導体においてバンドギャップエネルギーを大きくすることができるため、活性層、それよりもバンドギャップエネルギーの大きな、キャリア閉込め層、光ガイド層、光閉込め層などに用いられる。すなわち、上記短波長域の発光素子において、Alを含む窒化物半導体は、各層に多層された構造となるが、一方で上述したクラック発生の問題が深刻なものとなり、このため、短波長化とクラック発生防止とは排他的な関係となる傾向にあり、窒化物半導体の発光素子において、さらなる短波長化の深刻な障害となる。さらに、短波長化において、GaNは365nmに光の吸収端を有し、それよりも10nmほど波長の長い領域でも高い吸収係数を有することから、上記380nm以下の短波長域での発光素子、レーザ素子への使用が困難となる。
【0009】
加えて、上述したように発光素子、レーザ素子における活性層は、その発光効率、内部量子効率がその結晶性に大きく依存することから、活性層の下に配置される導電型層の結晶性が素子特性向上に極めて重要な要因となる。通常、窒化物半導体発光素子は、n型層、活性層、p型層の順に積層された構造を有しているが、この場合n型層の結晶性を良好なものとする必要がある。一方で、上述したように、Alを含む窒化物半導体が、他のAlを含まない窒化物半導体に比べて、大きく結晶性が悪化する傾向にあり、従来はこのような問題を回避する目的で、Alを含む窒化物半導体の下地層としてInを含む窒化物半導体層を用いて、熱膨張係数差による内部応力の発生を緩和したり、Alを含む窒化物半導体層に隣接して、GaNなどのAlを含まない窒化物半導体を設けて結晶性の回復、内部応力の緩和を実現して、レーザ素子などのAlを含む窒化物半導体層を素子構造に設けた構造で素子を実用的に動作可能なものとしていた。しかし、上記短波長の発光素子、レーザ素子において、Alを含まない窒化物半導体は、光吸収層となり、素子構造に用いることが好ましくなく、そのため素子構造は、ほとんどがAlを含む窒化物半導体層を用いることとなり、上述した結晶性、クラックの発生により、実用的なしきい値、Vf、発光効率の発光素子、レーザ素子が得られず、特に光ガイド層、光閉込めのクラッド層などにAl混晶比の大きいAlを含む窒化物半導体を多用したレーザ素子においては、室温において連続発振可能なレーザ素子が得られなかった。
【0010】
本発明では、窒化物半導体素子、特に、光の波長が380nm以下のレーザ素子や発光素子において、発光出力を大きくし、なおかつ閾値電流密度を低減させた活性層を用い、両クラッド層に挟まれた導波路において、光の吸収を低く抑え、活性層を含む導波路内へ効率的に光を閉込め、さらに良好な結晶性で、素子構造を形成することを目的とする。
【0011】
また本発明は、レーザ発振が380nm以下では特に顕著な閾値の上昇が現れるという問題の原因を解明し、その解決手段を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記事情に鑑みなされたものであり、閾値電流密度などの素子特性に優れ、且つ結晶性の良好で、発光出力に優れ、短波長化を実現する窒化物半導体素子を得るものである。
【0013】
すなわち本発明の窒化物半導体素子は、下記の構成により本発明の目的を達成することができる。
【0032】
(1)n型層p型層との間に、活性層を有する窒化物半導体素子において、
前記活性層が、Alを含む窒化物半導体からなる井戸層と、最も前記p型層側に設けられ、前記井戸層よりもバンドギャップエネルギーの大きな窒化物半導体からなると共に、最も前記n型層側に設けられたn側障壁層よりも膜厚が小さい障壁層と、を少なくとも有する量子井戸構造であ
前記活性層が近接して設けられた光ガイド層で挟持されて導波路が形成され、前記p型層内に設けられた光ガイド層が前記障壁層よりもバンドギャップエネルギーの小さい窒化物半導体層からなり、
前記活性層と前記p型層内に設けられた光ガイド層の間に不純物がドープされたキャリア閉じ込め層を有することを特徴とする窒化物半導体素子。
【0033】
従来AlGaN系活性層において、それをはさみ、キャリア注入層となる各導電型の層には、井戸層よりも大きなバンドギャップエネルギーが通常必要とされるが、この構成では、活性層内の第1の障壁層よりもバンドギャップエネルギーの小さい第1の窒化物半導体層を第1導電型層に設けることで、結晶性良く活性層を形成し、なおかつ、第1の障壁層でもって、第2導電型層からのキャリアを井戸層内に閉じ込める働きを有する新規な素子構造を提供するものとなる。
【0034】
井戸層については、少なくともGaNと同じか、それよりも大きなバンドギャップエネルギーを持つAlを含む窒化物半導体を用い、具体的には上記組成のものを用いることができる。第1の障壁層についても、上記組成の窒化物半導体を用いることができる。
【0035】
第1の窒化物半導体層については、好ましくは井戸層よりもバンドギャップエネルギーの大きな窒化物半導体を用いることで、活性層及び井戸層への良好なキャリア注入層として機能し、具体的にはAlを含む窒化物半導体が用いられ、好ましくはAlGa1−xN(0≦x<1)を用いると好ましい結晶性で活性層が形成できる。
【0037】
この構成により、第1の障壁層が、第1導電型層側の近くに、すなわち、活性層内の他の障壁層よりも最も第1導電型層の近くに配置させることで、上述したように、第1の障壁層が第1導電型層側でキャリア閉込め層として好適に機能し、井戸層における発光効率を高めることができる。この時、好ましくは、活性層内で最も外側で、第1導電型層側に配置されることが上記キャリア閉込めにおいて好ましく機能できる。
【0039】
この構成により、上記第1の障壁層はホールの閉込めとして機能させることを特徴としていることで、上記第1の窒化物半導体層では、第1導電型層の電子(第1導電型のキャリア)注入として機能できる一方で、ホール(第2導電型のキャリア)の閉込めとして機能することが困難であるため、第1の障壁層でもって、ホールの閉込めを実現する活性層構造とできる。
【0040】
(2)上記構成において、前記障壁層のAl混晶比XB1が、井戸層のAl混晶比Xとが、XB1―X≧0.05の関係を満たすことが好ましい。
【0041】
すなわち、上記式の関係に、Al混晶比を設定することで、第2導電型のキャリア(好ましくはホール)の閉込めとして、第1の障壁層を好適に機能させることができる。更に好ましくは、XB1―X≧0.1とすることで、上記キャリア閉込めに十分に機能するオフセット(電位障壁)を形成することが可能となる。この時Al混晶比の差(XB1―X)、上限は閉込め効果において限定されるものではないが、結晶性を考慮すると、0.5以下とすることが好ましく、更に好ましくは、0.3以下とすることで良好な結晶性で且つ十分な光閉込めでもって活性層、及び第1導電型層を含めた素子構造を形成することができる。
【0043】
この構成により、第1の障壁層をキャリア閉込めが可能な膜厚とでき、好ましくは50Å以上とすることで、閉込め効率を高めた構造とできる。これは、第1の障壁層の膜厚が小さいと、図14(b)に示すように、キャリアのトンネル現象が発生するためであり、50Å以上とすることで、閉込め効率を高めることができる。上限としては、閉込め効果について特に限定されるものではないが、結晶性を考慮すると、300Å以下とすることであり、更に好ましい結晶性とするには、200Å以下とすることであり、150Å以下とすると結晶性も良好であり、且つ上記トンネル効果を好適に抑えた第1の障壁層が形成できる。
【0045】
これは、上記第1の窒化物半導体層を光ガイド層、若しくはその一部として機能させることにより、光の導波に必要な膜厚のガイド層を形成しても、Al混晶比を抑えた第1の窒化物半導体層が用いられることで、良好な結晶性でもって、活性層を形成することができる。このような導波路有する発光素子としては、レーザ素子、端面発光素子、スーパールミネッセントダイオードなどを挙げることができる。
【0047】
量子井戸層がGaNである場合は上記バンドギャップ差を考慮してAlGa1−yN組成、AlInGa1−y−zN組成を決定するのが好ましい。量子井戸層がAlGaNである場合も同様に、上記バンドギャップ差を考慮してAlGa1−yN組成、AlInGa1−y−zN組成を決定するのが好ましい。
【0048】
上記量子井戸層だけで活性層を形成してもよいが、量子井戸層の両側を上記障壁層で挟んで単一量子井戸層を形成してもよい。
【0049】
多重量子井戸層を形成する場合は量子井戸層と障壁層とを組み合わせて活性層を形成するが、最終層は井戸層で形成しても障壁層で形成してもよい。活性層に連なる層構造(キャップ層、ガイド層、クラッド層)との関係により調整することができる。多重量子井戸の積層数は2又は3程度で十分であるが、活性層の内部量子効率を阻害しない範囲で、井戸層数をより多くしたり、又はp側に近い領域の井戸層での再結合率が高い場合が多いので、p側に近い領域はノンドープ層とし、n側に近い領域の井戸層にシリコン等をドーピングするように変形しても良い。
【0055】
(4)上記構成は、窒化物半導体基板上に、前記p型層、前記活性層及び前記n型層が積層されていてもよい。
【0056】
上述した各構成は、単独で又は適宜組み合わせて使用することができる。
【0057】
こうした構成の実施形態の1つとして、GaN基板上に形成されたAlGa1−xN量子井戸層(但し、x≧0)を活性層とする375nm以下で発振可能なことを特徴とするAlGaN系半導体発光素子であり、別の実施形態としては上記結晶性、クラック発生の問題を回避した短波長域の発光素子、導波路を有するレーザ素子にも用いることができる素子構造を得るものである。
【0058】
GaN基板は一般に、サファイア基板又は炭化珪素基板よりもその上に形成するエピ層の欠陥密度を減少させることができる。特に、GaN基板の結晶欠陥が10/cm以下、さらに10/cm以下が好ましい。この時、結晶欠陥は主に貫通転位によるものであり、この低欠陥領域に導波路、若しくは電流注入領域を形成した発光素子とすることが好ましい。これ以下で導波路中に欠陥のないレーザ素子を作製することができることになる。
【0059】
ここで、GaN基板とはELO(epitaxicial lateral overgrowth)法でサファイア基板等の異種基板上にGaNを選択成長により横方向成長させ、形成されたGaN基板(例えば、GaN層上に形成した複数のSiOストライプ領域とその領域間に露出するGaN領域との選択成長によりGaNを横方向成長させて形成するGaN層からなる)、この基板の上にHVPE法で、又はMOCVD法との組み合わせでGaN層を積層し、気相成長させたGaN基板、この基板上に上記ELO法でGaNを気相成長させたGaN基板、NH3超臨界流体中でGaN種結晶上にGaNを再結晶させて形成したGaN基板等のGaNがMOCVD又はMBE法で気相成長させることができる基板を意味する。
【0060】
GaN基板が、上記ELO法を利用して形成したGaN基板であって、該基板上に形成した発光素子がリッジ型半導体レーザである場合は、上記量子井戸層から形成される導波路が上記SiOストライプに平行に形成されているのが好ましい。結晶欠陥はSiOストライプに平行に集積して発達し、粗密のストライプ形状を形成するから、欠陥密度の粗の領域に導波路を形成することにより導波路中の欠陥をなくすることができるからである。
【0061】
【発明の実施の形態】
本発明の窒化物半導体素子に用いる窒化物半導体としては、GaN、AlN、もしくはInN、又はこれらの混晶であるIII−V族窒化物半導体(InαAlβGa1−α−βN、0≦α、0≦β、α+β≦1)であり、またこれに加えて、III族元素としてBを用いたり、V族元素としてNの一部をP、Asで置換した、混晶でもよい。また、Alを含む窒化物半導体はβ>0であり、Inを含む窒化物半導体はα>0である。
【0062】
また、窒化物半導体層に用いるn型不純物としては、Si、Ge、Sn、S、O、Ti、Zr等のIV族、若しくはVI族元素を用いることができ、好ましくはSi、Ge、Snを、さらに最も好ましくはSiを用いる。また、p型不純物としては、特に限定されないが、Be、Zn、Mn、Cr、Mg、Caなどが挙げられ、好ましくはMgが用いられる。これにより、各導電型の窒化物半導体層を形成し、後述する各導電型層を構成する。
【0063】
[実施形態1A(量子井戸構造)]
本発明の窒化物半導体素子は、少なくとも第1導電型層、第2導電型層との間に活性層を有する構造であり、以下、本発明の窒化物半導体素子について、詳説する。
【0064】
(活性層)
本発明における活性層としては、量子井戸構造を有するものであり、少なくともInとAlを含む窒化物半導体からなる井戸層を有し、Alを含む窒化物半導体からなる障壁層を有する。また、特に、活性層における波長が、380nm以下の発光を有する短波長に好ましく用いられ、具体的には前記井戸層のバンドギャップエネルギーが波長380nm以下であるものである。このとき、活性層に用いられる窒化物半導体は、ノンドープ、n型不純物ドープ、p型不純物ドープのいずれでもよいが、好ましくはノンドープ若しくはアンドープ、又はn型不純物ドープの窒化物半導体を活性層内に設けることで、レーザ素子、発光素子などの窒化物半導体素子において、高出力化が図れる。好ましくは、井戸層をアンドープとし、障壁層をn型不純物ドープとすることで、レーザ素子、発光素子が高出力で発光効率の高い素子となる。ここで、量子井戸構造としては、多重量子井戸構造、単一量子井戸構造のどちらでも良い。好ましくは、多重量子井戸構造とすることで、出力の向上、発振閾値の低下などが図ることが可能となる。活性層の量子井戸構造としては、前記井戸層、障壁層を少なくとも1層ずつ積層したものを用いることができる。この時、量子井戸構造である場合に、井戸層数としては、1以上4以下とすることで、例えばレーザ素子、発光素子においては、閾値電流を低くすることが可能となり好ましく、更に好ましくは、井戸層数を2又は3とした多重量子井戸構造とすることで、高出力のレーザ素子、発光素子が得られる傾向にある。
【0065】
(井戸層)
本発明における井戸層としては、InとAlを含む窒化物半導体を用いることが好ましく、InとAlを含む窒化物半導体からなる井戸層を活性層内に少なくとも1層有することであり、多重量子井戸構造においては、好ましくは、すべての井戸層がInとAlを含む窒化物半導体からなる井戸層とすることで、短波長化され、高出力、高効率の発光素子、レーザ素子が得られる。発光スペクトルがほぼ単一ピークの場合は、この構成が好ましいが、一方で複数のピークを有する多色発光素子においては、前記InとAlを含む窒化物半導体からなる井戸層を少なくとも1層有することで、短波長域の発光ピークを得ることができ、様々な発光色の発光素子、もしくは、その短波長域で励起される蛍光体と組み合わせた発光装置に得ることが可能である。この時、多色発光の素子とする場合に、井戸層の具体的な組成としては、InαGa1−αN(0<α≦1)を用いることで、紫外域から可視光域までの良好な発光・発振を可能とする井戸層となる。この時、In混晶比により、発光波長を決めることができる。
【0066】
本発明のInとAlを含む窒化物半導体からなる井戸層は、従来のInGaNの井戸層では困難な波長域、具体的には、GaNのバッドギャップエネルギーである波長365nm付近、若しくはそれより短い波長を得るものであり、特に波長380nm以下の発光・発振が可能なバンドギャップエネルギーを有する井戸層である。これは、従来のInGaNの井戸層では、GaNのバンドギャップエネルギーの波長365nm付近では、例えば370nmでは、In組成比が1%以下程度に調整する必要があり、このようにIn組成比が極端に小さくなると、発光効率が低下し、十分な出力の発光素子、レーザ素子が得られがたく、またIn組成比が1%以下では、その成長を制御することも困難である。本発明では、InとAlを含む窒化物半導体からなる井戸層を用いていることで、従来効率的な発光が困難であった380nmの波長域において、Al組成比xを大きくすることでバンドギャップエネルギーを大きくし、一方でInを含有することで、良好な内部量子効率、発光効率の発光素子、レーザ素子に用いることが可能である。
【0067】
ここで、井戸層に用いられるInとAlを含む窒化物半導体の具体的な組成としては、AlInGa1−x−yN(0<x≦1、0<y≦1、x+y<1)で表される組成である。これは、窒化物半導体の成長に用いられているMOCVD等の気相成長法では、構成元素が多くなると、構成元素間での反応が発生しやすくなり、このため、叙述したようにB、P、As、Sb等を用いて、5元混晶以上の多元化も可能であるが、好ましくはAlInGaNの4元混晶とすることで、この元素同士の反応を防いで、良好な結晶性で成長させることができる。ここで、In組成比yは、0.02以上とすることで、上述したように0.02未満である場合に比べて、良好な発光効率、内部量子効率が実現され、更にy≧0.03とすることで、更にその効率が向上するため、波長380nm以下の井戸層において優れた特性の発光素子、レーザ素子が得られ好ましい。また、In組成比yの上限としては、特に限定されないが、y≦0.1とすることで、Inを含有することによる結晶性の悪化を抑え、更に好ましくは、y≦0.05とすることで、結晶性を悪化させずに井戸層を形成でき、多重量子井戸構造のように複数の井戸層を設ける場合に、各井戸層の結晶性を良好なものとできる。従って、In組成比yは、好ましくは0.02以上0.1以下の範囲であり、より好ましくは0.03以上0.05以下の範囲であり、また、上記InAlGaNの4元混晶において、適用することが好ましい。ここで、Al組成比xは、特に限定されず、Al組成比を変化させることにより、所望のバンドギャップエネルギー、波長を得ることである。
【0068】
本発明のAlInGa1−x−yN(0<x≦1、0<y≦1、x+y<1)からなる井戸層において、窒化物半導体のIn組成比yは、図9(a),(b)に示すように、0から0.1の範囲において各特性が大きく変化する。発光効率において、図9(a)に示すように、In組成比yが0.02付近から大幅に上昇し、0.05付近からなだらかな下降曲線を示す。一方で、閾値電流密度Jthでは、図9(b)に示すように、0.02付近からなだらかな下降曲線を示し、0.03〜0.05の範囲で極小値をとり、0.05を超える領域では、急激な上昇曲線を示す。ここで、図9(a)(b)は、AlInGa1−x−yN(0<x≦1、0<y≦1、x+y<1)の井戸層とAlInGa1−u−vN(0<u≦1、0≦v≦1、u+v<1)の障壁層において、各特性の傾向を定性的に示すものであり、y軸は任意の単位である。
【0069】
本発明において、好ましくは、AlとInを含む窒化物半導体の井戸層でもって、波長380nm以下となるバンドギャップエネルギーを設けることであり、このため、Al組成比xを0.02以上とする。また、GaNのバンドギャップエネルギーである波長365nm以下の領域では、xを0.05以上とすることで、短波長で良好な発光、発振が可能となる。
【0070】
また、井戸層の膜厚及び井戸層の数としては、膜厚及び井戸層の数を任意に決めることが可能である。具体的な膜厚としては、1nm以上30nm以下の範囲であり、膜厚1nm未満で井戸層として良好に機能させることが困難な傾向にあり、30nmを超える膜厚では、InとAlを含む窒化物半導体の成長を結晶性良くすることが困難となり、素子特性が低下する。好ましくは2nm以上20nm以下の範囲とすることで、Vf、しきい値電流密度を低減させることができる。また、結晶成長の観点からは、2nm以上であると、膜厚に大きなむらがなく比較的均一な膜質の層が得られ、20nm以下とすることで結晶欠陥の発生を低く抑えて結晶成長が可能となる。更に好ましくは、井戸層の膜厚を、3.5nm以上とすることで、高出力のレーザ素子、発光素子が得られる傾向にあり、これは井戸層の膜厚を大きくすることで、大電流で駆動させるレーザ素子のように、多量のキャリア注入に対して、高い発光効率、内部量子効率でもって発光再結合が成されることによると考えられ、特に多重量子井戸構造において効果があると考えられる。単一量子井戸構造では、膜厚を5nm以上とすることで、上記と同様な効果が得られる。活性層内の井戸層数としては特に限定されず、1以上であり、この時、井戸層の数が4以上である場合には、活性層を構成する各層の膜厚が厚くなると、活性層全体の膜厚が厚くなって、Vfの上昇を招くこととなるため、井戸層の膜厚を10nm以下の範囲として、活性層の膜厚を低く抑えることが好ましい。多重量子井戸構造においては、複数の井戸層の内、上記範囲の膜厚にある井戸層を少なくとも1つ設けることであり、好ましくは、全ての井戸層を上記範囲内とすることである。また、各井戸層の膜厚が異なっていても良く、ほぼ同一でも良い。
【0071】
本発明の井戸層には、p型不純物若しくはn型不純物がドープされていても、アンドープでも良い。井戸層にドープする不純物としては、好ましくはn型不純物とすることで、発光効率の向上に寄与するものとなる。しかしながら、井戸層はInとAlを含む窒化物半導体が用いられ、不純物濃度が大きくなると結晶性が悪化する傾向にあるため、不純物濃度を低く抑えて結晶性の良好な井戸層とすることが好ましい。具体的には、結晶性を最大限に良好なものとするために井戸層をアンドープで成長させることであり、この時、不純物濃度は5×1016/cm以下と実質的に不純物を含まない井戸層とすることである。また、井戸層に、例えばn型不純物をドープする場合には、n型不純物濃度が1×1018/cm以下5×1016/cm以上の範囲でドープされていると、結晶性の悪化を低く抑え、なおかつキャリア濃度を高くすることができ、しきい値電流密度、Vfを低下させることができる。この時、井戸層のn型不純物濃度としては、障壁層のn型不純物濃度とほぼ同じか、若しくは小さくすることで、井戸層での発光再結合を促し、発光出力が向上する傾向にあるため好ましい。この時、井戸層、障壁層をアンドープで成長させて、活性層の一部を構成しても良い。また、井戸層が活性層内に複数設けられる多重量子井戸構造においては、各井戸層の不純物濃度をほぼ同様なものとしても良く、異なるものとしても良い。
【0072】
特に、大電流で素子を駆動させた場合(高出力のLD、ハイパワーLED、スーパーフォトルミネセンスダイオードなど)では、井戸層がアンドープで、実質的にn型不純物を含有しないことで、井戸層でのキャリアの再結合が促進され、高い効率での発光再結合が実現され、逆にn型不純物が井戸層にドープすると、井戸層でのキャリア濃度が高いため、かえって発光再結合の確率が減少し、一定出力下で駆動電流、駆動電流の上昇を招く悪循環が発生し、素子の信頼性(素子寿命)が低下する傾向にある。このため、このような高出力の素子では、井戸層のn型不純物濃度を、少なくとも1×1018/cm以下にすることであり、好ましくはアンドープ若しくは実質的にn型不純物を含有しない濃度とすることで、高出力で安定した駆動が可能な窒化物半導体素子が得られる。また、井戸層にn型不純物をドープしたレーザ素子では、レーザ光のピーク波長のスペクトル幅が広がる傾向にあるため、好ましくなく1×1018/cm3、好ましくは1×1017/cm以下とすることである。
【0073】
(障壁層)
本発明において、障壁層の組成としては、Alを含む窒化物半導体からなる障壁層を用いることである。ここで、本発明の活性層において、活性層内の少なくとも1つの障壁層が、Alを含む窒化物半導体からなることを必要とするものであり、活性層内の全ての障壁層が、Alを含む窒化物半導体からなるものであっても良く、Alを含まない窒化物半導体からなる障壁層を活性層内に設けても良い。障壁層は、井戸層よりもバンドギャップエネルギーの大きな窒化物半導体とする必要があり、井戸層の発光波長が380nm以下の領域では、それに対応する障壁層には、Alを含む窒化物半導体を用いることが好ましい。
【0074】
Alを含む窒化物半導体の障壁層として、好ましくはAlInGa1−u−vN(0<u≦1、0≦v≦1、u+v<1)で表される窒化物半導体を用いることである。具体的には、Alを含み窒化物半導体の障壁層は、上記組成式で表されるAlInGaNの4元混晶、AlGaNの3元混晶を用いることができる。また、障壁層のAl組成比uは、AlとInを含む窒化物半導体の井戸層のAl組成比xよりも大きく、u>xとして、井戸層と障壁層との間に十分なバンドギャップエネルギー差を設けることで、レーザ素子、発光素子として良好な発光効率を有する量子井戸構造が形成される。
【0075】
また、障壁層がInを含有する場合(v>0)、In組成比vについては、好ましくは0.1以下とすることで、結晶性の悪化を抑え、更に好ましくは0.05以下の範囲を適用することができる。これは、In組成比vが0.1を超える場合には、成長時にAlとInとの反応が促進し、結晶性が悪化して良好な膜が形成されないためであり、さらにv≦0.05とすることで、さらに良好な結晶性で障壁層を形成できる。
【0076】
また、上述したように、障壁層のIn組成比は井戸層に比べて、広い組成比を適用でき、主にAl組成比によりバンドギャップエネルギー差を設けることから、v≧yとすることも可能であり、このようなIn組成比とすることで、井戸層、障壁層の臨界膜厚を変化させることができ、量子井戸構造において比較的自由に膜厚を設定でき、所望の特性の活性層を設計できる。
【0077】
また、量子井戸構造の活性層において、障壁層は、井戸層と交互に形成しても良く、1つの井戸層に対して複数の障壁層を設けても良い。具体的には、井戸層に挟まれた障壁層を2層以上とすることであり、多層膜の障壁層と井戸層を交互に積層した構造を設けることもできる。
【0078】
また、障壁層には、上述した井戸層と同様に、p型不純物、n型不純物がドープされていても、ノンドープであっても良いが、好ましくはn型不純物がドープされているかノンドープ若しくはアンドープとされていることである。この時、障壁層中に例えばn型不純物をドープする場合にはその濃度として、少なくとも5×1016/cm以上ドープされていることである。具体的には、例えばLEDである場合には、5×1016/cm以上2×1018/cm以下の範囲でn型不純物を有することであり、また、より高出力のLED及び高出力のLDでは、5×1017/cm以上1×1020/cm以下の範囲、好ましくは1×1018/cm以上5×1019/cm以下の範囲でドープされていることが好ましく、このように高濃度で障壁層にドープする場合には、井戸層がn型不純物を実質的に含まないか、アンドープで成長させることが好ましい。
【0079】
また、障壁層にn型不純物をドープする場合には、活性層内の全ての障壁層にドープしても良く、一部をドープ、一部をアンドープとした構成でも良い。一部の障壁層にn型不純物をドープする場合には、活性層内で、n型層側配置された障壁層にドープすることが好ましく、具体的には、n型層側から数えてn番目の障壁層B(n=1,2,3・・・)にドープすることで、電子が効率的に活性層内に注入され、発光効率、内部量子効率に優れた素子となる。これは、障壁層に限らず、井戸層についても同様であり、また両方にドープする場合には、n型層から数えてn番目の障壁層B(n=1,2,3・・・)、m番目の井戸層W(m=1,2,3・・・)にドープすること、すなわち、n型層に近い側からドープすることで、上記効果が得られる傾向にある。
【0080】
また、後述の実施例に示すように、Mgドープのp側電子閉込め層を設ける場合、特に活性層及び/又は障壁層に接して設ける場合には、Mgが拡散するため、活性層内で最もp型層側に配置されたp側障壁層にn型不純物をドープすると、コドープとなり活性層の機能が悪化される傾向にある。このため、Mgドープのp側電子閉込め層を設ける場合、好ましくは、このp側障壁層はn型不純物を実質的に含まないことでこれを回避でき、具体的には5×1016/cm未満となるようにする。
【0081】
障壁層の膜厚としては、特に限定されないが、50nm以下として量子井戸構造を構成することであり、好ましくは井戸層と同様に1nm以上30nm以下の範囲することであり、これは30nm以下とすることで結晶性の悪化を抑えて、1nm以上とすることで、障壁層として良好に機能しうる膜厚となるからである。更に好ましくは2nm以上20nm以下とすることであり、これにより、2nm以上であることで比較的均一な膜が形成され、より良好に障壁層の機能が備わり、20nm以下とすることで結晶性が良好なものとなる。
【0082】
本発明の量子井戸構造の活性層において、好ましい実施形態としては、上記4元混晶のAlInGa1−x−yN(0<x<1、0<y<1、x+y<1)からなる井戸層と、4元混晶のAlInGa1−u−vN(0<u<1、0<v<1、u+v<1)若しくは3元混晶のAlGa1−uN(0<u<1)からなる障壁層と、を1対以上有するものである。具体的には、図7の活性層12として示すように、InAlGaNの井戸層1を1層以上、InAlGaN若しくはAlGaNの障壁層2を1層以上有することであり、これにより、Inを含む窒化物半導体の井戸層により、内部量子効率、発光効率に優れた井戸層となり、さらにAlを含む窒化物半導体により、そのAl組成比を調整することで、図10に示すように、380nm以下の短波長域での発光が可能な井戸層とできる。また、その井戸層1よりも大きなバンドギャップエネルギーの障壁層2を、InAlGaN若しくはAlGaNとすることで、上記短波長域においても、優れた障壁層を提供できる。
【0083】
図11からわかるように、波長370nm以上の領域において、井戸層のIn混晶比xをAl混晶比y以上に大きくしても(x≧y)、閾値電流密度が大きく変化せず、良好な発振特性のレーザ素子が得られ、すなわちAl混晶比yが0<y≦0.1の範囲において、x≧yとすることで、良好な発光素子、レーザ素子が得られる。一方で、図10に示すように、井戸層のAl混晶比yをIn混晶比x以上に大きくすること(y≧x)により、発光波長(発振波長)を380nm以下の範囲と短波長の発光が得られ、すなわち、井戸層のIn混晶比xが0<x≦0.1の範囲において、Al混晶比yをxに比べて大きくすること(y≧x)で、短波長の発光が得られる。これら井戸層におけるAl混晶比とIn混晶比の関係において、上記4元混晶InAlGaNの井戸層で、Gaの混晶比z(z=1−x−y)は、In混晶比x、Al混晶比yよりも大きくすること、z>x、z>yであることにより、上記の傾向を示す井戸層、活性層が得られる。好ましくは、0<x≦0.1,0<y≦0.1において、z>x、z>yとなるように、4元混晶のInAlGaNを用いることである。
【0084】
[実施形態1B(レーザ素子、導波路構造)]
本発明のもう1つの実施形態1Bは、窒化物半導体素子構造として、実施形態1Aの活性層を、第1導電型層、第2導電型層とで、挟み込む構造を有するレーザ素子である。具体的には、図2(a)に示すように、基板上に、第1導電型層11、活性層12、第2導電型層13とが積層された構造を有し、さらには、第1導電型層11内に第1の光ガイド層26、第2導電型層13内に第2の光ガイド層29、が少なくとも設けられ、これら第1、第2の光ガイド層26,29とで、活性層を挟み込む構造を有し、第1,2の光ガイド層とその間の活性層とで導波路を形成する。更に、後述するように、第1導電型層が下部クラッド層25、第2導電型層が上部クラッド層30をそれぞれ有する場合には、この上部、下部クラッド層25,30とで挟み込まれ、活性層を含む領域が、導波路となる。上部クラッド層25、下部クラッド層30とで、挟まれた導波路内に光ガイド層を設けると、閾値電流密度を低減させ、高出力のレーザ素子が得られる。以下に、導波路に光ガイド層を有する素子構造について、説明する。
【0085】
本発明の実施形態1Bにおいて、図2(a)に示すように、導波路として、活性層12と、第1導電型層11内の第1の光ガイド層29、第2導電型層内の第2の光ガイド層26とが、設けられた構造を有し、特に上述した波長380nm以下の活性層を用いた導波路が設けられた構造を特徴とする素子である。
【0086】
この導波路は、主に活性層からの光を導波させるものであり、この導波路構造によりレーザ素子、端面発光素子において、発光効率、閾値電流密度、その他の素子特性が様々に変化する。光ガイド層は、このように、活性層を挟んで形成されるが、第1導電型層、第2導電型層の少なくとも一方のみに光ガイド層を形成すること、すなわち、第1の光ガイド層若しくは第2の光ガイド層だけでもよいが、好ましくは活性層の両側に、光ガイド層を設けることで、閾値電流密度が低下し、高出力のレーザ素子が得られる。
【0087】
本発明の第1の光ガイド層26、第2の光ガイド層29としては、Alを含む窒化物半導体が用いられ、また、図3(b)〜図6のバンド構造41として示すように、少なくとも量子井戸構造の活性層27内の井戸層1よりも大きなバンドギャップエネルギーとし、また活性層27と光ガイド層26,29との屈折率差を小さくして、導波路構造とする。また、光ガイド層は、図6に示すように、障壁層よりもバンドギャップエネルギーが小さくても良く、図3(b)〜5に示すように、大きくても良い。光ガイド層の組成として具体的には、InαAlβGa1−α−βN(0≦α、0<β、α+β≦1)が用いられる。好ましくは、Inを含まない窒化物半導体とすること、すなわち、In組成比が0の窒化物半導体とすることで、Inを含むことによる光の吸収を防ぎ、光の損失を低く抑えた導波路とできる。さらに、好ましくはAlβGa1−βN(0≦β≦1)を用いることで、紫外域から赤色域までの幅広い波長域に適用できる導波路となる。特に上記波長380nm以下の短波長域の光を導波させるには、好ましくはAlβGa1−βN(0<β≦1)が用いられる。これは、GaNでは、上記短波長域の光を吸収し、それが損失となって、閾値電流密度、電流−光出力特性を悪化させるからである。特に、光ガイド層のAl組成比βは、光ガイド層のバンドギャップエネルギーE、活性層の発光の光子エネルギーEに比べて、0.05eV以上大きくなるように(E−E≧0.05eV)、調整することが好ましい。これにより、上記短波長域において、ガイド層による光の損失が抑えられた導波路となるからであり、更に好ましくはE−E≧0.1とすることで、更に優れた導波路が形成される。
【0088】
ここで、図3(a),(b)は、本発明の窒化物半導体素子において、素子の積層構造40と、それに対応したバンド構造41を示すものであり、積層構造40は、井戸層1と障壁層2とを有する量子井戸構造の活性層27を、第1導電型層11と第2導電型層13とで挟み込む構造を示すものである。図4〜6は、図3(b)と同様にバンド構造41を示すものである。
【0089】
また第1の光ガイド層26、第2の光ガイド層29は、どちらか一方若しくは両方が、単一膜で形成されていても良く、多層膜で形成されていても良い。単一膜の窒化物半導体からなる光ガイド層を形成する場合には、図3(a)に示すように、活性層27を挟む第1の光ガイド層26、第2の光ガイド層29の積層構造40が設けられ、そのバンド構造41は、活性層よりもバンドギャップエネルギーが大きくなるようにする。具体的には、上記AlβGa1−βN(0≦β≦1)を用いることであり、上記短波長域においてはAlβGa1−βN(0<β≦1)を用い、さらに好ましくは上述したように第1の光ガイド層及び第2の光ガイド層のバンドギャップエネルギーEが、光子エネルギーEに比べて、0.05eV以上大きいこと(E−E≧0.05eV、好ましくはE−E≧0.1)となるように、Al組成比βを調節する。
【0090】
第1の光ガイド層、第2の光ガイド層の膜厚としては、特に限定されず、具体的には、10nm以上5μm以下の範囲であり、好ましくは20nm以上1μm以下の範囲であり、更に好ましくは50nm以上300nm以下の範囲とする。これにより、10nm以上でガイド層として機能し、20nm以上とすることで閾値電流密度を低下させる導波路が形成される傾向にあり、50nm以上とすることで更に閾値電流密度を低下させる傾向にあるためである。また、5μm以下ではガイド層として機能し、1μm以下で光が導波する際の損失を減少させ、300nm以下とすることで光の損失を更に抑えられる傾向にあるためである。
【0091】
本発明の光ガイド層を多層膜の窒化物半導体で構成しても良く、その場合も上記と同様に、Inを含まない窒化物半導体を用いることが好ましく、さらに上記AlβGa1−βN(0≦β≦1)を用いることが好ましく、上記短波長域においてはAlβGa1−βN(0<β≦1)を用いることが好ましく、この窒化物半導体を用いて少なくとも互いに組成の異なる窒化物半導体層を各々の光ガイド層に1層以上用いた多層膜とする。具体的には、第1の光ガイド層26に、第1の層、第1の層と異なる組成の第2の層、第2の光ガイド層29に、第3の層と、第3の層と異なる組成の第4の層、を用いる。ここで、第1〜4の層は、窒化物半導体からなる。これにより、各ガイド層内の第1の層と第2の層との間、第3の層と第4の層との間、において、Al組成比を異なるようにして、バンドギャップエネルギー、屈折率の異なる多層膜構造としても良い。
【0092】
例えば、第1導電型層、活性層、第2導電型層が積層された構造で、第1の光ガイド層が、第1の層と第2の層とを有し、第2の光ガイド層が第3の層と、第4の層とを有し、第2の層と第3の層とを活性層側に配置して、第1の層と第4の層とを活性層から遠い位置に配置した構造として、バンドギャップエネルギーを活性層に近づくに従って段階的に小さくした構造とする。
【0093】
具体的には、活性層側の第2の層、第3の層のAl組成比β2、β2を、活性層から遠い第1の層、第4の層のAl組成比β1,β4よりも小さくすること、β1>β2、β4>β3とすることで、段階的なバンド構造となり、導波路内の活性層にキャリアが効率的に注入され、また活性層及び活性層付近が屈折率が大きくなることから、導波路内で活性層付近に光が多く分布した構造とできる。このように、光ガイド層を多層膜とするのには、Al組成比を大きくすると結晶性の悪化する傾向にあり、単一膜で光ガイド層を形成することが結晶性の悪化により困難な場合、若しくは特性悪化が発生する場合に、多層膜で形成して結晶性の悪化を小さく抑えることができるからである。
【0094】
また、上記、β1>β2、β4>β3とは逆に、β1<β2、β4<β3として、活性層に近いガイド層(第2の層、第3の層)のバンドギャップエネルギーを大きくし、屈折率を小さくし、遠いガイド層(第1の層、第4の層)を小さくし、屈折率を大きくすることも可能であるが、好ましくは上記キャリア注入、光の分布が良好となることから、β1>β2、β4>β3とすることである。また、多層膜の光ガイド層とする場合に、上記第1〜4の層に限らず、各光ガイド層を3層以上で構成しても良く、第1の層(第3の層)と第2の層(第4の層)と交互に複数積層した、すなわち第1の層と第2の層とを1対として複数の対を積層してガイド層を構成しても良い。
【0095】
また、多層膜の光ガイド層とする場合には、上記条件式、E−E≧0.05eV、を計算する場合には、光ガイド層全体の平均組成により算出する。例えば、Alβ1Ga1−β1N(0<β1≦1)からなる膜厚dの第1の層、Alβ2Ga1−β2N(0<β2≦1、β1≠β2)からなる膜厚dの第2の層、で第1の光ガイド層を構成する場合には、Alの平均組成βが、β=(d×β1+d×β2)/(d+d)、で得られる。
【0096】
また、本発明の光ガイド層において、図4に示すように、活性層に近づくに従ってバンドギャップエネルギーが小さくなるように、組成傾斜させたGRIN構造としてもよい。具体的には、Al組成比βを傾斜させること、すなわち活性層に近づくに従ってAl組成比βが小さくなるように組成傾斜させることで、GRIN構造とできキャリアの注入効率が向上する。この時、組成傾斜は、図4に示すように連続的に組成を傾斜させても良く、不連続で段階的に組成を傾斜させても良い。また、超格子多層膜構造のように、例えば、上記第1の光ガイド層の第1の層/第2の層を交互に積層した複数対を有する構造においても、Alを組成傾斜させて、活性層に近づくに従ってバンドギャップエネルギーが小さくなるようにしても良く、この場合、少なくともいずれか一方の層だけ、例えば第1の層だけを組成傾斜させても良く、対を構成する全ての層、例えば第1の層及び第2の層を組成傾斜させても良い。また、光ガイド層の膜厚方向において、部分的に組成傾斜が設けられていても良く、好ましくは膜厚方向における全ての領域で組成傾斜させる方がキャリアの注入効率が向上する傾向にある。
【0097】
更に、多層膜の光ガイド層において、図5に示すように、多層膜の超格子構造としても良く、超格子構造を用いることで、上記Alを含む窒化物半導体による結晶性の悪化を抑制して、良好な結晶性の導波路を形成することができる。具体的には、第1の光ガイド層26において、前記第1の層と、第2の層とを交互に積層して、少なくとも一方を2層以上、好ましくは各層を2層以上とすること、若しくは第1の層と第2の層とを1対として複数対積層した構造とする。この時、各層の窒化物半導体の組成は上記と同様であるが、好ましくは、第1の層/第2の層が、Alβ1Ga1−β1N(0≦β1≦1)/Alβ2Ga1−β2N(0≦β2≦1、β1≠β2)、上記短波長域においてはAlβ1Ga1−β1N(0<β1≦1)/Alβ2Ga1−β2N(0<β2≦1、β1≠β2)を用いることで、光の損失を抑えて、なおかつ超格子構造により結晶性の悪化も抑えた導波路が形成される。光ガイド層を超格子構造とするには、多層膜を構成する各層の膜厚が超格子となるように設定することであり、組成及び各層の組み合わせによりその膜厚は異なるが、具体的には、10nm以下とすることであり、好ましくは7.5nm以下とすることで結晶性を良好に保つことができ、更に好ましくは5nm以下とすることで、より良好な結晶性とすることができる。
【0098】
また、本発明の光ガイド層において、各導電型の不純物は、少なくともドープされることがキャリアの移動・注入が良好となるため好ましく、この時導電型の不純物は、光ガイド層の一部若しくは部分的にドープする形態、全体にドープする形態、のいずれかでも良い。また、多層膜の光ガイド層においては、例えば前記第1の層、第2の層を有する第1の光ガイド層において、両方にドープしても良く、又は第1の層と第2の層とで異なるドープ量とするか、一方にドープして、他方をアンドープとした変調ドープとしても良い。例えば上記第1の光ガイド層において第1の層と第2の層とを交互に積層した、若しくは、複数対設けた構造のような超格子多層膜構造において好ましくは、一方の層、例えば第1の層にのみドープした変調ドープとすることで、不純物ドープによる結晶性の悪化を抑えることができる。更に好ましくは、Al組成比の低い層にのみドープすることで、結晶性の良好な層にドープすることができ、不純物ドープによる結晶性の悪化を抑えて、不純物ドープによる活性化も良好なものとなり好ましい。これは、例えば、前記第1の層/第2の層が、Alβ1Ga1−β1N(0≦β1≦1)/Alβ2Ga1−β2N(0<β2≦1、β1<β2)の超格子多層膜構造である第1の光ガイド層において、Al組成比の小さい第2の層に不純物ドープして、第1の層をアンドープとすることで、Al組成比の小さい第2の層は第1の層より結晶性が良く、このためこの結晶性の良い層に不純物ドープすることで、良好な活性化が実現され、キャリアの移動・注入に優れた光ガイド層となる。
【0099】
更に、本発明の光ガイド層の不純物ドープについて、図6(a)〜図6(d)に、ドープ量変化42として示すように、第1,2の光ガイド層26,29において、不純物ドープ量を、活性層に近づくに従ってドープ量を小さくする、若しくは、活性層から遠い領域に比べて活性層に近い領域のドープ量を小さくすると、導波路、特に光ガイド層内において、光の損失を更に減少させて、良好な光の導波を実現でき、閾値電流密度の低減、駆動電流の低減化を図ることができる。これは、不純物ドープした領域を光が導波すると、不純物により光の吸収が発生しするために光の損失が起こるからである。
【0100】
これに加えて、導波路は上述したように、第1の光ガイド層26と第2の光ガイド層29とで活性層27を挟む構造を少なくとも有しており、さらにそのガイド層の外側若しくは導波路を、ガイド層より屈折率の小さい上部・下部クラッド層25,30とで挟む構造でもって光が導波路内に閉じこめられた構造となり、導波路内の活性層及び活性層近傍に多くの光が分布するため、その活性層近傍の領域において不純物ドープ量を少なくすることで、光が多く分布する領域での光の損失が減少することとなり、光の損失の少ない導波路となる。
【0101】
具体的には、第1の光ガイド層、第2の光ガイド層において、各層の膜厚の半分で領域を区切り活性層に近い領域と遠い領域を考えた場合、活性層に近い領域の導電型不純物濃度を、活性層に遠い領域の不純物濃度よりも小さくすることである。光ガイド層の不純物濃度としては、特に限定されないが、具体的には活性層に近い領域において5×1017/cm以下とすることである。ここで、上記不純物ドープとは、第1の光ガイド層に第1導電型の不純物ドープ、第2の光ガイド層に第2導電型の不純物ドープ、することを指すものである。
【0102】
光ガイド層内でドープ量を変化させる形態としては、具体例として、図6(b)〜図6(d)にドープ量変化42a、42b、42cとして示すように、各光ガイド層内において、活性層に近づくに従ってなだらかに、連続的にドープ量を小さくする形態(42a)、不連続で段階的にドープ量を小さくする形態(42b)、またその段階的なドープ量変化を細かくし、光ガイド層内で部分的にドープ量変化を設ける形態(42c)、のいずれかでも良く、またこれらを組み合わせて用いても良い。
【0103】
好ましくは、光ガイド層内において、活性層側からの距離が、50nm以下の領域をアンドープとすることで光の損失低減が可能となり、好ましくは100nm以下の領域をアンドープとすることで良好な光損失の低減、閾値電流密度、駆動電流の低減が可能となる。この時、光ガイド層の膜厚は、アンドープ領域を50nm以下の領域とする場合には、50nm以上の膜厚とし、100nm以下の領域とする場合には、100nm以上の膜厚とすることはいうまでもない。この時、上記アンドープ領域を光ガイド層内に設ける場合、好ましくは、上述した組成傾斜構造の光ガイド層と組み合わせて用いることであり、これは図4に示すように、バンドギャップエネルギーが、活性層に近づくに従って小さくなるバンド構造であることにより、不純部ドープされない領域が活性層近傍に設けられても、キャリアの注入効率の低下を抑えた光ガイド層が形成されるためである。この時、組成傾斜の光ガイド層は、上述したようにGRIN構造が好ましく、また上記多層膜構造で、バンドギャップエネルギーが活性層に近づくに従って小さくなる構造であっても、アンドープ領域の形成に効果がある。ここで、各光ガイド層内において、成長時に不純物ドープしなくても、すなわちアンドープで光ガイド層を成長させても、隣接層から不純物が拡散する場合があり、その場合にはアンドープで成長させた上記領域においても、不純物がドープされたものとなる。
【0104】
具体的には、p型不純物として好ましく用いられるMgは、このような拡散現象が起こりやすく、実施例1で示すように、アンドープでp側光ガイド層を形成しても、隣接層の電子閉込め層とクラッド層からの拡散により、p型不純物がドープされる。このように、拡散により不純物ドープが成される場合には、上述したように活性層に近い領域の不純物濃度を、遠い領域よりも小さくすることである。このようなドープ領域は、少なくとも一方の光ガイド層に設けることが好ましく、更に好ましくは両方の光ガイド層に設けることで光の損失を低減させた導波路となる。
【0105】
また、上記光ガイド層における層構成、不純物ドープの形態、組成、膜厚などは、第1の光ガイド層、第2の光ガイド層とで同様なものとしても良く、異なるようにしても良い。例えば、第1の光ガイド層を単一膜とし、第2の光ガイド層を多層膜として、両光ガイド層の層構成を異なるようにした形態などがある。
【0106】
(クラッド層)
上記実施形態1A、実施形態1Bにおいて、第1導電型層、活性層、第2導電型層とが積層された構造で、第1導電型層が下部クラッド層を有し、第2導電型層が上部クラッド層を有する窒化物半導体素子としても良い。具体的には、図2(a)に示すように、基板上に、第1導電型層11、活性層12、第2導電型層13とが積層された構造を有し、さらには、第1導電型層11内に下部クラッド層25、第2導電型層13内に上部クラッド層30、が少なくとも設けられ、これら上部、下部クラッド層25,30とで、活性層を挟み込む構造を有している。上部クラッド層25、下部クラッド層30とで、挟まれた導波路内に、上述した光ガイド層を設けても良い。以下に、クラッド層を有する素子構造について、説明する。
【0107】
上部、下部クラッド層25,30の組成は、図3(b)〜図6(a)のバンド構造41に示すように、活性層よりもバンドギャップエネルギーが大きくなるようにするものであり、また上記レーザ素子、端面発光素子において第1,2の光ガイド層26,29を有する場合には、光ガイド層と同等若しくはそれより大きくする。これは、上部・下部クラッド層をキャリア閉込め、光閉込めとして機能させるものであり、光ガイド層を有する場合には光閉込め層として機能させる。クラッド層に用いられる窒化物半導体としては、Alを含む窒化物半導体が好ましく用いられ、InAlGa1−a−bN(0≦a、0<b、a+b≦1)で表される窒化物半導体が用いられる。好ましくは、In組成比aが0の窒化物半導体を用いることで、Inを含む窒化物半導体ではクラッド層内で光の吸収による損失が発生しやすい傾向にあるからである。このため、好ましくはAlGa1−bN(0<b≦1)で表される窒化物半導体を用いることで、良好な光閉込め、更にガイド層を設けない場合には、良好なキャリア閉込めが可能となる。
【0108】
レーザ素子、端面発光素子において、導波路を上部、下部クラッド層で挟む構造において、導波路とクラッド層との間、具体的には活性層及び/又は光ガイド層との間、に十分な屈折率差を設けて、導波路内に光が閉じこめられて、光が導波する構成とする。このような屈折率差を設けるには、AlGa1−bN(0<b≦1)が好ましく用いられ、光ガイド層のAl組成(平均組成)比βとの間で、少なくともβ≦bの関係を満たすようにし、好ましくはb−β≧0.05となるようにすることで十分な屈折率差が設けられる。また、クラッド層による光の閉込めは、クラッド層の膜厚にも依存するため、膜厚も考慮して窒化物半導体の組成を決定する。
【0109】
本発明のクラッド層は、上記光ガイド層と同様に、単一膜で形成しても良く、多層膜で形成しても良く、また多層膜超格子構造としても良い。単一膜でクラッド層を形成する場合には、上記窒化物半導体からなる単一膜を形成することで、多層膜で形成する場合に比べて、光、キャリア閉込め構造の設計が容易であり、またクラッド層の成長にかかる時間を短縮できる。一方で、AlGaNなどのAlを含む窒化物半導体は、結晶性良く成長させることが困難で、特に単一膜のように、ある一定以上の膜厚で成長させるとクラックが発生しやすくなる。
【0110】
クラッド層を多層膜で形成する場合には、組成の異なる窒化物半導体を複数積層するものであり、具体的にはAl組成比の異なる窒化物半導体を複数積層する。このように多層膜で形成すると、単一膜の場合における結晶性の悪化、クラックの発生を、抑制することが可能となる。
【0111】
具体的には、多層膜として、第1の層と、それと異なる組成の第2の層とを積層し、屈折率、バンドギャップエネルギーの異なる層を複数設ける。例えば、Al組成比b1の第1の層と、Al組成比b2(b1≠b2)の第2の層とを積層した構造の多層膜でも良く、この時Al組成比をb1<b2(0≦b1、b2≦1)とした構成とすると、Al組成比の大きな第1の層で屈折率、バンドギャップエネルギーを大きくし、Al組成比の小さい第2の層で、第1の層を形成することによる結晶性の悪化を抑えることができる。また、第1の層、第2の層を積層し、第2の層と組成の異なる第3の層を積層するなどして、更に複数の組成の異なる層を積層しても良い。また、第1の層、第2の層を交互に複数積層した構造であっても良く、少なくとも第1の層、第2の層を有する対を、複数対形成した構造としても良い。このような、多層膜構造では、Alを含む窒化物半導体の結晶性悪化を抑えて、膜厚を大きくすることができるため、光閉込めにおいて重要となる膜厚を得ることが可能となる。
【0112】
多層膜構造のクラッド層において、超格子構造とすることで、更に結晶性を良好なものとして、クラッド層を形成することができ好ましい。ここで、超格子構造は、クラッド層の少なくとも一部に設けることであり、好ましくは全てにおいて超格子構造を設けることで、結晶性良くクラッド層を形成できる。この時、著格子構造としては、光ガイド層の場合と同様に、少なくとも第1の層と、第2の層とを交互に複数積層したり、少なくとも第1の層と第2の層とを有する対を、複数対設けた構造とする。超格子構造を構成する各層の膜厚としては、組成及び各層の組み合わせによりその膜厚は異なるが、具体的には、10nm以下とすることであり、好ましくは7.5nm以下とすることで結晶性を良好に保つことができ、更に好ましくは5nm以下とすることで、より良好な結晶性とすることができる。
【0113】
クラッド層には、少なくとも各導電型の不純物をドープすることが好ましく、光ガイド層と同様に、全体にドープしても、部分的にドープしても良い。また、多層膜の場合にも光ガイド層と同様に、例えば前記第1の層、第2の層を有する多層膜で、両方にドープしても良く、又は第1の層と第2の層とで異なるドープ量とするか、一方にドープして、他方をアンドープとした変調ドープとしても良い。例えば、前記第1の層/第2の層が、Alb1Ga1−b1N(0≦b1≦1)/Alb2Ga1−b2N(0<b2≦b1、b1<b2)の超格子多層膜構造である場合に、Al組成比の小さい第2の層に不純物ドープして、第1の層をアンドープとすることで、光ガイド層と同様に結晶性を良くすることができる。
【0114】
クラッド層の膜厚としては特に限定されないが、10nm以上2μm以下、50nm以上1μm以下の範囲で形成する。これは、10nm以上とすることでキャリアの閉込めが可能で、2μm以下とすることで、結晶性の悪化を抑え、更に50nm以上とすることで光閉込めが可能となりレーザ素子、端面発光素子などに用いることができ、1μm以下とすることで、結晶性良くクラッド層を形成することができる。
【0115】
ここで、上部クラッド層、下部クラッド層としては、Alを含む窒化物半導体が好ましく用いられ、このことにより、導波路と両クラッド層との間で、屈折率差を大きくとることができる。このとき、クラッド層の窒化物半導体には、Inを含まないことが好ましく、なぜなら、Inを含む窒化物半導体は、Inを含まない場合に比べて、結晶性が悪化する傾向にあり、特に、活性層の上にp側クラッド層を有する構造では、そのp側クラッド層にInを含む窒化物半導体を用いると、結晶性の悪化が大きく、素子特性を大きく悪化させるものとなる。このとき、クラッド層に用いる窒化物半導体として具体的には、AlbGa1-bN(0<b<1)が好ましく用いられる。
【0116】
(キャリア閉込め層<p側電子閉込め層>)
本発明において、図3(b)、図4のバンド構造41に示すように、活性層27内部、若しくは活性層近傍にキャリア閉込め層28を設けても良い。図に示すように、レーザ素子、端面発光素子のように、光ガイド層26,29、クラッド層25,30を有する構造の場合には、光ガイド層26,29と活性層27との間、又は、活性層若しくは光ガイド層の一部として設けると良い。ここで、このキャリア閉込め層は、キャリアを活性層若しくは井戸層内に閉じ込めるもので、レーザ素子、高出力の発光素子などにおいて、素子駆動などによる温度上昇、電流密度増大によって、キャリアが活性層をオーバーフローすることを防ぐことが可能となり、活性層内にキャリアが効率的に注入される構造とできる。
【0117】
具体的には、図4に示すように、第2導電型層側に配置されたキャリア閉込め層28bにより、第1導電型層からのキャリアを閉込め、第1導電型層側のキャリア閉込め層28aにより、第2導電型層からのキャリアを閉込める。このキャリアを閉込め層は、少なくとも一方に設けることが好ましく、実施例1に示すように、第1導電型層をn型、第2導電型層をp型とした素子において、少なくともp型層側にキャリアを閉込め層を設けることが好ましい。これは、窒化物半導体において、電子の拡散長がホールの拡散長に比べて長いため、電子の方が活性層をオーバーフローしやすく、このため電子を閉じ込めるキャリア閉込め層28をp型層側に設けることで、高出力のレーザ素子、発光素子が得られる。以下p型層側にキャリアを閉込め層を、p側電子閉込め層として設ける例を説明するが、それは導電型層を代えることでn型層側にも適用できるものである。特に、p側電子閉込め層を少なくとも設けることが好ましく、これは、電子がホールに比べて、キャリア拡散長が長く、活性層をオーバーフローしやすいためである。
【0118】
このp側電子閉込め層としては、Alを含む窒化物半導体を用いるものであり、具体的にはAlGa1−cN(0<c<1)を用いる。この時、Al組成比cとしては、キャリア閉込め層として機能するように、活性層より十分に大きなバンドギャップエネルギーを有する(オフセットをとる)必要があり、少なくとも0.1≦c<1の範囲とすることであり、好ましくは0.2≦s<0.5の範囲とすることである。なぜなら、cが0.1以下であるとレーザ素子において、十分な電子閉込め層として機能せず、0.2以上であると十分に電子閉込め(キャリアの閉込め)がなされ、キャリアのオーバーフローを抑え、加えて0.5以下であるとクラックの発生を低く抑えて成長させることができ、更に好ましくはcを0.35以下とすることで良好な結晶性で成長できる。また、上記光ガイド層を有する場合には、それよりも大きいバンドギャップエネルギーのキャリアを閉込め層とすることが好ましく、上記クラッド層を有する場合には、クラッド層とほぼ同じかそれよりも大きなバンドギャップエネルギーのキャリアを閉込め層とすることである。これはキャリアの閉込めには光の閉込めとなるクラッド層より高い混晶比の窒化物半導体が必要となるからである。
【0119】
このp側電子閉込め層は、本発明の窒化物半導体素子に用いることができ、特にレーザ素子のように、大電流で駆動させ、多量のキャリアを活性層内に注入する場合において、p側電子閉込め層を有していない場合に比べて、効果的なキャリアの閉込めを可能とし、レーザ素子だけでなく、高出力のLEDにも用いることができる。
【0120】
本発明のキャリア閉込め層の膜厚としては、少なくとも100nm以下とすることであり、好ましくは40nm以下とすることである。これは、Alを含む窒化物半導体は、他の窒化物半導体(Alを含まない)に比べて、バルク抵抗が大きく、更にp側電子閉込め層のAl混晶比は上述したように高く設定されるため、100nmを超えて素子内に設けると、極めて高抵抗な層となり、順方向電圧Vfの大幅な増加を招くこととなるためであり、40nm以下であるとVfの上昇を低く抑えることが可能で、更に好ましくは20nm以下とすることで更に低く抑えることが可能となる。ここで、p側電子閉込め層の膜厚の下限としては、少なくとも1nm以上、好ましくは5nm以上とすることで、電子閉込めとして良好に機能する。ここで、キャリアを閉込め層は、単一膜で形成して良く、組成異なる多層膜で形成しても良い。
【0121】
また、本発明の窒化物半導体素子において、光ガイド層を設けずに、クラッド層だけを設ける場合には、活性層とクラッド層との間に上述したようにキャリアを閉込めに十分なバンドオフセットが存在すれば、キャリアを閉込め層を、クラッド層とは別に設ける必要はないが、光ガイド層を有する構造のように、クラッド層が活性層から離間して配置される場合には、活性層とクラッド層との間に、好ましくは活性層近傍にキャリアを閉込め層を設けること良い。これは、活性層から離れた位置にキャリアを閉込め層を設けると上記キャリアのオーバーフローを抑制する効果がなくなるからである。具体的には、活性層とp側電子閉込め層(キャリア閉込め層)との距離は、100nm以下とすることでキャリアの閉込めとして機能し、更に好ましくは500Å以下とすることで良好なキャリアの閉込めが可能となる。活性層外部にキャリアを閉込め層を配置する場合には、最も好ましくは活性層に接して配置することで、最も効率よくキャリアが活性層内に閉じ込められる。活性層内部に配置する場合には、障壁層若しくはその一部として設けることができ、具体的には、活性層内で各導電型層に最も近い位置に、すなわち活性層内で最も外側の層として、配置することで、活性層内部の井戸層内に、キャリアが効率的に注入される。
【0122】
例えば、図4において、キャリアを閉込め層28を、活性層内で最も外側の障壁層として設け、各導電型層に最も近い層となる。このように、活性層内にキャリアを閉込め層を設ける場合には、活性層内部の障壁層に比べてバンドギャップエネルギーを大きくするものであり、活性層内部の障壁層は、最も外側を除く障壁層であり、井戸層に挟まれた障壁層である。
【0123】
本発明のp側電子閉込め層(キャリア閉込め層)には、アンドープであっても、p型不純物(各導電型の不純物)がドープされても良い。好ましくは、各導電型の不純物がドープされることであり、例えばp側電子閉込め層ではp型不純物がドープされることで、これはドープすることでキャリアの移動度が高まりVfを低下できるためである。
【0124】
さらにレーザ素子、ハイパワーLEDなどの大電流で駆動させる場合には、キャリアの移動度を高めるため、高濃度でドープすることが好ましい。具体的なドープ量としては、少なくとも5×1016/cm以上ドープすることで、好ましくは1×1018/cm以上ドープすることであり、前記大電流駆動の素子にあっては、1×1018/cm以上、好ましくは1×1019/cm以上ドープすることである。p型不純物量の上限は特に限定されないが、1×10 /cm以下とすることである。但し、p型不純物量が多くなると、バルク抵抗が大きくなる傾向にあり、結果としてVfが上昇することになるため、これを回避する場合に好ましくは、必要なキャリア移動度を確保しうる最低限のp型不純物濃度とすることである。また、アンドープでキャリア閉込め層を形成して、隣接層からの不純物拡散によりドープすることも可能である。
【0125】
また、n側にp型キャリアの閉込め層を設ける場合には、上記p側電子閉込め層のように、活性層・障壁層との間に大きなバンドオフセットを設ける必要はない。これは、素子に電圧を印可すると、電子を閉じ込めるオフセットが小さくなり、Al組成比の大きな窒化物半導体の閉込め層を必要とするが、ホールを閉じ込めるオフセットは殆ど変化しないため、p側電子閉込め層ほどAl組成比を高くする必要がない。具体的には、活性層内で最もn側に配置されたn側障壁層でもって、ホールの閉込め層として機能させることができ、特に膜厚を10nm以上とすることで、優れたホール閉込め機能を有することになる。
【0126】
すなわち、実施例に示すように、n側障壁層2aは、他の障壁層に比べて、膜厚を大きくすることで、キャリアを閉込めの機能を好適に引き出すことができる。これは、多重量子井戸構造において、他の障壁層2b、2cは、井戸層に挟まれた構造であるため、膜厚を大きくするとキャリアが効率よく井戸層に注入されるのを妨げる場合が有るためであり、一方n側障壁層2aは、井戸層に挟まれずに形成されるため、キャリア閉込めの機能を強くすることで、良好な活性層の構造となる。このn側障壁層は、好ましくは活性層内で最も外側に配置された層であることにより、キャリア閉込めが有効に機能し、また膜厚の上限は特に限定されないが、30nm以下とすることであり、多層膜で形成しても良い。単一量子井戸構造においても同様に、n側障壁層2aをキャリア閉込めとして機能させることで、井戸層内にキャリアを好適に注入できる。
【0127】
本発明の窒化物半導体のレーザ素子、端面発光素子では、実施例に示すように、ストライプ状の導波路として、リッジを設けた後、リッジ側面に埋込層となる絶縁膜を形成する。この時、埋込層としては、ここで、第2の保護膜の材料としてはSiO2以外の材料、好ましくはTi、V、Zr、Nb、Hf、Taよりなる群から選択された少なくとも一種の元素を含む酸化物、SiN、BN、SiC、AlNの内の少なくとも一種で形成することが望ましく、その中でもZr、Hfの酸化物、BN、SiCを用いることが特に好ましい。更に、埋込層として、半絶縁性、i型の窒化物半導体、リッジ部とは逆の導電型、実施例においてはn型の窒化物半導体、を用いることができ、AlGaNなどのAlを含む窒化物半導体により屈折率差を設けたり、電流阻止層として機能させたりすることで横方向の光の閉込めが実現され、Inを含む窒化物半導体により光吸収係数差を設けて、レーザ素子の光学特性が実現される。。また、エッチングなどによりリッジを設けずに、B、Alなどのイオンを注入して、非注入領域をストライプ状として、電流が流れる領域とする構造をとることもできる。
【0128】
また、リッジ幅としては、1μm以上3μm以下、好ましくは1.5μm以上2μm以下とすることで、光ディスクシステムの光源として、優れたスポット形状、ビーム形状のレーザ光が得られる。
【0129】
[実施形態2]
次に、本発明の他の実施形態2について説明するが、この実施形態2は、上述した各実施形態と組み合わせて用いることもできる。
【0130】
(活性層)
本発明における活性層としては、好ましくは量子井戸構造を有するものであり、GaN若しくはAlを含む窒化物半導体からなる井戸層を有し、Alを含む窒化物半導体若しくはInとAlを含む窒化物半導体からなる障壁層を有する。また、特に、活性層における波長が、375nm以下の発光を有する短波長に好ましく用いられ、具体的には前記井戸層のバンドギャップエネルギーが波長375nm以下であるものである。このとき、活性層に用いられる窒化物半導体は、ノンドープ、n型不純物ドープ、p型不純物ドープのいずれでもよいが、好ましくはノンドープ若しくはアンドープ、又はn型不純物ドープの窒化物半導体を活性層内に設けることで、レーザ素子、発光素子などの窒化物半導体素子において、高出力化が図れる。好ましくは、井戸層をアンドープとし、障壁層をn型不純物ドープとすることで、レーザ素子、発光素子が高出力で発光効率の高い素子となる。ここで、量子井戸構造としては、多重量子井戸構造、単一量子井戸構造のどちらでも良い。好ましくは、多重量子井戸構造とすることで、出力の向上、発振閾値の低下などが図ることが可能となる。活性層の量子井戸構造としては、前記井戸層、障壁層を少なくとも1層ずつ積層したものを用いることができる。この時、量子井戸構造である場合に、井戸層数としては、1以上4以下とすることで、例えばレーザ素子、発光素子においては、閾値電流を低くすることが可能となり好ましく、更に好ましくは、井戸層数を2又は3とした多重量子井戸構造とすることで、高出力のレーザ素子、発光素子が得られる傾向にある。
【0131】
(井戸層)
本発明における井戸層としては、GaN若しくはAlを含む窒化物半導体を用いることが好ましく、該GaN、Alを含む窒化物半導体からなる井戸層を活性層内に少なくとも1層有することであり、多重量子井戸構造においては、好ましくは、すべての井戸層が上記窒化物半導体からなる井戸層とすることで、短波長化され、高出力、高効率の発光素子、レーザ素子が得られる。発光スペクトルがほぼ単一ピークの場合は、この構成が好ましいが、一方で複数のピークを有する多色発光素子においては、前記GaN若しくはAlを含む窒化物半導体からなる井戸層を少なくとも1層有することで、短波長域の発光ピークを得ることができ、様々な発光色の発光素子、もしくは、その短波長域で励起される蛍光体と組み合わせた発光装置に得ることが可能である。この時、多色発光の素子とする場合に、井戸層の具体的な組成としては、InαGa1−αN(0<α≦1)を用いることで、紫外域から可視光域までの良好な発光・発振を可能とする井戸層となる。この時、In混晶比により、発光波長を決めることができる。
【0132】
本発明のAlを含む窒化物半導体からなる井戸層は、従来のInGaNの井戸層では困難な波長域、具体的には、GaNのバンドギャップエネルギーである波長365nm付近、若しくはそれより短い波長を得るものであり、特に波長375m以下の発光・発振が可能なバンドギャップエネルギーを有する井戸層である。これは、従来のInGaNの井戸層では、GaNのバンドギャップエネルギーの波長365nm付近では、例えば370nmでは、In組成比が1%以下程度に調整する必要があり、このようにIn組成比が極端に小さくなると、発光効率が低下し、十分な出力の発光素子、レーザ素子が得られがたく、またIn組成比が1%以下では、その成長を制御することも困難である。本発明では、好ましくはGaN若しくはAlを含む窒化物半導体からなる井戸層を用いていることで、従来効率的な発光が困難であった375nmの波長域において、Al組成比xを大きくすることでバンドギャップエネルギーを大きくし、短波長のレーザ素子に用いることが可能である。
【0133】
ここで、井戸層に用いられるAlを含む窒化物半導体の具体的な組成としては、AlInGa1−x−yN(0<x≦1、0≦y≦1、x+y<1)で表される組成であり、好ましい組成としては、AlGa1−xN(0<x≦1)であり、上記井戸層がGaNである場合を含めて、本発明での好ましい井戸層の組成は、AlGa1−xN(0≦x≦1)で表される窒化物半導体を用いることである。これは、窒化物半導体の成長に用いられているMOCVD等の気相成長法では、構成元素が多くなると、構成元素間での反応が発生しやすくなり、このため、上述したようにB、P、As、Sb等を用いて、5元混晶以上の多元化も可能であるが、好ましくはAlInGaNの4元混晶とすることで、この元素同士の反応を防いで、良好な結晶性で成長させる。さらに、上記組成式AlInGa1−x−yNの4元混晶にあっては、成長時にAlとInとの反応により結晶性悪化の問題となる傾向があるために、好ましくはAlGa1−xNとすることでさらに良好な結晶性での井戸層の形成が可能となり、これらAlを含む窒化物半導体では、Al混晶比を大きくすることで上記短波長域(λ≦375nm)において発光、発振が可能な素子とできる。ここで、Al組成比xは、特に限定されず、Al組成比を変化させることにより、所望のバンドギャップエネルギー、波長を得ることである。
【0134】
本実施形態における量子井戸構造の活性層は、上記2元、3元混晶のAlGa1−xN(0≦x≦1)からなる井戸層と、4元混晶のAlInGa1−u−vN(0<u<1、0<v<1、u+v<1)若しくは3元混晶のAlGa1−uN(0<u<1)からなる障壁層と、を1対以上有することが好ましい。
【0135】
具体的には、図12(a)(b)および図14(a)(b)の活性層12として示すように、AlGaNの井戸層1を1層以上、InAlGaN若しくはAlGaNの障壁層2を1層以上有することであり、これにより内部量子効率、発光効率に優れた井戸層となり、さらにAlを含む窒化物半導体により、そのAl組成比を調整することで、図12(a)に示すように、375nm以下の短波長域での発光が可能な井戸層とできる。また、その井戸層1よりも大きなバンドギャップエネルギーの障壁層2を、InAlGaN若しくはAlGaNとすることで、上記短波長域においても、優れた障壁層を提供できる。
【0136】
(活性層と隣接層)
本実施形態2において、活性層を挟む第1導電型層、第2導電型層の積層構造で、特に、活性層の近くに配置される層、具体的には活性層に接して隣接して配置される層と、活性層との関係について、以下詳しく述べる。
【0137】
従来提案されているレーザ素子構造は、図13(a)(b)にそのバンド構造を、図16に、図2(a)の積層構造におけるAl混晶比の変化を示しすように、活性層を挟む光ガイド層26,29、更にその両外側を挟むクラッド層25,30の順にバンドギャップエネルギーが大きくなる構造が採られてきた。例えば、波長410nmのAlGaN/InGaN系窒化物半導体レーザ素子では、図16において、光ガイド層26、29のAl組成比を0の基点とし、それよりもバンドギャップエネルギーの小さい活性層においては、In混晶比に置き換えることで、従来のレーザ素子のバンドギャップ構造となる。また、従来の紫外域の短波長におけるAlGaN系半導体レーザ素子では、図16に示すように、活性層の外側の光ガイド層26,39、更にその外側のクラッド層の順に、Al混晶比を大きくし、それにより図13(a)(b)に示すように活性層から外側に向かってバンドギャップエネルギーを大きくした構造が提案されてきた。また、従来の紫外域発光のAlGaN系窒化物半導体発光素子においては、上記レーザ素子において、クラッド層、若しくは光ガイド層を除いた構造が提案されており、具体的には、図16に示す光ガイド層26,29、クラッド層25,30を、キャリア閉込め層に用いた構造、すなわち、発光層(活性層27)よりもAl組成比を大きくし、バンドギャップエネルギーの大きな層を形成してきた。しかしながら、このように、Al混晶比を活性層の外側に向かって、順に大きくしていく構造では、結晶性の悪化、特にクラックの発生が深刻な問題を生むものとなっていた。
【0138】
本発明では、図2(a)に示すように、活性層27を挟む両光ガイド層26,29が、活性層内の障壁層2よりもバンドギャップエネルギーを小さくし、Al混晶比を小さくした構造とすることで、上述した従来の構造におけるクラックの発生を好適に抑制し、室温において連続発振可能な構造とできる。具体的には、第1導電型層内に、第1の窒化物半導体層が設けられ、該第1の窒化物半導体層を活性層内の障壁層よりもバンドギャップエネルギーが小さくなるように、すなわち、AlGaN系活性層においては、障壁層のAl混晶比より小さい第1の窒化物半導体層のAl混晶比を小さくすることである。この時、井戸層と第1の窒化物半導体層との関係は、活性層の井戸層において、発光再結合させるために、井戸層よりも第1の窒化物半導体層のバンドギャップエネルギーを大きくする。また、この関係は、第2導電型層にも適用でき、具体的には、第2導電型層内の第2の窒化物半導体層を、活性層中の障壁層よりもバンドギャップエネルギーを小さく、またAl混晶比を小さくすることである。これら障壁層よりもAl混晶比の小さい第1の窒化物半導体層(第2の窒化物半導体層)を用いて、活性層の近く、好ましくは隣接して配置することで、良好なキャリア閉込め、及び結晶性の良好な活性層が実現でき、並びに、これらの層を光ガイド層に用いることで、短波長域において好適な導波路構造が形成される。以下このことについて、詳しく説明する。
【0139】
本実施形態2における窒化物半導体素子は、図2(a)および図12(a)に示すように、第1導電型層11、第2導電型層13との間に活性層12が設けられた構造で、具体的な積層構造としては、図に示すように、第1導電型層11として、コンタクト層23、下部クラッド層25、下部光ガイド層26が順に積層され、その上に活性層27、活性層の上に、第2導電型層13として、キャリア閉込め層28、上部光ガイド層29、上部クラッド層30、コンタクト層24が順に積層された構造を有している。ここで、キャリア閉込め層、光ガイド層、クラッド層、コンタクト層、の互いに隣り合う層は、図に示すように接する場合に限定されず、各層間に別の層を設けて離間されていても良い。
【0140】
ここで、図2(a)は本発明における導波路構造を有する素子の積層構造を示す断面図であり、図12(a)(b)は活性層及びそれを挟んで配置された活性層の近くの層の積層構造40と、その積層構造40に対応したバイアス状態のバンド構造41、特に第1導電型層11をn型層側、第2導電型層13をp型層側とした場合を示すものである。図13(a)(b)および図14(a)(b)のバンド構造41についても図12(b)と同様であり、図中の白丸(白抜きの円)はホールを、黒丸(黒で塗りつぶした円)は電子を示し、矢印は、各キャリアの動きを模式的に示すものであり、実線は導電帯E、価電子帯Eを示し、点線は擬フェルミ準位Eを示している。図12(b)からわかるように、井戸層1を挟む障壁層2a,2bよりも、バンドギャップエネルギーの小さい第1の窒化物半導体層26、第2の窒化物半導体層29、が活性層を挟んで配置され、上部・下部光ガイド層として用いられている。
【0141】
ここでは、第2導電型層(p型層側)内に、活性層の近く、好ましくは隣接して、キャリア閉込め層28が設けられ、第2の窒化物半導体層29と活性層27との間に設けられている。すなわち、活性層内の障壁層2aによりホールが井戸層内に閉じ込められ、電子は障壁層2b及び/又は活性層27に隣接するキャリア閉込め層28により閉じ込められた構造となっている。従来の構造である図13(a)(b)では、キャリア閉込めるためのオフセットが第1導電型層中の層26と活性層27、障壁層2aとの間に設けられ、活性層27、障壁層2aよりもバンドギャップエネルギーの大きな窒化物半導体層若しくは光ガイド層26が活性層に隣接して設けられて、キャリア閉込めとして機能するが、活性層27、障壁層2aに隣接する第1の窒化物半導体層26では、活性層にキャリア閉込める構造となっておらず、最も第1導電型層側に配置された第1の障壁層2aでもって、井戸層1a内に閉じ込められる。
【0142】
以下、井戸層、障壁層、及び第1の窒化物半導体層(第2の窒化物半導体層)の関係について説明する。本発明の窒化物半導体素子は、上述したように第1導電型層、活性層、第2導電型層とが積層させれた構造であるが、ここでは、第1導電型層をn型の窒化物半導体を有するn型層、第2導電型層をp型の窒化物半導体を有するp型層として説明する。上述したように、量子井戸構造の活性層において、n型層側に最も近くに配置されたn側障壁層を第1の障壁層、一方で、p型層側に最も近くに配置されたp側障壁層を第2の障壁層として説明する。ここで、本発明では、好ましくはn側障壁層の近くで、第1導電型層(n型層)内に設けられた第1の窒化物半導体層との関係において、第1の障壁層より第1の窒化物半導体層がバンドギャップエネルギーが大きくすることであるから、少なくとも、第1の障壁層と井戸層を有する活性層とする。この時、第1の障壁層は、井戸層よりもn型層側に設けられる必要がある。このため、本発明においては、活性層は少なくとも井戸層と、井戸層よりもn型層側に設けられた第1の障壁層を有する。好ましくは、井戸層よりもp型層側に設けられた第2の障壁層(p側障壁層)を設けて、少なくとも第1の障壁層と、第2の障壁層とで井戸層を挟み込む構造が設けられていることが好ましい。なぜなら、井戸層を挟んで設けられた第1の障壁層と、第2の障壁層は、それぞれ最もn型層の近く、最もp型層の近くに設けられた障壁層であるため、異なる機能を有するためである。
【0143】
第1の障壁層は、活性層中で最もn型層の近くに配置された障壁層であり、更に好ましくは、活性層内で最も外側で、最もn型層の近くに設けられることであり、更に好ましくは、n型層、第1の窒化物半導体層に接して、設けられることである。これは、井戸層を介して、n型層に離間して第1の障壁層が設けられると、例えば図13(b)に示す形態では、第1の障壁層2aよりもn型層側にある井戸層では、キャリアの注入があり、n型層側へオーバーフローするキャリアが発生し、一方で第1の障壁層を厚膜としてn型層側へのオーバーフローを抑えると、それよりもn型層側にある井戸層において、キャリアが注入されず、発光再結合などの井戸層としての機能を損なうものとなるためである。逆に、第1の障壁層は、第1の障壁層と、p型層とで挟まれる活性層内の井戸層へキャリアを閉じ込めるための障壁として機能し、また、第2の障壁層も同様に第2の障壁層とn型層間の井戸層にキャリアを閉込めとして機能する一方で、井戸層に挟まれた障壁層、例えば図14(a)(b)の障壁層2c、2dは、各井戸層にキャリアを分散して閉じ込める機能を有し、第1の障壁層、第2の障壁層と井戸層の間の障壁層とでは異なる機能を有するものとなる。そのため、第1の障壁層の機能を最大限活用するには、活性層内の最も外側に第1の障壁層、第2の障壁層を配置することで、活性層内へキャリアを好適に閉じ込めることが可能となる。
【0144】
また、第2の障壁層(第2のp側障壁層)については、これを設ける代わりに、後述するキャリア閉込め層を活性層の外部、好ましくは活性層に接して、第2導電型層(p型層)中に設けることで、キャリアを活性層中の井戸層に閉じ込めることもできる。好ましくは、このキャリア閉込め層28に加えて、活性層内に、第2の障壁層を設けることで、窒化物半導体において、ホールに比べて、電子は拡散しやすい性質にあり、キャリア拡散長も大きい傾向にあるが、これを改善して、活性層内、特に井戸層内に好適にキャリアを閉込め、注入できる構造となる。ここで、第2の障壁層は、第1の障壁層と同様に、井戸層よりもp型層(第2導電型層)側に配置され、更に好ましくは最もp型層の近くに配置された障壁層とし、最も好ましくは、活性層において最も外側で、p型層側に配置させることで、好適なキャリア注入が可能となる。また、キャリア閉込め層との関係から、キャリア閉込め層と離間して、配置されせることもできるが、好ましくは、p型層中のキャリア閉込め層28に接して第2の障壁層を形成することで、キャリア閉込め層に対して、補助的に、第2の障壁層によるキャリアの閉込め、井戸層への注入を可能とでき好ましい。
【0145】
また、上述した第1の障壁層、第2の障壁層のように、活性層内で井戸層よりも、第1導電型層、第2導電型層の近くに配置され、活性層中の障壁層の中でも最も外側の障壁層以外の障壁層は、例えば、図14(a)(b)に示すように、井戸層1aと井戸層1b、井戸層1bと井戸層1cとに挟まれた障壁層2c、2dを設けることもできる。特に多重量子井戸構造においては、このような井戸層に挟まれた障壁層を用いることで、複数存在する井戸層において、キャリアが好適に各井戸層に分配され、注入・閉込められる。すなわち、上記第1の障壁層2a、第2の障壁層2bと異なる機能を有するものであり、第1の障壁層、第2の障壁層よりも膜厚を薄くすることしても、井戸層に挟まれた障壁層の機能を損なわない量子井戸構造とでき、活性層全体の膜厚を抑えて、Vfの上昇を抑えることができ好ましい。また、図14(a)に示すように、第1の障壁層2a、第2の障壁層2bよりも、井戸層に挟まれた障壁層2cとすると、各導電型層から注入されたキャリアに対し、井戸層間に介在する障壁の大きなこの障壁層2cにより、隣接する井戸層に直接的に好適に閉じ込めて、注入させることができ好ましい。また図14(b)に示すように、第1の障壁層2a、第2の障壁層2bよりも、井戸層に挟まれた障壁層2c、2dとすると、これら内部に位置する障壁層での閉込め機能を弱めて、外部に位置する第1の障壁層2a、第2の障壁層2bをこれら障壁層に比較して強めることで、井戸層数が多くなっても、外部の障壁層が大きな障壁を形成することから、各井戸層へのキャリアの注入・閉込めを好適に実現しうる構造とできる。
【0146】
以上説明したように、外部の障壁層である第1の障壁層2a、第2の障壁層2cは、内部の井戸層に挟まれた障壁層と異なる機能を有することから、内部の障壁層と外部の障壁層との間で、膜厚、バンドギャップエネルギー、組成を異なるものとした構成として、所望の素子特性の素子を得ることが可能となる。また、内部障壁層が図14(b)に示すように、複数有する活性層では、各内部障壁層間で、異なる組成、バンドギャップエネルギー、膜厚とすることも可能であり、ほぼ同一の組成、バンドギャップエネルギー、膜厚とすることもでき、好ましくは、ほぼ同一の組成、バンドギャップエネルギー、膜厚とすることで、内部障壁層でほぼ均等な機能を付与することができ、各井戸層へのキャリアの注入が好適になされる。
【0147】
また、上述したように、各障壁層への不純物ドープとしては、最もn型層側に位置する第1の障壁層2bには、n型不純物をドープすることが上述した理由により好ましく、最もp型層側に配置される第2の障壁層には、n型不純物をドープするよりも、実質的n型不純物がドープされていない状態、具体的には、5×1016/cm以下の不純物濃度とすることが好ましい。これは、窒化物半導体に用いられるp型不純物は、拡散性の高い不純物が多く、例えば良く用いられるMg、Znなどは、積層構造内を広く拡散する傾向にあり、障壁層にp型不純物がドープされるとそれに隣接する井戸層への拡散が起こり、井戸層でのキャリアの発光再結合を阻害する傾向にあるためである。また、p型層側に近い第2の障壁層をアンドープとすることで、p型層からの不純物の拡散をその障壁層内に留める作用が付与され、井戸層へのさらなる不純物の拡散を防止でき好ましい。特に、キャリア閉込め層28をp型層中に有し、第2の障壁層に近接して、好ましくは第2の障壁層に接して配置される場合には、キャリア閉込め層は比較的高抵抗な層となる傾向にあるため、高濃度でp型不純物がドープされる傾向にあり、この不純物の拡散が問題となるが、第2の障壁層をアンドープとすることでこの拡散による井戸層の機能低下を防ぐことができ好ましい。また、キャリア閉込め層近傍において、p−n接合が形成され、図12(b),図14(a)等に示すように、キャリア閉込め層では、素子構造内において、最も大きなAl混晶比で形成される傾向にあることから、高Al混晶比の窒化物半導体による大きな圧電がかかり、井戸層に悪影響を及ぼす傾向にあるが、キャリア閉込め層よりもAl混晶比の小さい第2の障壁層をアンドープで形成することで、井戸層への悪影響を抑制できる傾向にあり、好ましい。
【0148】
また、第1の障壁層、第2の障壁層との比較において、第1の障壁層を第2の障壁層よりも大きな膜厚とする場合には、第2導電型層中にキャリア閉込め層28を設けることで、第2の障壁層による活性層内へのキャリア閉込め機能を低下させ、すなわち、上記内部障壁層に近い働きをする障壁層とし、キャリア閉込め層28でもって、主に活性層へのキャリア閉込めを実現する構造とでき、活性層全体の膜厚が小さくできるため、Vf低下に寄与でき、また窒化物半導体においては、ホールの拡散長が、電子の拡散長よりも十分に小さいため、ホールの注入口となる第1の障壁層の膜厚が小さいことで、井戸層へのキャリア注入が効率よくなされ好ましい。一方で、p型不純物がドープされたキャリア閉込め層28を有する場合、若しくは、活性層の近く、好ましくは活性層に接して配置された第2の窒化物半導体層29が、第1の障壁層よりも大きなバンドギャップエネルギーを有する場合には、Al混晶比の高い層が活性層に隣接して設けられることとなる。このため、Al混晶比の高い層は高抵抗であることから、この層では素子動作中に大きな発熱を生み、それが井戸層に接近していると、井戸層への熱による悪影響が発生し、素子特性を低下させる傾向にある。また、このようなAl混晶比の大きな層と活性層との界面、若しくはAl混晶比の大きい層の活性層側界面、若しくはその近傍において、図12(b),図14(a)(b)に示すように、p−n接合が形成され、その近くに活性層の井戸層が設けられていると、井戸層での発光再結合において、バイアスが悪影響を及ぼす傾向にある。すなわち、第1の障壁層は、井戸層とAl高混晶層との間をあけて、上記Al高混晶層による悪影響が井戸層に及ばないように離間させるスペーサーとして機能させると好ましい。この場合、第1の障壁層の具体的な膜厚としては、少なくとも20Å以上とすることで上記スペーサーの機能を発現でき、好ましくは、40Å以上の膜厚で井戸層への影響を抑えた活性層とでき好ましい。
【0149】
本発明の第1の光ガイド層26、第2の光ガイド層29としては、Alを含む窒化物半導体が用いられ、また、図12(b),図14(a)(b)のバンド構造41として示すように、少なくとも量子井戸構造の活性層27内の井戸層1よりも大きなバンドギャップエネルギーとし、また活性層27と光ガイド層26,29との屈折率差を小さくして、導波路構造とする。また、光ガイド層は、図12(b),図14(a)(b)に示すように、障壁層よりもバンドギャップエネルギーが小さくても良く、図13(a)(b)に示すように、光ガイド層の一部が障壁層よりも大きくても良い。この場合、第1の障壁層を除く光ガイド層、若しくはその一部が障壁層よりもバンドギャップエネルギーを大きくするか、若しくは図14(a)(b)に示すように、内部障壁層、すなわち活性層中の障壁層の一部より光ガイド層のバンドギャップエネルギーを大きくすることができる。
【0150】
すなわち、好ましくは、光ガイド層が、第1の障壁層よりもバンドギャップエネルギーの小さい第1の窒化物半導体層を有すること、さらに好ましくは第1の窒化物半導体層からなる光ガイド層とすること、若しくは第1の窒化物半導体層以外の層を有する多層膜の光ガイド層において、光ガイド層全体を第1の障壁層よりもバンドギャップエネルギーより小さくすることで、上記第1の障壁層のキャリア閉込め層としての機能を好適に発現でき、更に、Al混晶比の小さい光ガイド層を形成することで、例えば、それにより下部光ガイド層が形成されると、Alを含む窒化物半導体による結晶性悪化を抑えて、活性層を形成でき、発光素子、レーザ素子特性に優れた素子を得ることができる。また、第1の窒化物半導体層を、第1導電型層中の光ガイド層を設けるのと同様に、第2導電型層に光ガイド層を設ける場合において、上述したように、第2の障壁層よりもバンドギャップエネルギーの小さい第2の窒化物半導体層を設けることもでき、この時の作用についても第1の窒化物半導体層と同様である。
【0151】
更に、第2の窒化物半導体層が上部光ガイド層に設けられる場合において、光ガイド層の組成として具体的には、InαAlβGa1−α−βN(0≦α、0<β、α+β≦1)が用いられる。好ましくは、Inを含まない窒化物半導体とすること、すなわち、In組成比が0の窒化物半導体とすることで、Inを含むことによる光の吸収を防ぎ、光の損失を低く抑えた導波路とできる。さらに、好ましくはAlβGa1−βN(0≦β≦1)を用いることで、紫外域から赤色域までの幅広い波長域に適用できる導波路となる。特に上記波長380nm以下の短波長域の光を導波させるには、好ましくはAlβGa1−βN(0<β≦1)が用いられる。これは、GaNでは、上記短波長域の光を吸収し、それが損失となって、閾値電流密度、電流−光出力特性を悪化させるからである。特に、光ガイド層のAl組成比βは、光ガイド層のバンドギャップエネルギーE、活性層の発光の光子エネルギーEに比べて、0.05eV以上大きくなるように(E−E≧0.05eV)、調整することが好ましい。これにより、上記短波長域において、ガイド層による光の損失が抑えられた導波路となるからであり、更に好ましくはE−E≧0.1とすることで、更に優れた導波路が形成される。
【0152】
第1窒化物半導体層が光ガイド層である場合、超格子構造でも単一膜で形成しても構わない。単一膜で形成することで、超格子とする場合と比べて、電流が流れやすくなり、Vfを下げることができる。その際、単一膜の膜厚は、少なくとも量子効果がない程度の膜厚で、好ましくは第1の障壁層(第2の窒化物半導体層層の場合は、第2の障壁層)よりも大きい膜厚で、より好ましくは300Å以上の膜厚で形成することが好ましい。
【0153】
一方、光ガイド層を超格子とする場合、超格子を構成する全ての層にAlを含むことが好ましい。あるいは超格子を構成する少なくとも1つの層がAlを含み、この層のバンドギャップエネルギーが活性層の外部障壁層より小さく、かつ活性層の内部障壁層より大きいことが好ましい。これにより活性層内でのキャリア閉じ込め機能が充分に発揮できる。
【0154】
第1導電型層と第1の障壁層との界面は、格子不整合性であることが好ましい。具体的には、第1の障壁層がAlInGa1−u−vN(0<u<1、0<v<1、u+v<1)から成るとき、第1の窒化物半導体層はAlGa1− N(0≦x<1)とする。第1導電型層を第1の障壁層と格子整合させるべく、上記4元混晶の窒化物半導体とすると、Inを混晶させることになるが、Inを入れた4元混晶の窒化物半導体は例えば300Å以上の膜厚を形成しにくい。よって、第1導電型層をInを含まない格子不整合性のAlGaNとすることが好ましい。
【0155】
[実施形態3]
次に、本発明のさらに他の実施形態3として、より具体的な素子構造を例示する。
【0156】
(実施形態3−1)
活性層(AlGaN障壁層/GaN井戸層/AlGaN障壁層)SCH構造
p−GaNコンタクト層
p−Al0.1Ga0.9N/Al0.05Ga0.95N超格子クラッド層(上部クラッド層30)
p−Al0.04Ga0.96Nガイド層(上部ガイド層29)
p−Al0.3Ga0.7N(キャリア閉込め層28)
活性層(Al0.15Ga0.85N障壁層(第1の障壁層)(100Å)/GaN井戸層(100Å)/Al0.15Ga0.85N障壁層(第2の障壁層)(45Å))
n−Al0.04Ga0.96Nガイド層(下部ガイド層26)
n−Al0.1Ga0.9N/Al0.05Ga0.95N超格子クラッド層(下部クラッド層25)
n−InGaNクラック防止層
n−Al0.020.03GaN(Siドープ:キャリア濃度 2×1018 cm−3
基板(欠陥密度5×10/cm:ELOG基板上にHVPE法でGaNを結晶成長させた基板)
【0157】
(実施形態3−2)
活性層(AlInGaN障壁層/GaN井戸層/AlInGaN障壁層)SCH構造
実施形態3−1において、活性層を以下に示すものとし、その他は同様な構造とする。
活性層(Al0.15In0.03Ga0.82N障壁層(第1の障壁層)(100Å)/GaN井戸層(100Å)/Al0.15In0.03Ga0.82N障壁層(第2の障壁層)(45Å))
【0158】
(実施形態3−3)
活性層(AlGaN障壁層/AlGaN井戸層/AlGaN障壁層)SCH構造(発振波長360nm)
実施形態3−1において、活性層を以下に示すものとし、その他は同様な構造とする。
活性層(Al0.20Ga0.80N障壁層(第1の障壁層)(100Å)/Al0.05Ga0.95N井戸層(100Å)/Al0.20Ga0.80N障壁層(第2の障壁層)(45Å))
【0159】
(実施形態3−4)
活性層(AlInGaN障壁層/AlGaN井戸層/AlInGaN障壁層)SCH構造(発振波長360nm)
実施形態3−1において、活性層を以下に示すものとし、その他は同様な構造とする。
活性層(Al0.15In0.03Ga0.82N障壁層(第1の障壁層)(100Å)/GaN井戸層(100Å)/Al0.15In0.03Ga0.82N障壁層(第2の障壁層)(45Å))
【0160】
(実施形態3−5)
活性層(AlGaN障壁層/GaN井戸層/AlGaN障壁層)GRIN構造p−GaNコンタクト層
実施形態3−1において、光ガイド層を用いずに、クラッド層を以下に示すものとし、その他は同様な構造とする。
p−AlGa1−aN/AlGa1−bN超格子クラッド層(上部クラッド層30)
n−AlGa1−cN/AlGa1−dN超格子クラッド層(下部クラッド層25)
【0161】
(実施形態3−6)
活性層(AlInGaN障壁層/GaN井戸層/AlInGaN障壁層)GRIN構造
実施形態3−1において、光ガイド層を用いずに、クラッド層と活性層を以下に示すものとし、その他は同様な構造とする。
p−AlGa1−aN/AlGa1−bN超格子クラッド層(上部クラッド層30)
活性層(Al0.15In0.03Ga0.82N障壁層(第1の障壁層)(45Å)/GaN井戸層(100Å)/Al0.15In0.03Ga0.82N障壁層(第2の障壁層)(45Å))
n−AlGa1−cN/AlGa1−dN超格子クラッド層(下部クラッド層25)
【0162】
(実施形態3−7)
活性層(AlGaN障壁層/AlGaN井戸層/AlGaN障壁層)GRIN構造(発振波長360nm)
実施形態3−1において、光ガイド層を用いずに、クラッド層と活性層を以下に示すものとし、その他は同様な構造とする。
p−AlGa1−aN/AlGa1−bN超格子クラッド層(上部クラッド層30)
活性層(Al0.20Ga0.80N障壁層(第1の障壁層)(100Å)/Al0.05Ga0.95N井戸層(100Å)/Al0.20Ga0.80N障壁層(第2の障壁層)(45Å))
n−AlGa1−cN/AlGa1−dN超格子クラッド層(下部クラッド層25)
【0163】
(実施形態3−8)
活性層(AlInGaN障壁層/AlGaN井戸層/AlInGaN障壁層)GRIN構造(発振波長360nm)
実施形態3−1において、光ガイド層を用いずに、クラッド層と活性層を以下に示すものとし、その他は同様な構造とする。
p−AlGa1−eN組成傾斜クラッド層(上部クラッド層30)
活性層(Al0.15In0.03Ga0.82N障壁層(第1の障壁層)(100Å)/GaN井戸層(100Å)/Al0.15In0.03Ga0.82N障壁層(第2の障壁層)(45Å))
n−AlGa1−fN組成傾斜クラッド層(下部クラッド層25)
【0164】
(実施形態3−9)
活性層(AlGaN障壁層/GaN井戸層/AlGaN障壁層)GRIN−SCH構造
実施形態3−1において、光ガイド層を以下に示すものとし、その他は同様な構造とする。
p−AlGa1−gN組成傾斜ガイド層(上部ガイド層29)
活性層(Al0.15Ga0.85N障壁層(第1の障壁層)(100Å)/GaN井戸層(100Å)/Al0.15Ga0.85N障壁層(第2の障壁層)(45Å))
n−AlGai―hN組成傾斜ガイド層(下部ガイド層26)
【0165】
(実施形態3−10)
活性層(AlInGaN障壁層/GaN井戸層/AlInGaN障壁層)GRIN−SCH構造(発振波長360nm)
実施形態3−1において、光ガイド層と活性層を以下に示すものとし、その他は同様な構造とする。
p−AlGa1−gN組成傾斜ガイド層(上部ガイド層29)
活性層(Al0.15In0.03Ga0.82N障壁層(第1の障壁層)(100Å)/GaN井戸層(100Å)/Al0.15In0.03Ga0.82N障壁層(第2の障壁層)(45Å))
n−AlGai―hN組成傾斜ガイド層(下部ガイド層26)
【0166】
(実施形態3−11)
活性層(AlGaN障壁層/AlGaN井戸層/AlGaN障壁層)GRIN−SCH構造(発振波長360nm)
実施形態3−1において、光ガイド層と活性層を以下に示すものとし、その他は同様な構造とする。
p−AlGa1−gN組成傾斜ガイド層(上部ガイド層29)
活性層(Al0.20Ga0.80N障壁層(第1の障壁層)(100Å)/Al0.05Ga0.95N井戸層(100Å)/Al0.20Ga0.80N障壁層(第2の障壁層)(45Å))
n−AlGai―hN組成傾斜ガイド層(下部ガイド層26)
【0167】
(実施形態3−12)
活性層(AlInGaN障壁層/AlGaN井戸層/AlInGaN障壁層)GRIN−SCH構造(発振波長360nm)
実施形態3−1において、光ガイド層と活性層を以下に示すものとし、その他は同様な構造とする。
p−AlGa1−gN組成傾斜ガイド層(上部ガイド層29)
活性層(Al0.15In0.03Ga0.82N障壁層(第1の障壁層)(100Å)/GaN井戸層(100Å)/Al0.15In0.03Ga0.82N障壁層(第2の障壁層)(45Å))
p−AlGa1−gN組成傾斜ガイド層(下部ガイド層26)
【0168】
上記実施形態3−1〜12の特徴について以下にそれぞれ示す。
【0169】
実施形態3−1は、活性層を上部、下部クラッド層で挟み、各クラッド層と活性層の間には、上部光ガイド層と下部光ガイド層が設けられ、クラッド層は、一方に変調ドープした超格子構造で、各光ガイド層は、第1の障壁層、第2の障壁層よりもバンドギャップエネルギーが小さく、また、Al混晶比が小さいものであり、障壁層はAlGaNの3元混晶で形成されている。
【0170】
実施形態3−2は、実施形態3−1と異なる点は、第1の障壁層、第2の障壁層をAlInGaNの4元混晶で形成しているところにある。
【0171】
実施形態3−3は、実施形態3−1、3−2と異なる点は、井戸層をAlGaNの3元混晶としているところである。実施形態3−4は、実施形態3−1、2、3と異なる点は、井戸層をAlGaNの3元混晶とし、障壁層をAlInGaNの4元混晶としているところである。
【0172】
実施形態3−5は、実施形態3−1,2,3,4と異なる点は、上部、下部クラッド層を一方の層にドープされた変調ドープの超格子クラッド層とし、一方の層のAl組成比a,cを活性層に近づくにつれて小さくし、活性層近傍(活性層からの距離が0.1μm以下の領域)のバンドギャップエネルギーEがEよりも0.05eV以上となるようにし、一方でこの近傍において、第1の障壁層、第2の障壁層よりもAl混晶比、バンドギャップエネルギーを小さくする。この時、Al組成比a>b、c>dである。
【0173】
実施形態3−8は、実施形態3−1〜7と異なる点は、上部、下部クラッド層としてAlGaN層において、Al混晶比e,fを活性層に近づくにつれて小さくし、活性層近傍(活性層からの距離が0.1μm以下の領域)のバンドギャップエネルギーEがEよりも0.05eV以上となるようにし、一方でこの近傍において、第1の障壁層、第2の障壁層よりもAl混晶比、バンドギャップエネルギーを小さくする。
【0174】
実施形態3−9は、実施形態3−1〜8と異なる点は、ガイド層を組成傾斜構造とし、Al混晶比g,hを活性層に近づくにつれて小さくし、そのガイド層の一部が、第1の障壁層、第2の障壁層よりもAl混晶比、バンドギャップエネルギーが小さくなるようにする。
【0175】
【実施例】
[実施例1]
以下、実施例として、図1に示すようなレーザ素子構造、また図1に示す導波路構造について、窒化物半導体を用いたレーザ素子について、説明する。ここでは、第1導電型層としてn型の窒化物半導体を、第2導電型層としてp型の窒化物半導体を形成しているが、本発明はこれに限らず、逆に第1導電型層をp型に、第2導電型層をn型とした構造でも良い。
【0176】
ここで、本実施例では、GaN基板を用いているが、基板として窒化物半導体と異なる異種基板を用いても良い。異種基板としては、例えば、C面、R面、及びA面のいずれかを主面とするサファイア、スピネル(MgA124のような絶縁性基板、SiC(6H、4H、3Cを含む)、ZnS、ZnO、GaAs、Si、及び窒化物半導体と格子整合する酸化物基板等、窒化物半導体を成長させることが可能で従来から知られており、窒化物半導体と異なる基板材料を用いることができる。好ましい異種基板としては、サファイア、スピネルが挙げられる。また、異種基板は、オフアングルしていてもよく、この場合ステップ状にオフアングルしたものを用いると窒化ガリウムからなる下地層の成長が結晶性よく成長させるため好ましい。更に、異種基板を用いる場合には、異種基板上に素子構造形成前の下地層となる窒化物半導体を成長させた後、異種基板を研磨などの方法により除去して、窒化物半導体の単体基板として素子構造を形成してもよく、また、素子構造形成後に、異種基板を除去する方法でも良い。GaN基板の他に、AlN等の窒化物半導体の基板を用いても良い。
【0177】
異種基板を用いる場合には、バッファ層(低温成長層)、窒化物半導体(好ましくはGaN)からなる下地層を介して、素子構造を形成すること、窒化物半導体の成長が良好なものとなる。また、異種基板上に設ける下地層(成長基板)として、その他に、ELOG(Epitaxially Laterally Overgrowth)成長させた窒化物半導体を用いると結晶性が良好な成長基板が得られる。ELOG層の具体例としては、異種基板上に、窒化物半導体層を成長させ、その表面に窒化物半導体の成長が困難な保護膜を設けるなどして形成したマスク領域と、窒化物半導体を成長させる非マスク領域を、ストライプ状に設け、その非マスク領域から窒化物半導体を成長させることで、膜厚方向への成長に加えて、横方向への成長が成されることにより、マスク領域にも窒化物半導体が成長して成膜された層などがある。その他の形態では、異種基板上に成長させた窒化物半導体層に開口部を設け、その開口部側面から横方向への成長がなされて、成膜される層でもよい。
【0178】
(基板101)
基板として、異種基板に成長させた窒化物半導体、本実施例ではGaN、を厚膜(100μm)で成長させた後、異種基板を除去して、80μmのGaNからなる窒化物半導体基板を用いる。基板の詳しい形成方法は、以下の通りである。2インチφ、C面を主面とするサファイアよりなる異種基板をMOVPE反応容器内にセットし、温度を500℃にして、トリメチルガリウム(TMG)、アンモニア(NH3)を用い、GaNよりなる低温成長バッファ層を200Åの膜厚で成長させ、その後、温度を上げて、アンドープのGaNを1.5μmの膜厚で成長させて、下地層とする。次に、下地層表面にストライプ状のマスクを複数形成して、マスク開口部(窓部)から窒化物半導体、本実施例ではGaNを選択成長させて、横方向の成長を伴った成長(ELOG)により成膜された窒化物半導体層(横方向成長層)を形成し、続いて、HVPEにより100μmの膜厚のGaNを成長させて、異種基板、バッファ層、下地層を除去して、GaNからなる窒化物半導体基板を得る。
【0179】
この時、選択成長時のマスクは、SiO2からなり、マスク幅15μm、開口部(窓部)幅5μmとすることで、貫通転位を低減できる。具体的には、マスク上部のように横方向に成長した領域では貫通転位が低減され、マスク開口部ではほぼ膜厚成長により成膜されるため、貫通転位に変化なく、これにより、貫通転位密度の大きい領域と小さい領域とが分布した層となる。厚膜の窒化物半導体層の形成には、HVPE法が成長速度を大きくでき好ましく、HVPEで成長させる窒化物半導体としては、GaN、AlNを用いると、良好な結晶性でもって厚膜成長ができる。GaN基板をHVPEで形成すると、生成された核から核成長したドメインが膜厚方向に成長するに伴って各ドメインが結合して成膜される3次元の成長形態となる傾向にあり、このような場合には、核成長に伴って貫通転位も伝搬するため、上記横方向成長層による分布した貫通転位が分散される傾向にある。
【0180】
(バッファ層102)
窒化物半導体基板の上に、温度を1050℃にして、TMG(トリメチルガリウム)、TMA(トリメチルアルミニウム)、アンモニアを用い、Al0.05Ga0.95Nよりなるバッファ層102を4μmの膜厚で成長させる。この層は、AlGaNのn側コンタクト層と、GaNからなる窒化物半導体基板との間で、バッファ層として機能する。
【0181】
具体的には、横方向成長層若しくはそれを用いて形成した基板がGaNである場合に、それよりも熱膨張係数の小さい窒化物半導体のAlGa1−aN(0<a≦1)からなるバッファ層102を用いることで、ピットを低減させることができる。好ましくは、窒化物半導体の横方向成長層であるGaNの上に設ける。更にバッファ層102のAl混晶比aが、0<a<0.3であると、結晶性を良好なものとしてバッファ層を形成することができる。このバッファ層をn側コンタクト層として形成しても良く、バッファ層102を形成した後、前記バッファ層の組成式で表されるn側コンタクト層を形成して、バッファ層102とその上のn側コンタクト層104にもバッファ効果を持たせる形態でも良い。すなわち、このバッファ層102は、横方向成長を用いた窒化物半導体基板、若しくはその上に形成した横方向成長層と素子構造との間、又は素子構造中の活性層と横方向成長層(基板)、若しくはその上に形成した横方向成長層(基板)との間に設けること、さらに好ましくは素子構造中の基板側、下部クラッド層と横方向成長層(基板)との間に、少なくとも1層以上設けることで、ピットを低減し、素子特性を向上させることができる。
【0182】
また、n側コンタクト層をバッファ層とする場合には、電極との良好なオーミックコンタクトが得られるように、n側コンタクト層のAl混晶比aを0.1以下とすることが好ましい。この第1の窒化物半導体層、若しくはその上に形成した横方向成長層の上に設けるバッファ層は、上述した異種基板上に設けるバッファ層と同様に300℃以上900℃以下の低温で成長させても良く、800℃以上1200℃以下の温度で成長させても良く、好ましくは800℃以上1200℃以下の温度で単結晶成長させると、上述したピット低減効果が得られる傾向にある。このバッファ層は、n型、p型不純物をドープしても良く、アンドープでも良いが、結晶性を良好なものとするためにはアンドープで形成することが好ましい。2層以上のバッファ層を設ける場合には、n型、p型不純物濃度、Al混晶比を変化させて設けることができる。
【0183】
次に、窒化物半導体からなる下地層の上に、素子構造となる各層を積層する。ここで、第1導電型層として、n側コンタクト層110〜n側光ガイド層を設け、第2導電型層として、p側電子閉込め層108〜p側コンタクト層111を設ける。
【0184】
(n側コンタクト層103)
次に得られたバッファ層102上にTMG、TMA、アンモニア、不純物ガスとしてシランガスを用い、1050℃でSiドープしたAl0.05Ga0.95Nよりなるn側コンタクト層103を4μmの膜厚で成長させる。n側コンタクト層、若しくはバッファ層などの下地層に、Alを含む窒化物半導体、具体的にはAlxGa1-xN(0<x≦1)、を用いることで、GaNなどのAlを含まない窒化物半導体に比べて、ELOGを用いたことによる結晶性の悪化、特にピットの発生を抑えて、良好な下地層表面を提供できる傾向にあり、Alを含む窒化物半導体を用いることが好ましい。
【0185】
(クラック防止層104)
次に、TMG、TMI(トリメチルインジウム)、アンモニアを用い、温度を800℃にしてIn0.06Ga0.94Nよりなるクラック防止層104を0.15μmの膜厚で成長させる。なお、このクラック防止層は省略可能である。
【0186】
(n側クラッド層105(下部クラッド層25))
次に、温度を1050℃にして、原料ガスにTMA、TMG及びアンモニアを用い、アンドープのAl0.14Ga0.86NよりなるA層を25Åの膜厚で成長させ、続いて、TMAを止め、不純物ガスとしてシランガスを用い、Siを5×1018/cmドープしたGaNよりなるB層を25Åの膜厚で成長させる。そして、A層、B層を交互に積層する操作をそれぞれ120回繰り返してA層とB層を積層し、総膜厚0.6μmの多層膜(超格子構造)よりなるn側クラッド層106を成長させる。
【0187】
(n側光ガイド層106(第1の光ガイド層26))
次に、同様の温度で、原料ガスにTMG及びアンモニアを用い、SiをドープしたGaNよりなる膜厚25ÅのA層、原料ガスにTMAを加えて、Al0.06Ga0.95Nからなる膜厚25ÅのB層を、交互に30回繰り返して積層し、超格子多層膜からなる膜厚0.15μmのn側光ガイド層106で成長させる。
【0188】
(活性層107)
次に、温度を800℃にして、図7に示すように、原料ガスにTMI(トリメチルインジウム)、TMG、TMAを用い、SiドープのAl0.1Ga0.9Nよりなる障壁層、その上に、アンドープのIn0.03Al0.02Ga0.95Nよりなる井戸層を、障壁層2a/井戸層1a/障壁層2b/井戸層1b/障壁層2cの順に積層する。この時、図7に示すように、障壁層2aを200Å、障壁層2b,2cを40Åの膜厚で、井戸層1a、1bを70Åの膜厚で形成する。活性層107は、総膜厚約420Åの多重量子井戸構造(MQW)となる。
【0189】
(p側電子閉込め層108(キャリア閉込め層28))
次に、同様の温度で、原料ガスにTMA、TMG及びアンモニアを用い、不純物ガスとしてCp2Mg(シクロペンタジエニルマグネシウム)を用い、Mgを1×1019/cmドープしたAl0.3Ga0.7Nよりなるp側電子閉込層108を10nmの膜厚で成長させる。この層は、特に設けられていなくても良いが、設けることで電子閉込めとして機能し、閾値の低下に寄与するものとなる。
【0190】
(p側光ガイド層109(第2の光ガイド層29))
次に、温度を1050℃にして、原料ガスにTMG及びアンモニアを用い、MgドープのGaNよりなる膜厚25ÅのA層、原料ガスにTMAを加えて、Al0.06Ga0.94Nよりなる膜厚25ÅのB層、を交互に30回繰り返し積層して、膜厚0.15μmで超格子多層膜構造のp側光ガイド層109を成長させる。
【0191】
このp側光ガイド層109は、p側電子閉込め層108、p側クラッド層109等の隣接層からのMgの拡散により、Mgがドープされるため、アンドープで形成しても、Mgドープ層とできる。
【0192】
(p側クラッド層110(上部クラッド層30))
続いて、1050℃でアンドープAl0.14Ga0.86NよりなるA層を25Åの膜厚で成長させ、続いてCp2Mgを用いて、MgドープAl0.14Ga0.86NよりなるB層を25Åの膜厚で成長させ、A層、B層を交互に積層する操作を100回繰り返して総膜厚0.5μmの超格子多層膜よりなるp側クラッド層110を成長させる。
【0193】
(p側コンタクト層111)
最後に、1050℃で、p側クラッド層110の上に、Mgを1×1020/cmドープしたp型GaNよりなるp側コンタクト層111を150Åの膜厚で成長させる。p側コンタクト層111はp型のInXAlYGa1-X-YN(0≦X、0≦Y、X+Y≦1)で構成することができ、好ましくはp型不純物をドープしたGaN、若しくはAl組成比0.3以下のAlGaNとすれば、p電極120と最も好ましいオーミック接触が得られ、最も好ましくはGaNとすれば最良のオーミックコンタクトが可能となる。コンタクト層111は電極を形成する層であるので、1×1017/cm以上の高キャリア濃度とすることが望ましい。1×1017/cmよりも低いと電極と好ましいオーミックを得るのが難しくなる傾向にある。さらにコンタクト層の組成をGaNとすると、電極材料と好ましいオーミックが得られやすくなる。反応終了後、反応容器内において、ウエハを窒素雰囲気中、700℃でアニーリングを行い、p型層を更に低抵抗化する。
【0194】
以上のようにして窒化物半導体を成長させ各層を積層した後、ウエハを反応容器から取り出し、最上層のp側コンタクト層の表面にSiO2よりなる保護膜を形成して、RIE(反応性イオンエッチング)を用いSiCl4ガスによりエッチングし、図1に示すように、n電極を形成すべきn側コンタクト層103の表面を露出させる。このように窒化物半導体を深くエッチングするには保護膜としてSiO2が最適である。
【0195】
次に上述したストライプ状の導波路領域として、リッジストライプを形成する。まず、最上層のp側コンタクト層(上部コンタクト層)のほぼ全面に、PVD装置により、Si酸化物(主として、SiO2)よりなる第1の保護膜161を0.5μmの膜厚で形成した後、第1の保護膜の上に所定の形状のマスクをかけ、RIE(反応性イオンエッチング)装置により、CF4ガスを用い、フォトリソグラフィー技術によりストライプ幅1.6μmの第1の保護膜161とする。この時、リッジストライプの高さ(エッチング深さ)は、p側コンタクト層111、およびp側クラッド層109、p側光ガイド層110の一部をエッチングして、p側光ガイド層109の膜厚が0.1μmとなる深さまでエッチングして、形成する。
【0196】
次に、リッジストライプ形成後、第1の保護膜161の上から、Zr酸化物(主としてZrO2)よりなる第2の保護膜162を、第1の保護膜の上と、エッチングにより露出されたp側光ガイド層109の上に0.5μmの膜厚で連続して形成する。
【0197】
第2の保護膜162形成後、ウエハを600℃で熱処理する。このようにSiO2以外の材料を第2の保護膜として形成した場合、第2の保護膜成膜後に、300℃以上、好ましくは400℃以上、窒化物半導体の分解温度以下(1200℃)で熱処理することにより、第2の保護膜が第1の保護膜の溶解材料(フッ酸)に対して溶解しにくくなるため、この工程を加えることがさらに望ましい。
【0198】
次に、ウエハをフッ酸に浸漬し、第1の保護膜161をリフトオフ法により除去する。このことにより、p側コンタクト層111の上に設けられていた第1の保護膜161が除去されて、p側コンタクト層が露出される。以上のようにして、図1に示すように、リッジストライプの側面、及びそれに連続する平面(p側光ガイド層109の露出面)に第2の保護膜(埋込層)162が形成される。
【0199】
このように、p側コンタクト層112の上に設けられた第1の保護膜161が、除去された後、図1に示すように、その露出したp側コンタクト層111の表面にNi/Auよりなるp電極120を形成する。但しp電極120は100μmのストライプ幅として、図1に示すように、第2の保護膜162の上に渡って形成する。第2の保護膜162形成後、既に露出させたn側コンタクト層103の表面にはTi/Alよりなるストライプ状のn電極121をストライプと平行な方向で形成する。
【0200】
次に、n電極を形成するためにエッチングして露出された面でp,n電極に、取り出し電極を設けるため所望の領域にマスクし、SiO2とTiO2よりなる誘電体多層膜164を設けた後、p,n電極上にNi−Ti−Au(1000Å−1000Å−8000Å)よりなる取り出し(パット)電極122,123をそれぞれ設けた。この時、活性層107の幅は、200μmの幅(共振器方向に垂直な方向の幅)であり、共振器面(反射面側)にもSiO2とTiO2よりなる誘電体多層膜が設けられる。以上のようにして、n電極とp電極とを形成した後、ストライプ状の電極に垂直な方向で、窒化物半導体のM面(GaNのM面、(1 1- 0 0)など)でバー状に分割して、更にバー状のウエハを分割してレーザ素子を得る。この時、共振器長は、650μmである。
【0201】
バー状にする際に、エッチング端面に挟まれた導波路領域内で劈開して、得られた劈開面を共振器面としても良く、導波路領域の外で劈開してエッチング端面を共振器面としても良く、一方をエッチング端面、他方を劈開面とした1対の共振器面を形成しても良い。また、上記エッチング端面の共振面には誘電体多層膜からなる反射膜が設けられるが、劈開面の共振器面にも、劈開後に反射膜を設けても良い。この時、反射膜としては、SiO、TiO、ZrO、ZnO、Al、MgO、ポリイミドからなる群の少なくとも一種用いることであり、λ/4n(λは波長、nは材料の屈折率)の膜厚で積層した多層膜としても良く、1層だけ用いても良く、反射膜と同時に共振器端面の露出を防ぐ表面保護膜としても機能させても良い。表面保護膜として機能させるには、λ/2nの膜厚で形成すると良い。また、素子加工工程で、エッチング端面を形成せずに、すなわち、n電極形成面(n側コンタクト層)だけを露出させ、一対の劈開面を共振器面とするレーザ素子としても良い。
【0202】
バー状のウエハを更に分割する際にも、窒化物半導体(単体基板)の劈開面を用いることができ、バー状に劈開したときの劈開面に垂直な窒化物半導体(GaN)を六方晶系で近似したM面、A面({1010})で劈開して、チップを取り出しても良く、また、バー状に劈開する際に、窒化物半導体のA面を用いても良い。
【0203】
得られるレーザ素子は、波長370nmで室温にて連続発振する窒化物半導体素子が得られる。また、n側、p側の光ガイド層は、Alの平均組成比が0.03のAlGaNで構成され、第1の光ガイド層及び第2の光ガイド層のバンドギャップエネルギーEと、レーザ光(活性層の発光波長)の光子エネルギーEとの差、E−Eが、0.05eV以上となる導波路が形成されている。
【0204】
[実施例2]
実施例1において、活性層を以下のように形成する他は、実施例1と同様にしてレーザ素子を得る。
【0205】
(活性層107)
SiドープのIn0.01Al0.1Ga0.89Nよりなる障壁層、その上に、アンドープのIn0.03Al0.02Ga0.95Nよりなる井戸層を、障壁層2a/井戸層1a/障壁層2b/井戸層1b/障壁層2cの順に積層する。この時、図7に示すように、障壁層2aを200Å、障壁層2b,2cを40Åの膜厚で、井戸層1a、1bを70Åの膜厚で形成する。活性層107は、総膜厚約420Åの多重量子井戸構造(MQW)となる。
【0206】
得られるレーザ素子は、実施例1と同様に、波長370nmで室温にて連続発振する窒化物半導体素子が得られる。
【0207】
[実施例3]
実施例1において、活性層、光ガイド層、クラッド層を以下のように形成する他は、実施例1と同様にしてレーザ素子を得る。
【0208】
(n側クラッド層105(下部クラッド層25))
25Åの膜厚でアンドープのAl0.3Ga0.7NよりなるA層と、25Åの膜厚でSiを5×1018/cm3ドープしたAl0.2Ga0.8NよりなるB層とを、交互に積層する操作をそれぞれ120回繰り返してA層とB層を積層し、総膜厚0.6μmの多層膜(超格子構造)よりなるn側クラッド層106を形成する。
【0209】
(n側光ガイド層106(第1の光ガイド層26))
SiドープAl0.1Ga0.9Nよりなる膜厚25ÅのA層、Al0.03Ga0.1Nからなる膜厚25ÅのB層を、交互に30回繰り返して積層し、超格子多層膜からなる膜厚0.15μmのn側光ガイド層106で成長させる。
【0210】
(活性層107)
SiドープのAl0.2Ga0.8Nよりなる障壁層、その上に、アンドープのIn0.03Al0.02Ga0.95Nよりなる井戸層を、障壁層2a/井戸層1a/障壁層2b/井戸層1b/障壁層2cの順に積層する。この時、図7に示すように、障壁層2aを200Å、障壁層2b,2cを40Åの膜厚で、井戸層1a、1bを70Åの膜厚で形成する。活性層107は、総膜厚約420Åの多重量子井戸構造(MQW)となる。
【0211】
(p側光ガイド層109(第2の光ガイド層29))
MgドープAl0.1Ga0.9Nよりなる膜厚25ÅのA層と、Al0.1Ga0.9Nよりなる膜厚25ÅのB層と、を交互に30回繰り返し積層して、膜厚0.15μmで超格子多層膜構造のp側光ガイド層109を成長させる。
【0212】
(p側クラッド層110(上部クラッド層30))
アンドープAl0.3Ga0.7NよりなるA層を25Åの膜厚で成長させ、MgドープAl0.1Ga0.9NよりなるB層を25Åの膜厚で成長させ、A層、B層を交互に積層する操作を100回繰り返して総膜厚0.5μmの超格子多層膜よりなるp側クラッド層110を成長させる。
【0213】
得られるレーザ素子は、実施例1よりも短い波長領域の、波長350nmで室温にて連続発振する窒化物半導体素子が得られる。また、n側、p側の光ガイド層は、Alの平均組成比が0.2のAlGaNで構成され、第1の光ガイド層及び第2の光ガイド層のバンドギャップエネルギーEと、レーザ光の光子エネルギーEとの差、E−Eが、0.05eV以上となる導波路が形成されている。
【0214】
[実施例4]
実施例1において、各光ガイド層を以下のように形成する他は、実施例1と同様にしてレーザ素子を得る。
【0215】
(n側光ガイド層106(第1の光ガイド層26))
SiドープのAl0.03Ga0.97N(実施例1のAl平均組成)を膜厚0.15μmでn側光ガイド層106を形成し、単一膜で光ガイド層を設ける。
【0216】
(p側光ガイド層109(第2の光ガイド層29))
MgドープのAl0.03Ga0.97N(実施例1のAl平均組成)よりなる膜厚0.15μmでp側光ガイド層109を形成し、単一膜で光ガイド層を設ける。
【0217】
得られるレーザ素子は、実施例1に比較して、Alの平均組成は同じものの、単一膜で光ガイド層を設けたことにより結晶性が悪化する傾向にあり、また、光ガイド層のドープ領域を大きくしたため、不純物ドープしたことによる光の損失が多く発生する傾向にあり、閾値電流密度が増大する傾向にある。
【0218】
また、これとは異なる単一膜の光ガイド層として、実施例1において、p側光ガイド層、n側光ガイド層を、それぞれアンドープのAl0.035Ga0.965N、75nmの膜厚で形成し、障壁層2cと井戸層1bを設けない単一量子井戸構造の活性層を形成する。得られるレーザ素子は、実施例1に比較して光ガイド層が単一膜であることにより、結晶性が悪化するが、一方で膜厚を約半分とすることで、結晶性悪化による素子劣化を抑制しうる。また光ガイド層をアンドープで形成することにより、導波路内での光の損失を抑制した構造となり、加えて活性層が単一量子井戸構造であることにより、活性層内の結晶性悪化を抑えることで、実施例1とほぼ同等のレーザ素子が得られる。ここで、アンドープは、成長時に意図的にドープしないことを指すものであり、p側光ガイド層は、上述したように、隣接層のp側電子閉込め層、p側クラッド層からのMg拡散により僅かにMgがドープされたそうとなる。n側光ガイド層は、Siは殆ど拡散せずノンドープ層となるが、窒化物半導体において、n型キャリアの拡散長はp型に比較して大きく、またノンドープの窒化物半導体はN原子空孔により高抵抗ながら、n型を示すため、アンドープのn側光ガイド層としても、キャリアを活性層内に注入できる。
【0219】
[実施例5]
実施例1において、図4に示すように、光ガイド層を以下のように組成傾斜させて形成する他は、実施例1と同様にしてレーザ素子を得る。
【0220】
(n側光ガイド層106(第1の光ガイド層26))
AlGa1−xNを膜厚0.15μmで形成し、この時、成長するに従ってAl組成比xを、0.05から0.01へと変化させて、膜厚方向に組成傾斜させたn側光ガイド層106を設ける。この時、n側光ガイド層は、最初の膜厚50nmの領域はSiドープで形成し、残りの膜厚0.1μmの領域(活性層側0.1μmの領域)で、アンドープで形成する。
【0221】
(p側光ガイド層109(第2の光ガイド層29))
AlGa1−xNを膜厚0.15μmで形成し、この時、成長するに従ってAl組成比xを、0.01から0.05へと変化させて、膜厚方向に組成傾斜させたp側光ガイド層109を設ける。ここで、p側光ガイド層は、最初の膜厚0.1μm(活性層側0.1μmの領域)はアンドープで形成し、残りの膜厚50nmの領域ではMgドープで形成する。
【0222】
得られるレーザ素子は、実施例1に比較して、Alの平均組成はほぼ同じものの、図4に示すように、バンドギャップエネルギーが傾斜された光ガイド層を設けることにより、キャリアの活性層への注入効率が良好となり、内部量子効率が向上する傾向にある。また、光ガイド層内の活性層に近い側(活性層側)にアンドープ領域を設けたため、不純物ドープしたことによる光の損失が低く抑えられた導波路構造となり、閾値電流密度が減少する傾向にある。
【0223】
[実施例6]
実施例5において、図4に示すように、光ガイド層を以下のように組成傾斜させて形成する他は、実施例1と同様にしてレーザ素子を得る。
【0224】
(n側光ガイド層106(第1の光ガイド層26))
AlGa1−xNからなる膜厚25ÅのA層、AlGa1−yN(x>y)からなる膜厚25ÅのB層を交互に30回繰り返し積層して、膜厚0.15μmの超格子多層膜構造でn側光ガイド層を形成する。この時、成長するに従ってAl組成比xを、0.05から0.03へと変化させ、Al組成比yを0.015で一定とし、組成傾斜させたn側光ガイド層106を設ける。このときn側光ガイド層は、最初の膜厚50nmの領域は、A層、B層ともSiドープで形成し、残りの膜厚0.1μm(活性層側0.1μmの領域)で、A層のみをSiドープ、B層をアンドープで形成する変調ドープを用いる。
【0225】
(p側光ガイド層109(第2の光ガイド層29))
AlGa1−xNからなる膜厚25ÅのA層、AlGa1−yN(x>y)からなる膜厚25ÅのB層を交互に30回繰り返し積層して、膜厚0.15μmの超格子多層膜構造でp側光ガイド層109を形成する。ここで、p側光ガイド層は、最初の膜厚0.1μm(活性層側0.1μmの領域)は、A層のみをMgドープ、B層をアンドープで形成し、残りの膜厚50nmの領域で、A層、B層ともMgドープで形成する。
【0226】
得られるレーザ素子は、実施例4に比較して、Alの平均組成はほぼ同じものの、超格子構造としたことにより結晶性が良好になり、素子特性が向上する。また一方で、光ガイド層のアンドープ領域を、実施例4に比べて小さくしたため、光の損失が大きくなり、閾値電流密度が僅かに増大する傾向にある。
【0227】
[実施例7]
図8に示す面発光型のレーザ素子について以下説明する。
【0228】
(基板501)
実施例1に用いた窒化物半導体基板101と同様の基板501を用いる。
【0229】
窒化物半導体基板501の上に、反射膜530として、AlGa1-xN(0≦x≦1)からなる第1の層531と、第1の層と異なる組成のAlGa1- N(0<y≦1、x<y)からなる第2の層532を交互にそれぞれ3層ずつ積層する。この時、各層は、λ/(4n)(但し、λは光の波長、nは材料の屈折率)の式を満たす膜厚で設ける。窒化物半導体の反射膜は第1、2の層を、AlGa1-xN(0≦x≦1)で表される組成の異なる窒化物半導体を交互に積層した多層膜を用いることができ、この時、各層を1層以上、第1の層/第2の層の対を1対以上形成する。具体的には第1の層/第2の層をAlGaN/AlGaN、GaN/AlGaN、AlGaN/AlN、GaN/AlNなどで形成できる。AlGa1-xN/AlGa1- N(0<x、x<y<1)であるとAlGaN多層膜であるため熱膨張係数差を小さくでき結晶性良く形成でき、GaN/AlGa1- N(0<y<1)であるとGaN層により結晶性が改善された多層膜とできる。また、Al組成比の差(y−x)を大きくすると、第1の層と第2の層との屈折率差が大きくなり反射率が高くなり、具体的には、y−x≧0.3とし、好ましくはy−x≧0.5とすることで反射率の高い多層膜反射膜が形成できる。また、実施例1と同様に、多層膜層として、AlGa1- N(0<y≦1)を形成することにより、バッファ層102として機能し、ピット低減効果が得られる。また、反射膜は、基板と活性層との間、活性層の上に設けることができ、活性層の上の反射膜は、上記誘電体多層膜を適応できる。更に、基板と活性層との間に反射膜を設けた面発光型の発光素子にも適応できる。
【0230】
続いて、実施例1と同様の条件で、n側コンタクト層533、活性層534、p側電子閉込め層(図示せず)、p側コンタクト層535を積層して、円形状の開口部を有するSiO2からなるブロック層536を設けて、その円形状の開口部からMgドープGaNを成長させて、第2のp側コンタクト層537を形成する。この時、p側コンタクト層535、第2のp側コンタクト層537は、いずれか一方だけを形成したものでも良い。その第2のp側コンタクト層537の上に、SiO2/TiO2からなる誘電体多層膜を形成し反射膜538とし、前記ブロック層536の開口部の上に円形状に設ける。そして、n側コンタクト層533が露出する深さまでエッチングして、露出したn側コンタクト層533の上にリング状のn電極521、第2のp側コンタクト層537の上に、反射膜538の周りを囲むp電極520をそれぞれ形成する。このようにして、得られる面発光型のレーザ素子は、実施例1と同様に、短波長域で発振するレーザ素子となる。
【0231】
[実施例8]
実施例1において、クラッド層、光ガイド層、活性層を次の条件で形成した素子構造のレーザ素子を形成する。
【0232】
上部、下部クラッド層として、膜厚25ÅのAl0.1Ga0.9Nと膜厚25ÅのAl0.05Ga0.95Nとを交互に100層ずつ積層した超格子多層膜構造(500Å)とし、この時p側、n側のクラッド層においてドーパントとしてそれぞれMg,Siを超格子層の一方にドープする。
【0233】
上部、下部光ガイド層として、アンドープのAl0.04Ga0.96Nを0.15μmで形成する。
【0234】
活性層としてAl0.15In0.01Ga0.84N(200Å)の障壁層、膜厚100Åの井戸層、Al0.15In0.01Ga0.84N(45Å)の障壁層とを積層した量子井戸構造とする。
【0235】
図10に示すAl混晶比x(x=0.03、0.06、0.08)の依存性については井戸層をAlIn0.04Ga0.96−xNとし、図11のIn混晶比y(y=0.02、0.03、0.04、0.07)の依存性については井戸層をAl0.03InGa0.97−yNとし、それぞれパルス発振下での閾値電流密度、波長変化を示すものである。
【0236】
図11に示すように、閾値電流密度Jthでは、In混晶比yが0.02付近からyが大きくなるに従って下降曲線を示し、0.03〜0.05の範囲付近で極小値をとり、0.05を超える領域では、上昇傾向を示す。また、Al混晶比xについては、図10に示すように、x≦0.1の範囲において、Al混晶比xの増加により上昇傾向にあり、0<x≦0.6の範囲で好ましく閾値電流を下げることができる。
【0237】
[実施例9]
再び、図1に示すリッジ型窒化物半導体レーザを参照する。
【0238】
基板101上には、バッファ層102を介して、n型窒化物半導体層であるn型コンタクト層103、クラック防止層104、n型クラッド層105、及びn型光ガイド層106が形成されている。n型クラッド層105を除く他の層は、素子によっては省略することもできる。n型窒化物半導体層は、少なくとも活性層と接する部分において活性層よりも広いバンドギャップを有することが必要であり、そのためにAlを含む組成であることが好ましい。また、各層は、n型不純物をドープしながら成長させてn型としても良いし、アンドープで成長させてn型としても良い。
【0239】
n型窒化物半導体層103〜106の上には、活性層107が形成されている。活性層107は、前述の通り、Alx1Ga1−x2N井戸層(0≦x1<1)とAlx2Ga1−x2N障壁層(0<x2<1、x1<x2)が適当な回数だけ交互に繰り返し積層されたMQW構造を有しており、活性層の両端はいずれも障壁層となっている。井戸層は、アンドープで形成されており、全ての障壁層はSi、Sn等のn型不純物が好ましくは1×1017〜1×1019cm−3の濃度でドープして形成されている。
【0240】
最終障壁層は、アンドープで形成されており、次に成長させるp型電子閉じ込め層108からの拡散によってMg等のp型不純物を1×1016〜1×1019cm−3含んでいる場合がある。尚、最終障壁層を成長させるときに、Mg等のp型不純物を1×1019cm−3以下の濃度でドープしながら成長させても良い。また、最終障壁層に、他の障壁層と同様に、Siなどのn型不純物をドープしても良い。
【0241】
最終障壁層の上には、p型窒化物半導体層として、p型電子閉じ込め層108、p型光ガイド層109、p型クラッド層110、p型コンタクト層111が形成されている。p型クラッド層110を除く他の層は、素子によっては省略することもできる。p型窒化物半導体層は、少なくとも活性層と接する部分において活性層よりも広いバンドギャップを有することが必要であり、そのためにAlを含む組成であることが好ましい。また、各層は、p型不純物をドープしながら成長させてp型としても良いし、隣接する他の層からp型不純物を拡散させてp型としても良い。
【0242】
p型電子閉じ込め層108は、p型クラッド層110よりも高いAl混晶比を持つp型窒化物半導体から成り、好ましくはAlGa1−xN(0.1<x<0.5)なる組成を有する。また、Mg等のp型不純物が高濃度で、好ましくは5×1017〜1×1019cm−3の濃度でドープされている。これにより、p型電子閉じ込め層108は、電子を活性層中に有効に閉じ込めることができ、レーザの閾値を低下させる。また、p型電子閉じ込め層108は、30〜200Å程度の薄膜で成長させれば良く、薄膜であればp型光ガイド層109やp型光クラッド層110よりも低温で成長させることができる。
【0243】
また、p型電子閉じ込め層108は、アンドープで成長させた最終障壁層にp型不純物を拡散によって供給する役割を果たしており、両者は協働して、活性層107を分解から保護すると共に、活性層107へのホール注入効率を高める役割を果たすようにしてもよい。
【0244】
p型窒化物半導体層のうち、p型光ガイド層109の途中までリッジストライプが形成され、さらに、保護膜161、162、p型電極120、n型電極121、pパット電極122、及びnパット電極123が形成されて半導体レーザが構成されている。
【0245】
本実施例は、実施例1の構成および製造プロセスとほぼ同様であるが、実施例1の発振波長(370nm)より短い発振波長(366nm)に設定するため、下記のように活性層107の量子井戸層の組成をAlGaNの3元材料に変えている。さらに、n側クラッド層105、n側光ガイド層106、p側光ガイド層109、p側クラッド層110についても下記のように組成を変えている。
【0246】
(n側クラッド層105:下部クラッド層25)
次に、温度を1050℃にして、原料ガスにTMA、TMG及びアンモニア、不純物ガスとしてシランガスを用い、Siを5×1018/cmドープしたAl0.05Ga0.95NよりなるA層を25Åの膜厚で成長させ、続いて、不純物ガスを止め、アンドープのAl0.1Ga0.9NよりなるB層を25Åの膜厚で成長させる。そして、この操作をそれぞれ100回繰り返してA層とB層の積層し、多層膜(超格子構造)よりなるn型クラッド層106を成長させる。この時、アンドープAlGaNのAl混晶比としては、0.05以上0.3以下の範囲であれば、十分にクラッド層として機能する屈折率差を設けることができる。
【0247】
(n側光ガイド層106:下部光ガイド層26)
次に、同様の温度で、原料ガスにTMA、TMG及びアンモニアを用い、アンドープのアンドープのAl0.05Ga0.95Nよりなるn型光ガイド層106を0.15μmの膜厚で成長させる。また、n型不純物をドープしてもよい。この層が第1の窒化物半導体層となる。
【0248】
(活性層107(27,12))
次に、同様の温度で、原料ガスにTMA、TMG及びアンモニアを用い、不純物ガスとしてシランガスを用い、Siを5×1018/cmドープしたAl0.15Ga0.85Nよりなる障壁層(第1の障壁層2a)(B)を100Åの膜厚で、TMA及びシランガスを止め、アンドープのGaNよりなる井戸層(W)を100Åの膜厚で、最後の障壁層(第2の障壁層2b)として、アンドープのAl0.15Ga0.85Nを45Åの膜厚で、(B)/(W)/(B)の順に積層する。活性層107は、(B)/(W)/(B)の順に積層を繰り返し、多重量子井戸構造(MQW)とすることもできる。
【0249】
(p側光ガイド層109:上部光ガイド層29)
次に、温度を1050℃にして、原料ガスにTMA、TMG及びアンモニアを用い、アンドープのAl0.05Ga0.95Nよりなるp側光ガイド層109を0.15μmの膜厚で成長させる。このp型光ガイド層109は、アンドープとして成長させるが、p型電子閉込め層108、p型クラッド層110等の隣接層からのMgの拡散により、Mg濃度が5×1016/cmとなりp型を示す。またこの層は成長時に意図的にMgをドープしても良い。この層が、第2の窒化物半導体層となる。
【0250】
(p側クラッド層110:上部クラッド層30)
続いて、TMAを止め、CpMgを用いて、1050℃でMgドープAl0.05Ga0.95Nよりなる層を25Åの膜厚で成長させ、続いて、CpMgを止め、アンドープAl0.10Ga0.90Nよりなる層を25Åの膜厚で成長させ、それを100回繰り返して総膜厚0.45μmの超格子層よりなるp型クラッド層110を成長させる。p型クラッド層は少なくとも一方がAlを含む窒化物半導体層を含み、互いにバンドギャップエネルギーが異なる窒化物半導体層を積層した超格子で作製した場合、不純物はいずれか一方の層に多くドープして、いわゆる変調ドープを行うと結晶性が良くなる傾向にあるが、両方に同じようにドープしても良い。p側クラッド層110を超格子構造とすることによって、クラッド層全体のAl混晶比を上げることができるので、クラッド層自体の屈折率が小さくなり、さらにバンドギャップエネルギーが大きくなるので、閾値を低下させる上で非常に有効である。さらに、超格子としたことにより、クラッド層自体に発生するピットが超格子にしないものよりも少なく、ショートの発生も低くなる。
【0251】
本実施例では、室温においてしきい値電流53mA,電流密度3.5kA/cm、発振波長366nmの連続発振のレーザ素子が得られる。
【0252】
[実施例10]
本実施例では、活性層を以下の通りとする他は、実施例9と同様にしてレーザ素子を得る。
【0253】
(活性層107(27,12))
SiドープAl0.15Ga0.85N、膜厚200Åからなる第1の障壁層2a、アンドープGaN、膜厚100Åからなる井戸層1b、アンドープAl0.15Ga0.85N、膜厚45Åからなる第2の障壁層2bを順に積層した単一量子井戸構造の活性層とする。
【0254】
得られるレーザ素子は、実施例9に比較して、第1の障壁層が厚膜化したことにより、井戸層の結晶性が悪化する傾向にあり、しきい値電流Jthが100mAと大きくなる傾向にある。
【0255】
[実施例11]
本実施例では、活性層を以下の通りとする他は、実施例9と同様にしてレーザ素子を得る。
【0256】
(活性層27)
SiドープAl0.15Ga0.85N、膜厚100Åからなる第1の障壁層2a、アンドープGaN、膜厚100Åからなる井戸層1b、アンドープAl0.15Ga0.85N、膜厚150Åからなる第2の障壁層2bを順に積層した単一量子井戸構造の活性層とする。
【0257】
得られるレーザ素子は、実施例9に比較して、第2の障壁層が厚膜化したことにより、Vfが上昇する傾向にあり、閾値電流Jthが100mAと大きくなる傾向にある。ここでは、第2の障壁層が第1の障壁層よりも膜厚が大きく、また膜厚が100Å以上で形成され、p−n接合付近であるp側電子閉込め層の高抵抗で、発熱量の大きな層が井戸層から第2の障壁層により離された構造となり、その影響を小さくできる一方で、第2の障壁層による抵抗値の上昇が影響する構造となる。
【0258】
[実施例12]
本実施例では、活性層を以下の通りとする他は、実施例9と同様にしてレーザ素子を得る。
【0259】
(活性層27)
SiドープAl0.05Ga0.95N、膜厚100Åからなる第1の障壁層2a、アンドープGaN、膜厚100Åからなる井戸層1b、アンドープAl0.05Ga0.95N、膜厚150Åからなる第2の障壁層2bを順に積層した単一量子井戸構造の活性層とする。
【0260】
得られるレーザ素子は、実施例9に比較して、第1の障壁層、第2の障壁層のAl混晶比を小さくして、バンドギャップエネルギーを小さくし、井戸層とのバンドギャップエネルギー差も小さくしたことにより、井戸層へのキャリア閉込めが悪くなる傾向にあり、閾値電流Jthが200mAと大きくなる傾向にある。ここで、井戸層と障壁層(第1の障壁層)とのAl混晶比差、XB1―Xは、0.05であり、このAl混晶比差を境として、障壁層と井戸層とのAl混晶比差を大きくすることで、閾値が低下する傾向が観られる。
【0261】
[実施例13]
本実施例では、図6(b)に示すように、光ガイド層を以下のように組成傾斜させて形成する他は、実施例9と同様にしてレーザ素子を得る。
【0262】
(n側光ガイド層106(第1の光ガイド層26))
AlGa1−xNを膜厚0.15μmで形成し、この時、成長するに従って、すなわち活性層に近づくに従って、Al組成比xを、0.1から0.02へと変化させて、膜厚方向に組成傾斜させたn側光ガイド層106を設ける。この時、n側光ガイド層は、最初の膜厚50nmの領域はSiドープで形成し、残りの膜厚0.1μmの領域(活性層側0.1μmの領域)で、アンドープで形成する。ここでは、活性層近傍の光ガイド層において、第1の障壁層よりもバンドギャップエネルギーの小さい一部の領域が、第1の窒化物半導体層となる。
【0263】
(p側光ガイド層109(第2の光ガイド層29))
AlGa1−xNを膜厚0.15μmで形成し、この時、成長するに従ってAl組成比xを、0.02から0.1へと変化させて、膜厚方向に組成傾斜させ、活性層に近づくに従ってAl混晶比が小さく、バンドギャップエネルギーが小さくしたp側光ガイド層109を設ける。ここで、p側光ガイド層は、最初の膜厚0.1μm(活性層側0.1μmの領域)はアンドープで形成し、残りの膜厚50nmの領域ではMgドープで形成する。この時、活性層及びp側電子閉込め層近傍のp側光ガイド層29において、第2の障壁層よりもAl混晶比が小さく、バンドギャップエネルギーの小さい一部の領域が、第2の窒化物半導体層となる。
【0264】
得られるレーザ素子は、実施例9に比較して、Alの平均組成はほぼ同じものの、図6(b)に示すように、バンドギャップエネルギーが傾斜された光ガイド層を設けることにより、キャリアの活性層への注入効率が良好となり、内部量子効率が向上する傾向にある。また、光ガイド層内の活性層に近い側(活性層側)にアンドープ領域を設けたため、不純物ドープしたことによる光の損失が低く抑えられた導波路構造となり、閾値電流密度が減少する傾向にある。
【0265】
[実施例14]
本実施例では、図6(b)に示すように、光ガイド層を以下のように組成傾斜させて形成する他は、実施例9と同様にしてレーザ素子を得る。
【0266】
(n側光ガイド層106(第1の光ガイド層26))
AlGa1−xNからなる膜厚25ÅのA層、AlGa1−yN(x>y)からなる膜厚25ÅのB層を交互に30回繰り返し積層して、膜厚0.15μmの超格子多層膜構造でn側光ガイド層を形成する。この時、成長するに従ってA層のAl組成比xを、0.05から0.03へと変化させ、B層のAl組成比yを0.015で一定とし、組成傾斜させたn側光ガイド層106を設ける。このときn側光ガイド層は、最初の膜厚50nmの領域は、A層、B層ともSiドープで形成し、残りの膜厚0.1μmの領域(活性層側0.1μmの領域)で、A層のみをSiドープ、B層をアンドープで形成する変調ドープを用いる。ここで、n側光ガイド層は、活性層中の第1の障壁層よりもバンドギャップエネルギー、及びAl混晶比が小さくなり、第1の窒化物半導体層となる。
【0267】
(p側光ガイド層109(第2の光ガイド層29))
AlGa1−xNからなる膜厚25ÅのA層、AlGa1−yN(x>y)からなる膜厚25ÅのB層を交互に30回繰り返し積層して、膜厚0.15μmの超格子多層膜構造でp側光ガイド層109を形成する。この時、成長するに従って、A層のAl組成比xを、0.03から0.05へと変化させ、B層のAl組成比yを0.015で一定とし、組成傾斜させ、すなわち活性層、p側電子閉込め層108から離れるに従ってバンドギャップエネルギーを大きくし、Al平均組成を大きくしたp側光ガイド層109を設ける。ここで、p側光ガイド層は、最初の膜厚0.1μm(活性層側0.1μmの領域)は、A層のみをMgドープ、B層をアンドープで形成し、残りの膜厚50nmの領域で、A層、B層ともMgドープで形成する。また、ここでは、A層とB層とで周期的に積層された多層膜において、一方の層のみを組成傾斜させたが、両方を組成傾斜させることもできる。
【0268】
得られるレーザ素子は、実施例13に比較して、Alの平均組成はほぼ同じものの、超格子構造としたことにより結晶性が良好になり、素子特性が向上する。また一方で、光ガイド層のアンドープ領域を、実施例13に比べて小さくしたため、光の損失が大きくなり、閾値電流密度が僅かに増大する傾向にある。
【0269】
[比較例1]
図14(a)に示すように、光ガイド層を活性層の井戸層、障壁層のいずれよりも大きなバンドギャップエネルギーとし、図16に示すように、活性層よりも光ガイド層のAl混晶比を大きくし、更に光ガイド層よりもクラッド層のAl混晶比を大きくした構造で、レーザ素子を作製する。ここでは、光ガイド層、クラッド層を下記の通りとする他は、実施例9と同様にして、レーザ素子を得る。
【0270】
(n側クラッド層[下部クラッド層25])
Siドープしたn型のAl0.17Ga0.83N、膜厚25ÅのA層と、Siドープしたn型のAl0.20Ga0.75N、膜厚25ÅのB層と、交互に100層ずつ繰り返し積層して、超格子多層膜のクラッド層を形成する。
【0271】
(n側光ガイド層[下部光ガイド層26])
アンドープのAl0.17Ga0.8Nを膜厚0.15μmで形成する。
【0272】
(p側光ガイド層[上部光ガイド層29])
アンドープのAl0.17Ga0.8Nを膜厚0.15μmで形成する。
【0273】
(p側クラッド層[上部クラッド層30])
Mgドープしたn型のAl0.2Ga0.8N、膜厚25ÅのA層と、Mgドープしたn型のAl0.25Ga0.75N、膜厚25ÅのB層と、交互に100層ずつ繰り返し積層して、超格子多層膜のクラッド層を形成する。
【0274】
得られるレーザ素子は、その殆どにクラックが発生し、素子動作ができないものである。また、素子動作が可能なものであっても、結晶性悪化によるリーク電流が多く発生し、レーザ発振するものが得られないものとなる。
【0275】
[実施例15]
図15(a)(b)を参照して、本発明の発光素子200について説明する。ここでは、200bに示すように、基板の同一面側に、正負一対の電極を設ける構造の発光素子を作製する。
【0276】
サファイア(C面)よりなる基板201をMOVPEの反応容器内にセットし、水素を流しながら、基板の温度を1050℃まで上昇させ、基板のクリーニングを行う。
【0277】
バッファ層(図示せず):続いて、温度を510℃で、基板1上にGaNよりなる低温成長のバッファ層を約100Åの膜厚で成長させる。この低温成長層を次に成長させる層よりも低温で成長させて、基板との格子不整合を緩和させるものであり、基板の種類によっては省略できる。
【0278】
下地層(図示せず):バッファ層成長後、温度1050℃で、アンドープGaN層を1.5μmの膜厚で成長させる。この層は、アンドープ層で成長させることで、その上に形成する素子構造の下地層となり、成長基板となる。
【0279】
n型コンタクト層202:続いて1050℃で、Siを4.5×1018/cmドープしたAl0.05Ga0.95Nよりなるn型コンタクト層(電流注入層)202を2μmの膜厚で成長させる。ここでは、n側コンタクト層202が第1の窒化物半導体層となる。
【0280】
活性層203:アンドープAl0.15Ga0.85Nよりなる障壁層(第1の障壁層2a)を100Åの膜厚で成長させ、続いてアンドープAl0.05Ga0.95Nよりなる井戸層を30Åの膜厚で成長させる。続いて、膜厚30Å、Al0.1Ga0.9Nからなる内部障壁層(図示せず)を成長させ、井戸層1を4層(図示せず)と、内部障壁層を3層(図示せず)と、を交互に積層して、最後に第2の障壁層2bとして、膜厚40ÅのAl0.15Ga0.85Nを成長させ、総膜厚380Åの多重量子井戸構造よりなる活性層203を成長させる。この活性層では、図14(b)に示すように、第1の障壁層2a及び第2の障壁層2bよりも、Al混晶比が小さく、バンドギャップエネルギーが小さい内部障壁層(2bなど)を形成した構造である。
【0281】
p側クラッド層204:アンドープのAl0.2Ga0.8NよりなるA層204を40Åの膜厚で成長させ、続いてMgを5×1019/cmドープしたAl0.05Ga0.95NよりなるB層205を25Åの膜厚で成長させる。そしてこれらの操作を繰り返し、A層、B層の順で交互に5層ずつ積層し、最後にA層を40Åの膜厚で成長させた超格子構造の多層膜よりなるp側多層膜クラッド層204を365Åの膜厚で成長させる。この時、最初のB層が第2の障壁層よりもバンドギャップエネルギーが小さく、Al混晶比の小さい第2の窒化物半導体層となる。
【0282】
p側コンタクト層205:続いて、Mgを1×1020/cmドープしたGaNよりなるp型コンタクト層205を200Åの膜厚で成長させる。
【0283】
反応終了後、温度を室温まで下げ、さらに窒素雰囲気中、ウェーハを反応容器内において、700℃でアニーリングを行い、p型層をさらに低抵抗化する。
【0284】
アニーリング後、ウェーハを反応容器から取り出し、最上層のp側コンタクト層205の表面に所定の形状のマスクを形成し、RIE(反応性イオンエッチング)装置でp側コンタクト層205側からエッチングを行い、図15(a)に示すようにn側コンタクト層202の表面を露出させる。
【0285】
エッチング後、最上層にあるp側コンタクト層205のほぼ全面に膜厚200ÅのNiとAuを含む透光性のp電極206と、そのp電極206の上にボンディング用のAuよりなるpパッド電極(図示せず)を0.5μmの膜厚で形成する。一方、エッチングにより露出させたn側コンタクト層202の表面にはWとAlを含むn電極207を形成してLED素子とした。
【0286】
このLED素子は波長355nmの紫外発光を示し、特に、上記第1の窒化物半導体層を設けることで、結晶性良く活性層が形成でき、発光特性に優れる発光素子が得られる。
【0287】
【発明の効果】
本発明の窒化物半導体素子は、380nm以下の短波長域において、レーザ発振可能な活性層、導波路構造を得ることができる。特に、InAlGaNの井戸層において、In混晶比を、0.02〜0.05、好ましくは0.03〜0.05の範囲とし、Al組成比を変化させて所望の発光波長の禁制帯幅を形成して、短波長域の発光素子、レーザ素子を得ることにより、内部量子効率、発光効率に優れた素子となる。
【0288】
また、本発明の窒化物半導体素子は、低い閾値電流で375nm以下という短波長の発光素子、レーザ素子を得ることができる。したがって、発光ダイオードは所定の蛍光体と組み合わせて蛍光ランプの代替品を提供することができる。他方、レーザ素子は優れたFWHMを示し、優れた解像度が得られる結果、ホトリソグラフ素子として有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施形態に係るレーザ素子構造を説明する模式断面図である。
【図2】 図2(a)は本発明の一実施形態に係る素子の積層構造を説明する模式断面図であり、図2(b)は各層のAl組成比を説明する模式図である。
【図3】 図3(a)は本発明の一実施形態に係る素子の積層構造を説明する模式断面図であり、図3(b)は該積層構造のエネルギーバンドを説明する模式図である。
【図4】 本発明の一実施形態に係るエネルギーバンドを説明する模式図である。
【図5】 本発明の一実施形態に係るエネルギーバンドを説明する模式図である。
【図6】 図6(a)は本発明の一実施形態に係るエネルギーバンドを説明する模式図であり、図6(b)〜図6(d)は各導電型の不純物(ドーパント)のドープ量変化を説明する模式図である。
【図7】 本発明の一実施形態に係る活性層の積層構造を説明する模式断面図である。
【図8】 本発明の一実施形態に係る素子構造を説明する模式断面図である。
【図9】 図9(a)は本発明に係る活性層におけるIn組成比と発光効率との関係を説明する模式図であり、図9(b)はIn組成比と閾値電流密度との関係を説明する模式図である。
【図10】 本発明に係る活性層において、パルス発振下での閾値電流密度と波長に対するAl混晶比の依存性を説明する模式図である。
【図11】 本発明に係る活性層において、パルス発振下での閾値電流密度と波長に対するIn混晶比の依存性を説明する模式図である。
【図12】 図12(a)は本発明の一実施形態に係る素子の積層構造を説明する模式断面図であり、図12(b)は該積層構造に対応してバイアス状態のバンド構造を説明する模式図である。
【図13】 図13(a)および図13(b)は、従来技術におけるレーザ素子のバイアス状態のバンド構造を説明する模式図である。
【図14】 図14(a)および図14(b)は、本発明の一実施形態に係る素子におけるバイアス状態のバンド構造を説明する模式図である。
【図15】 図15(a)は本発明の一実施形態に係る発光素子の積層構造を説明する模式断面であり、図15(b)は各層のAl組成比を説明する模式図である。
【図16】 従来技術におけるレーザ素子の積層構造に対応した各層のAl組成比を説明する模式図である。
【符号の説明】
1・・・井戸層、2・・・障壁層、11・・・第1導電型層、12・・・活性層、13・・・第2導電型層、25・・・下部クラッド、26・・・第1の光ガイド層、28・・・キャリア閉込め層、29・・・第2の光ガイド層、30・・・上部クラッド層、101・・・基板、102・・・バッファ層、103・・・n側コンタクト層、104・・・クラック防止層、105・・・n側クラッド層、106・・・n側光ガイド層、107,27・・・活性層、108・・・p側電子閉込め層、109・・・p側光ガイド層、110・・・p側クラッド層、111・・・p側コンタクト層、120・・・p電極、121・・・n電極、122・・・pパッド電極、123・・・nパッド電極、162・・・第2の保護膜(埋込層)、164・・・絶縁膜

Claims (3)

  1. n型層とp型層との間に、活性層を有する窒化物半導体素子において、
    前記活性層が、Alを含む窒化物半導体からなる井戸層と、最も前記p型層側に設けられ、Alを含む窒化物半導体からなりかつ前記井戸層よりもバンドギャップエネルギーの大きな窒化物半導体からなると共に、最も前記n型層側に設けられたn側障壁層よりも膜厚が小さいp側障壁層と、を少なくとも有する量子井戸構造であり、
    前記活性層が近接して設けられた光ガイド層で挟持されて導波路が形成され、前記p型層内に設けられた光ガイド層が前記障壁層よりもバンドギャップエネルギーの小さい窒化物半導体層からなり、
    前記活性層と前記p型層内に設けられた光ガイド層の間に、活性層より大きなバンドギャップエネルギーを有するAlを含む窒化物半導体からなりかつp型不純物がドープされたキャリア閉じ込め層を有することを特徴とする窒化物半導体素子。
  2. 前記p側障壁層のAl混晶比XB1 、井戸層のAl混晶とが、XB1―X≧0.05の関係を満たす請求項1に記載の窒化物半導体素子。
  3. 窒化物半導体基板上に、前記p型層、前記活性層及び前記n型層が積層された請求項1又は2に記載の窒化物半導体素子。
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