JP4157300B2 - レーザー透過溶接が可能な熱可塑性成形用組成物 - Google Patents

Description

【０００１】
本発明は暗色の熱可塑性成形用組成物およびそれから製造される、７００〜１２００ｎｍの波長領域において少くともそのスペクトルの部分的範囲でレーザー透過性であり、レーザー吸収性成形部品に対しレーザー透過溶接による溶接が可能である成形部品に関する。
【０００２】
プラスチック成形部品の溶接のためには多種の方法が存在する（Ｋｕｎｓｔｓｔｏｆｆｅ８７，（１９９７），１１，１６３２−１６４０）。広範囲に用いられる熱エレメント溶接および振動溶接法の場合（たとえば自動車のマニホールド用）、安定した溶接のための前調整は、実際の接合段階以前に接合部品の接触領域を適切に軟化させることである。
【０００３】
溶接部品を相互に押し付ける時、生成する溶接の強度のためには、この目的で及ぼされる圧力が特定の最適範囲内にあることが肝要である。それは過剰であるべきではなく、この場合接触領域から溶融物が過度に排除されるが、しかしながら不充分であるべきでもなく、この場合は同様に溶接が弱い結果となる。これについての数々の理由のうちの一つは、溶接すべき多くの技術的部品の間で１００％の正確な適合を達成するのが不可能なことである。成形部品の両片の接触は溶接全体の間を通じて十分高い接触圧力を適用することによって達成されるが、局部的に異なる圧力条件は溶接部から排除される溶融物の量がより多いかまたはより少ないという結果を招き、そのため強度が局部的に変動する結果となる。この問題は、たとえば、溶融物の粘度を増加させることにより（ＥＰ−Ａ第０６８５５２８Ａ１号）接合領域から排除される溶融物をより少なくして、軽減することができる。
【０００４】
振動溶接および熱エレメント溶接に代る方法として、レーザー透過溶接、特にダイオードレーザーによる方法、が最近広く普及しつつある。成形用組成物による照射線の吸収がプラスチックのレーザー透過溶接の基礎をなすものである。純ポリマーは一般にレーザー照射に対して透明または半透明である、すなわちそれらは弱い吸収体である。
【０００５】
吸収は、そしてその結果としてのレーザー光の熱への変換は、顔料、充填材および強化材、および添加剤によって調節することができる。
【０００６】
レーザー透過溶接の基礎原理は専門家の文献に記述されている（Ｋｕｎｓｔｓｔｏｆｆｅ８７（１９９７）３，３４８−３５０）；Ｋｕｎｓｔｓｔｏｆｆｅ８８（１９９８）２，２１０−２１２）；Ｋｕｎｓｔｓｔｏｆｆｅ８７（１９９７）１１，１６３２−１６４０）；Ｐｌａｓｔｖｅｒａｒｂｅｉｔｅｒ５０（１９９９）４，１８−１９；Ｐｌａｓｔｖｅｒａｒｂｅｉｔｅｒ４６（１９９５）９，４２−４６）。
【０００７】
レーザービーム溶接の適用のための前調整は、レーザーから発する照射がまず、用いられる波長のレーザー光に十分透明である少くとも一方の接合体を貫通し、次に第二の接合体によりその２００〜３００μｍ厚の薄層中に吸収されて熱に転換され、これが接触領域における溶融をそして最終的に溶接による２部品の接合をもたらす。
【０００８】
ポリアミド、たとえばポリアミド６（ＰＡ６）およびポリアミド６６（ＰＡ６６）、またはポリエステル、たとえばテレフタル酸ポリブチレン（ＰＢＴ）およびテレフタル酸ポリエチレン（ＰＥＴ）のような部分的に結晶性の熱可塑性プラスチックは通常熱可塑性プラスチック溶接用に用いられるレーザーの波長領域において概して透明またはレーザー半透明である（Ｎｄ：ＹＡＧレーザー：１０６０ｎｍ；高性能ダイオードレーザー：８００〜１０００ｎｍ）。
【０００９】
用語「レーザー透明」および「レーザー吸収性」が以下で用いられる場合は常に上記で示された波長領域を意味する。しかしながら、部分的に結晶性の組織は、さまざまな度合いのレーザー光の散乱をもたらすため、散乱部分が透過の大きな部分を占める。従来ＩＲレーザー光についての透過能力は分光光度計および積分光度計球により測定されている。この測定装置は透過照射の散乱部分をも検知する。測定は１点の波長だけでなく、現在溶接工程のために用いられるあらゆるレーザー波長を含むスペクトル領域において行われる。
【００１０】
レーザー光の透過率は、対応する波長の光を吸収する熱可塑性成形用組成物の成分によって低下する。このような成分は特にカーボンブラックであるが、他の染料、顔料または充填材および強化材、たとえば炭素繊維も同様である。熱可塑性成形用組成物から製造される成形部品の接合のためのレーザー透過溶接の工業的応用が成功するためにはそれゆえレーザービーム吸収性の成形用組成物およびおおむねレーザービーム透明性の成形用組成物を必要とする。
【００１１】
カーボンブラックを包含する成形用組成物は、レーザー吸収性成形用組成物として、たとえばガラス繊維強化ＰＡ６化合物の場合に用いることができる。このような成形用組成物は、たとえば、振動溶接法によって接合される自動車内燃エンジンのマニホールド用にも通常用いられる。
【００１２】
もし照射光が表面にきわめて近い点で吸収されるならば、これはある場合には低溶接強度をもたらし得るので、場合によりカーボンブラックの濃度を減少させることにより改良することができる（Ｋｕｎｓｔｓｔｏｆｆｅ８７（１９９７）３，３４８−３５０）。
【００１３】
ＥＰ−Ａ第０７５１８６５号には、６０％を越える透過性を有する第一の加工部品をほとんど透過性がない第二の加工部品と溶接する、レーザー透過溶接方法が記述されている。ここではハウジングベースについては低透過率を１〜２％の染料添加により、ハウジングカバーについてはより低い着色剤濃度により、場合により色素添加なしで、着色処理することによって達成している。適当な顔料および着色剤については記述されていない。
【００１４】
それゆえ、原理的には、たとえば、レーザー透過成分として非着色ガラス繊維強化ＰＡ６、レーザー吸収成分としてカーボンブラックで着色したガラス繊維強化ＰＡ６、の組合せが、この例ではガラス繊維強化ＰＡ６から製造される２種類の成形部品の強固な接合を達成する可能な方法である。
【００１５】
黒い（たとえばカーボンブラックを用いて着色した、そしてレーザー吸収性の）成形部品と、無色または白色の（無着色の、レーザー透明の）成形部品との接合には、しかしながら、多くの用途において問題がある。特に熱負荷が高い（Ｔ＞１００℃）用途の場合、たとえば、自動車分野におけるポリアミド成形部品の場合に典型的なように、非着色成形部品は非常に速やかに好ましくない表面の黄変〜褐変を起し、美観上望ましくない。
【００１６】
熱可塑性エンジニアリングプラスチックを黒色化するために最もしばしば用いられる着色剤はカーボンブラックであり、用いられるカーボンブラックは多様な製法で製造され、異なった粒子径分布および／または比表面積を有する。カーボンブラックの使用は、黒色化のためには、有機または無機着色剤よりも著しくコスト的に有利である。
【００１７】
しかしながら、多くの場合カーボンブラックまたは無機顔料による着色は、熱可塑性エンジアリングプラスチックの機械的特性、特に、たとえばＩＳＯ １８０ １Ｃによりアイゾット衝撃強さとして測定される、靭性に悪影響を及ぼす。
【００１８】
一部の熱可塑性エンジアリングプラスチック、たとえばポリアミド６およびポリアミド６６においては、カーボンブラックはさらに造核剤として作用する、すなわち、カーボンブラックは溶融ポリアミド中において種結晶として作用し，その結果結晶化を促進する。しかしながら、結晶化の促進は、特に射出成形法によって製造される成形部品の場合、しばしば表面品質の劣化をまねく。このために熱可塑性成形用組成物においてはしばしば最低限可能な濃度のカーボンブラックが用いられる。ガラス繊維強化ポリアミド６成形用組成物は，しかしながら、きわめて低いカーボンブラック含有量においてさえ（＜０．２％）、非常に低いレーザー光透過率を有するため、ＥＰ−Ａ第０７５１８６５号に記述された方法による成形部品の溶接は可能ではない。カーボンブラック濃度をこれ以上さらに低減すれば透過率は増加するが、これは加工部品の均一な色知覚を全体として大きく損なうこととなる。
【００１９】
溶接すべき接合部品の可能な最大限の均一着色が、可能な最善の表面品質と組合せられることが好ましい。ここでいう良好な表面品質とは、とりわけ高光沢性の可能な限り滑らかな表面を意味する。
【００２０】
それゆえ目的は、レーザー透過法によってレーザー吸収性の成形部品と効果的に接合することが可能な、表面が高品質である成形部品を製造するための暗色のレーザー透過性成形用組成物を見出すことであり、好ましい態様においては２つの成形部品が色相および表面品質の面で、人間の目には非常に類似した光学的外観を呈するものである。
【００２１】
このたび驚くべきことに、熱可塑性成形用組成物中において複数の非黒色着色剤を混和することによって、（カーボンブラックによる着色と同等の）黒色の色知覚を有し非常に表面品質にすぐれ、そのレーザー透明性は非着色材料の範囲内にあり、それゆえ接合対象のレーザー吸収性部品と効果的に溶接することが可能な、成形部品が製造できることが見出された。
【００２２】
レーザーが透過する黒色成形体のための着色剤の組合せは、ＶＩＳスペクトル領域（４００ｎｍ〜７００ｎｍの光波長領域）における透過率が、少くともスペクトルの部分的領域において、＜１０％であり、ＮＩＲ領域（７００ｎｍ〜１２００ｎｍの光波長領域）において＞１０％であるように選ぶべきである。好ましくはＮＩＲにおける透過率は＞２０％、ＶＩＳにおける透過率は＜５％であり、特に好ましくは＜１％（ＶＩＳ）および＞３０％（ＮＩＲ）であるべきである。
【００２３】
着色剤は、非散乱性素地中において使用されるときは１ｍｍ層厚さにおける減光がＶＩＳ領域においてはＥ≧２であり、ＮＩＲ領域においてはＥ≦２となるように、混和すべきである。１ｍｍ層厚さにおける減光は、好ましくはＶＩＳ領域においてはＥ＞２．５であり、ＮＩＲ領域中においてはＥ＜１である。特に好ましくはＮＩＲ領域中においてはＥ＜０．１であり、ＶＩＳ領域においてはＥ＞３である。
【００２４】
本発明はそれゆえ、暗色の色知覚（標準色価Ｙ＜３０、好ましくはＹ＜２０、特に好ましくはＹ＜１０）を与える成形用組成物が生成し、かつレーザー光による照射時に、可視光領域中（４００ｎｍ〜７００ｎｍ）少くとも０．４〜５ｍｍの範囲以内でありうる層厚さで、低いかまたはゼロ透過率（≦１０％）が生ずるように、かつ７００〜１２００ｎｍの波長領域中少くともスペクトルの部分的領域においては＞１０％の透過率が生ずるように、少くとも２種の着色剤の組合せにより着色される熱可塑性成形用組成物を提供する。
【００２５】
可視光領域中（４００ｎｍ〜７００ｎｍ）少くとも０．４〜５ｍｍの範囲以内でありうる層厚さで、低いかまたはゼロ透過率（≦５％）を、かつ７００ｎｍ〜１２００ｎｍの波長領域中、少くともスペクトルの部分的領域において＞２０％の透過率を有し、かつその成形用組成物が暗色の色知覚（標準色価Ｙ＜３０、好ましくはＹ＜２０、特に好ましくはＹ＜１０）を与えうる成形用組成物が特に好ましい。
【００２６】
可視光領域中（４００ｎｍ〜７００ｎｍ）少くとも０．４〜５ｍｍの範囲以内でありうる層厚さで、低いかまたはゼロ透過率（≦１％）を、かつ７００ｎｍ〜１２００ｎｍの波長領域中少くともスペクトルの部分的領域において＞３０％の透過率を有し、かつ暗色の色知覚（標準色価Ｙ＜３０、好ましくはＹ＜２０、特に好ましくはＹ＜１０）を与えうる成形用組成物が特に好ましい。
【００２７】
この目的の達成は、すべてのレーザー透明なプラスチック、特にポリアミドおよび熱可塑性ポリエステルに適用可能である。
【００２８】
たとえばテレフタル酸ポリアルキレン、芳香族ポリエステル、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ＡＢＳグラフトポリマー，ポリエチレンまたはポリプロピレンのようなポリオレフィン、ポリスチレン，ポリ塩化ビニル、ポリオキシメチレン、ポリイミド、ポリエーテルおよびポリエーテルケトンに基くポリマーまたはコポリマーは、ポリマー素地として好適であり、これらは単独でまたは異なったポリマーのブレンドとして用いることができる。
【００２９】
本発明によるポリアミドは各種の方法で製造し、また非常に異なったビルディングブロックから合成することが可能であり、かつ特別の用途のために、単独でまたは加工助剤，安定剤、ポリマーアロイ成分（たとえばエラストマー）または強化材（たとえば、無機充填剤またはガラス繊維のような）とも組合せて、特に調整された特性の組合せを有する物質を与えうるように調製することができる。他のポリマー、たとえばポリエチレン，ポリプロピレン、ＡＢＳを部分的に包含するブレンドもまた適当である。ポリアミドの特性は、たとえば強化ポリアミドのたとえば衝撃強さについては、エラストマーの添加によって改善しうる。多くの組合せは非常に多くの製品が極めて多様な特性を有することを可能にする。
【００３０】
ポリアミドの製造に関しては、異なったモノマービルディングブロック、必要な分子量に調整するための種々の連鎖調節剤，または後工程で計画された後処理を利用するための反応性の基を有するモノマーを用いることなどを含む、所望の最終製品に応じたさまざまな方法が公知となっている。
【００３１】
ポリアミド製造のための工業的に関連する方法は例外なしに溶融物中の重縮合の手段により行われている。この文脈においては、ラクタムの加水分解的重合もまた重縮合反応であると理解される。
【００３２】
好ましいポリアミドは、ジアミンおよびジカルボン酸および／または環または対応するアミノ酸中に少くとも５員を有するラクタムから出発して製造することができる部分的に結晶性のポリアミドである。
【００３３】
アジピン酸、２，２，４−および２，４，４−トリメチルアジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、イソフタル酸、テレフタル酸のような脂肪族および／または芳香族ジカルボン酸、たとえば、ヘキサメチレンジアミン、１，９−ノナンジアミン、２，２，４−および２，４，４−トリメチルヘキサメチレンジアミン、複数の異性体を含むジアミノジシクロヘキシルメタン、ジアミノジシクロヘキシルプロパン、ビス−アミノメチルシクロヘキサン、フェニレンジアミン、キシリレンジアミンのような脂肪族および／または芳香族ジアミン、たとえばアミノヘキサン酸のようなアミノカルボン酸類、または対応するラクタム類、が出発物として考慮される。複数の上記のモノマーから製造されるコポリアミドが含まれる。
【００３４】
特に好ましくはカプロラクタム類が、特に最も好ましくはε−カプロラクタムが用いられる。
【００３５】
ＰＡ６、ＰＡ６６に基く化合物の大多数およびその他の脂肪族および／または芳香族ポリアミドまたはコポリアミドであってポリマー鎖中に１個のポリアミド基に対して３〜１１個のメチレン基が存在するものはさらに特に好適である。
【００３６】
本発明により製造されるポリアミドはまた、他のポリアミドおよび／またはさらに他のポリマーとの混合物としても利用できる。
【００３７】
ポリアミド成形用組成物はまた追加的に、たとえばリン化合物、有機ハロゲン化合物，窒素化合物および／または水酸化マグネシウムのような難燃剤、安定剤，たとえば潤滑剤、造核剤、安定剤のような加工助剤、たとえばゴムまたはポリオレフィンのような衝撃改質剤等を包含してもよく、ただしこれらは、使用するレーザーの波長領域において過剰な吸収を有しないものに限る。
【００３８】
ガラス繊維に加えてアラミド繊維、鉱物繊維およびウイスカーは、繊維質強化材として考慮される。炭酸カルシウム、ドロマイト、硫酸カルシウム、雲母、フッ素雲母、珪灰石、滑石、およびカオリンが好適な無機充填材の例として挙げられる。繊維質強化材および無機充填材は、機械的特性を改良するために表面処理することができる。
【００３９】
充填材の添加は、ポリアミドを生成させるためのモノマーの重合の前,その間、その後に行うことができる。もし本発明による充填材の添加を重合の後に行なうならば、それは好ましくは押出機中のポリアミド溶融物に添加することにより行う。もし本発明による充填材の添加を重合の前またはその間に行なう場合は、重合は１〜５０重量％の水の存在下作業を行う段階を含むことができる。
【００４０】
充填材の添加を行う際に、充填材は最終的に成形用組成物中に存在する粒子径の粒子として既に存在させることができる。別法として充填材は、添加または包含の過程中にはじめてそれらから最終的に成形用組成物中に存在する粒子が生成する、前駆体の形で添加することもできる。
【００４１】
赤リン（ＤＥ−Ａ第３７１３７４６Ａ１号（＝ＵＳ−Ａ第４８７７８２３号）およびＥＰ−Ａ第２９９４４４号（＝ＵＳ−Ａ第５０８１２２２号））、臭素化ジフェニルまたはジフェニルエーテルと三酸化アンチモンとの組合せ、および塩素化脂環式炭化水素（Ｏｃｃｉｄｅｎｔａｌ Ｃｈｅｍｉｃａｌ Ｃｏ．から販売されるＤｅｃｈｌｏｒａｎｅ（商標）ｐｌｕｓ）、臭素化スチレンオリゴマー（たとえばＤＥ−Ａ第２７０３４１９号）および環臭素化されたポリスチレン（たとえばＦＥＲＲＯ Ｃｈｅｍｉｃａｌｓ社から販売されるＰｙｒｏ−Ｃｈｅｋ６８（商標））が、たとえば、難燃剤として考慮される。
【００４２】
たとえば亜鉛化合物または酸化鉄が、上記のハロゲン化合物についての相乗剤として用いられる。
【００４３】
さらに他の代替品としては、メラミン塩がとりわけ難燃剤として、特に非強化ポリアミド用に、価値があることが立証されている。
【００４４】
さらに、水酸化マグネシウムは古くからポリアミド用難燃剤として価値があることが立証されている。
【００４５】
ポリアミド成形用組成物はガラス繊維に加えて、ゴム−弾性ポリマー（しばしば耐衝撃性付与剤、エラストマー、またはゴムとも呼ばれる）をさらに含むことができる。
【００４６】
本発明による部分的に芳香族のポリエステルは、テレフタル酸ポリアルキリデンの誘導体からなる群から選ばれ、好ましくはテレフタル酸ポリエチレン類、テレフタル酸ポリトリメチレン類、およびテレフタル酸ポリブチレン類からなる群から選ばれ、特に好ましくはテレフタル酸ポリブチレン類、特に最も好ましくはテレフタル酸ポリブチレンである。
【００４７】
部分的に芳香族のポリエステルは、芳香族分子体に加えて脂肪族分子体をも包含する物質を意味すると理解される。
【００４８】
本発明の意味内においてテレフタル酸ポリアルキレンとは、芳香族ジカルボン酸またはその反応性誘導体（たとえば無水物又はジメチルエステル）と脂肪族、脂環式、または芳香脂肪族ジオールとの反応生成物およびこれらの反応生成物の混合物である。
【００４９】
好ましいテレフタル酸ポリアルキレンは公知の方法によりテレフタル酸（またはその反応性誘導体）および２〜１０の炭素原子を有する脂肪族または脂環式ジオールから製造することができる（Ｋｕｎｓｔｓｔｏｆｆ−Ｈａｎｄｂｕｃｈ［プラスチックのマニュアル］、Ｖｏｌ．ＶＩＩＩ，ｐ．６９５以下参照、Ｋａｒｌ−Ｈａｎｓｅｒ−Ｖｅｒｌａｇ，Ｍｕｎｉｃｈ１９７３）。
【００５０】
好ましいテレフタル酸ポリアルキレンは、ジカルボン酸基準で少くとも８０モル％、好ましくは９０モル％のテレフタル酸基を、そしてジオール成分基準で少くとも８０モル％、好ましくは少くとも９０モル％のエチレングリコール基および／または１，３−プロパンジオール基および／または１，４−ブタンジオール基を包含する。
【００５１】
好ましいテレフタル酸ポリアルキレンはテレフタル酸基に加えて最大２０モル％までの、フタル酸、イソフタル酸、ナフタレン−２，６−ジカルボン酸、４，４’−ジフェニルジカルボン酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、シクロヘキサン二酢酸基などの、８〜１４Ｃ原子を有するその他の芳香族ジカルボン酸基または４〜１２Ｃ原子を有する脂肪族ジカルボン酸基を包含することができる。
【００５２】
エチレングリコール基または１，３−プロパンジオールグリコール基または１，４−ブタンジオールグリコール基に加えて、好ましいテレフタル酸ポリアルキレンは最大２０モル％までの、３〜１２Ｃ原子を有するその他の脂肪族ジオールまたは６〜２１Ｃ原子を有する脂環式ジオール、たとえば１，３−プロパンジオール、２−エチルプロパンジオール−１，３、ネオペンチルグリコール、１，５−ペンタンジオール、１，６−ヘキサンジオール、１，４−シクロヘキサンジメタノール、３−メチルペンタンジオール−２，４、２−メチルペンタンジオール−２，４、２，２，４−トリメチルペンタンジオール−１，３および−１，６、２−エチルヘキサンジオール−１，３、２，２−ジエチルプロパンジオール−１，３、２，５−ヘキサンジオール、１，４−ジ−（β−ヒドロキシエトキシ）ベンゼン、２，２−ビス（４−ヒドロキシシクロヘキシル）プロパン、２，４−ジヒドロキシ−１，１，３，３−テトラメチルシクロブタン、２，２−ビス（３−β−ヒドロキシエトキシフェニル）プロパン、および２，２−ビス（４−ヒドロキシプロポキシフェニル）プロパン（ＤＥ−ＯＳ第２４０７６７４号、第２４０７７７６号、第２７１５９３２号）各基を包含することができる。
【００５３】
テレフタル酸ポリアルキレンは、たとえばＤＥ−Ａ第１９００２７０号およびＵＳ−Ａ第３６９２７４４号に記述されているように、比較的少量の３価または４価のアルコールあるいは３塩基性または４塩基性のカルボン酸を包含することによって分岐化させることができる。好ましい分岐剤の例は、トリメシン酸、トリメリット酸、トリメチロールエタン、およびトリメチロールプロパン、およびペンタエリスリトールである。
【００５４】
酸成分基準で１モル％を越えない分岐剤の使用が好ましい。
【００５５】
テレフタル酸およびその反応性誘導体（たとえばそのジアルキルエステル）ならびにエチレングリコールおよび／または１，３−プロパンジオールおよび／または１，４−ブタンジオールのみから製造されるテレフタル酸ポリアルキレン（テレフタル酸ポリエチレンおよびテレフタル酸ポリブチレン）ならびにこれらのテレフタル酸ポリアルキレンの混合物が特に好ましい。
【００５６】
好ましいテレフタル酸ポリアルキレンはまた、少くとも２種の上記の酸成分および／または少くとも２種の上記のアルコール成分から製造されるコポリエステルであり、特に好ましいコポリエステルはテレフタル酸ポリ（エチレングリコール／１、４−ブタンジオール）である。
【００５７】
テレフタル酸ポリアルキレンは一般に、約０．４〜１．５、好ましくは０．５〜１．３の固有粘度を有し、これらはいずれの場合もフェノール／ｏ−ジクロロベンゼン（１：１重量部）溶液中２５℃で測定してである。
【００５８】
部分的に芳香族のポリエステルはさらに、たとえば充填材およびたとえばガラス繊維または無機充填材のような強化材、難燃剤、加工助剤、安定剤、流れ改良剤、静電防止剤、およびその他の慣用の添加剤のような添加剤を包含してもよい。
【００５９】
とりわけ、ガラス繊維、ガラス球，ガラス布、ガラスマット、アラミド繊維、チタン酸カリウム繊維、天然繊維、無定形シリカ、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、長石、雲母、珪酸塩、石英、滑石、カオリン、珪灰石（これらは表面処理をしてもよい）を、本発明による成形用組成物のための繊維質または粒子状充填材および強化材として加えることができる。好ましい強化材は慣用の市販ガラス繊維である。一般に８〜１８μｍの繊維径を有するガラス繊維は、連続ストランドとして、あるいはチョップドストランドまたは粉砕したガラス繊維として加えることができ、そして繊維は適当なサイジング系およびカップリング剤または、例えばシランに基くカップリング剤系で処理することができる。
【００６０】
針状の無機充填材もまた好適である。本発明の意味内において針状の無機充填材とは明確な形状の針状構造を有する無機充填材を意味すると理解される。針状珪灰石を例に挙げることができる。無機充填材は好ましくは８：１〜３５：１、好ましくは８：１〜１１：１のアスペクト比（長さ／径比）を有する。無機充填材は場合により表面処理することもできる。
【００６１】
ポリエステル成形用組成物は好ましくは追加的に０〜５０重量部、好ましくは０〜４０、特に１０〜３０重量部の充填材および／または強化材を包含する。充填材および／または強化材を含まないポリエステル成形用組成物も同様に使用することができる。
【００６２】
相乗剤を含む通常の市販の有機化合物またはハロゲン化合物、または通常の市販の有機窒素化合物または有機／無機リン化合物が難燃剤として好適である。また水酸化マグネシウムまたは炭酸ＣａＭｇ水和物（たとえばＤＥ−Ａ第４２３６１２２号）のような無機難燃添加剤を用いることもできる。エチレン−１，２−ビステトラブロモフタルイミド、エポキシ化テトラブロモビスフェノールＡ樹脂、オリゴ炭酸テトラブロモビスフェノールＡ、オリゴ炭酸テトラクロロビスフェノールＡ、ペンタブロモポリアクリレート、臭素化ポリスチレンが含ハロゲン、特に臭素化および塩素化化合物の例として挙げられる。ＷＯ第９８／１７７２０号によるリン化合物が有機リン化合物として好適であり、たとえばリン酸トリフェニル（ＴＰＰ）、オリゴマーを含むビス（ジフェニルリン酸）レゾルシノール（ＲＤＰ）、ならびにオリゴマーを含むビスジフェニル燐酸ビスフェノールＡ（ＢＤＰ）、リン酸メラミン、ピロリン酸メラミン、ポリリン酸メラミン、およびそれらの混合物である。窒素化合物としてはメラミンおよびシアヌル酸メラミンが特に考慮される。アンチモン化合物、特に三酸化アンチモンおよび五酸化アンチモン、亜鉛化合物、たとえばスズ酸スズおよびホウ酸スズのようなスズ化合物が相乗剤として好適である。炭素ビルダーおよび／または四フッ化エチレンポリマーを加えることもできる。
【００６３】
本発明による部分的に芳香族のポリエステルは、熱分解および熱架橋を防ぐ熱安定剤、ＵＶ安定剤、可塑剤、潤滑剤および離型剤、造核剤，静電防止剤、場合によりさらに他の安定剤のような慣用の添加剤を包含することもできる。
【００６４】
本発明による部分的に芳香族のポリエステル成形用組成物は、公知の方式で各構成物質を混合し、かつ例えば内部混合機、押出機、二軸スクリューのような慣用の装置内で２００℃〜３３０℃の温度で溶融配合または溶融押出しすることによって製造される。たとえば強化材，安定剤，潤滑剤、および離型剤、造核剤、およびその他の添加剤のようなさらに他の添加剤を、溶融配合または溶融押出し段階において添加することができる。
【００６５】
熱可塑性成形用組成物の重量基準で濃度が最大１重量％までの、立体障害性フェノールおよび／または亞リン酸塩、ヒドロキノン、ジフェニルアミンのような芳香族第二級アミン、これらの化合物の各種の置換体およびそれらの混合物が、酸化防止剤および熱安定剤の例として挙げられる。
【００６６】
各種の置換レゾルシノール、サリチル酸塩、ベンゾトリアゾールおよびベンゾフェノンがＵＶ安定剤として挙げられ、成形用組成物基準で最大２重量％までの量で一般に用いられる。
【００６７】
着色剤としては二酸化チタン、群青、酸化鉄およびカーボンブラックのような無機顔料、さらにフタロシアニン、キナクリドン、ペリレンのような有機顔料、ならびにニグロシンおよびアントラキノンのような染料に加えて他の着色剤を添加することができるが、但しこれらが、使用されるレーザーの領域内で吸収しない場合に限る。さもない場合はそれらはレーザー光の少くとも部分的な透過がなお可能であるように、非常に少量でのみ用いられる。
【００６８】
たとえば、フェニルホスフィン酸ナトリウム、酸化アルミニウム、二酸化ケイ素、ならびに好ましくは滑石を造核剤として用いることができる。
【００６９】
最大１重量％までの量で慣用的に用いられる、潤滑剤および離型剤は、好ましくはエステルろう、ステアリン酸ペンタエリトリトール（ＰＥＴＳ）、長鎖脂肪酸（たとえばステアリン酸またはベヘン酸）、それらの塩（たとえばステアリン酸カルシウムまたはステアリン酸亜鉛）、ならびにアミド誘導体（たとえばエチレン−ビスステアリン酸アミド）またはモンタンろうに加えて低分子量ポリエチレンワックスまたはポリプロピレンワックスである。
【００７０】
フタル酸ジオクチルエステル、フタル酸ジベンジルエステル、フタル酸ブチルベンジルエステル、炭化水素油、Ｎ−（ｎ−ブチル）ベンゼンスルホンアミドが可塑剤の例として挙げることができる。
【００７１】
ゴム−弾性ポリマー（しばしば耐衝撃性付与剤、エラストマーまたはゴムとも呼ばれる）の追加的利用は特に好ましい。
【００７２】
非常に一般的には、これらは好ましくは下記のモノマーの少くとも２種から構成されるコポリマーである：エチレン、プロピレンン、ブタジエン、イソブテン、イソプレン、クロロプレン，酢酸ビニル、スチレン，アクリロニトリルおよびアルコール成分中に１〜１８Ｃ原子を有するアクリル酸又はメタクリル酸エステル。
【００７３】
このようなポリマーは、たとえば、Ｈｏｕｂｅｎ−Ｗｅｙｌ、Ｍｅｔｈｏｄｅｎ ｄｅｒ ｏｒｇａｎｉｓｃｈｅｎ Ｃｈｅｍｉｅ［有機化学の方法］、Ｖｏｌ．１４／１（Ｇｅｏｒｇ−Ｔｈｉｅｍｅ−Ｖｅｒｌａｇ）、Ｓｔｕｔｔｇａｒｔ，１９６１）、ｐｐ．３９２〜４０６、およびＣ．Ｂ．Ｂｕｃｋｎａｌｌ’ｓ ｍｏｎｏｇｒａｐｈ，“Ｔｏｕｇｈｅｎｅｄ Ｐｌａｓｔｉｃｓ”（Ａｐｐｌｉｅｄ Ｓｃｉｅｎｃｅ Ｐｕｂｌｉｓｈｅｒｓ，Ｌｏｎｄｏｎ，１９７７）に記述されている。
【００７４】
さらにまた諸タイプのゴムの混合物を用いることもできる。
【００７５】
有機および無機顔料および／または染料は双方とも着色剤として好適である。カーボンブラックは場合によって非常に少量（好ましくは＜０．２重量％）で顔料混合物の構成成分となる。顔料／染料および／またはカーボンブラックは場合により一つのバッチとして利用することができる。
【００７６】
無機顔料の例は三酸化アンチモン、五酸化アンチモン、塩基性炭酸鉛、塩基性硫酸鉛またはケイ酸鉛、リトポン、二酸化チタン（アナターゼ、ルチル）、酸化亜鉛、硫化亜鉛、紺青のような金属酸化物、クロム酸鉛、硫クロム酸鉛、チタン酸クロムアンチモン、酸化クロム、酸化鉄、コバルト青、コバルトクロム青、コバルトニッケルグレー、マンガン青、マンガン紫、モリブデンオレンジ、モリブデン赤、チタン酸ニッケルアンチモン、紺青、に加えて三硫化アンチモン、硫化カドミウム、硫セレン化カドミウム、ケイ酸ジルコニウム、ジルコニウムバナジウム青、ジルコニウムプラセオジム黄である。
【００７７】
有機顔料の例はアンスラキノン、アゾ、アゾメチン、ベンザントロン、キナクリドン、キノフタロン、ジオキサジン、フラバントロン、インダントロン、イソインドリン、イソインドリノン、メチン、ペリノン、ペリレン、フタロシアニン、ピラントロン、ピロロピロール、チオインディゴ顔料、ならびにたとえばアゾ、アゾメチン、メチン染料の金属錯体またはアゾ化合物の金属塩である。
【００７８】
アンスラキノン系列のような分散染料、たとえばアルキルアミノ、アミノ、アリールアミノ、シクロヘキシルアミノ、ヒドロキシ、ヒドロキシアミノ、またはフェニルメルカプトアンスラキノン、ならびにアゾ染料の金属錯体、特にモノアゾ染料の１：２クロムまたはコバルト錯体、ならびに蛍光染料、たとえばベンゾチアゾール、クマリン、オキサジンまたはチアジン系列からのものは、たとえば、ポリマー可溶性染料として好適である。
【００７９】
ポリマー可溶性染料はまた、充填剤および／または顔料と、特に二酸化チタンのような無機顔料と組合せて用いることもできる。
【００８０】
本発明によれば顔料および／またはポリマー可溶性染料を使用することができる。使用される染料または顔料は、ＮＩＲスペクトル領域においてゼロまたは非常に低い吸収を有することができ、かつ本発明により使用される熱可塑性ポリマーと相溶性であるべきである。
【００８１】
好適な顔料添加物は、たとえば、ベヘン酸またはステアリン酸のような、少くとも１２Ｃ原子を有する脂肪酸、アミド、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛、またはベヘン酸マグネシウム、のようなそれらの塩またはエステル、ならびにトリ−（Ｃ₁〜Ｃ₄）−アルキルベンジルアンモニウム塩のような第四級アンモニウム化合物、ポリエチレンワックスのようなワックス、アビエチン酸のようなロジン酸、樹脂石けん、水素化されたかまたは二量化されたロジン、Ｃ₁₂〜Ｃ₁₈−パラフィンジスルホン酸、またはアルキルフェノールである。
【００８２】
ピラゾロン、ペリノン、およびアントラキノン型の染料、またメチン、アゾ、およびクマリン型の染料が本発明によれば好ましい。
【００８３】
無機顔料およびアゾ、アゾメチンまたはメチン染料、アゾメチン、キナクリドン、ジオキサジン、イソインドリン、イソインドリノン、ペリレン、フタロシアニン、ピロロピロール、およびチオインジゴ着色剤の金属錯体およびバナジン酸ビスマス、のような金属含有顔料も同様に好ましい。
【００８４】
本出願はまた、本発明による熱可塑性成形用組成物から製造される成形部品、およびレーザー透過溶接により他の成形部品と接合される成形部品製造のための本発明による成形用組成物の使用をも提供する。
【００８５】
本発明はまた、レーザー透過溶接により接合され、少くともその一方の部品が本発明による熱可塑性成形用組成物からなる、接合された成形部品をも提供する。
【００８６】
【実施例】
非強化ＰＡ６（Ｄｕｒｅｔｈａｎ Ｂ３０Ｓ，Ｂａｙｅｒ ＡＧ、Ｌｅｖｅｒｋｕｓｅｎ，Ｇｅｒｍａｎｙが市販する製品、比粘度＝３．０）またはガラス繊維強化ＰＡ６（Ｄｕｒｅｔｈａｎ ＢＫＶ３０，Ｂａｙｅｒ ＡＧ、Ｌｅｖｅｒｋｕｓｅｎ，Ｇｅｒｍａｎｙが市販する製品、比粘度＝３．０）およびガラス繊維強化ＰＡ６６（Ｄｕｒｅｔｈａｎ ＡＫＶ３０，Ｂａｙｅｒ ＡＧ、Ｌｅｖｅｒｋｕｓｅｎ，Ｇｅｒｍａｎｙが市販する製品、比粘度＝３．０）を物理的にカーボンブラック（比較試験、マスターバッチ使用）または有機着色剤の混合物と混合し、二軸スクリュー押出機（Ｗｅｒｎｅｒ ｕｎｄ Ｐｆｅｉｄｅｒｅｒ社製ＺＳＫ３２型）で組成物温度２６０〜３００℃で配合することによって均一に着色した。溶融物は次に水浴を通して紡糸し、粒状化した。すべての粘度測定はｍ−クレゾール中（１％溶液、Ｔ＝２５℃）で行った）。
【００８７】
得られた粒状物はＡｒｂｕｒｇ３２０−２１０−５００型射出成形機で成形用組成物用の慣用の条件で加工し（組成物温度２５０〜２９０℃、金型温度７０〜９０℃）レーザー透過測定および溶接試験用の２ｍｍ厚および４ｍｍ厚の着色試料板（６０ｍｍ×４０ｍｍ）を得た。
【００８８】
表１〜４は、本発明による成形用組成物および比較物質の組成および特性の実施例を示す。
【００８９】
【表１】

【００９０】
１）粘度３．０のＰＡ６，Ｂａｙｅｒ ＡＧ、Ｌｅｖｅｒｋｕｓｅｎ，Ｇｅｒｍａｎｙの市販製品、これには通常量かつ一定濃度（０．０１〜０．５％）の慣用の添加剤を、造核剤（微粉状滑石）、熱安定剤（ＣｕＩ／ＫＢｒ）および離型剤（モンタンエステルろう）として添加混合することができる。
２）重量％で示したカーボンブラックの絶対量；Ｃａｂｏｔ社製マスターバッチＵＮ２０１４、５０％濃度、を用いた。
３）ＣＳ７９２８；Ｂａｙｅｒ ＡＧ、Ｌｅｖｅｒｋｕｓｅｎ，Ｇｅｒｍａｎｙの市販製品。
４）Ｂａｙｅｒ ＡＧの市販製品、ピラゾロン染料、Ｓｏｌｖｅｎｔ Ｙｅｌｌｏｗ ９３、色指数４８１６０。
５）Ｂａｙｅｒ ＡＧの市販製品、ペリノン染料、Ｓｏｌｖｅｎｔ Ｒｅｄ １３５。
６）Ｂａｙｅｒ ＡＧの市販品、アントラキノン染料、Ｓｏｌｖｅｎｔ Ｇｒｅｅｎ ３、色指数６１５６５。
レーザー透過率の測定およびその結果
ＩＲレーザー吸収性およびＩＲレーザー透明物質から調製した試料板の双方を、直接透過した光および散乱光の双方を検知する、分光光度計および光度計球からなる透過率測定装置で測定した。ＩＲレーザー吸収性試料については、８００〜１２００ｎｍの間のＮＩＲスペクトル領域において＜０．１％の測定値が得られ、一方ＩＲレーザー透明物質は典型的には２０〜７０％の透過率水準を有した。
【００９１】
【表２】

【００９２】
すべての試料は非常に強く光を散乱する物質であったので、全透過率は直接および散乱透過の合計で評価した。
【００９３】
１０００ｎｍおよびそれに隣接する波長領域において、比較例に相当する試料では事実上ゼロ透過であり、むしろ殆ど完全吸収であったが、一方本発明により着色した実施例１〜４の試料は全体を通じて高透過率を示し、これは全透過率の測定値であった（主として照射の散乱部分からなるものであった）。本発明により着色された試料の透過率についての測定値は、比較例５および６の非着色物質についての測定値より僅かに低い程度であった。
【００９４】
ＰＡ試料の測定に加えて、実施例１および２に相当する本発明による着色剤の組合せにより着色したポリカーボネートから調製した１ｍｍ厚および４ｍｍ厚の着色試料板の透過率の測定を行った。非着色ポリカーボネートを基準物質として用いた。ポリカーボネートについては散乱が起らなかったので、この場合層の厚さとは無関係の吸光係数を求めることが可能であり、測定した本発明による２種の色配合の場合、ＶＩＳスペクトル領域（４００ｎｍ〜７００ｎｍ）についてはおよそＥ＞４、そしてＮＩＲスペクトル領域（７００ｎｍ〜１２００ｎｍ）についてはおよそＥ＜０．００２であった。
レーザー溶接試験およびその結果
レーザー透過溶接用の成形用組成物の適性を調査するためにＮｄ：ＹＡＧレーザーを用いて溶接試験を行った。レーザー光透明の試料板を２０ｍｍ幅にのこぎりで切断した。
【００９５】
試料を装置に固定し、図１に示したＴ字接合形に相互に接合した。２ｍｍ試料を約２０ワット、６ｍｍ／秒の速度、および２スキャンで、そして４ｍｍ試料を約３５ワットおよび４スキャンで溶接した
１スキャンとは試料の全幅にわたって活性化したレーザービームで一回掃射することをいう。
【００９６】
Ｔ字接合として溶接した試料は引張試験において図２に示すように破壊負荷下においた。
【００９７】
ここで測定した力は溶接表面積あたりに換算して引張強さで示した。高水準の強さの値が得られた。
【００９８】
【表３】

【００９９】
表面品質を、中央からスプルーゲートを通して射出した長方形の板（１５５ｍｍ×７５ｍｍ×２ｍｍ）の光沢の測定により評価した。差をよりよく識別するために、板は異なった射出速度で製造したが、その際非強化ＰＡ６およびガラス繊維強化ＰＡ６の表面品質、すなわちとりわけ表面光沢は、経験が示唆する通り、他の加工条件を一定に保った場合、射出速度が増加するに従い上昇した。本発明によるポリアミド成形用組成物を用いて低射出速度で製造した板の表面光沢が、慣用の着色剤（カーボンブラック）によって着色した成形用組成物を用いて製造した板の表面光沢より優れることは表４から明らかである。
【０１００】
【表４】

【０１０１】
暗色の色知覚は、５０ｍｍ／秒の射出速度で製造した長方形の板の比色特性をＨｕｎｔｅｒ社製ＵｌｔｒａＳｃａｎＸＬ分光光度計で評価した。反射測定を多色試料照明下視野角０°／８°で行い、光沢はＤＩＮ５０３３に従い標準光タイプＤ６５／１０°について測定した。標準色価Ｙ＜３０、好ましくは＜２０、特に好ましくは＜１０を有する色は暗色として示した。
【０１０２】
【表５】

Claims (5)

1. 暗色の色知覚（標準色価Ｙ＜３０）を与える成形用組成物が生成し、かつレーザー光による照射時に、可視光領域中（４００ｎｍ〜７００ｎｍ）少くとも０．４〜５ｍｍの範囲以内でありうる層厚さで、低いかまたはゼロ透過率（≦１０％）が生ずるように、かつ７００ｎｍ〜１２００ｎｍの波長領域中少くともスペクトルの部分的領域においては＞１０％の透過率が生ずるように、少くとも２種の着色剤の組合せにより着色されている熱可塑性成形用組成物であって、
   着色剤の組合せが、ピラゾロン、ペリノンおよびアントラキノン、メチン、アゾ、およびクマリン型の染料および／または無機顔料およびアゾ、アゾメチンまたはメチン染料、アゾメチン、キナクリドン、ジオキサジン、イソインドリン、イソインドリノン、ペリレン、フタロシアニン、ピロロピロール、およびチオインジゴ型の金属錯体およびバナジン酸ビスマスのような金属含有顔料から選ばれ、熱可塑性組成物がポリアミドまたは熱可塑性ポリエステルを含み、成形用着色剤は、非散乱性素地中において使用されるときは１ｍｍ層厚さにおける減光がＶＩＳ領域においてはＥ≧２であり、ＮＩＲ領域においてはＥ≦２となるように混和されており、
   黄色顔料とバイオレット顔料を含むポリエステルを除く、
   組成物。
2. ポリアミドのみを含む請求項１に記載の熱可塑性成形用組成物。
3. １０〜６０％のガラスファイバーを含む請求項１または２に記載の熱可塑性成形用組成物。
4. 請求項１〜３のいずれか一項に記載の熱可塑性成形用組成物から製造された成形部品。
5. レーザー透過溶接により接合され、少くともその一方が請求項１〜４のいずれか一項以上に記載の熱可塑性成形用組成物からなる、接合された成形部品。

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