JP4156365B2 - 車両の前部座席 - Google Patents
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Description
【０００１】
本発明は、背もたれ部と、座面部と、背もたれ部の側部に設けられて背もたれ部を起立した状態から座面部に向かって傾斜させるハンドルと、座面の下方に設けられた回転板と、回転板に固定されて背もたれ部を起立させた状態で座面部を回転板の回転軸の回りに回転させる回転レバーとを有する座席に関連する。
【０００２】
本発明は、より具体的に言えば、車両の前席として搭載される座席に関する。
【０００３】
車両の前席の容積、および／または、乗り降りには制限があるので、車両の運転者と搭乗者が前部座席に乗り降りする際は、一般的にある程度の困難が伴う。まして、車両の前方のスウィング式またはスライド式のドアが２つしか設けられていない「小型」車両の後部座席に乗り降りすることは、前席の背もたれを座面方向に倒すことができるとしても容易ではない。
【０００４】
前部に回転可能な座席を装備した車両の場合には、容易に乗り降りすることが可能ではあるが、複雑な機構を操作することが必要である。実際は、搭乗者は背もたれ部の側部に設けられたハンドルを一方の手で回転させて背もたれ部を座面部の方に倒し、同時に他方の手で座面部に設けられたレバーを操作して座面部が車両の外を向くように回転させることになる。
【０００５】
本発明の目的は、操作が簡単で車両の後部座席に対する乗り降りが極めて容易になるような、以下に記載する座席を提案することである。
【０００６】
上記の目的を達成するために、本発明は、座席、特に車両の座席であって、背もたれ部と、座面部と、背もたれ部の側部に設けられて背もたれ部を起立した状態から座面部に向かって傾斜させるハンドルと、座面の下方に固定された回転板と、回転板に設けられて背もたれ部を起立させた状態で座面部を回転板の回転軸の回りに回転させる回転レバーとを有する座席であって、ハンドルを回転させるとすぐに回転レバーを回転させ、そのことによって、背もたれ部が座面に向かって傾斜するとすぐに座面を回転板の回転軸の回りに回転させる手段を有することを特徴とする座席を対象とする。
【０００７】
本発明にかかる座席は、さらに、以下に記載する特徴のそれぞれを単独に又は組み合わせて具備することもできる。
−前記回転させる手段は、一端が背もたれ部の後部に固定され、他端が回転レバーに固定されたケーブルを有する。
−前記ケーブルはケースに収容されている。
−座席は、回転板の下部に設けられて、回転板から延び、端部が車両の床のような床に固定することができるように構成されたチューブを有する。
−前記回転板の回転軸は座面の軸に対してずれている。
【０００８】
本発明は同様に、前述の座席を、好ましくは車両の前席に装備した車両に関するものである。
【０００９】
添付の図１ないし図４を参照しておこなう本発明の詳細な説明によって、本発明の上記以外の特徴と利点が一層明瞭に理解されるはずである。
【００１０】
図１は、背もたれ部２が起立した状態なので後部座席への乗り降りが非常に制約された状態にある車両の前部座席を示す図面である。この状態では、背もたれ部は座面部３に対してほぼ垂直で、座面部は、車両運転位置である。つまり座面部は、図示しない車両の本体に対してほぼ平行である。
【００１１】
前部座席１は、既知の座席と同様に、座面部が運転位置のときに、背もたれ部２の側部２２の、図示していない前方ドアに最も近い位置に設けられたハンドル２１を有する。
【００１２】
座席はさらに、座面部３の下部に設けられた回転板４を有しており、背もたれ部２が後部座席のほうを向いているときは十分な内部空間を確保し、座面部を回転させるときは起立した背もたれ部が車内の他の部材、例えば、車体の側部ピラーやダッシュボードと衝突しないように、回転板の回転軸（Ｐ）は軸（Ｃ）に対して十分な距離ｄだけ離れている。
【００１３】
回転板４は、下部に図示しないボルトで固定されて回転板の前後方向とほぼ直行する向きに伸びる２つのチューブ４１、４２を有する。当該チューブの端部４１０、４２０は、同様に図示しないボルトによって２つのサイドフレーム４３に固定されている。サイドフレームはまた車両の床にボルトによって直接固定されている。
【００１４】
レバー４４が回転板４の前に設けられた、曲線状の柔軟性を有する脚４５に固定されている。このレバー４４を座面部の方に回転させると、それ自体既知であるように、背もたれ部２が起立した状態で回転板の回転軸（Ｐ）の回りに座面部３が回転する。
【００１５】
本発明に基づく座席１は、端部５１が固定フランジ５２に固定されたケーブル５を有する。フランジ５２に対してケーブル５の端部５１を固定するには、関連技術において知られているどのような方法を使用しても良い。例えば、フランジを横断するボルトによってフランジ５２に形成された凹部内にケーブル５の端部５１を挟み込む構造であっても良い。フランジ自体は、背もたれ部２の後部に溶接されている。ケーブル５は座席１の外表面を汚さないように、座席の背もたれ部２に設けられたストッパ５３１で固定された保護用のシース５３に収容されている。ケーブルの他方の端部は、レバー４４の操作用のヘッド４４３が設けられた端部４４２と反対側の端部４４１に溶接された固定用のフランジ５５に固定されている。ケーブル５の中間部は全て、座席１の前後方向にわたって、座面部３の下で回転板４の上部で、図示されていない既知の方法で回転板に固定された保護用のシースに収容されている。
【００１６】
ケーブル５の長さは、座面部３が回転板４の回転軸の回りに完全に回転するように、つまり、１８０度の回転を妨げないように適切に設定する。この回転は、前部座席の背もたれ部２が車両の後部座席に対面する位置と同背もたれ部が車両のダッシュボードに対面する位置の間の回転に対応するものである。
【００１７】
本発明に基づく前部座席１の機能について説明する。
【００１８】
搭乗者が車両の後部座席に乗り込もうとするときは、搭乗者はハンドル２１を回転させて、背もたれ部２を誰も乗っていない前部座席１の座面部３方向に、起立位置（図２ａ）から傾斜位置（図２ｂ）に倒す。背もたれ部２を座面部３方向に傾斜させることによってケーブル５が矢印ｆの方向、つまり背もたれ部２に固定された端部５１の方向に引かれる。このとき発生するケーブル５の張力は、その直後にレバー４４を回転させるために十分である。その結果、背もたれ部２を座面部３の方に倒すとその直後に、回転板４の回転軸の回りに座面部３が回転する。
【００１９】
したがって、搭乗者は極めて容易に、背もたれ部２が折りたたまれた座席１を動かして外を向かせることができ、この際の回転角θは、図３に示したように、４５°と１３５°の範囲（ここで、回転角とは、座席１の初期の位置つまり座席の背もたれが後部座席に対面した位置からの回転角を言う）である。
【００２０】
このような構成によって、搭乗者が必要に応じて車両に乗り込む際に背もたれが立った前部座席１の向きを、他の装置を操作することなく変えることができるので、後部座席への乗り降りは極めて容易になる。
【００２１】
座席の構造を変更せずに最小限の部品を追加することで所望の動きを実現することができるので、上述の実施形態は極めて優れたものである。本発明に基づくケーブルを設置することによるコストの上昇は軽微である。
【００２２】
しかし、本発明の技術的思想の範囲を逸脱せずに、異なる実施形態によって、極めて簡単な操作で車両の後部座席への乗降を容易にすることができることは自明である。
【００２３】
例えば、背もたれ部を座面部に対して倒した直後に、回転板を車両の前方向に滑らせるための機構を設けることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【図１】 本発明に基づく車両の前部座席の側面を示す概念図である。
【図２】 図２ａと２ｂは、背もたれ部を起こした状態と、背もたれ部を座面部に対して半分倒した状態の背もたれ部の一部を示した詳細な側面図である。
【図３】 本発明に基づく回転板の上面を詳細に示す図である。
【図４】 運転する状態に対して４５°回転した座面部と、座面部に対して途中まで倒された状態の背もたれ部を座席の上部から見た図面である。
本発明は、背もたれ部と、座面部と、背もたれ部の側部に設けられて背もたれ部を起立した状態から座面部に向かって傾斜させるハンドルと、座面の下方に設けられた回転板と、回転板に固定されて背もたれ部を起立させた状態で座面部を回転板の回転軸の回りに回転させる回転レバーとを有する座席に関連する。
【０００２】
本発明は、より具体的に言えば、車両の前席として搭載される座席に関する。
【０００３】
車両の前席の容積、および／または、乗り降りには制限があるので、車両の運転者と搭乗者が前部座席に乗り降りする際は、一般的にある程度の困難が伴う。まして、車両の前方のスウィング式またはスライド式のドアが２つしか設けられていない「小型」車両の後部座席に乗り降りすることは、前席の背もたれを座面方向に倒すことができるとしても容易ではない。
【０００４】
前部に回転可能な座席を装備した車両の場合には、容易に乗り降りすることが可能ではあるが、複雑な機構を操作することが必要である。実際は、搭乗者は背もたれ部の側部に設けられたハンドルを一方の手で回転させて背もたれ部を座面部の方に倒し、同時に他方の手で座面部に設けられたレバーを操作して座面部が車両の外を向くように回転させることになる。
【０００５】
本発明の目的は、操作が簡単で車両の後部座席に対する乗り降りが極めて容易になるような、以下に記載する座席を提案することである。
【０００６】
上記の目的を達成するために、本発明は、座席、特に車両の座席であって、背もたれ部と、座面部と、背もたれ部の側部に設けられて背もたれ部を起立した状態から座面部に向かって傾斜させるハンドルと、座面の下方に固定された回転板と、回転板に設けられて背もたれ部を起立させた状態で座面部を回転板の回転軸の回りに回転させる回転レバーとを有する座席であって、ハンドルを回転させるとすぐに回転レバーを回転させ、そのことによって、背もたれ部が座面に向かって傾斜するとすぐに座面を回転板の回転軸の回りに回転させる手段を有することを特徴とする座席を対象とする。
【０００７】
本発明にかかる座席は、さらに、以下に記載する特徴のそれぞれを単独に又は組み合わせて具備することもできる。
−前記回転させる手段は、一端が背もたれ部の後部に固定され、他端が回転レバーに固定されたケーブルを有する。
−前記ケーブルはケースに収容されている。
−座席は、回転板の下部に設けられて、回転板から延び、端部が車両の床のような床に固定することができるように構成されたチューブを有する。
−前記回転板の回転軸は座面の軸に対してずれている。
【０００８】
本発明は同様に、前述の座席を、好ましくは車両の前席に装備した車両に関するものである。
【０００９】
添付の図１ないし図４を参照しておこなう本発明の詳細な説明によって、本発明の上記以外の特徴と利点が一層明瞭に理解されるはずである。
【００１０】
図１は、背もたれ部２が起立した状態なので後部座席への乗り降りが非常に制約された状態にある車両の前部座席を示す図面である。この状態では、背もたれ部は座面部３に対してほぼ垂直で、座面部は、車両運転位置である。つまり座面部は、図示しない車両の本体に対してほぼ平行である。
【００１１】
前部座席１は、既知の座席と同様に、座面部が運転位置のときに、背もたれ部２の側部２２の、図示していない前方ドアに最も近い位置に設けられたハンドル２１を有する。
【００１２】
座席はさらに、座面部３の下部に設けられた回転板４を有しており、背もたれ部２が後部座席のほうを向いているときは十分な内部空間を確保し、座面部を回転させるときは起立した背もたれ部が車内の他の部材、例えば、車体の側部ピラーやダッシュボードと衝突しないように、回転板の回転軸（Ｐ）は軸（Ｃ）に対して十分な距離ｄだけ離れている。
【００１３】
回転板４は、下部に図示しないボルトで固定されて回転板の前後方向とほぼ直行する向きに伸びる２つのチューブ４１、４２を有する。当該チューブの端部４１０、４２０は、同様に図示しないボルトによって２つのサイドフレーム４３に固定されている。サイドフレームはまた車両の床にボルトによって直接固定されている。
【００１４】
レバー４４が回転板４の前に設けられた、曲線状の柔軟性を有する脚４５に固定されている。このレバー４４を座面部の方に回転させると、それ自体既知であるように、背もたれ部２が起立した状態で回転板の回転軸（Ｐ）の回りに座面部３が回転する。
【００１５】
本発明に基づく座席１は、端部５１が固定フランジ５２に固定されたケーブル５を有する。フランジ５２に対してケーブル５の端部５１を固定するには、関連技術において知られているどのような方法を使用しても良い。例えば、フランジを横断するボルトによってフランジ５２に形成された凹部内にケーブル５の端部５１を挟み込む構造であっても良い。フランジ自体は、背もたれ部２の後部に溶接されている。ケーブル５は座席１の外表面を汚さないように、座席の背もたれ部２に設けられたストッパ５３１で固定された保護用のシース５３に収容されている。ケーブルの他方の端部は、レバー４４の操作用のヘッド４４３が設けられた端部４４２と反対側の端部４４１に溶接された固定用のフランジ５５に固定されている。ケーブル５の中間部は全て、座席１の前後方向にわたって、座面部３の下で回転板４の上部で、図示されていない既知の方法で回転板に固定された保護用のシースに収容されている。
【００１６】
ケーブル５の長さは、座面部３が回転板４の回転軸の回りに完全に回転するように、つまり、１８０度の回転を妨げないように適切に設定する。この回転は、前部座席の背もたれ部２が車両の後部座席に対面する位置と同背もたれ部が車両のダッシュボードに対面する位置の間の回転に対応するものである。
【００１７】
本発明に基づく前部座席１の機能について説明する。
【００１８】
搭乗者が車両の後部座席に乗り込もうとするときは、搭乗者はハンドル２１を回転させて、背もたれ部２を誰も乗っていない前部座席１の座面部３方向に、起立位置（図２ａ）から傾斜位置（図２ｂ）に倒す。背もたれ部２を座面部３方向に傾斜させることによってケーブル５が矢印ｆの方向、つまり背もたれ部２に固定された端部５１の方向に引かれる。このとき発生するケーブル５の張力は、その直後にレバー４４を回転させるために十分である。その結果、背もたれ部２を座面部３の方に倒すとその直後に、回転板４の回転軸の回りに座面部３が回転する。
【００１９】
したがって、搭乗者は極めて容易に、背もたれ部２が折りたたまれた座席１を動かして外を向かせることができ、この際の回転角θは、図３に示したように、４５°と１３５°の範囲（ここで、回転角とは、座席１の初期の位置つまり座席の背もたれが後部座席に対面した位置からの回転角を言う）である。
【００２０】
このような構成によって、搭乗者が必要に応じて車両に乗り込む際に背もたれが立った前部座席１の向きを、他の装置を操作することなく変えることができるので、後部座席への乗り降りは極めて容易になる。
【００２１】
座席の構造を変更せずに最小限の部品を追加することで所望の動きを実現することができるので、上述の実施形態は極めて優れたものである。本発明に基づくケーブルを設置することによるコストの上昇は軽微である。
【００２２】
しかし、本発明の技術的思想の範囲を逸脱せずに、異なる実施形態によって、極めて簡単な操作で車両の後部座席への乗降を容易にすることができることは自明である。
【００２３】
例えば、背もたれ部を座面部に対して倒した直後に、回転板を車両の前方向に滑らせるための機構を設けることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【図１】 本発明に基づく車両の前部座席の側面を示す概念図である。
【図２】 図２ａと２ｂは、背もたれ部を起こした状態と、背もたれ部を座面部に対して半分倒した状態の背もたれ部の一部を示した詳細な側面図である。
【図３】 本発明に基づく回転板の上面を詳細に示す図である。
【図４】 運転する状態に対して４５°回転した座面部と、座面部に対して途中まで倒された状態の背もたれ部を座席の上部から見た図面である。
Claims (5)
- 背もたれ部（２）と、座面部（３）と、背もたれ部の側部（２２）に設けられて背もたれ部を起立した状態から座面部に向かって傾斜させるハンドル（２１）と、座面の下方に設けられた回転板（４）と、回転板に設けられて背もたれ部を起立させた状態で座面部を回転板の回転軸（Ｐ）の回りに回転させる回転レバー（４４）とを有し、
前記ハンドルを回転させるとすぐに回転レバーを回転させて、背もたれ部が座面に向かって傾斜するとすぐに座面を回転板の回転軸の回りに回転させる手段（５、５２、５５）を有し、
前記回転させる手段は、一端（５１）が背もたれ部の後面上に固定され、他端（５４）が回転レバーに固定されたケーブル（５）を有することを特徴とする車両の座席（１）。 - 前記ケーブルはシース（５３）に収容されていることを特徴とする請求項１に記載の座席。
- 回転板の下部に設けられて、回転板の面外方向に延び、端部が車両の床に固定することができるチューブ（４１、４２）を有することを特徴とする請求項１又は２のいずれかに記載の座席。
- 前記回転板の回転軸（Ｐ）は座面の軸（Ｃ）に対してずれていることを特徴とする請求項１ないし３のいずれかに記載の座席。
- 前記請求項１ないし４のいずれかに記載の座席を、好ましくは前席に装備した車両。
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