JP4155025B2 - 開閉体制御装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、開閉体の開閉駆動を制御する開閉体制御装置に関するものであり、例えば、所定開口に対して開閉動作し、所定開口を開放または閉塞自在な開閉ドアや、車両においては乗降者が乗り降りする車両側部に設けられた乗降ドア、車両後部に設けられた後部ドア、車両のサンルーフ等において、開閉体を停止または反転動作させる挟み込み検知機能を有する開閉体制御装置に適用される。
【0002】
【従来の技術】
従来、車両における開閉体制御装置では、安全性の面から開閉体(例えば、車両窓、車両ドア、サンルーフ等)の開動作または閉動作(開閉動作)中に異物(物体や人体等)の挟み込みを検知すると、開閉体の速度低下を検出して、開閉体の開閉動作を停止、又は、反転動作に切り替える挟み込み制御が行われている。例えば、開閉体の開閉駆動をモータにより行い、モータの回転速度をポテンションメータにより検出し、開閉体の閉動作時おけるモータの回転速度が安定した回転速度安定期での速度を基準速度として、ポテンショメータにより検出される開閉体の閉動作時におけるモータの回転速度が基準速度に対して所定値以上に低下した場合に、モータの回転を開動作側に切り替えてモータを反転動作させる挟み込み処理を行っている装置が知られている(例えば、特許文献1を参照)。
【0003】
また、一般的に制御の分野においては、制御系において閉ループを構成し、出力側の信号を入力側に戻し、制御量の値を目標値にフィードバックすることによって、制御量の値と目標値とを比較し、制御量の値を目標値に一致させるフィードバック制御が知られている。
【0004】
【特許文献1】
特開平5−2800253号公報(第1頁)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、開閉体の開閉駆動を行う開閉体制御装置に公知のフィードバック制御を適用すると、以下に示す問題が生じ得る。そこで、図6を参照して、開閉体を電動で駆動した場合の開閉体の開閉動作時における挟み込みについて、一例を説明する。ここでは、全開状態から全閉状態における開閉体の位置に応じて、その位置における目標速度が設定されていると共に、加速度の変化状態に応じた挟み込み判定しきい値が設定されているものとする。コントローラは開閉体を駆動する速度(ドア速度)を検出し、開閉体の速度を目標速度に一致させる様、フィードバック制御がなされるものとする。この場合、閉動作中における挟み込み発生点Pcにて発生すると、開閉体の速度が目標速度に対して急激に低下する。すると、コントローラは開閉体を駆動するモータへの出力を開閉体が目標速度となる様、急激に増加させる。これは、挟み込み発生時においては、コントローラは出力を目標速度となる様に増加させようとするが、挟み込みの影響により開閉体の速度は目標速度に対して追従ができなくなってしまう。その結果、コントローラによるフィードバック制御がなされると、開閉体の速度を目標速度とさせるべく出力を次第に増加させる様に制御される。このことが原因で、挟み込みが発生した場合には挟み込み発生点Pcからのフィードバック制御による出力増加によって、挟み込み荷重が次第に増加してしまうおそれがある。
【0006】
これを解決する為に、挟み込み判定しきい値を、図6の矢印に示す様に、上方に高く設定する(例えば、挟み込み感度を敏感にする)と、下方に設定した場合に比べて挟み込み荷重の増加は抑えられるが、開閉体の開閉動作に外力による負荷が作用(例えば、振動が発生した場合等、その振動によって開閉体の速度が低下)する場合が起こり得る。この場合には、外力による負荷が原因となって、開閉体の状態の変化(例えば、開閉体の動作時における加速度、速度等)が発生して、例えば、図6に示す如く、加速度が低下して挟み込み判定しきい値に到達すると、挟み込み検知点Pdにて挟み込みを誤判定し易くなる。
【0007】
また、図7に示す様に、車両ドアを開閉駆動中、人が開方向もしくは閉方向に車両ドアを勢い良く開け閉めした場合には、車両ドアのドア速度が目標速度に対して急激に上昇する。これを受けて、コントローラはフィードバック制御を行うが、この場合、開閉体の速度が目標速度より高い場合、開閉体の速度を低下させる出力を行うが、この際、目標速度よりも開閉体の速度が高い状態で人の開操作または閉操作がなくなると、次に示す現象が発生する。これは、人による開閉操作がなくなると、ドア速度は目標速度よりも高い状態となっているため、コントローラは出力を急激に減少させることによって、開閉体の速度が急激に減少する。その結果、開閉体の加速度が予め設定されている挟み込み判定しきい値よりも低下してしまい、実際に挟み込みが発生していない状態でも挟み込みの誤判定が発生してしまうおそれがある。
【0008】
よって、本発明は上記した従来の問題点を解消し、開閉体の開閉動作中に挟み込みが発生した場合でも挟み込み荷重を抑え、挟み込みの誤判定を防止すること、また、開閉動作中に外力が作用した場合でも、挟み込みの誤判定を行わないこと、を課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために講じた手段は、車両のバックドア、乗降ドア及びトランクのいずれか一つの開閉体を駆動手段により開閉駆動する出力を行う制御手段を備え、該制御手段は前記開閉体の実速度を検出して該実速度を目標速度と一致させるためのフィードバック制御を行うと共に、前記実速度に基づく前記開閉体の状態の変化である加速度が所定の挟み込み判定しきい値に達したときに、前記開閉体の開閉動作を停止または反転させる開閉体制御装置において、外力付与後の前記フィードバック制御により前記開閉体の前記加速度が減少する場合、該加速度が前記挟み込み判定しきい値よりも低下しないように前記出力の下限値を設定して、フィードバック制御の出力を制限する様にしたことである。
また、開閉体制御装置は、さらに、出力に対して上限値を設定するものであってもよい。
【0010】
上記した手段により、開閉体を開閉駆動する出力に対して上限値または下限値を設定して、フィードバック制御の出力を制限したので、開閉体への出力は上限値以上または下限値以下となることが防止され、開閉体の開閉動作中に挟み込みが発生し、フィードバック制御がなされる場合でも上限値により出力の増加に制限がかかり、所定荷重以上に挟み込み荷重が増加することが防止されると共に、挟み込み判定しきい値を上げて挟み込み感度を敏感にする必要はなくなるので、開閉体の外力による負荷(例えば、開閉体動作時の振動等)による挟み込みの誤判定が防止される。また、開閉体に人為的な操作がなされた場合であっても、フィードバック制御による出力の減少が生じても、下限値よりも出力が低下することが防止され、挟み込みの誤判定が防止される。よって、装置の信頼性が向上する。
【0011】
この場合、出力が上限値以上となった場合(例えば、開閉体の実速度が目標速度に比べて低下した際に、制御手段がフィードバック制御により出力を増加させた場合等)において出力を上限値に設定すれば、開閉体に挟み込みが生じた場合には開閉体の速度が増加しないことから、制御手段はフィードバック制御によって出力を次第に増加させようとするが、出力が上限値以上になると出力が上限値以上に増加しないため、出力の増加に制限がかかり、所定荷重以上に挟み込み荷重が増加することが防止される。
【0012】
また、出力が下限値より低下した場合(例えば、開閉体の実速度が目標速度に比べて増加した際に、制御手段がフィードバック制御により出力を低下させた場合等)において出力を下限値に設定すれば、開閉体を開閉駆動中に、人が開閉体を勢いよく開け閉めした場合には、開閉体の速度が目標速度に対して急激に上昇して、制御手段はフィードバック制御により、制御手段は出力を急激に減少させる。この状態で人の開閉操作力がなくなると、開閉体の速度が急激に減少し、開閉体の加速度が予め設定されている挟み込み判定しきい値よりも低下した場合には、挟み込みの誤判定が発生する。しかし、この様な場合、下限値の設定により、開閉体の速度が急激に低下することを防止することが可能となり、開閉体の状態の変化により、例えば、開閉体の開閉動作時における加速度等が、所定の挟み込み判定しきい値に達することが防止され、実際に挟み込みが発生していない状態で、挟み込みを誤判定することが防止される。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照して説明する。本実施形態におでは、開閉体制御装置10を車両12に適用した場合の一例について説明する。ここで言う開閉体制御装置10とは、車両12の後方に設けられたバックドア1の開閉動作を制御するものであるが、これに限定されるものではなく、例えば、車両の乗降ドア、後部ドア、トランク等の制御にも適用が可能である。
【0014】
そこで、開閉体制御装置10について、図1を参照して説明する。本実施形態に示す開閉制御装置1は車両側に取り付けられた減速機構7を駆動するモータ6からバックドア1を開閉駆動する動力伝達系の構成要素を備える。車両12の後方には、バックドア1が車両の後端に設けられたドアヒンジ1aを介して回動自在に取り付けられている。このバックドア1の閉状態においてドアヒンジ1aの下方位置に、車両12の後方に固定され、バックドアの開動作を補助するダンパ30が設けられており、ダンパ30の反力によってバックドア1は開方向の操作が容易となっている。また、車両12の後方にはバックドア1の開閉動作を駆動するモータ6と、内部に動力伝達を断接するクラッチを備えモータ6の回転を減速する減速機構7と、減速機構7とバックドア1とを連結する連結部材(アーム3bおよびロッド4)が設けられており、モータ6はコントローラ5によって駆動される。モータ6をコントローラ5により駆動すると、減速機構7の出力となるアーム部材3bが駆動され、その後、アーム3bに連結したロッド4が駆動されて、バックドア1が開方向(図1に示す上方)もしくは閉方向(図1に示す下方)に駆動される。
【0015】
この様な構成において、コントローラ5によりバックドア1が閉方向または開方向に駆動されている状態で、バックドア1が開閉を行う軌跡内に異物(例えば、人や物体等)が存在すると、コントローラ5は異物が挟み込まれている状態であるか否かを判断して、挟み込みが発生した状態であると判断した場合、モータ6を瞬時にして停止させることにより、バックドア1の開閉動作を瞬時にして停止させる、若しくは、モータ6の回転を逆転させて、バックドア1を反転動作させる挟み込み判定機能をコントローラ5は備えている。
【0016】
コントローラ5は、内部にマイクロプロセッサを搭載したコントロールユニットであり、上記した挟み込み判定機能の他、バックドア1を開閉動作させる機能を有しており、電動により減速機構内のクラッチをつなげて駆動時にはバックドア1がコントローラ5によって指示された速度(目標速度)となる様な制御がなされる。この場合、コントローラ5は、バックドア1の全閉状態から全開状態までの範囲において開閉位置に応じた目標速度を予めコントローラ内部のメモリに記憶している。コントローラ5はモータ6に対して与えた出力を記憶し、バックドア1の動作する速度(ドア速度)を速度センサもしくはモータ6を駆動する信号に含まれるリップルより検出して、実速度と開閉位置に応じて予め設定されている目標速度とを比較し、その比較結果に基づいてフィードバック制御を行う。そして、コントローラ5は、バックドア1の開閉動作時にバックドア1と車両12との間に異物が挟まれた、若しくは、バックドア1が開動作中にバックドア1の動きを開側で阻害する状態(例えば、バックドア1の開動作によって、バックドア1の外面で異物が挟まれた状態)となったか否かをバックドア1のドア速度に基づく加速度から絶えず監視しており、異物がバックドア1の開閉領域内で挟まれた状態を検出した場合には、バックドア1の開閉動作を瞬時にして停止または反対方向へと反転動作させる。
【0017】
そこで、コントローラ5のドア制御の処理について、図2を参照して説明する。図2に示すフローチャートの説明では、プログラムのステップを単に、「S」と簡略化して説明する。尚、図2に示すドア制御では、バックドア1を電動にて駆動し、バックドア1を開状態から閉状態に駆動する状態について説明する。この場合、バックドア1を電動するための閉スイッチの操作により、減速機構7の内部に設けられたクラッチを接続し、バックドア1を電動駆動する方法、或いは、バックドア1の駆動を電動から手動に切り替える方法およびバックドア1の動作状態の変化(例えば、ドア速度、加速度等)からの挟み込み判定については、公知の方法を用いているため、ここでは説明を省略し、ここでは、フィードバック制御におけるモータ6への出力について、主として説明する。
【0018】
図2に示すドア制御の処理はコントローラの処理のメインルーチン内において所定周期で毎回なされるものであり、このドア制御の処理では、コントローラ5はドア速度に基づいて、フィードバック制御の出力演算を行う(S1)。こで言うフィードバック制御の出力演算とは、図3に示す様に、バックドア1には開閉位置に応じた目標速度が予め決まっており、目標速度とバックドアの移動する速度(ドア速度)Vdとの偏差(=目標速度−ドア速度)Δを求める。そして、その偏差Δに対して比例ゲインKpを掛け合わせると共に、その偏差Δを積分して積分ゲインKiが掛け合わせて演算される。その後、その両者の演算値が加算されて、モータ6への出力OP1がなされる。
【0019】
ドア制御では、S1にて出力演算がなされた後、フィードバック制御による出力OP1が上限値Luより大きいかが判定される(S2)。ここで、出力OP1が上限値Luより大きいと、上限リミッタをかけてリミッタ後の出力OP2を上限値Luに設定する(S3)。一方、出力OP1が上限値Luよりも大きくない場合には、今度は、フィードバック制御による出力OP1が下限値Ldより小さいかが判定される(S4)。ここで、出力OP1が下限値Ldより小さいと、出力OP1に対して下限値Ldにて下限リミッタをかけ、リミッタ後の出力OP2を下限値Ldに設定する(S5)。S2およびS4にて、出力OP1が上限値Luと下限値Ldの範囲内にあると、出力OP2を出力OP1と同じとする(S6)。
【0020】
その後、ドア制御ではS2およびS4の判定によって出力OP2が決定され、コントローラ5は出力OP2にてモータ6を駆動し(S7)、バックドア1を動作させる。この出力OP2に基づいてバックドア1が閉動作を行う場合、モータ6が図1に示す時計方向に駆動され、モータ6が回転するとクラッチの接続により減速機構7により減速された回転がアーム3bを回転動作させる。そして、アーム3bが回転すると、アーム3bに接続されたロッド4が動作し、ロッド4の端部に固定されたバックドア1が閉方向に閉まる。この様にバックドア1が全開状態から全閉状態に閉まる範囲においては、バックドア1の自重による閉まりやダンパ反力を考慮して、バックドア1の開閉速度が一定となる様に、図4に示す如く目標速度を変化させている。この様にして、モータ6に対して出力OP2が与えられると、次に、コントローラ5は挟み込み判定を行う(S8)。例えば、ここでの挟み込み判定では、図4に示す様に、バックドア1の開閉位置に応じて、予めバックドア1の状態の変化(例えば、バックドア1が開閉動作する際における加速度や速度等)から、挟み込みを判定する挟み込み判定しきい値が設定されており、バックドア1の開閉動作中に例えばバックドア1の加速度が低下して、この挟み込み判定しきい値に達する(下まわる)と、コントローラ5は挟み込みが発生したものと判定し、バックドア1の開閉動作を即座にして停止し、反転動作する挟み込みの制御がなされる。
【0021】
つまり、図2に示すフローチャートにおけるS2からS7までの処理では、モータ6を駆動してバックドア1を開閉動作させる出力OP2は、図4に示す様に、バックドア1を目標速度にて略一定の速度(ドア速度)で動作させる場合、モータ6に対して付与する目標出力(理想出力とも言う)から増加方向に上限値Luが設定され、また、減少方向に下限値Ldが同じくバックドア1の開閉範囲全域にわたり設定されている。これによって、フィードバック制御の出力OP1がバックドア1を開閉動作中に、上限値Luより増加した場合には出力OP2は上限値Luに設定されると共に、下限値Ldよりも減少した場合には出力OP2は下限値Ldに設定される為、出力OP2は必ずこの上限値Luと下限値Ldの範囲内で出力されるものとなる。
【0022】
バックドア1の閉動作中に挟み込み発生点Pcにて挟み込みが発生すると、図4に示す如く、バックドア1のドア速度が目標速度に対して急激に低下する。すると、フィードバック制御によって、コントローラ5はバックドア1を駆動するモータ6への出力OP1をドア目標速度とする様、急激に増加させる。この時点では既に挟み込み発生点Pcにて挟み込みが発生している為に、バックドア1のドア速度は目標速度に対して増加しない現象が現れる。その結果、更なるフィードバック制御によって、コントローラ5はバックドア1のドア速度を目標速度と一致させるべく出力OP1を次第に増加させるが、この場合、出力OP1に対して上限リミッタをかけることによって、コントローラ5によって出力OP1は上限値Luをこえると、出力OP2が上限値Luに設定され、出力OP2は上限値Luよりも増加することがなくなる。これによって、挟み込みが発生した場合にはフィードバック制御に起因する出力増加があっても、モータ6への出力OP2が必ず上限値Luまでの範囲内に制限されるので、出力OP1に対して上限リミッタを設けない場合よりも挟み込み荷重が増加せず、挟み込み発生をバックドア1の状態変化から加速度の低下によって、加速度が挟み込み判定しきい値よりも低下した挟み込み検知点Pdにて挟み込みが発生したものとして、挟み込みの発生を正確に判定することができる。
【0023】
また、出力OP1に対して上限リミッタを設けてモータ制御を行うと、挟み込み検知時において加速度の急激な低下の後に現れるバックドア1の挟み込み面での挟み込み荷重を受けた場合における物体の変形に伴うバックドア1の加速度の上昇を防止することができるので、より正確に挟み込みを判定することができる。
【0024】
バックドア1は電動にて動作させる場合、特別な外力(例えば、人による操作力等)が作用しなければ、ドア速度は略一定となりそれ程に乱れないが、外力の作用によって、バックドア1が予め位置により設定されている目標速度よりも遥かに加速した状態となった場合、上記した出力OP2の下限リミッタが有効に機能する。
【0025】
本実施形態では、バックドア1を電動による開閉駆動中にこの様な人為的な外力による挟み込みの誤判定を防止する。
【0026】
また、人為的な操作により、電気的に開閉動作中のバックドア1を勢い良く開け閉めした場合には、バックドア1のドア速度が位置によって決まっている目標速度に対して急激に上昇する。これによって、コントローラ5はフィードバック制御を行い、バックドア1のドア速度が目標速度より高い場合に、バックドア1のドア速度を低下させる出力OP1を行う。この際、目標速度よりもバックドア1のドア速度に方が高い状態にあり、この状態ではバックドア1のドア速度は目標速度よりも高くなっている為、コントローラ5は出力OP1を急激に減少させる。この状態で人為的な開け閉めの操作がなくなると、バックドア1のドア速度が急激に減少する。しかし、本実施形態ではこの様な場合に、出力OP1の低下に対して下限リミッタとなる下限値Ldを設定しており、出力OP1が下限値Ldよりも低下した場合には、モータ6に対して与える出力OP2を下限値Ldとしている。これによって、出力OP1に下限リミッタの制限が与えられるので、バックドア1の加速度に対して予め設定されている挟み込み判定しきい値よりも低下することを下限値Ldの設定により防止することができ、実際に挟み込みが発生していない状態で、コントローラ5が挟み込みを誤判定することを有効に防止することができる。
【0027】
本実施形態においては、目標速度は位置により決定されたものとしたが、これに限定されるものではなく、ドア速度から決定されても良い。また、上限値Luや下限値Ldはバックドア1の開閉領域において、任意の位置に設定しても良い。
【0028】
【発明の効果】
本発明によれば、開閉体を開閉駆動する出力に対して上限値または下限値を設定して、フィードバック制御の出力を制限したので、開閉体への出力は上限値以上または下限値以下とならず、開閉体の開閉動作中に挟み込みが発生した場合にフィードバック制御がなされる場合でも上限値または下限値による制限がかかり、所定荷重以上に挟み込み荷重が増加することを防止することができ、安全性を向上させることができる。また、挟み込み判定しきい値を上げて挟み込み感度を敏感にする必要はなくなるので、開閉体の外力による負荷(例えば、開閉体動作時の振動等)による挟み込みの誤判定を防止することができる。
【0029】
この場合、実速度が目標速度に比べて低下した場合に、制御手段はフィードバック制御により出力を増加させるが、上限値以上となった場合には、出力を上限値に設定すれば、開閉体に挟み込みが生じた場合等において開閉体の速度が挟み込みにより増加しないことから、制御手段はフィードバック制御によって出力を次第に増加させようとするが、出力が上限値以上になると出力の増加に制限がかかり、所定荷重以上に挟み込み荷重が増加することを防止することができる。
【0030】
また、実速度が目標速度に比べて増加した場合には、制御手段はフィードバック制御により出力を低下させるが、下限値より低下した場合に、出力を下限値に設定する。開閉体を開閉駆動中に、人が開閉体を勢いよく開け閉めした場合には、開閉体の速度が目標速度に対して急激に上昇して、制御手段はフィードバック制御により、制御手段は出力を急激に減少させる。この時、人為的な開閉体の開閉操作がなくなると、開閉体の速度が急激に減少する。しかしこの様な場合であっても、出力の低下が下限値により規制され、その結果、開閉体の加速度が予め設定されている挟み込み判定しきい値よりも低下することを防止することができ、実際に挟み込みが発生していない状態において、制御手段が挟み込みを誤判定することを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施形態における開閉体制御装置を車両のバックドアに適用した場合の車両への取り付け図である。
【図2】 図1に示すコントローラのドア制御におけるフローチャートである。
【図3】 図2に示すフィードバック制御のブロック図である。
【図4】 本発明の一実施形態における開閉体制御装置の閉方向へのドア制御時における挟み込みの状態を示したターミングチャートである。
【図5】 本発明の一実施形態における開閉体制御装置の閉方向へのドア制御時に外力が作用した状態を示したターミングチャートである。
【図6】 従来における開閉体制御装置の閉方向へのドア制御時における挟み込みの状態を示したターミングチャートである。
【図7】 従来における開閉体制御装置の閉方向へのドア制御時に外力が作用した状態を示したターミングチャートである。
【符号の説明】
1 バックドア(開閉体)
4 ロッド(駆動手段)
5 コントローラ(制御手段)
6 モータ(駆動手段)
7 減速機構(駆動手段)
Lu 上限値
Ld 下限値

Claims (4)

  1. 車両のバックドア、乗降ドア及びトランクのいずれか一つの開閉体を駆動手段により開閉駆動する出力を行う制御手段を備え、該制御手段は前記開閉体の実速度を検出して該実速度を目標速度と一致させるためのフィードバック制御を行うと共に、前記実速度に基づく前記開閉体の状態の変化である加速度が所定の挟み込み判定しきい値に達したときに、前記開閉体の開閉動作を停止または反転させる開閉体制御装置において、外力付与後の前記フィードバック制御により前記開閉体の前記加速度が減少する場合、該加速度が前記挟み込み判定しきい値よりも低下しないように前記出力の下限値を設定して、フィードバック制御の出力を制限することを特徴とする開閉体制御装置。
  2. 前記出力に対して上限値を設定するものである請求項1に記載の開閉体制御装置。
  3. 前記出力が前記上限値以上となった場合に、前記出力を上限値に設定することを特徴とする請求項2に記載の開閉体制御装置。
  4. 前記出力が前記下限値以上となった場合に、前記出力を下限値に設定することを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一項に記載の開閉体制御装置。
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