JP4154114B2 - 電子制御燃料噴射装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、内燃機関(以下、単にエンジンと称す)へ燃料を供給するために適用される電子制御燃料噴射装置に関し、特に、二輪車等に搭載されるエンジンに適用される電子制御燃料噴射装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、自動車等に搭載される4サイクルのガソリンエンジン、特に、4気筒、6気筒、8気筒等の多気筒で総排気量が1000cc〜4000cc位の比較的大排気量のガソリンエンジンにおいては、排出ガス規制等に対処した燃費向上あるいは運転性向上等の観点から、燃料の噴射時期、噴射量すなわち噴射時間等を電子回路によって制御する電子制御燃料噴射装置が採用されている。
【0003】
この電子制御燃料噴射装置としては、例えば、図23に示されるように、エンジン1の吸気マニホールド2内の吸気通路に対し、下流に向けて傾斜させて取り付けられた電磁弁式のインジェクタ3により、エンジン1の吸気ポートに向けて燃料を噴射するポート噴射式のものが知られている。このポート噴射式の電子制御燃料噴射装置においては、図示するように、燃料タンク4内の燃料(ガソリン)は、内部に収容されたインタンク式の燃料ポンプ5、例えば、円周流式の燃料ポンプにより加圧されて送り出され、途中、高圧フィルタ6を経て、高耐圧性の燃料フィードパイプ7及びデリバリパイプ(不図示)からインジェクタ3に供給される。
【0004】
一方、燃料フィードパイプ7により導かれた燃料は、燃圧レギュレータ8にも送られ、インジェクタ3から噴射された燃料以外の余剰の燃料は、燃料リターンパイプ9を通って再び燃料タンク4に戻される。これにより、インジェクタ3の上流に位置する燃料の圧力(燃圧)が、所定の高圧値に維持される。このように、燃料の圧力を高圧に維持することにより、高温時等におけるベーパの発生を抑制し、又、インジェクタ3から噴射される燃料噴霧の微粒化を行なっている。
【0005】
また、この電子制御燃料噴射装置は、エンジン1の状態を適宜検出するべく、エンジン回転速度センサ10、水温センサ11、O2センサ12、吸気圧センサ13、スロットルセンサ14、空気流量センサ15、吸気温センサ16等を備えており、これらのセンサにて検出されたエンジン1の運転情報に基づいて、電子回路を備えたコントロールユニット(ECU)17が、その時々の最適な燃料噴射量すなわち燃料噴射時間及び燃料噴射時期を計算し、インジェクタ3に伝達する。これにより、インジェクタ3からの燃料の噴射時間及び噴射時期が、エンジン1の運転状態に応じて最適に制御されるようになっている。
【0006】
一方、二輪車又は同等の車両あるいはその他の発動装置等に搭載される比較的排気量の小さいエンジン、例えば、1気筒当りの排気量が50cc〜250cc程度のエンジンにおいては、排出ガス規制等もそれほど厳しくなかったこともあって、圧力により燃料の噴出量を制御するキャブレータ(気化器)等を用いた燃料噴出装置が従来から採用されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、最近の地球温暖化防止あるいは環境保護等の一環として、このような小排気量のエンジンにおいても、燃費低減等による二酸化炭素、炭化水素等の排出量を低減するべく、燃焼のきめ細かい制御が必要となってきている。
そこで、従来のキャブレータに代え、既存の電子制御燃料噴射装置と同様のシステムを適用して、排気量の大きい自動車搭載用エンジンと同様に最適な燃料噴射を行なわせようとすると、以下のような問題が生じる。
【0008】
第1に、従来の燃料ポンプ5及びインジェクタ3を用いた電子制御制御燃料噴射装置では、燃料の噴射量等を制御する際に、時間あるいは面積のいずれか一つを制御パラメータとしているため、制御の自由度すなわち制御幅が狭く、その用途目的等から運転性能を重視しつつ、燃焼の最適な制御を行なう必要がある二輪車等に搭載のエンジンにおいては、好ましいものではない。
【0009】
第2に、従来の燃料ポンプ5は、円周流式のものであり、ポンプ部及びモータ部等を備えた比較的大型で複雑な構造をなし、又、一般に燃料タンク4内に配置するインタンク配置方式を採用するため、例えば、燃料タンクの形状及び大きさに制約のある二輪車用エンジンに対して適合させるのは困難である。
第3に、燃料ポンプ5からインジェクタ3までの燃料フィードパイプ7には、高圧の燃料が満たされることになるため、転倒等を考慮しなければならない二輪車搭載のエンジンにおいては、安全性の観点から望ましいものではない。
【0010】
第4に、高圧にて燃料を供給する従来のシステムでは、燃料ポンプ5そのものの消費電力が大きく、又、燃圧レギュレータ8を介して大流量の燃料を還流させる必要もあることから、全体としての消費電力がさらに大きくなる。従って、消費電力を小さくすることが要求される二輪車等に搭載されるエンジンに対しては好ましくない。
第5に、高圧にて燃料を供給する従来のシステムでは、高耐圧性が要求され、構成部品の材料費、製造の際の高品質管理等をも含めて一般に高価になる。従って、低コスト化が望まれる二輪車搭載のエンジンに対しては好ましくない。
【0011】
本発明は、上記従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、低消費電力化、低コスト化、小型化、小スペース化等を図りつつ、小排気量のエンジン例えば二輪車等に搭載されるエンジンに対して、運転性能を確保しつつ排気ガス対策をも行なえるような、きめ細かい制御による最適な燃焼状態をもたらすことのできる電子制御燃料噴射装置を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る第1の電子制御燃料噴射装置は、エンジンの吸気通路内に燃料を噴射する電子制御燃料噴射装置であって、電磁力を駆動源として燃料タンクから導かれた燃料を圧送する容積型の電磁駆動ポンプと、この電磁駆動ポンプにより圧送された燃料を通過させるオリフィス部を有する入口オリフィスノズルと、この入口オリフィスノズルを通過した燃料のうち所定流量の燃料を燃料タンクに向けて還流するべく燃料を通過させるオリフィス部を有する出口オリフィスノズルと、入口オリフィスノズルを通過した燃料と出口オリフィスノズルを通過した燃料との差分の燃料を吸気通路内に向けて噴射する噴射ノズルと、電磁駆動ポンプをエンジンのサイクルに応動させて制御する制御手段と、を有することを特徴としている。
この構成によれば、制御手段により電磁駆動ポンプに所定の駆動信号が発せられると、生起された電磁力により電磁駆動ポンプが作動して、所定量の燃料を圧送する。そして、圧送された燃料は、入口オリフィスノズルを通過して駆動信号に応じた流量(圧力)に調整され、続いて、この入口オリフィスノズルから流出した燃料の一部が、出口オリフィスノズルを通過して燃料タンクへ還流される。一方、入口オリフィスノズルを通過した燃料と出口オリフィスノズルを通過した燃料との差分の燃料が、噴射ノズルから吸気通路内に向けて噴射される。
ここで、入口オリフィスノズルは、燃料流量を前後の圧力差で検出するセンサの役割をなし、又、出口オリフィスノズルは、入口オリフィスノズルの流量特性において、小流量域の非線形性の強い領域を使わないようにするために、入口オリフィスノズルを流れる流量にバイアスをかける役割をなす。
【0013】
上記構成において、電磁駆動ポンプとしては、燃料の通路を形成する筒体と、この筒体の通路内に密接して所定範囲内を往復動自在に配置されかつ往復動方向に貫通する燃料通路を有するプランジャと、このプランジャの燃料通路を閉塞するように付勢されかつプランジャの一方向への移動により燃料通路を開放するように配置された第1チェックバルブと、筒体に支持されかつプランジャを往復動方向において付勢する弾性体と、プランジャよりも燃料の流れ方向下流側に配置されて筒体の通路を閉塞するように付勢されかつプランジャの他方向への移動により筒体の通路を開放するように配置された第2チェックバルブと、プランジャに対して電磁力を付与するソレノイドコイルと、を有する構成を採用することができる。
この構成によれば、弾性体により筒体内の所定位置にて保持された休止位置から、ソレノイドコイルの励磁作用によりプランジャが(他方向への)往動作を開始すると、第2チェックバルブが筒体の通路を開放して、燃料が入口オリフィスノズルに向けて圧送されることになる。一方、所定位置まで達したプランジャが(一方向への)復動作を開始すると、第2チェックバルブが筒体の通路を閉塞すると同時に、第1チェックバルブがプランジャの燃料通路を開放して、プランジャの背後すなわち下流側に向けて燃料が吸引される。このように、プランジャの往復動作により、所定圧力の燃料が入口オリフィスノズルに向けて圧送される。
【0014】
また、本発明に係る第2の電子制御燃料噴射装置は、エンジンの吸気通路内に燃料を噴射する電子制御燃料噴射装置であって、電磁力を駆動源として燃料タンクから導かれた燃料を圧送する容積型の電磁駆動ポンプと、電磁駆動ポンプによる圧送行程のうち所定の初期領域において所定の圧力以上に与圧された燃料を燃料タンクに向けて還流する還流通路と、圧送行程のうち初期領域以外の後期領域において還流通路を閉塞する弁体と、圧送行程の後期領域において所定の圧力に加圧された燃料を通過させるオリフィス部を有する入口オリフィスノズルと、入口オリフィスノズルを通過した燃料のうち所定流量の燃料を燃料タンクに向けて還流するべく燃料を通過させるオリフィス部を有する出口オリフィスノズルと、入口オリフィスノズルを通過した燃料と出口オリフィスノズルを通過した燃料との差分の燃料を吸気通路内に向けて噴射する噴射ノズルと、電磁駆動ポンプをエンジンのサイクルに応動させて制御する制御手段と、を有することを特徴としている。
この構成によれば、電磁駆動ポンプによる圧送行程の初期領域において、所定の圧力以上に与圧されたベーパ混じりの燃料が、還流通路を介して燃料タンクに還流される。そして、圧送行程の後期領域において、弁体が還流通路を閉塞しつつ、燃料は所定の圧力に昇圧されて入口オリフィスノズルを通過し駆動信号に応じた流量(圧力)に調整(計量)される。続いて、この入口オリフィスノズルから流出した燃料の一部が、出口オリフィスノズルを通過して燃料タンクへ還流される。一方、入口オリフィスノズルを通過した燃料と出口オリフィスノズルを通過した燃料との差分の燃料が、噴射ノズルから吸気通路内に向けて噴射される。このように、入口オリフィスノズルにより計量される前に、ベーパ混じりの燃料が燃料タンクに向けて還流されるため、特に高温時において燃料噴射量の制御が安定する。
【0015】
さらに、本発明に係る第3の電子制御燃料噴射装置は、エンジンの吸気通路内に燃料を噴射する電子制御燃料噴射装置であって、電磁力を駆動源として燃料タンクから導かれた燃料を圧送する容積型の電磁駆動ポンプと、電磁駆動ポンプによる圧送行程のうち所定の初期領域において所定の圧力以上に加圧された燃料を燃料タンクに向けて還流する還流通路と、圧送行程のうち初期領域以外の後期領域において還流通路を閉塞する弁体と、圧送行程の後期領域において所定の圧力に加圧された燃料を通過させるオリフィス部を有する入口オリフィスノズルと、入口オリフィスノズルを通過した燃料を所定の圧力以上のとき吸気通路内に向けて噴射する噴射ノズルと、電磁駆動ポンプをエンジンのサイクルに応動させて制御する制御手段と、を有することを特徴としている。
この構成によれば、電磁駆動ポンプによる圧送行程の初期領域において、所定の圧力以上に与圧されたベーパ混じりの燃料が、還流通路を介して燃料タンクに還流される。そして、圧送行程の後期領域において、弁体が還流通路を閉塞しつつ、燃料は所定の圧力に昇圧されて入口オリフィスノズルを通過し駆動信号に応じた流量(圧力)に調整(計量)される。続いて、この入口オリフィスノズルから流出した燃料が所定の圧力以上になると、噴射ノズルから吸気通路内に向けて噴射される。このように、入口オリフィスノズルにより計量される前に、ベーパ混じりの燃料が燃料タンクに向けて還流されるため、特に高温時において燃料噴射量の制御が安定する。
【0016】
上記両構成において、電磁駆動ポンプは、燃料の通路を形成する筒体と、筒体の通路内に密接して所定範囲内を往復動自在に配置されると共に一方向への移動により燃料を吸引しかつ他方向への移動により吸引した燃料を圧送するプランジャと、プランジャを往復動方向において付勢する弾性体と、プランジャにより圧送される燃料が所定の圧力以上のときに入口オリフィスノズルへ連通する燃料の通路を開放する出口チェックバルブと、プランジャに対して電磁力を付与するソレノイドコイルとを有し、上記プランジャには、その往復動方向において貫通するように上記還流通路が形成されると共に還流通路を閉塞するように付勢されかつ圧送される燃料が所定の圧力以上のときに開放する与圧バルブが設けられ、上記弁体は、圧送行程の初期領域において還流通路を開放しかつ圧送行程の後期領域において還流通路を閉塞すると共に後期領域の途中から出口チェックバルブを開放させるべく、プランジャの往復動方向において往復動自在に配置されたスピル弁からなる、構成を採用することができる。
この構成によれば、プランジャによる圧送行程の初期領域において、吸引された燃料が所定の圧力以上になると、与圧バルブがプランジャに形成された還流通路を開放して、ベーパ混じりの燃料が燃料タンクに向けて還流される。そして、プランジャがさらに移動し圧送行程の後期領域に入ると、スピル弁が還流通路を閉塞すると共に燃料はさらに加圧される。続いて、スピル弁が出口チェックバルブを移動させて燃料通路を開放させ、加圧された燃料は入口オリフィスノズルを通過する。
【0017】
また、上記両構成において、電磁駆動ポンプは、燃料の通路を形成する筒体と、筒体の通路内に密接して所定範囲内を往復動自在に配置されると共に一方向への移動により燃料を吸引しかつ他方向への移動により吸引した燃料を圧送するプランジャと、プランジャを往復動方向において付勢する弾性体と、プランジャにより圧送される燃料が所定の圧力以上のときに入口オリフィスノズルへ連通する燃料の通路を開放する出口チェックバルブと、プランジャに対して電磁力を付与するソレノイドコイルとを有し、上記還流通路は筒体の外側に形成されており、この還流通路には、その通路を閉塞するように付勢されてプランジャにより圧送される燃料が所定の圧力以上のときにその通路を開放する与圧バルブが設けられ、上記筒体には、還流通路に連通するスピルポートが形成され、上記弁体は、圧送行程の初期領域においてスピルポートを開放しかつ圧送行程の後期領域においてスピルポートを閉塞する上記プランジャからなる、構成を採用することができる。
この構成によれば、プランジャによる圧送行程の初期領域において、吸引された燃料が所定の圧力以上になると、与圧バルブが筒体の外側に形成された還流通路を開放して、ベーパ混じりの燃料が筒体の側壁に形成されたスピルポートから流出して燃料タンクに向けて還流される。そして、プランジャがさらに移動し圧送行程の後期領域に入ると、このプランジャ(の外周面)がスピルポートを閉塞すると共に燃料はさらに加圧される。そして、所定の圧力以上に加圧されると出口チェックバルブが燃料通路を開放し、加圧された燃料は入口オリフィスノズルを通過する。
【0018】
上記第2及び第3の電子制御燃料噴射装置に係る構成において、還流通路は、噴射ノズルによる燃料の噴射方向と逆向きの方向に燃料を還流するように形成されている、構成を採用することができる。
この構成によれば、燃料の噴射方向と逆向きに還流が行なわれるため、燃料に混じり込んだベーパを積極的に排出させることができる。特に、噴射方向が鉛直方向略下向きの場合、還流方向は鉛直方向略上向きとなるため、ベーパは浮力により積極的に排出される。
【0019】
上記第1及び第2の電子制御燃料噴射装置に係る構成において、噴射ノズルとしては、上記入口オリフィスノズル及び出口オリフィスノズルに連通する燃料通路を画定する筒体と、この筒体の内部に往復動自在に配置されて燃料の噴射通路を開閉する弁体と、燃料の噴射通路を閉塞するように弁体を所定の付勢力にて付勢する付勢スプリングと、を有する構成を採用することができる。
この構成によれば、入口オリフィスノズルから所定圧力の燃料が筒体に流入し、一方、出口オリフィスノズルからは所定流量の燃料が流出して燃料タンクに還流される。ここで、入口オリフィスノズルから流入する燃料が増加して筒体内の圧力が増加すると、付勢スプリングの付勢力に抗して弁体が移動して噴射通路を開放し、噴射ノズルから燃料が噴射される。これにより、筒体内の圧力が一定に維持される。すなわち、入口オリフィスノズルから流入した燃料と出口オリフィスノズルから流出した燃料との差分の燃料が、噴射燃料として噴射ノズルから噴射される。
【0020】
上記第3の電子制御燃料噴射装置に係る構成において、噴射ノズルは、入口オリフィスノズルから流入した燃料を導く燃料通路を画定する筒体と、筒体の内部に往復動自在に配置されて燃料の噴射通路を開閉する弁体と、燃料の噴射通路を閉塞するように弁体を所定の付勢力にて付勢する付勢スプリングとを有する、構成を採用することができる。
この構成によれば、入口オリフィスノズルから所定圧力の燃料が筒体に流入し、この筒体内でさらに所定の圧力まで昇圧されると、付勢スプリングの付勢力に抗して弁体が移動して噴射通路を開放し、噴射ノズルから燃料が噴射される。
【0021】
上記構成において、噴射ノズルには、噴射される燃料の微粒化をアシストするためのアシストエアを通過させるアシストエア通路を設けた、構成を採用することができる。
この構成によれば、噴射ノズルから燃料が噴射される際に、アシストエア通路を通って噴出するエア(空気)が噴射燃料を撹乱して、噴射燃料の微粒化が促進される。
【0022】
さらに、上記構成において、噴射ノズルには、付勢スプリングの付勢力を調節する調節手段を設けた、構成を採用することができる。
この構成によれば、調節手段により付勢スプリングの付勢力を適宜調節することで、弁体の開弁圧(リリーフ圧)が所望の値に調整される。
【0023】
上記第1及び第2の電子制御燃料噴射装置に係る構成において、噴射ノズルには、燃料通路の途中に逆流を防止する逆流防止弁を設けた、構成を採用することができる。
この構成によれば、逆流防止弁よりも上流側の燃料通路内における燃料の圧力が高められて所定値に保持され、ベーパの発生が抑制される。また、燃料通路から出口オリフィスノズルに向かって下流側に導かれたベーパの逆流が防止され、ベーパの排出が効率良く行なわれる。
【0024】
上記構成において、噴射ノズルには、上記逆流防止弁の開弁圧を調整するアジャスタを設けた、構成を採用することができる。
この構成によれば、アジャスタを調整することにより、逆流防止弁の開弁圧が適宜所望の値に調整される。
【0025】
上記第1及び第2の電子制御燃料噴射装置に係る構成において、噴射ノズルには、入口オリフィスノズル及び出口オリフィスノズルに連通する燃料通路を、弁体により開閉される噴射通路の近傍を経由して一方向に燃料を流すような一つの通路として形成した、構成を採用することができる。
この構成によれば、入口オリフィスノズルから流入した燃料は、弁体により開閉される噴射通路の近傍まで導かれ、必要により噴射され、又、噴射されない燃料は出口オリフィスノズルに向かって下流側に流れることになる。このように、燃料が一方向の流れを形成することで、ベーパの滞留が防止され、又、燃料による噴射ノズルの冷却がなされる。
【0026】
上記構成において、電磁駆動ポンプと噴射ノズルとが、一体的に結合された、構成を採用することができる。
この構成によれば、従来のインジェクタのように、電磁駆動ポンプと噴射ノズルとが、一つモジュールとして取り扱われ、取り扱い上の利便性に寄与することになる。
【0027】
上記構成において、制御手段としては、電磁駆動ポンプのソレノイドコイルに通電する電流及び通電する時間の二要素を少なくとも制御パラメータとする、構成を採用することができる。
この構成によれば、ソレノイドコイルに通電する電流すなわち電流から電磁力を介して変換される燃料の圧力と通電時間との二要素が少なくとも制御パラメータとされるため、従来のような時間だけの一要素制御に比べて、所望のきめ細かい燃料噴射パターンを形成することができ、又、制御幅が大きくなり、過渡応答性も有利になる。
【0028】
上記第3の電子制御燃料噴射装置に係る構成において、制御手段は、電磁駆動ポンプに通電する時間のみを制御パラメータとする、構成を採用することができる。
この構成によれば、予め設定された電流が所定の時間通電されることにより、プランジャが予めベーパを排出した燃料の圧送動作を行ない、比較的高圧の燃料が入口オリフィスノズルを通過する。それ故に、入口オリフィスノズルは線形性の良好な領域で使用されることになる。そして、入口オリフィスノズルを通過して計量された燃料はさらに所定の圧力に昇圧されて弁体が噴射通路を開放し、燃料が噴射される。
【0029】
上記第1及び第2の電子制御燃料噴射装置に係る構成において、制御手段は、電磁駆動ポンプに対して、所定レベルの電流からなる基本パルスに、この所定レベルよりも小さい電流からなる補助パルスを重畳した重畳駆動を行なう、構成を採用することができる。
この構成によれば、電磁駆動ポンプの駆動に際し、基本パルスに補助パルスが重畳されて駆動されるため、出口オリフィスノズルから還流される燃料が増加し、混入したベーパが効率良く排出される。
【0030】
また、上記構成において、制御手段としては、電磁駆動ポンプを構成するプランジャの少なくとも圧送行程時にソレノイドコイルへの通電を行なう、構成を採用することができる。
この構成によれば、ソレノイドコイルの励磁作用により、プランジャが圧送動作を開始して燃料の吐出を行なうことになるが、その際の通電電流及び通電時間を適宜調整することで、燃料の吐出量と混合状態(均一混合又は不均一混合)をきめ細かに制御することができる。
【0031】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、添付図面に基づき説明する。
図1は、本発明に係る第1の電子制御燃料噴射装置の一実施形態を示す概略構成図である。この実施形態に係る電子制御燃料噴射装置は、図1に示すように、二輪車の燃料タンク20内の燃料を圧送する電磁駆動ポンプとしてのプランジャポンプ30と、エンジンの一部を構成する吸気マニホールド21の吸気通路21a内に燃料を噴射する噴射ノズル50と、プランジャポンプ30よりも下流側で噴射ノズル50よりも上流側に配置されかつ噴射ノズル50に一体的に結合された入口オリフィスノズル60と、噴射ノズル50と燃料タンク20との間に配置されかつ噴射ノズル50に一体的に結合された出口オリフィスノズル70と、エンジンの運転情報に基づいてプランジャポンプ30等に制御信号を発する制御手段としての駆動ドライバ80及びコントロールユニット(ECU)90等を、その基本構成として備えている。
【0032】
また、その他の構成として、エンジンの運転状態を検出するためのセンサとして、クランクシャフトの回転速度を検出する回転速度センサ、エンジンの冷却水の温度を検出する水温センサ、吸気通路21a内の吸気の圧力を検出する圧力センサ、吸気マニホールド21に接続されて吸気通路21aの一部を形成するスロットルボデー100におけるスロットルバルブ101の開度を検出するスロットル開度センサ(いずれも不図示)等を備えている。
尚、この他に、排気マニホールド内における酸素の量を検出するO2センサ、吸気通路における空気流量を検出する空気流量センサ、吸気通路内の吸気の温度を検出する吸気温センサ(いずれも不図示)等を備えていてもよい。
【0033】
ここで、燃料経路について説明すると、燃料タンク20と入口オリフィスノズル60との間が、燃料フィードパイプ110により接続されており、この燃料フィードパイプ110の途中に、上流側から低圧フィルタ120及びプランジャポンプ30がインライン形式で接続されている。
従って、燃料タンク20内に配置された燃料フィルタ(不図示)及び低圧フィルタ120を経由した燃料が、プランジャポンプ30により圧送されて入口オリフィスノズル60を通過し、噴射ノズル50に供給される。
【0034】
また、出口オリフィスノズル70と燃料タンク20との間は、燃料リターンパイプ130により接続されており、後述する所定流量の燃料が、この燃料リターンパイプ130を介して燃料タンク20に還流される。
【0035】
このように、燃料供給系として、インライン配置可能なプランジャポンプ30を採用することにより、二輪車等に搭載されるエンジンに適用する際に、レイアウトあるいは設計の自由度が増加し、又、従来の燃料タンク等をそのまま流用できるため、全体としてのコストを低減することができる。
【0036】
ここで、プランジャポンプ30について説明すると、この燃料ポンプは電磁駆動の容積型ポンプであり、図2に示すように、円筒状をなす筒体としてのシリンダ31の外周にコア32が結合されており、このコア32の外周にソレノイドコイル33が巻回されている。シリンダ31の内部には、所定の長さをもつ可動体としてのプランジャ34が密接して挿入されており、このシリンダ31内を軸方向に摺動して往復動自在となっている。
【0037】
このプランジャ34には、その往復動方向(軸線方向)に貫通した燃料通路34aが形成されており、又、その一端側(燃料の流れ方向下流側)には燃料通路34aを径方向に拡大した拡張部34bが形成されている。そして、この拡張部34b内には、第1チェックバルブ35及びこの第1チェックバルブ35を上流側すなわち燃料通路34aに向けて付勢する第1コイルスプリング36が配置されており、この拡張部34bの外側端部に、プランジャ34の一部を形成すると共に中央部に燃料通路を有するストッパ34cが嵌合され、このストッパ34cの端面により第1コイルスプリング36の一端側が保持されている。
【0038】
すなわち、プランジャの燃料通路34aは、第1コイルスプリング36により付勢された第1チェックバルブ35により、常時閉塞されるようになっており、第1チェックバルブ35を挟む両側の空間(燃料通路34aと拡張部34b)に所定以上の圧力差(燃料通路34a側の圧力>拡張部34b側の圧力)が生じた時に、第1チェックバルブ35が燃料通路34aを開放するようになっている。尚、第1チェックバルブ35としては、図示するように球状のものに限らず、半球状のものあるいは円盤状のものでもよく、又、材質はゴムあるいは鋼材であってもよい。
【0039】
また、このシリンダ31の両端部には、第1支持部材37及び第2支持部材38がそれぞれ装着されており、第1支持部材37とプランジャ34の一端部との間には第2コイルスプリング39が配置され、第2支持部材38とプランジャ34の他端部(ストッパ34c)との間には第3コイルスプリング40が配置されている。この第2コイルスプリング39及び第3コイルスプリング40が、プランジャ34を往復動方向において付勢する弾性体を形成している。
【0040】
第1支持部材37は、径方向に拡張する鍔部37aをもった筒状体として形成されてその内部に燃料通路37bを画定しており、その鍔部37aをシリンダ31の一端面に当接させた状態で、シリンダ31内に嵌合されている。
【0041】
第2支持部材38は、鍔部38aをもった筒状体として形成されてその内部に燃料通路38bを画定する外側筒部38cと、同様に燃料通路38bを画定すると共にこの外側筒部38cに対して嵌合される内側筒部38dとにより形成されている。この外側筒部38cは、その鍔部38aをシリンダ31の他端面に当接させた状態で、シリンダ31内に嵌合されている。
【0042】
また、外側筒部38cの内部には、縮径部38eが形成されており、その一端面に第3コイルスプリング40が当接されている。さらに、内側筒部38dの内部には、座ぐり部38fが形成されており、この座ぐり部38fの端面と縮径部38eの他端面とにより画定される空間には、球状の第2チェックバルブ41及びこの第2チェックバルブ41を上流側すなわち縮径部38eに向けて付勢する第4コイルスプリング42が配置されている。
【0043】
すなわち、燃料通路38bは、第4コイルスプリング42により付勢された第2チェックバルブ41により、常時閉塞されるようになっており、第2チェックバルブ41を挟む両側の空間に所定以上の圧力差(上流側の圧力>下流側の圧力)が生じた時に、第2チェックバルブ41が燃料通路38bを開放するようになっている。尚、第2チェックバルブ41としては、図示するように球状のものに限らず、半球状のものあるいは円盤状のものでもよく、又、材質はゴムあるいは鋼材であってもよい。
【0044】
さらに、第1支持部材37及びシリンダ31の外側には、これらを取り囲むように、オーリング43を介して外側コア44が結合されており、この外側コア44には、軸方向に貫通する燃料通路44aが形成されており、又、その外側領域には入口パイプ45が嵌合されている。
また、第2支持部材38及びシリンダ31の外側には、これらを取り囲むように、オーリング46を介して外側コア47が結合されており、この外側コア47には、軸方向に貫通する燃料通路47aが形成されており、又、その外側領域には出口パイプ48が嵌合されている。
【0045】
上記構成においては、入口パイプ45の内部通路、外側コア44の燃料通路44a、第1支持部材37の燃料通路37b、シリンダ31の内部通路、プランジャ34の燃料通路34a、第2支持部材38の燃料通路38b、外側コア47の燃料通路47a、及び出口パイプ48の内部通路により、全体としての燃料通路が形成されている。
【0046】
また、上記構成においては、ソレノイドコイル33が通電されない休止状態で、プランジャ34は、お互いに拮抗する第2コイルスプリング39と第3コイルスプリング40との付勢力が釣り合った位置(図2に示す休止位置)に停止しており、第2コイルスプリング39が含まれる上流側空間Suと第3コイルスプリング40が含まれる下流側空間Sdとが画定されている。
また、プランジャ34の両端部が、第2コイルスプリング39及び第3コイルスプリング40により支持されているため、プランジャ34の衝突による打音等の発生を防止することができる。
【0047】
上記休止状態において、ソレノイドコイル33が通電されて、電磁力が発生すると、第3コイルスプリング40の付勢力に抗して、プランジャ34は下流側に向けて(図2中右側に向けて)引き寄せられ往動作を開始する。このプランジャ34の往動作により、下流側空間Sd内に吸い込まれていた燃料が圧縮され始め、所定の圧力になった時点で、第4コイルスプリング42の付勢力に抗して第2チェックバルブ41が燃料通路38bを開放する。これにより、下流側空間Sdに満たされた燃料は、出口パイプ48を経て所定の圧力で吐出される。
そして、プランジャ34が所定の距離だけ移動したところでソレノイドコイル33への通電が解除されて往動作が終了すると、あるいは、起動させるために瞬間的に通電を行なった後即通電を解除し、第3コイルスプリング40の付勢力とのバランスでプランジャ34の往動作が終了すると、同時に第2チェックバルブ41が燃料通路38bを閉塞する。
【0048】
続いて、圧縮により高められた第3コイルスプリング40の付勢力により、プランジャ34は上流側に向けて(図2中左側に向けて)復動作を開始する。この時、上流側空間Suは縮小され、一方、下流側空間Sdは拡張される。また、第2チェックバルブ41が燃料通路38bを閉塞しているため、下流側空間Sdは圧力が低下していく。
そして、上流側空間Suの圧力が、下流側空間Sdの圧力に対して所定値以上大きくなった時点で、第1チェックバルブ35が第1コイルスプリング36の付勢力に抗して燃料通路34aを開放する。これにより、上流側空間Suにある燃料が燃料通路34aを通って下流側空間Sd内に吸い込まれる。
【0049】
上記のように、プランジャ34の駆動にあたっては、その往動作時に、ソレノイドコイルへ33の通電を行なうことで、プランジャ34が往動作を開始して燃料の吐出を行なうことになるが、その際に、通電する電流及び通電する時間を適宜調整することで、燃料の吐出量と混合状態(均一混合又は不均一混合)をきめ細かに制御することができる。
尚、上記の駆動方法は、ソレノイドコイル33への通電時に燃料を吐出させる通電吐出であるが、通電時に燃料を吸い込み非通電時に第2コイルスプリング39の付勢力により燃料を吐出させる非通電吐出(スプリング送出)を行なうことも可能である。
【0050】
プランジャポンプ30の駆動手法としては、後に詳細に説明するが、例えば、定電圧立下り制御、パルス幅変調(PWM)制御等のパルス駆動制御手法を採用することができる。
以上のようなプランジャポンプ30を採用する場合は、モータブラシ等の摩耗粉の粒子が発生しないため、従来のような下流側にある高圧フィルタを必要とせず、その分だけ装置全体としてのコストを低減することができる。
【0051】
噴射ノズル50は、図3に示すように、入口オリフィスノズル60及び出口オリフィスノズル70に連通する燃料通路51aを画定する筒体51と、この筒体51の内部において往復動自在に配置されて燃料の噴射通路51bを開閉するポペット弁体52と、燃料の噴射通路51bを常時閉塞するようにポペット弁体52を所定の付勢力にて付勢する付勢スプリング53等を備えている。尚、噴射通路51bは、ポペット弁体52を往復動方向に案内しつつガイドする筒状のガイド部51b´により画定される。
【0052】
また、噴射ノズル50は、筒体51の外側を取り囲むように外嵌される外側筒体54を備えており、この外側筒体54には、出口オリフィスノズル70を取り付けるための取り付け部54a、噴射される燃料の微粒化をアシストするエア(空気)を通過させるアシストエアオリフィスノズル55を取り付けるための取り付け部54b、及びその先端部に噴射口54cが形成されている。
【0053】
さらに、この外側筒体54の内壁と筒体51の外壁との間には、所定の間隙をもった環状の空間が形成されており、この環状の空間及びこの空間に連通する取り付け部54b内の通路が、アシストエアを通過させるアシストエア通路54dを形成している。
【0054】
上記筒体51の上端領域には、雌ねじ部51a´が形成されており、この雌ねじ部51a´に対して、入口オリフィスノズル60が螺合により結合されている。この入口オリフィスノズル60(計量ジェット)には、図3に示すように、プランジャポンプ30から圧送されてきた燃料を通過させる通路61が形成され、又、その一部が所定の寸法に絞られてオリフィス部62が形成されている。
上記構成をなす入口オリフィスノズル60は、通過する燃料の流量を前後の圧力差で検出するものであり、その特性は、図4に示すように、流量が少ない小流量域では、圧力差の変化率が鈍感すなわち非線形性を示し、一方、流量が多い大流量域では、圧力差の変化率が敏感すなわち良好な線形性を示す。
【0055】
上記外側筒体54の取り付け部54aには、出口オリフィスノズル70が螺合により結合されている。この出口オリフィスノズル70(還流ジェット)には、図3に示すように、入口オリフィスノズル60から噴射ノズル50の燃料通路51a内に流入した燃料の少なくとも一部の燃料を通過させる通路71が形成され、又、その一部が所定の寸法に絞られてオリフィス部72が形成されている。
上記構成をなす出口オリフィスノズル70は、前述した入口オリフィスノズル60の圧力差の変化率が鈍感な領域(非線形性の強い領域)を使用しないように、入口オリフィスノズル60を流れる流量にバイアスをかける役割をなすものである。すなわち、図4に示すように、入口オリフィスノズル60から流量Qinの燃料が流入する場合、出口オリフィスノズル70から、P0点に対応する流量Qretまでの燃料(リターン燃料)を流出させ、燃料タンク20に向けて還流するものである。
【0056】
したがって、噴射ノズル50の噴射口54cからは、燃料通路51a内の圧力がP0を超えた段階において、入口オリフィスノズル60から流入した流量Qinと出口オリフィスノズル70から流出した流量Qretとの差分に相当する流量Qoutの燃料が、噴射燃料として噴射されることになる。
尚、上記P0点(原点)は、出口オリフィスノズル70のオリフィス部72の寸法、付勢スプリング53の初期付勢力を適宜設定することにより、所望の位置に設定することができ、又、これにより、噴射燃料の初期噴射圧力を適宜設定することができる。
【0057】
燃料の流れを、図3に基づいてさらに説明すると、プランジャポンプ30から所定圧力にて圧送された燃料は、先ず入口オリフィスノズル60を通過し、噴射ノズル50の燃料通路51a内に流量Qinにて流入する。
一方、この燃料通路51a内に流入した燃料の一部の燃料は、筒体51の側壁に形成された通路51c及び外側筒体54に形成された通路54a´´を経て、出口オリフィスノズル70から流量Qretにて流出し、燃料タンク20に向けて還流される。
【0058】
ここで、噴射ノズル50の燃料通路51a内の圧力が所定値P0以上になると、付勢スプリング53の付勢力に抗して、ポペット弁体52が下方に向けて押し下げられ、噴射通路51bを開放する。と同時に、燃料通路51a内に満たされた燃料は、付勢スプリング53の周りの通路を通り、ガイド部51b´に形成された通路51dを経て燃料通路51b内に流れ込み、さらに、ポペット弁体52の外周面に沿って流れ、噴射口54cから、エンジンの吸気通路内に向けて噴射される。
【0059】
また、エアクリーナから導かれた空気(エア)は、吸気通路21a内の吸入負圧により、アシストエアオリフィスノズル(アシストエアジェット)55を通過してアシストエア通路54d内に導かれ、さらに、噴射口54cから噴出させられる。この際、この噴出するアシストエアが、噴射される燃料を撹乱して、キャブレータの場合と同様の微粒化が実現される。
【0060】
以上のようなプランジャポンプ30、入口オリフィスノズル60、噴射ノズル50、出口オリフィスノズル70からなる燃料供給系においては、出口オリフィスノズル70から流出させる燃料(リターン燃料)は、入口オリフィスノズル60のバイアス量として設定されるため、比較的少量でよく、その結果、プランジャポンプ30としては大容量のものである必要性はない。
それ故に、消費電力を低減することができ、又、出口オリフィスノズル70から流出する燃料に伴なって、特に高温時に発生するベーパを積極的に排出することができる。これにより、高温時の燃料噴射特性を向上させることができる。
【0061】
ここで、上記のような構成をなす燃料供給系における流量特性としては、一例として、図5に示すようなものが得られる。図5は、プランジャポンプ30を、定電圧、立ち下りパルス駆動にて、例えば駆動周波数を100Hzとした場合の駆動電流に対する吐出量の関係を示したものである。
図5から明らかなように、ソレノイドコイル33に通電する駆動電流と吐出量との関係は、直線状の良好な比例関係を示す。したがって、駆動電流の値を適宜設定することで、所望の噴射流量Qoutを得ることができる。
【0062】
また、プランジャポンプ30をパルス駆動する際のパルス幅(msec)を変化させた場合の噴射流量Qoutの特性としては、一例として、図6に示すようなものが得られる。ここで、図6(a)は、駆動周波数が100Hzの場合の単位時間当たりの吐出量(l/h)を示したものであり、図6(b)は、駆動周波数が100Hzの場合の1ショット当たりの吐出量(cc/st)を示したものである。
図6から明らかなように、パルス幅と吐出量との関係は、直線状の良好な比例関係を示す。したがって、パルス幅すなわち通電時間と電流値を適宜設定することで、所望の噴射流量Qoutを得ることができる。したがって、必要に応じて噴射流量の制御を行なうことができる。
【0063】
図7ないし図10は、本発明に係る電子制御燃料噴射装置の他の実施形態を示すものであり、この実施形態は、前述のプランジャポンプと噴射ノズルとを一体的に結合して、一つのモジュールとして取り扱えるようにし、さらに、噴射ノズルの開弁圧(リリーフ圧)を調節する調節手段を設けたものである。
【0064】
すなわち、プランジャポンプ300は、図8に示すように、前述のプランジャポンプ30を形成する外側コア47及び出口パイプ48の代わりに、スペーサ310を設け、このスペーサ310の内部通路に入口オリフィスノズル60を取り付けると共に、その一端部311をポンプ本体301に固定し、その他端部312に雄ねじ部312´を形成したものである。また、前述のプランジャポンプ30を形成する外側コア44及び入口パイプ45の代わりに、長尺な外側コア320を設けて、その一端部321をポンプ本体301に固定したものである。
【0065】
また、噴射ノズル500は、図8に示すように、燃料通路510aを画定する筒体510と、この筒体510の内部に配置された筒状のガイド部材520と、このガイド部材520の内部に往復動自在に挿入された筒状の保持部材530と、この保持部材530の内側において往復動自在に配置されて燃料の噴射通路520aを開閉するポペット弁体540と、保持部材530に保持されかつ噴射通路520aを常時閉塞するようにポペット弁体540を所定の付勢力にて付勢する付勢スプリング550等を備えている。尚、この付勢スプリング550は、ポペット弁体540の上端部に取り付けられたストッパ541に当接して、その上方への移動が規制されている。
【0066】
また、筒体510には、図9に示すように、その外周部に、燃料通路510aに連通する通路510bが形成されており、この通路510bの外側領域には、図7及び図9に示すように、出口オリフィスノズル70が螺合により結合されている。さらに、筒体510には、図7及び図8に示すように、その外周部に、噴射される燃料の微粒化をアシストするエア(空気)を通過させるアシストエアオリフィスノズル55を取り付けたパイプ511が圧入されており、又、その先端部に噴射口512が形成されている。
【0067】
さらに、この筒体510の内壁とガイド部材520の外壁との間には、所定の間隙をもった環状の空間が形成されており、この環状の空間及びこの空間に連通するパイプ511内の通路が、アシストエアを通過させるアシストエア通路513を形成している。
【0068】
上記筒体510の上端領域には、図8に示すように、雌ねじ部510a´が形成されており、この雌ねじ部510a´に対して、上述プランジャポンプ300のスペーサ310の他端部312が螺合されて、プランジャポンプ300及び噴射ノズル500は、お互いに一体的に結合されている。
これにより、両部品を一つのモジュールとして取り扱うことができ、その分だけ組み付け工数が削減され、又、その他取り扱い上の利便性が向上する。また、プランジャポンプ300と噴射ノズル500とを一体としたモジュール品は、図7に示すように、従来の電磁弁式インジェクタ3と類似の形態とすることができ、又、その外形寸法もほぼ同等にすることができる。したがって、このモジュール化によって、従来の燃料ポンプ5を削除したと同等の部品の集約化を行なうことができる。
【0069】
保持部材530は、図8及び図10に示すように、その上方部分に、ラッパ状に広がった傾斜部531が形成され、付勢スプリング550を保持するその底部分に、燃料の通過を許容する孔532が形成されている。そして、筒体510の側壁に螺合された調整ねじ560の先端部が、傾斜部531に当接するようになっている。
【0070】
したがって、調整ねじ560をねじ込むことで、保持部材530が上方に持ち上げられ、付勢スプリング550がさらに圧縮される。これにより、ポペット弁体540の開弁圧がより高めに設定される。一方、調整ねじ560を逆向きに回して後退させると、保持部材530が付勢スプリング550の付勢力により下方に押し下げられ、その分だけ付勢スプリング550が伸張する。これにより、ポペット弁体540の開弁圧がより低めに設定される。
【0071】
上記調整ねじ560及び保持部材530により、付勢スプリング530の付勢力、すなわち、開弁圧(リリーフ圧)を調節する調節手段が構成されている。
このような調節手段を設けることにより、噴射ノズル500の組み付け後においても、開弁圧(リリーフ圧)の調整を行なうことができるため、要求に応じて種々の値に設定でき、品質管理の面で都合がよい。
【0072】
図11は、図7ないし図10に示す電子制御燃料噴射装置の噴射ノズル500において、燃料通路を変更したものである。この実施形態に係る噴射ノズル500´は、図11に示すように、燃料通路510a´を画定する筒体510´と、この筒体510´の内部に配置された筒状のガイド部材520´と、このガイド部材520´の内壁により下端外周縁部が接触して案内されると共に環状の間隙をもって挿入された筒状の保持部材530´と、この保持部材530´の内側において往復動自在に配置されて燃料の噴射通路520a´を開閉するポペット弁体540´と、保持部材530´に保持されかつ噴射通路520a´を常時閉塞するようにポペット弁体540´を所定の付勢力にて付勢する付勢スプリング550´等を備えている。尚、この付勢スプリング550´は、ポペット弁体540´の上端部に取り付けられたストッパ541´に当接して、その上方への移動が規制されている。
【0073】
筒体510´には、図11に示すように、その外周部に、燃料通路510a´に連通する燃料リターン通路560a´を画定する出口パイプ560´が一体的に形成されており、この出口パイプ560´の外側領域には、出口オリフィスノズル70が螺合により結合されている。
また、筒体510´には、図11に示すように、その外周部に、噴射される燃料の微粒化をアシストするエア(空気)を通過させるアシストエアオリフィスノズル55を取り付けたパイプ511´が圧入されており、又、その先端部に噴射口512´が形成されている。
【0074】
筒体510´の内壁とガイド部材520´の外壁との間には、所定の間隙をもった環状の空間が形成されており、この環状の空間及びこの空間に連通するパイプ511´内の通路が、アシストエアを通過させるアシストエア通路513´を形成している。
【0075】
上記筒体510´の上端領域には、雌ねじ部510a´´が形成されており、この雌ねじ部510a´´に対して、上述プランジャポンプ300のスペーサ310の他端部312が螺合されて、プランジャポンプ300及び噴射ノズル500´は、シール部材を挟んでお互いに一体的に結合されている。
保持部材530´は、図11に示すように、その上方部分に、ラッパ状に広がった傾斜部531´及びこの傾斜部531´に連続する円筒状部532´が形成されている。円筒状部532´には、入口オリフィスノズル60の外周部63が嵌合されるようになっており、入口オリフィスノズル60から流出した燃料が、燃料通路510a´に流れ込む前に、保持部材530´の内部に直接流れ込むようになっている。
【0076】
また、保持部材530´の底部分及び側壁の一部には、燃料の通過を許容する孔533´が形成されている。したがって、プランジャポンプ300から入口オリフィスノズル60を経て保持部材530´の上方に導かれた燃料は、保持部材530´の内部を通ってポペット弁体540´の先端側に導かれ、必要に応じて噴射口512´から噴射される一方で、保持部材530´の外壁とガイド部材520´の内壁との間に形成された環状のリターン通路534´を通って上方に積極的に導かれ、下流側の出口パイプ560´に向けて排出されることになる。
【0077】
このようなスピルバック型の噴射ノズルとすることにより、燃料の流れは一方通行となる。したがって、ポペット弁体540´の先端側にベーパが発生したとしても、又、ポペット弁体540´の先端側にベーパが巻き込まれたとしても、このベーパは、滞留することなく、燃料の流れに沿ってあるいはそれ自体の上昇によって、環状のリターン通路534´を通って効率良く排出される。また、噴射ノズル500´の先端側まで燃料の通路が形成されているため、燃料による冷却効果が向上し、特に高温特性が向上する。
【0078】
傾斜部531´には、筒体510´の側壁に螺合された調整ねじ590´の先端部が当接させられている。したがって、調整ねじ590´をねじ込むことで、保持部材530´の下端部外周縁部535´がガイド部材520´の内壁面に案内されて、保持部材530´が上方に持ち上げられ、付勢スプリング550´がさらに圧縮される。これにより、ポペット弁体540´の開弁圧がより高めに設定される。一方、調整ねじ590´を逆向きに回して後退させると、保持部材530´が付勢スプリング550´の付勢力により下方に押し下げられ、その分だけ付勢スプリング550´が伸張する。これにより、ポペット弁体540´の開弁圧がより低めに設定される。
【0079】
上記調整ねじ590´及び保持部材530´により、付勢スプリング550´の付勢力、すなわち、開弁圧(リリーフ圧)を調節する調節手段が構成され、このような調節手段を設けることにより、前述同様の効果が得られる。
【0080】
図12は、本発明に係る第1の電子制御燃料噴射装置の他の実施形態を示すものであり、この実施形態は、前述のポペット弁式の噴射ノズル50,500に代えて、ダイヤフラム式の噴射ノズル600を用いたものである。
この実施形態に係る噴射ノズル600は、図12に示すように、外輪郭を形成する下側半体610及び上側半体620、下側半体610内に装着された筒状部材630、筒状部材630の内部に往復動自在に配置された弁体640、弁体640を上方に向けて付勢するコイルスプリング650、両半体610,620の接合面の領域に挟んで配置されたダイヤフラム660、このダイヤフラム660の上に配置されて弁体640を下方に向けて付勢する付勢スプリング670、上側半体620の柱状突起621に対して往復動自在に外嵌されかつ付勢スプリング670を上側から押さえて規制する有底スリーブ680、有底スリーブ680の底部681に当接するように上側半体620に螺合された調整ねじ690等を備えている。
【0081】
下側半体610には、上方に空間が形成されダイヤフラム660により閉塞されて制御室610aが形成され、この制御室610aに連通するように入口パイプ611及び出口パイプ612が圧入されており、この入口パイプ611に入口オリフィスノズル60が、出口パイプ612に出口オリフィスノズル70がそれぞれ取り付けられている。また、下側半体610の先端部は、有底状に形成され、その略中央部に噴射口613が形成されている。
【0082】
筒状部材630には、制御室610aに連通する燃料通路630aが形成され、又、上下方向略中央部に段差部631が形成されており、この段差部631にコイルスプリング650の下端が着座している。
この筒状部材630の外周面と下側半体610の内壁面との間には、所定の間隙をなす環状の空間が形成されており、この環状の空間に連通するように、アシストエアオリフィスノズル55を取り付けたアシストエア導入パイプ614が下側半体610の側壁に圧入されている。すなわち、この環状の空間及びアシストエア導入パイプ614の通路が、アシストエアを通過させるためのアシストエア通路615を形成している。
【0083】
弁体640は、上下方向に長尺なロッド状をなし、その上方領域に係合片641が固定されており、この係合片641にコイルスプリング650の上端が係合している。また、弁体640の下端部は、燃料通路630aを開閉するように形成されている。すなわち、弁体640が下方に移動して当接した時点で燃料通路630aを閉塞し、一方、上方に移動して離脱した時点で燃料通路630aを開放するようになっている。
【0084】
ダイヤフラム660は、その略中央部に当接片661を有しており、この当接片661が弁体640の上端に当接するようになっている。そして、付勢スプリング670の付勢力により、ダイヤフラム660は下向きに押し下げられて、その当接片661が常時弁体640の上端に係合した状態となっている。
上側半体620には、上述の付勢スプリング670及び有底スリーブ680を収容する空間が形成されており、壁面に形成された通路622を通して、この空間が出口パイプ612に接続された燃料リターンパイプ130の途中に連通されている。
【0085】
ここで、上記噴射ノズル600の動作を説明すると、プランジャポンプ30から所定圧力にて圧送された燃料は、先ず入口オリフィスノズル60を通過し、制御室610a内に流量Qinにて流入する。
一方、この制御室610a内に流入した燃料の一部の燃料は、出口パイプ612を経て、出口オリフィスノズル70から流量Qretにて流出し、燃料タンク20に向けて還流される。
【0086】
そして、制御室610a内の圧力が所定値P0以上になると、付勢スプリング670の付勢力に抗してダイヤフラム660が上方に向けて押し上げられ、その分だけコイルスプリング650の付勢力により弁体640が上方に持ち上げられて、噴射通路630aを開放する。と同時に、燃料通路630a内に満たされた燃料は、噴射口613からエンジンの吸気通路内に向けて噴射される。
【0087】
また、エアクリーナから導かれた空気(エア)は、吸気通路21a内の吸入負圧により、アシストエアオリフィスノズル(アシストエアジェット)55を通過してアシストエア通路615内に導かれ、さらに、噴射口613から噴出させられる。この際、この噴出するアシストエアが、噴射される燃料を撹乱して、キャブレータの場合と同様の微粒化が実現される。
【0088】
図13は、本発明に係る第1の電子制御燃料噴射装置の他の実施形態を示すものであり、この実施形態は、前述の図12に示すダイヤフラム式の噴射ノズル600にさらに変更を加えたものである。
この実施形態に係る噴射ノズル700は、図13に示すように、入口オリフィスノズル60及び出口オリフィスノズル70に連通する燃料通路701a、710aを画定する筒体としての内側筒状部材701及び外側筒状部材710と、この筒状部材701の内部において往復動自在に配置されて燃料通路701aを開閉する弁体720と、燃料通路701aを常時閉塞するように弁体720を所定の付勢力にて付勢する付勢スプリング740と、この付勢スプリング740の一端を支持すると共に内部にチェックバルブ750を内臓する出口コネクタ760等を備えている。
【0089】
外側筒状部材710には、燃料通路710aを画定する入口パイプ711が一体的に形成されており、この入口パイプ711の開口部領域に、入口オリフィスノズル60が螺合により結合されている。また、外側筒状部材710の一側部には、アシストエアオリフィスノズル55を取り付けたアシストエア導入パイプ712が圧入されており、さらに、外側筒状部材710の先端部には、燃料を噴射する噴射口710bが形成されている。
【0090】
内側筒状部材701は、先端側が縮径した先端筒状部702と、これに一体的に連なって拡径した円筒状部703とにより、その輪郭が形成されている。そして、この円筒状部703の外周面が、所定の位置にオーリング704を介して、外側筒状部材710の内壁に密接した状態で嵌合されており、先端筒状部702の外周面702aが、外側筒状部材710の内壁710aに対して、部分的に所定距離を隔てて配置されており、この外周面702aと内壁710aとにより画定される空間及びアシストエア導入パイプ712の通路が、アシストエアを通過させるためのアシストエア通路705を形成している。
【0091】
弁体720は、中実でかつ柱状に縮径して形成された弁部721と、この弁部721と一体的に拡径して形成された円筒部722とにより、その輪郭が長尺で段差をなすロッド状に形成されており、この縮径した弁部721と拡径した円筒部722との接続部には、複数個の燃料通路723が形成されている。また、円筒部722には、出口オリフィスノズル70が螺合により結合されている。
そして、この弁体720は、その弁部721の外周面と内側筒状部材701の内壁とが離隔して燃料通路701aを画定し、かつ、その円筒部722の外周面が内側筒状部材701の内壁と密接した状態で、内側筒状部材701の内部を往復動(摺動)可能に挿入されている。
【0092】
また、内側筒状部材701の内部には、弁体720の上方に位置する出口オリフィスノズル70の端面に対して、その一端部を当接させた状態で付勢スプリング740が配置されている。さらに、この状態で、内側筒状部材701の上端部には、出口コネクタ760が螺合により結合されており、この出口コネクタ760の拡径して形成された通路の段差部761に対して、付勢スプリング740の他端部が当接されている。すなわち、この付勢スプリング740は、所定量圧縮されて、弁体720を常時下向きに付勢して、弁部721が燃料通路701aを閉塞するようになっている。
【0093】
出口コネクタ760には、その燃料通路762を常時閉塞するように、コイルスプリング763により付勢されたチェックバルブ750が配置されている。
また、この出口コネクタ760は、内側筒状部材701に対するねじ込み量を調整できるようになっており、これにより、付勢スプリング740の圧縮量を調整することで、弁体720の開弁圧を適宜調整できるようになっている。
【0094】
ここで、上記噴射ノズル700の動作を説明すると、プランジャポンプ30から所定圧力にて圧送された燃料は、先ず入口オリフィスノズル60を通過し、内側筒状部材701の燃料通路701a内に流量Qinにて流入する。
一方、この燃料通路701a内に流入した燃料の一部の燃料は、燃料通路723を経て、出口オリフィスノズル70から流量Qretにて流出し、この出口オリフィスノズル70の下流にある燃料の圧力が所定値を超えると、チェックバルブ750が燃料通路762を開放して、燃料は燃料タンク20に向けて還流される。
【0095】
そして、燃料通路701a内の圧力が所定値P0以上になると、付勢スプリング740の付勢力に抗して弁体720が上方に向けて押し上げられ、弁部721が燃料通路701aの下端部を開放する。と同時に、燃料通路701a内に満たされた燃料は、噴射口710bからエンジンの吸気通路内に向けて噴射される。
【0096】
また、エアクリーナから導かれた空気(エア)は、吸気通路21a内の吸入負圧により、アシストエアオリフィスノズル(アシストエアジェット)55を通過してアシストエア通路705内に導かれ、さらに、噴射口710bから噴出させられる。この際、この噴出するアシストエアが、噴射される燃料を撹乱して、キャブレータの場合と同様の微粒化が実現される。
この実施形態に係る噴射ノズル700によれば、ダイヤフラムを用いた前述の噴射ノズル600に比べて、外形寸法を小さくすることができ、配置レイアウト等が容易になる。
【0097】
図14ないし図16は、本発明に係る第2の電子制御燃料噴射装置の一実施形態を示すものであり、図14はシステムの概念図、図15は電磁駆動ポンプと噴射ノズルとを一体的に構成した場合の断面図、図16はその一部拡大断面図である。この実施形態に係る電子制御燃料噴射装置は、図14及び図15に示すように、二輪車の燃料タンク20内の燃料を圧送する電磁駆動ポンプとしてのプランジャポンプ800と、プランジャポンプ800による圧送行程のうち所定の初期領域において所定の圧力以上に与圧された燃料を燃料タンク20に向けて還流する還流通路140と、圧送行程のうち初期領域以外の後期領域において、還流通路を閉塞する弁体としてのスピル弁820と、圧送行程の後期領域において所定の圧力に加圧された燃料を通過させるオリフィス部を有する入口オリフィスノズル60と、入口オリフィスノズル60を通過した燃料のうち所定流量の燃料を燃料タンク20に向けて還流するべく燃料を通過させるオリフィス部を有する出口オリフィスノズル70と、入口オリフィスノズル60を通過した燃料と出口オリフィスノズル70を通過した燃料との差分の燃料をエンジンの吸気通路内に向けて噴射する噴射ノズル1000と、エンジンの運転情報に基づいてプランジャポンプ800等に制御信号を発する制御手段としての駆動ドライバ80及びコントロールユニット(ECU)90等を、その基本構成として備えている。
【0098】
ここで、プランジャポンプ800について説明すると、この燃料ポンプは電磁駆動の容積型ポンプであり、図15及び図16に示すように、円筒状をなす筒体としてのシリンダ801の外周にコア802が結合されており、このコア802の外周にソレノイドコイル803が巻回されている。シリンダ801の内部には、所定の長さをもつ可動体としてのプランジャ804が密接して挿入されており、このシリンダ801内を軸方向に摺動して往復動自在となっている。
【0099】
プランジャ804には、図15に示すように、その往復動方向(軸線方向)に貫通した還流通路804aが形成されており、又、その一端側には還流通路804aを径方向に拡大した拡張部804a´が形成されている。そして、この拡張部804a´内には、与圧バルブ805及びこの与圧バルブ805を上流側に向けて付勢するコイルスプリング806が配置されており、この拡張部804a´の外側端部に、プランジャ804の一部を形成すると共に中央部に還流通路807aを有するストッパ807が嵌合され、このストッパ807の端面によりコイルスプリング806の一端側が保持されている。
【0100】
プランジャ804から離隔した位置には、図16に示すように、ストッパ807と対向するように、筒状部材810がシリンダ801に嵌合により固定され、この筒状部材810の内側には縮径の燃料通路811及び拡径の燃料通路812が形成されており、その外周面には軸線方向に伸長する複数の燃料通路813と、これら複数の燃料通路813を連通する環状の燃料通路814と、燃料通路811と燃料通路813とを連通するべく径方向に伸長する燃料通路815とが形成されている。
そして、縮径の通路811内には弁体としてのスピル弁820が往復動自在に配置されており、拡径の燃料通路812内には出口チェックバルブ830が往復動自在に配置されている。また、筒状部材810の一端部には、燃料通路840aをもつストッパ840が、嵌合により固定されている。
【0101】
スピル弁820は、図16に示すように、円錐状の先端部821と、拡径部822と、環状の鍔部823等により形成されている。出口チェックバルブ830は、円錐面をもつ先端部831と、この先端部831に続く円柱部832と、軸線方向に伸長するように外周面に設けられた複数の燃料通路833等により形成されている。
そして、出口チェックバルブ830は、その先端部831が燃料通路811の端部に位置する開口部816を閉塞するように、コイルスプリング850により付勢されている。スピル弁820は、その先端部821が還流通路807aの端部に位置する開口部807a´を閉塞するように、筒状部材810の上端面と鍔部823との間に配置されたコイルスプリング860により付勢されている。
【0102】
また、シリンダ801の一方の端部には、図15に示すように、還流通路870aをもつ支持部材870が固着されており、この支持部材870とプランジャ804の一端部との間にはコイルスプリング880が配置され、プランジャ804の他端部(ストッパ807)と筒状部材810との間にはコイルスプリング890が配置されている。このコイルスプリング880,890が、プランジャ804を往復動方向において付勢する弾性体を形成している。尚、コイルスプリング890が配置されている空間が、プランジャ804の作動室Wとなっている。
【0103】
さらに、シリンダ801の両端側においては、図15に示すように、コネクタ部材900と、スペーサ部材910とが、ボルトにより締結されている。コネクタ部材900は、還流通路901aを画定するコネクタ部901、締結用のフランジ部902等により形成されており、スペーサ部材910は、燃料供給通路911aを画定するコネクタ部911、筒状部材810を嵌合する嵌合穴912、締結用のフランジ部913、噴射ノズル1000を接続するための雄ねじ部914、嵌合穴912に連通する内部通路915等により形成されている。
そして、コネクタ部911には、チェックバルブ920が配置され、コイルスプリング930により燃料供給通路911a´を上流側に向けて閉塞するように付勢されている。そして、チェックバルブ920が開弁すると、燃料供給通路911aが、開口部916及び燃料通路813を介して作動室Wに連通するようになっている。また、内部通路915には、入口オリフィスノズル60が取り付けられている。尚、コネクタ部材900及びスペーサ部材910は、ポンプ本体に対してオーリング941,942,943を介して連結されている。
【0104】
噴射ノズル1000は、図16に示すように、燃料通路1010aを画定する筒体1010と、この筒体1010の内部に配置された筒状のガイド部材1020と、このガイド部材1020の内部に往復動自在に挿入された筒状の保持部材1030と、この保持部材1030の内側において往復動自在に配置されて燃料の噴射通路1020aを開閉するポペット弁体1040と、保持部材1030に保持されかつ噴射通路1020aを常時閉塞するようにポペット弁体1040を所定の付勢力にて付勢する付勢スプリング1050等を備えている。尚、この付勢スプリング1050は、ポペット弁体1040の上端部に取り付けられたストッパ1041に当接して、その上方への移動が規制されている。
【0105】
筒体1010には、図16に示すように、その外周部に、燃料通路1010aに連通する燃料リターン通路1060aを画定する出口パイプ1060が一体的に形成されており、この出口パイプ1060の外側領域には、出口オリフィスノズル70が螺合により結合されている。
また、出口パイプ1060の内部には、燃料リターン通路1060aを開閉する逆流防止弁としてのチェックバルブ1070が配置され、又、出口パイプ1060の内壁に形成された雌ねじに対して、燃料通路1071aを有するアジャスタ1071が螺合により取り付けられており、このアジャスタ1071とチェックバルブ1070との間には、チェックバルブ1070が常時燃料リターン通路1060aを閉塞するように付勢するコイルスプリング1072が配置されている。アジャスタ1071作用については、前述と同様である。
さらに、筒体1010には、図16に示すように、その外周部にフランジ部1011が形成されており、このフランジ部1011に対してアシストエアオリフィスノズル55が螺合されている。そして、このアシストエアオリフィスノズル55を通過したエア(空気)が、アシストエア通路1012を経て、噴射口1013から噴出することにより、噴射される燃料の微粒化をアシストする。
【0106】
上記筒体1010の上端領域には、図16に示すように、雌ねじ部1010a´が形成されており、この雌ねじ部1010a´に対して、上述プランジャポンプ800の下側に位置するスペーサ部材910の雄ねじ部914が螺合されて、プランジャポンプ800及び噴射ノズル1000は、お互いに一体的に結合されている。これにより、前述同様に両部品を一つのモジュールとして取り扱うことができ、組み付け工数の削減、取り扱い上の利便性向上、小型化等が行なわれる。
【0107】
保持部材1030は、図16に示すように、その上方部分に、ラッパ状に広がった傾斜部1031が形成され、付勢スプリング1050を保持するその底部分及び側面と外周面に、燃料通路1032,1033が形成されている。そして、筒体1010の側壁に螺合された調整ねじ1080の先端部が、傾斜部1031に当接するようになっている。尚、調整ねじ1080及び傾斜部1031の作用については、前述と同様であるため説明を省略する。
【0108】
ここで、プランジャポンプ800及び噴射ノズル1000の作動について説明すると、燃料の吸引行程においては、プランジャ804が一方向に(図15中の上側に)移動すると、作動室W内の圧力が下がりチェックバルブ920が開弁する。そして、燃料タンク20から低圧フィルタ120を経て導かれた燃料は、燃料供給通路911、開口部916、燃料通路813を経て、作動室W内に吸引されて流入する。
一方、燃料の圧送行程においては、プランジャ804が他方向に(図15中の下側に)移動する際に、その移動の初期領域において圧送される燃料が所定の圧力(与圧)以上になると与圧バルブ805が開弁して還流通路807aを開放し、ベーパ混じりの燃料が燃料タンク20に向けて還流される。続いて、プランジャ804がさらに移動することにより圧送行程の後期領域に入ると、スピル弁820が還流通路807aを閉塞すると同時に、燃料をさらに昇圧させる。
【0109】
そして、スピル弁820がプランジャ804と一体となって移動し、燃料が所定の圧力に上昇した時点で、この燃圧(燃料の圧力)が、コイルスプリング850の付勢力に抗して出口チェックバルブ830を開弁させる。すると、所定のレベルに昇圧された燃料が、作動室Wから燃料通路813、815、833、840aを経て、入口オリフィスノズル60を通り、噴射ノズル1000内に流入する。
【0110】
続いて、噴射ノズル1000内に流入した燃料Qinのうち所定流量Qretは、出口オリフィスノズル70を通り、燃料リターンパイプ130介して燃料タンク20に還流され、差分の燃料Qoutが噴射燃料として、噴射口1013から噴射される。
このように、燃料に混じったベーパは、燃料の圧送行程の初期領域すなわち入口オリフィスノズル60による計量が行なわれる前に排出されるため、噴射ノズル1000内には、ベーパが殆ど排除された燃料が流入することになる。これにより、特に高温時において、燃料噴射量が高精度に制御され、又、安定した制御が行なわれる。また、プランジャ804による圧送行程において、後期領域すなわち所定のストローク位置から最後まで、燃料の昇圧がサイクル毎に行なわれるため、ベーパによる制御誤差を回避することができる。
【0111】
図17は、第2の電子制御燃料噴射装置における他の実施形態を示すものであり、図14ないし図16に示す前述の実施形態に対して、還流通路の経路、還流通路を閉塞する弁体、出口チェックバルブ等を変更したものである。それ故に、ここでは、変更した部分についてのみ説明し、同一の構成については同一の符号を付してその説明を省略する。
この実施形態に係るプランジャポンプ1100は、図17に示すように、円筒状をなす筒体としてのシリンダ1101の外周にコア1102が結合されており、このコア1102の外周にソレノイドコイル1103が巻回されている。シリンダ1101の内部には、中実部材として形成された円柱状のプランジャ1104が密接して挿入されており、このシリンダ1101内を軸方向に摺動して往復動自在となっている。
【0112】
シリンダ1101の一端側には、燃料通路1110aを有するストッパ1110が嵌合により固着され、その他端側には、筒状部材1120が嵌合により固定されている。この筒状部材1120の内側には、縮径の燃料通路1121及び拡径の燃料通路1122が形成されており、又、その外周面には軸線方向に伸長する燃料通路1123が形成されている。
そして、拡径の燃料通路1122内には出口チェックバルブ1130が往復動自在に配置されており、このチェックバルブ1130は、筒状部材1120の端部に嵌合により固着されたストッパ1140との間に配置されたコイルスプリング1150により、縮径の燃料通路1121を閉塞するように付勢されている。
【0113】
また、プランジャ1104とストッパ1110及び筒状部材1120との間には、それぞれコイルスプリング1160,1170が配置されている。このコイルスプリング1160,1120が、プランジャ1104を往復動方向において付勢する弾性体を形成している。尚、コイルスプリング1170が配置されている空間が、プランジャ1104の作動室Wとなっている。
【0114】
シリンダ1101には、スピルポート1101aが設けられており、シリンダ1101内の作動室Wがシリンダ1101の外側に形成された還流通路1180に連通し得るようになっている。
【0115】
さらに、シリンダ1101の両端側においては、コネクタ部材1190と、スペーサ部材1200とが、ボルトにより締結されている。コネクタ部材1190は、還流通路1191aを画定するコネクタ部1191、締結用のフランジ部1192、還流通路1180に連通する縮径の還流通路1193、拡径の還流通路1194等により形成されている。そして、還流通路1194内には、与圧バルブ1195が往復動自在に配置され、ストッパ1196との間に配置されたコイルスプリング1197により、縮径の燃料通路1193を閉塞するように付勢されている。また、還流通路1194と燃料通路1110aとを連通する燃料通路1198が形成されている。
スペーサ部材1200は、燃料供給通路1201aを画定するコネクタ部1201、筒状部材1120を嵌合する嵌合穴1202、締結用のフランジ部1203、噴射ノズル1000を接続するための雄ねじ部1204、嵌合穴1202に連通する内部通路1205等により形成されている。
【0116】
そして、コネクタ部1201には、チェックバルブ1210が配置され、コイルスプリング1220により燃料供給通路1201a´を上流側に向けて閉塞するように付勢されている。そして、チェックバルブ1210が開弁すると、燃料供給通路1201aが開口部1206及び燃料通路1123を介して、作動室Wに連通するようになっている。また、内部通路1205には、入口オリフィスノズル60が取り付けられている。尚、コネクタ部材1190及びスペーサ部材1200は、ポンプ本体に対してオーリング1231,1232,1233、134を介して連結されている。
【0117】
ここで、プランジャポンプ1100及び噴射ノズル1000の作動について説明すると、燃料の吸引行程においては、プランジャ1104が一方向に(図17中の上側に)移動すると、作動室W内の圧力が下がりチェックバルブ1210が開弁する。そして、燃料タンク20から低圧フィルタ120を経て導かれた燃料は、燃料供給通路1201a、開口部1206、燃料通路1123を経て、作動室W内に吸引されて流入する。
一方、燃料の圧送行程においては、プランジャ1104が他方向に(図17中の下側に)移動する際に、その移動の初期領域において圧送される燃料が所定の圧力(与圧)以上になると与圧バルブ1195が開弁して還流通路1193を開放し、ベーパ混じりの燃料がスピルポート1101a、還流通路1180,1193,1194,1196a,1191aを経て、燃料タンク20に向けて還流される。続いて、プランジャ1104がさらに移動することにより圧送行程の後期領域に入ると、プランジャ1104の外周面がスピルポート1101aを閉塞すると同時に、燃料をさらに昇圧させる。
【0118】
そして、燃料が所定の圧力に昇圧された時点で、出口チェックバルブ1130が開弁して燃料通路1121を開放する。と同時に、所定のレベルに昇圧された燃料が、作動室Wから燃料通路1121、1122、1140aを経て入口オリフィスノズル60を通り、噴射ノズル1000内に流入する。
【0119】
続いて、噴射ノズル1000内に流入した燃料Qinのうち所定流量Qretは、出口オリフィスノズル70を通り、燃料リターンパイプ130介して燃料タンク20に還流され、差分の燃料Qoutが噴射燃料として、噴射口1013から噴射される。
このように、燃料に混じったベーパは、燃料の圧送行程の初期領域すなわち入口オリフィスノズル60による計量が行なわれる前に排出されるため、噴射ノズル1000内には、ベーパが殆ど排除された燃料が流入することになる。これにより、特に高温時において、燃料噴射量が高精度に制御され、又、安定した制御が行なわれる。また、プランジャ1104による圧送行程において、後期領域すなわち所定のストローク位置から最後まで、燃料の昇圧がサイクル毎に行なわれるため、ベーパによる制御誤差を回避することができる。
【0120】
図18及び図19は、第3の電子制御燃料噴射装置に係る実施形態を示すものであり、図18はシステムの概念図、図19は主用部分の拡大断面図である。
この実施形態に係る電子制御燃料噴射装置は、図18に示すように、二輪車の燃料タンク20内の燃料を圧送する電磁駆動ポンプとしてのプランジャポンプ800と、プランジャポンプ800による圧送行程のうち所定の初期領域において所定の圧力以上に与圧された燃料を燃料タンク20に向けて還流する還流通路140と、圧送行程のうち初期領域以外の後期領域において、還流通路を閉塞する弁体としてのスピル弁820と、圧送行程の後期領域において所定の圧力に加圧された燃料を通過させるオリフィス部を有する入口オリフィスノズル60と、入口オリフィスノズル60を通過した燃料が所定の圧力以上のとき(エンジンの)吸気通路内に向けて噴射する噴射ノズル1500と、エンジンの運転情報に基づいてプランジャポンプ800等に制御信号を発する制御手段としての駆動ドライバ80及びコントロールユニット(ECU)90等を、その基本構成として備えている。すなわち、前述の図14ないし図16に示す電子制御燃料噴射装置において、出口オリフィスノズル70及び燃料リターンパイプ130を取り除いた構成となっている。それ故に、ここでは変更した部分についてのみ説明し、前述の装置と同一の構成については同一の符号を付してその説明を省略する。
【0121】
この実施形態に係る噴射ノズル1500は、図19に示すように、燃料通路1510aを画定する筒体1510と、この筒体1510の内部に配置された筒状のガイド部材1020と、このガイド部材1020の内部に往復動自在に挿入された筒状の保持部材1030と、この保持部材1030の内側において往復動自在に配置されて燃料の噴射通路1020aを開閉するポペット弁体1040と、保持部材1030に保持されかつ噴射通路1020aを常時閉塞するようにポペット弁体1040を所定の付勢力にて付勢する付勢スプリング1050等を備えている。
【0122】
筒体1510には、図19に示すように、その外周部に、フランジ部1511のみが形成されており、このフランジ部1511に対してアシストエアオリフィスノズル55が螺合されている。そして、このアシストエアオリフィスノズル55を通過したエア(空気)が、アシストエア通路1512を経て、噴射口1513から噴出することにより、噴射される燃料の微粒化をアシストする。
【0123】
上記筒体1510の上端領域には、図19に示すように、雌ねじ部1510a´が形成されており、この雌ねじ部1510a´に対して、プランジャポンプ800の下側に位置するスペーサ部材910の雄ねじ部914が螺合されて、プランジャポンプ800及び噴射ノズル1500は、お互いに一体的に結合されている。これにより、前述同様に両部品を一つのモジュールとして取り扱うことができ、組み付け工数の削減、取り扱い上の利便性向上、小型化等が行なわれる。
【0124】
ここで、プランジャポンプ800及び噴射ノズル1500の作動について説明すると、燃料の吸引行程においては、プランジャ804が一方向に(図19中の上側に)移動すると、作動室W内の圧力が下がりチェックバルブ920が開弁する。そして、燃料タンク20から低圧フィルタ120を経て導かれた燃料は、燃料供給通路911、開口部916、燃料通路813を経て、作動室W内に吸引されて流入する。
一方、燃料の圧送行程においては、プランジャ804が他方向に(図19中の下側に)移動する際に、その移動の初期領域において圧送される燃料が所定の圧力(与圧)以上になると与圧バルブ805が開弁して還流通路807aを開放し、ベーパ混じりの燃料が燃料タンク20に向けて還流される。続いて、プランジャ804がさらに移動することにより圧送行程の後期領域に入ると、スピル弁820が還流通路807aを閉塞すると同時に、燃料をさらに昇圧させる。
【0125】
そして、スピル弁820がプランジャ804と一体となって所定の距離移動した時点で、スピル弁820の拡径部822が出口チェックバルブ830の先端部831に当接し、コイルスプリング850の付勢力に抗して出口チェックバルブ830を開弁させる。すると、所定のレベルに昇圧された燃料が、作動室Wから燃料通路813、815、833、840aを経て、入口オリフィスノズル60を通り、噴射ノズル1500内に流入する。
【0126】
続いて、噴射ノズル1500内に流入した燃料がさらに所定の圧力まで高められると、コイルスプリング1050の付勢力に抗してポペット弁体1040を開弁させ、噴射口1513から噴射される。
このシステムにおいては、プランジャポンプ800が、特に時間のみを制御パラメータとして駆動されることで、前述のような出口オリフィスノズル70を用いた還流を行なわなくても、ベーパの排出を効率良く行なえると共に、入口オリフィスノズル60の線形性の良好な領域を使用することができる。
すなわち、プランジャポンプ800が所定のレベルの電流を所定時間通電する時間制御により駆動されることで、燃料の圧送行程の初期領域すなわち入口オリフィスノズル60による計量が行なわれる前に燃料に混じったベーパが積極的に排出され、又、入口オリフィスノズル60により高精度な計量が行なわれる。
これにより、特に高温時において、燃料噴射量が高精度に制御され、又、安定した制御が行なわれる。また、プランジャ804による圧送行程において、後期領域すなわち所定のストローク位置から最後まで、燃料の昇圧がサイクル毎に行なわれるため、ベーパによる制御誤差を回避することができる。
【0127】
以上述べた実施形態において、プランジャポンプ30,300,800,1100の駆動を司る制御手段としての駆動ドライバ80及びコントロールユニット90は、エンジンの運転状況に応じて予め設定された制御マップ等に基づき、センサから得られたエンジンの運転情報により、噴射時期、噴射時間、通電する電流値あるいは電圧等を算出してその制御信号を出力するためのソフトウエア及びハードウエアから成るものである。
【0128】
次に、本発明に係る電子制御燃料噴射装置の動作について説明する。
先ず、回転速度センサ、水温センサ、圧力センサ、スロットル開度センサ等により、エンジンの運転情報が検出されると、駆動ドライバ80及びコントロールユニット90により、種々の計算が行なわれて、所定の制御信号がプランジャポンプ30,300,800,1100に送られる。
【0129】
ここで、制御信号としては、パルス幅変調(PWM)制御信号であり、プランジャポンプ30,300,800,1100のプランジャ34,804,1104の駆動周波数は、エンジンのサイクルと応動して同期するように駆動される。すなわち、4サイクルのエンジンにおいて、エンジンの回転数が、例えば、1200rpmの場合10Hz、6000rpmの場合50Hz、10000rpmの場合83.3Hzとなるように駆動され、又、エンジンの吸気行程の所定領域において駆動される。
【0130】
そして、エンジンの負荷が比較的低負荷の場合は、通電する電流値すなわち吐出圧力を比較的大きくかつ通電時間を比較的短くして、吸気行程の所定の短期間において間欠的に燃料を噴射させるように駆動される。この際の吸気に対する燃料の供給状態を概念的に示すと、図20(a)のようになる。すなわち、このような間欠的な燃料の噴射を行なうことで、希薄混合燃焼を生じさせることができ、これにより、二酸化炭素、炭化水素等の排出ガスを効率よく低減することができる。
【0131】
一方、エンジンの負荷が比較的高負荷の場合は、通電する電流値すなわち吐出圧力を比較的小さくかつ通電時間を比較的長くして、吸気行程の所定の長さに亘る期間において連続的に燃料を噴射させるように駆動される。この際の吸気に対する燃料の供給状態を概念的に示すと、図20(b)のようになる。すなわち、このような連続的な燃料の噴射を行なうことで、均一混合燃焼を生じさせることができ、これにより、必要とされる運転性、動力性能(ドライバビリティ・パフォーマンス)を確保することができる。
【0132】
上記のように、プランジャポンプ30,300,800、1100は、ソレノイドコイル33,803,1103に通電する際の電流、すなわち、電流から電磁力を介して変換される燃料の圧力と、通電時間という二つの要素を制御パラメータとしているため、図21に示すように、エンジンの運転状況(低負荷あるいは高負荷)等に応じて、この二つの制御パラメータを適宜選択して制御することができる。これにより、エンジンの運転状況に応じた任意の混合状態、すなわち、動力性能を重視する場合は均一混合状態を、排出ガス低減の希薄燃焼重視の場合は不均一混合状態をあるいはその中間の混合状態を、容易に得ることができ、又、制御の自由度すなわち制御幅を大きくとることができ、過渡応答性も有利になる。また、燃料の噴射量は、電流値とパルス幅で変化するので、割り込み増量等を容易に行なうことができる。
【0133】
上記のように制御されるプランジャポンプ30,300,800,1100から圧送された燃料Qinは、噴射ノズル50,500(500´),600,700,1000内に導入され、その一部がリターン燃料(バイアス流量)Qretとして燃料タンク20に向けて還流され、その差分の燃料Qoutが、噴射燃料として噴射ノズル50,500(500´),600,700,1000から噴射される。この時、リターン燃料と共に燃料のベーパも排出され、又、噴射燃料は、アシストエアにより撹乱されてその微粒化が促進されつつエンジンの吸気通路21a内に供給される。
特に、プランジャポンプ800,1100の場合においては、入口オリフィスノズル60により計量される前の圧送行程の初期領域においてベーパが排出されるため、特に高温時における噴射量の制御が安定する。
一方、図18に示すシステムにおいては、プランジャポンプ800を駆動するにあたり、時間のみを制御パラメータとすることで、バイアス流量を適用しなくても効率良くベーパの排出を行なえると共に入口オリフィスノズル60の線形性の良好な領域を使用でき、噴射量を高精度に制御することができる。
【0134】
また、プランジャポンプ30,300,800,1100を制御する手法として、所定レベルの電流からなる基本パルスに、より小さい電流からなる補助パルスを重畳した重畳駆動を行なうこともできる。
この重畳駆動は、駆動電流(圧力)とパルス幅(通電時間)とを可変とし、異なる二つのパルスを重畳するものである。例えば、図22に示すように、基本パルスの前に補助パルスを付加する連続パルス制御パターン等を適用することができる。
この重畳駆動によれば、バイアス流量が増加し、ベーパの排出をより促進させることができ、高温時のアイドル安定性を向上させることができる。また、製造工程におけるラインオフ時あるいは燃欠等の際に、燃料配管内にエアが混入しても、本来の機能への復帰性が大きく改善される。
【0135】
上記構成において、プランジャポンプ30,300,800,1100からの吐出圧は、燃料の噴射圧が所望の範囲の値となるように設定されるが、燃料のベーパが発生し易くなるベーパ発生の限界等を考慮して、適宜所望の値に設定される。
【0136】
以上述べた実施形態においては、エンジンが搭載されるものとして、二輪車を例に挙げたが、これに限定されるものではなく、三輪車又は四輪車等のカート、あるいはレジャーボート等の船舶の如く、比較的小排気量のエンジンが搭載されるものにも好ましく適用することができる。
【0137】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明の電子制御燃料噴射装置によれば、エンジンの運転状況に応じて任意の幅広い制御が行なえる電磁駆動ポンプと、入口オリフィスノズル及び出口オリフィスノズルを備えた噴射ノズルという簡単な組み合わせを採用するため、運転性、動力性能を重視しつつ、排出ガス等を効率よく低減することができる。特に、電磁駆動ポンプに対して、通電する電流(すなわち燃料の吐出圧力)及び通電時間という二つの要素により制御する二要素制御を採ることができるため、エンジンの運転状況に応じた任意の燃料混合状態を容易に形成することができ、又、制御幅を大きくとれ、過渡応答性にも優れて、全体としてきめ細かい制御による最適な燃焼状態をもたらすことができる。
【0138】
また、電磁駆動ポンプとして特に、自吸能力に優れたプランジャポンプを採用することで、インライン配置が可能なため、レイアウトあるいは設計の自由度が増加し、特に二輪車等に搭載する場合に、従来の燃料タンクを流用しつつコンパクトな配置構造を達成することができる。
さらに、従来のような高圧フィルタを必要とせず、キャブレータを用いたシステムで採用されていた低圧フィルタを適用することができ、又、耐圧構造を必要としないため、配管の簡略化、配管材料の薄肉化等により、供給系全体としての軽量化、小型化、低コスト化を達成することができる。
また、本発明の電子制御燃料噴射装置によれば、電磁駆動ポンプにより圧送されて入口オリフィスノズルにより計量される前の圧送行程の初期領域において、ベーパ混じりの燃料が還流されるため、特に高温時における燃料の噴射量を高精度に制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電子制御燃料噴射装置の全体構成を示す概略構成図である。
【図2】電子制御燃料噴射装置の一部を構成する電磁駆動ポンプとしてのプランジャポンプの概略構成を示す断面図である。
【図3】電子制御燃料噴射装置の一部を構成する噴射ノズル、入口オリフィスノズル、出口オリフィスノズル、アシストエア通路の概略構成を示す断面図である。
【図4】入口オリフィスノズルの流量特性を示す特性図である。
【図5】電子制御燃料噴射装置の駆動電流に対する吐出量の特性を示すものである。
【図6】電子制御燃料噴射装置の制御パルス幅に対する吐出量の特性を示すものであり、(a)は単位時間当たりの吐出量、(b)は1ショット当たりの吐出量をそれぞれ示す特性図である。
【図7】電子制御燃料噴射装置の一部を構成するプランジャポンプと噴射ノズルとを一体的に構成した実施形態を示す概観図である。
【図8】図7に示すプランジャポンプ及び噴射ノズルの断面図である。
【図9】図7に示すプランジャポンプ及び噴射ノズルの部分断面図である。
【図10】図7に示す実施形態に適用した調節手段を示す部分断面図である。
【図11】噴射ノズルとしての他の実施形態を示す断面図である。
【図12】噴射ノズルとしての他の実施形態を示す断面図である。
【図13】噴射ノズルとしての他の実施形態を示す断面図である。
【図14】本発明に係る電子制御燃料噴射装置の一実施形態を示す概念図である。
【図15】図14に示すシステムを具現化した際のプランジャポンプ及び噴射ノズルを示す断面図である。
【図16】図15に示す構成の一部拡大断面図である。
【図17】図14に示すシステムを具現化した他の実施形態を示す断面図である。
【図18】本発明に係る電子制御燃料噴射装置の一実施形態を示す概念図である。
【図19】図18に示すシステムを具現化した際のプランジャポンプ及び噴射ノズルを示す一部拡大断面図である。
【図20】電子制御燃料噴射装置における燃料供給の概念的な状態を示すものであり、(a)は不均一混合状態を、(b)は均一混合状態をそれぞれ示す概念図である。
【図21】電磁駆動ポンプを制御する際の二要素制御を示す概念図である。
【図22】電磁駆動ポンプを制御する際の重畳駆動による連続パルス制御パターンを示す。
【図23】従来の電子制御燃料噴射装置の全体構成を示す概略構成図である。
【符号の説明】
20 燃料タンク
21 吸気マニホールド
21a 吸気通路
30 プランジャポンプ(電磁駆動ポンプ)
31 シリンダ(筒体)
33 ソレノイドコイル
34 プランジャ
35 第1チェックバルブ
36 第1コイルスプリング(弾性体)
39 第2コイルスプリング(弾性体)
40 第3コイルスプリング
41 第2チェックバルブ
42 第4コイルスプリング
50 噴射ノズル
51 筒体
52 ポペット弁体
53 付勢スプリング
54d アシストエア通路
60 入口オリフィスノズル
62 オリフィス部
70 出口オリフィスノズル
72 オリフィス部
80 駆動ドライバ(制御手段)
90 コントロールユニット(制御手段)
110 燃料フィードパイプ
120 低圧フィルタ
130 燃料リターンパイプ
140 還流通路
300 プランジャポンプ(電磁駆動ポンプ)
500,500´ 噴射ノズル
510,510´ 筒体
540,540´ ポペット弁体
550,550´ 付勢スプリング
531,531´ 傾斜部(調節手段)
560,590´ 調整ねじ(調節手段)
600 噴射ノズル
700 噴射ノズル
701 内側筒状部材(筒体)
710 外側筒状部材(筒体)
720 弁体
740 付勢スプリング
800 プランジャポンプ(電磁駆動ポンプ)
801 シリンダ(筒体)
803 ソレノイドコイル
804 プランジャ
804a 還流通路
805 与圧バルブ
810 筒状部材
820 スピル弁(弁体)
830 出口チェックバルブ
880,890 コイルスプリング(弾性体)
1000 噴射ノズル
1010 筒体
1040 ポペット弁体
1050 付勢スプリング
1060 燃料リターン通路
1070 チェックバルブ(逆流防止弁)
1071 アジャスタ
1080 調整ねじ(調節手段)
1100 プランジャポンプ
1101 シリンダ(筒体)
1101a スピルポート
1103 ソレノイドコイル
1104 プランジャ
1130 出口チェックバルブ
1160,1170 コイルスプリング(弾性体)
1180 還流通路
1195 与圧バルブ
1500 噴射ノズル
1510 筒体
1513 噴射口

Claims (19)

  1. エンジンの吸気通路内に燃料を噴射する電子制御燃料噴射装置であって、
    電磁力を駆動源として燃料タンクから導かれた燃料を圧送する容積型の電磁駆動ポンプと、
    前記電磁駆動ポンプにより圧送された燃料を通過させるオリフィス部を有する入口オリフィスノズルと、
    前記入口オリフィスノズルを通過した燃料のうち、所定流量の燃料を燃料タンクに向けて還流するべく、燃料を通過させるオリフィス部を有する出口オリフィスノズルと、
    前記入口オリフィスノズルを通過した燃料と前記出口オリフィスノズルを通過した燃料との差分の燃料を、吸気通路内に向けて噴射する噴射ノズルと、
    前記電磁駆動ポンプをエンジンのサイクルに応動させて制御する制御手段と、を有する、
    ことを特徴とする電子制御燃料噴射装置。
  2. 前記電磁駆動ポンプは、燃料の通路を形成する筒体と、前記筒体の通路内に密接して所定範囲内を往復動自在に配置されかつ往復動方向に貫通する燃料通路を有するプランジャと、前記プランジャの燃料通路を閉塞するように付勢されかつ前記プランジャの一方向への移動により前記燃料通路を開放するように配置された第1チェックバルブと、前記筒体に支持されかつ前記プランジャを往復動方向において付勢する弾性体と、前記プランジャよりも燃料の流れ方向下流側に配置されて前記筒体の通路を閉塞するように付勢されかつ前記プランジャの他方向への移動により前記筒体の通路を開放するように配置された第2チェックバルブと、前記プランジャに対して電磁力を付与するソレノイドコイルと、を有する、
    ことを特徴とする請求項1記載の電子制御燃料噴射装置。
  3. エンジンの吸気通路内に燃料を噴射する電子制御燃料噴射装置であって、
    電磁力を駆動源として燃料タンクから導かれた燃料を圧送する容積型の電磁駆動ポンプと、
    前記電磁駆動ポンプによる圧送行程のうち所定の初期領域において、所定の圧力以上に与圧された燃料を燃料タンクに向けて還流する還流通路と、
    前記圧送行程のうち前記初期領域以外の後期領域において、前記還流通路を閉塞する弁体と、
    前記圧送行程の後期領域において所定の圧力に加圧された燃料を通過させるオリフィス部を有する入口オリフィスノズルと、
    前記入口オリフィスノズルを通過した燃料のうち、所定流量の燃料を燃料タンクに向けて還流するべく、燃料を通過させるオリフィス部を有する出口オリフィスノズルと、
    前記入口オリフィスノズルを通過した燃料と前記出口オリフィスノズルを通過した燃料との差分の燃料を、吸気通路内に向けて噴射する噴射ノズルと、
    前記電磁駆動ポンプをエンジンのサイクルに応動させて制御する制御手段と、を有する、
    ことを特徴とする電子制御燃料噴射装置。
  4. エンジンの吸気通路内に燃料を噴射する電子制御燃料噴射装置であって、
    電磁力を駆動源として燃料タンクから導かれた燃料を圧送する容積型の電磁駆動ポンプと、
    前記電磁駆動ポンプによる圧送行程のうち所定の初期領域において、所定の圧力以上に加圧された燃料を燃料タンクに向けて還流する還流通路と、
    前記圧送行程のうち前記初期領域以外の後期領域において、前記還流通路を閉塞する弁体と、
    前記圧送行程の後期領域において所定の圧力に加圧された燃料を通過させるオリフィス部を有する入口オリフィスノズルと、
    前記入口オリフィスノズルを通過した燃料を所定の圧力以上のとき吸気通路内に向けて噴射する噴射ノズルと、
    前記電磁駆動ポンプをエンジンのサイクルに応動させて制御する制御手段と、を有する、
    ことを特徴とする電子制御燃料噴射装置。
  5. 前記電磁駆動ポンプは、燃料の通路を形成する筒体と、前記筒体の通路内に密接して所定範囲内を往復動自在に配置されると共に一方向への移動により燃料を吸引しかつ他方向への移動により吸引した燃料を圧送するプランジャと、前記プランジャを往復動方向において付勢する弾性体と、前記プランジャにより圧送される燃料が所定の圧力以上のときに前記入口オリフィスノズルへ連通する燃料の通路を開放する出口チェックバルブと、前記プランジャに対して電磁力を付与するソレノイドコイルと、を有し、
    前記プランジャには、その往復動方向において貫通するように前記還流通路が形成されると共に、前記還流通路を閉塞するように付勢されかつ圧送される燃料が所定の圧力以上のときに開放する与圧バルブが設けられ、
    前記弁体は、前記圧送行程の初期領域において前記還流通路を開放しかつ前記圧送行程の後期領域において前記還流通路を閉塞すると共に前記後期領域の途中から前記出口チェックバルブを開放させるべく、前記プランジャの往復動方向において往復動自在に配置されたスピル弁からなる、
    ことを特徴とする請求項3又は4記載の電子制御燃料噴射装置。
  6. 前記電磁駆動ポンプは、燃料の通路を形成する筒体と、前記筒体の通路内に密接して所定範囲内を往復動自在に配置されると共に一方向への移動により燃料を吸引しかつ他方向への移動により吸引した燃料を圧送するプランジャと、前記プランジャを往復動方向において付勢する弾性体と、前記プランジャにより圧送される燃料が所定の圧力以上のときに前記入口オリフィスノズルへ連通する燃料の通路を開放する出口チェックバルブと、前記プランジャに対して電磁力を付与するソレノイドコイルと、を有し、
    前記還流通路は、前記筒体の外側に形成されており、
    前記還流通路には、その通路を閉塞するように付勢されて前記プランジャにより圧送される燃料が所定の圧力以上のときにその通路を開放する与圧バルブが設けられ、
    前記筒体には、前記還流通路に連通するスピルポートが形成され、
    前記弁体は、前記圧送行程の初期領域において前記スピルポートを開放しかつ前記圧送行程の後期領域において前記スピルポートを閉塞する前記プランジャからなる、
    ことを特徴とする請求項3又は4記載の電子制御燃料噴射装置。
  7. 前記還流通路は、前記噴射ノズルによる燃料の噴射方向と逆向きの方向に燃料を還流するように形成されている、
    ことを特徴とする請求項3ないし6いずれかに記載の電子制御燃料噴射装置。
  8. 前記噴射ノズルは、前記入口オリフィスノズル及び前記出口オリフィスノズルに連通する燃料通路を画定する筒体と、前記筒体の内部に往復動自在に配置されて燃料の噴射通路を開閉する弁体と、燃料の噴射通路を閉塞するように前記弁体を所定の付勢力にて付勢する付勢スプリングと、を有する、
    ことを特徴とする請求項1ないし3、5ないし7いずれかに記載の電子制御燃料噴射装置。
  9. 前記噴射ノズルは、前記入口オリフィスノズルから流入した燃料を導く燃料通路を画定する筒体と、前記筒体の内部に往復動自在に配置されて燃料の噴射通路を開閉する弁体と、燃料の噴射通路を閉塞するように前記弁体を所定の付勢力にて付勢する付勢スプリングと、を有する、
    ことを特徴とする請求項4ないし7いずれかに記載の電子制御燃料噴射装置。
  10. 前記噴射ノズルは、噴射される燃料の微粒化をアシストするためのアシストエアを通過させるアシストエア通路を有する、
    ことを特徴とする請求項8又は9記載の電子制御燃料噴射装置。
  11. 前記噴射ノズルは、前記付勢スプリングの付勢力を調節する調節手段を有する、
    ことを特徴とする請求項8ないし10いずれかに記載の電子制御燃料噴射装置。
  12. 前記噴射ノズルは、燃料通路の途中に逆流を防止する逆流防止弁を有する、
    ことを特徴とする請求項1又は3記載の電子制御燃料噴射装置。
  13. 前記噴射ノズルは、前記逆流防止弁の開弁圧を調整するアジャスタを有する、
    ことを特徴とする請求項12記載の電子制御燃料噴射装置。
  14. 前記噴射ノズルは、前記入口オリフィスノズル及び前記出口オリフィスノズルに連通する燃料通路が、前記弁体により開閉される噴射通路の近傍を経由して一方向に燃料を流すような一つの通路として形成されている、ことを特徴とする請求項8記載の電子制御燃料噴射装置。
  15. 前記電磁駆動ポンプと前記噴射ノズルとは、一体的に結合されている、
    ことを特徴とする請求項1ないし14いずれかに記載の電子制御燃料噴射装置。
  16. 前記制御手段は、前記電磁駆動ポンプに通電する電流及び通電する時間の二要素を少なくとも制御パラメータとする、
    ことを特徴とする請求項1又は3記載の電子制御燃料噴射装置。
  17. 前記制御手段は、前記電磁駆動ポンプに通電する時間のみを制御パラメータとする、
    ことを特徴とする請求項4記載の電子制御燃料噴射装置。
  18. 前記制御手段は、前記電磁駆動ポンプに対して、所定レベルの電流からなる基本パルスに、前記所定レベルよりも小さい電流からなる補助パルスを重畳した重畳駆動を行なう、
    ことを特徴とする請求項1又は3記載の電子制御燃料噴射装置。
  19. 前記制御手段は、前記プランジャの少なくとも圧送行程時に、前記ソレノイドコイルへの通電を行なう、
    ことを特徴とする請求項2、5ないし18いずれかに記載の電子制御燃料噴射装置。
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