(第1実施形態)
燃料ポンプの制御装置の第1実施形態について、図1〜図6を参照して説明する。
図1に示すように、車両に搭載されている内燃機関10の機関本体11には、4つの気筒(第1気筒#1〜第4気筒#4)が形成されている。機関本体11には吸気通路12が連結されている。吸気通路12は、吸気マニホールド13と、吸気マニホールド13の吸気上流側の端部に接続されている吸気管14とを含む。吸気マニホールド13は、吸気管14が連結されているサージタンク13Aと、サージタンク13Aの吸気下流側に設けられている吸気導入部13Bと、吸気導入部13Bの吸気下流側に設けられている吸気分岐部13Cとからなる。サージタンク13Aは、吸気管14や吸気導入部13Bよりも通路断面積が大きい。吸気分岐部13Cは、吸気下流側の端部が4つに分岐していて、分岐した端部の各々が別々の気筒に接続されている。吸気管14には、スロットルバルブ21が設けられている。スロットルバルブ21の開度が制御されることにより、吸気通路12を流れる吸気の流量が制御される。吸気管14から吸気マニホールド13に流れた空気は、各気筒#1〜#4に供給される。吸気管14には、スロットルバルブ21よりも吸気上流側に吸気通路12を流れる吸気の流量を検出するエアフローメータ90が設けられている。
機関本体11には、複数の燃料噴射弁15が設けられている。燃料噴射弁15は、複数の気筒毎に1つずつ設けられている。燃料噴射弁15は、気筒内に配置され、該気筒に燃料を噴射する。また、各気筒#1〜#4には点火プラグ16がそれぞれ設けられている。各気筒#1〜#4では、吸気通路12から導入された吸気と、燃料噴射弁15から噴射された燃料とが混合して混合気が生成される。なお、混合気における吸気と燃料との質量比を空燃比という。混合気は、点火プラグ16によって着火されて燃焼する。
機関本体11には排気通路17が連結されている。排気通路17は、排気マニホールド18と、排気マニホールド18の排気下流側の端部に接続されている排気管19とを含む。排気マニホールド18は、機関本体11に連結されている排気分岐部18Aと、排気分岐部18Aの排気下流側に設けられている排気合流部18Bとからなる。排気分岐部18Aは、排気上流側の端部が4つに分岐していて、分岐した端部の各々が別々の気筒に接続されている。各気筒#1〜#4において、混合気の燃焼により生じた排気は、排気マニホールド18に排出される。排気通路17には、排気管19に配置されて排気を浄化する触媒20が設けられている。また、排気管19には、触媒20よりも排気上流側に空燃比センサ91が配置されている。空燃比センサ91は、排気通路17を流れる排気の酸素濃度、すなわち、燃焼した混合気の空燃比に応じた電気信号を出力する。
内燃機関10には、機関本体11に設けられている燃料噴射弁15に燃料を供給するための燃料供給装置30が設けられている。燃料供給装置30は、燃料が貯留されている燃料タンク31を有している。燃料タンク31の内部には、低圧燃料ポンプ32が配置されている。低圧燃料ポンプ32には、低圧燃料配管33の一端が連結されている。低圧燃料ポンプ32は、電動式の燃料ポンプであって、燃料タンク31内の燃料を汲み上げて低圧燃料配管33に吐出する。低圧燃料配管33の他端には、高圧燃料ポンプ40が連結されている。高圧燃料ポンプ40には、高圧燃料配管34が連結されている。高圧燃料配管34は、高圧燃料ポンプ40に連結されている吐出配管34Aと、該吐出配管34Aに接続されている導出配管34Bとからなる。導出配管34Bには、各燃料噴射弁15が連結されている。低圧燃料ポンプ32から低圧燃料配管33に吐出された燃料は、高圧燃料ポンプ40に吸引される。高圧燃料ポンプ40では、吸引した燃料を加圧して吐出配管34Aに吐出する。吐出配管34Aに吐出された燃料は導出配管34Bに供給され、燃料噴射弁15から気筒内に噴射される。高圧燃料配管34において、導出配管34Bにおける吐出配管34A側の端部には、圧力センサ92が設けられている。圧力センサ92は、高圧燃料配管34内の燃料圧力Prを検出する。また、高圧燃料配管34において、導出配管34Bにおける吐出配管34Aとは反対側の端部には、燃料温度センサ93が設けられている。燃料温度センサ93は、高圧燃料配管34内の燃料の温度を検出する。
図2に示すように、高圧燃料ポンプ40は、燃料を吸引して加圧するポンプ部50と、ポンプ部50が連結されているケース部80とを有している。
ケース部80は、箱状に形成されている。ケース部80は、円板状に形成されている下壁81と、該下壁81の周縁から立設されている周側壁82とを有している。下壁81の中央部分には、ケース部80の内域側に突出した円柱状の突出部83が設けられている。周側壁82は、下壁81の周縁の全周に亘って連続して設けられていて、円筒形状に形成されている。周側壁82の上端は上壁84によって繋がっている。上壁84は、円板状に形成されていて、その中央部分に貫通孔84Aが形成されている。
ポンプ部50は、上壁84の上端面に固定されているハウジング51を有している。ハウジング51は、円柱状に形成されている本体部52と、本体部52と上壁84との間に配置されているフランジ部55と、フランジ部55から立設されている挿通部56とからなる。フランジ部55は、本体部52よりも拡径されていて、上壁84と当接している。挿通部56は、フランジ部55から貫通孔84Aを貫通して、ケース部80の内域まで延びている。挿通部56は、その外径が貫通孔84Aの内径と同じである。そのため、挿通部56の外周面は、上壁84の貫通孔84Aの内周面と当接している。ハウジング51には、シリンダ57が形成されている。シリンダ57は、挿通部56の一端面(図2の下端面)から本体部52の内部まで延びている。以下では、シリンダ57の中心軸Lの延伸方向(図2の上下方向)を単に軸方向という。
本体部52には、上記軸方向と直交する直交方向(図2の左右方向)に延びていて、シリンダ57と連通している第1直交孔53及び第2直交孔54が形成されている。第1直交孔53と第2直交孔54とは、シリンダ57から互いに反対方向に延びている。第1直交孔53は、シリンダ57と連通している第1小径部53Aと、第1小径部53Aから本体部52の側周面まで延びて開口している第1大径部53Bとを有している。第1大径部53Bには、吸入弁60が挿入されて嵌合している。
吸入弁60は、円柱形状に形成されていて、本体部52から突出した状態で組付けられている。吸入弁60には、上記直交方向に貫通して延びている吸入通路61が形成されている。吸入通路61は、第1小径部53Aに接続されている第1吸入路61Aと、第1吸入路61Aに接続されていて、第1吸入路61Aよりも拡径されている第2吸入路61Bと、第2吸入路61Bに接続されていて、第1吸入路61Aと直径が同じである第3吸入路61Cとからなる。第2吸入路61Bには、第1逆止弁62が配置されている。第1逆止弁62は、第1弁体63と、該第1弁体63を第3吸入路61C側に付勢する第1ばね64とからなる。第1弁体63は、第3吸入路61C側(図2の左側)の端面に当接している第1付勢部63Aと、第1付勢部63Aの中央部から第1吸入路61A側(図2の右側)に膨出している第1膨出部63Bとからなる。第1膨出部63Bは、半球状に形成されている。第1ばね64は、一端が第2吸入路61Bにおける第1吸入路61A側の端面に当接し、他端が第1弁体63の第1付勢部63Aに当接している。吸入弁60には低圧燃料配管33が連結されていて、第3吸入路61Cには低圧燃料配管33から燃料が供給される。
第2直交孔54は、シリンダ57と連通している第2小径部54Aと、第2小径部54Aから本体部52の側周面まで延びて開口している第2大径部54Bとを有している。第2大径部54Bには、吐出弁70が挿入されて嵌合している。吐出弁70は、円柱形状に形成されていて、本体部52から突出した状態で組付けられている。吐出弁70と吸入弁60とは、上記直交方向に延びる同一軸上に並んで配置されている。吐出弁70には、上記直交方向に貫通して延びている吐出通路71が形成されている。吐出通路71は、第2小径部54Aに接続されている第1吐出路71Aと、第1吐出路71Aに接続されていて、第1吐出路71Aよりも拡径されている第2吐出路71Bと、第2吐出路71Bに接続されていて、第1吐出路71Aと直径が同じである第3吐出路71Cとからなる。第2吐出路71Bには、第2逆止弁72が配置されている。
第2逆止弁72は、第2弁体73と、該第2弁体73を第1吐出路71A側に付勢する第2ばね74とからなる。第2弁体73は、第1吐出路71A側(図2の左側)の端面に当接している第2付勢部73Aと、第2付勢部73Aの中央部から第3吐出路71C側(図2の右側)に膨出している第2膨出部73Bとからなる。第2膨出部73Bは、半球状に形成されている。第2ばね74は、一端が第2吐出路71Bにおける第3吐出路71C側の端面に当接し、他端が第2弁体73の第2付勢部73Aに当接している。吐出弁70には高圧燃料配管34が連結されている。
ポンプ部50は、シリンダ57に挿通され、該シリンダ57内を摺動可能な可動子としてのプランジャ75を有している。プランジャ75は、磁性素材によって構成されている。プランジャ75は、円柱棒状に形成されていて、その一端部(図2の上端部)が挿通部56側からシリンダ57に挿通されている。プランジャ75の他端部は、ケース部80の内域に配置されている。プランジャ75の他端部には、凹条75Aが形成されている。凹条75Aは、周方向全周に亘って延びている。そのため、プランジャ75は、凹条75Aが形成されている部分が部分的に縮径されたようになっている。凹条75Aには、円環板状の台座76が連結されている。台座76は、凹条75Aに挿通されている中央部76Aと、該中央部76Aから径方向外側に湾曲して延びている湾曲部76Bと、湾曲部76Bから径方向外側に平板状に延びている平板部76Cとからなる。平板部76Cとハウジング51の挿通部56との間には、圧縮ばね77が配置されている。圧縮ばね77は、台座76をハウジング51から離間する方向、すなわち、プランジャ75をシリンダ57から引き抜く方向(図2の下方)に付勢している。プランジャ75の他端面は、圧縮ばね77の付勢力によって、ケース部80の突出部83の上端面に押し付けられている。プランジャ75の他端部には、凹条75Aよりも一端側に凸条75Bが形成されている。凸条75Bは、周方向全周に亘って延びている。そのため、プランジャ75は、凸条75Bが形成されている部分が部分的に拡径されたようになっている。凸条75Bの直径は、シリンダ57の直径よりも大きい。なお、シリンダ57、プランジャ75、第1小径部53A、第1吸入路61A、第2吸入路61B、第2小径部54A、及び第1吐出路71Aによって、ポンプ部50の加圧室78が構成されている。
高圧燃料ポンプ40には、ハウジング51の本体部52に、シリンダ57の周囲を囲うようにコイル85が配置されている。コイル85は、通電されることにより、磁界を発生する。高圧燃料ポンプ40においてコイル85が通電されると、該コイル85の周囲に発生する磁界によってプランジャ75が励磁される。
図3に白抜きの矢印で示すように、プランジャ75が励磁されると、該プランジャ75は圧縮ばね77の付勢力に抗して上記軸方向において一方側(図3の上側)に移動する。プランジャ75は、凸条75Bが挿通部56に当接するまで一方側に移動する。こうしてプランジャ75が移動したときには、ポンプ部50の加圧室78の容積が減少して該加圧室78内の圧力が増大する。ポンプ部50の加圧室78には、後述するように燃料が供給されていることから、加圧室78の圧力が増大することで、ポンプ部50の吐出弁70が開弁する。すなわち、吐出弁70の第2弁体73には、開弁方向に加圧室78内の圧力が作用しており、閉弁方向に高圧燃料配管34内の圧力及び第2ばね74の付勢力が作用している。加圧室78内の圧力が増大して、第2弁体73を開弁方向に付勢する力が第2弁体73を閉弁方向に付勢する力よりも強くなると、第2弁体73が開弁する。第2弁体73が開弁すると、図3に実線の矢印で示すように、加圧室78から高圧燃料配管34に燃料が吐出される。なお、高圧燃料ポンプ40から高圧燃料配管34へ燃料が吐出されるときには、吸入弁60は加圧室78内の圧力によって閉弁状態に保持される。一方で、コイル85への通電が停止されるとプランジャ75の励磁が解除される。
図4に白抜きの矢印で示すように、プランジャ75の励磁が解除されると、該プランジャ75は圧縮ばね77の付勢力によって、シリンダ57から引き抜かれるように上記軸方向において他方側(図4の下側)に移動する。プランジャ75は、その他端部が突出部83に当接するまで他方側に移動する。こうしてプランジャ75が移動したときには、ポンプ部50の加圧室78の容積が増大して該加圧室78内の圧力が低下する。ポンプ部50の吸入弁60の第1弁体63には、開弁方向に低圧燃料配管33内の圧力が作用しており、閉弁方向に加圧室78内の圧力及び第1ばね64の付勢力が作用している。加圧室78内の圧力が低下して、第1弁体63を閉弁方向に付勢する力が第1弁体63を開弁方向に付勢する力よりも弱くなると第1弁体63が開弁する。第1弁体63が開弁すると、図4に実線の矢印で示すように、低圧燃料配管33から加圧室78に燃料が供給される。このように、高圧燃料ポンプ40が低圧燃料配管33から燃料を吸引しているときには、吐出弁70は高圧燃料配管34内の圧力によって閉弁状態に保持される。
このようにプランジャ75は、コイル85への通電状態に応じてシリンダ57内を上記軸方向における一方側及び他方側との間で往復動する。そのため、コイル85は、プランジャ75を移動させるための電動アクチュエータに相当する。高圧燃料ポンプ40は、プランジャ75が一往復する度に、燃料を吸引する吸引機能と、吸引した燃料を加圧して吐出する吐出機能とを果たす。また、燃料ポンプの本体部52には、コイル温度センサ94が設けられている。コイル温度センサ94は、コイル85の温度を検出する。
図1に示すように、燃料供給装置30は、燃料ポンプの制御装置100を有している。また、内燃機関10には、バッテリ120が設けられている。バッテリ120は、燃料ポンプの制御装置100等、内燃機関10の各部に電力を供給する。
制御装置100には、エアフローメータ90、空燃比センサ91、圧力センサ92、燃料温度センサ93、及びコイル温度センサ94からの出力信号が入力される。制御装置100には、内燃機関10のクランクシャフトの回転速度である機関回転速度NEとクランクシャフトの回転位相であるクランク角CAとを検出するクランク角センサ95の出力信号も入力される。また、制御装置100には、アクセルペダルの操作量であるアクセル操作量Accを検出するアクセルセンサ96、及び車速Vを検出する車速センサ97などの各種のセンサからの出力信号も入力される。制御装置100は、CPU、ROM、およびRAMを備えている。制御装置100は、ROMに記憶されたプログラムをCPUが実行することにより燃料噴射弁15の駆動、スロットルバルブ21の駆動、及び高圧燃料ポンプ40の駆動を制御する。
図5に示すように、制御装置100は、機能部として、目標回転速度算出部101、目標トルク算出部102、目標燃圧算出部103、燃圧偏差算出部104、噴射フィードバック量算出部105、要求燃料噴射量算出部106、噴射時間算出部107、噴射開始タイミング算出部108、及び燃料噴射弁駆動部109を有している。また、制御装置100は、目標スロットル開度算出部110、スロットル駆動部111、及び噴射間吐出制御実行部112を有している。
目標回転速度算出部101は、クランク角センサ95によって検出された機関回転速度NEと、アクセルセンサ96によって検出されたアクセル操作量Accとに基づいて機関回転速度NEの目標値である目標回転速度NEtを算出する。
目標トルク算出部102は、車速センサ97によって検出された車速Vと、アクセルセンサ96によって検出されたアクセル操作量Accとに基づいて内燃機関10のクランクシャフトの軸トルクの目標値である目標トルクTQtを算出する。
目標燃圧算出部103は、目標回転速度算出部101によって算出された目標回転速度NEtと、目標トルク算出部102によって算出された目標トルクTQtとに基づいて、高圧燃料配管34内の燃料圧力の目標値である目標燃圧Ptを算出する。目標燃圧算出部103には、目標回転速度NEt及び目標トルクTQtと、目標燃圧Ptとの関係を示すマップが記憶されている。このマップは、予め実験やシミュレーションによって求められている。目標燃圧Ptは、目標回転速度NEtが高いときには該目標回転速度NEtが低いときに比して高くなるように算出される。また、目標燃圧Ptは、目標トルクTQtが大きいときには該目標トルクTQtが小さいときに比して高くなるように算出される。
燃圧偏差算出部104は、目標燃圧算出部103によって算出された目標燃圧Ptから圧力センサ92によって検出された高圧燃料配管34内の燃料圧力Prを減算した差である燃圧偏差ΔP(=Pt−Pr)を算出する。
噴射フィードバック量算出部105は、空燃比センサ91によって検出された実際の空燃比を、空燃比の目標値である目標空燃比にフィードバック制御するための噴射フィードバック量FAFを算出する。なお、目標空燃比は、内燃機関10の運転状態に基づいて制御装置100によって算出される。噴射フィードバック量算出部105は、目標空燃比から実際の空燃比を減算した値を入力とする比例要素、積分要素、および微分要素の各出力値の和として噴射フィードバック量FAFを算出する。
要求燃料噴射量算出部106は、各燃料噴射弁15から噴射される燃料量の各々の目標値である要求燃料噴射量Qtを算出する。要求燃料噴射量算出部106は、目標回転速度算出部101によって算出された目標回転速度NEtと、目標トルク算出部102によって算出された目標トルクTQtとに基づいてベース噴射量Qbを算出する。ベース噴射量Qbは、目標回転速度NEtが高いときには該目標回転速度NEtが低いときに比して多くなるように算出される。また、ベース噴射量Qbは、目標トルクTQtが大きいときには該目標トルクTQtが小さいときに比して多くなるように算出される。ベース噴射量Qbは、目標空燃比に対応した燃料噴射量として算出される。要求燃料噴射量算出部106は、ベース噴射量Qbに噴射フィードバック量算出部105によって算出された噴射フィードバック量FAFを乗算することで、要求燃料噴射量Qtを算出する。
噴射時間算出部107は、要求燃料噴射量算出部106によって算出された要求燃料噴射量Qtと、圧力センサ92によって検出された燃料圧力Prとに基づいて、各燃料噴射弁15における燃料噴射の実行時間である噴射時間Fiを算出する。
噴射開始タイミング算出部108は、要求燃料噴射量算出部106によって算出された要求燃料噴射量Qtと、噴射時間算出部107によって算出された噴射時間Fiと、クランク角センサ95によって検出された機関回転速度NEとに基づいて各燃料噴射弁15から燃料噴射を開始するタイミングである噴射開始タイミングFsを算出する。燃料噴射弁15における各々の噴射開始タイミングFsは、該燃料噴射弁15が配置されている気筒の点火タイミングまでに要求燃料噴射量Qt分の燃料噴射が完了するように算出される。
燃料噴射弁駆動部109は、クランク角センサ95によって検出されたクランク角CAに基づき各燃料噴射弁15を駆動する。燃料噴射弁駆動部109は、噴射開始タイミング算出部108によって算出された各々の燃料噴射弁15の噴射開始タイミングFsにおいて、該燃料噴射弁15からの燃料噴射が開始されるように燃料噴射弁15の駆動を制御する。燃料噴射弁駆動部109は、燃料噴射を開始してから、噴射時間算出部107によって算出された噴射時間Fiの間において燃料噴射を継続すると、燃料噴射弁15からの燃料噴射を終了する。
目標スロットル開度算出部110は、目標トルク算出部102によって算出された目標トルクTQtに基づいてスロットルバルブ21の開度の目標値である目標スロットル開度θtを算出する。
スロットル駆動部111は、目標スロットル開度算出部110によって算出された目標スロットル開度θtとなるようにスロットルバルブ21の開度を制御する。
噴射間吐出制御実行部112は、燃料噴射弁15からのN回目の燃料噴射とN+1回目の燃料噴射との間の所定のタイミングで高圧燃料ポンプ40から燃料吐出を実行する噴射間吐出制御を実行する。本実施形態の噴射間吐出制御では、高圧燃料ポンプ40を駆動して燃料を吐出する際、その燃料吐出量が常に最大吐出量となるように吐出量を制御する。なお、最大吐出量は、高圧燃料ポンプ40における1回の燃料吐出において実現可能な吐出量の最大値である。最大吐出量は、加圧室78の容積及びプランジャ75の最大移動量によって決定されるものであって、予め求められて制御装置100に記憶されている。プランジャ75の最大移動量は、プランジャ75の他端が突出部83に当接している状態から、該プランジャ75の凸条75Bが挿通部56に当接するまでの移動量である。また、本実施形態では、N回目の燃料噴射とN+1回目の燃料噴射との間とは、燃料噴射弁15からのN回目の燃料噴射の終了後からN+1回目の燃料噴射が開始されるまでの間をいう。
噴射間吐出制御実行部112は、機能部として、吐出要否判定部113、吐出回数設定部114、吐出開始タイミング算出部115、及びポンプ駆動部116を有している。
吐出要否判定部113は、燃圧偏差算出部104によって算出された燃圧偏差ΔPが所定値以上のときに、高圧燃料ポンプ40からの燃料吐出が必要であると判定する。所定値は、高圧燃料ポンプ40の最大吐出量分の燃料を該高圧燃料ポンプ40から高圧燃料配管34に供給したときの燃料圧力Prの変化量よりも若干小さい値に設定されている。すなわち、吐出要否判定部113は、上記燃圧偏差ΔPが所定値よりも小さく、実際の燃料圧力Prと目標燃圧Ptとの乖離が小さいときには、高圧燃料ポンプ40からの燃料吐出は不要であると判定する。
吐出回数設定部114は、吐出要否判定部113によって高圧燃料ポンプ40からの燃料吐出が必要であると判定されたときに、上記燃圧偏差ΔPに基づいて高圧燃料ポンプ40から高圧燃料配管34に燃料を吐出する回数を設定する。吐出回数設定部114はまず、燃圧偏差ΔPに基づいて高圧燃料配管34内の燃料圧力Prを目標燃圧Ptにするために必要な燃料吐出量を算出する。そして、算出した燃料吐出量分の燃料を供給するために必要な吐出回数のうちで最も少ない吐出回数を吐出回数Tnとして設定する。例えば、必要な燃料吐出量が、高圧燃料ポンプ40の最大吐出量以下である場合には吐出回数Tnを1回に設定する。また、必要な燃料吐出量が、上記最大吐出量よりも多く最大吐出量の2倍の量以下である場合には吐出回数Tnを2回に設定する。
吐出開始タイミング算出部115は、吐出要否判定部113によって高圧燃料ポンプ40からの燃料吐出が必要であると判定されたときに、高圧燃料ポンプ40から高圧燃料配管34に燃料吐出を行う際の開始タイミングである吐出開始タイミングTsを算出する。吐出開始タイミングTsは、燃料噴射弁15からの燃料噴射のタイミングに基づいて算出される。本実施形態では、燃料噴射弁15からの燃料噴射の終了タイミングFeから所定の準備時間が経過したタイミングを吐出開始タイミングTsとする。なお、燃料噴射の終了タイミングFeは、噴射時間算出部107によって算出された噴射時間Fiと、噴射開始タイミング算出部108によって算出された噴射開始タイミングFsとに基づいて算出できる。準備時間は、燃料噴射弁15からの燃料噴射が終了してから、上記燃圧偏差ΔPが安定するまでに必要な時間に設定されている。
ポンプ駆動部116は、吐出要否判定部113によって高圧燃料ポンプ40からの燃料吐出が必要であると判定されているときに、吐出開始タイミング算出部115によって算出された吐出開始タイミングTsで高圧燃料ポンプ40のコイル85への通電制御を行う。ポンプ駆動部116は、通電制御を通じてプランジャ75を往復動させることにより、高圧燃料ポンプ40において燃料の吸引及び燃料の吐出を実行させる。ポンプ駆動部116は、高圧燃料ポンプ40へ通電制御を開始してから予め設定されているリフト時間Tiが経過したときに通電を終了する。リフト時間Tiは、高圧燃料ポンプ40のプランジャ75の他端が突出部83に当接している状態から、該プランジャ75の凸条75Bが挿通部56に当接するまで上記一方側に移動する際に係る時間よりも若干長い時間に設定されている。リフト時間Tiは、予め実験やシミュレーションによって求められて制御装置100に記憶されている。
ポンプ駆動部116は、吐出回数設定部114によって設定された吐出回数Tnが2回以上である場合、通電制御を開始してからリフト時間Tiが経過したタイミングで通電制御を終了し、該終了したタイミングから所定の待機時間が経過したタイミングで再度通電制御を実行する。そして、再度通電制御を開始してからリフト時間Tiが経過したタイミングで再び通電制御を終了する。こうして通電制御を繰り返し実行することにより、高圧燃料ポンプ40から複数回の燃料吐出を実行する。なお、待機時間は、高圧燃料ポンプ40のプランジャ75の凸条75Bが挿通部56に当接している状態から、該プランジャ75が突出部83に当接するまで上記他方側に移動する際に係る時間と等しい時間に設定されている。
本実施形態の作用及び効果について、図6を参照して説明する。なお、図6では、各タイミングを示す「t」と3桁の数字について、「t」と3桁の数字のうちの最初の1桁の数字「6」とについて記載を省略している。
(1−1)図6(a)に示すように、内燃機関10の運転に伴い燃料噴射弁15から燃料噴射が繰り返し実行される。なお、図6に示す例では、図6(b)に示すように、タイミングt611において燃料噴射が開始される前、高圧燃料配管34内の燃料圧力Prは、目標燃圧Ptよりも高くなっている。燃料噴射弁駆動部109は、噴射開始タイミング算出部108によって算出された噴射開始タイミングFsであるタイミングt611において燃料噴射を開始する。燃料噴射弁駆動部109は、噴射時間算出部107によって算出された噴射時間Fiの間において燃料噴射を継続し、タイミングt611から噴射時間Fiが経過したタイミングt612において燃料噴射を終了する。
こうして燃料噴射が実行されることにより、高圧燃料配管34内の燃料は気筒に供給され、図6(b)に示すように燃料圧力Prが低下する。燃料噴射が終了したタイミングt612では、燃料圧力Prは目標燃圧Ptよりも低下しているものの、第1燃圧P1よりは高い。第1燃圧P1は、第2燃圧P2よりも若干高い値に設定されている(P1>P2)。第2燃圧P2は、高圧燃料ポンプ40の最大吐出量分の燃料を高圧燃料配管34に供給したときの燃料圧力Prの変化量分の圧力を、目標燃圧Ptから減算した圧力である。すなわち、燃料圧力Prが第2燃圧P2となっているときに、高圧燃料ポンプ40から高圧燃料配管34に最大吐出量分の燃料を1回吐出すると、燃料圧力Prが目標燃圧Ptとなる。第1燃圧P1と目標燃圧Ptとの差は、吐出要否判定部113において高圧燃料ポンプ40からの燃料吐出の要否を判定するための上記所定値に相当する。タイミングt612では、燃圧偏差ΔPが所定値よりも小さく、実際の燃料圧力Prと目標燃圧Ptとの乖離が小さいため、図6(c)に示すように高圧燃料ポンプ40からの燃料吐出は不要であると判定される。
図6(a)に示すように、タイミングt613からタイミングt614において燃料噴射弁15から次の燃料噴射が実行されることにより、図6(b)に示すように更に燃料圧力Prが低下する。タイミングt614では、燃料圧力Prは第1燃圧P1よりも高く、燃圧偏差ΔPは所定値よりも小さい。そのため、図6(c)に示すように高圧燃料ポンプ40からの燃料吐出は不要であると判定される。
その後、図6(a)に示すように、タイミングt615からタイミングt617において燃料噴射弁15から燃料噴射が実行されたときには、図6(b)に示すように燃料圧力Prが第1燃圧P1よりも低下する。これにより、図6(c)に示すように、燃料圧力Prが第1燃圧P1よりも低下したタイミングt616、すなわち燃圧偏差ΔPが所定値以上となったタイミングにおいて、吐出要否判定部113が高圧燃料ポンプ40からの燃料吐出が必要であると判定する。こうして燃料吐出が必要であると判定されると、吐出回数設定部114は、燃料噴射が終了したタイミングt617後の燃圧偏差ΔPに基づいて高圧燃料ポンプ40から高圧燃料配管34に燃料を吐出する際の吐出回数を設定する。吐出回数設定部114はまず、燃圧偏差ΔPに基づいて高圧燃料配管34内の燃料圧力Prを目標燃圧Ptにするために必要な燃料吐出量を算出する。図6に示す例では、燃料圧力Prは第1燃圧P1よりも低下しているものの、第2燃圧P2よりは高い(P1>Pr>P2)。そのため、燃圧偏差ΔPに基づいて算出される上記必要な燃料吐出量は、高圧燃料ポンプ40の最大吐出量よりは少なくなる。この場合、吐出回数設定部114は、吐出回数Tnとして1回を設定する。
また、吐出開始タイミング算出部115は、タイミングt616において吐出要否判定部113が高圧燃料ポンプ40からの燃料吐出が必要であると判定すると、高圧燃料ポンプ40から高圧燃料配管34に燃料吐出を行う際の開始タイミングである吐出開始タイミングTsを算出する。吐出開始タイミング算出部115は、燃料噴射の終了タイミングFe(t617)から上記準備時間が経過したタイミングt618を吐出開始タイミングTsに設定する。
ポンプ駆動部116は、高圧燃料ポンプ40からの燃料吐出が必要であると判定されているときに通電制御を実行し、設定されている吐出開始タイミングTsから設定されている吐出回数Tnの燃料吐出が実行されるように高圧燃料ポンプ40を駆動する。
すなわち、図6(d)に示すように、高圧燃料ポンプ40は、吐出開始タイミングTs(タイミングt618)において、高圧燃料ポンプ40から高圧燃料配管34に1回の燃料吐出を行う。燃料吐出は、タイミングt618からリフト時間Tiが経過するタイミングt620まで実行される。これにより、高圧燃料ポンプ40から高圧燃料配管34に最大吐出量分の燃料が供給され、燃料圧力Prが目標燃圧Pt以上に上昇する。燃料圧力Prが目標燃圧Pt以上に上昇する過程のタイミングt619では、燃料圧力Prが第1燃圧P1よりも高くなり、図6(c)に示すように、吐出要否判定部113によって高圧燃料ポンプ40からの燃料吐出は不要であると判定される。
上述した例では、燃料噴射弁15からの燃料噴射が3回実行されたときに高圧燃料ポンプ40から高圧燃料配管34へ燃料が1回吐出される。したがって、燃料噴射弁15からの燃料の噴射回数に対する高圧燃料ポンプ40から高圧燃料配管34への燃料の吐出回数の比率である吐出比率は「1/3」となる。
また、上述したように、燃料噴射弁15からの燃料噴射量は、内燃機関10の運転状態、すなわち目標回転速度NEtや目標トルクTQt等に応じて変化する。図6(a)に示すように、タイミングt621からタイミングt623における燃料噴射では、上述したタイミングt611からタイミングt612における燃料噴射などに比して、燃料噴射量が多く設定されている。そのため、この燃料噴射では、図6(b)に示すように燃料圧力Prが第2燃圧P2よりも低い圧力まで低下する。この場合、図6(c)に示すように、燃料圧力Prが第1燃圧P1よりも低下したタイミングt622、すなわち、燃圧偏差ΔPが所定値以上となったタイミングにおいて、吐出要否判定部113が高圧燃料ポンプ40からの燃料吐出が必要であると判定する。
こうして燃料吐出が必要であると判定されると、吐出回数設定部114は燃料噴射が終了したタイミングt623後の燃圧偏差ΔPに基づいて高圧燃料ポンプ40から高圧燃料配管34に燃料を吐出する回数を設定する。図6(b)に示すように、燃料噴射が終了したタイミングt623では、燃料圧力Prは第2燃圧P2よりも低下しているものの、第2燃圧よりも低い値に設定されている第3燃圧P3よりは高い(P2>P3)。第3燃圧P3は、高圧燃料ポンプ40の最大吐出量の2倍の量の燃料を高圧燃料配管34に供給したときの燃料圧力Prの変化量分の圧力を、目標燃圧Ptから減算した圧力である。すなわち、燃料圧力Prが第3燃圧P3となっているときに、高圧燃料ポンプ40から高圧燃料配管34に最大吐出量分の燃料を2回吐出すると、燃料圧力Prが目標燃圧Ptまで上昇する。燃料圧力Prが第2燃圧P2よりも低く第3燃圧P3よりも高いときには(P2>Pr>P3)、吐出回数設定部114において燃圧偏差ΔPに基づいて算出される必要な燃料吐出量は、高圧燃料ポンプ40の最大吐出量よりも多く、該最大吐出量の2倍の量よりは少なくなる。そのため、吐出回数設定部114は、吐出回数Tnとして2回を設定する。なお、第1燃圧P1、第2燃圧P2、及び第3燃圧P3は、目標燃圧Ptに基づいて設定されていることから、目標燃圧Ptが変化したときにはこの変化に合わせてこれら燃圧も変化する。
また、吐出開始タイミング算出部115は、タイミングt622において吐出要否判定部113が高圧燃料ポンプ40からの燃料吐出が必要であると判定すると、高圧燃料ポンプ40から高圧燃料配管34に燃料吐出を行う際の開始タイミングである吐出開始タイミングTsを算出する。吐出開始タイミング算出部115は、燃料噴射の終了タイミングFe(t623)から上記準備時間が経過したタイミングt624を吐出開始タイミングTsに設定する。
ポンプ駆動部116は、高圧燃料ポンプ40からの燃料吐出が必要であると判定されているときに通電制御を実行し、設定されている吐出開始タイミングTsから設定されている吐出回数Tnの燃料吐出が実行されるように高圧燃料ポンプ40を駆動する。すなわち、図6(d)に示すように、ポンプ駆動部116は、吐出開始タイミングTs(タイミングt624)において、高圧燃料ポンプ40から高圧燃料配管34に2回の燃料吐出を行う。1回目の燃料吐出は、タイミングt624からリフト時間Tiが経過するタイミングt626まで実行される。これにより、高圧燃料ポンプ40から高圧燃料配管34に最大吐出量分の燃料が供給され、燃料圧力Prが上昇する。この例では、燃料圧力Prは、第1燃圧P1よりも高く、目標燃圧Ptよりも低い圧力まで上昇する。そのため、1回目の燃料吐出では、燃料圧力Prが第1燃圧P1よりも高くなったタイミングt625において、図6(c)に示すように、吐出要否判定部113によって高圧燃料ポンプ40からの燃料吐出は不要であると判定される。なお、既に燃料の吐出回数は2回に設定されていることから、吐出要否判定部113によって高圧燃料ポンプ40からの燃料吐出は不要であると判定された後であっても、ポンプ駆動部116は続けて高圧燃料ポンプ40からの燃料吐出を実行する。ポンプ駆動部116は1回目の燃料吐出を終了したタイミングt626から上記待機時間が経過したタイミングt627において燃料吐出を開始する。2回目の燃料吐出は、タイミングt627からリフト時間Tiが経過するタイミングt628まで実行される。これにより、高圧燃料ポンプ40から高圧燃料配管34に最大吐出量分の燃料が供給され、燃料圧力Prが目標燃圧Pt以上に上昇する。このように、ポンプ駆動部116は設定されている吐出回数Tnとなるように燃料吐出を繰り返し実行すると、高圧燃料ポンプ40の駆動を停止する。その後、タイミングt629からタイミングt630において次の燃料が実行されることで、燃料圧力Prは低下する。以降は、燃圧偏差ΔPが所定値以上となる度に、所定の吐出回数で燃料の吐出が実行される。
なお、上述した例では、燃料噴射弁15からの燃料噴射が1回実行されたときに高圧燃料ポンプ40から高圧燃料配管34へ燃料が2回吐出されている。そのため、燃料噴射弁15からの燃料の噴射回数に対する高圧燃料ポンプ40から高圧燃料配管34への燃料の吐出回数の比率である吐出比率は「2」となる。
このように、本実施形態では、燃料噴射の終了タイミングFeから準備期間が経過したときに高圧燃料ポンプ40の吐出開始タイミングTsを設定し、N回目の燃料噴射とN+1回目の燃料噴射との間の所定のタイミングで燃料吐出を実行する噴射間吐出制御を行う。そして、噴射間吐出制御の実行中には、燃圧偏差ΔPが所定値以上となったときに燃料の吐出回数Tnを設定し高圧燃料ポンプ40からの燃料吐出を実行することで、内燃機関の運転状態の変化に応じて吐出比率を変更する構成としている。すなわち、燃圧偏差ΔPが所定値未満のときには、燃料噴射弁15から燃料噴射が行われてから次に燃料噴射が行われるまでの間に高圧燃料ポンプ40からの燃料吐出を1回も行わない。これにより、吐出比率を1よりも小さい値に変更することができる。また、燃圧偏差ΔPが所定値以上のときには、燃料噴射弁15から燃料噴射が行われてから次に燃料噴射が行われるまでの間に高圧燃料ポンプ40から1回または複数回の燃料吐出を行う。これにより、吐出比率を1以上の値に変更することができる。したがって、内燃機関の運転状態と相関する燃料噴射量に応じて燃料の吐出の実行要否を判断することにより、燃料噴射量に合わせた燃料吐出の実行が可能になる。
また、噴射間吐出制御により、燃料噴射弁15からのN回目の燃料噴射とN+1回目の燃料噴射との間の所定のタイミングにおいて燃料吐出が実行される。そのため、燃料噴射のタイミングに対する燃料吐出のタイミングの変動を抑えることができ、こうした変動に起因した燃料の噴射期間における燃料圧力Prの変化度合いのばらつきを抑えることができる。そのため、本実施形態によれば、高圧燃料配管34における燃料圧力Prの制御性の向上に貢献できる。
(1−2)本実施形態では、吐出要否判定部113が高圧燃料ポンプ40からの燃料吐出が必要であると判定したときに、すぐに高圧燃料ポンプ40から高圧燃料配管34に燃料吐出を行うのではなく、N回目の燃料噴射の終了タイミングFe(t623)から上記準備時間が経過した吐出開始タイミングTsにおいて、高圧燃料ポンプ40から燃料吐出を行う。このように、N回目の燃料噴射の終了後に燃料吐出を行うように噴射間吐出制御を実行することで、燃料噴射弁15におけるN回目の燃料噴射期間に重ならないように燃料吐出を開始する。そのため、燃料噴射弁15による燃料噴射が行われているときには、高圧燃料ポンプ40から燃料の吐出が行われないようにすることができる。したがって、高圧燃料ポンプ40から燃料吐出が行われることによる高圧燃料配管34内の燃料圧力Prの変動の影響を燃料噴射に生じ難くすることができ、高圧燃料配管34への燃料供給のタイミングを適切にできる。
(1−3)本実施形態では、高圧燃料配管34に燃料を供給するにあたって、燃料噴射弁15から燃料噴射が行われてから次に燃料噴射が行われるまでの間に高圧燃料ポンプ40から複数回の燃料吐出を行うことができる。すなわち、吐出比率を1以上の値に変更することができる。そのため、高圧燃料ポンプ40の最大吐出量をより少なく設定することが可能となり、その最大吐出量に合致するようにより小型の高圧燃料ポンプ40を選択することもできる。
(1−4)燃圧偏差ΔPが所定値未満のときには、燃料噴射弁15から燃料噴射が行われてから次に燃料噴射が行われるまでの間に高圧燃料ポンプ40からの燃料吐出を1回も行わない構成とした。そのため、目標燃圧Ptと燃料圧力Prとの差が小さいときには、高圧燃料ポンプ40の駆動を停止させることも可能になり、燃圧偏差ΔPに拘わらず高圧燃料ポンプ40の駆動を継続する場合に比して、高圧燃料ポンプ40の駆動頻度を低下させることができる。そのため、電力消費を抑えることにも貢献できる。
(第2実施形態)
燃料ポンプの制御装置の第2実施形態について、図7及び図8を参照して説明する。本実施形態では、噴射間吐出制御における燃料の吐出態様が第1実施形態と異なっている。第1実施形態と同様の構成については、共通の符号を付して説明を省略する。
図7に示すように、制御装置100の噴射間吐出制御実行部121は、機能部として、吐出要否判定部113、吐出回数算出部117、噴射間隔算出部118、最大吐出回数算出部119、吐出回数設定部122、吐出開始タイミング算出部115、及びポンプ駆動部116を有している。
吐出要否判定部113は、燃圧偏差算出部104によって算出された燃圧偏差ΔPが所定値以上のときに、高圧燃料ポンプ40からの燃料吐出が必要であると判定する。所定値は、高圧燃料ポンプ40の最大吐出量分の燃料を該高圧燃料ポンプ40から高圧燃料配管34に供給したときの燃料圧力Prの変化量よりも若干小さい値に設定されている。すなわち、吐出要否判定部113は、上記燃圧偏差ΔPが所定値よりも小さく、実際の燃料圧力Prと目標燃圧Ptとの乖離が小さいときには、高圧燃料ポンプ40からの燃料吐出は不要であると判定する。
吐出回数算出部117は、吐出要否判定部113によって高圧燃料ポンプ40からの燃料吐出が必要であると判定されたときに、上記燃圧偏差ΔPに基づいて高圧燃料ポンプ40から高圧燃料配管34に燃料を吐出する際の必要吐出回数Tnfを算出する。吐出回数設定部122はまず、燃圧偏差ΔPに基づいて高圧燃料配管34内の燃料圧力Prを目標燃圧Ptにするために必要な燃料吐出量を算出する。そして、算出した燃料吐出量分の燃料を供給するために必要な吐出回数のうちで最も少ない吐出回数を必要吐出回数Tnfとして算出する。例えば、必要な燃料吐出量が、高圧燃料ポンプ40の最大吐出量以下である場合には必要吐出回数Tnfを1回として算出する。また、必要な燃料吐出量が、上記最大吐出量よりも多く最大吐出量の2倍の量以下である場合には必要吐出回数Tnfを2回として算出する。
噴射間隔算出部118は、後述する吐出開始タイミング算出部115において算出された燃料噴射弁15からの燃料噴射の終了タイミングFe、噴射開始タイミング算出部108によって算出された噴射開始タイミングFs、及びクランク角センサ95によって検出された機関回転速度NEに基づいて、燃料の噴射間隔Intを算出する。本実施形態では、燃料の噴射間隔Intは、所定の気筒に設けられている燃料噴射弁15において燃料噴射が終了してから、該所定の気筒の次に点火が実行される気筒に設けられている燃料噴射弁15において燃料噴射が開始されるまでの時間として算出される。例えば、各気筒#1〜#4では、第1気筒#1、第3気筒#3、第4気筒#4、及び第2気筒#2の順で点火が行われる。燃料の噴射間隔Intは、燃料噴射の終了タイミングFeが遅いときほど、噴射開始タイミングFsが早いときほど、及び機関回転速度NEが高いときほど短くなる。
最大吐出回数算出部119は、噴射間隔算出部118によって算出された噴射間隔Intに基づいて、該噴射間隔Int内で実行可能な高圧燃料ポンプ40からの燃料吐出の最大吐出回数Tnmaxを算出する。すなわち、最大吐出回数算出部119はまず、噴射間隔Intから準備時間を減算した時間を吐出可能時間Intcとして算出する。準備時間は、燃料噴射弁15からの燃料噴射が終了してから、上記燃圧偏差ΔPが安定するまでに必要な時間に設定されている。そして、この吐出可能時間Intcと、高圧燃料ポンプ40から燃料の吐出を行うための必要時間Tminとに基づいて最大吐出回数を算出する。必要時間Tminは、高圧燃料ポンプ40が燃料の吐出を1回行うときには、リフト時間Tiと等しい時間となる。また、必要時間Tminは、高圧燃料ポンプ40が燃料の吐出を複数であるn回行うときには(2≦n)、リフト時間Tiのn倍の時間と待機時間のn−1倍の時間との和に等しい時間となる。
本実施形態では、リフト時間Tiは、高圧燃料ポンプ40へ通電制御を開始し、プランジャ75の他端が突出部83に当接している状態から、該プランジャ75の凸条75Bが挿通部56に当接するまで上記一方側に移動する際に係る時間と等しい時間に設定されている。また、待機時間は、高圧燃料ポンプ40へ通電制御を終了し、高圧燃料ポンプ40のプランジャ75の凸条75Bが挿通部56に当接している状態から、該プランジャ75が突出部83に当接するまで上記他方側に移動する際に係る時間と等しい時間に設定されている。リフト時間Ti及び待機時間は、予め実験やシミュレーションによって求められて制御装置100に記憶されている。最大吐出回数算出部119は例えば、吐出可能時間Intcが燃料の吐出を1回行うときの必要時間Tmin以上であり、燃料の吐出を2回行うときの必要時間Tminよりも短いときは最大吐出回数Tnmaxを1に設定する。また、最大吐出回数算出部119は例えば、吐出可能時間Intcが燃料の吐出を2回行うときに必要時間以上であり、燃料の吐出を3回行うときに必要時間Tminよりも短いときは最大吐出回数Tnmaxを2に設定する。
吐出回数設定部122は、吐出回数算出部117によって算出された必要吐出回数Tnfと、最大吐出回数算出部119によって算出された最大吐出回数Tnmaxとに基づいて、高圧燃料ポンプ40から高圧燃料配管34に燃料を吐出する際の吐出回数Tnを設定する。すなわち、吐出回数設定部122は、必要吐出回数Tnfが最大吐出回数Tnmax以下の場合には(Tnf≦Tnmax)、吐出回数Tnとして必要吐出回数Tnfと同じ回数を設定する。また、吐出回数設定部122は、必要吐出回数Tnfが最大吐出回数Tnmaxよりも大きい場合には(Tnmax<Tnf)、吐出回数Tnとして最大吐出回数Tnmaxと同じ回数を設定する。なお、こうして吐出回数Tnとして最大吐出回数Tnmaxと同じ回数を設定した場合、最大吐出回数分の燃料吐出を行った噴射間隔Int(n)の次の噴射間隔(n+1)においては、必要吐出回数Tnfと最大吐出回数Tnmaxとの差分の回数に基づいて燃料の吐出回数Tnを設定する。例えば、次の噴射間隔(n+1)における最大吐出回数Tnmaxが1回であり、差分の回数が2回であるときには、噴射間隔(n+1)における吐出回数Tnを最大吐出回数Tnmaxと同じ1回に設定し、必要吐出回数Tnfのうちの残りの1回を更に次の噴射間隔(n+2)以降に吐出するように設定する。
吐出開始タイミング算出部115は、吐出要否判定部113によって高圧燃料ポンプ40からの燃料吐出が必要であると判定されているときに、高圧燃料ポンプ40から高圧燃料配管34に燃料吐出を行う際の開始タイミングである吐出開始タイミングTsを算出する。吐出開始タイミングTsは、燃料噴射弁15からの燃料噴射のタイミングに基づいて算出される。本実施形態では、燃料噴射弁15からの燃料噴射の終了タイミングFeを算出し、該終了タイミングFeから上記準備時間が経過したタイミングを吐出開始タイミングTsとする。なお、燃料噴射の終了タイミングFeは、噴射時間算出部107によって算出された噴射時間Fiと、噴射開始タイミング算出部108によって算出された噴射開始タイミングFsとに基づいて算出できる。吐出開始タイミング算出部115は、吐出回数設定部122において吐出回数Tnが設定された噴射間隔Intにおいて、各々の噴射間隔における吐出開始タイミングTsを算出する。
ポンプ駆動部116は、吐出要否判定部113によって高圧燃料ポンプ40からの燃料吐出が必要であると判定されているときに、吐出回数設定部122に設定されている吐出回数Tn、及び吐出開始タイミング算出部115によって算出された吐出開始タイミングTsで高圧燃料ポンプ40のコイル85への通電制御を行う。ポンプ駆動部116は、通電制御を通じてプランジャ75を往復動させることにより、高圧燃料ポンプ40において燃料の吸引及び燃料の吐出を実行させる。ポンプ駆動部116は、高圧燃料ポンプ40へ通電制御を開始してから上記リフト時間Tiが経過したときに通電を終了する。ポンプ駆動部116は、吐出回数設定部122によって設定された吐出回数Tnが2回以上である場合、通電制御を開始してからリフト時間Tiが経過したタイミングで通電制御を終了し、該終了したタイミングから上記待機時間が経過したタイミングで再度通電制御を実行する。そして、再度通電制御を開始してからリフト時間Tiが経過したタイミングで再び通電制御を終了する。こうして通電制御を繰り返し実行することにより、高圧燃料ポンプ40から複数回の燃料吐出を実行する。
本実施形態の作用及び効果について、図8を参照して説明する。図8では、各タイミングを示す「t」と3桁の数字について、「t」と3桁の数字のうちの最初の1桁の数字「8」とについて記載を省略している。本実施形態では、上記(1−3)、(1−4)と同様の作用及び効果に加えて以下の作用及び効果が得られる。
(2−1)図8(a)に示すように、内燃機関10の運転に伴い燃料噴射弁15から燃料噴射が繰り返し実行される。なお、図8に示す例では、図8(b)に示すように、タイミングt811において燃料噴射が開始される前、高圧燃料配管34内の燃料圧力Prは、目標燃圧Ptよりも高くなっている。燃料噴射弁駆動部109は、吐出開始タイミング算出部115によって算出された吐出開始タイミングTsであるタイミングt811において燃料噴射を開始する。燃料噴射弁駆動部109は、噴射時間算出部107によって算出された噴射時間Fiの間において燃料噴射を継続し、タイミングt811から噴射時間Fiが経過したタイミングt812において燃料噴射を終了する。こうして燃料噴射が実行されることにより、高圧燃料配管34内の燃料は気筒に供給され、図8(b)に示すように燃料圧力Prが低下する。燃料噴射が終了したタイミングt812では、燃料圧力Prは目標燃圧Ptよりも低下しているものの、第1燃圧P1よりは高い。タイミングt812では、燃圧偏差ΔPが所定値よりも小さく、実際の燃料圧力Prと目標燃圧Ptとの乖離が小さいため、図8(c)に示すように高圧燃料ポンプ40からの燃料吐出は不要であると判定される。
図8(a)に示すように、タイミングt813からタイミングt814において燃料噴射弁15から次の燃料噴射が実行されることにより、図8(b)に示すように更に燃料圧力Prが低下する。タイミングt814では、燃料圧力Prは第1燃圧P1よりも高く、燃圧偏差ΔPは所定値よりも小さい。そのため、図8(c)に示すように高圧燃料ポンプ40からの燃料吐出は不要であると判定される。
その後、図8(a)に示すように、タイミングt815からタイミングt817において燃料噴射弁15から燃料噴射が実行されたときには、図8(b)に示すように燃料圧力Prが第1燃圧P1よりも低下する。これにより、図8(c)に示すように、燃料圧力Prが第1燃圧P1よりも低下したタイミングt816、すなわち燃圧偏差ΔPが所定値以上となったタイミングにおいて、吐出要否判定部113が高圧燃料ポンプ40からの燃料吐出が必要であると判定する。こうして燃料吐出が必要であると判定されると、高圧燃料ポンプ40から高圧燃料配管34に燃料を吐出する際の吐出回数が設定される。この処理では、吐出回数算出部117が、燃料噴射が終了したタイミングt817後の燃圧偏差ΔPに基づいて必要吐出回数Tnfを算出する。図8(a)に示すように、タイミングt815からタイミングt817における燃料噴射では、タイミングt813からタイミングt814における燃料噴射などに比べて燃料噴射量が多い。そのため、図8(b)に示すように、燃料噴射が終了したタイミングt817では、燃料圧力Prは第3燃圧P3よりも少し低い圧力まで低下する。このように、燃料圧力Prが第3燃圧P3よりも少し低い圧力である場合、吐出回数設定部122において燃圧偏差ΔPに基づいて算出される必要な燃料吐出量は、高圧燃料ポンプ40の最大吐出量の2倍の量よりも多く、該最大吐出量の3倍の量よりは少なくなる。そのため、吐出回数算出部117は、必要吐出回数Tnfとして3回を設定する。
また、タイミングt816において燃料吐出が必要であると判定されると、最大吐出回数算出部119は、最大吐出回数Tnmaxを算出する。図8(a)に示すように、最大吐出回数算出部119は、噴射間隔算出部118によって算出された燃料の噴射間隔Intから準備時間を減算した時間を吐出可能時間Intcとして算出する。そして、この吐出可能時間Intcと、高圧燃料ポンプ40から燃料の吐出を行うための必要時間Tminとに基づいて最大吐出回数を算出する。なお、図8に示す例では、吐出可能時間Intcは高圧燃料ポンプ40が燃料の吐出を1回行うときの必要時間Tmin(=Ti)と等しいことから、最大吐出回数算出部119は、最大吐出回数Tnmaxを1回として算出する。
その後、吐出回数設定部122は、吐出回数設定部122は、吐出回数算出部117によって算出された必要吐出回数Tnfと、最大吐出回数算出部119によって算出された最大吐出回数Tnmaxとに基づいて、高圧燃料ポンプ40から高圧燃料配管34に燃料を吐出する際の吐出回数Tnを設定する。本実施形態では、吐出回数設定部122は、必要吐出回数Tnf(=3)が最大吐出回数Tnmax(=1)よりも大きいため、吐出回数Tnとして最大吐出回数Tnmaxと同じ回数を設定する(Tn=1)。また、こうして吐出回数Tnとして最大吐出回数Tnmaxと同じ回数が設定された場合、必要吐出回数Tnf(=3)と最大吐出回数Tnmax(=1)との差分の回数(=2)の燃料吐出は次のようにして行われる。すなわち、噴射間隔算出部118は、次の噴射間隔Int(2)、すなわちタイミングt819からタイミングt820における燃料噴射と、タイミングt823からタイミングt825における燃料噴射との間の間隔を算出する。最大吐出回数算出部119は、この噴射間隔Int(2)における最大吐出回数Tnmaxを算出する。本実施形態では、図8(a)に示す噴射間隔Int(2)における吐出可能時間Intcは高圧燃料ポンプ40が燃料の吐出を1回行うときの必要時間Tmin(=Ti)と等しい。そのため、最大吐出回数算出部119は、噴射間隔Int(2)における最大吐出回数Tnmaxを1回として算出する。
吐出回数設定部122は、最大吐出回数算出部119において算出された噴射間隔Int(2)における最大吐出回数Tnmax(=1)と、上記差分の回数(=2)に基づいて次の噴射間隔Int(2)における燃料の吐出回数Tnを設定する。この場合、吐出回数設定部122は、差分の回数(=2)が最大吐出回数Tnmax(=1)よりも大きいため、吐出回数Tnとして最大吐出回数Tnmaxと同じ回数を設定する(Tn=1)。これにより、噴射間隔Int(2)における吐出回数Tnとして1回が設定される。
また、こうして噴射間隔Int(2)における吐出回数Tnとして1回が設定された場合、差分の回数(=2)から最大吐出回数Tnmax(=1)を減算した残りの回数(=1)の燃料吐出は次のようにして行われる。すなわち、噴射間隔算出部118は、次の噴射間隔Int(3)、すなわちタイミングt823からタイミングt825における燃料噴射と、タイミングt828からタイミングt829における燃料噴射との間の間隔を算出する。最大吐出回数算出部119は、この噴射間隔Int(3)における最大吐出回数Tnmaxを算出する。本実施形態では、図8(a)に示す噴射間隔Int(3)における吐出可能時間Intcは高圧燃料ポンプ40が燃料の吐出を1回行うときの必要時間Tmin(=Ti)と等しい。そのため、最大吐出回数算出部119は、噴射間隔Int(3)における最大吐出回数Tnmaxを1回として算出する。
吐出回数設定部122は、最大吐出回数算出部119において算出された噴射間隔Int(3)における最大吐出回数Tnmax(=1)と、上記残りの回数(=1)に基づいて次の噴射間隔Int(3)における燃料の吐出回数Tnを設定する。この場合、吐出回数設定部122は、残りの回数(=1)が最大吐出回数Tnmax(=1)以下であることから、吐出回数Tnとし残りの回数と同じ回数を設定する(Tn=1)。これにより、噴射間隔Int(3)における吐出回数Tnとして1回が設定される。
このように、吐出回数設定部122は、吐出回数算出部117によって算出された必要吐出回数Tnf分の燃料吐出が行われるように、各噴射間隔Intにおける燃料の吐出回数Tnを設定する。
また、吐出開始タイミング算出部115は、タイミングt816において吐出要否判定部113が高圧燃料ポンプ40からの燃料吐出が必要であると判定すると、高圧燃料ポンプ40から高圧燃料配管34に燃料吐出を行う際の開始タイミングである吐出開始タイミングTsを算出する。吐出開始タイミング算出部115は、吐出回数設定部122において吐出回数が設定された噴射間隔(Int,Int(2),Int(3))において、各々の噴射間隔における吐出開始タイミングTsを算出する。吐出開始タイミング算出部115は、燃料噴射の終了タイミングFe(t817,t820,t825)から上記準備時間が経過したタイミング(t818,t821,t826)を吐出開始タイミングTsに設定する。
ポンプ駆動部116は、高圧燃料ポンプ40からの燃料吐出が必要であると判定されているときに通電制御を実行し、設定されている吐出開始タイミングTsから設定されている吐出回数Tnの燃料吐出が実行されるように高圧燃料ポンプ40を駆動する。
すなわち、図8(d)に示すように、ポンプ駆動部116は、吐出開始タイミングTs(タイミングt818)において、高圧燃料ポンプ40から高圧燃料配管34に1回の燃料吐出を行う。燃料吐出は、タイミングt818からリフト時間Tiが経過するタイミングt819まで実行される。この燃料吐出は、噴射間隔Int内に完了する。こうして燃料吐出を行うことにより、高圧燃料ポンプ40から高圧燃料配管34に最大吐出量分の燃料が供給され、燃料圧力Prが第3燃圧P3よりも高く、第2燃圧P2よりも低い圧力まで上昇する。この場合、燃料噴射弁15からの燃料噴射が3回実行されたときに高圧燃料ポンプ40から高圧燃料配管34へ燃料が1回吐出される。したがって、燃料噴射弁15からの燃料の噴射回数に対する高圧燃料ポンプ40から高圧燃料配管34への燃料の吐出回数の比率である吐出比率は「1/3」となる。なお、本実施形態では、高圧燃料ポンプ40から燃料の吐出が行われたときを基準として吐出比率を判断する。すなわち、上記燃料の噴射回数は、高圧燃料ポンプ40からの燃料吐出が行われたときから、その前の燃料吐出が行われたときまでの間において実行された燃料の噴射回数を用いる。また、上記燃料の吐出回数は、高圧燃料ポンプ40からの燃料吐出が行われたタイミングを含む期間であって、燃料吐出が行われたタイミングの直前の燃料噴射の噴射開始タイミングFsからその直後の燃料噴射の噴射開始タイミングFsまでの期間内において実行された燃料の吐出回数を用いる。なお、燃料噴射が実行されてから次の燃料噴射が実行されるまでの間に複数回の燃料吐出が行われたときには、該複数回の燃料吐出のうちで最初の燃料吐出を基準として上述したように吐出比率を判断すればよい。
図8(a)に示すように、こうして燃料吐出が行われた後、燃料吐出が終了したタイミングt819からタイミングt820まで燃料噴射が実行される。これにより、図8(b)に示すように燃料圧力Prが低下する。燃料噴射が実行された後、ポンプ駆動部116は、吐出開始タイミングTs(タイミングt821)において、高圧燃料ポンプ40から高圧燃料配管34に1回の燃料吐出を行う。燃料吐出は、タイミングt821からリフト時間Tiが経過するタイミングt823まで実行される。この燃料吐出は、噴射間隔Int(2)内に完了する。
こうして燃料吐出を行うことにより、高圧燃料ポンプ40から高圧燃料配管34に最大吐出量分の燃料が供給され、燃料圧力Prが第1燃圧P1よりも高く、目標燃圧Ptよりも低い圧力まで上昇する。燃料圧力Prが第1燃圧P1よりも高くなったタイミングt822において、図8(c)に示すように、吐出要否判定部113によって高圧燃料ポンプ40からの燃料吐出は不要であると判定される。なお、既に燃料の吐出回数Tnが設定されていることから、吐出要否判定部113によって高圧燃料ポンプ40からの燃料吐出は不要であると判定された後であっても、ポンプ駆動部116は高圧燃料ポンプ40からの以降の燃料吐出を継続する。この燃料吐出においては、燃料噴射弁15からの燃料の噴射回数に対する高圧燃料ポンプ40から高圧燃料配管34への燃料の吐出回数の比率である吐出比率は「1」となる。
その後、図8(a)に示すように、燃料吐出が終了したタイミングt823からタイミングt825まで燃料噴射が実行される。これにより、図8(b)に示すように燃料圧力Prが第1燃圧P1よりも低下する。燃料圧力Prが第1燃圧P1よりも低下したタイミングt824、すなわち燃圧偏差ΔPが所定値以上となったタイミングにおいて、吐出要否判定部113は高圧燃料ポンプ40からの燃料吐出が必要であると判定する。なお、タイミングt824において吐出要否判定部113が高圧燃料ポンプ40からの燃料吐出が必要であると判定した際、吐出回数設定部122は既に吐出回数Tnを設定している。この場合には、吐出回数設定部122は、タイミングt824において再度吐出回数Tnの設定を行わず、既に設定されている吐出回数Tnを保持する。
そのため、タイミングt825において燃料噴射が終了した後、ポンプ駆動部116は、吐出開始タイミングTs(タイミングt826)において、高圧燃料ポンプ40から高圧燃料配管34に1回の燃料吐出を行う。燃料吐出は、タイミングt826からリフト時間Tiが経過するタイミングt828まで実行される。この燃料吐出は、噴射間隔Int(3)内に完了する。こうして燃料吐出を行うことにより、高圧燃料ポンプ40から高圧燃料配管34に最大吐出量分の燃料が供給され、燃料圧力Prが目標燃圧Ptよりも高い圧力まで上昇する。燃料圧力Prが第1燃圧P1よりも高くなったタイミングt827において、図8(c)に示すように、吐出要否判定部113によって高圧燃料ポンプ40からの燃料吐出は不要であると判定される。この燃料吐出においては、燃料噴射弁15からの燃料の噴射回数に対する高圧燃料ポンプ40から高圧燃料配管34への燃料の吐出回数の比率である吐出比率は「1」となる。
このように、本実施形態では、燃料噴射の終了タイミングFeから準備期間が経過したときに高圧燃料ポンプ40の吐出開始タイミングTsを設定し、N回目の燃料噴射とN+1回目の燃料噴射との間の所定のタイミングで噴射間吐出制御を行う。そして、噴射間吐出制御の実行中には、燃圧偏差ΔPが所定値以上となったときに燃料の吐出回数Tnを設定し高圧燃料ポンプ40からの燃料吐出を実行することで、内燃機関の運転状態の変化に応じて吐出比率を変更する構成としている。すなわち、燃圧偏差ΔPが所定値未満のときには、燃料噴射弁15から燃料噴射が行われてから次に燃料噴射が行われるまでの間に高圧燃料ポンプ40からの燃料吐出を1回も行わない。これにより、吐出比率を1よりも小さい値に変更することができる。また、燃圧偏差ΔPが所定値以上のときには、燃料噴射弁15から燃料噴射が行われてから次に燃料噴射が行われるまでの間に高圧燃料ポンプ40から1回または複数回の燃料吐出を行う。これにより、吐出比率を1以上の値に変更することができる。
(2−2)本実施形態では、噴射間隔Int内に燃料吐出が行われるように燃料の吐出回数を設定している。こうした構成との違いを明らかにするために、本実施形態の比較例として、噴射間吐出制御において吐出回数算出部117によって算出された必要吐出回数Tnfで連続して燃料吐出を行う場合を説明する。
図8(e)に示すように、ポンプ駆動部116は、吐出開始タイミングTs(タイミングt818)において、高圧燃料ポンプ40から高圧燃料配管34に必要吐出回数Tnf(=3)の燃料吐出を行う。1回目の燃料吐出は、タイミングt818からリフト時間Tiが経過するタイミングt819まで実行される。ポンプ駆動部116は、1回目の燃料吐出を行うと、待機時間が経過したときに2回目の燃料吐出を開始する。2回目の燃料吐出は、燃料噴射が行われるタイミングt819からタイミングt820の間のタイミングで開始される。そのため、燃料噴射の実行期間と燃料吐出の実行期間とが重なり、高圧燃料ポンプ40から燃料吐出が行われることによって、燃料噴射の実行期間において高圧燃料配管34内の燃料圧力に変動が生じる。
また、ポンプ駆動部116は、2回目の燃料吐出を開始してからリフト時間Tiが経過するまで燃料吐出を実行する。ポンプ駆動部116は、2回目の燃料吐出を行うと、待機時間が経過したときに3回目の燃料吐出を開始する。3回目の燃料吐出は、タイミングt823において燃料噴射が開始される前に終了する。この比較例では、1回目の燃料吐出を行ったときの吐出比率は「1/3」となり、2回目及び3回目の燃料吐出を行ったときにおける吐出比率は「2」となる。この比較例では、その後、吐出要否判定部113によって高圧燃料ポンプ40からの燃料吐出が必要であると判定されたときに、ポンプ駆動部116が、設定された吐出開始タイミングTsにおいて、算出された必要吐出回数Tnfで燃料吐出を行う。
本実施形態では、噴射間隔Int内に燃料吐出が行われるように、噴射間隔Intに基づいて算出した最大吐出回数Tnmaxによって吐出回数Tnを制限している。これにより、燃料噴射弁15による燃料噴射が行われているときには、高圧燃料ポンプ40から燃料の吐出を行わない。そのため、燃料噴射弁におけるN回目の燃料噴射期間及びN+1回目の燃料噴射期間の双方に重なるように燃料吐出を実行する場合に比して、高圧燃料ポンプ40から燃料吐出が行われることによる高圧燃料配管34内の燃料圧力の変動の影響が燃料噴射に生じ難くすることができ、上記比較例と比較しても燃料噴射の実行時における燃料噴射量の制御精度を高めることができる。その結果、高圧燃料配管34への燃料供給のタイミングが適切になる。なお、高圧燃料ポンプ40の制御装置100では、上記比較例のように燃料吐出を制御することで、高圧燃料配管34内の燃料圧力Prの増大の早期化を図ることも可能である。
(第3実施形態)
燃料ポンプの制御装置の第3実施形態について、図9〜図11を参照して説明する。本実施形態では、噴射間吐出制御において内燃機関10の負荷KLに基づいて燃料の吐出比率を設定する点が第1実施形態と異なっている。第1実施形態と同様の構成については、共通の符号を付して説明を省略する。
図9に示すように、制御装置100の噴射間吐出制御実行部130は、機能部として、負荷算出部131、吐出比率設定部132、吐出開始タイミング算出部115、及びポンプ駆動部116を有している。
負荷算出部131は、エアフローメータ90によって検出された吸気の流量に基づいて内燃機関10の負荷KLを算出する。
吐出比率設定部132は、負荷算出部131によって算出された負荷KLに基づいて、燃料噴射弁15からの燃料の噴射回数に対する高圧燃料ポンプ40から高圧燃料配管34への燃料の吐出回数の比率である吐出比率を設定する。吐出比率設定部132には、負荷KLと吐出比率との関係を示すマップが記憶されている。
図10に示すように、このマップでは、負荷KLが高いときには、該負荷KLが低いときに比して高い値になるように段階的に吐出比率が設定されている。負荷KLは内燃機関10の運転状態に相関するパラメータであり、該負荷KLが大きいときには燃料噴射弁15における燃料噴射量も多くなる傾向にある。負荷KLに基づいて吐出比率を設定することで、内燃機関10の運転状態に応じて吐出比率が変更されることとなる。
図9に示すように、吐出開始タイミング算出部115は、高圧燃料ポンプ40から高圧燃料配管34に燃料吐出を行う際の開始タイミングである吐出開始タイミングTsを上記実施形態と同様の方法によって算出する。
ポンプ駆動部116は、吐出比率設定部132に設定されている吐出比率となるように、吐出開始タイミング算出部115によって算出された吐出開始タイミングTsで高圧燃料ポンプ40のコイル85への通電制御を行う。すなわち、ポンプ駆動部116は、燃料噴射弁駆動部109による燃料噴射弁15の駆動回数に対して、高圧燃料ポンプ40の吐出回数を制御する。なお、ポンプ駆動部116における高圧燃料ポンプ40のコイル85への通電制御については、上記実施形態と同様である。
本実施形態の作用及び効果について、図11を参照して説明する。図11では、各タイミングを示す「t」と4桁の数字について、「t」と4桁の数字のうちの最初の2桁の数字「11」とについて記載を省略している。本実施形態では、第1実施形態と同様の作用及び効果に加えて以下の作用及び効果が得られる。
(3−1)図11(a)に示すように、吐出比率が例えば「1/3」に設定されているときには、図11(b)及び(c)に示すように、ポンプ駆動部116は、高圧燃料ポンプ40から高圧燃料配管34へ燃料を1回吐出した後、燃料が3回噴射されたときに高圧燃料ポンプ40から高圧燃料配管34へ再度燃料を1回吐出する。この場合、ポンプ駆動部116は、燃料噴射の終了タイミングt1111から上記準備時間が経過した吐出開始タイミングTs(タイミングt1112)において、高圧燃料ポンプ40から高圧燃料配管34に1回の燃料吐出を行う。燃料吐出は、タイミングt1112からリフト時間Tiが経過するタイミングt1113まで実行される。これにより、高圧燃料ポンプ40から高圧燃料配管34に最大吐出量分の燃料が供給される。その後、ポンプ駆動部116は、燃料噴射が3回実行されるまでは燃料の吐出を行わない。そして、ポンプ駆動部116は、燃料噴射が3回実行されたときには、3回目の燃料噴射の終了タイミングt1114から上記準備時間が経過した吐出開始タイミングTs(タイミングt1115)において、上述したように高圧燃料ポンプ40から高圧燃料配管34に1回の燃料吐出を行う。
図11(a)に示すように、吐出比率が例えば「1/2」に設定されているときには、図11(b)及び(c)に示すように、ポンプ駆動部116は、高圧燃料ポンプ40から高圧燃料配管34へ燃料を1回吐出した後、燃料が2回噴射されたときに高圧燃料ポンプ40から高圧燃料配管34へ再度燃料を1回吐出する。この場合、ポンプ駆動部116は、燃料噴射の終了タイミングt1116から上記準備時間が経過した吐出開始タイミングTs(タイミングt1117)において、高圧燃料ポンプ40から高圧燃料配管34に1回の燃料吐出を行う。燃料吐出は、タイミングt1117からリフト時間Tiが経過するタイミングt118まで実行される。その後、ポンプ駆動部116は、燃料噴射が2回実行されるまでは燃料の吐出を行わない。そして、ポンプ駆動部116は、燃料噴射が2回実行されたときには、2回目の燃料噴射の終了タイミングt1119から上記準備時間が経過した吐出開始タイミングTs(タイミングt1120)において、上述したように高圧燃料ポンプ40から高圧燃料配管34に1回の燃料吐出を行う。
図11(a)に示すように、吐出比率が例えば「1」に設定されているときには、図11(b)及び(c)に示すように、ポンプ駆動部116は、高圧燃料ポンプ40から高圧燃料配管34へ燃料を1回吐出した後、燃料が1回噴射されたときに高圧燃料ポンプ40から高圧燃料配管34へ再度燃料を1回吐出する。この場合、ポンプ駆動部116は、燃料噴射が1回実行されるたびに1回の燃料吐出を行うため、燃料噴射と燃料吐出とが1回ずつ繰り返し実行される。ポンプ駆動部116は、燃料噴射の終了タイミングt1121から上記準備時間が経過した吐出開始タイミングTs(タイミングt1122)において、高圧燃料ポンプ40から高圧燃料配管34に1回の燃料吐出を行う。燃料吐出は、タイミングt1122からリフト時間Tiが経過するタイミングt1123まで実行される。
図11(a)に示すように、吐出比率が例えば「2」に設定されているときには、図11(b)及び(c)に示すように、ポンプ駆動部116は、高圧燃料ポンプ40から高圧燃料配管34へ燃料を2回吐出した後、燃料が1回噴射されたときに高圧燃料ポンプ40から高圧燃料配管34へ再度燃料を2回吐出する。この場合、ポンプ駆動部116は、燃料噴射の終了タイミングt1124から上記準備時間が経過した吐出開始タイミングTs(タイミングt1125)において、高圧燃料ポンプ40から高圧燃料配管34に2回の燃料吐出を行う。1回目の燃料吐出は、タイミングt1125からリフト時間Tiが経過するタイミングt1126まで実行される。ポンプ駆動部116は1回目の燃料吐出を終了したタイミングt1126から上記待機時間が経過したタイミングt1127において燃料吐出を開始する。2回目の燃料吐出は、タイミングt1127からリフト時間Tiが経過するタイミングt1128まで実行される。
内燃機関10の負荷KLが大きいときには該負荷KLが小さいときに比して燃料噴射弁15からの1回の燃料噴射量が多くなる傾向にある。高圧燃料ポンプ40から1回に吐出される燃料の最大量は予め求めることができる。そのため、吐出比率を、内燃機関10の負荷KLが高いときには該負荷KLが低いときに比して高い値にする、すなわち高圧燃料配管34から噴射される燃料の量が多いときには該燃料の量が少ないときに比して高い値にすることで、高圧燃料配管34における燃料の圧力を適切に制御することができる。
(第4実施形態)
燃料ポンプの制御装置の第4実施形態について、図12〜図14を参照して説明する。本実施形態では、燃料ポンプの制御装置の構成が第1実施形態と異なっている。第1実施形態と同様の構成については、共通の符号を付して説明を省略する。
図12に示すように、燃料ポンプの制御装置400は、機能部として、目標回転速度算出部101、目標トルク算出部102、目標燃圧算出部103、燃圧偏差算出部104、噴射フィードバック量算出部105、要求燃料噴射量算出部106、噴射時間算出部107、噴射開始タイミング算出部108、及び燃料噴射弁駆動部109を有している。また、制御装置400は、目標スロットル開度算出部110、スロットル駆動部111、噴射間隔算出部401、最大吐出回数算出部402、ポンプ特性学習部403、制御切り替え部404、噴射間吐出制御実行部405、及び個別制御実行部406を有している。目標回転速度算出部101、目標トルク算出部102、目標燃圧算出部103、燃圧偏差算出部104、噴射フィードバック量算出部105、要求燃料噴射量算出部106、噴射時間算出部107、噴射開始タイミング算出部108、及び燃料噴射弁駆動部109の機能は第1実施形態のものと同様である。また、目標スロットル開度算出部110、及びスロットル駆動部111の機能も第1実施形態のものと同様である。
噴射間隔算出部401は、燃料噴射弁15からの燃料噴射の終了タイミングFe、噴射開始タイミング算出部108によって算出された噴射開始タイミングFs、及びクランク角センサ95によって検出された機関回転速度NEに基づいて、燃料の噴射間隔Intを算出する。燃料の噴射間隔Intは、所定の気筒に設けられている燃料噴射弁15において燃料噴射が終了してから、該所定の気筒の次に点火が実行される気筒に設けられている燃料噴射弁15において燃料噴射が開始されるまでの時間として算出される。例えば、各気筒#1〜#4では、第1気筒#1、第3気筒#3、第4気筒#4、及び第2気筒#2の順で点火が行われる。噴射間隔算出部401は、燃料噴射の終了タイミングFeを、噴射時間算出部107によって算出された噴射時間Fiと、噴射開始タイミング算出部108によって算出された噴射開始タイミングFsとに基づいて算出する。燃料の噴射間隔Intは、燃料噴射の終了タイミングFeが遅いときほど、噴射開始タイミングFsが早いときほど、及び機関回転速度NEが高いときほど短くなる。
最大吐出回数算出部402は、噴射間隔算出部401によって算出された燃料の噴射間隔Intに基づいて、該噴射間隔Int内で実行可能な高圧燃料ポンプ40からの燃料吐出の最大吐出回数Tnmaxを算出する。すなわち、最大吐出回数算出部402はまず、高圧燃料ポンプ40から燃料の吐出を行うための必要時間Tminを算出する。必要時間Tminは、高圧燃料ポンプ40が燃料の吐出を1回行うときには、リフト時間Tiと等しい時間となる。また、必要時間Tminは、高圧燃料ポンプ40が燃料の吐出を複数であるn回行うときには(2≦n)、リフト時間Tiのn倍の時間と待機時間のn−1倍の時間との和に等しい時間となる。本実施形態では、リフト時間Tiは、高圧燃料ポンプ40へ通電制御を開始し、プランジャ75の他端が突出部83に当接している状態から、該プランジャ75の凸条75Bが挿通部56に当接するまで上記一方側に移動する際に係る時間と等しい時間に設定されている。また、待機時間は、高圧燃料ポンプ40へ通電制御を終了し、高圧燃料ポンプ40のプランジャ75の凸条75Bが挿通部56に当接している状態から、該プランジャ75が突出部83に当接するまで上記他方側に移動する際に係る時間と等しい時間に設定されている。リフト時間Ti及び待機時間は、予め実験やシミュレーションによって求められて制御装置400に記憶されている。
ところで、高圧燃料ポンプ40におけるプランジャ75の移動速度は、燃料性状などの種々の要因によって変化することがある。そのため、本実施形態では、制御装置400は、後述するポンプ特性学習部403によって通電時間と高圧燃料ポンプ40の吐出量との関係を示すポンプ特性を学習している。最大吐出回数算出部402では、ポンプ特性学習部403によって学習されたポンプ特性に基づき、プランジャ75の移動に必要な時間に合わせてリフト時間Ti及び待機時間を補正することで、高圧燃料ポンプ40の現在の特性に適合させて必要時間Tminを算出する。そして、この必要時間Tminと噴射間隔Intとに基づき最大吐出回数Tnmaxを算出する。例えば、噴射間隔Intが燃料の吐出を1回行うときの必要時間Tmin未満であるときには、最大吐出回数Tnmaxを0に設定する。また、噴射間隔Intが燃料の吐出を1回行うときの必要時間Tmin以上であり、燃料の吐出を2回行うときの必要時間Tminよりも短いときは最大吐出回数Tnmaxを1に設定する。
ポンプ特性学習部403は、高圧燃料ポンプ40への通電時間と、高圧燃料ポンプ40から高圧燃料配管34へ吐出された燃料量との関係をポンプ特性として学習する。高圧燃料ポンプ40からの燃料吐出量は、燃料温度センサ93によって検出された高圧燃料配管34内の燃料温度、コイル温度センサ94によって検出されたコイル85の温度、及びバッテリ電圧などの影響を受ける。すなわち、燃料温度が低いときには、該燃料温度が高いときに比して燃料の粘度が高くなる。そのため、燃料温度が低いときには、該燃料温度が高いときに比して燃料を吐出する際の抵抗が大きくなる。また、コイル85の温度が高いときには、該コイル85の温度が低いときに比してプランジャ75を加圧室78側に移動させる際の力が弱くなる。また、バッテリ電圧が低いときには、該バッテリ電圧が高いときに比して、プランジャ75を加圧室78側に移動させる際の力が弱くなる。
このように、燃料温度が低いときほど、コイル85の温度が高いときほど、及びバッテリ電圧が低いときほど、プランジャ75を移動させる力が弱くなり、その移動速度が遅くなる。したがって、プランジャ75を移動させて最大吐出量分の燃料を吐出させるために必要な通電時間は、燃料温度が低いときほど、コイル85の温度が高いときほど、及びバッテリ電圧が低いときほど長くなる傾向になる。換言すれば、通電時間が同じ場合には、燃料温度が低いときほど、コイル85の温度が高いときほど、及びバッテリ電圧が低いときほど高圧燃料ポンプ40からの燃料吐出量は少なくなる傾向にある。なお、バッテリ電圧は、バッテリ120の充放電状況から求めることができる。ポンプ特性学習部403では、高圧燃料ポンプ40を後述する目標吐出量TPtに基づいて設定された通電時間で駆動したときの吐出燃料量を、燃圧偏差算出部104によって算出された燃圧偏差ΔPに基づいて算出し、燃料温度、コイル85の温度、及びバッテリ電圧の情報と共に記憶する。
制御切り替え部404は、最大吐出回数算出部402によって算出された最大吐出回数Tnmaxに基づいて、高圧燃料ポンプ40の制御態様を切り替える。すなわち、制御切り替え部404は、最大吐出回数Tnmaxが1以上であるときには、噴射間吐出制御実行部405によって高圧燃料ポンプ40の制御を行うように設定する。また、制御切り替え部404は、最大吐出回数Tnmaxが0であるときには、個別制御実行部406によって高圧燃料ポンプ40の制御を行うように切り替える。上述したように、最大吐出回数Tnmaxが0であるときは、噴射間隔Intが高圧燃料ポンプ40から燃料を1回吐出する際に必要となる必要時間よりも短い場合である。換言すれば、制御切り替え部404は、噴射間隔Intが必要時間Tmin以上である場合には噴射間吐出制御を実行し、噴射間隔Intが必要時間Tminよりも短い場合には個別制御を実行するように制御を切り替える。
噴射間吐出制御実行部405は、燃料噴射弁15からのN回目の燃料噴射とN+1回目の燃料噴射との間の所定のタイミングで高圧燃料ポンプ40から燃料吐出を実行する噴射間吐出制御を実行する。噴射間吐出制御実行部405は、機能部として、吐出要否判定部407、吐出開始タイミング算出部408、目標吐出量算出部409、吐出回数算出部410、吐出回数設定部411、及び第1ポンプ駆動部412を有している。
吐出要否判定部407は、要求燃料噴射量算出部106によって算出された要求燃料噴射量Qtに基づいて、高圧燃料ポンプ40からの燃料吐出が必要であるか否かを判定する。吐出要否判定部407は、要求燃料噴射量Qtが算出されるたびに積算し、要求燃料噴射量Qtの積算値ΣQを算出する。吐出要否判定部407は、算出した積算値ΣQが判定値以上となったときに、高圧燃料ポンプ40からの燃料吐出が必要であると判定する。なお、判定値は、例えば、高圧燃料ポンプ40の最大吐出量の半分の量に設定されている。
吐出開始タイミング算出部408は、吐出要否判定部407によって高圧燃料ポンプ40からの燃料吐出が必要であると判定されたときに、高圧燃料ポンプ40から高圧燃料配管34に燃料吐出を行う際の開始タイミングである吐出開始タイミングTsを算出する。吐出開始タイミングTsは、燃料噴射弁15からの燃料噴射のタイミングに基づいて算出される。本実施形態では、燃料噴射弁15からの燃料噴射の終了タイミングFeから所定の準備時間が経過したタイミングを吐出開始タイミングTsとする。なお、燃料噴射の終了タイミングFeは、噴射時間算出部107によって算出された噴射時間Fiと、噴射開始タイミング算出部108によって算出された噴射開始タイミングFsとに基づいて算出できる。準備時間は、燃料噴射弁15からの燃料噴射が終了してから、高圧燃料配管34内の燃料圧力Prが安定するまでに必要な時間に設定されている。
目標吐出量算出部409は、吐出要否判定部407によって高圧燃料ポンプ40からの燃料吐出が必要であると判定されたときに、高圧燃料ポンプ40から高圧燃料配管34への燃料吐出量の目標値である目標吐出量TPtを算出する。目標吐出量算出部409は、要求燃料噴射量算出部106によって算出された要求燃料噴射量Qtに基づいてベース吐出量TPbを算出する。ベース吐出量TPbは、要求燃料噴射量Qtと等しい量として算出される。すなわち、ベース吐出量TPbは、要求燃料噴射量Qtが多いときほど多くなる。また、目標吐出量算出部409は、燃圧偏差算出部104によって算出された燃圧偏差ΔPに基づいて、吐出フィードバック量TKを算出する。吐出フィードバック量TKは、目標燃圧Ptとなるように高圧燃料ポンプ40から燃料の吐出を行ったときの燃料吐出後の実際の燃料圧力Prを該目標燃圧Ptから減算した値を入力とする比例要素、積分要素、および微分要素の各出力値の和として算出する。目標吐出量算出部409は、ベース吐出量TPbに吐出フィードバック量TKを乗算することで、目標吐出量TPtを算出する。
吐出回数算出部410は、目標吐出量算出部409によって算出された目標吐出量TPtに基づいて、高圧燃料ポンプ40から高圧燃料配管34に燃料を吐出する際の必要吐出回数Tnfを算出する。吐出回数算出部410は、目標吐出量TPt分の燃料を吐出するために必要な吐出回数のうちで最も少ない吐出回数を必要吐出回数Tnfとして算出する。例えば、目標吐出量TPtが、高圧燃料ポンプ40の最大吐出量以下である場合には必要吐出回数Tnfを1回として算出する。また、目標吐出量TPtが、上記最大吐出量よりも多く最大吐出量の2倍の量以下である場合には必要吐出回数Tnfを2回として算出する。
吐出回数設定部411は、高圧燃料ポンプ40から高圧燃料配管34に燃料を吐出する吐出回数Tnを設定する。吐出回数設定部411はまず、ポンプ特性学習部403によって学習されたポンプ特性に基づいて、吐出回数算出部410によって算出された必要吐出回数Tnf分の燃料吐出を行うために必要な実行時間Tnesを算出する。実行時間Tnesは、必要吐出回数Tnfが1回のときには、リフト時間Tiと等しい時間となる。また、実行時間Tnesは、必要吐出回数Tnfが複数であるn回であるときには(2≦n)、リフト時間Tiのn倍の時間と待機時間のn−1倍の時間との和に等しい時間となる。リフト時間Ti及び待機時間は、ポンプ特性に基づいて算出される。こうして、実行時間Tnesを算出すると、該実行時間Tnesに上記準備時間を加算した時間を加算時間Tadとして算出する。吐出回数設定部411は、加算時間Tadが噴射間隔算出部401によって算出された噴射間隔Int以下であるときには、吐出回数Tnとして、必要吐出回数Tnfと同じ数を設定する。また、吐出回数設定部411は、加算時間Tadが噴射間隔Intを超えている場合には、吐出回数Tnとして、最大吐出回数算出部402によって算出された最大吐出回数Tnmaxと同じ数を設定する。
第1ポンプ駆動部412は、吐出要否判定部407によって高圧燃料ポンプ40からの燃料吐出が必要であると判定されているときに、吐出開始タイミング算出部408によって算出された吐出開始タイミングTsで高圧燃料ポンプ40のコイル85への通電制御を行う。第1ポンプ駆動部412は、通電制御を通じてプランジャ75を往復動させることにより、高圧燃料ポンプ40において燃料の吸引及び燃料の吐出を実行させる。第1ポンプ駆動部412は、高圧燃料ポンプ40へ通電制御を開始してから、ポンプ特性学習部403によって学習されたポンプ特性に基づいたリフト時間Tiが経過したときに通電を終了する。なお、第1ポンプ駆動部412は、吐出回数設定部411によって設定された吐出回数Tnが2回以上である場合、通電制御を開始してからリフト時間Tiが経過したタイミングで通電制御を終了し、該終了したタイミングから所定の待機時間が経過したタイミングで再度通電制御を実行する。そして、再度通電制御を開始してからリフト時間Tiが経過したタイミングで再び通電制御を終了する。こうして通電制御を繰り返し実行することにより、高圧燃料ポンプ40から複数回の燃料吐出を実行する。
個別制御実行部406は、高圧燃料ポンプ40からの燃料の吐出を固定の周期で繰り返し行う個別制御を実行する。個別制御では、燃料噴射弁15からの燃料噴射のタイミングとは無関係に燃料吐出が行われる。個別制御実行部406は、機能部として、吐出周期記憶部413、及び第2ポンプ駆動部414を有している。
吐出周期記憶部413は、高圧燃料ポンプ40に通電制御を実行する際の通電周期を記憶している。本実施形態では、通電周期は、固定の周期であって、高圧燃料ポンプ40からの燃料吐出量が最大吐出量となり、且つ最速の駆動周期となるように予め実験やシミュレーションによって求められて記憶されている。
第2ポンプ駆動部414は、吐出周期記憶部413に記憶されている通電周期で通電制御を行うことにより、燃料噴射弁15からの燃料噴射のタイミングに追従することなく、高圧燃料ポンプ40を駆動する。
本実施形態の作用効果について、図13及び図14を参照して説明する。なお、図13では、各タイミングを示す「t」と4桁の数字について、「t」と4桁の数字のうちの最初の2桁の数字「13」とについて記載を省略している。また、図14では、各タイミングを示す「t」と4桁の数字について、「t」と4桁の数字のうちの最初の2桁の数字「14」とについて記載を省略している。
(4−1)まず図13を参照し、噴射間隔Intが必要時間Tmin以上であり、制御切り替え部404によって噴射間吐出制御の実行が設定されている場合について説明する。
図13(a)に示すように、内燃機関10の運転に伴い燃料噴射弁15から燃料噴射が繰り返し実行される。タイミングt1312からタイミングt1313において実行される燃料噴射の要求燃料噴射量Qt1は、タイミング1312よりも前のタイミングt1311において算出される。タイミング1311において、要求燃料噴射量算出部106によって要求燃料噴射量Qt1が算出されると、図13(b)に示すように、吐出要否判定部407は、要求燃料噴射量Qtを積算して積算値ΣQを算出する。タイミングt1311の前において積算値ΣQは0であることから、タイミングt1311ではΣQは要求燃料噴射量Qt1と等しい値となる。タイミングt1311において積算値ΣQは判定値未満である。そのため、図13(c)に示すように、吐出要否判定部407は、高圧燃料ポンプ40からの燃料吐出は不要であると判定する。図13(a)に示すように、燃料噴射弁駆動部109は、吐出開始タイミング算出部115が要求燃料噴射量Qt1に基づいた噴射時間Fi及び噴射開始タイミングFsを用いて算出した吐出開始タイミングTs(タイミングt1312)で燃料噴射を開始する。燃料噴射弁駆動部109は、噴射時間算出部107が要求燃料噴射量Qt1に基づいて算出した噴射時間Fiの間において燃料噴射を継続し、タイミングt1312から噴射時間Fiが経過したタイミングt1313において燃料噴射を終了する。
その後、要求燃料噴射量算出部106によって次の燃料噴射における要求燃料噴射量Qt2が算出される。要求燃料噴射量算出部106は、タイミングt1313において燃料噴射が終了してから所定時間が経過したタイミングt1314において要求燃料噴射量Qt2を算出する。なお、所定時間は、燃料噴射後の燃料圧力Prが相応に安定するまでの時間であって、上記準備時間よりは短い。要求燃料噴射量Qt2は、要求燃料噴射量Qt1よりも多い(Qt2>Qt1)。要求燃料噴射量算出部106によって要求燃料噴射量Qt2が算出されると、図13(b)に示すように、吐出要否判定部407は、要求燃料噴射量Qt2を積算値ΣQに加算して新たに積算値ΣQを算出する(ΣQ=Qt1+Qt2)。タイミングt1314では積算値ΣQが判定値以上となる。これにより、図13(c)に示すように、吐出要否判定部407は、高圧燃料ポンプ40からの燃料吐出が必要であると判定する。
こうして燃料吐出が必要であると判定されると、目標吐出量算出部409は、目標吐出量TPtを算出する。目標吐出量算出部409は、要求燃料噴射量算出部106によって算出された要求燃料噴射量Qt2に基づいてベース吐出量TPbを算出する。そして、算出したベース吐出量TPbにタイミングt1314における燃圧偏差ΔPに基づいて算出した吐出フィードバック量TKを乗算することで、目標吐出量TPtを算出する。こうして目標吐出量TPtが算出されると、吐出回数算出部410は、該目標吐出量TPtに基づいて必要吐出回数Tnfを算出する。その後、吐出回数設定部411が、必要吐出回数Tnf、ポンプ特性、噴射間隔Int、及び最大吐出回数Tnmaxに基づいて吐出回数Tnを設定する。タイミング1314では、吐出回数Tnが2回に設定される。
また、吐出開始タイミング算出部115は、要求燃料噴射量Qt1に基づいた噴射時間Fi及び噴射開始タイミングFsなどを用いて吐出開始タイミングTs(タイミングt1315)を算出する。吐出開始タイミングTsは、燃料噴射の終了タイミングFe(タイミングt1313)から準備時間が経過したタイミングである。
第1ポンプ駆動部412は、吐出要否判定部407によって高圧燃料ポンプ40からの燃料吐出が必要であると判定されているときに、吐出開始タイミング算出部408によって算出された吐出開始タイミングTs(タイミングt1315)から、吐出回数算出部410によって設定された吐出回数Tn(2回)の燃料吐出が実行されるように高圧燃料ポンプ40のコイル85への通電制御を行う。
すなわち、図13(d)に示すように、第1ポンプ駆動部412は、吐出開始タイミングTs(タイミングt1315)において、高圧燃料ポンプ40から高圧燃料配管34に2回の燃料吐出を行う。1回目の燃料吐出は、タイミングt1315からリフト時間Tiが経過するタイミングt1316まで実行される。これにより、高圧燃料ポンプ40から高圧燃料配管34に最大吐出量分の燃料が供給される。第1ポンプ駆動部412は1回目の燃料吐出を終了したタイミングt1316から上記待機時間が経過したタイミングt1317において燃料吐出を開始する。2回目の燃料吐出は、タイミングt1317からリフト時間Tiが経過するタイミングt1318まで実行される。これにより、高圧燃料ポンプ40から高圧燃料配管34に最大吐出量分の燃料が供給される。第1ポンプ駆動部412は、吐出回数Tnの燃料吐出を実行すると、高圧燃料ポンプ40の駆動を停止する。吐出要否判定部407は、吐出回数Tnの燃料吐出が終了したタイミングt1318において、図13(b)に示すように、積算値ΣQを0にリセットする。これにより、積算値ΣQが判定値未満となり、図13(c)に示すように、タイミングt1318では、吐出要否判定部407によって、高圧燃料ポンプ40からの燃料吐出は不要であると判定される。
その後、図13(a)に示すように、燃料噴射弁駆動部109は、吐出開始タイミング算出部115が要求燃料噴射量Qt2に基づいて算出した吐出開始タイミングTs(タイミングt1319)で燃料噴射を開始する。燃料噴射弁駆動部109は、噴射時間算出部107が要求燃料噴射量Qt2に基づいて算出した噴射時間Fiの間において燃料噴射を継続し、タイミングt1319から噴射時間Fiが経過したタイミングt1320において燃料噴射を終了する。
この場合、燃料噴射弁15からの燃料噴射が1回実行されたときに高圧燃料ポンプ40から高圧燃料配管34へ燃料が2回吐出される。したがって、燃料噴射弁15からの燃料の噴射回数に対する高圧燃料ポンプ40から高圧燃料配管34への燃料の吐出回数の比率である吐出比率は「2」となる。
その後、要求燃料噴射量算出部106によって次の燃料噴射における要求燃料噴射量Qt3が算出される。要求燃料噴射量算出部106は、タイミングt1320において燃料噴射が終了してから所定時間が経過したタイミングt1321において要求燃料噴射量Qt3を算出する。要求燃料噴射量Qt3は、要求燃料噴射量Qt1よりも多く、要求燃料噴射量Qt2より少ない(Qt2>Qt3>Qt1)。要求燃料噴射量算出部106によって要求燃料噴射量Qt3が算出されると、図13(b)に示すように、吐出要否判定部407は、要求燃料噴射量Qtの積算値ΣQを算出する。タイミングt1318において積算値ΣQは0にリセットされていることから、タイミングt1321ではΣQは要求燃料噴射量Qt3と等しい値となる。要求燃料噴射量Qt3は、要求燃料噴射量Qt1よりも多く、タイミングt1321において積算値ΣQは判定値以上となる。これにより、図13(c)に示すように、吐出要否判定部407は、高圧燃料ポンプ40からの燃料吐出が必要であると判定する。
こうして燃料吐出が必要であると判定されると、目標吐出量算出部409は、目標吐出量TPtを算出し、吐出回数算出部410は必要吐出回数Tnfを算出する。その後、吐出回数設定部411が、吐出回数Tnを設定する。タイミングt1321では、要求燃料噴射量Qt3が要求燃料噴射量Qt2よりも少ないことから、吐出回数Tnが1回に設定される。また、吐出開始タイミング算出部115が、要求燃料噴射量Qt2に基づいた噴射時間Fi及び噴射開始タイミングFsを用いて吐出開始タイミングTs(タイミングt1322)を算出する。吐出開始タイミングTsは、燃料噴射の終了タイミングFe(タイミングt1320)から準備時間が経過したタイミングである。
第1ポンプ駆動部412は、吐出要否判定部407によって高圧燃料ポンプ40からの燃料吐出が必要であると判定されているときに、吐出開始タイミング算出部408によって算出された吐出開始タイミングTs(タイミングt1322)から、吐出回数算出部410によって設定された吐出回数Tn(1回)の燃料吐出が実行されるように高圧燃料ポンプ40のコイル85への通電制御を行う。
すなわち、図13(d)に示すように、第1ポンプ駆動部412は、吐出開始タイミングTs(タイミングt1322)において、高圧燃料ポンプ40から高圧燃料配管34に1回の燃料吐出を行う。この燃料吐出は、タイミングt1322からリフト時間Tiが経過するタイミングt1323まで実行される。これにより、高圧燃料ポンプ40から高圧燃料配管34に最大吐出量分の燃料が供給される。第1ポンプ駆動部412は、吐出回数Tnの燃料吐出を実行すると、高圧燃料ポンプ40の駆動を停止する。吐出要否判定部407は、吐出回数Tnの燃料吐出が終了したタイミングt1323において、図13(b)に示すように、積算値ΣQを0にリセットする。これにより、積算値ΣQが判定値未満となり、図13(c)に示すように、タイミングt1323では、吐出要否判定部407によって高圧燃料ポンプ40からの燃料吐出は不要であると判定される。
その後、図13(a)に示すように、燃料噴射弁駆動部109は、吐出開始タイミング算出部115が要求燃料噴射量Qt3に基づいて算出した吐出開始タイミングTs(タイミングt1324)で燃料噴射を開始する。燃料噴射弁駆動部109は、噴射時間算出部107が要求燃料噴射量Qt3に基づいて算出した噴射時間Fiの間において燃料噴射を継続し、タイミングt1324から噴射時間Fiが経過したタイミングt1325において燃料噴射を終了する。
この場合、燃料噴射弁15からの燃料噴射が1回実行されたときに高圧燃料ポンプ40から高圧燃料配管34へ燃料が1回吐出される。したがって、燃料噴射弁15からの燃料の噴射回数に対する高圧燃料ポンプ40から高圧燃料配管34への燃料の吐出回数の比率である吐出比率は「1」となる。
その後、要求燃料噴射量算出部106によって次の燃料噴射における要求燃料噴射量Qt4が算出される。要求燃料噴射量算出部106は、タイミングt1325において燃料噴射が終了してから所定時間が経過したタイミングt1326において要求燃料噴射量Qt4を算出する。要求燃料噴射量Qt4は、要求燃料噴射量Qt2よりも多い(Qt4>Qt2)。要求燃料噴射量算出部106によって要求燃料噴射量Qt4が算出されると、図13(b)に示すように、吐出要否判定部407は、要求燃料噴射量Qtの積算値ΣQを算出する。タイミングt1323において積算値ΣQは0にリセットされていることから、タイミングt1326においてΣQは要求燃料噴射量Qt4と等しい値となる。要求燃料噴射量Qt4は、要求燃料噴射量Qt2よりも多く、要求燃料噴射量Qt3よりも多いことから、タイミングt1326では積算値ΣQが判定値以上となる。これにより、図13(c)に示すように、吐出要否判定部407は、高圧燃料ポンプ40からの燃料吐出が必要であると判定する。
こうして燃料吐出が必要であると判定されると、目標吐出量算出部409は、目標吐出量TPtを算出し、吐出回数算出部410は必要吐出回数Tnfを算出する。その後、吐出回数設定部411が、吐出回数Tnを設定する。タイミングt1326では、要求燃料噴射量Qt4が要求燃料噴射量Qt1と要求燃料噴射量Qt2との積算値よりも多いことから、吐出回数Tnが3回に設定される。また、吐出開始タイミング算出部115が、要求燃料噴射量Qt3に基づいた噴射時間Fi及び噴射開始タイミングFsを用いて吐出開始タイミングTs(タイミングt1327)を算出する。吐出開始タイミングTsは、燃料噴射の終了タイミングFe(タイミングt1325)から準備時間が経過したタイミングである。
第1ポンプ駆動部412は、吐出要否判定部407によって高圧燃料ポンプ40からの燃料吐出が必要であると判定されているときに、吐出開始タイミング算出部408によって算出された吐出開始タイミングTs(タイミングt1327)から、吐出回数算出部410によって設定された吐出回数Tn(3回)の燃料吐出が実行されるように高圧燃料ポンプ40のコイル85への通電制御を行う。
すなわち、図13(d)に示すように、第1ポンプ駆動部412は、吐出開始タイミングTs(タイミングt1327)において、高圧燃料ポンプ40から高圧燃料配管34に3回の燃料吐出を行う。1回目の燃料吐出は、タイミングt1327からリフト時間Tiが経過するタイミングt1328まで実行される。これにより、高圧燃料ポンプ40から高圧燃料配管34に最大吐出量分の燃料が供給される。第1ポンプ駆動部412は1回目の燃料吐出を終了したタイミングt1328から上記待機時間が経過したタイミングt1329において燃料吐出を開始する。2回目の燃料吐出は、タイミングt1329からリフト時間Tiが経過するタイミングt1330まで実行される。これにより、高圧燃料ポンプ40から高圧燃料配管34に最大吐出量分の燃料が供給される。第1ポンプ駆動部412は2回目の燃料吐出を終了したタイミングt1330から上記待機時間が経過したタイミングt1331において燃料吐出を開始する。3回目の燃料吐出は、タイミングt1331からリフト時間Tiが経過するタイミングt1332まで実行される。これにより、高圧燃料ポンプ40から高圧燃料配管34に最大吐出量分の燃料が供給される。第1ポンプ駆動部412は、吐出回数Tnの燃料吐出を実行すると、高圧燃料ポンプ40の駆動を停止する。吐出要否判定部407は、吐出回数Tnの燃料吐出が終了したタイミングt1332において、図13(b)に示すように、積算値ΣQを0にリセットする。これにより、積算値ΣQが判定値未満となり、図13(c)に示すように、タイミングt1332では、吐出要否判定部407によって高圧燃料ポンプ40からの燃料吐出は不要であると判定される。
その後、図13(a)に示すように、燃料噴射弁駆動部109は、吐出開始タイミング算出部115が要求燃料噴射量Qt4に基づいて算出した吐出開始タイミングTs(タイミングt1333)で燃料噴射を開始する。燃料噴射弁駆動部109は、噴射時間算出部107が要求燃料噴射量Qt4に基づいて算出した噴射時間Fiの間において燃料噴射を継続し、タイミングt1333から噴射時間Fiが経過したタイミングt1334において燃料噴射を終了する。
この場合、燃料噴射弁15からの燃料噴射が1回実行されたときに高圧燃料ポンプ40から高圧燃料配管34へ燃料が1回吐出される。したがって、燃料噴射弁15からの燃料の噴射回数に対する高圧燃料ポンプ40から高圧燃料配管34への燃料の吐出回数の比率である吐出比率は「3」となる。
その後、要求燃料噴射量算出部106によって次の燃料噴射における要求燃料噴射量Qt5が算出される。要求燃料噴射量算出部106は、タイミングt1334において燃料噴射が終了してから所定時間が経過したタイミングt1335において要求燃料噴射量Qt5を算出する。要求燃料噴射量Qt5は、要求燃料噴射量Qt1よりも少ない(Qt1>Qt5)。要求燃料噴射量算出部106によって要求燃料噴射量Qt5が算出されると、図13(b)に示すように、吐出要否判定部407は、要求燃料噴射量Qtの積算値ΣQを算出する。タイミングt1332において積算値ΣQは0にリセットされていることから、タイミングt1335においてΣQは要求燃料噴射量Qt5と等しい値となる。要求燃料噴射量Qt5は、要求燃料噴射量Qt1よりも少ないため、タイミングt1335では積算値ΣQが判定値未満となる。そのため、吐出要否判定部407は、高圧燃料ポンプ40からの燃料吐出は不要であると判定する。図13(a)に示すように、燃料噴射弁駆動部109は、吐出開始タイミング算出部115が要求燃料噴射量Qt5に基づいた噴射時間Fi及び噴射開始タイミングFsを用いて算出した吐出開始タイミングTs(タイミングt1336)で燃料噴射を開始する。燃料噴射弁駆動部109は、噴射時間算出部107が要求燃料噴射量Qt5に基づいて算出した噴射時間Fiの間において燃料噴射を継続し、タイミングt1336から噴射時間Fiが経過したタイミングt1337において燃料噴射を終了する。
この場合、タイミングt1333からタイミングt1334における燃料噴射と、タイミングt1336からタイミングt1337における燃料噴射との間では、高圧燃料ポンプ40から高圧燃料配管34へ燃料が吐出されない。
このように、本実施形態では、燃料噴射の終了タイミングFeから準備期間が経過したときに高圧燃料ポンプ40の吐出開始タイミングTsを設定し、N回目の燃料噴射とN+1回目の燃料噴射との間の所定のタイミングで燃料吐出を実行する噴射間吐出制御を行う。そして、噴射間吐出制御の実行中には、内燃機関の運転状態に応じて設定される要求燃料噴射量Qtに基づいて目標吐出量TPtを算出して吐出回数Tnを設定することで、内燃機関の運転状態の変化に応じて吐出比率を変更している。例えば、要求燃料噴射量Qtが少ない場合であって積算値ΣQが判定値未満のときには、燃料噴射弁15から燃料噴射が行われてから次に燃料噴射が行われるまでの間に高圧燃料ポンプ40からの燃料吐出を1回も行わない。これにより、吐出比率を1よりも小さい値に変更することができる。また、積算値ΣQが判定値以上のときには、燃料噴射弁15から燃料噴射が行われてから次に燃料噴射が行われるまでの間に高圧燃料ポンプ40から1回または複数回の燃料吐出を行う。これにより、吐出比率を1以上の値に変更することができる。
したがって、内燃機関の運転状態と相関する要求燃料噴射量Qt、すなわち燃料噴射量に応じて燃料の吐出の実行要否を判断することにより、燃料噴射量に合わせた燃料吐出の実行が可能になる。そのため、本実施形態によれば、高圧燃料配管34における燃料圧力の制御性の向上に貢献できる。
(4−2)本実施形態では、吐出要否判定部407が高圧燃料ポンプ40からの燃料吐出が必要であると判定したときに、すぐに高圧燃料ポンプ40から高圧燃料配管34に燃料吐出を行うのではなく、燃料噴射の終了タイミングFeから準備時間が経過した吐出開始タイミングTsにおいて、高圧燃料ポンプ40から燃料吐出を行う。このように、N回目の燃料噴射の終了後に燃料吐出を行うように噴射間吐出制御を実行することで、燃料噴射弁15におけるN回目の燃料噴射期間に重ならないように燃料吐出を開始する。そのため、燃料噴射弁15による燃料噴射が行われているときには、高圧燃料ポンプ40から燃料の吐出が行われないようにすることができる。したがって、高圧燃料ポンプ40から燃料吐出が行われることによる高圧燃料配管34内の燃料圧力Prの変動の影響を燃料噴射に生じ難くすることができ、高圧燃料配管34への燃料供給のタイミングを適切にできる。
(4−3)本実施形態では、目標吐出量TPt分の燃料を高圧燃料配管34に供給するにあたって、燃料噴射弁15から燃料噴射が行われてから次に燃料噴射が行われるまでの間に高圧燃料ポンプ40から複数回の燃料吐出を行うことができる。すなわち、吐出比率を1以上の値に変更することができる。そのため、高圧燃料ポンプ40の最大吐出量をより少なく設定することが可能となり、その最大吐出量に合致するようにより小型の高圧燃料ポンプ40を選択することもできる。
(4−4)積算値ΣQが判定値未満のときには、燃料噴射弁15から燃料噴射が行われてから次に燃料噴射が行われるまでの間に高圧燃料ポンプ40からの燃料吐出を1回も行わない構成とした。そのため、燃料噴射弁15から噴射される燃料量が少ないときには、高圧燃料ポンプ40の駆動を停止させることも可能になり、燃料噴射弁15から噴射される燃料量に拘わらず高圧燃料ポンプ40の駆動を継続する場合に比して、高圧燃料ポンプ40の駆動頻度を低下させることができる。そのため、電力消費を抑えることにも貢献できる。
(4−5)本実施形態では、目標吐出量TPtに基づいて吐出回数Tnを設定することで、吐出比率を変更している。そのため、例えば高圧燃料ポンプ40から1回に吐出可能な燃料の最大吐出量よりも目標吐出量TPtが多い場合、吐出比率を高い値に設定し、燃料噴射弁15からの1回の燃料噴射に対して高圧燃料ポンプ40から複数回の燃料吐出を行うことで目標吐出量TPt分の燃料を高圧燃料配管34に供給することが可能になる。したがって、目標吐出量TPtに見合った吐出比率の設定制御を実現することができる。
(4−6)次に、図14を参照し、噴射間隔Intが必要時間Tmin未満であり、制御切り替え部404によって個別制御の実行が設定されている場合について説明する。
図14(a)に示すように、内燃機関10の機関回転速度NEが高くなることで燃料の噴射間隔Intは短くなる。燃料の噴射間隔Intが短くなり、最大吐出回数算出部402によって算出される最大吐出回数Tnmaxが0になると、制御切り替え部404は、個別制御実行部406によって高圧燃料ポンプ40の制御を行うようにする。すなわち、噴射間隔Intが高圧燃料ポンプ40から燃料を1回吐出する際の必要時間Tmin未満であると判定し、該噴射間隔Int内において1回の燃料吐出を完了することができないときには、制御切り替え部404は、高圧燃料ポンプ40の制御を噴射間吐出制御から個別制御に切り替える。
図14(b)に示すように、個別制御では、第2ポンプ駆動部414が、吐出周期記憶部413に記憶されている通電周期で通電制御を行う。通電周期は、固定の周期であって、高圧燃料ポンプ40からの燃料吐出量が最大吐出量となり、且つ最速の駆動周期となるように設定されている。そのため、第2ポンプ駆動部414は、高圧燃料ポンプ40から高圧燃料配管34に燃料吐出を開始したタイミングt1411からリフト時間Tiが経過するタイミングt1412まで燃料吐出を実行する。これにより、高圧燃料ポンプ40から高圧燃料配管34に最大吐出量分の燃料が供給される。第2ポンプ駆動部414は燃料吐出を終了すると、燃料吐出が終了したタイミングt1412から上記待機時間が経過したタイミングt1413において燃料吐出を開始する。第2ポンプ駆動部414は、この燃料吐出においても、燃料吐出を開始したタイミングt1413からリフト時間Tiが経過するタイミングt1414まで燃料吐出を実行する。これにより、高圧燃料ポンプ40から高圧燃料配管34に最大吐出量分の燃料が供給される。その後は、個別制御から噴射間吐出制御に制御が切り替えられるまで、上述したように燃料吐出が繰り返し実行される。こうした個別制御を実行することにより、燃料噴射弁15からの燃料噴射のタイミングに追従することなく、高圧燃料ポンプ40から高圧燃料配管34に燃料が吐出される。
本実施形態では、燃料噴射弁15における燃料の噴射間隔Intが高圧燃料ポンプ40から燃料を1回吐出する際の必要時間Tmin以上である場合には噴射間吐出制御を実行する。これにより、燃料の噴射間隔Int内において高圧燃料ポンプ40からの1回以上の燃料吐出を完了することができるときには、N回目の燃料噴射とN+1回目の燃料噴射との間の所定のタイミングで燃料吐出が実行される。そのため、高圧燃料配管34における燃料圧力の制御性を担保できる。
一方で、噴射間隔Intが必要時間Tminよりも短い場合には、燃料噴射弁15における燃料の噴射間隔Int内において高圧燃料ポンプ40からの燃料吐出を完了することができない。この場合には、燃料噴射のタイミングに関係なく燃料の吐出を固定の周期で繰り返し実行する個別制御を実行する。個別制御では、燃料噴射弁15からの燃料噴射に追従することなく、高圧燃料ポンプ40から繰り返し燃料を吐出する。
このように、上記実施形態によれば、燃料の噴射間隔Intが必要時間Tminよりも短い場合、噴射間吐出制御から個別制御に切り替えることで、噴射間吐出制御を実行する場合に比して、燃料噴射量に対する燃料吐出量を増大させることが可能になる。
また、本実施形態では、個別制御において設定される固定の周期を、高圧燃料ポンプ40からの燃料吐出量が最大吐出量となり、且つ最速の駆動周期となるように設定している。そのため、個別制御を実行することで、単位時間あたりの燃料吐出量を最大にすることもでき、燃料噴射量に対して燃料吐出量が過度に少なくなることも抑制できる。
(4−7)高圧燃料ポンプ40から燃料を1回吐出する際には相応の時間が必要となる。本実施形態では、吐出回数設定部411は、必要吐出回数Tnfの燃料吐出を実行する際の上記加算時間Tadが噴射間隔Intを超えている場合には、吐出回数Tnとして、最大吐出回数算出部402によって算出された最大吐出回数Tnmaxと同じ数を設定する。これにより、吐出回数設定部411によって設定される吐出回数Tnの上限が最大吐出回数Tnmaxに制限される。すなわち、吐出比率の上限が噴射間隔Intに基づいて制限されることとなる。そのため、燃料ポンプから燃料を吐出する際に必要となる時間が、燃料噴射弁15からの燃料の噴射間隔よりも長くなることを抑えることができる。したがって、限られた期間である燃料の噴射間隔Int内で燃料の吐出回数が実現不可能な値に設定されることを抑えることができ、高圧燃料ポンプ40の駆動を適切にできる。
なお、こうして吐出比率の上限を設定すると、必要吐出回数Tnfよりも少ない回数で燃料吐出が実行されることもある。吐出回数Tnが必要吐出回数Tnfよりも少ない回数に制限されている状況が所定時間継続して生じている場合には、噴射間吐出制御から個別制御に切り替えるといった制御態様を採用してもよい。こうした構成を採用した場合、個別制御を実行して燃料圧力Prが相応に高まったときに噴射間吐出制御へと切り替えればよい。こうした構成では、吐出比率が制限される構成を採用した場合であっても高圧燃料配管34内の燃料圧力Prの低下を抑えることができる。
上記各実施形態は、以下のように変更して実施することができる。上記各実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
・第1実施形態及び第2実施形態では、吐出要否判定部113は、燃圧偏差ΔPに基づいて高圧燃料ポンプ40からの燃料吐出が必要であるか否かを判定した。高圧燃料ポンプ40からの燃料吐出が必要であるか否かの判定はこれに限らない。例えば、吐出要否判定部113は、要求燃料噴射量算出部106によって算出された要求燃料噴射量Qtに基づいて、高圧燃料ポンプ40からの燃料吐出が必要であるか否かを判定することも可能である。この場合、吐出要否判定部113は、要求燃料噴射量Qtが算出されるたびに積算することで要求燃料噴射量Qtの積算値ΣQを算出し、該積算値ΣQに基づいて高圧燃料ポンプ40からの燃料吐出が必要であるか否かを判定することも可能である。また、吐出要否判定部113は、積算値ΣQではなく、例えば算出された要求燃料噴射量Qtなどの他のパラメータの大小に基づいて高圧燃料ポンプ40からの燃料吐出が必要であるか否かを判定することも可能である。
・第1実施形態及び第2実施形態では、吐出回数設定部114,122は、燃圧偏差ΔPに基づいて吐出回数Tnを設定したが、吐出回数Tnの設定態様はこれに限らない。例えば、吐出回数設定部114,122は、要求燃料噴射量Qtに基づいて吐出回数Tnを設定することも可能である。また、噴射間吐出制御実行部112において、高圧燃料ポンプ40の通電時間と吐出量との関係を示すポンプ特性を学習し、学習したポンプ特性を吐出回数Tnの設定に反映させるようにしてもよい。
・第1実施形態及び第2実施形態では、吐出要否判定部113において高圧燃料ポンプ40からの燃料吐出の要否の判定に用いられる燃圧偏差ΔPの所定値を、高圧燃料ポンプ40の最大吐出量分の燃料を該高圧燃料ポンプ40から高圧燃料配管34に供給したときの燃料圧力Prの変化量よりも若干小さい値に設定した。所定値は適宜変更が可能である。例えば、所定値を燃料圧力Prの変化量の半分の値に設定することもできるし、上記変化量と同じ値に設定することもできる。所定値を大きい値側に設定することで、吐出要否判定部113において燃料吐出が不要であると判定されやすくすることができる。
・第2実施形態では、燃圧偏差ΔPが所定値以上となり、吐出要否判定部113が高圧燃料ポンプ40からの燃料吐出が必要であると判定したときに、吐出回数設定部122が既に吐出回数Tnを設定していた場合、再度吐出回数Tnの設定を行わず、既に設定されている吐出回数Tnを保持するようにした。こうした構成は適宜変更が可能である。例えば、吐出要否判定部113が高圧燃料ポンプ40からの燃料吐出が必要であると判定したときに、吐出回数設定部122は燃料噴射が終了した後の燃圧偏差ΔPに基づいて再度吐出回数Tnを設定してもよい。
・第3実施形態では、吐出比率設定部132は、負荷KLが高いときには、該負荷KLが低いときに比して高い値になるように段階的に吐出比率を設定した。こうした構成に代えて、吐出比率設定部132は、負荷KLが高いときには、該負荷KLが低いときに比して高い値になるように直線状に吐出比率を設定することも可能である。
・第4実施形態において、目標吐出量算出部409は、要求燃料噴射量Qtと燃圧偏差ΔPとに基づいて目標吐出量TPtを算出したが、目標吐出量TPtの算出態様はこれに限らない。例えば、目標吐出量算出部409は、内燃機関10の負荷KLと機関回転速度NEとに基づいて目標吐出量TPtを算出してもよい。
この場合、図15に示すように、目標吐出量算出部409は、内燃機関10の負荷KLが高いときには該負荷KLが低いときに比して多くなるように目標吐出量TPtを算出し、且つ機関回転速度NEが高いときには該機関回転速度NEが低いときに比して多くなるように目標吐出量TPtを算出する。
内燃機関10の負荷KLが大きいときには該負荷KLが小さいときに比して燃料噴射弁15からの1回の燃料噴射量が多くなる。また、内燃機関10の機関回転速度NEが高いときには燃料の噴射間隔Intが短くなることから、該機関回転速度NEが低いときに比して高圧燃料配管34における燃料圧力Prを高く設定する必要がある。したがって、この構成のように、高圧燃料ポンプ40の目標吐出量TPtを算出することで、高圧燃料配管34における燃料の圧力を適切に制御することができる。
また、目標吐出量算出部409は、目標燃圧Ptと要求燃料噴射量Qtとに基づいて目標吐出量TPtを算出してもよい。
・第4実施形態では、燃料の噴射間隔Intと必要時間Tminとに基づいて、噴射間吐出制御と個別制御とで切り替えるようにしていた。この構成では、高圧燃料ポンプ40が燃料の吐出を1回行うときには、必要時間Tminをリフト時間Tiと等しい時間としていた。必要時間Tminの設定はこれに限らない。例えば、高圧燃料ポンプ40が燃料の吐出を1回行うときの必要時間Tminをリフト時間Tiと準備時間との和に等しい時間とすることも可能である。この場合、最大吐出回数算出部402は、燃料の噴射間隔Intがリフト時間Tiと準備時間との和に等しい時間未満であるときに最大吐出回数Tnmaxを0に設定する。
・第4実施形態では、吐出要否判定部407において高圧燃料ポンプ40からの燃料吐出の要否の判定に用いられるΣQの判定値を、高圧燃料ポンプ40の最大吐出量の半分の量に設定した。判定値は適宜変更が可能である。例えば、判定値を燃料圧力Prの最大吐出量と同じ量に設定することもできる。判定値を大きい値側に設定することで、吐出要否判定部407において燃料吐出が不要であると判定されやすくすることができる。
・第4実施形態では、個別制御における通電周期を高圧燃料ポンプ40からの燃料吐出量が最大吐出量となり、且つ最速の駆動周期となる固定の周期に設定したが、固定の周期は他の周期を採用することも可能である。
・第2実施形態及び第4実施形態では、噴射間隔Intを、燃料噴射が終了してから次の燃料噴射が開始するまでの時間として算出した。噴射間隔Intの算出態様はこれに限らない。例えば、燃料噴射が開始してから次の燃料噴射が開始するまでの時間、燃料噴射が開始してから次の燃料噴射が終了するまでの時間、及び燃料噴射が終了してから次の燃料噴射が終了するまでの時間を噴射間隔Intとして算出してもよい。
・上記各実施形態では、内燃機関の運転状態に応じて吐出回数を変更することで吐出比率を変更した。こうした構成に代えて、内燃機関の運転状態に応じて吐出比率を変更する吐出比率設定部を備え、該吐出比率設定部によって設定された吐出比率となるように、高圧燃料ポンプ40の吐出回数Tnを設定する構成を採用することも可能である。なお、こうした場合であっても、吐出比率の上限を、燃料の噴射間隔Intに基づいて制限することが望ましい。また、内燃機関の運転状態に応じて吐出回数を変更することで吐出比率を変更する場合、及び内燃機関の運転状態に基づいた吐出比率を設定することで該吐出比率を変更する場合の双方において、次のように吐出比率が設定される。
図16に示すように、機関回転速度NEが高いときには、該機関回転速度NEが低いときに比して、吐出比率を小さくする。また、図17に示すように、燃料の噴射間隔Intが短いときには、該噴射間隔Intが長いときに比して、吐出比率を小さくする。内燃機関10の運転状態が、例えば高回転低負荷状態のときには、低回転低負荷のときに比して、噴射間隔Intが短くなる。この場合、吐出比率を小さくすることで、噴射間隔Int内で燃料吐出を完了することができる。なお、この例では内燃機関10の運転状態が低負荷であり、目標吐出量TPtが少ないことから、吐出比率が小さい場合であっても、高圧燃料ポンプ40から高圧燃料配管34へ目標吐出量TPt分の燃料を吐出することはできる。
また、内燃機関10の負荷KLと機関回転速度NEとの双方に基づいて吐出比率をマップ演算により算出して設定することも可能である。こうした構成を採用した場合、複数の演算式などを経て吐出比率を算出する場合に比して、吐出比率を算出する際の演算負荷を軽減できる。
また、図18に示すように、目標吐出量TPtが多いときには、該目標吐出量TPtが少ないときに比して吐出比率を高くするといった構成も採用できる。なお、内燃機関の運転状態の変化に応じて吐出回数を変更することで吐出比率を変更する場合、吐出回数を小さくすることによって、吐出比率を小さくすることができる。
・上記各実施形態における噴射間吐出制御では、N回目の燃料噴射とN+1回目の燃料噴射との間において、N回目の燃料噴射が終了してから準備時間が経過したタイミングを所定のタイミングとして燃料吐出を開始するようにしていた。噴射間吐出制御における所定のタイミングは適宜変更が可能である。例えば、準備時間を考慮せずにN回目の燃料噴射の終了タイミングFeを吐出開始タイミングTsとして算出してもよい。この場合には、燃料噴射が終了したタイミングで燃料吐出が開始される。また、N回目の燃料噴射の開始タイミングよりも遅く、該燃料噴射の終了タイミングFeよりも早い所定のタイミングを吐出開始タイミングTsとして算出する構成を採用してもよい。この場合、N回目の燃料噴射の噴射期間内の所定のタイミングで燃料吐出が開始される。上記構成において、燃料吐出の終了タイミングをN回目の燃料噴射が終了してからN+1回目の燃料噴射が開始されるまでの間とすることで、噴射間吐出制御において、燃料噴射弁15からのN回目の燃料噴射の噴射期間のみと重なるように燃料吐出を実行することができる。また、上記構成において、燃料吐出の終了タイミングをN+1回目の燃料噴射が開始してからN+1回目の燃料噴射が終了するまでの間とすることで、噴射間吐出制御において、燃料噴射弁15からのN回目の燃料噴射及びN+1回目の燃料噴射の双方の噴射期間と重なるように燃料吐出を実行することができる。また、噴射間吐出制御において、燃料噴射弁15からのN+1回目の燃料噴射の噴射期間のみと重なるように燃料吐出を実行することも可能である。この構成は、例えば、N+1回目の燃料噴射の開始タイミングよりも遅いタイミングで燃料吐出を開始し、N+1回目の燃料噴射の終了タイミングFeよりも早いタイミングで燃料吐出を終了するといった構成を採用することで実現することができる。また、燃料吐出の開始タイミングをN回目の燃料噴射が終了してからN+1回目の燃料噴射が開始されるまでの間に設定し、N+1回目の燃料噴射の開始タイミングよりも遅く終了タイミングよりも早いタイミングで燃料吐出を終了するといった構成を採用することによっても実現できる。このように、N回目の燃料噴射とN+1回目の燃料噴射との間とは、N回目の燃料噴射の開始タイミングからN+1回目の燃料噴射の終了タイミングの所定の期間が相当する。
・上記各実施形態において、待機時間の設定は適宜変更が可能である。例えば、待機時間は、高圧燃料ポンプ40へ通電制御を終了し、高圧燃料ポンプ40のプランジャ75の凸条75Bが挿通部56に当接している状態から、該プランジャ75が突出部83に当接するまで上記他方側に移動する際に係る時間よりも短い時間や長い時間に設定することも可能である。また、同様に高圧燃料ポンプ40への通電時間であるリフト時間Tiを適宜変更して設定することも可能である。
・上記各実施形態では、吐出比率を1よりも小さい値から、1よりも大きい値の範囲で設定するようにした。こうした構成に代えて、吐出比率を1よりも大きい範囲で設定するようにすることで、1回の燃料噴射に対して必ず1回以上の燃料吐出が行われるようにしてもよい。また、吐出比率を1よりも小さい範囲で設定するようにすることで、常に1回の燃料噴射に対する燃料吐出の回数が1回よりも小さくなるようにしてもよい。
・高圧燃料ポンプ40によって燃料タンク31内の燃料を吸引するようにしてもよい。この場合、低圧燃料ポンプ32や低圧燃料配管33は省略できる。
・高圧燃料ポンプ40の構成は適宜変更が可能である。例えば、プランジャ75を、磁性素材とは異なる素材によって構成されていてシリンダ57に挿通されている丸棒部と、該丸棒部の一端に連結されていて磁性素材からなる磁性部とから構成する。そして、該磁性部をコイル85に通電することで発生する磁界によって移動させることにより、プランジャ75を変位させて加圧室78の容積を変化させるといった構成を採用することも可能である。要は、通電を行うことによってプランジャ75を往復動させることが可能であり、プランジャ75を往復動させることで燃料を吸引する吸引機能と、吸引した燃料を加圧して吐出する吐出機能とを果たす燃料ポンプであれば、上記各実施形態と同様の燃料ポンプの制御装置を適用することができる。
・燃料ポンプの制御装置100,400は、燃料噴射弁15の駆動を制御する機能やスロットルバルブ21の駆動を制御する機能を有していた。燃料ポンプの制御装置100,400とは異なる制御部にこれらの機能を持たせることは可能である。この場合、制御装置100,400と制御部とを通信可能な構成とし、互いに必要な情報を送受信させることで、上記各実施形態と同様に燃料ポンプの駆動を制御することができる。