JP2018123790A - 内燃機関の燃料噴射装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】故障診断中に一時的に機関停止した際に故障診断時間を短縮させる。
【解決手段】エンジンが始動した際にデリバリ燃圧を変化させる燃圧上昇側制御または燃圧下降側制御を行なって、所定期間経過するまでにデリバリ燃圧の検出値が所定値以上変化するか否かによって燃圧センサ24の故障判定を行なう故障判定部51を備えたエンジンの燃料噴射装置において、故障判定部51は、燃圧センサ24の故障判定をしている最中に所定期間経過するまでにエンジンが停止した場合に、当該停止後にエンジンが再始動した際に、エンジンが停止するまでの経過時間から継続して所定期間の計測を再開する。
【選択図】図1

Description

本発明は、内燃機関の筒内燃料噴射弁に燃料を供給する高圧燃料供給装置の故障診断技術に関するものである。
燃焼室内に燃料を噴射する筒内燃料噴射弁を備えた内燃機関が知られている。筒内燃料噴射弁には、燃料タンクから高圧燃料供給装置によって高圧化した燃料が供給されることで、高圧となる燃焼室内に燃料を噴射可能としている。高圧燃料供給装置は、例えば内燃機関によって駆動する高圧燃料ポンプ(プランジャポンプ)と流量制御弁(スピル弁)を備えており、流量制御弁からの吐出圧、すなわち筒内燃料噴射弁に供給する燃料の圧力(デリバリ燃圧)を燃圧センサによって検出し、当該デリバリ燃圧が目標燃圧になるように、流量制御弁を駆動制御する。
更に、特許文献1では、内燃機関の始動時において、高圧燃料ポンプを作動させてデリバリ燃圧を上昇させ、燃圧センサの検出値の上昇度合に基づいて、燃圧センサ、高圧燃料ポンプ、流量制御弁のいずれかが異常であると判定する故障診断装置が提案されている。
特許第4355346号公報
上記特許文献1のように、燃圧センサの検出値の上昇度合に基づいて故障判定を行う場合には、例えば所定時間内に検出値が所定値以上変化したか否かによって故障か否かを判別することが多い。
しかしながら、内燃機関の始動直後において、例えばMT車におけるシフト操作ミスや実際のデリバリ燃圧が不足していて機関停止すると、故障診断の完了が不能となるといった問題点がある。また、故障診断については、エンジン始動後に迅速に完了することが望まれている。
本発明は、上述した課題を解決すべくなされたものであり、その目的とするところは、故障診断中に一時的に機関停止しても故障診断を可能にするとともに、故障診断時間を短縮させる内燃機関の燃料噴射装置を提供することにある。
上記の目的を達成するべく、本発明の内燃機関の燃料噴射装置は、燃料タンクに貯留した燃料を加圧する高圧燃料供給装置と、前記高圧燃料供給装置により加圧された燃料を供給されて内燃機関の燃焼室に噴射する筒内燃料噴射弁と、前記高圧燃料供給装置から前記筒内燃料噴射弁に供給された燃料の圧力を検出する圧力検出器と、前記内燃機関の始動後に前記筒内燃料噴射弁に供給された燃料の圧力を上昇側または下降側に変化させ、所定期間経過するまでの前記圧力検出器による圧力検出値の変化度合に基づいて当該圧力検出器の故障判定をする故障判定部と、を備えた内燃機関の燃料噴射装置であって、前記故障判定部は、前記内燃機関の始動後に前記所定期間が経過するまでに前記内燃機関が停止した場合に、当該停止後に前記内燃機関が再始動した際に、前記内燃機関が停止するまでの経過期間から継続して前記所定期間の計測を再開して前記故障判定を実行することを特徴とする。
また、好ましくは、前記故障判定部は、前記故障判定において前記燃料の圧力を変化させる際に上昇側または下降側で前記所定期間が異なるように設定するとよい。
また、好ましくは、前記故障判定部は、前記所定期間が経過するまでに前記内燃機関が停止した場合に、当該停止後に内燃機関が再始動した際に、前記内燃機関が停止するまでの経過時間に所定時間加算した時間から前記所定期間の計測を再開して前記故障判定を実行するとよい。
また、好ましくは、前記故障判定部は、前記故障判定において前記燃料の圧力を下降側に変化させる場合には上昇側に変化させる場合よりも、前記所定時間を大きく設定するとよい。
また、好ましくは、前記故障判定部は、前記所定期間が経過するまでに前記内燃機関の停止回数が所定回数以上となった場合には、前記内燃機関が再始動した際での前記所定期間の計測の再開を中止するとよい。
また、好ましくは、前記故障判定部は、前記燃料の圧力を上昇側または下降側に変化させる際の目標燃圧と前記圧力検出値との差が大きいほど、前記所定期間を短く設定するとよい。
本発明の内燃機関の燃料噴射装置によれば、圧力検出器の故障判定をしている最中に内燃機関が停止した場合には、当該停止後に内燃機関が再始動した際に、内燃機関が停止するまでの経過期間から継続して所定期間の計測を再開するので、内燃機関が一時的に停止しても、故障診断を行うことができる。更に、内燃機関が再始動した際に所定期間の計測を始めからやり直さずに継続して故障診断を行うことから、故障診断時間を短縮させることができる。
本発明の一実施形態のエンジンの燃料噴射装置の概略構成図である。 本実施形態のエンジン始動時におけるデリバリ燃圧、各種モード、各種判定の推移を示すタイムチャートの一例である。
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の一実施形態の内燃機関の燃料噴射装置の概略構成図である。
本発明の一実施形態に係る燃料噴射装置を備えたエンジン(内燃機関)は、例えば自動車の走行駆動用エンジンであり、4気筒のガソリンエンジンである。エンジンには、吸気通路に燃料を噴射する吸気通路燃料噴射弁10(10a〜10d)と、燃焼室内に燃料を噴射する筒内燃料噴射弁11(11a〜11d)と、が各気筒に1つずつ備えられている。
吸気通路燃料噴射弁10は、内燃機関の吸気ポートに噴射口が配置されている。図1に示すように、吸気通路燃料噴射弁10は、燃料タンク12からフィードポンプ13によって燃料が供給され、吸気ポート内に低圧の燃料を噴射する。フィードポンプ13の吐出圧は、レギュレータ14によって調圧される。なお、この吸気通路燃料噴射弁10による燃料噴射を吸気通路燃料噴射(MPI)という。
筒内燃料噴射弁11は、エンジンの燃焼室に噴射口が配置されている。筒内燃料噴射弁11は、高圧燃料供給装置20から供給された高圧の燃料を燃焼室内に噴射する。高圧燃料供給装置20は、フィードポンプ13により燃料タンク12から供給された低圧の燃料を加圧して筒内燃料噴射弁11に供給する。なお、この筒内燃料噴射弁11による燃料噴射を筒内燃料噴射(DI)という。
フィードポンプ13と吸気通路燃料噴射弁10との間の燃料供給路にはオリフィス21a、21bが設けられ、高圧燃料供給装置20と筒内燃料噴射弁11との間の燃料供給路にはオリフィス22が設けられており、夫々燃料の流量を調整する。
また、高圧燃料供給装置20から各筒内燃料噴射弁11a〜11dへの燃料供給路であるデリバリパイプ23には、高圧燃料供給装置20からの燃料の吐出圧であるデリバリ燃圧Pd(圧力検出値)を検出する燃圧センサ24(圧力検出器)が設けられている。
高圧燃料供給装置20は、フィルタ30、パルセーションダンパ室31、スピル弁32、プランジャポンプ33、吐出弁34、リリーフ弁35、を備えて構成されている。
プランジャポンプ33は、筒状のシリンダ36内をプランジャ37が往復動可能に設けられている。プランジャ37は、図示しないエンジンのドライブシャフトに設けられたカムによって移動される。ドライブシャフトは、例えばエンジンの排気カムシャフトに連結しており、よって、エンジンの駆動によりプランジャ37がシリンダ36内を往復動し、シリンダ36内の加圧室38の容積を増減させる。
高圧燃料供給装置20には、フィードポンプ13から加圧室38に燃料を供給する供給路39と、加圧室38から燃料を吐出する吐出路40が設けられている。
供給路39には、上流側から順番に、フィルタ30、パルセーションダンパ室31、スピル弁32が配置されている。
フィルタ30は、フィードポンプ13により燃料タンク12から供給された燃料を濾過する機能を有する。パルセーションダンパ室31は、供給路39の燃料の圧力変動を抑制する機能を有する。
スピル弁32は、スプリング41により開弁するように付勢されるとともに、ソレノイド42に通電させることで閉弁するように構成されている。ソレノイド42は、コントロールユニット50からスピル弁駆動信号として電力を供給されることで、スピル弁32を閉作動させる。
吐出路40には、吐出弁34が配置されている。吐出弁34は、スプリングによって閉弁するように付勢されており、前後の差圧が所定値以上、即ち加圧室38内の圧力が筒内燃料噴射弁11への設定供給圧力以上に上昇した場合に開弁するように設定されている。
また、リリーフ弁35は吐出弁34と並列に配置されている。リリーフ弁35は、吐出弁34の下流側の圧力がリリーフ圧Pr以上で開弁するように設定されている。
高圧燃料供給装置20は、プランジャ37の下方への移動時、即ち加圧室38の容積の拡大時には、スピル弁32が開弁し、供給路39から燃料が加圧室38内に供給される。プランジャ37の上方への移動時、即ち加圧室38の容積の縮小時には、ソレノイド42にスピル弁駆動信号を一時的に供給してスピル弁32を閉作動させることで、その後のプランジャ37の上方への移動時にスピル弁32の閉弁状態が維持されて、加圧室38内の燃料が加圧される。
したがって、高圧燃料供給装置20では、プランジャ37の下死点から上方への移動開始時毎にスピル弁32を閉作動させるスピル弁駆動信号をソレノイド42に入力することで、プランジャ37の上下動に応じてスピル弁32が開閉作動を繰り返し、燃料を繰り返して加圧し、高圧の燃料を吐出することが可能となっている。
なお、本実施形態の高圧燃料供給装置20では、シリンダ36内におけるプランジャ37に対して加圧室38とは反対側の副室に、パルセーションダンパ室31から燃料を供給して貯留しておくように構成されている。
コントロールユニット50は、入出力装置、記憶装置(ROM、RAM、不揮発性RAM等)及び中央演算処理装置(CPU)等を含んで構成されている。コントロールユニット50は、アクセル操作やエンジン回転速度等に基づいて、吸気通路燃料噴射弁10及び筒内燃料噴射弁11を制御して、燃料噴射量の制御を行なうとともに、図示しない点火プラグ等の作動制御を行なって、エンジンの運転制御を行なう。
また、コントロールユニット50は、エンジンの回転速度及び負荷に基づいて、燃料噴射モードを判定する。燃料噴射モードは、燃料噴射モードマップを用いて判定される。例えば、低負荷低回転時にはMPIモード、中、高負荷運転時にはDI+MPIモードに判定される。なお、MPIモードは、筒内燃料噴射弁11による燃料噴射を行なわず、吸気通路燃料噴射弁10のみで燃料噴射を行なうモードであり、DI+MPIモードでは、筒内燃料噴射弁11及び吸気通路燃料噴射弁10の両方から燃料を噴射する。
また、コントロールユニット50は、燃圧センサ24からデリバリ燃圧Pdを入力し、エンジンの運転時にデリバリ燃圧Pdが所定の目標燃圧Pdtになるように、高圧燃料供給装置20をフィードバック制御する機能を有している。目標燃圧Pdtは、エンジン運転時に燃料噴射モードに基づく基本目標燃圧Pdtaに設定される。また、コントロールユニット50は、デリバリ燃圧Pdが目標燃圧Pdtより高い場合には、筒内燃料噴射弁11から燃料を噴射してデリバリ燃圧Pdを目標燃圧Pdtに低減させる機能も有している。
更に、本実施形態のコントロールユニット50は、高圧燃料供給装置20の故障診断、詳しくは燃圧センサ24の固着を判定する故障判定部51を備えている。以下に、図2を用いて、エンジン始動時における故障判定部51による燃圧センサ24の故障診断について説明する。
図2は、故障判定部51により、エンジン始動時において高圧燃料供給装置20の故障診断を実施した際の、デリバリ燃圧、各種モード、各種判定の推移の一例を示すタイムチャートである。
エンジンが停止したエンストモードが成立している状態(図2中のaまで)から、例えばエンジン始動操作により始動モードが成立して、エンジンを始動させる(図2中のa→b)。
エンジンが始動完了し、燃圧センサ固着診断共通実施条件が成立したときに、コントロールユニット50は、燃圧センサ24からデリバリ燃圧Pdを入力し、当該デリバリ燃圧Pdに基づいて、燃圧上昇側判定及び燃圧下降側判定のいずれかを選択する(図2中のb)。燃圧センサ固着診断共通実施条件は、例えば車両電源ONであること、エンストモードまたは始動モードでないこと、エンジン始動から燃圧センサ24の正常または故障判定が済んでいないこと、燃圧センサ24が天絡、地絡、断線故障ではないこと等の条件である。燃圧センサ24が、天絡、地絡、断線故障ではないか否かは、燃圧センサ24の出力が所定値以上または0でないことによって判定できる。
デリバリ燃圧Pdが最大燃圧値Pdmax−第3の所定値α以下の場合には燃圧上昇側判定を選択し、デリバリ燃圧Pdが最大燃圧値Pdmax−第3の所定値αより高い場合には、燃圧下降側判定を選択する。最大燃圧値Pdmaxは、通常のエンジン運転時に設定される目標燃圧Pdtである基本目標燃圧Pdtaより高く、かつリリーフ弁35のリリーフ圧Prより低い値である。第3の所定値αは、後述する第1の所定値(燃圧上昇側判定値)γより大きい値に設定する。
燃圧上昇側判定は、図2の燃圧上昇側判定のグラフにおける短い破線で示すように、目標燃圧Pdtを現状のデリバリ燃圧Pdに第3の所定値αを加算した値(Pd+α)にする燃圧上昇制御を行なうとともに、燃圧上昇側判定カウンタを初期値Xu(例えば30回点火)から減少するように計測する(図2中の燃圧上昇側判定におけるb)。なお、燃圧上昇側判定カウンタ及び後述する燃圧下降側判定カウンタは、点火回数を計測するカウンタであるが、点火回数の代わりに時間を計測するものでもよい。図2の(A)正常時に示すように、燃圧上昇側判定カウンタが0に到達する前に、デリバリ燃圧Pdが燃圧上昇側判定開始後、第1の所定値(燃圧上昇側正常判定値)γ以上上昇した場合には、燃圧センサ固着正常判定が成立し、燃圧センサ24が正常であると判定する(図2中のc)。なお、この第1の所定値γは、デリバリ燃圧を上昇させる上記の燃圧上昇制御を行い燃圧センサ24の検出値(デリバリ燃圧Pd)の変化に基づいて正常か否かを判別するのに必要な値に設定すればよい。
図2の(B)故障時に示すように、燃圧上昇側判定カウンタが0に到達しても、デリバリ燃圧Pdが燃圧上昇側判定開始後、第1の所定値(燃圧上昇側正常判定値)γ以上変化しない場合には、燃圧センサ固着故障判定が成立し、燃圧センサ24が固着していると判定する(図2中のd)。
一方、燃圧下降側判定では、図2の燃圧下降側判定のグラフにおける破線で示すように、目標燃圧Pdtは基本目標燃圧Pdtaと同一とする。デリバリ燃圧Pdが最大燃圧値Pdmax−αより高いと判定して所定時間ta経過した後に燃料噴射モードをMPIモードからMPI+DIモードに切り変える(図2中e)。ここで基本目標燃圧Pdtaは、MPI+DIモードを行うためにMPIモードよりも高く設定されるが、最大燃圧値Pdmax−αよりも低い値である。したがって、MPI+DIモードの実行により、筒内燃料噴射弁11から燃料を噴射する燃圧下降制御を行ない、デリバリ燃圧Pdが低下する。燃圧下降制御中、デリバリ燃圧Pdが、目標燃圧Pdt+第4の所定値βより大きい場合に燃圧下降側判定を行い、燃圧下降側判定カウンタを初期値Xd(例えば100回点火)から減少するように計測する。なお、燃圧上昇側判定カウンタの初期値Xu、燃圧下降側判定カウンタの初期値Xdは、本発明の所定の所定期間に該当する。
図2(C)正常時に示すように、燃圧下降側判定カウンタが0に到達する前に、デリバリ燃圧Pdが第2の所定値δ以上下降した場合には、燃圧センサ固着正常判定が成立し、燃圧センサ24が正常であると判定する(図2中f)。
なお、第2の所定値δは、燃圧下降制御を行い燃圧センサ24の検出値(デリバリ燃圧Pd)の変化に基づいて正常か否かを判別するのに必要な値に設定すればよい。第4の所定値βは燃圧下降側判定実施条件として第2の所定値δより大きい値に設定される。これにより、デリバリ燃圧Pdが目標燃圧Pdt+第4の所定値βより大きい場合に燃圧下降制御を実行すれば、確実に第2の所定値δ以上変化して燃圧下降側判定が可能となる。
また、第1の所定値(燃圧上昇側判定値)γを第3の所定値αより小さく設定すること、及び第2の所定値(燃圧下降側判定値)δを第4の所定値βより小さく設定することは、いずれも燃圧のフィードバック制御において目標燃圧Pdt付近に設定されている不感帯を避けて燃圧上昇側判定及び燃圧下降側判定を行うためである。
本実施形態では、燃圧上昇側判定カウンタ及び燃圧下降側判定カウンタにおけるカウント方法に特徴を有している。
図2の(D)故障時に示すように、燃圧下降側判定カウンタが0に到達する前にデリバリ燃圧Pdが第2の所定値δ以上下降しない状態で、エンジンが停止した場合では、停止した状態での燃圧下降側判定カウンタのカウント値をホールドする(図2中g)。その後、エンジンを再始動して(図2中h→i)から所定時間ta経過しMPIモードからMPI+DIモードに切り替えて、燃圧下降側判定を再開する(図2中j)。ここで、燃圧下降側判定カウンタは、エンジン停止時にホールドされた値から継続して再開する。
そして、燃圧下降側判定カウンタが0に到達してもデリバリ燃圧Pdが第2の所定値δ以上下降しない場合には、燃圧センサ固着故障判定が成立し、燃圧センサ24が固着していると判定する(図2中k)。
なお、図2のタイムチャートでは、燃圧下降側判定においてエンジンが停止した場合に燃圧下降側判定カウンタのカウント値をホールドする制御を行っているが、燃圧上昇側判定においても同様に、燃圧上昇側判定カウンタのカウント値をホールドする制御を行う。
以上のように、本実施形態では、エンジン始動直後に目標燃圧Pdtを変化させ、燃圧センサ24の検出値であるデリバリ燃圧Pdの変化に基づいて、燃圧センサ24が故障しているか否かの故障診断を行う。特に、本実施形態では、エンジン始動後のデリバリ燃圧Pdに基づいて燃圧上昇側判定と燃圧下昇側判定を選択し、目標燃圧Pdtを現状のデリバリ燃圧Pdより所定値α上昇させる燃圧上昇制御を行なうか、または目標燃圧PdtをMPI+DIモードにおける基本目標燃圧Pdta、即ち現状より低い値に抑えた上で筒内燃料噴射弁11から燃料噴射をする燃圧下降制御を行なうことで、デリバリ燃圧を低下させて燃圧センサ24の検出値(デリバリ燃圧Pd)の変化を監視する。
このように、エンジン始動直後のモニタ開始時におけるデリバリ燃圧Pdに基づいて、燃圧上昇側判定及び燃圧下昇側判定のいずれかを選択し、目標燃圧Pdtを互いに異なる値に設定するので、いずれの判定においても目標燃圧Pdtを適切な値に設定することができる。詳しくは、デリバリ燃圧Pdが最大燃圧値Pdmax−α以下の場合には、目標燃圧Pdtをデリバリ燃圧Pd+αとして燃圧上昇側判定を行っても、デリバリ燃圧Pdが最大燃圧値Pdmaxを超えることを防止できる。一方、デリバリ燃圧Pdが最大燃圧値Pdmax−αを超えている場合には、燃圧上昇側判定を行わず、目標燃圧Pdtを基本目標燃圧Pdtaとし筒内燃料噴射を行って燃圧下降側判定を実行することで、デリバリ燃圧Pdが最大燃圧値Pdmaxを超えないようにすることができる。
これにより、燃圧センサ24の故障診断においてデリバリ燃圧Pdがリリーフ弁35のリリーフ圧Prを超えることを防止することができ、リリーフ弁35の耐久寿命を長くすることができる。
また、デリバリ燃圧Pdが最大燃圧値Pdmax−α以下では、燃圧上昇側判定が行われるので、エンジン始動直後に燃圧上昇側判定を極力実施させることができる。これにより、例えば燃圧センサ24が固着していて、実際のデリバリ燃圧Pdが低いにもかかわらず高い値を出力している場合に燃圧上昇側判定を行なうことで、燃圧下降側判定の機会を減少させ、燃圧下降側判定による燃圧低下によってエンジン停止してしまう虞を回避することができる。
以上のように、エンジン始動直後に、燃圧上昇側判定だけでなく燃圧下降側判定を行うことによって、エンジン始動時での故障診断機会を増加させ、始動時を除くエンジン運転中における故障診断を抑制し、エンジン出力への影響を抑制することができる。
更に、本実施形態では、燃圧下降側判定カウンタが0に到達する前にデリバリ燃圧Pdが第2の所定値δ以上下降しない状態で、エンジンが停止した場合では、停止した状態での燃圧下降側判定カウンタのカウント値をホールドし、エンジン再始動後にカウント値をホールドした値から再開するので、故障診断中にエンジンが停止しても故障診断を不能とせずに再開可能とし、故障診断機会を増加させることができる。また、エンジンが再始動した際にカウント値の計測を初期値からやり直さずに継続して故障診断を行うことから、故障診断時間を短縮させることができる。
また、上記実施形態では、燃圧上昇側判定でのカウンタの初期値Xuを短く設定し、燃圧下降側判定におけるカウンタの初期値Xdを長く設定している。燃圧上昇側判定においては、高圧燃料供給装置20によりデリバリ燃圧Pdを比較的迅速に上昇させることができるので、初期値Xuを短く設定することができ、これにより燃圧上昇側判定を早期に完了させることができる。これに対し、燃圧下降側判定ではエンジン始動直後のアイドル状態での筒内燃料噴射弁11からの燃料噴射によってデリバリ燃圧Pdを低下させるので、デリバリ燃圧Pdの低下は比較的遅いため、カウンタの初期値Xdを長く設定する必要がある。また、リリーフ弁35が故障して実際にデリバリ燃圧Pdが燃圧センサ24の検出可能な上限値よりも大幅に上昇している場合には、燃圧センサ24により検出可能となるまでに時間を要するためであり、初期値Xdを長く設定することで燃圧センサ24が故障しているとの誤判定を回避することができる。
また、燃圧下降側判定カウンタの初期値Xdをモニタ開始時におけるデリバリ燃圧Pdに基づいて変化させてもよい。例えば、燃圧下降側判定においては、モニタ開始時におけるデリバリ燃圧Pdが燃圧センサ24の検出可能な上限値よりも高い場合に初期値Xdを長く設定するとともに、デリバリ燃圧Pdが燃圧センサ24の検出可能な上限値以下の場合に初期値Xdを短く設定すればよい。このようにすれば、燃圧センサ24の故障誤判定を回避しつつ、早期に故障判定を完了させることができる。
また、エンジン再始動後にホールドした値に所定時間tbを減算する場合に、燃圧上昇側判定と燃圧下降側判定とで所定時間tbを異なる値に設定してもよい。例えば、燃圧下降側判定の場合には、燃圧上昇側判定の場合よりも所定時間tbを大きくして、エンジン再始動の際のカウンタを短く設定する。これにより、上記のように燃圧下降側判定で燃圧上昇側判定よりもカウンタ初期値を大きく設定した場合でも、燃圧下降側判定における故障診断時間を短くすることができる。
また、エンジン始動してから燃圧上昇側判定または燃圧下降側判定が完了するまでのエンジン停止回数をカウントしておき、このエンジン停止回数が所定回数以上となった場合には、燃圧上昇側判定カウンタまたは燃圧下降側判定カウンタのカウント値を初期値に戻すようにして、経過期間からの計測の再開を中止するようにしてもよい。これにより、エンジン停止回数の多い場合には、故障判定を中止して、故障判定の精度を高めるとともに、警告等を行なうことでメンテナンスを促すことができる。また、エンジン停止以外に例えば燃圧センサ固着診断共通実施条件が不成立となった場合には、カウント値を初期値に戻すようにしてもよい。
また、上記実施形態では、例えばエンジン始動操作によりエンジン始動した際に故障判定部51による燃圧センサ24の故障診断を行うが、エンジン始動操作時だけでなく、エンジン自動停止始動装置によるエンジン再始動時、ハイブリッド車において走行モードをEVモードからシリーズモードまたはパラレルモードに移行した際でのエンジン始動時等に実行してよい。
本願発明は、筒内燃料噴射弁に高圧の燃料を供給する高圧燃料供給装置を備え、筒内燃料噴射弁に供給する燃料の圧力を検出して高圧燃料供給装置を制御する内燃機関において、広く適用することができる。
1 エンジン
11 筒内燃料噴射弁
20 高圧燃料供給装置
33 プランジャポンプ
24 燃圧センサ(圧力検出器)
50 コントロールユニット
51 故障判定部

Claims (6)

  1. 燃料タンクに貯留した燃料を加圧する高圧燃料供給装置と、
    前記高圧燃料供給装置により加圧された燃料を供給されて内燃機関の燃焼室に噴射する筒内燃料噴射弁と、
    前記高圧燃料供給装置から前記筒内燃料噴射弁に供給された燃料の圧力を検出する圧力検出器と、
    前記内燃機関の始動後に前記筒内燃料噴射弁に供給された燃料の圧力を上昇側または下降側に変化させ、所定期間経過するまでの前記圧力検出器による圧力検出値の変化度合に基づいて当該圧力検出器の故障判定をする故障判定部と、
    を備えた内燃機関の燃料噴射装置であって、
    前記故障判定部は、前記内燃機関の始動後に前記所定期間が経過するまでに前記内燃機関が停止した場合に、当該停止後に前記内燃機関が再始動した際に、前記内燃機関が停止するまでの経過期間から継続して前記所定期間の計測を再開して前記故障判定を実行することを特徴とする内燃機関の燃料噴射装置。
  2. 前記故障判定部は、前記故障判定において前記燃料の圧力を変化させる際に上昇側または下降側で前記所定期間が異なるように設定することを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の燃料噴射装置。
  3. 前記故障判定部は、前記所定期間が経過するまでに前記内燃機関が停止した場合に、当該停止後に内燃機関が再始動した際に、前記内燃機関が停止するまでの経過時間に所定時間加算した時間から前記所定期間の計測を再開して前記故障判定を実行することを特徴とする請求項1または2に記載の内燃機関の燃料噴射装置。
  4. 前記故障判定部は、前記故障判定において前記燃料の圧力を下降側に変化させる場合には上昇側に変化させる場合よりも、前記所定時間を大きく設定することを特徴とする請求項3に記載の内燃機関の燃料噴射装置。
  5. 前記故障判定部は、前記所定期間が経過するまでに前記内燃機関の停止回数が所定回数以上となった場合には、前記内燃機関が再始動した際での前記所定期間の計測の再開を中止することを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の内燃機関の燃料噴射装置。
  6. 前記故障判定部は、前記燃料の圧力を上昇側または下降側に変化させる際の目標燃圧と前記圧力検出値との差が大きいほど、前記所定期間を短く設定することを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の内燃機関の燃料噴射装置。
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