JP4145197B2 - 乗用型作業車 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、機体に作業装置を昇降駆動自在に備えた乗用型作業車に関する。
【0002】
【従来の技術】
乗用型作業車の一例である乗用型田植機では、例えば特許文献1に開示されているように、機体に備えられた苗植付装置(特許文献1の図1中の6)(作業装置に相当)を昇降駆動する昇降機構(特許文献1の図1及び図9中の7)、右及び左のマーカー(特許文献1の図9中の22,23)を備えて、作業地に接地して次の作業行程の指標を作業地に描く作業姿勢及び作業地から上昇した退避姿勢に、右及び左のマーカーを作動自在に構成したものがある。
特許文献1の構造では、人為的に操作される操作具(特許文献1の図1,2,3,9中の20)を備えて、操作具を操作することにより昇降機構が上昇及び下降作動するように構成され、操作具を操作することにより右又は左の所望のマーカーが作業姿勢に操作されるように構成されている。
【0003】
乗用型作業車の一例である乗用型田植機では、例えば特許文献1に開示されているように、機体に備えられた苗植付装置(特許文献1の図1中の6)(作業装置に相当)を昇降駆動する昇降機構(特許文献1の図1及び図9中の7)を備えて、人為的に操作される操作具(特許文献1の図1,2,3,9中の20)を備え、操作具を操作することにより昇降機構が上昇及び下降作動するように構成されたものがある。
この場合、機体に対する苗植付装置の左右方向の姿勢を変更駆動するローリング機構、苗植付装置の左右方向の姿勢が作業地に対して所定姿勢に維持されるようにローリング機構を作動させるローリング制御手段を備えたものがある。これにより、機体が左右に傾斜しても、苗植付装置の左右方向の姿勢が作業地に対して所定姿勢に維持されて、安定した植付作業が行われる。
【0004】
【特許文献1】
特開2001−211708号公報(図1,2,3,9)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
特許文献1の構造によると、操作具により昇降機構の上昇及び下降作動、右又は左のマーカーの作業姿勢への作動が行われるだけなので、操作具の多機能化と言う面で改善の余地がある。
本発明は、機体に作業装置を昇降駆動自在に備えた乗用型作業車において、操作具の多機能化を図ることを目的としている。
【0006】
【0007】
【課題を解決するための手段】
【0008】
【0009】
[I]
(特徴)本発明の第1特徴は、乗用型作業車において次のように構成することにある。
機体に備えられた作業装置を昇降駆動する昇降機構と、機体に対する前記作業装置の左右方向の姿勢を変更駆動するローリング機構と、次の作業行程の指標を作業地に描く作業姿勢及び作業姿勢から上昇した退避姿勢に作動自在な右及び左のマーカーと、人為的に操作される操作具とを備えると共に、前記操作具に右マーカー位置及び左マーカー位置を備え、前記操作具の右マーカー位置への操作により前記右のマーカーを作業姿勢に作動させ、前記操作具の左マーカー位置への操作により前記左のマーカーを作業姿勢に作動させるマーカー操作手段と、前記操作具の右マーカー位置への操作により前記ローリング機構を右傾斜作動させ、前記操作具の左マーカー位置への操作により前記ローリング機構を左傾斜作動させるローリング操作手段とを備えて、前記マーカー操作手段を作動させる状態と、前記ローリング操作手段を作動させる状態とを、前記操作具の右マーカー位置又は左マーカー位置への操作態様の変更により切換自在に構成している。
【0010】
(作用)本発明の第1特徴によると、操作具により右又は左の所望のマーカーが作業姿勢に操作(マーカー操作手段)されるようにすることができ、これに加えて、操作具によりローリング機構を右傾斜作動及び左傾斜作動(ローリング操作手段)(作業装置の左右方向の姿勢を右及び左傾斜方向に変更すること)させることができる。
【0011】
[II]
(特徴)本発明の第2特徴は、前項[I]に記載の本発明の第1特徴において次のように構成することにある。
前記操作具に上昇位置を備えると共に、前記昇降機構を上昇作動させる上昇操作手段と、前記作業装置の左右方向の姿勢が作業地に対して所定姿勢に維持されるように前記ローリング機構を作動させるローリング制御手段とを備え、前記ローリング制御手段を停止して前記上昇操作手段を作動させる状態と、前記ローリング制御手段を作動させる状態とを、前記操作具の上昇位置への操作態様の変更により切換自在に構成している。
【0012】
(作用)本発明の第2特徴によると、本発明の第1特徴と同様に前項[I]に記載の「作用」を備えている。
【0013】
【0014】
【0015】
【0016】
【0017】
【0018】
【0019】
【0020】
【発明の実施の形態】
[1]
図1に示すように、前輪1及び後輪2で支持された機体の後部に、リンク機構3が上下に揺動自在に支持され、リンク機構3を上下に昇降駆動する油圧シリンダ4(昇降機構に相当)が備えられており、リンク機構3の後部に苗植付装置5(作業装置に相当)が支持されて、乗用型作業車の一例である乗用型田植機が構成されている。
【0021】
次に、苗植付装置5について説明する。
図1に示すように、苗植付装置5は、伝動ケース6、伝動ケース6の後部に回転駆動自在に支持された植付ケース7、植付ケース7の両端に備えられた一対の植付アーム8、複数の接地フロート9、中央の接地フロート9の前方に配置された整地ローラー10、及び苗のせ台11等を備えて構成されている。リンク機構3の後部下部の前後軸芯回りに苗植付装置5がローリング自在に支持され、機体に対する苗植付装置5の左右方向の姿勢を変更駆動するローリングモータ12(ローリング機構に相当)が、リンク機構3の後部上部に備えられている。これにより、苗のせ台11が左右に往復横送り駆動されるのに伴って、植付ケース7が回転駆動され、苗のせ台11の下部から植付アーム8が交互に苗を取り出して田面(作業地に相当)に植え付ける。
【0022】
図1に示すように、運転座席13の後側に肥料を貯留するホッパー14及び繰り出し部15が備えられ、運転座席13の下側にブロア16が備えられている。接地フロート9に作溝器17が備えられて、繰り出し部15と作溝器17とに亘ってホース18が接続されている。これにより、前述のような苗の植え付けに伴って、ホッパー14から肥料が所定量ずつ繰り出し部15によって繰り出され、ブロア16の送風により肥料がホース18を通って作溝器17に供給されるのであり、作溝器17を介して肥料が田面に供給される。
【0023】
図1及び図2に示すように、先端に自由に回転する回転体を備えた右及び左のマーカー19が、苗植付装置5の右及び左横側部に備えられており、右及び左のマーカー19が田面に接地して次の作業行程の指標を田面に描く作業姿勢、及び作業姿勢から上昇した退避姿勢に作動自在に構成されている。右及び左のマーカー19にワイヤ20が接続されており、苗植付装置5が上昇駆動されると、右及び左のマーカー19が退避姿勢に操作され、右及び左の電磁ソレノイド21によって右及び左のマーカー19が退避姿勢に保持される。苗植付装置5が下降駆動された状態で、右又は左の電磁ソレノイド21による保持を解除すると、バネ24によって右又は左のマーカー19が作業姿勢に操作される。
【0024】
[2]
図2に示すように、油圧シリンダ4に作動油を給排操作する制御弁27、及び制御弁27を操作する制御装置23が備えられている。油圧シリンダ4を収縮作動させると、リンク機構3が上方に揺動駆動されて苗植付装置5が上昇駆動される。油圧シリンダ4を伸長作動させると、リンク機構3が下方に揺動駆動されて苗植付装置5が下降駆動される。
【0025】
図1及び図2に示すように、運転座席13の右横側に昇降レバー26が備えられており、昇降レバー26は自動位置、上昇位置、中立位置、下降位置及び植付位置に操作自在であり、昇降レバー26の操作位置が制御装置23に入力されている。エンジン(図示せず)の動力を苗植付装置5に伝動及び遮断自在な植付クラッチ28、エンジン(図示せず)の動力を繰り出し部15に伝動及び遮断自在な施肥クラッチ29が備えられ、植付及び施肥クラッチ28,29を伝動及び遮断状態に操作する電動モータ30が備えられており、制御装置23により電動モータ30が操作される。
【0026】
図2に示すように、苗植付装置5の横軸芯P1周りに中央の接地フロート9の後部が上下に揺動自在に支持されて、苗植付装置5に対する中央の接地フロート9の高さを検出するポテンショメータ22が備えられており、ポテンショメータ22の検出値が制御装置23に入力されている。機体の進行に伴って中央の接地フロート9が田面に接地追従するのであり、ポテンショメータ22の検出値により苗植付装置5に対する中央の接地フロート9の高さを検出することによって、田面(中央の接地フロート9)から苗植付装置5までの高さを検出することができる。
【0027】
図2に示すように、苗植付装置5に対する中央の接地フロート9の高さ(田面(中央の接地フロート9)から苗植付装置5までの高さ)に基づいて、苗植付装置5が田面から設定高さに維持されるように(ポテンショメータ22の検出値(ポテンショメータ22と中央の接地フロート9との上下間隔)が設定値に維持されるように)、制御装置23により制御弁27が操作され油圧シリンダ4が伸縮作動されて、苗植付装置5が自動的に昇降駆動される自動昇降制御(昇降制御手段に相当)が備えられている。
【0028】
図2に示すように、水平面に対する苗植付装置5の左右方向の傾斜角度を検出する傾斜センサー25が備えられており、傾斜センサー25の検出値が制御装置23に入力されている。これにより、傾斜センサー25の検出値に基づいて、苗植付装置5の左右方向の姿勢が所定姿勢になるように、制御装置23によりローリングモータ12が作動操作されて、苗植付装置5が自動的にローリング駆動される自動ローリング制御(ローリング制御手段)が備えられている。
【0029】
この場合、自動ローリング制御の所定姿勢が水平面(田面)に設定されているので、苗植付装置5の左右方向の姿勢が水平面(田面)(所定姿勢)と平行になるように、苗植付装置5が自動的にローリング駆動される。図2に示すように、前輪1を操向操作する操縦ハンドル33の下方に、表示装置38が備えられており、自動ローリング制御の所定姿勢が水平面(田面)に設定されていることが表示装置38に表示されている。
【0030】
[3]
次に、昇降レバー26による操作について説明する。
前項[2]に記載の構造により、図2に示すように、昇降レバー26を上昇位置に操作すると、自動昇降制御及び自動ローリング制御が停止した状態で、電動モータ30により植付及び施肥クラッチ28,29が遮断状態に操作されて、油圧シリンダ4により苗植付装置5が上昇駆動される。昇降レバー26を下降位置に操作すると、自動昇降制御及び自動ローリング制御が停止した状態で、電動モータ30により植付及び施肥クラッチ28,29が遮断状態に操作されて、油圧シリンダ4により苗植付装置5が下降駆動される。昇降レバー26を中立位置に操作すると、自動昇降制御及び自動ローリング制御が停止した状態で、電動モータ30により植付及び施肥クラッチ28,29が遮断状態に操作されて、油圧シリンダ4が停止する。
【0031】
前述のように、昇降レバー26を上昇位置、下降位置及び中立位置に操作することによって、苗植付装置5を任意の高さに上昇及び下降駆動して停止させることができる。図2に示すように、苗植付装置5が上限位置に達したことを検出する上限センサー31が備えられており、昇降レバー26を上昇位置に操作した場合、苗植付装置5が上限位置に達したことが上限センサー31によって検出されると、油圧シリンダ4が自動的に停止する。このように苗植付装置5が上昇駆動されると、前項[1]に記載のように、右及び左のマーカー19が退避姿勢に操作され、右及び左の電磁ソレノイド21によって右及び左のマーカー19が退避姿勢に保持される。
【0032】
図2に示すように、昇降レバー26を下降位置に操作した場合、中央の接地フロート9が田面に接地すると(苗植付装置5が田面から上昇している状態で中央の接地フロート9は自重で下限まで下がっているが、中央の接地フロート9が田面に接地すると、中央の接地フロート9が下限から持ち上げられるので、この状態をポテンショメータ22によって検出して、中央の接地フロート9が田面に接地したと判断する)、自動昇降制御及び自動ローリング制御が作動して、見掛け上で苗植付装置5が田面で自動的に停止した状態となる。
次に昇降レバー26を植付位置に操作すると、自動昇降制御及び自動ローリング制御が作動した状態で、電動モータ30により植付及び施肥クラッチ28,29が伝動状態に操作される。
【0033】
[4]
次に、操作レバー32(操作具に相当)を上昇位置Uに操作した場合について図3に基づいて説明する。
図1及び図2に示すように、操縦ハンドル33の下側の右横側に操作レバー32が備えられ、操作レバー32が右の横外方に延出されている。操作レバー32は中立位置Nから上方の上昇位置U、下方の下降位置D、後方の右マーカー位置R及び前方の左マーカー位置Lの十字方向に操作自在に構成されて、中立位置Nに付勢されている。操作レバー32が上昇位置U、下降位置D、右及び左マーカー位置R,Lに操作されたことを検出する検出スイッチ34,35,36,37が備えられており、検出スイッチ34〜37の検出信号が制御装置23に入力される。
【0034】
例えば前項[2]に記載の自動昇降制御及び自動ローリング制御が作動した状態において、操作レバー32が上昇位置Uに操作されると(ステップS1)、タイマーがカウントを開始する(ステップS2)。この場合、設定時間(例えば1〜2秒)が経過するまでに操作レバー32が中立位置Nに操作されると(ステップS3,S4)、後述する[6]に記載のように自動ローリング制御の所定姿勢が右傾斜側(左傾斜側)に変更されていれば、自動ローリング制御の所定姿勢が水平面(田面)に設定され(ステップS5)(後述する[6]参照)、自動昇降制御及び自動ローリング制御が停止して(ステップS6)、電動モータ30により植付及び施肥クラッチ28,29が遮断状態に操作され(ステップS7)、制御弁27が上昇位置に操作されて油圧シリンダ4が上昇作動し、苗植付装置5が上昇駆動される(ステップS8)。
【0035】
次に、苗植付装置5が上限位置に達したことが上限センサー31によって検出されると(ステップS9)、制御弁27が中立位置に操作されて油圧シリンダ4が停止し、苗植付装置5が上限位置で自動的に停止する(ステップS10)。このように苗植付装置5が上昇駆動されると、前項[1]に記載のように、右及び左のマーカー19が退避姿勢に操作され、右及び左の電磁ソレノイド21によって右及び左のマーカー19が退避姿勢に保持される(以上、上昇操作手段に相当)。
【0036】
[5]
次に、操作レバー32を下降位置Dに操作した場合について図3及び図4に基づいて説明する。
例えば前項[2]に記載の自動昇降制御及び自動ローリング制御が停止した状態で、前項[4]に記載のように苗植付装置5が上限位置で停止した状態、又は前項[3]に記載のように苗植付装置5が任意の高さで停止した状態において、操作レバー21が下降位置Dに操作されると(ステップS1,S21)、制御弁27が下降位置に操作されて油圧シリンダ4が下降作動し、苗植付装置5が下降駆動される(ステップS22)。この場合に、植付及び施肥クラッチ28,29は遮断状態に保持されているのであり、操作レバー32が下降位置Dに保持されていても、操作レバー32が下降位置Dに操作されてから中立位置Nに操作されても、苗植付装置5の下降駆動は行われる。
【0037】
苗植付装置5の下降駆動により中央の接地フロート9が田面に接地すると(ステップS23)、後述する[6]に記載のように、自動ローリング制御の所定姿勢が右傾斜側(左傾斜側)に変更されていれば、自動ローリング制御の所定姿勢が水平面(田面)に設定されて(ステップS24)(後述する[6]参照)、自動昇降制御及び自動ローリング制御が作動して(ステップS25)、見掛け上で苗植付装置5が田面で自動的に停止した状態となる。
【0038】
次に操作レバー32が再び下降位置Dに操作されると(ステップS1,S21)、電動モータ30により植付及び施肥クラッチ28,29が伝動状態に操作される(ステップS26)。この場合、苗植付装置5の下降駆動により中央の接地フロート9が田面に接地する前に、操作レバー32が再び下降位置Dに操作されても、前述と同様に電動モータ30により植付及び施肥クラッチ28,29が伝動状態に操作される。このように苗植付装置5が下降駆動されても、右及び左の電磁ソレノイド21によって右及び左のマーカー19が退避姿勢に保持されている。
【0039】
[6]
次に、操作レバー32を右及び左マーカー位置R,Lに操作した場合について図3及び図5に基づいて説明する。
例えば前項[5]に記載のように、苗植付装置5が下降駆動された状態において、操作レバー32が右マーカー位置R(左マーカー位置L)に操作されると(ステップS1)、タイマーがカウントを開始する(ステップS31)。この場合に、設定時間(例えば1〜2秒)が経過するまでに操作レバー32が中立位置Nに操作されると(ステップS32,S33)、右の電磁ソレノイド21による保持が解除されて、バネ24により右のマーカー19が作業姿勢に操作される(左の電磁ソレノイド21による保持が解除されて、バネ24により左のマーカー19が作業姿勢に操作される)(ステップS34)(以上、マーカー操作手段に相当)。次に、電動モータ30により植付及び施肥クラッチ28,29が伝動状態に操作される(ステップS35)。
【0040】
例えば前項[2]に記載の自動昇降制御及び自動ローリング制御(自動ローリング制御の所定姿勢は水平面(田面))が作動した状態において、操作レバー32が右マーカー位置R(左マーカー位置L)に操作されると(ステップS1)、タイマーがカウントを開始する(ステップS31)。この場合、設定時間(例えば1〜2秒)が経過しても、操作レバー32が右マーカー位置R(左マーカー位置L)に操作されていると(ステップS32,S33)、ランプ(図示せず)が点灯し、ブザー(図示せず)が作動して(ステップS36)、水平面(田面)に設定されている自動ローリング制御の所定姿勢が右傾斜側(左傾斜側)に少しずつ変更され(ステップS37)、変更された自動ローリング制御の所定姿勢が表示装置38に表示される(ステップS38)。
【0041】
この場合、操作レバー32が右マーカー位置R(左マーカー位置L)に操作されている限り(ステップS39)、ランプ(図示せず)が点灯し、ブザー(図示せず)が作動して(ステップS36)、自動ローリング制御の所定姿勢が右傾斜側(左傾斜側)に少しずつ変更され(ステップS37)、変更された自動ローリング制御の所定姿勢が表示装置38に表示される(ステップS38)。次に操作レバー32が中立位置Nに操作されると(ステップS39)、ランプ(図示せず)が消灯し、ブザー(図示せず)が停止して(ステップS40)、自動ローリング制御の所定姿勢の変更が停止される(ステップS41)。
【0042】
前述のように、操作レバー32が右マーカー位置R(左マーカー位置L)に操作されていることにより、自動ローリング制御の所定姿勢が右傾斜側(左傾斜側)に少しずつ変更されると、自動ローリング制御により傾斜センサー25の検出値に基づいて、苗植付装置5の左右方向の姿勢が自動ローリング制御の所定姿勢とになるように、制御装置23によりローリングモータ12が作動操作される。これにより、操作レバー32が右マーカー位置R(左マーカー位置L)に操作されていることによって、ローリングモータ12が右傾斜作動(左傾斜作動)する状態となり、苗植付装置5の左右方向の姿勢が右傾斜側(左傾斜側)に変更される状態となる(以上、ローリング操作手段に相当)。
【0043】
[7]
前項[6]に記載のように、自動ローリング制御の所定姿勢が右傾斜側(左傾斜側)に変更された場合、図3に示すように、操作レバー32が上昇位置Uに操作され(ステップS1)、タイマーがカウントを開始し(ステップS2)、設定時間(例えば1〜2秒)が経過しても操作レバー32が上昇位置Uに操作されていると(ステップS3,S4)、ランプ(図示せず)が点灯し、ブザー(図示せず)が作動して(ステップS11)、自動ローリング制御の所定姿勢が水平面(田面)に設定される(ステップS12)。
【0044】
これにより、傾斜センサー25の検出値に基づいて、苗植付装置5の左右方向の姿勢が自動ローリング制御の所定姿勢(水平面(田面))とになるように、制御装置23によりローリングモータ12が作動操作されて、苗植付装置5が自動的にローリング駆動される(ステップS13)。
【0045】
水田においては一般に、中央付近では田面は水平面と平行であるのに対して、畦に近い部分では畦に接近するほど高くなるように田面が傾斜していることがある。これにより、水田の中央付近では前項[3][5]に記載のように、自動ローリング制御の所定姿勢を水平面(田面)に設定しておけばよく、水田の畦に近い部分では、前項[6]に記載のように、自動ローリング制御の所定姿勢を右傾斜側(左傾斜側)に変更すればよい。
【0046】
[発明の実施の第1別形態]
前述の[発明の実施の形態]において、図5に示す構成に代えて図6に示すように構成してもよい。
自動昇降制御において、苗植付装置5が田面から設定高さに維持されるように(ポテンショメータ22の検出値(ポテンショメータ22と中央の接地フロート9との上下間隔)が設定値に維持されるように)する場合、前述の設定値を少し小さめに設定すると、中央の接地フロート9の姿勢が少し上向きになり、中央の接地フロート9の田面への接地面積が小さくなって、中央の接地フロート9の接地追従感度が鈍感側に変更される。これにより、自動昇降制御の制御感度が鈍感側に変更される。
【0047】
逆に前述の設定値を少し大きめに設定すると、中央の接地フロート9の姿勢が少し下向きになり、中央の接地フロート9の田面への接地面積が大きくなって、中央の接地フロート9の接地追従感度が敏感側に変更される。これにより、自動昇降制御の制御感度が敏感側に変更される。
前述と同様に、自動昇降制御において、不感帯の幅を大きくすることにより、自動昇降制御の制御感度が鈍感側に変更され、不感帯の幅を小さくすることにより、自動昇降制御の制御感度が敏感側に変更される。
【0048】
これにより、図6に示すように、操作レバー32が右マーカー位置R(左マーカー位置L)に操作され(図3のステップS1)、タイマーがカウントを開始し(ステップS31、設定時間(例えば1〜2秒)が経過しても、操作レバー32が右マーカー位置R(左マーカー位置L)に操作されていると(ステップS32,S33)、ランプ(図示せず)が点灯し、ブザー(図示せず)が作動して(ステップS51)、前述のようにして自動昇降制御の制御感度が敏感側(鈍感側)に少しずつ変更される(ステップS52)。
【0049】
操作レバー32が右マーカー位置R(左マーカー位置L)に操作されている限り(ステップS53)、ランプ(図示せず)が点灯し、ブザー(図示せず)が作動して(ステップS54)、自動昇降制御の制御感度が敏感側(鈍感側)に少しずつ変更されるのであり(ステップS52)、操作レバー32が中立位置Nに操作されると(ステップS53)、ランプ(図示せず)が消灯し、ブザー(図示せず)が停止して(ステップS54)、自動昇降制御の制御感度の変更が停止される(ステップS55)(以上、感度変更手段に相当)。
【0050】
この場合に、前述の[発明の実施の形態]において、図3のステップS11〜S13に代えて、操作レバー32が上昇位置Uに操作され(ステップS1)、タイマーがカウントを開始し(ステップS2)、設定時間(例えば1〜2秒)が経過しても操作レバー32が上昇位置Uに操作されていると(ステップS3,S4)、ランプ(図示せず)が点灯し、ブザー(図示せず)が作動して、自動昇降制御の制御感度が標準値に戻されるように構成してもよい。
【0051】
[発明の実施の第2別形態]
前述の[発明の実施の形態]の図3、[発明の実施の第1別形態]に代えて、図7に示すように構成してもよい。
例えば前項[2]に記載の自動昇降制御及び自動ローリング制御が作動した状態において、操作レバー32が上昇位置Uに操作されると(ステップS61)、自動昇降制御及び自動ローリング制御が停止して(ステップS62)、電動モータ30により植付及び施肥クラッチ28,29が遮断状態に操作され(ステップS63)、苗植付装置5の左右方向の姿勢が機体に対して平行(設定姿勢に相当)となるように、ローリングモータ12が作動操作されて(ステップS64)、制御弁27が上昇位置に操作されて油圧シリンダ4が上昇作動し、苗植付装置5が上昇駆動される(ステップS65)。
【0052】
この場合、操作レバー32が上昇位置Uに保持されていても、操作レバー32が上昇位置Uに操作されてから中立位置Nに操作されても、苗植付装置5の上昇駆動は行われる。前述のステップS64において、苗植付装置5の左右方向の姿勢が機体に対して少し傾斜した姿勢となるように、ローリングモータ12が作動操作されるように構成することも可能である。
【0053】
次に苗植付装置5が上限位置に達したことが上限センサー31によって検出されると(ステップS66)、制御弁27が中立位置に操作されて油圧シリンダ4が停止し、苗植付装置5が上限位置で自動的に停止する(ステップS67)。このように苗植付装置5が上昇駆動されると、前項[1]に記載のように、右及び左のマーカー19が退避姿勢に操作され、右及び左の電磁ソレノイド21によって右及び左のマーカー19が退避姿勢に保持される。
【0054】
操作レバー32が下降位置Dに操作されると、前項[5]の記載及び図4と同様な操作が行われる。
例えば苗植付装置5が下降駆動された状態において、操作レバー32が右マーカー位置R(左マーカー位置L)に操作されると(ステップS61)、右の電磁ソレノイド21による保持が解除されて、バネ24により右のマーカー19が作業姿勢に操作される(左の電磁ソレノイド21による保持が解除されて、バネ24により左のマーカー19が作業姿勢に操作される)(ステップS68)。次に電動モータ30により植付及び施肥クラッチ28,29が伝動状態に操作される(ステップS69)。
この場合、操作レバー32が右マーカー位置R(左マーカー位置L)に保持されていても、操作レバー32が右マーカー位置R(左マーカー位置L)に操作されてから中立位置Nに操作されても、右(左)の電磁ソレノイド21による保持の解除、電動モータ30による植付及び施肥クラッチ28,29の伝動状態への操作が行われる。
【0055】
[発明の実施の第3別形態]
前述の[発明の実施の形態]において、図3のステップS2,S3,S4を廃止し、図5のステップS31,S32,S33を廃止して、図3のステップS5〜S10が行われ且つ図5のステップS34,S35が行われる第1状態、図3のステップS11,S12,S13が行われ且つ図5のステップS36〜S41が行われる第2状態を設定して、人為的に操作される切換スイッチ(図示せず)により第1又は第2状態を選択するように構成してもよい。
【0056】
前述の[発明の実施の第1別形態]において、図6のステップS31,S32,S33を廃止して、図6のステップS34,S35が行われる第1状態、図6のステップS51〜S55が行われる第2状態を設定して、人為的に操作される切換スイッチ(図示せず)により第1又は第2状態を選択するように構成してもよい。
【0057】
[発明の実施の第4別形態]
前述の[発明の実施の形態][発明の実施の第1別形態][発明の実施の第2別形態][発明の実施の第3別形態]の操作が、昇降レバー26によって行われるように構成してもよい。
本発明は乗用型田植機ばかりではなく、直播装置(作業装置に相当)を昇降駆動自在に備えた乗用型直播機や乗用型管理機、ロータリ耕耘装置(作業装置に相当)を昇降駆動自在に備えた農用トラクタにも適用できる。
【0058】
【発明の効果】
【0059】
本発明の第1特徴によると、機体に作業装置を昇降駆動自在に備えた乗用型作業車において、操作具による右又は左の所望のマーカーの作業姿勢への操作、操作具によるローリング機構の右傾斜作動及び左傾斜作動を行うことができるようになり、操作具の多機能化を図ることができて、乗用型作業車の機能性を高めることができた。
【0060】
本発明の第2特徴によると、本発明の第1特徴と同様に前述の本発明の第1特徴の「発明の効果」を備えている。
【0061】
【0062】
【0063】
【図面の簡単な説明】
【図1】 乗用型田植機の全体側面図
【図2】 操作レバー、油圧シリンダ、電動モータ、ローリングモータ、右及び左のマーカー等の連係状態を示す図
【図3】 操作レバーを上昇位置に操作した場合の制御の流れを示す図
【図4】 操作レバーを下降位置に操作した場合の制御の流れを示す図
【図5】 操作レバーを右マーカー位置(左マーカー位置)に操作した場合の制御の流れを示す図
【図6】 発明の実施の第1別形態において、操作レバーを右マーカー位置(左マーカー位置)に操作した場合の制御の流れを示す図
【図7】 発明の実施の第2別形態において、操作レバーを上昇位置及び右マーカー位置(左マーカー位置)に操作した場合の制御の流れを示す図
【符号の説明】
4 昇降機構
5 作業装置
12 ローリング機構
19 マーカー
32 操作具
Claims (2)
- 機体に備えられた作業装置を昇降駆動する昇降機構と、機体に対する前記作業装置の左右方向の姿勢を変更駆動するローリング機構と、次の作業行程の指標を作業地に描く作業姿勢及び作業姿勢から上昇した退避姿勢に作動自在な右及び左のマーカーと、人為的に操作される操作具とを備えると共に、
前記操作具に右マーカー位置及び左マーカー位置を備え、
前記操作具の右マーカー位置への操作により前記右のマーカーを作業姿勢に作動させ、前記操作具の左マーカー位置への操作により前記左のマーカーを作業姿勢に作動させるマーカー操作手段と、
前記操作具の右マーカー位置への操作により前記ローリング機構を右傾斜作動させ、前記操作具の左マーカー位置への操作により前記ローリング機構を左傾斜作動させるローリング操作手段とを備えて、
前記マーカー操作手段を作動させる状態と、前記ローリング操作手段を作動させる状態とを、前記操作具の右マーカー位置又は左マーカー位置への操作態様の変更により切換自在に構成してある乗用型作業車。 - 前記操作具に上昇位置を備えると共に、
前記昇降機構を上昇作動させる上昇操作手段と、
前記作業装置の左右方向の姿勢が作業地に対して所定姿勢に維持されるように前記ローリング機構を作動させるローリング制御手段とを備え、
前記ローリング制御手段を停止して前記上昇操作手段を作動させる状態と、前記ローリング制御手段を作動させる状態とを、前記操作具の上昇位置への操作態様の変更により切換自在に構成してある請求項1に記載の乗用型作業車。
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