JP3570948B2 - 乗用型田植機 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は乗用型田植機において、田面を整地する構成に関する。
【0002】
【従来の技術】
乗用型田植機では苗植付装置を昇降自在に機体に支持して、苗植付装置を昇降駆動する油圧シリンダ、及び油圧シリンダに作動油を給排操作する制御弁を機体に備え、田面に接地追従して田面から苗植付装置までの高さを検出する接地フロートとしてのセンサフロートを、苗植付装置に上下動自在に備えたものがある。これによって、センサフロートによる田面から苗植付装置までの高さの検出に基づいて制御弁が操作され、苗植付装置が田面から設定高さに維持されるように油圧シリンダが伸縮駆動されて、苗植付装置が自動的に昇降駆動されるのであり、苗植付装置による苗の植付深さが設定値に維持される。
【0003】
この場合、田面に接地するレーキ部材をセンサフロートの前方に配置し、機体の進行に伴ってレーキ部材が田面の凹凸を均していくようにして、センサフロートが田面に安定して接地追従し、センサフロートによる田面から苗植付装置までの高さの検出が安定して行われるように構成したものがある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
田面には多数のワラ屑や泥の塊が散在しているので、レーキ部材が田面に接地した状態で機体が進行していくと、ワラ屑や泥の塊がレーキ部材に付着することがある。このようにレーキ部材にワラ屑や泥の塊が付着した状態で機体が進行していくと、レーキ部材に付着したワラ屑や泥の塊が次第に大きくなり、最後にワラ屑の大きな塊や泥の大きな塊が、レーキ部材から離れて接地フロートに達することがある。
【0005】
前述のように、ワラ屑の大きな塊や泥の大きな塊が、レーキ部材から離れてセンサフロートに達しセンサフロートに踏まれてしまうと、ワラ屑の大きな塊や泥の大きな塊によってセンサフロートが大きく上下動してしまい、センサフロートによる田面から苗植付装置までの高さの検出が、安定して行われない状態になることがある。
本発明は乗用型田植機において、田面に接地追従して田面から苗植付装置までの高さを検出するセンサフロートを、苗植付装置に上下動自在に備えた場合、センサフロートによる田面から苗植付装置までの高さの検出が、安定して行われるように構成することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
[I]
請求項1にかかる発明の特徴構成は、田面に接地追従して田面から苗植付装置までの高さを検出するセンサフロートを、前記苗植付装置に上下動自在に備えると共に、進行に伴って回転しながら田面を整地する整地ローラーを、前記センサフロートの前方で走行後輪の後端よりも前方でかつその左右走行後輪の間に配置し、前記整地ローラーの横幅と前記センサフロートの横幅とを略同じに設定し、前記センサフロートの左右両側方にサイドフロートを配置し、前記センサフロートと左右のサイドフロートとの間に形成された泥流れ通路の前方位置で前記整地ローラーの右横側部の後方の位置及び前記整地ローラーの左横側部の後方の位置に、レーキ状の整地部材を配置してある点にあり、その作用は次の通りである。
〔作用〕
請求項1の特徴によると、田面に接地追従して田面から苗植付装置までの高さを検出するセンサフロートを、苗植付装置に上下動自在に備えた場合、進行に伴って回転しながら田面を整地する整地ローラーを、センサフロートの前方に配置している。
【0007】
請求項1の特徴において、整地ローラーは進行に伴って田面を整地しながら田面に対して、ワラ屑や泥の塊を田面内に押し込むように回転するので、ワラ屑や泥の塊が整地ローラーに付着しかけても、ワラ屑や泥の塊が田面内に押し込まれて整地ローラーから離れる。これにより、ワラ屑や泥の塊が大きな塊になる前に田面内に押し込まれた状態で、センサフロートに達することになるので、センサフロートが大きく上下動することなく田面に安定して接地追従し、センサフロートによる田面から苗植付装置までの高さの検出が、安定して行われるようになる。
【0008】
[II]
整地ローラーが田面を整地しながら進行すると、整地ローラーの右及び左横端部から斜め後方に、波のような泥の流れが生じるので、既に田面に植え付けられている苗に沿って機体を進行させて植付作業を行う場合、前述の整地ローラーからの泥の流れが、既に田面に植え付けられている苗に達すると、この苗が傾くおそれがある。
【0009】
請求項1の特徴によると、整地ローラーの横幅とセンサフロートの横幅とが略同じに設定されているので、センサフロートが通過する田面を整地すると言う機能を確保しながら、整地ローラーの横幅を小さいものに設定している。
これにより、既に田面に植え付けられている苗に沿って機体を進行させて植付作業を行う場合、整地ローラーの右及び左横端部と既に田面に植え付けられている苗との距離を、長いものに設定することが可能になるので、整地ローラーが田面を整地しながら進行した際、整地ローラーの右及び左横端部から斜め後方に泥の流れが生じても、既に田面に植え付けられている苗に達する前に、前述の泥の流れが消えたり勢いが弱くなったりするようになる。
【0010】
[III]
請求項 1の特徴によると、整地ローラーの右横側部の後方の位置及び整地ローラーの左横側部の後方の位置に、整地部材が配置されている。
これにより、前項[II]に記載のように、整地ローラーが田面を整地しながら進行した際、整地ローラーの右及び左横端部から斜め後方に泥の流れが生じても、前述の泥の流れが整地部材に当たるようにすることができるので、前述の泥の流れを、整地部材によって消したり勢いを弱めたりすることができる。
【0011】
センサフロートが田面に接地追従していくと、センサフロートの右及び左横側部の田面(泥)が少し盛り上がる状態になることがある。
請求項 1の特徴のように、整地ローラーの右横側部の後方の位置及整地ローラーの左横側部の後方の位置に、整地部材を配置すれば、センサフロートの右及び左横側部に整地部材が位置する状態となるので(前項[I]に記載のように、整地ローラーの横幅と接地フロートの横幅とが略等しい点による)、センサフロートの右及び左横側部の田面が、整地部材によって整地されることになる。これによって、センサフロートの右及び左横側部の田面(泥)が少し盛り上がる状態を、抑えることができる。
【0012】
[IV]
請求項2の特徴によると、請求項 1の場合と同様に、前項[I]〜[III]に記載の「作用」を備えており、これに加えて以下のような「作用」を備えている。
請求項2の特徴によると、整地部材の位置が上下に変更自在に構成されているので、整地部材の田面への突入深さを変更することができる。これにより、前項[III]に記載のように、整地ローラーの右及び左横端部から斜め後方に生じる泥の流れを消したり勢いを弱めたりすることや、センサフロートの右及び左横側部の田面(泥)が少し盛り上がる状態を抑えることを、田面等の状態に応じて適切に設定することができる。
【0013】
[V]
請求項3の特徴によると、請求項1又は2の場合と同様に前項[I]〜[IV]に記載の「作用」を備えており、これに加えて以下のような「作用」を備えている。
請求項3の特徴によると、整地ローラーの左右中央部に環状の溝部が形成されており、整地ローラーの左右中央部の溝部から、泥が抜けて後方に流れていくようになっている。このように整地ローラーの左右中央部の溝部から泥が抜けるように構成すれば、前項[II]に記載のように、整地ローラーの右及び左横端部から斜め後方に生じる泥の流れを、抑えることができる。
【0014】
[VI]
請求項4の特徴によると、請求項1〜のうちのいずれか一つの場合と同様に前項[I]〜[V]に記載の「作用」を備えており、これに加えて以下のような「作用」を備えている。
請求項の特徴によると、整地ローラーが上下動自在に構成され、且つ下方側に付勢されている。これにより、整地ローラーが田面に馴染むように上下動しながら、ワラ屑や泥の塊を安定して田面内に押し込んでいくようになる。
【0015】
[VII]
請求項5の特徴によると、請求項1〜のうちのいずれか一つの場合と同様に前項[I]〜[VI]に記載の「作用」を備えており、これに加えて以下のような「作用」を備えている。
乗用型田植機において、田面に接地追従して田面から苗植付装置までの高さを検出するセンサフロートを、苗植付装置に上下動自在に備えた場合、「従来の技術」に記載のように、苗植付装置を昇降自在に機体に支持して、苗植付装置を昇降駆動する油圧シリンダ、及び油圧シリンダに作動油を給排操作する制御弁を機体に備え、センサフロートによる田面から苗植付装置までの高さの検出に基づいて制御弁が操作され、苗植付装置が田面から設定高さに維持されるように油圧シリンダが伸縮駆動されて、苗植付装置が自動的に昇降駆動されるように構成されていることが多い。
【0016】
請求項5の特徴によると、整地ローラー及び整地部材が苗植付装置に支持されているので、前述のように苗植付装置が自動的に昇降駆動されると、整地ローラー及び整地部材も苗植付装置と一緒に自動的に昇降駆動される。これにより、整地ローラー及び整地部材も田面から設定高さに維持される(整地ローラー及び整地部材の田面への突入深さが設定深さに維持される)。
【0017】
【発明の実施の形態】
[1]
図1に示すように、右及び左に操向操作自在な前輪1及び後輪2で支持された機体に、エンジン3及び運転部4が備えられて、機体の後部に4連式のリンク機構5を介して苗植付装置6が昇降自在に連結され、リンク機構5を昇降駆動する油圧シリンダ7が備えられて、6条植型式の乗用型田植機が構成されている。
【0018】
次に、苗植付装置6の全体の構成について説明する。
図1,2,3に示すように、角パイプ状の横フレーム22の左右中央に、1個のフィードケース20が連結され、3個の植付伝動ケース9が横フレーム22に後向きに連結されており、横フレーム22の後側においてフィードケース20及び植付伝動ケース9に亘って伝動軸18が架設されている。植付伝動ケース9の後部で回転駆動される回転ケース10、及び回転ケース10に支持された一対の植付爪11が備えられ、所定のストロークで往復横送り駆動される苗のせ台8が備えられており、苗植付装置6の左右中央下部の1個のセンターフロート12、苗植付装置6の右側及び左側下部の2個のサイドフロート27が備えられて、苗植付装置6が構成されている。
【0019】
以上のようにして構成された苗植付装置6において、図2に示すようにリンク機構5の後端下部の前後軸芯P1周りに、フィードケース20を介して苗植付装置6が左右にローリング自在に支持されている。図1,2,3に示すように、機体に備えられた植付クラッチ16(図9参照)からの動力が、PTO軸23を介してフィードケース20に伝達されるように構成され、フィードケース20から苗のせ台8を往復横送り駆動する横送り軸(図示せず)、及び伝動軸18を介して植付伝動ケース9に伝達されるように構成されており、苗のせ台8が往復横送り駆動されながら、回転ケース10の回転によって、植付爪11が苗のせ台8の下部から交互に苗を取り出して田面Gに植え付けるように構成されている。
【0020】
[2]
次に、田面に接地追従して田面から苗植付装置までの高さを検出するセンサフロートとしてのセンターフロート12及びサイドフロート27の支持構造について説明する。
図2,3,4に示すように、横フレーム22の左右両端の支持板25及び植付伝動ケース9の下部に亘り横フレーム22と平行に、一本の支持軸30が回転自在に支持され、支持軸30における植付伝動ケース9の付近の部分から2本ずつ3組の支持アーム31が延出されており、支持アーム31の横軸芯P2周りに、センターフロート12及びサイドフロート27の後部が上下揺動自在に支持されている。
【0021】
図2,4,5に示すように、センターフロート12及びサイドフロート27の前部の左右中央部に、平面視コ字状のリンク部材35が上下揺動自在に支持されて、横フレーム22の前面に平面視コ字状のリンク部材37が上下揺動自在に支持されており、リンク部材35,37の先端が揺動自在に連結されている。これにより、リンク部材35,37によってセンターフロート12及びサイドフロート27の前部が左右に振れないように案内されながら、センターフロート12及びサイドフロート27が横軸芯P2周りに上下揺動自在に支持される。
【0022】
図2,4,5に示すように、支持軸30に植付深さレバー32が連結されており、植付深さレバー32により支持軸30及び支持アーム31の角度を変更し、後述するように横軸芯P2の位置を上下に変更して、苗の植付深さを変更するのであり、横フレーム22に連結されたレバーガイド33に植付深さレバー32を係合させて固定することによって、苗の植付深さを設定する。横フレーム22に固定されたブラケット41の横軸芯P3周りに、平面視コ字状のフレーム43が上下揺動自在に支持され、植付深さレバー32とフレーム43とに亘って連係ロッド26が接続されており、植付深さレバー32によってフレーム43の姿勢が決まるように構成されている。
【0023】
図2,4,5に示すように、センターフロート12の前部の横軸芯P4周りに正面視コ字状のフレーム40が前後揺動自在に支持され、フレーム43に固定されたピン44がフレーム40の長孔40aに挿入されて、フレーム40の上部とピン44とに亘ってバネ45が架設されており、バネ45によってセンターフロート12が下方側に付勢されている。図2及び図4に示すように、ワイヤ21のインナー21aがピン44に接続され、ワイヤ21のアウター21bがフレーム40に接続されており、図9に示すようにワイヤ21のインナー21aの他端が機体に備えられたポテンショメータ14に接続されている。
【0024】
これにより、田面Gに接地追従するセンターフロート12に対して、機体の上下動等により苗植付装置6が上下動すると、苗植付装置6に対してセンターフロート12が横軸芯P2周りに上下揺動する状態となって、ワイヤ21のインナー21a(ピン44に接続されている)に対して、ワイヤ21のアウター21bが上下方向に移動操作される状態となる。従って、ポテンショメータ14においては、ワイヤ21のインナー21aの他端が移動操作される状態となって、田面Gから苗植付装置6までの高さがポテンショメータ14によって検出され、ポテンショメータ14の検出値が機体に備えられた制御装置15に入力される。
【0025】
[3]
次に、昇降レバー29による操作及び苗植付装置6の自動昇降制御について説明する。
図1及び図9に示すように、運転部4において運転席19の右横側に昇降レバー29が配置され、上昇位置、中立位置、下降位置及び植付位置に操作自在に昇降レバー29が構成されており、昇降レバー29の操作位置が制御装置15に入力されている。油圧シリンダ7に作動油を給排操作して上昇側及び下降側に作動させる電磁操作式の制御弁13が備えられており、制御装置15によって制御弁13が操作されるように構成されている。エンジン3の動力を苗植付装置6に伝動及び伝動遮断自在な植付クラッチ16が備えられ、植付クラッチ16を伝動側及び伝動遮断側に操作するモータ17が備えられており、制御装置15によってモータ17が操作されるように構成されている。リンク機構5が機械的な上限位置に達したことを検出する上限センサー24が備えられており、上限センサー24の信号が制御装置15に入力されるように構成されている。
【0026】
昇降レバー29を植付位置に操作すると、モータ17により植付クラッチ16が伝動側に操作されて、後述するような自動昇降制御が行われ、苗植付装置6が田面Gから設定高さに維持された状態(植付爪11による苗の植付深さが設定値に維持された状態)で、植付爪11による苗の植え付けが行われる。
前項[2]に記載のように、田面Gから苗植付装置6までの高さがセンターフロート12及びポテンショメータ14によって検出され、ポテンショメータ14の検出値が制御装置15に入力されており、ポテンショメータ14の検出値に基づいて、制御装置15により制御弁13が操作され油圧シリンダ7が伸縮作動して、ポテンショメータ14の検出値が設定値に維持されるように、苗植付装置6が自動的に昇降駆動される(自動昇降制御)。これにより、苗植付装置6が田面Gから設定高さに維持されて、苗の植付深さが設定値に維持される。
【0027】
苗の植付深さを変更する場合には前項[2]に記載のように、植付深さレバー32により支持軸30及び支持アーム31の角度を変更して横軸芯P2の位置を上下に変更するのであり、植付深さレバー32により連係ロッド26を介して、フレーム43のピン44側が横軸芯P2と同じ方向に上下揺動されて、フレーム40及びワイヤ21の位置も横軸芯P2と同じ方向に上下に変更される。このように、植付深さレバー32によってセンターフロート12及びサイドフロート27の前部及び後部の位置を、苗植付装置6に対して略平行に上下に変更することにより、苗植付装置6が維持される田面Gからの設定高さ(苗の植付深さ)を変更する。
【0028】
昇降レバー29を上昇位置に操作すると、モータ17により植付クラッチ16が伝動遮断側に操作され、制御弁13が上昇側に操作され油圧シリンダ7が上昇側に作動して、苗植付装置6が上昇駆動されるのであり、昇降レバー29を上昇位置から中立位置に操作すると、モータ17により植付クラッチ16が伝動遮断側に操作された状態で、制御弁13が中立位置に操作され油圧シリンダ7が停止し、その位置で苗植付装置6が停止する。昇降レバー29を上昇位置に操作した状態で、リンク機構5が上限位置に達し、これが上限センサー24によって検出されると、制御弁13が中立位置に操作され油圧シリンダ7が停止し、苗植付装置6が上限位置で自動的に停止する。
【0029】
昇降レバー29を下降位置に操作すると、モータ17により植付クラッチ16が伝動遮断側に操作され、制御弁13が下降側に操作され油圧シリンダ7が下降側に作動して、苗植付装置6が下降駆動されるのであり、昇降レバー29を下降位置から中立位置に操作すると、モータ17により植付クラッチ16が伝動遮断側に操作された状態で、制御弁13が中立位置に操作され油圧シリンダ7が停止し、その位置で苗植付装置6が停止する。
【0030】
この場合に、苗植付装置6が田面Gから上昇している状態で、センターフロート12は自重で下限まで下がっているので、昇降レバー29を下降位置に操作した状態で、苗植付装置6の下降によりセンターフロート12が田面Gに接地すると、センターフロート12が持ち上げられてポテンショメータ14の検出値が変化し、これによってセンターフロート12が田面Gに接地したと判断される。センターフロート12が田面Gに接地したと判断されると、前述の自動昇降制御が開始されて、ポテンショメータ14の検出値に基づいて、制御弁13が操作され油圧シリンダ7が伸縮作動して、ポテンショメータ14の検出値が設定値に維持されるように、苗植付装置6が自動的に昇降駆動されるのであり、下降駆動された苗植付装置6が田面Gで自動的に停止する状態となる。
【0031】
[4]
次に、センターフロート12の前方に配置される整地ローラー28について説明する。
図2及び図3に示すように、横フレーム22に固定された左右一対の支持フレーム34が前向きに延出されており、右側及び左側の支持フレーム34と横フレーム22とに亘って、補強部材36が連結されている。右及び左の支持フレーム34の先端の横軸芯P5周りに、左右一対の支持アーム38が上下揺動自在に斜め後方下方に向けて支持され、右側及び左側の支持アーム38を下方側に付勢するバネ42が、右側及び左側の支持アーム38と補強部材36とに亘って接続されており、右側及び左側の支持アーム38の先端に亘って支持軸39が連結されている。
【0032】
図2及び図3に示すように、樹脂製で中空円筒状の整地ローラー28が、支持軸39に自由回転自在に支持されており、整地ローラー28の左右中央部に環状の溝部28aが形成されている。図2及び図6(イ)に示すように、右側の支持フレーム34において横軸芯P6周りに、側面視J字状の切換レバー46が揺動自在に支持されており、図2及び図6(ロ)に示すように左側の支持フレーム34にノブ付きボルト49が取り付けられて、回り止めとしてのバネ50がノブ付きボルト49に取り付けられている。
【0033】
図3に示すように、整地ローラー28の横幅とセンターフロート12の横幅とが略同じになるように構成されて、整地ローラー28の右端部とセンターフロート12の右端部とが正面視で略一致し、整地ローラー28の左端部とセンターフロート12の左端部とが正面視で略一致するように、整地ローラー28が配置されており、整地ローラー28の溝部28aが、センターフロート12の左右中央に正面視で略一致している。
【0034】
図2及び図3に示すように、板材をレーキ状に形成して構成された整地部材47が、ノブ付きボルト48によって補強部材36に取り付けられている。平面視において(図3参照)、整地ローラー28の右横側部及び左横側部の後方で、センターフロート12と右のサイドフロート27との間、センターフロート12と左のサイドフロート27との間に、整地部材47が位置しており、側面視(図2参照)において、センターフロート12の先端と略同じ位置に、整地部材47が位置している。
【0035】
図7及び図8に示すように、ノブ付きボルト48が整地部材47の長孔47aを通して補強部材36に取り付けられており、整地部材47に形成された縦長の一対の凸部47bの間に補強部材36が嵌まり込んでいる。これにより、ノブ付きボルト48及び整地部材47の長孔47aにより、補強部材36に対する整地部材47の取付位置を上下に変更することができるのであり、整地部材47の一対の凸部47bの間に補強部材36が嵌まり込むことによって、ノブ付きボルト48周りの整地部材47の回り止めが行われる。
【0036】
これにより、図2及び図6(イ)の実線に示すように切換レバー46を接地位置に操作した状態で、前項[3]に記載のように昇降レバー29を下降又は植付位置に操作して、センターフロート12及びサイドフロート27を田面Gに接地させると、右及び左の支持アーム38がバネ42により下方側に付勢された状態で、整地ローラー28が田面Gに接地し、整地部材47も田面Gに接地するのであり、図6(ロ)に示すように左側の支持アーム38の上端がノブ付きボルト49に接当することで、整地ローラー28の下限位置が決められる。
【0037】
図2及び図3に示す状態で、整地ローラー28が右及び左の後輪2の間で、右及び左の後輪2の田面Gの部分よりも少し前方に位置し、整地部材47が右及び左の後輪2の田面Gの部分における整地ローラー28側の横側に位置しており、右及び左の後輪2の後方に右及び左のサイドフロート27が位置している。ノブ付きボルト49を操作し、ノブ付きボルト49の先端の位置を変更することによって、整地ローラー28の下限位置(田面Gへの突入深さ)を上下に変更するのであり、ノブ付きボルト48によって、補強部材36に対する整地部材47の取付位置(田面Gへの突入深さ)を上下に変更する。
【0038】
図2及び図3に示す状態で切換レバー46を図6(イ)の二点鎖線に示すように、上昇位置に操作すると、切換レバー46によって右側の支持アーム38の上端が押され、右及び左の支持アーム38が上方側に操作されて、整地ローラー28が田面Gから持ち上げられた位置で保持される。この場合、整地部材47は田面Gに接地した状態で残される。
図6(イ)の二点鎖線に示すように、切換レバー46を上昇位置に操作した状態で、昇降レバー29を上昇位置に操作して、苗植付装置6を上限位置で停止させた場合、整地ローラー28の溝部28aがPTO軸23に対向する位置に達する(PTO軸23が整地ローラー28の溝部28aに入り込む)。
【0039】
[発明の実施の別形態]
図1,2,3に示す構造では整地ローラー28が円筒状に構成されているが、整地ローラー28の外面に多数の小さな凹凸や浅い横長の溝部を形成したり、整地ローラー28の断面を6角又は8角の多角形状に構成したりしてもよい。整地ローラー28を一体の筒状ではなく、ソロバン玉状の幅狭の回転体を多数並べて一つの整地ローラー28を構成するようにしてもよい。
【0040】
【発明の効果】
請求項1の特徴によると、乗用型田植機において、田面に接地追従して田面から苗植付装置までの高さを検出するセンサフロートを、苗植付装置に上下動自在に備えた場合、進行に伴って回転しながら田面を整地する整地ローラーを、センサフロートの前方に配置することにより、センサフロートが通過する田面を整地しながらワラ屑や泥の塊を田面内に押し込んで、ワラ屑の大きな塊や泥の大きな塊にセンサフロートが乗り上がると言うような状態を防ぐことができた。これにより、センサフロートが大きく上下動することなく田面に安定して接地追従し、センサフロートによる田面から苗植付装置までの高さの検出が安定して行われるようになり、苗植付装置の自動的な昇降駆動が安定して行われるようになった。
【0041】
請求項1の特徴によると、整地ローラーの横幅とセンサフロートの横幅とを略同じに設定することにより、整地ローラーの右及び左横端部から斜め後方に泥の流れが生じても、既に田面に植え付けられている苗に達する前に、前述の泥の流れが消えたり勢いが弱くなったりするようにできて、既に田面に植え付けられている苗が前述の泥の流れによって傾くと言う状態を防ぐことができた。
【0042】
請求項1の特徴によると、整地ローラーの右及び左横端部から斜め後方に泥の流れが生じた際、前述の泥の流れを整地部材によって消したり勢いを弱めたりすることができるようになり、既に田面に植え付けられている苗が前述の泥の流れによって傾くと言う状態を防ぐことができた。
【0043】
請求項1の特徴によると、センサフロートの右及び左横側部に整地部材を配置して、センサフロートの右及び左横側部の田面が整地部材によって整地されるように構成することにより、センサフロートの右及び左横側部の田面(泥)が少し盛り上がる状態を抑えることができるようになって、植付作業後の田面の仕上がりを良いものにすることができた。
【0044】
請求項2の特徴によると、請求項1の場合と同様に前述の請求項1の「発明の効果」を備えており、この「発明の効果」に加えて以下のような「発明の効果」を備えている。
請求項2の特徴によると、整地部材の位置が上下に変更自在に構成されて、整地部材の田面への突入深さを変更することができるので、整地ローラーの右及び左横端部から斜め後方に生じる泥の流れを消したり勢いを弱めたりすることや、センサフロートの右及び左横側部の田面(泥)が少し盛り上がる状態を抑えることを、田面等の状態に応じて適切に設定することができるようになって、既に田面に植え付けられている苗が前述の泥の流れによって傾くと言う状態を防ぐことができ、植付作業後の田面の仕上がりを良いものにすることができた。
【0045】
請求項3の特徴によると、請求項1又は2の場合と同様に請求項1又は2の「発明の効果」を備えており、この「発明の効果」に加えて以下のような「発明の効果」を備えている。
請求項3の特徴によると、整地ローラーの左右中央部に環状の溝部を形成し、整地ローラーの左右中央部の溝部から泥が抜けるように構成することにより、整地ローラーの右及び左横端部から斜め後方に生じる泥の流れを、抑えることができるようになって、既に田面に植え付けられている苗が前述の泥の流れによって傾くと言う状態を防ぐことができた。
【0046】
請求項4の特徴によると、請求項1〜のうちのいずれか一つの場合と同様に請求項1〜の「発明の効果」を備えており、この「発明の効果」に加えて以下のような「発明の効果」を備えている。
請求項4の特徴によると、整地ローラーが田面に馴染むように上下動しながらワラ屑や泥の塊を安定して田面内に押し込んでいくようになるので、センサフロートによる田面から苗植付装置までの高さの検出が安定して行われるようになり、苗植付装置の自動的な昇降駆動が安定して行われるようになった。
【0047】
請求項5の特徴によると、請求項1〜のうちのいずれか一つの場合と同様に請求項1〜の「発明の効果」を備えており、この「発明の効果」に加えて以下のような「発明の効果」を備えている。
請求項5の特徴によると、乗用型田植機においてセンサフロートによる田面から苗植付装置までの高さの検出に基づいて、苗植付装置が田面から設定高さに維持されるように自動的に昇降駆動されるように構成されている場合、整地ローラー及び整地部材も苗植付装置と一緒に自動的に昇降駆動され、整地ローラー及び整地部材も田面から設定高さに維持されるようになって(整地ローラー及び整地部材の田面への突入深さが設定深さに維持されるようになって)、整地ローラー及び整地部材の性能を安定して発揮させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】乗用型田植機の全体側面図
【図2】苗植付装置の全体側面図
【図3】苗植付装置の全体平面図
【図4】センターフロート付近の縦断側面図
【図5】センターフロート付近の正面図
【図6】整地ローラー及び整地部材の側面図
【図7】整地部材の平面図
【図8】整地部材の分解斜視図
【図9】昇降レバー及びセンターフロート等の制御系統図
【符号の説明】
後輪
6 苗植付装置
12 センサフロート
27 サイドフロート
28 整地ローラー
28a 溝部
47 整地部材
G 田面

Claims (5)

  1. 田面に接地追従して田面から苗植付装置までの高さを検出するセンサフロートを、前記苗植付装置に上下動自在に備えると共に、
    進行に伴って回転しながら田面を整地する整地ローラーを、前記センサフロートの前方で走行用の後輪の後端よりも前方でかつその左右走行用の後輪の間に配置し、前記整地ローラーの横幅と前記センサフロートの横幅とを略同じに設定し、前記センサフロートの左右両側方にサイドフロートを配置し、前記センサフロートと左右のサイドフロートとの間に形成された泥流れ通路の前方位置で前記整地ローラーの右横側部の後方の位置及び前記整地ローラーの左横側部の後方の位置に、レーキ状の整地部材を配置してある乗用型田植機。
  2. 前記整地部材の位置を上下に変更自在に構成してある請求項に記載の乗用型田植機。
  3. 前記整地ローラーの左右中央部に、環状の溝部を形成してある請求項1又は2のうちのいずれか一つに記載の乗用型田植機。
  4. 前記整地ローラーを上下動自在に構成し、且つ下方側に付勢してある請求項1〜のうちのいずれか一つに記載の乗用型田植機。
  5. 前記整地ローラー及び前記整地部材を、前記苗植付装置に支持させてある請求項1〜うちのいずれか一つに記載の乗用型田植機。
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