JP4143988B2 - 糊容器のスライダー - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、糊容器を構成する尾栓の回動によって、この糊容器を構成する筒体内に収容された固形の糊を出没自在とする糊容器に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、糊容器を構成する尾栓の回動によって、この糊容器を構成する筒体内に収容された固形の糊を出没自在とする糊容器は、尾栓と一体に成形されるネジ杆を、固形の糊を嵌合・固持したスライダーに貫通・螺合させ、尾栓の回動によりネジ杆を回転させることによって、このネジ杆に貫通・螺合するスライダーを、尾栓と一体となる筒体内壁に配設したスリーブに沿って摺動させ、スライダーと一体となった固形の糊を筒体より出没自在としてなるものが一般的である。
【0003】
そしてその際、スライダーはプラスチックあるいは樹脂製で、中心にネジ杆の貫通する貫通孔を有する有底無蓋の略円筒形に形成されており、その内壁面の両側には、ガイド溝の成形とともに内方に突出するリブが上下軸方向に設けられて、糊がスライダー内より脱落するのを防止するとともに、その背面すなわち外壁面には、筒体内壁に設けられたスリーブと係合するガイド溝が上下方向に設けられていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の糊容器を構成するスライダーにおいては、糊容器使用中にスライダーに嵌合された固形糊がスライダーから脱落しないように保持するリブが、その横断面が略長方形となるように形成されているため、その内側への突出長の増大は、糊抜け防止の効果を増大するものの、スライダーの成形時において、成形金型からの離脱が困難となって、製造コストの増大をもたらすという問題点があった。更には、糊のスライダーからの脱落を防止するため、別途対向して固定突起を設けるものもあるが、その形状に糊を固定するに充分なものが得られなかった。
【0005】
そこで、この発明は、上記従来のものの有する問題点を改善するものであり、簡単な構造により、スライダー内壁面に設けられるリブの突出長を増大させて、固形の糊のスライダーからの離脱を防止するとともに、スライダー成形時の、金型からのスライダーの離脱を容易にし、その上、スライダーと固形糊の固定を充分なものとするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
そのために、スライダーの壁面に、横断面が内側へV字形に突出するリブを上下軸方向に設けてなるものであり、更には、スライダーの壁面に設けられた、横断面が内側へV字形に突出するリブの背面に、筒体内壁に設けられたスリーブと係合するガイド溝を設けてなるものであり、その上、そのガイド溝を内側へV字形に突出する形状とするとともに、このV字形部分を薄肉とし、また、スライダーの貫通孔の両側に上方に向い拡開する固定突起を設け、この固定突起のスライダー底辺との角度を70°〜80°,その水平方向の幅をスライダー内径の0.2〜0.3(即ち20%〜30%)とし、固定突起の高さをスライダーの深さの0.5〜0.8(即ち50%〜80%)としてなるものである。
【0007】
【発明の実施の形態】
上記構成を具えるので、リブがV字形状に形成されて、その内側への突出長を増大させて、固形糊のスライダーへの嵌合固定を確実にすることができると同時に、このスライダーの成形時において、そのスライダーのリブ部分がV字形となることで金型との接触面を縮小するとともに、このリブとスライダーの内壁面によって形成される角部が略鈍角となって、スライダーの金型からの離脱を容易にすることができる。そして、このリブ部分の背面にガイド溝を設ければ、合わせる金型の位置決めが容易になる上、そのガイド溝をもV字形にするとともに、薄肉状にすると、成形時にはそのV字形部分の有する弾性を利用して、より容易にスライダーを金型から離脱させることができる。また、スライダーに上方に向って拡開する固定突起を設ける場合、その形状を各部特にスライダーの深さ内径に比例して、一定限度内とし、その拡開角度をも一定限定内とすることにより成形が容易でスライダーよりの糊の離脱防止を良好にすることができる。
【0008】
【実施例】
この発明を図に示す実施例により更に説明する。(1)はこの発明の実施例である糊容器であり、この糊容器(1)は先端に脱着自在となるキャップ(2)を装着した筒体(3)と、この筒体(3)に対して回動自在に係合する尾栓(4)と、この尾栓(4)と一体に成形されたネジ杆(5)に螺合するスライダー(6)と、スライダー(6)に嵌合して固持される固形糊(7)とからなる。そして、ネジ杆(5)と螺合するスライダー(6)は有底無蓋の略円筒形状であって、その中心にネジ杆(5)の貫通する貫通孔(8)を有し、その貫通孔(8)の内側には雌ネジ(9)が設けられている。また、貫通孔(8)の両側には、固形糊(7)を固定する固定突起(10)が設けられ、この固定突起(10)は貫通孔(8)を中心として1対が、スライダー(6)の内底面と、その角度θを70°〜80°として上方に拡開するように設ける(図4)。この固定突起(10)と直交するスライダー(6)内壁面の各位置にリブ(11)がスライダー(6)の上下軸方向に設けられる。このリブ(11)はV字形横断面を有して内側へ突出し、その背面には同じくV字形横断面を有するガイド溝(12)が形成される。また、スライダー(6)内壁面の、前記リブ(11)の設けられた以外の壁面には、円周方向に2条の抜け止め突起(13)を設けることもできる。また、固定突起(10)の水平方向の幅(C)をスライダー(6)の内径(E)の0.2〜0.3(即ち20%〜30%)とし、固定突起(10)のスライダー(6)底面よりの高さをスライダー(6)の深さ(F)の0.5〜0.8(即ち50%〜80%)とすると、糊とスライダーとの固定を最大として糊がスライダーより離脱することを良好に防止できる(図4)。
【0009】
一方、スライダー(6)はその貫通孔(8)においてネジ杆(5)が貫通して螺合するとともに、両外側面に設けられたガイド溝(12)には、筒体(3)内壁面に上下方向に設けられた横断面V字形のスリーブ(14)が係合しているため、尾栓(4)を回転させると、尾栓(4)と一体となったネジ杆(5)が回転する一方、そのネジ杆(5)と螺合しているスライダー(6)は、筒体(3)のスリーブ(14)とガイド溝(12)との係合によって、回転しないよう固定されているため、ネジ杆(5)の回転にともなってスライダー(6)はスリーブ(14)に沿って上下動し、このスライダー(6)の上下動によって、スライダー(6)に固持された固形糊(7)も筒体(3)の内外に出没自在となる。
【0010】
この発明の実施例である糊容器(1)は以上の構成を具えるので、固形糊(7)のスライダー(6)への嵌合・固持をより確実にするために、リブ(11)の高さ、すなわちスライダー(6)の内側へV字形に突出するその突出長を増大させても、リブ(11)の横断面がV字形となっているために、成形時の金型との接触面が少なく、また、リブ(11)とスライダー(6)内壁面によって形成される角部(15)の横断面における角度(α)が略鈍角となることから、成形時にこの角部(15)においてスライダー(6)の金型がそのスライダー(6)に食い込むことがなく、金型とスライダーとの離脱を容易に行うことができる。そして更に、図2における実施例においては、リブ(11)の背面にガイド溝(12)を設けるとともに、そのリブ(11)とガイド溝(12)を形成する部分の肉厚(T)を薄くすることで、その部分に弾性を保有させ、スライダー(6)成形時の金型からの分離時において、その弾性を利用して、スライダーの金型からの分離をより容易に行うことができる。
【0011】
一方、図3は他の実施例におけるスライダー(6’)であって、スライダー(6’)に設けられるリブ(11’)は図2に記載した実施例と同様に横断面がV字形であるが、その背面のガイド溝(12’)の横断面は四角形に形成されている。この実施例においては、リブ(11’)とガイド溝(12’)を形成する部分に弾性を保有させることは困難となって、その弾性を利用してスライダーの金型からの分離をより容易化することはできないものの、スライダー(6’)を成形する際に使用する金型の内、雌金型は従来の金型を使用することができる上、筒体(3)も従来品を使用することができるという利点を有するものである。
【0012】
その上、図4に示すように、スライダー(6’)内に固定突起(10)を設け、この固定突起(10)のスライダー(6’)底面との角度(θ)、水平方向の幅(C)、高さ(D)を図5〜図6に示す条件で試験したところ、θ=70°〜80°,C=0.2〜0.3・E,D=0.5〜0.8・F,の状態が最適となったので、その各部分の値をもつように固定突起(10)を形成すれば、スライダー(6’)よりの固定糊(7)の抜け出しを良好に防止することができる。
【0013】
【発明の効果】
以上のとおり、糊容器のスライダーに設けられるリブ及びその背面のガイド溝の横断面形状を薄肉のV字形とすることによって、簡単な構造でリブの高さを増大させる。また、スライダーに嵌合して固持される固形糊の保持をより確実にすると同時に、その横断面が薄肉のV字形であることによって、成形時における金型とスライダーとの離脱を容易化して、製造コストの増大を防止することができるという優れた効果を有する。更には、リブの横断面のみをV字形とする場合には、前記実施例の場合に比して、成形時における金型とスライダーとの離脱の容易化という面では劣ることがあるものの、スライダー成形のための雌金型や筒体自体は従来品を使用することができ、併せて、固定突起の形状を限定することにより、固形糊のスライダーよりの抜け出しを最適に防止できるという優れた効果を有するものである。
【簡単な図面の説明】
【図1】この発明の実施例である糊容器の縦断面図である。
【図2】この発明の実施例である糊容器に使用されるスライダーの斜視図である。
【図3】他の実施例に使用されるスライダーの平面図である。
【図4】他の実施例に使用されるスライダーの縦断側面図である。
【図5】この発明のスライダーの固定突起の底面と、その底面のなす角度θ゜における抜けトルクの大きさを示すものである。
【図6】図5と同様の固定突起の水平方向の幅Cと抜けトルクの大きさを示すものである。
【図7】図5と同様の固定突起の高さDと、その抜けトルクを示すものである。
【符号の説明】
1 糊容器
2 キャップ
3 筒体
4 尾栓
5 ネジ杆
6、6’ スライダー
7 固形糊
8 貫通孔
9 雌ネジ
10 固定突起
11、11’ リブ
12、12’ ガイド溝
13 抜け止め突起
14 スリーブ
15 角部

Claims (4)

  1. 尾栓と一体に成形されるネジ杆に対して、固形の糊を固持したスライダーを貫通、螺合させ、尾栓の回動によりネジ杆を回転させることによって、このネジ杆に貫通、螺合するスライダーを、尾栓と一体となる筒体内壁に配設したスリーブに沿って摺動させ、スライダーと一体となった固形の糊を筒体より出没自在としてなる糊容器において、上記スライダーの壁面に、横断面が内側へV字形に突出するリブを上下軸方向に設けてなる糊容器のスライダー。
  2. スライダーの壁面に設けられた、横断面が内側へV字形に突出するリブの背面に、筒体内壁に設けられたスリーブと係合するガイド溝を設けてなる請求項1記載の糊容器のスライダー。
  3. ガイド溝を内側へV字形に突出する形状とするとともに、上記V字形部分を薄肉としてなる請求項2記載の糊容器のスライダー。
  4. 尾栓と一体に成形されるネジ杆に対して、固形の糊を固持したスライダーを貫通、螺合させ、尾栓の回動によりネジ杆を回転させることによって、このネジ杆に貫通、螺合するスライダーを、尾栓と一体となる筒体内壁に配設したスリーブに沿って摺動させ、スライダーと一体となった固形の糊を筒体より出没自在としてなる糊容器において、スライダーに設ける貫通孔の両側に、固形糊を固定するために上方に向い拡開する固定突起を設け、そのスライダー底面との角度をθ、固定突起の水平方向の幅をC、固定突起のスライダー底面よりの高さをD、スライダーの内径をE、スライダーの深さをFとする時、
    θ=70°〜80°
    C=0.2〜0.3・E
    D=0.5〜0.8・F
    としてなる糊容器のスライダー。
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