JPH0333559Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は自動車等のモールデイングクリツプに
関し、詳しくは、モールに装着される装着部とボ
デー側へ係入したグロメツトとをネジによつて締
着することにより、モールをボデーに対し固定す
るようにしたモールデイングクリツプに関する。

（従来の技術） このタイプのモールデイングクリツプは、装着
部、グロメツトおよびネジがそれぞれ１個ずつ対
応して使用されるため、紛失防止や作業上の便宜
の見地より、一般に現場への搬入前既に装着部と
グロメツトとをネジにより仮付けして取扱つてい
る。

このため、従来のモールデイングクリツプにお
いては、第６図に示すように、グロメツト１０１
にネジ圧入孔１０２を設けて、装着部１０３より
挿入されたネジ１０４の先端部を前記孔１０２に
圧入することにより仮付けを可能とし、かつ装着
部１０３のネジ挿入孔１０５の周囲に円筒状のボ
ス１０６を周設して、ネジ１０４の頭部を装着部
１０３上の所定の高さ位置に保持することによ
り、仮付け時においても、取扱いの便宜上、ガイ
ド片１０７の収納部１０８への嵌入によりグロメ
ツト１０１と装着部１０３とが一体的な嵌合状態
にあるようにしていた。

（考案が解決しようとする問題点） しかし、このようなモールデイングクリツプを
用いて、第７図に示すように自動車のクオーター
ウインドのモール１０９を固定しようとする場
合、ネジ１０４の頭部が円筒状のボス１０６によ
り支持された状態にあるため、このボス１０６を
押し潰してネジ１０４をボデー側へ深く螺入させ
ることには限度があり、このためネジ１０４の頭
部がボデー１１０に対する高い位置に保持され、
モール１０９のリツプ１１１に干渉して、モール
１０９の固定に支障を来たしたり、あるいは固定
できたとしてもリツプ１１１における前記干渉を
受けた部分が外方へ膨出して、モール面或いはそ
の外装材１１２の表面がイビツになると言う問題
があつた。

そして、このような問題は、クオーターウイン
ドのモールデイングに限らず、ボデー側へ凹陥し
た形状のモールを固定する際に一般的に起り得る
問題であつた。

そこで本考案は、モールデイングクリツプの仮
付け時にはネジが装着部上の高い位置に保持さ
れ、ボデーへの固定時にはネジが装着部に対し、
換言すればボデーの方向へ、深く螺入されるよう
にすることを、その解決すべき技術的課題とす
る。

（問題点を解決するための手段） 上記課題を解決するための技術的手段は、モー
ル或いはこれに取付けた保持具に係合可能な構造
の装着部と、ボデー側へ係入可能なグロメツトと
がネジで締着されることによりボデーに対し固定
可能とされたモールデイングクリツプであつて、
前記装着部におけるネジ挿入口の周囲部には前記
ネジの頭部を支持可能で前記ネジの締付時には弾
性変形して側方へ避退可能な薄肉のリツプを設け
たことである。

（作用） 仮付けの際には、装着部より挿入したネジの頭
部が、これを支持するリツプの停止作用を受ける
ため、ネジはグロメツトの孔に圧入されるにとど
まる。

ボデーへの固定の際には、グロメツトに対しネ
ジを螺入して行くと、その圧力により、リツプが
弾性変形を起して側方へ避退するためネジの頭部
に対する支持作用がなくなり、ネジはボデー方向
へ深く螺入される。

（実施例） 次に実施例の一実施例の構成を第１図〜第３図
に基づいて説明する。

モールデイングクリツプ１は、それぞれ合成樹
脂製の装着部２とグロメツト３、及びこれらを締
着するためのネジ４より成つている。

まず、装着部２について説明すると、中央部に
ネジ挿入孔５を設けた基板６の後端部には２個の
係合片７を立設し、各係合片７には上下方向に段
差を有する係合突縁８をそれぞれ設けている。

基板６の両側端部には補強リブ９と一体に形成
した略三角山状の収納突起１０が設けられてお
り、該収納突起１０の内部には、第３図に示すよ
うに、下方に開口した空洞状の収納部１１が形成
されると共に、該収納部１１の壁面には、収納部
１１の開口面より若干上方位置から収納部１１の
天井面までの間にわたつて薄厚の突条１２が設け
られている。なお、収納部１１の前記開口面は基
板６の端部より垂設した側壁１３の底面と面一と
なつて装着部底面１４を形成している。

次に、基板２上面と収納部１１内側面との間に
わたり、前記ネジ挿入孔５を中心とする対向位置
に、各１対のリブ１５が一体に設けられると共
に、各リブ１５の先端部よりネジ挿入孔５の方向
へリツプ１６が延設されている。このリツプ１６
は、その頭面がネジ挿入孔５に挿入されたネジ４
の頭部底面に当接するようになつており、かつ上
方より所定値位置の押圧力を受けたとき弾性変形
を起してネジ４の頭部底面に当接しない側方位置
へ避退し得る程度の厚さに形成されている。

次にグロメツト３について説明すると、方形板
状の基部１７の中央には、ネジ４のネジ溝に係入
し得る適数の低い突起１８を周面に備え、かつネ
ジ４を圧入可能な径を有する圧入孔１９を設け、
また、前記収納部１１に対し嵌合し得る１対のガ
イド片２０を基部１７の両側端より立設し、かつ
基部１７の下面より１対の舌片２１を垂設してい
る。舌片２１の相対向する内側面には、前記圧入
孔１９の下端開口部より引き続いて、該圧入孔１
９と同軸状のネジ４と螺合する断面円弧状の凹溝
２２が設けられている。なお、凹溝２２の相互間
隔はネジ４の軸部の径より狭くなつている。凹溝
２２にはネジ４と螺合するメネジ２３が形成され
ている。

以上のように構成された本実施例の使用状態を
次に説明する。

本実施例のモールデイングクリツプを仮付けす
るには、第１図に矢印で示すように、装着部２に
対し上方よりネジ４を挿入すると共に装着部２の
下方よりグロメツト３を嵌合させる。

このとき、第３図に示すように、グロメツト３
のガイド片２０が収納部１１に嵌入され、その頂
面が突条１２の下端部に当接した状態で、装着部
２とグロメツト３との仮付けがなされる。そし
て、装着部２のネジ挿入孔５より挿入されたネジ
４の先端部がグロメツト３の圧入孔１９に圧入さ
れ、突起１８がネジ４のネジ溝に係入されて、上
記の仮付け状態においてネジ４の抜止めがなされ
る。

次に、モールデイングクリツプのボデー２４へ
の固定においては、ボデー２４に設けた係入孔２
５に、仮付け状態にあるグロメツト３の１対の舌
片２１を挿入した後、ネジ４を舌片２１の凹溝２
２に対して螺入して行くと、以下の３点の作用が
起る。（第３図および第４図参照） (1) ネジ４の螺入時の圧力により、リツプ１６が
弾性変形を起して側方へ避退し、この結果、ネ
ジ４はその頭部が基板６に当接する位置まで、
ボデー２４方向へ螺入される。

(2) ネジ４が螺入されるに伴い、グロメツト３の
１対の舌片２１が基部１７を支点として互いに
拡開され、係入孔２５より抜けなくなる。ま
た、舌片２１の外側面に係入孔２５の端縁部が
噛み込んで、舌片２１が密嵌状態となる。

(3) ネジ４の螺入作用のため、グロメツト３のガ
イド片２０が突条１２を押し潰しながら収納部
１１に圧入され、その結果、装着部２の底面１
４がボデー２４に圧接される。

かくして、第５図に示すようにボデー２４に固
定されたモールデイングクリツプの係合突縁８の
係合作用により、モール２６に予め弾着された保
持具２７を固定してクオーターウインドのモール
デイングを行なうが、ネジ４がボデー２４の方向
へ深く螺入しているので、その頭部がモール２６
の凹陥状のリツプ２８に対して干渉しないのであ
る。

（考案の効果） 本考案は、クオーターウインドのモールデイン
グにおいて、また、一般にボデー側へ凹陥した形
状のモールを固定する際において、モールデイン
グクリツプ締着用のネジの干渉による支障やモー
ル面がイビツになることを防止できる効果があ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例の分解正面図、第２
図はその装着部とグロメツトの分解斜視図、第３
図はその仮付け状態を示す縦断面図、第４図はボ
デーへの固定状態を示す縦断面図、第５図はその
使用状態を示す縦断面図、第６図は従来例を示す
縦断面図、第７図はその使用状態を示す縦断面図
である。 １……モールデイングクリツプ、２……装着
部、３……グロメツト、４……ネジ、１６……リ
ツプ。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. モール或いはこれに取付けた保持具に係合可能
   な構造の装着部と、ボデー側へ係入可能なグロメ
   ツトとがネジで締着されることによりボデーに対
   し固定可能とされたモールデイングクリツプであ
   つて、前記装着部におけるネジ挿入口の周囲部に
   は前記ネジの頭部を支持可能で前記ネジの締付時
   には弾性変形して側方へ避退可能な薄肉のリツプ
   を設けたことを特徴とするモールデイングクリツ
   プ。