JP4143134B2 - 無ラッチアップ型パワーmos−バイポーラートランジスター - Google Patents

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Description

関連出願
本出願は、1997年7月10日出願の米国特許出願第08/891,221号の継続出願であり、これは、無ラッチアップ型パワーUMOS−バイポーラートランジスター(LMBT)と題する1997年6月12日出願の米国特許出願第60/049,423号に関連し、それによる優先権を主張する。
発明の分野
本発明は、半導体デバイス、より詳細には炭化ケイ素中に形成されたそのようなデバイスに関する。本発明は特に、炭化ケイ素中に形成されたパワートランジスターに関する。
発明の背景
シリコンバイポーラートランジスターは、モーター駆動回路、アプライアンス制御装置、ロボティクスおよび照明安定器における高電力用途に有用なデバイスである。それは、バイポーラートランジスターが200〜50A/cm2の比較的大きな電流密度を扱うように設計でき、かつ500〜2500Vの比較的高いブロッキング電圧に耐えるように設計できるからである。
バイポーラートランジスターにより得られる電力定格が有望であるにもかかわらず、すべての高電力用途に対するそれらの適性には幾つかの根本的な欠点がある。バイポーラートランジスターは電流制御型デバイスであり、トランジスターをオン状態モードに維持するには一般にコレクター電流の1/5ないし1/10という比較的大きなベース制御電流を必要とする。高速ターンオフをも必要とする用途については、それに比例してより大きなベース電流が必要となる可能性がある。ベース電流要求が大きいので、ターンオンとターンオフを制御するベース駆動サーキットリーがかなり複雑かつ高価である。バイポーラートランジスターは、誘導電力回路用途で一般に要求されるように高電流と高圧を同時に印加する場合、早期放電破壊も生じやすい。さらに、高温では一般に単一トランジスターに電流迂回が起き、このためエミッター安定化策が必要になるので、バイポーラートランジスターを並列で操作するのはかなり困難である。この電流迂回は一般にバイポーラーデバイスのオン状態電圧降下により起き、これによってさらに動作温度が高まる。
このベース駆動の問題に対処するために、シリコンパワーMOSFETが開発された。パワーMOSFETでは、適切なゲートバイアスをかけるとゲート電極がターンオンとターンオフを制御する。たとえば正のゲートバイアスをかけ、これに対応してp型チャンネル領域に導電性n型逆転層が形成されると、n型エンハンスメントMOSFETがターンオンになる。この逆転層によりn型ソースとドレイン領域が電気的に接続し、ソースとドレインの間に多数キャリヤー伝導が行われるようになる。
パワーMOSFETのゲート電極は、介在する絶縁層(一般に二酸化ケイ素)で導電性チャンネル領域から分離されている。ゲートがチャンネル領域から絶縁されているので、MOSFETを導電状態に維持するために、あるいはMOSFETをオン状態からオフ状態に、またはその逆にスイッチングするために、ゲート電流はほとんど必要ない。ゲートがMOSFETのチャンネル領域と共にコンデンサーを形成するので、スイッチング中のゲート電流は小さく維持される。したがって、スイッチングに際し必要なのは充電と放電の電流(“変位電流”)だけである。絶縁ゲート電極に伴う入力インピーダンスが高いので、ゲートに課される電流要求は最小であり、ゲート駆動サーキットリーを容易に満たすことができる。
さらに、MOSFETの電流伝導は多数キャリヤー輸送のみによって起きるので、過剰の小数キャリヤーの組換えに伴う遅れはない。したがって、パワーMOSFETのスイッチング速度はバイポーラートランジスターより数桁速くすることができる。バイポーラートランジスターと異なり、パワーMOSFETは、“二次放電破壊”として知られる破損を生じることなく高い電流密度と高圧印加に同時に比較的長い期間耐えるように設計できる。パワーMOSFETの順電圧降下は温度の上昇に伴って高まり、これにより並列接続デバイスの均一な電流分布が促進されるので、パワーMOSFETは容易に並列接続できる。
しかし、以上に述べたパワーMOSFETの有益な特性は、高圧デバイスについてはMOSFETのドリフト領域のオン抵抗が比較的高い(小数キャリヤーが注入されないため起きる)ことにより、一般に相殺される。その結果、MOSFETの動作時順電流密度は一般に比較的低い値に制限され、600Vのデバイスについて等しいオン状態電圧降下で、バイポーラートランジスターの100〜120A/cm2と比べて一般に40〜50A/cm2である。
パワーバイポーラートランジスターとMOSFETデバイスがもつこれらの特色に基づき、バイポーラー電流伝導とMOS−制御電流流れとの組合わせを利用したデバイスを開発し、これがバイポーラーまたはMOSFET単独のような単一技術に優る著しい利点を備えていることを見いだした。バイポーラーとMOSの特性を組み合わせたデバイスの一例は、絶縁ゲートバイポーラートランジスター(Insulated Gate Bipolar Transister,IGBT)である。
IGBTは、パワーMOSFETのインピーダンスゲートが高いこととパワーバイポーラートランジスターのオン状態伝導損失が小さいことを組み合わせたものである。IGBTは、これらの特色のため、モーター制御用途などに必要な誘導スイッチング回路に広く利用されている。これらの用途には、広い順方向バイアス化安全動作エリア(forward−biased safe−operating−area,FBSOA)、および広い逆方向バイアス化安全動作エリア(reverse−biased safe−operating−area,RBSOA)をもつデバイスが必要である。
IGBTの欠点のひとつは、ゲート制御によるオン状態電流密度に限界があることである。これは、その構造に寄生サイリスターがあることにより生じる。オン状態電流密度が著しく高いと、このサイリスターはラッチアップし、このためオン電流に対するゲート制御が失われる。IGBTのこの特性は、IGBTのサージ電流容量も制限する。オン状態電圧降下および/またはスイッチング速度を犠牲にしてこの寄生サイリスターの有効性を抑制する機構について、多数の提案がなされた。
最近の試みには、パワーデバイスの代わりに炭化ケイ素(SiC)デバイスを用いる研究も含まれる。そのようなデバイスには、米国特許第5,506,421号に記載されるパワーMOSFETが含まれる。高電力用途のために炭化ケイ素接合電界効果トランジスター(JFET)および金属半導体電界効果トランジスター(MESFET)も提唱された。米国特許第5,264,713および5,270,554号参照。しかしこれらのデバイスは、最小電圧降下として約3Vの順電圧降下を示す。したがってこれらのデバイスはすべての用途に適するわけではない。
デバイスの順電圧降下は、IGBTについてはMOSFETまたはJFETと同じ速度で放電破壊電圧の上昇に伴って増大することはないので、炭化ケイ素IGBTはさらに他のパワーデバイスより向上した性能をもつ。図1に示すように、MOSFET/JFETについての順電圧降下(Vf)に対する放電破壊電圧(BV)の曲線8は、約2000Vで炭化ケイ素IGBTの曲線9と交差する。したがって2000Vより高い放電破壊電圧については、同じ放電破壊電圧での順電圧降下に関して、炭化ケイ素の方がシリコンMOSFETまたはJFETより良好な性能をもつであろう。
炭化ケイ素IGBTの特性はパワーデバイスとして将来性を示すが、そのようなデバイスは現在、炭化ケイ素におけるそれらの利用性が制限されている。これらの制限は、品質の良好な高ドープp型炭化ケイ素基板を作成するのが困難なため生じる。他の制限は、炭化ケイ素内では正孔の移動性がきわめて低く、このため著しく寄生サイリスターラッチアップを生じやすいことである。したがって、炭化ケイ素IGBTがもつゲート制御オン状態電流密度値は低いと予想される。IGBTは一般に垂直デバイスであるので、デバイスをその上に作成する基板はデバイスの性能にとって重要であろう。基板材料の品質は、高品質デバイスを作成する際の制限因子となる可能性がある。したがって良品質の高ドープp型炭化ケイ素基板の製造が困難であることが、現在ではn型基板にIGBTを加工する制限となるであろう。
従来の電力回路では、高い正電圧レベルに対してではなく接地電圧レベルを基準として開閉する制御電圧をデバイスに印加できるデバイスを得ることが望ましい。しかしゲートがデバイスのエミッターを基準とするIGBTを得るには、一般に高ドープp型基板が必要である。前記のように、現在では炭化ケイ素に高ドープp型基板を作成するのはn型基板を作成するより困難である。n型基板については、炭化ケイ素IGBTのゲート電圧はコレクター電圧を基準とする。これは一般的電力回路では線間電圧である。したがって現在の炭化ケイ素IGBTは、IGBTの構造、炭化ケイ素の電気的特性、および高ドープp型炭化ケイ素基板を作成する際の制限の結果として、レベルシフティング手段について、より複雑なゲート駆動サーキットリーを必要とし、その結果、より複雑な電力回路になるであろう。
以上の考察からみて、高電力炭化ケイ素デバイスを改善する必要がある。
発明の目的と概要
以上からみて、本発明の目的のひとつは炭化ケイ素パワーデバイスを提供することである。
本発明の他の目的は、電圧制御型の炭化ケイ素パワーデバイスを提供することである。
本発明のさらに他の目的は、一般の電力回路で制御電圧が接地基準であり、一方、コレクター電圧が正の高圧をブロッキングできる、炭化ケイ素パワーデバイスを提供することである。
本発明のさらに他の目的は、n型炭化ケイ素基板上に作成できる炭化ケイ素パワーデバイスを提供することである。
本発明の他の目的は、他のバイポーラートランジスターと並列接続できるバイポーラートランジスターであって、動作温度の上昇に伴ってバイポーラートランジスターのオン状態電圧降下が低下することにより生じる不安定性が少ないものを提供することである。
本発明のさらに他の目的は、放電破壊電圧の高い炭化ケイ素パワーデバイスを提供することである。
本発明の他の目的は、逆バイアスモード動作中のゲート絶縁破壊傾向が少ないMOS制御を提供することである。
これらおよび他の本発明の目的は、炭化ケイ素npnバイポーラートランジスター(バルク単結晶高ドープn型炭化ケイ素基板上に形成され、n型ドリフト層およびp型ベース層をもつ)を含むMOSバイポーラートランジスターにより達成される。好ましくは、ベース層はエピタキシャル生長により形成され、メサとして形成される。npnバイポーラートランジスターに隣接して、炭化ケイ素nMOSFETが、このnMOSFETのゲートに印加された電圧によりnpnバイポーラートランジスターが導電状態に入るように形成される。nMOSFETは、バイポーラートランジスターが導電状態にあるときnpnバイポーラートランジスターにベース電流を与えるように形成されたソースおよびドレインをもつ。MOSFETのソースとドレインの間を流れる電子電流をnpnトランジスターのp型ベース層に注入するための正孔電流に変換する手段も含まれる。MOSFETの絶縁層に伴う電界クラウディングを少なくするための手段も備えられる。好ましくは、nMOSFETは蓄電モードデバイスである。
具体的態様において、変換手段は、nMOSFETを通って流れる電子電流をnpnバイポーラートランジスターのベース層に注入するための正孔電流に変換するように、nMOSFETとnpnバイポーラートランジスターの間に形成された、炭化ケイ素トンネルダイオードを含む。そのような態様においては、炭化ケイ素nMOSFETはn型伝導性ソース領域を含み、トンネルダイオードはソース領域とp型伝導領域との間に導電性p−nトンネル接合が形成されるように、n型伝導性ソース領域に隣接してp型ベース層より高いキャリヤー濃度をもつp型伝導性炭化ケイ素領域を形成することにより形成される。
本発明の1態様において、変換手段は、p型ベース層内にp型ベース層より高いキャリヤー濃度をもつp型伝導性炭化ケイ素領域を含み、かつnMOSFETのn型ソース領域をこのp型伝導性炭化ケイ素領域に電気的に接続するための導電性ストラップを含む。さらに、電界クラウディングを少なくするための手段には、ドリフト層内に絶縁層の下方に間隔をおいて形成された、ベース層にまで広がったp型伝導性炭化ケイ素領域が含まれてもよい。
ベース層としてメサを備えた態様では、メサの側壁にステップ部分が含まれてもよい。このような場合、p型伝導性炭化ケイ素領域はp型ベース層内のステップ部分に形成することができ、かつp型ベース層より高いキャリヤー濃度をもつ。導電性ストラップは、nMOSFETのn型ソース領域をp型伝導性炭化ケイ素領域に電気的に接続する。
メサが勾配付き側壁を備えているさらに他の態様においては、側壁の勾配が、電界クラウディングを少なくするための手段に伴う予め定めたドーピングプロフィルを備えている。
ドリフト層内にnMOSFETのゲートに近接して形成されたp型炭化ケイ素領域を用いることにより、ゲート領域の電界クラウディングを少なくすることができ、これによりMOSFETの放電破壊電圧が高まる。このp型伝導性材料領域の形成は、勾配付き側壁をもつメサとしてベース層を形成することによって促進される。その際この側壁の勾配が打込みプロセスと協調し、目的とするドーピングプロフィルを得ることができる。さらに、ベース層をメサとして形成することにより、イオン打込みによってベース層の有意部分に欠陥が生じることなく、ベース層をエピタキシャル生長により形成することができる。イオン打込みによるベース層の損傷はnpnトランジスターの利得を低下させ、その結果、オン状態電圧降下が高まる可能性がある。
他の態様において、変換手段は、p型ベース層内に形成された、p型ベース層より高いキャリヤー濃度をもつp型伝導性炭化ケイ素領域を含み、nMOSFETのn型ソース領域をこのp型伝導性炭化ケイ素領域に電気的に接続するための導電性ストラップを形成する。
本発明の具体的態様において、炭化ケイ素nMOSFETは、npnバイポーラートランジスターに隣接して形成されたゲート溝(gate trench)を備え、かつ変換手段に電子を供給するように形成されたソース領域を備えたUMOSFETを含み、npnバイポーラートランジスターは垂直npnバイポーラートランジスターを含む。さらにこのMOSバイポーラートランジスターは、電気的に並列の複数のnpnバイポーラートランジスターを設けるように、複数のユニットセルから形成することができる。
MOSトランジスター内の電子電流の流れがバイポーラートランジスター内へベース電流として注入するための正孔電流の流れに変換されるMOSゲートバイポーラートランジスターを形成することにより、電圧制御バイポーラートランジスターが得られる。さらに、バイポーラーデバイスはnpnデバイスであるので、このバイポーラートランジスターはn−型炭化ケイ素基板上に形成できる。したがってp−型基板を用いる欠点を克服できる。またこのデバイスはnpnバイポーラーデバイスであるので、デバイスのエミッターを接地することができ、これによりゲート制御を接地基準とすることができる。したがって本発明のデバイスは、電力回路に接地基準制御回路を利用できる。
さらに、バイポーラーデバイスのベース電流はチャンネル伝導を用いるMOS逆転チャンネルから注入されるので、炭化ケイ素の電子逆転層移動度の低さによる影響を少なくすることができる。またバイポーラーデバイスにベース電流を供給するMOSトランジスターの特性は、多重並列バイポーラーデバイスの動作を安定化する傾向をもつ。したがって、バイポーラーデバイスのオン状態抵抗は温度上昇に伴って小さくなるが、ベース駆動MOSトランジスターのオン状態抵抗は温度と共に大きくなる。MOSベース駆動トランジスターの抵抗が大きくなると、バイポーラーデバイスのベース電流が小さくなり、その結果バイポーラートランジスター内を流れる電流が小さくなる。したがって、バイポーラーデバイスのオン状態抵抗が温度と共に小さくなるとしても、MOSトランジスターが供給するベース電流が小さくなるため、トランジスター内を流れる電流を小さくすることができる。この相互作用により、本発明のデバイスがユニットセルからなる場合、電流容量を高めるためにこれを繰り返して単一基板内に電気的に並列な多数のバイポーラートランジスターを得ることができるという利点がさらに得られる。
本発明のデバイスは、ラッチアップの可能性もない。IGBTの構造と対比して本発明の構造には寄生サイリスターがないので、本発明のデバイスは無ラッチアップ型である。
本発明のデバイスには電流飽和モードがあるので、広い順バイアス安全動作領域も得られる。また本発明のデバイスは正孔の衝撃イオン化速度が4H−SiC中の電子より高いので、広い逆バイアス安全動作領域も備えている。これらの特性は誘導スイッチング用途に特に適している。
前記の態様のほか、n型バルク単結晶炭化ケイ素基板、およびこのn型伝導性バルク単結晶炭化ケイ素基板上に形成されたn型炭化ケイ素ドリフト層を含むUMOSバイポーラートランジスターのユニットセルも提供する。n型ドリフト層は、キャリヤー濃度がn型炭化ケイ素基板より低い。このn型炭化ケイ素ドリフト層上にp型炭化ケイ素ベース層が形成され、このp型ベース層内にn型炭化ケイ素の第1領域が形成される。p型ベース層内にゲート溝が形成され、ベース層とn型炭化ケイ素の第1領域の一部を通って広がってドリフト層に達し、第1のn型領域の一部がゲート溝の側壁の一部となる。ゲート溝の底と側壁に絶縁層が形成される。ベース層内に、ゲート溝に隣接し、そこから離れた位置に、n型伝導性炭化ケイ素の第2領域が形成される。絶縁層上に導電性ゲート接点が形成され、第1のn型領域の一部の上方に広がる。コレクター接点は、ドリフト層の反対側の炭化ケイ素基板面上に形成される。炭化ケイ素のp型領域がベース層内に形成され、第1のn型領域と第2のn型領域の間に配置される。p型領域は、p型ベース層のキャリヤー濃度より高いキャリヤー濃度をもち、第1のn型領域を通って流れる電子電流をp型ベース層に注入するための正孔電流に変換する正孔溜めを提供するように形成される。最後に、炭化ケイ素の第2のn型領域上にエミッター接点が形成される。
特定の態様においては、ゲート溝の底のn型炭化ケイ素ドリフト領域内に形成された炭化ケイ素の第2のp型領域も設けられる。この第2のp型領域は、好ましくはn型ドリフト層のキャリヤー濃度より高いキャリヤー濃度をもつ。
他の態様においては、第1のp型領域が第1のn型領域と共にp−n接合を形成し、これによりトンネルダイオードが得られる。あるいは、このp型領域を第1のn型領域に電気的に接続するために、第1のn型領域とp型領域の間に形成された導電性ストラップを設けてもよい。
本発明の具体的態様において、p型ベース層は約0.3〜約0.5μmの厚さをもつ。n型ドリフト層は約3〜約500μmの厚さをもつ。またn型ドリフト層は約1×1012〜約1×1017cm-3のキャリヤー濃度をもち、p型ベース層は約1×1016〜約1×1018cm-3のキャリヤー濃度をもつ。
さらに他の本発明の態様においては、本発明による複数のユニットセルを含むMOSゲートバイポーラートランジスターが提供される。
本発明には、前記デバイスの製造方法も含まれる。これらの方法はさらに、UMOSFET炭化ケイ素トランジスターと同じ基板上に本発明によるデバイスを作成できるという利点をもつ。したがって本発明には、n型バルク単結晶炭化ケイ素基板上にn型炭化ケイ素ドリフト層を形成し、このn型炭化ケイ素ドリフト層上にp型炭化ケイ素ベース層を形成する工程を含む方法も含まれる。ベース層内に炭化ケイ素のn型領域が形成されるように第1マスキング層を通してイオンを打込んで、エミッター領域とドレイン領域を得る。このソース領域に隣接して炭化ケイ素のp型領域が形成されるように、第2マスキング層を通して同様にイオンを打込む。n型ソース領域の一部およびベース層を通ってドリフト層内へ溝をエッチングし、ゲート溝を設ける。ベース層および溝の露出面上に絶縁層を形成し、溝内およびベース層上に、ゲート接点が得られるように導電性接点を形成およびパターン化する。絶縁層の一部を除去して、ベース層内に形成されたエミッター領域を露出させ、露出したエミッター領域上にエミッター接点を形成する。ドリフト層と反対側の炭化ケイ素基板表面に電源/コレクター接点を形成する。
本発明方法の他の態様においては、マスキング層を通した打込み工程の後に、得られた構造体を約1500℃より高い温度でアニーリングする工程を行う。本発明方法には、n型ドリフト層内に溝の底の下方にp型炭化ケイ素領域を形成することが含まれてもよい。
本発明方法の他の態様においては、ベース層内に形成された、より高いキャリヤー濃度のn型ソース領域およびp型領域の部分を露出し、これらの露出部分上に、n型領域をp型領域に電気的に接続するための導電性ストラップを形成する。
本発明方法のさらに他の態様においては、n型バルク単結晶炭化ケイ素基板、およびこのn型伝導性バルク単結晶炭化ケイ素基板に隣接したn型炭化ケイ素ドリフト層をもつMOSバイポーラートランジスターのユニットセルが提供される。n型ドリフト層はn型炭化ケイ素基板より低いキャリヤー濃度をもつ。n型炭化ケイ素ドリフト層上にp型エピタキシャル炭化ケイ素ベース層を形成し、このp型ベース層内にn型炭化ケイ素ドリフト層の反対側の面に隣接して炭化ケイ素の第1のn型領域を形成する。p型エピタキシャル炭化ケイ素ベース層は、このp型エピタキシャル炭化ケイ素ベース層を通ってn型ドリフト層へ広がる側壁をもつメサとして形成される。
n型ドリフト層上に、側壁に隣接し、そこから離れた位置に絶縁層が形成され、ドリフト層内にメサの側壁に隣接して炭化ケイ素の第2のn型伝導領域が形成される。第2のn型伝導領域はドリフト層より高いキャリヤー濃度をもつ。絶縁層上に第1のn型領域の上方に広がったゲート接点が形成される。コレクター接点は、炭化ケイ素基板表面上にドリフト層の反対側に形成される。炭化ケイ素の第1のp型領域がベース層内に形成され、第2のp型領域が第2のn型伝導領域に隣接して形成され、第2のn型伝導領域の下方で、ゲート接点の下方のn型ドリフト領域内へ広がる。このp型領域は、p型エピタキシャルベース層のキャリヤー濃度より高いキャリヤー濃度をもつ。第1のp型領域は、第1のn型領域を通って流れる電子をp型ベース層に注入するための正孔に変換するように形成される。炭化ケイ素の第2のn型伝導領域と第1のp型領域を電気的に接続するように、側壁の底部に導電性ストラップも形成される。炭化ケイ素の第1のn型領域上には、エミッター接点が形成される。
特定の態様において、炭化ケイ素の第1および第2のp型領域は、ベース層内にメサの側壁および第2のn型伝導領域に隣接して形成されてゲート接点内およびその下方に広がった、p型炭化ケイ素の連続領域を含む。
他の態様において、側壁は約60°未満の勾配をもつ。側壁の勾配は、ドリフト層内の予め定めた深さにp型イオンが打込まれたとき、炭化ケイ素のp型領域が得られるように選択できる。
他の態様において、側壁はメサの側壁にステップが得られるように2つの側壁を含む。このような場合、炭化ケイ素の第1のp型領域はこのステップに隣接してp型エピタキシャルベース層内に形成された炭化ケイ素の第1のp型領域、およびn型ドリフト層内に形成された炭化ケイ素の第2のp型領域を含む。第2のp型領域は第2のn型伝導領域に隣接して形成され、ゲート接点の下方のn型ドリフト層からp型ベース層へ広がる。導電性ストラップが、第1のp型領域を第2のp型領域および第2のn型伝導領域と接続する。
本発明の特定の態様のユニットセルは、ドリフト層の表面に露出するように形成された第2のp型領域を含むこともできる。このような場合、導電性ストラップが第1のp型領域を第2のp型領域および第2のn型領域と電気的に接続する。さらに絶縁層がメサの側壁上にドリフト層とステップの間に形成され、ステップ上へ広がっていてもよい。次いで、導電性ストラップをこの絶縁層上に形成することができる。
具体的態様において、p型ベース層は約0.3〜約5μmの厚さをもつ。またn型ドリフト領域は約3〜約500μmの厚さをもつ。n型ドリフト領域は約1012〜約1017cm-3のキャリヤー濃度をもち、p型エピタキシャルベース層は約1016〜約1018cm-3のキャリヤー濃度をもつ。p型領域は、ゲート接点の下方へ約3〜約12μmの距離に広がってもよい。第2のn型伝導領域は、n型ドリフト層内に約0.3〜約5μmの深さにまで形成される。
他の態様において、絶縁層は酸化物層を含む。また本発明のMOSゲートバイポーラートランジスターを複数の本発明のユニットセルにより形成することができる。本発明のユニットセルおよびトランジスターを製造する方法も提供される。
以上および他の本発明の目的、利点および特色、ならびにそれらを達成する方法は、以下の本発明の詳細な説明を、添付の図面と合わせて考慮することによってより容易に理解できるであろう。図面には本発明の好ましい態様を例示する。
図面の説明
図1は、シリコンMOSFETおよびJFETならびに炭化ケイ素IGBTに関して、順電圧降下に対する放電破壊電圧のグラフである。
図2は、本発明によるパワーデバイスの複数のユニットセルの断面図である。
図3は、本発明によるパワーデバイスの別形態の複数のユニットセルの断面図である。
図4A〜4Jは、本発明によるパワーデバイスの作成を説明した断面図である。
図5は、別形態の本発明によるパワーデバイスの複数のユニットセルの断面図である。
図6は、第2別形態の本発明によるパワーデバイスの複数のユニットセルの断面図である。
図7は、第3別形態の本発明によるパワーデバイスの複数のユニットセルの断面図である。
図8A〜8Hは、別形態の本発明によるパワーデバイスの作成を説明した断面図である。
好ましい態様の詳細な説明
本発明の好ましい態様を示した添付の図面を参照して、以下に本発明をより詳細に説明する。ただし本発明は多種多様な形態で実施でき、本明細書に述べた態様に限定されると解すべきではない。むしろこれらの態様は本発明の範囲を十分かつ完全に開示し、当業者に十分に伝えるために提示したものである。全体を通して同様な数字は同様な素子を表す。さらに、図面に示した種々の層および領域は模式的に示したものである。当業者に自明なとおり、本明細書中で基板その他の層“上”に形成された層に関する記載は、基板その他の層上に直接に、または基板その他の層上に形成された介在層(1またはそれ以上)上に形成された層を表す。同様に当業者に自明なとおり、本発明を各層に関して記載するが、それらの層はエピタキシャルに、または打込みにより形成することができる。したがって本発明は添付の図面に示した相対的なサイズや間隔に限定されない。
図2は本発明の1態様を示す。図2には、無ラッチアップ型パワーUMOSバイポーラートランジスター(LMBT)のユニットセルの組合わせを示す。本発明の第1態様のユニットセルを図2の線A−A′とB−B′の間に示す。このユニットセルを線A−A′および線B−B′両方の周りに鏡面投影することにより、多重ユニットセルのデバイスを得ることができる。図2には多重ユニットセルデバイスの一部を示す。当業者に自明のとおり、本発明のユニットセルは単一ユニットセルデバイスの作成にも利用できる。そのような場合、領域18および22は溝16のエミッター側にのみ形成すればよい。
本発明のLMBTには、n型伝導性炭化ケイ素のバルク単結晶炭化ケイ素基板10が含まれる。基板10は、上面、およびこの上面の反対側の下面をもつ。n型伝導性炭化ケイ素の第1層12が基板10の上面に形成され、n-ドリフト領域を形成することができる。あるいはn-基板が基板の下面に打込まれたn+領域を含み、これにより基板内にn+およびn-領域を得ることもできる。したがって本明細書中で用いる基板および第1層という記載は、基板上および基板内の両方に形成された層を表す。基板10のキャリヤー濃度は第1層12のキャリヤー濃度より高い。したがって基板をn+基板ということができる。基板10には、シート抵抗率1Ω−cm未満が適切である。第1層12には、約1012〜約1017cm-3のキャリヤー濃度が適切である。基板は約100〜約500μmの厚さをもつことができる。第1層12は約3〜約500μmの厚さをもつことができる。
第1層12の上に、p型ベース層を得るための第2層14を形成する。第2層14はエピタキシャル生長させるか、または第1層12内に打込むことができ、デバイスのp型ベース層を形成するp型伝導性炭化ケイ素から形成される。第2層14内に、デバイスのエミッターを形成するn+伝導性炭化ケイ素の領域20が形成される。第2層14内に、n+領域18およびp+領域22も形成される。p+炭化ケイ素領域22は、n+領域18の隣に、n+領域18とp+領域22の間に導電性p−nトンネル接合が形成されるように形成するのが好ましい。n+領域18は、それらがゲート溝16の側壁の一部を形成するように形成される。n+領域18は、本発明のデバイスに取り込まれたMOSトランジスターのドレイン領域を形成する。
p型ベース層14は、約1016〜約1018cm-3のキャリヤー濃度、および約0.3〜約5μmの厚さをもつことが好ましい。n+領域18は、ゲート溝から約0.5〜約2μm離れて広がり、約0.1〜約2μmの深さにまで広がることが好ましい。n+領域18には、約1018cm-3より高いキャリヤー濃度が適切であろう。同様にp+領域22は、約0.1〜約2μmの深さにまで形成され、約0.1〜約2μmの幅をもつことが好ましい。p+領域22には、約1016cm-3より高いキャリヤー濃度が適切であろう。p領域22は、エミッター領域20から約0.5〜約4μm離れていることも好ましい。エミッター領域のサイズおよび形状は、本発明のデバイスのバイポーラー部分の目的特性に依存するであろう。
図2に示したデバイスには、ゲート溝16も含まれる。ゲート溝16は、n+領域18および第2層14を通って第1層12内へ下方に広がる溝を形成することにより形成される。したがってゲート溝16は側壁と底をもつ。絶縁層24(好ましくは酸化物層)がゲート溝の側壁と底の上に形成され、n+領域18の上面上へ広がる。この絶縁層24は、好ましくは二酸化ケイ素などの酸化物層であるが、窒化ケイ素、窒化アルミニウムなど他の材料、または当業者に既知の他の絶縁材で作成されてもよい。ゲート溝16の幅および深さは、本発明のデバイスの目的とする電気的特性に依存する。本発明には約1〜約10μmの幅を採用できる。ゲート溝の深さは、ゲート溝16の底に形成される絶縁/酸化物層24の上面が第2層14と第1層12の界面より下方にあるのに十分な深さにすべきである。さらに、ゲート絶縁層24の厚さは好ましくは約100Å〜約1μmであるが、トランジスターの目的とする電気的特性に応じて変更できる。
図2のデバイスには、第1層12内にゲート溝16の下方に形成された任意のp型伝導性炭化ケイ素領域32も含まれる。このp型伝導性炭化ケイ素領域32は、第2層12より高いキャリヤー濃度をもつ。約1016〜約1019cm-3のキャリヤー濃度を採用できる。
基板10の下面上に、コレクター接点30を形成するためのオーム接点が形成される。接点はゲート溝16の側壁と底にも形成され、n+領域18の上面上へ広がる。この接点は図2のデバイスのゲート接点を提供する。最後に、n+炭化ケイ素領域20上に、デバイスのエミッター接点を提供するためのオーム接点28が形成される。
図2にゲート溝16は2つの溝として示される。しかし当業者に自明のとおり、ゲート溝は第3次元(図2の紙面の内外への次元)において多種多様な形状をもつことができる。たとえば図2に示したデバイスは実質的に円形であってもよく、この場合ゲート溝16は、たとえば六角形のデバイスにおけるように、エミッター領域20を取り巻く単一ゲート溝である。またゲート溝16は2本の実質的に平行な溝であってもよく、その場合、ゲート溝内に形成されたこれらのゲート接点26は第3次元において電気的に接続している。このように本発明によるデバイスの三次元構造は多種多様な形状をとることができ、なおかつ本発明方法の利点をもつ。
図3には本発明の別形態を示す。図3に見られるように、図2のデバイスの構造体が、n+領域18をp+領域22に接続する導電性ストラップ34をも備えている。図3に示すデバイスでは、n+領域18とp+領域22の間に整流p−n接合が形成されてはならない。当業者に自明のとおり、図2に示したユニットセルは図3にもある。したがって、本発明方法により任意数のユニットセルを含むデバイスを製造できる。
当業者に自明のとおり、本発明はユニットセルをパワーデバイス用に形成することができ、これによりデバイスの電流運搬能を高めるためにデバイスの複数のセルを並列に形成して作動させることができる。このような場合、図2または図3に示したデバイスのユニットセルを対称的に繰り返して、多重デバイスを得ることができる。このようなデバイスでは、デバイスの周辺にある外側ゲートはゲート溝のエミッター側にn型領域とp型領域のみを含めばよい。
図2および3に関して以上に記載したデバイスの作成を、図4A〜4Jを参照して記載する。図4Aに示すように、厚いn型層12をn+基板10上に、米国特許第4,912,064号(その開示内容全体を本明細書に援用する)に記載されるようなエピタキシャル生長方法により生長させる。あるいは前記のように、n-基板を用い、n+打込みを行って、n+層10とn-層12を得ることもできる。図4Bに示すように、第2のp型層14を第1のn型エピタキシャル層12上にエピタキシャル生長させる。次いでこのp型層14上にn+領域18と20を形成する。これらのn+領域18と20は、図4Cに示すようにマスク40を用いるイオン打込みにより形成することができる。
図4Dに示すように、p領域22はマスク42を用いるイオン打込みにより形成することができる。マスク42は、p型領域22をn型領域18に隣接して配置することによりこれらの間に導電性p−nトンネル接合を形成するように形成されることが好ましい。p型領域22ならびにn型領域18および20を形成した後、この構造体を1500℃より高い温度でアニーリングして、打込んだイオンを活性化する。
アニーリング後、デバイスを取り巻くメサをエッチングすることにより、端を仕切ることができる。このメサ(図示されていない)は第2層14および第1層12を通って基板10内へ広がっていてもよい。あるいは、メサは第2層14を通って第1層12内へ広がっていてもよい。このような場合、露出したn-層12内に、約100Å〜約5μmの深さにまで、かつメサの端から約5〜約500μmの距離にイオンを打込むことができる。メサを取り巻く低ドープp型領域を形成するために、約5×1015〜約1×1017cm-3のキャリヤー濃度を採用できる。いずれの場合も、次いでメサの露出面にパシベーション層を形成できる(図示されていない)。そのようなパシベーション層はSiO2または当業者に既知のこれに類する材料であってもよい。
エピタキシャル構造を形成した後、デバイスのゲート溝を配置するために基板上にマスク44を形成する。そのようなマスクを図4Eに示す。反応性エッチングにより、p型ベース層14を通ってn型ドリフト層12内へゲート溝16を形成する。ゲート溝16は米国特許第4,981,551号(その開示内容全体を本明細書に援用する)に記載された反応性イオンエッチング法により形成できる。
図4Fに見られるように、ゲート溝16の底に所望によりp型領域32をイオン打込みしてもよい。ゲート溝16の底にあるこのp型領域32はゲート溝の角における電界クラウディングを少なくし、これによりデバイスのMOS部分の放電破壊電圧を高めることができる。このp+打込み領域32は、米国特許第5,087,576号(その開示内容全体を本明細書に援用する)に記載された方法で形成できる。
ゲート溝16を形成した後、図4Gに示すように、エピタキシャル構造上に絶縁/酸化物層26を形成する。絶縁層24は、溝16の底と側壁を覆い、n+領域18の上面上へ広がるように形成される。絶縁/酸化物層24には、好ましくは熱酸化法、たとえば“炭化ケイ素中の酸化物層における欠陥を減らす方法”と題する同一出願人による米国特許出願第08/554,319号(その開示内容全体を本明細書に援用する)に記載された方法、または酸化物析出法、たとえば米国特許第5,459,107号および米国特許出願第08/554,319号(それらの開示内容全体を本明細書に援用する)に記載された方法を用いる。熱酸化法を用いる場合に好ましい態様は、たとえば米国特許第5,506,421号(その開示内容全体を本明細書に援用する)に記載されたカーボン表面加工ウェーハを用いるものである。
本発明デバイスの接点形成を図4H〜4Jに示す。ゲート接点は、図4Hに示すように、ゲート溝16内に導電層を析出させることにより形成できる。図4Hに示すように、ゲート材料26(好ましくはモリブデン)を絶縁層24上に析出させ、n型領域18の一部の上方へ広がるようにパターン化することができる。図4Iに示すように、絶縁層24に開口を形成し、次いでニッケルその他の適切な接点材料を層14の露出部分上に析出させることにより、エミッター接点28と任意の導電性ストラップ34を同時に形成できる。最後に、図4Jに示すように、ニッケルその他の適切な接点材料を析出させることにより、基板の露出面にコレクター接点30を形成する。
以上に記載した各態様において、基板および各層は6H、4H、15Rまたは3C炭化ケイ素の群から選択される炭化ケイ素で形成できるが、前記の各デバイスには4H炭化ケイ素が好ましい。オーム接点に好ましい金属には、ニッケル、ケイ化タンタルおよび白金が含まれる。あるいは、アルミニウム/チタン接点も本発明のオーム接点を形成するために使用できる。これら特定の金属を記載したが、炭化ケイ素とのオーム接点を形成する、当業者に既知の他のいかなる金属も使用できる。
前記デバイスのエピタキシャル層および打込み領域のキャリヤー濃度またはドーピング量に関しては、p+またはn+伝導型の領域およびエピタキシャル層は、過度の加工欠陥を生じることなく可能な限り強くドーピングすべきである。p型領域を設けるのに適したドーパントには、アルミニウム、ホウ素またはガリウムが含まれる。n型領域を設けるのに適したドーパントには、窒素およびリンが含まれる。アルミニウムはp+領域に好ましいドーパントであり、上記に述べた高温イオン打込みを用い、約1000〜約1500℃の温度でアルミニウムをp+領域に打込むことが好ましい。nエピタキシャル層には最高約3×1017cm-3のキャリヤー濃度が適しているが、約3×1016cm-3以下のキャリヤー濃度が好ましい。
当業者に自明のとおり、エピタキシャル層12および14の厚さはデバイスの目的とする動作特性に依存するであろう。さらにこれらの動作特性は、多重セルデバイスに用いるユニットセルの個数およびユニットセルの幾何学的形状により影響されるであろう。ゲート溝の幅もデバイスの目的とする動作特性、それらの動作特性を得るために用いるユニットセルの個数、およびユニットセルに採用する幾何学的形状自体に依存するであろう。
操作において、本発明のデバイスはバイポーラー導電性とMOSゲート制御を組み合わせた炭化ケイ素デバイスを提供する。さらに本発明は、ゲート電圧をデバイスのエミッター基準とすることができるn型炭化ケイ素基板を用いる。この関係により、電力回路においてゲート電圧を接地基準とすることができる。本発明の他の利点は、ベース電流注入のためにMOSトランジスターによるnチャンネル伝導を利用し、このため炭化ケイ素内での比較的低い電子チャンネル移動度の影響が少なくなることである。
本発明によるデバイスのターンオンは、エミッター28を接地電位に維持した状態で、正のバイアスをコレクター30に印加し(約3〜10V)、正のバイアスをゲート26に印加する(約15〜40V)ことにより行われる。NMOSFETのソース18はオフ状態では浮動であり、動作時のエミッター電圧より約3V(p−n接合についての炭化ケイ素順バイアス電圧降下)高い。ゲート26の正のバイアスにより、nMOSFETをターンオンにすることができる。したがってデバイスのターンオンのためのゲート電圧(Vg)は15V+Vt+3Vであろう。ここでVtはMOSデバイスの閾値である。ソースに対し正のバイアスをゲートにかけると、コレクターからnpnトランジスターのベースへの電子の流路が形成され、これによりそのエミッター−ベース接合に順バイアスがかかる。npnトランジスターのターンオンにより小数キャリヤーが低ドープのドリフト領域に注入されることによって、このデバイスは高い電流密度で動作できる。したがってこのデバイスによれば、比較的低い順電圧降下で高い電流密度が得られる。npnトランジスターへのベース電流はMOSトランジスターの飽和電流により制限され、その結果、LMBTの電流飽和特性が得られる。ゲート電圧が高いほどnpnトランジスターへのベース電流を高くすることができ、したがってLMBTの飽和電流がより高くなる。
ゲート電位をエミッター電位と同じにすると、このデバイスは順ブロッキングモードの動作に入る。これによりNMOSFETがターンオフになり、その結果npnトランジスターのベース電流がゼロに低下する。npnトランジスターの小数キャリヤーがそれらに固有の寿命に伴って減衰した後、デバイスは電流の流れを止め、実質的なコレクター電圧を維持することができる。この電圧はpベース14−n-ドリフト領域12の接合、p+緩衝/ゲート酸化物−n-ドリフト領域の接合により維持される。p+緩衝領域32は、所望により第3次元でpベースに短絡してもよい。この緩衝領域の目的は、このデバイスの順ブロッキングモードの動作に際しゲート誘電体内に高い電界が生じるのを阻止することである。
図5には、本発明の別形態を示す。この態様では、エピタキシャル形成したバイポーラートランジスターp型伝導性ベース領域、および埋め込まれたp型炭化ケイ素領域を用いて、ゲート絶縁体/酸化物に与えられる電界を制御する。図5には、無ラッチアップ型パワーMOSバイポーラートランジスター60のユニットセルの組合わせを示す。本発明のこの別形態のユニットセルを図5の線C−C′とD−D′の間に示す。このユニットセルを線C−C′および線D−D′両方の周りに鏡面投影することにより、多重ユニットセルのデバイスを得ることができる。図5には多重ユニットセルデバイスの一部を示す。当業者に自明のとおり、本発明のユニットセルは単一ユニットセルデバイスの作成にも利用できる。
図5に示すように、本発明のMOS−バイポーラートランジスター60には、n型伝導性炭化ケイ素のバルク単結晶炭化ケイ素基板10が含まれる。基板10は、上面、およびこの上面の反対側の下面をもつ。n型伝導性炭化ケイ素の第1層12を基板10の上面に形成して、n-ドリフト領域を形成することができる。あるいはn-基板が基板の下面に打込まれたn+領域を含み、これにより基板内にn+およびn-領域を得ることができる。したがって本明細書中で用いる基板および第1層という記載は、基板上および基板内の両方に形成された層を表す。基板10のキャリヤー濃度は第1層12のキャリヤー濃度より高い。したがって基板をn+基板ということができる。基板10には、シート抵抗率1Ω−cm未満が適切である。第1層12には、約1012〜約1017cm-3のキャリヤー濃度が適切である。基板は約100〜約500μmの厚さをもつことができる。第1層12は約3〜約500μmの厚さをもつことができる。
第1層12の上に、p型ベース層を得るための第2層14を形成する。第2層14はエピタキシャル生長させることが好ましく、デバイスのp型ベース層を形成するp型伝導性炭化ケイ素から形成される。図5に示すように、n-層12内へ広がる側壁をもつメサ62を形成するように、エピタキシャル層14をパターン化する。側壁62は好ましくは可能な限りわずかに層12内へ広がるが、約0.5μmの深さは許容できる。好ましくは、メサの側壁はメサの底部がメサの頂部より幅広くなるような勾配をもつ。この勾配は、側壁がドリフト層12となす角度で測定して60°未満であることが好ましい。好ましくは、メサ62の頂部の幅とメサ62の底部の幅の差は約10μm未満である。ただしこの差は、p型ベース層14およびn型炭化ケイ素の第1領域64の厚さに応じて、目的とするメサ62の側壁の勾配を得るように変更できる。側壁の勾配を、p型領域68のプロフィルが形成されるような原子の打込みと協調するように選択することが好ましい。この勾配は、p型領域68がpベース層14と接するまで広がるようにp型原子を打込むことにより、p型領域68の打込みを促進する。したがってメサの勾配は、第1ドリフト層12からベース層14にまで広がる連続した打込み原子領域を得るように選択すべきである。
図5に示した本発明の態様のMOS−バイポーラートランジスターには、n型炭化ケイ素の第1領域64も含まれる。これは、p型ベース層14上にn型炭化ケイ素ドリフト層12の反対側の面に隣接して形成され、MOS−バイポーラートランジスター60のバイポーラートランジスターエミッター領域を提供する。このn型炭化ケイ素の第1領域64は、n+炭化ケイ素の第1領域64を得るためにn型伝導層12より高いキャリヤー濃度をもつようにドーピングすることが好ましい。エミッター接点28が得られるように、n型炭化ケイ素64の第1領域上にオーム接点をも形成する。
絶縁層70が、第1層12上に、メサ62の側壁に隣接し、そこから離れた位置に形成される。MOSトランジスターのゲート接点72を得るために、絶縁層70上にオーム接点を形成する。この絶縁層70は好ましくは二酸化ケイ素などの酸化物層であるが、窒化ケイ素、窒化アルミニウムなど他の材料、または当業者に既知の他の絶縁材で作成されてもよい。
MOSバイポーラートランジスター60には、n-ドリフト層12内にメサ62の側壁の底部に形成されたn+炭化ケイ素の第2領域66も含まれる。このn+領域66は、メサ62の側壁からデバイスのゲート接点72の下方へ広がる。n+炭化ケイ素の第2領域66は、好ましくはn-ドリフト層12より高いキャリヤー濃度をもつようにドーピングされる。n+炭化ケイ素の第2領域66を、n+炭化ケイ素の第2領域66と導電性ストラップ74が接触するように、ドリフト層12の表面に近接して形成することも好ましい。
炭化ケイ素のp型領域68も、p型ベース層14内に、メサ62の側壁およびn+炭化ケイ素の第2領域66に隣接して形成される。炭化ケイ素のp型領域68は、n-ドリフト層12内でn+炭化ケイ素の第2領域66の下方に広がり、かつゲート接点72の下方へ広がる。炭化ケイ素のp型領域68は、好ましくはp型ベース層14より高いキャリヤー濃度をもつようにドーピングされる。さらに、この炭化ケイ素のp型領域は、n+炭化ケイ素の第2領域66を通って流れる電子をp-型ベース層に注入するための正孔に変換するように形成される。炭化ケイ素のp型領域68は、ゲート絶縁層70に伴う電界クラウディングを少なくし、これによりMOS−バイポーラートランジスター60のMOSトランジスター部分のブロッキング電圧を高めるようにも形成される。
MOS−バイポーラートランジスター60には、n+炭化ケイ素の第2領域66を炭化ケイ素のp型領域68と電気的に接続する導電性ストラップ74も含まれる。あるいは、n+炭化ケイ素の第2領域66と炭化ケイ素のp型領域の間のp−n接合がトンネルダイオードを形成し、これにより電子の流れがベース層14内で正孔の流れに変換される場合、導電性ストラップ74の必要性は除かれるであろう。
p型ベース層14は、約1016〜約1018cm-3のキャリヤー濃度、および約0.3〜約5μmの厚さをもつことが好ましい。第2のn+領域66は、好ましくは約1〜約5μmの幅であり、可能な限りわずかにゲートの下方へ広がるが、この距離は約0.5〜約3μmであってもよい。第2のn+領域66も、好ましくは約0.1〜約0.5μmの深さにまで広がる。n+領域66には、約1018cm-3より高いキャリヤー濃度が適切であろう。
+領域68は、約0.3〜約2μmの厚さであって、ゲート接点72の下方約3〜約12μmにまで広がることが好ましい。ただしp+領域68がゲート接点の下方へ広がる距離は、個々の用途に応じて変動するであろう。特に、ゲート接点の下方のp+領域68の間隔は、絶縁層70付近の電界を調節するのに利用できる。p+領域68の間隔が小さくなるのに伴って、絶縁層70付近の電界は小さくなるであろう。約1〜約5μmの間隔が適切であろう。p+領域68には、約1016cm-3より高いキャリヤー濃度が適切である。好ましくは、ドリフト層12およびp+領域68のドーピングは、ドリフト層12がビルトイン電位によりp+/n接合を完全に失い、MOSゲートがゼロゲートバイアスになるように選択される。
図6には、本発明の第2の別形態を示す。この態様では、エピタキシャル形成したバイポーラートランジスターp型伝導性ベース領域を用い、このベース領域はメサの側壁にステップをもつメサとして形成される。図6には、無ラッチアップ型パワーMOSバイポーラートランジスター80のユニットセルの組合わせを示す。本発明のこの別形態のユニットセルを図6の線E−E′とF−F′の間に示す。このユニットセルを線E−E′および線F−F′両方の周りに鏡面投影することにより、多重ユニットセルのデバイスを得ることができる。図6には多重ユニットセルデバイスの一部を示す。当業者に自明のとおり、本発明のユニットセルは単一ユニットセルデバイスの作成にも利用できる。
図6に示すように、本発明のMOS−バイポーラートランジスター80には、図5に関して記載したように、n型伝導性炭化ケイ素のバルク単結晶炭化ケイ素基板10、およびn型伝導性炭化ケイ素の第1層12が含まれる。
第1層12の上に、p型ベース層を得るための第2層14を形成する。第2層14はエピタキシャル生長させることが好ましく、p型伝導性炭化ケイ素から形成され、デバイスのp型ベース層を形成する。図6に示すように、ステップ84を形成しかつn-層12内へ広がる側壁をもつメサ82を形成するように、エピタキシャル層14をパターン化する。側壁82は好ましくは可能な限りわずかに層12内へ広がるが、約0.5μmの深さは許容できる。好ましくは、ステップ84からドリフト層12へ広がるメサ82の側壁は、メサの底部がステップ84におけるメサの幅より広くなるような勾配をもつ。この勾配は、側壁がドリフト層12となす角度で測定して60°未満であることが好ましい。好ましくは、メサ82の頂部の幅とメサ82の底部の幅の差は約10μm未満である。ただしこの差は、p型ベース層14およびn型炭化ケイ素の第1領域64の厚さに応じて、目的とするメサ62の側壁の勾配を得るように変更できる。さらに、ステップ部分84からドリフト層12までの側壁の勾配を、p型領域88のプロフィルが形成されるような原子の打込みと協調するように選択することが好ましい。この勾配は、p型領域88がpベース層14と接するまで広がるようにp型原子を打込むことにより、p型領域88の打込みを促進する。したがってメサの勾配は、第1ドリフト層12からベース層14にまで広がる連続した打込み原子領域を得るように選択すべきである。
図6に示した本発明の態様のMOS−バイポーラートランジスターには、n型炭化ケイ素の第1領域64も含まれる。これは、p型ベース層14上にn型炭化ケイ素ドリフト層12の反対側の面に隣接して形成され、MOS−バイポーラートランジスター80のバイポーラートランジスターエミッター領域を提供する。このn型炭化ケイ素の第1領域64は、n+炭化ケイ素の第1領域64を得るためにn型伝導層12より高いキャリヤー濃度をもつようにドーピングすることが好ましい。エミッター接点28が得られるように、n型炭化ケイ素64の第1領域上にオーム接点をも形成する。
絶縁層70が、第1層12上に、メサ82の側壁に隣接し、そこから離れた位置に形成される。MOS−トランジスターのゲート接点72を得るために、絶縁層70上にオーム接点を形成する。この絶縁層70は好ましくは二酸化ケイ素などの酸化物層であるが、窒化ケイ素、窒化アルミニウムなど他の材料、または当業者に既知の他の絶縁材で作成されてもよい。
MOSバイポーラートランジスター80には、n-ドリフト層12内にメサ82の側壁の底部に形成されて側壁からデバイスのゲート接点72の下方へ広がる、n+炭化ケイ素の第2領域86も含まれる。n+炭化ケイ素の第2領域86は、好ましくはn-ドリフト層12より高いキャリヤー濃度をもつようにドーピングされる。n+炭化ケイ素の第2領域86を、n+炭化ケイ素の第2領域86と導電性ストラップ92が接触するように、ドリフト層12の表面に近接して形成することも好ましい。
炭化ケイ素のp型領域88および90も、p型ベース層14内にn+炭化ケイ素の第2領域86に隣接して、およびp型ベース層14内にメサ82のステップ84に形成される。炭化ケイ素のp型領域88は、n-ドリフト層12内に、n+炭化ケイ素の第2領域86の下方、そしてゲート接点72の下方へ広がる。炭化ケイ素のp型領域88および90は、好ましくはp型ベース層14より高いキャリヤー濃度をもつようにドーピングされる。さらに、炭化ケイ素のp型領域90は、n+炭化ケイ素の第2領域86を通って流れる電子をp-型ベース層に注入するための正孔に変換するように形成される。炭化ケイ素のp型領域88は、ゲート絶縁層70に伴う電界クラウディングを少なくし、これによりMOS−バイポーラートランジスター60のMOSトランジスター部分のブロッキング電圧を高めるように形成される。MOS−バイポーラートランジスター80には、n+炭化ケイ素の第2領域86を炭化ケイ素のp型領域90と電気的に接続する導電性ストラップ74も含まれる。導電性ストラップ74はn+炭化ケイ素の第2領域86とp型ベース層14をも接続してもよく、これによりp型領域88がn+炭化ケイ素の第2領域86と同じ電位になる。
p型ベース層14は、約1016〜約1018cm-3のキャリヤー濃度、および約0.3〜約5μmの厚さをもつことが好ましい。第2のn+領域86は、好ましくは約1〜約5μmの幅であり、可能な限りわずかにゲートの下方へ広がるが、この距離は約0.5〜約3μmであってもよい。また第2のn+領域86は、好ましくは約0.1〜約0.5μmの深さにまで広がる。n+領域86には、約1018cm-3より高いキャリヤー濃度が適切であろう。
+領域88および90は約0.3〜約2μmの厚さであって、領域88はゲート接点72の下方約3〜約12μmにまで広がることが好ましい。ただしp+領域88がゲート接点の下方へ広がる距離は、個々の用途に応じて変動するであろう。特に、ゲート接点の下方のp+領域88の間隔は、絶縁層70付近の電界を調節するのに利用できる。p+領域88の間隔が小さくなるのに伴って、絶縁層70付近の電界は小さくなるであろう。約1〜約5μmの間隔が適切であろう。p+領域88および90には、約1016cm-3より高いキャリヤー濃度が適切である。好ましくは、ドリフト層12およびp+領域88のドーピングは、ドリフト層12がビルトイン電位によりp+/n接合を完全に失い、MOSゲートがゼロゲートバイアスになるように選択される。
図7には、本発明の第3の別形態を示す。この態様では、エピタキシャル形成したバイポーラートランジスターp型伝導性ベース領域を用い、図6の場合と同様にこのベース領域はメサの側壁にステップをもつメサとして形成される。図7には、無ラッチアップ型パワーMOSバイポーラートランジスター200のユニットセルの組合わせを示す。本発明のこの別形態のユニットセルを図7の線G−G′とH−H′の間に示す。このユニットセルを線G−G′および線H−H′両方の周りに鏡面投影することにより、多重ユニットセルのデバイスを得ることができる。図7には多重ユニットセルデバイスの一部を示す。当業者に自明のとおり、本発明のユニットセルは単一ユニットセルデバイスの作成にも利用できる。
図7に示すように、本発明のMOS−バイポーラートランジスター200には、図5および6に関して記載したように、n型伝導性炭化ケイ素のバルク単結晶炭化ケイ素基板10、およびn型伝導性炭化ケイ素の第1層12が含まれる。
第1層12の上に、p型ベース層を得るための第2層14を形成する。第2層14はエピタキシャル生長させることが好ましく、p型伝導性炭化ケイ素から形成され、デバイスのp型ベース層を形成する。図7に示すように、ステップ284を形成しかつn-層12内へ広がる側壁をもつメサ282を形成するように、エピタキシャル層14をパターン化する。メサ282の側壁は好ましくは可能な限りわずかに層12内へ広がるが、約0.5μmの深さは許容できる。ステップ284からドリフト層12へ広がるメサ282の側壁は、メサの底部がステップ284におけるメサの幅より広くなるような勾配をもつように示してある。しかしこのような勾配は図7に示した本発明の態様に必要ではない。
図7に示した本発明の態様のMOS−バイポーラートランジスターには、n型炭化ケイ素の第1領域64も含まれる。これは、p型ベース層14上にn型炭化ケイ素ドリフト層12の反対側の面に隣接して形成され、MOS−バイポーラートランジスター200のバイポーラートランジスターエミッター領域を提供する。このn型炭化ケイ素の第1領域64は、n+炭化ケイ素の第1領域64を得るためにn型伝導層12より高いキャリヤー濃度をもつようにドーピングすることが好ましい。エミッター接点28が得られるように、n型炭化ケイ素64の第1領域上にオーム接点をも形成する。
絶縁層70が、第1層12上に、メサ82の側壁に隣接し、そこから離れた位置に形成される。MOSトランジスターのゲート接点72を得るために、絶縁層70上にオーム接点を形成する。この絶縁層70は好ましくは二酸化ケイ素などの酸化物層であるが、窒化ケイ素、窒化アルミニウムなど他の材料、または当業者に既知の他の絶縁材で作成されてもよい。
MOSバイポーラートランジスター200には、n-ドリフト層12内にメサ282の側壁の底部に形成されて側壁からデバイスのゲート接点72の下方へ広がる、n+炭化ケイ素の第2領域206も含まれる。n+炭化ケイ素の第2領域206は、好ましくはn-ドリフト層12より高いキャリヤー濃度をもつようにドーピングされる。n+炭化ケイ素の第2領域206を、n+炭化ケイ素の第2領域206と導電性ストラップ92が接触するように、ドリフト層12の表面に近接して形成することも好ましい。
炭化ケイ素のp型領域208および90も、p型ベース層14内にn+炭化ケイ素の第2領域206に隣接して、およびp型ベース層14内にメサ282のステップ284に形成される。炭化ケイ素のp型領域208は、n-ドリフト層12内に、n+炭化ケイ素の第2領域206の下方、そしてゲート接点72の下方へ広がる。炭化ケイ素のp型領域208および90は、好ましくはp型ベース層14より高いキャリヤー濃度をもつようにドーピングされる。さらに、炭化ケイ素のp型領域90は、n+炭化ケイ素の第2領域206を通って流れる電子をp-型ベース層に注入するための正孔に変換するように形成される。炭化ケイ素のp型領域208は、ゲート絶縁層70に伴う電界クラウディングを少なくし、これによりMOS−バイポーラートランジスター200のMOSトランジスター部分のブロッキング電圧を高めるように形成される。
MOS−バイポーラートランジスター200には、n+炭化ケイ素の第2領域206を炭化ケイ素のp型領域90と電気的に接続する導電性ストラップ92も含まれる。導電性ストラップ92は、メサ282の側壁上に形成されてメサ282のステップ284へ広がった絶縁層210上に形成されることが好ましい。この絶縁層210は酸化物層であってもよい。導電性ストラップ74はn+炭化ケイ素の第2領域206とp型領域208をも接続してもよく、これによりp型領域208がn+炭化ケイ素の第2領域206と同じ電位になる。図7に示すように、p型領域208は好ましくはドリフト層12の露出面にまで広がり、これによりp型領域208、n型領域206およびp型領域90間に接点を形成することができる。たとえばp型領域208は、メサ282の底部付近の領域で露出するように形成されてもよく、メサ282の下方へ広がる必要はない。デバイスに必要な領域の量を少なくするために、p型領域208がメサ282の底部を過ぎて広がる距離を、前記の接続が可能な最小の大きさに維持することが好ましい。
p型ベース層14は、約1016〜約1018cm-3のキャリヤー濃度、および約0.3〜約5μmの厚さをもつことが好ましい。第2のn+領域206は、好ましくは約1〜約5μmの幅であり、可能な限りわずかにゲートの下方へ広がるが、この距離は約0.5〜約3μmであってもよい。また第2のn+領域206は、好ましくは約0.1〜約0.5μmの深さにまで広がる。n+領域206には、約1018cm-3より高いキャリヤー濃度が適切であろう。
+領域208および90は約0.3〜約2μmの厚さであって、領域208はゲート接点72の下方約3〜約12μmにまで広がることが好ましい。ただしp+領域208がゲート接点の下方へ広がる距離は、個々の用途に応じて変動するであろう。特に、ゲート接点の下方のp+領域208の間隔は、絶縁層70付近の電界を調節するのに利用できる。p+領域208の間隔が小さくなるのに伴って、絶縁層70付近の電界は小さくなるであろう。約1〜約5μmの間隔が適切であろう。p+領域208および90には、約1016cm-3より高いキャリヤー濃度が適切である。好ましくは、ドリフト層12およびp+領域208のドーピングは、ドリフト層12がビルトイン電位によりp+/n接合を完全に失い、MOSゲートがゼロゲートバイアスになるように選択される。
図5、図6または図7の態様の作動は、図2および3に関して先に記載したデバイスと同様である。いずれのデバイスもバイポーラー伝導とMOSゲート制御を組み合わせる炭化ケイ素デバイスを提供する。さらに、これらの別形態もゲート電圧をデバイスのエミッターの基準とすることができるn型炭化ケイ素基板を用いる。これらのデバイスでも、ドリフト層のp型打込み領域がMOSデバイスのゲート絶縁層に与えられる電界を小さくする作用をするので、放電破壊電圧が高まる。さらに、これら別形態のMOSデバイスは蓄積モードデバイスであるので、炭化ケイ素の電子蓄積層移動度を利用することができる。したがって逆転層キャリヤー移動度の約20倍の電子蓄積層移動度を得ることができる。これにより、MOSデバイスのオン状態電圧を低くすることができる。
本発明によるデバイスのターンオンは、エミッター28を接地電位に維持した状態で、正のバイアスをコレクター30に印加し(約3〜10V)、正のバイアスをゲート26に印加する(約15〜40V)ことにより行われる。NMOSFETのソース66、86および206はオフ状態では浮動であり、動作時のエミッター電圧より約3V(p−n接合についての炭化ケイ素順バイアス電圧降下)高い。ゲート72の正のバイアスにより、nMOSFETをターンオンにすることができる。したがってデバイスのターンオンのためのゲート電圧(Vg)は15V+Vt+3Vであろう。ここでVtはMOSデバイスの閾値である。ソースに対し正のバイアスをゲートにかけると、コレクターからnpnトランジスターのベースへの電子の流路が形成され、これによりそのエミッター−ベース接合に順バイアスがかかる。npnトランジスターのターンオンにより小数キャリヤーを低ドープのドリフト領域に注入することによって、このデバイスを高い電流密度で作動できる。したがってこのデバイスによれば、比較的低い順電圧降下で高い電流密度が得られる。npnトランジスターへのベース電流はMOSトランジスターの飽和電流により制限され、その結果、LMBTの電流飽和特性が得られる。ゲート電圧が高いほどnpnトランジスターへのベース電流を高くすることができ、したがってLMBTの飽和電流がより高くなる。
ゲート電位をエミッター電位と同じにすると、このデバイスは順ブロッキングモードの動作に入る。これによりNMOSFETがターンオフになり、その結果npnトランジスターのベース電流がゼロに低下する。npnトランジスターの小数キャリヤーがそれらに固有の寿命に伴って減衰した後、デバイスは電流の流れを止め、実質的なコレクター電圧を維持することができる。この電圧はpベース14−n-ドリフト領域12の接合、p+緩衝/ゲート酸化物−n-ドリフト領域の接合により維持される。p+領域68、88および208は、デバイスの順ブロッキングモードの動作に際しゲート誘電体内に高い電界が生じるのを阻止する。
図6のデバイスの作成を、図7A〜7Hに示す。本明細書中の考察からみて当業者に自明のとおり、図5のデバイスの作成方法は図6のデバイスの作成方法と同様であり、主な違いはメサおよびそれに対応する打込みの形成である。さらに、図7のデバイスの作成方法も同様であり、主な違いはn型領域およびp型領域のマスキング位置である。
図8Aに示すように、図5、6および7のデバイスを作成する際には、厚いn型層12をn+基板10上に、米国特許第4,912,064号(その開示内容全体を本明細書に援用する)に記載されるようなエピタキシャル生長方法により生長させる。あるいは前記のように、n-基板を用い、n+打込みを行って、n+層10とn-層12を得ることもできる。図8Bに示すように、第2のp型層14を第1のn型エピタキシャル層12上にエピタキシャル生長させる。次いでこのp型層14の上にn+領域64を形成する。このn+領域64は、イオン打込みまたはエピタキシャル生長により形成することができる。
図8Cには、n型領域64の上にマスク100を形成する、メサ形成の第1工程を示す。マスク100は、メサ82の上部の最大寸法に対応する幅に形成される。次いでn型領域64、p型層14およびマスク100をエッチングして、メサ82の上部を形成する。マスク100を、炭化ケイ素領域のエッチング速度と同様な速度でエッチングされる材料で形成することが好ましい。こうして、マスク100が炭化ケイ素の露出部分にまでエッチングされるのに伴って、勾配付き側壁が形成される。当業者に自明のとおり、マスク100をフォトレジストで形成し、次いでエッチングに対し望ましい抵抗が得られるように選択的に加熱してもよい。たとえばマスク100が炭化ケイ素と同じ速度でエッチングされると、約45°の勾配をもつ側壁が形成されるであろう。勾配付き側壁は、米国特許第4,981,551号(その開示内容全体を本明細書に援用する)に記載される反応性イオンエッチング法によりエッチングすることができる。
図8Dには、図8Cのマスキング領域のエッチングにより得られた第1メサ上での第2マスク102の形成を示す。図8Cのマスク100と同様に、図8Dのマスク102は、メサ82の底部の最大幅を定め、かつステップ部分84が得られるサイズである。次いで図8Dの構造体をエッチングすると、メサ82が完成する。このエッチングプロセスでは、マスク102がエッチングされ、かつp型層14を通ってドリフト層12までエッチングされる。マスク100と同様に、マスク102はフォトレジストであってもよい。その際フォトレジストが炭化ケイ素のエッチング速度と対比してエッチングされる速度は、メサ82に勾配付き側壁を与えるように制御される。
図8Eに示すように、第3マスク104を用いるイオン打込みによりp領域88および90を形成することができる。マスク104は、p型領域88をデバイスのゲートの下方に配置するように、かつp型領域88がp型層14へ広がるように形成されることが好ましい。マスク104は、p型領域90をメサ82のステップ部分84に配置するように形成されることも好ましい。p+打込み領域88および90は、たとえば米国特許第5,087,576号(その開示内容全体を本明細書に援用する)に記載される方法で形成することができる。
図8Fに見られるようにp領域88および90を形成した後、マスク104を取り除き、n領域86形成のために第4マスク106を形成する。マスク106は、好ましくはn型領域86をデバイスのp型領域からゲートへ広がるように配置すべく形成される。次いで、マスク106を用いてイオン打込みによりn型領域86を形成する。n型領域86ならびにp領域88および90を形成した後、この構造体を好ましくは約1500℃より高い温度でアニーリングして、打込んだイオンを活性化する。
アニーリング後、デバイスを取り巻く分離メサをエッチング形成することにより、端を仕切ることができる。この分離メサ(図示されていない)は第2層14および第1層12を通って基板10内へ広がっていてもよい。あるいは、分離メサは第2層14を通って第1層12内へ広がっていてもよい。このような場合、露出したn-層12内に、約100Å〜約5μmの深さにまで、かつ分離メサの端から約5〜約500μmの距離にイオンを打込むことができる。分離メサを取り巻く低ドープp型領域を形成するために、約5×1015〜約1×1017cm-3のキャリヤー濃度を採用できる。
メサ82ならびにn型およびp型領域86、88および90を形成した後、図8Gに示すように、エピタキシャル構造上に絶縁/酸化物層70を形成する。絶縁層70には、好ましくは熱酸化法、たとえば“炭化ケイ素中の酸化物層における欠陥を減らす方法”と題する同一出願人による米国特許出願第08/554,319号(その開示内容全体を本明細書に援用する)に記載された方法、または酸化物析出法、たとえば米国特許第5,459,107号および米国特許出願第08/554,319号(それらの開示内容全体を本明細書に援用する)に記載された方法を用いる。熱酸化法を用いる場合に好ましい態様は、たとえば米国特許第5,506,421号(その開示内容全体を本明細書に援用する)に記載されたカーボン表面加工ウェーハを用いるものである。
絶縁/酸化物層70を形成した後、この層をエッチングして、導電性ストラップ92、ゲート接点72およびエミッター接点28を形成するための開口を形成する。本発明デバイスの接点形成を図8Hに示す。ゲート接点は、絶縁/酸化物層70上に導電層を析出させ、次いでこの導電層をパターン化することにより形成できる。図8Hに示すように、ゲート材料72(好ましくはモリブデン)を絶縁層70上に析出させ、n型領域86の一部の上方へ広がるようにパターン化する。絶縁層70に開口を形成し、次いでニッケルその他の適切な接点材料を層14の露出部分上に析出させることにより、エミッター接点28と任意の導電性ストラップ34を同時に形成できる。最後に、ニッケルその他の適切な接点材料を析出させることにより、基板の露出面にコレクター接点30を形成する。
以上に図5〜8Hに関して記載した各態様において、基板および各層は6H、4H、15Rまたは3C炭化ケイ素の群から選択される炭化ケイ素で形成できるが、前記の各デバイスには4H炭化ケイ素が好ましい。オーム接点に好ましい金属には、ニッケル、ケイ化タンタルおよび白金が含まれる。あるいは、アルミニウム/チタン接点も本発明のオーム接点を形成するために使用できる。これら特定の金属を記載したが、炭化ケイ素とのオーム接点を形成する、当業者に既知の他のいかなる金属も使用できる。
前記デバイスのエピタキシャル層および打込み領域のキャリヤー濃度またはドーピング量に関しては、p+またはn+伝導型の領域およびエピタキシャル層は、過度の加工欠陥を生じることなく可能な限り強くドーピングすべきである。p型領域を得るのに適したドーパントには、アルミニウム、ホウ素またはガリウムが含まれる。n型領域を得るのに適したドーパントには、窒素およびリンが含まれる。アルミニウムはp+領域に好ましいドーパントであり、上記に述べた高温イオン打込みを用いて、約1000〜約1500℃、好ましくは約1500℃より高い温度でアルミニウムをp+領域に打込むことが好ましい。nエピタキシャル層には最高約3×1017cm-3のキャリヤー濃度が適しているが、約3×1016cm-3以下のキャリヤー濃度が好ましい。
当業者に自明のとおり、エピタキシャル層12および14の厚さはデバイスの目的とする動作特性に依存するであろう。さらにこれらの動作特性は、多重セルデバイスに用いるユニットセルの個数およびユニットセルの幾何学的形状により影響されるであろう。ゲートの幅もデバイスの目的とする動作特性、それらの動作特性を得るために用いるユニットセルの個数、およびユニットセルに採用する幾何学的形状自体に依存するであろう。
図面および明細書には、本発明の典型的な好ましい態様を開示し、具体的な用語を用いたが、それらは全般的に説明のために用いたにすぎず、限定のためのものではない。本発明の範囲は以下の請求の範囲に記載される。

Claims (21)

  1. 下記のものを含む、MOSバイポーラートランジスターのユニットセル:
    n型バルク単結晶炭化ケイ素基板(10);
    n型伝導性バルク単結晶炭化ケイ素基板上にあるn型炭化ケイ素ドリフト層であって、n型炭化ケイ素基板より低いキャリヤー濃度を有するn型ドリフト層(12);
    n型炭化ケイ素ドリフト層上にあるp型炭化ケイ素ベース層(14);
    前記p型炭化ケイ素ベース層(14)の表面のp型ベース層内にある炭化ケイ素の第1のn型領域(18);
    前記p型ベース層内及び第1のn型領域(18)内にあり、ベース層および第1のn型領域を通って広がってドリフト層に達したゲート溝であって、第1のn型領域の一部をゲート溝の側壁の一部とするゲート溝(16);
    ゲート溝の底および側壁上にありかつ前記第1のn型領域上にある絶縁層(24);
    前記p型ベース層(14)の表面の前記ベース層内に、ゲート溝から離れた位置にある、炭化ケイ素の第2のn型領域(20);
    絶縁層上にあり、第1のn型領域の一部の上方に広がるゲート接点(26);
    ドリフト層の反対側の炭化ケイ素基板面上にあるコレクター接点(30);
    前記ベース層(14)の表面の前記ベース層内に、第1のn型領域と第2のn型領域の間に、前記第1のn型領域との間に導電性トンネル接合が形成されるように、前記第1のn型領域に隣接して配置された炭化ケイ素のp型領域(22)であって、前記p型ベース層(14)のキャリヤー濃度より高いキャリヤー濃度を有し、前記ゲート接点(26)に電圧が印加された際に前記第1のn型領域(18)を通る電子電流を前記p型ベース層(14)に注入するための正孔電流に変換するように形成されている前記p型領域;
    ならびに
    炭化ケイ素の第2のn型領域上にあるエミッター接点(28)。
  2. さらに、
    前記ゲート溝の底の前記n型炭化ケイ素ドリフト層中にあり、p型ベース層のキャリヤー濃度より高いキャリヤー濃度を有する、炭化ケイ素のp型領域(32)を含む、請求項1記載のユニットセル。
  3. さらに、
    前記ベース層内の前記p型領域と前記第1のn型領域との間の電気的接続を付与する、前記ベース層中の当該第1のn型領域と当該p型領域の表面に形成された導電性ストラップ(34)を含む、請求項1または2記載のユニットセル。
  4. 下記のものを含む、MOSバイポーラートランジスターのユニットセル:
    n型バルク単結晶炭化ケイ素基板(10);
    n型伝導性バルク単結晶炭化ケイ素基板上にあるn型炭化ケイ素ドリフト層であって、n型炭化ケイ素基板より低いキャリヤー濃度を有するn型ドリフト層(12);
    n型炭化ケイ素ドリフト層上に形成されたp型エピタキシャル炭化ケイ素ベース層(14)であって、前記p型エピタキシャル炭化ケイ素ベース層は、前記p型エピタキシャル炭化ケイ素ベース層を通って前記n型ドリフト層にまで広がった側壁を有するメサとして形成されている;
    前記p型ベース層内に、n型炭化ケイ素ドリフト層と反対側の面に隣接して形成された炭化ケイ素の第1のn型領域(64);
    n型ドリフト層上に、側壁から離れた位置に形成された絶縁層(70);
    n型炭化ケイ素ドリフト層内に、メサの側壁に隣接して形成された炭化ケイ素の第2のn型領域であって、前記n型炭化ケイ素ドリフト層より高いキャリヤー濃度を有する第2のn型領域(66,86,206);
    絶縁層上にあり、第2のn型領域の一部の上方に広がるゲート接点(72);
    n型炭化ケイ素ドリフト層の反対側の炭化ケイ素基板面上にあるコレクター接点(30);
    前記p型ベース層内にありかつ前記メサの側壁に隣接する炭化ケイ素の第1のp型領域(68,90)、および前記n型ドリフト層内の第2のp型領域(68,88,208)であって、前記第2のn型領域に隣接し、前記n型ドリフト層内に前記第2のn型領域の下方、そしてゲート接点の下方へ広がる第2のp型領域;これらの第1及び第2のp型領域は電気的に接続し、p型エピタキシャルベース層のキャリヤー濃度より高いキャリヤー濃度を有し、前記第2のp型領域は、前記ゲート接点に電圧が印加された際に前記第2のn型領域を通る電子電流を前記p型エピタキシャルベース層に注入するための正孔電流に変換するように形成されている;
    前記メサの基部及び側壁上に、第2のn型領域を炭化ケイ素の第1のp型領域と電気的に接続するように形成された導電性ストラップ(74,92);ならびに
    炭化ケイ素の第1のn型領域上にあるエミッター接点(28)。
  5. 炭化ケイ素の第1のp型領域および第2のp型領域が、前記メサの前記側壁および第2のn型領域に隣接しかつゲート接点の下方へ広がるように前記p型ベース層内および前記n型ドリフト層内に形成されたp型炭化ケイ素の連続領域を構成する、請求項4記載のユニットセル。
  6. 側壁が60°未満の勾配を有する、請求項4または5記載のユニットセル。
  7. 側壁の勾配は、前記n型炭化ケイ素ドリフト層内の予め定めた深さにp型イオンが打込まれたとき炭化ケイ素の第2のp型領域が得られるように選択された、請求項4、5または6記載のユニットセル。
  8. 前記メサは、2つの側壁とその間に形成されるステップを含み;
    炭化ケイ素の第1および第2のp型領域は、以下のように特徴付けられる:
    炭化ケイ素の第1のp型領域(90)は、p型エピタキシャルベース層内にこのステップに隣接して形成されている;および
    炭化ケイ素の第2のp型領域(88)は、p型ベース層に達する;
    請求項4、6または7記載のユニットセル。
  9. 第2のp型領域が前記n型炭化ケイ素ドリフト層の表面に露出するように形成され、導電性ストラップが第1のp型領域を第2のp型領域および第2のn型領域と接続した、請求項4、6または7記載のユニットセル。
  10. さらに、前記n型炭化ケイ素ドリフト層と前記ステップの間のメサの側壁上に形成されてステップ上へ広がった絶縁層(210)を含み、導電性ストラップがこの絶縁層上に形成された、請求項9記載のユニットセル。
  11. 第2のp型領域がゲート接点の下方へ3μm〜12μmの距離に広がった、請求項4〜10のいずれか1項記載のユニットセル。
  12. 前記第2のn型領域がn型炭化ケイ素ドリフト層内へ0.1μm〜0.5μmの深さにまで形成された、請求項4〜11のいずれか1項記載のユニットセル。
  13. 前記p型ベース層が0.3μm〜5μmの厚さを有する、請求項1〜12のいずれか1項記載のユニットセル。
  14. 前記n型炭化ケイ素ドリフト層が3μm〜500μmの厚さを有する、請求項1〜13のいずれか1項記載のユニットセル。
  15. 前記n型炭化ケイ素ドリフト層が1012〜1017cm-3のキャリヤー濃度を有する、請求項1〜14のいずれか1項記載のユニットセル。
  16. p型ベース層が1016〜1018cm-3のキャリヤー濃度を有する、請求項1〜15のいずれか1項記載のユニットセル。
  17. 請求項1〜16のいずれか1項記載の複数のユニットセルを含む、MOSバイポーラートランジスター。
  18. MOSバイポーラートランジスターの製造方法であって、
    n型伝導性バルク単結晶炭化ケイ素基板(10)上にn型炭化ケイ素ドリフト層(12)を形成し、このn型炭化ケイ素ドリフト層はn型炭化ケイ素基板より低いキャリヤー濃度を有し;
    n型炭化ケイ素ドリフト層上にp型炭化ケイ素ベース層(14)を形成し;
    前記p型ベース層の表面に前記p型ベース層内に、炭化ケイ素の第1のn型領域(18)、及び、エミッタ領域となる炭化ケイ素の第2のn型領域(20)を形成し;
    前記ベース層の表面の前記ベース層内に、前記第1のn型領域と前記第2のn型領域の間に、前記第1のn型領域との間に導電性トンネル接合が形成されるように、前記第1のn型領域に隣接して配置されるとともに前記p型ベース層(14)のキャリヤー濃度より高いキャリヤー濃度を有し、前記ゲート接点(26)に電圧が印加された際に前記第1のn型領域(18)を通る電子電流を前記p型ベース層(14)に注入するための正孔電流に変換する炭化ケイ素のp型領域(22)を形成し、
    前記p型ベース層を通って、前記第1のn型領域から前記n型ドリフト層内へ広がったゲート溝(16)を形成し、これによりこの第1のn型領域の一部をゲート溝の側壁の一部とし;
    前記ゲート溝の底部および側壁上にかつ前記第1のn型領域上に絶縁層(24)を形成し;
    前記絶縁層上に形成されて第1のn型領域の一部の上方に広がるゲート接点(26)を形成し;
    炭化ケイ素の前記第2のn型領域上に形成されるエミッター接点(28)を形成し;そして
    前記n型炭化ケイ素ドリフト層の反対側の前記炭化ケイ素基板面上に形成されるコレクター接点(30)を形成することを含む方法。
  19. さらに、
    前記ゲート溝の底の前記n型炭化ケイ素ドリフト層内に形成され、p型ベース層のキャリヤー濃度より高いキャリヤー濃度を有する、炭化ケイ素のp型領域(32)を形成する工程を含む、請求項18記載の方法。
  20. さらに、
    前記ベース層内の前記p型領域と前記第1のn型領域との間を電気的に接続するように、当該第1のn型領域と当該p型領域の表面に導電性ストラップ(34)を形成する工程を含む、請求項18記載の方法。
  21. n型伝導性バルク単結晶炭化ケイ素基板上にn型炭化ケイ素ドリフト層を形成する工程が、n-ドリフト層上にn+層を付与するようにn-炭化ケイ素基板中にn型イオンを打込む工程を含む、請求項18記載の方法。
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