JP4141309B2 - 半導体装置およびその製造方法 - Google Patents
半導体装置およびその製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP4141309B2 JP4141309B2 JP2003110059A JP2003110059A JP4141309B2 JP 4141309 B2 JP4141309 B2 JP 4141309B2 JP 2003110059 A JP2003110059 A JP 2003110059A JP 2003110059 A JP2003110059 A JP 2003110059A JP 4141309 B2 JP4141309 B2 JP 4141309B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- insulating layer
- semiconductor layer
- layer
- semiconductor
- gate
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Images
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体装置およびその製造方法に関している。
【0002】
【従来の技術】
近年、禁制帯幅(バンドギャップ)が広い直接遷移型の半導体である酸化亜鉛(ZnO)をはじめとするII族酸化物やそのようなII族酸化物を主成分とした化合物半導体は、トランジスタや発光素子などの半導体装置に用いる材料として注目されている。
【0003】
半導体装置に適用可能な酸化亜鉛については、酸化亜鉛を半導体装置に用いた場合に酸化亜鉛が機能を発現するかを確認したり、その機能を向上させるために酸化亜鉛の材料レベルの開発を行ったり、または酸化亜鉛の成膜方法を開発するなどの種々の基礎的な研究開発が行われている。
【0004】
特許文献1には、任意の元素をドープした酸化亜鉛薄膜をより高品質で作製する方法が開示されている。この方法では、サファイヤやガラスなどの基板上にバッファ層を形成し、その上に低温で酸化亜鉛薄膜を形成する。
【0005】
また、特許文献2は、酸化亜鉛を用いて形成されたチャネル層を有する透明な電界効果トランジスタを開示している。
【0006】
【特許文献1】
特開2002−334874号公報
【特許文献2】
特開2002−319682号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上記のいずれの特許文献も、トランジスタや発光素子などの半導体装置に適用可能な酸化亜鉛の成膜方法や酸化亜鉛の特定の機能を記載しており、酸化亜鉛を用いた半導体装置自体の作製プロセスについて詳細に記述していなない。
【0008】
一方、酸化亜鉛を用いて形成された半導体層を有する電界効果型トランジスタは、半導体層のバンドギャップが可視光帯域の光エネルギよりも大きく、可視光を吸収しないため、光の照射を受けてもオフリーク電流は増大しないという利点を有する。そのため、このようなトランジスタは種々の半導体装置に好適に適用され得る。
【0009】
酸化亜鉛の半導体層を用いてトランジスタを形成する場合、半導体層とゲート絶縁層との界面を適切に制御することが重要な課題の一つである。これは、酸化亜鉛以外の半導体層を用いてトランジスタを形成する場合にも重要な課題である。半導体層とゲート絶縁層との界面またはその近傍における電子状態を適切に制御できれば、しきい値電圧やヒステリシス現象などのトランジスタの電気特性を改善できる。例えば、界面に過剰なイオンが存在すると、しきい値電圧がシフトしたり、界面に欠陥準位が存在するとヒステリシスが生じたりする。これらを防ぐためには、半導体層とゲート絶縁層との界面を、金属イオンや有機物などの汚染物質にさらさないようなTFTの構成および製造プロセスが必要である。
【0010】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、半導体層とゲート絶縁層との界面が適切に制御された電界効果型薄膜トランジスタを備えた、信頼性の高い半導体装置およびその製造方法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明による半導体装置は、基板と、前記基板の上に形成されたソース電極およびドレイン電極と、前記ソース電極の上面の少なくとも一部および前記ドレイン電極の上面の少なくとも一部に接触する半導体層と、前記半導体層の上に形成されたゲート電極と、前記半導体層と前記ゲート電極との間に形成されたゲート絶縁層とを備え、前記ゲート絶縁層は、前記半導体層の上面と接する第1絶縁層と、前記第1絶縁層の上に形成された第2絶縁層とを有しており、前記第1絶縁層は前記半導体層と略同一の形状を有し、前記第2絶縁層は前記ゲート電極と略同一の形状を有し、前記第2絶縁層および前記ゲート電極は、前記半導体層および前記第1絶縁層を覆っており、そのことにより上記目的が達成される。
【0012】
ある好ましい実施形態において、前記半導体層はZnOまたはZnOを主成分とする化合物を含む。
【0013】
前記第1絶縁層および/または前記第2絶縁層は、SiO2、Al2O3、およびSiNx(0<x<3)からなる群から選択された少なくとも1つの絶縁材料から形成されていることが好ましい。
【0014】
本発明の製造方法は、(a)ソース電極およびドレイン電極が形成された基板を用意する工程と、(b)前記ソース電極および前記ドレイン電極の上に、半導体膜と第1絶縁材料の膜とを連続して形成する工程と、(c)前記半導体膜と前記第1絶縁材料の膜とを同時にパターニングすることにより、前記ソース電極の上面の少なくとも一部および前記ドレイン電極の上面の少なくとも一部と接触する半導体層と、第1絶縁層とをそれぞれ形成する工程と、(d)前記第1絶縁層の上に、第2絶縁材料の膜と第1導電材料の膜とを連続して形成する工程と、(e)前記第2絶縁材料の膜と前記第1導電材料の膜とを同時にパターニングすることにより、前記第2絶縁材料の膜から形成された第2絶縁層と前記第1絶縁層とを含むゲート絶縁層と、ゲート電極とをそれぞれ形成する工程とを包含し、前記第2絶縁層および前記ゲート電極は、前記半導体層および前記第1絶縁層を覆うことを特徴とし、そのことにより上記目的が達成される。
【0015】
ある好ましい実施形態において、前記工程(a)は、基板の上に第2導電材料の膜を形成する工程と、前記第2導電材料の膜をパターニングすることにより、前記ソース電極、前記ドレイン電極、およびソースバスラインを同時に形成する工程とを含み、前記工程(e)において、前記第1導電材料の膜をパターニングすることにより、ゲートバスラインが形成される。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながら、本発明による半導体装置の実施形態を説明する。本実施形態は、液晶ディスプレイパネルなどに適用されるアクティブマトリクス基板である。なお、本発明はアクティブマトリクス基板に限定されない。本明細書における「半導体装置」の用語は、基板上に形成された薄膜トランジスタなどの半導体素子そのものだけでなく、薄膜トランジスタなどの半導体素子を含む装置(アクティブマトリクス基板、アクティブマトリクス基板を備えた各種表示装置などを含む)を広く指し示すものとする。
【0017】
図5および図6は、それぞれ本実施形態のアクティブマトリクス基板における薄膜トランジスタの模式的な平面図および断面図である。本実施形態のアクティブマトリクス基板上には行および列からなるマトリクス状に配列された複数の薄膜トランジスタが形成されているが、簡単のため、それらの複数の薄膜トランジスタのうちの単一の薄膜トランジスタに着目して本実施形態を詳述する。従って、上記図面には、本実施形態のアクティブマトリクス基板上の単一の薄膜トランジスタのみが記載されている。
【0018】
図5および図6に示すアクティブマトリクス基板20は、基板1と、基板1の上に形成された薄膜トランジスタ21とを有している。基板1には、薄膜トランジスタ21のソース電極2およびドレイン電極3が設けられている。ソース電極2はソースバスライン4と接続されており、ドレイン電極3は画素電極5と接続されている。ソース電極2とドレイン電極3との間には、半導体層6が形成されている。半導体層6は、ソース電極2の上面の一部およびドレイン電極3の上面の一部と接するように形成されている。半導体層6は、積層構造を有するゲート絶縁層11に覆われている。ゲート絶縁層11は例えば、第1絶縁層7と、第1絶縁層の上に形成された第2絶縁層8とを有している。第1絶縁層7は、半導体層6の上面と接し、半導体層6と略同一の形状を有するように形成されている。また、第2絶縁層8は、第1絶縁層7および半導体層6を覆うように形成されている。なお、ゲート絶縁層11は、第1絶縁層7と第2絶縁層8との間に1または2以上の他の層を有していてもよい。第2絶縁層8の上には、第2絶縁層8と略同一の形状(平面レイアウト)を有するゲート電極9が形成されている。ゲート電極9は、ゲートバスライン10と接続されている。
【0019】
半導体層6は、例えばZnOを用いて形成されている。ZnOは、バンドギャップが3eVを超える化合物半導体であり、可視光を透過する。透過型の液晶表示装置に用いるアクティブマトリクス基板は、背面側に可視光の光源(バックライト)を配置するため、図示されている薄膜トランジスタもバックライトからの光で照射されることになる。従来のようにシリコンを用いて形成した薄膜トランジスタの場合、バックライトからの光が薄膜トランジスタを照射しないように遮光膜を適切に配置する必要があるが、ZnOを用いた薄膜トランジスタでは、そのような必要はない。なお、半導体層6は、ZnOを含む化合物半導体を用いて形成されていてもよい。または、半導体層6は、他のII族酸化物(酸化カドミウムなど)を含む半導体やシリコンなどを用いて形成されていてもよい。
【0020】
従来のシリコンの半導体層を有する薄膜トランジスタでは、ゲート電極は半導体層全体を覆うように形成されていない。多くの場合、ゲート電極は半導体層のうちのチャネル領域は覆っているが、半導体層のソース領域やドレイン領域の少なくとも一部はゲート電極とオーバーラップしていない。ゲート電極がソース領域やドレイン領域を覆う(すなわちゲート電極がソース領域やドレイン領域全体とオーバーラップする)と、例えばブレイクダウンが発生し、良好なTFT特性が得られないからである。また、半導体層にソース領域やドレイン領域を形成する工程では、通常、ゲート電極をマスクとして半導体層に不純物をドープする。ゲート電極が半導体層全体を覆っていると、上記工程において、ゲート電極をマスクとして用いることができない。
【0021】
これに対し、本実施形態では、半導体層6全体がチャネル領域として機能しており、半導体層6にソース領域やドレイン領域は形成されていない。そのため、従来のシリコンを用いた薄膜トランジスタのようにゲート電極をマスクとして用いる必要がなく、またブレイクダウンなどを生じる懸念もないので、図に示すように、半導体層6をゲート電極9で覆う構成が可能となる。
【0022】
半導体層6は、ソース電極2およびドレイン電極3に用いられる導電性材料(金属材料など)とオーミック接合できる材料(例えばZnOなどのII族酸化物)を用いて形成されていることが好ましい。半導体層6の材料が、ソース電極2およびドレイン電極3とオーミック接合できるか否かは、例えばこれらの電極の材料との組み合わせによっても決まる。半導体層6と電極2、3とがオーミック接合できると、半導体層6中にソース領域やドレイン領域を設ける必要がなくなり、上述したような半導体層6をゲート電極9で覆う構成が可能になる。
【0023】
本実施形態の半導体装置における薄膜トランジスタは、上記のような構成を有しているので、半導体層6とゲート絶縁層11との界面を適切に制御できる。すなわち、半導体層6とゲート絶縁層11の第1絶縁層7との間に別の層が存在しないので、例えば真空中や不活性ガス中で、半導体層6と第1絶縁層7とを連続して成膜することが可能である。そのため、半導体層6の上面が大気にさらされることがないので、半導体層6と第1絶縁層7との界面を清浄に保つことができる。その結果、大気中の汚染物質に起因するTFT特性の低下を抑制でき、信頼性の高いTFTが得られる。
【0024】
また、本実施形態では、ゲート電極9は半導体層6を覆う平面レイアウトを有している。そのため、ゲート電極9と同一の形状を有する第2絶縁層は、半導体層6の側面を覆う保護層となる。こうして、半導体層6の上面が第1絶縁層7によって、半導体層6の側面は電極2、3および第2絶縁層8によって、それぞれ覆われている。つまり、半導体層6全体を覆う保護層が形成されている。半導体層6は、半導体層6と接する雰囲気によって経時劣化を起こす可能性があるが、本実施形態のように半導体層6が保護層によって完全に覆われていると、半導体層6はそのような経時劣化を起こしにくい。従って、半導体層6を適切に保護し、安定させることができる。
【0025】
さらに、半導体層6と第1絶縁層7とは同一の形状を有するので、同一のマスクを用いて、フォトリソグラフィ法でこれらをパターニングすることができる。同様に、第2絶縁層7とゲート電極9とは同一の形状を有するので、同一のマスクを用いてこれらを同時にパターニングすることができる。これにより、製造プロセスの工程数を削減できる。さらには、設備投資の削減、レジスト使用量の削減、工程人員の削減、歩留まり向上などにつながるため、製造コストを低減できる。
【0026】
次に、図5および図6に示す薄膜トランジスタの製造方法を説明する。図1〜図4は、薄膜トランジスタを製造する各工程を説明するための模式的な平面図または断面図である。
【0027】
まず、基板1の上に、DCスパッタ成膜方法などの薄膜堆積技術を用いて、ITO(Indium Tin Oxide)膜などの導電膜(厚さ:例えば100nm)を堆積する。この後、導電膜の上に、ソース電極2、ドレイン電極3、ソースバスライン4および画素電極5の形状を規定するレジストマスク(「レジストマスクA」とする)を形成する。レジストマスクAは、公知のフォトリソグラフィ技術によってフォトレジスト材料を露光・現像することによって作製される。次に、導電膜のうちレジストマスクAに覆われていない部分をウェットエッチングにより除去することにより、導電膜をパターニングした後、レジストマスクAを除去する。こうして、図1および図2に示すように、基板1の上にソース電極2、ドレイン電極3、ソースバスライン4および画素電極5を一括形成することができる。
【0028】
次に、CVD法やスパッタ法などの薄膜堆積技術により、基板1の上に、ZnO膜(厚さ:例えば100nm)と酸化シリコン(SiO2)膜(厚さ:例えば50nm)とを連続して堆積する。これらの膜の堆積は真空中で行うので、ZnO膜の表面が大気にさらされることはない。この後、SiO2膜上に島状の半導体層6の形状を規定するレジストマスク(「レジストマスクB」とする)をフォトリソグラフィ技術により形成する。次いで、ZnO膜およびSiO2膜のうち、レジストマスクBに覆われていない部分をウェットエッチングにより除去する。この後レジストマスクBを除去する。これにより、図3および図4に示すように、基板1の上に略同一の形状(すなわち略同一の平面レイアウト)を有する半導体層6および第1絶縁層7を形成することができる。
【0029】
次いで、基板1の上に、SiO2膜(厚さ:例えば200nm)を堆積し、その上にAl膜などの導電膜(厚さ:例えば100nm)を堆積する。導電膜の上に、フォトリソグラフィ技術により、ゲート電極9とゲートバスライン10のパターンを規定するレジストマスク(「レジストマスクC」とする)を形成する。ここで、ゲート電極9のパターンは、半導体層6および第1絶縁層7を覆うように規定する。次に、SiO2膜および導電膜のうちレジストマスクCで覆われてない部分をウェットエッチングにより除去することにより、これらの膜をパターニングする。この後、レジストマスクCを除去する。これにより、図5および図6に示すように、第2絶縁層8、ゲート電極9およびゲート電極9と接続されたゲートバスライン10を同時に形成することができる。このように形成された第2絶縁層8とゲート電極9とは、略同一の形状(略同一の平面レイアウト)を有し、かつ半導体層6および第1絶縁層7を覆う。こうして、本実施形態における薄膜トランジスタが得られる。
【0030】
本実施形態における基板1は、例えば液晶表示装置用の無アルカリガラスから形成されている。基板1は、ガラスやプラスチックなどの透明材料から形成することが好ましいが、用途によっては、必ずしも透明な絶縁性材料から形成される必要はない。
【0031】
ソース電極2、ドレイン電極3および画素電極5の材料として、ITOなどの透明導電性材料やAlなどの金属材料などを用いることができる。なお、これらの電極は積層構造を有していてもよく、例えばAl層とチタニウム(Ti)層とを含んでいてもよい。
【0032】
本実施形態におけるゲート絶縁層11の第1絶縁層7および第2絶縁層8は、酸化シリコン(SiO2)から形成されているが、本発明はこれに限定されない。第1絶縁層7および/または第2絶縁層8は、半導体層6を保護できる絶縁材料(例えば酸化アルミニウム、窒化シリコンなど)から形成されていればよい。特に、第1絶縁層7の絶縁材料は、半導体層6の材料に応じて適宜選択されることが好ましい。
【0033】
ゲート電極9の材料はアルミニウム(Al)に限定されず、他の金属材料やITOなどの透明導電材料であってもよい。
【0034】
本実施形態における薄膜トランジスタの製造方法によれば、半導体層6と第1絶縁層7とを大気中に暴露することなく連続して堆積するので、半導体層6と第1絶縁層7との界面を清浄に保つことができる。また、半導体層6は、上面は絶縁層(第1絶縁層7)、側面は絶縁層(第2絶縁層8)および電極2、3にカバーされているので、安定化される。
【0035】
また、本実施形態の製造方法によれば、製造工程で使用するマスク枚数を削減できるので、製造工程数や製造コストの観点から有利である。すなわち、本実施形態では、ソース電極2、ソースバスライン4、ドレイン電極3および画素電極5は、レジストマスクAを用いて同一の導電膜から形成され、半導体層6とゲート絶縁層11の第1絶縁層7とは、レジストマスクBを用いて同時に形成され、ゲート絶縁層11の第2絶縁層8とゲート電極9とゲートバスライン10とは、レジストマスクCを用いて同時に形成される。このように、合計3枚のマスクパターンを用いるだけで薄膜トランジスタが形成できるので、製造工程数や製造コストを低減できる。なお、本実施形態で製造される薄膜トランジスタでは、使用するマスク枚数が少なくても半導体層を十分に保護できる構造を形成できるので、要求されるTFT特性が得られる。
【0036】
次に、本実施形態における薄膜トランジスタの特性を、従来の薄膜トランジスタの特性と比較したので、その結果を説明する。本実施形態における薄膜トランジスタとして、TFTサンプル2およびTFTサンプル3を用いる。TFTサンプル2では、半導体層6の材料としてZnO、ゲート絶縁層11の第1絶縁層7および第2絶縁層8の材料としてSiO2を用いている。TFTサンプル3では、半導体層6の材料としてZnO、ゲート絶縁層11の第1絶縁層7の材料としてAl2O3、ゲート絶縁層11の第2絶縁層8の材料としてSiO2を用いている。TFTサンプル2および3は、上記以外の点(上記以外の構成要素の材料、各層や電極の形状および厚さなど)では同様の構成を有している。
【0037】
一方、従来の薄膜トランジスタとして、アモルファスシリコンの半導体層を有するTFTサンプル1を用いる。TFTサンプル1は、図7に示すような一般的な逆スタガ型構造を有している。基板31の上に、ゲート層(タンタル)32が形成され、ゲート層を覆うようにゲート絶縁層(SiNx)33が形成されている。ゲート絶縁層33の上には、アモルファスシリコン層34が形成されている。アモルファスシリコン層34は、チャネル領域とソース領域およびドレイン領域とを有し、ソース領域およびドレイン領域はそれぞれコンタクト層(リンドープシリコン)35を介して、ソース電極(アルミニウム)36およびドレイン電極(アルミニウム)37と接続されている。このTFTサンプル1は、TFTサンプル2および3と概ね同等の性能(しきい値電圧、オンオフ比)を示す。
【0038】
薄膜トランジスタの重要な特性の一つは、図8に示すようなId−Vg特性である。Id−Vg特性は、ゲート電圧(Vg)に対するソース・ドレイン間の電流(Id)の変化を示す。一般に、薄膜トランジスタのId−Vg特性は、しきい値電圧、移動度、オンオフ比およびヒステリシスによって特徴付けることができる。しきい値電圧は、電流Idの立ち上がりの電圧値である。移動度は、単位電界を加えたときのキャリアの速度である。オンオフ比は、薄膜トランジスタのオン時とオフ時との電流Idの比である。ヒステリシスは、電圧Vgの上昇時と下降時とのしきい値電圧の差である。
【0039】
上記の各TFTサンプルにおけるしきい値電圧、移動度、オンオフ比およびヒステリシスを表1に示す。
【0040】
【表1】
【0041】
表1から、本実施形態における薄膜トランジスタは、従来のアモルファスシリコンを用いた薄膜トランジスタと比べて、特に移動度の点で優れていることがわかる。これは、主にZnOがアモルファスシリコンよりも高い移動度を有することによる。なお、ここでは、ゲート絶縁層11(第1絶縁層7)の材料としてSiO2またはAl2O3を用いているが、代わりにSiNx(0<x<3)を用いても、同様に良好な特性を有する薄膜トランジスタが得られる。
【0042】
また、TFTサンプル2とTFTサンプル3とを比較すると、TFTサンプル3では、移動度およびヒステリシスが改善されていることがわかる。従って、半導体層6をZnOから形成する場合、第1絶縁層7をAl2O3から形成すると、より高い特性を有する薄膜トランジスタが得られることがわかる。なお、半導体層6は環境(応力など)によってヒステリシス、移動度などの特性が変化し得るため、好適な第1絶縁層の材料は半導体層の材料や組成によって異なる。従って、半導体層の材料に応じて、第1絶縁層の材料を適宜選択することが好ましい。
【0043】
【発明の効果】
本発明によれば、半導体層とゲート絶縁層との界面が適切に制御された電界効果型薄膜トランジスタを備えた、信頼性の高い半導体装置を提供することができる。本発明における薄膜トランジスタは、半導体層が絶縁層によって適切に保護されているので安定したTFT特性を有している。さらに、本発明における薄膜トランジスタは、製造工程で用いるマスクの数を低減できる構成を有している。
【0044】
また、本発明によれば、上記のような半導体装置を、工程数を増やしたり、製造コストを増大させたりすることなく、簡便に製造する方法を提供することができる。特に、製造工程で用いるマスクの数を最小にできる。
【0045】
本発明は、特に、ZnOなどのII族酸化物を用いて形成された半導体層を有する薄膜トランジスタ、およびそのような薄膜トランジスタを備えたアクティブマトリクス基板、液晶表示装置、EL表示装置などに好適に適用される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による実施形態における薄膜トランジスタの製造方法を示す工程平面図である。
【図2】本発明による実施形態における薄膜トランジスタの製造方法を示す工程断面図である。
【図3】本発明による実施形態における薄膜トランジスタの製造方法を示す工程平面図である。
【図4】本発明による実施形態における薄膜トランジスタの製造方法を示す工程断面図である。
【図5】本発明による実施形態における薄膜トランジスタの構成を模式的に示す平面図である。
【図6】本発明による実施形態における薄膜トランジスタの構成を模式的に示す断面図である。
【図7】従来の薄膜トランジスタの構成を模式的に示す断面図である。
【図8】トランジスタのId−Vg特性を説明するための図である。
【符号の説明】
1 基板
2 ソース電極
3 ドレイン電極
4 ソースバスライン
5 画素電極
6 半導体層
7 ゲート絶縁層の第1絶縁層
8 ゲート絶縁層の第2絶縁層
9 ゲート電極
10 ゲートバスライン
11 ゲート絶縁層
20 アクティブマトリクス基板
21 薄膜トランジスタ
Claims (5)
- 基板と、
前記基板の上に形成されたソース電極およびドレイン電極と、
前記ソース電極の上面の少なくとも一部および前記ドレイン電極の上面の少なくとも一部に接触する半導体層と、
前記半導体層の上に形成されたゲート電極と、
前記半導体層と前記ゲート電極との間に形成されたゲート絶縁層と
を備え、
前記ゲート絶縁層は、前記半導体層の上面と接する第1絶縁層と、前記第1絶縁層の上に形成された第2絶縁層とを有しており、前記第1絶縁層は前記半導体層と略同一の形状を有し、前記第2絶縁層は前記ゲート電極と略同一の形状を有し、
前記第2絶縁層および前記ゲート電極は、前記半導体層および前記第1絶縁層を覆う、半導体装置。 - 前記半導体層はZnOまたはZnOを主成分とする化合物を含む、請求項1に記載の半導体装置。
- 前記第1絶縁層および/または前記第2絶縁層は、SiO2、Al2O3、およびSiNx(0<x<3)からなる群から選択された少なくとも1つの絶縁材料から形成されている、請求項1または2に記載の半導体装置。
- (a)ソース電極およびドレイン電極が形成された基板を用意する工程と、
(b)前記ソース電極および前記ドレイン電極の上に、半導体膜と第1絶縁材料の膜とを連続して形成する工程と、
(c)前記半導体膜と前記第1絶縁材料の膜とを同時にパターニングすることにより、前記ソース電極の上面の少なくとも一部および前記ドレイン電極の上面の少なくとも一部と接触する半導体層と、第1絶縁層とをそれぞれ形成する工程と、
(d)前記第1絶縁層の上に、第2絶縁材料の膜と第1導電材料の膜とを連続して形成する工程と、
(e)前記第2絶縁材料の膜と前記第1導電材料の膜とを同時にパターニングすることにより、前記第2絶縁材料の膜から形成された第2絶縁層と前記第1絶縁層とを含むゲート絶縁層と、ゲート電極とをそれぞれ形成する工程と
を包含し、
前記第2絶縁層および前記ゲート電極は、前記半導体層および前記第1絶縁層を覆う、製造方法。 - 前記工程(a)は、
基板の上に第2導電材料の膜を形成する工程と、
前記第2導電材料の膜をパターニングすることにより、前記ソース電極、前記ドレイン電極、およびソースバスラインを同時に形成する工程と
を含み、
前記工程(e)において、前記第1導電材料の膜をパターニングすることにより、ゲートバスラインが形成される、請求項4に記載の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003110059A JP4141309B2 (ja) | 2003-04-15 | 2003-04-15 | 半導体装置およびその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003110059A JP4141309B2 (ja) | 2003-04-15 | 2003-04-15 | 半導体装置およびその製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004319673A JP2004319673A (ja) | 2004-11-11 |
JP4141309B2 true JP4141309B2 (ja) | 2008-08-27 |
Family
ID=33471017
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2003110059A Expired - Fee Related JP4141309B2 (ja) | 2003-04-15 | 2003-04-15 | 半導体装置およびその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP4141309B2 (ja) |
Families Citing this family (25)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2006269469A (ja) * | 2005-03-22 | 2006-10-05 | Casio Comput Co Ltd | 薄膜トランジスタおよびその製造方法 |
US8030643B2 (en) * | 2005-03-28 | 2011-10-04 | Semiconductor Energy Laboratory Co., Ltd. | Memory device and manufacturing method the same |
JP2007073561A (ja) * | 2005-09-02 | 2007-03-22 | Kochi Prefecture Sangyo Shinko Center | 薄膜トランジスタ |
JP4958253B2 (ja) * | 2005-09-02 | 2012-06-20 | 財団法人高知県産業振興センター | 薄膜トランジスタ |
JP4907942B2 (ja) * | 2005-09-29 | 2012-04-04 | シャープ株式会社 | トランジスタおよび電子デバイス |
JP2007115735A (ja) * | 2005-10-18 | 2007-05-10 | Toppan Printing Co Ltd | トランジスタ |
JP2007115807A (ja) * | 2005-10-19 | 2007-05-10 | Toppan Printing Co Ltd | トランジスタ |
JP5250930B2 (ja) * | 2005-12-07 | 2013-07-31 | 凸版印刷株式会社 | トランジスタおよびその製造方法 |
US7576394B2 (en) * | 2006-02-02 | 2009-08-18 | Kochi Industrial Promotion Center | Thin film transistor including low resistance conductive thin films and manufacturing method thereof |
JP5015473B2 (ja) * | 2006-02-15 | 2012-08-29 | 財団法人高知県産業振興センター | 薄膜トランジスタアレイ及びその製法 |
JP2007287890A (ja) * | 2006-04-14 | 2007-11-01 | Kochi Univ Of Technology | 絶縁膜の成膜方法、半導体装置の製法、プラズマcvd装置 |
JP5228295B2 (ja) * | 2006-07-21 | 2013-07-03 | カシオ計算機株式会社 | 半導体装置の製造方法 |
JP5228298B2 (ja) * | 2006-08-04 | 2013-07-03 | カシオ計算機株式会社 | 半導体薄膜の加工方法及び半導体装置の製造方法 |
JP4609797B2 (ja) | 2006-08-09 | 2011-01-12 | Nec液晶テクノロジー株式会社 | 薄膜デバイス及びその製造方法 |
JP5128792B2 (ja) * | 2006-08-31 | 2013-01-23 | 財団法人高知県産業振興センター | 薄膜トランジスタの製法 |
JP5111867B2 (ja) | 2007-01-16 | 2013-01-09 | 株式会社ジャパンディスプレイイースト | 表示装置 |
JP5442234B2 (ja) | 2008-10-24 | 2014-03-12 | 株式会社半導体エネルギー研究所 | 半導体装置及び表示装置 |
JP5403464B2 (ja) * | 2009-08-14 | 2014-01-29 | Nltテクノロジー株式会社 | 薄膜デバイス及びその製造方法 |
KR101800854B1 (ko) * | 2009-11-20 | 2017-11-23 | 가부시키가이샤 한도오따이 에네루기 켄큐쇼 | 트랜지스터 |
WO2011062057A1 (en) * | 2009-11-20 | 2011-05-26 | Semiconductor Energy Laboratory Co., Ltd. | Semiconductor device |
KR20110069454A (ko) * | 2009-12-17 | 2011-06-23 | 한국전자통신연구원 | 박막 트랜지스터 및 그 형성방법 |
US9490368B2 (en) * | 2010-05-20 | 2016-11-08 | Semiconductor Energy Laboratory Co., Ltd. | Semiconductor device and manufacturing method of the same |
WO2011145633A1 (en) | 2010-05-21 | 2011-11-24 | Semiconductor Energy Laboratory Co., Ltd. | Semiconductor device |
JP5668917B2 (ja) | 2010-11-05 | 2015-02-12 | ソニー株式会社 | 薄膜トランジスタおよびその製造方法 |
JP2015181166A (ja) * | 2015-04-14 | 2015-10-15 | 株式会社半導体エネルギー研究所 | 表示装置 |
Family Cites Families (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH0850306A (ja) * | 1994-08-08 | 1996-02-20 | Toshiba Corp | 薄膜トランジスタおよびその製造方法 |
JP5187994B2 (ja) * | 2001-05-10 | 2013-04-24 | ティーピーオー ホンコン ホールディング リミテッド | 薄膜トランジスタの製造方法並びにそのような製造方法を用いて製造された薄膜トランジスタ及び液晶表示パネル |
JP4090716B2 (ja) * | 2001-09-10 | 2008-05-28 | 雅司 川崎 | 薄膜トランジスタおよびマトリクス表示装置 |
-
2003
- 2003-04-15 JP JP2003110059A patent/JP4141309B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2004319673A (ja) | 2004-11-11 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP4141309B2 (ja) | 半導体装置およびその製造方法 | |
JP5209146B2 (ja) | 半導体装置およびその製造方法 | |
US7863607B2 (en) | Thin film transistor array panel and manufacturing method thereof | |
US10297694B2 (en) | Semiconductor device and method for manufacturing same | |
TWI538210B (zh) | 半導體裝置及其製造方法 | |
US9214533B2 (en) | Semiconductor device having transparent electrodes | |
US9613990B2 (en) | Semiconductor device and method for manufacturing same | |
WO2013137045A1 (ja) | 半導体装置およびその製造方法 | |
US20120199891A1 (en) | Semiconductor device and method for manufacturing same | |
US9142682B2 (en) | Thin film transistor and manufacturing method thereof | |
US20120223308A1 (en) | Thin-film transistor, process for production of same, and display device equipped with same | |
US9276126B2 (en) | Semiconductor device and method for producing same | |
US20190296050A1 (en) | Active matrix substrate and method for manufacturing same | |
US11721704B2 (en) | Active matrix substrate | |
WO2015137337A1 (ja) | 半導体装置およびその製造方法 | |
KR102567484B1 (ko) | 박막 트랜지스터, 이를 포함하는 박막 트랜지스터 표시판 및 그 제조 방법 | |
TWI559554B (zh) | 半導體裝置及其製造方法 | |
WO2013151002A1 (ja) | 半導体装置およびその製造方法 | |
KR20140081413A (ko) | 박막 트랜지스터 표시판 및 그 제조 방법 | |
US11791345B2 (en) | Active matrix substrate and method for manufacturing same | |
US20230075289A1 (en) | Active matrix substrate and method for manufacturing same | |
US20220285405A1 (en) | Active matrix substrate and manufacturing method thereof | |
JP2022191755A (ja) | 半導体装置 | |
JP2024001482A (ja) | アクティブマトリクス基板および表示装置 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20050810 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20080424 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20080507 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20080515 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20080610 |
|
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20080610 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110620 Year of fee payment: 3 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 4141309 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110620 Year of fee payment: 3 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120620 Year of fee payment: 4 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120620 Year of fee payment: 4 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130620 Year of fee payment: 5 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130620 Year of fee payment: 5 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |