JP4139519B2 - 焼成用インキ組成物 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、形成されるパターンや膜の厚みの厚い、特に線幅にくらべて高さの高いパターンを形成するのに適した焼成用インキ組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
既に実用化が開始されているプラズマディスプレイは、薄型・大画面のものが得やすいところから、種々の改良が進んでいる。大別するとプラズマディスプレイには、AC型とDC型とがあるが、いずれにおいても、プラズマディスプレイを構成する2枚のガラス板の間に、微細な空間ごとに気体放電を起こすためのリブと呼ばれる隔壁を形成する必要がある。
通常、プラズマディスプレイ中のリブは、低融点ガラス中にアルミナ等の金属酸化物が分散したものから構成されている。リブの形成のためには、低融点ガラス粉、無機質充填剤粉末、および溶剤に溶解した樹脂溶液等を混練して得られるインキ組成物を用いて印刷するほか、樹脂溶液の代わりに感光性樹脂を使用して得たインキ組成物を一様に塗布しておき、塗布後、ドライフィルムと呼ばれる感光性レジストを積層し、露光・現像してレジストパターンを形成した後、サンドブラストによって不要部を除去する方法もある。インキ組成物の一様な塗布の代わりに、予め別のフィルム上に塗布しておいたものをガラス面に適用することもある。
パターン形成後、焼成炉に通して、樹脂分および溶剤分を燃焼させて除去すると共に、低融点ガラス粉を溶融させることにより、リブを形成する。
【0003】
このように、リブを形成する基本的な素材と、それを用いたリブの形成方法とに関しては、一応の確立がなされている。しかし、上記のいずれの方法を採用するにせよ、印刷された、または塗布された塗膜は取扱いに支障が無い程度に乾燥(最終的な工程では、別途に、400〜600°C程度の温度で焼成する)させる必要があり、乾燥により問題点が生じる。例えば、(1)120〜200°Cで30分程度の乾燥を行なうため、乾燥時に塗膜に当たる風の影響により塗膜表面に風紋状(山の尾根が幾筋も曲線状態に連なった状態)の艶ムラないし凹凸が生じ、所定の高さの一様なリブが得られず、プラズマディスプレイのパネル中の微細な空間を形成して、気体放電を起こさせるべきリブの機能が不完全になる。(2)乾燥を赤外線によって行なっても、蒸発した溶剤を除去するための吸気が必要であり、吸気によって起こる空気の動きが、微風であっても、風紋状の艶ムラないし凹凸が生じる。特にサンドブラストを利用する場合には、厚み100μm程度の非常に厚い膜を乾燥させるときに、風紋状の艶ムラないし凹凸が生じやすい。これらの風紋状の艶ムラないし凹凸は、プラズマディスプレイパネルの背面板の外観上のムラとなる上、凹凸がそのまま高さのムラとなるため、前面板との貼り合わせの際に問題を生じると共に、プラズマディスプレイ使用時に放電不良の原因となる。また、サンドブラストを利用する場合には、削られる程度が均一にならないため、リブの幅のバラツキを生じる。この凹凸は、粉末としてガラスフリットだけでなく、顔料や骨材となる無機質充填剤等の粉末を多量に配合する場合に特に生じやすい。また、これらの欠点とは別に、サンドブラストを行なう方法においては、サンドブラストを行なった後に、シャワー水洗し、その後、アルカリ液を作用させてドライフィルムを剥離し、さらに、アルカリ分の除去を目的としたシャワー水洗を行なう等の工程を行なう必要があるが、これらのいずれかの工程で、リブの一部が除かれたり、倒れる欠点があり、密着性の改善と共に、水の浸透を回避する方策が必要である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明においては、上記の従来の技術の欠点を改善するため、一つには、塗膜の乾燥時に生じる塗膜表面の風紋(山の尾根が幾筋も曲線状態に連なった形状の凹凸)の解消を課題とする。
また、本発明においては、もう一つ、水洗やアルカリ液への浸漬の際に生じるリブの一部が除かれたり、倒れる欠点の解消をも課題とする。
【0005】
【課題を解決する手段】
上記の課題を解決するため、従来、使用していたインキ組成物中に分散安定剤を添加して、塗膜の乾燥時に生じる風紋状の凹凸の解消ができた。
また、インキ組成物中にカップリング剤を適用することにより、水洗やアルカリ浸漬の際にリブが損なわれることが解消された。
【0006】
発明は、プラズマディスプレイパネルの背面板のリブをサンドブラスト法で形成するためのリブ焼成用インキ組成物であって、該インキ組成物は、低融点ガラス粉末100重量部、無機質充填剤粉末5〜50重量部、顔料5〜20重量部、下記Aの範囲から選ばれた樹脂1〜30重量部、溶剤20〜90重量部、ならびに、分散安定剤0.05〜5重量部およびシランカップリング剤0.05〜5重量部が溶解ないし分散している焼成用インキ組成物。
A:セルロース誘導体であるエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、ニトロセルロース、酢酸セルロース、酪酸セルロース、ポリビニルホルマール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、各種アクリル樹脂、ポリエステル系樹脂(例えば、アルキッド樹脂)、に関するものである。
上記発明において、無機質充填剤粉末が、ジルコン、ジルコニア、アルミナ、チタニア、シリカ、酸化チタン、マグネシア、ムライト、コージェライト(もしくはコージーライト)、炭化ケイ素、窒化アルミニウム、もしくはチタン酸バリウム等の酸化物系もしくは非酸化物系のセラミックスからなる、ようにでき、分散安定剤が、リン酸エステル、不飽和ポリカルボン酸、脂肪族系多価カルボン酸、から選ばれたものである、ようにでき、シランカップリング剤が、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランである、ようにすることもできる。
【0007】
【発明の実施の形態】
インキ組成物に用いるバインダー用の樹脂としては、セルロース誘導体であるエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、ニトロセルロース、酢酸セルロース、または酪酢酸セルロース等が適しているほか、ポリビニルホルマール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、各種のアクリル樹脂、またはポリエステル系樹脂(例えば、アルキッド樹脂等)等も使用できる。
【0008】
インキ組成物に用いる溶剤としては、取扱上の観点から高沸点のものが好ましく、α−、β−、もしくはγ−テルピネオールのようなテルペン類、エチレングリコールモノアルキルエーテル類、エチレングリコールジアルキルエーテル類、ジエチレングリコールモノアルキルエーテル類、ジエチレングリコールジアルキルエーテル類、エチレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類、エチレングリコールジアルキルエーテルアセテート類、ジエチレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類、ジエチレングリコールジアルキルエーテルアセテート類、プロピレングリコールモノアルキルエーテル類、プロピレングリコールジアルキルエーテル類、プロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類、プロピレングリコールジアルキルエーテルアセテート類、メタノール、エタノール、イソプロパノール、2−エチルヘキサノール、1−ブトキシ−2−プロパノール等のアルコールを単独で、または任意に選択した2種類以上を混合して使用する。
これらのうち、比較的分子量が大きく、粘度の高いものを使用するときは、樹脂を添加せずに粉末等の微粒子を混ぜてインキ化することも可能である。
【0009】
上記した樹脂と高沸点溶剤とは、溶解性を考慮して選択した上で、溶解して樹脂溶液とし、この中に種々の添加剤や粉末状の粒子を溶解ないし分散させ、インキ組成物とするが、液体状の電離放射線硬化性化合物であるモノマー、オリゴマー、またはプレポリマー、特にモノマーまたはオリゴマーを、樹脂溶液に替えて使用することもできる。電離放射線硬化性化合物を使用するときは、電離放射線を照射して架橋硬化させる。
モノマーの例としては、スチレン、α−メチルスチレン等のスチレン系モノマー、アクリル酸メチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸メトキシエチル、アクリル酸ブトキシエチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸メトキシブチル、アクリル酸フェニル等のアクリル酸エステル類、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸メトキシエチル、メタクリル酸エトキシメチル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ラウリル等のメタクリル酸エステル類、アクリル酸−2−(N,N−ジエチルアミノ)エチル、アクリル酸−2−(N,N−ジメチルアミノ)エチル、アクリル酸−2−(N,N−ジベンジルアミノ)メチル、アクリル酸−2−(N,N−ジエチルアミノ)プロピル等の不飽和置換の置換アミノアルコールエステル類、アクリルアミド、メタクリルアミド等の不飽和カルボン酸アミド、エチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート等の化合物、ジプロピレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート等の多官能性化合物、及び/又は分子中に2個以上のチオール基を有するポリチオール化合物、例えばトリメチロールプロパントリチオグリコレート、トリメチロールプロパントリチオプロピレート、ペンタエリスリトールテトラチオグリコレート等がある。
オリゴマー、プレポリマーの例としては、不飽和ジカルボン酸と多価アルコールの縮合物等の不飽和ポリエステル類、ポリエステルメタクリレート、ポリエーテルメタクリレート、ポリオールメタクリレート、メラミンメタクリレート等のメタクリレート類、ポリエステルアクリレート、エポキシアクリレート、ウレタンアクリレート、ポリエーテルアクリレート、ポリオールアクリレート、メラミンアクリレート等のアクリレート、カチオン重合型エポキシ化合物がある。
上記の電離放射線硬化性化合物には、前に挙げた樹脂を添加して用いることもでき、粘度の調整ができるほか、得られるリブが固くなりすぎて脆くなるのを防ぐことが可能である。
【0010】
インキ組成物に用いる低融点ガラス粉末は、焼成後のリブにおいては、リブを構成するバインダーのような働きをするもので、そのガラス転移点(Tg)は、インキ組成物中の樹脂が焼成により完全に消失する温度以上でなければならず、また、低融点ガラス粉末の軟化点は、ガラスを基板としてリブを形成する際には基板のガラスが変形する温度以下でなければならない。
通常、低融点ガラス粉末のガラス転移点は350〜500℃、軟化点は400〜600℃である。
【0011】
インキ組成物に用いる分散安定剤としては、ポリカルボン酸(脂肪族系多価カルボン酸)もしくはその塩、リン酸エステル、ポリアミノアマイドリン酸もしくはその塩、またはポリアミノアマイドと高分子酸ポリエステルとの塩が適しており、これらのうちでも、リン酸エステルを主成分とする界面活性剤は、インキ組成物に塗布に適した流動性を与え、かつ、保存安定性を向上させる意味で特に好ましい。
【0012】
インキ組成物に用いるカップリング剤としては、シランカップリング剤、チタネートカップリング剤、もしくはアルミネートカップリング剤等の各種カップリング剤を使用することができ、中でも、反応性が高い事からシランカップリング剤を使用することが好ましい。
シランカップリング剤としては、ビニルトリクロルシラン、ビニルトリス(βメトキシエトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、もしくはγ−クロロプロピルトリメトキシシラン等がある。これらシランカップリング剤は、無機質材料と化学結合する反応基(メトキシ基、エトキシ基等)と各種合成樹脂等の有機質材料と化学結合する反応基(ビニル基、エポキシ基、アミノ基、メタクリル基、メルカプト基)を有しており、このため、通常では結びつきにくい有機質材料と無機質材料とを結び付ける働きが強い。
【0013】
インキ組成物には、用途による必要性に応じて、金属粉末、金属酸化物粉末、導電性物質粉末、誘電体粉末、顔料等を添加することができる。このうち、金属酸化物粉末は、骨材としても使用することができる。
【0014】
骨材は、焼成して形成されるリブの形態および強度を維持する役割を持つ。例えば、ジルコン、ジルコニア、アルミナ、チタニア、シリカ、酸化チタン、マグシア、ムライト、コージェライト(もしくはコージーライト)、炭化ケイ素、窒化アルミニウム、もしくはチタン酸バリウム等の酸化物系もしくは非酸化物系のセラミックスがある。ガラスも骨材の役割を果たす。金属粉末としては、プラズマディスプレイパネルの前面板に陰極を形成する際に用いるアルミニウム粉末、背面板のリブ電極を形成する際に用いるルテニウム等が用いられる。
【0015】
導電性物質粉末としては、金、銀、銅、クロム、ニッケル、アルミニウム等の金属粉末、In2 3 /Sn、ZnO/Al、TiOx 、K2 O・TiOx 、もしくはSnO2 /Sb等の導電性無機酸化物がある。
【0016】
誘電体粉末としては、その誘電率の大きさに応じて使い分ける事ができるが、チタニア、アルミナ、ジルコニア等の無機酸化物がある。
【0017】
インキ組成物には、着色の目的で、積極的に着色剤を添加することがある。焼成用の場合には焼成温度以上の温度での耐熱性があることが望ましく、無機質系の顔料が使用される。
顔料としては、2種以上の金属の酸化物からなる複合酸化物系顔料(金属としては、Cu、Co、Ni、Fe、Mn、Cu、Sb、As、Bi、Ti、Cd、Al、Ca、Si、Mg、もしくはBa等から2種以上選択される。)、酸化チタン、アルミナ、シリカ、マグネシア、チタン酸鉛、チタン酸カリウム、硫セレン化カドミウム、弁柄(Fe2 3 )、亜酸化銅、カドミウム水銀赤(CdS+HgS)、クロムバーミリオン、銀朱、アンチモン赤、ヨード赤、ジンクアイアンレッド、モリブデン赤、鉛丹、カドミウムレッド、クロムグリーン、亜鉛緑、コバルトグリーン、酸化クロム、ビリジアン、エメラルドグリーン群青、紺青、コバルトブルー、セルリアンブルー、硫化銅、チタンイエロー、チタンブラック、黒色酸化鉄(Fe3 4 )、黄色酸化鉄、カドミウムイエロー、もしくは黄鉛等が使用でき、目的に合わせて適宜に選択して用いる。
【0018】
インキ組成物中の各成分の配合は次のとおりである。
成分は、基本的に、樹脂、溶剤、および低融点ガラス粉末を共通な成分とし、これらに、分散安定剤、またはカップリング剤のいずれか、または両方が加わっている。
各成分の配合比は、低融点ガラス粉末100重量部を基準に、樹脂1〜30重量部、および溶剤20〜90重量部であり、さらに、分散安定剤0.05〜5重量部またはカップリング剤0.05〜5重量部が加わっているか、または分散安定剤およびカップリング剤の両方が加わっている。
【0019】
上記の配合における各成分の重量比の下限および上限の意味を次に述べる。
まず、樹脂が1重量部未満であると、インキとして十分な粘度が得られず、印刷時のインキの転移が不十分となり、また、粒径が大きい重い粒子の分散が困難になり、樹脂が30重量部を超えると、粘度が高くなりすぎる上、相対的に他の成分の占める割合が減るために、必要な性能が生じないか、得られるガラス皮膜としては薄いものしか得られない。
次に、溶剤が20重量部未満であると、相対的に樹脂分が過剰となって粘度が高くなりすぎるのみならず、乾燥が急に進行するため、インキ塗膜の表面の平滑性が不十分になり、溶剤が90重量部を超えると、インキ塗膜を乾燥させるために多大な時間か、多くは熱を必要とする上、乾燥を十分行なっても残留溶剤が多く、厚い塗膜を形成した後の変形が避けられず、断面形状がシャープになりにくい。また、一回の印刷で得られる塗膜の厚みが薄くなる。
低融点ガラス粉末は、これを基準としたため、100重量部となる。樹脂の重量比との関係で、低融点ガラス粉末が相対的に不足すると、塗膜を焼成した後に得られるガラスの膜の厚みが不足し、低融点ガラス粉末が相対的に過剰であると得られるガラスの膜の厚みは厚くなるが、相対的に他の添加成分の占める割合が減るために、それらの添加成分に由来する必要な性能が十分に得られない。
分散安定剤が0.05重量部未満であると、ガラスフリットや必要に応じ加える粉末の成分の分散が長期に渡って安定せず、一旦分散しても、放置すると、ガラスフリットや他の粉末が沈降し、印刷の都度、分散し直す必要があったり、印刷中にも沈降が進むので、得られるガラスの膜の厚みが薄くなったり、添加する他の粉末によって生じる性能が低下する恐れがある上、インキ塗膜が乾燥する際に、塗膜表面に凹凸が生じるのを防止できない欠点があり、分散安定剤が5重量部を超えると、塗膜を乾燥しても、分散安定剤が残留するため、乾燥後の塗膜が軟化し、焼成を終えても、なお、分散安定剤が若干残留する。
カップリング剤が0.05重量部未満であると、インキ塗膜の乾燥時に塗膜表面に凹凸が生じるのを防止する効果が十分でなく、できず、また、乾燥後の水洗やアルカリ洗浄の工程でのリブ倒れ防止が行なえない。また、カップリング剤が5重量部を超えると、塗膜を乾燥しても、カップリング剤が残留するため、乾燥後の塗膜が軟化する欠点を生じる。
【0020】
本発明のインキ組成物には、用途による必要性に応じて、金属粉末か金属酸化物粉末、導電性物質粉末、誘電体粉末、顔料等を添加することができることは前に述べたが、次にのべるように、プラズマディスプレイパネルの背面板を製造する際に、いわゆるリブの形成用として適用すると効果が大きい。リブ形成用のインキ組成物は、低融点ガラス粉末100重量部、無機質充填剤粉末5〜50重量部、顔料5〜20重量部、樹脂1〜30重量部、溶剤20〜90重量部、ならびに、分散安定剤0.05〜5重量部およびシランカップリング剤0.05〜5重量部が溶解ないし分散しているものである。
【0021】
本発明の焼成インキ組成物が、良い効果を発揮する理由を述べると、分散安定剤、カップリング剤のいずれもが添加されてないインキ組成物を印刷により被印刷体に転移させ、形成されたインキの塗膜に対し、乾燥の効率を挙げる意味で熱風を吹きつけるか、または吸気を行なうと、塗膜内部に対流が生じて、低融点ガラス粉末や、必要に応じて加える他の粉末等が表面近くで凝集して固まりを形成し、これにより表面に凹凸を形成する。乾燥が熱風の場合でも赤外線による場合でも同じである。
本発明におけるように、インキ組成物中に分散安定剤やカップリング剤が添加されている場合には、これらが各粉末の表面を覆い、再凝集を防止し、凹凸が生じにくくなる。分散安定剤、特にリン酸エステル系化合物を主成分とする分散安定剤を用いると、インキ組成物の保存安定性が良くなり、塗布に適した粘弾性を与え、転移の際にも平滑な塗膜面を与える効果もある。
また、カップリング剤、特にシランカップリング剤を添加した場合には、その撥水効果のために水やアルカリ液の浸透が抑制されることと、被印刷体がガラスである場合に、ガラスとインキ塗膜との密着性が向上することの両方により、水洗やアルカリ液の作用により、一旦形成したリブが倒れるのを防止する。
本発明においては、以上のような理由により、分散安定剤、カップリング剤のいずれか一方または両方をインキ組成物に添加すると効果があるものと考えられる。
【0022】
本発明のインキ組成物は、ガラス板上の透明なガラスパターンや誘電体層の形成等に適するほか、顔料を添加して、着色模様を形成したり、前に述べたように、金属粉末、またはアルミニウム粉末を添加してプラズマディスプレイパネルの前面板に陰極を形成する用途、ルテニウム等を添加して、プラズマディスプレイパネルの背面板のリブ電極を形成する用途、金、銀、銅等の導電性の高い金属粉末を添加して、導電性パターンを形成する用途、等に利用することができる。
【0023】
【実施例】
(実施例1)
ガラス基板への印刷を検討するため、ベースとなるインキを準備した。
(ベースインキ組成物)
・ガラスフリット 100重量部
(旭ガラス(株)製、「RFB024D1」
・無機質充填剤 14重量部
(住友化学工業(株)製、「スミコランダム
AA−07」)
・顔料(Cu−Cr系) 11重量部
(大日精化工業(株)製、ダイピロキサイドブラック#9510)
・エチルセルロース樹脂 2重量部
(日新化成(株)製、「STD−100」)
・テルピネオール 21重量部
・ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート 21重量部
下記のA〜Eの分散剤の各々を、上記で得られたベースインキ組成物100重量部に対し、いずれも1重量部の割合で添加し、混合してリブ形成用インキ組成物A〜Eを得た。
・A;リン酸エステル系分散剤
(ビック・ケミー(株)製、Disperbyk111)
・B;不飽和ポリカルボン酸系分散剤
(ビック・ケミー(株)製、BykP104)
・C;脂肪族系多価カルボン酸系分散剤
(楠本化成(株)製、ディスパロン2150)
・D;リン酸エステル系分散剤
(東邦化学工業(株)製、フォスファノールRS710)
・E;リン酸エステル系分散剤
(Bernd Schwegmann製、Schwego Wett8076)
ガラス板上に上記のリブ形成用インキ組成物A〜Eを、ブレードコーターを使用し、370μmのギャップで塗布した後、140℃に設定したオーブンで25分間乾燥したところ、いずれのリブ形成用インキ組成物を塗布した場合も、表面は非常に平滑であり、風紋の発生は全く見られなかった。
比較のため、ベースインキ組成物を使用したときには、表面に風紋の発生が確認された。
【0024】
(実施例2)
実施例1で用いたのと同じベースインキ組成物100重量部に、下記のカップリング剤Fを1重量%添加し、混合してリブ形成用インキ組成物Fを得た。
・F;γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン
(信越化学工業(株)製、KBM503)
スクリーン印刷機により、上記のリブ形成用インキ組成物Fを使用して、ガラス板上にリブパターンを印刷した後、140℃に設定したオーブンで10分間乾燥させた。
オーブンでの乾燥後、NaOHの1.5重量%水溶液を40℃に加温した中に10分間浸漬し、その後、純水でリンス(=すすぎ)を行ない、空気の吹き付けを行なって水分を除去した。
いずれのリブ形成用インキ組成物で印刷した場合も、アルカリ浸漬によって、リブパターンが剥がれることはなかった。
比較のため、ベースインキ組成物をそのまま使用したときは、アルカリ浸漬によって、リブパターンが剥がれた。
【0025】
(実施例3)
実施例1、および2におけるのと同じベースインキ組成物100重量部に、 リン酸エステル系分散剤(ビック・ケミー製、Disperbyk111)1重量部、およびγ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業(株)製、シランカップリング剤、KBM503)1重量部を添加し、混合してリブ形成用インキ組成物を得た後、実施例2におけるのと同様にして、印刷、乾燥、アルカリ浸漬を行なった。
印刷後の乾燥で風紋は全く生じてなく、また、その後のアルカリ浸漬によっても、リブパターンが剥がれることはなかった。
【0026】
【発明の効果】
発明のインキ組成物によれば、金属酸化物の粉末が添加され、さらに分散安定剤、およびシランカップリング剤が添加されたプラズマディスプレイパネルに最適なインキ組成物が得られ、このインキ組成物を用いて得られるリブは頂部の平滑性が優れ、また、ガラスを基板としたときに密着性が優れている。

Claims (4)

  1. プラズマディスプレイパネルの背面板のリブをサンドブラスト法で形成するためのリブ焼成用インキ組成物であって、該インキ組成物は、低融点ガラス粉末100重量部、無機質充填剤粉末5〜50重量部、顔料5〜20重量部、下記Aの範囲から選ばれた樹脂1〜30重量部、溶剤20〜90重量部、ならびに、分散安定剤0.05〜5重量部およびシランカップリング剤0.05〜5重量部が溶解ないし分散している焼成用インキ組成物。
    A:セルロース誘導体であるエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、ニトロセルロース、酢酸セルロース、酪酸セルロース、ポリビニルホルマール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、各種アクリル樹脂、ポリエステル系樹脂(例えば、アルキッド樹脂)
  2. 無機質充填剤粉末が、ジルコン、ジルコニア、アルミナ、チタニア、シリカ、酸化チタン、マグネシア、ムライト、コージェライト(もしくはコージーライト)、炭化ケイ素、窒化アルミニウム、もしくはチタン酸バリウム等の酸化物系もしくは非酸化物系のセラミックスからなることを特徴とする請求項1記載の焼成用インキ組成物。
  3. 分散安定剤が、リン酸エステル、不飽和ポリカルボン酸、脂肪族系多価カルボン酸、から選ばれたものであることを特徴とする請求項1記載の焼成用インキ組成物。
  4. シランカップリング剤が、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランであることを特徴とする請求項1記載の焼成用インキ組成物。
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