JP2002173629A - マーキングペースト及び電子部品の製造方法 - Google Patents

マーキングペースト及び電子部品の製造方法

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JP2002173629A
JP2002173629A JP2000368792A JP2000368792A JP2002173629A JP 2002173629 A JP2002173629 A JP 2002173629A JP 2000368792 A JP2000368792 A JP 2000368792A JP 2000368792 A JP2000368792 A JP 2000368792A JP 2002173629 A JP2002173629 A JP 2002173629A
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JP2000368792A
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Michiaki Inami
通明 伊波
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Murata Manufacturing Co Ltd
Original Assignee
Murata Manufacturing Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 発色が良好で、かつ、耐候性、耐熱性、耐溶
剤性などに優れた信頼性の高いマーカを形成することが
可能なマーキングペースト及びそれを用いた電子部品の
製造方法を提供する。 【解決手段】 無機成分(例えば、無機顔料であるAl
23粉末と無機系結着剤であるガラス粉末)と感光性有
機成分を含有させ、電子部品に塗布した後、露光、現像
を行うことにより、所定のパターンが形成され、かつ、
焼成することにより、焼成残留成分が記号や文字などの
情報を表示するマーカとして電子部品に固着するようす
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本願発明は、コンデンサーや
インダクタ、抵抗などの電子部品に、方向性を示す記号
や、特性を示す文字などを表示するマーカの形成に用い
られるマーキングペースト及びそれを用いた電子部品の
製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】記号や文字などを表示するマーカを形成
するために用いられるマーキングペーストとしては、例
えば特公平6−89302号に示されているように、A
l、Ni、Zn、Ti、W、Ag、Au、Cuなどの金
属粒子や、これらの化合物である無機顔料、炭酸カルシ
ウム、クレーなどの不透明粒子などの、人間の目や画像
認識装置などにより検知することが可能な粉末(以下、
「視認性粉末成分」ともいう)を樹脂中に分散させたマ
ーキング材がある。
【0003】このマーキング材は、ラベルやステッカ
ー、エンブレムなどの製造に用いられるマーキング材で
あって、マーカの形成は、スクリーン印刷法などの方法
により、マーキング材をプラスチックフィルム、紙、金
属箔などの基材上に印刷し、樹脂を硬化させることによ
り行われる。
【0004】また、特許第2935308号には、半導
体、コンデンサー、抵抗体、IC、ダイオード、インダ
クタ、リレーなどの電子部品の表面に文字や記号などを
マーキングするためのマーキングインキとして、紫外線
硬化樹脂、水酸化アルミニウム及びテトラフルオロエチ
レン樹脂の微粒子を、3本ロールなどの撹拌装置を使用
して混合・分散させたマーキングインキを用い、このマ
ーキングインキを、バーコーターやスクリーン印刷で塗
布すべき電子部品基材に塗布し、乾燥させた後に、該塗
布物の表面に炭酸ガスレーザー光、YAGレーザー光、
エキシマレーザー光などを照射することにより、照射部
分を鮮明な白色に発色させる方法が示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
マーキング材あるいはマーキングインキは、いわゆる未
焼成タイプのものであり、これら未焼成タイプのマーキ
ング材あるいはマーキングインキを用いてマーキングを
行った場合、必ずしも充分にコントラストのある発色を
得ることができなかったり、電子部品を実装する際のは
んだ付け工程などにおいて高温にさらされた場合に、形
成したマーカが消失したり、変色によりマーカを認識す
ることが困難になったりするというような問題点があ
る。
【0006】また、未焼成タイプのマーキング材あるい
はマーキングインキを用いて形成したマーカは、耐溶剤
性が不十分で、マーカが溶剤と接触することにより剥離
してしまうというような問題点がある。
【0007】本願発明は、上記問題点を解決するもので
あり、発色が良好で、かつ、耐候性、耐熱性、耐溶剤性
などに優れた信頼性の高いマーカを形成することが可能
なマーキングペースト及びそれを用いた電子部品の製造
方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本願発明(請求項1)のマーキングペーストは、電
子部品に記号や文字などの情報を表示するために用いら
れるマーキングペーストであって、無機成分と有機成分
を含有し、電子部品に塗布して焼成することにより、焼
成残留成分が記号や文字などの情報を表示するマーカと
して電子部品に固着するように構成されていることを特
徴としている。
【0009】本願発明(請求項1)のマーキングペース
トは、無機成分と有機成分を含有し、電子部品に塗布し
て焼成することにより、焼成残留成分が電子部品に固着
して、記号や文字などの情報を表示するマーカとして機
能するように構成されているので、発色しない有機成分
を実質的に含まず、発色が良好で視認性に優れ、耐候
性、耐熱性、耐溶剤性などに優れた信頼性の高いマーカ
を形成することが可能になる。
【0010】なお、本願発明において、電子部品とは、
最終製品としての電子部品に限らず、電子部品を製造す
る過程で形成される電子部品素子(例えば、積層電子部
品の製造工程で形成される未焼成の積層体、その焼成
体、焼成体を切断した後の個々の素子など)を含む広い
概念である。
【0011】また、無機成分とは、焼成後に、視認可能
な状態で残留してマーカの主体となる無機系の成分や、
該マーカの主体となる成分を電子部品に固着させるため
の無機系の成分などを意味する概念である。
【0012】また、有機成分とは、マーキングペースト
を電子部品に塗布して保持させることができるような状
態としたり、粉末状の無機成分が十分に分散したスラリ
ー状態に保つための有機系の成分などを意味する概念で
ある。また、塗布とは、ディスペンサを用いる方法や印
刷による方法などによりペーストを電子部品に付与した
り、あるいはスピンコーティング法、ディップ法、スプ
レー法、ブレードコータ法などの方法によりペーストを
電子部品にコーティングしたりする場合などを含む広い
概念である。
【0013】また、請求項2のマーキングペーストは、
前記無機成分が、視認性を備え、記号や文字などの情報
を表示するマーカの主体となる視認性粉末成分と、該視
認性粉末成分を電子部品に固着させるための無機系結着
剤を含有していることを特徴としている。
【0014】無機成分として、マーカ(焼成後のマーキ
ングペースト)の主体となる視認性粉末成分と、該視認
性粉末成分を電子部品に固着させるための無機系結着剤
を含有するものを用いることにより、発色が良好で視認
性に優れ、かつ、電子部品への密着性に優れた信頼性の
高いマーカを形成することが可能になる。
【0015】なお、本願発明において、視認性粉末成分
とは、Al23、CoAl24あるいはMnO・Fe2
3などの無機顔料、炭酸カルシウム、クレーなどの不
透明粉末成分など、電子部品に固着した状態で、人間の
目や画像認識装置などにより検知することが可能な無機
系の成分を意味する概念である。
【0016】また、無機系結着剤とは、たとえば、ホウ
珪酸系アルミナ含有ガラスなどのガラス系材料など、視
認性粉末成分を電子部品に固着させるための機能を果た
す無機系の成分を意味する概念である。
【0017】また、請求項3のマーキングペーストは、
前記無機系結着剤がガラス系材料であることを特徴とし
ている。
【0018】無機系結着剤としてガラス系材料を用いる
ことにより、電子部品への密着性、固着性に優れたマー
カを形成することが可能なマーキングペーストを、コス
トの増大を招いたりすることなく得ることができるよう
になる。
【0019】また、本願発明(請求項4)の電子部品の
製造方法は、請求項1〜3のいずれかに記載のマーキン
グペーストを電子部品に塗布した後、塗布されたマーキ
ングペーストを乾燥する塗布・乾燥工程と、前記塗布・
乾燥工程を経た後のマーキングペーストを焼成して、焼
成残留成分を記号や文字などの情報を表示するマーカと
して電子部品に固着させる焼成工程とを具備することを
特徴としている。
【0020】請求項1〜3のいずれかに記載のマーキン
グペーストを電子部品に塗布した後、乾燥し、これを焼
成することにより、発色が良好で視認性に優れ、かつ、
耐候性、耐熱性、耐溶剤性などに優れ、しかも電子部品
への密着性、固着性に優れた信頼性の高いマーカを備え
た電子部品を効率よく製造することが可能になる。
【0021】また、請求項5の電子部品の製造方法は、
前記マーキングペーストを焼成する焼成工程が、電子部
品を焼成する工程と同時に行われることを特徴としてい
る。
【0022】マーキングペーストの焼成を、電子部品を
焼成する工程と同時に行うことにより、焼成工程を1つ
にすることが可能になり、生産工程を簡略化して、製造
コストの低減を図ることが可能になる。
【0023】また、本願発明(請求項6)のマーキング
ペーストは、電子部品に記号や文字などの情報を表示す
るために用いられるマーキングペーストであって、無機
成分と感光性有機成分を含有し、電子部品に塗布して、
露光、現像を行い、所定のパターンを形成した後、焼成
することにより、焼成残留成分が記号や文字などの情報
を表示するマーカとして電子部品に固着するように構成
されていることを特徴としている。
【0024】本願発明(請求項6)のマーキングペース
トは、感光性有機成分を含有する感光性マーキングペー
ストであることから、電子部品に塗布した後、露光、現
像を行うことにより、位置精度及び寸法精度の高い所望
のパターンを形成することが可能になる。したがって、
本願発明(請求項6)のマーキングペーストを用いるこ
とにより、微細で、位置精度及び寸法精度が高く、しか
も、発色が良好で視認性に優れ、耐候性、耐熱性、耐溶
剤性などに優れた信頼性の高いマーカを形成することが
可能になる。
【0025】なお、感光性有機成分とは、フォトリソグ
ラフィー法によりパターン形成を行うことを可能ならし
める有機系の成分であって、感光性ポリマー、感光性オ
リゴマー、及び感光性モノマーの少なくとも1種、ある
いはこれに光重合開始剤や溶剤などを含有させたものな
どを意味する概念であり、その具体的な種類や組成に特
別の制約はなく、公知の種々のものを用いることが可能
である。
【0026】また、感光性有機成分が感応する光の波長
には特に制約はなく、紫外光、可視光など種々の波長の
光に感応する感光性有機物質を用いることが可能であ
る。
【0027】また、請求項7のマーキングペーストは、
前記無機成分が、視認性を備え、記号や文字などの情報
を表示するマーカの主体となる視認性粉末成分と、該視
認性粉末成分を電子部品に固着させるための無機系結着
剤を含有していることを特徴としている。
【0028】無機成分として、視認性を備え、マーカの
主体となる視認性粉末成分と、該視認性粉末成分を電子
部品に固着させるための無機系結着剤を含有するものを
用いることにより、発色が良好で視認性に優れ、かつ、
電子部品への密着性、固着性に優れた信頼性の高いマー
カを形成することが可能になる。
【0029】また、請求項8のマーキングペーストは、
前記無機系結着剤がガラス系材料であることを特徴とし
ている。
【0030】無機系結着剤としてガラス系材料を用いる
ことにより、電子部品への密着性、固着性に優れたをマ
ーカを形成することが可能なマーキングペーストを、コ
ストの増大を招いたりすることなく得ることが可能にな
る。
【0031】また、本願発明(請求項9)の電子部品の
製造方法は、請求項6〜8のいずれかに記載のマーキン
グペーストを電子部品に塗布した後、塗布されたマーキ
ングペーストを乾燥する塗布・乾燥工程と、塗布・乾燥
後のマーキングペーストを露光した後、現像することに
より所定のパターンを形成する露光・現像工程と、前記
露光・現像工程を経た後のマーキングペーストを焼成し
て、焼成残留成分を記号や文字などの情報を表示するマ
ーカとして電子部品に固着させる焼成工程とを具備する
ことを特徴としている。
【0032】請求項6〜8のいずれかに記載のマーキン
グペーストを電子部品に塗布し、乾燥、露光、現像を行
った後、これを焼成することにより、位置精度及び寸法
精度の高い所望のパターンを備え、かつ、発色しない有
機成分を実質的に含まず、発色が良好で視認性に優れて
いるとともに、耐候性、耐熱性、耐溶剤性などに優れ、
しかも電子部品への密着性、固着性に優れた信頼性の高
いマーカを形成することが可能になる。
【0033】また、請求項10の電子部品の製造方法
は、前記マーキングペーストを焼成する焼成工程が、電
子部品を焼成する工程と同時に行われることを特徴とし
ている。
【0034】マーキングペーストの焼成を、電子部品を
焼成する工程と同時に行うことにより、焼成工程を1つ
にすることが可能になり、生産工程を簡略化して、製造
コストの低減を図ることが可能になる。
【0035】
【発明の実施の形態】以下、本願発明の実施の形態を示
して、その特徴とするところをさらに詳しく説明する。
【0036】[実施形態1] マーキングペーストの調製 無機成分を構成する無機顔料として、Al23粉末を用
い、無機系結着剤としてガラス粉末(Bi23−Al2
3−B23−SiO2系ガラス粉末)を用意し、有機成
分として、エチルセルロース、ジエチレングルコールモ
ノブチルエーテル、及びターピネオールを用意する。そ
して、これらの各原料を、以下の所定の組成となるよう
に調合し、3本ロールを用いて混合・分散することによ
りマーキングペーストを得る。
【0037】 <無機成分> 1)Al23粉末(平均粒径2μm)(無機顔料) ・・・35重量% 2)Bi23−Al23−B23−SiO2系ガラス粉末(無機系結着剤) ・・・45重量% <有機成分> 1)エチルセルロース ・・・0.5重量% 2)ジエチレングルコールモノブチルエーテル ・・・4.5重量% 3)ターピネオール ・・・15.0重量%
【0038】マーカの形成 次に、上記のマーキングペーストを用いてマーカを形成
する方法について説明する。
【0039】まず、複数のコイルパターンを印刷したセ
ラミックグリーンシートを積層、圧着した後、焼成する
ことにより形成されたチップコイル集合板(マザー積層
体)上に、上記マーキングペーストを、所望のパターン
を有するスクリーン版を用いてスクリーン印刷し、乾燥
温度90℃で乾燥する。そして、最高温度800℃のベ
ルト炉を用い、空気雰囲気中でマーキングペーストを焼
成し、不要な樹脂分を除去し、マーキングペーストをチ
ップコイル上に焼結・固着させる。これにより、図1に
示すように、所望のパターンのマーカ(焼成後のマーキ
ングペースト)1がチップコイル集合板2上に形成され
る。
【0040】それから、図2に示すように、チップコイ
ル集合板2を所定の位置でブレークして、個々の素子3
に分割した後、図3に示すように、個々の素子3に外層
電極4をはんだ付けして形成することにより、所望のパ
ターンのマーカ1が施された個々のチップコイル(製品
である電子部品)3aを得る。
【0041】この実施形態1では、マーキングペースト
として、無機成分であるAl23粉末(無機顔料)及び
Bi23−Al23−B23−SiO2系ガラス粉末
(無機系結着剤)と、有機成分であるエチルセルロー
ス、ジエチレングルコールモノブチルエーテル、及びタ
ーピネオールを混合して分散させたマーキングペースト
が用いられており、このマーキングペーストを印刷、乾
燥し、焼成することにより、有機成分が除去され、マー
カとなる焼成残留成分がチップコイル(電子部品)に固
着するため、有機成分を含まず、Al23に由来する、
コントラストの高い白色のマーカを得ることが可能にな
るとともに、チップコイル(電子部品)の表面への固着
強度が大きく、チップコイル集合板を個々の素子にブレ
ークする場合の応力によっても剥離せず、またはんだ付
けによる熱衝撃にも耐えることのできる信頼性の高いマ
ーカを形成することが可能になる。
【0042】[実施形態2] マーキングペーストの調製 無機成分を構成する無機顔料として、Al23粉末を用
い、無機系結着剤としてガラス粉末(K2O−B23
SiO2系ガラス粉末)を用意するとともに、有機成分
として、メタクリル酸メチルとメタクリル酸の共重合体
(ポリマー)、TMPTA(モノマー)、2−メチル−
1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モノフォリ
ノプロパノン−1(光重合開始剤)、及びジエチレング
リコールモノエチルエーテルアセテートを用意する。そ
れから、これらの各原料を以下の所定の組成となるよう
に調合し、3本ロールを用いて混合・分散することによ
りマーキングペーストを得る。
【0043】 <無機成分> 1)Al23粉末(平均粒径2μm)(無機顔料) ・・・43重量% 2)K2O−B23−SiO2系ガラス(無機系結着剤)・・・23重量% <有機成分(感光性樹脂)> 1)メタクリル酸メチルとメタクリル酸の共重合体(ポリマー) ・・・6重量% 2)トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)(モノマー) ・・・10重量% 3)2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モノフォリノプロ パノン−1(光重合開始剤) ・・・2重量% 4)ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート・・16重量%
【0044】マーカの形成 次に、上記のマーキングペーストを用いてマーカを形成
する方法について説明する。
【0045】複数のコイルパターンを印刷したセラミッ
クグリーンシートを積層、圧着した後、焼成することに
より形成されたチップコイル集合板(マザー積層体)上
に、上記マーキングペーストをスクリーン印刷法により
全面塗布し、乾燥温度90℃で乾燥する。
【0046】それから、図4に示すように、チップコイ
ル集合板(マザー積層体)2上に全面塗布されたマーキ
ングペースト11に、所望のパターンを有するマスクパ
ターン5を介して紫外光(UV光)を照射する。なお、
光源としては、超高圧水銀ランプを用い、照射エネルギ
ー300mJ/cm2で紫外光(UV光)の照射を行った。こ
の露光により光が照射された部分は樹脂が光硬化し、現
像液には不溶となる。
【0047】このようにして露光を行った後、図5に示
すように、現像液を該マーキングペースト11(図4)
の塗膜面に噴霧し、露光されていない未硬化部分を除去
することにより、高い位置精度、寸法精度を有するマー
カパターン11aを形成する。なお、現像液としては、
0.5wt%Na2Co3水溶液を用いた。
【0048】そして、最高温度800℃のベルト炉を用
い、空気雰囲気中でマーキングペーストを焼成し、不要
な樹脂分を除去し、マーキングペーストをチップコイル
上に焼結・固着させる。これにより、図6に示すよう
に、所望のパターンのマーカ(焼成後のマーキングペー
スト)1がチップコイル集合板2上に形成される。
【0049】それから、図7に示すように、チップコイ
ル集合板2を所定の位置でブレークして、個々の素子3
に分割した後、図8に示すように、個々の素子3の所定
の位置に外層電極4をはんだ付けして形成することによ
り、所望のパターンのマーカ1が施された個々のチップ
コイル(製品である電子部品)3aを得る。
【0050】この実施形態2では、マーキングペースト
に感光性を付与しているので、チップコイル(電子部
品)へのマーカの形成を、高い位置精度、寸法精度で行
うことが可能になり、トリミングなどの位置決めマーカ
としても使用することが可能な信頼性の高いマーカを形
成することができる。
【0051】なお、この実施形態2のマーキングペース
ト及びそれを用いたマーカの形成方法によれば、上記実
施形態1の場合と同様に、コントラストの高い白色のマ
ーカを得ることが可能になるとともに、チップコイル
(電子部品)の表面への固着強度が高く、チップコイル
集合板を個々の素子にブレークする場合の応力によって
も剥離せず、またはんだ付けによる熱衝撃にも耐えるこ
とのできる信頼性の高いマーカを形成することができ
る。
【0052】なお、上記実施形態1及び2では、Al2
3を無機顔料(無機粉末)として用いているので、白
色のマーカが形成されるが、他の無機顔料を用いること
により他の色のマーカを形成することも可能である。例
えば、上記実施形態1及び2と同じ条件で、無機顔料を
Al23からCoAl24に代えることにより、青色の
マーカを形成することができる。また、上記実施形態1
及び2と同じ条件で、無機顔料をAl23からMnO・
Fe23に代えることにより、黒色のマーカを形成する
ことができる。本願発明においては、無機顔料の種類や
組み合わせ代えることにより、さらに他の色のマーカを
形成することが可能である。
【0053】また、上記実施形態1及び2においては、
焼成済みのチップコイル集合板(広義の電子部品)にマ
ーキングペーストを付与した後、焼成を行うようにして
いる(すなわち、チップコイル集合板の焼成とマーキン
グペーストの焼成をそれぞれ別の工程で行っている)
が、マーキングペーストの焼成を、電子部品(上記実施
形態1及び2ではチップコイル集合板)を焼成する工程
と同時に行うように構成することも可能である。マーキ
ングペーストの焼成を電子部品の焼成と同時に行うよう
にした場合、焼成工程を1つにすることが可能になり、
生産工程を簡略化して、製造コストの低減を図ることが
可能になる。
【0054】本願発明はさらにその他の点においても上
記実施形態1,2に限定されるものではなく、電子部品
の種類や具体的構成、マーカの形状や個数、マーキング
ペーストを構成する無機成分及び有機成分の種類、無機
系結着剤の種類、感光性有機成分の種類などに関し、発
明の要旨の範囲内において、種々の応用、変形を加える
ことが可能である。
【0055】
【発明の効果】上述のように、本願発明(請求項1)の
マーキングペーストは、無機成分と有機成分を含有し、
電子部品に塗布して焼成することにより、焼成残留成分
が電子部品に固着して、記号や文字などの情報を表示す
るマーカとして機能するように構成されているので、発
色しない有機成分を実質的に含まず、発色が良好で視認
性に優れ、耐候性、耐熱性、耐溶剤性などに優れた信頼
性の高いマーカを形成することが可能になる。
【0056】また、請求項2のマーキングペーストのよ
うに、無機成分として、マーカ(焼成後のマーキングペ
ースト)の主体となる視認性粉末成分と、該視認性粉末
成分を電子部品に固着させるための無機系結着剤を含有
するものを用いた場合、発色が良好で視認性に優れ、か
つ、電子部品への密着性に優れた信頼性の高いマーカを
形成することができるようになる。
【0057】また、請求項3のマーキングペーストのよ
うに、無機系結着剤としてガラス系材料を用いるように
した場合、電子部品への密着性、固着性に優れたマーカ
を形成することが可能なマーキングペーストを、コスト
の増大を招いたりすることなく得ることが可能になる。
【0058】また、本願発明(請求項4)の電子部品の
製造方法は、請求項1〜3のいずれかに記載のマーキン
グペーストを電子部品に塗布した後、乾燥し、これを焼
成するようにしているので、発色が良好で視認性に優
れ、かつ、耐候性、耐熱性、耐溶剤性などに優れ、しか
も電子部品への密着性、固着性に優れた信頼性の高いマ
ーカを備えた電子部品を効率よく製造することが可能に
なる。
【0059】また、請求項5の電子部品の製造方法のよ
うに、マーキングペーストの焼成を、電子部品を焼成す
る工程と同時に行うようにした場合、焼成工程を1つに
することが可能になり、生産工程を簡略化して、製造コ
ストの低減を図ることが可能になる。
【0060】また、本願発明(請求項6)のマーキング
ペーストは、感光性を有するマーキングペーストであ
り、電子部品に塗布した後、露光、現像を行うことによ
り、位置精度及び寸法精度の高い所望のパターンを形成
することができるようになる。その結果、本願発明のマ
ーキングペーストを用いることにより、微細で、位置精
度及び寸法精度が高く、しかも、発色が良好で視認性に
優れ、耐候性、耐熱性、耐溶剤性などに優れた信頼性の
高いマーカを効率よく形成することができるようにな
る。
【0061】また、請求項7のマーキングペーストのよ
うに、無機成分として、視認性を備え、マーカの主体と
なる視認性粉末成分と、該視認性粉末成分を電子部品に
固着させるための無機系結着剤を含有するものを用いる
ようにした場合、発色が良好で視認性に優れ、かつ、電
子部品への密着性、固着性に優れた信頼性の高いマーカ
を形成することが可能になる。
【0062】また、請求項8のマーキングペーストのよ
うに、無機系結着剤としてガラス系材料を用いた場合、
電子部品への密着性、固着性に優れたをマーカを形成す
ることが可能なマーキングペーストを、コストの増大を
招いたりすることなく得ることが可能になる。
【0063】また、本願発明(請求項9)の電子部品の
製造方法は、請求項6〜8のいずれかに記載のマーキン
グペーストを電子部品に塗布し、乾燥、露光、現像を行
った後、これを焼成するようにしているので、位置精度
及び寸法精度の高い所望のパターンを備え、かつ、発色
しない有機成分を実質的に含まず、発色が良好で視認性
に優れているとともに、耐候性、耐熱性、耐溶剤性など
に優れ、しかも電子部品への密着性、固着性に優れた信
頼性の高いマーカを形成することが可能になる。
【0064】また、請求項10の電子部品の製造方法の
ように、マーキングペーストの焼成を、電子部品を焼成
する工程と同時に行うようにした場合、焼成工程を1つ
にすることが可能になり、生産工程を簡略化して、製造
コストの低減を図ることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本願発明の一実施形態(実施形態1)にかかる
電子部品の製造方法において、チップコイル集合板上に
マーカを形成した状態を示す図である。
【図2】本願発明の実施形態1にかかる電子部品の製造
方法において、マーカが形成されたチップコイル集合板
をブレークして個々の素子に分割した状態を示す図であ
る。
【図3】本願発明の実施形態1にかかる電子部品の製造
方法により製造された電子部品(チップコイル)を示す
斜視図である。
【図4】本願発明の他の実施形態(実施形態2)にかか
る電子部品の製造方法において、チップコイル集合板上
に全面塗布されたマーキングペーストに、マスクパター
ンを介して紫外光を照射している状態を示す図である。
【図5】本願発明の実施形態2にかかる電子部品の製造
方法において、露光後のマーキングペーストを現像して
いる状態を示す図である。
【図6】本願発明の実施形態2にかかる電子部品の製造
方法において、現像後にマーキングペーストを焼成し
て、チップコイル集合板上にマーカを形成した状態を示
す図である。
【図7】本願発明の実施形態2にかかる電子部品の製造
方法において、マーカが形成されたチップコイル集合板
をブレークして個々の素子に分割した状態を示す図であ
る。
【図8】本願発明の実施形態2にかかる電子部品の製造
方法により製造された電子部品(チップコイル)を示す
斜視図である。
【符号の説明】
1 マーカ(焼成後のマーキングペースト) 2 チップコイル集合板 3 個々の素子(チップコイル) 3a 個々の素子(製品) 4 外層電極 5 マスクパターン 11 マーキングペースト 11a マーカパターン

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】電子部品に記号や文字などの情報を表示す
    るために用いられるマーキングペーストであって、 無機成分と有機成分を含有し、電子部品に塗布して焼成
    することにより、焼成残留成分が記号や文字などの情報
    を表示するマーカとして電子部品に固着するように構成
    されていることを特徴とするマーキングペースト。
  2. 【請求項2】前記無機成分が、視認性を備え、記号や文
    字などの情報を表示するマーカの主体となる視認性粉末
    成分と、該視認性粉末成分を電子部品に固着させるため
    の無機系結着剤を含有していることを特徴とする請求項
    1記載のマーキングペースト。
  3. 【請求項3】前記無機系結着剤がガラス系材料であるこ
    とを特徴とする請求項2記載のマーキングペースト。
  4. 【請求項4】請求項1〜3のいずれかに記載のマーキン
    グペーストを電子部品に塗布した後、塗布されたマーキ
    ングペーストを乾燥する塗布・乾燥工程と、 前記塗布・乾燥工程を経た後のマーキングペーストを焼
    成して、焼成残留成分を記号や文字などの情報を表示す
    るマーカとして電子部品に固着させる焼成工程とを具備
    することを特徴とする電子部品の製造方法。
  5. 【請求項5】前記マーキングペーストを焼成する焼成工
    程が、電子部品を焼成する工程と同時に行われることを
    特徴とする請求項4記載の電子部品の製造方法。
  6. 【請求項6】電子部品に記号や文字などの情報を表示す
    るために用いられるマーキングペーストであって、 無機成分と感光性有機成分を含有し、電子部品に塗布し
    て、露光、現像を行い、所定のパターンを形成した後、
    焼成することにより、焼成残留成分が記号や文字などの
    情報を表示するマーカとして電子部品に固着するように
    構成されていることを特徴とするマーキングペースト。
  7. 【請求項7】前記無機成分が、視認性を備え、記号や文
    字などの情報を表示するマーカの主体となる視認性粉末
    成分と、該視認性粉末成分を電子部品に固着させるため
    の無機系結着剤を含有していることを特徴とする請求項
    6記載のマーキングペースト。
  8. 【請求項8】前記無機系結着剤がガラス系材料であるこ
    とを特徴とする請求項7記載のマーキングペースト。
  9. 【請求項9】請求項6〜8のいずれかに記載のマーキン
    グペーストを電子部品に塗布した後、塗布されたマーキ
    ングペーストを乾燥する塗布・乾燥工程と、 塗布・乾燥後のマーキングペーストを露光した後、現像
    することにより所定のパターンを形成する露光・現像工
    程と、 前記露光・現像工程を経た後のマーキングペーストを焼
    成して、焼成残留成分を記号や文字などの情報を表示す
    るマーカとして電子部品に固着させる焼成工程とを具備
    することを特徴とする電子部品の製造方法。
  10. 【請求項10】前記マーキングペーストを焼成する焼成
    工程が、電子部品を焼成する工程と同時に行われること
    を特徴とする請求項9記載の電子部品の製造方法。
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