JP4137776B2 - トンネル覆工用角型鋼管の推進方法およびトンネル覆工用角形鋼管 - Google Patents
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そして、前記トンネル覆工体を構成する角形鋼管には、その両側部における上下に隣接する角形鋼管と接合するための継手部が設けられている。この継手部は、角型鋼管の一側部の上下に上下方向に突出して設けられ、先行して地山に埋設された角型鋼管の雌型継手(突出継手)に嵌合される雄型継手(突出継手)と、角型鋼管の他側部における上下に長手方向に沿い、かつ側方へ突出して設けられ、後続して埋設される角型鋼管の一側の雄型継手が嵌入する雌型継手とを備えた構成とされている(例えば、特許文献1参照)。
特に、前記雌型継手が、ステム部を有する先端肥大型のものであったり、角型鋼管の角部において鋼管辺から外側遠方へ大きく離れるように向けて取り付けられているような場合、すなわち、前記切羽の断面から雌型継手の先端位置までの距離が大きくなるほど、雌型継手と置き換わる(雌型継手が排除する)土砂がその逃げ場を失って周辺地山へ圧密されることになり、前記のような事態が一層生じ易くなる問題がある。
すなわち、請求項1に係るトンネル覆工用角型鋼管の推進方法は、外周部に長手方向に沿って突出継手を固定して設けた複数の角型鋼管を構築すべきトンネルの断面に沿って地山に順に推進して埋設し、外周部が対向して隣接する角型鋼管同士を前記突出継手を介して連結することによりトンネル覆工体を構成する角型鋼管の推進方法において、前記角型鋼管の刃口の外周に、複数のビットを角型鋼管の推進方向と該推進方向に直角な方向に位置をずらして取り付け、角型鋼管の地山への推進時に、前記推進方向の最前端の先端ビットが掘削した土砂を前記刃口の内側に取り込むと共に、先端ビットに続く次位ビットが掘削した土砂を先端ビットによって形成された空洞内に移動させ、順次、後続するビットが掘削した土砂を先行するビットによって形成された空洞内に移動させながら角型鋼管を推進させ、最終ビットによる掘削後に角型鋼管の断面視における前記突出継手の断面の少なくとも過半部を包含する空洞を形成することを特徴としている。
請求項1に係るトンネル覆工用角型鋼管の推進方法によれば、角型鋼管の刃口の外周に位置をずらして設けた複数のビットのうちの第1ビットによる地山の掘削土を刃口内に取り込んだ後は、先行するビットの後方に形成された空洞内へ、後続するビットが先行するビットと重複しない地山部分を掘削して生じた掘削土砂を移動させながら角型鋼管を推進して、角型鋼管の外周に突出して設けた突出継手の断面の少なくとも過半部が嵌入する空洞を地山部分に形成することができるので、各ビットが新たに掘削する地山の量を少なくできると共に、前記突出継手が角型鋼管の角部から外側に大きく突き出しているような場合でも、前記突出継手が地山に貫入して新たに掘削する地山部分の量を少なくすることができる。
したがって、各ビットや突出継手がその周辺の地山部分を圧密することにより地表の変形が起こるのを確実に防止することができ、角型鋼管の推進に必要な推力を可及的に小さくして、その変形を抑えながら円滑、迅速に角型鋼管を推進させることができる。
図において、1は本発明の一実施の形態に係るトンネル覆工用の角型鋼管である、該トンネル覆工用の角型鋼管(角型鋼管)1は、図1に示すように、上方の外板2と下方の内板3とを両側板4,5で結合して横断面(断面)が四角形をした長尺の筒体に構成されてなり、前記外板2と内板3には、それらの一方(図1で左方)の側縁に沿って外側(図1で上下側)に突出させた矩形断面の突条からなる雄型継手(突出継手)6,6が固定して設けられ、他方(図1で右方)の側縁に沿って雌型継手(突出継手)7,7が固定して設けられている。前記雌型継手7,7は、それぞれ、支持片部(ステム部)7aの先端に肥大部である溝型部7bを一体結合して断面が柄杓状に形成されており、前記溝型部7bの溝7c側を互いに向き合わせ、かつ溝型部7bを前記側板(他方の側板)5の壁面より外側(図1で右側)へ突出するようにして、前記支持片部7aを介して前記外板2と内板3に固定されている。そして、前記雌型継手7,7の溝7c,7cに隣接する角型鋼管1の一方の側縁の内、外板2,3に設けた前記雄型継手6,6に嵌合するようになっている。
前記刃口1Bの外周には、その他方側(前記雌型継手6のある側)の側板5の上部と下部に、角型鋼管1の推進方向の先行側となる位置に第1ビット8,8が、該第1ビット8,8の後方側(角型鋼管1の推進方向と反対側)に所定間隔をあけた位置に第2ビット9,9がそれぞれ固定して設けられていると共に、前記第2ビット9,の後方に所定間隔をあけて位置させ、前記外板2と内板3の他方側(図2で下側、図4〜図7で右側)の縁に第3ビット10、10が固定して設けられている(図4〜図7では内板3側は図示を省略してある)。
なお、角型鋼管1の上下に設けた前記第1、第2、第3ビット8,9,10は共に対称形状に形成され、対称な位置に配置されているので、以下、上方に配置された各ビット8,9,10のみについて説明する。
また、前記第2ビット9は、前記第1ビット8の断面よりやや小さい矩形断面(図5参照)を有して平面視で矩形とされ、側面視で後端側が前記刃口1Bの側板5の先端縁に平行とされ、先端側が下を向く傾斜面9aによって先細楔状とされた四辺形に形成され、さらに、上辺部9bが前記刃口1Bの外板2の上面2aから上方へ突き出している。
なお、平面視における第1ビット8と第2ビット9の側板5から外側(刃口1Bの内側と反対の側)への突出量L1は、前記突出継手7における溝型部7bの側板5から外側への突出量と同一とされている。
なお、前記第2ビット9の外板2の上面2aから上方への突出量L2と第3ビット10の板厚(外板2の上面2aからの高さ)t1とは略等しくされ、前記突出継手7の支持片部7aの厚さt2よりやや大きく設定されている。そして、前記第3ビット10の前記刃口1Bの側板5から外方への突出量L3は、前記第1、第2ビット8,9の外板5からの突出量L1よりやや小さく設定されている。また、前記突出継手7の角型鋼管本体1Aの先端側の端部(先行端部)は、下方を向く傾斜面7dを設けて先細の楔形ビットに形成されている。
鉄道や道路等の下に立体交差するトンネルを構築するためのトンネル覆工体を構成するにあたり、前記構成の角型鋼管1を地山中に推進する場合、先ず、図9に示すように、従来と同様に、必要に応じて、予め、鉄道や道路等Rの両側に発進立坑11と到達立坑12を掘削、形成しておき、発進立坑11内に掘進装置13を設置する。しかる後、前記角型鋼管1を掘進装置13の前側に水平に設置し、該掘進装置13を作動させて前記角型鋼管1に推力を作用させながら、角型鋼管1の内部に設置された、先端に回転カッタ14を有するスクリュコンベア装置15を作動させる。
これにより、前記回転カッタ14により地山16が掘削されると共に、前記角型鋼管1の刃口1Bにより地山16が切り崩され、地山16の掘削等により生じた土砂が前記スクリュコンベア装置15で地山外へ排出されると共に、角型鋼管1が地山中を到達立坑12側へ推進されていく。そして、前記角型鋼管1の角型鋼管本体1Aの先行端部が到達立坑12の側壁部に達して地山中に埋設された時は、前記刃口1Bを角型鋼管本体1Aから取り外して、次の埋設すべき角型鋼管1の先行端部に取り付けて繰り返し使用する。
一方、後続の角型鋼管1は、その推進時には、図10〜図12に示すように、刃口1Bの先端縁が前記回転カッタ14による地山16の掘削領域(切羽)16aと刃口1Bの先端縁による地山16の切り崩し領域16bから外れた地山16の領域16cにおいて、先ず、前記第1ビット8が、角型鋼管1の断面視における前記突出継手7の近傍(図12で下側近傍)に相当する地山部分を掘削して、その掘削土砂16xを傾斜面8bの作用によりイ矢方向にし向けて刃口1B内に取り込むので、第1ビット8の後方に空洞17が形成される。
前記第3ビット10に続いて前記突出継手7が角型鋼管1の推進方向に移動するが、既に、先行した第1、第2、第3ビット8,9,10によって突出継手7の断面形状の大部分(過半部)に相当する地山部分が掘削されているので、前記突出継手7は、第1、第2、第3ビット8,9,10が掘削しなかった地山部分を自体の先端に形成した楔形ビットで掘削して、その掘削土砂を前記空洞18の上方の空所18aに落下、移動させながら、前進していく。
したがって、第1、第2、第3ビット8,9,10や突出継手7がその周辺の地山部分16cを圧密することにより地表の変形が起こるのを確実に防止することができ、角型鋼管1の推進に必要な推力を可及的に小さくして、その変形を抑えながら円滑、迅速に角型鋼管1を推進させることができる。
そして、前記第1ビット8は楔形ビットであるため、構成が簡単であり、角型鋼管1の推進によって地山16を楔状の刃面で容易に突き崩して掘削土砂16xを刃口1B内に確実に取り込むことができる。さらに、前記突出継手7は、その先端が楔形ビットに形成されているので、先行する第1、第2、第3ビット8,9,10によって掘削されない地山部分があっても、該地山部分を自体の楔形ビットで容易に掘削して、変形を生じることなく進行することができる。
また、角型鋼管1の刃口1Bの外周に設けるビットは、3個に限らず、2個または4個以上設けてもよく、個数を多くして取り付け位置を少しずつずらすと、1つのビットで掘削する土砂の量をより少なくすることができるので、角型鋼管1の推力を一層小さく抑えることができる。
1A 角型鋼管本体
1B 刃口
2 外板
3 内板
4,5 側板
6 雄型継手(突出継手)
7 雌型継手(突出継手)
7a 支持片部(ステム部)
7b 溝型部
7d,8a,8b,9a,10a 傾斜面
8,9,10 第1、第2、第3ビット
13 掘進装置
16 地山
17,17a,18,18a,19 空洞
20a,20b モータ(駆動手段)
21a,21b 回転ビット
Claims (5)
- 外周部に長手方向に沿って突出継手を固定して設けた複数の角型鋼管を構築すべきトンネルの断面に沿って地山に順に推進して埋設し、外周部が対向して隣接する角型鋼管同士を前記突出継手を介して連結することによりトンネル覆工体を構成する角型鋼管の推進方法において、
前記角型鋼管の刃口の外周に、複数のビットを角型鋼管の推進方向と該推進方向に直交する方向に位置をずらして取り付け、角型鋼管の地山への推進時に、前記推進方向の最前端の先端ビットが掘削した土砂を前記刃口の内側に取り込むと共に、先端ビットに続く次位ビットが掘削した土砂を先端ビットによって形成された空洞内に移動させ、順次、後続するビットが掘削した土砂を先行するビットによって形成された空洞内に移動させながら角型鋼管を推進させ、最終ビットによる掘削後に角型鋼管の断面視における前記突出継手の断面の少なくとも過半部を包含する空洞を形成することを特徴とするトンネル覆工用角型鋼管の推進方法。 - 外周部に長手方向に沿って固定した突出継手を有し、構築すべき地山に推進されて埋設され、外周部を対向させて隣接するもの同士が、前記突出継手を介して連結されることによりトンネル覆工体を構成する角型鋼管であって、
前記角型鋼管は、その刃口の先端外周であって、角型鋼管の断面視における前記突出継手の近傍位置に設けられ、地山を掘削して土砂を刃口内に取り込む、前記突出継手の断面より大きい断面積を有する第1ビットと、該第1ビットの後方における刃口の外周に、角型鋼管の断面視における前記突出継手の一つの所定領域に一部が重複するようにして第1ビットと位置をずらして設けた、第1ビットより小さい断面積を有する第2ビットと、該第2ビットの後方の刃口の外周に、角型鋼管の断面視における前記突出継手の他の所定領域に一部が重複するようにして第2ビットと位置をずらして設けた第3ビットとを備え、前記突出継手が第3ビットの後方に配置されていることを特徴とするトンネル覆工用角型鋼管。 - 前記第1ビットは、刃口の内側に向く面が傾斜面とされて先細楔状に形成され、先端部を刃口の先端から前方へ突き出して刃口に固定して設けられた楔形ビットであることを特徴とする請求項2に記載のトンネル覆工用角型鋼管。
- 前記第1ビットは駆動手段によって回転する回転ビットからなり、該回転ビットの後方側の刃口の側壁に、回転ビットによる掘削土砂を刃口内に取り込む開口部が設けられていることを特徴とする請求項2に記載のトンネル覆工用角型鋼管。
- 前記突出継手の先端は地山を掘削可能な楔形ビットに形成されていることを特徴とする請求項2〜4のいずれかに記載のトンネル覆工用角型鋼管。
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