JP4309219B2 - トンネル構築方法 - Google Patents

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Description

本発明は、トンネルへ通ずる地上からのアプローチ部を構築するトンネル構築方法に関するものである。
地下にトンネルを構築する場合、トンネル軸に沿ってトンネルの両側に山留め壁を構築し、その内部を掘削してトンネル函体を構築した後に埋戻しをおこない、山留め壁を撤去する開削工法がおこなわれている。
一方、道路や鉄道などの下に地下立体交差トンネルを構築する場合は、上記する開削工法による地上交通への障害を回避するために、シールド工法や推進工法による施工が一般的である。
シールド掘進機は、大別して密閉型のシールド掘進機とオープン型のシールド掘進機がある。密閉型のシールド掘進機は、そのテール内でセグメントを組立て、カッターディスクで掘削しながら既設セグメントに反力を取ることによりシールドジャッキにて前進させながらトンネルを構築するものである。一方、オープン型のシールド掘進機は、土被りの浅いトンネルを構築する際に使用されるシールド掘進機であって、バックホウにて前方の土砂を排除し、クレーンでセグメントをテール部に吊り下ろして設置し、該セグメントに反力を取りながら前進掘削してトンネルを構築するものである。特許文献1には、オープンシールド掘進機と該シールド掘進機を使用したオープンシールド工法についての発明が開示されている。
ところで、従来のトンネル施工においては、所定深度まで掘下げられた立坑からシールド掘進機を発進させ、地下深部から地上へ通ずるアプローチ部を構築する方法によっておこなわれていた。
特開2002−70481号公報
前記した従来のトンネル構築方法にあっては、次のような問題点がある。
<1>シールド掘進機を使用してトンネルを構築する場合は、所定深度まで立坑を構築する必要がある。この場合、立坑構築に要する工費と工期が施工全体への工費及び工期に影響を与える。
<2>地上から立坑を構築する場合、地上には比較的広範囲にわたる施工ヤードを確保する必要が生じ得る。立坑構築場所が交通導線に干渉する場合は、交通障害の原因となる。
上記のような問題を解決するために、本発明のトンネル構築方法は、トンネルへ通ずる地上からのアプローチ部を構築するトンネル構築方法であって、シールド掘進機を発進させるための発進部を構築する発進部構築工程と、前記シールド掘進機の天井を開閉可能に構成した該シールド掘進機を前記発進部から斜めへ掘進させ、前記シールド掘進機の天井より上方は地上から掘削し、所定深度までは断面視矩形の上部を開放したセグメントを前記シールド掘進機の天井の開放部を介して設置し、所定深度以深には断面視矩形のセグメントを設置するアプローチ部初期構築工程と、前記開放部を閉塞して前記アプローチ部初期構築工程にて構築したアプローチ部から延伸するアプローチ部の下段を構築し、前記シールド掘進機の天井を開放させながら該シールド掘進機を前記下段に設けたセグメント上に沿って掘進させて所定深度までの上段を構築し、所定深度以深の上段は前記開放部を閉塞した前記シールド掘進機を掘進させて構築するアプローチ部後続構築工程と、からなることを特徴とするトンネル構築方法である。
また、本発明のトンネル構築方法は、トンネルへ通ずる地上からのアプローチ部を構築するトンネル構築方法であって、シールド掘進機を発進させるための発進部を構築する発進部構築工程と、前記シールド掘進機の天井を開閉可能に構成した該シールド掘進機を前記発進部から斜めへ掘進させ、前記シールド掘進機の天井より上方は地上から掘削し、所定深度までは断面視矩形の上部を開放したセグメントを前記シールド掘進機の天井の開放部を介して設置し、所定深度以深には断面視矩形のセグメントを設置するアプローチ部初期構築工程と、前記開放部を閉塞して前記アプローチ部初期構築工程にて構築したアプローチ部から延伸するアプローチ部の下段を構築し、前記シールド掘進機の天井を開放させながら該シールド掘進機を前記下段に設けたセグメント上に沿って掘進させて上段を構築するアプローチ部後続構築工程と、からなることを特徴とするトンネル構築方法である。
また、前記するトンネル構築方法において、前記アプローチ部初期構築工程に並行して、別途のシールド掘進機により前記アプローチ部後続構築工程をおこなうことを特徴とするトンネル構築方法を使用できる。
また、前記トンネル構築方法において、前記シールド掘進機の天井に山留め板を着脱可能に備えた構成とし、前記アプローチ部初期構築工程の前記所定深度までの掘削時に前記山留め板を設置し、前記アプローチ部後続構築工程の前記上段の構築時に前記山留め板を設置することを特徴とするトンネル構築方法を使用できる。
また、前記トンネル構築方法によって間隔を置いて略並行に配した複数のアプローチ部を構築し、前記間隔を掘削して大断面アプローチ部を構築することを特徴とするトンネル構築方法を使用することができる。
さらに、前記トンネル構築方法において、断面視矩形の上部を開放した前記セグメントを設置した後に、該セグメントを構成する左右の側壁の天端に夫々設けた凹部に受け桁を係止させ、前記アプローチ部の延伸方向に略並列した前記受け桁上に覆工板を設置しながら前記所定深度以深に断面視矩形の前記セグメントを設置することを特徴とするトンネル構築方法を使用することができる。
本発明のトンネル構築方法は、上記した課題を解決するための手段により、次のような効果の少なくとも一つを得ることができる。
<1>トンネルの構築に際し、所定深度まで掘下げた立坑の構築を必要としないため、工費の低廉化と工期の短縮を図ることができる。
<2>深い立坑の構築を必要としないため、広範な施工ヤードを確保する必要がない。また、立坑構築場所が交通導線に干渉する場合でも、交通障害を最小限に抑えることができる。
<3>本発明のトンネル構築方法を使用して複数のアプローチ部を構築しながら大断面化することにより、大がかりな立坑を構築することなく大断面トンネルの構築が可能となる。
<1>全体の構成
本発明は、シールド掘進機1によるトンネル5の構築のうち、特に地上から地下のトンネル5へ連絡するアプローチ部6の構築方法に関するものである。
使用するシールド掘進機1は、矩形断面削孔用の密閉型のシールド掘進機1を使用するのがよい(図1参照)。また、密閉型のシールド掘進機1とオープン型のシールド掘進機を併用することもできる。
密閉型のシールド掘進機1は、その天井の一部又は全部を開閉可能な開閉機構13を備えて製作するのがよい。アプローチ部6の構築において、地表近傍の比較的浅い深度(シールド掘進機1の高さよりも浅い範囲)を掘進する場合、天井に設けた開閉機構13を開放してできる開放部11を介して、地上から例えばクレーン等の重機3にてセグメント4を吊り下ろしながら設置する。
シールド掘進機1の天井には山留め板12を備えて構成することもできる(図2参照)。すなわち、2つの山留め板12,12をシールド掘進機1の幅程度の間隔を置いてほぼ並行に直立させてシールド掘進機1の天井に配置し、かかる間隔に複数の間隔保持部材121,121を夫々の山留め板12,12に垂直に連結させて設置するものである。
山留め板12をシールド掘進機1の天井に配置することにより、掘削深度がシールド掘進機1の高さ以深となっても一定の深度までは開放部11を介して地上からセグメント4の吊り下ろし設置が可能となる。
密閉型のシールド掘進機1が該シールド掘進機1の高さよりも深い深度(山留め板12をシールド掘進機1の天井に配置する場合は山留め板12の高さを加味した深度)に達する際は、開閉機構13を閉塞し、以降はシールド掘進機1内部から通常通りのセグメント4の設置をおこなうことができる。ここで、以降のアプローチ部6の構築は、下段62と上段63に分けておこなうのがよい。
以下に本発明のトンネル構築方法の詳細について説明する。
<2>発進部構築工程(図3)
発進部2は、地表または地表からアプローチ部6の傾斜を備えて浅く掘下げた掘下げ部である。地表または掘下げ端部にはシールド掘進機1発進用の反力壁91を設置する。ここで、反力壁91は、鋼材を組立てて構築してもよく、またコンクリート壁としてもよい。
発進部2を浅く掘下げた場合でも、通常の立坑を構築する場合に比べて広範な施工ヤードを必要としない。
<3>アプローチ部初期構築工程(図4)
発進部2から斜め下方へ発進したシールド掘進機1を、その高さ程度の深度まで掘進させる。その天井に開閉可能な開閉機構13を備えて製作したシールド掘進機1において、開放部11を介して地上からクレーン等の重機3にてセグメント4を吊り下ろして設置するため、その深度(所定深度)はシールド掘進機1の高さ程度となる。ここで、シールド掘進機1の天井に山留め板12,12を設置する場合は、シールド掘進機1の高さに山留め板12の高さを加えた程度の高さを所定深度とできる。この場合は、シールド掘進機1の天井より下方の地盤はシールド掘進機1にて、天井より上方の地盤は地上からバックホウなどの重機3によって掘削するのがよい。
アプローチ部61は発進部2から所定延長までは断面視矩形の上部を開放したU型のセグメント41を設置し(図5参照)、それ以深は断面視矩形のセグメント42を設置する(図6参照)。
上記するU型のセグメント41を設置した後は、地上交通への一時的な開放や地上への施工ヤードの確保などを目的として覆工板82を設置するのが好ましい。すなわち、U型のセグメント41を構成する左右の側壁の天端に夫々設けた凹部411,411に例えばH形鋼などの受け桁81を係止させ、アプローチ部61の延伸方向に略並列させた複数の受け桁81,81上に覆工板82を設置させる(図10参照)。
<4>アプローチ部後続構築工程
アプローチ部初期構築工程にて所定深度までアプローチ部61を構築した後は、該アプローチ部61からさらに延伸するアプローチ部6を下段62と上段63の2段階に分けて施工する。ここで、シールド掘進機1の開閉機構13を閉塞させた状態で該シールド掘進機1を所定延長掘進させながら断面視矩形のセグメント42を設置していく(図7参照)。その後、下段62を構築したシールド掘進機1を使用し、下段62を形成するセグメント42上に沿ってシールド掘進機1を掘進させながら上段63を形成するセグメント42を下段上に設置していく(図8、9参照)。
また、図示しないが、下段62に設置するセグメント42の天井には予めアプローチ部6の延伸方向に伸びる突条を設けておき、上段63の施工に先立ってシールド掘進機1の下面には上記突条に嵌合する溝条を備えて構成しておくこともできる(当初からかかる構成としたシールド掘進機1を製作しておいてもよい)。この場合は下段62のセグメント42は上段63施工時にシールド掘進機1を案内することができ、さらに施工精度の向上を図ることができる。
上段63の施工においては、シールド掘進機1の高さ程度の深度(所定深度)までは、アプローチ部初期構築工程と同様に開閉機構13を開放させた状態でシールド掘進機1を掘進させるのがよい。シールド掘進機1の天井に山留め板12,12を設置する場合は、シールド掘進機1の高さに山留め板12の高さを加えた程度の高さを所定深度とできる。この場合は、シールド掘進機1の天井より下方の地盤はシールド掘進機1にて、天井より上方の地盤は地上からバックホウなどの重機3によって掘削できる。
所定深度以深の上段63の施工に際しては、開放部11を閉塞させてシールド掘進機1を掘進させながらセグメント42を設置していく。
なお、上段63の構築を開放部11を開放させた状態で(閉塞させることなく)掘進機1の掘進をおこなうこともできる。例えば、交差点部などで土被りが1.5m程度と比較的浅い場合などにおいては、かかる区間のアプローチ部6は開放部11を閉塞させる必要性がないからである。
施工延長については、トンネル5の一般部(ほぼ水平に延伸する区間)まで一気に下段62を構築した後に下段62を施工したシールド掘進機1を上段63の施工に使用することもできるし、下段62をある程度の延長区間施工した後、別途のシールド掘進機1で上段63を施工することもできる。この場合はシールド掘進機1が少なくとも2機必要にはなるものの工期の短縮につながる。
上記する下段62及び上段63のセグメント42の設置が完了した後、下段62を構成する上床版と上段63を構成する下床版を撤去するなどし、上段63のセグメント42の側壁と下段62のセグメント42の側壁を結合してアプローチ部6を完成させることができる。
本実施例は、上記するトンネル構築方法によって、大断面トンネルに通ずる大断面アプローチ部7を構築する方法に関する。
発進部構築工程とアプローチ部初期構築工程とアプローチ部後続構築工程を経て1列のアプローチ部6を構築する。ここで、シールド掘進機1を2機使用し、アプローチ部初期構築工程と並行してアプローチ部後続構築工程をおこなうこともできる。
次に、既設アプローチ部6を構築したシールド掘進機1を使用し、既設アプローチ部6に所定の間隔100を置いて既設アプローチ部6に並行するアプローチ部6を構築する(図11参照)。造成する大断面アプローチ部7の大きさと使用するシールド掘進機1の掘進断面に応じて、並行するアプローチ部6を3列以上構築する必要も生じる。
ここで、シールド掘進機1を2機以上使用して、複数のアプローチ部6,6を並行して構築することもできる。
次に、間隔100を地上から例えばバケット掘削しながら掘下げる(図12参照)。掘下げ時には、間隔100の両側のアプローチ部6,6夫々の側壁が山留め壁の役割を担うため、土砂の崩壊なく地盤の掘下げが可能となる。
間隔100の掘下げをアプローチ部6の延伸方向にわたって完了させた後、または間隔100の掘下げが完了した範囲から順に、アプローチ部6,6を構成する側壁や天井、底版などのうち、本設構造物の構造部材ではない部材の解体撤去をおこないながら本設の大断面アプローチ部7を構築する。
本発明で使用する異径断面シールド掘進機を示した縦断図。 山留め板を設置した異径断面シールド掘進機を示した縦断図。 発進部構築工程を説明した縦断図。 アプローチ部初期構築工程を説明した縦断図。 図4のA−A矢視図。 図4のB−B矢視図。 アプローチ部後続構築工程のうち、下段の構築を説明した縦断図。 アプローチ部後続構築工程のうち、上段の構築を説明した縦断図。 アプローチ部後続構築工程のうち、上段の構築を説明した縦断図。 断面視矩形の上部を開放したセグメントに受け桁及び覆工板を設置している状況を説明した斜視図。 大断面アプローチ部の構築方法を説明した断面図。 大断面アプローチ部の構築方法を説明した断面図。
符号の説明
1・・・シールド掘進機
11・・開放部
12・・山留め板
2・・・発進部
3・・・重機
4・・・セグメント
411・凹部
5・・・トンネル
6・・・アプローチ部
62・・下段
63・・上段
7・・・大断面アプローチ部
81・・受け桁
82・・覆工板
100・間隔

Claims (6)

  1. トンネルへ通ずる地上からのアプローチ部を構築するトンネル構築方法であって、
    シールド掘進機を発進させるための発進部を構築する発進部構築工程と、
    前記シールド掘進機の天井を開閉可能に構成した該シールド掘進機を前記発進部から斜めへ掘進させ、前記シールド掘進機の天井より上方は地上から掘削し、所定深度までは断面視矩形の上部を開放したセグメントを前記シールド掘進機の天井の開放部を介して設置し、
    所定深度以深には断面視矩形のセグメントを設置するアプローチ部初期構築工程と、
    前記開放部を閉塞して前記アプローチ部初期構築工程にて構築したアプローチ部から延伸するアプローチ部の下段を構築し、前記シールド掘進機の天井を開放させながら該シールド掘進機を前記下段に設けたセグメント上に沿って掘進させて所定深度までの上段を構築し、
    所定深度以深の上段は前記開放部を閉塞した前記シールド掘進機を掘進させて構築するアプローチ部後続構築工程と、
    からなることを特徴とする、
    トンネル構築方法。
  2. トンネルへ通ずる地上からのアプローチ部を構築するトンネル構築方法であって、
    シールド掘進機を発進させるための発進部を構築する発進部構築工程と、
    前記シールド掘進機の天井を開閉可能に構成した該シールド掘進機を前記発進部から斜めへ掘進させ、前記シールド掘進機の天井より上方は地上から掘削し、所定深度までは断面視矩形の上部を開放したセグメントを前記シールド掘進機の天井の開放部を介して設置し、
    所定深度以深には断面視矩形のセグメントを設置するアプローチ部初期構築工程と、
    前記開放部を閉塞して前記アプローチ部初期構築工程にて構築したアプローチ部から延伸するアプローチ部の下段を構築し、
    前記シールド掘進機の天井を開放させながら該シールド掘進機を前記下段に設けたセグメント上に沿って掘進させて上段を構築するアプローチ部後続構築工程と、
    からなることを特徴とする、
    トンネル構築方法。
  3. 請求項1又は2記載のトンネル構築方法において、
    前記アプローチ部初期構築工程に並行して、別途のシールド掘進機により前記アプローチ部後続構築工程をおこなうことを特徴とする、
    トンネル構築方法。
  4. 請求項1乃至3のいずれかに記載のトンネル構築方法において、
    前記シールド掘進機の天井に山留め板を着脱可能に備えた構成とし、
    前記アプローチ部初期構築工程の前記所定深度までの掘削時に前記山留め板を設置し、
    前記アプローチ部後続構築工程の前記上段の構築時に前記山留め板を設置することを特徴とする、
    トンネル構築方法。
  5. 請求項1乃至4のいずれかに記載のトンネル構築方法によって間隔を置いて略並行に配した複数のアプローチ部を構築し、
    前記間隔を掘削して大断面アプローチ部を構築することを特徴とする、
    トンネル構築方法。
  6. 請求項1乃至5のいずれかに記載のトンネル構築方法において、
    断面視矩形の上部を開放した前記セグメントを設置した後に、該セグメントを構成する左右の側壁の天端に夫々設けた凹部に受け桁を係止させ、前記アプローチ部の延伸方向に略並列した前記受け桁上に覆工板を設置しながら前記所定深度以深に断面視矩形の前記セグメントを設置することを特徴とする、
    トンネル構築方法。
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