JP4349570B2 - 分割函体及び地下立体交差の構築方法 - Google Patents
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Description
一方、道路や鉄道などの下に地下立体交差トンネルを構築する場合は、上記する開削工法による地上交通への障害を回避するために、シールド工法や推進工法による施工が一般的である。
また、上記する地下立体交差において大断面トンネルを分割施工する方法もある。施工手順としては、例えば上下各5基ずつの計10基からなる分割函体から支保工を構築後に本設の大断面トンネルの構築をおこなうものである。
<1>地下立体交差の構築に際し、道路や鉄道の両側に所定深度まで立坑を構築しアプローチ部や立坑間の掘進をおこなうのは、立坑の深度によっては立坑構築に要する工費と工期が施工全体への工費及び工期に大きな影響を与える。
<2>地下立体交差の構築に際し、道路や鉄道の両側に所定深度まで立坑を構築し、立坑間には角鋼管等を例えば門型に推進させてその内部を掘削するという施工方法においては、底面が閉合されていない。したがって、施工地盤が帯水性地盤の場合には上記支保工の外周面を地盤改良する必要が生じ、工費の高騰及び工期の長期化につながる。
<3>複数の分割函体を上下及び左右に並設して大断面トンネル構築用の支保工を成形するに際し、例えば下段を構築後に上段の両端から中央に向かって順次分割函体を設置していく場合、土圧に押されて分割函体が中央へ移動させられ、最後に設置される上段中央の分割函体のためのスペースが確保できなくなる可能性がある。
前記レール部材は、突設方向にスライド可能に構成してなり、
後行設置される分割函体は、前記レール部材を案内として並設可能な溝条を該分割函体のうち並設する前施工分割函体側に刻設してなり、
前記レール部材を前記溝条に嵌合させながら並設する分割函体を設置した後で、該レール部材を突設方向に張り出して該溝条に押圧させることを特徴とする、
分割函体。
<1>地下立体交差の構築に際し、構築される立坑はアプローチ部の地上付近となる比較的浅深度のものとなるため、工費の低廉化と工期の短縮を図ることができる。
<2>地下立体交差の延長において深度ごとに仮設施工方法を変化させることにより、効率的な施工を実現でき、工期の短縮を図ることが可能となる。
<3>分割函体に設置したレール部材と分割函体に刻設した溝条を嵌合させることにより、精度良く分割函体の並設施工をおこなうことができる。また、上下段の分割函体群のうち、下段の中央で先行設置される分割函体の少なくとも左右側壁に備えるレール部材をその突設方向にスライド可能に構成し、後行して並設される分割函体の溝条に上記レール部材をスライドさせて押圧することにより、土圧に抗しながら分割函体同士間に所要の離隔を確保することができる。
本発明は、シールド掘進機を使用して複数の分割函体2を並設しながら支保工20を構築後、大断面トンネル4からなる地下立体交差を構築する地下立体交差の構築方法に関するものである。地下立体交差は、地上の交通手段である道路や鉄道のほか、ビルや河川などの下を横断するトンネルである。本発明は、特に大断面トンネルからなる地下立体交差の構築方法に関するものである。さらに地下水位が比較的高く、したがって従来の門型に角鋼管を地盤内挿入して支保工を構成させる方法では地盤改良等なしには施工が極めて困難である地盤等に本発明の構築方法を適用するのが好ましい。
使用するシールド掘進機はその掘進深度に応じてオープンシールド掘進機11と密閉型シールド掘進機12を使い分けながらおこなう。ここで、オープンシールド掘進機11及び密閉型シールド掘進機12の切替えは、後述するように1基のシールド掘進機の天井に設けた開閉機構13の開閉によって容易に切替え可能である。
立坑7から密閉型シールド掘進機12を発進させてまず下段21の分割函体2を並設させる。一般には、中央の分割函体2(図4中のA分割函体)から構築していき、その左右、すなわち図4中のB分割函体→C分割函体→D分割函体→E分割函体といった順序で分割函体2(列)を並設していき下段21を構築する。
上段22の構築は地上からの深度に応じてシールド掘進機を使い分け(切替え)、また開削工法を組合せながらおこなっていく。図3に示すように、例えば深度ごとに施工延長を大きく3つの区間に区分けすることができ、区間ごとに支保工20の構築方法を変化させる。図3のX区間(例えば鉄道92の直下およびその周辺)の支保工断面図を図4に、地上からのアプローチ部となるZ区間の支保工断面図を図7に示す。鉄道92などから比較的離れて開削工事の影響が該鉄道92にほとんど及ばないと考えられるアプローチ部においては、積極的に開削工法を採用することで無駄に支保工を構築することなく、また工期の短縮を図ることができる。
Z区間ではF分割函体とG分割函体のみを設置して土留め構造を形成してその内部を開削していく。そのため、Y区間及びX区間も上段22の構築はF分割函体→G分割函体が先行して設置された後、引き続きH分割函体→I分割函体→J分割函体のような順序で函体設置がおこなわれる。
支保工20構築後、分割函体2を構成する床版や壁などを撤去しながら本設の大断面トンネル4からなる地下立体交差の構築に移行する。
本発明の地下立体交差の構築方法に使用するシールド掘進機は、その天井に開閉機構13を備えて製作された掘進機であり、その掘進深度に応じてオープンシールド掘進機11として使用したり密閉型シールド掘進機12として使用できる。
ここで、密閉型シールド掘進機12として使用する場合は、その天井の一部又は全部を開閉可能な開閉機構13を閉じた状態とする(図1(b)参照)。セグメント5の設置は通常のシールド掘進機と同様にトンネル内部にセグメント5を伝送することによっておこなわれる。一方、オープンシールド掘進機11として使用する場合は、開閉機構13を開放して天井に開口14をつくり(図1(a)参照)、該開口14を介して、地上から例えばクレーン等の重機にてセグメント4を吊り下ろしながら設置することができる。なお、オープンシールド掘進機11の掘進に際しては、カッタービットを取り付けた面版の回転(矩形断面掘進用の面版)によって土砂を切削したり、地上からバックホー等の重機によって土砂の切削をおこなうことができる。
本発明の施工方法では、支保工20を構成する分割函体2を複数並設するため、複数の上記シールド掘進機を並行使用することで工期を短縮することもできる。
山留め板61をシールド掘進機(オープンシールド掘進機11)の天井に配置することにより、掘削深度がシールド掘進機の高さ以深となっても一定の深度までは山留め板61で土留めをしながら開口14を介して地上からセグメント5の吊り下ろし設置が可能となる。
分割函体2は、トンネル延伸方向に垂直に切断した断面視形状が矩形や正方形の函体であり、コンクリート製や鋼製、コンクリートと鋼材の合成構造など多様に選定できる。分割函体の外形寸法は、支保工20の全断面の大きさや、分割函体2の重量、分割函体2の運搬能力などからコストや施工性などによって任意に決定できる。
以下、コンクリート製の分割函体2について説明する。
上記のように、設置順序や配置場所によって各分割函体2ごとにレール部材31の取り付け位置や溝条32の刻設位置が異なる。レール部材31を溝条32に嵌合させながら複数の分割函体2を並設することにより、側壁や床版の外周同士を確実に接触させることもできるし、レール部材31の突設長を調整することで側壁や床版の外周間に所定の離隔を確保することもできる。
その一つは、図6に示すように壁内にナット部が埋め込まれ、ボルト部が外側に突設したボルトナット311に、例えば断面視T型で鋼製のレール部材31を取り付けて構成されるタイプである。並設する分割函体2の溝条32を該レール部材31に嵌合させることで分割函体2,2同士の外周面を確実に接触させながら設置することができる。
上記タイプ(図6)のレール部材31は、例えば、図4において、A分割函体の上床版、B分割函体の左側壁及び上床版、C分割函体の右側壁及び上床版、D分割函体の上床版、E分割函体の上床版、F分割函体の右側壁、G分割函体の左側壁などに取り付けるのがよい。
上記タイプ(図5)のレール部材31は、例えば、図4において、A分割函体の左右側壁に取り付けるのがよい。このようなレール部材31を取り付ける理由は、最後にJ分割函体を設置する際に必要となる設置幅を確保するためである。仮に、A分割函体とB分割函体及びC分割函体との外周面同士を接触させて並設した場合、J分割函体を設置する際にはF分割函体及びG分割函体が夫々土圧によって中央へ押されることによりJ分割函体を設置するスペース(幅)が確保できなくなる可能性が高い。したがって、図5に示すタイプのレール部材31を使用してB分割函体及びC分割函体設置後にレール部材31を外側へ張り出させて溝条32に押圧させることによって、A分割函体とB分割函体及びA分割函体とC分割函体との間には所要の離隔を確保することができる。この状態で上段22を構成するH分割函体及びI分割函体を設置しても、夫々の位置はその下方に位置するB分割函体及びC分割函体によって拘束されるために(夫々レール部材31と溝条32が嵌合接合されている)、H分割函体及びI分割函体の間には所要の間隔(J分割函体を設置できる十分なスペース)が確保できることとなる。
立坑7を鉄道92や道路など地上交通手段などから離れた位置に構築する(図3参照)。地上交通に対する支障を最小限なものとし、また、立坑深度を極力浅深度なものとするためである。また、図3の実施例のように、地下立体交差の地上へのアプローチ部の地上出口(入口)に立坑7を構築するのが好ましい。
1基のシールド掘進機を使用して施工をおこなう場合は、まず発進用の立坑7のみを構築してもよいし、発進用及び到達用の夫々の立坑7,7を一気に構築してもよい。
大断面トンネル4構築用の支保工20は複数段で且つ各段複数の分割函体2から構成される。以下2段(上段22と下段21からなる)で各段5基(列)の分割函体2から構成される支保工20を実施例として説明する。
密閉型シールド掘進機12を使用して下段21を構築する(図3参照)。下段21はアプローチ部や交通手段直下などの一般部など地下立体交差の全延長を通じて分割函体2を5基並設してなる。構築順序は、例えば、A分割函体→B分割函体→C分割函体→D分割函体→E分割函体といった中央部から外側への施工順序がよい。ここで、A分割函体の左右側壁にはその突設方向にスライド可能なレール部材31を取り付けておき、B分割函体及びC分割函体をA分割函体に並設した後はレール部材31を外側へスライドさせる。レール部材31の先端を溝条32に押圧することで側方からの土圧に抗しながらA分割函体とB分割函体及びA分割函体とC分割函体との間に所要の離隔を確保することができる(図5参照)。
上記する離隔にはセメント系の注入材8を注入して離隔部の止水処理をおこなう。
B分割函体及びD分割函体、C分割函体及びE分割函体は双方の側壁外周面同士を接触させながら設置することもできるし(図6参照)、多少の離隔を置いて設置することもできる。
上段22の構築は、地上からの深度に応じて施工方法を変化させるのがよい。図3に示す実施例では、全延長を大きく3区間に区分けし、区間ごとに上段22の施工方法を変化させる。
まず、地上からのアプローチ部であって、例えば土被りがない深度やオープンシールド掘進機11で掘進可能な深度まで(Z区間)は図7に示すようにF分割函体及びG分割函体を設置して土留め構造を構築後、F分割函体及びG分割函体で挟まれた範囲を地上からクラムシェル等の重機91を使用して開削施工する。F分割函体及びG分割函体の設置はオープンシールド掘進機11を使用して地上から所要のセグメント5を組み立てていくことによっておこなうことができる。
なお、F分割函体及びG分割函体の設置は、Z区間ではオープンシールド掘進機11にて設置され、さらに深度が深いY区間では山留め板61をその天井に取り付けたオープンシールド掘進機11として設置され、鉄道92などの直下及びその付近(最深度)であるX区間では開閉機構13を閉塞して密閉型シールド掘進機12として設置される。なお、Y区間は、比較的浅い土被りが存在する深度、或いは山留め板61等を使用することでオープンシールド掘進機11にて施工可能な深度までの延長区間をいう。
X区間では、密閉型シールド掘進機12を使用し、図4に示すようにF分割函体→G分割函体の後、H分割函体→I分割函体→J分割函体のような順序で上段22の構築をおこなう。なお、最後に設置するJ分割函体はA分割函体とは嵌合設置させるが、H分割函体やI分割函体とは嵌合させる必要はなく、J分割函体及びH分割函体、J分割函体及びI分割函体の間の離隔には下段21と同様に注入材8の注入をおこなう。
12・・・密閉型シールド掘進機
2・・・・分割函体
20・・・支保工
21・・・下段
22・・・上段
31・・・レール部材
32・・・溝条
4・・・・大断面トンネル
61・・・山留め板
Claims (4)
- 地下立体交差の構築方法に使用する分割函体であって、
先行設置される分割函体は、その外周に突設して延伸方向に伸びたレール部材を該分割函体のうち並設する後施工分割函体側に設置してなり、
前記レール部材は、突設方向にスライド可能に構成してなり、
後行設置される分割函体は、前記レール部材を案内として並設可能な溝条を該分割函体のうち並設する前施工分割函体側に刻設してなり、
前記レール部材を前記溝条に嵌合させながら並設する分割函体を設置した後で、該レール部材を突設方向に張り出して該溝条に押圧させることを特徴とする、
分割函体。 - 大断面トンネルからなる地下立体交差の構築方法であって、
シールド掘進機の発進立坑、又は発進立坑及び到達立坑を構築する立坑構築工程と、
複数段で且つ各段複数の請求項1記載の前記分割函体からなる支保工の構築のうち、密閉型シールド掘進機を使用して下段の分割函体を併設していく下段構築工程と、
上段の構築において、地上から所定深度までの延長区間はオープンシールド掘進機にて両端の分割函体のみを設置し、該分割函体に挟まれた範囲は開削施工をおこない、さらに所定深度までの延長区間はオープンシールド掘進機にて分割函体を並設し、さらに最深部までの延長区間は密閉型シールド掘進機にて分割函体を並設する上段構築工程と、から支保工を構築し、
前記支保工を利用しながら大断面トンネルからなる地下立体交差を構築する、
地下立体交差の構築方法。 - 請求項2記載の地下立体交差の構築方法であって、
前記下段構築工程において、中央に配置される請求項1記載の前記分割函体からその左右に配置される前記分割函体を並設した後に前記レール部材を突設方向に張り出して該溝条に押圧させ、さらに左右に配置される分割函体を設置していく、
地下立体交差の構築方法。 - 請求項2又は3に記載の地下立体交差の構築方法において、
その天井を開閉可能に構成した前記シールド掘進機であって、該天井を閉じることによって密閉型シールド掘進機とし、該天井を開放することによってオープンシールド掘進機とするシールド掘進機を使用し、
下段構築工程は前記密閉型シールド掘進機にて施工し、
上段構築工程においては、地上から所定深度までの延長区間は天井を開放した前記オープンシールド掘進機にて両端の函体のみを設置し、該函体に挟まれた範囲 は開削施工をおこない、さらに所定深度までの延長区間は前記オープンシールド掘進機の天井に山留め板を設置して分割函体を並設し、さらに最深部までの延長 区間は前記山留め板を外した前記密閉型シールド掘進機にて分割函体を並設する、
地下立体交差の構築方法。
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