JP3553523B2 - オープンシールド機およびオープンシールド工法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、市街地に上下水道、地下道等の地下構造物を施工するオープンシールド工法およびそれに使用するコンクリート函体に関する。
【0002】
【従来の技術】
オープンシールド工法は開削工法(オープンカット工法)とシールド工法の長所を生かした合理性に富む工法である。図7にその概略を示すと、図中1はオープンシールド機で、これは左右の側壁板1aとこれら側壁板1aに連結する底板1bとからなる前面、後面及び上面を開口したシールド機である。
【0003】
該オープンシールド機1は前記側壁板1aと底板1bの先端を刃口11として形成し、また側壁板1aの中央又は後端近くに推進ジャッキ2を後方に向け上下に並べて配設する。
【0004】
図示は省略するが、発進坑内にこのオープンシールド機1を設置して、オープンシールド機1の推進ジャッキ2を伸長して発進坑内の反力壁に反力をとってオープンシールド機1を前進させ、地下構造物を形成する第1番目のコンクリート函体4を上方から吊り降し、オープンシールド機1のテール部1c内で縮めた推進ジャッキ2の後方にセットする。推進ジャッキ2と反力壁の間にはストラットを配設して適宜間隔調整をする。
【0005】
また、発進坑は土留壁で構成し、オープンシールド機1を発進させるにはこの土留壁を一部鏡切りするが、必要に応じて薬液注入等で発進坑の前方部分に地盤改良を施しておくこともある。
【0006】
ショベル等の掘削機9でオープンシールド機1の前面又は上面から土砂を掘削しかつ排土する。この排土工程と同時またはその後に推進ジャッキ2を伸長してオープンシールド機1を前進させる。この前進工程の場合、コンクリート函体4の前にはボックス鋼材又は型鋼を用いた枠体よりなる押角8を配設する。
【0007】
そして前記第1番目のコンクリート函体4の前に第2番目のコンクリート函体4をオープンシールド機1のテール部1c内に吊り降す。以下、同様の排土工程、前進工程、コンクリート函体4のセット工程を適宜繰返して、順次コンクリート函体4をオープンシールド機1の前進に伴い縦列に地中に残置し、さらにこのコンクリート函体4の上面に埋戻し5を施す。
【0008】
なお、コンクリート函体4をオープンシールド機1のテール部1c内に吊り降す際には、コンクリートブロック等による高さ調整材7をコンクリート函体4下に配設し、このテール部1c内でコンクリート函体4の左右および下部の空隙にグラウト材6を充填する。
【0009】
このようにして、オープンシールド機1が到達坑まで達したならばこれを撤去して工事を完了する。
【0010】
このようなオープンシールド工法では、前記のごとくコンクリート函体4は、オープンシールド機1のテール部1c内に吊り降され、オープンシールド機1の前進とともに該テール部1cから出て地中に残されていくものである。そして、コンクリート函体4は鉄筋コンクリート製のもので、図8に示すように左側板4a,右側板4bと上床板4cと下床板4dとからなるもので、前後面が開口10として開放されている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
オープンシールド機1の掘進時、刃口11が先行して前進するが、フロント部の底部は土の上を推進することになり地山との間の摩擦抵抗(貫入抵抗)が大きく、スムーズに掘進することが難しい。特に、先端下部の角隅部位置での地山の貫入が困難である。
【0012】
本発明の目的は前記従来例の不都合を解消し、シールド機の推進時、フロント部の底部および側方下部と地山との摩擦抵抗を軽減でき、フロント部の特に角隅部を容易に推進できて施工性の向上を図れるオープンシールド機およびオープンシールド工法を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明は前記目的を達成するため、第1に、オープンシールド機としては、左右側壁板の内側に推進ジャッキを配設し、前面、後面及び上面を開口したオープンシールド機の前面又は上面開口より前方の土砂を掘削排土する工程と、推進ジャッキを伸長してシールド機を前進させる工程と、シールド機のテール部内で後方にコンクリート函体を上方から吊り降してセットする工程とを適宜繰り返して順次コンクリート函体を縦列に埋設するオープンシールド工法において使用するオープンシールド機において、オープンシールド機のフロント部の先端の少なくとも底部及び下側部の外側にフリクションカッタージャッキで前方に突出する、底部および下側部位置でL字型の一体に形成したフリクションカッターを配設したことを要旨とするものである。
【0015】
第2に、オープンシールド機の機体をフロント部、ジャッキ部およびテール部の3ブロックに分割することを要旨とするものである。
【0016】
第3に、オープンシールド工法として、左右側壁板の内側に推進ジャッキを配設し、前面、後面及び上面を開口したオープンシールド機の前面又は上面開口より前方の土砂を掘削排土する工程と、推進ジャッキを伸長してシールド機を前進させる工程と、シールド機のテール部内で後方にコンクリート函体を上方から吊り降してセットする工程とを適宜繰り返して順次コンクリート函体を縦列に埋設するオープンシールド工法において、オープンシールド機のフロント部の先端の少なくとも底部及び下側部の外側に配設した、底部および下側部位置でL字型の一体に形成したフリクションカッターを、フロント部の前進の前工程として前進させ、該フリクションカッターの上および内側に沿ってフロント部を推 進させることを要旨とするものである。
【0017】
請求項1および請求項3記載の本発明によれば、オープンシールド機のフロント部を掘進させるとき、フロント部の前進に先行して、フロント部の先端の少なくとも底部及び下側部の外側に配設したフリクションカッターを前進させることで、フロント部の掘進時にはフロント部の底部は、該フリクションカッターの上を滑るようにして前進する。よって、オープンシールド機の掘進は、鋼製のフリクションカッターの上を同じく鋼製の底部が摺動することになり、貫入抵抗を低減できる。
【0018】
そして、特に貫入抵抗の大きいフロント部の角隅部にフリクションカッターを設備したから、フリクションカッターを実効的なものにできる。
【0019】
さらに、フリクションカッターは、底部および側部位置でL字型の一体に形成することにより、一度のジャッキ操作でフロント部の角隅部であるL字型の箇所に対応する部分にフリクションカッターを伸長でき、この部分の摩擦抵抗を確実に低減できる。
【0021】
請求項2記載の本発明によれば、前記作用に加えて、オープンシールド機の機体をフロント部、ジャッキ部およびテール部の3ブロックに分割することにより、フロント部の推進の反力をジャッキ部およびテール部から得るようにすることが可能となるが、かかる場合、コンクリート函体から反力を得る場合に比較して十分な反力が得られなくても、フリクションカッターを先行して前進させておくことでフロント部の掘進が容易になる。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、図面について本発明の実施形態を詳細に説明する。図1は本発明のオープンシールド機の実施形態を示す正面図、図2は同上平面図、図3は同上縦断側面図で、オープンシールド機の基本構成は図9について既に説明した通りであるからここでの詳細な説明は省略する。
【0023】
本発明のオープンシールド機1は前記構成に加えて、フロント部1dの先端の底部に配置されている底板1b及び側壁板1aの下方部分の外側にフリクションカッタージャッキ13で前方に突出するフリクションカッター12を配設した。
【0024】
このフリクションカッター12の配置は、種々のタイプが考えられ、フロント部1dの角隅部に配置されるものについては、例えば図4に示すように底部12aと側部12bとを一体にしたL字型のものに構成した。
【0025】
そして、前記角隅部に配置される底部12aと側部12bの他に、図1に示す例では底部12aに並べてさらに例えば底部12aと同様の幅を備える別の底部12cを配置する。なお、図示の例ではフロント部1dの底板1bの中央部分にはフリクションカッター12を配置していないが、底板1bの先端部の下部の全部にわたって配置することもできる。
【0026】
図中14はスライドジャッキを示す。また、図2、図3において、オープンシールド機1はフロント部1d、ジャッキ部1eおよびテール部1cの3ブロックに分割する分割体で構成し、各分割体を推進ジャッキ15で連結し、フロント部1dの推進の反力は後方のジャッキ部1eおよびテール部1cから得るようにした。
【0027】
工法の全体の概要としては前記図7に示す通りで詳細説明は省略するが、オープンシールド機1での掘進及びコンクリート函体4のセット工程を繰返して、順次コンクリート函体4をオープンシールド機1の前進に伴い縦列に地中に残置していくものであるが、オープンシールド機1の前進時に、推進に先行してフリクションカッタージャッキ13を前方に伸長し、フリクションカッター12を前進させる。
【0028】
その後、推進ジャッキ15を伸長してオープンシールド機1のフロント部1dを前進させる。このとき、フロント部1dの底部は先行して前進しているフリクションカッター12の上を、また、側壁板1aはフリクションカッター12の内側を前進し、底部1dおよび側壁板1a、フリクションカッター12ともに材質は鋼製であるから、底部1dおよび側壁板1aの推進時の摩擦抵抗は少なく、フロント部1dの貫入抵抗が小さくなり、オープンシールド機1の推進が容易に行える。
【0029】
そして、特に貫入抵抗の大きい箇所であるフロント部1dの角隅部に対応する部分にフリクションカッター12をL字形に配置したから、フロント部1dの推進が容易となる。
【0031】
また、オープンシールド機1をフロント部1d、ジャッキ部1eおよびテール部1cの3ブロックに分割する分割体で構成し、各分割体を推進ジャッキ15で連結するタイプでは、フロント部1dの推進の反力は後方のジャッキ部1eおよびテール部1cから得るようになるが、この場合、コンクリート函体4から反力を得る場合に比較して十分な反力が得られなくても、フリクションカッター12を先行して前進させておくことでフロント部1dの掘進が容易になる。
【0032】
この場合、図2に示すように後方の分割体の方が小径になるものでは、十分な反力を得にくいフロント部1dを先進させる際に、フリクションカッター12を先行して前進させておくことは特に有効であるが、これに限定されるものではなく、図5に示すような、フロント部1d、ジャッキ部1eおよびテール部1cの各分割体の機体幅を同一に形成した場合にも適用できる。
【0033】
そして、後方の分割体は重合部の部分を小径部20に形成し、前後の分割体の重合部に形成されるクリアランスを確保するために図6(a)に示すような丸鋼21や、図6(b)に示すような断面半月状の鉄板23を介装する。
【0034】
さらに、重合部の隙間から機体内に土砂が侵入することを防止するため弾性を有する鋼板22を隙間に介装する。
【0035】
また、曲線施工部で後方の分割体の先端角部が重合部内で前方の分割体にぶつからないように、後方の分割体の先端角部を面取りしてテーパー部24に形成した。
【0036】
【発明の効果】
以上述べたように本発明のオープンシールド機およびオープンシールド工法は、シールド機の推進時、フロント部の底部および側方下部と地山との摩擦抵抗を軽減でき、フロント部の特に角隅部を容易に推進できて施工性の向上を図れるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のオープンシールド機の実施形態を示す正面図である。
【図2】本発明のオープンシールド機の実施形態を示す平面図である。
【図3】本発明のオープンシールド機の実施形態を示す縦断側面図である。
【図4】本発明のオープンシールド機も要部であるフリクションカッター部分の第1例を示す正面図である。
【図5】本発明のオープンシールド機の他の例を示す平面図である。
【図6】本発明のオープンシールド機の重合部の説明図である。
【図7】オープンシールド工法の概要を示す縦断側面図である。
【図8】コンクリート函体の斜視図である。
【符号の説明】
1…オープンシールド機
1a…側壁板 1b…底板
1c…テール部 2…推進ジャッキ
1d…フロント部 1e…ジャッキ部
3…隔壁 4…コンクリート函体
4a…左側板 4b…右側板
4c…上床板 4d…下床板
5…埋戻し 6…グラウト材
7…高さ調整材 8…押角
9…掘削機 10…開口
11…刃口 12…フリクションカッター
12a…底部 12b…側部
12c…底部 13…フリクションカッタージャッキ
14…スライドジャッキ 15…推進ジャッキ
20…小径部 21…丸鋼
22…鋼板 23…鉄板
24…テーパー部
Claims (3)
- 左右側壁板の内側に推進ジャッキを配設し、前面、後面及び上面を開口したオープンシールド機において、オープンシールド機のフロント部の先端の少なくとも底部及び下側部の外側にフリクションカッタージャッキで前方に突出する、底部および下側部位置でL字型の一体に形成したフリクションカッターを配設したことを特徴とするオープンシールド機。
- オープンシールド機の機体をフロント部、ジャッキ部およびテール部の3ブロックに分割する請求項1に記載のオープンシールド機。
- 左右側壁板の内側に推進ジャッキを配設し、前面、後面及び上面を開口したオープンシールド機の前面又は上面開口より前方の土砂を掘削排土する工程と、推進ジャッキを伸長してシールド機を前進させる工程と、シールド機のテール部内で後方にコンクリート函体を上方から吊り降してセットする工程とを適宜繰り返して順次コンクリート函体を縦列に埋設するオープンシールド工法において、オープンシールド機のフロント部の先端の少なくとも底部及び下側部の外側に配設した、底部および下側部位置でL字型の一体に形成したフリクションカッターを、フロント部の前進の前工程として前進させ、該フリクションカッターの上および内側に沿ってフロント部を推進させることを特徴とするオープンシールド工法。
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