JP3646984B2 - オープンシールド工法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、市街地に上下水道、地下道等の地下構造物を施工するオープンシールド工法に関する。
【0002】
【従来の技術】
オープンシールド工法は開削工法(オープンカット工法)とシールド工法の長所を生かした合理性に富む工法である。図2にその概略を示すと、図中1はオープンシールド機で、これは左右の側壁板1aとこれら側壁板1aに連結する底板1bとからなる前面、後面及び上面を開口したシールド機である。
【0003】
該オープンシールド機1は前記側壁板1aと底板1bの先端を刃口11として形成し、また側壁板1aの中央又は後端近くに推進ジャッキ2を後方に向け上下に並べて配設する。
【0004】
図示は省略するが、発進坑内にこのオープンシールド機1を設置して、オープンシールド機1の推進ジャッキ2を伸長して発進坑内の反力壁に反力をとってオープンシールド機1を前進させ、地下構造物を形成する第1番目のコンクリート函体4を上方から吊り降し、オープンシールド機1のテール部1c内で縮めた推進ジャッキ2の後方にセットする。推進ジャッキ2と反力壁の間にはストラットを配設して適宜間隔調整をする。
【0005】
また、発進坑は土留壁で構成し、オープンシールド機1を発進させるにはこの土留壁を一部鏡切りするが、必要に応じて薬液注入等で発進坑の前方部分に地盤改良を施しておくこともある。
【0006】
バックホー等の掘削機9でオープンシールド機1の前面又は上面から土砂を掘削しかつ排土する。この排土工程と同時またはその後に推進ジャッキ2を伸長してオープンシールド機1を前進させる。この前進工程の場合、コンクリート函体4の前にはボックス鋼材又は型鋼を用いた枠体よりなるプレスバー8を配設する。図中3は、オープンシールド機1内を前部の切羽掘削部と後部の函体据付部とに区画する隔壁である。
【0007】
そして前記第1番目のコンクリート函体4の前に第2番目のコンクリート函体4をオープンシールド機1のテール部1c内に吊り降す。以下、同様の排土工程、前進工程、コンクリート函体4のセット工程を適宜繰り返して、順次コンクリート函体4をオープンシールド機1の前進に伴い縦列に地中に残置し、さらにこのコンクリート函体4の上面に埋戻し5を施す。
【0008】
なお、コンクリート函体4をオープンシールド機1のテール部1c内に吊り降す際には、レール、コンクリートブロック等による高さ調整材7をコンクリート函体4下に配設し、このテール部1c内でコンクリート函体4の左右および下部の空隙に安定性固化材であるグラウト材6を充填する。
【0009】
このようにして、オープンシールド機1が到達坑まで達したならばこれを撤去して工事を完了する。
【0010】
このようなオープンシールド工法では、前記のごとくコンクリート函体4は、オープンシールド機1のテール部内に吊り降され、オープンシールド機1の前進とともに該テール部1cから出て後方の地中に残されていくものである。そして、コンクリート函体4は鉄筋コンクリート製のもので、図10に示すように左側板4a,右側板4bと上床板4cと下床板4dとからなるもので、前後面が開口10として開放されている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
コンクリート函体4の左右および下部の空隙に安定性固化材であるグラウト材6を充填するタイミングとして、前記のように従来は、テール部1c内にコンクリート函体4を吊り降した時に行っている。
【0012】
しかしながら、この状態ではコンクリート函体4の下方にはレール、コンクリートブロック等による高さ調整材7や底板1bが存在しているため、当然のことであるがこれらレール、高さ調整材7や底板1bの部分にはグラウト材6が充填されず、次の工程でオープンシールド機1を前進させテール部1c内のコンクリート函体4をレール上を滑らせて後方の地中に残置したとき、該コンクリート函体4の周囲で、レール、高さ調整材7や底板1bのあった部分に空隙が残ってしまう。
【0013】
このため、オープンシールド機1を前進させた後、後方の地中に残置したコンクリート函体4の周囲に残った空隙に対してさらにグラウト材6を充填する必要があり、グラウト材6の二次的な注入作業を要して作業工程が多くなる。
【0014】
また、テール部1c内でコンクリート函体4の周囲にグラウト材6を充填する際には、コンクリート函体4のセット位置より前方にグラウト材6が流入することを阻止するために、プレスバー8を一旦撤去して流入ストッパーをセットし、グラウト材6の注入後、流入ストッパーを撤去しプレスバー8を再度セットする必要があり、この面でも作業工程が多く、オープンシールド機1の日進量を減退させる原因のひとつとなっていた。
【0015】
また、テール部1c内で注入するため、テール部1c内をドライな状態に常時保持することができず、作業性がよくないものになっている。
【0016】
本発明の目的は前記従来例の不都合を解消し、地中に残置するコンクリート函体の周囲の空隙に安定性固化材を充填する場合、二次的な注入作業が不要となって一回の注入作業で足り、また、プレスバーや流入ストッパーの撤去・設置などの作業も不要となって作業工程を削減でき、オープンシールド機1の日進量を大幅にアップでき、また、テール部内をドライな状態に保持でき作業性も向上できるオープンシールド工法を提供することにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】
本発明は前記目的を達成するため、第1に、左右側壁板の内側に推進ジャッキを配設し、前面、後面及び上面を開口したオープンシールド機の前面又は上面開口より前方の土砂を掘削排土する工程と、推進ジャッキを伸長して左右側板と上床板と下床板とからなるコンクリート函体を反力にしてシールド機を前進させる工程と、シールド機のテール部内で縮めた推進ジャッキの後方に新たなコンクリート函体を上方から吊り降してセットする工程とを適宜繰り返して順次コンクリート函体を縦列に埋設するオープンシールド工法において、シールド機を前進させ、テール部内にセットしたコンクリート函体をテール部内を滑らせて後方の地中に残置した状態で、テール部の底板が移動した結果、コンクリート函体の下部と地山との間に生じた空隙と、左右側壁板が移動した結果、コンクリート函体の左右と地山との間に生じた空隙とにテール部の外部後方で安定性固化材を充填すること、第2に、オープンシールド機はテール部の後部にコンクリート函体との間に介装されて、テール部内への安定性固化材の流入を阻止する注入ストッパーを備えることを要旨とするものである。
【0018】
請求項1記載の本発明によれば、コンクリート函体の周囲への安定性固化材の充填は、オープンシールド機を前進させ、コンクリート函体をテール部内を滑らせて後方の地中に残置した状態で行うから、テール部の外部での充填となり、周囲の地山との間の空隙の全てに一回の作業で確実に充填できる。また、プレスバーを撤去する必要もなく作業性がよく、オープンシールド機の日進量がアップする。さらに、テール部内には安定性固化材か注入されないから、テール部内をドライな状態に保持でき、この点からも作業性が向上する。
【0019】
請求項2記載の本発明によれば、前記作用に加えて、テール部には、テール部内への安定性固化材の流入を阻止する注入ストッパーを設けたから、別途格別に流入阻止手段を講じることなく、テール部内への安定性固化材の流入を阻止することができ、作業性のよいものになっている。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、図面について本発明の実施形態を詳細に説明する。図1は本発明のオープンシールド工法の実施の形態を示す平面図で、工法の全体の概要としては前記図2に示す通りで詳細説明は省略するが、オープンシールド機1での掘進及びコンクリート函体4のセット工程を繰り返して、順次コンクリート函体4をオープンシールド機1の前進に伴い縦列に地中に残置し、さらにこのコンクリート函体4の上面に埋戻し5を施す。
【0021】
本発明では、オープンシールド機1のテール部1cに位置する左右の側壁板1aの内側に安定性固化材の流入を阻止する注入ストッパー12を突設した。この注入ストッパー12はシール材としての機能を有するもので、テール部1cにセットしたコンクリート函体4の外周面とテール部1cとの間の隙間を塞ぐ幅を有する。
【0022】
本発明のオープンシールド工法では、コンクリート函体4をオープンシールド機1のテール部1c内の底板1bの上に吊り降し、バックホー等の掘削機9でオープンシールド機1の前面又は上面から土砂を掘削しかつ排土する。この排土工程と同時またはその後に推進ジャッキ2を伸長してオープンシールド機1を前進させ、これにより、テール部1c内にセットしたコンクリート函体4をテール部1c内を滑らせて後方の地中に残置する。
【0023】
この状態で後方に残置されたコンクリート函体4は、図1に示すように先端はテール部1c内にあり、テール部1cの底板1b上で支持され、また、後端は前回の工程で既に充填された安定性固化材13の上に位置しており、コンクリート函体4の下方にはテール部1cの底板1bが移動して撤去した分の空隙が地山との間に生じている。また、コンクリート函体4の側方にもオープンシールド機の左右の側壁板1aが移動して撤去した分の空隙が地山との間に生じている。
【0024】
また、コンクリート函体4の周壁の前部分は、テール部1cとの間の隙間は注入ストッパー12で塞がれる。
【0025】
よって、注入管14を使用してこの空隙内に安定性固化材13を注入すれば、コンクリート函体4と地山との間の全ての空隙に安定性固化材が一度の注入作業で充填される。
【0026】
そして、この注入作業は、オープンシールド機1を前進させながら行えば、コンクリート函体4の先端側で、テール部1cの底板1b上で支持されていた部分の下方に生じる空隙にも安定性固化材13が継続して注入される。
【0027】
かかる安定性固化材13の注入時、コンクリート函体4とテール部1cとの間には注入ストッパー12で塞がれているから、安定性固化材13がテール部1c内に流入することはなく、止水性も確保されるから、テール部1c内ではドライな状態で作業を続行できる。
【0028】
【発明の効果】
以上述べたように本発明のオープンシールド工法は、地中に残置するコンクリート函体の周囲の空隙に安定性固化材を充填する場合、二次的な注入作業が不要となって一回の注入作業で足り、また、プレスバーや流入ストッパーの撤去・設置などの作業も不要となって作業工程を削減でき、オープンシールド機1の日進量を大幅にアップでき、また、テール部内をドライな状態に保持でき作業性も向上できるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のオープンシールド工法の実施の形態を示す平面図である。
【図2】 オープンシールド工法の概要を示す縦断側面図である。
【図3】 コンクリート函体の斜視図である。
【符号の説明】
1…オープンシールド機
1a…側壁板 1b…底板
1c…テール部 2…推進ジャッキ
3…隔壁 4…コンクリート函体
4a…左側板 4b…右側板
4c…上床板 4d…下床板
5…埋戻し 6…グラウト材
7…高さ調整材 8…プレスバー
9…掘削機 10…開口
11…刃口 12…注入ストッパー
13…安定性固化材 14…注入管
Claims (2)
- 左右側壁板の内側に推進ジャッキを配設し、前面、後面及び上面を開口したオープンシールド機の前面又は上面開口より前方の土砂を掘削排土する工程と、推進ジャッキを伸長して左右側板と上床板と下床板とからなるコンクリート函体を反力にしてシールド機を前進させる工程と、シールド機のテール部内で縮めた推進ジャッキの後方に新たなコンクリート函体を上方から吊り降してセットする工程とを適宜繰り返して順次コンクリート函体を縦列に埋設するオープンシールド工法において、シールド機を前進させ、テール部内にセットしたコンクリート函体をテール部内を滑らせて後方の地中に残置した状態で、テール部の底板が移動した結果、コンクリート函体の下部と地山との間に生じた空隙と、左右側壁板が移動した結果、コンクリート函体の左右と地山との間に生じた空隙とにテール部の外部後方で安定性固化材を充填することを特徴とするオープンシールド工法。
- オープンシールド機はテール部の後部にコンクリート函体との間に介装されて、テール部内への安定性固化材の流入を阻止する注入ストッパーを備える請求項1記載のオープンシールド工法。
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JP2001234769A Expired - Lifetime JP3646984B2 (ja) | 2001-08-02 | 2001-08-02 | オープンシールド工法 |
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-
2001
- 2001-08-02 JP JP2001234769A patent/JP3646984B2/ja not_active Expired - Lifetime
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