JP6400951B2 - インバートコンクリート施工方法、及び、当該方法を用いたトンネル施工方法 - Google Patents
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Description
本発明は、トンネルを早期に閉合することができて、トンネルの早期安定を図ることが可能なインバートコンクリート施工方法、及び、当該方法を用いたトンネル施工方法を提供する。
また、インバートコンクリートを、トンネルの延長方向に延長する断面アーチ形状の厚さの等しい先行覆工として機能する板状に形成するとともに、インバートコンクリートの左端が、トンネル空洞部の支保工の左下端よりも左側及び上側に出っ張った位置に到達し、かつ、インバートコンクリートの右端が、トンネル空洞部の支保工の右下端よりも右側及び上側に出っ張った位置に到達するように形成したので、トンネルの幅方向、及び、トンネルの延長方向において、均等な厚さ、均等な強度を備えた先行覆工として機能するインバートコンクリートを形成できるとともに、トンネル空洞部の支保工の両方の下端を介して伝達される力を受ける面積が大きくなり、当該力を地山に分散させやすくなる。即ち、インバートコンクリートに加わる荷重を地山に分散しやすい構成となる。また、インバートコンクリートの施工後に、左下端側の支保工の左下端、及び、右下端側の支保工の右下端をインバートコンクリートの左右幅方向の両端部に載置したり結合することが容易となる。
また、地中に設置された管内に支保工を設置した後に当該支保工が設置された管内にコンクリートを充填することによりインバートコンクリートを形成したので、支保工と覆工コンクリートとが一体となった耐圧の大きいインバートコンクリートを施工できる。
また、導坑がトンネルの施工予定地の底部において施工予定のトンネルの左右幅間の中央側に位置して施工予定のトンネルの延長方向に沿って延長するように形成されたので、トンネルの延長方向に沿って延長するように設けられた1本の導坑を介して管を地中に設置できるようになり、形成する導坑の数を最小限にできるので、施工コストを低減できる。
本発明に係るトンネル施工方法は、上述したインバートコンクリート施工方法によってインバートコンクリートを形成した後に、地中に形成されたインバートコンクリートの上方の地山を掘削してトンネル本坑を形成したので、トンネルを早期に閉合することができて、トンネルの早期安定を図ることが可能となるとともに、トンネル本坑のトンネル空洞部の掘削作業の前にすでにインバートコンクリートが構築されているため、トンネル本坑のトンネル空洞部を形成するための掘削作業の際の地表面沈下量を低減できる。
また、上述したインバートコンクリート施工方法によってインバートコンクリートを形成する作業とインバートコンクリートの形成予定地の上方の地山を掘削してトンネル空洞部を形成する作業とを同時進行で行うようにすれば、トンネルの早期安定を図ることが可能となるとともにトンネル施工時間を短縮することが可能なトンネル施工方法となる。
また、トンネル施工予定地のトンネル上半となる部分を掘削してトンネル上半空洞部を形成し、当該トンネル上半空洞部の内壁面に上部支保工を形成するとともにトンネル上半空洞部の底面に底部支保工を形成することによってトンネル上半空洞部の内周面に上半支保工を形成して当該トンネル上半空洞部を閉合した後、当該トンネル上半空洞部の内壁面の下端とインバートコンクリートの端部との間の地山を掘削して当該トンネル上半空洞部の内壁面に形成されている上部支保工の下端部とインバートコンクリートの端部とを繋ぐようにトンネル空洞部の内壁面の下端側の支保工を形成することによってトンネルを閉合し、その後、トンネル上半空洞部の底面に設けられた底部支保工の撤去作業、トンネル下半となる部分を掘削する掘削作業、導坑の撤去作業を行うことによってトンネル本坑を形成したので、トンネル上半空洞部及びトンネルを早期に閉合できて、トンネル支保構造の安定性を向上させることが可能となり、安全性の高いトンネル構築方法を実現できる。
実施形態1のトンネル施工方法におけるインバートコンクリート施工方法は、トンネル空洞部を形成する前にインバートコンクリートを先行して施工する方法であって、図1及び図2に示すように、トンネルTの施工予定地TRの底部に施工予定のトンネルTの延長方向に沿った導坑Aを形成した後に、当該導坑Aから管Cを地中10に進行させて管Cを地中10に設置するとともに地中10に設置された管C内にコンクリートC1を充填することによりインバートコンクリートBを形成する。
以下、図1乃至図4に基づいて当該インバートコンクリート施工方法を用いたトンネル施工方法を説明する。尚、図1(a);(b)の二点鎖線は施工予定のトンネルTの断面形状を示す。
実施形態1によるトンネル施工方法は、導坑形成ステップと、インバートコンクリート形成ステップと、トンネル本坑形成ステップとを備え、導坑形成ステップにおいて、トンネルTの施工予定地TRの底部に施工予定のトンネルTの延長方向に沿った導坑Aを形成した後に、インバートコンクリート形成ステップにおいて、当該導坑Aから管Cを地中に進行させて管Cを地中10に設置するとともに地中10に設置された管C内にコンクリートC1を充填することによりトンネルTのインバートコンクリートBを形成し、その後、トンネル本坑形成ステップにおいて、地中10に形成されたインバートコンクリートBの上方の地山を掘削してトンネル本坑を形成する。
尚、トンネルTの左右幅とは、トンネルTの延長方向と直交するトンネル断面(図3(c)参照)の左右幅を言う。
当該導坑Aは、例えばNATM工法等の公知のトンネル構築方法により形成される。
尚、管Cとしては、実施形態3で説明するような、管の中心線(中心軸)と直交する面で管を切断した場合の断面形状が四角形状、即ち、断面四角形の曲管あるいは折曲管を用いる。
即ち図1(a)〜図1(c)に示すように、導坑Aの左側壁ALの下端部ALeを介して導坑Aと後に形成されるトンネル空洞部の断面アーチ形状(上方に突出するように湾曲するアーチ形状)の内壁TUの左下端位置DLeに相当する地中位置とに跨るように設置された管Cが施工予定のトンネルTの延長方向に沿って接触又は近接して隣り合うように地中10に複数配置されるとともに、図2(a);(b)に示すように、導坑Aの右側壁ARの下端部AReを介して導坑Aと後に形成されるトンネル空洞部の断面アーチ形状(上方に突出するように湾曲するアーチ形状)の内壁TUの右下端位置DReに相当する地中位置とに跨るように設置された管Cが施工予定のトンネルTの延長方向に沿って隣り合うように地中10に複数配置される。
管Cは、例えば、後述する先頭の管2の進行方向後側に後続の管2を順次繋げて構成される複数の管2により構成された管C、又は、1本の管2により構成された管Cである。
尚、導坑Aの左側壁ALの下端部ALeとは、図1(a)に示す導坑Aの延長方向と直交する断面アーチ形状(上方に突出するように湾曲するアーチ形状)の内壁面における左下端部を言い、導坑Aの右側壁ARの下端部AReとは、図1(a)に示す導坑Aの延長方向と直交する断面アーチ形状の内壁面における右下端部を言う。
トンネル空洞部の内壁の左下端位置DLeとは、図3(c)に示すトンネル空洞部の延長方向と直交する断面アーチ形状の内壁TUにおける左下端位置を言い、トンネル空洞部の内壁の右下端位置DReとは、図3(c)に示すトンネル空洞部の延長方向と直交する断面アーチ形状の内壁TUにおける右下端位置を言う。
地中10に設置された管C内へのコンクリートC1の充填作業は、地中10に設置された管Cの後端開口であって導坑A内に残る当該後端開口からコンクリートC1を管C内に圧入すればよい。
即ち、トンネル下半形成ステップでは、図3(b)に示すように、トンネル上半空洞部Eの上部支保工E2の左下端部E2LeとインバートコンクリートBの左端部BLeとの間の地山を掘削して作業空間FLを形成することによってトンネル空洞部の内壁面の左下端側となるトンネル下半空洞部Fの左側の内壁面を露出させ、かつ、トンネル上半空洞部Eの内壁面に形成されている上部支保工E2の左下端部E2LeとインバートコンクリートBの左端部BLeとを繋ぐようにトンネル空洞部の内壁面の左下端側の支保工E4を形成する。
さらに、トンネル下半形成ステップでは、図3(b)に示すように、トンネル上半空洞部Eの上部支保工E2の右下端部E2ReとインバートコンクリートBの右端部BReとの間の地山を掘削して作業空間FRを形成することによってトンネル空洞部の内壁面の右下端側となるトンネル下半空洞部Fの右側の内壁面を露出させ、かつ、トンネル上半空洞部Eの内壁面に形成されている上部支保工E2の右下端部E2ReとインバートコンクリートBの右端部BReとを繋ぐようにトンネル空洞部の内壁面の右下端側の支保工E5を形成する。
以上により、トンネル下半空洞部Fが形成される前で後にトンネル空洞部の断面アーチ状の内壁面TUになる部分に支保工(E2;E4;E5)が形成された構成となり、トンネルTが早期に閉合されることになる(図3(b)参照)。
尚、従来、トンネル空洞部を形成する前に底部支保工を構築した後に、トンネル空洞部を形成し、その後、ライニング(覆工)として機能するインバートコンクリートを施工する方法があるが、当該方法の場合、トンネル空洞部を形成する作業の前後で支保工と覆工とを別々に行う必要があり、施工期間の短縮化が図れないという問題があった。
これに対して実施形態1では、トンネル空洞部を形成する前に支保工を行わずに、コンクリート型枠として設置した管C内にコンクリートC1を充填することによって、プレライニング(先行覆工)として機能するインバートコンクリートBを先行して形成するため、トンネル空洞部を形成した後の覆工を行う必要がなくなり、施工期間の短縮化が図れる。
また、管Cとして、管の中心線(中心軸)と直交する面で管を切断した場合の断面形状が四角形状の曲管あるいは折曲管を用い、当該管Cを地中10のインバートコンクリート施工位置に設置し、当該地中に設置された管Cをコンクリート型枠として利用して管C内にコンクリートC1を充填することでインバートコンクリートBを施工したので、トンネルTの延長方向に延長する断面アーチ形状(下方に突出するように湾曲するアーチ形状)の厚さの等しい板状体で構成されたプレライニング(先行覆工)として機能するインバートコンクリートBを容易に施工できる。即ち、インバートコンクリートBを、トンネルTの延長方向に延長する断面アーチ形状の厚さの等しいプレライニング(先行覆工)として機能する板状に形成したので、トンネルTの幅方向、及び、トンネルTの延長方向において、均等な厚さ、均等な強度を備えたプレライニング(先行覆工)として機能するインバートコンクリートBを形成できる。また、管Cをコンクリート型枠として利用しているので、厚さ寸法の異なる管Cを使用することで、管Cの厚さ寸法に応じた厚さのインバートコンクリートBを容易に施工できるようになる。
また、トンネルTの施工予定地TRの底部において施工予定のトンネルTの左右幅間の中央側、即ち、施工予定のトンネルTの左右幅間の中央又はほぼ中央に位置して施工予定のトンネルTの延長方向に沿って延長する導坑Aを形成し、導坑Aの側壁を介して導坑Aとトンネル空洞部の内壁TUの下端位置に相当する地中位置とに跨るように地中10に設置された管Cが施工予定のトンネルTの延長方向に沿って隣り合うように地中10に複数配置されたので、トンネルTの延長方向に沿って延長するように設けられた1本の導坑Aを介して管Cを地中10に設置できるようになり、形成する導坑Aの数を最小限にできるので、施工コストを低減できる。
尚、実施形態1では、トンネルTの施工予定地TRの底部において施工予定のトンネルTの左右幅間の中央側、即ち、施工予定のトンネルTの左右幅間の中央又はほぼ中央に位置して施工予定のトンネルTの延長方向に沿って延長する導坑Aを形成した例を示したが、本発明では、施工予定のトンネルTの左右幅間の左側寄り又は右側寄りに位置して施工予定のトンネルTの延長方向に沿って延長する1本の導坑Aを形成してもよい。
また、本発明では、トンネルTの施工予定地TRの底部において施工予定のトンネルTの左下端側に左側導坑を形成するとともに、トンネルTの施工予定地TRの底部において施工予定のトンネルTの右下端側に右側導坑を形成し、当該左側導坑と右側導坑とに跨るように地中10に管Cを設置し、このように地中10に設置された管C内にコンクリートC1を充填してインバートコンクリートBを施工するようにしてもよい。
また、トンネル空洞部を形成するに際して、まず、トンネル上半空洞部Eを形成して当該トンネル上半空洞部Eの内周面に上半支保工E1を形成することによってトンネル上半空洞部Eが早期に閉合されるので、比較的大きな断面のトンネルTを構築する場合において、トンネル支保構造の安定性を向上させることが可能となり、安全性の高いトンネル施工方法を実現できる。
さらに、トンネル下半空洞部Fを掘削して形成する作業を、トンネルTが閉合された状態で行えるので、安全性の高いトンネル施工方法を実現できる。
実施形態2のトンネル施工方法におけるインバートコンクリート施工方法は、トンネル空洞部を形成する前にインバートコンクリートを先行して施工する方法であって、トンネルTの施工予定地TRの底部に施工予定のトンネルTの延長方向に沿った導坑Aを形成した後に、当該導坑Aから管Cを地中10に進行させて管Cを地中10に設置するまでは上述した実施形態1と同じであるが、実施形態2では、地中10に設置された管C内に支保工を設置した後に当該支保工が設置された管内にコンクリートを充填することによりインバートコンクリートBXを形成する。
以下、図5;図6に基づいて当該インバートコンクリート施工方法を用いたトンネル施工方法を説明する。尚、実施形態1と同一部分は同一符号を付して詳説を省略する。
実施形態2によるトンネル施行方法は、導坑形成ステップと、インバートコンクリート形成ステップと、トンネル本坑形成ステップとを備え、導坑形成ステップにおいて、トンネルTの施工予定地TRの底部に施工予定のトンネルTの延長方向に沿った導坑Aを形成した後に、インバート部形成ステップにおいて、導坑Aから管Cを地中10に進行させて管Cを地中10に設置するとともに地中10に設置された管C内にコンクリートC1を充填(打設)する前に、地中10に設置された管C内に支保工CXを設置した後に当該支保工CXが設置された管C内にコンクリートC1を充填(打設)することによって、支保工CXを内蔵したインバートコンクリートBXが形成され、その後、トンネル本坑形成ステップにおいて、インバートコンクリートBXの上方の地山を掘削してトンネル本坑を形成する。
管C内に挿入されて設置される支保工CXとしては、例えば、H型鋼(図5;図6参照)等の形鋼、鉄筋、インバートストラット等を使用すればよい。
また、支保工CXの周囲にコンクリートかぶり厚が確保されるように管C内に支保工CXを設置するため、図6に示すような、支保工位置決め設置部材(スペーサ)CYを用いればよい。
支保工位置決め設置部材CYは、例えば図6に示すように、支保工CXとなるH型鋼の高さ寸法に対応した間隔を隔てて設けられた上横枠材CY1及び下横枠材CY2と、上横枠材CY1及び下横枠材CY2の端部同士を連結する左縦枠CY3及び右縦枠CY4とを備えて、鳥居のような形に構成された支保工位置決め設置部材CYを用いればよい。このような支保工位置決め設置部材CYを、管C毎に管C内に固定状態に設置し、管Cの地中10への設置が終了した後に、上横枠材CY1、下横枠材CY2、左縦枠CY3、右縦枠CY4で囲まれた空間部分に支保工CXとしてのH型鋼を挿入し、支保工CXとしてのH型鋼が管Cの断面中空空間の中央部に位置されるように設置した後に管C内にコンクリートC1を充填することによって、支保工CXの周囲にコンクリートかぶり厚が確保されるように管C内に支保工CXを設置することが可能となる。
また、実施形態2によれば、当支保工CXとプレライニング(先行覆工)として機能する覆工コンクリートとが一体となった耐圧の大きいインバートコンクリートBXを構築できるので、例えば地質が中硬岩層〜軟岩層の地山で地山が変動しやすい場所に、地山からの土圧を受けても変形しにくいインバートコンクリートBXを施工できるようになる。
図7乃至図12に基づいて、上述した管設置装置1の一例を説明する。
図7に示すように、管設置装置1は、管2と、掘削装置3と、推進装置4と、推進力伝達装置70と、案内台90と、押さえ部材110とを備える。尚、以下、図7における上側を管2や管設置装置1の先頭あるいは前側と定義し、図7における下側を管2や管設置装置1の後側と定義し、図7における左右側を管2や管設置装置1の左右側と定義し、図7の紙面と直交する方向の上下側を管2や管設置装置1の上下側と定義して説明する。図8に管2や管設置装置1の前側、後側、左側、右側、上側、下側を明記した。
これら曲管、折曲管は、例えば管の中心線(中心軸)と直交する面で管を切断した場合の断面形状が四角形状の管により形成される。
管2としては例えば鋼製の管が用いられる。管2の大きさは、管2が断面形状長方形の曲管である場合、例えば、管の長さ(管の中心線に沿った方向の長さ)が1500mm、管の左右幅(断面長方形の長辺の長さ)が1240mm、管の上下幅(断面長方形の短辺の長さ)が690mm、管の肉厚が16mmである。また、折曲管を形成する個々の管の大きさは、例えば、管が断面形状長方形の管である場合、管2の長さ(管の中心線に沿った方向の長さ)が、台形の側壁の上低側で463mm、台形の側壁の下底側で497mmであり、管の左右幅が1240mm、管の上下幅が690mm、管の肉厚が16mmである。
そして、複数の曲管が順次連結されて地中10に設置されることによって円弧を描くように曲がって延長する管Cが地中10に構築されたり、複数の折曲管が順次連結されて地中10に設置されることによって連結部で折れ曲がって円弧に近似するように延長する管Cが地中10に構築される。
実施形態3の管設置装置1及び管設置方法によって地中10に構築される管Cは、先頭に位置される管2(以下、先頭管という)と後続の複数の管2(以下、後続管という)とにより形成される。例えば、管Cは、先頭に位置される先頭管6(図7;図10等参照)と先頭管6の後に続くように設けられる後続の複数の後続管7(図10参照)とにより形成される後端開口縁と前端開口縁とが水密状態に溶接にて順次連結された複数の管6;7;7…によって構築される。
先頭管6は、管の先端側に案内刃部を備えた構成であり、例えば、図7に示すように、管6xと、管6xの先端に設けられた案内刃部として機能する案内刃管9とで形成される。案内刃管9は、管の一方の開口端縁13が鋭利に形成された刃部14を備えた管である。
先頭管6は、案内刃管9の他方の開口端部と管6xの先端の開口端部8とが接続されて形成される。この場合、例えば、案内刃管9の管の外径寸法が管6xの管の外径寸法よりも大きく、案内刃管9の他方の開口端面15側には、開口端面15における管の内周面側が削られて、段差が設けられることで、管6xの先端の開口端部8を嵌め込む嵌合孔16が形成された構成とする。そして、案内刃管9の他方の開口部17に設けられた嵌合孔16内に管6xの先端の開口端部8を嵌め込み、かつ、これら両者が、ボルト接合,溶接などの図外の接続手段によって接続されることで、案内刃管9の他方の開口端部と管6xの先端の開口端部8とが接続された構成とする。このように、案内刃管9の他方の開口部17に設けられた嵌合孔16内に管6xの先端の開口端部8を嵌め込んで、案内刃管9が管6xの先端開口端面18を覆うように取付けられた構成としたことで、管6xの推進の際に、管6xの先端開口端面18が地中10の抵抗を受けず、推進抵抗を少なくできる。また、管6xの先端の開口端部8を嵌め込む嵌合孔16が形成された構成としたことで、管6xの先端に容易に案内刃管9を設置でき、先頭管6を形成するための管6xと案内刃管9との組み立てを容易とすることができる。この場合、先頭管6の矩形外周面において管6xと案内刃管9との間で段差が生じるが、この段差は、管2の矩形外周面と出発口の内周面とに設けられる水密性能維持部材により止水性能を維持できるように小さく(例えば、1cm程度)形成される。
また、管の先端側が案内刃管9として機能する案内刃部に形成された管を先頭管6として用いてもよい。
このようにすれば、先頭管6の矩形外周面の段差を小さくできるか、段差が生じないので、管2の矩形外周面と出発口の内周面とに設けられる水密性能維持部材による止水性能を良好に維持できる。
基板25は、先頭管6の中心線と基板25の中心線とが一致するように配置されて先頭管6内を前後方向に移動可能に設けられる。基板25は、先頭管6の断面の内面を一周した矩形形状に対応した矩形板30により形成される。当該矩形板30の大きさは、先頭管6の断面の内面を一周した矩形の寸法よりも小さく、かつ、上記管側推進力受け部21を形成する矩形枠体22の矩形枠内周寸法よりも大きい。即ち、基板25を形成する矩形板30の前面39fにおける矩形周縁面33と、上記管側推進力受け部21を形成する矩形枠体22の枠後面32とが対向するように形成される。尚、基板25を形成する矩形板30の前面39fにおける矩形周縁面33と管側推進力受け部21を形成する矩形枠体22の枠後面32との間には例えば弾性体により形成された水密性能維持部材(パッキン)35が設けられる。水密性能維持部材35は、例えば、基板25を形成する矩形板30の前面39fにおける矩形周縁面33、又は、管側推進力受け部21を形成する矩形枠体22の枠後面32に取付けられる矩形枠体36により形成される。したがって、基板25に伝達された推進力が水密性能維持部材35を介して管側推進力受け部21に伝達されることにより、管2と掘削機械26とが一緒に推進する。
基板25の前面39fの中央部には、掘削機械26の支持部40の一端が固定される。
また、基板25の中央部には後述する耐圧ホース56を貫通させる貫通孔38aが形成される。
支持部40は、1つの支柱42と2つの分岐支柱43とが組合されたT字状の中空支柱により形成される。支柱42の一端部には例えば図外の取付フランジが設けられ、この取付フランジがボルト及びナットのような固定具などによって基板25の前面39fの中央に着脱可能に固定されることによって支柱42の一端が基板25の前面39fの中央に固定され、支柱42が基板25の前面39fに対して直交する方向に延長する。2つの分岐支柱43は、支柱42の先端部(他端部)より支柱42の延長方向と直交する一直線上において互いに離れる方向に延長する。即ち、支持部40のT字状の中空路と貫通孔38aとが連通するように支柱42の一端が基板25に固定される。分岐支柱43の先端には、それぞれモータマウント44を備える。
回転機構部45は、例えばモータ47により構成される。各モータマウント44;44には、モータ47のケーシング48が固定される。
2つのモータ47;47の回転軸49;49は、支柱42の先端部より支柱の延長方向と直交する一直線上において互いに離れる方向に延長する。
回転掘削体46は、一端開口他端閉塞の筐体50と、筐体50の外周面51に設けられた複数の掘削ビット(掘削刃)52とを備える。
即ち、2つの回転掘削体46が2つの回転軸49;49に共通の1つの回転中心線Lを回転中心として回転するように構成される。つまり、先頭管6の推進方向と直交する回転中心線Lを回転中心として回転する2つの回転掘削体46;46を備える。このような2つの回転掘削体46;46を備えた構成は、ツインヘッダと呼ばれる。先頭管6の推進方向と直交する回転中心線Lを回転中心として回転する2つの回転掘削体46;46を備えた所謂ツインヘッダを用いた場合、推進方向と直交する面内における回転掘削体46の掘削幅を大きくできるので、掘削幅に応じた矩形幅の管2を容易に地中10に設置できるようになる。
例えば、図7に示すように、掘削ビット52の先端80と案内刃管9の刃先81とが案内刃管9の中心軸と直交する1つの平面上に位置するように回転掘削体46;46を設置したり、図示しないが、掘削ビット52の先端80が案内刃管9の刃先81よりも前方側に突出するように回転掘削体46;46を設置したり、掘削ビット52の先端80が先頭管6内に位置するように回転掘削体46;46を設置する。
固定掘削体77は、分岐支柱43よりも前方に突出するように2つの分岐支柱43;43の境界部分の前方外周面に溶接又はボルト、ナット等の固定手段によって固定状態に取付けられる。
固定掘削体77は、例えば、上下間の中央部が案内刃管9の刃先81側に膨出する湾曲形状に形成され、この湾曲面の左右幅間の中心が湾曲面の周方向に沿って連続する鋭利な刃形状となるように形成された構成である。
このように、固定掘削体77は、上下間の中央部が案内刃管9の刃先81側に膨出する湾曲形状に形成された構成としたので、先頭管6が推進する際の地盤の抵抗を減らすことができ、先頭管6をよりスムーズに推進させることができるようになる。
例えば、図7に示すように、固定掘削体77の上下間の中央と回転掘削体46の掘削ビット52と案内刃管9の刃先81とが先頭管6の中心軸と直交する同一平面上に位置するように構成される。
このように固定掘削体77の上下間の中央と回転掘削体46の掘削ビット52と案内刃管9の刃先81とが先頭管6の中心軸と直交する同一平面上に位置するように構成した場合は、上述したような、固定掘削体77が掘削に先立って地盤にひび割れを誘発させることにより掘削しやすくなるといった効果が得られるとともに、固定掘削体77が地盤に衝突してしまって先頭管6が推進しなくなるといったことも防止できる。
固定掘削体77の上下間の中央が回転掘削体46の掘削ビット52と案内刃管9の刃先81よりも前方に位置するように構成された場合、固定掘削体77が掘削に先立って地盤にひび割れを誘発させることにより掘削しやすくなるといった効果も得られる。
逆に、固定掘削体77の上下間の中央が回転掘削体46の掘削ビット52と案内刃管9の刃先81よりも後方に位置するように構成された場合は、地盤が硬質の場合において掘削ビット52や案内刃管9の刃先81よりも先に固定掘削体77が地盤に衝突してしまって先頭管6が推進しなくなるといったことを防止できる。
そこで、先頭管6の中央側に位置される掘削ビット52を筐体50の中心軸(中心線L)と直交する方向に延長するように設け、かつ、図7乃至図9に示すように、先頭管6の左側に位置される掘削ビット52a(52)をできるだけ案内刃管9の左の内面に近付く位置まで先頭管6の左側に延長させて設け、さらに、先頭管6の右側に位置される掘削ビット52b(52)をできるだけ案内刃管9の右の内面に近付く位置まで先頭管6の右側に延長させて設けることによって、先頭管6の左右側に位置される掘削ビット52a;52bで先頭管6の左右の角部に位置する地盤をより効果的に掘削できるようにした。
基板25の前面39fと先頭管6の内面20とで囲まれた空間69内に水供給管75cの一端開口が連通するように、例えば、水供給孔75bの内側に水供給管75cの一端がねじ嵌合されることによって水供給孔75bと水供給管75cの一端とが結合される。そして、水供給管75cの他端開口と送水用のポンプ75dの吐出口とが連通可能に連結され、送水用のポンプ75dの吸込口と水貯留タンク75aとが連結管75eにより連通可能に連結される。
空間69内に排泥管76bの一端開口が連通するように、例えば、排泥孔76aの内側に排泥管76bの一端がねじ嵌合されることによって排泥孔76aと排泥管76bの一端とが結合される。そして、排泥管76bの他端開口と排泥用のポンプ76cの吸込口とが連通可能に連結され、排泥用のポンプ76cの吐出口と排泥タンク76dとが連結管76eにより連通可能に連結される。
つまり、最初に一定量の水を集合タンク75X内に満たしておき、送水用のポンプ75dを駆動して空間69内に水を圧送すると、空間69内に圧送された水と掘削機械26により掘削された土砂とが混ざって泥水となる。そして、排泥用のポンプ76cを駆動することにより、空間69内の泥水が排泥タンク76dに排出される。排泥タンク76dに排出された泥水中の泥が排泥タンク76dの底に沈殿するとともに、仕切体75wを越えて水貯留タンク75aに入り込んだ泥水が再び送水用のポンプ75dによって空間69内に圧送される。即ち、泥水を循環させて空間69内に供給できるようになるので、水の使用量を減らすことができる。また、水よりも比重が大きい泥水を空間69内に供給できるので、地盤及び地下水の圧力に抵抗できて、地盤及び地下水の圧力と空間69内の圧力とを均等にしやすくなるので、地盤沈下等、地中10に与える影響を少なくすることができる。また、空間69内が泥水化するので、排泥をスムーズに行えるようになり、掘削しやすくなる。
尚、最初から泥水を集合タンク75X内に満たしておき、送水用のポンプ75dを駆動して空間69内と集合タンク75X内との間で泥水を循環させるようにしてもよい。
一方の推進力伝達部材としての左の推進力伝達部材85は、発進基地となる導坑Aの底面に設けられた案内台90上に設置された断面四角形状の管2の左外側面6aの外側に当該左外側面6aと平行に対向するように配置された伝達体71と、当該伝達体71の一端側において管2の左外側面6aより離れる方向に延長するように設けられて左の油圧ジャッキ62からの押圧力を受ける力受部72と、伝達体71の他端側において後述する左の推進力伝達棒状体71Aの棒状体71xの他端71fに接触するように設けられて、力受部72及び伝達体71を介して伝達された力を棒状体71xに伝達する押圧部73とを備える。
他方の推進力伝達部材としての右の推進力伝達部材85は、発進基地となる導坑Aの底面に設けられた案内台90上に設置された断面四角形状の管2の右外側面6bの外側に当該右外側面6bと平行に対向するように配置された伝達体71と、当該伝達体71の一端側において管2の右外側面6bより離れる方向に延長するように設けられて右の油圧ジャッキ62からの押圧力を受ける力受部72と、伝達体71の他端側において後述する右の推進力伝達棒状体71Bの棒状体71xの他端71fに接触するように設けられて、力受部72及び伝達体71を介して伝達された力を棒状体71xに伝達する押圧部73とを備える。
左の推進力伝達部材85及び右の推進力伝達部材85は、例えば同一構成である。このように、同一構成とすることで、左の推進力伝達部材85を右の推進力伝達部材85として使用したり、右の推進力伝達部材85を左の推進力伝達部材85として使用することが可能となり、使い方が容易となる。また、一種類の推進力伝達部材85を製作するだけでよいので、量産性に優れる。
推進力伝達棒状体710は、一端71e(図10参照)から他端71fまでの長さが基板25の後面39と先頭管6の後端6eとの間の最短距離よりも長い寸法の棒状体71xと、棒状体71xの他端71f側より突出させた傾き防止部71cとを備える。棒状体71xは例えばH形鋼を用い、傾き防止部71cは例えば棒状体71xを形成するH形鋼に溶接又はボルトなどの接続手段で結合された鋼材を用いる。尚、傾き防止部71cは、先頭管6の左内側面や右内側面に面接触する面を有した面体71dを備える。
推進力伝達棒状体710は、棒状体71xの中心線が先頭管6の中心線と同一方向を向くように設置され、かつ、面体71dの面と先頭管6の左内側面や右内側面とが面接触するように、一端71eと基板25の後面39とが溶接又はボルトなどの接続手段で結合される。
即ち、左の推進力伝達棒状体71Aの棒状体71xの中心線が先頭管6の中心線と同一方向を向くように設置され、かつ、左の推進力伝達棒状体71Aの面体71dの面と先頭管6の左内側面とが面接触するように、左の推進力伝達棒状体71Aの棒状体71xの一端71eと基板25の後面39とが溶接又はボルトなどの接続手段で結合される。また、右の推進力伝達棒状体71Bの棒状体71xの中心線が先頭管6の中心線と同一方向を向くように設置され、かつ、右の推進力伝達棒状体71Bの面体71dの面と先頭管6の右内側面とが面接触するように、右の推進力伝達棒状体71Bの棒状体71xの一端71eと基板25の後面39とが溶接又はボルトなどの接続手段で結合される。
左右の推進力伝達棒状体71A;71Bの一端71e;71eは、基板25の上下縁間の中央部に結合される。
以上の構成の推進力伝達装置70によれば、推進装置4としての油圧ジャッキ62による押圧力を、左右の推進力伝達部材85;85、左右の推進力伝達棒状体71A;71B、基板25、水密性能維持部材35、管側推進力受け部21を介して管2に伝達して管2を推進させる構成としたので、管2の左右に均等に押圧力を加えることができるようになる。
案内台90は、管2が載置されて管2を発進面となる導坑Aの側壁AUに案内するための案内面91と、案内面91の左右の側部に設けられた左右の設置台92;92とを備える。設置台92は、案内面91の側部より立ち上がるように設けられた台により構成される。
左右の設置台92;92を形成する各台の互いに向かい合う内側面92a;92aにより当該案内面91上の当該内側面92a;92a間に載置された管2の左右方向への移動が規制される。
左の設置台92の台上面の後側には左の油圧ジャッキ62が固定具67等によって固定されるとともに、右の設置台92の台上面の後側には右の油圧ジャッキ62が固定具67等によって固定される。尚、油圧ジャッキ62は管2の地中10への進入角度に合わせて傾斜した状態で設置台92の台上面に設置されるため、油圧ジャッキ62のシリンダー66の底面は反力受け壁74の前面に対して傾斜した状態となる。そこで、反力受け壁74の前面には、シリンダー66の底面に接触する接触板79;79が設けられる。
左の推進力伝達部材85の力受部72が、左の設置台92の台上面の後側における左の油圧ジャッキ62の前方に位置され、かつ、左の推進力伝達部材85の押圧部73が、左の推進力伝達棒状体71Aの棒状体71xの他端71fに接触するように、左の推進力伝達部材85が設置される。
また、右の推進力伝達部材85の力受部72が、右の設置台92の台上面の後側における右の油圧ジャッキ62の前方に位置され、かつ、右の推進力伝達部材85の押圧部73が、右の推進力伝達棒状体71Bの棒状体71xの他端71fに接触するように、右の推進力伝達部材85が設置される。
さらに、左右の設置台92;92の各外側面92b;92b(内側面92aと平行に対向する側面であって案内台90の左右の側面)には、外側面92bに開口する断面凹形状で設置台92の延長方向(前後方向)に延長する凹溝93を備える。案内台90の各凹溝93;93の前端に相当する設置台92の前端面は開口93aに形成されており、この開口93aを介して後述する押さえ部材110の走行手段114が凹溝93内に挿入される。
尚、後述する押さえ部材110の走行手段114を備えた各支柱111;111と梁材112とを分解可能に構成しておいて、各支柱111の走行手段114を凹溝93内に挿入して各支柱111;111を立設した状態で各支柱111;111の上端部同士を梁材112で連結して押さえ部材110を組み立てる構成としてもよく、この場合、各案内台90の各凹溝93;93の前端に相当する設置台92の前端面及び案内台90の各凹溝93;93の後端に相当する設置台92の後端面が閉塞された構成であってもよい。
伝達体71は、例えば、形鋼を組み合わせて構成される。そして、力受部72が、伝達体71の互いに対向する一対の外側面のうちの一方の外側面71aにおける伝達体71の延長方向の一端側より当該一方の外側面と直交する方向に延長するように設けられ、押圧部73が、伝達体71の互いに対向する一対の外側面のうちの他方の外側面71bにおける伝達体71の延長方向の他端側より当該他方の外側面71bと直交する方向に延長するように設けられる。即ち、力受部72及び押圧部73は、伝達体71の各外側面71a;71bから互いに離れる方向に延長するように設けられている。
力受部72は、伝達体71の一方の外側面71aの一端側とボルト及びナット又は溶接等の連結手段で連結される連結板72aと、油圧ジャッキ62の押圧力を受ける力受板72bと、連結板72aと力受板72bとを連結する補強板72cとを備える。連結板72aは、伝達体71の延長方向に平行な一方の外側面71aに面接触して当該一方の外側面71aの一端側に連結される平板により形成される。力受板72bは、伝達体71の延長方向に平行な一方の外側面71aと直交する面を形成する平板により形成される。
押圧部73は、伝達体71の他方の外側面71bの他端側とボルト及びナット又は溶接等の連結手段で連結される連結板73aと、推進力伝達棒状体710の棒状体71xの他端71fに接触する押圧板73bと、連結板73aと押圧板73bとを連結する補強板73cとを備える。連結板73aは、伝達体71の延長方向に平行な他方の外側面71bに面接触して当該他方の外側面71bの他端側に連結される平板により形成される。押圧板73bは、伝達体71の延長方向に平行な他方の外側面71bと直交する面を形成する平板により形成される。
実施形態3によれば、出発部に設置された先頭管6の左右の外側面6a;6bの横にそれぞれ油圧ジャッキ62;62を設置できるので、出発部に設置された先頭管6の後方に油圧ジャッキ62を設置できない場合であっても先頭管6を推進させることができ、また、油圧ジャッキ62としてピストンロッド63の伸長ストロークの長いものを用いることができるので、ピストンロッド63の1回の最大伸長動作で先頭管6を長距離移動させることができて油圧ジャッキ62による作業効率を良くできる。
門形体113は、例えばH形鋼のような形鋼を用いた支柱111及び梁材112を組み合わせて構成される。
走行手段114は、各支柱111;111の下端部における互いに対向する内側面に固定されたベース台115と、ベース台115に回転中心軸を介して回転可能に設けられた車輪116とを備えた。
ベース台115は、例えば長尺板の両方の長辺側縁部に長尺板に対して同方向に垂直に延長する立ち上がり板を備えた断面凹形状の長尺部材により形成され、この長尺部材が支柱111の延長方向と直交する方向であって管2の側面と平行に延長するように凹部の開口を上に向けて取付けられている。
そして、例えば車輪116を備えたキャスターのベース板がベース台115の凹部の底を形成する長尺板に固定され、車輪116が当該凹部の底から凹部の開口を介して立ち上がり板より上方に突出するように設けられる。車輪116は、ベース台115の延長方向に沿って間隔を隔てて例えば2個設けられる。
即ち、実施形態3においては、管2の一の外側面である下面(外面)と接触して管2を導坑Aの側壁AUに案内するための案内面91を有した案内台90と、管2が先端から導坑Aの側壁AUを経由して地中10に入り込んだ後の導坑Aに残る管2の後端6eが管2の中心線と交差する方向に移動することを規制する管後端移動規制手段200と、を備え、管後端移動規制手段200は、案内面91に設置された管2を案内面91に押し当てるように管2を押圧しながら管2とともに移動可能でかつ案内台90に対して移動可能なように設けられた押さえ部材110により構成される。
尚、ここでは、先頭管6として管長が後続管7の管長よりも長いものを用いるものとし、後続管7として管長が先頭管6の管長のほぼ半分の長さの後続管7を用いる場合を例にして説明する。
掘削機械26と推進力伝達棒状体71と水供給管75cと排泥管76bとが取付けられた基板25を先頭管6の内側に設置する。つまり、基板25を形成する矩形板30の前面39fにおける矩形周縁面33が、先頭管6の内側に管側推進力受け部21を形成する矩形枠体22の枠後面32に水密性能維持部材35を介して突き付けられた状態となるように設置する。これにより、管2を、発進基地となる導坑Aの側壁AUから地中10に設置する場合に、先に地中10に入れる先頭管6の先端開口6t側の内側に掘削機械26が設置される。
図10(a)に示すように、発進基地となる導坑Aにおいて、側壁AUの手前側に案内台90を設置し、掘削機械26と水供給管75cと排泥管76bとが取付けられた基板25を内側に設置した先頭管6の先端開口6tを導坑Aの側壁AUに向けて当該先頭管6を案内面91上に設置する。
尚、案内台90は、案内面91に設置された管2が案内面91上を移動する際に動かないように、出発部の地盤にアンカー等で固定しておくか、あるいは、自重を増やすために、案内台90に錘を付加するか、重量を増した大重量の案内台90を用いる。
そして、押さえ部材110の走行手段114を左右の設置台92;92の凹溝93内に開口93aから挿入して、梁材112の下の案内面91上に載置される先頭管6の上面6uと梁材112との間に連結材120を挿入し、凹溝93の走行面としての上壁面93tと車輪116の外周面とを接触させる。
また、左の設置台92の台上面の後側に左の油圧ジャッキ62を固定するともに、右の設置台92の台上面の後側に右の油圧ジャッキ62を固定する。さらに、伝達体71が先頭管6の左外側面6aの後側と平行に対向するように左の推進力伝達部材85を設置し、伝達体71が先頭管6の右外側面6bの後側と平行に対向するように右の推進力伝達部材85を設置する。
そして、図10(d)に示すように、伝達体71が後続管7の左側面と平行に対向するように左の推進力伝達部材85を設置し、伝達体71が後続管7の右側面と平行に対向するように右の推進力伝達部材85を設置した後、掘削機械26及び左右の油圧ジャッキ62;62を作動させることで、ピストンロッド63;63の先端の押圧板64;64が推進力伝達部材85の力受板72bに接触するとともに、推進力伝達部材85の押圧板73bが棒状体71xの他端71fに接触した状態となり、ピストンロッド63が伸びるにしたがって先頭管6がさらに地中10へと推進するとともに後続管7が前方に移動する。
以後、同様に、前の後続管7に後の後続管7を順次連結して地中10に設置していくことで、管Cを構築できる。尚、後続管7を地中10に推進させる際において後続管7の後端6eが浮き上がるようであれば、押さえ部材110の走行手段114を左右の設置台92;92の凹溝93内に開口93aから挿入して、梁材112の下の案内面91上に載置される後続管7の上面と梁材112との間に連結材120を挿入し、凹溝93の走行面としての上壁面93tと車輪116の外周面とを接触させた後に、後続管7を推進させれば、導坑Aに残る後続管7の後端6eの浮き上がりが防止される。
即ち、先頭管6を地中10に設置する際において、先頭管6の後端6eの浮き上がり現象が生じる場合には管後端移動規制手段200を用いればよく、先頭管6の後端6eの浮き上がり現象が生じない場合には管後端移動規制手段200を用いる必要はない。また、後続管7を地中10に推進させる際において、後続管7の後端6eの浮き上がり現象が生じる場合には管後端移動規制手段200を用いればよく、後続管7の後端6eの浮き上がり現象が生じない場合には管後端移動規制手段200を用いる必要はない。
尚、先頭管6の後端に順次後続管7を接続していく際、導坑A内において後続管7の後側に油圧ジャッキ62を設置するための設置スペースが確保される場合には、出発部において当該後続管7の後側に油圧ジャッキ62を設置して、左右の推進力伝達棒状体71A;71Bの他端71f;71f又は左右の推進力伝達棒状体71A;71Bの他端71f;71fに跨るように設けられた図外の横架部材を油圧ジャッキ62で押圧することにより、後続管7及び先頭管6を推進させるようにしてもよい。
尚、上述した管後端移動現象が発生する原因としては、先頭管6の内側に設けられた掘削機械26の重量が重いことや、先頭管6の地中10に設置された管の先端側の長さに比べて出発部に残る管の長さが長い場合等において、先頭管6の重量バランスが崩れることが考えられる。また、上記管後端移動現象は、管2として、曲管、折曲管のいずれを用いる場合でも起こり得るが、特に、折曲管を地中10に設置する場合には、折曲管を構成する管と管との連結部が角部になり、湾曲面に形成された案内面91に載置された折曲管の連結部の角部のみが案内面91の湾曲面に接触するため、この折曲管の連結部の角部が回転支点となって回転しやすくなるので、上述した管後端移動現象が顕著となる傾向がある。実施形態3によれば、当該管後端移動現象を確実に抑制できるようになる。
また、管後端移動規制手段200は、案内面91に設置された管2を案内面91に押し当てるように管2を押圧しながら管2とともに移動可能でかつ案内台90に対して移動可能なように設けられた押さえ部材110により構成されたので、管2を案内面91に押し当てて上述した管後端移動現象を抑制しながら管2を地中10に推進させることができる。
さらに、押さえ部材110は、案内面91に設置された管2の左右幅間隔よりも広い間隔を隔てて当該管2の両側に配置された一対の支柱111;111と、一対の支柱111;111の上端部(一端部)同士を連結して案内面91に設置された管2の上面6u(外面)と対向する梁材112とを備えた門形体113に形成され、かつ、当該門形体113の梁材112と管2の上面6uとを密着させる連結材120を備えたので、門形体113の梁材112と連結材120とによって、管2を案内面91に押し当てて上述した管後端移動現象を抑制しながら管2を地中10に推進させることができる。
案内台90の左右の設置台92;92が走行面を形成する凹溝93を備え、押さえ部材110が走行面を走行するとともに凹溝93内に係合される走行手段114を備えたことにより、押さえ部材110をスムーズに移動させることができて、推進作業を効率的に行える。
管後端移動規制手段としては、押さえ部材110の支柱111の下端部が推進力伝達部材85に着脱自在に取付けられた構成としてもよい。この場合、押さえ部材110で管2の後端部上面を押さえながら、管2を推進させることで、管2と一緒に押さえ部材110も移動するので、実施形態1と同様に、管後端移動現象を防止できる。即ち、実施形態2による管後端移動規制手段200は、案内台90に設置された管2を案内面91に押し当てるように管2を押圧しながら管2とともに移動可能でかつ案内台90に対して移動可能なように推進力伝達部材85に着脱可能に取付けられた押さえ部材110により構成される。実施形態2の場合、走行手段114と走行面とを備えない構成とできる。
管後端移動規制手段としては、案内面91上に載置される管2の外周面を囲むトンネル筒状に形成されて出発口の手前に固定される構成のものを用いてもよい。
管後端移動規制手段としては、案内面91上に載置された管2の上面6uに載せる図外の錘を用いてもよい。
左右の設置台92;92を形成する各台の互いに向かい合う内側面92a;92aに、当該内側面92aに開口する断面凹形状で設置台92の延長方向に延長する凹部としての図外の凹溝を設けるとともに、管2の左右の外側面6a;6bに、当該左右の凹溝に挿入されて係合する図外の凸部を設け、当該凸部が当該凹溝に係合されて凸部が凹溝から当該凹溝の延長方向と直行する方向に外れないように設けられた構成としてもよい。即ち、案内面91上に載置される管2の左右の外側面6a;6bに設けられた凸部と、当該左右の外側面6a;6bと対向する左右の設置台92;92の左右の内側面92a;92aに設けられた凹部としての凹溝と、の凹凸係合、又は、案内面91上に載置される管2の左右の外側面6a;6bに設けられた凹部と、当該左右の外側面6a;6bと対向する左右の設置台92;92の左右の内側面92a;92aに設けられた凸部と、の凹凸係合により、管2が先端から地中10に入り込んだ後の導坑Aに残る管2の後端が管2の中心軸と交差する方向に移動することを規制する管後端移動規制手段が構成される。尚、案内台90の上述した図外の各凹溝の前端に相当する設置台92の前端面には図外の開口を形成し、管2が推進して凸部が当該開口を超えて地中10に入る前に、当該凸部を除去する。
実施形態7の場合、管2の左右の外側面6a;6bに溶接やボルト及びナット等で取付けられた凸部を案内面91の上方から図外の凹溝内に挿入できるように、凹溝の上壁を切欠いた図外の挿入穴を形成しておく。
尚、挿入穴を設けない場合には、管2を案内面91上に設置した後、凹溝内に入り込ませた凸部を形成する突起物を管2の左右の外側面6a;6bに溶接やボルト及びナット等で取付けてもよい。
また、上記では、窪んだ湾曲面である案内面91上に管2を載置して当該管2を地中に設置する例を示したが、案内台90の隆起した湾曲面である案内面上に管2を載置して当該管2を地中に設置するようにしてもよい。
また、実施形態1;2の押さえ部材として、連結材120を備えない構成の押さえ部材を用いてもよい。例えば、門形体113の梁材112と管2の上面6uとを接触させた状態で使用したり、門形体113の梁材112と管2の上面6uとを着脱可能に連結した構成としてもよい。
また、凹溝93の走行面としての下壁面と車輪116の外周面とを接触させる構成としてもよい。また、左右の設置台92;92を形成する各台の互いに向かい合う内側面92a;92aに形成された上述した図外の凹溝内に門形体113の走行手段114を係合させ、当該凹溝内に形成された走行面を走行手段114の車輪116が走行可能なように構成してもよい。
走行手段114と走行面とを備えない構成としてもよい。
実施形態1;2;4において、左右の設置台92;92を備えない案内面を有した案内台を用いてもよい。
図13に示すように、回転掘削体46の回転中心線Lを、先頭管6の互いに平行に対向する一対の外側面と平行で、かつ、先頭管6の推進方向と直交する面と直交以外の状態で交差する状態に設定する掘削機械揺動駆動装置250を備えたことによって、先頭管6の進行に先立って先頭管6の前方において先頭管6の断面積よりも幅の広い断面積を掘削でき、先頭管6の前方での余堀が可能な管設置装置1Xを用いてもよい。例えば、図13(a);(b)に示すように、回転掘削体46が掘削進行方向の左右に揺動可能な構成を備える。
以下、管設置装置1Xの一例について説明するが、実施形態2の管設置装置1で説明した構成と同一構成部分については同一符号を付し、詳説を省略する。
実施形態7の管設置装置1Xは、実施形態2で説明した管設置装置1の掘削装置3の構成である基板25、管側推進力受け部21の代わりに掘削機械揺動駆動装置250を備えた構成である。
掘削機械揺動駆動装置250は、揺動基板300と、揺動基板300の案内部材310と、揺動基板駆動手段320とを備える。
管設置装置1Xは、筒状の案内部材310の筒の中心線と先頭管6の管の中心線とが一致するように案内部材310が先頭管6の先端開口6t側の内側に設置されて案内部材310の筒の外周面330と先頭管6の内周面6sとの間の水密性がゴムパッキン等の水密性能維持部材340によって保たれ、かつ、揺動基板300は先頭管6の互いに平行に対向する一対の外側面間の中心を回転中心としての左右の側壁301;302側が前後に揺動可能なように案内部材310に取付けられて揺動基板300の外周面390と案内部材310の筒の内周面350との間の水密性がゴムパッキン等の水密性能維持部材125によって保たれた構成とされる。先頭管6の先端開口6t側の内側における案内部材310の前方には推進力受け部630が設けられ、当該推進力受け部630は、先頭管6の先端開口6t側の内側に設置された案内部材310の筒の前端面311に接触して案内部材310の前方への移動を規制するとともに推進力伝達装置70を介して案内部材310に伝達された推進力を先頭管6に伝達することができるように、先頭管6の先端開口6t側の内周面6sに溶接、ボルト・ナット等の固定手段で固定されている。また、揺動基板300には、揺動基板300の平板を前後に貫通する支柱保持貫通孔130、排泥管保持貫通孔140、水供給管保持貫通孔150が形成され、支柱保持貫通孔130には、掘削機械26の支持部40の支柱42が貫通した状態で固定状態に保持され、排泥管保持貫通孔140には、排泥管76bの先端部が貫通した状態で固定状態に保持され、水供給管保持貫通孔150には、水供給管75cの先端部が貫通した状態で固定状態に保持される。そして、複数の掘削ビット(掘削刃)52を備えた掘削機械26の回転掘削体46が先頭管6の先端開口6tよりも前方に位置されて回転掘削体46を支持する支柱42が揺動基板300に支持されている。
実施形態8の管設置装置1Xによれば、先頭管6の前方の地中10を回転掘削体46で掘削する際に、油圧ジャッキのような揺動基板駆動手段320が揺動基板300における一対の側壁301;302側の後面を押圧及び引き戻して前後に移動させることで、回転掘削体46の回転中心線Lが、先頭管6の推進方向と直交する面及び先頭管6の互いに平行に対向する一対の外側面(例えば先頭管6の上下の外側面)と平行な第1の状態、及び、先頭管6の互いに平行に対向する一対の外側面(例えば先頭管6の上下の外側面)と平行で、かつ、先頭管6の推進方向と直交する面と直交以外の状態で交差する第2の状態(図13(a);(b)参照)に設定される。
即ち、管設置装置1Xは、先頭管6の前方において回転掘削体46を先頭管6の左右方向に揺動させるための掘削機械揺動駆動装置250を備えるので、先頭管6の前方の地中10を回転掘削体46で掘削する際に揺動基板駆動手段320により揺動基板300を駆動して回転掘削体46を例えば左右方向に揺動させることができ、回転掘削体46が左右方向に揺動しない場合と比べて、掘削可能な左右幅を大きくできる。つまり、管設置装置1Xを用いれば、先頭管6の進行に先立って先頭管6の前方において先頭管6の例えば左右幅間隔よりも幅の広い左右幅間隔で地中10を掘削でき、先頭管6の前方において先頭管6の左右幅方向での余堀が可能となるので、先頭管6の前方の硬質地盤層を掘削でき、地中10が硬質地盤層である場合でも管2を地中10においてスムーズに推進させることができる。
図14及び図15に示すように、回転掘削体は、筐体50の外周面51より突出するように設けられた掘削刃としての第1の掘削ビット8e及び第2の掘削ビット8fとを備えた構成の回転掘削体46Aを用いてもよい。
複数個の第2の掘削ビット8fが筐体50の回転中心線Lに沿った方向に並べられて第2の掘削ビット群810が構成される。
筐体50の外周面51には複数のビット取付部83が点在するように設けられる。第1の掘削ビット8eは、筐体50の外周面51に設けられた個々のビット取付部83に1つ1つ個別に着脱可能に取り付けられる。第2の掘削ビット8fは、筐体50の外周面に設けられた複数のビット取付部83に着脱可能に取り付けられるビット設置板84に設けられる。即ち、第2の掘削ビット群810は、ビット取付部83に取り付けられて筐体50の回転中心線Lに沿って筐体50の外周面51の周面幅(回転中心線Lに沿った方向の幅、即ち、筐体50の回転中心線Lに沿った方向の両方の端面)に渡って延長するビット設置板84のビット設置面84aに、複数の第2の掘削ビット8fが回転中心線Lに沿った方向に並ぶように着脱可能又は固定的に設けられた構成である。
1つ1つの回転掘削体46Aにおいて、第1の掘削ビット8eは、筐体50の外周面51の周方向に互いに180°離れた位置にそれぞれ設けられる。第2の掘削ビット群810は、筐体50の外周面51上において第1の掘削ビット8eが設けられていない部分に設けられる。
図14(b)に示すように、筐体50の外周面51上で周方向に互いに180°離れた位置に設けられた各第2の掘削ビット群810;810の各掘削ビット8fの先端は、筐体50の回転中心線Lと直交する同一の面85e上に位置しないように設定されている。つまり、一方の第2の掘削ビット群810において互いに隣り合う各掘削ビット8f間で掘削されない地盤部分を他方の第2の掘削ビット群810の各掘削ビット8fで掘削できるように構成されている。要するに、1つ1つの回転掘削体46Aは、一方の第2の掘削ビット群810で掘削できない地盤部分を他方の第2の掘削ビット群810で掘削できるようにした相補的な一対の第2の掘削ビット群810;810を備えた構成である。
そして、図15(a)に示すように、筐体50の回転中心線Lから回転中心線Lと直交する線上を経由した第1の掘削ビット8eの先端までの第1距離80x(即ち、第1の掘削ビット8eによる掘削半径)と筐体50の回転中心線Lから回転中心線Lと直交する線上を経由した第2の掘削ビット8fの先端までの第2距離81x(即ち、第2の掘削ビットによる掘削半径)とが異なる。
つまり、第1距離80xを掘削半径とした第1の掘削ビット8eによる掘削径が、先頭管6の上下の内壁面6c;6d間(先頭管6の一方の一対の壁面の内壁面間)の寸法9xよりも小さく設定され、かつ、第2距離81xを掘削半径とした第2の掘削ビット8fによる掘削径が、先頭管6の先頭管6の上下の内壁面6c;6d間の寸法9xよりも大きく設定されていることにより、回転掘削体46Aが先頭管6の先端開口6tを介して先頭管6の前方及び先頭管6の内側に移動可能に構成されている。
即ち、第1距離80xは、回転掘削体46Aが先頭管6の内側で回転中心線Lを回転中心として回転可能な回転半径寸法に設定されたことによって、回転掘削体46Aが管2内を通過可能となり、掘削機械26を導坑Aに引き戻して回収できる。
また、第2距離81xは、回転掘削体46Aが先頭管6の内側で回転中心線Lを回転中心として回転不可能で、かつ、回転掘削体46Aが先頭管6の先端開口6tの前方に位置された場合に回転可能な回転半径に設定される。
即ち、回転掘削体46Aが先頭管6の先端開口6tの前方に位置された状態で回転駆動されることによって第1の掘削ビット8e及び第2の掘削ビット8fが先頭管6の先端開口6tの前方位置の地盤を掘削可能であり、かつ、回転掘削体46Aが管2(先頭管6及び後続管7)内を通過して管2を導坑Aに回収可能に構成される。
以上のような回転掘削体46Aを備えたことにより、先頭管6の先端開口6tの前方において先端開口6tの断面よりも例えば上下幅の大きい断面積の孔を掘削できるので、先頭管6の先端開口縁が地盤に衝突する前に地盤を掘削できて、管2をよりスムーズに推進させることができる。
また、掘削機械26の回収時には、図15(b)に示すように、第2の掘削ビット群810の第2の掘削ビット8fの先端が、先頭管6の上下の内壁面6c;6dと同一平面を示す位置より上方に位置しない状態にしてから、回転掘削体46Aを管2内に引き戻して掘削機械26導坑Aに回収する。
また、各第2の掘削ビット群810を、回転中心線Lを中心として筐体50の外周面51上で例えば等間隔に配置することで、回転掘削体46Aの回転重心を一定に保てるようになり、回転掘削体46Aの回転がスムーズになって効率的に掘削できて、管2をよりスムーズに推進させることができる。
また、第2の掘削ビット8f及び第1の掘削ビット8eを備えたので、第2距離81xを掘削半径とした掘削径の孔を第2の掘削ビット8f及び第1の掘削ビット8eによってより効率的に掘削できるようになる。
また、筐体50の外周面51上において筐体50の回転中心線Lに沿った方向の両方の端面に跨って回転中心線Lに沿った方向に直線状又は非直線状に個々の第2の掘削ビット8fが個々に並ぶように配置されていたり、筐体50の外周面51上において筐体50の回転中心線Lに沿った方向の両方の端面に跨って回転中心線Lに沿った方向に直線状又は非直線状に延長する1つの掘削刃を有した第2の掘削ビットを備えた構成の回転掘削体46Aであって、回転掘削体46Aが管2の内側で回転中心線Lを中心として回転不可能で、かつ、先頭管6の先端開口6tの前方位置で回転可能なように構成されていればよい。
また、第2の掘削ビット群810;810が筐体50の外周面51上で周方向に互いに180°離れた位置に設けられていなくてもよい。
要するに、回転掘削体46Aは、回転中心線Lから回転中心線Lと直交する線上を経由した第1の掘削ビット8eの先端までの第1距離80xが、回転掘削体46Aが管6の内側で回転中心線Lを中心として回転可能な回転半径に設定され、回転中心線Lから回転中心線Lと直交する線上を経由した第2の掘削ビット8fの先端までの第2距離81xが、回転掘削体46Aが管2の内側で回転中心線Lを中心として回転不可能で、かつ、回転掘削体46Aが先頭管6の先端開口6tの前方に位置された場合に回転中心線Lを中心として回転可能な回転半径に設定されればよい。
要するに、回転掘削体が第1の掘削ビット8eを備えない構成の場合において、回転中心線Lから回転中心線Lと直交する線上を経由した回転掘削体の筐体50の外周面51までの最短距離である第1距離が、回転掘削体が管6の内側で回転中心線Lを中心として回転可能な回転半径に設定され、回転中心線Lから回転中心線Lと直交する線上を経由した第2の掘削ビット8fの先端までの第2距離81xが、回転掘削体が管2の内側で回転中心線Lを中心として回転不可能で、かつ、回転掘削体が先頭管6の先端開口6tの前方に位置された場合に回転中心線Lを中心として回転可能な回転半径に設定されればよい。
つまり、第1距離を半径とした筐体50の直径が、先頭管6の上下の内壁面6c;6d間の寸法よりも小さく設定され、かつ、第2距離81xを掘削半径とした第2の掘削ビット8fによる掘削径が、先頭管6の先頭管6の上下の内壁面6c;6d間の寸法9xよりも大きく設定されていることにより、回転掘削体46Aが先頭管6の先端開口6tを介して先頭管6の前方及び先頭管6の内側に移動可能に構成される。
実施形態9によれば、第2の掘削ビット8fによる掘削によって、先頭管6の前方において先頭管6の例えば上下の内壁面6c;6d(先頭管6の一方の一対の壁面)と直交する方向である先頭管6の上下幅間隔よりも広い上下幅間隔で地中10を掘削できるようになり、先頭管6の前方において先頭管6の上下幅方向での余堀が可能となるので、地山が硬質地盤である場合でも管2をよりスムーズに推進させることが可能となる。
実施形態9の回転掘削体46Aと実施形態8の掘削機械揺動駆動装置250とを備えた管設置装置を用いれば、先頭管6の前方の地中10において先頭管6の上下左右側の地中10の余堀が可能となることから、上述した管後端移動現象がより発生しやすくなる。したがって、実施形態9の管設置装置を用いて管2を地中10に設置する場合に、上述した管後端移動規制手段を用いて、上述した管後端移動現象を抑制することが効果的である。
また、実施形態9の回転掘削体46Aと実施形態8の掘削機械揺動駆動装置250とを備えた管設置装置を用いた場合、地盤が硬質地盤層や岩盤層であっても管2をスムーズに推進させることができる。
管2としては、管本体と管本体の外側面に管の延長方向に沿って管路が延長するように設けられた図外の中空管とを備えた管2を用いてもよい。当該中空管を備えた管2を用いれば、管本体内にコンクリートが埋められた後であっても、中空管を注入管として利用して管2の周囲の地盤に地盤改良材を注入することができるようになる。
例えば、断面形状が長方形の管2であれば、上記掘削機械26を用いることが好ましいが、断面形状が正方形の管を用いるのであれば、掘削機械として、ウォータージェット装置(高圧水噴射装置)を用いたり、管2の中心軸を回転中心とする回転掘削機を用いたり、あるいは、これらを併用して用いてもよい。例えば、先頭管6の前方開口部の中央に管の中心軸を回転中心とする回転掘削機を設置し、先頭管6の前方開口部における角部にウォータージェット装置の噴射ノズルを設置する。尚、本発明でいう断面形状が四角形状とは、四角の角部が面取りされた形状のものも含む。
さらに、管2は、断面円形状の管であってもよい。また、推進装置として油圧ジャッキ62以外の推進装置を用いてもよい。
C1 コンクリート、CX 支保工、E トンネル上半空洞部,T トンネル、
TR トンネルの施工予定地、TU トンネル空洞部の内壁。
Claims (7)
- トンネルの施工予定地の底部に施工予定のトンネルの延長方向に沿った導坑を形成した後に、当該導坑の左側壁を介して断面四角形の管を地中に進行させて当該導坑と後に形成されるトンネル空洞部のアーチ形状の内壁の左下端位置に相当する地中位置とに跨るように地中に設置された左側の管が施工予定のトンネルの延長方向に沿って接触又は近接して隣り合うように複数配置されるとともに、当該導坑の右側壁を介して断面四角形の管を地中に進行させて当該導坑と後に形成されるトンネル空洞部のアーチ形状の内壁の右下端位置に相当する地中位置とに跨るように地中に設置された右側の管が施工予定のトンネルの延長方向に沿って接触又は近接して隣り合うように複数配置され、地中に設置された管内にコンクリートを充填するとともに、導坑内で互いに向かい合う左側の管の後端開口と右側の管の後端開口とをコンクリートで連結することによって、トンネル空洞部の内壁の左下端位置と右下端位置とに跨るとともにトンネルの延長方向に延長する板状のインバートコンクリートを形成したことを特徴とするインバートコンクリート施工方法。
- インバートコンクリートを、トンネルの延長方向に延長する断面アーチ形状の厚さの等しい先行覆工として機能する板状に形成するとともに、インバートコンクリートの左端が、トンネル空洞部の支保工の左下端よりも左側及び上側に出っ張った位置に到達し、かつ、インバートコンクリートの右端が、トンネル空洞部の支保工の右下端よりも右側及び上側に出っ張った位置に到達するように形成したことを特徴とする請求項1に記載のインバートコンクリート施工方法。
- 地中に設置された管内に支保工を設置した後に当該支保工が設置された管内にコンクリートを充填することによりインバートコンクリートを形成したことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のインバートコンクリート施工方法。
- 導坑がトンネルの施工予定地の底部において施工予定のトンネルの左右幅間の中央側に位置して施工予定のトンネルの延長方向に沿って延長するように形成されたことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載のインバートコンクリート施工方法。
- 請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載のインバートコンクリート施工方法によってインバートコンクリートを形成した後に、地中に形成されたインバートコンクリートの上方の地山を掘削してトンネル本坑を形成したことを特徴とするトンネル施工方法。
- 請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載のインバートコンクリート施工方法によってインバートコンクリートを形成する作業とインバートコンクリートの形成予定地の上方の地山を掘削してトンネル空洞部を形成する作業とを同時進行で行うようにしたことを特徴とするトンネル施工方法。
- トンネル施工予定地のトンネル上半となる部分を掘削してトンネル上半空洞部を形成し、当該トンネル上半空洞部の内壁面に上部支保工を形成するとともにトンネル上半空洞部の底面に底部支保工を形成することによってトンネル上半空洞部の内周面に上半支保工を形成して当該トンネル上半空洞部を閉合した後、
当該トンネル上半空洞部の内壁面の下端とインバートコンクリートの端部との間の地山を掘削して当該トンネル上半空洞部の内壁面に形成されている上部支保工の下端部とインバートコンクリートの端部とを繋ぐようにトンネル空洞部の内壁面の下端側の支保工を形成することによってトンネルを閉合し、
その後、トンネル上半空洞部の底面に設けられた底部支保工の撤去作業、トンネル下半となる部分を掘削する掘削作業、導坑の撤去作業を行うことによってトンネル本坑を形成したことを特徴とする請求項5又は請求項6に記載のトンネル施工方法。
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