JP4132523B2 - キャストホイール - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、スポークを中空にしたキャストホイールの軽量化並びに静音化技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
中空構造のキャストホイールとしては、例えば、特開平9−104201号公報「自動二輪車のキャストホイール」に記載されたものが知られている。
上記技術には、同公報の図6に示される通り、スポーク部9の側壁10の内面に複数の上側溝10a及び複数の下側溝10bを設けたキャストホイールが記載されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記技術において、例えば、キャストホイールを装着した車輪をエンジン側のドライブスプロケットからドライブチェーン、ドリブンスプロケットを介して駆動すると、ドライブスプロケットとドライブチェーンとの噛み合いによる振動によって、キャストホイールの側壁10が共振することが考えられる。
【0004】
特に、上記技術の側壁10に複数の上側・下側溝10a,10bを設けることで、側壁10に多数の薄肉部が形成され、側壁10が振動しやすい構造であるため、上記した共振時には側壁10の振動が大きくなり、この振動がスポーク部9の中空部で拡大され、大きな騒音が発生しやすくなる。
【0005】
そこで、本発明の目的は、スポークを中空にしたキャストホイールを対象にそれの軽量化及び静音化を達成することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために請求項1は、車軸に回転自在に取付けるハブと、タイヤを装着するリムと、これらのハブ及びリムを結合する複数本のスポークとからなる中空構造のキャストホイールにおいて、中空にしたスポークの対向する壁にそれぞれ別々に、外面及び内面に突出するとともにハブとリムとを繋ぐリブを設け、内面に突出するリブ同士をリムの位置で連結したことを特徴とする。
【0007】
リブにより、スポークの壁の曲げ剛性を高める。
壁にリブを設けない場合に比べて、壁にリブを突出させると、壁の固有振動数を変化させることができ、例えば、外部からスポークに多い頻度で伝わる振動の振動数から壁の固有振動数を遠ざけることができるため、スポークの壁の共振の頻度を少なくし、スポークで発生する騒音、ひいてはキャストホイールで発生する騒音を抑えることができる。
更に、スポークの壁の曲げ剛性が高くなるため、壁が共振した場合でも、スポーク、キャストホイールから発生する騒音を抑えることができる。
【0008】
ハブとリムとをリブで繋ぐことで、ハブとリムとの間の壁をリブで補強する。
この補強により、スポークの全体の壁の曲げ剛性を高めることができるため、スポークの長手方向と直交する方向の変形を小さくすることができる。
【0009】
従って、スポークの壁にリブを設けない場合に比べて、スポークの壁の固有振動数を大きくなる側へ変化させることができる。
これにより、スポーク、キャストホイールから発生する騒音を抑えることができる。
リブ同士を連結することで壁の曲げ剛性がより高まる。
リブを、外面及び内面でそれぞれ一対設けたことで、リブを外面及び内面でそれぞれ一つずつ設けた場合に比べて壁の曲げ剛性がより高まる。
【0010】
請求項2は、リブを、車軸の延びる方向に突出させたことを特徴とする。
壁の曲げ剛性を高めることができ、リブが無い壁に比較して、壁の変形を小さくすることができ、また、リブが無い壁の固有振動数に比べて、壁の固有振動数を大きい側へ変化させることができる。従って、例えば、外部から、所定の周波数の振動がスポークに伝わっても、壁が共振せず、キャストホイールから騒音が発生することがない。
【0011】
また、スポークの断面を略楕円形状で中空の断面とし、車軸の延びる方向に短軸が延びる場合、短軸に交わる壁が、長軸に交わる壁よりも面積が大きく平面に近いので共振が発生しやすいため、このような短軸に交わる壁に外リブ及び内リブを設けることによって、その共振を低減する効果が大きくなり、この結果、キャストホイールの共振による騒音の発生を防ぐことができる。
【0012】
請求項3は、リブを、車軸の延びる方向と直交する方向に突出させたことを特徴とする。
スポークの断面を略楕円形状で中空の断面とし、車軸の延びる方向と直交する方向に長軸が延びる場合、長軸に交わる壁に共振が発生する場合であっても、その共振を低減することができ、キャストホイールの共振による騒音の発生を防ぐことができる。
【0013】
請求項4は、車軸に回転自在に取付けるハブと、タイヤを装着するリムと、これらのハブ及びリムを結合する複数本のスポークとからなる中空構造のキャストホイールにおいて、中空にしたスポークの対向する壁のそれぞれの内面に、車軸の延びる方向と直交する方向に突出するとともにハブとリムとを繋ぐリブを設け、これらのリブの先端同士が離間していることを特徴とする。
【0014】
スポークの断面を略楕円形状で中空の断面とし、車軸の延びる方向と直交する方向に長軸が延びる場合、長軸に交わる壁に共振が発生する場合であっても、その共振を低減することができ、キャストホイールの共振による騒音の発生を防ぐことができる。
内リブについては、外部に露出しないため、スポークの外観性を向上させることができる。
【0015】
ハブとリムとをリブで繋ぐことで、ハブとリムとの間の壁をリブで補強する。
この補強により、スポークの全体の壁の曲げ剛性を高めることができるため、スポークの長手方向と直交する方向の変形を小さくすることができる。
【0016】
従って、スポークの壁にリブを設けない場合に比べて、スポークの壁の固有振動数を大きくなる側へ変化させることができる。
これにより、スポーク、キャストホイールから発生する騒音を抑えることができる。
リブを、内面でそれぞれ一対設けたことで、リブを内面でそれぞれ一つずつ設けた場合に比べて壁の曲げ剛性がより高まる。
【0017】
請求項5は、内面に突出するリブ同士をリムの位置で連結したことを特徴とする。
リブ同士を連結することで壁の曲げ剛性がより高まる。
【0018】
請求項6は、車軸に回転自在に取付けるハブと、タイヤを装着するリムと、これらのハブ及びリムを結合する複数本のスポークとからなる中空構造のキャストホイールにおいて、中空にしたスポークの壁の外面又は内面に、スポーク軸を略中心とした環状リブをスポーク軸の延びる方向の一部だけに設けたことを特徴とする。
【0019】
環状リブにより、スポーク軸を略中心とした壁の曲げ剛性を高める。
壁の曲げ剛性を高めたことで、スポークの壁に環状リブを設けない場合に比べて、スポークの壁の固有振動数を大きくなる側へ変化させることができる。
これにより、スポーク、キャストホイールから発生する騒音を抑えることができる。
【0020】
請求項7は、車軸に回転自在に取付けるハブと、タイヤを装着するリムと、これらのハブ及びリムを結合する複数本のスポークとからなる中空構造のキャストホイールにおいて、中空にしたスポークの対向する壁に、車軸の延びる方向と直交する方向に延びるブリッジを渡し、このブリッジの中央と端部とで厚みを異ならせたことを特徴とする。
対向する壁にブリッジを設けたことで、対向する壁を一体にすることができ、壁同士の曲げ剛性をより高めることができる。
また、ブリッジの端部の断面積を中央より大きくすることで、端部に発生する応力を小 さくすることができる。
【0021】
請求項8は、車軸に回転自在に取付けるハブと、タイヤを装着するリムと、これらのハブ及びリムを結合する複数本のスポークとからなる中空構造のキャストホイールにおいて、中空にしたスポークとハブとの境界部分にブリッジを設け、このブリッジの中央と端部とで厚みを異ならせたことを特徴とする。
【0022】
このブリッジと、中空にしたスポークの対向する壁に、車軸の延びる方向と直交する方向に延びるように渡されたブリッジとを組合わせることで、スポークの根元部及びスポークの中間部の曲げ剛性を高めることができ、より騒音の発生を抑えることができる。
また、ブリッジの端部の断面積を中央より大きくすることで、端部に発生する応力を小さくすることができる。
【0023】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を添付図に基づいて以下に説明する。なお、図面は符号の向きに見るものとする。
図1は本発明に係るキャストホイールを装着した自動二輪車の要部側面図であり、自動二輪車10は、車体フレーム11にエンジン及び変速機からなるパワーユニット12を取付け、このパワーユニット12の後部にスイング自在にスイングアーム13を取付け、このスイングアーム13の後端部に車軸14を介して後輪15を回転自在に取付け、パワーユニット12の出力側となるドライブスプロケット16と後輪15に取付けたドリブンスプロケット17とにドライブチェーン18を掛けた車両である。
【0024】
後輪15は、中空のキャストホイール21と、このキャストホイール21に取付けたタイヤ22とからなる。
ここで、25はマフラ、26はシート、27はテールランプ、28はリヤフェンダである。
【0025】
図2は本発明に係るキャストホイール(第1の実施の形態)の側面図であり、キャストホイール21は、車軸14(図1参照)に回転自在に取付けるハブ31と、タイヤ22(図1参照)を取付けるリム32と、これらのハブ31及びリム32を結合するスポーク33…(…は複数個を示す。以下同様。)とからなる。
スポーク33は、側壁34の外面にハブ31とリム32とを繋ぐリブとしての外リブ35,35(奥側の符号35は不図示)を形成したものである。
【0026】
図3は図2の3−3線断面図であり、キャストホイール21は、ハブ31及びスポーク33を中空に形成した部材であり、スポーク33は、薄肉にした側壁34の内面にハブ31とリム32とを繋ぐリブとしての内リブ36,36を形成したものである。
ここで、41,41は車軸14(図1参照)をベアリングを介して取付けるための車軸取付け部、42はハブ31の両端部を繋ぐ筒状連結部、43はハブ31にディスクブレーキ用ディスクプレートを取付けるためのボルト挿入穴、Sは中空部である。
【0027】
図4は図2の4−4線断面図であり、スポーク33は、略楕円形状断面の側壁34を有する。
この側壁34における短軸MAに交わる壁を壁部34a,34aとし、長軸LAに交わる壁を壁部34b,34bとすると、スポーク33は、壁部34a,34aの外面に外リブ35,35を突出させ、壁部34a,34aの内面に内リブ36,36を突出させたものである。
この場合、外リブ35,35、内リブ36,36は長軸LAに交わる壁部34b,34bに設けてもよい。
【0028】
以上に述べたキャストホイール21の作用を次に説明する。
図5(a),(b)はキャストホイールの作用を比較する説明図であり、(a)は比較例、(b)は本実施例を示し、(a),(b)のそれぞれの図の左側はキャストホイールの要部断面図、右側はそれぞれのキャストホイールの壁における固有振動の状態をグラフ(縦軸は振幅、横軸は時間を表す。)で示したものである。
(a)に示した比較例において、中空のキャストホイール100は、スポーク101とリム102とを備える。103,104はスポーク101の壁である。
スポーク101の壁103,104は、外部から所定の周波数の振動、例えば、キャストホイール100を装着した車輪をエンジン側のドライブスプロケットからドライブチェーン、キャストホイール100に取付けたドリブンスプロケットを介して駆動する時のドライブスプロケットとドライブチェーンとの噛み合いによる振動等の、車両の通常走行において多い頻度で発生する振動が伝わると、例えば、図の矢印a,a又は矢印b,bのように共振する。
この場合、スポーク101の壁103,104が薄肉になれば、共振の振幅はより大きくなる。
ここで、壁103,104の固有振動の周期をT1とする。
【0029】
(b)に示した本実施例において、キャストホイール21のスポーク33の側壁34a,34aに外リブ35及び内リブ36を備えたことで、壁34a,34aの曲げ剛性を高めることができ、(a)に示した壁103,104に比較して、壁34a,34aの変形を小さくすることができ、また、(a)に示した壁103,104の固有振動数に比べて、壁34a,34aの固有振動数を大きい側へ変化させることができる。
即ち、壁34a,34aの固有振動の周期をT2とすると、T2<T1であり、T2,T1から求められる固有振動数1/T2,1/T1の関係は、1/T2>1/T1となる。
【0030】
従って、例えば、外部から、(a)の比較例で説明したのと同一の所定の周波数の振動がスポーク33に伝わっても、壁34a,34aが共振せず、キャストホイール21から騒音が発生することがない。
また、外部からスポーク33に伝わる振動の周波数が変化して、壁34a,34aの固有振動数と一致し、壁34a,34aが図の矢印(1),(1)又は矢印(2),(2)のように共振したとしても、壁34a,34aは曲げ剛性が高いため、振動の振幅を小さくすることができ、騒音の発生を抑えることができる。
【0031】
以上の図3及び図4に説明したように、本発明は、車軸14(図1参照)に回転自在に取付けるハブ31と、タイヤ22(図1参照)を装着するリム32と、これらのハブ31及びリム32を結合する複数本のスポーク33とからなる中空構造のキャストホイール21において、中空にしたスポーク33の壁34a,34aに、外面に突出する外リブ35及び内面に突出する内リブ36を設けたことを特徴とする。
【0032】
上記構成により、外リブ35、内リブ36によって、スポーク33の壁34a,34aの曲げ剛性を高めることができ、壁34a,34aに外リブ35、内リブ36を設けない場合に比べて、壁34a,34aの固有振動数を変化させることができ、例えば、外部からスポーク33に多い頻度で伝わる振動の振動数から壁34a,34aの固有振動数を遠ざけることができるため、スポーク33の壁34a,34aの共振の頻度を少なくし、スポーク33から発生する騒音、ひいてはキャストホイール21から発生する騒音を抑えることができる。
【0033】
更に、スポーク33の壁34a,34aの曲げ剛性が高くなるため、外部からスポーク33に伝わる振動に壁34a,34aが共振した場合でも、壁34a,34aの振動を小さくすることができ、スポーク33、キャストホイール21から発生する騒音を抑えることができる。
【0034】
また、本発明は、外リブ35、内リブ36を、ハブ31とリム32とを繋ぐ形状にしたことを特徴とする。
上記構成により、ハブ31とリム32との間の壁34a,34aを外リブ35、内リブ36で補強することができ、スポーク33の全体の壁の曲げ剛性を高めることができるため、スポーク33の壁34a,34aの固有振動数を大きくなる側へ変化させることができる。
従って、上記したのと同様に、キャストホイール21から発生する騒音を抑えることができる。
【0035】
図6(a)〜(d)は本発明に係るキャストホイール(第2の実施の形態)のスポークの断面図である。なお、(a)〜(d)に示す図の上下方向がキャストホイールの車軸の延びる方向である。
(a)は、略楕円形状断面のスポーク51の側壁52において、短軸MAに交わる壁を壁部52a,52aとし、長軸LAに交わる壁を壁部52b,52bとする(以下の(b)〜(d)についても同様。)と、壁部52a,52aに、車軸の延びる方向に突出するとともに、壁部52a,52aのそれぞれの外面に突出する外リブ35,35を設けたことを示す。
【0036】
上記した壁部52aは、壁部52bよりも面積が大きく平面に近いので共振が発生しやすいため、このような壁部52aに外リブ35,35を設けることによって、その共振を低減する効果が大きくなり、この結果、キャストホイールの共振による騒音の発生を防ぐことができる。
【0037】
(b)は、略楕円形状断面のスポーク51の壁部52a,52aに、車軸の延びる方向に突出するとともに、壁部52a,52aのそれぞれの内面に突出する内リブ36,36を設けたことを示す。
これにより、内リブ36,36によって、(a)に示した外リブ35,35と同様の理由で、壁部52aの共振を低減する効果が大きくなり、キャストホイールの騒音の発生を防ぐことができる。
【0038】
更に、(b)によれば、内リブ36としたことで、キャストホイールの外観に影響を与えることなく、騒音低減効果を得ることができる。
また、かかる中空ホイールの短軸MAに交わる壁部52a,52aのみにリム32(図3参照)とハブ31(図3参照)とを繋ぐ形状とした外リブ35,35(図(a)参照)又は内リブ36,36を設けることとした場合には、キャストホイールの軽量化と低騒音化という本発明の目的を最も効果的に達成することができる。
【0039】
(c)は、略楕円形状断面のスポーク51の壁部52b,52bに、車軸の延びる方向と直交する方向に突出するとともに、壁部52b,52bのそれぞれの外面に突出するリブとしての外リブ54,54を設けたことを示す。
【0040】
(d)は、略楕円形状断面のスポーク51の壁部52b,52bに、車軸の延びる方向と直交する方向に突出するとともに、壁部52b,52bのそれぞれの内面に突出するリブとしての内リブ55,55を設けたことを示す。
【0041】
これにより、長軸LAに交わる壁部52b,52bに共振が発生する場合であっても、その共振を低減することができ、キャストホイールの共振による騒音の発生を防ぐことができる。
上記した(b)の内リブ36,36及び(d)の内リブ55,55については外部に露出しないため、スポーク51の外観性を向上させることができる。
【0042】
図7(a)〜(d)は本発明に係るキャストホイール(第3の実施の形態)のスポークの断面図である。
(a)は、スポーク61の側壁62に、スポーク軸SAを中心とした環状リブ63を形成したことを示す。なお、L1は環状リブ63のスポーク軸SAの延びる方向の長さであり、側壁62の固有振動数を変化させる度合いに応じて適宜変更することができ、必要に応じた固有振動数としつつ、軽量なキャストホイールとすることができる。
【0043】
(b)は、(a)のb−b線断面図であり、スポークの側壁62の内面に突出する環状リブ63を設けたことを示す。
このように側壁62の内面に環状リブ63を設けることで、環状リブ63が外部に露出することがないため、スポーク61の外観性を向上させることができる。
【0044】
(c)は、スポーク61の側壁62に、スポーク軸SAを中心とした環状リブ65を形成したことを示す。なお、L2は環状リブ65のスポーク軸SAの延びる方向の長さであり、側壁62の固有振動数を変化させる度合いに応じて適宜変更しても差し支えない。
(d)は、(c)のd−d線断面図であり、スポークの側壁62の外面に突出する環状リブ65を設けたことを示す。
【0045】
以上の図7(a)〜(d)で説明したように、本発明は、環状リブ63,65が、スポーク軸SAを略中心としたリブであることを特徴とする。
上記構成により、スポーク軸SAを略中心とした側壁62の曲げ剛性を高めることができ、スポーク61の側壁62に環状リブ63,65を設けない場合に比べて、スポーク61の側壁62の固有振動数を大きくなる側へ変化させることができる。従って、キャストホイールのスポーク61から発生する騒音を抑えることができる。
【0046】
このような環状リブ63,65を、スポーク軸SAの延びる方向の一部だけ(例えば、図7(a)のL1に相当する部分)に設けたので、キャストホイールの軽量化を達成しつつ、側壁の共振を低減し、キャストホイールからの騒音の発生を無くすことができる。
【0047】
図8(a)〜(c)は本発明に係るキャストホイール(第4の実施の形態)のスポークの断面図である。
(a)は、スポーク71の側壁72の壁としての壁部72b,72b間にブリッジ73を一体に渡したことを示す。
【0048】
(b)は、(a)のb−b線断面図であり、スポーク71の中空部Sの中心にブリッジ73を配置したことを示す。
このようなブリッジ73を設けたことで、壁部72b,72bを一体にすることができ、壁部72b同士の曲げ剛性をより高めることができる。
【0049】
(c)は、スポーク71とハブ75との境界部分にブリッジ76を設けたことを示す。
このブリッジ76と(a),(b)で説明したブリッジ73とを組合わせることで、スポーク71の根元部及びスポーク71の中間部の曲げ剛性を高めることができ、より騒音の発生を抑えることができる。
【0050】
尚、本発明のリブは、スポークの外面や内面の図4、図6に示した位置に限らず、任意の位置に設けてもよい。
このように、リブ、環状リブ、ブリッジの設置位置、個数、方向はスポークの共振状態を考慮して適宜決めてよい。
また、スポークに、上記したリブ、環状リブ、ブリッジの中から2種類又は3種類を適宜組合わせて設けてもよい。
更に、図6に示した第2の実施の形態では、車軸の延びる方向に、スポーク51の略楕円形状断面の短軸MAに交わる壁部52a,52aを配置したが、これに限らず、車軸の延びる方向に、スポーク51の略楕円形状断面の長軸LAに交わる壁部52b,52bを配置してもよい。
【0051】
【発明の効果】
本発明は上記構成により次の効果を発揮する。
請求項1のキャストホイールは、中空にしたスポークの対向する壁にそれぞれ別々に、内面及び外面に突出するとともにハブとリムとを繋ぐリブを設け、内面に突出するリブ同士をリムの位置で連結したので、リブによって、スポークの壁の曲げ剛性を高めることができ、壁にリブを設けない場合に比べて、壁の固有振動数を変化させることができ、例えば、外部からスポークに多い頻度で伝わる振動の振動数から壁の固有振動数を遠ざけることができるため、スポークの壁の共振の頻度を少なくし、スポークで発生する騒音、ひいてはキャストホイールで発生する騒音を抑えることができる。
更に、スポークの壁の曲げ剛性が高くなるため、壁が共振した場合でも、スポーク、キャストホイールから発生する騒音を抑えることができる。
【0052】
また、リブを、ハブとリムとを繋ぐ形状にしたので、ハブとリムとの間の壁をリブで補強することができ、スポークの全体の壁の曲げ剛性を高めることができるため、スポークの長手方向と直交する方向の変形を小さくすることができる。
【0053】
従って、スポークの壁にリブを設けない場合に比べて、スポークの壁の固有振動数を大きくなる側へ変化させることができる。
これにより、スポーク、キャストホイールから発生する騒音を抑えることができる。
【0054】
更に、内面に突出するリブ同士をリムの位置で連結したので、壁の曲げ剛性がより高まる。
また更に、リブを、外面及び内面でそれぞれ一対設けたので、リブを外面及び内面でそれぞれ一つずつ設けた場合に比べて壁の曲げ剛性がより高まる。
【0055】
請求項2のキャストホイールは、リブを、車軸の延びる方向に突出させたので、壁の曲げ剛性を高めることができ、リブが無い壁に比較して、壁の変形を小さくすることができ、また、リブが無い壁の固有振動数に比べて、壁の固有振動数を大きい側へ変化させることができる。従って、例えば、外部から、所定の周波数の振動がスポークに伝わっても、壁が共振せず、キャストホイールから騒音が発生することがない。
【0056】
また、スポークの断面を略楕円形状で中空の断面とし、車軸の延びる方向に短軸が延びる場合、短軸に交わる壁が、長軸に交わる壁よりも面積が大きく平面に近いので共振が発生しやすいため、このような短軸に交わる壁に外リブ及び内リブを設けることによって、その共振を低減する効果が大きくなり、この結果、キャストホイールの共振による騒音の発生を防ぐことができる。
【0057】
請求項3のキャストホイールは、リブを、車軸の延びる方向と直交する方向に突出させたので、スポークの断面を略楕円形状で中空の断面とし、車軸の延びる方向と直交する方向に長軸が延びる場合、長軸に交わる壁に共振が発生する場合であっても、その共振を低減することができ、キャストホイールの共振による騒音の発生を防ぐことができる。
【0058】
請求項4のキャストホイールは、中空にしたスポークの対向する壁のそれぞれの内面に、車軸の延びる方向と直交する方向に突出するとともにハブとリムとを繋ぐリブを設け、これらのリブの先端同士が離間しているので、スポークの断面を略楕円形状で中空の断面とし、車軸の延びる方向と直交する方向に長軸が延びる場合、長軸に交わる壁に共振が発生する場合であっても、その共振を低減することができ、キャストホイールの共振による騒音の発生を防ぐことができる。
内リブについては、外部に露出しないため、スポークの外観性を向上させることができる。
【0059】
また、リブを、ハブとリムとを繋ぐ形状にしたので、ハブとリムとの間の壁をリブで補強することができ、スポークの全体の壁の曲げ剛性を高めることができるため、スポークの長手方向と直交する方向の変形を小さくすることができる。
【0060】
従って、スポークの壁にリブを設けない場合に比べて、スポークの壁の固有振動数を大きくなる側へ変化させることができる。
これにより、スポーク、キャストホイールから発生する騒音を抑えることができる。
リブを、内面でそれぞれ一対設けたので、リブを内面でそれぞれ一つずつ設けた場合に比べて壁の曲げ剛性がより高まる。
【0061】
請求項5のキャストホイールは、内面に突出するリブ同士をリムの位置で連結したので、壁の曲げ剛性がより高まる。
【0062】
請求項6のキャストホイールは、中空にしたスポークの壁の外面又は内面に、スポーク軸を略中心とした環状リブをスポーク軸の延びる方向の一部だけに設けたので、スポーク軸を略中心とした壁の曲げ剛性を高めることができ、スポークの壁に環状リブを設けない場合に比べて、スポークの壁の固有振動数を大きくなる側へ変化させることができる。
これにより、スポーク、キャストホイールから発生する騒音を抑えることができる。
【0063】
請求項7のキャストホイールは、中空にしたスポークの対向する壁に、車軸の延びる方向と直交する方向に延びるブリッジを渡し、このブリッジの中央と端部とで厚みを異ならせたので、対向する壁を一体にすることができ、壁同士の曲げ剛性をより高めることができる。
また、ブリッジの端部の断面積を中央より大きくすることで、端部に発生する応力を小さくすることができる。
【0064】
請求項8のキャストホイールは、中空にしたスポークとハブとの境界部分にブリッジを設け、このブリッジの中央と端部とで厚みを異ならせたので、このブリッジと、中空にしたスポークの対向する壁に車軸の延びる方向と直交する方向に延びるように渡されたブリッジとを組合わせることで、スポークの根元部及びスポークの中間部の曲げ剛性を高めることができ、より騒音の発生を抑えることができる。
また、ブリッジの端部の断面積を中央より大きくすることで、端部に発生する応力を小さくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係るキャストホイールを装着した自動二輪車の要部側面図
【図2】 本発明に係るキャストホイール(第1の実施の形態)の側面図
【図3】 図2の3−3線断面図
【図4】 図2の4−4線断面図
【図5】 キャストホイールの作用を比較する説明図
【図6】 本発明に係るキャストホイール(第2の実施の形態)のスポークの断面図
【図7】 本発明に係るキャストホイール(第3の実施の形態)のスポークの断面図
【図8】 本発明に係るキャストホイール(第4の実施の形態)のスポークの断面図
【符号の説明】
10…自動二輪車、14…車軸、21…キャストホイール、22…タイヤ、31…ハブ、32…リム、33…スポーク、34a,52a,52b…壁、35,36,54,55,63,65…リブ。
Claims (8)
- 車軸に回転自在に取付けるハブと、タイヤを装着するリムと、これらのハブ及びリムを結合する複数本のスポークとからなる中空構造のキャストホイールにおいて、
中空にした前記スポークの対向する壁にそれぞれ別々に、外面及び内面に突出するとともにハブとリムとを繋ぐリブを設け、
前記内面に突出する前記リブ同士を前記リムの位置で連結したことを特徴とするキャストホイール。 - 前記リブは、前記車軸の延びる方向に突出することを特徴とする請求項1記載のキャストホイール。
- 前記リブは、前記車軸の延びる方向と直交する方向に突出することを特徴とする請求項1記載のキャストホイール。
- 車軸に回転自在に取付けるハブと、タイヤを装着するリムと、これらのハブ及びリムを結合する複数本のスポークとからなる中空構造のキャストホイールにおいて、
中空にした前記スポークの対向する壁のそれぞれの内面に、前記車軸の延びる方向と直交する方向に突出するとともにハブとリムとを繋ぐリブを設け、これらのリブの先端同士が離間していることを特徴とするキャストホイール。 - 前記内面に突出するリブ同士が前記リムの位置で連結されていることを特徴とする請求項4記載のキャストホイール。
- 車軸に回転自在に取付けるハブと、タイヤを装着するリムと、これらのハブ及びリムを結合する複数本のスポークとからなる中空構造のキャストホイールにおいて、
中空にした前記スポークの壁の外面又は内面に、スポーク軸を略中心とした環状リブをスポーク軸の延びる方向の一部だけに設けたことを特徴とするキャストホイール。 - 車軸に回転自在に取付けるハブと、タイヤを装着するリムと、これらのハブ及びリムを結合する複数本のスポークとからなる中空構造のキャストホイールにおいて、
中空にした前記スポークの対向する壁に、前記車軸の延びる方向と直交する方向に延びるブリッジが渡され、このブリッジの中央と端部とで厚みを異ならせたことを特徴とするキャストホイール。 - 車軸に回転自在に取付けるハブと、タイヤを装着するリムと、これらのハブ及びリムを結合する複数本のスポークとからなる中空構造のキャストホイールにおいて、
中空にした前記スポークと前記ハブとの境界部分にブリッジを設け、このブリッジの中央と端部とで厚みを異ならせたことを特徴とするキャストホイール。
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