JP4120840B2 - セキュリティシステム - Google Patents

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Description

【技術分野】
【0001】
本発明は、セキュリティシステムに関し、特に、警戒の対象となる対象物への不正侵入を検知するセキュリティシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、各種のセキュリティシステムが提案され、利用されている。
【0003】
特開平10−27292号公報においては、店舗等の施設の閉店時、最終退場者は、警備対象ドアを施錠し且つ警備モードをセットして初めて、最終退場用の戸を開けて帰宅することができるようにすることが開示されている。このシステムにおいては、夕方5時までの通常営業時間内は、最終退場用の戸を中から自由に開け得るようにし、夕方5時以降は、戸の開放に警備モードのセットを条件にしたものである。これにより、警備会社に戸破りを通報する警備モードのセット忘れが未然に防止される。
【0004】
特開平8−249550号公報においては、第2の所定時間内に、ホームセキュリティ装置の有する1つのセットボタンを第1の所定時間未満の時間押すことにより、ループ状に監視モードを順次変化させることが開示されている。第2の所定時間経過後には監視モードが確定し、複数系統の防犯センサが監視状態に設定される。該セットボタンが第1の所定時間を超える時間押された場合には、複数系統の防犯センサの監視状態が1つのセットボタンの操作で解除される。このホームセキュリティ装置において、複数系統の防犯センサを接続した場合にも1つのセットボタンの操作で、戸締まり監視状態の設定/解除を行なうことができる。
【0005】
特開2001−56887号公報においては、警戒対象およびそれよりも上方部分の前面側とに検知エリアを持つ第1のセンサと、警戒対象およびそれよりも下方部分の前面側に検知エリアを持つ第2のセンサとを設け、第1のセンサおよび第2のセンサの少なくとも一方に、タイマ付論理回路が設けられるとともに、少なくとも他方に、そのセンサ内の検知部からの検知信号を外部へ出力する出力経路が設けられることが開示されている。タイマ付論理回路は、このタイマ付論理回路が設けられたセンサ内の検知部からの検知信号と、他方のセンサの出力経路を経て取り出される検知信号とを所定時間内に受けたとき警報信号を発生する。これにより、小動物や外乱光による誤報を回避して、例えば警戒対象である建物の窓、出入口等の開口からの侵入を正しく検知できる。
【0006】
特開平5−114091号公報においては、窓が開いて住戸内部用侵入センサの感知信号がデータ処理部に入力された時に、過去数秒以内に窓の外の所定の位置を監視する住戸外部用侵入センサが侵入者を感知した感知信号がデータ処理部に入力されているかどうかを判断し、判断の結果、前記条件が満たされていれば、内部報知部とスピーカを用いて音声鳴動により内部報知するとともに上位系通報部と電話回線を接続する端子を用いて上位系通報を行い、実警報を発報し、条件が満たされていない場合は誤警報として扱い、内部報知および上位系通報は行なわないことが開示されている。これにより、外部から窓を開けた時のみ実警報と判断して侵入警報を発報することができる。
【0007】
しかしながら、従来の住宅セキュリティ(ホームセキュリティ)用のシステムでは、住宅セキュリティシステムのモード変更が面倒であり、モード変更ミスが誤警報や、侵入検知失敗などにつながっている。
【0008】
特開平10−27292号公報に開示されている発明では、モード設定変更ミスをなくすという課題設定を解決しようとして、「最終退場者は、警備対象ドアを施錠し且つ警備モードをセットして初めて、最終退場用の戸を開けて帰宅することができる」というように、煩雑な操作を必要とし、不便にしてしまっている。特開平8−249550号公報に開示されている発明では、モードの設定変更にボタン操作を必要としており、ボタン操作をすることを忘れると、モード設定変更ができなくなる。また、侵入者が検知しても単に音声での警報しか発生しないので、効果的な侵入者撃退ができない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
本出願人は、上記の問題を分析したので、ここで、問題の原因である「問題点」を示す。
【0009】
以下の説明では、住宅を中心に説明するが、これは住宅、倉庫、事務所、工場、病院、学校、または車両などで例示される設備(警戒の対象となる対象物)にもあてはまるものである。
【0010】
住宅セキュリティシステムの侵入者警報についての誤警報を少なくするには、次のことが必要である。
【0011】
第1に、家人がいない留守の状況で住宅の内部での人の動きや、住宅の扉の開け閉めを検出したら、それは不正侵入者が存在すると判断するという「留守番警戒処理」を適切なタイミングで起動し、解除すること。
【0012】
第2に、家人が住宅内の一定の場所にいるとき、もし住宅の扉や窓が開け閉めされた場合には、不正侵入者があると判断するという「在宅警戒警戒処理」を適切に起動したり解除したりすること。
【0013】
第3に、侵入者を適切なタイミングと場所で撃退すること。
【0014】
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、第1に、ボタン等の操作をすること無しに自動的に警戒モードの設定・解除をすることで、誤警報の頻度を下げることである。すなわち、面倒な操作を必要とせず、警戒の対象となる対象物における状況に応じて、不正侵入に対する所定の処理を実行することができるようにするものである。
【0015】
第2に、警戒モードの設定・解除のためのエリア設定を簡単に実行すること、すなわち、初期設定を簡単にできるようにするものである。
【0016】
第3に、侵入者を効果的に撃退できるようにするものである。
【0017】
第4に、正当なメンバーを適切に避難誘導できるようにするものである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明の第1のセキュリティシステムは、対象物を使用する正当メンバーの位置を検知するメンバー位置検知手段と、対象物への不正侵入の位置を検知する不正侵入位置検知手段と、対象物内の複数箇所に配置されて、不正侵入に対する処理を実行する実行手段と、メンバー位置検知手段によって検知された正当メンバーの位置と、不正侵入位置検知手段によって検知された不正侵入の位置との関係に応じて、処理を実行する実行手段を選択して、選択した実行手段の処理の実行を制御する実行制御手段とを備えることを特徴とする。
【0019】
実行制御手段は、不正侵入の位置と正当メンバーの位置との距離が所定閾値以下になった場合、不正侵入の位置に最も近い実行手段を含む1個以上の実行手段を選択して、選択した実行手段に不正侵入に対する処理を実行させるように、処理の実行を制御するようにすることができる。
【0020】
実行制御手段は、正当メンバーの位置からの距離が所定の閾値以内であって、不正侵入の位置からの距離が最も遠い実行手段に、正当メンバーの避難誘導のための処理を実行させるように、処理の実行を制御するようにすることができる。
【0021】
実行手段は、白煙を発生させる処理を実行するようにすることができる。
【0022】
メンバー位置検知手段は、正当メンバーに装着され、警戒の対象となる対象物に対応したID符合を無線送信するデバイスの位置を検出することにより、正当メンバーの位置を検知するようにすることができる。
【0023】
メンバー位置検知手段は、正当メンバーに装着され、警戒の対象となる対象物に対応したID符合を無線送信し、実行手段が設けられているデバイスの位置を検出することにより、正当メンバーの位置を検知するようにすることができる。
【0024】
本発明の第2のセキュリティシステムは、対象物を使用する正当メンバーの位置を検知するメンバー位置検知手段と、対象物への不正侵入の位置を検知する不正侵入位置検知手段と、外部警戒面の位置を記憶する外部警戒面記憶手段と、内部警戒面の位置を記憶する内部警戒面記憶手段と、メンバー位置検知手段によって検知された正当メンバーの位置を基に、外部警戒面の内側に正当メンバーがいない場合、第1の警戒処理を実行し、内部警戒面の内側に正当メンバーがいる場合、第2の警戒処理を実行するように、第1の警戒処理または第2の警戒処理の実行を制御する実行制御手段と、対象物内の複数箇所に配置され、第1の警戒処理または第2の警戒処理を実行する場合、不正侵入位置検知手段により、対象物への不正侵入の位置が検知されたとき、不正侵入に対する処理を実行する実行手段とを備えることを特徴とする。
【0025】
第1の警戒処理は、外部警戒面の内側への、不正侵入に対する警戒処理である留守番警戒処理とし、第2の警戒処理は、外部警戒面と内部警戒面との間への、不正侵入に対する警戒処理である在宅警戒処理とすることができる。
【0026】
実行手段は、白煙を発生させる処理を実行するようにすることができる。
【0027】
メンバー位置検知手段は、正当メンバーに装着され、警戒の対象となる対象物に対応したID符合を無線送信するデバイスの位置を検出することにより、正当メンバーの位置を検知するようにすることができる。
【0028】
メンバー位置検知手段は、正当メンバーに装着され、警戒の対象となる対象物に対応したID符合を無線送信し、実行手段が設けられているデバイスの位置を検出することにより、正当メンバーの位置を検知するようにすることができる。
【0029】
デバイスに設けられた実行手段は、白煙を発生させる処理を実行するようにすることができる。
【0030】
本発明のシステムは、ノードのID情報を発信できるとともにノード間距離計測と、ノード間侵入検知が可能なノードを、住宅、倉庫、事務所、工場、病院、学校、車両などで例示される設備に、複数個配置するとともに、その設備の正当なメンバーにもノードを保持させて、ノードで構成されるセンサネットワークを用いたセキュリティシステムと、さらにノードがアクチュエータを備えており不正侵入者の位置に応じてアクチュエータを適切に作動させるアクチュエータネットワークを用いたセキュリティシステムに関するものである。
【0031】
本発明の第1のセキュリティシステムにおいては、対象物を使用する正当メンバーの位置が検知され、対象物への不正侵入の位置が検知され、対象物内の複数箇所に配置された実行手段により、不正侵入に対する処理が実行され、検知された正当メンバーの位置と、検知された不正侵入の位置との関係に応じて、処理を実行する実行手段が選択され、選択した実行手段の処理の実行が制御される。
【0032】
本発明の第2のセキュリティシステムにおいては、対象物を使用する正当メンバーの位置が検知され、対象物への不正侵入の位置が検知され、外部警戒面の位置が記憶され、内部警戒面の位置が記憶され、検知された正当メンバーの位置を基に、外部警戒面の内側に正当メンバーがいない場合、第1の警戒処理を実行し、内部警戒面の内側に正当メンバーがいる場合、第2の警戒処理を実行するように、第1の警戒処理または第2の警戒処理の実行が制御され、そして、第1の警戒処理または第2の警戒処理を実行する場合、対象物への不正侵入の位置が検知されたとき、不正侵入に対する処理が実行される。
【発明の効果】
【0033】
第1の本発明によれば、不正侵入を検知することができる。また、第1の本発明によれば、面倒な操作を必要とせず、警戒の対象となる対象物における状況に応じて、不正侵入に対する所定の処理を実行することができる。
【0034】
第2の本発明によれば、不正侵入を検知することができる。また、第2の本発明によれば、面倒な操作を必要とせず、警戒の対象となる対象物における状況に応じて、不正侵入に対する所定の処理を実行することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
図1は、本発明に係るセキュリティシステムの一実施の形態を示す図である。図1において、警戒の対象となる対象物の一例である住宅1に本発明に係るセキュリティシステムが設置されている。また、図1において、ユーザ2−1およびユーザ2−2は、住宅1を使用する正当メンバーである。セキュリティシステムは、不正侵入者3の不正侵入の位置を検知し、不正侵入に対する所定の処理を実行する。
【0036】
本発明に係るセキュリティシステムは、制御ローカライザ11、固定ローカライザ12−1乃至固定ローカライザ12−8、並びに移動ローカライザ13−1および移動ローカライザ13−2からなる。
【0037】
以下、固定ローカライザ12−1乃至固定ローカライザ12−8を個々に区別する必要がないとき、単に、固定ローカライザ12と称する。以下、移動ローカライザ13−1および移動ローカライザ13−2を個々に区別する必要がないとき、単に、移動ローカライザ13と称する。
【0038】
なお、本発明のセキュリティシステムにおいて、固定ローカライザ12の個数は、3以上であればよく、移動ローカライザ13の個数は、任意の個数とすることができる。
【0039】
さらに、制御ローカライザ11、固定ローカライザ12、および移動ローカライザ13を個々に区別する必要がないとき、単にローカライザと称する。
【0040】
ここで、ローカライザは、端末装置の一例であり、ネットワークシステムのノードを構成する。すなわち、所定のID符合を無線送信可能で、他のノードとの間の距離を無線で計測できるか、ノード自身の位置が計測できるものであり、しかも他のノードとの間に侵入物(不正侵入者3)があれば、その侵入を検知でき、自己が検知した情報を無線送信できる機能を持ったノードを、ローカライザと称する。
【0041】
すなわち、ローカライザは、ローカライザ自身の位置変化により不正侵入を検知するか、またはローカライザ間(センシングエリア)の人体を検知することにより、不正侵入を検知する。
【0042】
固定ローカライザ12は、警戒の対象となる対象物であって、基本的にその位置が変化しない(移動しない)対象物に固定され、固定ローカライザ12の位置は基本的に変化しない。制御ローカライザ11は、警戒の対象となる対象物であって、位置が変化しない(移動しない)対象物に固定され、制御ローカライザ11の位置は変化しない。さらに、制御ローカライザ11は、さらに外部との通信機能やシステム内の全ローカライザの状態情報を統合したり記憶するという制御機能を担う。
【0043】
制御ローカライザ11および固定ローカライザ12は、住宅1の、窓ガラス、室内の窓枠付近、室内の扉の表面、室内の壁や天井の表面、屋外の住宅の壁、屋外の柱、門柱などの固定物に固定される。また、ローカライザは、盗難にあう可能性の高い屋外の車両7、室内の電機製品、または金庫6などにも固定される。
【0044】
ただし、移動を前提とする車両7には移動ローカライザ13が装着される。移動ローカライザ13であっても、所定時間以上、静止していると固定ローカライザ12として自動的に、固定ローカライザ12からなる無線ネットワークシステムに組み込まれる。
【0045】
例えば、図1で示されるように、制御ローカライザ11は、住宅1の壁の内側に固定される。固定ローカライザ12−1、固定ローカライザ12−2、および固定ローカライザ12−3は、住宅1の壁の内側に固定される。
【0046】
また、固定ローカライザ12−4は、住宅1の扉5の内側に固定される。固定ローカライザ12−5は、住宅1の窓4の内側に固定される。固定ローカライザ12−6は、金庫6に固定される。
【0047】
さらに、固定ローカライザ12−7は、住宅1の外の建造物に固定される。また、固定ローカライザ12−8(または、移動ローカライザ13)は、車両7に固定される。
【0048】
制御ローカライザ11の位置は、位置計測用の座標系(3次元座標系)の原点とされる。
【0049】
そして、制御ローカライザ11を中心に3つの固定ローカライザ12が、X軸、Y軸、Z軸の例えば、プラス方向に配置され、制御ローカライザ11および3つの固定ローカライザ12の位置を基に、固定ローカライザ12または移動ローカライザ13の3次元座標上の位置の計測のための基準座標系(3次元座標系)が設定される。
【0050】
その後、さらに他の固定ローカライザ12が、住宅1の内外の監視対象領域に配置され、配置された固定ローカライザ12の3次元座標上の位置が登録される(記憶される)。
【0051】
家族や同居人など、住宅1の正当メンバーであるユーザ2−1およびユーザ2−2は、ID符合を無線で送信できる移動ローカライザ13を保持する。
【0052】
制御ローカライザ11は、住宅1の外側に住宅1を囲むように外部警戒面22を仮想的に設定し、住宅1の内側に住宅1内の指定した領域を囲むように1個以上の内部警戒面21を仮想的に設定する。
【0053】
すなわち、内部警戒面21は、外部警戒面22の内側にのみ存在可能とされる。
【0054】
移動ローカライザ13の全てが外部警戒面22の外側に出た場合、自動的に留守番警戒処理が実行される。外部警戒面22内から移動ローカライザ13の総てが内部警戒面21の内側に入った場合、自動的に在宅警戒処理が実行される。
【0055】
内部警戒面21と外部警戒面22の間の領域に、移動ローカライザ13が、1個以上存在している場合、自動的に非警戒処理が実行される。
【0056】
図15を参照して後述するように、内部警戒面21を設定しない場合、例えば車両7に適用する場合、移動ローカライザ13の全てが外部警戒面22の外に出たとき、留守番警戒処理が実行され、それ以外の場合には非警戒処理が実行される。この場合、外部警戒面22は、車両7に対して設定される。
【0057】
内部警戒面21および外部警戒面22の設定は、次のようにして行われる。すなわち、住宅1の内外に固定ローカライザ12を設置した後、制御ローカライザ11は、外部警戒面設定モードに設定される。
【0058】
そして、移動ローカライザ13を保持(装着)したユーザ2−1およびユーザ2−2は、住宅1の外側を移動し、外部警戒面22上の点として登録すべき位置に来たら、移動ローカライザ13の位置登録ボタンを押す。外部警戒面22を特定するのに十分な数の位置において、この操作を実行することで、3次元座標における外部警戒面22上の位置が登録される。このように登録された3次元座標における外部警戒面22上の位置から、外部警戒面22を決定するための直方体を定めるパラメータが求められる。
【0059】
次に、1つ以上の内部警戒面21が設定される。まず、制御ローカライザ11の操作によって、制御ローカライザ11は、内部警戒面設定モードに設定される。そして、移動ローカライザ13を保持(装着)したユーザ2−1およびユーザ2−2は、内部警戒面21の設定のために移動しつつ、適切な位置で位置登録ボタンを押して、位置登録ボタンを押したときの3次元座標上の移動ローカライザ13の位置を、1つの内部警戒面21(閉じた内部警戒領域の表面)ごとに、複数記録させる。このようにして登録した3次元座標上の複数の点から、内部警戒面21を決定するための直方体のパラメータが求められる。設定すべき内部警戒面21が全て設定された場合、制御ローカライザ11は実行モードに設定される。
【0060】
これにより、セキュリティシステムは、移動ローカライザ13の位置と、内部警戒面21、および外部警戒面22の位置関係に応じて、留守番警戒処理、在宅警戒処理、非警戒処理の3つを自動的に切替えながら実行する。ローカライザにアクチュエータ(例えば、スピーカまたは白煙発生ユニット)を内蔵させていた場合には、留守番警戒処理において、不正侵入が検知されたとき、不正侵入者3の位置に近いローカライザは、警戒音を発生させたり、白煙を発生させる。不正侵入者3が住宅内を移動すると、侵入者の位置により近いローカライザが、警戒音を発生するか、白煙を発生するので、複数のローカライザは、不正侵入者3を追いかけるように、順に、警戒音を発生するか、白煙を発生する。
【0061】
在宅警戒処理では、内部警戒面21に不正侵入者3が近付きにくくなるように、アクチュエータの動作を制御したり、内部警戒面21内のユーザ2−1およびユーザ2−2が不正侵入者3から遠ざかる方向に避難できるように、アクチュエータを制御する。
【0062】
出願人は、正常時のノード間の距離のそれぞれ(距離のマトリックス)と、監視時のノード間の距離のそれぞれ(距離のマトリックス)とを比較することにより、異常を検知する無線ネットワークシステムをHagoromoシステムと称し、その概念を下記のWebサイトに示している。以下、ノード間の距離を要素とするマトリックスを距離のマトリックスと称する。
【0063】
インターネット<URL:http://www.hagoromoweb.com/>
【0064】
また、Hagoromoシステムに関しては、本出願の発明者の1人が発明者となり特許出願した米国特許第10/200,552号(出願日:2002年7月23日)の明細書においても説明している。
【0065】
本発明では、制御ローカライザ11および固定ローカライザ12からなる無線ネットワークシステムであるセキュリティシステムにおいて、ローカライザ間の距離のマトリックス(ローカライザsとローカライザtの間の距離をDistance(s,t)とするマトリックス)を監視する。
【0066】
次に、ローカライザについて、より詳細に説明する。
【0067】
より好ましくは、ローカライザはバッテリを内蔵する。不正侵入者3が、住宅1に供給される電源(いわゆる、AC(Alternating Current)電源)を遮断して侵入を図っても、ローカライザは、内蔵されているバッテリにより動作すれば、不正侵入に対する所定の処理を実行することが可能になるからである。ローカライザには、バッテリとして、燃料電池またはリチュームイオン電池などの各種のバッテリを設けることができる。
【0068】
また、ローカライザには、充電できるバッテリを設け、AC電源と共に使用するようにしても良い。屋外に設置するローカライザには、さらに太陽電池を設けるようにしてもよい。さらにまた、室内のローカライザは、AC電源を使用しても良い。これにより、バッテリ交換の頻度を減らすことができ、従って、メンテナンスにかかる手間や費用を削減することができる。
【0069】
ローカライザを対象物(より具体的には、住宅1の壁、扉、金庫、またはガラスなど)に簡単に装着するためには、例えばVelcro社やクラレ社の面ファスナーを用いることができる。
【0070】
ローカライザとして、米国特許第5748891号にて開示されている技術を使用しても良い。この技術によれば、ローカライザは、ローカライザ間の距離を計測でき、ローカライザ間の空間に物体が存在することで発生するローカライザ間で伝送する無線信号の波形の変化を検出できる。制御ローカライザ11は、これらのローカライザ間の距離またはローカライザ間の空間に物体が存在するか否かを示す情報を、ローカライザ間の通信機能を用いて収集する。
【0071】
また、特開2002−228744号公報または特開2000−111638号公報に開示されている技術をGPS(Global Positioning System)技術および無線通信技術と共に用いて、ローカライザを実現するようにしても良い。すなわち、この場合、レーダ機能でノード間の物体までの距離を計測すると共に、ノードに保持するGPS受信機の機能で、ノードの位置を計測し、ノード間に検知した物体までの距離の情報と、ノードの位置の情報を無線通信機能で他のノードに伝達する。
【0072】
次に、図2乃至図4を基に、各種のローカライザの構成の説明をする。
【0073】
図2は、制御ローカライザ11の構成例を示すブロック図である。制御ユニット41は、例えば、組込型のマイクロプロセッサ(MPU(Micro Processing Unit))からなり、制御プログラムを実行することにより、制御ローカライザ11の動作の全体を制御し、統括する。メモリ42は、読み書き可能な半導体メモリからなり、例えば、外部警戒面22を特定するパラメータ、制御ローカライザ11および固定ローカライザ12相互の距離を示す距離のマトリックスなどの各種のパラメータを記憶する。制御ユニット41は、メモリ42に各種のデータ(パラメータを含む)を記憶させ、メモリ42に記憶されているデータを読み出す。
【0074】
距離測定ユニット43は、無線送受信ユニット44およびアンテナユニット45に、他のローカライザとの間の距離を測定するためのパルス列を送信させ(放射させ)、他のローカライザから送信されてきたパルス列を受信させる。距離測定ユニット43は、無線送受信ユニット44から供給された、受信したパルス列を基に、相手である他のローカライザがパルス列を発信した時刻と制御ローカライザ11がパルス列を受信した時刻の時間差から、制御ローカライザ11と相手との距離を算出する。距離測定ユニット43は、制御ローカライザ11と相手との距離を示す情報を制御ユニット41に供給する。
【0075】
無線送受信ユニット44は、距離測定ユニット43またはデータ通信ユニット46から供給された信号を、ID符合処理ユニット47から供給された、ネットワークシステム単位で付与された、ネットワークシステムを特定するIDを用いて変調して、変調した信号をアンテナユニット45に供給することにより、信号を送信する。無線送受信ユニット44は、アンテナユニット45を介して、受信した信号を、ID符合処理ユニット47から供給された、ネットワークシステム単位で付与された、ネットワークシステムを特定するIDを用いて復調する。無線送受信ユニット44は、復調した信号を距離測定ユニット43またはデータ通信ユニット46に供給する。
【0076】
このようにすることで、他のネットワークシステムに属するローカライザとの通信、すなわち混信が防止される。
【0077】
アンテナユニット45は、相手からの信号を受信する場合、相手からの電波を受信して、受信した電波に対応する信号を無線送受信ユニット44に供給する。また、アンテナユニット45は、相手に信号を送信する場合、無線送受信ユニット44から供給された信号を基に電波を放射して、無線によって相手に信号を伝送する。
【0078】
データ通信ユニット46は、制御ユニット41の制御の基に、無線送受信ユニット44およびアンテナユニット45を介して、各種のデータを他のローカライザとの間で通信する。
【0079】
ID符合処理ユニット47は、制御ローカライザ11の固有のID(以下、ローカライザIDと称する)と、制御ローカライザ11が属するネットワークシステム(例えば、ホームセキュリティシステムとして設置された場合には、1つの住宅1単位のネットワークシステム)単位で付与され、ネットワークシステムを特定するID(以下、ネットワークIDと称する)とを記憶する。ID符合処理ユニット47は、ローカライザIDおよびネットワークIDを無線送受信ユニット44に供給する。
【0080】
また、制御ユニット41には、警報音声を発生するスピーカ48および不正侵入者3の撃退用の白煙を発生する白煙発生モジュール49が接続されている。さらに、制御ユニット41には、外部の所定の者の通信機器(例えば、住居の所有者の携帯電話または警備会社の電話など)に無線通報するための無線通報ユニット50が接続されている。
【0081】
入力ユニット51は、モード切替えスイッチまたは操作ボタンからなり、ユーザ2−1およびユーザ2−2の操作に応じて、座標系設定、外部警戒面22の設定、内部警戒面21の設定、または実行モードなどのモードの選択を指示する信号を制御ユニット41に供給する。表示ユニット52は、液晶表示装置または有機EL(Electro Luminescence)表示装置などからなり、制御ユニット41の制御の基に、各ローカライザから受信したデータで示される、自己診断の結果、各ローカライザのバッテリの残量、または白煙発生モジュールの白煙の原料の残量などを表示する。
【0082】
電源ユニット53は、1次電池または2次電池などのバッテリまたはAC(Alternating Current)-DC(Direct Current)コンバータなどからなり、制御ローカライザ11の各部に電源を供給する。
【0083】
図3は、固定ローカライザ12の構成例を示すブロック図である。固定ローカライザ12の構成は、制御ローカライザ11の構成とほぼ同様であるが、固定ローカライザ12においては、無線通報ユニットおよび表示ユニットがもうけられていない。
【0084】
制御ユニット71は、例えば、組込型のマイクロプロセッサ(MPU)からなり、制御プログラムを実行することにより、固定ローカライザ12の動作の全体を制御し、統括する。メモリ72は、読み書き可能な半導体メモリからなり、各種の処理に必要な各種のパラメータを記憶する。制御ユニット71は、メモリ72に各種のデータ(パラメータを含む)を記憶させ、メモリ72に記憶されているデータを読み出す。
【0085】
距離測定ユニット73は、無線送受信ユニット74およびアンテナユニット75に、他のローカライザとの間の距離を測定するためのパルス列を送信させ(放射させ)、他のローカライザから送信されてきたパルス列を受信させる。距離測定ユニット73は、無線送受信ユニット74から供給された、受信したパルス列を基に、相手である他のローカライザがパルス列を発信した時刻と固定ローカライザ12がパルス列を受信した時刻の時間差から、固定ローカライザ12と相手との距離を算出する。距離測定ユニット73は、固定ローカライザ12と相手との距離を示す情報を制御ユニット71に供給する。
【0086】
無線送受信ユニット74は、距離測定ユニット73またはデータ通信ユニット76から供給された信号を、ID符合処理ユニット77から供給されたネットワークIDを用いて変調して、変調した信号をアンテナユニット75に供給することにより、信号を送信する。無線送受信ユニット74は、アンテナユニット75を介して、受信した信号を、ID符合処理ユニット77から供給されたネットワークIDを用いて復調する。無線送受信ユニット74は、復調した信号を距離測定ユニット73またはデータ通信ユニット76に供給する。
【0087】
このようにすることで、他のネットワークシステムに属するローカライザとの通信、すなわち混信が防止される。
【0088】
アンテナユニット75は、相手からの信号を受信する場合、相手からの電波を受信して、受信した電波に対応する信号を無線送受信ユニット74に供給する。また、アンテナユニット75は、相手に信号を受信する場合、無線送受信ユニット74から供給された信号を基に電波を放射して、無線によって相手に信号を伝送する。
【0089】
データ通信ユニット76は、制御ユニット71の制御の基に、無線送受信ユニット74およびアンテナユニット75を介して、各種のデータを他のローカライザとの間で通信する。
【0090】
ID符合処理ユニット77は、固定ローカライザ12の固有のローカライザIDと、固定ローカライザ12が属するネットワークシステム単位で付与され、ネットワークシステムを特定するネットワークIDとを記憶する。ID符合処理ユニット77は、ローカライザIDおよびネットワークIDを無線送受信ユニット74に供給する。
【0091】
また、制御ユニット71には、警報音声を発生するスピーカ78および不正侵入者3の撃退用の白煙を発生する白煙発生モジュール79が接続されている。
【0092】
操作ボタン80は、ユーザ2−1およびユーザ2−2の操作に応じて、座標系設定などのモードの選択をするための信号を制御ユニット71に供給する。例えば、操作ボタン80が押圧されると、制御ローカライザ11を原点とした座標系の設定の処理が実行される。座標系の設定の処理の詳細は、後述する。
【0093】
電源ユニット81は、1次電池または2次電池などのバッテリまたはAC-DCコンバータなどからなり、固定ローカライザ12の各部に電源を供給する。
【0094】
図4は、移動ローカライザ13の構成例を示すブロック図である。移動ローカライザ13の構成は、固定ローカライザ12の構成とほぼ同様であるが、移動ローカライザ13においては、白煙発生モジュールが設けられていない。移動ローカライザ13は、ユーザ2−1またはユーザ2−2が腕時計やペンダントのように装着して常に持ち歩くことを前提に構成されている。
【0095】
制御ユニット101は、例えば、組込型のマイクロプロセッサ(MPU)からなり、制御プログラムを実行することにより、移動ローカライザ13の動作の全体を制御し、統括する。メモリ102は、読み書き可能な半導体メモリからなり、各種の処理に必要な各種のパラメータを記憶する。制御ユニット101は、メモリ102に各種のデータ(パラメータを含む)を記憶させ、メモリ102に記憶されているデータを読み出す。
【0096】
距離測定ユニット103は、無線送受信ユニット104およびアンテナユニット105に、他のローカライザとの間の距離を測定するためのパルス列を送信させ(放射させ)、他のローカライザから送信されてきたパルス列を受信させる。距離測定ユニット103は、無線送受信ユニット104から供給された、受信したパルス列を基に、相手である他のローカライザがパルス列を発信した時刻と移動ローカライザ13がパルス列を受信した時刻の時間差から、移動ローカライザ13と相手との距離を算出する。距離測定ユニット103は、移動ローカライザ13と相手との距離を示す情報を制御ユニット101に供給する。
【0097】
無線送受信ユニット104は、距離測定ユニット103またはデータ通信ユニット106から供給された信号を、ID符合処理ユニット107から供給されたネットワークIDを用いて変調して、変調した信号をアンテナユニット105に供給することにより、信号を送信する。無線送受信ユニット104は、アンテナユニット105を介して、受信した信号を、ID符合処理ユニット107から供給されたネットワークIDを用いて復調する。無線送受信ユニット104は、復調した信号を距離測定ユニット103またはデータ通信ユニット106に供給する。
【0098】
このようにすることで、他のネットワークシステムに属するローカライザとの通信、すなわち混信が防止される。
【0099】
アンテナユニット105は、相手からの信号を受信する場合、相手からの電波を受信して、受信した電波に対応する信号を無線送受信ユニット104に供給する。また、アンテナユニット105は、相手に信号を受信する場合、無線送受信ユニット104から供給された信号を基に電波を放射して、無線によって相手に信号を伝送する。
【0100】
データ通信ユニット106は、制御ユニット101の制御の基に、無線送受信ユニット104およびアンテナユニット105を介して、各種のデータを他のローカライザとの間で通信する。
【0101】
ID符合処理ユニット107は、移動ローカライザ13の固有のローカライザIDと、移動ローカライザ13が属するネットワークシステム単位で付与され、ネットワークシステムを特定するネットワークIDとを記憶する。ID符合処理ユニット107は、ローカライザIDおよびネットワークIDを無線送受信ユニット104に供給する。
【0102】
また、制御ユニット101には、警報音声発生用のスピーカ108が接続されている。
【0103】
操作ボタン109は、ユーザ2−1およびユーザ2−2の操作に応じて、モードの選択をするための信号を制御ユニット101に供給する。
【0104】
電源ユニット110は、バッテリなどからなり、移動ローカライザ13の各部に電源を供給する。
【0105】
次に、本発明に係るネットワークシステムとしてのセキュリティシステムにおける、3次元座標系の設定について説明する。
【0106】
操作者であるユーザ2−1またはユーザ2−2が、入力ユニット51を操作することにより、制御ローカライザ11のモードは座標系設定モードに移行する。そして、操作者は、すでに取り付けてある固定ローカライザ12の中で、固定ローカライザ12−1を選択して、この固定ローカライザ12−1の操作ボタン80を押圧する。
【0107】
すると、制御ローカライザ11および固定ローカライザ12−1は、相互間の距離を計測すると共に、制御ローカライザ11は、制御ローカライザ11を原点とし、固定ローカライザ12−1をX軸の正方向とする1次元の座標系を設定する。
【0108】
次に、操作者は、制御ローカライザ11および固定ローカライザ12−1と同一平面上にある固定ローカライザ12−2を選択して、この固定ローカライザ12−2に付いている操作ボタン80を押圧する。すると、制御ローカライザ11および固定ローカライザ12−1が、それぞれ固定ローカライザ12−2までの距離を計測する。固定ローカライザ12−1は、固定ローカライザ12−1から固定ローカライザ12−2までの距離を示す情報を制御ローカライザ11に送信する。
【0109】
ここで、制御ローカライザ11と固定ローカライザ12との間の距離を距離aで表し、制御ローカライザ11と固定ローカライザ12−2の間の距離を距離bで表す。また、固定ローカライザ12−1と固定ローカライザ12−2の間の距離を距離cで表す。
【0110】
図5で示されるように、固定ローカライザ12−2の2次元座標上の位置(x2,y2)に関して、式(1)および式(2)の方程式が成立する。
【0111】
Figure 0004120840
・・・(1)
Figure 0004120840
・・・(2)
【0112】
この座標系において、制御ローカライザ11は原点に存在し、制御ローカライザ11の3次元座標上の位置は(0,0,0)となる。固定ローカライザ12−1の3次元座標上の位置は(a,0,0)となる。また、固定ローカライザ12−2の3次元座標上の位置は(x2,y2,0)となる。
【0113】
次に、図1で示されるように、操作者は、制御ローカライザ11、固定ローカライザ12−1、および固定ローカライザ12−2の3つのローカライザにより形成する平面上ではない位置(平面から外れた位置)の固定ローカライザ12−3を選択して、この固定ローカライザ12−3に付いている操作ボタン80を押圧する。
【0114】
制御ローカライザ11、固定ローカライザ12−1、および固定ローカライザ12−2の位置によって定まる3次元座標が決定した後、この操作によって、制御ローカライザ11と固定ローカライザ12−3との距離、固定ローカライザ12−1と固定ローカライザ12−3との距離、および固定ローカライザ12−2と固定ローカライザ12−3との距離が計測される。固定ローカライザ12−1乃至固定ローカライザ12−3は、制御ローカライザ11と固定ローカライザ12−3との距離、固定ローカライザ12−1と固定ローカライザ12−3との距離、および固定ローカライザ12−2と固定ローカライザ12−3との距離を示す情報を制御ローカライザ11に送信する。
【0115】
制御ローカライザ11は、受信した、制御ローカライザ11と固定ローカライザ12−3との距離、固定ローカライザ12−1と固定ローカライザ12−3との距離、および固定ローカライザ12−2と固定ローカライザ12−3との距離を示す情報を基に、固定ローカライザ12−3の3次元座標上の位置を未知数とする連立方程式を解くことで、固定ローカライザ12−3の3次元座標上の位置(x3,y3,z3)を求める。
【0116】
制御ローカライザ11は、各固定ローカライザ12の3次元座標上の位置を示す情報を、その固定ローカライザ12のローカライザIDに対応させて記憶する。
【0117】
このように、3次元座標上の位置が既知の3個以上の制御ローカライザ11および固定ローカライザ12と着目した固定ローカライザ12または移動ローカライザ13との距離を求めれば、連立方程式を解くことで、着目した固定ローカライザ12または移動ローカライザ13の3次元座標の位置を求めることができる。
【0118】
以上のように、所望の固定ローカライザ12または移動ローカライザ13の3次元座標上の位置を求めることが可能な状態になれば、3次元座標系の設定が完了したと言える。
【0119】
ネットワークシステムの3次元座標系の設定が完了した場合、ネットワークシステム内の各固定ローカライザ12は、すでに3次元座標が登録済みの固定ローカライザ12との距離を計測し、その計測距離を含む、次に示すフォーマットの計測距離伝送情報を制御ローカライザ11に送信する。
【0120】
計測距離伝送情報:
(自ノード番号,相手方ノード番号,自ノードと相手方ノードとの間の距離)
【0121】
ここで、自ノード番号および相手方ノード番号は、ローカライザIDとすることができる。また、自ノード番号および相手方ノード番号は、ネットワークシステムにおいて、登録時に付与される、例えば、登録の順序を示すノード番号とすることができる。
【0122】
制御ローカライザ11は、制御ローカライザ11および固定ローカライザ12からなるネットワークシステムに関する固有の情報となるFingerprintとして、ローカライザ間の距離のマトリックスまたはローカライザの位置座標のリストを記憶する。ローカライザsとローカライザtの間の距離を示すローカライザ間距離マトリックスの要素を、M(s,t)とすると、M(s,t)は、式(3)で表わされる。
【0123】
Figure 0004120840
・・・(3)
ここで、Distance(s,t)は、ローカライザsとローカライザtの間の距離を示す値である。
【0124】
次に、外部警戒面22および内部警戒面21の設定について説明する。
【0125】
まず、外部警戒面22の設定が行われる。
【0126】
3次元座標系の設定が完了すると、操作者であるユーザ2−1またはユーザ2−2は、制御ローカライザ11の入力ユニット51を操作して、制御ローカライザ11のモードを外部警戒面22の設定モードに移行させる。
【0127】
そして、操作者は、1つの移動ローカライザ13を持ち運びながら、次のようにして外部警戒面22を設定する。
【0128】
第1のステップとして、操作者は、移動ローカライザ13を外部警戒面22上と考えられる付近に移動させる。第2のステップとして、移動ローカライザ13の位置登録ボタンとしての操作ボタン109を押圧する。すると、第3のステップとして、固定ローカライザ12は、それぞれ、自分から、そのときの移動ローカライザ13までの距離を計測し、計測した距離を前述したフォーマットの計測距離伝送情報として制御ローカライザ11に送信する。制御ローカライザ11は、それぞれの固定ローカライザ12から送信されてきた、計測距離伝送情報に含まれる、それぞれの固定ローカライザ12と移動ローカライザ13との距離を基に、3次元座標上の移動ローカライザ13の位置を算出して、算出した3次元座標上の移動ローカライザ13の位置を登録点として記憶する。
【0129】
登録点が所定の数、例えば、10点となるまで、第1のステップ乃至第3のステップの処理が繰り返される。ただし、登録点を結ぶ線が想定した外部警戒面22の全ての面上に存在するように、操作者は、3次元座標上の位置を登録する。
【0130】
第4のステップとして、制御ローカライザ11は、登録した登録点を囲む最小直方体を求める。ただし、この最小直方体の床面は、各登録点のz座標の位置(3次元座標上の垂直方向の位置)の平均値よりも1メートル下の面とされ、最小直方体の天井面は、各登録点のz座標の位置(3次元座標上の垂直方向の位置)の平均値よりも1メートル上の面とされる。これは、床面付近や天井面付近に移動ローカライザ13を位置させることは、多くの場合、困難であったり、操作者に無理な姿勢を要求するものであったりするからである。
【0131】
第5のステップとして、制御ローカライザ11は、第4のステップの処理で求めた最小直方体を、最小直方体の中心点のまわりに所定割合(例えば、150%)拡大し、拡大した直方体の面を、外部警戒面22として登録する(記憶する)。これは、住宅1の外部に登録点を設けるために移動ローカライザ13を持って、住宅1の外部を移動することが困難な場合が想定されるため、住宅1の内部だけの移動で、住宅1の外部に外部警戒面22を設定できるようにするものである。
【0132】
次いで、内部警戒面21の設定が行われる。
【0133】
ホームセキュリティシステムのように、ユーザ2−1およびユーザ2−2などの正当メンバーが在宅中であっても外部からの侵入を警戒する場合には、この内部警戒面21が設定される。内部警戒面21と外部警戒面22との間に、正当メンバー移動ローカライザ13の保持者)がいない場合には、外部警戒面22を越えての不正侵入を監視する人がいなくなるので、内部警戒面21の設定によって、セキュリティシステムが自動的に内部警戒面21と外部警戒面22との間の監視処理を実行できるようにする。
【0134】
操作者であるユーザ2−1またはユーザ2−2は、制御ローカライザ11の入力ユニット51を操作して、制御ローカライザ11のモードを内部警戒面21の設定モードに移行させる。そして、操作者は、1つの移動ローカライザ13を持ち運びながら、次のようにして内部警戒面21を設定する。
【0135】
第1のステップとして、操作者は、移動ローカライザ13を内部警戒面21上と考えられる付近に移動させる。第2のステップとして、移動ローカライザ13の位置登録ボタンとしての操作ボタン109を押圧する。すると、第3のステップとして、固定ローカライザ12は、それぞれ、自分から、そのときの移動ローカライザ13までの距離を計測し、計測した距離を前述したフォーマットの計測距離伝送情報として制御ローカライザ11に送信する。制御ローカライザ11は、それぞれの固定ローカライザ12から送信されてきた、計測距離伝送情報に含まれる、それぞれの固定ローカライザ12と移動ローカライザ13との距離を基に、3次元座標上の移動ローカライザ13の位置を算出して、算出した3次元座標上の移動ローカライザ13の位置を登録点として記憶する。
【0136】
登録点が所定の数、例えば、10点となるまで、第1のステップ乃至第3のステップの処理が繰り返される。ただし、登録点を結ぶ線が想定した内部警戒面21の全ての面上に存在するように、操作者は、3次元座標上の位置を登録する。
【0137】
第4のステップとして、制御ローカライザ11は、登録した登録点を囲む最小直方体を求める。ただし、この最小直方体の床面は、各登録点のz座標の位置(3次元座標の垂直方向の位置)の平均値よりも1メートル下の面とされ、最小直方体の天井面は、各登録点のz座標の位置(3次元座標の垂直方向の位置)の平均値よりも1メートル上の面とされる。これは、床面付近や天井面付近に移動ローカライザ13を位置させることは、多くの場合、困難であったり、操作者に無理な姿勢を要求するものであったりするからである。
【0138】
第5のステップとして、制御ローカライザ11は、第4のステップの処理で求めた最小直方体を、内部警戒面21として登録する(記憶する)。
【0139】
車両7のように、内部に正当な人が存在している場合に非警戒処理をするときには、内部警戒面21の設定の処理は省略される。
【0140】
ホームセキュリティシステムに適用する場合の具体例を、図1を参照しつつ説明する。
【0141】
図1で示される例において、制御ローカライザ11は、警戒の対象となる対象物の一例である住宅1の室内の壁に設置される。そして、制御ローカライザ11が設置されている壁に固定ローカライザ12−1および固定ローカライザ12−2が設置される。さらに、制御ローカライザ11が設置されている壁とは異なる壁に、固定ローカライザ12−3が設置される。
【0142】
各ローカライザは、面ファスナーで対象物に固定される。
【0143】
前述した処理で、制御ローカライザ11を原点とした3次元座標系が設定され、全ての固定ローカライザ12の3次元座標上の位置が計測され、制御ローカライザ11は、各ローカライザのローカライザIDに対応させて、各ローカライザの3次元座標上の位置を記憶する。
【0144】
そしてまた、外部警戒面22および内部警戒面21が設定される。この時、この住宅1の正当なメンバー(住人)であるユーザ2−1およびユーザ2−2は、身体にペンダントや腕時計のようにして、移動ローカライザ13を装着する。
【0145】
図1で示されるように、1つの外部警戒面22の内部に1つの内部警戒面21を設定するようにしても、図6で示されるように、1つの外部警戒面22の内部に2つの内部警戒面21、すなわち、内部警戒面21−1および内部警戒面21−2を設定するようにしてもよく、この場合、内部警戒面21を設定する処理は、2回実行される。なお、内部警戒面21の数は、任意の数とすることができる。
【0146】
外部警戒面22が登録され、必要に応じて内部警戒面21が登録されると、登録した外部警戒面22または内部警戒面21を基に、実行モードの処理が実行される。
【0147】
この実行モードの実行の途中であっても、制御ローカライザ11の入力ユニット51のスイッチを操作すると、他のモード(例えば、外部警戒面22の設定モード)に移行させられる。すなわち、後述する図7のステップS7の処理によって、実行モードの処理が終了し、起動したい他のモードの処理の実行が開始する。
【0148】
この実行モードでは、移動ローカライザ13と、外部警戒面22、内部警戒面21との位置関係に応じて、起動される処理が自動的に切り替わる。すなわち、留守番警戒処理、在宅警戒処理、および非警戒処理の3つの処理のうちの1つの処理が適切な時に自動的に起動される。
【0149】
次に、実行モードの処理を図7のフローチャートを参照して説明する。
【0150】
ステップS1において、制御ローカライザ11および固定ローカライザ12は、正当メンバーのID符号(ネットワークID)を発信する、総ての移動ローカライザ13の位置を計測する。
【0151】
すなわち、制御ローカライザ11は、ネットワークシステム内の各固定ローカライザ12に対して、移動ローカライザ13との距離を計測して報告させる指示を送信する。指示を受信した各固定ローカライザ12の距離計測ユニット73は、各移動ローカライザ13との距離を計測する。
【0152】
固定ローカライザ12のそれぞれは、自分と移動ローカライザ13のそれぞれとの距離を示す、上述したフォーマットの計測距離伝送情報を制御ローカライザ11に送信することで、移動ローカライザ13との距離を制御ローカライザ11に通知する。
【0153】
また、制御ローカライザ11の距離計測ユニット43は、移動ローカライザ13との距離を計測する。制御ローカライザ11は、移動ローカライザ13との距離の計測の結果、および各固定ローカライザ12からの通知を基に、各移動ローカライザ13の3次元座標上の位置を算出して記憶する。
【0154】
ステップS2において、制御ローカライザ11の制御ユニット41は、位置の計測に成功した移動ローカライザ13があるか否かを判定する。すなわち、制御ローカライザ11は、移動ローカライザ13が、固定ローカライザ12との間の距離計測が可能な場所に全く存在しなかったり、存在していたとしても、バッテリの電源がなくなっていて距離の計測ができない移動ローカライザ13しか存在しなければ、位置の計測に成功した移動ローカライザ13がないと判定する。また、制御ローカライザ11および固定ローカライザ12は、他のネットワークシステムに属する移動ローカライザ13と通信できず、相互の距離を計測できないので、他のネットワークに属する移動ローカライザ13しか、通信および距離計測可能な位置にいない場合、位置の計測に成功した移動ローカライザ13がないと判定される。
【0155】
移動ローカライザ13は、自分が属するネットワークシステムに固有のID符合であるネットワークIDを用いて変調した信号により、通信し、または相互の距離を計測する。移動ローカライザ13が属するネットワークシステムに属し、位置の計測に成功した移動ローカライザ13(の個数)が1個以上ある場合には、位置の計測に成功した移動ローカライザ13があると判定される。
【0156】
ステップS2において、位置の計測に成功した移動ローカライザ13があると判定された場合、ステップS3に進み、制御ローカライザ11の制御ユニット41は、外部警戒面22の内側に位置する移動ローカライザ13が存在するか否かを判定する。制御ローカライザ11は、外部警戒面22の範囲を示す座標上の位置と、移動ローカライザ13の座標上の位置とを比較することにより、外部警戒面22の内側に位置する移動ローカライザ13が存在するか否かを判定する。
【0157】
ステップS3において、外部警戒面22の内側に位置する移動ローカライザ13が存在すると判定された場合、ステップS4に進み、制御ローカライザ11の制御ユニット41は、内部警戒面21が設定されているか否かを判定する。
【0158】
例えば、住宅1を使用する正当メンバーが夜中に寝室で寝ている場合、寝室領域が内部警戒面21とされる。これにより、寝室のネットワークシステムを適切に制御して、不正侵入者3が内部警戒面21(例えば、寝室)に近付けないようにアクチュエータ(例えば、白煙発生モジュール49)の動作の制御をすることができる。
【0159】
ステップS4において、内部警戒面21が設定されていると判定された場合、処理は、ステップS5に進む。
【0160】
ステップS5において、制御ローカライザ11の制御ユニット41は、位置の計測に成功した移動ローカライザ13の総てが、内部警戒面21の内側に位置するか否かを判定する。例えば、ステップS5において、内部警戒面21が寝室である場合、住宅1を使用する正当メンバーが寝室にいるかどうかが判定される。
【0161】
ステップS5において、位置の計測に成功した移動ローカライザ13の総てが、内部警戒面21の内側に位置しないと判定された場合、ステップS6に進み、制御ローカライザ11は、非警戒処理を実行し、ステップS7に進む。非警戒処理の詳細は後述する。
【0162】
ステップS5において、位置の計測に成功した移動ローカライザ13の総てが、内部警戒面21の内側に位置しないと判定された場合、ステップS3において、外部警戒面22の内側に位置する移動ローカライザ13が存在すると判定され、ステップS4において、内部警戒面21が設定されていると判定されているので、例えば、図8で示されるように、移動ローカライザ13−1乃至移動ローカライザ13−3のうちのいずれかが、内部警戒面21の外側であって、外部警戒面22の内側に位置している。このような場合、警戒処理を行なう必要はないので、非警戒処理が実行される。
【0163】
ステップS7において、制御ローカライザ11の制御ユニット41は、モード切替が指示されたか否かを判定する。例えば、ステップS7において、制御ローカライザ11は、内部警戒面21の設定、または外部警戒面22の設定など、他のモードへの移行の操作が入力ユニット51に加えられたか否かをチェックする。
【0164】
ステップS7において、モード切替が指示されていないと判定された場合、ステップS1に戻り、上述した処理を繰り返す。
【0165】
ステップS7において、モード切替が指示されていると判定された場合、実行モードの処理は終了する。
【0166】
ステップS5において、位置の計測に成功した移動ローカライザ13の総てが、内部警戒面21の内側に位置すると判定された場合、ステップS8に進み、制御ローカライザ11は、在宅警戒処理を実行し、ステップS7に進む。在宅警戒処理の詳細は後述する。
【0167】
ステップS5において、位置の計測に成功した移動ローカライザ13の総てが、内部警戒面21の内側に位置すると判定された場合、ステップS3において、外部警戒面22の内側に位置する移動ローカライザ13が存在すると判定され、ステップS4において、内部警戒面21が設定されていると判定されているので、例えば、図9で示されるように、移動ローカライザ13−1および移動ローカライザ13−2のいずれもが、内部警戒面21の内側に位置している。このような場合、内部警戒面21の内側の正当メンバーを保護する必要があるので、在宅警戒処理が実行される。
【0168】
ステップS4において、内部警戒面21が設定されていないと判定された場合、処理は、ステップS9に進み、制御ローカライザ11は、非警戒処理を実行し、ステップS7に進む。
【0169】
ステップS3において、外部警戒面22の内側に位置する移動ローカライザ13が存在しないと判定された場合、または、ステップS2において、位置の計測に成功した移動ローカライザ13がないと判定された場合、すなわち、位置の計測に成功した総ての移動ローカライザ13の位置が外部警戒面22の外である場合、ステップS10に進み、制御ローカライザ11は、留守番警戒処理を実行し、ステップS7に進む。
【0170】
これは、例えば、図10で示されるように、移動ローカライザ13を装着した正当メンバーが、この住宅1を離れた直後に、セキュリティシステムが自動的に留守番警戒処理を実行することを意味する。
【0171】
従来のホームセキュリティシステムでは、住宅を留守にするときに留守番警戒モードにするためのボタン操作をしなければならず、これを忘れて、せっかくのホームセキュリティシステムが肝腎な時に動作しないことが多かった。本発明に係るホームセキュリティシステムは、面倒な操作を必要とせず、確実に対象を保護する処理を確実に実行する。
【0172】
次に、非警戒処理の詳細について説明する。
【0173】
図11は、図7のステップS6またはステップS9の処理に対応する、非警戒処理の詳細を説明するフローチャートである。
【0174】
ステップS21において、制御ローカライザ11および各固定ローカライザ12は、制御ローカライザ11と固定ローカライザ12との距離、および固定ローカライザ12の相互の距離を計測する。
【0175】
例えば、制御ローカライザ11の距離測定ユニット43は、制御ユニット41の制御の基に、制御ローカライザ11と各固定ローカライザ12との距離を計測し、計測結果を制御ユニット41に供給する。各固定ローカライザ12の距離計測ユニット73は、制御ユニット71の制御の基に、自分と他の固定ローカライザ12との距離を計測する。各固定ローカライザ12の制御ユニット71は、無線送受信ユニット74に、計測によって得られた、自分と他の固定ローカライザ12との距離を示す計測距離伝送情報を制御ローカライザ11に送信させる。
【0176】
制御ローカライザ11の制御ユニット41は、無線送受信ユニット44に、各固定ローカライザ12から送信されてきた、固定ローカライザ12の相互の距離を示す計測距離伝送情報を受信させる。制御ローカライザ11の制御ユニット41は、データ通信ユニット46を介して、無線送受信ユニット44で受信された、固定ローカライザ12の相互の距離を示す計測距離伝送情報を取得する。
【0177】
ステップS22において、制御ローカライザ11は、制御ローカライザ11と固定ローカライザ12との距離、および固定ローカライザ12の相互の距離を示すローカライザ間距離マトリックスを生成する。例えば、制御ローカライザ11の制御ユニット41は、ステップS21の処理で取得した、制御ローカライザ11と各固定ローカライザ12との距離、および固定ローカライザ12の相互の距離を示す計測距離伝送情報を基に、ローカライザIDの値の順序で、制御ローカライザ11と各固定ローカライザ12との距離を示す値、および固定ローカライザ12の相互の距離を示す値を配列することにより、制御ローカライザ11と各固定ローカライザ12との距離、および固定ローカライザ12の相互の距離を要素とするローカライザ間距離マトリックスを生成する。
【0178】
ステップS23において、制御ローカライザ11は、ローカライザ間距離マトリックスを記憶する。例えば、ステップS23において、制御ローカライザ11の制御ユニット41は、メモリ42に、ローカライザ間距離マトリックスを記憶させる。
【0179】
ステップS24において、制御ローカライザ11および各固定ローカライザ12は、自己診断する。例えば、ステップS24において、制御ローカライザ11および各固定ローカライザ12は、自己を構成する各ユニットについて、それぞれ診断する。
【0180】
より詳細には、例えば、ステップS24において、制御ローカライザ11および各固定ローカライザ12は、電源ユニット53または電源ユニット81のバッテリの残量、または白煙発生モジュール49若しくは白煙発生モジュール79の白煙の原料などの残量などを調べることで自己診断する。より詳細には、制御ローカライザ11および各固定ローカライザ12は、電源ユニット53または電源ユニット81のバッテリの残量を所定の閾値と比較し、または白煙発生モジュール49若しくは白煙発生モジュール79の白煙の原料などの残量を他の所定の閾値と比較することにより、自己診断する。固定ローカライザ12は、自己診断の結果を制御ローカライザ11に通知する。
【0181】
ステップS25において、制御ローカライザ11の制御ユニット41は、制御ローカライザ11の自己診断の結果、および各固定ローカライザ12から通知された各固定ローカライザ12の自己診断の結果を基に、不具合があるか否かを判定する。
【0182】
ステップS25において、不具合があると判定された場合、ステップS26に進み、制御ローカライザ11の制御ユニット41は、スピーカ48または表示ユニット52を動作させ、ユーザ2−1およびユーザ2−2に不具合を通知させ、非警戒処理は終了する。例えば、ステップS26において、制御ユニット41は、スピーカ48に、不具合の内容を通知する音声を出力させる。または、例えば、ステップS26において、制御ユニット41は、表示ユニット52に、不具合の内容を通知する画像または文字を表示させる。
【0183】
ステップS25において、不具合がないと判定された場合、不具合を通知する必要はないので、ステップS26の処理はスキップされ、非警戒処理は終了する。
【0184】
なお、ステップS21乃至ステップS26の処理を繰り返すようにしてもよい。
【0185】
次に、在宅警戒処理の詳細について説明する。
【0186】
図12は、図7のステップS8の処理に対応する、在宅警戒処理の詳細を説明するフローチャートである。
【0187】
ステップS41において、制御ローカライザ11および各固定ローカライザ12は、制御ローカライザ11と固定ローカライザ12との距離、および固定ローカライザ12の相互の距離を計測する。
【0188】
例えば、制御ローカライザ11の距離測定ユニット43は、制御ユニット41の制御の基に、制御ローカライザ11と各固定ローカライザ12との距離を計測し、計測結果を制御ユニット41に供給する。各固定ローカライザ12の距離計測ユニット73は、制御ユニット71の制御の基に、自分と他の固定ローカライザ12との距離を計測する。各固定ローカライザ12の制御ユニット71は、無線送受信ユニット74に、計測によって得られた、自分と他の固定ローカライザ12との距離を示す計測距離伝送情報を制御ローカライザ11に送信させる。
【0189】
制御ローカライザ11の制御ユニット41は、無線送受信ユニット44に、各固定ローカライザ12から送信されてきた、固定ローカライザ12の相互の距離を示す計測距離伝送情報を受信させる。制御ローカライザ11の制御ユニット41は、データ通信ユニット46を介して、無線送受信ユニット44で受信された、固定ローカライザ12の相互の距離を示す計測距離伝送情報を取得する。
【0190】
ステップS42において、制御ローカライザ11は、制御ローカライザ11と固定ローカライザ12との距離、および固定ローカライザ12の相互の距離を示すローカライザ間距離マトリックスを生成する。例えば、制御ローカライザ11の制御ユニット41は、ステップS41の処理で取得した、制御ローカライザ11と各固定ローカライザ12との距離、および固定ローカライザ12の相互の距離を示す計測距離伝送情報を基に、ローカライザIDの値の順序で、制御ローカライザ11と各固定ローカライザ12との距離を示す値、および固定ローカライザ12の相互の距離を示す値を配列することにより、制御ローカライザ11と各固定ローカライザ12との距離、および固定ローカライザ12の相互の距離を要素とするローカライザ間距離マトリックスを生成する。
【0191】
ステップS43において、制御ローカライザ11の制御ユニット41は、外部警戒面22の内側であって、内部警戒面21の外の制御ローカライザ11および固定ローカライザ12について、生成したローカライザ間距離マトリックスと、記憶しているローカライザ間距離マトリックスに差異があるか否かを判定する。
【0192】
非警戒処理において、記憶されているローカライザ間距離マトリックスは、その時点(非警戒処理が実行された時点)でのローカライザ間の距離を示す値に更新されている。従って、ステップS43において、最後に更新されたローカライザ間距離マトリックスと、現在のローカライザ間距離マトリックスとの差異が検知されることになる。この差異は、記憶されているローカライザ間距離マトリックスと現時点のローカライザ間距離マトリックスとの中で、距離計測できたものの範囲で、対応する要素ごとの差の絶対値の総和として算出される。
【0193】
ただし、内部警戒面21内の住宅1のユーザ2−1およびユーザ2−2などの正当メンバーの動きによって、異常を検知しないようにするため(誤検知しないようにするため)、内部警戒面21内のローカライザ自身が移動したことで発生する差は、この総和の算出には用いない。
【0194】
制御ユニット41は、この総和が、予め定めたしきい値を越えていれば、差異がある、すなわち、異常ありと判定する。固定ローカライザ12を図1で示されるように、窓4、扉5、または金庫6に装着しておけば、窓4が動いたり(開かれたり)、扉5が動けば(開かれれば)、窓4や扉5に装着しているローカライザと他のローカライザとの距離が変化する。金庫6が動いても同様である。その結果、ローカライザ間距離マトリックスが変化する。
【0195】
ステップS43において、外部警戒面22の内側であって、内部警戒面21の外の制御ローカライザ11および固定ローカライザ12について、生成したローカライザ間距離マトリックスと、記憶しているローカライザ間距離マトリックスに差異がないと判定された場合、ステップS44に進み、制御ローカライザ11および固定ローカライザ12は、内部警戒面21の外の通信の無線信号の波形を分析する。
【0196】
ローカライザ間に人間が存在していた場合には、ローカライザ間でやりとりをする無線信号の波形が人体の影響を受けて変化するので、制御ローカライザ11および固定ローカライザ12は、波形分析によって、制御ローカライザ11と固定ローカライザ12との間、または固定ローカライザ12の相互の間の人体の存在を検知する。人体の存在を検知した固定ローカライザ12は、次に示すフォーマットの人体検知情報を制御ローカライザ11に送信することにより、人体の検知を制御ローカライザ11に通報する。
【0197】
人体検知情報:
(自ノード番号,相手方ノード番号,人体検知を示すパラメータ)
【0198】
ここで、自ノード番号および相手方ノード番号は、ローカライザIDとすることができる。また、自ノード番号および相手方ノード番号は、ネットワークシステムにおいて、登録時に付与される、例えば、登録の順序を示すノード番号とすることができる。
【0199】
人体検知情報は、自ノード番号で示されるローカライザと、相手方ノード番号で示されるローカライザの間に人体を検知したことを示す。そのときの検知パラメータとしては、人体の有無を示すフラグでも良いし、人体の太さを示すパラメータでも良い。
【0200】
このように、各固定ローカライザ12は、無線信号の波形の分析の結果を示す人体検知情報を制御ローカライザ11に送信する。
【0201】
ステップS45において、制御ローカライザ11の制御ユニット41は、各固定ローカライザ12から送信されてきた人体検知情報、または制御ローカライザ11自身の人体の検知の結果を基に、外部警戒面22の内側であって、内部警戒面21の外の制御ローカライザ11と固定ローカライザ12との間または固定ローカライザ12の相互の間に人間がいるか否かを判定する。
【0202】
ステップS45において、外部警戒面22の内側であって、内部警戒面21の外の制御ローカライザ11と固定ローカライザ12との間または固定ローカライザ12の相互の間に人間がいないと判定された場合、ステップS46に進み、制御ローカライザ11の制御ユニット41は、他の警戒処理が実行されたか否かを判定する。
【0203】
ステップS46において、他の警戒処理が実行されていないと判定された場合、ステップS41に戻り、上述した処理が繰り返される。
【0204】
ステップS46において、他の警戒処理が実行されたと判定された場合、在宅警戒処理は終了する。
【0205】
ステップS43において、外部警戒面22の内側であって、内部警戒面21の外の制御ローカライザ11および固定ローカライザ12について、生成したローカライザ間距離マトリックスと、記憶しているローカライザ間距離マトリックスに差異があると判定された場合、またはステップS45において、外部警戒面22の内側であって、内部警戒面21の外の制御ローカライザ11と固定ローカライザ12との間または固定ローカライザ12の相互の間に人間がいると判定された場合、不正に侵入されたので、手続きは、ステップS47に進む。
【0206】
ステップS47において、制御ユニット41は、無線通信ユニット50に、無線で所定の通報先に異常発生を通報させる。例えば、無線通信ユニット50は、例えば、住居の所有者の携帯電話または警備会社の電話など、外部の所定の者の通信機器に異常発生を無線で通報する。
【0207】
さらに、ステップS48乃至ステップS50の処理によって、内部警戒面21内の住宅1のユーザ2−1およびユーザ2−2などの正当メンバーに不正侵入者3の存在が知らされると共に、内部警戒面21に不正侵入者3が近付きにくくする。さらには、可能であれば、不正侵入者3の位置から遠い方向に住宅1のユーザ2−1およびユーザ2−2などの正当メンバーが避難誘導される。
【0208】
すなわち、ステップS48において、制御ローカライザ11の制御ユニット41は、白煙発生モジュール49または固定ローカライザ12の白煙発生モジュール79に、白煙を噴出させる。
【0209】
白煙発生モジュール49または白煙発生モジュール79は、プロピレングリコールと水を混合したものを、約200度C程度に加熱することで、人体や各種機器に無害な白煙を発生させる。このように、予め白煙発生モジュール49または白煙発生モジュール79を内蔵させておいたローカライザを用意しておけば、不正侵入者3を検知したときに白煙を発生することができる。
【0210】
例えば、制御ローカライザ11の制御ユニット41は、生成したローカライザ間距離マトリックスと、記憶しているローカライザ間距離マトリックスとの差違が生じている要素、または人間がいると判定された制御ローカライザ11と固定ローカライザ12との間若しくは固定ローカライザ12の相互の間から、3次元座標上の不正侵入者3の位置(範囲)を特定する。そして、制御ローカライザ11の制御ユニット41は、3次元座標において、不正侵入者3の位置に近い位置の自分自身である制御ローカライザ11または固定ローカライザ12を選択する。
【0211】
制御ローカライザ11の制御ユニット41は、自分自身である制御ローカライザ11を選択した場合、白煙発生モジュール49に白煙を噴出させる。
【0212】
制御ローカライザ11の制御ユニット41は、固定ローカライザ12を選択した場合、データ通信ユニットに、選択した固定ローカライザ12宛てに、白煙を噴出させるコマンドを無線送受信ユニット44を介して送信させる。白煙を噴出させるコマンドには、例えば、選択した固定ローカライザ12固有のローカライザIDが含まれている。
【0213】
無線を介して白煙を噴出させるコマンドが送信されてくると、固定ローカライザ12の制御ユニット71は、無線送受信ユニット74にコマンドを受信させ、データ通信ユニット76に、コマンドに含まれているローカライザIDを抽出させる。固定ローカライザ12の制御ユニット71は、抽出されたローカライザIDが、自己のローカライザIDと同じであるか否かを判定する。固定ローカライザ12の制御ユニット71は、抽出されたローカライザIDが、自己のローカライザIDと同じであると判定された場合、自分に対して、白煙を噴出させるコマンドが送信されてきたので、白煙発生モジュール79に白煙を噴出させる。
【0214】
固定ローカライザ12の制御ユニット71は、抽出されたローカライザIDが、自己のローカライザIDと同じでないと判定された場合、白煙を噴出させない。
【0215】
ステップS49において、制御ローカライザ11の制御ユニット41は、スピーカ48または固定ローカライザ12のスピーカ78に、警告音を発生させる。
【0216】
例えば、制御ローカライザ11の制御ユニット41は、生成したローカライザ間距離マトリックスと、記憶しているローカライザ間距離マトリックスとの差違が生じている要素、または人間がいると判定された制御ローカライザ11と固定ローカライザ12との間若しくは固定ローカライザ12の相互の間から、3次元座標上の不正侵入者3の位置(範囲)を特定する。そして、制御ローカライザ11の制御ユニット41は、3次元座標において、不正侵入者3の位置に近い位置の自分自身である制御ローカライザ11または固定ローカライザ12を選択する。
【0217】
制御ローカライザ11の制御ユニット41は、自分自身である制御ローカライザ11を選択した場合、スピーカ48に警告音を発生させる。
【0218】
制御ローカライザ11の制御ユニット41は、固定ローカライザ12を選択した場合、データ通信ユニットに、選択した固定ローカライザ12宛てに、警告音を発生させるコマンドを無線送受信ユニット44を介して送信させる。警告音を発生させるコマンドには、例えば、選択した固定ローカライザ12固有のローカライザIDが含まれている。
【0219】
無線を介して警告音を発生させるコマンドが送信されてくると、固定ローカライザ12の制御ユニット71は、無線送受信ユニット74にコマンドを受信させ、データ通信ユニット76に、コマンドに含まれているローカライザIDを抽出させる。固定ローカライザ12の制御ユニット71は、抽出されたローカライザIDが、自己のローカライザIDと同じであるか否かを判定する。固定ローカライザ12の制御ユニット71は、抽出されたローカライザIDが、自己のローカライザIDと同じであると判定された場合、自分に対して、警告音を発生させるコマンドが送信されてきたので、スピーカ78に警告音を発生させる。
【0220】
固定ローカライザ12の制御ユニット71は、抽出されたローカライザIDが、自己のローカライザIDと同じでないと判定された場合、警告音を発生させない。
【0221】
このように、ステップS48およびステップS49において、不正侵入者の検知された場所の固定ローカライザ12(座標上の位置が変化した固定ローカライザ12または他のローカライザとの間に人体を検知した固定ローカライザ12)から警戒音声が発生させられると共に、白煙が発生させられる。
【0222】
上述したように、人体を検知したローカライザや、3次元座標の位置が変化したローカライザおよび、その周囲のローカライザのみから警告音声を発すると共に白煙を発生させるように制御ローカライザ11が無線通信で各固定ローカライザ12にコマンド(指令)を送ることもできる。すると、不正侵入者3が侵入した付近、住宅1内で移動する先々で警告音や白煙が発生することになる。これは、言わば、白煙発生という作用を及ぼすアクチュエータや、警告音声発生という作用を及ぼすアクチュエータが空間的に分散配置され、無線通信ネットワークを形成しており、異常発生の場所に応じて、その場所での異常への対応に適したアクチュエータが作動するというアクチュエータネットワークシステムとしての対処となる。
【0223】
以上のように、内部警戒面21の外側であって、不正侵入者3が存在する位置から所定の距離以内の固定ローカライザ12は、警戒音を発生すると共に白煙を発生する。
【0224】
移動ローカライザ13と不正侵入者との距離が所定距離以内になった場合、不正侵入者の最も近くの固定ローカライザ12は、他の撃退機能を内蔵し、撃退機能を発動するようにしてもよい。他の撃退機能として、催涙スプレーを発射するか、警告音の音量を増大させるなどの機能がある。これによって、住宅1の正当メンバーに近付いた不正侵入者3から、住宅1の正当メンバーを防衛することができる。
【0225】
ステップS50において、制御ローカライザ11の制御ユニット41は、スピーカ48または固定ローカライザ12のスピーカ78に、避難誘導の音声を発生させる。
【0226】
内部警戒面21の内部にいる住宅1の正当メンバーに警戒音声で、不正侵入者3の存在が知らされる。
【0227】
例えば、制御ローカライザ11は、移動ローカライザ13までの距離を測定する。また、制御ローカライザ11は、各固定ローカライザ12に、各固定ローカライザ12から移動ローカライザ13までの距離を測定させるコマンドを送信する。各固定ローカライザ12は、移動ローカライザ13までの距離を測定し、測定結果を制御ローカライザ11に送信する。
【0228】
制御ローカライザ11は、自分が測定した移動ローカライザ13までの距離、および各固定ローカライザ12から送信されてきた各固定ローカライザ12から移動ローカライザ13までの距離を示す情報を基に、3次元座標上の移動ローカライザ13の位置を算出する。
【0229】
そして、制御ローカライザ11の制御ユニット41は、3次元座標において、移動ローカライザ13の位置に近い位置の自分自身である制御ローカライザ11または固定ローカライザ12を選択する。
【0230】
制御ローカライザ11の制御ユニット41は、自分自身である制御ローカライザ11を選択した場合、スピーカ48に避難誘導の音声を発生させる。
【0231】
制御ローカライザ11の制御ユニット41は、固定ローカライザ12を選択した場合、データ通信ユニットに、選択した固定ローカライザ12宛てに、避難誘導の音声を発生させるコマンドを無線送受信ユニット44を介して送信させる。警告音を発生させるコマンドには、例えば、選択した固定ローカライザ12固有のローカライザIDが含まれている。
【0232】
無線を介して避難誘導の音声を発生させるコマンドが送信されてくると、固定ローカライザ12の制御ユニット71は、無線送受信ユニット74にコマンドを受信させ、データ通信ユニット76に、コマンドに含まれているローカライザIDを抽出させる。固定ローカライザ12の制御ユニット71は、抽出されたローカライザIDが、自己のローカライザIDと同じであるか否かを判定する。固定ローカライザ12の制御ユニット71は、抽出されたローカライザIDが、自己のローカライザIDと同じであると判定された場合、自分に対して、避難誘導の音声を発生させるコマンドが送信されてきたので、スピーカ78に避難誘導の音声を発生させる。
【0233】
例えば、移動ローカライザ13から所定の距離以内であって、不正侵入者3から最も遠い固定ローカライザ12が警戒音声とは異なる音(避難誘導音)を発生する。住宅1の正当メンバーは、この避難誘導音に近付く方向に移動することで、自動的に不正侵入者3から遠ざかることができる。
【0234】
ステップS50の処理の後、手続きは、ステップS41に戻る。これにより、不正侵入者3の3次元座標上の位置が繰り返し検出され、不正侵入者3が外部警戒面22内に存在する場合、不正侵入者3の3次元座標上の位置を基に、ステップS47乃至ステップS50の処理が繰り返されることになる。
【0235】
次に、留守番警戒処理の詳細について説明する。
【0236】
図12は、図7のステップS10の処理に対応する、留守番警戒処理の詳細を説明するフローチャートである。
【0237】
ステップS71およびステップS72の処理は、それぞれ、図12のステップS41およびステップS42の処理と同様なので、その説明は省略する。
【0238】
ステップS73において、制御ローカライザ11の制御ユニット41は、外部警戒面22の内側の制御ローカライザ11および固定ローカライザ12について、生成したローカライザ間距離マトリックスと、記憶しているローカライザ間距離マトリックスに差異があるか否かを判定する。
【0239】
非警戒処理において、記憶されているローカライザ間距離マトリックスは、その時点(非警戒処理が実行された時点)でのローカライザ間の距離を示す値に更新されている。従って、ステップS73において、最後に更新されたローカライザ間距離マトリックスと、現在のローカライザ間距離マトリックスとの差異が検知されることになる。この差異は、記憶されているローカライザ間距離マトリックスと現時点のローカライザ間距離マトリックスとの中で、距離計測できたものの範囲で、対応する要素ごとの差の絶対値の総和として算出される。
【0240】
制御ユニット41は、この総和が、予め定めたしきい値を越えていれば、差異がある、すなわち、異常ありと判定する。固定ローカライザ12を図1に示すように、窓4、扉5、または金庫6に装着しておけば、窓4が動いたり(開かれたり)、扉5が動けば(開かれれば)、窓4や扉5に装着しているローカライザと他のローカライザとの距離が変化する。金庫6が動いても同様である。その結果、ローカライザ間距離マトリックスが変化する。
【0241】
ステップS73において、外部警戒面22の内側の制御ローカライザ11および固定ローカライザ12について、生成したローカライザ間距離マトリックスと、記憶しているローカライザ間距離マトリックスに差異がないと判定された場合、ステップS74に進み、制御ローカライザ11および固定ローカライザ12は、ステップS44の処理と同様の処理で、外部警戒面22の内側の通信の無線信号の波形を分析する。
【0242】
ステップS75において、制御ローカライザ11の制御ユニット41は、各固定ローカライザ12から送信されてきた人体検知情報、または制御ローカライザ11自身の人体の検知の結果を基に、外部警戒面22の内側の制御ローカライザ11と固定ローカライザ12との間または固定ローカライザ12の相互の間に人間がいるか否かを判定する。
【0243】
ステップS75において、外部警戒面22の内側の制御ローカライザ11と固定ローカライザ12との間または固定ローカライザ12の相互の間に人間がいないと判定された場合、ステップS76に進み、制御ローカライザ11の制御ユニット41は、他の警戒処理が実行されたか否かを判定する。
【0244】
ステップS76において、他の警戒処理が実行されていないと判定された場合、ステップS71に戻り、上述した処理が繰り返される。
【0245】
ステップS76において、他の警戒処理が実行されたと判定された場合、在宅警戒処理は終了する。
【0246】
ステップS73において、外部警戒面22の内側の制御ローカライザ11および固定ローカライザ12について、生成したローカライザ間距離マトリックスと、記憶しているローカライザ間距離マトリックスに差異があると判定された場合、またはステップS75において、外部警戒面22の内側の制御ローカライザ11と固定ローカライザ12との間または固定ローカライザ12の相互の間に人間がいると判定された場合、不正に侵入されたので、手続きは、ステップS77に進む。
【0247】
ステップS77乃至ステップS79の処理は、それぞれ、図12のステップS47乃至ステップS49の処理と同様なので、その説明は省略する。
【0248】
ステップS80の処理の後、手続きは、ステップS71に戻る。これにより、不正侵入者3の3次元座標上の位置が繰り返し検出され、不正侵入者3が外部警戒面22内に存在する場合、不正侵入者3の3次元座標上の位置を基に、ステップS77乃至ステップS79の処理が繰り返されることになる。
【0249】
図14は、白煙の噴出を説明する図である。
【0250】
図14で示される例において、セキュリティシステムは、制御ローカライザ11、固定ローカライザ12−1乃至固定ローカライザ12−18、および移動ローカライザ13から構成されている。制御ローカライザ11、固定ローカライザ12−1乃至固定ローカライザ12−18、および移動ローカライザ13は、住宅1の部屋201−1乃至部屋201−3の各所、および住宅1の外に配置されている。
【0251】
例えば、固定ローカライザ12−4は、窓4−1に取り付けられている。固定ローカライザ12−8は、窓4−2に取り付けられている。固定ローカライザ12−16は、窓4−3に取り付けられている。
【0252】
固定ローカライザ12−6は、扉5−1に取り付けられている。固定ローカライザ12−1および固定ローカライザ12−7は、扉5−2に取り付けられている。固定ローカライザ12−11は、扉5−3に取り付けられている。固定ローカライザ12−12および固定ローカライザ12−13は、扉5−4に取り付けられている。
【0253】
図14で示されるように住宅1の窓4−1が開けられて、不正侵入者3が住宅1の部屋201−1に不正に侵入した場合、窓4−1に取り付けられている固定ローカライザ12−4並びにその近傍の固定ローカライザ12−3および固定ローカライザ12−7から白煙が噴出される。
【0254】
すなわち、部屋201−1の窓4−1から不正侵入者3が侵入した場合、窓4−1を開けられることで3次元座標上の位置が移動した固定ローカライザ12−4の付近に不正侵入者3が存在するとして、窓に取り付けられた固定ローカライザ12−4は、警告音を発生すると共に、白煙をもうもうと放出する。部屋201−1の窓4−1に取り付けられた固定ローカライザ12−4の近くの固定ローカライザ12−3および固定ローカライザ12−7からも白煙が放出される。
【0255】
在宅警戒処理においては、内部警戒面21の内部に位置する移動ローカライザ13を装着した正当メンバーに対して、移動ローカライザ13の近くであって、不正侵入者3の位置から離れる方向に位置する固定ローカライザ12−15および固定ローカライザ12−16は、音声を出力することで、不正侵入者3の位置から離れる方向に避難誘導する。
【0256】
次に、図15を参照して、本発明をカーセキュリティシステムに適用した場合について説明する。
【0257】
制御ローカライザ11は、車両7の車室内のドア301−1乃至ドア301−4以外の任意の場所に設置される。ドア301−1乃至ドア301−4のそれぞれの内側には、1個以上の固定ローカライザ12が設置される。
【0258】
例えば、ドア301−1の内側には、固定ローカライザ12−1が設置され、ドア301−2の内側には、固定ローカライザ12−2が設置され、ドア301−3の内側には、固定ローカライザ12−3が設置され、ドア301−4の内側には、固定ローカライザ12−4が設置される。
【0259】
この車両7を利用する正当なメンバーは、移動ローカライザ13を所持する。
【0260】
3次元座標系の設定、総ての固定ローカライザ12の3次元座標上の位置の設定、および外部警戒面22の設定は、上述した処理と同様に行われる。
【0261】
その後、カーセキュリティシステムは、実行モードの処理を実行する。実行モードの処理は、図7を参照して説明した処理と同様である。内部警戒面21が設定されていないので、在宅警戒処理は起動(実行)されない。従って、カーセキュリティシステムにおいては、留守番警戒処理および非警戒処理の2つだけが実行される。留守番警戒処理および非警戒処理は、それぞれ、図13を参照して説明した処理および図11を参照して説明した処理と同様である。
【0262】
留守番警戒処理では、固定ローカライザ12がアクチュエータとして警報音声発生用のスピーカ78を内蔵しており、しかも白煙発生モジュール79も内蔵しておれば、ドア301−1乃至ドア301−4のいずれかが開けられると、固定ローカライザ12は、警報音声を発するとともに、白煙をもうもうと車室内に発生させる。
【0263】
これにより、車両7の車室内に不正に侵入しようとしても、不正侵入者3は、車室内で視界が利かず、不正行為が抑止される。
【0264】
以上のように、この発明によって、自動的に警戒処理、非警戒処理の切替えができるので、切り替え忘れが防止でき、セキュリティシステムの誤動作が防止できる。
【0265】
また、不正侵入者の位置に応じてアクチュエータが動作して、不正侵入者を撃退できる。
【0266】
さらに、不正侵入者が領域内にいる正当メンバーに近付くことを防止したり、不正侵入者を避けながら、領域内の正当メンバーを非難誘導したりすることもできる。また、自動的に警戒処理、非警戒処理の切替えをするために設定する必要のある警戒面を移動ローカライザ13を用いて簡単に設定登録することができる。
【0267】
以上のように、対象物を使用する正当メンバーの位置を検知し、対象物への不正侵入の位置を検知し、対象物内の複数箇所に配置されて、不正侵入に対する処理を実行し、検知された正当メンバーの位置と、検知された不正侵入の位置との関係に応じて、処理を実行する実行手段を選択して、選択した実行手段の処理の実行を制御するようにした場合には、面倒な操作を必要とせず、警戒の対象となる対象物における状況に応じて、不正侵入に対する所定の処理を実行することができる。
【0268】
対象物を使用する正当メンバーの位置を検知し、対象物への不正侵入の位置を検知し、外部警戒面の位置を記憶し、内部警戒面の位置を記憶し、検知された正当メンバーの位置を基に、外部警戒面の内側に正当メンバーがいない場合、第1の警戒処理を実行し、内部警戒面の内側に正当メンバーがいる場合、第2の警戒処理を実行するように、第1の警戒処理または第2の警戒処理の実行を制御し、第1の警戒処理または第2の警戒処理を実行する場合、対象物への不正侵入の位置が検知されたとき、不正侵入に対する処理を実行するようにした場合には、面倒な操作を必要とせず、警戒の対象となる対象物における状況に応じて、不正侵入に対する所定の処理を実行することができる。
【0269】
情報を送受信し、所定の符号で変調された信号を送受信して、無線送受信の相手となるデバイスまでの距離を測定し、符号で変調された信号を送受信して、デバイスとデータ通信し、不正侵入に対する所定の処理を実行し、全体の制御をするようにした場合には、不正侵入を検知し、不正侵入に対する所定の処理を実行することができる。
【0270】
相手との距離を測定し、無線通信の信号の波形分析によって自分と相手との間の人体を検知し、測定した相手との距離を示す情報または人体の検知を示す情報を送信するようにした場合には、不正侵入を検知し、不正侵入に対する所定の処理を実行することができる。
【0271】
自分から端末装置のそれぞれまでの距離を測定し、端末装置のそれぞれから送信されてくる、端末装置同士の距離を示す情報を受信し、自分から端末装置のそれぞれまでの距離または端末装置同士の距離を基に、警戒の対象となる対象物に不正に侵入されたか否かを判定するようにした場合には、不正侵入を検知し、不正侵入に対する所定の処理を実行することができる。
【0272】
車両用セキュリティシステムを、車両の各ドアの内側表面に設置され、他の固定端末装置および制御端末装置との距離を測定する固定端末装置と、車両に出入りする正当な権限を有する者が保持する移動端末装置と、車両の内部に設置される制御端末装置とから構成し、移動端末装置の位置が、車両内に設置された固定端末装置および制御端末装置によって設定された外部警戒面の外にある場合、車両内に設置された固定端末装置と制御端末装置と距離および固定端末装置の相互の距離の変化を監視し、距離の変化が所定の条件を満足した場合、異常があると判定し、異常があると判定された場合には、不正侵入に対する所定の処理を実行するようにした場合には、不正侵入を検知し、不正侵入に対する所定の処理を実行することができる。
【0273】
固定ノードが、周囲環境をセンシングし、無線通信し、外部に作用を加え、センシングした周囲環境の情報を制御ノードに送信させるとともに、制御ノードからの指令に応答してアクチュエータを動作させるように、制御し、制御ノードが、無線通信し、固定ノードから受信した周囲環境の情報を基に、アクチュエータを動作させるべき固定ノードを選択し、選択された固定ノードに、アクチュエータを動作させる指令を送信するようにした場合には、不正侵入を検知し、不正侵入に対する所定の処理を実行することができる。
【0274】
第1の端末装置の位置を3次元座標系の原点とし、第1の端末装置と第2の端末装置との距離、第1の端末装置と第3の端末装置との距離、および第2の端末装置と第3の端末装置との距離をそれぞれ測定し、第1の端末装置と第2の端末装置との距離、第1の端末装置と第3の端末装置との距離、および第2の端末装置と第3の端末装置との距離を示す第1の測定結果に所定の演算を適用して、3次元座標系の第1の軸を特定し、第1の測定結果に所定の演算を適用して、3次元座標系の第2の軸を特定し、第1の端末装置と第4の端末装置との距離、第2の端末装置と第4の端末装置との距離、および第3の端末装置と第4の端末装置との距離をそれぞれ測定し、第1の端末装置と第4の端末装置との距離、第2の端末装置と第4の端末装置との距離、および第3の端末装置と第4の端末装置との距離を示す第2の測定結果と、第1の軸と、第2の軸とから、3次元座標系の第3の軸を特定するようにした場合には、不正侵入を検知し、不正侵入に対する所定の処理を実行することができる。
【図面の簡単な説明】
【0275】
【図1】本発明に係るセキュリティシステムの一実施の形態を示す図である。
【図2】制御ローカライザの構成例を示すブロック図である。
【図3】固定ローカライザの構成例を示すブロック図である。
【図4】移動ローカライザの構成例を示すブロック図である。
【図5】座標上の位置の計算を説明する図である。
【図6】2つの内部警戒面の設定を説明する図である。
【図7】実行モードの処理を説明するフローチャートである。
【図8】非警戒処理が実行される場合の移動ローカライザの位置を説明する図である。
【図9】在宅警戒処理が実行される場合の移動ローカライザの位置を説明する図である。
【図10】留守番警戒処理が実行される場合の移動ローカライザの位置を説明する図である。
【図11】非警戒処理の詳細を説明するフローチャートである。
【図12】在宅警戒処理の詳細を説明するフローチャートである。
【図13】留守番警戒処理の詳細を説明するフローチャートである。
【図14】白煙の噴出を説明する図である。
【図15】本発明に係るカーセキュリティシステムの一実施の形態を示す図である。
【符号の説明】
【0276】
11 制御ローカライザ, 12 固定ローカライザ, 13 移動ローカライザ, 21 内部警戒面, 22 外部警戒面, 41 制御ユニット, 43 距離測定ユニット, 44 無線送受信ユニット, 46 データ通信ユニット, 48 スピーカ, 49 白煙発生モジュール, 50 無線通信ユニット, 71 制御ユニット, 73 距離測定ユニット, 74 無線送受信ユニット, 76 データ通信ユニット, 78 スピーカ, 79 白煙発生モジュール, 80 操作ボタン, 101 制御ユニット, 103 距離測定ユニット, 104 無線送受信ユニット, 106 データ通信ユニット, 108 スピーカ, 109 操作ボタン

Claims (12)

  1. 警戒の対象となる対象物への不正侵入を検知した場合、前記不正侵入に対する所定の処理を実行するセキュリティシステムにおいて、
    前記対象物を使用する正当メンバーの位置を検知するメンバー位置検知手段と、
    前記対象物への前記不正侵入の位置を検知する不正侵入位置検知手段と、
    前記対象物内の複数箇所に配置されて、前記不正侵入に対する前記処理を実行する実行手段と、
    前記メンバー位置検知手段によって検知された前記正当メンバーの位置と、前記不正侵入位置検知手段によって検知された前記不正侵入の位置との関係に応じて、前記処理を実行する前記実行手段を選択して、選択した前記実行手段の前記処理の実行を制御する実行制御手段と
    を備えることを特徴とするセキュリティシステム。
  2. 前記実行制御手段は、前記不正侵入の位置と前記正当メンバーの位置との距離が所定閾値以下になった場合、前記不正侵入の位置に最も近い前記実行手段を含む1個以上の実行手段を選択して、選択した実行手段に前記不正侵入に対する前記処理を実行させるように、前記処理の実行を制御する
    ことを特徴とする請求項1に記載のセキュリティシステム。
  3. 前記実行制御手段は、前記正当メンバーの位置からの距離が所定の閾値以内であって、前記不正侵入の位置からの距離が最も遠い前記実行手段に、前記正当メンバーの避難誘導のための前記処理を実行させるように、前記処理の実行を制御する
    ことを特徴とする請求項1に記載のセキュリティシステム。
  4. 前記実行手段は、白煙を発生させる前記処理を実行する
    ことを特徴とする請求項1に記載のセキュリティシステム。
  5. 前記メンバー位置検知手段は、前記正当メンバーに装着され、警戒の対象となる前記対象物に対応したID符合を無線送信するデバイスの位置を検出することにより、前記正当メンバーの位置を検知する
    ことを特徴とする請求項1に記載のセキュリティシステム。
  6. 前記メンバー位置検知手段は、前記正当メンバーに装着され、警戒の対象となる前記対象物に対応したID符合を無線送信し、前記実行手段が設けられているデバイスの位置を検出することにより、前記正当メンバーの位置を検知する
    ことを特徴とする請求項1に記載のセキュリティシステム。
  7. 警戒の対象となる対象物への不正侵入を検知した場合、前記不正侵入に対する所定の処理を実行するセキュリティシステムにおいて、
    前記対象物を使用する正当メンバーの位置を検知するメンバー位置検知手段と、
    前記対象物への前記不正侵入の位置を検知する不正侵入位置検知手段と、
    外部警戒面の位置を記憶する外部警戒面記憶手段と、
    内部警戒面の位置を記憶する内部警戒面記憶手段と、
    前記メンバー位置検知手段によって検知された前記正当メンバーの位置を基に、前記外部警戒面の内側に前記正当メンバーがいない場合、第1の警戒処理を実行し、前記内部警戒面の内側に前記正当メンバーがいる場合、第2の警戒処理を実行するように、第1の警戒処理または前記第2の警戒処理の実行を制御する実行制御手段と、
    前記対象物内の複数箇所に配置され、前記第1の警戒処理または前記第2の警戒処理を実行する場合、前記不正侵入位置検知手段により、前記対象物への前記不正侵入の位置が検知されたとき、前記不正侵入に対する前記処理を実行する実行手段と
    を備えることを特徴とするセキュリティシステム。
  8. 前記第1の警戒処理は、前記外部警戒面の内側への、前記不正侵入に対する警戒処理である留守番警戒処理であり、
    前記第2の警戒処理は、前記外部警戒面と前記内部警戒面との間への、前記不正侵入に対する警戒処理である在宅警戒処理である
    ことを特徴とする請求項7に記載のセキュリティシステム。
  9. 前記実行手段は、白煙を発生させる前記処理を実行する
    ことを特徴とする請求項7に記載のセキュリティシステム。
  10. 前記メンバー位置検知手段は、前記正当メンバーに装着され、警戒の対象となる前記対象物に対応したID符合を無線送信するデバイスの位置を検出することにより、前記正当メンバーの位置を検知する
    ことを特徴とする請求項7に記載のセキュリティシステム。
  11. 前記メンバー位置検知手段は、前記正当メンバーに装着され、警戒の対象となる前記対象物に対応したID符合を無線送信し、前記実行手段が設けられているデバイスの位置を検出することにより、前記正当メンバーの位置を検知する
    ことを特徴とする請求項7に記載のセキュリティシステム。
  12. 前記デバイスに設けられた前記実行手段は、白煙を発生させる前記処理を実行する
    ことを特徴とする請求項11に記載のセキュリティシステム。
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