JP4118026B2 - 油ちょう用鶏肉加工品の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、特定の大きさの鶏肉塊を用いた油ちょう用鶏肉加工品の製造方法に関する。更に詳しくは、肉らしい歯ごたえのある食感を保持しながら、ジューシーな食感に優れ、かつコク味を有した油ちょう用鶏肉加工品の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
鶏肉は動物性蛋白質として比較的安価であるため広く用いられている食材であり、一羽から採れる鶏肉は概ね約6割のムネ肉と約4割のモモ肉に分けられる。一方、最もポピュラーな鶏肉加工食品としては唐揚げが挙げられるが、唐揚げはジューシーな食感が美味しいとされることから、一般的にジューシー感に優れたモモ肉しか利用されておらず、そのためパサパサした食感を有するムネ肉の利用が望まれている。また、鶏の大量飼育法により、モモ肉であってもその食感がパサ付き、コクが乏しい場合があり、その食味・食感の改善が求められている。
また、近年、チキンナゲットと称される一口サイズに成形された油ちょう鶏肉加工品が市販されている。しかしながら、この市販のチキンナゲットは、ひき肉やくず肉を使用しているため、ソフトな食感ではあるが肉らしい歯ごたえのある食感とは言い難く、またパサパサしてコクが乏しいという問題があった。
【0003】
このような状況下、鶏肉のジューシー感の改善が従来から検討されている。例えば、特開平6−245736号公報には、鶏肉塊に、蛋白質(ホエー蛋白質や卵白粉)と脂肪を乳化して得られる水中油型エマルジョン(ピックル液)を注入し、これに肉接着剤をまぶし、接着成型して冷凍し、これを所定の厚さに切断して肉片とした冷凍鶏肉製品の製造方法、また特開平9−266769号公報には、食肉中に熱凝固性蛋白(大豆蛋白、卵白)、油脂及び水を含有する水中油型エマルジョンからなるマリネーション液(漬込み液)を含浸させた後、解乳化させる食肉加工品の製造方法が提案されている。
【0004】
しかしながら、特開平6−245736号公報には、「エマルジョンを肉重量100部に対し1〜60重量部注入することが望ましい。(第2欄17〜18行)」と記載されているが、実際には、肉全体に肉らしい歯ごたえのある食感とジューシー感を両立させるには、注入法ではせいぜい実施例で開示の肉重量の20%程度、つまり注入後の肉に対しては16%程度のエマルジョンを含有させることが限界である。また特開平9−266769号公報の製造方法でも、ある程度大きな鶏肉塊をそのまま使用しているため、浸透後の肉に対し20数%程度しかエマルジョンからなるマリネーション液を含浸させることが出来ず、上記何れの方法で得られた鶏肉加工品も満足できる程のジューシー感を有したものとは言い難いものであった。さらに、上記提案のエマルジョンを含有させたものはコク味に欠けるという問題があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
そこで本発明の目的は、肉らしい歯ごたえのある食感を保持しながら、ジューシーな食感に優れ、かつコク味を有した油ちょう用鶏肉加工品の製造方法を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の目的を達成すべく鶏肉の大きさや種々の蛋白質について鋭意研究を重ねた結果、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は、(1)衣を除いた肉部において、0.5〜2.5cm程度の大きさの鶏肉塊に、生卵黄換算で前記肉部の全重量の0.1〜10%の卵黄、熱凝固性蛋白質、前記肉部の全重量の1〜15%の食用油脂及び水を均一に含有した水中油型エマルジョンからなるマリネーション液を前記肉部の全重量に対し30〜50%含浸させ、前記肉部の全重量の2〜15%のミンチ状鶏肉と混合した後、加熱し成形する油ちょう用鶏肉加工品の製造方法、(2)通電加熱により加熱する(1)の油ちょう用鶏肉加工品の製造方法、を提供することである。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下本発明を説明する。なお、本発明において「%」は「質量%」、「部」は「質量部」を意味する。まず、本発明により製造される油ちょう用鶏肉加工品は、鶏肉塊を用いた肉部に衣が施されている鶏肉加工品であって、油ちょうして食するものであれば何れのものでもよく、例えば、唐揚げ、チキンカツ等が挙げられる。
【0008】
本発明に用いる鶏肉塊はモモ肉、ムネ肉あるいはこれらの混合物でもよく、その形状は特に限定するものではないが、ダイス状が好ましい。ダイス状の肉塊の場合、その面が略平らであるため、隣接する肉塊同士が面で接することができ定形状に成形しやすいからである。また、本発明の鶏肉塊は、その大きさが0.5〜2.5cm程度、好ましくは0.7〜2cm程度の肉塊を用いることが肝要である。後述の試験例に示すとおり0.5cmより小さいとその食感が肉らしい歯ごたえのある食感とは言い難く、一方、2.5cmより大きいと卵黄、熱凝固性蛋白、食用油脂及び水を十分に含有させることが出来ないことからジューシーな食感が得られず好ましくない。なお、本発明の鶏肉塊は、目的とする大きさを適宜選択しダイサー等で製すればよいが、チョッパー等で製したミンチ状肉は、例えその大きさが上記範囲内としても肉組織が壊れていることから、本発明の目的の一つである肉らしい歯ごたえのある食感が得られないので、本発明の鶏肉塊にはミンチ状のものは含まれない。
【0009】
本発明には、上記鶏肉塊に卵黄、熱凝固性蛋白、食用油脂及び水を含有したものを用いる。ここで、卵黄としては、生卵黄、殺菌卵黄、乾燥卵黄又はこれらの酵素処理物等、熱凝固性蛋白としては、大豆蛋白、卵白、ホエー蛋白等、食用油脂としては、菜種油、コーン油、綿実油、サフラワー油、オリーブ油、紅花油、大豆油、パーム油、牛脂、豚脂等の動植物油又はこれらの精製油、またMCT(中鎖脂肪酸トリグリセリド)、ジグリセリド等のような化学的あるいは酵素的処理を施した油脂等を用いると良い。また、卵黄と熱凝固性蛋白とを同時に含有した全卵、殺菌全卵、乾燥全卵又はこれらの酵素処理物等を用いても良く、本発明では、上記各成分の1種又は2種以上を用いると良い。
【0010】
本発明において、上記各成分の含有量は、衣を除く肉部の全重量に対し、卵黄が生卵黄換算で0.1〜10%、熱凝固性蛋白が乾物換算で0.05〜5%、食用油脂が1〜15%、水が20〜40%の範囲が好ましい。特に、本発明では、上記成分のうち卵黄及び食用油脂の含有量が肝要である。また上記成分を鶏肉塊に含有させるには、作業性や鶏肉塊全体に一度に均一に含有させることができることから、上記各成分を均一に混合した水中油型エマルジョンからなるマリネーション液を用いることが好ましい。これにより、衣を除く肉部の全重量に対し水中油型エマルジョンからなるマリネーション液を30%以上含有させることが出来る。後述の試験例に示すとおり卵黄が0.1%より少ないと、鶏肉塊に十分にマリネーション液を含浸させることが出来ず、その結果、ジューシーな食感とコク味のある鶏肉加工品が得られ難く、また食用油脂が1%より少ないと、例え鶏肉塊に十分にマリネーション液を含浸させることが出来たとしてもジューシーな食感が得られ難く好ましくない。一方、卵黄を10%より多く含有させたり、あるいは食用油脂を15%より多く含有させたとしても、前者はコク味、後者はジューシーな食感に関し期待する程の含有量に応じた効果が得られず経済的でない。なお、水中油型エマルジョンには、本発明の効果を損なわない範囲で他の成分を適宜選択し含有させることができる。例えば、食塩、砂糖、食酢、グルタミン酸ソーダ、からし粉等の各種調味料、ガム類、リン酸塩、ポリリン酸塩、各種乳化材等が挙げられる。
【0011】
また、本発明の衣を除いた肉部は、卵黄、熱凝固性蛋白、食用油脂及び水を含有した鶏肉塊からなる、つまり、鶏肉塊の集合物からなるものであるが、本発明は、個々の鶏肉塊を結着させるために、つなぎとしてミンチ状鶏肉を用いることが好ましい。ミンチ状鶏肉を用いた本発明の油ちょう用鶏肉加工品は美味であるのに対し、一般的に用いられている卵白やアルカリ剤等の他のつなぎでは、不味なものとなる場合があり好ましくない。またミンチ状鶏肉の含有量は、衣を除く肉部の全重量に対し2〜15%が好ましい。ミンチ状鶏肉が2%より少ないと、十分に個々の鶏肉塊を結着させることが出来ず油ちょうの際に加工品が崩れる場合があり、一方、15%より多いと鶏肉塊の境目にあるミンチ状鶏肉の食感が強く感じられ、全体的に肉らしい歯ごたえのある食感とは言い難く好ましくない。
【0012】
次に、本発明の代表的な製造方法を示す。なお、本発明はこれらに限定されるものではない。
まず、例えば、骨を除いたモモ肉やムネ肉の鶏肉塊をダイサー等で、0.5〜2.5cm程度のダイス状の鶏肉塊とする。
【0013】
次に、この鶏肉塊に卵黄、熱凝固性蛋白、食用油脂及び水を含有させる。前記各成分を含有させるには、上記成分を均一に混合した水中油型エマルジョンからなるマリネーション液として用いることが好ましい。エマルジョン中の各成分の含有量は、卵黄が生卵黄換算で0.5〜20%、熱凝固性蛋白が乾物換算で0.5〜10%、食用油脂が3〜50%、水が40〜90%の範囲が適当である。また、エマルジョには、所望により、他の添加剤や調味料等を含有させてもよい。水中油型エマルジョンからなるマリネーション液の調製方法は、特に限定するものでないが、例えば、卵黄及び熱凝固性蛋白、あるいは卵黄のみを乳化材として、該水分散液に食用油脂を注加しながら乳化機で乳化し、得られた乳化液に残りの成分を混合する方法、食用油脂以外の卵黄、熱凝固性蛋白及び残りの成分からなる水分散液に食用油脂を注加しながら乳化機で乳化する方法等が挙げられる。また、鶏肉塊に上記成分を含有したエマルジョンからなるマリネーション液を含有させる方法としては、鶏肉塊とマリネーション液をタンブラー等で混合し、少なくとも1時間以上静置して鶏肉塊にマリネーション液を十分に含浸させると良い。これにより、衣を除く肉部の全重量に対しエマルジョンを30〜50%程度含有させることができる。
【0014】
次に、マリネーション液を含浸させた鶏肉塊に、予め準備していたミンチ状鶏肉を、衣を除く肉部の全重量に対し2〜15%添加し均一に混合する。
【0015】
そして、この混合物を80〜100℃程度で加熱した後、略定形状に截断して成形し衣を除く肉部を製する。加熱方法としては、例えば、バットに所望の厚みとなるように充填後、蒸気やマイクロ波により加熱する方法、所望の厚みに調整した電極板の間隙を通過させる通電加熱による方法等が挙げられる。特に、通電加熱による方法は、前記混合物を所定の容器に充填することなく、また容器より加熱物を取り出すことなく連続的に製することができ、しかも全体を短時間に昇温させることが出来る等、生産性に優れていることから好ましい。
【0016】
このようにして得られた肉部に常法に則り衣付けを行なう。例えば、唐揚げの場合は、澱粉、蛋白質粉末、パン粉粉末、小麦粉等を主原料としたバッターミックスを直接まぶしたり、あるいは該水分散物と混合する。またチキンカツの場合は、前記バッターミックスの水分散液と混合後、パン粉をまぶす。なお、バッターミックスは、市販品を用いると良い。
【0017】
以上の方法により、本発明による油ちょう用鶏肉加工品が得られるが、本発明は、更に衣を固定するために軽く油ちょうしたり、また保存性を持たせるために冷凍したりしても良い。
【0018】
本発明により製造される油ちょう用鶏肉加工品は、如何なる理由により本発明の効果に優れているかは定かではないが、まず、本発明は鶏肉塊を用いることで、肉らしい歯ごたえのある食感が保持され、卵黄を含有させることで、コク味が付与されたのではないかと推察される。また、鶏肉塊の大きさが0.5〜2.5cm程度と、従来の鶏肉加工品に用いられている鶏肉塊の大きさと比較し小さいことから、マリネーション液との混合の際、マリネーション液と接する表面積が広く、しかも特開平9−266769号公報に提案されているような従来のマリネーション液に更に卵黄を添加されているものを用いることにより、これらの要因が相乗的に働きマリネーション液が鶏肉塊に浸透しやすい状態となった結果、ジューシーな食感に優れたものとなったのではないかと推察される。
【0019】
次に、本発明を実施例及び試験例に基づき、さらに詳細に説明する。なお、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0020】
【実施例】
[実施例1](唐揚げ)
清水27.8部に生卵黄1部、ホエー蛋白0.5部及び乾燥卵白0.5部を均一に分散後、該分散液を乳化機で撹拌させながらサラダ油7.5部を注加し乳化させ、該乳化液にポリリン酸ナトリウム1.5部、食酢(酸度4%)1部、食塩0.1部及びグルタミン酸ナトリウム0.1部を添加し均一にして水中油型エマルジョンからなるマリネーション液40部を調製した。
【0021】
次に、鶏胸肉をダイサーで処理して約1.5cm角のダイス状の鶏肉塊を調製し、鶏肉塊55部とマリネーション液40部をタンブラーで1時間混合し、さらに2時間静置して、マリネーション液を殆ど含浸した鶏肉塊95部を得た。そして、このマリネーション液を含浸させた鶏肉塊95部に直径3mmの孔を有したチョッパーで処理したミンチ状鶏肉5部を添加し均一とした。
【0022】
次に、電極板の間隙を20mmに設定した通電加熱機に前記混合物を通して90℃で1分程度加熱して、厚さ約2cmに成形した後、これをカッターで縦・横を2cm×3cmに截断して、定形状の肉部を製した。
【0023】
この肉部に市販されている唐揚げ粉(日清製粉製)をまぶした後、170℃で1分程度、軽く油ちょうして衣を固定し、これを冷凍して本発明による油ちょう用鶏肉加工品を得た。得られた唐揚げを常法により油ちょうした後、喫食したところ、肉らしい歯ごたえのある食感を保持しながら、ジューシーな食感に優れ、かつコク味を有したものであった。
【0024】
[実施例2](唐揚げ)
実施例1において通電加熱による加熱処理に代えて蒸気による加熱処理を行なった。つまり、実施例1の通電加熱機で処理する前のミンチ状鶏肉との混合物をステンレスバットに略平らになるように全体に充填し、該充填物を蒸気により90℃で15分間加熱した後、バットより加熱物を取り出し、以後、実施例1と同様の方法で製した。
得られた唐揚げを常法により油ちょうした後、喫食したところ、肉らしい歯ごたえのある食感を保持しながら、ジューシーな食感に優れ、かつコク味を有したものであった。
【0025】
[実施例3](チキンカツ)
実施例1の通電加熱機で処理して得られた厚さ約2cmの加熱物を、カッターで縦・横を5cm×5cmに截断して、定形状の肉部を製した。この肉部と、市販されているバッターミックス(日清製粉製)1部を清水2.5部で分散させたバッターミックス分散液とを均一に混合し、パン粉をまぶした後、170℃で1分程度、軽く油ちょうして衣を固定し、これを冷凍して本発明による油ちょう用鶏肉加工品を得た。得られたチキンカツを常法により油ちょうした後、喫食したところ、肉らしい歯ごたえのある食感を保持しながら、ジューシーな食感に優れ、かつコク味を有したものであった。
【0026】
【試験例】
[試験例1]
原料として用いた鶏肉塊の大きさによる食味・食感への影響を調べるために、下記の方法で製した試料を準備した。各試料を常法により油ちょうし、これを喫食して食味・食感について評価した。
【0027】
試料1:実施例1において、約0.3cm角のダイス状の鶏肉塊を用いた以外は実施例1と同様の方法で製した。
試料2:実施例1において、約0.5cm角のダイス状の鶏肉塊を用いた以外は実施例1と同様の方法で製した。
試料3:実施例1において、約0.7cm角のダイス状の鶏肉塊を用いた以外は実施例1と同様の方法で製した。
試料4:実施例1
試料5:実施例1において、まず原料の約1.5cm角ダイス状の鶏肉塊に換えて約2cm角のものを用いた。また、マリネーション液の含浸工程において、含浸できなかった余分なマリネーション液を除いて次工程を行なった。そして、加熱成形工程において、通電加熱機の電極板の間隙を20mmから25mmに変更し、厚さ約2.5cmに成形した後、これをカッターで縦・横及び厚さを2cm×3cm×2cmに截断して、定形状の肉部を製し、これら以外は実施例1と同様の方法で製した。なお、マリネーション液の含有量は、衣を除く肉部の全重量に対し36%であった。
試料6:実施例1において、まず原料の約1.5cm角ダイス状の鶏肉塊に換えて約2.5cm角のものを用いた。また、マリネーション液の含浸工程において、含浸できなかった余分なマリネーション液を除いて次工程を行なった。そして、加熱成形工程において、通電加熱機の電極板の間隙を20mmから30mmに変更し、厚さ約3cmに成形した後、これをカッターで縦・横及び厚さを2cm×3cm×2cmに截断して、定形状の肉部を製し、これら以外は実施例1と同様の方法で製した。なお、マリネーション液の含有量は、衣を除く肉部の全重量に対し32%であった。
試料7:実施例1において、まず原料の約1.5cm角ダイス状の鶏肉塊に換えて約3cm角のものを用いた。また、マリネーション液の含浸工程において、含浸できなかった余分なマリネーション液を除いて次工程を行なった。そして、加熱成形工程において、通電加熱機の電極板の間隙を15mmから35mmに変更し、厚さ約3.5cmに成形した後、これをカッターで縦・横及び厚さを2cm×3cm×2cmに截断して、定形状の肉部を製し、これら以外は実施例1と同様の方法で製した。なお、マリネーション液の含有量は、衣を除く肉部の全重量に対し23%であった。
【0028】
【表1】
【0029】
表中の記号は下記のとおりである。
1)歯ごたえ
○:肉らしい歯ごたえを有する。
△:やや肉らしい歯ごたえを有する。
×:肉らしい歯ごたえに欠ける。
2)ジューシー感
○:非常にジューシーである。
△:ジューシーである。
×:ややジューシー感に欠ける。
3)コク味
○:コク味を有する。
△:ややコク味を有する。
×:コク味に欠ける。
4)総合評価
◎:いずれの項目も「○」であるもの
○:2項目が「○」で1項目が「△」であるもの、あるいは2項目が「△」で1項目が「○」であるもの
△:いずれの項目も「△」であるもの
×:いずれかの項目が「×」であるもの
【0030】
表1より、鶏肉塊の大きさが0.5〜2.5cmのものを用いた油ちょう用鶏肉加工品は、肉らしい歯ごたえのある食感を有し、ジューシー感に優れ、コク味を有していることが理解される。特に、0.7〜2cmの大きさの鶏肉塊も用いたものは、いずれの項目についても優れており好ましかった。
【0031】
[試験例2]
衣を除く肉部の卵黄の含有量による食味・食感への影響を調べるために、下記の方法で製した試料を準備した。各試料を常法により油ちょうし、これを喫食して試験例1と同様の評価基準で食味・食感について評価した。
【0032】
試料8:実施例1において、生卵黄を除き、その減少分1部を清水に置き換えた。また、マリネーション液の含浸工程において、含浸できなかった余分なマリネーション液を除いて次工程を行ない、これら以外は実施例1と同様の方法で製した。なお、マリネーション液の含有量は、衣を除く肉部の全重量に対し18%であった。
試料9:実施例1において、生卵黄1部を0.1部に変更し、その減少分0.9部を清水に置き換えた。また、マリネーション液の含浸工程において、含浸できなかった余分なマリネーション液を除いて次工程を行ない、これら以外は実施例1と同様の方法で製した。なお、マリネーション液の含有量は、衣を除く肉部の全重量に対し30%であった。
試料10:実施例1において、生卵黄1部を0.5部に変更し、その減少分0.5部を清水に置き換えた。また、マリネーション液の含浸工程において、含浸できなかった余分なマリネーション液を除いて子工程を行ない、これら以外は実施例1と同様の方法で製した。なお、マリネーション液の含有量は、衣を除く肉部の全重量に対し35%であった。
試料11:実施例1
【0033】
【表2】
【0034】
表2より、卵黄を生卵黄換算で0.1%以上含有させた油ちょう用鶏肉加工品は卵黄を含有させなかったものに比べ、ジューシー感及びコク味を有し、好ましいことが理解される。特に0.5%以上含有させたものはジューシー感、コク味とも優れており、さらに好ましかった。
【0035】
[試験例3]
衣を除く肉部の食用油脂の含有量による食味・食感への影響を調べるために、下記の方法で製した試料を準備した。各試料を常法により油ちょうし、これを喫食して試験例1と同様の評価基準で食味・食感について評価した。
【0036】
試料12:実施例1において、サラダ油を除き、その減少分7.5部を清水に置き換えた以外は実施例1と同様の方法で製した。
試料13:実施例1において、サラダ油7.5部を1部に変更し、その減少分6.5部を清水に置き換えた以外は実施例1と同様の方法で製した。
試料14:実施例1において、サラダ油7.5部を2.5部に変更し、その減少分5部を清水に置き換えた以外は実施例1と同様の方法で製した。
試料15:実施例1
【0037】
【表3】
【0038】
表3より、食用油脂を1%以上含有させた油ちょう用鶏肉加工品は食用油脂を含有させなかったものに比べ、ジューシー感を有し、好ましいことが理解される。特に2.5%以上含有させたものはジューシー感に優れており、さらに好ましかった。
【0039】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明の唐揚げやチキンカツ等の油ちょう用鶏肉加工品は、従来、余り用いられなかったパサつきがちなムネ肉を用いたとしてもジューシーな食感に優れ、かつコク味を有したものであることから、鶏肉を無駄なく利用することが出来ると共に油ちょう用鶏肉加工品の更なる重要拡大が期待される。
Claims (2)
- 衣を除いた肉部において、0.5〜2.5cm程度の大きさの鶏肉塊に、生卵黄換算で前記肉部の全重量の0.1〜10%の卵黄、熱凝固性蛋白質、前記肉部の全重量の1〜15%の食用油脂及び水を均一に含有した水中油型エマルジョンからなるマリネーション液を前記肉部の全重量に対し30〜50%含浸させ、前記肉部の全重量の2〜15%のミンチ状鶏肉と混合した後、加熱し成形することを特徴とする油ちょう用鶏肉加工品の製造方法。
- 通電加熱により加熱する請求項1記載の油ちょう用鶏肉加工品の製造方法。
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