JP4117535B2 - 化合物半導体素子 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は化合物半導体素子に関し、特に半導体ヘテロ接合を用いた高速電界効果型トランジスタ等に適用される化合物半導体素子に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、高周波用等に普及している高速半導体デバイスに、HEMT(High Electron Mobility Transistor)がある。HEMTは、GaAs/AlGaAsヘテロ接合を用いたものが実用化されており、その優れたマイクロ波・ミリ波特性により、衛星放送用受信器等の低雑音かつ高速の電界効果トランジスタ(FET:Field Effect Transistor)として広く使用されている。その要部は、具体的には、n型にドープされたAlGaAs電子供給層にノンドープのGaAsチャネル層(i−GaAs層)をヘテロ接合した半導体多層構造である。GaAsはAlGaAsよりも電気陰性度が高いため、n型AlGaAs電子供給層からi−GaAsチャネル層へ電子の一部が流入し、そのヘテロ接合界面よりもi−GaAsチャネル層側に逆三角形のポテンシャル井戸が形成される。このポテンシャル井戸内において電子はドナー不純物と空間的に分離された形で閉じ込められ、不純物散乱の影響を受け難い二次元電子ガス(以下、本明細書では「2DEG」と記載する)層を形成する。その結果、i−GaAsチャネル層内の電子は、ヘテロ接合界面に沿って非常に高い電子移動度を示し、高速電界効果型トランジスタが実現できる
【0003】
他方、近年では、GaAs系化合物に代えてGaN系化合物を用いたHEMT(以下、GaN系HEMTという)が、次世代型の高速FETとして注目されている。GaN系化合物はバンドギャップが広く、電子有効質量から見積もられる飽和電子移動度も高いことから、より大出力で高耐圧かつ高温動作可能な高周波デバイスを実現できる可能性があり、研究が重ねられている。GaN系化合物を用いたHEMT構造としては、n型にドープしたAlGaN電子供給層に、GaNあるいはInGaNチャネル層をヘテロ接合したものが多く試みられている。チャネル層は不純物による電子散乱の影響がなるべく生じないように、ノンドープの化合物半導体により構成される。この場合、これにヘテロ接合される電子供給層には比較的多量のn型ドーパントが添加されているから、層成長時等において電子供給層側からチャネル層に不純物拡散することを防止するとともに、チャネル層を不純物から空間的に分離するために、薄いノンドープのAlGaN層がスペーサ層として挿入されることが多い。これにより、チャネル層とのヘテロ接合界面に沿ったキャリアの移動が不純物により散乱されにくくなり、ひいてはキャリアの移動度が向上するので、デバイスの高出力化のみならず、動作速度や周波数特性の向上も期待できる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、GaN系HEMTにおいては、これまでのところ、満足の行く高出力特性が工業的には実現されるには至っていない。本発明の課題は、チャネル層と電子供給層との間にスペーサ層が挿入されたGaN系の化合物半導体素子において、より大出力化を図ることができ、また、動作速度あるいは周波数特性の改善を可能とする素子構造を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段及び作用・効果】
上記の課題を解決するために、本発明の化合物半導体素子は、各々Gaを必須とするIII族元素の窒化物からなる電子供給層と、スペーサ層と、チャネル層とがこの順序にて格子整合形態で接合された構造を有し、スペーサ層がAlGaN層からなるとともに、当該スペーサ層の、チャネル層と接する領域(以下、境界領域ともいう)のAlN混晶比を、残余の領域よりも高くとともに、スペーサ層は、厚さ方向においてチャネル層と接する一部区間がAlN層とされていることを特徴とする。このような構造を採用することにより、素子の大出力化を有効に図ることが可能となる。
【0006】
電子供給層とチャネル層との間にスペーサ層を配置する場合、チャネル層側に2DEG層を形成するためのヘテロ接合は、実質的にはスペーサ層とチャネル層との間に形成される。素子の大出力化を図るには、図2に示すように、ヘテロ接合部に形成される三角ポテンシャルをなるべく深くして電子閉じ込め効果を高め、形成される2DEG層の電子濃度を増加させることが重要である。
【0007】
三角ポテンシャルを深くするためには、スペーサ層側の伝導帯底エネルギーレベルEcの値を高くすることが必要であり、具体的にはスペーサ層をなすAlGaN混晶のAlN混晶比を増加させて、バンドギャップエネルギーを大きくすることが重要である。他方、ヘテロ接合により生ずる電気的な分極を大きくし、三角ポテンシャルをより深く狭くして電子の閉じ込め効果を高めることも、2DEG層の電子濃度を増加させる上で有効である。このような分極に寄与する効果は、大きく分けて2つあり、1つはスペーサ層をなす材料自体が有する自発分極であり、他方はピエゾ効果(圧電効果)によるものである。半導体ヘテロ接合においては、格子定数の相違する半導体を接合したときの格子整合歪に基づく弾性応力場が、ピエゾ電界発生の要因となる。
【0008】
従って、ヘテロ接合によりチャネル層側に作りつけられる電界ε0は、大まかには自発分極電界ε1とピエゾ電界ε2との和によって表され(すなわち、ε0=ε1+ε2)、該ε0が大きいほど三角ポテンシャルをより深くする上で有利となる。自発分極電界ε1を大きくするには、使用する化合物半導体の誘電率を高めることが必要であるが、AlGaN混晶からなるスペーサ層の場合、そのAlN混晶比を高めることが有効である。他方、ピエゾ電界ε2を増加させるには、ヘテロ接合による格子整合歪を増加させる必要がある。スペーサ層を構成するAlGaN混晶は、AlN混晶比を増加させることにより格子定数が縮小する。他方、チャネル層は、スペーサ層よりもEcを小さくする必要があることから、スペーサ層よりも必ずAlN混晶比の小さいもの(例えばAlNを含有しないGaNやInGaN)で構成される。従って、スペーサ層のAlN混晶比を増加させることは、チャネル層との間の格子定数差が拡張することを意味し、格子整合歪の増大ひいてはピエゾ電界ε2の増加に寄与する。
【0009】
図3は、ε1(破線)、ε2(一点鎖線)及びε0(=ε1+ε2)(実線)が、AlN混晶比によりどのように変化するかをごく概念的に図示したものである。理論計算によると、あるAlN混晶比まではε1とε2とは単調に増加し、特にピエゾ電界ε2のほうが自発分極電界ε1よりも、ε0(ひいては2DEG層中の電子濃度Ns)に対する寄与が大きく、AlN混晶比依存性も大きくなることがわかっている。従って、AlN混晶比をなるべく大きくすることが、一見有利であるように思われる。
【0010】
しかしながら、AlN混晶比がある限界値arを超えて大きくなった場合、スペーサ層とチャネル層との格子定数差が大きくなりすぎ、ミスフィット転位が導入されて格子緩和を生ずる。その結果、格子緩和に伴う応力解放により、一点鎖線にて示すピエゾ電界ε2の寄与が限界値arにおいて急減して、ε0が却って低下してしまうことにつながる。従って、AlGaNスペーサ層の全体に渡ってAlN混晶比を増大させる方法では、格子緩和が生じないように、AlN混晶比はar以下の比較的小さな値(例えばAlGa1−aNにおいてa=0.15〜0.25程度)に留めざるを得ない。
【0011】
そこで、本発明では、AlGaNスペーサ層の全体ではなく、2DEG層に対するピエゾ電界効果が最も顕著に期待できる、チャネル層との境界領域のAlN混晶比を、残余の領域に対し選択的に高くすることで、この問題の解決を図った。すなわちスペーサ層の全体ではなく、境界領域についてのみAlN混晶比を高めること、すなわち格子緩和が生じない程度の厚さに留めつつAlN混晶比を高めることにより、チャネル層に対するピエゾ電界印加効果を大幅に増加させることができる。また、境界領域のAlN混晶比が高くなることで、スペーサ層側のEcが上昇し、伝導体不連続値をより大きくすることができるので自発分極効果も高められる。これらのことにより、スペーサ層を一様な組成で構成する図2(b)と比較して、図2(a)に示すように、チャネル層側に三角ポテンシャルをより深くかつ狭く形成することができ、2DEG層中の電子濃度の増大ひいては素子の高出力化を図ることができる。
【0012】
上記本発明の化合物半導体素子においては、スペーサ層とのヘテロ接合界面に沿ってチャネル層内に2DEG層が形成される。ここで、スペーサ層のヘテロ接合界面を含む領域が、AlGaNのような混晶化合物にて構成されていると、該混晶化合物による合金散乱の影響を受けて、2DEG層内のキャリアの移動度が低下しやすくなる。そこで、スペーサ層の、厚さ方向においてチャネル層と接する一部区間をAlN層とすれば、上記の合金散乱の影響が効果的に抑制され、2DEG層内のキャリアの移動度を大幅に高めることができる。その結果、素子の高出力化ばかりでなく、動作速度の向上や高周波特性の改善も期待できる。
【0013】
ただし、スペーサ層においてAlN層の厚さが過度に大きくなると、既に説明した格子緩和の問題を生じ、2DEG層の電子濃度が低下することにつながる。この観点から、AlN層の厚さは、望ましくはスペーサ層の残余の領域の厚さよりも小さくするのがよく、さらに望ましくは、数原子層(例えば2〜10原子層程度)程度の厚さとするのがよい。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を添付の図面により説明する。
図1は、本発明の電界効果トランジスタの一例であるHEMT1の積層構造を模式的に示すものである。該HEMT1は、SiCあるいはサファイアからなる単結晶基板101上に、GaNからなるバッファ層102を介して、素子層103をヘテロエピタキシャル成長法により形成したものである。具体的には、周知の気相成長法、例えばMOVPE(Metalorganic Vapor Phase Epitaxy: 有機金属気相エピタキシャル成長)法が用いられる。
【0015】
素子層103は、バッファ層102に近い側から、ノンドープのGaNチャネル層119、ノンドープのAlGaNスペーサ層105、Si等によりn型にドープされたAlGaN電子供給層110、電極とのコンタクト層として機能するn型GaN層111がこの順序にて積層されたものである。そして、n型GaN層111上には、ドレイン電極106、ソース電極107が形成され、n型GaN層111の非形成領域に露出するn型AlGaN層110にゲート電極108が形成されている。ドレイン電極106とソース電極107とはn型GaN層111との間でオーミック接合を形成する金属(例えばTi/Al)により、ゲート電極108はn型AlGaN電子供給層110との間でショットキー(Schottky)接合を形成する金属(例えばPd/Au)により、それぞれ構成されている。AlGaNスペーサ層105は、n型AlGaN電子供給層110を成長する際に、すでに形成されているGaNチャネル層119にn型ドーパントであるSi等の不純物が拡散することを防止するためのものである。
【0016】
AlGaNスペーサ層105とGaNチャネル層119との間には、両者の電子親和力の相違から、それらのヘテロ接合界面よりもGaNチャネル層119側に三角ポテンシャルが形成される。この三角ポテンシャル内において電子は、ドナー不純物(電子供給層110内のSi)と空間的に分離された形で閉じ込められて2DEG層を形成する。そして、ドレイン電極106とソース電極107との間に電圧を印加し、ゲート電極108でその電流値を制御しながら、ドレイン電極106とソース電極107との間でGaNチャネル層119を経由した通電を行う。
【0017】
図1のHEMT1においては、AlGaN電子供給層110のAlN混晶比が、例えば0.15〜0.25に調整されている。また、AlGaNスペーサ層105がAlGaN電子供給層110と隣接する部分は、AlGaN電子供給層110と同じAlN混晶比yを有するAlGa1−yN層105bとされている。他方、AlGaNスペーサ層105がGaNチャネル層119と隣接する部分(境界領域)は、前記したAlGa1−yN層105bよりもAlN混晶比xが高い、AlGa1−xN層105aとされている。
【0018】
このように、AlGaNスペーサ層105の全体ではなく、境界領域をなすAlGa1−xN層105aのみ選択的にAlN混晶比xを高めることにより、AlGaNスペーサ層105の格子緩和を防止でき、GaNチャネル層119に対してより大きなピエゾ電界を印加できるほか、自発分極効果も高めることができる。また、GaNチャネル層119との接触側においてAlGaNスペーサ層105のEcを高くでき、伝導体不連続値をより大きくすることもできる。従って、図2(a)に示すように、GaNチャネル層119に形成される三角ポテンシャルをより深くかつ狭く形成することができ、2DEG層における電子閉じ込め効果が高められるので、2DEG層内の電子濃度(シートキャリア濃度として測定可能である)Nsが顕著に改善されて、より大きな電流を低損失にて流すことができる。
【0019】
スペーサ層105は、チャネル層119との接合側においてAlN混晶比が0.3以上とされていることが、チャネル層119に対するピエゾ電界効果をより顕著なものとし、ひいては2DEG層における電子閉じ込め効果を高める観点において望ましい。すなわち、図1のHEMT1においては、AlGa1−xN層105aのAlN混晶比xが0.3以上となっていることが望ましい。他方、上記AlN混晶比は、スペーサ層105の格子緩和が生じないようにその上限値を定める。なお、図1に一点鎖線で示すように、スペーサ層105のチャネル層119とのヘテロ接合界面を含む領域に、数原子層程度のAlN層105cを形成しておくと、スペーサ層105による2DEG層中のキャリアへの合金散乱の影響を軽減することができ、ひいては2DEG層内のキャリアの移動度を向上させることができる。
【0020】
また、スペーサ層105は、チャネル層119との接合側においてAlN混晶比が0.3以上となっている領域(以下、高AlN混晶比領域という)の厚さt1が1nm以上50nm以下とされていることが望ましい。該厚さが1nm未満では高AlN混晶比領域の体積が不足し、ピエゾ電界効果の向上が十分に期待できなくなる。他方、該厚さt1が50nmを超えた場合は、高AlN混晶比領域の格子緩和が進行しやすくなり、ピエゾ電界効果の向上が同様に期待できなくなる。図1のHEMT1においては、高AlN混晶比領域の厚さt1は、AlGa1−xN層105aの厚さに相当する。
【0021】
また、スペーサ層105の全体の厚さtは、100nm以下に調整することが望ましい。tが100nmを超えると、スペーサ層105を形成することによる、ソース/ドレイン間の直列抵抗が過度に大きくなり、大電流を流すことが却って困難となったり、あるいは素子の発熱が過剰となったりするなどの不具合につながる。
【0022】
なお、図1のHEMT1においては、図4(a)に示すように、電子供給層110側からチャネル層119側に向けて、スペーサ層105内のAlN混晶比を1段階(y→x)にて階段状に変化させる組成プロファイルを採用していたが、本発明はこれに限られるものではない。例えば、図4(b)に示すように、電子供給層110側からチャネル層119側に向けて、AlN混晶比を複数段階に増加させてもよいし、(c)に示すように、AlN混晶比を連続的に増加させてもよい。このようにすれば、スペーサ層105の格子緩和が一層生じにくくなり、チャネル層119との接合側におけるAlN混晶比をさらに高めることが可能となる。なお、図中には、AlN混晶比が0.3以上となる領域の厚さt1を表示している。また、図4(c)においては、スペーサ層105の厚さ方向における中間位置までAlN混晶比を一定とし、その後AlN混晶比を連続的に増加させているが、スペーサ層105の全厚さに渡って、AlN混晶比を連続的に増加させるようにしてもよい。
【0023】
以下、本発明の化合物半導体素子の変形例について説明する。
図5のHEMT2においては、チャネル層119を、GaNに代えてInGaN混晶により構成している。InGaNは電子の有効質量がGaNより小さく、電子移動度の向上ひいては素子の高速化に寄与する。ただし、InGaN混晶の組成をInGa1−zNにより表したとき、InN混晶比zが増加するにつれて格子定数が増大し、InN混晶比zが過度に大きくなると、AlGaNスペーサ層105の格子緩和がより生じやすくなるので、zの値はそのような不具合が生じない範囲にて設定する。
【0024】
次に、図6のHEMT3においては、チャネル層119に対しAlGaNスペーサ層105と反対側(つまり基板101に近い側)に、別のノンドープのAlGaN層(以下、AlGaN接続層という)120を形成した例である。AlGaN接続層120は、AlGaNスペーサ層105と同様にチャネル層119に対するピエゾ電界印加効果を有していることから、2DEG層がより深く狭くなり、電子閉じ込め効果をさらに改善できる。本実施形態では、AlGaN接続層120以降の各層の格子緩和防止あるいは結晶性改善を図るために、バッファ層102とAlGaN接続層120との間に、ノンドープのGaN結晶性改善層104を挿入している。なお、図6のHEMT3は、AlGaNスペーサ層105にのみAlN混晶比を高めたAlGa1−xN層105aを形成しているが、図7のHEMT4のように、AlGaN接続層120側にもAlN混晶比を高めたAlGa1−xN層120aを形成することが可能である。
【0025】
また、図8のHEMT5においては、チャネル層119の両側にAlGaNスペーサ層105,105と、AlGaN電子供給層110,110とを形成している。この構造によると、チャネル層119の両面に2DEG層が形成される結果、図1のように片面のみに2DEG層を形成する構成と比較して、通電可能な電流値をさらに増大することができ、より大出力の素子を実現できる。なお、本実施形態においては、AlN混晶比を高めたAlGa1−xN層105aを、2つのAlGaNスペーサ層105,105の双方に形成している。また、下側のAlGaN電子供給層110以降に係る各層の格子緩和防止あるいは結晶性改善を図るために、バッファ層102とAlGaN電子供給層110との間に、ノンドープのGaN結晶性改善層104を挿入している。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の化合物半導体素子の一実施形態を示す模式図。
【図2】図1のヘテロ接合部のバンド構造を、従来の素子と対比して示す模式図。
【図3】スペーサ層のAlN混晶比と、自発分極電解及びピエゾ電界との関係を模式的に示す図。
【図4】スペーサ層内のAlN混晶比プロファイルを、いくつかの変形例とともに示す図。
【図5】本発明の化合物半導体素子の、第一の変形例を示す模式図。
【図6】同じく第二の変形例を示す模式図。
【図7】同じく第三の変形例を示す模式図。
【図8】同じく第四の変形例を示す模式図。
【符号の説明】
1,2,3,4,5 HEMT(化合物半導体素子)
105 AlGaNスペーサ層
105c AlN層
110 AlGaN電子供給層
119 チャネル層

Claims (5)

  1. 各々Gaを必須とするIII族元素の窒化物からなる電子供給層と、スペーサ層と、チャネル層とがこの順序にて格子整合形態で接合された構造を有し、前記スペーサ層がAlGaN層からなるとともに、当該スペーサ層の前記チャネル層と接する領域のAlN混晶比を、残余の領域よりも高くするとともに、
    前記スペーサ層は、厚さ方向において前記チャネル層と接する一部区間がAlN層とされていることを特徴とする化合物半導体素子。
  2. 前記スペーサ層は、前記チャネル層との接合側においてAlN混晶比が0.3以上とされてなることを特徴とする請求項1記載の化合物半導体素子。
  3. 前記スペーサ層は、前記チャネル層との接合側においてAlN混晶比が0.3以上となっている領域の厚さが1nm以上50nm以下とされていることを特徴とする請求項2記載の化合物半導体素子。
  4. 前記スペーサ層において、前記AlN層の厚さが、該スペーサ層の残余の領域の厚さよりも小さいことを特徴とする請求項1記載の化合物半導体素子。
  5. 前記電子供給層がn型AlGaN層からなり、前記スペーサ層がノンドープのAlGaN層からなり、前記チャネル層がGaN層又はInGaN層からなることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の化合物半導体素子。
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