JP2003229439A - 化合物半導体素子 - Google Patents

化合物半導体素子

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JP2003229439A JP2002190006A JP2002190006A JP2003229439A JP 2003229439 A JP2003229439 A JP 2003229439A JP 2002190006 A JP2002190006 A JP 2002190006A JP 2002190006 A JP2002190006 A JP 2002190006A JP 2003229439 A JP2003229439 A JP 2003229439A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 GaN系の化合物半導体素子において、2D
EG層中の電子濃度を有効に高めることができ、大出力
化を可能とする素子構造を提供する。 【解決手段】 HEMT1は、AlGaN電子供給層1
10のAlN混晶比が、0.15〜0.25に調整され
る。また、AlGaNスペーサ層105がAlGaN電
子供給層110と隣接する部分は、AlGaN電子供給
層110と同じAlN混晶比yを有するAlGa
1−yN層105bとされる。他方、AlGaNスペー
サ層105がGaNチャネル層119と隣接する部分
は、AlGa −yN層105bよりもAlN混晶比
xが高い、AlGa1−xN層105a(例えばx≧
0.3)とされる。AlGaNスペーサ層105の全体
ではなく、GaNチャネル層119との境界領域をなす
AlGa1−xN層105aのみ選択的にAlN混晶
比xを高めることにより、AlGaNスペーサ層105
の格子緩和を防止でき、GaNチャネル層119に大き
なピエゾ電界を印加できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は化合物半導体素子に
関し、特に半導体ヘテロ接合を用いた高速電界効果型ト
ランジスタ等に適用される化合物半導体素子に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、高周波用等に普及している高速半
導体デバイスに、HEMT(High Electron Mobility T
ransistor)がある。HEMTは、GaAs/AlGa
Asヘテロ接合を用いたものが実用化されており、その
優れたマイクロ波・ミリ波特性により、衛星放送用受信
器等の低雑音かつ高速の電界効果トランジスタ(FE
T:Field Effect Transistor)として広く使用されて
いる。その要部は、具体的には、n型にドープされたA
lGaAs電子供給層にノンドープのGaAsチャネル
層(i−GaAs層)をヘテロ接合した半導体多層構造
である。GaAsはAlGaAsよりも電気陰性度が高
いため、n型AlGaAs電子供給層からi−GaAs
チャネル層へ電子の一部が流入し、そのヘテロ接合界面
よりもi−GaAsチャネル層側に逆三角形のポテンシ
ャル井戸が形成される。このポテンシャル井戸内におい
て電子はドナー不純物と空間的に分離された形で閉じ込
められ、不純物散乱の影響を受け難い二次元電子ガス
(以下、本明細書では「2DEG」と記載する)層を形
成する。その結果、i−GaAsチャネル層内の電子
は、ヘテロ接合界面に沿って非常に高い電子移動度を示
し、高速電界効果型トランジスタが実現できる
【0003】他方、近年では、GaAs系化合物に代え
てGaN系化合物を用いたHEMT(以下、GaN系H
EMTという)が、次世代型の高速FETとして注目さ
れている。GaN系化合物はバンドギャップが広く、電
子有効質量から見積もられる飽和電子移動度も高いこと
から、より大出力で高耐圧かつ高温動作可能な高周波デ
バイスを実現できる可能性があり、研究が重ねられてい
る。GaN系化合物を用いたHEMT構造としては、n
型にドープしたAlGaN電子供給層に、GaNあるい
はInGaNチャネル層をヘテロ接合したものが多く試
みられている。チャネル層は不純物による電子散乱の影
響がなるべく生じないように、ノンドープの化合物半導
体により構成される。この場合、これにヘテロ接合され
る電子供給層には比較的多量のn型ドーパントが添加さ
れているから、層成長時等において電子供給層側からチ
ャネル層に不純物拡散することを防止するとともに、チ
ャネル層を不純物から空間的に分離するために、薄いノ
ンドープのAlGaN層がスペーサ層として挿入される
ことが多い。これにより、チャネル層とのヘテロ接合界
面に沿ったキャリアの移動が不純物により散乱されにく
くなり、ひいてはキャリアの移動度が向上するので、デ
バイスの高出力化のみならず、動作速度や周波数特性の
向上も期待できる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、GaN
系HEMTにおいては、これまでのところ、満足の行く
高出力特性が工業的には実現されるには至っていない。
本発明の課題は、チャネル層と電子供給層との間にスペ
ーサ層が挿入されたGaN系の化合物半導体素子におい
て、より大出力化を図ることができ、また、動作速度あ
るいは周波数特性の改善を可能とする素子構造を提供す
ることにある。
【0005】
【課題を解決するための手段及び作用・効果】上記の課
題を解決するために、本発明の化合物半導体素子は、各
々Gaを必須とするIII族元素の窒化物からなる電子
供給層と、スペーサ層と、チャネル層とがこの順序にて
格子整合形態で接合された構造を有し、スペーサ層がA
lGaN層からなるとともに、当該スペーサ層の、チャ
ネル層と接する領域(以下、境界領域ともいう)のAl
N混晶比を、残余の領域よりも高くしたことを特徴とす
る。このような構造を採用することにより、素子の大出
力化を有効に図ることが可能となる。
【0006】電子供給層とチャネル層との間にスペーサ
層を配置する場合、チャネル層側に2DEG層を形成す
るためのヘテロ接合は、実質的にはスペーサ層とチャネ
ル層との間に形成される。素子の大出力化を図るには、
図2に示すように、ヘテロ接合部に形成される三角ポテ
ンシャルをなるべく深くして電子閉じ込め効果を高め、
形成される2DEG層の電子濃度を増加させることが重
要である。
【0007】三角ポテンシャルを深くするためには、ス
ペーサ層側の伝導帯底エネルギーレベルEcの値を高く
することが必要であり、具体的にはスペーサ層をなすA
lGaN混晶のAlN混晶比を増加させて、バンドギャ
ップエネルギーを大きくすることが重要である。他方、
ヘテロ接合により生ずる電気的な分極を大きくし、三角
ポテンシャルをより深く狭くして電子の閉じ込め効果を
高めることも、2DEG層の電子濃度を増加させる上で
有効である。このような分極に寄与する効果は、大きく
分けて2つあり、1つはスペーサ層をなす材料自体が有
する自発分極であり、他方はピエゾ効果(圧電効果)に
よるものである。半導体ヘテロ接合においては、格子定
数の相違する半導体を接合したときの格子整合歪に基づ
く弾性応力場が、ピエゾ電界発生の要因となる。
【0008】従って、ヘテロ接合によりチャネル層側に
作りつけられる電界ε0は、大まかには自発分極電界ε
1とピエゾ電界ε2との和によって表され(すなわち、
ε0=ε1+ε2)、該ε0が大きいほど三角ポテンシャ
ルをより深くする上で有利となる。自発分極電界ε1を
大きくするには、使用する化合物半導体の誘電率を高め
ることが必要であるが、AlGaN混晶からなるスペー
サ層の場合、そのAlN混晶比を高めることが有効であ
る。他方、ピエゾ電界ε2を増加させるには、ヘテロ接
合による格子整合歪を増加させる必要がある。スペーサ
層を構成するAlGaN混晶は、AlN混晶比を増加さ
せることにより格子定数が縮小する。他方、チャネル層
は、スペーサ層よりもEcを小さくする必要があること
から、スペーサ層よりも必ずAlN混晶比の小さいもの
(例えばAlNを含有しないGaNやInGaN)で構
成される。従って、スペーサ層のAlN混晶比を増加さ
せることは、チャネル層との間の格子定数差が拡張する
ことを意味し、格子整合歪の増大ひいてはピエゾ電界ε
2の増加に寄与する。
【0009】図3は、ε1(破線)、ε2(一点鎖線)
及びε0(=ε1+ε2)(実線)が、AlN混晶比に
よりどのように変化するかをごく概念的に図示したもの
である。理論計算によると、あるAlN混晶比まではε
1とε2とは単調に増加し、特にピエゾ電界ε2のほう
が自発分極電界ε1よりも、ε0(ひいては2DEG層
中の電子濃度Ns)に対する寄与が大きく、AlN混晶
比依存性も大きくなることがわかっている。従って、A
lN混晶比をなるべく大きくすることが、一見有利であ
るように思われる。
【0010】しかしながら、AlN混晶比がある限界値
arを超えて大きくなった場合、スペーサ層とチャネル
層との格子定数差が大きくなりすぎ、ミスフィット転位
が導入されて格子緩和を生ずる。その結果、格子緩和に
伴う応力解放により、一点鎖線にて示すピエゾ電界ε2
の寄与が限界値arにおいて急減して、ε0が却って低下
してしまうことにつながる。従って、AlGaNスペー
サ層の全体に渡ってAlN混晶比を増大させる方法で
は、格子緩和が生じないように、AlN混晶比はar以
下の比較的小さな値(例えばAlGa1−aNにおい
てa=0.15〜0.25程度)に留めざるを得ない。
【0011】そこで、本発明では、AlGaNスペーサ
層の全体ではなく、2DEG層に対するピエゾ電界効果
が最も顕著に期待できる、チャネル層との境界領域のA
lN混晶比を、残余の領域に対し選択的に高くすること
で、この問題の解決を図った。すなわちスペーサ層の全
体ではなく、境界領域についてのみAlN混晶比を高め
ること、すなわち格子緩和が生じない程度の厚さに留め
つつAlN混晶比を高めることにより、チャネル層に対
するピエゾ電界印加効果を大幅に増加させることができ
る。また、境界領域のAlN混晶比が高くなることで、
スペーサ層側のEcが上昇し、伝導体不連続値をより大
きくすることができるので自発分極効果も高められる。
これらのことにより、スペーサ層を一様な組成で構成す
る図2(b)と比較して、図2(a)に示すように、チ
ャネル層側に三角ポテンシャルをより深くかつ狭く形成
することができ、2DEG層中の電子濃度の増大ひいて
は素子の高出力化を図ることができる。
【0012】上記本発明の化合物半導体素子において
は、スペーサ層とのヘテロ接合界面に沿ってチャネル層
内に2DEG層が形成される。ここで、スペーサ層のヘ
テロ接合界面を含む領域が、AlGaNのような混晶化
合物にて構成されていると、該混晶化合物による合金散
乱の影響を受けて、2DEG層内のキャリアの移動度が
低下しやすくなる。そこで、スペーサ層の、厚さ方向に
おいてチャネル層と接する一部区間をAlN層とすれ
ば、上記の合金散乱の影響が効果的に抑制され、2DE
G層内のキャリアの移動度を大幅に高めることができ
る。その結果、素子の高出力化ばかりでなく、動作速度
の向上や高周波特性の改善も期待できる。
【0013】ただし、スペーサ層においてAlN層の厚
さが過度に大きくなると、既に説明した格子緩和の問題
を生じ、2DEG層の電子濃度が低下することにつなが
る。この観点から、AlN層の厚さは、望ましくはスペ
ーサ層の残余の領域の厚さよりも小さくするのがよく、
さらに望ましくは、数原子層(例えば2〜10原子層程
度)程度の厚さとするのがよい。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を添付
の図面により説明する。図1は、本発明の電界効果トラ
ンジスタの一例であるHEMT1の積層構造を模式的に
示すものである。該HEMT1は、SiCあるいはサフ
ァイアからなる単結晶基板101上に、GaNからなる
バッファ層102を介して、素子層103をヘテロエピ
タキシャル成長法により形成したものである。具体的に
は、周知の気相成長法、例えばMOVPE(Metalorgan
ic Vapor Phase Epitaxy: 有機金属気相エピタキシャル
成長)法が用いられる。
【0015】素子層103は、バッファ層102に近い
側から、ノンドープのGaNチャネル層119、ノンド
ープのAlGaNスペーサ層105、Si等によりn型
にドープされたAlGaN電子供給層110、電極との
コンタクト層として機能するn型GaN層111がこの
順序にて積層されたものである。そして、n型GaN層
111上には、ドレイン電極106、ソース電極107
が形成され、n型GaN層111の非形成領域に露出す
るn型AlGaN層110にゲート電極108が形成さ
れている。ドレイン電極106とソース電極107とは
n型GaN層111との間でオーミック接合を形成する
金属(例えばTi/Al)により、ゲート電極108は
n型AlGaN電子供給層110との間でショットキー
(Schottky)接合を形成する金属(例えばPd/Au)
により、それぞれ構成されている。AlGaNスペーサ
層105は、n型AlGaN電子供給層110を成長す
る際に、すでに形成されているGaNチャネル層119
にn型ドーパントであるSi等の不純物が拡散すること
を防止するためのものである。
【0016】AlGaNスペーサ層105とGaNチャ
ネル層119との間には、両者の電子親和力の相違か
ら、それらのヘテロ接合界面よりもGaNチャネル層1
19側に三角ポテンシャルが形成される。この三角ポテ
ンシャル内において電子は、ドナー不純物(電子供給層
110内のSi)と空間的に分離された形で閉じ込めら
れて2DEG層を形成する。そして、ドレイン電極10
6とソース電極107との間に電圧を印加し、ゲート電
極108でその電流値を制御しながら、ドレイン電極1
06とソース電極107との間でGaNチャネル層11
9を経由した通電を行う。
【0017】図1のHEMT1においては、AlGaN
電子供給層110のAlN混晶比が、例えば0.15〜
0.25に調整されている。また、AlGaNスペーサ
層105がAlGaN電子供給層110と隣接する部分
は、AlGaN電子供給層110と同じAlN混晶比y
を有するAlGa1−yN層105bとされている。
他方、AlGaNスペーサ層105がGaNチャネル層
119と隣接する部分(境界領域)は、前記したAl
Ga1−yN層105bよりもAlN混晶比xが高い、
AlGa1−xN層105aとされている。
【0018】このように、AlGaNスペーサ層105
の全体ではなく、境界領域をなすAlGa1−xN層
105aのみ選択的にAlN混晶比xを高めることによ
り、AlGaNスペーサ層105の格子緩和を防止で
き、GaNチャネル層119に対してより大きなピエゾ
電界を印加できるほか、自発分極効果も高めることがで
きる。また、GaNチャネル層119との接触側におい
てAlGaNスペーサ層105のEcを高くでき、伝導
体不連続値をより大きくすることもできる。従って、図
2(a)に示すように、GaNチャネル層119に形成
される三角ポテンシャルをより深くかつ狭く形成するこ
とができ、2DEG層における電子閉じ込め効果が高め
られるので、2DEG層内の電子濃度(シートキャリア
濃度として測定可能である)Nsが顕著に改善されて、
より大きな電流を低損失にて流すことができる。
【0019】スペーサ層105は、チャネル層119と
の接合側においてAlN混晶比が0.3以上とされてい
ることが、チャネル層119に対するピエゾ電界効果を
より顕著なものとし、ひいては2DEG層における電子
閉じ込め効果を高める観点において望ましい。すなわ
ち、図1のHEMT1においては、AlGa1−x
層105aのAlN混晶比xが0.3以上となっている
ことが望ましい。他方、上記AlN混晶比は、スペーサ
層105の格子緩和が生じないようにその上限値を定め
る。なお、図1に一点鎖線で示すように、スペーサ層1
05のチャネル層119とのヘテロ接合界面を含む領域
に、数原子層程度のAlN層105cを形成しておく
と、スペーサ層105による2DEG層中のキャリアへ
の合金散乱の影響を軽減することができ、ひいては2D
EG層内のキャリアの移動度を向上させることができ
る。
【0020】また、スペーサ層105は、チャネル層1
19との接合側においてAlN混晶比が0.3以上とな
っている領域(以下、高AlN混晶比領域という)の厚
さt1が1nm以上50nm以下とされていることが望
ましい。該厚さが1nm未満では高AlN混晶比領域の
体積が不足し、ピエゾ電界効果の向上が十分に期待でき
なくなる。他方、該厚さt1が50nmを超えた場合
は、高AlN混晶比領域の格子緩和が進行しやすくな
り、ピエゾ電界効果の向上が同様に期待できなくなる。
図1のHEMT1においては、高AlN混晶比領域の厚
さt1は、AlGa1−xN層105aの厚さに相当
する。
【0021】また、スペーサ層105の全体の厚さt
は、100nm以下に調整することが望ましい。t
100nmを超えると、スペーサ層105を形成するこ
とによる、ソース/ドレイン間の直列抵抗が過度に大き
くなり、大電流を流すことが却って困難となったり、あ
るいは素子の発熱が過剰となったりするなどの不具合に
つながる。
【0022】なお、図1のHEMT1においては、図4
(a)に示すように、電子供給層110側からチャネル
層119側に向けて、スペーサ層105内のAlN混晶
比を1段階(y→x)にて階段状に変化させる組成プロ
ファイルを採用していたが、本発明はこれに限られるも
のではない。例えば、図4(b)に示すように、電子供
給層110側からチャネル層119側に向けて、AlN
混晶比を複数段階に増加させてもよいし、(c)に示す
ように、AlN混晶比を連続的に増加させてもよい。こ
のようにすれば、スペーサ層105の格子緩和が一層生
じにくくなり、チャネル層119との接合側におけるA
lN混晶比をさらに高めることが可能となる。なお、図
中には、AlN混晶比が0.3以上となる領域の厚さt
1を表示している。また、図4(c)においては、スペ
ーサ層105の厚さ方向における中間位置までAlN混
晶比を一定とし、その後AlN混晶比を連続的に増加さ
せているが、スペーサ層105の全厚さに渡って、Al
N混晶比を連続的に増加させるようにしてもよい。
【0023】以下、本発明の化合物半導体素子の変形例
について説明する。図5のHEMT2においては、チャ
ネル層119を、GaNに代えてInGaN混晶により
構成している。InGaNは電子の有効質量がGaNよ
り小さく、電子移動度の向上ひいては素子の高速化に寄
与する。ただし、InGaN混晶の組成をInGa
1−zNにより表したとき、InN混晶比zが増加する
につれて格子定数が増大し、InN混晶比zが過度に大
きくなると、AlGaNスペーサ層105の格子緩和が
より生じやすくなるので、zの値はそのような不具合が
生じない範囲にて設定する。
【0024】次に、図6のHEMT3においては、チャ
ネル層119に対しAlGaNスペーサ層105と反対
側(つまり基板101に近い側)に、別のノンドープの
AlGaN層(以下、AlGaN接続層という)120
を形成した例である。AlGaN接続層120は、Al
GaNスペーサ層105と同様にチャネル層119に対
するピエゾ電界印加効果を有していることから、2DE
G層がより深く狭くなり、電子閉じ込め効果をさらに改
善できる。本実施形態では、AlGaN接続層120以
降の各層の格子緩和防止あるいは結晶性改善を図るため
に、バッファ層102とAlGaN接続層120との間
に、ノンドープのGaN結晶性改善層104を挿入して
いる。なお、図6のHEMT3は、AlGaNスペーサ
層105にのみAlN混晶比を高めたAlGa1−x
N層105aを形成しているが、図7のHEMT4のよ
うに、AlGaN接続層120側にもAlN混晶比を高
めたAlGa1−xN層120aを形成することが可
能である。
【0025】また、図8のHEMT5においては、チャ
ネル層119の両側にAlGaNスペーサ層105,1
05と、AlGaN電子供給層110,110とを形成
している。この構造によると、チャネル層119の両面
に2DEG層が形成される結果、図1のように片面のみ
に2DEG層を形成する構成と比較して、通電可能な電
流値をさらに増大することができ、より大出力の素子を
実現できる。なお、本実施形態においては、AlN混晶
比を高めたAlGa1−xN層105aを、2つのA
lGaNスペーサ層105,105の双方に形成してい
る。また、下側のAlGaN電子供給層110以降に係
る各層の格子緩和防止あるいは結晶性改善を図るため
に、バッファ層102とAlGaN電子供給層110と
の間に、ノンドープのGaN結晶性改善層104を挿入
している。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の化合物半導体素子の一実施形態を示す
模式図。
【図2】図1のヘテロ接合部のバンド構造を、従来の素
子と対比して示す模式図。
【図3】スペーサ層のAlN混晶比と、自発分極電解及
びピエゾ電界との関係を模式的に示す図。
【図4】スペーサ層内のAlN混晶比プロファイルを、
いくつかの変形例とともに示す図。
【図5】本発明の化合物半導体素子の、第一の変形例を
示す模式図。
【図6】同じく第二の変形例を示す模式図。
【図7】同じく第三の変形例を示す模式図。
【図8】同じく第四の変形例を示す模式図。
【符号の説明】
1,2,3,4,5 HEMT(化合物半導体素子) 105 AlGaNスペーサ層 105c AlN層 110 AlGaN電子供給層 119 チャネル層

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 各々Gaを必須とするIII族元素の窒
    化物からなる電子供給層と、スペーサ層と、チャネル層
    とがこの順序にて格子整合形態で接合された構造を有
    し、前記スペーサ層がAlGaN層からなるとともに、
    当該スペーサ層の前記チャネル層と接する領域のAlN
    混晶比を、残余の領域よりも高くしたことを特徴とする
    化合物半導体素子。
  2. 【請求項2】 前記スペーサ層は、前記チャネル層との
    接合側においてAlN混晶比が0.3以上とされてなる
    ことを特徴とする請求項1記載の化合物半導体素子。
  3. 【請求項3】 前記スペーサ層は、前記チャネル層との
    接合側においてAlN混晶比が0.3以上となっている
    領域の厚さが1nm以上50nm以下とされていること
    を特徴とする請求項2記載の化合物半導体素子。
  4. 【請求項4】 前記スペーサ層は、厚さ方向において前
    記チャネル層と接する一部区間がAlN層とされている
    ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記
    載の化合物半導体素子。
  5. 【請求項5】 前記スペーサ層において、前記AlN層
    の厚さが、該スペーサ層の残余の領域の厚さよりも小さ
    いことを特徴とする請求項4記載の化合物半導体素子。
  6. 【請求項6】 前記電子供給層がn型AlGaN層から
    なり、前記スペーサ層がノンドープのAlGaN層から
    なり、前記チャネル層がGaN層又はInGaN層から
    なることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項
    に記載の化合物半導体素子。
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