JP4117416B2 - 湿気硬化型ウレタン組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、硬化時に炭酸ガスによる発泡がなく、特に耐水性、硬化性に優れた湿気硬化型ウレタン組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の湿気硬化型ウレタン組成物としては、特開昭57−94056号公報が知られているが、硬化時に水分とイソシアネート基が反応する際に発生する炭酸ガスのためにしばしば塗膜の膨れが発生する問題がある。膨れの原因となる炭酸ガスの発生を抑えるためにケチミン、エナミン等の湿気解離型の架橋剤が提案されており、その中でも特開平6−293821号公報、特開平7−33852号公報、特開平7−10949号公報等で提案されるオキサゾリジン化合物を用いた組成物は炭酸ガスの発生がなく比較的性能バランスのとれた材料である。しかしながらこれらの材料は耐水後の物性低下が大きく耐久性に劣れ傾向があり改善が求められている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、硬化時に炭酸ガスによる発泡がなく、硬化性に優れ、更に課題であった耐水性を改善したコーティング材を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、こうした課題について鋭意研究の結果、(A)ポリイソシアネートとブチレンエーテル結合を有するポリオキシアルキレンポリオールとN−2−ヒドロキシアルキルオキサゾリジンとを反応して得られるオキサゾリジン変性ウレタンプレポリマーと(B)酸触媒とを含有する湿気硬化型ウレタン組成物からなるコーティング材を提案する。
【0005】
【発明の実施の形態】
本発明に使用されるオキサゾリジン変性ウレタンプレポリマー(A)は、ポリイソシアネートとブチレンエーテル結合を有するポリオキシアルキレンポリオールとN−2−ヒドロキシアルキルオキサゾリジンとを反応して得られるものである。該プレポリマー(A)としては、オキサゾリジン変性ウレタンプレポリマー(A)が、ポリイソシアネートとブチレンエーテル結合を有するポリオキシアルキレンポリオールを反応させて得られ、且つ末端にイソシアネート基を2個以上有するウレタンプレポリマーに、N−2−ヒドロキシアルキルオキサゾリジンを反応させて得られるものが好ましい。
【0006】
本発明でのポリイソシアネートとしては、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、一部をカルボジイミド化されたジフェニルメタンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、水添ジフェニルメタンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート、脂肪族ジイソシアネート、脂環族ジイソシアネート1種又は2種以上の混合物が挙げられる。
【0007】
本発明に於いて、ポリオキシアルキレンポリオールは、ブチレンエーテル結合を有するものであり、好ましくはブチレンエーテル結合を5重量%以上含有するものである。ポリオキシアルキレンポリオールがブチレンエーテル結合を有していることにより、得られる組成物が吸水性等に優れることになる。より好ましいポリオキシアルキレンポリオールとしては、ブチレンエーテル結合を5重量%以上、好ましくは5〜80重量%、より好ましくは10〜70重量%含有するものである。かかるブチレンエーテル結合の含有量であれば、吸水性に優れるばかりでなく、耐水試験後の物性も満足できるものとなる。また、ポリオキシアルキレンポリオールは、好ましくは数平均分子量500〜16000である。
【0008】
かかるポリオキシアルキレンポリオールは、通常エチレングリコール、プロピレングリコール、水、グリセリン、TMP、ペンタエリスリトール等の開始剤成分にブチレンオキサイドを必須成分とし、必要によりエチレンオキサイド、プロピレンオキサイドを公知の方法で付加することによって得られるものである。その際にポリエーテルトリオールを本発明の効果を損なわない範囲で併用できる。
【0009】
本発明では、特にブチレンエーテル結合5〜80重量%、エチレンエーテル結合0〜10重量%及びプロピレンエーテル結合10〜95重量%の範囲のポリオキシアルキレンポリオールが好ましい。
【0010】
また、N−2−ヒドロキシアルキルオキサゾリジンは、例えばホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピルアルデヒド、ブチルアルデヒド、ベンズアルデヒド等のアルデヒド類と例えばジエタノールアミン、ジプロパノールアミン等のジヒドロキシアルキルアミン類との公知の縮合反応により得られる化合物である。
【0011】
本発明に使用されるオキサゾリジン変性ウレタンプレポリマー(A)は、通常ポリイソシアネートとブチレンエーテル結合を有するポリオキシアルキレンポリオールとから得られる末端にイソシアネート基を2個以上有するウレタンプレポリマーにN−2−ヒドロキシアルキルオキサゾリジンを反応して得られるものが好ましく、その際のウレタンプレポリマーとN−2−ヒドロキシアルキルオキサゾリジンとの反応比は、NCO/0H=2.0〜10.0が好ましい。NCO/0Hがかかる範囲であれば優れた硬化性を得ることが出来る。
【0012】
尚、N−2−ヒドロキシアルキルオキサゾリジンと反応するウレタンプレポリマーの末端イソシアネート基数は、好ましくは2以上、より好ましくは2〜3である。更に該プレポリマーを構成するポリイソシアネートとポリオキシアルキレンポリオールとのNCO/OH比は好ましくは1.4以上、更に好ましくは1.4〜5.0である。ウレタンプレポリマーの残存NCO%は、好ましくは1〜20重量%である。
【0013】
本発明の組成物は、オキサゾリジン変性ウレタンプレポリマー(A)を主成分とし、その硬化触媒として酸触媒が含有している。かかる酸触媒としては、オキサゾリジン含有ウレタン化合物(B)中のオキサゾリジン基を加水分解し得るものであれば差し支えなく、例えば硫酸、硝酸、塩酸、燐酸、炭酸、アルキルベンゼンスルホン酸、安息香酸、サリチル酸、フタル酸、テレフタル酸、蟻酸、酢酸、マレイン酸、フマル酸等の公知の有機、無機酸及びそれらの塩を挙げることが出来る。特に硬化性の点から燐酸、サリチル酸、燐酸塩及び無水フタル酸が好ましい。酸触媒の使用量は組成物中に0.001〜1重量%の範囲が好ましい。
【0014】
また、本発明の組成物には、必要により、溶剤、無機充填剤、小量のプロセスオイル、可塑剤、揺変剤、体質顔料、耐侯性維持向上のための紫外線防止剤、安定剤等各種添加剤などを含んでいてもよい。これら混合物が均一に混合でき、且つ保存性が確保できるのに十分なる混合、混練装置により製造する事ができる。
【0015】
溶剤類としては、トルエン、キシレン、酢酸エチル等の通常のウレタン用溶剤が使用できる。
【0016】
揺変剤としては、フュームドシリカ、表面処理炭酸カルシウム、ポリ塩化ビニルパウダー、ベントナイト等があげられる。このほか本発明の組成物には石油系高沸点芳香族系留分,石油樹脂等を混合しても良い。
【0017】
可塑剤としては、例えばジブチルフタレート、ジオクチルフタレート、ジウンデシルフタレート、ジラウリルフタレート、ブチルベンジルフタレート、ジイソデシルフタレート、ジブチルアジペート、ジオクチルアジペート、ジイソノニルアジペート、ジイソノニルアジペート、ジオクチルアゼレート、ジオクチルセバケート等のエステル系可塑剤やトリオクチルホスフェート、トリフェニルホスフェート等の燐酸エステル系可塑剤が挙げられる。
【0018】
安定剤としては、例えば、酸化防止剤、紫外線吸収剤等が挙げられる。無機充填剤としては、例えば炭酸カルシウム、酸化カルシウム、クレー、タルク、酸化チタン、硫酸アルミニウム、カオリン、ゼオライト、硅そう土、ガラスバルーン等の無機化合物の粉粒体が挙げられる。その添加量は、組成物中に好ましくは1〜50重量%である。
【0019】
本発明の組成物は、代表される用途としてコーティング材、シーリング材、接着剤、プライマー等に使用することができる。
【0020】
コーテイング材とは、塗料、建築物の屋根防水材、壁面防水材、駐車場防水材、競技場の表面舗装材等に利用できるものである。又、シーリング材とは、コンクリート、サイジングボード、金属等土木用建築用シーリング材に利用できるものである。更に、接着剤としては、プラスチック床材等建築物内装材の接着剤、屋上防水シートの接着剤、タイル、シートの接着剤、;自然石、セラミック、ゴム、木等の粒状物、繊維状物の接着剤(バインダー)として利用できるものである。
【0021】
【実施例】
次に、本発明を、実施例、比較例により詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。以下において部および%は特に断りのない限り、すべて重量基準であるものとする。
【0022】
<プレポリマーの合成>
(ウレタンプレポリマーの作製例1)
数平均分子量2000のポリブチレンエーテルジオール700g(0.35モル)、エチレンオキサイド含有量10重量%で数平均分子量3000のポリエチレンプロピレンエーテルトリオール300g(0.1モル)に2,4−トリレンジイソシアネート191.4g(1.1モル)、すなわちNCO/OHの当量比2.2にて窒素気流下で80℃にて20時間フラスコ中で撹拌しながら反応させNCO%が4.25%のウレタンプレポリマー(A−1)を得た。このウレタンプレポリマー1000gに対して2ーイソプロピル3(2ヒドロキシエチル)1,3オキサゾリジンを53g(0.33モル)を加え、80℃にて10時間反応させウレタンプレポリマー(B−1)を得た。本ウレタンプレポリマーのGPCを測定した結果、残存している2−イソプロピル3(2ヒドロキシエチル)1,3オキサゾリジンの含有率は1%以下であることを確認した。
【0023】
(ウレタンプレポリマーの作製例2)
エキレンオキサイド含有量3重量%で数平均分子量2000のポリプロピレンエーテルジオール700g(0.35モル)、数平均分子量3000のポリブチレンエーテルトリオール300g(0.1モル)に2,4−トリレンジイソシアネート191.4g(1.1モル)、すなわちNCO/OHの当量比2.2にて窒素気流下で80℃にて20時間フラスコ中で撹拌しながら反応させNCO%が4.24%のウレタンプレポリマー(A−2)を得た。このウレタンプレポリマー1000gに対して2ーイソプロピル3(2ヒドロキシエチル)1,3オキサゾリジンを53g(0.33モル)を加え、80℃にて10時間反応させウレタンプレポリマー(B−2)を得た。本ウレタンプレポリマーのGPCを測定した結果、残存している2−イソプロピル3(2ヒドロキシエチル)1,3オキサゾリジンの含有率は1%以下であることを確認した。
【0024】
(ウレタンプレポリマーの作製例3)
ウレタンプレポリマーの作成例1において数平均分子量2000のポリブチレンエーテルジオール700g(0.35モル)の代わりに数平均分子量2000ポリプロピレンエーテルジオール700g(0.35モル)を用いたこと以外は同様の方法で合成し、NCO%が4.21%のウレタンプレポリマー(A−3)を得た。また、同様に2ーイソプロピル3(2ヒドロキシエチル)1,3オキサゾリジンを加えて反応させウレタンプレポリマー(B−3)を得た。本ウレタンプレポリマーのGPCを測定した結果、残存している2−イソプロピル3(2ヒドロキシエチル)1,3オキサゾリジンの含有率は1%以下であることを確認した。
【0025】
(ウレタンプレポリマーの作製例4)
ウレタンプレポリマーの作成例1において数平均分子量3000のポリブチレンエーテルジオール300g(0.1モル)の代わりに数平均分子量3000ポリプロピレンエーテルジオール300g(0.1モル)を用いたこと以外は同様の方法で合成し、NCO%が4.24%のウレタンプレポリマー(A−4)を得た。また、同様に2ーイソプロピル3(2ヒドロキシエチル)1,3オキサゾリジンを加えて反応させウレタンプレポリマー(B−4)を得た。本ウレタンプレポリマーのGPCを測定した結果、残存している2−イソプロピル3(2ヒドロキシエチル)1,3オキサゾリジンの含有率は1%以下であることを確認した。
【0026】
(実施例1〜2,比較例1〜2)
密閉型プラネタリーミキサー中に120℃で5時間減圧乾燥し、水分を0.05%以下に調整した炭酸カルシウム NS−200(日東粉化製)を350部、上記合成例のウレタンプレポリマー500部、ジオクチルフタレート90部、サリチル酸0.2部、微粉末にしたテレフタル酸5部及びキシレン80部を加え均一に混合した後、60トールの減圧下で脱泡して湿気硬化型ウレタンコンパウンドを得た。得られたウレタンコンパウンドを下記試験に供した。その結果を表1に示す。
【0027】
[試験方法]
(硬化性試験)
硬化性は四方を枠で囲い離型紙を貼ったガラス板(30×30cm)上に厚さ1.5mmの割合で試料を流し、25℃×50%の条件下で放置し、指で触り塗膜の動きが無くなるまでの時間を測定した。
【0028】
(非発泡性試験)
非発泡性は四方を枠で囲ったスレート板(30×30cm)上に厚さ2mmの割合で試料を流し、50℃×90%の条件下で硬化させた後、塗膜表面のフクレ、ピンホールの有無を観察した。フクレ、ピンホールの無いものは○、フクレ、ピンホールが有るものは×とした。
【0029】
(引張物性試験)
引張物性は四方を枠で囲い離型紙を貼ったガラス板(30×30cm)上に厚さ1.5mmの割合で試料を流し、25℃×50%の条件下で14日間放置し硬化させた後、引張試験機を用い引張速度500mm/minの条件で常態の引張強度(kg/cm2)、破断伸度(%)を測定した。
【0030】
(耐水性試験)
常態引張物性試験法に準じて作製したダンベル3号型試験片を60℃で30日間浸漬した後取り出し、表面の水を拭った後、直ちに重量を測定し、浸漬前と比べて重量増加率を測定する。次に25℃×50%の条件下で4時間放置後に常態引張物性試験法に準じて引張強度(kg/cm2)、破断伸度(%)を測定した。
【0031】
【表1】
[配合条件及び試験結果]
【0032】
比較例1及び2のブチレンエーテル結合を含まないプレポリマーからなる組成物は耐水試験後の吸水率(重量増加率)が高く、更に耐水後の物性低下が大きい結果となった。
【0033】
【発明の効果】
本発明の組成物は、硬化時に炭酸ガスによる発泡がなく、硬化性に優れ、更に課題であった耐水性を改善した材料である。
Claims (3)
- (A)ポリイソシアネートとブチレンエーテル結合を有するポリオキシアルキレンポリオールとN−2−ヒドロキシアルキルオキサゾリジンとを反応して得られるオキサゾリジン変性ウレタンプレポリマーと(B)酸触媒とを含有する湿気硬化型ウレタン組成物からなることを特徴とするコーティング材。
- ブチレンエーテル結合を有するポリオキシアルキレンポリオールが、ブチレンエーテル結合を5重量%以上含有するものである請求項1記載のコーティング材。
- オキサゾリジン変性ウレタンプレポリマー(A)が、ポリイソシアネートとブチレンエーテル結合を有するポリオキシアルキレンポリオールを反応させて得られ、且つ末端にイソシアネート基を2個以上有するウレタンプレポリマーに、N−2−ヒドロキシアルキルオキサゾリジンを反応させて得られるものである請求項1又は2記載のコーティング材。
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