JP4964631B2 - 2成分型ウレタン樹脂組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、ポリイソシアネートにN−ヒドロキシアルキルオキサゾリジンを反応させて得られるウレタンポリオキサゾリジン化合物とウレタンプレポリマーとを含有する第1成分および水を含有する第2成分からなる2成分型ウレタン樹脂組成物に関する。
原料として芳香族イソシアネートを用いた従来のウレタン樹脂組成物を屋外で塗装材等として使用する場合、太陽光により通常黄変するとともにチョーキングやクラックが発生するため、通常、ウレタン樹脂組成物を塗工した後、その表面にアクリル樹脂など耐候性を有する樹脂をトップコートする必要があった。
トップコートの必要のないウレタン樹脂組成物も知られているが、原料として脂肪族および/または脂環式のイソシアネートを用いるため、芳香族イソシアネートを用いた場合に比べて反応性と機械的強度が劣るという問題があった。特に、ウレタン樹脂組成物が1液湿気硬化型の場合には、空気中の水分が硬化反応に関与し、空気との界面から硬化反応が進行するため、反応性の低い脂肪族および/または脂環式のイソシアネートを用いると、表層部分は硬化しても内部まで十分に硬化しないという問題があった。また、主剤と硬化剤とからなる2成分型ウレタン樹脂組成物では、主剤と硬化剤の反応成分、たとえば主剤のイソシアネート成分と硬化剤の活性水素成分についての化学量論比によって主剤と硬化剤の配合比率が決定されるため、所望の特性が得られる配合比率の範囲は通常広くはなく、ある程度の範囲に制約される。主剤と硬化剤の配合比率がこの範囲を外れると硬化反応後に未反応成分が残存するため、硬化物物性が低下したり、良好な表面外観が得られないという問題があった。
従来の2成分型ウレタン樹脂組成物を建築物等の立ち面(垂直面)に用いる場合には、主剤または硬化剤にチクソ性付与剤が配合されるが、この場合も上記と同様、目的とする硬化性等の物性を得るために主剤と硬化剤の配合比率が狭い範囲に制約されるため、チクソ性や粘度は固定され、雰囲気温度や下地温度、下地の状態、塗布厚み等の変化に十分に対応できず、作業性が低下したり、良好な外観が得られないという問題がある。また、1液型ウレタン樹脂組成物を立ち面に用いる場合にも同様の問題があった。
硬化物物性の温度依存性を小さくしたり、硬度と伸びと強度のバランスを確保するために、一般的にウレタン樹脂組成物にフィラーを添加することが知られているが、フィラーが沈降してケーキングが起こることがあり、さらに、1液型の場合にはフィラーが含有する水分により貯蔵安定性が低下することがあった。
特開平9−278864号公報には、分子末端にイソシアネート基を2個以上有するウレタンプレポリマー、有機ポリイソシアネート化合物とN−2−ヒドロキシアルキルオキサゾリジンとの反応化合物、ポリオールおよび/またはポリアミンからなる二液硬化型ポリウレタン樹脂組成物が開示されている。この公報の実施例では、有機ポリイソシアネート化合物としてトリレンジイソシアネート(TDI)を用いているため、機械的強度や反応性は良好であるが、上記ポリウレタン樹脂組成物において有機ポリイソシアネート化合物として脂肪族および/または脂環式のポリイソシアネートを用いると機械的強度や反応性が劣り、実用的ではない。
特開平10−292025号公報には、末端にイソシアネート基を2個以上有するウレタンプレポリマーを主成分とする主剤と、潜在性架橋剤および活性水素化合物を主成分と
する硬化剤からなる二液硬化型ウレタン組成物が開示されている。また、前記潜在性架橋剤として、N−2−ヒドロキシアルキルオキサゾリジンおよび末端にオキサゾリジン基を有するウレタンオキサゾリジンプレポリマーが開示され、活性水素化合物としてポリオール、アミン等が開示されている。この公報には、このウレタン組成物が可使時間が長く、硬化性も速いことが記載されている。ところが、実施例ではTDIが用いられているため硬化は速く、機械的強度も良好であるが、上記ウレタン樹脂組成物において有機ポリイソシアネートとして脂肪族および/または脂環式のポリイソシアネートを用いると硬化性や機械的強度が劣る傾向にあり、実用的ではない。
特開2001−19734号公報には、ポリイソシアネート、活性水素化合物およびN−ヒドロキシアルキル−オキサゾリジンとを反応させて得られる末端遊離イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー、具体的には、ポリイソシアネートと活性水素化合物とを反応させた後、N−ヒドロキシアルキル−オキサゾリジンを反応させて得られる末端遊離イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(実施例参照)を主成分とする主剤と、硬化成分として水を主成分とし、オキサゾリジン環開環促進剤を0.1〜20重量%含む硬化剤とからなる二液硬化型ポリウレタン樹脂組成物が開示されている。この公報には、このポリウレタン樹脂組成物が可使時間が長く、硬化性も速いことが記載されている。ところが、実施例ではTDIが用いられているため硬化は速いが、上記ポリウレタン樹脂組成物においてポリイソシアネートとして脂肪族および/または脂環式のポリイソシアネートを用いると硬化性や機械的強度が劣り、実用的ではない。
特開平9−278864号公報 特開平10−292025号公報 特開2001−19734号公報
本発明は、上記のような従来技術に伴う問題を解決しようとするものであって、トップコートを必要とせず、耐候性に優れ、かつ優れた引張強度、引裂強度および伸びを有する硬化物を得ることができ、さらに貯蔵安定性および硬化性にも優れ、流動性を容易に制御できる2成分型ウレタン樹脂組成物を提供することを目的としている。また、硬化時の環境雰囲気や作業性、塗布厚みを考慮して第1成分と第2成分の配合比率を幅広く変更しても、物性がほぼ一定の硬化物(硬化膜)を得ることができる2成分型ウレタン樹脂組成物を提供することを目的としている。
本発明者らは、上記問題点を解決すべく鋭意研究した結果、ポリイソシアネートにN−ヒドロキシアルキルオキサゾリジンを反応させて得られるウレタンポリオキサゾリジン化合物とウレタンプレポリマーとを含有する第1成分と、水を含有する第2成分とを混合することによって、上記特性を有する硬化物が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明に係る第一の型ウレタン樹脂組成物は、
(I−1)脂肪族および/または脂環式のポリイソシアネートに数平均分子量が1000以上のポリオキシアルキレンポリオールおよび数平均分子量が1000未満の低分子ポリオールを反応させて得られるイソシアネート基末端ウレタンプレポリマー(A)と、
脂肪族および/または脂環式のポリイソシアネートに該ポリイソシアネートのイソシアネート基1モルに対して水酸基換算で0.9〜1.1モルのN−ヒドロキシアルキルオキサゾリジンを反応させて得られるウレタンポリオキサゾリジン化合物(B)とを、
前記ウレタンプレポリマー(A)のイソシアネート基1モルに対して該ウレタンポリオキサゾリジン化合物(B)を0.025〜0.5モルの割合で含有する成分、および
(II)水を含有する成分
からなることを特徴とする。
また、本発明に係る第二の型ウレタン樹脂組成物は、
(I−2)脂肪族および/または脂環式のポリイソシアネートに該ポリイソシアネートのイソシアネート基1モルに対して水酸基換算で0.9〜1.1モルのN−ヒドロキシアルキルオキサゾリジンを反応させて得られるウレタンポリオキサゾリジン化合物(B)と、脂肪族および/または脂環式のポリイソシアネートに数平均分子量が1000以上のポリオキシアルキレンポリオールおよび数平均分子量が1000未満の低分子ポリオールを反応させて得られるイソシアネート基末端ウレタンプレポリマー(A)に、該ウレタンプレポリマー(A)のイソシアネート基1モルに対して水酸基換算で0.32モル以下のN−ヒドロキシアルキルオキサゾリジンを付加したイソシアネート基とオキサゾリジン環とを含有するウレタンプレポリマー(C)とを、
前記ウレタンプレポリマー(C)のイソシアネート基1モルに対して前記ウレタンポリオキサゾリジン化合物(B)およびウレタンプレポリマー(C)に含まれるオキサゾリジン環が水と反応して開環した場合に生成するOH基とNH基の合計量が0.1〜2.0モルとなる割合で前記ウレタンポリオキサゾリジン化合物(B)を含有する成分、および
(II)水を含有する成分
からなることを特徴とする。
さらに、本発明に係る第三の型ウレタン樹脂組成物は、
(I−3)脂肪族および/または脂環式のポリイソシアネートに数平均分子量が1000以上のポリオキシアルキレンポリオールおよび数平均分子量が1000未満の低分子ポリオールを反応させて得られるイソシアネート基末端ウレタンプレポリマー(A)と、
脂肪族および/または脂環式のポリイソシアネートに該ポリイソシアネートのイソシアネート基1モルに対して水酸基換算で0.9〜1.1モルのN−ヒドロキシアルキルオキサゾリジンを反応させて得られるウレタンポリオキサゾリジン化合物(B)と、
脂肪族および/または脂環式のポリイソシアネートに数平均分子量が1000以上のポリオキシアルキレンポリオールおよび数平均分子量が1000未満の低分子ポリオールを反応させて得られるイソシアネート基末端ウレタンプレポリマー(A)に、該ウレタンプレポリマー(A)のイソシアネート基1モルに対して水酸基換算で0.32モル以下のN−ヒドロキシアルキルオキサゾリジンを付加したイソシアネート基とオキサゾリジン環とを含有する含有ウレタンプレポリマー(C)とを、
前記ウレタンプレポリマー(A)のイソシアネート基と前記ウレタンプレポリマー(C)のイソシアネート基との合計1モルに対して、前記ウレタンポリオキサゾリジン化合物(B)およびウレタンプレポリマー(C)に含まれるオキサゾリジン環が水と反応して開環した場合に生成するOH基とNH基の合計量が0.1〜2.0モルとなる割合で含有する成分、および
(II)水を含有する成分
からなることを特徴とする。
前記ポリオキシアルキレンポリオールおよび前記低分子ポリオールはジオールであることが好ましい。
また、前記低分子ポリオールの分子量は134以下が好ましく、前記ポリオキシアルキレンポリオール1モルに対して前記低分子ポリオールが0.2〜2.0モルの割合のポリオキシアルキレンポリオールと低分子ポリオールとの混合物を、ポリイソシアネートと反応させることが好ましい。
前記N−ヒドロキシアルキルオキサゾリジンは、2−イソプロピル−3−(2−ヒドロキシエチル)−1,3−オキサゾリジンであることが好ましい。
前記成分(II)は、前記成分(I−1)〜(I−3)のいずれか1成分中のオキサゾ
リジン環1モルに対して0.5〜20モルの水を含むことが好ましい。また、前記成分(II)に含まれる水の割合は、前記成分(II)に含まれるイソシアネート基と反応可能な全成分に対して95〜100mol%であることが好ましい。
上記2成分型ウレタン樹脂組成物は、前記成分(I−1)〜(I−3)のいずれか1成分100重量部に対して前記成分(II)を50重量部〜300重量部の範囲で配合した場合に、JIS K6252「加硫ゴムの引裂試験方法」に記載の(c)切込み無しアングル形試験片による試験における引裂強度が、常に15.0N/mm以上であることが好ましい。
本発明に係る2成分型ウレタン樹脂組成物は貯蔵安定性および硬化性に優れるとともに、トップコートを必要とせず、耐候性に優れた硬化物を形成できる。また、この組成物は第1成分と第2成分との配合比を調整することによって容易にその流動性を制御することができる。さらに、この組成物は、環境雰囲気や作業性を考慮して組成物の粘度やチクソ性を調整するために、第1成分と第2成分の配合比率を幅広く変更しても、物性がほぼ一定の硬化物を得ることができる。また、硬化物物性に対する第1成分と第2成分の配合比率のマージンが大きいため、第1成分と第2成分との配合量を精密に秤量する必要がなく、現場での作業性に優れている。
このような組成物は、建築物の壁や各種構築物の表面、トンネルの内壁等コンクリートの表面保護材や剥落防止材、舗装材、グランド材等の屋外等で使用される樹脂の耐候性向上用塗布材として有用である。
また、得られた硬化物は、引張強度と引裂強度に優れ、適度な伸びを有するため、下地追従性に優れている。
本発明に係る2成分型ウレタン樹脂組成物は、ポリイソシアネートにN−ヒドロキシアルキルオキサゾリジンを反応させて得られるウレタンポリオキサゾリジン化合物とウレタンプレポリマーとを含有する第1成分と水を含有する第2成分とからなる。この第1成分と第2成分とを使用時に混合することによって、第2成分中の水が第1成分中のオキサゾリジン環を開環させ、これによりOH基とNH基が生成し、このOH基とNH基がウレタンプレポリマー中のイソシアネート基と反応して硬化物が形成される。
〔第1成分〕
本発明に用いられる第1成分は、下記成分(I−1)〜(I−3)のいずれかである。(I−1)イソシアネート基末端ウレタンプレポリマー(A)とウレタンポリオキサゾリジン化合物(B)とを含有する成分。
(I−2)ウレタンポリオキサゾリジン化合物(B)とイソシアネート基とオキサゾリジン環とを含有するウレタンプレポリマー(C)とを含有する成分。
(I−3)イソシアネート基末端ウレタンプレポリマー(A)とウレタンポリオキサゾリジン化合物(B)とイソシアネート基とオキサゾリジン環とを含有する含有ウレタンプレポリマー(C)とを含有する成分。
(A)イソシアネート基末端ウレタンプレポリマー:
イソシアネート基末端ウレタンプレポリマー(A)は、脂肪族および/または脂環式のポリイソシアネートに数平均分子量が1000以上のポリオキシアルキレンポリオールおよび数平均分子量が1000未満の低分子ポリオールを反応させることにより得ることができる。
脂肪族ポリイソシアネートとしては、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)が挙げられる。脂環式ポリイソシアネートとしては、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ノルボルナンジイソシアネート(NBDI)、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート(H12−MDI)、1,3−ビス−(イソシアネートメチル)−シクロヘキサン(H6−XDI)等が挙げられる。これらのポリイソシアネートは、1種単独で用いても、2種以上を混合して用いてもよい。ポリイソシアネートとして脂肪族および/または脂環式のポリイソシアネートを用いることによって、黄変しない、耐候性に優れた硬化物が得られる。
本発明に用いられるポリオキシアルキレンポリオールの数平均分子量は1000以上であり、低分子ポリオールの数平均分子量は1000未満、好ましくは134以下である。本発明において、ポリオキシアルキレンポリオールおよび低分子ポリオールはジオールであることが好ましい。好ましいポリオキシアルキレンジオールとしては、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、およびその混合ポリオールが挙げられ、また、好ましい低分子ジオールとしては、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、数平均分子量が1000未満のポリテトラメチレンエーテルグリコール、1,4−ブタンジオール等が挙げられる。
イソシアネート基末端ウレタンプレポリマー(A)を調製する際のポリイソシアネートとポリオキシアルキレンポリオールおよび低分子ポリオールとの混合割合は、イソシアネート基と水酸基との割合が、NCO/OH>1.2(モル比)であればよく、好ましくは1.2<NCO/OH<2.5、より好ましくは1.6<NCO/OH<2.2である。また、ポリオキシアルキレンポリオールと低分子ポリオールとの混合割合は、ポリオキシアルキレンポリオール1モルに対して低分子ポリオールが、好ましくは0.2〜2.0モルであり、より好ましくは0.4〜1.5モルであり、特に好ましくは0.6〜1.2である。
(B)ウレタンポリオキサゾリジン化合物:
ウレタンポリオキサゾリジン化合物(B)は、脂肪族および/または脂環式のポリイソシアネートにこのポリイソシアネートのイソシアネート基1モルに対して水酸基換算で0.9〜1.1モルのN−ヒドロキシアルキルオキサゾリジンを反応させることにより得ることができる。反応温度は80〜100℃が好ましい。なお、ウレタンポリオキサゾリジン化合物(B)の生成は赤外分光装置により測定において2250cm-1のピークが消失することにより確認できる。
脂肪族ポリイソシアネートとしては、上記例示した脂肪族ポリイソシアネートが挙げられ、脂環式ポリイソシアネートとしては、上記例示した脂環式ポリイソシアネートが挙げられる。これらのうち、IPDI、HDI、H6−XDIが好ましい。これらのポリイソシアネートは、1種単独で用いても、2種以上を混合して用いてもよい。ポリイソシアネートとして脂肪族および/または脂環式のポリイソシアネートを用いることによって、黄変しない、耐候性に優れた硬化物が得られる。
本発明で使用されるN−ヒドロキシアルキルオキサゾリジンは、下記式(1)で表される、オキサゾリジン環の窒素原子に、末端に水酸基を有する置換基が結合したものであれば良い。
Figure 0004964631
式(1)中、R1は水素原子または1価の有機基であり、好ましくは水素原子または炭
素数1〜5の炭化水素基である。R2は2価の有機基であり、好ましくは炭素数2〜5の
アルキレン鎖である。R1で示される炭素数1〜5の炭化水素基としては、例えば、メチ
ル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基が挙げられ、炭素数3のイソプロピル基[−CH2(CH32]がより好ましく、R2で示される炭素数2〜5のアルキレン鎖としては、例えば、エチレン鎖またはプロピレン鎖などが挙げられ、炭素数2のエチレン鎖[−CH2−CH2−]がより好ましい。また、特に好ましいR1とR2との組み合わせとしては、R1がイソプロピル基[−CH2(CH32]とR2がエチレン鎖[−CH2−CH2−]
の組み合わせが挙げられる。このようなR1およびR2を有するN−ヒドロキシアルキルオキサゾリジンは2成分混合後の反応性の点で良好であり好ましい。
上記N−ヒドロキシアルキルオキサゾリジンは、ジエタノールアミンなどの1分子中に2個の水酸基と1個のアミノ基とを有する化合物と、プロピオンアルデヒド、イソブチルアルデヒド、n−ヘキサナール、ベンズアルデヒドなどのアルデヒド類とを反応させることにより調製できる。この反応は、通常、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの有機溶媒中で温度70〜150℃の範囲で、脱水反応により生成した水を反応系から除去しながら実施する。上記組み合わせのうち、反応性の観点から、ジエタノールアミンとイソブチルアルデヒドとを反応させることが好ましく、この組み合わせにより生成する、2−イソプロピル−3−(2−ヒドロキシエチル)−1,3−オキサゾリジンが好ましい。
(C)オキサゾリジン環含有ウレタンプレポリマー:
オキサゾリジン環含有ウレタンプレポリマー(C)は、上記イソシアネート基末端ウレタンプレポリマー(A)に、このウレタンプレポリマー(A)のイソシアネート基1モルに対して水酸基換算で0.32モル以下のN−ヒドロキシアルキルオキサゾリジンを付加させることにより得ることができる。反応温度は70〜90℃が好ましい。この反応により、イソシアネート基とオキサゾリジン環とを有するウレタンプレポリマー(C)を得ることができる。
N−ヒドロキシアルキルオキサゾリジンとしては、上記例示した式(1)で表される化合物が挙げられ、上記と同様に、ジエタノールアミンとイソブチルアルデヒドとを反応させることにより得られる2−イソプロピル−3−(2−ヒドロキシエチル)−1,3−オキサゾリジンが好ましい。
(1)成分(I−1)
成分(I−1)は、上記イソシアネート基末端ウレタンプレポリマー(A)とウレタンポリオキサゾリジン化合物(B)とを含有する。このとき、ウレタンポリオキサゾリジン化合物(B)はウレタンプレポリマー(A)1モルに対して0.025〜0.5モル(オキサゾリジン環が水と反応して開環した場合に生成するOH基とNH基との合計量で0.1〜2.0モル)、好ましくは0.1〜0.3モル(同様に0.4〜1.2モル)、より好ましくは0.15〜0.25モル(同様に0.6〜1.0モル)の割合で含まれる。ウレタンプレポリマー(A)とウレタンポリオキサゾリジン化合物(B)との割合が上記範
囲にあると、硬化性に優れ、発泡もなく、良好な外観を有する硬化物(硬化膜)を得ることができる。特に、上記割合が0.025モル未満になると硬化物中に多数のボイドが発生する。これは、オキサゾリジン環の開環により発生するOH基やNH基が少なく、NCO基と水との反応が進行して炭酸ガスを発生して発泡するためと考えられる。一方、上記割合が0.5モルを超えると得られる硬化物の物性が低下する。これは、未反応のOH基やNH基が残存して重合反応を阻害するためと考えられる。
(2)成分(I−2)
成分(I−2)は、上記ウレタンポリオキサゾリジン化合物(B)とオキサゾリジン環含有ウレタンプレポリマー(C)とを含有する。このとき、ウレタンポリオキサゾリジン化合物(B)は、ウレタンポリオキサゾリジン化合物(B)およびオキサゾリジン環含有ウレタンプレポリマー(C)のオキサゾリジン環が水と反応して開環した場合に生成するOH基とNH基の合計量がウレタンプレポリマー(C)のイソシアネート基1モルに対して0.1〜2.0モル、好ましくは0.4〜1.2モル、より好ましくは0.6〜1.0モルの範囲となる割合で含まれる。ウレタンポリオキサゾリジン化合物(B)とオキサゾリジン環含有ウレタンプレポリマー(C)とを上記割合で含有すると未反応物の残存量が少なく、優れた物性を有する硬化物が得られる。特に、上記割合が0.1モル未満になると硬化物中に多数のボイドが発生する。これは、オキサゾリジン環の開環により発生するOH基やNH基が少なく、NCO基と水との反応が進行して炭酸ガスを発生して発泡するためと考えられる。一方、上記割合が2.0モルを超えると得られる硬化物の物性が低下する。これは、未反応のOH基やNH基が残存して重合反応を阻害するためと考えられる。
(3)成分(I−3)
成分(I−3)は、上記イソシアネート基末端ウレタンプレポリマー(A)とウレタンポリオキサゾリジン化合物(B)とオキサゾリジン環含有ウレタンプレポリマー(C)とを含有する。このとき、前記ウレタンプレポリマー(A)のイソシアネート基と前記ウレタンプレポリマー(C)のイソシアネート基との合計1モルに対して、前記ウレタンポリオキサゾリジン化合物(B)およびウレタンプレポリマー(C)に含まれるオキサゾリジン環が水と反応して開環した場合に生成するOH基とNH基の合計量は0.1〜2.0モル、好ましくは0.4〜1.2モル、より好ましくは0.6〜1.0モルである。イソシアネート基とOH基とNH基の合計量との割合が上記範囲にあると未反応物の残存量が少なく、優れた物性を有する硬化物が得られる。特に、上記割合が0.1モル未満になると硬化物中に多数のボイドが発生する。これは、オキサゾリジン環の開環により発生するOH基やNH基が少なく、NCO基と水との反応が進行して炭酸ガスを発生して発泡するためと考えられる。一方、上記割合が2.0モルを超えると得られる硬化物の物性が低下する。これは、未反応のOH基やNH基が残存して重合反応を阻害するためと考えられる。
なお、上記ウレタンプレポリマー(A)、ウレタンポリオキサゾリジン化合物(B)およびウレタンプレポリマー(C)の割合は、イソシアネート基とOH基とNH基の合計量との割合が上記範囲になるように適宜設定することができる。
〔第2成分〕
本発明に用いられる第2成分(II)は、必須成分として水を含有する。この成分(II)中の水の量は、上記第1成分中、すなわち上記成分(I−1)〜(I−3)のいずれか1成分中のオキサゾリジン環1モルに対して、好ましくは0.5〜20モル、より好ましくは0.5〜15モル、特に好ましくは0.5〜10モルである。水の量が上記範囲にあると完全硬化時間が短く、機械的強度に優れた硬化物が得られる。また、上記成分(II)に含まれる水の割合は、上記成分(II)に含まれるイソシアネート基と反応可能な全成分に対して、好ましくは95〜100mol%、より好ましくは96〜100mol
%、特に好ましくは97〜100mol%である。なお、水は、イソシアネート基と反応可能な成分であるが、本発明では、水は先ず優先的にオキサゾリジン環の開環反応に寄与し、開環して生成されるNH基や1級のOH基が水よりも素早やくイソシアネート基と反応する。この反応で、大部分のイソシアネート基が消費され、僅かに残ったイソシアネート基はオキサゾリジン環の開環反応に寄与せずに残った水や、空気中の水分と徐々に反応する。従って、オキサゾリジン環の開環反応で消費されなかった水の大部分は徐々に系外に放散すると考えられる。
上記成分(II)に含まれる水以外のイソシアネート基と反応可能な成分としてはアミン類が挙げられる。このアミン類としては、メチルアミン、ジメチルアミン、ブチルアミン、ジブチルアミン等のモノアミンや、エチレンジアミン、イソホロンジアミン、ノルボルナンジアミン等のジアミン等の分子量300以下のアミン類が好ましい。上記成分(II)にこれらのアミン類が含まれる場合、上記成分(II)中のイソシアネート基と反応可能な全成分に対して、5mol%未満が好ましく、4mol%未満がより好ましく、3mol%未満が特に好ましい。上記割合でアミン類を含有させると、第1成分と第2成分とを混合後に、オキサゾリジン環が開環して発生するOH基およびNH基とイソシアネート基との反応性に影響を与えずに、チクソ発現性を付与することができる。また、オキサゾリジン環が開環して発生するOH基およびNH基とイソシアネート基との反応が主反応となり、第1成分と第2成分とを100:50〜100:300の広範囲で変化させても、可使時間や完全硬化時間、硬化後の塗膜物性に影響を与えずに、配合比によって流動性とチクソ性をコントロールすることができる。なお、上記成分(II)が水以外のイソシアネート基と反応可能な成分が上記範囲を超えて含むと、第2成分が第1成分の硬化剤として作用するため、第1成分と第2成分の配合比の範囲が狭くなり、作業環境の変化に十分に対応できず、作業性が低下する。
上記成分(II)は、さらに必要に応じてイソシアネート基と反応しない成分を含んでいてもよい。ここで、「イソシアネート基と反応しない成分」とは、OH基、NH基およびSH基を有しない成分であり、このような成分であれば、上記成分(II)は、液状可塑剤や無機フィラー、硬化触媒、その他の添加剤を含んでいてもよい。
上記液状可塑剤としては、OH基、NH基およびSH基を有しない、各種エステル類、ノルマルパラフィン類が挙げられる。可塑剤の配合量は作業性や物性等を考慮して適宜設定することができるが、多すぎると、ブリードすることがあるとともに、硬化物物性が低下することがある。
無機フィラーとしては、タルク、アルミナ、クレー、硫酸バリウム、酸化チタン、カオリン、酸化カルシウム、ガラスバルーン、有機バルーン等の粉粒体が挙げられる。特に、樹脂酸や有機酸で表面処理した炭酸カルシウムの添加は、成分(II)がチクソ性を発現するとともに樹脂と無機フィラーとの親和性が向上し、さらに表面処理剤により硬化反応が促進され、硬化物の物性が向上するため好ましい。表面処理した炭酸カルシウムは単独で添加してもよいが、作業性と物性とのバランスを確保するために他のフィラーと併用することが好ましい。表面処理した炭酸カルシウムとしては、シーレッツ500(商品名、丸尾カルシウム(株)製)、カルファイン500(商品名、丸尾カルシウム(株)製)、ライトンA5(商品名、白石カルシウム(株)製)などが挙げられる。
無機フィラーの配合量は、作業性や物性等を考慮して適宜設定することができる。また、無機フィラーの配合量を増大させることによって第2成分をペースト状にすることができ、無機フィラーの沈降を防止できる。
また、無機フィラーを含有させることにより、硬化物物性の温度依存性が小さくなり、
高硬度の硬化物を得ることができる。さらに、無機フィラーを含む組成物はチクソ性を有するため、立ち面に塗布しても液ダレが発生しない。加えて、本発明では、水分を含む可能性があるフィラーを第2成分にのみ含むため、2成分型ウレタン樹脂組成物同様の貯蔵安定性に優れている。
本発明で用いられる硬化触媒としては、水によるオキサゾリジンの開環を促進する触媒と、オキサゾリジン環が水と反応して開環した際に生成するOH基やNH基とイソシアネート基との反応を促進する触媒とがある。これらの触媒は併用することが好ましい。前者としては、オクチル酸、塩化ベンゾイル、アジピン酸等が挙げられる。後者としては、ジブチルチンジラウレート(DBTDL)、オクチル酸ビスマス、ネオデカン酸鉛、スタナスオクトエート等が挙げられる。前者と後者とを併用する場合、その割合は、前者:後者=0.1:1〜1:1の範囲が好ましい。なお、硬化触媒の全添加量は作業性や物性等を考慮して適宜設定することができる。
その他の添加剤としては、酸化防止剤、紫外線吸収剤、耐熱安定剤、高分子光安定剤(HALS)等の各種安定剤、着色のための顔料、染料が挙げられる。また、消泡剤、レベリング材、チクソ付与剤など種々の添加剤も配合できる。
<2成分型ウレタン樹脂組成物およびその硬化物>
本発明のウレタン樹脂組成物は、上記第1成分と第2成分とからなる2成分型である。この組成物は、ウレタン樹脂骨格を形成する成分が全て第1成分に含まれており、第1成分と第2成分との混合割合は、オキサゾリジン環を開環でき、イソシアネート基との反応に十分な量のOH基とNH基とを生成できる範囲であれば特に限定されず、広範囲に変更できる。たとえば、第1成分中のオキサゾリジン環1モルに対して第2成分中の水が好ましくは0.5〜20モル、より好ましくは0.5〜15モル,特に好ましくは0.5〜10モルの範囲である。混合する水の割合が多すぎると組成物全体の硬化が遅くなるとともに、わずかに発泡が起こることがある。水の割合が少なすぎると組成物内部の硬化が表面に比較して遅くなる傾向にある。
第1成分と第2成分との具体的な混合割合(重量比)は、たとえば、第1成分100重量部に対して第2成分が50〜300重量部、好ましくは100〜200重量部であるが、第1成分および第2成分の組成によって適宜設定することができ、上記範囲を超えて混合してもよい。
本発明の2成分型ウレタン樹脂組成物は、上記のように第1成分と第2成分との具体的な混合割合を幅広い範囲で変更してもその硬化物はほぼ一定の物性を示す。たとえば、第1成分100重量部に対して第2成分を50〜300重量部の範囲で変更しても、引裂強度が常に15.0N/mm以上の硬化物を得ることができる。なお、上記引裂強度は、JIS K6252「加硫ゴムの引裂試験方法」に記載の(c)切込み無しアングル形試験片による試験結果である。
[実施例]
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明は、この実施例により何ら限定されるものではない。なお、物性等の評価は以下に示す方法で実施した。
(数平均分子量)
JIS K1557に則って測定したOH価(mgKOH/g)とポリオールの官能基数とから下記式により求めた。
数平均分子量=56109÷OH価×官能基数
(NCO含有率)
JIS K7301「熱硬化性ウレタンエラストマー用トリレンジイソシアネート型プレポリマー試験法」に記載の方法に準じて、自動電位差滴定装置(京都電子工業(株)製)を用いて測定した。
(硬化性)
(1)ドライングレコーダーによる評価
得られたウレタン樹脂組成物の硬化性をRC型ドライングレコーダー(太佑機材(株)製)で12時間連続測定した。得られたウレタン樹脂組成物をRC型ドライングレコーダーのガラス板(25mm×350mm)上に厚さ約0.5mmに塗布し、塗膜中(または塗膜上)をけがき針を動かしながら23±2℃、50±5%RHの条件で硬化させた。けがき針の動いた軌跡により組成物の硬化性を評価した。以下、具体的に可使時間と完全硬化時間の測定方法を示す。
組成物の塗布直後、塗膜が液体の状態では、けがき針は先端がガラス板表面に接した状態で塗膜中を移動し、針が通過した部分は周りの樹脂組成物によって埋め戻され、針の軌跡はすぐに消滅する。その後、硬化反応により塗膜の粘度が上昇し始めると、けがき針は先端がガラス板表面に接した状態で塗膜中を移動するが、針が通過した部分の埋め戻しが起こらず、ガラス板表面が露出し、針の軌跡が残る。さらに硬化が進むと、塗膜が液状から固体状に変化するため、けがき針は塗膜中を移動することができず、塗膜表面を移動する。本発明では、2液混合時から、この塗膜表面をけがき針が移動する状態になるまでの時間を可使時間として表した。
上記状態では、塗膜は完全硬化していないため、塗膜表面に針の軌跡が残るが、さらに硬化反応が進行すると、けがき針が通過しても針の軌跡が残らなくなる。本発明では、2液混合時から、この針の軌跡が残らなくなる状態になるまでの時間を完全硬化時間として表した。
(2)くさび形モールド成形による評価
得られたウレタン樹脂組成物を、幅20mm×長さ70mm、長さ方向に平行な断面が底辺70mm×高さ8mmのくさび形モールドに流し、23±2℃、50±5%RHの環境試験室で24時間硬化した後、下記基準で評価した。
A:くさび形モールドから脱型できた場合。
B:くさび形モールドから脱型できなかった場合。このとき、硬化した部分のみを静かに脱型して、裏返して上記と同一条件で24時間放置し、硬化した部分の厚みを測定した。表1および表2には、上記評価とともにこの厚み(単位:mm)を示した。
(引張強度、破断時伸び、引裂強度)
JIS A6021『「屋根用塗膜防水材」のウレタンゴム系』に記載の方法に準拠して、23±2℃、50±5%RHの条件で測定した。
(耐候性)
JIS A6021『「屋根用塗膜防水材」のウレタンゴム系』に記載の方法に準拠して促進暴露試験装置内に入れ処理をした。
(流動性)
JIS A6021『「屋根用塗膜防水材」のウレタンゴム系』に類似の方法で行った。但し、下地板は300mm×300mm×厚さ3mmのスレート板を使用し、幅10mm×厚さ3mm或いは5mmの型枠を内寸が縦250mm×横45mmとなるように貼り
付けて作成した。水平に置いた下地板上に、試料を気泡が入らないように流し込み、速やかに型枠の表面に沿ってスキージーをかけ、全面を丁寧にならした。次いで、型枠の横辺の一方を外し、この部分が下側になるように試験体を鉛直に保持して標準状態で24時間静置した。その後、たれ長さと、塗膜のしわの発生の有無を確認した。
〔イソシアネート基末端ウレタンプレポリマー(A)の調製〕
ポリエーテルポリオール(三井化学ポリウレタン(株)製、商品名:アクトコールDiol2000、数平均分子量=1958.4)70.97重量部、1,4−ブタンジオール(広島和光(株)製、試薬特級、分子量=90.12)2.18重量部、イソホロンジイソシアネート(ヒュルス社製)26.85重量部をフラスコに入れ、窒素雰囲気下、95℃で1時間加熱混合した。次いで、この混合物にオクチル酸第一錫(広島和光(株)製、試薬特級、商品名:スタノクト)40ppmを添加し、80℃で3時間加熱混合した後、NCO%=5.01%のイソシアネート基末端ウレタンプレポリマー(A1)を得た。
〔N−ヒドロキシアルキルオキサゾリジンの調製〕
還流分液装置の付いたコルベンにジエタノールアミン32.90重量部と共沸溶媒のトルエン40.00重量部とを計量し、これに60℃で攪拌しながらイソブチルアルデヒド27.10重量部を滴下して約130℃に昇温した。イソブチルアルデヒドの滴下による発熱反応によって系内を昇温するとともに還流分液装置で脱水反応を進め、水5.6重量部を除去した。次いで、減圧して過剰のイソブチルアルデヒドとトルエンを除去して2−イソプロピル−3−(2−ヒドロキシエチル)−1,3−オキサゾリジン(以下、「OZ」と略す)を得た。
〔ウレタンポリオキサゾリジン化合物(B)の調製〕
ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)33.42重量部と上記OZ:66.58重量部(イソシアネート基:1モルに対してOZ:1.05モル)とをフラスコに仕込み、これらを窒素雰囲気下、90℃で2時間反応させ、ウレタンポリオキサゾリジン化合物(B1)を得た。なお、ウレタンポリオキサゾリジン化合物(B1)の生成は、赤外分光装置で2250cm-1のピークが消失したことにより確認した。
〔オキサゾリジン環含有ウレタンプレポリマー(C)の調製〕
イソシアネート基末端ウレタンプレポリマー(A1)94.27重量部とOZ:5.73重量部(イソシアネート基:1モルに対してOZ:0.32モル)をフラスコに仕込み、これらを窒素雰囲気下、80℃で3時間反応させ、NCO%=3.21%のイソシアネート基とオキサゾジリン基とを含有するウレタンプレポリマー(C1)(以下、「オキサゾリジン環含有ウレタンプレポリマー(C1)」という)を得た。
〔成分(II)の調製〕
5リットルの2軸ミキサーに、NCO基と反応しない液状可塑剤としてアジピン酸ジイソノニルエステル950重量部を装入し、次いでグレートナー(エムシー工業(株)製)162.5重量部、消泡剤ディスパロンP−450(楠本化成(株)製)15重量部、安定剤B−75(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製)50重量部、および触媒としてジブチルチンジラウレート20重量部、オクチル酸10重量部を装入した。その後、全体が均一になるように5分間撹拌した。次いで、無機フィラーとして酸化チタンR−820(石原産業(株)製)250重量部を攪拌しながら装入し、さらに表面処理炭酸カルシウム/カルファイン#500(丸尾カルシウム(株)製)1400重量部を添加して30分間撹拌・混合した後、重質炭酸カルシウムNS−200(日東粉化工業(株)製)1400重量部を装入して1.5時間室温で混合・撹拌した。その後、イオン交換水50重量部を加えた後、30分間攪拌し、水が飛ばないように5分間脱泡して成分(II−1)を得た。得られた成分(II−1)は、グレーのペースト状であり、流動性はなく、BH
型粘度計で測定した25℃における粘度が200万mPa・s以上であった。
〔成分(ii)の調製〕
5リットルの2軸ミキサーに、NCO基と反応しない液状可塑剤としてアジピン酸ジイソノニルエステル850重量部を装入し、次いでグレートナー(エムシー工業(株)製)157.5重量部、消泡剤P−450(楠本化成(株)製)25重量部、安定剤B−75(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製)50重量部、および触媒としてジブチルチンジラウレート40重量部、オクチル酸15重量部を装入した。その後、全体が均一になるように5分間撹拌した。次いで、無機フィラーとして酸化チタンR−820(石原産業(株)製)250重量部を攪拌しながら装入し、さらに表面処理炭酸カルシウム/カルファイン#500(丸尾カルシウム(株)製)1400重量部を添加して30分間撹拌・混合した後、重質炭酸カルシウムNS−200(日東粉化工業(株)製)1400重量部を装入して1.5時間100℃で混合・撹拌した。さらに30分間攪拌し(水は添加せず)、5分間脱泡して成分(ii−1)を得た。
[実施例1]
表1に示す量のイソシアネート基末端ウレタンプレポリマー(A1)とウレタンポリオキサゾリジン化合物(B1)とを混合して成分(I−1)を調製した。この成分(I−1)100重量部と上記成分(II−1)200重量部とを混合して硬化性および硬化物物性を評価した。その結果を表1に示す。
[実施例2〜6]
表1に示す量のイソシアネート基末端ウレタンプレポリマー(A1)、ウレタンポリオキサゾリジン化合物(B1)およびオキサゾリジン環含有ウレタンプレポリマー(C1)を混合して成分(I−3)を調製した。この成分(I−3)100重量部と表1に示す量の上記成分(II−1)とを混合して硬化性および硬化物物性を評価した。その結果を表1に示す。
[比較例1]
イソシアネート基末端ウレタンプレポリマー(A1)100重量部と上記成分(ii−1)200重量部とを混合したところ、硬化反応中に発泡し、実用的に使用できる硬化物は得られなかった。
[比較例2]
オキサゾリジン環含有ウレタンプレポリマー(C1)100重量部と上記成分(II−1)200重量部とを混合して硬化性および硬化物物性を評価した。その結果を表2に示す。
[比較例3]
成分(II−1)の代わりに成分(ii−1)200重量部を使用した以外は、実施例2と同様にして成分(I−3)と成分(ii−1)とを混合して硬化性および硬化物物性を評価した。その結果を表2に示す。
Figure 0004964631
Figure 0004964631
実施例2〜6によると、本発明に係る2成分型ウレタン樹脂組成物は、ウレタンポリオキサゾリジン化合物およびウレタンプレポリマーを含有する第1成分と水を含有する第2成分との配合比率を変更することによって組成物の流動性を容易に制御できる。また、この配合比率を大きく変更しても、得られる硬化物の特性はほぼ一定であり、硬化時の環境雰囲気や作業性、塗布厚みの大きな変化に対応することができる。
第1成分が100重量部、第2成分が200重量部である実施例1、実施例4と比較例2とを比較すると、ウレタンポリオキサゾリジン化合物を含有する組成物(実施例1、実施例4)は、含有しない組成物(比較例2)より完全硬化時間が短く、硬化性と硬化物物性に優れていることがわかる。
また、本発明のように、第2成分に水を配合することによって、可使時間および完全硬化時間が短縮されるとともに、得られる硬化物の強度等が向上することがわかる(実施例4および比較例3参照)。

Claims (9)

  1. (I−1)脂肪族および/または脂環式のポリイソシアネートに数平均分子量が1000以上のポリオキシアルキレンポリオールおよび数平均分子量が1000未満の低分子ポリオールを反応させて得られるイソシアネート基末端ウレタンプレポリマー(A)と、
    脂肪族および/または脂環式のポリイソシアネートに該ポリイソシアネートのイソシアネート基1モルに対して水酸基換算で0.9〜1.1モルのN−ヒドロキシアルキルオキサゾリジンを反応させて得られるウレタンポリオキサゾリジン化合物(B)とを、
    前記ウレタンプレポリマー(A)のイソシアネート基1モルに対して該ウレタンポリオキサゾリジン化合物(B)を0.025〜0.5モルの割合で含有する成分、および
    (II)水を含有する成分
    からなることを特徴とする2成分型ウレタン樹脂組成物。
  2. (I−2)脂肪族および/または脂環式のポリイソシアネートに該ポリイソシアネートのイソシアネート基1モルに対して水酸基換算で0.9〜1.1モルのN−ヒドロキシアルキルオキサゾリジンを反応させて得られるウレタンポリオキサゾリジン化合物(B)と、
    脂肪族および/または脂環式のポリイソシアネートに数平均分子量が1000以上のポリオキシアルキレンポリオールおよび数平均分子量が1000未満の低分子ポリオールを反応させて得られるイソシアネート基末端ウレタンプレポリマー(A)に、該ウレタンプレポリマー(A)のイソシアネート基1モルに対して水酸基換算で0.32モル以下のN−ヒドロキシアルキルオキサゾリジンを付加したイソシアネート基とオキサゾリジン環とを含有するウレタンプレポリマー(C)とを、
    前記ウレタンプレポリマー(C)のイソシアネート基1モルに対して前記ウレタンポリオキサゾリジン化合物(B)およびウレタンプレポリマー(C)に含まれるオキサゾリジン環が水と反応して開環した場合に生成するOH基とNH基の合計量が0.1〜2.0モルとなる割合で前記ウレタンポリオキサゾリジン化合物(B)を含有する成分、および
    (II)水を含有する成分
    からなることを特徴とする2成分型ウレタン樹脂組成物。
  3. (I−3)脂肪族および/または脂環式のポリイソシアネートに数平均分子量が1000以上のポリオキシアルキレンポリオールおよび数平均分子量が1000未満の低分子ポリオールを反応させて得られるイソシアネート基末端ウレタンプレポリマー(A)と、
    脂肪族および/または脂環式のポリイソシアネートに該ポリイソシアネートのイソシアネート基1モルに対して水酸基換算で0.9〜1.1モルのN−ヒドロキシアルキルオキサゾリジンを反応させて得られるウレタンポリオキサゾリジン化合物(B)と、
    脂肪族および/または脂環式のポリイソシアネートに数平均分子量が1000以上のポリオキシアルキレンポリオールおよび数平均分子量が1000未満の低分子ポリオールを反応させて得られるイソシアネート基末端ウレタンプレポリマー(A)に、該ウレタンプレポリマー(A)のイソシアネート基1モルに対して水酸基換算で0.32モル以下のN−ヒドロキシアルキルオキサゾリジンを付加したイソシアネート基とオキサゾリジン環とを含有する含有ウレタンプレポリマー(C)とを、
    前記ウレタンプレポリマー(A)のイソシアネート基と前記ウレタンプレポリマー(C)のイソシアネート基との合計1モルに対して、前記ウレタンポリオキサゾリジン化合物(B)およびウレタンプレポリマー(C)に含まれるオキサゾリジン環が水と反応して開環した場合に生成するOH基とNH基の合計量が0.1〜2.0モルとなる割合で含有する成分、および
    (II)水を含有する成分
    からなることを特徴とする2成分型ウレタン樹脂組成物。
  4. 前記ポリオキシアルキレンポリオールおよび前記低分子ポリオールがジオールであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の2成分型ウレタン樹脂組成物。
  5. 前記低分子ポリオールの分子量が134以下であり、
    前記ポリオキシアルキレンポリオール1モルに対して前記低分子ポリオールが0.2〜2.0モルの割合のポリオキシアルキレンポリオールと低分子ポリオールとの混合物を、ポリイソシアネートと反応させることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の2成分型ウレタン樹脂組成物。
  6. 前記N−ヒドロキシアルキルオキサゾリジンが、2−イソプロピル−3−(2−ヒドロキシエチル)−1,3−オキサゾリジンであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の2成分型ウレタン樹脂組成物。
  7. 前記成分(II)が、前記成分(I−1)〜(I−3)のいずれか1成分中のオキサゾリジン環1モルに対して0.5〜20モルの水を含むことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の2成分型ウレタン樹脂組成物。
  8. 前記成分(II)に含まれる水の割合が、前記成分(II)に含まれるイソシアネート基と反応可能な全成分に対して95〜100mol%であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の2成分型ウレタン樹脂組成物。
  9. 前記成分(I−1)〜(I−3)のいずれか1成分100重量部に対して前記成分(II)を50重量部〜300重量部の範囲で配合した場合に、JIS K6252「加硫ゴムの引裂試験方法」に記載の(c)切込み無しアングル形試験片による試験における引裂強度が、常に15.0N/mm以上であることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の2成分型ウレタン樹脂組成物。
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