JP5172284B2 - 被覆材の施工方法 - Google Patents

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Description

本発明は被覆材の施工方法に関する。
従来、鉄道および道路の高架橋、橋りょうなどの土木用コンクリートの保護には、ガラスクロスまたは樹脂クロスをセメント系やエポキシ樹脂系で貼付ける工法が使用されてきた。これは、押し抜き試験における強度が優れるからである。しかしながら、セメント系やエポキシ樹脂系は前記のような性能を持つ反面、これらの工法はプライマーを塗布したのち下塗り、クロス貼付け、上塗り、トップコートと工程が多く、施工時間が長いため、車両が走行していない時間や車両の走行を止めて施工するのが困難であった。
例えば、道路高架橋の外壁のコンクリート剥落対策を行う際、エポキシ系樹脂を用いてポリプロピレン製やビニロン製などのクロスを貼付けたのち、耐候性の高いアクリルウレタン塗料をコートする工法が多く行われている(例えば非特許文献1参照)。この工法で得られる塗膜は高い強度ではあるものの、高架橋下の道路の通行に際し車線を規制して高所作業者が停止して作業する場所を確保し、施工を行う必要がある。夜間車両通行の少ない時間で作業を行う場合には、1日における作業時間が短く、また施工に必要な工程が多いために、施工に数日を要しなければならなかった。
また、ウレタン系の材料を用いて塗工する方法も行われているが、これはプライマーを塗布し、ウレタン系材料を塗り付け硬化し、硬化物としたのち、トップコートを塗布する工法である。該方法に用いられているウレタン系材料は耐候性が低いため、耐候性の高いトップコートでオーバーコートする必要があった。このウレタン系材料を塗り付け硬化することにより得られる、硬化物は、トリレンジイソシアネート(以下、TDIとも記す)系のウレタンプレポリマーと、4,4’-メチレンビス(2−クロロベンゼンアミン)(
以下。MBOCAとも記す)とポリオールとフィラーとの混合物とを組み合わせて得られる硬化物であり、該硬化物の機械的強度は比較的低い。このため塗膜厚み1.0mm以上塗り付けないと押し抜き荷重0.5kNを越えることができず、材料を多く使用しなければならない。
土木学会編「表面保護工法設計指針(案)」(2005)
本発明は前記のような課題を解決すべく検討した結果、コンクリート下地との接着性と追従性にすぐれ、高耐候性を有しコンクリート保護のための強度を確保し、かつ工程の少ない被覆材の施工方法を提供することを目的とする。
本発明者らは上記課題を達成するために鋭意研究を重ねた結果、特定のウレタン樹脂組成物からなる被覆材を用いることにより、従来より工程の少ない被覆材の施工方法であっても、高耐候性を有しコンクリート下地との接着性と追従性にすぐれ、コンクリート保護のための強度を確保できることを見いだし、本発明を完成させた。
すなわち本発明の被覆材の成功方法は、
コンクリート下地に、エポキシ樹脂系プライマーおよびウレタン樹脂系プライマーからなる群から選択される1種のプライマーを塗布した後、塗布したプライマー表面上に、少なくとも下記(A)と(B)とを含有するウレタン樹脂組成物からなる被覆材を塗り付け
ることを特徴とする。
(A):脂肪族および/または脂環式のイソシアネート末端ウレタンプレポリマー
(B):下記(b1)および/または(b2)
(b1):脂肪族および/または脂環式のポリイソシアネートにN−ヒドロキシアルキルオキサゾリジンを反応させて得られるウレタンオキサゾリジン化合物
(b2):NH2基を2個以上有するポリアミン化合物とアルデヒド化合物とから合成さ
れるポリアルジミン化合物
前記ウレタン樹脂組成物が、さらにフィラー(C)を含有することが好ましい。
前記ウレタン樹脂組成物が、前記(A)と(B)とを含有する成分(I)および、前記(C)と水(D)とを含有する成分(II)からなる2成分型ウレタン樹脂組成物であることが好ましい。
前記成分(I)が前記(A)と(b1)とを含有する成分であることが好ましい。
前記成分(I)が、脂肪族および/または脂環式のポリイソシアネートに数平均分子量が1000以上のポリオキシアルキレンポリオールおよび数平均分子量が1000未満の低分子ポリオールを反応させて得られるイソシアネート基末端ウレタンプレポリマー(A−1)と、脂肪族および/または脂環式のポリイソシアネートに該ポリイソシアネートのイソシアネート基1モルに対して水酸基換算で0.9〜1.1モルのN−ヒドロキシアルキルオキサゾリジンを反応させて得られるウレタンポリオキサゾリジン化合物(b1−1)とを、前記ウレタンプレポリマー(A−1)のイソシアネート基1モルに対して該ウレタンポリオキサゾリジン化合物(b1−1)を0.025〜0.5モルの割合で含有する成分であることが好ましい。
本発明の被覆材の施工方法は、工程が少なく、それに伴い施工時間が短い。また、該施工方法は、高耐候性を有しコンクリート下地との接着性と追従性にすぐれ、コンクリート保護のための強度を確保することができる。
次に本発明について具体的に説明する。
本発明の被覆材の施工方法は、コンクリート下地に、エポキシ樹脂系プライマーおよびウレタン樹脂系プライマーからなる群から選択される1種のプライマーを塗布した後、塗布したプライマー表面上に、少なくとも下記(A)と(B)とを含有するウレタン樹脂組成物からなる被覆材を塗り付けることを特徴とする方法である。
(A):脂肪族および/または脂環式のイソシアネート末端ウレタンプレポリマー
(B):下記(b1)および/または(b2)
(b1):脂肪族および/または脂環式のポリイソシアネートにN−ヒドロキシアルキルオキサゾリジンを反応させて得られるウレタンオキサゾリジン化合物
(b2):NH2基を2個以上有するポリアミン化合物とアルデヒド化合物とから合成
されるポリアルジミン化合物
本発明の被覆材の施工方法は、必須の工程が、コンクリート下地に、上記プライマーを塗布する工程と、塗布したプライマー表面上に被覆材を塗り付ける工程との2工程であるため、施工時間を従来よりも短縮することができる。
コンクリート下地は、予め下地処理を施しておいても良い。下地処理としては、含水率5%以下に乾燥させた下地コンクリートの表面を研磨、清掃する方法が挙げられる。また、下地コンクリートに欠損部がある場合には、下地処理として、エポキシ樹脂系またはアクリル樹脂系の下地調整材を用いて表面が平滑になるよう処理を行うことが好ましい。
本発明の被覆材の施工方法は、後述する特定のプライマーおよび被覆材を用いることによって、従来よりも工程数が少なくても、コンクリート下地との接着性と追従性にすぐれ、コンクリート保護のための強度を確保することができる。なお、本発明に用いる被覆材は、好適に塗り付けることができ、時間の経過と共に硬化し、硬化物(被覆膜)となる。
また、本発明に用いる被覆材は、(A)脂肪族および/または脂環式のイソシアネート末端ウレタンプレポリマーを用いることにより耐候性が高く、アクリルウレタン系トップコート等のトップコートをさらに塗布する必要がない。
なお、本発明において、コンクリート保護のための強度を確保することができるとは、押し抜き試験によって、0.5kN以上の押し抜き試験荷重を有することを言う。押し抜き試験方法は、旧首都高速道路公団保全施設部保全技術課「コンクリート構造物における新しい材料による補強の適用性検討・性能評価試験実施計画書(案)」B種に従って実施することができる。
〔プライマー〕
プライマーとしては、エポキシ樹脂系プライマーおよびウレタン樹脂系プライマーからなる群から選択される1種のプライマーを使用できる。
エポキシ樹脂系プライマーとしては、例えばケミクリートEプライマー(エービーシー商会製)、クリートボンドCAプライマー(エービーシー商会製)、プロテクリートSプライマーE(エービーシー商会製)を使用することができる。
ウレタン樹脂系プライマーとしては、例えばサンPC(三井化学ポリウレタン製)、プロテクリートSプライマーU(エービーシー商会製)を使用できる。
多くの土木用コンクリート下地の場合水分量が多いため、エポキシ系プライマーを用いると十分な接着強度を安定して確保できるため好ましい。
プライマーの塗布はスプレー、刷毛、コテ、ヘラやこれらに準ずる施工機械を用いて行うことができる。プライマーは塗布量が通常0.05〜0.3kg/m2、好ましくは0
.1〜0.2kg/m2で塗布される。
〔被覆材〕
本発明に用いる被覆材は、少なくとも下記(A)と(B)とを含有するウレタン樹脂組成物からなる。
(A):脂肪族および/または脂環式のイソシアネート末端ウレタンプレポリマー
(B):下記(b1)および/または(b2)
(b1):脂肪族および/または脂環式のポリイソシアネートにN−ヒドロキシアルキルオキサゾリジンを反応させて得られるウレタンオキサゾリジン化合物
(b2):NH2基を2個以上有するポリアミン化合物とアルデヒド化合物とから合成
されるポリアルジミン化合物
ウレタン樹脂組成物は、さらにフィラー(C)を含むことがコンクリート保護のための強度の観点から好ましい。
また、ウレタン樹脂組成物としては、前記(A)と(B)とを含有する成分(I)と、前記(C)と水(D)とを含有する成分(II)とからなる2成分型ウレタン樹脂組成物であることが好ましい。なお、前記成分(I)としては、(A)と(b1)とを含有する成分であることが好ましく、前記成分(I)が、脂肪族および/または脂環式のポリイソ
シアネートに数平均分子量が1000以上のポリオキシアルキレンポリオールおよび数平均分子量が1000未満の低分子ポリオールを反応させて得られるイソシアネート基末端ウレタンプレポリマー(A−1)と、脂肪族および/または脂環式のポリイソシアネートに該ポリイソシアネートのイソシアネート基1モルに対して水酸基換算で0.9〜1.1モルのN−ヒドロキシアルキルオキサゾリジンを反応させて得られるウレタンポリオキサゾリジン化合物(b1−1)とを、前記ウレタンプレポリマー(A−1)のイソシアネート基1モルに対して該ウレタンポリオキサゾリジン化合物(b1−1)を0.025〜0.5モルの割合で含有する成分であることが特に好ましい。
なお、2成分型ウレタン樹脂組成物とは、成分(I)と成分(II)とが別に保存されており、被覆材として使用する直前に成分(I)と成分(II)とを混合して用いるウレタン樹脂組成物を示す。また、1成分型ウレタン樹脂組成物とは、ウレタン樹脂組成物を構成する各成分が一体に保存されているウレタン樹脂組成物を示す。
本発明に用いる2成分型ウレタン樹脂組成物は、成分(I)と成分(II)とが混合されると硬化が始まるため、被覆材として使用する直前までは、別に保存する必要がある。一方、1成分型ウレタン樹脂組成物を用いる場合には、ウレタン樹脂組成物として水が含まれていると、保存中に硬化が進むため、水はできる限り含まないことが好ましい。
1成分型ウレタン樹脂組成物であっても、(b1)や、(b2)は、塗り付けた後に空気中の水分等によっても加水分解され、被覆材を硬化することが可能であるが、成分(II)に水(D)を含有する2成分型ウレタン樹脂組成物として用いることにより、湿気が少ない場合でも充分な硬化が進み、また硬化時間を短縮することができるため好ましい。
被覆材は、その組成にもよるが、金コテ等を用いて、塗布量が通常0.5〜3kg/m2、好ましくは0.8〜2kg/m2で塗布される。
((A):脂肪族および/または脂環式のイソシアネート末端ウレタンプレポリマー)
本発明に用いる、脂肪族および/または脂環式のイソシアネート末端ウレタンプレポリマー(A)は、末端にイソシアネート基を有していれば特に限定はないが、例えば脂肪族および/または脂環式ポリイソシアネートとポリオールとを反応させることにより目的とするイソシアネート末端ウレタンプレポリマーを得ることができる。中でも硬化物の機械的物性とコンクリート構造物への塗布作業性とのバランスを確保しやすい点で、脂肪族および/または脂環式のポリイソシアネートに数平均分子量が1000以上のポリオキシアルキレンポリオールおよび数平均分子量が1000未満の低分子ポリオールを反応させて得られるイソシアネート基末端ウレタンプレポリマー(A−1)が好ましい。
前記イソシアネート基末端ウレタンプレポリマー(A−1)において、脂肪族ポリイソシアネートとしては、例えばヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)が挙げられる。また脂環式ポリイソシアネートとしては、例えばイソホロンジイソシアネート(IPDI)、ノルボルナンジイソシアネート(NBDI)、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート(H12−MDI)、1,3−ビス−(イソシアネートメチル)−シクロヘキサン(H6−XDI)が挙げられる。これらのポリイソシアネートは、1種単独で用いても、2種以上を混合して用いてもよい。ポリイソシアネートとして脂肪族および/または脂環式のポリイソシアネートを用いることによって、黄変しない、耐候性に優れた被覆材として用いることができる。
前記イソシアネート基末端ウレタンプレポリマー(A−1)におけるポリオキシアルキレンポリオールの数平均分子量は1000以上であり、低分子ポリオールの数平均分子量は1000未満、好ましくは134以下である。前記ポリオキシアルキレンポリオールおよび低分子ポリオールはモノオールまたはジオールであることが好ましく、ジオールがよ
り好ましい。好ましいポリオキシアルキレンジオールとしては、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、およびその混合ポリオールが挙げられ、また、好ましい低分子ジオールとしては、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、数平均分子量が1000未満のポリテトラメチレンエーテルグリコール、1,4−ブタンジオール等が挙げられる。
イソシアネート基末端ウレタンプレポリマー(A−1)を調製する際のポリイソシアネートとポリオキシアルキレンポリオールおよび低分子ポリオールとの混合割合は、イソシアネート基と水酸基との割合が、NCO/OH>1.2(モル比)であればよく、好ましくは1.2<NCO/OH<2.5、より好ましくは1.6<NCO/OH<2.2である。また、ポリオキシアルキレンポリオールと低分子ポリオールとの混合割合は、ポリオキシアルキレンポリオール1モルに対して低分子ポリオールが、好ましくは0.2〜2.0モルであり、より好ましくは0.4〜1.5モルであり、特に好ましくは0.6〜1.2である。上記範囲内では硬化物の機械的物性とコンクリート構造物への塗布作業性とのバランスが良い。
((B):(b1)および/または(b2))
本発明に用いる、脂肪族および/または脂環式のポリイソシアネートにN−ヒドロキシアルキルオキサゾリジンを反応させて得られるウレタンオキサゾリジン化合物(b1)および/またはNH2基を2個以上有するポリアミン化合物とアルデヒド化合物とから合成
されるポリアルジミン化合物(b2)としては以下のものを用いることができる。
(B)としては、(b1)単独で用いても、(b2)単独で用いても、(b1)と(b2)とを併用して用いてもよい。
((b1):脂肪族および/または脂環式のポリイソシアネートにN−ヒドロキシアルキルオキサゾリジンを反応させて得られるウレタンオキサゾリジン化合物)
前記脂肪族および/または脂環式のポリイソシアネートにN−ヒドロキシアルキルオキサゾリジンを反応させて得られるウレタンオキサゾリジン化合物(b1)としては、例えば2−イソプロピル−3−(2−ヒドロキシエチル)−1,3−オキサゾリジンとイソホロンジイソシアネートとを反応させて得られるウレタンオキサゾリジン化合物等が挙げられ、中でも安定した機械的物性が得られる、かつ発泡抑制の点で、脂肪族および/または脂環式のポリイソシアネートに該ポリイソシアネートのイソシアネート基1モルに対して水酸基換算で0.9〜1.1モルのN−ヒドロキシアルキルオキサゾリジンを反応させて得られるウレタンポリオキサゾリジン化合物(b1−1)が好ましい。
ウレタンポリオキサゾリジン化合物(b1−1)において、脂肪族および/または脂環式のポリイソシアネートと、N−ヒドロキシアルキルオキサゾリジンとを反応させる際の反応温度は80〜100℃が好ましい。なお、ウレタンポリオキサゾリジン化合物(b1−1)の生成は赤外分光装置により測定において2250cm-1のピークが消失することにより確認できる。
脂肪族ポリイソシアネートとしては、上記例示した脂肪族ポリイソシアネートが挙げられ、脂環式ポリイソシアネートとしては、上記例示した脂環式ポリイソシアネートが挙げられる。これらのうち、IPDI、HDI、H6−XDIが好ましい。これらのポリイソシアネートは、1種単独で用いても、2種以上を混合して用いてもよい。ポリイソシアネートとして脂肪族および/または脂環式のポリイソシアネートを用いることによって、黄変しない、耐候性に優れた被覆材として用いることができる。
本発明で使用されるN−ヒドロキシアルキルオキサゾリジンは、下記式(1)で表される、オキサゾリジン環の窒素原子に、末端に水酸基を有する置換基が結合したものが好ま
しい。
Figure 0005172284
式(1)中、R1は水素原子または1価の有機基であり、好ましくは水素原子または炭
素数1〜5の炭化水素基である。R2は2価の有機基であり、好ましくは炭素数2〜5の
アルキレン鎖である。R1で示される炭素数1〜5の炭化水素基としては、例えば、メチ
ル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基等が挙げられ、炭素数3のイソプロピル基[−CH(CH32]がより好ましく、R2で示される炭素数2〜5のアルキレン鎖とし
ては、例えば、エチレン鎖またはプロピレン鎖などが挙げられ、炭素数2のエチレン鎖[−CH2−CH2−]がより好ましい。また、特に好ましいR1とR2との組み合わせとしては、R1がイソプロピル基[−CH(CH32]とR2がエチレン鎖[−CH2−CH2−]の組み合わせが挙げられる。このようなR1およびR2を有するN−ヒドロキシアルキルオキサゾリジンは成分(I)と成分(II)との2成分を混合した後の反応性の点で良好であり好ましい。
上記N−ヒドロキシアルキルオキサゾリジンは、ジエタノールアミンなどの1分子中に2個の水酸基と1個のアミノ基とを有する化合物と、プロピオンアルデヒド、イソブチルアルデヒド、n−ヘキサナール、ベンズアルデヒドなどのアルデヒド類とを反応させることにより調製できる。この反応は、通常、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの有機溶媒中で温度70〜150℃の範囲で、脱水反応により生成した水を反応系から除去しながら実施する。上記組み合わせのうち、反応性の観点から、ジエタノールアミンとイソブチルアルデヒドとを反応させることが好ましく、この組み合わせにより生成する、2−イソプロピル−3−(2−ヒドロキシエチル)−1,3−オキサゾリジンが好ましい。
((b2):NH2基を2個以上有するポリアミン化合物とアルデヒド化合物とから合
成されるポリアルジミン化合物)
本発明に用いるポリアルジミン化合物(b2)は、NH2基を2個以上有するポリアミ
ン化合物とアルデヒド化合物とから合成されるポリアルジミン化合物である。例えばNH2基を2個以上有するポリアミンとアルデヒド化合物とを脱水縮合反応させたポリアルジ
ミン化合物等が挙げられ、中でも硬化性、貯蔵安定性、機械的物性のバランスの点で、下記一般式(α)で表されるポリアルジミンが好ましく、ジアミノメチルビシクロ〔2.2.1〕ヘプタンとベンズアルデヒドとを脱水縮合反応させたジアルジミン化合物が最も好ましい。
Figure 0005172284
(但し式中、Xは炭素数6〜15のアリール基を示す。Yは炭素数2〜15、かつ2価もしくは3価の炭化水素基、または分子量が70〜6000で2価もしくは3価のポリオキシアルキレン基を示す。nは2または3を示す。)
上記一般式(α)で表されるポリアルジミンは、例えば以下に詳述するポリアミンとアルデヒドとを、トルエンまたはキシレン等の溶剤を用いて、酸触媒下にて、共沸による脱水反応を行い、水滴分離器内への水分の留出が停止するまで反応を続行することにより得られるものである。上記のポリアミンとアルデヒドとの割合はアミン1当量に対してアルデヒド1〜2当量が好ましい。
一般式(α)で表されるポリアルジミンの製造に使用されるポリアミンとしては、
1)エチレンジアミン、1,3−ジアミノプロパン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、等の脂肪族ジアミン、4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタン、イソホロンジアミン、ビスアミノメチルシクロヘキサン、2,5−または2,6−ジアミノメチルビシクロ〔2.2.1〕ヘプタン、ジアミノシクロヘキサン、等の脂環族ジアミン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルエーテル、キシリレンジアミン、フェニレンジアミン、3,5−ジエチルトルエン−2,4−または2,6−ジアミン、等の芳香族ジアミン、水、エチレングリコール、プロピレングリコール等にプロピレンオキサイドおよび/またはエチレンオキサイドを付加重合して得たポリオキシアルキレングリコール類のヒドロキシル基をアミノ基に変換して得られるポリオキシアルキレンジアミン等のジアミン、2)1,3,5−トリス(アミノメチル)ベンゼン、1,3,5−トリス(アミノメチル)シクロヘキサン等のトリアミン、グリセリン、トリメチロールプロパン等にプロピレンオキサイドおよび/またはエチレンオキサイドを付加重合して得たポリオキシアルキレントリオール類のヒドロキシル基をアミノ基に変換して得られるポリオキシアルキレントリアミン等のトリアミン等がある。
また、ポリアルジミンの製造に使用されるアルデヒドとしては、例えば、ベンズアルデヒド、o−トルアルデヒド、m−トルアルデヒド、p−トルアルデヒド、4−エチルベンズアルデヒド、4−プロピルベンズアルデヒド、4−ブチルベンズアルデヒド、2,4−ジメチルベンズアルデヒド、2,4,5−トリメチルベンズアルデヒド、p−アニスアルデヒド、p−エトキシベンズアルデヒド等がある。
((C):フィラー)
本発明のウレタン樹脂組成物はさらにフィラーが含まれていることが好ましい。
本発明に用いるフィラーとしては、有機フィラーでも無機フィラーでもよいが、無機フィラーがコストが安く、作業性を確保しやすいため好ましい。フィラーとしては、タルク、アルミナ、クレー、硫酸バリウム、酸化チタン、カオリン、酸化カルシウム、ガラスバルーン、有機バルーン等の粉粒体が挙げられる。特に、樹脂酸や有機酸で表面処理した炭酸カルシウムの添加は、成分(II)がチクソ性を発現するとともに樹脂と無機フィラーとの親和性が向上し、さらに表面処理剤により硬化反応が促進され、硬化物の物性が向上するため好ましい。表面処理した炭酸カルシウムは単独で添加してもよいが、作業性と物性とのバランスを確保するために他のフィラーと併用することが好ましい。表面処理した炭酸カルシウムとしては、シーレッツ500(商品名、丸尾カルシウム(株)製)、カルファイン500(商品名、丸尾カルシウム(株)製)などが挙げられる。
無機フィラーの配合量は、作業性や物性等を考慮して適宜設定することができる。また、無機フィラーの配合量を増大させることによって第2成分をペースト状にすることができ、無機フィラーの沈降を防止できる。
また、無機フィラーを含有させることにより、硬化後の被覆材の硬化物物性の温度依存性が小さくなり、高硬度の硬化物でコンクリートを被覆することができる。さらに、無機フィラーを含む組成物はチクソ性を有するため、立ち面に塗布しても液ダレが発生しない。加えて、ウレタン樹脂組成物として、2成分型ウレタン樹脂組成物を用いる場合には、
水分を含む可能性がある無機フィラーを成分(II)に含むため、2成分型ウレタン樹脂組成物の貯蔵安定性に優れている。
((D):水)
本発明のウレタン樹脂組成物が2成分型ウレタン樹脂組成物である場合には、該2成分型ウレタン樹脂組成物は、前記(A)と(B)とを含有する成分(I)と前記(C)と水(D)とを含有する成分(II)とからなる。
この成分(II)に含まれる水(D)としては、特に限定はないが、通常は精製した水を用いることが好ましく、例えば蒸留水、イオン交換水等を用いることが好ましい。
なお、ウレタン樹脂組成物として1成分型ウレタン樹脂組成物を用いる場合には、水が存在すると、保存中に硬化が始まるため水の存在は好ましくない。
(ウレタン樹脂組成物)
本発明に用いるウレタン樹脂組成物は、少なくとも上記(A)と(B)とを含有し、上記(C)を含有することが好ましい。
ウレタン樹脂組成物は1成分型ウレタン樹脂組成物であっても、2成分型ウレタン樹脂組成物であっても構わないが、前記(A)と(B)とを含有する成分(I)と、前記(C)と水(D)とを含有する成分(II)とからなる2成分型ウレタン樹脂組成物が好ましい。
1成分型ウレタン樹脂組成物を用いる際には、水を含有すると、保存中にウレタン樹脂組成物の硬化が進み好ましくなく、空気中等から混入する水を除いては水を含有しないことが好ましい。1成分型ウレタン樹脂組成物からなる被覆材を用いた際には、被覆材を塗り付けた後、空気中の水分等によって硬化する。
本発明においては、硬化時間が短い2成分型ウレタン樹脂組成物が好ましい。この場合には、保存中に成分(I)が硬化することを避けるため、極力成分(I)中に含まれる水の量を少なくすることが好ましい。また、使用直前に成分(I)と成分(II)とを混ぜることにより硬化が始まり、1成分型と比べて、ウレタン樹脂組成物自体に水(D)が含まれているため硬化に必要な時間が短く好ましい。
本発明に用いるウレタン樹脂組成物において、(A)と(B)との量比は、(A)の有するイソシアネート基1モルに対して、(B)を0.025〜0.5モルの割合で含有する量であることが好ましい。
また、本発明に用いるウレタン樹脂組成物はフィラー(C)を含有することが、コンクリート剥落防止のための強度を確保する観点から好ましく、(A)と(B)との合計を100重量部とすると、通常は30〜180重量部、好ましくは60〜120重量部の範囲で含有する。
さらに、本発明のウレタン樹脂組成物にはさらに、液状可塑剤、硬化触媒、その他の添加剤を含んでいてもよい。
上記液状可塑剤としては、OH基、NH基およびSH基を有しない、各種エステル類、ノルマルパラフィン類が挙げられる。可塑剤の配合量は作業性や物性等を考慮して適宜設定することができるが、多すぎると、ブリードすることがあるとともに、コンクリート剥落防止のための強度が低下することがある。
上記硬化触媒としては、水による(b1)の有するオキサゾリジンの開環を促進する触媒や、オキサゾリジン環が水と反応して開環した際に生成するOH基やNH基とイソシア
ネート基との反応を促進する触媒等を用いることができる。これらの触媒は併用することが好ましい。前者としては、オクチル酸、塩化ベンゾイル、アジピン酸等が挙げられる。後者としては、ジブチルチンジラウレート(DBTDL)、オクチル酸ビスマス、ネオデカン酸鉛、スタナスオクトエート等が挙げられる。前者と後者とを併用する場合、その割合は、前者:後者=0.1:1〜1:1の範囲が好ましい。また、(b2)ポリアルジミン化合物の有するアルジミン部の加水分解を促進する触媒や、加水分解により生成するOH基やNH基とイソシアネート基との反応を促進する触媒等を用いることができる。なお、硬化触媒の全添加量は作業性や物性等を考慮して適宜設定することができる。
その他の添加剤としては、酸化防止剤、紫外線吸収剤、耐熱安定剤、高分子光安定剤(HALS)等の各種安定剤、着色のための顔料、染料が挙げられる。また、消泡剤、レベリング材、チクソ付与剤など種々の添加剤も配合できる。
また、2成分型ウレタン樹脂組成物としては、成分(I)としては、前記(A)と(b1)とを含有する成分であることが好ましく、脂肪族および/または脂環式のポリイソシアネートに数平均分子量が1000以上のポリオキシアルキレンポリオールおよび数平均分子量が1000未満の低分子ポリオールを反応させて得られるイソシアネート基末端ウレタンプレポリマー(A−1)と、脂肪族および/または脂環式のポリイソシアネートに該ポリイソシアネートのイソシアネート基1モルに対して水酸基換算で0.9〜1.1モルのN−ヒドロキシアルキルオキサゾリジンを反応させて得られるウレタンポリオキサゾリジン化合物(b1−1)とを、前記ウレタンプレポリマー(A−1)のイソシアネート基1モルに対して該ウレタンポリオキサゾリジン化合物(b1−1)を0.025〜0.5モルの割合で含有する成分であることが特に好ましい(以下、成分(I−1)とも記す)。
2成分型ウレタン樹脂組成物に用いる成分(I−1)は、上記イソシアネート基末端ウレタンプレポリマー(A−1)とウレタンポリオキサゾリジン化合物(b−1)とを含有する。このとき、ウレタンポリオキサゾリジン化合物(b−1)はウレタンプレポリマー(A−1)のイソシアネート基1モルに対して0.025〜0.5モル、好ましくは0.1〜0.3モル、より好ましくは0.15〜0.25モルの割合で含まれる。ウレタンプレポリマー(A−1)とウレタンポリオキサゾリジン化合物(b1−1)との割合が上記範囲にあると、本発明に用いる被覆材は硬化性に優れ、発泡もなく、良好な外観を有する硬化物(被覆膜)を得ることができる。上記割合が0.025モル未満になると硬化物中に多数のボイドが発生する傾向がある。これは、オキサゾリジン環の開環により発生するOH基やNH基が少なく、NCO基と水との反応が進行して炭酸ガスを発生して発泡するためと考えられる。一方、上記割合が0.5モルを超えると得られる硬化物の物性が低下する傾向がある。これは、未反応のOH基やNH基が残存して重合反応を阻害するためと考えられる。
2成分型ウレタン樹脂組成物に用いる成分(II)としては、前記フィラー(C)と水(D)とを含有する。この成分(II)中の水の量は、上記成分(I)中の(b1)の有するオキサゾリジン環と、(b2)の有するアルジミン部との合計1モルに対して、好ましくは0.5〜20モル、より好ましくは0.5〜15モル、特に好ましくは0.5〜10モルである。また、成分(I)として上記成分(I−1)を用いた際には、成分(I−1)中のオキサゾリジン環1モルに対して、好ましくは0.5〜20モル、より好ましくは0.5〜15モル、特に好ましくは0.5〜10モルである。水の量が上記範囲にあると完全硬化時間が短く、機械的強度に優れた硬化物が得られる。また、上記成分(II)に含まれる水の割合は、上記成分(II)に含まれるイソシアネート基と反応可能な全成分に対して、好ましくは95〜100mol%、より好ましくは96〜100mol%、特に好ましくは97〜100mol%である。なお、水は、イソシアネート基と反応可能
な成分であるが、本発明では、水は先ず優先的にオキサゾリジン環の開環反応に寄与し、開環して生成されるNH基や1級のOH基が水よりも素早やくイソシアネート基と反応すると考えられる。この反応で、大部分のイソシアネート基が消費され、僅かに残ったイソシアネート基はオキサゾリジン環の開環反応に寄与せずに残った水や、空気中の水分と徐々に反応する。従って、オキサゾリジン環の開環反応で消費されなかった水の大部分は徐々に系外に放散すると考えられる。
成分(II)に含まれるフィラー(C)としては、成分(I)の重量を100重量部とすると通常は30〜180であり、好ましくは60〜120である。
上記成分(II)に任意に含まれる水以外のイソシアネート基と反応可能な成分としてはアミン類が挙げられる。このアミン類としては、メチルアミン、ジメチルアミン、ブチルアミン、ジブチルアミン等のモノアミンや、エチレンジアミン、イソホロンジアミン、ノルボルナンジアミン等のジアミン等の分子量300以下のアミン類が好ましい。上記成分(II)にこれらのアミン類が含まれる場合、上記成分(II)中のイソシアネート基と反応可能な全成分に対して、アミン類が5mol%未満が好ましく、4mol%未満がより好ましく、3mol%未満が特に好ましい。上記割合でアミン類を含有させると、成分(I)と成分(II)とを混合後に、オキサゾリジン環が開環して発生するOH基およびNH基とイソシアネート基との反応性に影響を与えずに、チクソ発現性を付与することができる。また、オキサゾリジン環が開環して発生するOH基およびNH基とイソシアネート基との反応が主反応となり、成分(I)と成分(II)とを100:50〜100:300の広範囲で変化させても、可使時間や完全硬化時間、硬化後の塗膜物性に影響を与えずに、配合比によって流動性とチクソ性をコントロールすることができる。なお、上記成分(II)が水以外のイソシアネート基と反応可能な成分が上記範囲を超えて含むと、成分(II)が成分(I)の硬化剤として作用するため、成分(I)と成分(II)の配合比の範囲が狭くなり、作業環境の変化に十分に対応できず、作業性が低下する傾向がある。
上記成分(II)は、さらに必要に応じてイソシアネート基と反応しない成分を含んでいてもよい。ここで、「イソシアネート基と反応しない成分」とは、OH基、NH基およびSH基を有しない成分であり、このような成分であれば、上述の液状可塑剤や、硬化触媒、その他の添加剤を含んでいてもよい。
本発明に用いることができる成分(I)と成分(II)とからなる2成分型ウレタン樹脂組成物は、ウレタン樹脂骨格を形成する成分が全て成分(I)に含まれており、成分(I)と成分(II)との混合割合は、(b1)ウレタンオキサゾリン化合物の有するオキサゾリジン環を開環または、(b2)ポリアルジミン化合物のアルジミン部を加水分解でき、イソシアネート基との反応に十分な量のOH基とNH基とを生成できる範囲であれば特に限定されず、広範囲に変更できる。例えば、成分(I)中の(b1)の有するオキサゾリジン環と、(b2)の有するアルジミン部との合計1モルに対して成分(II)中の水が好ましくは0.5〜20モル、より好ましくは0.5〜15モル,特に好ましくは0.5〜10モルの範囲である。混合する水の割合が多すぎると組成物全体の硬化が遅くなるとともに、わずかに発泡が起こることがある。水の割合が少なすぎると組成物内部の硬化が表面に比較して遅くなる傾向にある。
成分(I)と成分(II)との具体的な混合割合(重量比)は、たとえば、成分(I)100重量部に対して成分(II)が50〜300重量部、好ましくは100〜250重量部であるが、成分(I)および成分(II)の組成によって適宜設定することができ、上記範囲を超えて混合してもよい。混合割合を調整することにより、容易に2成分型ウレタン樹脂組成物の流動性を制御することができる。さらに、この2成分型組成物は、環境雰囲気や作業性を考慮して組成物の粘度やチキソ性を調整するために、成分(I)と成分
(II)との配合比率を幅広く変更しても、物性がほぼ一定の硬化物を得ることができ、正確に秤量できない施工現場における作業性にすぐれている。たとえば、成分(I)100重量部に対して成分(II)を50〜300重量部の範囲で変更しても、コンクリート保護のための強度を確保することができる。
〔実施例〕
次に本発明について実施例を示してさらに詳細に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
〔イソシアネート基末端ウレタンプレポリマー(A−1)の調製〕
ポリエーテルポリオール(三井化学ポリウレタン(株)製、商品名:アクトコールDiol2000、数平均分子量=2000)71重量部、1,4−ブタンジオール(広島和光(株)製、試薬特級、分子量=90)2.18重量部、イソホロンジイソシアネート(ヒュルス社製)27重量部をフラスコに入れ、窒素雰囲気下、95℃で1時間加熱混合した。次いで、この混合物にオクチル酸第一錫(広島和光(株)製、試薬特級、商品名:スタノクト)40ppmを添加し、85℃で3時間加熱混合した後、NCO%=5%のイソシアネート末端ウレタンプレポリマー(A−1)を得た。なお、NCO%については電位差滴定装置にて測定を実施し、合わせて反応の完了も確認した。
〔N−ヒドロキシアルキルオキサゾリジンの調製〕
還流分液装置の付いたコルベンにジエタノールアミン33重量部と共沸溶媒のトルエン40重量部とを計量し、これに60℃で攪拌しながらイソブチルアルデヒド27重量部を滴下して約130℃に昇温した。イソブチルアルデヒドの滴下による発熱反応によって系内を昇温するとともに還流分液装置で脱水反応を進め、水5重量部を除去した。次いで、減圧して過剰のイソブチルアルデヒドとトルエンを除去して2−イソプロピル−3−(2−ヒドロキシエチル)−1,3−オキサゾリジン(以下、「OZ」と略す)を得た。
〔ウレタンポリオキサゾリジン化合物(b1−1)の調製〕
イソホロンジイソシアネート(IPDI)40重量部と上記OZ:60重量部(イソシアネート基:1モルに対しOZ:1.05モル)とをフラスコに仕込み、これらを窒素雰囲気下、90℃で2時間反応させ、ウレタンポリオキサゾリジン化合物(b1−1)を得た。なお、ウレタンポリオキサゾリジン化合物(b1−1)の生成は、赤外分光装置で2250cm-1のピークが消失したことにより確認した。
〔成分(I)の調製〕
イソシアネート末端ウレタンプレポリマー(A−1):87重量部とウレタンポリオキサゾリジン化合物(b1−1):13重量部とを混合して成分(I)を調製した。
〔成分(II)の調製〕
5リットルの2軸ミキサーに、可塑剤としてアジピン酸ジイソノニルエステル950重量部を装入し、次いでグレートナー(エムシー工業(株)製)163重量部、消泡剤ディスパロンP−450(楠本化成(株)製)15重量部、安定剤B−75(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製)50重量部、および触媒としてジブチルチンジラウレート20重量部、オクチル酸10重量部を装入した。その後、全体が均一になるように5分間攪拌した。次いで、無機フィラーとして酸化チタンR−820(石原産業(株)製)250重量部を攪拌しながら装入し、さらに表面処理炭酸カルシウム/カルファイン#500(丸尾カルシウム(株)製)1400重量部を添加して30分間攪拌・混合した後、重質炭酸カルシウムNS−200(日東粉化工業(株)製)1400重量部を装入して1.5時間室温で混合・攪拌した。その後、イオン交換水50重量部を加えた後、30分間攪拌し、水が飛ばないように5分間脱泡して成分(II)を得た。
下地にはコンクリート製のU字溝のふたを用いて、あらかじめ約5mmの厚みを残しコアを抜きディスクサンダーで表面を研練した。気温23℃、湿度50%において、プライマーとしてABC商会製「ケミクリートEプライマー」を塗布量0.15kg/m2で塗
布し、15分後に被覆材を塗布量1.0kg/m2で塗り付け、試験体を作製した。プラ
イマーを塗り始めてから被覆材の塗布が終わるまで約1時間を要した。
なお、被覆材として、上記成分(I)100重量部と成分(II)200重量部とを
混合したものを使用した。
結果を表1に示す。
下地にはコンクリート製のU字溝のふたを用いて、あらかじめ約5mmの厚みを残しコアを抜きディスクサンダーで表面を研練した。気温23℃、湿度50%において、プライマーとして三井化学ポリウレタン製「サンPC」を塗布量0.15kg/m2で塗布し、
3時間後に被覆材を塗布量1.0kg/m2で塗り付け、試験体を作製した。プライマー
を塗り始めてから被覆材の塗布が終わるまで約4時間を要した。
なお、被覆材として、上記成分(I)100重量部と成分(II)200重量部とを
混合したものを使用した。
結果を表1に示す。
〔比較例1〕
下地にはコンクリート製のU字溝のふたを用いて、あらかじめ約5mmの厚みを残しコアを抜きディスクサンダーで表面を研練した。気温23℃、湿度50%において、プライマーとしてエポキシ系のABC商会製「クリートボンドCAプライマー」を塗布量0.15k
g/m2で塗布し、翌日エポキシ系のABC商会製「クリートボンドAF」を塗布量0.
3kg/m2を塗り付け、直ちにプロピレン製クロス(宇部日東化成製「シムテックスメ
ッシュSCM1810A」)を貼り付ける。その後「クリートボンドAF」を塗布量0.4kg/m2を塗り付けた。翌日アクリルウレタン系のABC商会製「ウェザーガードA
U」を0.2kg/m2で塗布し、試験体を作製した。プライマーを塗り始めてからウェ
ザーガードAUの塗布が終わるまで約3日を要した。
結果を表1に示す。
〔比較例2〕
下地にはコンクリート製のU字溝のふたを用いて、あらかじめ約5mmの厚みを残しコアを抜きディスクサンダーで表面を研練した。気温23℃、湿度50%において、プライマーとして三井化学ポリウレタン製「サンPC」を塗布量0.15kg/m2で塗布し、
3時間後にABC商会製「プロテクリートSパテ」を塗布量1.3kg/m2で塗布し、
翌日アクリルウレタン系のABC商会製「カラートップDL−SN」を0.2kg/m2
で塗布し、試験体を作製した。プライマーを塗り始めてからカラートップDL−SNの塗布が終わるまで約2日を要した。
結果を表1に示す。
「作業性」
上記実施例および比較例において、その作業性を以下のように評価した。
プライマーをローラーまたは刷毛で塗布し、被覆材に相当する部材はゴムベラで塗り付ける。材料を壁面に所定量塗り付け、「タレ」を生じないことで作業性良好とした。
「押し抜き試験方法」
上記実施例および比較例で作製した試験体について以下のように評価した。
押し抜き試験方法は、旧首都高速道路公団保全施設部保全技術課「コンクリート構造物における新しい材料による補強の適用性検討・性能評価試験実施計画書(案)」B種に従って実施した。すなわち圧縮試験機を用いて、試験体を作製した裏面のコア部を載荷速度1mm/分で1度コンクリートを破壊するまで押し抜く。破壊後載荷前の状態まで戻し、載荷速度10mm/分で押し抜く。伸び10mm以上にいける最大荷重を測定し、押し抜き試験荷重とした。
「塗膜厚み」
ガラス板にテフロン(登録商標)製シートをしわのないように貼り、この上に上記実施例、比較例で用いた量と同様の上塗材[「被覆材」(実施例1、2)、「クリートボンドAF」(比較例1)、「プロテクリートSパテ」(比較例2)]を塗り付け1週間養生する。養生後の硬化塗膜の厚みを厚み計を用いて測定し、各実施例、比較例の塗膜厚みとした。
「メタルウェザー300時間」
気温23℃、湿度50%において、被覆材を寸法70×150×3mm基板に塗布量1.0kg/m2で塗り付け、7日間養生した。次に、メタルハライド式耐候性試験機によ
り試験体の片面を300時間照射した。照射による表面被覆材表面の変化(白亜化、ふくれ、割れ、はがれ)の有無を目視にて観察した。
「ひび割れ追従性」
「コンクリート標準示方書[規準編]土木学会規準」JSCE−K 532−1999に準拠した。気温23℃、湿度50%において、寸法40×120×10mmの基板にエービーシー商会製「ケミクリートEプライマー」を塗布量0.15kg/m2で塗布し、
15分後に被覆材を塗布量1.0kg/m2で塗り付け28日間養生して試験体を作製し
た。基板を切断し引張試験機を用いて引張速度5.0mm/minで引っ張り、伸び量を測定した。
下記表1からも明らかなように本発明の被覆材の施工方法は従来の方法と比べ工程が少なく、施工に必要な時間が短い。
Figure 0005172284

Claims (3)

  1. コンクリート下地に、エポキシ樹脂系プライマーおよびウレタン樹脂系プライマーからなる群から選択される1種のプライマーを塗布した後、
    塗布したプライマー表面上に、下記(A)と(B)とを含有する成分(I)および、フィラー(C)と水(D)とを含有する成分(II)からなる2成分型ウレタン樹脂組成物からなる被覆材を塗り付けることを特徴とする被覆材の施工方法。
    (A):脂肪族および/または脂環式のイソシアネート末端ウレタンプレポリマー
    (B):下記(b1)および/または(b2)
    (b1):脂肪族および/または脂環式のポリイソシアネートにN−ヒドロキシアルキルオキサゾリジンを反応させて得られるウレタンオキサゾリジン化合物
    (b2):NH2基を2個以上有するポリアミン化合物とアルデヒド化合物とから合成
    されるポリアルジミン化合物
  2. 前記成分(I)が前記(A)と(b1)とを含有する成分であることを特徴とする請求項に記載の被覆材の施工方法。
  3. 前記成分(I)が、
    脂肪族および/または脂環式のポリイソシアネートに数平均分子量が1000以上のポリオキシアルキレンポリオールおよび数平均分子量が1000未満の低分子ポリオールを反応させて得られるイソシアネート基末端ウレタンプレポリマー(A−1)と、
    脂肪族および/または脂環式のポリイソシアネートに該ポリイソシアネートのイソシアネート基1モルに対して水酸基換算で0.9〜1.1モルのN−ヒドロキシアルキルオキサゾリジンを反応させて得られるウレタンポリオキサゾリジン化合物(b1−1)とを、前記ウレタンプレポリマー(A−1)のイソシアネート基1モルに対して該ウレタンポリオキサゾリジン化合物(b1−1)を0.025〜0.5モルの割合で含有する成分であることを特徴とする請求項またはに記載の被覆材の施工方法。
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