JP4116968B2 - ドロップ光ファイバケーブル用frp製抗張力体 - Google Patents

ドロップ光ファイバケーブル用frp製抗張力体 Download PDF

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Description

本発明は、光ファイバ心線と抗張力体とを熱可塑性樹脂によって一括被覆した光ファイバケーブル、とりわけ軽量で細径化が可能で、ノンメタリック型のドロップ光ファイバケーブルに好適なFRP製抗張力体に関する。
情報化社会が到来し、インターネット等の伝送情報容量の増大化に伴ない、ビル、住宅等加入者へも光ファイバケーブルを敷設するFTTH化が急激に進展している。
FTTH用ドロップ光ファイバケーブルとして、抗張力体に金属線を使用したものが、例えば、特許文献1に提案されている。しかし、抗張力体に金属線を使用すると、雷によるサージングを回避するために、アースが必要となる。
アースを取るには、工事に手間を要し、それに伴なう工事費の負担を要することとなって、各家庭への普及の障害となる。そこで、アース工事が不要となるノンメタリック製の抗張力体を採用したノンメタリック型のドロップ光ファイバケーブルが求められていた。
この種の光ファイバケーブルに用いるノンメタリック型の抗張力体としては、FRP製線状物が上げられるが、金属線抗張力体に替えて、単に、FRP線を使用したのでは、本体被覆の熱可塑性樹脂との接着が難しく、接着が不十分な場合、ケーブル化工事の熱履歴やその後の収縮歪などによる光伝送損失の増大や、断線などの異常を招来し、ドロップ光ファイバケーブルとして充分に機能することができない。
この場合、硬化したFRP線の外周に接着剤を塗布するか、あるいは、接着性樹脂を被覆することで、接着力を強化することも可能であるが、工数、材料費の増加に伴なうコスト増を招き、得策でないし、FRPとの接着が強固過ぎると、接続工事の際、成端キャビネットへ引止めるための被覆部の剥離に難渋する。
一方、FRP界面と熱可塑性樹脂被覆とがアンカー接着した熱可塑性樹脂被覆繊維強化合成樹脂製棒状物の製造方法が、特許文献2に開示されている。
この文献に開示されている製造方法は、補強繊維束に未硬化の熱硬化性樹脂を含浸させてなる未硬化状補強芯部を、溶融した熱可塑性樹脂で被覆し、その後、直ちに該熱可塑性樹脂の被覆層を冷却固化した後、これを加圧高温蒸気の硬化槽に導いて、補強芯部と該被覆層の界面部分を軟化、流動状態で接触させつつ該熱硬化性樹脂を加熱硬化させ、引続いて、被覆熱可塑性樹脂を冷却して繊維強化熱硬化性樹脂(FRP)からなる芯部界面と被覆熱可塑性樹脂とをアンカー接着するものである。
しかしながら、このような製造方法によって得られる棒状物を、ドロップ光ファイバケーブルの抗張力体に用いる場合には、以下に説明する技術的な課題があった。
特開2001−337255号公報 特公昭63−2772号公報
すなわち、上述した特許文献2に開示されている製造方法によれば、例えば、ガラス繊維を補強繊維とし、熱硬化性樹脂に不飽和ポリエステルを用い、ポリエチレンで被覆した場合には、棒状物は、106kg/cm(10MPa)程度の接着強度が得られるが、被覆表面が必ずしも平滑でなく、均一で細い径のものが得難いという問題があった。
そこで、本出願人は、先に、均一性を有するFRP抗張力体に特徴があるドロップ光ファイバケーブルについて、特願2002−326513号で提案している。
しかし、この特許出願で開示したFRP抗張力体においては、実際にドロップ光ファイバケーブルを製造する際に、製造条件、とりわけ比較的低速でFRP抗張力体に熱可塑性樹脂による本体被覆を行なう場合、及び押出温度のやや高温域での本体被覆を施す場合、被覆部が発泡する現象により、外観不良と光ファイバへの悪影響の問題が発生した。
そこで、本発明者らは、ドロップ光ファイバケーブルを製造する際に、製造条件、とりわけ比較的低速、及び押出温度の高温域で被覆付FRP製抗張力体に熱可塑性樹脂による本体被覆を施す際に、本体被覆部又は被覆付FRP製抗張力体の被覆部が発泡する現象を鋭意検討した結果、特に、FRP部の残存スチレンモノマーがこの発泡現象の原因であることを見出し、これを所定の範囲に制限することでこの現象が解消すること知得し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、ドロップ光ファイバケーブル用FRP製抗張力体において、発泡現象を大幅に低減することを目的としている。
上記目的を達成するために、本発明は、補強繊維を熱硬化性樹脂で結着したFRP部と、前記FRP部の外周に、前記FRP部の外表面とアンカー接着構造で被覆形成された熱可塑性樹脂被覆層とを有するドロップ光ファイバケーブル用FRP製抗張力体において、前記FRP製抗張力体に溶融熱可塑性樹脂による本体被覆を施す際に、前記FRP部の残存スチレンモノマー量を、0.03重量%以下にし、かつ、前記熱可塑性樹脂被覆層は、表面が整径加工されたものであって、当該被覆層の表面は、レーザー外径測定器による表面凹凸度を2〜3/100mm以下にするとともに、前記ドロップ光ファイバケーブル用FRP製抗張力体は、熱風式ギヤオーブンを用い、80℃で40時間乾燥後の重量減少率が、0.1%以下になるようにした。
前記熱硬化性樹脂は、ビニルエステル樹脂で構成することができる。
前記熱可塑性樹脂被覆層は、LLDPEで構成することができる。
前記FRP部は、補強繊維にガラスヤーンを用いることができる。
本発明のドロップ光ファイバケーブル用FRP製抗張力体では、残存スチレンモノー量及び/又は重量減少率を所定の範囲としたので、これらの抗張力体を用いてドロップ光ファイバケーブルを製造する際に発生する発泡現象を抑制出来る。
また、特に、被覆付FRP製抗張力体によるときは、FRP部外周と被覆層内周とがアンカー接着構造を有しているので、この被覆層に本体被覆層を融着ないし密着させれば、ドロップ光ファイバケーブル全体の熱収縮を抑制して、光ファイバ心線を有効に保護できる。
さらに、アンカー接着構造により、FRP外周に別途接着剤を塗布する必要がないので、接着剤、塗布工程、設備が不要で工程の簡略化とコストダウンをはかることができ、極めて経済的である。
一方、アンカー接着構造であるため、接続作業において芯部のFRP製抗張力体の露出は、被覆層に切込みを入れることによって容易に剥離できる。このため、刃物による削り出しや、溶剤の使用を要していた従来の接着剤を使用したドロップ光ケーブルと比較して、成端キャビネットへの引留め作業が、安全に良環境下で容易に行うことができる。
よって、本発明によれば、細径で実用的なノンメタリックのドロップ光ファイバケーブル用抗張力体を提供することができる。
以下に、本発明の実施の形態について、添付図面を参照にして詳細に説明する。図1は、本発明にかかるFRP製抗張力体または被覆付抗張力体が使用されるドロップ光ファイバケーブルの一例を示している。同図に示したドロップ光ファイバケーブル1は、光ファイバ心線2,3と、抗張力体4と、支持線5と、本体被覆6を備えている。
光ファイバ心線2,3は、ケーブル1の中心軸上に上下に隣接するように配置されている。抗張力体4は、光ファイバ心線2,3上下に、所定の間隔を設けて、一対配置されている。
支持線5は、上側の抗張力体4の上方に位置していて、抗張力体4よりも大きな直径を備えている。本体被覆6は、光ファイバ心線2,3と、抗張力体4および支持線5との外周を一括被覆するように形成されている。
抗張力体4は、補強繊維を熱硬化性樹脂で結着したFRP部を有するFRP製抗張力体、または、補強繊維を熱硬化性樹脂で結着したFRP部と、このFRP部の外周に、FRP部の外表面とアンカー接着構造で被覆形成された熱可塑性樹脂被覆層とを有する被覆付FRP製抗張力体から構成される。
このようなFRP製抗張力体は、FRP部分の残存スチレンモノマーが0.018重量%(FRP部対比)以下であることを要する。また、被覆付FRP製抗張力体では、残存スチレンモノマーが0.03重量%(被覆付FRP製抗張力体全体に対して)以下であることを要する。
残存スチレンモノマーがこれらの量を超えると、ドロップ光ケーブル製造工程での本体被覆時に、溶融状の本体被覆熱可塑性樹脂と接触して、残存スチレンモノマーが揮発するなどして被覆部、または、本体被覆部が発泡するなどの異常を来す。
本発明において、残存スチレンモノマーの測定は、次ぎのような方法で行なった。測定用試料を2〜3mmの長さに細かく切断し、正確に約3g秤量して、酢酸エチル(抽出液)10mlを加えて室温にて一昼夜放置する。
抽出液1μlをガスクロマトグラフでカラム温度150℃にて気化させ、気化物の成分、及び発生量を測定する。別途、事前にスチレンモノマーの各濃度の標準液を作成、ガスクロマトグラフの測定から作成した標準液の検量線との比較により、試料の残存スチレンモノマー濃度(%)を算出する。
本発明において、残存スチレンモノマー量を所定の値以下に制御するには、高反応性熱硬化性樹脂,高反応性触媒の選択、硬化時間の確保、硬化後の後処理等により制御すれば良い。
図2は、上記ドロップ光ファイバケーブルの抗張力体4に用いることができる被覆付FRP製抗張力体10を示している。この抗張力体10は、FRP(維強化熱硬化性樹脂)部11と、このFRP部11の外周に熱可塑性樹脂の被覆層12を施したものである。この場合、FRP製抗張力体11の外周と被覆層12の内周とは、相互にアンカー接着している。
このようなアンカー接着構造を得るためには、特公昭63−2772号に記載された方法、すなわち、補強繊維束に未硬化の熱硬化性樹脂を含浸させてなる未硬化状補強芯部を、溶融した熱可塑性樹脂で環状に被覆し、その後直ちに該熱可塑性樹脂の被覆層を冷却固化した後、これを加圧高温蒸気の硬化槽に導いて、補強芯部と該被覆層の界面部分を軟化、流動状態で接触させつつ該熱硬化性樹脂を加熱硬化させ、引続いて被覆熱可塑性樹脂を冷却して繊維強化熱硬化性樹脂(FRP)からなる芯部界面と被覆熱可塑性樹脂とをアンカー接着させればよい。
本発明の抗張力体のFRP部11において使用できる補強繊維としては、各種ガラス繊維、芳香族ポリアミド繊維、カーボン繊維等が一般的であり、要求される引張強度や弾性率によって選択される。
ガラス繊維を使用する場合においては、FRP部11を、直径が0.9mm以下に細くするためには、ガラスヤーンが望ましく、E,S,Tなどのガラス繊維から要求される性能により選択されるが、経済性の面からはEガラスが奨用される。
ガラスヤーンとしては、構成する単繊維径が3〜13μmで 、複数のヤーンを合撚していない単糸状のものが望ましく、11.2〜67.5Texが使用される。
この場合、番手の大きいもの、つまり67.5Texを超えるガラスヤーンを用いた場合、FRPとした際の真円度に悪影響を及ぼし、後の熱可塑性樹脂による薄肉被覆成形工程において、均一な被覆を行うことが難しくなる。一方、11.2Tex以下のヤーンも市販されているが、工程が煩雑となる上、コスト上昇につながり経済的でない。
ガラスヤーンを選択するのは、ヤーンには、例えば、1個/インチ等の撚りが施されており、熱硬化性樹脂の含浸ないしは絞り工程で、ガラス単繊維の乱れや、弛み、もつれが少なく、外周が均一な未延伸棒状物が得られるからである。
図1に示した構成において、抗張力体4のガラス繊維の体積含有率は、要求される物性により決定されるが、より細径化を目的とする本願発明においては、概ね55〜70VOL%程度が望ましい。
また、本発明に使用できる熱硬化性樹脂は、テレフタル酸系又はイソフタル酸系の不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂(エポキシアクリレート樹脂など)またはエポキシ樹脂等が一般的であり、これらに硬化用触媒等を添加して使用されるが、とりわけビニルエステル樹脂(エポキシアクリレート樹脂など)が耐熱性等の物性の点から好ましい。
未硬化状補強芯部の被覆層12に用いる熱可塑性樹脂は、本体被覆部6の熱可塑性樹脂と相溶性のある樹脂から選択され、本体被覆部6に難燃性樹脂を使用する場合は、該樹脂との相溶性向上のため、接着性樹脂を使用するか、あるいは、接着性樹脂のマスターバッチを添加することが望ましく、さらに本体被覆部6の色にあわせて着色用マスターバッチを添加して着色しておいても良い。
また、被覆層12に用いる熱可塑性樹脂は、本体被覆部6の難燃化に合せて難燃性付与のための各種変性を施したものであっても良い。さらに、被覆層12に用いる熱可塑性樹脂は、FRP部11とのアンカー接着構造を得るため、熱硬化性樹脂の加熱硬化時に少なくとも内周が、溶融状ないし軟化状態を呈することが望ましく、硬化温度110〜150℃の範囲に融点または軟化点を有する、ポリオレフィン系樹脂がより好適である。
また、FRP部11は、ガラスヤーンを補強繊維とする場合、耐曲げ性や細径化の点から外径が0.9mm以下の繊維強化熱硬化性樹脂硬化物とすることが望ましく、同じく細径化の点、及び被覆層に難燃性を付与しない場合であって、難燃性を本体樹脂に求められる場合は、必要以上の被覆厚みは、難燃性の阻害要因となるため、被覆層12は、0.3mm以下にすることが望ましい。
さらに、被覆層12の厚みは、整径前の被覆厚みは、0.08mm以上が望ましく、細径化の目的で表面層を整径することによって、0.07から0.2mm程度の厚みとすることがより望ましい。
整径前の被覆厚みの薄膜化のためには、薄膜成形性の良い樹脂が望ましく、例えば、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)等が好適である。
本発明のドロップ光ファイバケーブルに用いる被覆FRP製抗張力体10は、被覆層12に用いた熱可塑性樹脂からのFRP部11の引抜力が13N/10mm以上であることが好適である。この引抜力は、アンカー接着構造による密着力の指標とするもので、以下の測定方法により測定した。
FRP芯部の外径より僅かに径大の透孔を有する測定冶具を取着した試験機を準備する一方、被覆付FRP製抗張力体11の端部の被覆層12を剥離し、それに連続して被覆層12にカミソリ刃により10mm長の刻線を施して、10mm長さの被覆層12を残したサンプルSを準備した。
サンプルSを試験機の透孔に挿通し、50mm/分の速度で引張荷重を負荷して、そのチャートから引抜力を求めた。
被覆付FRP抗張力体において、熱可塑性樹脂被覆層表面は整径加工されるが、その外径精度は、レーザー外径測定器による表面凹凸度を2〜3/100mm以下とすることが望ましく、これを超えると本体被覆時の発泡トラブルが発生し易くなる傾向にある。
また、本発明の被覆付FRP製抗張力体10は、熱風式ギヤオーブンを用い80℃で40時間乾燥後の重量減少率が0.1重量%以下となっていることが望ましい。
これは、高温高圧蒸気でFRP部を硬化するに際して、未硬化状の熱硬化性樹脂成分の揮発や、硬化発熱状態と軟化状態の被覆層および、外部から作用する蒸気圧等との関係において、硬化がほぼ完結されているがこの工程のみで製造されたドロップ光ファイバケーブル用被覆付FRP製抗張力体では不十分であり、前記の発泡などのトラブルが発生する。
前述した残存スチレンモノマー量の制限や、被覆部表面、及びFRPとの界面の水分等の滞留を少なくするか、或いは、二次加熱処理を与えることによって、80℃で40時間乾燥後の重量減少率を0.1%以下とすることが出来る。二次熱処理は、熱硬化性樹脂の硬化工程に連続して加熱処理槽に通す方法でも良いが、巻取後に行なっても良い。
巻取後に二次熱処理を行なう場合は、巻取ボビンにABS樹脂などを使用しているとボビン自体が熱変形することがあるので、40℃程度で長時間処理することが望ましい。
以下に、本発明のより具体的な実施例について説明するが、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
ビニルエステル樹脂(三井化学社製:H8100)に熱硬化性触媒(化薬アクゾー社製、カドックスBCH50)を 4 部、カヤブチルBを1部添加した樹脂含浸槽中に、単糸径10μmで22.5TexのEガラスヤーン(日東紡績社製:ECEN225 1/0 1.0ZR)14本を、ガイドを介して導き、引き続いて、内径を段階的に小さくした絞りノズルに導いて、未硬化状樹脂を絞り成形し、外径が0.505mmの細径棒状物を得、これを溶融押出機のクロスヘッドダイ(200℃)に通して、黒色マスターバッチを添加したMI= 2.4、密度0.921g/cm、30μmのキャストフィルムによる1%モジュラスが170MPaであるLLDPE樹脂(日本ユニカー社製:TUF2060)により、被覆厚み0.25mmで環状に被覆し、直ちに冷却水槽に導いて、表面の被覆部を冷却固化した。
引き続いて、この被覆未硬化線状物を入口及び出口に加圧シール部を設けた長さ18mの加圧蒸気硬化槽に 15m/minの速度で導いて蒸気圧32.5Pa( 145℃)で硬化し、引続いて、210℃〜250℃に段階的に加熱された内径0.93mmおよび0.80mmの整形ダイスを備えた整形器に導いて被覆外周面を整形し、被覆外径0.8mmの被覆抗張力体10を得、ボビンに連続状に巻き取った。引続いて、ボビンを40℃の恒温室中で40時間乾燥熱処理(二次熱処理)を行なった。
この被覆抗張力体10は、ガラス繊維含有率が、61.9VOL%であり、前述の引抜力が、15N/10mmであった。また、80℃熱間での24時間耐熱曲げ直径テストでは、38mmをクリアし、サンプル長1000mmで−30℃→80℃のヒートサイクルテストを3回繰り返し、被覆抗張力体10の被覆層12とFRP製抗張力体11との接着状況を見たが、被覆層12の収縮は、殆ど発生していなかった。
また、前述の測定方法による残存スチレンモノマー量は、0.015重量%であった。さらに、前述の測定方法による被覆付FRP製抗張力体の重量減少率は、0.08%で平衡となった。
被覆抗張力体10の製造時の二次熱処理行なわなかった場合(比較例1)、硬化温度を変更した場合、(比較例2)、熱硬化性樹脂を変更した場合(比較例3)の残存スチレンモノマー量及び80℃×40時間の重量減少率及び、以下に示す本体被覆試験による発泡現象発生の有無についてまとめて表1に示す。
本体被覆試験は、被覆抗張力体10を、溶融押出機のクロスヘッドダイに挿通して、難燃性ポリエチレン樹脂を175℃で押出し、被覆厚み0.6mmで環状に本体被覆部6を形成するに際して、被覆速度30m/minで走行させ、100分間での発泡異常の発生の有無で判定した。
Figure 0004116968
比較例1〜3
実施例1に比べて二次加熱処理を省略した比較例1では、80℃×40時間の重量減少が0.25%であり、蒸気圧を28Pa(硬化槽温度140℃)とした比較例2では、残存スチレン%が0.045%、重量減少が0.09%であった。
熱硬化性樹脂を不飽和ポリエステル樹脂(日立化成社製 ポリセット)とした比較例3では、硬化温度を145℃とし、二次熱処理を行なったが、残存スチレンが0.11%と多く、重量減少は0.09%であった。
これらの比較例について、本体被覆試験による発泡現象発生の有無を確認した。これらの結果を、表1に纏めて示す。比較例に示すものは、残存スチレンモノマー量が0.030%以上であるか、重量減少率が0.1%以上であり、何れも本体被覆試験において発泡現象が発生した。
本発明にかかるドロップ光ケーブル用FRP製抗張力体によれば、発泡現象が大幅に低減されるので、外観不良と光ファイバへの悪影響がなくなり、高品質のドロップ光ケーブルとして適用することができる。
本発明の抗張力体が適用できるドロップ光ファイバケーブルの一例を示す断面図である。 本発明にかかる被覆付FRP製抗張力体の断面の説明図である。
符号の説明
1 ドロップ光ファイバケーブル
2、3 光ファイバ心線
4 抗張力体
5 支持線
6 本体被覆層
10 被覆付FRP製抗張力体
11 FRP製抗張力体
12 被覆層

Claims (4)

  1. 補強繊維を熱硬化性樹脂で結着したFRP部と、
    前記FRP部の外周に、前記FRP部の外表面とアンカー接着構造で被覆形成された熱可塑性樹脂被覆層とを有するドロップ光ファイバケーブル用FRP製抗張力体において、
    前記FRP製抗張力体に溶融熱可塑性樹脂による本体被覆を施す際に、
    前記FRP部の残存スチレンモノマー量を、0.03重量%以下にし、かつ、前記熱可塑性樹脂被覆層は、表面が整径加工されたものであって、当該被覆層の表面は、レーザー外径測定器による表面凹凸度を2〜3/100mm以下にするとともに、前記ドロップ光ファイバケーブル用FRP製抗張力体は、熱風式ギヤオーブンを用い、80℃で40時間乾燥後の重量減少率が、0.1%以下になるようにしたことを特徴とするドロップ光ファイバケーブル用FRP製抗張力体。
  2. 前記熱硬化性樹脂は、ビニルエステル樹脂であることを特徴とする請求項1記載のドロップ光ファイバケーブル用FRP製抗張力体。
  3. 前記熱可塑性樹脂被覆層は、LLDPEであることを特徴とする請求項1記載のドロップ光ファイバケーブル用FRP製抗張力体。
  4. 前記FRP部は、補強繊維にガラスヤーンを用いることを特徴とする請求項1記載のドロップ光ファイバケーブル用FRP製抗張力体。
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