JP4110727B2 - シーリング剤組成物 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、耐候性に優れる常温硬化型シーリング剤組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
シーリング剤は建築や土木等において欠かせない材料であり、従来シーリング剤としては、シリコーン系、変成シリコーン系、ポリサルファイド系、ポリウレタン系、アクリルウレタン系などが知られている。しかしながら、例えば変成シリコーン系、ポリサルファイド系やポリウレタン系は耐候性が不十分であり、またシリコーン系は耐候性はあるものの周辺汚染性が悪いというように、各シーリング剤には問題があった。
アクリルウレタン系シーリング剤は、耐候性、耐汚染性および耐水接着性が不十分であり、その耐汚染性の改良のために、特開平7−10957号では、アクリル重合体の分子末端に水酸基を導入するという手段が採用されているが、なお性能は今一歩であった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明においては、優れた耐候性、耐汚染性および耐水接着性を有するシーリング剤組成物を提供する。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は、(a)アクリル酸エステル単量体単位を主たる構成単位とするTgが−20℃以下の重合体であって、エステル部分にシクロヘキシル構造を有するアクリル酸エステル単量体単位を全構成単位の合計量を基準にして10〜40質量%の割合で有するとともに、エステル鎖が炭素数4〜12のアルキル基であるアクリル酸エステル単量体単位を30〜80重量%の割合で有し、かつ架橋剤と反応する反応基または自己架橋し得る反応基を有する数平均分子量(ポリスチレン換算)が、500〜10,000のアクリル酸エステル共重合体および(b)軽質炭酸カルシウムおよび重質炭酸カルシウムが必須である充填剤からなるシーリング剤組成物である。
【0005】
【発明の実施の形態】
本発明におけるアクリル酸エステル共重合体は、上記のとおり、アクリル酸エステル単量体単位を主たる構成単位とし、エステル部分にシクロヘキシル構造を有するアクリル酸エステル単量体単位を全構成単位の合計量を基準にして10〜40質量%有する。エステル部分にシクロヘキシル構造を有するアクリル酸エステル単量体(以下耐候性単量体ということがある)としては、例えばアクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸4−メチルシクロヘキシル、アクリル酸4−メトキシシクロヘキシルおよびアクリル酸4−tert−ブチルシクロヘキシル等が挙げられる。好ましくは、他の単量体との共重合性に優れる点でアクリル酸シクロヘキシルである。上記耐候性単量体は、それを共重合して得られる共重合体に耐候性を付与する。耐候性単量体単位の割合が、10質量%未満であると共重合体に十分な耐候性・耐汚染性を付与できなく、40重量%を越えると共重合体のガラス転移温度が高くなり、作業性に劣る。
【0006】
アクリル酸エステル共重合体を構成する上記耐候性単量体以外のアクリル酸エステル単量体(以下その他のアクリル酸エステル単量体という)としては、炭素数が2〜20のアルキル基を有するアクリル酸アルキルおよびエステル部分に酸素原子、窒素原子またはハロゲン原子等が含まれるアクリル酸エステル等が必要である。アクリル酸エステル共重合体におけるその他のアクリル酸エステル単量体単位の好ましい含有量は、全単量体単位の合計量を基準にして、30〜80質量%である。その他のアクリル酸エステル単量体単位の割合が、30質量%未満であると共重合体のガラス転移温度が高くなり、ゴム弾性が低下し、一方80質量%を越えると耐水接着性が劣る。具体的には、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸s−ブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸ネオペンチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸イソデシル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸トリデシルおよびアクリル酸ステアリル等のアクリル酸アルキル;アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸イソボルニル、アクリル酸トリシクロデシニルおよびアクリル酸テトラヒドロフルフリル等のアクリル酸脂環式アルキル;アクリル酸2−メトキシエチル、アクリル酸ジメチルアミノエチル、アクリル酸クロロエチルおよびアクリル酸トリフルオロエチル等のヘテロ原子含有アクリル酸エステルが挙げられ、これらのうち1種、または2種以上が用いられる。なお、アクリル酸メチルを使用しても良いが、これを使用した共重合体は耐候性に劣る。本発明では、上記単量体の中でも、ガラス転移温度が低いこと、耐候性がよいことから、エステル部分が炭素数4〜12のアルキル基であるアクリル酸エステル単量体が必須である。さらに好ましくは、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシルおよびアクリル酸ラウリルである。
【0007】
本発明におけるアクリル酸エステル共重合体は、シーリング剤の成分として塗工された後、架橋する必要があり、そのために架橋剤と反応する反応基または自己架橋する反応基を有することが必要である。かかる反応基を有する単量体(以下反応性単量体という)単位のアクリル酸エステル共重合体における含有量は、0.1〜20質量%が好ましく、さらに好ましくは1〜15質量%である。反応性単量体単位の割合が、0.1質量%未満であると、共重合体の架橋が不十分になり、十分に硬化せず、一方20質量%を越えると架橋密度が高くなり、柔軟性が低下する恐れがある。
架橋剤としてポリイソシアネートを使用でき、その場合アクリル酸エステル共重合体は水酸基を有するものであることが好ましい。水酸基をアクリル酸エステル共重合体に与える単量体としては、アクリル酸ヒドロキシエチル、 アクリル酸ヒドロキシブチル、アクリル酸ヒドロキシプロピル、アクリル酸ヒドロキシエチルのε−カプロラクトン付加反応物およびトリアクリル酸ペンタエリスリトール等のアクリル酸ヒドロキシアルキル類;メタクリル酸ヒドロキシエチルおよびメタクリル酸ヒドロキシブチル等のメタクリル酸ヒドロキシアルキル類;ヒドロキシエチルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテルおよびヒドロキシプロピルビニルエーテル等のヒドロキシアルキルビニルエーテル類;ヒドロキシエチルアリルエーテルおよびヒドロキシブチルアリルエーテル等のヒドロキシル基含有アリルエーテル類;クロトン酸ヒドロキシエチルおよびクロトン酸ヒドロキシプロピル等のクロトン酸ヒドロキシアルキル類が挙げられる。これらの中でも、ガラス転移温度が低いことおよび硬化剤との反応性の点から、アクリル酸ヒドロキシエチル、アクリル酸ヒドロキシブチルおよびアクリル酸ヒドロキシエチルとε−カプロラクトン付加反応物が好ましく、特に好ましくはアクリル酸ヒドロキシエチルである。
【0008】
架橋剤を併用しない場合、アクリル酸エステル共重合体は自己架橋する反応基(以下自己架橋性基という)を有することが必要であり、自己架橋性基としては、加水分解性基含有シリル基およびイソシアネート基等が挙げられる。
加水分解性基含有シリル基を有する単量体は、一般的に次の化学式で表すことができる。
1 −SiR2 n 1 3-n (1)
(式中、R1 はオレフィン性不飽和結合を有する基、R2 はオレフィン結合を有しない炭素数1〜20のアルキル基、Y1 はハロゲン原子、アルコキシ基、アシロキシ基、フェノキシ基、メルカプト基、アミノ基、イミノオキシ基またはアルケニルオキシ基等の加水分解性基、Y1 は同一分子内で同じでも異なってもよい、nは0〜2までの整数)
【0009】
具体的な化合物としては、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、ビニルメトキシジメチルシランおよびビニルトリクロロシラン等のビニルシラン類;アクリル酸トリメトキシシリルプロピル、アクリル酸トリエトキシシリルプロピルおよびアクリル酸メチルジメトキシシリルプロピル等のシリル基含有アクリル酸エステル類;メタクリル酸トリメトキシシリルプロピル、メタクリル酸トリエトキシシリルプロピルおよびメタクリル酸メチルジメトキシシリルプロピル等のシリル基含有メタクリル酸エステル類;トリメトキシシリルプロピルビニルエーテル等のシリル基含有ビニルエーテル類;トリメトキシシリルウンデカン酸ビニル等のシリル基含有ビニルエステル類等が挙げられる。
好ましい単量体は、アクリル酸アルキルエステルとの共重合性や共重合体の柔軟性より、メトキシ基またはエトキシ基を有するビニルシランまたはシリル基含有アクリル酸エステルである。
【0010】
イソシアネート基を有する単量体としては、アリルイソシアネート、アクリロキシプロピルイソシアネートおよびメタクリロキシプロピルイソシアネート等が挙げられる。また、前述した水酸基含有単量体とイソシアネート基を2個有する化合物(例えば、2,4−トリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートなど)を反応させて得られる、イソシアネート基含有単量体も使用できる。
アクリル酸エステル共重合体中にイソシアネート基または加水分解性基含有シリル基を導入するには、前記した単量体を使用する以外に、例えば水酸基含有アクリル酸エステル共重合体にγ−トリメトキシシリルプロピルイソシアネート等の加水分解性基含有シリル基とイソシアネート基の双方を有する化合物を反応させる方法等も採用できる。
【0011】
本発明におけるアクリル酸エステル共重合体は、所望により上記した単量体以外の単量体(以下所望単量体という)単位が含まれていてもよい。アクリル酸エステル共重合体における所望単量体単位の好ましい割合は、前記と同じ基準で0〜30質量%である。所望単量体単位の割合が30質量%を越えるとと共重合体の耐候性が不十分になる。
所望単量体としては、メタクリル酸エステル類、クロトン酸エステル類、α−オレフィン類、クロロエチレン類、ビニルエーテル類、ビニルエステル類、イソプロペニルエーテル類、イソプロペニルエステル類、アリルエーテル類およびアリルエステル類などが挙げられる。
具体的な化合物としては、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸s−ブチル、メタクリル酸t−ブチルおよびメタクリル酸2−エチルヘキシル等のメタクリル酸アルキル;メタクリル酸シクロヘキシルおよびメタクリル酸イソボルニル等のアクリル酸脂環式アルキル;クロトン酸エチル、クロトン酸ブチルおよびクロトン酸シクロヘキシル等のクロトン酸エステル類;エチレン、プロピレン、1−ブテンおよびイソブチレンなどのα−オレフィン類;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテルイソブチルビニルエーテルおよびシクロヘキシルビニルエーテル等のビニルエーテル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、カプロン酸ビニル、カプリル酸ビニル、ベオバ9、ベオバ10(シェル化学製、炭素数が9および10の脂肪酸ビニル)およびラウリン酸ビニル等のビニルエステル類;エチルアリルエーテルおよびブチルアリルエーテル等のアリルエーテル類が挙げられる。
【0012】
上記単量体以外に、紫外線吸収能を有する単量体、光安定性を有する単量体、各種の官能基を有する単量体を用いることも可能である。紫外線吸収能を有する単量体としては、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メタクリロキシエチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、メタクリロキシヒドロキシプロピル−3−〔3−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−ターシャリーブチル−4−ヒドロキシフェニル〕プロピオネートおよび2−ヒドロキシ−4−(メタクリロキシエトキシ)ベンゾフェノン等が挙げられる。また、光安定性を有する単量体としては、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルメタクリレートおよび2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルメタクリレート等が挙げられる。
官能基含有単量体としては、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジルおよびビニルグリシジルエーテル等;アクリル酸およびメタクリル酸等;アクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチルメタクリルアミドおよびN,N−ジメチルメタクリルアミド等が挙げられる。
【0013】
アクリル酸エステル共重合体のガラス転移温度は−20℃以下が必要である。ガラス転移温度が−20℃以上であると、冬期にゴム弾性が不足し易く、また作業性も悪くなる。アクリル酸エステル共重合体のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)による好ましい数平均分子量(ポリスチレン換算)は、500〜10,000である。共重合体の数平均分子量が、500に満たないと充分な耐候性が得られ難く、一方10,000を越えると、粘度が高くなり、作業性に劣る。
【0014】
アクリル酸エステル共重合体は、通常のラジカル重合により製造される。ラジカル重合開始剤を用いる場合は、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エトキシエチルオキシジカーボネート、ターシャリーブチルパーオキシピバレート等の過酸化物;2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)等のアゾ化合物等が使用できる。重合開始剤の使用量は単量体100質量部当たり2重量部以下が好ましい。
重合においてメルカプトエタノール、2−ヒドロキシエチルジスルフィドおよび2−ヒドロキシブチルジスルフィド等の連鎖移動剤を使用してもよい。
【0015】
上記重合に際し、重合溶剤を用いる溶液重合およびと無溶媒で行う塊状重合のいずれも採用できる。重合溶剤を用いる場合、例えばテトラヒドロフランおよびジオキサン等の環状エーテル類;ベンゼン、トルエンおよびキシレン等の芳香族炭化水素化合物;酢酸エチル、酢酸ブチルおよびエトキシプロピオン酸エチル等のエステル類;アセトン、メチルエチルケトンおよびシクロヘキサノン等のケトン類;メタノール、エタノール、イソプロパノールおよびブタノール等のアルコール類等が好ましい。
重合温度は30〜300℃でよく、好ましくは50℃〜270℃である。重合圧力は常圧から5.0MPa程度で行うことができる。単量体の添加方法は、全単量体を初期にバッチ仕込みしてもよいし、重合の進行と共に一部の単量体を逐次添加または連続添加するバッチ重合、或いは連続重合でもよい。特開昭57−502171号および同59−6207号に開示されている高温連続重合も採用できる。
【0016】
本発明において、水酸基を反応基とするアクリル酸エステル共重合体を使用する場合、硬化剤を用いる必要がある。硬化剤としては、多価イソシアネート化合物、多価ブロックイソシアネート化合物およびアミノプラスト樹脂等が好適である。具体的には、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートおよびキシリレンジイソシアネート等の多価イソシアネート化合物、ならびにこれらのイソシアヌレート系、ビウレット系およびポリオール変性系化合物が挙げられる。また、ブロックイソシアネート化合物のブロック剤としては、フェノール類、オキシム類およびアルコール類等が挙げられる。本発明においては、常温硬化可能な多価イソシアネートが好ましく、さらに好ましくは、得られるシーリング剤を柔軟にできる点でポリオキシアルキレン変性イソシアネートが好ましい。その中でも、主鎖骨格が、一部ポリオキシエチレンでもよいポリオキシプロピレンであるものが好ましい。
アクリル酸エステル共重合体に対する多価イソシアネートの添加量は、アクリル酸エステル共重合体の水酸基のモル数と多価イソシアネートのモル数の比が1:0.8〜1:1.3が好ましく、さらに好ましくは1:0.9〜1:1.2になるような量である。
【0017】
加水分解性基含有シリル基を有するアクリル酸エステル共重合体を使用する場合には、該アクリル酸エステル共重合体以外の加水分解性基含有シリル基を有する重合体をブレンドすることが可能である。かかる重合体としては格別に制限はないが、引張特性を向上させる点で、ポリアルキレンオキシドの末端にシリル基を有するものが好ましい。ポリプロピレングリコールの末端にシリル基を有するものがさらに好ましく、具体例としてMSポリマー(商品名、鐘淵化学製)やエクセスター(商品名、旭硝子製)等が挙げられる。
イソシアネート基を有するアクリル酸エステル共重合体を使用する場合も、その他のイソシアネート基を有する重合体をブレンドすることが可能である。かかる重合体としては、ポリアルキレンオキシドの末端にイソシアネート基を有する重合体等が好ましい。
上記したとおり、本発明においては、水酸基、加水分解性基含有シリル基またはイソシアネート基のいずれの反応基を有するアクリル酸エステル共重合体を用いる場合にも、該共重合体と反応性のポリアルキレンオキシド(好ましくはポリプロピレンオキシド)を併用することが好ましい。アクリル酸エステル共重合体とポリアルキレンオキシドが反応して得られる重合体によれば、シーリング剤の引張特性(伸び)を向上させることができる。
アクリル酸エステル共重合体とポリアルキレンオキシドの好ましい重量割合は、90:10〜30:70である。
【0018】
本発明のシーリング剤組成物は、前記したアクリル酸エステル共重合体および以下に述べる充填剤を必須成分とする。充填剤を添加することにより、得られるシーリング剤組成物は力学的な性質が改善され、強度や伸度が向上する。充填剤としては、平均粒径0.02〜2.0μmの軽質炭酸カルシウム、平均粒径1.0〜5.0μmの重質炭酸カルシウム、酸化チタン、酸化亜鉛、カーボンブラック、合成ケイ酸、タルク、ゼオライト、マイカ、シリカ、焼成クレー、カオリン、ベントナイト、水酸化アルミニウムおよび硫酸バリウム等が例示される。この中でも、物性改善の効果が高い、軽質炭酸カルシウムおよび重質炭酸カルシウムが必要である。充填剤の添加量は、アクリル酸エステル共重合体100質量部当たり、10〜300質量部が好ましく、さらに好ましくは20〜250質量部である。充填剤の量が10重量部未満であるかまたは300重量部を越えると、シーリング剤の力学的性質が損なわれる。
【0019】
本発明においては、シーリング剤組成物に硬化反応の触媒を添加することが好ましい。そうすることによって、シーリング剤を塗工してから架橋・硬化するまでの所要時間が短縮できる。
触媒として用いる具体的な化合物としては、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫メルカプチド、ジブチル錫チオカルボキシレート、ジブチル錫ジマレエート、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジアセトアセトナート、オクチル酸錫およびジオクチル錫ジマレエート等の有機錫化合物;オクテン酸鉛、オクチル酸鉛などの有機鉛化合物、テトラブチルチタネート、テトラプロピルチタネートなどの有機チタン化合物;トリエチルアミン、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン、N,N,N’N’−テトラメチルエチレンジアミン、トリエチレンジアミン、N,N’−ジメチルピペラジン、N−メチルモルホリンおよびジアザビシクロウンデセン等のアミン系化合物が例示される。これらの中でも、有機錫化合物が反応性に優れる点で好ましい。触媒の好ましい使用量はアクリル酸エステル共重合体に対し0.01重量%〜10重量%である。
【0020】
上記成分に加えて、必要によりベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物および蓚酸アニリド系化合物などの紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系化合物などの光安定剤、ヒンダードフェノール系などの酸化防止剤、ジオクチルフタレート、ジイソノニルフタレート、ジオクチルアジペート、塩素化パラフィン、エポキシ化大豆油およびポリアルキレングリコール系化合物などの可塑剤、密着増強剤、水添ひまし油などの垂れ防止剤、オルト蟻酸メチルおよびオルト酢酸メチルなどの脱水剤、着色剤および有機溶剤等の添加剤を加えてもよい。
また、シーリング剤が硬化後の表面のタックを防止する添加剤を配合してもよい。かかるタック防止剤としては、ポリエステルポリアクリレート等からなる光硬化性組成物、桐油、亜麻仁油、ポリブタジエンおよび不飽和ポリエステル等の空気硬化性化合物が挙げられる。
以下、実施例を挙げて、具体的に説明する。
【0021】
【実施例】
<合成例1>
環流冷却器、温度計、滴下ロート、窒素置換用ガラス管及び攪拌器を取り付けた4つ口フラスコに、アクリル酸シクロヘキシル(以下CHAという)2.0部、アクリル酸ブチル(以下BAという)4.0部、およびアクリル酸2−エチルヘキシル(以下HAという)3.5部、アクリル酸ヒドロキシエチル(以下HEAという)0.5部、溶媒としてトルエンを80部、およびイソプロパノールを20部、2,2’− アゾビスイソブチロニトリルを2部仕込み、窒素を吹き込みながら80℃において重合反応を開始した。この後、CHA18.0部、BA36.0部、HA31.5部、HEA4.5部からなる溶液を6時間にわたり連続滴下して重合反応を行った。
得られた反応液を減圧で溶媒を留去して共重合体を得た。溶媒としてテトラヒドロフランを使用し、GPCより求めた分子量をポリスチレン換算した共重合体の数平均分子量(以下Mnという)は5,000、重量平均分子量(以下Mwという)は13,100、多分散度は2.6であった。また、水酸基価(以下OHVという)は31.8(mg−KOH/g−レジン)であり、1 H−NMRよる共重合体の組成は、CHA/BA/HA/HEA=19/42/34/5重量%)であった。ガラス転移温度(以下Tgという)はDSCによる測定で、−53℃であった。
【0022】
<合成例2〜5、比較合成例1、2>
表1に記載の単量体を使用し、合成例1と同様に操作を行い共重合体を合成した。得られた共重合体の物性も表1に併記した。なお、表1中、BMAはメタクリル酸ブチル、VMSはビニルトリメトキシシランであり、また数字の単位は質量部である。
【0023】
【表1】
Figure 0004110727
【0024】
<実施例1〜5、比較例1〜2>
合成例1〜5および比較合成例1〜2で得られたアクリル酸エステル共重合体100重量部に対し、XL1031T−11(武田薬品製、イソシアネート変性ポリプロピレンオキシド)、S203(鐘淵化学製、加水分解性基含有シリル基を有するポリプロピレンオキシド)、軽質炭酸カルシウム(丸尾カルシウム製、カルファイン500)、重質炭酸カルシウム(白石工業製、ホワイトンSB)、酸化チタン〔石原産業(株)製CR−97〕、可塑剤(ジオクチルフタレート)、硬化触媒(ジブチル錫ジラウレート)および老化防止剤〔チバスペシャリティケミカル(株)製チヌビンB75〕を表2に示す質量部配合して、シーリング剤を製造した。
【0025】
【表2】
Figure 0004110727
【0026】
表2に記載した各シーリング剤について、引張接着性試験(被着体はアルミ)および水浸漬後の引張接着性試験(JIS・A1439,建築用シーリング材の試験方法)を実施し、その結果を表3に示した。破壊状況の判定結果は、CF:シーリング材の凝集破壊、AF:界面からの剥離で表した。
また、以下の方法により促進耐候性試験および耐汚染性試験を行い、その結果も表3に記載した。
・促進耐候性試験;試料をJIS・1439記載のホルダーに取り付け、サンシャインウェザオメータ(スガ試験機製)に4000時間入れた後の表面状態と伸度保持率(%)を測定した。表面状態の外観については、○:変化なし、△:微少クラックあり、×:深いクラックありによって表した。また、伸度保持率(%)は、(促進耐候性試験後の伸度/初期の伸度)×100の値を使用した。
・耐汚染性試験;7cm×15cmのガラス板の上面1/2に、試料をへらで泡が入らないように塗って厚み1mmの試験板を作製した。名古屋市船見町で6ヶ月の屋外曝露を行い、汚れ具合を目視により次の判定基準で評価した。
○:塵埃の付着がほとんどない、△:塵埃が少し付着する、×:塵がかなり付着する
【0027】
【表3】
Figure 0004110727
【0028】
【発明の効果】
本発明によれば、高耐候性、汚染性および耐水接着性に優れるシーリング剤組成物が得られる。

Claims (4)

  1. (a)アクリル酸エステル単量体単位を主たる構成単位とするTgが−20℃以下の重合体であって、エステル部分にシクロヘキシル構造を有するアクリル酸エステル単量体単位を全構成単位の合計量を基準にして10〜40質量%の割合で有するとともに、エステル鎖が炭素数4〜12のアルキル基であるアクリル酸エステル単量体単位を30〜80重量%の割合で有し、かつ架橋剤と反応する反応基または自己架橋し得る反応基を有する数平均分子量(ポリスチレン換算)が、500〜10,000のアクリル酸エステル共重合体および(b)軽質炭酸カルシウムおよび重質炭酸カルシウムが必須である充填剤からなるシーリング剤組成物。
  2. エステル部分にシクロヘキシル構造を有するアクリル酸エステル単量体がアクリル酸シクロヘキシルであって、エステル鎖が炭素数4〜12のアルキル基であるアクリル酸エステル単量体がアクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシルおよびアクリル酸ラウリルから選ばれた1種以上の単量体である請求項1記載のシーリング剤組成物。
  3. アクリル酸エステル共重合体と充填剤の割合が、アクリル酸エステル共重合体100質量部あたり充填剤10〜300質量部である請求項1または2記載のシーリング剤組成物。
  4. 架橋反応を促進させる触媒が添加されていることを特徴とする請求項1〜3記載のシーリング剤組成物。
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