JP2004292736A - 建築材料用組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】屋外で使用した場合に、耐候性、耐汚染性、乾燥性が優れた建築材料用組成物を提供する。
【解決手段】式(1)で表される炭素−炭素二重結合を末端に有するアクリルポリマー(a)および(a)以外のアクリルポリマー(b)からなり、上記炭素−炭素二重結合の濃度が0.1meq/g以上であるアクリルポリマー混合物を含有する建築材料用組成物。
【化1】
(式(1)において、Rは炭素数1〜20のアルキル基、シクロアルキル基、ヒドロキシアルキル基またはアルコキシシリルアルキル基を意味し、Xは構成単位として(メタ)アクリル酸エステル単位を40質量%以上含有する数平均分子量が500〜30000であるアクリルポリマー鎖を意味する。)
【選択図】 なし
【解決手段】式(1)で表される炭素−炭素二重結合を末端に有するアクリルポリマー(a)および(a)以外のアクリルポリマー(b)からなり、上記炭素−炭素二重結合の濃度が0.1meq/g以上であるアクリルポリマー混合物を含有する建築材料用組成物。
【化1】
(式(1)において、Rは炭素数1〜20のアルキル基、シクロアルキル基、ヒドロキシアルキル基またはアルコキシシリルアルキル基を意味し、Xは構成単位として(メタ)アクリル酸エステル単位を40質量%以上含有する数平均分子量が500〜30000であるアクリルポリマー鎖を意味する。)
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、アクリルポリマーを主成分とする屋外建築材料用組成物に関するものであり、具体的にはシーリング材組成物および塗料用組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
屋外で使用する塗料やシーリング材の分野では、耐候性の向上、汚染性の向上が求められ、数々の検討がなされてきた。
アクリル酸エステルを主成分としたポリマーを変成シリコーンシーリング材やアクリルウレタンシーリング材の可塑剤として使用した場合、または、アクリルウレタンシーリング材のベースポリマーとして使用した場合、更にはアクリルウレタン塗料基材に使用した場合に、耐候性や耐汚染性の向上が達成できることが知られている(特許文献1、2および非特許文献1、2参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開2001−207157号公報
【特許文献2】
国際公開WO01/83619号パンフレット
【非特許文献1】
75TH JSCM anniversary conference 予稿集(2002年4月、第160頁)
【非特許文献2】
東亞合成技術年報「TREND」第5号(2002年1月、第5頁)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、建築物の高層化、高耐久化によるメンテナンスフリーの進展や、改修時の廃棄物削減の要請によって、長期使用が可能な材料が益々求められ、更なる耐候性や耐汚染性の向上が求められてきた。また、乾燥性をアップして初期タックを短時間になくすことが求められるようになってきた。
本発明の目的は、屋外で使用した場合に、耐候性、耐汚染性、乾燥性が優れた建築材料用組成物を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
特定の炭素−炭素二重結合を有するアクリルポリマーが、熱的には安定であるにもかかわらず、太陽光に対し顕著に反応し、高分子量化することを見出し、該ポリマーと上記二重結合を含有しないアクリルポリマーを混合することによって、耐候性や耐汚染性を向上させるとともに、初期乾燥性を大幅に改善できるできることを見出し、本発明を完成させた。
【0006】
【発明の実施の形態】
本明細書において、アクリルおよびメタクリルを合わせて(メタ)アクリルという。また、アクリルポリマーとは、構成単量体単位として(メタ)アクリル酸エステル単位または(メタ)アクリル酸単位を40質量%以上含有するポリマーを意味する。
本発明の建築材料用組成物は、式(1)で表される炭素−炭素二重結合(以下、末端二重結合ともいう。)を末端に有するアクリルポリマー(a)および(a)以外のアクリルポリマー(b)からなり、上記末端二重結合の濃度が0.1meq/g以上であるアクリルポリマー混合物を含有するものである。
【0007】
【化2】
【0008】
(式(1)において、Rは炭素数1〜20のアルキル基、シクロアルキル基、ヒドロキシアルキル基またはアルコキシシリルアルキル基を意味し、Xは構成単位として(メタ)アクリル酸エステル単位を40質量%以上含有する数平均分子量が500〜30000であるアクリルポリマー鎖を意味する。)
【0009】
アクリルポリマー(a)は、ラジカル重合開始剤および有機溶剤の存在下180℃から350℃の温度で、特定条件下、アクリルモノマーを高温連続重合することにより合成可能である。重合中に、重合末端のラジカルがポリマーのα水素を引き抜くバックバイティング反応が生起し、β切断を経て末端二重結合が生成される。
【0010】
アクリルモノマーは、炭素数1から20のアルキル基、シクロアルキル基、ヒドロキシアルキル基、アルコキシシリルアルキル基を含有する(メタ)アクリル酸エステル類である。
【0011】
炭素数1〜20の(メタ)アクリル酸エステル類としては(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸s−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸ネオペンチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソデシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸トリデシルおよび(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸トリフルオロエチル等が例示される。
シクロアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステル類としては、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸イソボルニルおよび(メタ)アクリル酸トリシクロデシニル等が例示される。
ヒドロキシアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステル類としては、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシブチル等が例示される。
アルコキシシリルアルキル基を含有する(メタ)アクリル酸エステル類としては、(メタ)アクリル酸トリメトキシシリルプロピル、(メタ)アクリル酸トリエトキシシリルプロピル、(メタ)アクリル酸ジメトキシメチルシリルプロピル、(メタ)アクリル酸ジエトキシメチルシリルプロピル、(メタ)アクリル酸モノメトキシジメチルシリルプロピル等が例示される。
これらアクリルモノマーは2種以上を使用することも可能である。特にシーリング材のベースポリマーや塗料基材として使用する場合は、ヒドロキシアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステルを必須成分として含むことが必要である。
【0012】
アクリルポリマー(a)は、アクリルモノマー以外にスチレン、αメチルスチレン、ビニルトルエン等の芳香族モノマー、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル類、その他にビニルエーテル類、オレフィン類等が共重合されたものであっても良い。かかる場合は、アクリルモノマー単位の割合が40質量%以上であることが必要である。アクリルモノマー単位が40質量%未満では、末端二重結合の生成が阻害され、建築材料用組成物が、屋外で使用された場合に、耐候性、耐汚染性、乾燥性を十分発揮できないものとなる。
【0013】
アクリルポリマー(a)の分子量は、数平均分子量で500〜30000が必要である。500未満では、初期乾燥性が向上せず、30000を超えると粘度が上昇しすぎて、取り扱いし難くなる。
【0014】
アクリルポリマー(a)の製造においてラジカル重合開始剤を使用することができ、ラジカル重合開始剤としては、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ターシャリーブチルパーオキシピバレート、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイドおよびジターシャリーブチルパーオキサイド、ジタ−シャリヘキシルパーオキサイド等の有機過酸化物、またはアゾビスイソブチロニトリル、アゾビスイソバレロニトリル等のアゾ化合物、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム等の無機過酸化物が挙げられる。この中で、末端二重結合の生成し易さから、有機過酸化物が好ましい。
アクリルポリマー(a)の製造において有機溶媒を使用してもよく、有機溶媒としては、テトラヒドロフランおよびジオキサン等の環状エーテル類、ベンゼン、トルエンおよびキシレン等の芳香族炭化水素化合物、酢酸エチルおよび酢酸ブチル等のエステル類、アセトン、メチルエチルケトンおよびシクロヘキサノン等のケトン類、メタノール、エタノールおよびイソプロピルアルコール等のアルコール類等があげられ、これらの1種または2種以上を用いることができる。この中で末端二重結合の生成し易さからケトン類が好ましい。
【0015】
アクリルポリマー(a)の製造条件すなわち重合条件としては、重合温度が180〜350℃、圧力が常圧〜10MPaで、5分〜20時間の反応時間で行うことができる。重合方法はバッチ重合でもよいし、セミバッチ重合、或いは連続重合でもよい。
かかる重合方法の中では、分子量が適当で粘度が低く、無着色で夾雑物の少ない共重合体を効率よく製造するためには、高温連続重合することが好ましい。係る重合方法は、単量体を180〜350℃の重合温度にて連続反応装置で重合することを特徴とする。重合温度が180℃に満たない場合は、得られるアクリル系ポリマーの末端二重結合生成率が低下する。他方350℃より高すぎると、分解反応が発生して重合液が着色したり、分子量が低下する。
具体的な高温連続重合法としては、特表昭57−502171号公報、同59−6207号公報、同60−215007号公報等に開示された公知の方法に従えば良い。例えば、加圧可能な反応機を溶媒で満たし、加圧下で所定温度に設定した後、各単量体、及び必要に応じて重合溶媒とからなる単量体混合物を一定の供給速度で反応機へ供給し、単量体混合物の供給量に見合う量の重合液を抜き出す方法があげられる。
【0016】
アクリルポリマー(b)は、上記アクリルポリマー(a)以外のアクリルポリマーである。アクリルポリマー(b)は通常の重合方法、すなわち、ラジカル重合開始剤の存在下、必要により連鎖移動剤や溶剤、乳化剤の存在下、塊状重合、溶液重合、懸濁重合、乳化重合によって合成可能である。得られたアクリルポリマーは、末端に二重結合を含有しないこと以外はアクリルポリマー(a)とモノマーの種類および分子量について同一または類似のものであることが、相溶性や、物性のばらつきを防止する点で好ましい。
【0017】
上記アクリルポリマーの製造において、高温連続重合を採用して、その重合条件を選択すれば、該ポリマーの末端に一定の割合で末端二重結合を生成させることが可能なため、一回の重合によって(a)と(b)の混合物を得ることもできる。
本発明のアクリルポリマー混合物は、アクリルポリマー(a)5〜95質量%およびアクリルポリマー(b)5〜95質量%からなるものが、性能のバランスが良好となりやすいために好ましい。
【0018】
本発明のアクリルポリマー混合物は、上記末端二重結合を0.1meq/g以上含むことが必要である。0.1meq/g未満では、建築材料用組成物が、屋外で使用された場合に、耐候性、耐汚染性、乾燥性を十分発揮できないものとなる。上限は特にないが、0.9meq/gを超えると性能のバランスがとれなくなる場合がある。
なお、本発明に記載するmeq/g(アクリルポリマー混合物1gが含有する末端二重結合のミリモル数)は、H−NMRより求めることが可能である。エステルに隣接するメチレンまたはメチンのプロトンを基準に、二重結合のプロトンのシグナルの積分値から算出するか、測定時に内部標準を添加し、これを基準に算出することができる。
【0019】
本発明のアクリルポリマー混合物は、建築材料用組成物として使用することが可能であるが、特に屋外用シーリング材のベースポリマーや可塑剤として使用したり、塗料基材として使用した場合に、顕著な効果を発揮する。
【0020】
例えば、本発明のアクリルポリマー混合物を変成シリコーン、ポリウレタン、アクリルウレタン、ポリサルファイドをベースポリマーとするシーリング材の可塑剤として使用すると、耐候性、耐汚染性、乾燥性を向上させることができる。ここで、変成シリコーン、ポリウレタン、アクリルウレタン、ポリサルファイド系シーリング材は、JIS A5757に記載されたものである。
【0021】
シーリング材のベースポリマーとして使用する場合は、アクリルポリマー混合物が構成単位として(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキル単位を3質量%以上含有するものである。このヒドロキシアルキル基を、硬化剤であるイソシアネート変性プレポリマーと反応させて、2成分型シーリング材として使用することができる。3重量%未満では硬化性が不十分になり、シーリング材の物性を十分発揮させることができない。なお、本ポリマー混合物をベースポリマーおよび可塑剤として併用することも可能である。
【0022】
イソシアネート変性プレポリマーとしては、水酸基含有ポリエーテル、水酸基含有ポリエステル、水酸基含有ポリブタジエン等の水酸基を多官能イソシアネート化合物で変性したものが例示される。好ましくは、水酸基含有ポリエーテルをイソシアネート変性したプレポリマーが好ましい。かかるプレポリマーは分子中に2個以上のイソシアネート基を有することが必要である。
【0023】
また、アクリルポリマー混合物の水酸基とジイソシアネートを予め反応させて、官能基をイソシアネートに変換することにより1成分型シーリング材のベースポリマーとして使用することも可能である。ジイソシアネート化合物としては、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネートが例示される。
【0024】
塗料基材として使用する場合は、アクリルポリマー混合物が構成単位として(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキル単位を5質量%以上、好ましくは10質量%以上含有するものである。
塗料基材として使用する場合は、ポリイソシアネートやアミノ樹脂を硬化剤として用いることにより、強靭な皮膜を形成するが、5重量%未満では塗膜の硬度が不十分であり、傷がつき易くなり好ましくない。
硬化剤としては、ヘキサメチレンジイソシアネートの環状3量体、鎖状3量体、ブロックイソシアネート、メチル化メラミン樹脂、ブチル化メラミン樹脂等が例示される。
【0025】
本発明の建築材料用組成物は、紫外線吸収剤、光安定剤、熱安定剤、硬化促進剤、硬化遅延剤、滑剤、界面活性剤、レベリング剤、接着性付与剤、多官能アクリル単量体、空気酸化性化合物、充填材、顔料、無機微小中空体、等を含有するものであってもよい。
以下、実施例を挙げて、具体的に説明する。
【0026】
【実施例】
(合成例1)
ジターシャリーブチルパーオキサイド1質量部、メチルエチルケトン100質量部、アクリル酸ブチル(以下、BAという。)900質量部の混合物を、重合温度260℃にて、平均滞留時間12分にて高温連続重合して、下記の構造を有し、GPCで測定したポリスチレン換算の分子量がMn=2160であり、末端二重結合含有率が0.47meq/gのポリアクリル酸ブチル(I)を得た。得られたポリマーは下記式(2)で表される構造を有すると考えられる。
【0027】
【化3】
【0028】
別途、アゾビスイソブチロニトリル(以下、AIBNという。)を30質量部、イソプロパノール(以下、IPAという。)を700質量部、およびBAを300質量部よりなる混合物を95℃にて8時間重合して、Mn=2400であって末端二重結合を有しないポリアクリル酸ブチル(II)を得た。
(I)および(II)を質量比75対25で混合することにより、0.35meq/gのアクリルポリマー混合物を得た。なお、該混合物の分子量は、Mn=2250であった。
【0029】
(合成例2)
ジタ−シャリーブチルパーオキサイドを1質量部、メチルエチルケトンを5質量部、アクリル酸2エチルヘキシル(以下、HAという。)/メタクリル酸メチル(以下、MMAという。)(混合質量比75/25)よりなる混合モノマー94質量部を、重合温度230℃にて、平均滞留時間12分で高温連続重合し、末端二重結合を含有するHA/MMA共重合体と末端二重結合を含有しないHA/MMA共重合体の混合物であって、HA/MMA=74.5/25.5(質量%)、Mn=1240であり、0.63meq/gであるアクリルポリマー混合物を得た。
【0030】
(合成例3〜4)
合成例2と同様の操作により、表1記載のアクリルポリマー混合物を得た。
【0031】
【表1】
【0032】
略号の意味は以下のとおりである。
HEA:アクリル酸ヒドロキシエチル
CHA:アクリル酸シクロヘキシル
St:スチレン
HEMA:メタクリル酸ヒドロキシエチル
【0033】
(比較合成例1)
合成例3と同じモノマーを使用して、開始剤としてAIBN、溶剤としてIPAおよびトルエン、連鎖移動剤としてメルカプトエタノールを用いることにより、同一組成であって、Mn=3510、末端二重結合を含まないアクリルポリマーを得た。
(比較合成例2)
合成例4と同じモノマーを使用して、開始剤としてAIBN、溶剤としてIPAおよびトルエン、連鎖移動剤としてメルカプトエタノールを用いることにより、同一組成であって、Mn=2890、末端二重結合を含まないアクリルポリマーを得た。
【0034】
(実施例1〜2、比較例1)
可塑剤として合成例1および2のアクリルポリマー混合物、ベースポリマーとして変成シリコーンポリマー(鐘淵化学株式会社製MSポリマー「S203」)、軽質炭酸カルシウム(丸尾カルシウム株式会社製カルファイン200M)、重質炭酸カルシウム(丸尾カルシウム株式会社製スーパーSS)、酸化チタン(石原産業株式会社製R−820)、および老化防止剤(チバスペシャルティ株式会社製チヌビンB75)を表2の配合により、プラネタリーミキサーで1時間混練した。ついで、硬化触媒としてジブチル錫ジラウレートを添加してシーリング材の試験体を作成した。
可塑剤を合成例1記載の末端二重結合を有しないポリマー(II)に変える以外、同様の方法で、比較例1のシーリング材試験体を作成した。
【0035】
(実施例3、比較例2)
合成例3のアクリル系ポリマー混合物、または比較合成例1のアクリル系ポリマーをベースポリマーとして使用して、表2の配合により、シーリング材主剤を作成した。次いで、硬化剤としてポリプロピレンオキサイドにキシリレンジイソシアネートを付加したプレポリマー(イソシアネート含有量2.5%)を添加して、シーリング材の試験体を作成した。
【0036】
【表2】
【0037】
屋外にて1ヶ月養生したシーリング材硬化物を用いて下記の評価をおこなった。評価結果を表3に示す。
▲1▼破断強度、破断伸度、50%引張応力(被着体はアルミ)はJIS・A5758(建築用シーリング材)に記載の方法に準じて実施した。
▲2▼促進耐候性試験は試料をホルダーに取り付け、メタルウェザー耐候性試験機(ダイプラウィンテス株式会社製)600時間経過後の表面状態と強度保持率(%)、伸度保持率(%)を測定した。表面状態(目視による外観)の判定基準および伸度保持率の算出方法を示す。
・表面状態の判定基準 ○:変化なし、△:微少クラックあり、×:深いクラックあり
・強度保持率(%)=(促進耐候性試験後の破断強度/初期の破断強度)×100
・伸度保持率(%)=(促進耐候性試験後の破断伸度/初期の破断伸度)×100
▲3▼初期乾燥性は、シーリング材を屋外で養生し、24時間後に、指触により指先に粘着する感覚で評価した。
判定基準は、○:ほとんど感じない、△:すこし粘着する。×:酷く粘着する。
▲4▼汚染性は下記の方法で測定した。
アルミ板の上に厚さ12mmのスレートを置き、その隙間(幅10mm、高さ50mm)にシーリング材を充填した。屋外で1ヶ月養生した後、汚染粉(試験用ダスト8種:黄色酸化鉄:試験用ダスト3種=24:71:5(質量比))をシーリング材上に振りまき、10分後にエアーブロー(0.1MPa)を行った。その前後の色差(ΔE)を測定した。
【0038】
【表3】
【0039】
(実施例4、比較例3)
合成例4または比較合成例2のアクリルポリマー混合物をミネラルターペンに溶解して、固形分70%のワニスを得た。該ワニス100質量部、酸化チタン(石原産業株式会社製「タイペークCR95」)70質量部、分散助剤(ビックケミー社製「BYK182」)0.1質量部を混合し、ペイントシェーカーを用いて分散し、塗料主剤を得た。該主剤100質量部に対して、硬化剤としてデュラネートTSS100(旭化成株式会社製)を10質量部、硬化促進剤としてジブチル錫ジラウレートを60ppm添加した後、クロメート処理アルミ板上に、膜厚30μmになるようにスプレー塗装して、試験板を得た。
屋外にて1ヶ月硬化させた後、下記の評価をおこなった。評価結果を表4に示す。
【0040】
▲1▼促進耐候性試験は試料をホルダーに取り付け、蛍光紫外線式耐候性試験機(スガ試験機株式会社製)で1000時間経過後の光沢とLab値を測定し、下記の式により保持率を算出した。
・光沢保持率(%)=(促進耐候性試験後の光沢/初期光沢)×100
・色差(%)=(促進耐候性試験後のLab値/初期のLab値)×100
▲3▼初期乾燥性は、塗膜を屋外で硬化ながら、タック感の無くなる時間を測定した。
▲4▼汚染性は、屋外にて1ヶ月硬化させた試験板を、名古屋市港区の幹線道路に面した工場の外壁(南面)に1ヶ月取り付けて、汚染の度合いをΔL値(明度差)によって評価した。
【0041】
【表4】
【0042】
(参考試験)
合成例1〜3のアクリルポリマー混合物、および比較合成例1〜2のアクリルポリマーを、100質量部秤量し、150mlのガラスビンに入れて、密封した後、屋外の太陽光の当る場所で1ヶ月暴露した。その前後の分子量を測定したところ、表5に示すように、本発明のアクリル系ポリマー混合物は、顕著に増加していた。また、末端二重結合は消失または大幅に減少していた。
【0043】
【表5】
【0044】
【発明の効果】
本発明のアクリルポリマー混合物を使用すると、耐候性や耐汚染性が良く、さらに初期乾燥性にも優れ、建築材料用組成物として、屋外用シーリング材組成物、塗料用組成物として好適に使用できる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、アクリルポリマーを主成分とする屋外建築材料用組成物に関するものであり、具体的にはシーリング材組成物および塗料用組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
屋外で使用する塗料やシーリング材の分野では、耐候性の向上、汚染性の向上が求められ、数々の検討がなされてきた。
アクリル酸エステルを主成分としたポリマーを変成シリコーンシーリング材やアクリルウレタンシーリング材の可塑剤として使用した場合、または、アクリルウレタンシーリング材のベースポリマーとして使用した場合、更にはアクリルウレタン塗料基材に使用した場合に、耐候性や耐汚染性の向上が達成できることが知られている(特許文献1、2および非特許文献1、2参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開2001−207157号公報
【特許文献2】
国際公開WO01/83619号パンフレット
【非特許文献1】
75TH JSCM anniversary conference 予稿集(2002年4月、第160頁)
【非特許文献2】
東亞合成技術年報「TREND」第5号(2002年1月、第5頁)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、建築物の高層化、高耐久化によるメンテナンスフリーの進展や、改修時の廃棄物削減の要請によって、長期使用が可能な材料が益々求められ、更なる耐候性や耐汚染性の向上が求められてきた。また、乾燥性をアップして初期タックを短時間になくすことが求められるようになってきた。
本発明の目的は、屋外で使用した場合に、耐候性、耐汚染性、乾燥性が優れた建築材料用組成物を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
特定の炭素−炭素二重結合を有するアクリルポリマーが、熱的には安定であるにもかかわらず、太陽光に対し顕著に反応し、高分子量化することを見出し、該ポリマーと上記二重結合を含有しないアクリルポリマーを混合することによって、耐候性や耐汚染性を向上させるとともに、初期乾燥性を大幅に改善できるできることを見出し、本発明を完成させた。
【0006】
【発明の実施の形態】
本明細書において、アクリルおよびメタクリルを合わせて(メタ)アクリルという。また、アクリルポリマーとは、構成単量体単位として(メタ)アクリル酸エステル単位または(メタ)アクリル酸単位を40質量%以上含有するポリマーを意味する。
本発明の建築材料用組成物は、式(1)で表される炭素−炭素二重結合(以下、末端二重結合ともいう。)を末端に有するアクリルポリマー(a)および(a)以外のアクリルポリマー(b)からなり、上記末端二重結合の濃度が0.1meq/g以上であるアクリルポリマー混合物を含有するものである。
【0007】
【化2】
【0008】
(式(1)において、Rは炭素数1〜20のアルキル基、シクロアルキル基、ヒドロキシアルキル基またはアルコキシシリルアルキル基を意味し、Xは構成単位として(メタ)アクリル酸エステル単位を40質量%以上含有する数平均分子量が500〜30000であるアクリルポリマー鎖を意味する。)
【0009】
アクリルポリマー(a)は、ラジカル重合開始剤および有機溶剤の存在下180℃から350℃の温度で、特定条件下、アクリルモノマーを高温連続重合することにより合成可能である。重合中に、重合末端のラジカルがポリマーのα水素を引き抜くバックバイティング反応が生起し、β切断を経て末端二重結合が生成される。
【0010】
アクリルモノマーは、炭素数1から20のアルキル基、シクロアルキル基、ヒドロキシアルキル基、アルコキシシリルアルキル基を含有する(メタ)アクリル酸エステル類である。
【0011】
炭素数1〜20の(メタ)アクリル酸エステル類としては(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸s−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸ネオペンチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソデシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸トリデシルおよび(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸トリフルオロエチル等が例示される。
シクロアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステル類としては、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸イソボルニルおよび(メタ)アクリル酸トリシクロデシニル等が例示される。
ヒドロキシアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステル類としては、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシブチル等が例示される。
アルコキシシリルアルキル基を含有する(メタ)アクリル酸エステル類としては、(メタ)アクリル酸トリメトキシシリルプロピル、(メタ)アクリル酸トリエトキシシリルプロピル、(メタ)アクリル酸ジメトキシメチルシリルプロピル、(メタ)アクリル酸ジエトキシメチルシリルプロピル、(メタ)アクリル酸モノメトキシジメチルシリルプロピル等が例示される。
これらアクリルモノマーは2種以上を使用することも可能である。特にシーリング材のベースポリマーや塗料基材として使用する場合は、ヒドロキシアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステルを必須成分として含むことが必要である。
【0012】
アクリルポリマー(a)は、アクリルモノマー以外にスチレン、αメチルスチレン、ビニルトルエン等の芳香族モノマー、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル類、その他にビニルエーテル類、オレフィン類等が共重合されたものであっても良い。かかる場合は、アクリルモノマー単位の割合が40質量%以上であることが必要である。アクリルモノマー単位が40質量%未満では、末端二重結合の生成が阻害され、建築材料用組成物が、屋外で使用された場合に、耐候性、耐汚染性、乾燥性を十分発揮できないものとなる。
【0013】
アクリルポリマー(a)の分子量は、数平均分子量で500〜30000が必要である。500未満では、初期乾燥性が向上せず、30000を超えると粘度が上昇しすぎて、取り扱いし難くなる。
【0014】
アクリルポリマー(a)の製造においてラジカル重合開始剤を使用することができ、ラジカル重合開始剤としては、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ターシャリーブチルパーオキシピバレート、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイドおよびジターシャリーブチルパーオキサイド、ジタ−シャリヘキシルパーオキサイド等の有機過酸化物、またはアゾビスイソブチロニトリル、アゾビスイソバレロニトリル等のアゾ化合物、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム等の無機過酸化物が挙げられる。この中で、末端二重結合の生成し易さから、有機過酸化物が好ましい。
アクリルポリマー(a)の製造において有機溶媒を使用してもよく、有機溶媒としては、テトラヒドロフランおよびジオキサン等の環状エーテル類、ベンゼン、トルエンおよびキシレン等の芳香族炭化水素化合物、酢酸エチルおよび酢酸ブチル等のエステル類、アセトン、メチルエチルケトンおよびシクロヘキサノン等のケトン類、メタノール、エタノールおよびイソプロピルアルコール等のアルコール類等があげられ、これらの1種または2種以上を用いることができる。この中で末端二重結合の生成し易さからケトン類が好ましい。
【0015】
アクリルポリマー(a)の製造条件すなわち重合条件としては、重合温度が180〜350℃、圧力が常圧〜10MPaで、5分〜20時間の反応時間で行うことができる。重合方法はバッチ重合でもよいし、セミバッチ重合、或いは連続重合でもよい。
かかる重合方法の中では、分子量が適当で粘度が低く、無着色で夾雑物の少ない共重合体を効率よく製造するためには、高温連続重合することが好ましい。係る重合方法は、単量体を180〜350℃の重合温度にて連続反応装置で重合することを特徴とする。重合温度が180℃に満たない場合は、得られるアクリル系ポリマーの末端二重結合生成率が低下する。他方350℃より高すぎると、分解反応が発生して重合液が着色したり、分子量が低下する。
具体的な高温連続重合法としては、特表昭57−502171号公報、同59−6207号公報、同60−215007号公報等に開示された公知の方法に従えば良い。例えば、加圧可能な反応機を溶媒で満たし、加圧下で所定温度に設定した後、各単量体、及び必要に応じて重合溶媒とからなる単量体混合物を一定の供給速度で反応機へ供給し、単量体混合物の供給量に見合う量の重合液を抜き出す方法があげられる。
【0016】
アクリルポリマー(b)は、上記アクリルポリマー(a)以外のアクリルポリマーである。アクリルポリマー(b)は通常の重合方法、すなわち、ラジカル重合開始剤の存在下、必要により連鎖移動剤や溶剤、乳化剤の存在下、塊状重合、溶液重合、懸濁重合、乳化重合によって合成可能である。得られたアクリルポリマーは、末端に二重結合を含有しないこと以外はアクリルポリマー(a)とモノマーの種類および分子量について同一または類似のものであることが、相溶性や、物性のばらつきを防止する点で好ましい。
【0017】
上記アクリルポリマーの製造において、高温連続重合を採用して、その重合条件を選択すれば、該ポリマーの末端に一定の割合で末端二重結合を生成させることが可能なため、一回の重合によって(a)と(b)の混合物を得ることもできる。
本発明のアクリルポリマー混合物は、アクリルポリマー(a)5〜95質量%およびアクリルポリマー(b)5〜95質量%からなるものが、性能のバランスが良好となりやすいために好ましい。
【0018】
本発明のアクリルポリマー混合物は、上記末端二重結合を0.1meq/g以上含むことが必要である。0.1meq/g未満では、建築材料用組成物が、屋外で使用された場合に、耐候性、耐汚染性、乾燥性を十分発揮できないものとなる。上限は特にないが、0.9meq/gを超えると性能のバランスがとれなくなる場合がある。
なお、本発明に記載するmeq/g(アクリルポリマー混合物1gが含有する末端二重結合のミリモル数)は、H−NMRより求めることが可能である。エステルに隣接するメチレンまたはメチンのプロトンを基準に、二重結合のプロトンのシグナルの積分値から算出するか、測定時に内部標準を添加し、これを基準に算出することができる。
【0019】
本発明のアクリルポリマー混合物は、建築材料用組成物として使用することが可能であるが、特に屋外用シーリング材のベースポリマーや可塑剤として使用したり、塗料基材として使用した場合に、顕著な効果を発揮する。
【0020】
例えば、本発明のアクリルポリマー混合物を変成シリコーン、ポリウレタン、アクリルウレタン、ポリサルファイドをベースポリマーとするシーリング材の可塑剤として使用すると、耐候性、耐汚染性、乾燥性を向上させることができる。ここで、変成シリコーン、ポリウレタン、アクリルウレタン、ポリサルファイド系シーリング材は、JIS A5757に記載されたものである。
【0021】
シーリング材のベースポリマーとして使用する場合は、アクリルポリマー混合物が構成単位として(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキル単位を3質量%以上含有するものである。このヒドロキシアルキル基を、硬化剤であるイソシアネート変性プレポリマーと反応させて、2成分型シーリング材として使用することができる。3重量%未満では硬化性が不十分になり、シーリング材の物性を十分発揮させることができない。なお、本ポリマー混合物をベースポリマーおよび可塑剤として併用することも可能である。
【0022】
イソシアネート変性プレポリマーとしては、水酸基含有ポリエーテル、水酸基含有ポリエステル、水酸基含有ポリブタジエン等の水酸基を多官能イソシアネート化合物で変性したものが例示される。好ましくは、水酸基含有ポリエーテルをイソシアネート変性したプレポリマーが好ましい。かかるプレポリマーは分子中に2個以上のイソシアネート基を有することが必要である。
【0023】
また、アクリルポリマー混合物の水酸基とジイソシアネートを予め反応させて、官能基をイソシアネートに変換することにより1成分型シーリング材のベースポリマーとして使用することも可能である。ジイソシアネート化合物としては、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネートが例示される。
【0024】
塗料基材として使用する場合は、アクリルポリマー混合物が構成単位として(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキル単位を5質量%以上、好ましくは10質量%以上含有するものである。
塗料基材として使用する場合は、ポリイソシアネートやアミノ樹脂を硬化剤として用いることにより、強靭な皮膜を形成するが、5重量%未満では塗膜の硬度が不十分であり、傷がつき易くなり好ましくない。
硬化剤としては、ヘキサメチレンジイソシアネートの環状3量体、鎖状3量体、ブロックイソシアネート、メチル化メラミン樹脂、ブチル化メラミン樹脂等が例示される。
【0025】
本発明の建築材料用組成物は、紫外線吸収剤、光安定剤、熱安定剤、硬化促進剤、硬化遅延剤、滑剤、界面活性剤、レベリング剤、接着性付与剤、多官能アクリル単量体、空気酸化性化合物、充填材、顔料、無機微小中空体、等を含有するものであってもよい。
以下、実施例を挙げて、具体的に説明する。
【0026】
【実施例】
(合成例1)
ジターシャリーブチルパーオキサイド1質量部、メチルエチルケトン100質量部、アクリル酸ブチル(以下、BAという。)900質量部の混合物を、重合温度260℃にて、平均滞留時間12分にて高温連続重合して、下記の構造を有し、GPCで測定したポリスチレン換算の分子量がMn=2160であり、末端二重結合含有率が0.47meq/gのポリアクリル酸ブチル(I)を得た。得られたポリマーは下記式(2)で表される構造を有すると考えられる。
【0027】
【化3】
【0028】
別途、アゾビスイソブチロニトリル(以下、AIBNという。)を30質量部、イソプロパノール(以下、IPAという。)を700質量部、およびBAを300質量部よりなる混合物を95℃にて8時間重合して、Mn=2400であって末端二重結合を有しないポリアクリル酸ブチル(II)を得た。
(I)および(II)を質量比75対25で混合することにより、0.35meq/gのアクリルポリマー混合物を得た。なお、該混合物の分子量は、Mn=2250であった。
【0029】
(合成例2)
ジタ−シャリーブチルパーオキサイドを1質量部、メチルエチルケトンを5質量部、アクリル酸2エチルヘキシル(以下、HAという。)/メタクリル酸メチル(以下、MMAという。)(混合質量比75/25)よりなる混合モノマー94質量部を、重合温度230℃にて、平均滞留時間12分で高温連続重合し、末端二重結合を含有するHA/MMA共重合体と末端二重結合を含有しないHA/MMA共重合体の混合物であって、HA/MMA=74.5/25.5(質量%)、Mn=1240であり、0.63meq/gであるアクリルポリマー混合物を得た。
【0030】
(合成例3〜4)
合成例2と同様の操作により、表1記載のアクリルポリマー混合物を得た。
【0031】
【表1】
【0032】
略号の意味は以下のとおりである。
HEA:アクリル酸ヒドロキシエチル
CHA:アクリル酸シクロヘキシル
St:スチレン
HEMA:メタクリル酸ヒドロキシエチル
【0033】
(比較合成例1)
合成例3と同じモノマーを使用して、開始剤としてAIBN、溶剤としてIPAおよびトルエン、連鎖移動剤としてメルカプトエタノールを用いることにより、同一組成であって、Mn=3510、末端二重結合を含まないアクリルポリマーを得た。
(比較合成例2)
合成例4と同じモノマーを使用して、開始剤としてAIBN、溶剤としてIPAおよびトルエン、連鎖移動剤としてメルカプトエタノールを用いることにより、同一組成であって、Mn=2890、末端二重結合を含まないアクリルポリマーを得た。
【0034】
(実施例1〜2、比較例1)
可塑剤として合成例1および2のアクリルポリマー混合物、ベースポリマーとして変成シリコーンポリマー(鐘淵化学株式会社製MSポリマー「S203」)、軽質炭酸カルシウム(丸尾カルシウム株式会社製カルファイン200M)、重質炭酸カルシウム(丸尾カルシウム株式会社製スーパーSS)、酸化チタン(石原産業株式会社製R−820)、および老化防止剤(チバスペシャルティ株式会社製チヌビンB75)を表2の配合により、プラネタリーミキサーで1時間混練した。ついで、硬化触媒としてジブチル錫ジラウレートを添加してシーリング材の試験体を作成した。
可塑剤を合成例1記載の末端二重結合を有しないポリマー(II)に変える以外、同様の方法で、比較例1のシーリング材試験体を作成した。
【0035】
(実施例3、比較例2)
合成例3のアクリル系ポリマー混合物、または比較合成例1のアクリル系ポリマーをベースポリマーとして使用して、表2の配合により、シーリング材主剤を作成した。次いで、硬化剤としてポリプロピレンオキサイドにキシリレンジイソシアネートを付加したプレポリマー(イソシアネート含有量2.5%)を添加して、シーリング材の試験体を作成した。
【0036】
【表2】
【0037】
屋外にて1ヶ月養生したシーリング材硬化物を用いて下記の評価をおこなった。評価結果を表3に示す。
▲1▼破断強度、破断伸度、50%引張応力(被着体はアルミ)はJIS・A5758(建築用シーリング材)に記載の方法に準じて実施した。
▲2▼促進耐候性試験は試料をホルダーに取り付け、メタルウェザー耐候性試験機(ダイプラウィンテス株式会社製)600時間経過後の表面状態と強度保持率(%)、伸度保持率(%)を測定した。表面状態(目視による外観)の判定基準および伸度保持率の算出方法を示す。
・表面状態の判定基準 ○:変化なし、△:微少クラックあり、×:深いクラックあり
・強度保持率(%)=(促進耐候性試験後の破断強度/初期の破断強度)×100
・伸度保持率(%)=(促進耐候性試験後の破断伸度/初期の破断伸度)×100
▲3▼初期乾燥性は、シーリング材を屋外で養生し、24時間後に、指触により指先に粘着する感覚で評価した。
判定基準は、○:ほとんど感じない、△:すこし粘着する。×:酷く粘着する。
▲4▼汚染性は下記の方法で測定した。
アルミ板の上に厚さ12mmのスレートを置き、その隙間(幅10mm、高さ50mm)にシーリング材を充填した。屋外で1ヶ月養生した後、汚染粉(試験用ダスト8種:黄色酸化鉄:試験用ダスト3種=24:71:5(質量比))をシーリング材上に振りまき、10分後にエアーブロー(0.1MPa)を行った。その前後の色差(ΔE)を測定した。
【0038】
【表3】
【0039】
(実施例4、比較例3)
合成例4または比較合成例2のアクリルポリマー混合物をミネラルターペンに溶解して、固形分70%のワニスを得た。該ワニス100質量部、酸化チタン(石原産業株式会社製「タイペークCR95」)70質量部、分散助剤(ビックケミー社製「BYK182」)0.1質量部を混合し、ペイントシェーカーを用いて分散し、塗料主剤を得た。該主剤100質量部に対して、硬化剤としてデュラネートTSS100(旭化成株式会社製)を10質量部、硬化促進剤としてジブチル錫ジラウレートを60ppm添加した後、クロメート処理アルミ板上に、膜厚30μmになるようにスプレー塗装して、試験板を得た。
屋外にて1ヶ月硬化させた後、下記の評価をおこなった。評価結果を表4に示す。
【0040】
▲1▼促進耐候性試験は試料をホルダーに取り付け、蛍光紫外線式耐候性試験機(スガ試験機株式会社製)で1000時間経過後の光沢とLab値を測定し、下記の式により保持率を算出した。
・光沢保持率(%)=(促進耐候性試験後の光沢/初期光沢)×100
・色差(%)=(促進耐候性試験後のLab値/初期のLab値)×100
▲3▼初期乾燥性は、塗膜を屋外で硬化ながら、タック感の無くなる時間を測定した。
▲4▼汚染性は、屋外にて1ヶ月硬化させた試験板を、名古屋市港区の幹線道路に面した工場の外壁(南面)に1ヶ月取り付けて、汚染の度合いをΔL値(明度差)によって評価した。
【0041】
【表4】
【0042】
(参考試験)
合成例1〜3のアクリルポリマー混合物、および比較合成例1〜2のアクリルポリマーを、100質量部秤量し、150mlのガラスビンに入れて、密封した後、屋外の太陽光の当る場所で1ヶ月暴露した。その前後の分子量を測定したところ、表5に示すように、本発明のアクリル系ポリマー混合物は、顕著に増加していた。また、末端二重結合は消失または大幅に減少していた。
【0043】
【表5】
【0044】
【発明の効果】
本発明のアクリルポリマー混合物を使用すると、耐候性や耐汚染性が良く、さらに初期乾燥性にも優れ、建築材料用組成物として、屋外用シーリング材組成物、塗料用組成物として好適に使用できる。
Claims (5)
- 変成シリコーン、ポリウレタン、アクリルウレタンおよびポリサルファイドから選ばれるシーリング基材および請求項1に記載の建築材料用組成物からなる可塑剤を含有する屋外用シーリング材組成物。
- アクリルポリマー混合物が構成単位として(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキル単位を3質量%以上含有するものである請求項1に記載の建築材料用組成物を、ベースポリマーとして含有する屋外用シーリング材組成物。
- アクリルポリマー混合物が構成単位として(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキル単位を3質量%以上含有するポリマーをイソシアネート変性したものである請求項1に記載の建築材料用組成物を、ベースポリマーとして含有する屋外用シーリング材組成物。
- アクリルポリマー混合物が構成単位として(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキル単位を5質量%以上含有するものである請求項1に記載の建築材料用組成物を、塗料基材として含有する塗料用組成物。
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