JP2005060440A - 共重合体およびその製造方法ならびに組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】耐候性、耐水性、耐熱性、接着性、透明性、溶剤溶解性に優れた共重合体の製造方法、その方法により製造された共重合体および該共重合体を含有する硬化性組成物を提供する。
【解決手段】脂環構造を有し炭素原子および水素原子のみからなるラジカル重合性単量体、二重結合以外の反応性官能基を有する(メタ)アクリル酸エステルおよび二重結合以外の反応性官能基を有しない(メタ)アクリル酸エステルを150〜300℃の温度においてラジカル重合させる共重合体の製造方法。
【選択図】 なし
【解決手段】脂環構造を有し炭素原子および水素原子のみからなるラジカル重合性単量体、二重結合以外の反応性官能基を有する(メタ)アクリル酸エステルおよび二重結合以外の反応性官能基を有しない(メタ)アクリル酸エステルを150〜300℃の温度においてラジカル重合させる共重合体の製造方法。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、耐候性、耐水性、耐熱性、接着性、透明性、溶剤溶解性に優れた共重合体の製造方法、その方法により製造された共重合体および該共重合体を含有する硬化性組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
屋外で使用する塗料やシーリング材の分野では、耐候性の向上、汚染性の向上が求められ、数々の検討がなされてきた。
アクリル酸エステルを主成分とした特定の重合体を変成シリコーンシーリング材やアクリルウレタンシーリング材の可塑剤として使用した場合、更にはアクリルウレタン塗料基材に使用した場合に、耐候性や耐汚染性が向上することが知られている(特許文献1、2参照)。
しかし、建築物の高層化、高耐久化によるメンテナンスフリーの進展や、改修時の廃棄物削減の要請によって、長期使用が可能な材料が益々求められ、更なる耐候性や耐汚染性の向上が求められている。また、同時に耐熱性、耐水性、下地との接着性についてもさらなる向上が求められるようになってきた。
ところで、脂環構造を有し炭素原子および水素原子のみからなるラジカル重合性単量体は、リビングラジカル重合における連鎖移動剤として使用できることが知られている(特許文献3参照)。また、脂環構造を有し炭素原子および水素原子のみからなるラジカル重合性単量体は(メタ)アクリル酸エステルとの共重合性が乏しいため、スチレン単位を有する共重合体を水素化することによりビニルシクロヘキサン単位を含む共重合体を製造する方法が知られている(特許文献4参照)。このような方法によっては脂環構造を有し炭素原子および水素原子のみからなるラジカル重合性単量体単位および(メタ)アクリル酸エステル単位を有する共重合体を生産性よく製造することはできない。
【0003】
【特許文献1】
国際公開WO01/83619号パンフレット
【特許文献2】
特開平8−188660号公報
【特許文献3】
特開2000−281718号公報
【特許文献4】
特表2002−544338号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、耐候性、耐水性、接着性、耐汚染性が極めて良好な硬化物を与える架橋性の共重合体および生産性のよい該共重合体の製造方法ならびに該共重合体を含有する硬化性組成物を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明の共重合体の製造方法は、脂環構造を有し炭素原子および水素原子のみからなるラジカル重合性単量体、二重結合以外の反応性官能基を有する(メタ)アクリル酸エステルおよび二重結合以外の反応性官能基を有しない(メタ)アクリル酸エステルを150〜300℃の温度においてラジカル重合させることを特徴とするものである。
請求項2に記載の発明の共重合体の製造方法は、脂環構造を有し炭素原子および水素原子のみからなるラジカル重合性単量体10〜48質量部、二重結合以外の反応性官能基を有する(メタ)アクリル酸エステル2〜30質量部および二重結合以外の反応性官能基を有しない(メタ)アクリル酸エステル50〜88質量部を150〜300℃の温度においてラジカル重合させることを特徴とするものである。
請求項3に記載の発明の共重合体の製造方法は、請求項1または2に記載の発明において、(メタ)アクリル酸エステル全量のうち50質量%以上がアクリル酸エステルであることを特徴とするものである。
請求項4に記載の発明の共重合体の製造方法は、請求項1〜3のいずれかに記載の発明において、脂環構造を有し炭素原子および水素原子のみからなるラジカル重合性単量体が、ビニルシクロヘキサン、ビニルシクロヘキセン、ノルボルネン、ノルボルナジエンまたは式(1)
【0006】
【化2】
【0007】
(R1〜R4はそれぞれ水素、炭素数1〜10のアルキル基、水酸基、アルコキシシリル基、カルボキシル基から選ばれる置換基であり、mは1〜4の整数であり、pは0〜2の整数である。)
に示す構造を有する化合物であることを特徴とするものである。
請求項5に記載の発明の共重合体は、請求項1〜4のいずれかに記載の発明の方法により製造されることを特徴とするものである。
請求項6に記載の発明の硬化性組成物は、請求項5に記載の発明の共重合体および硬化剤または硬化触媒を含有することを特徴とするものである。
【0008】
【発明の実施の形態】
本明細書において、アクリルおよびメタクリルを合わせて(メタ)アクリルともいう。
本発明の共重合体の製造方法は、脂環構造を有し炭素原子および水素原子のみからなるラジカル重合性単量体(以下、炭化水素脂環単量体ともいう。)、二重結合以外の反応性官能基を有する(メタ)アクリル酸エステル(以下、官能性(メタ)アクリル酸エステルともいう。)および二重結合以外の反応性官能基を有しない(メタ)アクリル酸エステル(以下、非官能性(メタ)アクリル酸エステルともいう。)を150〜300℃の温度においてラジカル重合させることを特徴とするものである。
【0009】
炭化水素脂環単量体は、得られる共重合体の耐候性、耐水性、接着性、耐汚染性を極めて良好なものとするために重要な成分である。炭化水素脂環単量体としては、ビニルシクロヘキサンやビニルシクロヘキセン、ビニルデカリンなどビニル基を有するものや、シクロへキセン、ノルボルネン、ノルボルナジエン、シクロオクタジエン、式(1)
【0010】
【化3】
【0011】
(R1〜R4はそれぞれ水素、炭素数1〜10のアルキル基、水酸基、アルコキシシリル基、カルボキシル基から選ばれる置換基であり、mは1〜4の整数であり、pは0〜2の整数である。)
に示す構造を有する化合物(以下、単量体Aともいう。)などの内部二重結合を有するものが例示される。
単量体Aの具体例としては、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、テトラシクロ[4.4.0.12.5.17.10]−3−ドデセン、8−メチル−8−カルボキシメチルテトラシクロ[4.4.0.12.5.17.10]−3−ドデセンなどが挙げられる。
(メタ)アクリル酸エステルとの共重合のし易さから、炭化水素脂環単量体はビニルシクロヘキサン、ビニルシクロへキセン、ノルボルネン、ノルボルナジエン、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、から選択されることが好ましい。
【0012】
二重結合以外の反応性官能基を有する(メタ)アクリル酸エステルすなわち官能性(メタ)アクリル酸エステルは、得られる共重合体に架橋性を付与し、該共重合体を架橋させて得られる硬化物を、耐候性、耐水性、接着性、耐汚染性の極めて良好なものとするために重要な成分である。二重結合以外の反応性官能基とは、常温または200℃以内程度の温度において反応性を有する二重結合以外の官能基であり、該官能基どうしが反応するものであってもよいし、該官能基と別途添加される硬化剤に含まれる反応性基とが反応するものであってもよい。二重結合以外の反応性官能基の例としては、水酸基、アルコキシシリル基などが挙げられる。
【0013】
水酸基を有する(メタ)アクリル酸エステルの例としては、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシブチル等が例示される。
アルコキシシリル基を有する(メタ)アクリル酸エステルの例としては、(メタ)アクリル酸トリメトキシシリルプロピル、(メタ)アクリル酸トリエトキシシリルプロピル、(メタ)アクリル酸ジメトキシメチルシリルプロピル、(メタ)アクリル酸ジエトキシメチルシリルプロピル、(メタ)アクリル酸モノメトキシジメチルシリルプロピル等が例示される。
【0014】
二重結合以外の反応性官能基を有しない(メタ)アクリル酸エステルすなわち非官能性(メタ)アクリル酸エステルは、炭化水素脂環単量体を円滑に共重合させるために必要な成分である。非官能性(メタ)アクリル酸エステルとしては(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸s−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸ネオペンチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソデシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸トリデシルおよび(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸トリフルオロエチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸イソボルニルおよび(メタ)アクリル酸トリシクロデシニル等が例示される。
【0015】
官能性(メタ)アクリル酸エステルおよび非官能性(メタ)アクリル酸エステルは、エステル中のアルコールに由来する残基に含まれるアルキル基、シクロアルキル基、ヒドロキシアルキル基、アルコキシシリルアルキル基などのアルキル鎖の炭素数が1〜20の範囲にあるものが好ましい。炭素数が20を超えると、(メタ)アクリル基の反応性が低下するため、共重合体の収率が低下し好ましくない。官能性(メタ)アクリル酸エステルおよび非官能性(メタ)アクリル酸エステルは、それぞれ2種以上を使用することも可能である。
(メタ)アクリル酸エステルは、50質量%以上がアクリル酸エステルであることが好ましい。50質量%を下回ると、得られる共重合体が炭化水素脂環単量体単位の含有割合が小さくなりすぎる場合がある。
【0016】
本発明の共重合体を塗料やシーリング材として使用する場合は、共重合体に含まれる構成単位の割合が、炭化水素脂環単量体10〜50質量部、官能性(メタ)アクリル酸エステル2〜30質量部及び非官能性(メタ)アクリル酸エステル50〜90質量部(これらを合わせて100質量部)であるものが好ましい。
炭化水素脂環単量体が10質量部未満では、耐候性や耐水性、接着性が不十分になる場合があり、50質量部を超えると共重合体の収率が低下する場合がある。官能性(メタ)アクリル酸エステルが2質量部未満では、硬化性が不十分になる場合があり、30質量部を超えると共重合体の柔軟性が低下する場合がある。
非官能性(メタ)アクリル酸エステルが50質量部未満では、得られた共重合体の分子量が低くなりすぎる場合があり、90質量部を超えると、共重合体の耐候性や耐水性が不十分になる場合がある。
【0017】
本発明の共重合体は、上記単量体以外にスチレン、αメチルスチレン、ビニルトルエン等の芳香族単量体、(メタ)アクリル酸、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル類、その他にビニルエーテル類、エチレン、プロピレン等の非環状オレフィン類等(以下、これらを合わせてその他の単量体ともいう。
)が共重合されたものであってもよい。その他の単量体の割合は30質量部以下であることが必要である。30質量部を超えると、共重合体の耐候性や透明性が低下して好ましくない。
【0018】
上記単量体は、150〜300℃の温度においてラジカル重合される。この際の、圧力は常圧〜10MPaで、5分〜40時間の反応時間で重合されることが好ましい。重合方法はバッチ重合でもよいし、セミバッチ重合、或いは連続重合でもよい。
重合温度が150℃に満たない場合は、得られる共重合体中の脂環式単量体成分の割合が低下して、所望の性能が出なくなる。他方300℃より高すぎると、分解反応が発生して重合液が着色したり、分子量が低下するため好ましくない。
かかる重合方法の中で、高温連続重合を採用する場合は、特表昭57−502171号公報、特開昭59−6207号公報、特開昭60−215007号公報等に開示された公知の方法に従えば良い。例えば、加圧可能な反応機を溶媒で満たし、加圧下で所定温度に設定した後、各単量体、及び必要に応じて重合溶媒とからなる単量体混合物を一定の供給速度で反応機へ供給し、単量体混合物の供給量に見合う量の重合液を抜き出す方法があげられる。
【0019】
ラジカル重合させるときにはラジカル重合開始剤を使用することができ、ラジカル重合開始剤の例としては、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ターシャリーブチルパーオキシピバレート、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイドおよびジターシャリーブチルパーオキサイド、ジタ−シャリヘキシルパーオキサイド等の有機過酸化物、またはアゾビスイソブチロニトリル、アゾビスイソバレロニトリル等のアゾ化合物、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム等の無機過酸化物が挙げられる。この中で、二重結合の生成し易さから、有機過酸化物を使用することが好ましい。
有機溶媒としては、テトラヒドロフランおよびジオキサン等の環状エーテル類、ベンゼン、トルエンおよびキシレン等の芳香族炭化水素化合物、酢酸エチルおよび酢酸ブチル等のエステル類、アセトン、メチルエチルケトンおよびシクロヘキサノン等のケトン類、メタノール、エタノールおよびイソプロピルアルコール等のアルコール類等があげられ、これらの1種または2種以上を用いることができるが、溶媒を使用しないで重合させることもできる。
【0020】
共重合体の分子量は、数平均分子量(以下、Mnともいう。)1000〜300000が好ましい。1000未満では、共重合体が脆くなる場合があり、300000を超えると粘度が高く、取り扱いにくい場合がある。
【0021】
本発明の共重合体に硬化剤および/または硬化触媒が添加された硬化性組成物は、屋外用途の塗料やシーリング材として使用することができる。
共重合体をシーリング材のベースポリマーとして使用する場合は、官能性(メタ)アクリル酸エステルとして、全単量体当り3質量%以上の(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルを含有することが必要である。このヒドロキシアルキル基を、硬化剤であるイソシアネート変性プレポリマーと反応させて、2成分型シーリング材として使用することができる。3質量%未満では硬化性が不十分になり、シーリング材の物性を十分発揮させることができない。
イソシアネート変性プレポリマーとしては、水酸基含有ポリエーテル、水酸基含有ポリエステル、水酸基含有ポリブタジエン等の水酸基を多官能イソシアネート化合物で変性したものが例示される。好ましくは、水酸基含有ポリエーテルをイソシアネート変性したプレポリマーが好ましい。かかるプレポリマーは分子中に2個以上のイソシアネート基を有することが必要である。
また、共重合体に含まれる水酸基とジイソシアネートを予め反応させて、官能基をイソシアネートに変換することにより1成分型シーリング材のベースポリマーとして使用することも可能である。
ジイソシアネート化合物としては、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネートが例示される。
【0022】
また、官能性(メタ)アクリル酸エステルとして、アルコキシシリルアルキル基を含有する(メタ)アクリル酸エステル類を使用することも可能である。該官能基を使用する共重合体は、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジアセトアセトナートなどの有機錫系硬化触媒、および必要により有機アミノ化合物などの硬化助剤により、湿気硬化することが可能である。
【0023】
塗料基材として使用する場合は、官能性(メタ)アクリル酸エステルにおける官能基として(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルまたはアルコキシシリルアルキル基を含有する(メタ)アクリル酸エステルを全単量体当り5質量%以上を含有することが必要である。
塗料基材として使用する場合は、ポリイソシアネートやアミノ樹脂を硬化剤として用いることにより、強靭な皮膜を形成するが、5質量%未満では塗膜の硬度が不十分であり、傷がつき易くなり好ましくない。
硬化剤としては、ヘキサメチレンジイソシアネートの環状3量体、鎖状3量体、ブロックイソシアネート、メチル化メラミン樹脂、ブチル化メラミン樹脂等が例示される。
【0024】
本発明の硬化性組成物は、紫外線吸収剤、光安定剤、熱安定剤、硬化促進剤、硬化遅延剤、滑剤、界面活性剤、レベリング剤、接着性付与剤、多官能アクリル単量体、空気酸化性化合物、充填材、顔料、無機微小中空体、等が配合されたものであってもよい。
以下、実施例を挙げて、具体的に説明する。
【0025】
【実施例】
(実施例1)
1リットルの攪拌機の付いた耐圧反応機に、単量体としてアクリル酸ブチル(以下、BAともいう。)300質量部、ビニルシクロヘキサン(以下、VCHともいう。)300質量部、アクリル酸ヒドロキシエチル(以下、HEAともいう。)100質量部、開始剤としてジタ−シャリーブチルパーオキサイド(以下、DTBPともいう。)25質量部、溶剤としてトルエンを50質量部仕込み、窒素置換後、密封して210℃に加熱した。攪拌しながら1時間加熱した後冷却し、反応機を開放して、内容物をメタノールに沈殿させた。得られた共重合体を回収して乾燥後に得量を測定したところ672g(共重合体への転化率96%)であった。、得られた共重合体は無色透明であり、標準ポリスチレンを用いたGPCによる分子量は、Mn=13600、Mw(重量平均分子量)=87000であった。NMR(核磁気共鳴スペクトル)および熱分解GC−MSにて組成を定量したところ、BA/VCH/HEA=46/43/11(質量比)であった。また、DSCによるガラス転移温度は−35℃であった。
【0026】
(実施例2〜6)
実施例1と同様の方法で共重合をおこない、表1の結果を得た。
【0027】
【表1】
【0028】
略号の意味は以下のとおりである。
CHA:アクリル酸シクロヘキシル
MMA:メタクリル酸メチル
TMSPMA:メタクリル酸トリメトキシシリルプロピル
NB:ノルボルネン
ND:ノルボルナジエン
VCX:ビニルシクロへキセン
BHE:ビシクロ[2.2.1]ヘプトー2−エン
【0029】
(比較例1)
1リットルのガラスフラスコに、単量体としてBA200質量部、MMA200質量部、VCH200質量部、HEA100質量部、開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル(以下、AIBNともいう。)30質量部、トルエン200質量部仕込み、窒素置換した後、85℃にて8時間重合した。得られた共重合体は455質量部(65%)であり、Mn=2600、Mw=10000であった。
共重合体の組成は、BA/MMA/VCH/HEA=40/44/3/13(質量比)となり、VCHはほとんど共重合されていなかった。
【0030】
(参考例1、比較参考例1)
実施例1の共重合体100質量部に、炭酸カルシウム(丸尾カルシウム製カルファイン200)を150質量部、酸化チタン(石原産業製タイペークCR95)を20質量部、可塑剤(東亞合成製ARUFON UP−1000)を50質量部、老化防止剤(チバスペシャリティ製チヌビンB75)を1質量部、硬化触媒としてジブチル錫ジラウレートを2質量部配合して、シーリング材主剤を作成した。次いで、硬化剤としてポリプロピレンオキサイドにキシリレンジイソシアネートを付加したプレポリマー(イソシアネート含有量2.5%)を水酸基/NCO基が当量になるように添加して、参考例1のシーリング材の試験体を作成した。
また、開始剤としてAIBN、連鎖移動剤としてメルカプトエタノールを使用して重合したBA/HEA=90/10(質量比)であって、Mn=8000、Mw=19000の共重合体を、同様の配合により比較参考例1のシーリング材の試験体を作成した。
【0031】
屋外にて1ヶ月養生したシーリング材硬化物を用いて下記の評価をおこなった。
▲1▼破断強度、破断伸度、50%引張応力(被着体はアルミ)はJIS・A5758(建築用シーリング材)に記載の方法に準じて実施した。
▲2▼促進耐候性試験は試料をホルダーに取り付け、メタルウェザー耐候性試験機(ダイプラウィンテス株式会社製)800時間経過後の表面状態と強度保持率(%)、伸度保持率(%)を測定した。表面状態の判定基準および伸度保持率の算出方法を示す。
・表面状態の判定基準 ○:変化なし、△:微少クラックあり、×:深いクラックあり
・強度保持率(%)=(促進耐候性試験後の破断強度/初期の破断強度)×100
・伸度保持率(%)=(促進耐候性試験後の破断伸度/初期の破断伸度)×100
▲3▼初期乾燥性は、シーリング材を屋外で養生し、24時間後に、指触により指先に粘着する感覚で評価した。
判定基準は、○:ほとんど感じない、△:すこし粘着する。×:酷く粘着する。
▲4▼汚染性は下記の方法で測定した。
アルミ板の上に厚さ12mmのスレートを置き、その隙間(幅10mm、高さ50mm)にシーリング材を充填した。屋外で1ヶ月養生した後、汚染粉(試験用ダスト8種:黄色酸化鉄:試験用ダスト3種=24:71:5(質量比))をシーリング材上に振りまき、10分後にエアーブロー(0.1Mpa)を行った。その前後の色差(ΔE)を測定した。
【0032】
【表2】
【0033】
(参考例2、比較参考例2)
実施例3の共重合体を酢酸ブチルに溶解して、固形分60%のワニスを得た。該ワニス100重量部、酸化チタン(石原産業製イペークCR95)70質量部、分散助剤(ビックケミー製BYK182)0.1質量部を混合し、ペイントシェーカーを用いて分散し、塗料主剤を得た。硬化剤としてデュラネートTSS100(旭化成製)を水酸基/NCO基が当量になるように添加し、硬化促進剤としてジブチル錫ジラウレートを60ppm添加した後、クロメート処理アルミ板上に、膜厚30μmになるようにスプレー塗装して、参考例2の試験板を得た。
また、スチレン/アクリル酸2−エチルヘキシル/HEMA=40/50/10(質量部)であって、Mn=5500、Mw=17200の共重合体を用いて、同様の配合により比較参考例2の試験板を得た。
【0034】
屋外にて1ヶ月硬化させた後、下記の評価をおこなった。
▲1▼促進耐候性試験は試料をホルダーに取り付け、蛍光紫外線式耐候性試験機(スガ試験機株式会社製)で1000時間経過後の光沢とLab値を測定し、下記の式により保持率を算出した。
・光沢保持率(%)=(促進耐候性試験後の光沢/初期光沢)×100
・色差(%)=(促進耐候性試験後のLab値/初期のLab値)×100
▲3▼初期乾燥性は、塗膜を屋外で硬化ながら、タック感の無くなる時間を測定した。
▲4▼汚染性は、屋外にて1ヶ月硬化させた試験板を、名古屋市港区の幹線道路に面した工場の外壁(南面)に1ヶ月取り付けて、汚染の度合いをΔL値(明度差)によって評価した。
▲5▼耐熱耐水性:試験板を沸騰水中に3時間浸漬し、引き上げた直後の表面状態を観察した。
○:異常なし、△:部分的にフクレあり、×:全面にフクレあり
▲6▼接着性:試験板を沸騰水中に3時間浸漬し、引き上げた直後に碁盤目粘着テープ剥離試験をおこなった。
【0035】
【表3】
【0036】
(比較例2)
CHA200質量部、MMA200質量部、HEA50質量部、DTBP5質量部、IPA50質量部からなる単量体混合物を実施例1と同様の操作により重合させた。共重合体への転化率は85%、得られた共重合体は無色透明、Mn=8000、Mw=19000、DSCにより求めたガラス転移温度は−1.7℃、NMRおよび熱分解GC−MSにより求めた組成はCHA/MMA/HEA=46/42/12であった。
(比較参考例3)
比較例2において得られた共重合体を使用し、参考例2と同様の操作により、塗料組成物を調製して評価を行った。結果を表4に示す。
【0037】
【表4】
【0038】
【発明の効果】
耐候性、耐水性、耐熱性、透明性、溶解性に優れた共重合体が生産性よく得られ、該共重合体を含有する組成物は耐候性、耐水性、耐熱性、透明性などに優れる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、耐候性、耐水性、耐熱性、接着性、透明性、溶剤溶解性に優れた共重合体の製造方法、その方法により製造された共重合体および該共重合体を含有する硬化性組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
屋外で使用する塗料やシーリング材の分野では、耐候性の向上、汚染性の向上が求められ、数々の検討がなされてきた。
アクリル酸エステルを主成分とした特定の重合体を変成シリコーンシーリング材やアクリルウレタンシーリング材の可塑剤として使用した場合、更にはアクリルウレタン塗料基材に使用した場合に、耐候性や耐汚染性が向上することが知られている(特許文献1、2参照)。
しかし、建築物の高層化、高耐久化によるメンテナンスフリーの進展や、改修時の廃棄物削減の要請によって、長期使用が可能な材料が益々求められ、更なる耐候性や耐汚染性の向上が求められている。また、同時に耐熱性、耐水性、下地との接着性についてもさらなる向上が求められるようになってきた。
ところで、脂環構造を有し炭素原子および水素原子のみからなるラジカル重合性単量体は、リビングラジカル重合における連鎖移動剤として使用できることが知られている(特許文献3参照)。また、脂環構造を有し炭素原子および水素原子のみからなるラジカル重合性単量体は(メタ)アクリル酸エステルとの共重合性が乏しいため、スチレン単位を有する共重合体を水素化することによりビニルシクロヘキサン単位を含む共重合体を製造する方法が知られている(特許文献4参照)。このような方法によっては脂環構造を有し炭素原子および水素原子のみからなるラジカル重合性単量体単位および(メタ)アクリル酸エステル単位を有する共重合体を生産性よく製造することはできない。
【0003】
【特許文献1】
国際公開WO01/83619号パンフレット
【特許文献2】
特開平8−188660号公報
【特許文献3】
特開2000−281718号公報
【特許文献4】
特表2002−544338号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、耐候性、耐水性、接着性、耐汚染性が極めて良好な硬化物を与える架橋性の共重合体および生産性のよい該共重合体の製造方法ならびに該共重合体を含有する硬化性組成物を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明の共重合体の製造方法は、脂環構造を有し炭素原子および水素原子のみからなるラジカル重合性単量体、二重結合以外の反応性官能基を有する(メタ)アクリル酸エステルおよび二重結合以外の反応性官能基を有しない(メタ)アクリル酸エステルを150〜300℃の温度においてラジカル重合させることを特徴とするものである。
請求項2に記載の発明の共重合体の製造方法は、脂環構造を有し炭素原子および水素原子のみからなるラジカル重合性単量体10〜48質量部、二重結合以外の反応性官能基を有する(メタ)アクリル酸エステル2〜30質量部および二重結合以外の反応性官能基を有しない(メタ)アクリル酸エステル50〜88質量部を150〜300℃の温度においてラジカル重合させることを特徴とするものである。
請求項3に記載の発明の共重合体の製造方法は、請求項1または2に記載の発明において、(メタ)アクリル酸エステル全量のうち50質量%以上がアクリル酸エステルであることを特徴とするものである。
請求項4に記載の発明の共重合体の製造方法は、請求項1〜3のいずれかに記載の発明において、脂環構造を有し炭素原子および水素原子のみからなるラジカル重合性単量体が、ビニルシクロヘキサン、ビニルシクロヘキセン、ノルボルネン、ノルボルナジエンまたは式(1)
【0006】
【化2】
【0007】
(R1〜R4はそれぞれ水素、炭素数1〜10のアルキル基、水酸基、アルコキシシリル基、カルボキシル基から選ばれる置換基であり、mは1〜4の整数であり、pは0〜2の整数である。)
に示す構造を有する化合物であることを特徴とするものである。
請求項5に記載の発明の共重合体は、請求項1〜4のいずれかに記載の発明の方法により製造されることを特徴とするものである。
請求項6に記載の発明の硬化性組成物は、請求項5に記載の発明の共重合体および硬化剤または硬化触媒を含有することを特徴とするものである。
【0008】
【発明の実施の形態】
本明細書において、アクリルおよびメタクリルを合わせて(メタ)アクリルともいう。
本発明の共重合体の製造方法は、脂環構造を有し炭素原子および水素原子のみからなるラジカル重合性単量体(以下、炭化水素脂環単量体ともいう。)、二重結合以外の反応性官能基を有する(メタ)アクリル酸エステル(以下、官能性(メタ)アクリル酸エステルともいう。)および二重結合以外の反応性官能基を有しない(メタ)アクリル酸エステル(以下、非官能性(メタ)アクリル酸エステルともいう。)を150〜300℃の温度においてラジカル重合させることを特徴とするものである。
【0009】
炭化水素脂環単量体は、得られる共重合体の耐候性、耐水性、接着性、耐汚染性を極めて良好なものとするために重要な成分である。炭化水素脂環単量体としては、ビニルシクロヘキサンやビニルシクロヘキセン、ビニルデカリンなどビニル基を有するものや、シクロへキセン、ノルボルネン、ノルボルナジエン、シクロオクタジエン、式(1)
【0010】
【化3】
【0011】
(R1〜R4はそれぞれ水素、炭素数1〜10のアルキル基、水酸基、アルコキシシリル基、カルボキシル基から選ばれる置換基であり、mは1〜4の整数であり、pは0〜2の整数である。)
に示す構造を有する化合物(以下、単量体Aともいう。)などの内部二重結合を有するものが例示される。
単量体Aの具体例としては、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、テトラシクロ[4.4.0.12.5.17.10]−3−ドデセン、8−メチル−8−カルボキシメチルテトラシクロ[4.4.0.12.5.17.10]−3−ドデセンなどが挙げられる。
(メタ)アクリル酸エステルとの共重合のし易さから、炭化水素脂環単量体はビニルシクロヘキサン、ビニルシクロへキセン、ノルボルネン、ノルボルナジエン、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、から選択されることが好ましい。
【0012】
二重結合以外の反応性官能基を有する(メタ)アクリル酸エステルすなわち官能性(メタ)アクリル酸エステルは、得られる共重合体に架橋性を付与し、該共重合体を架橋させて得られる硬化物を、耐候性、耐水性、接着性、耐汚染性の極めて良好なものとするために重要な成分である。二重結合以外の反応性官能基とは、常温または200℃以内程度の温度において反応性を有する二重結合以外の官能基であり、該官能基どうしが反応するものであってもよいし、該官能基と別途添加される硬化剤に含まれる反応性基とが反応するものであってもよい。二重結合以外の反応性官能基の例としては、水酸基、アルコキシシリル基などが挙げられる。
【0013】
水酸基を有する(メタ)アクリル酸エステルの例としては、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシブチル等が例示される。
アルコキシシリル基を有する(メタ)アクリル酸エステルの例としては、(メタ)アクリル酸トリメトキシシリルプロピル、(メタ)アクリル酸トリエトキシシリルプロピル、(メタ)アクリル酸ジメトキシメチルシリルプロピル、(メタ)アクリル酸ジエトキシメチルシリルプロピル、(メタ)アクリル酸モノメトキシジメチルシリルプロピル等が例示される。
【0014】
二重結合以外の反応性官能基を有しない(メタ)アクリル酸エステルすなわち非官能性(メタ)アクリル酸エステルは、炭化水素脂環単量体を円滑に共重合させるために必要な成分である。非官能性(メタ)アクリル酸エステルとしては(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸s−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸ネオペンチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソデシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸トリデシルおよび(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸トリフルオロエチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸イソボルニルおよび(メタ)アクリル酸トリシクロデシニル等が例示される。
【0015】
官能性(メタ)アクリル酸エステルおよび非官能性(メタ)アクリル酸エステルは、エステル中のアルコールに由来する残基に含まれるアルキル基、シクロアルキル基、ヒドロキシアルキル基、アルコキシシリルアルキル基などのアルキル鎖の炭素数が1〜20の範囲にあるものが好ましい。炭素数が20を超えると、(メタ)アクリル基の反応性が低下するため、共重合体の収率が低下し好ましくない。官能性(メタ)アクリル酸エステルおよび非官能性(メタ)アクリル酸エステルは、それぞれ2種以上を使用することも可能である。
(メタ)アクリル酸エステルは、50質量%以上がアクリル酸エステルであることが好ましい。50質量%を下回ると、得られる共重合体が炭化水素脂環単量体単位の含有割合が小さくなりすぎる場合がある。
【0016】
本発明の共重合体を塗料やシーリング材として使用する場合は、共重合体に含まれる構成単位の割合が、炭化水素脂環単量体10〜50質量部、官能性(メタ)アクリル酸エステル2〜30質量部及び非官能性(メタ)アクリル酸エステル50〜90質量部(これらを合わせて100質量部)であるものが好ましい。
炭化水素脂環単量体が10質量部未満では、耐候性や耐水性、接着性が不十分になる場合があり、50質量部を超えると共重合体の収率が低下する場合がある。官能性(メタ)アクリル酸エステルが2質量部未満では、硬化性が不十分になる場合があり、30質量部を超えると共重合体の柔軟性が低下する場合がある。
非官能性(メタ)アクリル酸エステルが50質量部未満では、得られた共重合体の分子量が低くなりすぎる場合があり、90質量部を超えると、共重合体の耐候性や耐水性が不十分になる場合がある。
【0017】
本発明の共重合体は、上記単量体以外にスチレン、αメチルスチレン、ビニルトルエン等の芳香族単量体、(メタ)アクリル酸、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル類、その他にビニルエーテル類、エチレン、プロピレン等の非環状オレフィン類等(以下、これらを合わせてその他の単量体ともいう。
)が共重合されたものであってもよい。その他の単量体の割合は30質量部以下であることが必要である。30質量部を超えると、共重合体の耐候性や透明性が低下して好ましくない。
【0018】
上記単量体は、150〜300℃の温度においてラジカル重合される。この際の、圧力は常圧〜10MPaで、5分〜40時間の反応時間で重合されることが好ましい。重合方法はバッチ重合でもよいし、セミバッチ重合、或いは連続重合でもよい。
重合温度が150℃に満たない場合は、得られる共重合体中の脂環式単量体成分の割合が低下して、所望の性能が出なくなる。他方300℃より高すぎると、分解反応が発生して重合液が着色したり、分子量が低下するため好ましくない。
かかる重合方法の中で、高温連続重合を採用する場合は、特表昭57−502171号公報、特開昭59−6207号公報、特開昭60−215007号公報等に開示された公知の方法に従えば良い。例えば、加圧可能な反応機を溶媒で満たし、加圧下で所定温度に設定した後、各単量体、及び必要に応じて重合溶媒とからなる単量体混合物を一定の供給速度で反応機へ供給し、単量体混合物の供給量に見合う量の重合液を抜き出す方法があげられる。
【0019】
ラジカル重合させるときにはラジカル重合開始剤を使用することができ、ラジカル重合開始剤の例としては、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ターシャリーブチルパーオキシピバレート、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイドおよびジターシャリーブチルパーオキサイド、ジタ−シャリヘキシルパーオキサイド等の有機過酸化物、またはアゾビスイソブチロニトリル、アゾビスイソバレロニトリル等のアゾ化合物、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム等の無機過酸化物が挙げられる。この中で、二重結合の生成し易さから、有機過酸化物を使用することが好ましい。
有機溶媒としては、テトラヒドロフランおよびジオキサン等の環状エーテル類、ベンゼン、トルエンおよびキシレン等の芳香族炭化水素化合物、酢酸エチルおよび酢酸ブチル等のエステル類、アセトン、メチルエチルケトンおよびシクロヘキサノン等のケトン類、メタノール、エタノールおよびイソプロピルアルコール等のアルコール類等があげられ、これらの1種または2種以上を用いることができるが、溶媒を使用しないで重合させることもできる。
【0020】
共重合体の分子量は、数平均分子量(以下、Mnともいう。)1000〜300000が好ましい。1000未満では、共重合体が脆くなる場合があり、300000を超えると粘度が高く、取り扱いにくい場合がある。
【0021】
本発明の共重合体に硬化剤および/または硬化触媒が添加された硬化性組成物は、屋外用途の塗料やシーリング材として使用することができる。
共重合体をシーリング材のベースポリマーとして使用する場合は、官能性(メタ)アクリル酸エステルとして、全単量体当り3質量%以上の(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルを含有することが必要である。このヒドロキシアルキル基を、硬化剤であるイソシアネート変性プレポリマーと反応させて、2成分型シーリング材として使用することができる。3質量%未満では硬化性が不十分になり、シーリング材の物性を十分発揮させることができない。
イソシアネート変性プレポリマーとしては、水酸基含有ポリエーテル、水酸基含有ポリエステル、水酸基含有ポリブタジエン等の水酸基を多官能イソシアネート化合物で変性したものが例示される。好ましくは、水酸基含有ポリエーテルをイソシアネート変性したプレポリマーが好ましい。かかるプレポリマーは分子中に2個以上のイソシアネート基を有することが必要である。
また、共重合体に含まれる水酸基とジイソシアネートを予め反応させて、官能基をイソシアネートに変換することにより1成分型シーリング材のベースポリマーとして使用することも可能である。
ジイソシアネート化合物としては、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネートが例示される。
【0022】
また、官能性(メタ)アクリル酸エステルとして、アルコキシシリルアルキル基を含有する(メタ)アクリル酸エステル類を使用することも可能である。該官能基を使用する共重合体は、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジアセトアセトナートなどの有機錫系硬化触媒、および必要により有機アミノ化合物などの硬化助剤により、湿気硬化することが可能である。
【0023】
塗料基材として使用する場合は、官能性(メタ)アクリル酸エステルにおける官能基として(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルまたはアルコキシシリルアルキル基を含有する(メタ)アクリル酸エステルを全単量体当り5質量%以上を含有することが必要である。
塗料基材として使用する場合は、ポリイソシアネートやアミノ樹脂を硬化剤として用いることにより、強靭な皮膜を形成するが、5質量%未満では塗膜の硬度が不十分であり、傷がつき易くなり好ましくない。
硬化剤としては、ヘキサメチレンジイソシアネートの環状3量体、鎖状3量体、ブロックイソシアネート、メチル化メラミン樹脂、ブチル化メラミン樹脂等が例示される。
【0024】
本発明の硬化性組成物は、紫外線吸収剤、光安定剤、熱安定剤、硬化促進剤、硬化遅延剤、滑剤、界面活性剤、レベリング剤、接着性付与剤、多官能アクリル単量体、空気酸化性化合物、充填材、顔料、無機微小中空体、等が配合されたものであってもよい。
以下、実施例を挙げて、具体的に説明する。
【0025】
【実施例】
(実施例1)
1リットルの攪拌機の付いた耐圧反応機に、単量体としてアクリル酸ブチル(以下、BAともいう。)300質量部、ビニルシクロヘキサン(以下、VCHともいう。)300質量部、アクリル酸ヒドロキシエチル(以下、HEAともいう。)100質量部、開始剤としてジタ−シャリーブチルパーオキサイド(以下、DTBPともいう。)25質量部、溶剤としてトルエンを50質量部仕込み、窒素置換後、密封して210℃に加熱した。攪拌しながら1時間加熱した後冷却し、反応機を開放して、内容物をメタノールに沈殿させた。得られた共重合体を回収して乾燥後に得量を測定したところ672g(共重合体への転化率96%)であった。、得られた共重合体は無色透明であり、標準ポリスチレンを用いたGPCによる分子量は、Mn=13600、Mw(重量平均分子量)=87000であった。NMR(核磁気共鳴スペクトル)および熱分解GC−MSにて組成を定量したところ、BA/VCH/HEA=46/43/11(質量比)であった。また、DSCによるガラス転移温度は−35℃であった。
【0026】
(実施例2〜6)
実施例1と同様の方法で共重合をおこない、表1の結果を得た。
【0027】
【表1】
【0028】
略号の意味は以下のとおりである。
CHA:アクリル酸シクロヘキシル
MMA:メタクリル酸メチル
TMSPMA:メタクリル酸トリメトキシシリルプロピル
NB:ノルボルネン
ND:ノルボルナジエン
VCX:ビニルシクロへキセン
BHE:ビシクロ[2.2.1]ヘプトー2−エン
【0029】
(比較例1)
1リットルのガラスフラスコに、単量体としてBA200質量部、MMA200質量部、VCH200質量部、HEA100質量部、開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル(以下、AIBNともいう。)30質量部、トルエン200質量部仕込み、窒素置換した後、85℃にて8時間重合した。得られた共重合体は455質量部(65%)であり、Mn=2600、Mw=10000であった。
共重合体の組成は、BA/MMA/VCH/HEA=40/44/3/13(質量比)となり、VCHはほとんど共重合されていなかった。
【0030】
(参考例1、比較参考例1)
実施例1の共重合体100質量部に、炭酸カルシウム(丸尾カルシウム製カルファイン200)を150質量部、酸化チタン(石原産業製タイペークCR95)を20質量部、可塑剤(東亞合成製ARUFON UP−1000)を50質量部、老化防止剤(チバスペシャリティ製チヌビンB75)を1質量部、硬化触媒としてジブチル錫ジラウレートを2質量部配合して、シーリング材主剤を作成した。次いで、硬化剤としてポリプロピレンオキサイドにキシリレンジイソシアネートを付加したプレポリマー(イソシアネート含有量2.5%)を水酸基/NCO基が当量になるように添加して、参考例1のシーリング材の試験体を作成した。
また、開始剤としてAIBN、連鎖移動剤としてメルカプトエタノールを使用して重合したBA/HEA=90/10(質量比)であって、Mn=8000、Mw=19000の共重合体を、同様の配合により比較参考例1のシーリング材の試験体を作成した。
【0031】
屋外にて1ヶ月養生したシーリング材硬化物を用いて下記の評価をおこなった。
▲1▼破断強度、破断伸度、50%引張応力(被着体はアルミ)はJIS・A5758(建築用シーリング材)に記載の方法に準じて実施した。
▲2▼促進耐候性試験は試料をホルダーに取り付け、メタルウェザー耐候性試験機(ダイプラウィンテス株式会社製)800時間経過後の表面状態と強度保持率(%)、伸度保持率(%)を測定した。表面状態の判定基準および伸度保持率の算出方法を示す。
・表面状態の判定基準 ○:変化なし、△:微少クラックあり、×:深いクラックあり
・強度保持率(%)=(促進耐候性試験後の破断強度/初期の破断強度)×100
・伸度保持率(%)=(促進耐候性試験後の破断伸度/初期の破断伸度)×100
▲3▼初期乾燥性は、シーリング材を屋外で養生し、24時間後に、指触により指先に粘着する感覚で評価した。
判定基準は、○:ほとんど感じない、△:すこし粘着する。×:酷く粘着する。
▲4▼汚染性は下記の方法で測定した。
アルミ板の上に厚さ12mmのスレートを置き、その隙間(幅10mm、高さ50mm)にシーリング材を充填した。屋外で1ヶ月養生した後、汚染粉(試験用ダスト8種:黄色酸化鉄:試験用ダスト3種=24:71:5(質量比))をシーリング材上に振りまき、10分後にエアーブロー(0.1Mpa)を行った。その前後の色差(ΔE)を測定した。
【0032】
【表2】
【0033】
(参考例2、比較参考例2)
実施例3の共重合体を酢酸ブチルに溶解して、固形分60%のワニスを得た。該ワニス100重量部、酸化チタン(石原産業製イペークCR95)70質量部、分散助剤(ビックケミー製BYK182)0.1質量部を混合し、ペイントシェーカーを用いて分散し、塗料主剤を得た。硬化剤としてデュラネートTSS100(旭化成製)を水酸基/NCO基が当量になるように添加し、硬化促進剤としてジブチル錫ジラウレートを60ppm添加した後、クロメート処理アルミ板上に、膜厚30μmになるようにスプレー塗装して、参考例2の試験板を得た。
また、スチレン/アクリル酸2−エチルヘキシル/HEMA=40/50/10(質量部)であって、Mn=5500、Mw=17200の共重合体を用いて、同様の配合により比較参考例2の試験板を得た。
【0034】
屋外にて1ヶ月硬化させた後、下記の評価をおこなった。
▲1▼促進耐候性試験は試料をホルダーに取り付け、蛍光紫外線式耐候性試験機(スガ試験機株式会社製)で1000時間経過後の光沢とLab値を測定し、下記の式により保持率を算出した。
・光沢保持率(%)=(促進耐候性試験後の光沢/初期光沢)×100
・色差(%)=(促進耐候性試験後のLab値/初期のLab値)×100
▲3▼初期乾燥性は、塗膜を屋外で硬化ながら、タック感の無くなる時間を測定した。
▲4▼汚染性は、屋外にて1ヶ月硬化させた試験板を、名古屋市港区の幹線道路に面した工場の外壁(南面)に1ヶ月取り付けて、汚染の度合いをΔL値(明度差)によって評価した。
▲5▼耐熱耐水性:試験板を沸騰水中に3時間浸漬し、引き上げた直後の表面状態を観察した。
○:異常なし、△:部分的にフクレあり、×:全面にフクレあり
▲6▼接着性:試験板を沸騰水中に3時間浸漬し、引き上げた直後に碁盤目粘着テープ剥離試験をおこなった。
【0035】
【表3】
【0036】
(比較例2)
CHA200質量部、MMA200質量部、HEA50質量部、DTBP5質量部、IPA50質量部からなる単量体混合物を実施例1と同様の操作により重合させた。共重合体への転化率は85%、得られた共重合体は無色透明、Mn=8000、Mw=19000、DSCにより求めたガラス転移温度は−1.7℃、NMRおよび熱分解GC−MSにより求めた組成はCHA/MMA/HEA=46/42/12であった。
(比較参考例3)
比較例2において得られた共重合体を使用し、参考例2と同様の操作により、塗料組成物を調製して評価を行った。結果を表4に示す。
【0037】
【表4】
【0038】
【発明の効果】
耐候性、耐水性、耐熱性、透明性、溶解性に優れた共重合体が生産性よく得られ、該共重合体を含有する組成物は耐候性、耐水性、耐熱性、透明性などに優れる。
Claims (6)
- 脂環構造を有し炭素原子および水素原子のみからなるラジカル重合性単量体、二重結合以外の反応性官能基を有する(メタ)アクリル酸エステルおよび二重結合以外の反応性官能基を有しない(メタ)アクリル酸エステルを150〜300℃の温度においてラジカル重合させる共重合体の製造方法。
- 脂環構造を有し炭素原子および水素原子のみからなるラジカル重合性単量体10〜48質量部、二重結合以外の反応性官能基を有する(メタ)アクリル酸エステル2〜30質量部および二重結合以外の反応性官能基を有しない(メタ)アクリル酸エステル50〜88質量部を150〜300℃の温度においてラジカル重合させる共重合体の製造方法。
- (メタ)アクリル酸エステル全量のうち50質量%以上がアクリル酸エステルである請求項1または2に記載の共重合体の製造方法。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の方法により製造される共重合体。
- 請求項5に記載の共重合体および硬化剤または硬化触媒を含有する硬化性組成物。
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