JP2006193613A - 重合体および組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】 含フッ素系ポリマーの特徴を有し、プラスチック材料、金属、繊維、木材などの表面に耐候性、耐酸性、耐溶剤性、耐熱性などを付与して表面を改質し、更にその効果を長期に亘って持続できる密着性を有する塗膜の形成や、基材表面へ確実に固定化できる優れた水密性や機密性を備えたシーリング材などに好適に使用することができ、、硬化の方法も容易な作業性に優れた塗料を得ることができる重合体やこれを含む組成物、これを用いる被膜の製造方法を提供する。
【解決手段】 側鎖にアクリロイルオキシ基と、フルオロアルキル基および/またはフルオロアルキレン基とを有し、重量平均分子量が1,000以上50,000以下、フッ素原子の含有量が1.0×10-2モル/g以上、2.2×10-2モル/g以下の重合体(I)。
【選択図】なし

Description

本発明は、耐候性、耐酸性、耐溶剤性などに優れ、これらの効果を持続して得ることができる塗膜を形成することができる重合体や、これを含む組成物、更にこれを用いる被膜の製造方法に関する。
含フッ素ポリマーは、耐候性、耐酸性、耐溶剤性、耐熱性などに優れていることから、プラスチック材料、金属、繊維、木材などの表面改質や、シーリング材の水密性や機密性の向上などさまざまな分野で使用されている。しかし、含フッ素ポリマーはプラスチック材料、金属、繊維、木材などの基材への密着性が低いことから、基材表面への固定化が困難であり、また溶剤やモノマーへの溶解性が低いため塗料として用いる場合も、フッ素系溶剤を用いる必要があるなどの問題があり、これまでさまざまな工夫を凝らすことにより含フッ素ポリマーの特徴を利用する努力が払われている。
例えば、特殊な重合開始剤を用いることにより非フッ素系溶剤への溶解性を高めた含フッ素ポリマーを用いて繊維製品への高い撥水撥油性を付与したり(例、特許文献1参照)、含フッ素ポリマー中にヒドロキシル基、カルボキシル基、カルボン酸塩もしくはカルボキシルエステル基またはエポキシ基を導入して基材との密着を高めたり(例、特許文献2)、(メタ)アクリロイル基、シンナモイル基などの光硬化性官能基を有した含フッ素ポリマーをシーリング材表面に塗布・硬化させる(例、特許文献3)などの工夫がなされてきた。
しかしながら、特許文献1に記載される溶剤型撥油剤においては非フッ素系溶剤への溶解性を高めているが依然としてフッ素系溶剤を一部使用しているため、環境保護の観点からフッ素系溶剤の使用は望ましくない。特許文献2に記載されるフッ素塗料材料においては、官能基により基材および下層塗膜への密着を高める工夫をしているが、多層塗膜に利用した場合、下層との界面密着性が十分とは言えず、下層の塗膜組成との組み合わせによっては密着が不足することも考えられ、利用分野が限定される。また特許文献3に記載されるシーリング材において、ウエット状態のシーリング材表面に光反応基を導入した含フッ素ポリマーを塗装し光硬化させることにより耐候性に優れた塗膜の形成を行っているが、シーリング材との密着が必ずしも十分とは言えず、また利用分野も限定される。
特開平5−302270号公報 特開2001−316614号公報 特開2003−201464号公報
本発明の課題は、さまざまな塗料の分野において、含フッ素系ポリマーの特徴を有し、プラスチック材料、金属、繊維、木材などの表面に耐候性、耐酸性、耐溶剤性、耐熱性などを付与して表面を改質し、更にその効果を長期に亘って持続できる密着性を有する塗膜の形成や、基材表面へ確実に固定化できる優れた水密性や機密性を備えたシーリング材などに好適に使用することができ、また、溶剤やモノマーへの溶解性にも優れ塗料として用いる場合も、フッ素系溶剤を必要とせず溶剤タイプ・無溶剤タイプのいずれにも使用可能で、ロールコート、スピンコート、スプレーコートなどの種々の塗装方法に適用することができ、硬化の方法も容易な作業性に優れた塗料を得ることができる、重合体やこれを含む組成物、これを用いる被膜の製造方法を提供することにある。
本発明者は鋭意研究の結果、特定の官能基を有するモノマーを組み合わせて得られる新規な共重合体を用いることにより、フッ素含有共重合体から密着性の優れた塗膜が得られることの知見を得て、本発明をするに至った。
即ち、本発明は、側鎖にアクリロイルオキシ基と、フルオロアルキル基および/またはフルオロアルキレン基とを有し、重量平均分子量が1,000以上50,000以下、フッ素原子の含有量が1.0×10-2モル/g以上、2.2×10-2モル/g以下の重合体(I)に関し、好ましくは、重合体(I)が、(メタ)アクリル酸グリシジルエステル(a)と(メタ)アクリロイル基を1個有するフッ素化合物(b)およびその他共重合可能なモノマー(c)の共重合体(d)に、アクリル酸またはカルボキシル基を1個かつアクリロイルオキシ基を1個有する化合物(e)を付加して得られるアクリル系化合物であり、かかるアクリル系化合物が、(メタ)アクリル酸グリシジルエステル(a)の単位を17〜50質量%、(メタ)アクリロイル基を1個有するフッ素化合物(b)の単位を38〜82質量%、その他共重合可能なモノマー(c)の単位を1〜45質量%の範囲で含む共重合体(d)にアクリル酸を付加して得られる重合体(I)に関する。
また、本発明は、重合体(I)を0質量%を超えて10質量%未満含む組成物や、この組成物を塗布し、塗膜内部から塗膜表面近傍に重合体(I)が分離した後、活性エネルギー線もしくは加熱により硬化させる被膜の製造方法に関する。
本発明の重合体(I)および組成物は、さまざまな塗料の分野において、含フッ素系ポリマーの特徴を有し、プラスチック材料、金属、繊維、木材などの表面に耐候性、耐酸性、耐溶剤性、耐熱性などを付与して表面を改質し、更にその効果を長期に亘って持続できる密着性を有する塗膜の形成や、基材表面へ確実に固定化できる優れた水密性や機密性を備えたシーリング材などに好適に使用することができ、また、溶剤やモノマーへの溶解性にも優れ、塗料として用いる場合も、フッ素系溶剤を必要とせず溶剤タイプ・無溶剤タイプのいずれにも使用可能で、ロールコート、スピンコート、スプレーコートなどの種々の塗装方法に適用することができ、塗膜の硬化の方法も容易な作業性に優れた塗料とすることができる。また、本発明の被膜の製造方法は、本発明の重合体(I)を含む組成物を用い作業性に優れ、容易に硬化することができる方法である。
本発明の重合体(I)は、側鎖にアクリロイルオキシ基と、フルオロアルキル基および/またはフルオロアルキレン基とを有し、重量平均分子量が1,000以上50,000以下、フッ素原子の含有量が1.0×10-2モル/g以上、2.2×10-2モル/g以下の重合体であれば、特に制限されるものではない。
本発明の重合体(I)における側鎖に有するフルオロアルキル基および/またはフルオロアルキレン基としては、炭素の数や、フッ素原子の数など特に制限されるものではない。これらフルオロアルキル基やフルオロアルキレン基は、カルボニル基、オキシカルボニル基などを介して主鎖に結合していることが好ましい。フルオロアルキル基やフルオロアルキレン基を有する側鎖中にはスルファモイル基、カルバモイル基などを有していてもよく、また、アセトキシ基、メトキシカルボニル基、フッ素原子以外のハロゲン原子、水酸基などの置換基を有していてもよい。このようなフルオロアルキル基やフルオロアルキレン基を有する側鎖としては、具体的には、CF3(CF2)3CH2OCO−、CF3(CF2)5CH2OCO−、(CF3)2CF(CF2)5(CH2)2OCO−、CF3(CF2)7SO2N(C37) (CH2)2OCO−、CF3(CF2)7SO2N(CH3) (CH2)2OCO−、CF3(CF2)7SO2N(C25) (CH2)2OCO−、CF3(CF2)7CONH(CH2)2OCO−、(CF3)2CF(CF2)6(CH2)3OCO−、(CF3)2CF(CF2)6CH2CH(OCOCH3)OCO−、(CF3)2CF(CF2) 6CH2CH(OH)CH2OCO−、(CF2Cl)(CF3) CF(CF2)7CONHCOO−、H(CF2)10CH2OCO−、CF2Cl(CF2)10CH2OCO−、CF3(CF2)7CH2CH(OH)CH2OCO−、CF3(CF2)5CH2CH(OH)CH2OCO−、−COOCH2CH2(CF2)15H、−COOCH2CH21531、−COOCH2CH2(CF2)14H、−COOCH2CH21429、−COOCH2CH2(CF2)13H、−COOCH2CH21327、−COOCH2CH2(CF2)12H、−COOCH2CH21225、−COOCH2CH2(CF2)11H、−COOCH2CH21123、−COOCH2CH2(CF2)10H、−COOCH2CH21021、−COOCH2CH2(CF2)9H、−COOCH2CH2919、−COOCH2CH2(CF2)8H、−COOCH2CH2817、−COOCH2CH2(CF2)7H、−COOCH2CH2715、−COOCH2CH2(CF2)6H、−COOCH2CH2613、−COOCH2CH2(CF2)5H、−COOCH2CH2511、−COOCH2CH2(CF2)4H、−COOCH2CH249、−COOCH2CH2(CF2)3H、−COOCH2CH237、−COOCH2CH2(CF2)2H、−COOCH2CH225、−COOCH2CH2CF2H、−COOCH2CH2CF3等を挙げることができる。
また、本発明の重合体(I)におけるアクリロイルオキシ基を有する側鎖としては、アクリロイルオキシ基を有するものであれば、いずれのものであってもよいが、後述するアクリル酸またはカルボキシル基を1個かつアクリロイルオキシ基を1個有する化合物(e)を付加することにより形成できるものが好ましい。
このような重合体(I)の重量平均分子量は、1,000以上50,000以下である。重合体(I)の重量平均分子量が1,000以上であれば硬化後の塗膜において耐酸性、耐溶剤性を有するものとなり、酸による黄変、溶剤への溶解を抑制することができる。また、重合体(I)の重量平均分子量が50,000以下であれば重合体(I)の塗料中への溶解を容易にすると共に、塗料中での分離を抑制することができ、硬化後の塗膜の外観を良好にすることができる。また、重合物(I)の重量平均分子量が、2,000以上、15,000以下であれば、フッ素原子の含有量や側鎖アクリロイル基の含有量にもよっても異なるが、上記効果をより顕著に得ることができる。
また、上記重合体(I)において、フッ素原子の含有量は1.0×10-2モル/g以上、2.2×10-2モル/g以下である。重合体(I)中のフッ素原子の含有量が1.0×10-2モル/g以上であれば重合体(I)において含フッ素ポリマーの特徴として期待される耐候性、耐酸性、耐溶剤性などを備え、また、2.2×10-2モル/g以下であれば塗料中の重合体(I)の溶解性が低下することがなく、塗料の安定性や塗膜の外観を良好にすることができる。フッ素原子の含有量が、1.4×10-2モル/g〜2.1×10-2モル/gの範囲であれば、重合体(I)の分子量や側鎖のアクリロイル基の含有量によっても異なるが、上記効果をより顕著に得ることができる。
このような重合体(I)は、(メタ)アクリル酸グリシジルエステル(a)と(メタ)アクリロイル基を1個有するフッ素化合物(b)およびその他共重合可能なモノマー(c)とを共重合させて得られる共重合体(d)に、アクリル酸またはカルボキシル基を1個かつアクリロイルオキシ基を1個有する化合物(e)を付加して得ることができる。
上記重合体(I)を構成する共重合体(d)を形成するモノマーの(メタ)アクリル酸グリシジル(a)は、アクリル酸または化合物(e)と反応してアクリロイル基を共重合体(d)に導入し、重合体(I)に反応性を付与するものであり、これにより塗膜における密着性の向上を図ることができる。
また、共重合体(d)を形成するモノマーの(メタ)アクリロイル基を1個有するフッ素化合物(b)は、重合体(I)にフッ素含有置換基を導入するものである。このようなフッ素化合物(b)として、具体的に、CF3(CF2)3CH2OCOC(CH3)=CH2,CF3(CF2)5CH2OCOCH=CH2,(CF3)2CF(CF2)5(CH2)2OCOCH=CH2,CF3(CF2)7SO2N(C37) (CH2)2OCOCH=CH2,CF3(CF2)7SO2N(CH3) (CH2)2OCOC(CH3)=CH2,CF3(CF2)7SO2N(C25) (CH2)2OCOCH=CH2,CF3(CF2)7CONH(CH2)2OCOCH=CH2,(CF3)2CF(CF2)6(CH2)3OCOCH=CH2,(CF3)2CF(CF2)6CH2CH(OCOCH3)OCOC(CH3)=CH2,(CF3)2CF(CF2) 6CH2CH(OH)CH2OCOCH=CH2,(CF2Cl)(CF3) CF(CF2)7CONHCOOCH=CH2,H(CF2)10CH2OCOCH=CH2,CF2Cl(CF2)10CH2OCOC(CH3)=CH2,CF3(CF2)7CH2CH(OH)CH2OCOCH=CH2,CF3(CF2)5CH2CH(OH)CH2OCOC(CH3)=CH2,CH2=CHCOOCH2CH2(CF2)15H,CH2=CHCOOCH2CH21531,CH2=CHCOOCH2CH2(CF2)14H,CH2=CHCOOCH2CH21429,CH2=CHCOOCH2CH2(CF2)13H,CH2=CHCOOCH2CH21327,CH2=CHCOOCH2CH2(CF2)12H,CH2=CHCOOCH2CH21225,CH2=CHCOOCH2CH2(CF2)11H,CH2=CHCOOCH2CH21123,CH2=CHCOOCH2CH2(CF2)10H,CH2=CHCOOCH2CH21021,CH2=CHCOOCH2CH2(CF2)9H,CH2=CHCOOCH2CH2919,CH2=CHCOOCH2CH2(CF2)8H,CH2=CHCOOCH2CH2817,CH2=CHCOOCH2CH2(CF2)7H,CH2=CHCOOCH2CH2715,CH2=CHCOOCH2CH2(CF2)6H,CH2=CHCOOCH2CH2613,CH2=CHCOOCH2CH2(CF2)5H,CH2=CHCOOCH2CH2511,CH2=CHCOOCH2CH2(CF2)4H,CH2=CHCOOCH2CH249,CH2=CHCOOCH2CH2(CF2)3H,CH2=CHCOOCH2CH237,CH2=CHCOOCH2CH2(CF2)2H,CH2=CHCOOCH2CH225,CH2=CHCOOCH2CH2CF2H,CH2=CHCOOCH2CH2CF3,等の単官能フッ素系(メタ)アクリレートを挙げることができる。これらのフッ素化合物(b)は1種または2種以上を組み合わせて使用することができる。
また上記共重合体(d)を形成するその他共重合可能なモノマー(c)は、塗膜を形成するその他成分との相溶性をさらに向上させたり、重合体(I)に強度を付与するものなどを選択することができる。かかるモノマー(c)としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート等の脂環式(メタ)アクリレート;
エトキシエチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート等のアルコキシアルキル(メタ)アクリレート;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート;
2−メトキシエトキシエチル(メタ)アクリレート、2−エトキシエトキシエチル(メタ)アクリレート等のアルコキシアルコキシアルキル(メタ)アクリレート;メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ブトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシジプロピレングリコール(メタ)アクリレート等のアルコキシ(ポリ)アルキレングリコール(メタ)アクリレート;
(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシ(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド類;、
スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、酢酸ビニル等のビニル化合物;
グリセリンモノアリルエーテル、アリルアルコール、エチレングリコールモノアリルエーテル等のアリルエーテルアルコール化合物;
等を挙げることができ、これらは、1種単独で、あるいは2種以上を併用して用いることができる。
このようなモノマーを重合して共重合体(d)を得る重合方法としては特に限定されず、例えば、(メタ)アクリル酸グリシジルエステル(a)、(メタ)アクリロイル基を1個有するフッ素化合物(b)、その他共重合可能なモノマー(c)の成分をラジカル重合開始剤の存在下で溶液重合による方法等の公知の重合方法を挙げることができる。
上記共重合体(d)に付加するアクリル酸または化合物(e)は、共重合体(d)の(メタ)アクリル酸グリシジルエステル(a)の単位に付加し、重合体(I)におけるアクリロイルオキシ基を有する側鎖を構成する。化合物(e)は、1個のカルボキシル基と少なくとも1個のアクリロイルオキシ基とを有するものであればよく、特に限定されない。例えば、入手が容易で重合体(I)の反応性が良好であるという点から、2−アクリロイルオキシエチルコハク酸、2−アクリロイルエチルオキシフタル酸、2−アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸等を挙げることができる。アクリル酸と化合物(e)との中で、重合体(I)中の重量あたりのフッ素原子含有量を低下させないという理由からアクリル酸が特に好ましい。
上記共重合体(d)を得る際の上記各モノマーの共重合比としては、重合体(I)におけるフッ素原子含有量が1.0×10-2モル/g以上、2.2×10-2モル/g以下になるように適宜選択することができる。例えば、フッ素化合物(b)としてCH2=C(CH3)COOCH2CH2817を用い、共重合体(d)に付加する化合物としてアクリル酸を用いる場合には、(メタ)アクリル酸グリシジルエステル(a)、フッ素化合物(b)、その他共重合可能なモノマー(c)の使用比率は、(a)、(b)、(c)の合計量を100質量%とした場合、質量比で(a)/(b)/(c)=(15〜50)/38/(47〜12)〜(15〜17)/82/(3〜1)であることが好ましい。
更に、重合体(I)を得るための共重合体(d)とアクリル酸または化合物(e)との使用比率として、共重合体(d)中の(メタ)アクリル酸グリシジルエステル(a)の単位数/アクリル酸または化合物(e)のモル数=1/0.8〜1/1の範囲となるような比率であることが好ましい。共重合体(d)中の(メタ)アクリル酸グリシジルエステル(a)の単位数に対するアクリル酸または化合物(e)の使用比率が0.8〜1であれば、重合体(I)を含有した組成物の硬化塗膜において優れた耐酸性、耐溶剤性を備えたものとなる。
本発明の組成物は本発明の重合体(I)を含むものであればよいが、塗膜形成を目的とする場合、上記本発明の重合体(I)の塗膜形成成分としての耐候性、耐酸性、耐溶剤性、密着性などの特性を損なわない範囲で、構成成分として高分子化合物、ラジカル重合性単量体、ラジカル重合開始剤を選択して任意の組み合わせで含有するものであってもよい。本発明の組成物における重合体(I)の含有量は10質量%未満であることが好ましく、7質量%以下であることがより好ましい。また本発明の組成物は、必要に応じて、公知の紫外線吸収剤、酸化防止剤、レベリング剤、顔料、染料等の改質剤;等を含むものであってもよい。
本発明の組成物に含有させ得る高分子化合物としては用途に応じて適宜選択され、例えば、本発明の組成物が塗膜形成用である場合、硬化塗膜に柔軟性を付与するもの、重合体(I)を添加した組成物に安定性を付与するものなどを挙げることができる。上記重合体(I)を含む組成物に安定性を付与する高分子化合物としては、各種(メタ)アクリレート類を重合して得られる高分子化合物が好ましく、具体的には、脂肪族系、脂環族系または芳香族系のエステル系ポリ(メタ)アクリレート、脂肪族系、脂環族系または芳香族系のウレタンポリ(メタ)アクリレート、エポキシポリ(メタ)アクリレート、ポリエステルポリ(メタ)アクリレートなどを挙げることができる。かかる高分子化合物の含有量は、重合体(I)、高分子化合物、およびラジカル重合性単量体の合計質量を100質量%としたとき、5〜95質量%の範囲であることが好ましく、より好ましくは10〜90質量%の範囲である。高分子化合物の含有量が、5質量%以上の場合には、得られる組成物の硬化性、および基材との密着性が良好となる傾向にあり、一方95質量%以下の場合には、柔軟性に優れる傾向にある。
本発明の組成物に含有させ得るラジカル重合性単量体としては、例えば、活性エネルギー線もしくは加熱により硬化被膜を形成するもの、基材との密着性も付与するものなどを挙げることができる。かかるラジカル重合性単量体としては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリル酸エステル、トリスエトキシレーテッドトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリル酸エステル、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリル酸エステル、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリル酸エステル、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリル酸エステル、エトキシレーテッドペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリル酸エステル、エトキシレーテッドペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリル酸エステル、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリル酸エステル、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリル酸エステル、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリル酸エステル、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリル酸エステル等の多官能(メタ)アクリル酸エステル類;
ビス(2−アクリロイルオキシエチル)ヒドロキシエチルイソシアヌレート、トリス(2−アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、ジ(メタ)アクリル酸エチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸1,3−ブチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸1,4−ブタンジオール、ジ(メタ)アクリル酸1,6−ヘキサンジオール、ジ(メタ)アクリル酸ノナンジオール、ジ(メタ)アクリル酸ネオペンチルグリコール、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリル酸エステル、ジ(メタ)アクリル酸テトラエチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸トリプロピレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸トリシクロデカンジメタノール、ジ(メタ)アクリル酸ポリエトキシレーテッドビスフェノールA、ジ(メタ)アクリル酸ポリプロポキシレーテッドビスフェノールA等のジ(メタ)アクリル酸エステル類などを挙げることができる。
また、ラジカル重合性単量体として、例えば、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリル、(メタ)アクリル酸フェノキシエチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸ノルボルニル、2−(メタ)アクリロイルオキシメチル−2−メチルビシクロヘプタン、(メタ)アクリル酸アダマンチル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンテニル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンタニル、(メタ)アクリル酸テトラシクロドデカニル、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールのε−カプロラクトン付加物(n+m=2〜5)のジ(メタ)アクリル酸エステル類;
ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールのγ−ブチロラクトン付加物(n+m=2〜5)のジ(メタ)アクリル酸エステル、ネオペンチルグリコールのカプロラクトン付加物(n+m=2〜5)のジ(メタ)アクリル酸エステル、ブチレングリコールのカプロラクトン付加物(n+m=2〜5)のジ(メタ)アクリル酸エステル、シクロヘキサンジメタノールのカプロラクトン付加物(n+m=2〜5)のジ(メタ)アクリル酸エステル、ジシクロペンタンジオールのカプロラクトン付加物(n+m=2〜5)のジ(メタ)アクリル酸エステル、ビスフェノールAのカプロラクトン付加物(n+m=2〜5)のジ(メタ)アクリル酸エステル、ビスフェノールFのカプロラクトン付加物(n+m=2〜5)のジ(メタ)アクリル酸エステル等の(メタ)アクリル酸エステル類などを挙げることができる。
さらに、ラジカル重合性単量体として、例えば、酢酸ビニル、酪酸ビニル、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド、N−ビニル−2−ピロリドン、N−ビニルカプロラクタム、アジピン酸ジビニル等のビニルエステルモノマー類;エチルビニルエーテル、フェニルビニルエーテル等のビニルエーテル類;
ジアリルフタレート、トリメチロールプロパンジアリルエーテル、アリルグリシジルエーテル等のアリル化合物類;
アクリルアミド、 N,N−ジメチルアクリルアミド、 N,N−ジメチルメタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−メトキシメチルアクリルアミド、N−ブトキシメチルアクリルアミド、N−t−ブチルアクリルアミド、アクリロイルモルホリン、ヒドロキシエチルアクリルアミド、メチレンビスアクリルアミド等のアクリルアミド類;
フタル酸、アジピン酸等の多塩基酸、エチレングリコール、ヘキサンジオール、ポリエチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等の多価アルコールおよび(メタ)アクリル酸またはその誘導体との反応で得られるポリエステルポリ(メタ)アクリレート類などを挙げることができる。
また、ラジカル重合性単量体として、例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、テトラブロモビスフェノールA等のビスフェノール類とエピクロルヒドリンの縮合反応で得られるビスフェノール型エポキシ樹脂に、(メタ)アクリル酸またはその誘導体を反応させたエポキシ(メタ)アクリレート類;
2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、1,3−キシリレンジイソシアネート、1,4−キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ビス(4−イソシアナトシクロヘキシル)メタン、1,3−ビスイソシアナトメチルシクロヘキサン、1,4−ビスイソシアナトメチルシクロヘキサン、ノルボルナンジイソシアネートなどを挙げることができ、これらの二量体や三量体等のイソシアネート化合物の1種単独または2種以上の混合物に、分子中に1個以上の(メタ)アクリロイルオキシ基、および1個のNCO反応性ヒドロキシ基を有するヒドロキシ基含有(メタ)アクリル酸エステルの1種単独または2種以上の混合物を反応させたウレタンポリ(メタ)アクリレート類や、アルカンジオール、ポリエーテルジオール、ポリブタジエンジオール、ポリエステルジオール、ポリカーボネートジオール、スピログリコール、アミドヒドロキシ化合物等の1種または2種以上の混合物からなるアルコール類の水酸基にジイソシアネート化合物を付加し、残ったイソシアネート基に、分子中に1個以上の(メタ)アクリロイルオキシ基、および1個のNCO反応性ヒドロキシ基を有するヒドロキシ基含有(メタ)アクリル酸エステルを反応させたウレタンポリ(メタ)アクリレート類等を挙げることができる。これらの化合物は、1種または2種以上を併用して用いることができる。
このようなラジカル重合性単量体の含有量は、重合体(I)、高分子化合物、およびラジカル重合性単量体の合計質量を100質量%としたとき、0質量%を超えて95質量%未満の範囲であることが好ましく、より好ましくは3〜83質量%の範囲である。ラジカル重合性単量体を含有する場合には、得られる組成物の硬化性、および基材との密着性が良好となる傾向にあり、一方95質量%未満の場合には、耐擦傷性が良好となる傾向にある。
本発明の組成物に含有させ得るラジカル重合開始剤としては、活性エネルギー線や熱によりラジカルを発生するものを挙げることができる。活性エネルギー線によりラジカルが発生する開始剤としては、具体的には、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、アセトイン、ブチロイン、トルオイン、ベンジル、ベンゾフェノン、p−メトキシベンゾフェノン、ジエトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、メチルフェニルグリオキシレート、エチルフェニルグリオキシレート、4,4−ビス(ジメチルアミノベンゾフェノン)、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オンなどのカルボニル化合物;
テトラメチルチウラムジスルフィドなどの硫黄化合物;
アゾビスイソブチロニトリル、アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリルなどのアゾ化合物、;
ベンゾイルパーオキシド、ジターシャリブチルパーオキシド等のパーオキシド化合物;
2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキサイド等のアシルホスフィンオキサイド化合物などを挙げることができる。
また熱によりラジカルが発生する開始剤としては、具体的には、過酸化ベンゾイル、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサネート、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、クメンハイドロパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイドなどを挙げることができる。これらのラジカル重合開始剤は1種または2種以上を併用することができる。
このようなラジカル重合開始剤は、用途に応じて適宜使用すればよいが、使用する場合は組成物を構成する重合体(I)、高分子化合物、およびラジカル重合性単量体の合計質量100質量部に対して0.01〜10質量部の範囲であることが好ましい。ラジカル重合開始剤の含有量が10質量部以下であれば硬化塗膜における退色を抑制することができ、耐候性を維持することができる。
かかる本発明の組成物は、目的に応じて適宜溶剤に溶解し、または無溶媒で、塗膜形成の塗料として用いることができる。本発明の組成物に対する溶剤としては、重合体(I)の安定性などの点から、また、後述するように塗布膜内部から表面近傍に重合体(I)が容易に分離されるように、例えば、トルエン、キシレンなどの芳香族類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン類、イソプロピルアルコール、ブタノール、イソブタノールなどのアルコール類、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル類や、これらを適宜組み合わせた混合溶剤を使用することができる。溶媒の濃度としては、例えば、溶液中10〜90質量%を挙げることができる。
本発明の被膜の製造方法は、上記本発明の組成物を表面改質処理を行なう基材表面に塗布し、塗膜内部から塗膜表面近傍に重合体(I)が分離した後、活性エネルギー線を照射するか、加熱により硬化させる方法であれば、特に制限されるものではない。
表面改質処理を行なう基材としては、プラスチック、金属、鉱物、セメント、木材、繊維など材質を選ばず、いずれのものであってもよい。塗布方法もロールコート、スピンコート、スプレーコートなどいずれの方法も使用することができる。また、塗膜表面近傍に分離した重合体(I)の硬化に用いる活性エネルギー線も公知のものを使用することができる。また、塗膜を硬化のための加熱方法としては、いずれの方法によってもよく、加熱温度としては、例えば、60〜150℃を例示することができる。このようにして形成される被膜の厚さとしては、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、1〜200μmとすることができる。
本発明の被膜の製造方法により被覆物の表面に製造された被膜は、含フッ素系ポリマーの特徴である耐候性、耐酸性、耐溶剤性、耐熱性などを有し、被覆物との密着性に優れこれらの効果を長期に亘って持続して得ることができる。
以下に本発明の実施例を示し、具体的に説明するが、本発明の技術的範囲はこれらに限定されるものではない。
[重合体(I)の合成]
合成例1
メタクリル酸メチル80質量部、メタクリル酸グリシジル688質量部、スチレン32質量部、メタクリル酸ヘプタデカフルオロデシル800質量部、t−ヘキシルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(日本油脂(株)製「パーヘキシルO」)160質量部、および酢酸n−ブチル480質量部の混合溶液(a1)を調整した。次に、攪拌機および冷却管付きの5リットル4つ口フラスコに、酢酸n−ブチル800質量部を仕込み、窒素置換しながら120℃に昇温後、該混合溶液(a1)を3時間かけて滴下し攪拌反応させた後、t−ヘキシルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート16質量部を酢酸n−ブチル160質量部に溶解させたものを0.5時間かけて滴下した。滴下終了後130℃で2時間加熱した。加熱終了後フラスコ内を空気で置換した後、90℃でテトラエチルホスフォニウムブロマイド32質量部、アクリル酸320質量部、酢酸n−ブチル160質量部の混合物を1時間かけて滴下し攪拌した後、90℃で8時間加熱攪拌した。酸価が5mgKOH/g以下になったことを確認して反応を終了した。得られた重合体溶液(I−A)の不揮発分は51質量%で、重量平均分子量は4300であった。
合成例2
メタクリル酸メチル192質量部、メタクリル酸グリシジル640質量部、スチレン32質量部、メタクリル酸n−ブチル128質量部、メタクリル酸ヘプタデカフルオロデシル608質量部、t−ヘキシルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(日本油脂(株)製「パーヘキシルO」)72質量部、および酢酸n−ブチル480質量部の混合溶液(a2)を調整した。次に、攪拌機および冷却管付きの5リットル4つ口フラスコに、酢酸n−ブチル800質量部を仕込み、窒素置換しながら120℃に昇温後、該混合溶液(a2)を3時間かけて滴下し攪拌反応させた後、t−ヘキシルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート16質量部を酢酸n−ブチル160質量部に溶解させたものを0.5時間かけて滴下した。滴下終了後130℃で2時間加熱した。加熱終了後フラスコ内を空気で置換した後、90℃でテトラエチルホスフォニウムブロマイド32質量部、アクリル酸300質量部、酢酸n−ブチル160質量部の混合物を1時間かけて滴下し攪拌した後、90℃で8時間加熱攪拌した。酸価が5mgKOH/g以下になったことを確認して反応を終了した。得られた重合体溶液(I−B)の不揮発分は51質量%で、重量平均分子量は13600であった。
合成例3
メタクリル酸メチル80質量部、メタクリル酸グリシジル688質量部、スチレン32質量部、メタクリル酸ヘプタデカフルオロデシル800質量部、t−ヘキシルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(日本油脂(株)製「パーヘキシルO」)8質量部、および酢酸n−ブチル480質量部の混合溶液(a3)を調整した。次に、攪拌機および冷却管付きの5リットル4つ口フラスコに、酢酸n−ブチル800質量部を仕込み、窒素置換しながら120℃に昇温後、該混合溶液(a3)を3時間かけて滴下し攪拌反応させた後、t−ヘキシルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート8質量部を酢酸n−ブチル160質量部に溶解させたものを0.5時間かけて滴下した。滴下終了後130℃で2時間加熱した。加熱終了後フラスコ内を空気で置換した後、90℃でテトラエチルホスフォニウムブロマイド32質量部、アクリル酸320質量部、酢酸n−ブチル160質量部の混合物を1時間かけて滴下し攪拌した後、90℃で8時間加熱攪拌した。酸価が5mgKOH/g以下になったことを確認して反応を終了した。得られた重合体溶液(I−C)の不揮発分は51質量%で、重量平均分子量は62400であった。
合成例4
メタクリル酸メチル80質量部、メタクリル酸グリシジル688質量部、スチレン32質量部、メタクリル酸ヘプタデカフルオロデシル800質量部、t−ヘキシルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(日本油脂(株)製「パーヘキシルO」)320質量部、および酢酸n−ブチル480質量部の混合溶液(a4)を調整した。次に、攪拌機および冷却管付きの5リットル4つ口フラスコに、酢酸n−ブチル1040質量部を仕込み、窒素置換しながら120℃に昇温後、該混合溶液(a4)を3時間かけて滴下し攪拌反応させた後、t−ヘキシルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート16質量部を酢酸n−ブチル80質量部に溶解させたものを0.5時間かけて滴下した。滴下終了後130℃で2時間加熱した。加熱終了後フラスコ内を空気で置換した後、90℃でテトラエチルホスフォニウムブロマイド32質量部、アクリル酸320質量部の混合物を1時間かけて滴下し攪拌した後、90℃で8時間加熱攪拌した。
酸価が5mgKOH/g以下になったことを確認して反応を終了した。得られた重合体溶液(I−D)の不揮発分は51質量%で、重量平均分子量は800であった。
合成例5
メタクリル酸メチル560質量部、メタクリル酸グリシジル688質量部、スチレン32質量部、メタクリル酸ヘプタデカフルオロデシル320質量部、t−ヘキシルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(日本油脂(株)製「パーヘキシルO」)160質量部、および酢酸n−ブチル480質量部の混合溶液(a5)を調整した。次に、攪拌機および冷却管付きの5リットル4つ口フラスコに、酢酸n−ブチル800質量部を仕込み、窒素置換しながら120℃に昇温後、該混合溶液(a5)を3時間かけて滴下し攪拌反応させた後、t−ヘキシルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート16質量部を酢酸n−ブチル160質量部に溶解させたものを0.5時間かけて滴下した。滴下終了後130℃で2時間加熱した。加熱終了後フラスコ内を空気で置換した後、90℃でテトラエチルホスフォニウムブロマイド32質量部、アクリル酸320質量部、酢酸n−ブチル160質量部の混合物を1時間かけて滴下し攪拌した後、90℃で8時間加熱攪拌した。酸価が5mgKOH/g以下になったことを確認して反応を終了した。得られた重合体溶液(I−E)の不揮発分は51質量%で、重量平均分子量は4800であった。
合成例6
メタクリル酸メチル16質量部、メタクリル酸グリシジル160質量部、スチレン16質量部、メタクリル酸ヘプタデカフルオロデシル1408質量部、t−ヘキシルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(日本油脂(株)製「パーヘキシルO」)160質量部、および酢酸n−ブチル480質量部の混合溶液(a6)を調整した。次に、攪拌機および冷却管付きの5リットル4つ口フラスコに、酢酸n−ブチル800質量部を仕込み、窒素置換しながら120℃に昇温後、該混合溶液(a6)を3時間かけて滴下し攪拌反応させた後、t−ヘキシルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート16質量部を酢酸n−ブチル320質量部に溶解させたものを0.5時間かけて滴下した。滴下終了後130℃で2時間加熱した。加熱終了後フラスコ内を空気で置換した後、90℃でテトラエチルホスフォニウムブロマイド32質量部、アクリル酸80質量部の混合物を1時間かけて滴下し攪拌した後、90℃で8時間加熱攪拌した。酸価が5mgKOH/g以下になったことを確認して反応を終了した。得られた重合体溶液(I−F)の不揮発分は51質量%で、重量平均分子量は4100であった。
[高分子化合物(II)の調製]
メタクリル酸シクロヘキシル600質量部、メタクリル酸グリシジル528質量部、メタクリル酸i−ブチル72質量部、t−ヘキシルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(日本油脂(株)製「パーヘキシルO」)84質量部の混合溶液(a7)を調整した。次に、攪拌機および冷却管付きの5リットル4つ口フラスコに、酢酸n−ブチル1200質量部を仕込み、窒素置換しながら120℃に昇温後、該混合溶液(a7)を3時間かけて滴下し攪拌反応させた後、t−ヘキシルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート12質量部を酢酸n−ブチル240質量部に溶解させたものを0.5時間かけて滴下した。滴下終了後130℃で2時間加熱した。加熱終了後フラスコ内を空気で置換した後、90℃でテトラエチルホスフォニウムブロマイド24質量部、ビスコート#2150(大阪有機化学工業(株)製)1050質量部の混合物を1時間かけて滴下し攪拌した後、90℃で8時間加熱攪拌した。酸価が5mgKOH/g以下になったことを確認して反応を終了した。得られた高分子化合物溶液(II)の不揮発分は50質量%で、重量平均分子量は9500であった。
[実施例1]
上記重合体溶液(I−A)2質量部、高分子化合物溶液(II)148質量部、トリシク
ロデカンジメタノールジアクリレート(商品名:ライトアクリレートDCP−A、共栄社化学社製)25質量部、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(商品名:イルガキュア184、チバスペシャリティーケミカルズ社製)2質量部、メチルフェニルグリオキシレート(商品名:バイキュア55、ストーファー社製)1質量部を攪拌混合して、組成物溶液を調整した。この組成物溶液を用いて以下のサンプル作成法に従い試験サンプルを作成し、評価を行った。結果を表1に示す。
[試験サンプルの作成]
リン酸亜鉛処理された鋼板(10cm×30cm)にカチオン電着塗料を塗装し、180℃で30分焼き付け、さらにアミノアルキッド系の中塗り塗料を塗装し、160℃で30分焼き付けた後、塗膜を水研ぎし、乾燥させた板を得た。この板に、実施例で得られた組成物溶液を塗布し、120℃で10分乾燥後、空気雰囲気下で高圧水銀灯(フュージョン社製)を用い、3000mJ/cm2(波長320〜380nmの紫外線積算エネルギー量)の紫外線を照射し、厚さ35μmの硬化塗膜を有する試験サンプルを得た。
[評価方法および評価基準]
試験サンプルの評価方法および評価基準は以下のとおりである。
塗膜外観
試験サンプルの硬化塗膜外観を目視にて観察し、下記基準に基づき評価した。
○:硬化塗膜表面に異常がなく、平滑性に優れる
×:硬化塗膜表面がユズ肌状、または凹凸が多数認められ、平滑性に劣る
耐候性
試験サンプルをサンシャインウェザオメーターにて3000時間試験した後の塗膜表面を目視にて観察し、その表面光沢保持率を測定した。
○:塗膜面に変化なし、光沢保持率85%以上
△:塗膜面に変化なし、光沢保持率85%未満
×:クラック、変色、剥離等の異常あり
耐溶剤性
試験サンプルの塗膜表面を、メチルエチルケトンを十分に染み込ませたガーゼを用いて500g荷重で20往復させた後、塗膜表面の外観を目視で観察した。
○:まったく変化なし
△:傷がつく、もしくは塗膜が曇る
×:硬化塗膜が膨潤する、もしくは溶解する
耐酸性
40%硫酸溶液約0.3mlを硬化塗膜表面に滴下し、80℃で10分間加熱した後、水洗し、該塗膜を目視で評価した。
○:全くエッチングなし
×:硬化塗膜表面がエッチングされた
[実施例2]
重合体溶液(I−A)の代わりに重合体溶液(I−B)を用いる以外は実施例1と同様にして組成物溶液を得て、これを用いて同様に試験サンプルを作成し、評価を行った。結果を表1に示す。
[比較例1]
重合体溶液(I−A)の代わりに重合体溶液(I−C)を用いる以外は実施例1と同様にして組成物溶液を得て、これを用いて同様に試験サンプルを作成し、評価を行った。結果を表1に示す。
[比較例2]
重合体溶液(I−A)の代わりに重合体溶液(I−D)を用いる以外は実施例1と同様にして組成物溶液を得て、これを用いて同様に試験サンプルを作成し、評価を行った。結果を表1に示す。
[比較例3]
重合体溶液(I−A)の代わりに重合体溶液(I−E)を用いる以外は実施例1と同様にして組成物溶液を得て、これを用いて同様に試験サンプルを作成し、評価を行った。結果を表1に示す。
[比較例4]
重合体溶液(I−A)の代わりに重合体溶液(I−F)を用いる以外は実施例1と同様にして組成物溶液を得て、これを用いて同様に試験サンプルを作成し、評価を行った。結果を表1に示す。
[比較例5]
重合体溶液(I−A)24質量部、高分子化合物溶液(II)126質量部、トリシクロ
デカンジメタノールジアクリレート(商品名:ライトアクリレートDCP−A、共栄社化学社製)25質量部、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(商品名:イルガキュア184、チバスペシャリティーケミカルズ社製)2質量部、メチルフェニルグリオキシレート(商品名:バイキュア55、ストーファー社製)1質量部を攪拌混合して、組成物溶液を調整した。この組成物溶液を用いて同様に試験サンプル作成し、評価を行った。結果を表1に示す。
Figure 2006193613
結果からわかるように、本発明による組成物(実施例1〜実施例2)は、塗膜外観、耐溶剤性、耐酸性だけでなく耐候性にもに優れた塗膜である。
比較例1は重合体(I)の分子量が本発明の分子量範囲を超えた高分子量であり、塗膜外観が悪化しただけでなく耐候性、耐溶剤性、耐酸性が低下した。比較例2は重合体(I)の分子量が本発明の分子量範囲を下回っており、耐候性、耐溶剤性、耐酸性が低下してしまった。比較例3は重合体(I)中のフッ素原子含有量が本発明の範囲を下回っており、耐溶剤性、耐酸性が低下してしまった。比較例4は重合体(I)中のフッ素原子含有量が本発明の範囲を超えており塗膜外観、耐候性が低下してしまった。比較例5は重合体(I)の組成物中における含有量が本発明の範囲以上であり塗膜外観が悪化してしまった。

Claims (5)

  1. 側鎖にアクリロイルオキシ基と、フルオロアルキル基および/またはフルオロアルキレン基とを有し、重量平均分子量が1,000以上50,000以下、フッ素原子の含有量が1.0×10-2モル/g以上、2.2×10-2モル/g以下の重合体(I)。
  2. (メタ)アクリル酸グリシジルエステル(a)と、(メタ)アクリロイル基を1個有するフッ素化合物(b)と、その他共重合可能なモノマー(c)との共重合体(d)に、アクリル酸またはカルボキシル基を1個かつアクリロイルオキシ基を1個有する化合物(e)を付加して得られるアクリル系化合物である請求項1記載の重合体(I)。
  3. アクリル系化合物が、 (メタ)アクリル酸グリシジルエステル(a)の単位を17〜50質量%、(メタ)アクリロイル基を1個有するフッ素化合物(b)の単位を38〜82質量%、その他共重合可能なモノマー(c)の単位を1〜45質量%の範囲で含む共重合体(d)にアクリル酸を付加して得られるものである請求項2記載の重合体(I)。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の重合体(I)を0質量%を超えて10質量%未満含む組成物。
  5. 請求項4記載の組成物を塗布し、塗膜内部から塗膜表面近傍に重合体(I)が分離した後、活性エネルギー線もしくは加熱により硬化させる被膜の製造方法。


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